説明

脂肪酸アミドヒドロラーゼ分析

本発明は、アンモニア生産酵素の活性を決定する方法、および、このような酵素の活性を調節することができる化合物を同定する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア生産酵素の活性を決定する方法、および、酵素活性を調節する化合物の同定におけるそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)は膜内在性酵素であり、これは、オレアミドヒドロラーゼやアナンダミドアミドヒドロラーゼと称されることもある。FAAHは、内因性シグナル伝達脂質として役立つことがわかっている脂肪酸の第一アミドとエタノールアミドを分解する。このような物質としては、内因性カンナビノイドであるアナンダミド、および、睡眠導入作用のあるオレアミドが挙げられる。(M.P.Patricelli等(1998)Biochemistry 37,15177〜15187;M.Maccarrone等(1998).J.Biol.Chem.273,32332〜32339)。FAAHは各種の脂肪酸アミド(FAA)を加水分解するが、FAAHは、アラキドニルおよびオレイル基質に最も効果的に作用するようである(B.F.Cravatt等(1996)Nature 384,83〜87;および、D.K.Giang等(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,2238〜2242)。FAAH阻害剤は、動物モデルにおいて痛み、炎症および不安を低減することが実証されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FAAH活性を測定するための多数の分析が報告されている。これらの分析の大半は、FAAH活性を定量するために、放射標識した基質や薄層クロマトグラフィー、活性炭またはマススペクトロメトリーを利用している。加えて、基質としてp−ニトロアニリドを用いた分光光度分析や、蛍光置換分析(fluorescence displacement assay)が報告されている。しかしながら、これらの分析はいずれも、低いスループット、低い感度、または、放射活性物質を必要とするといった限定がある。FAAH活性を効率的に、迅速に、かつ正確に測定し、FAAHを阻害または刺激する化合物を同定することができ、さらにハイスループットも可能な分析が有益であると予想される。
本明細書で引用された全ての公報、特許および特許出願は、本発明において参照によりその全体を加入させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一形態において、本発明は、アンモニア生産酵素の活性を測定する方法を提供する。本方法は、二つの連動した反応を含む。その反応のうち一方は、生成物としてアンモニアを生産するアンモニア生産酵素によって触媒される。他方の反応は、基質としてアンモニアを利用するグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化反応である。本方法を実施するために、(1)アンモニア生産酵素、(2)アンモニア生産酵素のための、アンモニアを生産する基質、(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼのための、アンモニア以外の還元的アミノ化基質、および、(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼの還元型の補酵素を含む反応混合物が用意される。この反応混合物を、アンモニア生産酵素およびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下でインキュベートする。アンモニア生産酵素の活性は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度を測定する工程によって測定される。具体的な一実施態様において、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度は、前記還元型の補酵素の消費量を測定することによって測定される。
【0005】
その他の形態において、本発明は、アンモニア生産酵素の活性を調節することができる化合物を同定する方法を提供する。本方法は、本発明によって提供されるアンモニア生産酵素の活性を測定する方法を用いる。本方法を実施するために、上記反応混合物に試験化合物を添加し、アンモニア生産酵素の活性を測定する。一実施態様において、脂肪酸アミドヒドロラーゼの活性を調節することができる化合物を同定する方法が提供される。
【0006】
図面の説明
図1は、一定濃度のオレアミドの存在下でFAAH濃度を変化させる作用のグラフ表示である。
図2は、GDHと組み合わせたFAAH反応の速度は、ミカエリス−メンテンの速度論式に従っていることを実証するグラフ表示である。
図3は、化合物Aは、用量反応性の方式でFAAH活性を阻害することを示す、GDHを組み合わせたFAAH分析のグラフ表示である。
【0007】
発明の詳細な説明
特に他の指定がない限り、本明細書で用いられるあらゆる専門用語や科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に認識されている意味と同じ意味を有する。本明細書で用いられる以下の用語は、ここで記載される意味で用いられる。
【0008】
用語「アンモニア生産酵素」は、生成物としてアンモニアを生産する反応を触媒するあらゆる酵素を意味する。この酵素は、どのような由来、どのような形態、どのような純度でもよく、さらに、天然に存在するものでもよいし、または、組換え酵素であってもよく、さらに、全長酵素であってもよいし、または、酵素的に活性なそれらのトランケーションされた形態であってもよい。
【0009】
用語「アンモニアを生産する基質」は、アンモニア生産酵素が作用して、生成物としてアンモニアを生産することができるような基質を意味する。
【0010】
