説明

脂肪酸エステル及びそれらの使用

【課題】グリセロールモノオレートと比較して優れた特性を有し、かつ、コストパーフォーマンス比を改善する摩擦改質剤の提供。
【解決手段】ポリオール、C12-C28分岐鎖脂肪酸及び/又はC12-C28環式脂肪酸から形成されるエステル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、ポリオールエステルに関する。本発明は、燃料、オイル及びエンジン用潤滑剤パッケージ並びに金属工作流体における該エステルの使用であって、該エステルが組成物の性能特性を高めることを特徴とする前記使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
グリセロールモノオレエート(GMO)は、エンジン用の潤滑組成物中で摩擦改質剤として
機能することが周知である。例えば、米国特許第5,885,942号明細書;同第5,866,520号明細書;同第5,114,603号明細書;同第4,957,651号明細書;及び同4,683,069号明細書を参照するが、これらは、単なる例示にすぎない。事実、GMOは、かなりの商業的成功を享受し、数多くの会社、例えば、American Ingredients Company,Patco Additives Division(米国、ミズーリ州、カンザスシティー);Ivanhoe Industries(米国、イリノイ州、マンダライン);Unichema (オランダ);及びStepan Company(米国、イリノイ州、ノースフィールド)によって販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,885,942号明細書
【特許文献2】米国特許第5,866,520号明細書
【特許文献3】米国特許第5,114,603号明細書
【特許文献4】米国特許第4,957,651号明細書
【特許文献5】米国特許第4,683,069号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GMOと比較して優れた特性を有し、かつ、コストパーフォーマンス比を改善する摩擦改質剤に対する需要が当業界には存在する。本発明は、この需要に合致し、本明細書にて記載するさらなる関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の簡単な概要
本発明は、別個の態様として、ポリオールモノマラート(polyol Monomerate)、ポリオールモノモノマラート、並びにポリオールモノモノマラート及びポリオールジモノマラートを含む組成物を提供する。各態様において、ポリオールは、例えば、グリセロールであり得る。
【0006】
別の態様では、本発明は、ポリオールとモノマー(注:本明細書中に使用されている用語「モノマー」は、特に断りのない限り“Monomer”の訳語として使用されている。)とのモノエステル、ポリオールとモノマーとのジエステル及びポリオールとモノマーとのトリエステルからなる群より選択される第1の成分、並びに、ポリオールとモノマーとのモノエステル、ポリオールとモノマーとのジエステル、ポリオールとモノマーとのトリエステル、ポリオール及びモノマーからなる群より選択される第2の成分を含み、第1及び第2の成分が同一ではない組成物を提供する。この組成物で、1つの実施態様において、ポリオールはグリセロールである。
【0007】
本発明は、また、a) モノマー又はその反応性等価体、及び、b) ポリオール又はその反応性等価体のエステル化生成物を含む組成物を提供する。ポリオールは、例えば、グリセロールでよい。
【0008】
別の態様では、本発明は、a) C12-C28環式脂肪酸又はその反応性等価体;b) C12-C28分岐脂肪酸又はその反応性等価体;及び、c) 1つ以上のポリオール又はその反
応性等価体のエステル化生成物を含む組成物を提供する。ポリオールは、例えば、グリセロール及び/又はペンタエリスリトールであってもよい。場合によっては、C12-C28環式脂肪酸及びC12-C28分岐脂肪酸の各々は、モノマー中に存在し得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、
【0010】
【化1】