用語「グルタミン酸デヒドロゲナーゼ」は、α−ケトグルタル酸(α−ketoglutarate)の還元的アミノ化を触媒して、グルタミン酸(glutamate)を形成する酵素を意味する。この酵素は、どのような由来、どのような形態、どのような純度でもよく、さらに、天然に存在するものでもよいし、または、組換え酵素であってもよく、さらに、全長酵素であってもよいし、または、酵素的に活性なそれらのトランケーションされた形態であってもよい。。
【0011】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼの「還元的アミノ化基質」という用語は、還元的アミノ化が行われる際にグルタミン酸デヒドロゲナーゼが作用することができる、アンモニア以外の基質を意味する。
【0012】
用語「〜を調節する」、「〜を調節すること」または「調節」は、アンモニア生産酵素の、アンモニアの生成を触媒する際の活性を変化させることを意味する。このような変化としては、酵素の阻害、または、酵素の活性化が挙げられ、全体的な変化でもよいし、または、部分的な変化でもよい。
【0013】
本明細書で用いられる用語「化合物」は、物質からなるあらゆる組成物を意味し、このような物質としては、あらゆる合成または天然化合物もしくは組成物が挙げられ、それらは有機でも無機でもよく、例えば、低分子物質、ペプチド、タンパク質、糖類(単糖類および多糖類)、核酸、脂肪酸などが挙げられる。用語「試験化合物」は、解析しようとするあらゆる化合物またはそれらの組み合わせを意味する。
【0014】
一形態において、本発明は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化反応を組み合わせて用いて、アンモニア生産酵素によって生産されたアンモニアを定量的に検出することによる、アンモニア生産酵素の活性を測定する方法を提供する。用語「組み合わされる」は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化反応が、アンモニア生産酵素によって触媒される反応と同時に、かつ、同じ反応で行われることを意味する。本方法は、(a)既定量の(1)アンモニア生産酵素、(2)アンモニア生産酵素についてのアンモニアを生産する基質、(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについてのアンモニア以外の還元的アミノ化基質、および、(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素を含む反応混合物を用意する工程;(b)アンモニア生産酵素およびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下で、該反応混合物をインキュベートする工程;および、(c)グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度を測定する工程を含み、ここにおいて、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度は、アンモニア生産酵素の活性の指標である。この本発明によって提供される方法は、以下「酵素活性分析法」と称する場合もある。以下、本発明の酵素活性分析法で用いられる反応スキームの例を示すが、ここにおいて、アンモニア生産酵素は、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)であり、オレアミドは、脂肪酸アミドヒドロラーゼの基質として用いられる:
【0015】
【化1】

【0016】
この方法を用いて、生成物としてアンモニアを生産する適切な基質を用いることによって、あらゆるアンモニア生産酵素の活性を測定することができる。アンモニア生産酵素の一例は、FAAHである。アンモニア生産酵素のその他の例は、ペプチジルアルギニンデアミナーゼであり、これは、様々なペプチドのカルボキシ末端のArg残基の、シトルリン残基へのアンモニアの生成を伴う変換を触媒する。反応混合物で使用可能なアンモニア生産酵素の最適な量は、例えば酵素の由来または特異的な活性、および、インキュベート条件などの多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。この方法は、FAAHの活性を測定するのに特に有用である。FAAHは、どのような由来のものでもよく、天然に存在するものでもよいし、または、組換えであってもよく、さらに、全長酵素であってもよいし、または、それらのトランケーションされた形態であってもよい。反応混合物で用いられるFAAHの最適な量は、酵素の源または特異的な活性や、用いられる基質のような多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。反応混合物中のFAAHの濃度は、一般的に約2nMより大きく、好ましくは10nMより大きい。
【0017】
特定のアンモニア生産酵素のための適切なアンモニアを生産する基質、加えて反応混合物で用いることができるその最適な量は、当業者であれば容易に選択することができる。FAAHのための適切なアンモニアを生産する基質は、脂肪酸の第一アミドである。一般的に、FAAHの適切なアンモニアを生産する基質としての第一アミドは、一般構造:NH2−C(O)−Rを有し、ここにおいて、Rは、アルキル鎖であり、このアルキル鎖は不飽和であってもよく、さらに直鎖状であってもよいし、または、分岐状であってもよく、加えて置換または非置換であり、飽和または不飽和の環を含んでいてもよく、ここにおいて、これらの環は、融合していてもよいし、または、融合していなくてもよく、ヘテロ原子を含む。脂肪酸アルキル鎖の不飽和結合が存在する場合は、その脂肪酸アルキル鎖はシス立体配置を有する可能性があり、例えばシス−9,10−オクタデセンアミド(octadecenomaide)、シス−8,9−オクタデセンアミド(octadecenoamide)、シス−11,12−オクタデセンアミド(octadecendoamide)、または、シス−13,14−ドコセンアミド(docosenoamide)が挙げられる。本発明のFAAH活性分析法で使用可能な脂肪酸の第一アミドの例としては、オレアミド、ミリスチン酸(myrtistic acid)(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(オクタデカトリエン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、アラキドン酸(エイコサテトラエン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、および、リグノセリン酸(テトラコサン酸)のアミドが挙げられる。さらにその他の脂肪酸の第一アミドとしては、例えばウンデカン酸、オレイン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプリン酸、および、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンの第一アミドがそれぞれ挙げられる。脂肪酸の第一アミドは、広く市販され、どのような由来のものでもよい。反応混合物中の脂肪酸の第一アミドの最適な量は、用いられる特定の脂肪酸の第一アミド、または、その純度のような多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。反応混合物における脂肪酸の第一アミドの量は、一般的には約10μMより大きく、典型的には約20〜約500μMである。一実施態様において、反応混合物における脂肪酸の第一アミドの量は、約50μMである。
【0018】
本発明の方法は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)を組み合わせた分析においてGDHを利用する。また、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、他の名称で認識されている可能性もある、例えばグルタミン酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、NAD(P)−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼなどが挙げられる。GDHによる還元的アミノ化は、アンモニア、α−ケトグルタル酸、および、補酵素として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADHまたはNADPH)を必要とする。グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化反応を以下で説明する:
【0019】
【化2】

【0020】
この還元的アミノ化反応において、消費されたアンモニアの量は、消費されたNADHの量に正比例するか、または、生産されたグルタミン酸、または、生産されたNADPの量に正比例する。本酵素活性分析法において使用可能なGDHは、どのような由来のものでもよく、天然に存在するものでもよいし、または、組換えであってもよく、さらに、全長酵素であってもよいし、または、酵素的に活性なそれらのトランケーションされた形態であってもよい。この酵素は、市販されている。(カタログ番号49392;シグマ−アルドリッチ・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Chemicals),セントルイス,ミズーリ州)。アンモニア生産酵素によって生産されたアンモニアをグルタミン酸にする反応を迅速で完全に行うためには、反応混合物におけるGDHの量を十分に高くするべきである。反応混合物におけるGDHの量は、一般的に約1ユニット/ml以上であり、典型的には約7ユニット/mlまたはそれを超える量である。
【0021】
本発明の酵素活性分析法において、どのようなGDHの適切な還元的アミノ化基質でも使用可能である。GDHの適切な還元的アミノ化基質の例としては、α−ケトグルタル酸(また、「アルファ−ケトグルタル酸」、「2−オキソグルタル酸」、「α−オキソグルタル酸」、または、「2−オキソペンタンジオアート」としても知られている)、および、2−ケト−6−ヒドロキシヘキサン酸が挙げられる。アンモニア生産酵素によって生産されたアンモニアをグルタミン酸にする反応を迅速で完全に行うためには、反応混合物におけるGDHの還元的アミノ化基質の量を十分に高くするべきである。最適な量は、アンモニア生産酵素の活性、NADH(NADPH)の量、および、用いられるGDHの量または活性のような多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。α−ケトグルタル酸が基質として用いられる場合、その反応混合物における量は、一般的に0.1mM以上であり、典型的には約0.3〜約10mMである。一実施態様において、反応混合物におけるα−ケトグルタル酸の濃度は、約3mMである。
【0022】
本発明の酵素活性分析法において用いられる還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは、NADHまたはNADPHのいずれかであり得る。アンモニア生産酵素によって生産されたアンモニアをグルタミン酸にする反応を迅速で完全に行うためには、反応混合物におけるNADHまたはNADPHの量を十分に高くするべきである。最適な量は、アンモニア生産酵素の活性、α−ケトグルタル酸の量、および、用いられるGDHの量または活性のような多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。反応混合物におけるNADHまたはNADPHの量は、一般的に約5μM〜約1000μMであり、好ましくは約50μM〜約300μM、より好ましくは約100μM〜約200μMである。
【0023】
本発明の方法を強化するために、反応混合物にその他の成分が含まれていてもよい。例えば、GDHの活性を強化するためには、アデノシン5’−二リン酸(ADP)、または、グアノシン5’−二リン酸(GDP)が反応混合物に含まれていてもよい。反応混合物におけるADPまたはGDPは、どのような量でもよいが、一般的に20μMより多い量である。一実施態様において、ADPは、反応混合物中で約2mMで存在する。加えて、反応混合物中の酵素、基質またはその他のあらゆる成分の溶解性を高めるためには、界面活性剤またはその他の可溶化剤が反応混合物に含まれていてもよい。適切な界面活性剤または可溶化剤の例としては、トリトンX−100(Triton(R)X−100)(シグマ−アルドリッチ・ケミカルズ,セントルイス,ミズーリ州)、および、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0024】
反応混合物は、アンモニア生産酵素およびGDHによって触媒される反応が起こるような条件下でインキュベートされる。典型的には、反応混合物は、比較的一定の温度で、通常15℃〜50℃で、より典型的には約20℃〜約37℃の温度で、インキュベートされる。一般的に、反応混合物は、反応に最適な比較的一定のpHに維持され、通常約4.0〜約12である。一実施態様において、反応混合物は、約7.4〜約10.5のpHで維持される。反応混合物のpHは、適切な緩衝液を用いて調節し、維持することができる。適切な緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液(シグマ−アルドリッチ・ケミカルズ,セントルイス,ミズーリ州)、および、HEPES緩衝液(シグマ−アルドリッチ・ケミカルズ,セントルイス,ミズーリ州)が挙げられる。反応混合物のインキュベート時間はいくらでもよいが、2〜3分間またはそれより短い時間から、2〜3時間またはそれより長い時間の範囲である。最適な時間は、アンモニア生産酵素またはGDHの活性、インキュベート温度、反応混合物中の基質の初期量等のような多数の要因に基づいて決定することができ、当業者であれば容易に決定することができる。
【0025】
GDHによって触媒される還元的アミノ化の速度は、当業界既知の適切な方法のいずれで決定してもよい。例えば、還元的アミノ化の速度は、以下のパラメーターの1種またはそれ以上を測定することによって決定してもよい:(1)還元的アミノ化基質の消費、(2)還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADHまたはNADPH)の消費、(3)酸化されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+、または、NADP+)の生成、および、(4)還元的アミノ化産物の生成。GDHによって触媒される還元的アミノ化の速度を決定する具体的な方法の一つは、分光光度法により、反応混合物中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADHまたはNADPH)の消費量を測定することである。NADHおよびNADPHはそれぞれ、約290nm〜約380nmの波長で光を強く吸収するが、一方でNAD+、NADP+およびその他の基質、または反応生成物は吸収しないことがわかっている。従って、反応混合物におけるNADHまたはNADPHが消費されるため(すなわちNAD+、NADP+に酸化される)、上記の波長での反応混合物の吸光度は減少する。NADHまたはNADPHの消費速度は、吸光度の減少に正比例する。NADHまたはNADPHの消費速度は、アンモニア生成の速度、すなわちアンモニア生産酵素の活性にも正比例するため、上記の波長において吸光度が減少する速度は、アンモニア生産酵素活性の指標であり、ここにおいて、吸光度が減少する速度が速いということは、アンモニア生産酵素の活性がより高いことを示し、逆もまた同様である。
【0026】
典型的には、反応混合物の吸光度は、約330〜約370の波長で、好ましくは約340nmの波長で測定される。吸光度は、当業者であれば従来の分光光度の手法を用いて容易に測定することができる。還元的アミノ化のパラメーターの測定は、インキュベート期間の最後に1回行ってもよいし、インキュベート期間中に複数の時点で行ってもよいし、または、インキュベート期間中連続的に行ってもよい。アンモニア生産酵素活性は、当業界で既知の方法によって定量することができる。
【0027】
その他の形態において、本発明は、アンモニア生産酵素の活性を調節することができる化合物を同定する方法を提供し、ここにおいて、アンモニア生産酵素の活性は、上述の酵素活性分析法を用いて決定される。この方法は、以降、本発明の「化合物スクリーニング方法」と述べる場合もある。
【0028】
アンモニア生産酵素の活性を調節することができる化合物を同定するために、反応混合物を、試験化合物の非存在下および存在下でインキュベートし、アンモニア生産酵素の活性を、上述の本発明の酵素活性分析法によって決定する。具体的には、本方法は:(a)既定量の(1)アンモニア生産酵素、(2)アンモニア生産酵素についてのアンモニアを生産する基質、(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについてのアンモニア以外の還元的アミノ化基質、および、(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素を含む反応混合物を提供する工程;(b)該反応混合物を、試験化合物の非存在下および存在下で、さらに、アンモニア生産酵素およびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下でインキュベートする工程;および、(c)グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度を測定する工程を含み、ここにおいて、該試験化合物の存在下と非存在下における還元的アミノ化の速度の違いは、その試験化合物が、アンモニア生産酵素の活性を調節可能であることを示す。試験化合物の存在下での還元的アミノ化の速度が、試験化合物の非存在下での速度よりも低い場合、その試験化合物は、アンモニア生産酵素の阻害剤と同定される。逆に言えば、試験化合物の存在下での還元的アミノ化の速度は、試験化合物の非存在下での速度よりも高い場合、その試験化合物は、アンモニア生産酵素の活性化因子と同定される。
【0029】
一実施態様において、FAAHの活性を調節することができる化合物を同定する方法が提供され、本方法は:(a)既定量の(1)FAAH、(2)FAAHについてのアンモニアを生産する基質として、脂肪酸の第一アミド、(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元的アミノ化基質として、α−ケトグルタル酸、(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての補酵素として、NADHまたはNADPHを含む反応混合物を用意する工程;(b)該反応混合物を、FAAHおよびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下で、試験化合物の非存在下および存在下でインキュベートすること;および、(c)反応混合物中でのNADHまたはNADPHの消費を測定することによって、還元的アミノ化の速度を測定することを含み、ここにおいて、試験化合物の存在下でのNADHまたはNADPHの消費と、試験化合物の非存在下でのNADHまたはNADPHの消費の違いは、その試験化合物が、FAAHの活性を調節することができることを示す。試験化合物の存在下でのNADHまたはNADPHの消費が、試験化合物の非存在下でのNADHまたはNADPHの消費よりも低い場合、その試験化合物は、FAAHの阻害剤と同定されるとする。逆に言えば、試験化合物の存在下でのNADHまたはNADPHの消費が、試験化合物の非存在下でのNADHまたはNADPHの消費よりも高い場合、その試験化合物は、FAAHの活性化因子と同定されるとする。FAAHは、どのような由来のものでもよく、天然に存在するものでもよいし、または、組換えであってもよく、全長酵素であってもよいし、または、酵素的に活性なそれらのトランケーションされた形態であってもよい。反応混合物で用いられるFAAHの最適な量は、酵素の源または特異的な活性や、用いられる基質のような多数の要因に応じて様々であってよく、当業者であれば容易に決定することができる。反応混合物中のFAAHの濃度は、一般的に約2nMより大きく、好ましくは10nMより大きい。具体的な一実施態様において、脂肪酸の第一アミドとしてオレアミドが用いられ、GDHの補酵素としてNADHが用いられ、NADHの消費は、反応混合物の吸光度を340nmの波長で測定することによって決定される。
【0030】
本発明の化合物スクリーニング方法は、FAAHのようなアンモニア生産酵素の活性を調節することができる化合物を自動化された手法を用いて迅速にスクリーニングするのに有用である。このような自動化法は、市販の自動化機器やソフトウェア、加えて既知の自動化観察および検出法を用いることによって容易に実施することができる。マルチウェルフォーマットは、ハイスループットや自動化化合物スクリーニングにとって特に魅力的である。スクリーニング方法は、例えば標準的なマイクロプレートウェルフォーマットを用いて行うことができる。マイクロプレートリーダーは、マイクロプレート(例えば、96および384ウェルプレート)からシグナルを読むことができるあらゆる装置を含む。このようなシグナルは、分光光度法により検出してもよく、例えば、340nmの波長でのNADHまたはNADPHの吸光度の光学密度を読み取ることによって検出される。しかしながら、その他の検出手段を利用してもよく、このような手段としては、例えば、評価項目の分析または反応速度論分析のいずれかにおける、蛍光分析(標準的、または、時間分解)、発光分析(luminometry)、または、光度計測法が挙げられる。このような技術を用いれば、多種多様の化合物を、それらそれぞれのFAAHのようなアンモニア生産酵素に対する作用に関して迅速かつ効率的にスクリーニングすることができる。サンプルの取り扱いや検出法は、迅速で再現性のある試薬の適用、および、標的化合物の自動スクリーニングのための市販の機器やソフトウェアシステムを用いて自動化することができる。化合物投入のスループットを高めるために現在のところ利用可能なロボット利用のシステムは、例えば、キアゲン社(Quagen,Inc.バレンシア,カリフォルニア州)製のバイオロボット9600(BioRobot 9600)、ザイマーク(Zymark,ホプキントン,マサチューセッツ州)製のザイメート(Zymate)、または、ベックマン・インスツルメンツ(Beckman Instruments,フラトン,カリフォルニア州)製のバイオメック(Biomek)などが利用することができ、これらの多くは、マルチウェルプレートフォーマットを使用している。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は、FAAHの活性、および、FAAHの活性を調節することができる化合物を同定することに関するそれらの有用性を測定する分析に関する。これらの実施例は単に説明のためであって、特許請求された発明を限定するために提供されたものではない。当業者であれば、これらの実施例に関して様々な改変または変更が予見できると思われ、それらは本出願の本質と範囲、ならびに特許請求の範囲に包含される。
【0032】
実施例1:トランケーションされたヒトFAAHの調製
この実施例で説明する方法に従ってトランケーションされたヒトFAAH(hFAAH)を調製し、以下の実施例2〜4で説明する実験で用いた。配列番号1に、このトランケーションされたヒトFAAHのアミノ酸配列を示すが、これは、全長ヒトFAAHのアミノ酸32〜579を含む。配列番号2に、全長ヒトFAAHのアミノ酸32〜579をコードする、E.coliのコドンが最適化されたDNA配列を示す。
【0033】
A.hFAAHプラスミドのクローニングと構築
既知の分子生物学的な技術を利用して、本明細書で説明されているコンストラクトのクローニングと構築を実施した。このような技術は、例えば、Davis等,Basic Methods in Molecular Biology,エルゼビア・サイエンス・パブリッシング社(Elsevir Sciences Publishing,Inc.),ニューヨーク,ニューヨーク州,1986;Hames等,Nucleic Acid Hybridization,ILプレス(IL Press),1985;Molecular Cloning,Sambrook等,Current Protocols in Molecular Biology,編Ausubel等,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons);Current Protocols in Human Genetics,Dracopoli等編,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ;Current Protocols in Protein Science,John E.Coligan等編,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ;および、Current Protocols in Immunology,John E.Coligan等編,ジョン・ワイリー・アンド・サンズに記載されている。
【0034】
pTrcHisA−hFAAH(ヒト(h)FAAHのアミノ酸30〜579をコードする)
以下のcDNAを注文合成し、pUC119ベクター(ブルー・ヘロン・バイオテクノロジー(Blue Heron Biotechnology,ボセル,ワシントン州)にサブクローニングした。最適化アルゴリズム(ブルー・ヘロン・バイオテクノロジー(ボセル,ワシントン州))を用いて、E.coliのコドン最適化を行った。
【0035】
−pUC119−hFAAH(hFAAHのアミノ酸1〜579をコードする):hFAAHのE.coliのコドンを最適化したDNA配列を含むcDNA(アミノ酸1〜579をコードする)であり、5’−Xho I部位、3’停止コドン、および、3’−EcoR I部位を含む(配列番号3)。
【0036】
−pUC119−hFAAH(hFAAH、アミノ酸30〜104をコードする):hFAAHのE.coliのコドンを最適化したDNA配列を含むcDNA(配列番号3の94〜319bp)であり、5’−Xho I部位を含む(配列番号4)。
【0037】
pUC119−hFAAH(hFAAHのアミノ酸1〜579をコードする)をXho I−EcoR Iで消化し、そのインサートを、Xho I−EcoR Iで消化したpTrcHisAベクター(Invitrogen、カタログ番号V360〜20)にサブクローニングし、pTrcHisA−hFAAH(アミノ酸1〜579をコードする)を作製した。pTrcHisA−hFAAHベクターをXho I−Hind IIIで消化し、得られたXho I−Hind III(約4.5kb)断片、および、Hind III−Hind III(約1.5kb)断片を、pUC119−hFAAH(アミノ酸30〜104をコードする)コンストラクトを消化して生成したXho I−Hind IIIフラグメント(225bp)とライゲーションし、NH2−末端にHis−タグを有するpTrcHisA−hFAAH(全長hFAAHのアミノ酸30〜579をコードする)を作製した。
【0038】
pET28a−hFAAH(hFAAHのアミノ酸32〜579をコードする)
原核性の発現ベクターpET28a(+)(ノバジェン(Novagen),カタログ番号69864〜3)にサブクローニングするためのヒトFAAHコンストラクトを、PCRで以下のプライマーを用いて、pTrcHisA−hFAAH(アミノ酸30〜579)コンストラクトから作製した:センスプライマー、5’−GGAATTCCATATGTCAGGTCGTCGTACCGCACGTG−3’(配列番号5);および、アンチセンスプライマー、5’−CCGCTCGAGTTATGAGGATTGTTTTTCCGGAGTCAT−3’(配列番号6)。得られたPCR産物をNde I−Xho Iで消化し、Nde I−Xho Iで消化したpET28a(+)ベクターにサブクローニングし、NH2−末端にHis−タグを有するpET28a−hFAAH(アミノ酸32〜579をコードする)を作製した。
【0039】
ヒトFAAHコンストラクトの要約
pTrcHisA−hFAAHは、hFAAHのアミノ酸(30〜579)をコードする:
MGGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRTLYDDDDKDRWGSELE----hFAAH
pET28a−hFAAHは、hFAAHのアミノ酸(32〜579)をコードする:
MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHM----hFAAH
「−−−−」は、アミノ酸位置を示さない。それぞれ指定されたhFAAH位置は、具体的に指定されたHHHHHHを含むリーディング鎖のアミノ酸配列と隣接している。
【0040】
B.トランケーションされたhFAAHの発現および精製
「RT」は、室温を意味し、典型的には25℃±3℃である。野生型ヒトFAAHのアミノ酸32〜579に対応するアミノ酸をコードするpET28a−hFAAHコンストラクトを、E.coli BL21−AI株に形質転換した。新たに形質転換された発現株の培養液1.2リットルを、スーパーブロス(SuperBroth)培地中で、30μg/mlカナマイシンの存在下で、37℃で増殖させた。OD600が約0.12で、この培養液を室温に移し、OD600が0.6〜0.65で100μMのIPTGと0.2%L−アラビノースとで室温で20時間誘導した。以下の全ての操作は、特に他の規定がない限り、4℃でなされた。次に、この細胞を、遠心分離によって5000×gで回収した。細胞ペレットを、PBS(700ml)に再懸濁することによって2回洗浄し、遠心分離によって5000×gで回収した。この時点で、細胞のペーストを凍結して、−80℃で必要になるまで保存してもよい。この細胞を緩衝液A(20mMトリス−HCl,pH8.0/100mMのNaCl/1%トリトンX−100)60mlに撹拌しながら再懸濁した。DNアーゼとRNアーゼ(E.coliのペレット25gあたり1mg)を添加した後に、この細胞懸濁液を、断続的にを混合しながら室温で1時間インキュベートし、氷上で10分間冷却し、約40〜60回の10秒のパルスで超音波破砕した。得られた溶解産物を10,000×gで35分間遠心分離し、上清を、アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences)製の5mlのNi−カラム(ハイトラップ・キレーティングHPカラム(HiTrap chelating HP column),カタログ番号17−0409−01,製造元の説明書に従ってNiを装填)に、0.5〜1ml/分でローディングし、これを、緩衝液B(20mMトリス−HCl,pH8.0/300mMのNaCl/1%トリトンX−100)で平衡化した。得られた流出液をカラムに再度ローディングした。カラムを緩衝液B(100ml)で洗浄し、さらに、それぞれ10、20および50mMイミダゾールを含む緩衝液B(50ml)で順番に洗浄した。溶出は、それぞれ100、200、400および700mMイミダゾールを含む緩衝液B(25ml)の順番でなされた。FAAHの大半を、100〜200mMイミダゾールを含む緩衝液Bで溶出させた。溶出したFAAHを、緩衝液Bに対して一晩透析し、液体窒素中で凍結させ、−80℃で保存した。
【0041】
実施例2:100μMオレアミドでのFAAHの用量応答曲線
FAAH活性の定量検出が可能な分析かどうかを決定するために、FAAHの濃度を高めながら分析を行った。反応は、96ウェルの透明なポリスチレンプレートで行った。反応混合物(250μl)は、50mMトリス−HCl(pH8.0)、100μMオレアミド、150μMのNADH、3mMのα−ケトグルタル酸、2mMのADP、6.0ユニット/mlのGDH、0.1%トリトン(R)X−100、および、既定量の約150nMのFAAHを含んでいた。この反応液を37℃でインキュベートし、Softmax Pro(R) ソフトウェア(モレキュラー・デバイス,パロアルト,カリフォルニア州)を備えた、SpectraMax Microplate Spectrophotometer(R)(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices),パロアルト,カリフォルニア州)を用いて、340nmでの吸光度を30分にわたり10秒のインターバルで測定値を読み取り回収した。図1で示されるように、FAAHの濃度が高くなるにつれて、反応の速度も増加した。
【0042】
実施例3:オレアミド濃度におけるFAAHの初速度の依存性
濃度
GDHを組み合わせたFAAH分析が、酵素動力学に適合しているかどうかを決定するために、さらに、FAAHが典型的なミカエリス−メンテンの酵素動力学に従っていることを実証するために分析を行った。反応は、96ウェルの透明なポリスチレンプレートで行われた。反応混合物(250μl)は、50mMのトリス−HCl(pH8.0)、150μMのNADH、3mMのα−ケトグルタル酸、2mMのADP、12ユニット/mlのGDH、0.1%トリトン(R)X−100、既定濃度のオレアミド、および、約10nMのFAAHを含んでいた。この反応液を37℃でインキュベートし、実施例1で説明されたようにしてデータを回収した。x軸にオレアミド濃度をプロットし、y軸に初速度をプロットした。そのデータを、ミカエリス−メンテン式にフィッティングした。図2で示されるように、このGDHを組み合わせたFAAH分析は、FAAHの速度定数の測定が可能である。また、このデータは、FAAHが典型的なミカエリス−メンテンの速度論に従っていることも実証する。Km値は、反応速度がその最大値の半分になった時点のオレアミド基質濃度であり、これは19.8μMと決定された。
【0043】
実施例4:化合物AによるFAAH阻害の測定
分析の有用性をさらに実証するために、FAAH活性に対する1−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル−5−フェニル−ペンタン−1−オン((PNAS,(2000)vol.97,No.10:p5042)、以降、化合物A)の阻害作用を、GDHを組み合わせたFAAH分析を用いて試験した。反応は、96ウェルの透明なポリスチレンプレートで行われた。反応混合物(200μl)は、50mMのNaPi(pH7.4)、50μMオレアミド、150μMのNADH、3mMのα−ケトグルタル酸、2mMのADP、1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、12ユニット/mlのGDH、0.1%トリトンX−100(R)、図3で指定された濃度の化合物A、および、約10nMのFAAHを含んでいた。オレアミド(500μM)を25%DMSOに溶解させ、25%EtOHをストック溶液として用いた。化合物Aのストック溶液を50%DMSOに溶解させて用いた。DMSOとEtOHの最終濃度はそれぞれ7.5%であった。この反応液を37℃でインキュベートし、実施例1で説明されたようにしてデータを回収した。図3に示した結果から、化合物Aは、FAAHを用量反応性の方式で阻害することが実証される。
【0044】
配列表の説明
配列番号1−全長ヒトFAAHのアミノ酸32〜579。
配列番号2−E.coliでの発現に最適化した、全長ヒトFAAHのアミノ酸32〜579をコードするヌクレオチド配列。
配列番号3−E.coliのコドンを最適化したhFAAH(アミノ酸1〜579)配列のDNA配列であり、5’−Xho I部位、3’停止コドン、および、3’−EcoR I部位を含む。
配列番号4−配列番号3の94bp〜319bpのDNA配列であり、5’−Xho I部位を含む。
配列番号5および6−プライマー。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一定濃度のオレアミドの存在下でFAAH濃度を変化させる作用のグラフ表示である。
【図2】GDHと組み合わせたFAAH反応の速度は、ミカエリス−メンテンの速度論式に従っていることを実証するグラフ表示である。
【図3】化合物Aは、用量反応性の方式でFAAH活性を阻害することを示す、GDHを組み合わせたFAAH分析のグラフ表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)既定量の:
(1)アンモニア生産酵素、
(2)アンモニア生産酵素についてのアンモニアを生産する基質、
(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、
(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元的アミノ化基質、および、
(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素、
を含む反応混合物を用意する工程;
(b)アンモニア生産酵素およびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下で、該反応混合物をインキュベートする工程;および、
(c)グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度を測定する工程;
を含み、ここにおいて、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度は、アンモニア生産酵素の活性の指標である、アンモニア生産酵素の活性を測定する方法。
【請求項2】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素は、NADHまたはNADPHから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元的アミノ化基質は、α−ケトグルタル酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度は、還元型の補酵素の消費量を測定することによって測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
還元型の補酵素の消費量は、分光光度法で、約290nm〜約380nmの波長で測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アンモニア生産酵素は、脂肪酸アミドヒドロラーゼである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)既定量の:
(1)アンモニア生産酵素、
(2)アンモニア生産酵素についてのアンモニアを生産する基質、
(3)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、
(4)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元的アミノ化基質、および、
(5)グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素、
を含む反応混合物を用意する工程;
(b)該反応混合物を、試験化合物の非存在下および存在下で、さらに、アンモニア生産酵素およびグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応が可能な条件下でインキュベートする工程;および、
(c)グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度を測定する工程;
を含み、ここにおいて、該試験化合物の存在下と非存在下における還元的アミノ化の速度の違いは、その試験化合物が、アンモニア生産酵素の活性を調節可能であることを示す、アンモニア生産酵素の活性を調節することができる化合物を同定する方法。
【請求項8】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素は、NADHまたはNADPHから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元的アミノ化基質は、α−ケトグルタル酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される還元的アミノ化の速度は、還元型の補酵素の消費量を測定することによって測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
還元型の補酵素の消費量は、分光光度法で、約290nm〜約380nmの波長で測定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アンモニア生産酵素は、脂肪酸アミドヒドロラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼについての還元型の補酵素は、NADHである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
還元型の補酵素の消費量は、分光光度法で、約340nmの波長で測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アンモニアを生産する基質は、オレアミドである請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−529519(P2008−529519A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554667(P2007−554667)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000251
【国際公開番号】WO2006/085196
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】