【0011】
から選択される第1のエステル、並びに
【0012】
【化2】

【0013】
から選択される第2のエステルを含み、
R2aが、分岐C12-C28炭化水素であり、R2bが、環式C12-C28炭化水素である前記組成物を提供する。好ましい実施態様では、R1-COOH及びR2-COOHは、モノマー中に存在する。
【0014】
更なる態様では、本発明は、0.05重量%未満の硫黄含量を有する留出燃料及び本明細書に記載するエステル又は組成物(あるいは両方)を含む燃料組成物を提供する。同じく、本発明は、硫黄含量0.05重量%未満を有する留出燃料の潤滑性を改善するための方法であって、本明細書に記載するエステル又はエステル組成物の該燃料への添加を含む方法を提供する。該エステル又は組成物は、燃料組成物中に燃料の潤滑性を高めるのに有効な量存在する。すなわち、ベース燃料(base fuel)と本発明のエステルとの組成物は、本発明のエステルが存在しないベース燃料と比較して優れた潤滑特性を示す。この有効な量は、典型的には、1〜10,000ppmのエステルである。燃料は、本発明の1つの態様では、ディーゼル燃料であり得る。その他の好適な燃料としては、ジェット燃料及びガソリンが挙げられる。1つの態様では、エステルは、ポリオールモノマラートである。さらなる態様では、本発明は、American Petroleum Institute(AOI)によりI族〜V族に分類され、潤滑剤業界によって採用されている潤滑ベース流体(lubricating base fuel)と本発明のエステル又はエステル含有組成物とを含む潤滑組成物を提供する。同じく、本発明は、また、潤滑基準流体の摩擦特性を改善する方法であって、本発明のエステル又はエステル含有組成物を潤滑ベース流体に加える方法を提供する。本発明の好ましい実施態様では、潤滑流体は、潤滑油、工業用油(例えば、動力伝達流体若しくはポンプ流体)又は金属工作流体に使用される潤滑流体(例えば、金属を切断、研磨及び押しつぶし(stamping)に使用される
流体)である。本発明のこれら及び関連する態様は以降にさらに詳述する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリオールエステルに関し、特に、ブレンドの1成分が分岐鎖脂肪酸から形成され、ブレンドの第2成分が環式脂肪酸から形成されるポリオールエステルブレンドに関する。このようなブレンドは、脂肪酸の源としてのモノマー(Monomer)を使用して容易に製造することができる。本発明の本態様及びその他の態様をさらに考察する前に、モノマー及びその起源について簡単な考察をしておこう。
【0016】
Kraft木材パルプ製造プロセスは、サルフェートパルプ製造プロセスとしても公知であり、製紙プロセスの副生物としてトール油を生成する。このプロセスに従い、松の材木をアルカリ及びスルフィドで蒸解すると、トール油石鹸と、副生物としての粗製サルフェートターペンチンが生成する。この石鹸の酸性化及び後続の粗製トール油の分留によって、諸成分の中からロジンと脂肪酸の2成分が得られる。このプロセスによって得られるロジンは、トール油ロジン(TOR)として公知であり、このプロセスによって得られる脂肪酸は、トール油脂肪酸(TOFA)として公知である。TOFA留分は、概して鎖構造に不飽和結合を有するC16-18カルボン酸によって主に構成されている。トール油脂肪酸の例としては、不飽和酸、例えば、オレイン酸、オレイン酸異性体、リノレイン酸及びリノレイン酸異性体と、少量の飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸が挙げられる。
【0017】
不飽和脂肪酸の含量が高いことから、TOFAを、一般に、酸性粘土触媒重合にかけることができ、そして通常そのように処理される。典型的には高温で行われる重合プロセスでは、オレフィン性脂肪酸は、例えば、エン反応によって分子間付加反応を受け、重合脂肪酸を形成する。この反応の機構は、非常に複雑で、現時点で完全には理解されていない。しかし、本発明の目的のためには、この重合プロセスの生成物が、主に、二量化された脂肪酸、及び、モノマー脂肪酸の特異な混合物を含むことに注意しておけば十分であろう。この重合生成物を工業的な蒸留にかけると、二量化された脂肪酸に非常に富んだ画分が得られるが、これは当業界では「ダイマー酸」(“dimer acid”)又は「二量体脂肪酸」(“dimmer datty acid”ダイマー脂肪酸”として公知である。この蒸留プロセスは、モノマー脂肪酸に非常に富んだ画分も与え、この画分は一般に当業界では「単量体」(“monomer”)、「モノマー酸」(“monomer acid”)又は「単量体脂肪酸」(“monomer fatty acid”)として公知であり、本明細書では、モノマーと称することとする。
【0018】
モノマーは特異な組成物である。自然源から誘導されるTOFAは、概して、直鎖C18不飽和カルボン酸、主として、オレイン酸及びリノレイン酸からなる一方、モノマーは、比較的少量のオレイン酸とリノレイン酸とを含有し、その代わりに、有意な量の飽和及び不飽和の両方の分岐及び環式C18酸をエライジン酸とともに含有する。モノマーのさらに多様かつ有意に分岐した組成物は、すぐ上に記載した重合法によってTOFAに対して実施される触媒プロセスから得られる。当業者であれば、モノマーとその他の化学物質との反応よって、特異的で且つ同定可能な、対応するTOF誘導体とは化学的に異なる誘導体物質が生成することが分かる。モノマーにはCAS登録No.68955-98-6が付与されている。本発明を実施するために適したモノマーは、Arizona Chemical Company(アリゾナ州ジャクソンビル)から入手可能なCentury MOS(登録商標)脂肪酸である。
【0019】
1つの態様では、本発明は、ポリオールモノマラートに関する。ポリオールモノマラートという用語は、本明細書では、エステルのブレンドを表すために使用されており、ここでエステルは、概して、化学式R1-O-C=O-R2を含むものと認められ、この命名法を使用すると、R1-Oは、エステルのアルコール部分と呼ぶことができ、他方、-C=O-R2は、エステルの酸部分と呼ぶことができる。本発明のポリオールモノマラート中、R1は、ポリオール部分であり、他方、R2は、モノマー部分である。換言すれば、R1は、ポリオールの構造を
有し、他方、R2は、モノマーの構造を有する。
【0020】
アルコールは、少なくとも1個のヒドロキシル(-OH)基を有する有機化合物である。ポリオールは、2つ以上の、すなわち、複数のヒドロキシル基を有するアルコールであり、したがって、R1-(OH)nとして表すことができ、ここで、nは、ポリオール中に存在するヒドロキシル基の数を表す。種々の文献で、ポリオールは、時にはポリヒドリック化合物(polyhydric compound)とよばれることもある。本発明によると、ポリオールモノマラートは、R1基及び少なくとも1つのエステル基を有し、各エステル基は、R1基に結合される以外に、R2基に結合される。
【0021】
ポリオールモノマラートのR2基は必然的にモノマーから誘導される。すなわち、R2基は、モノマーのカルボン酸成分の構造を有するであろう。本明細書で使用する場合、“Monomer”という語は頭文字を大文字にすることによって、小文字の“monomer”として表記され得る任意の反応性分子とは異なり、 “Monomer”として当業界で公知の物質を表す(注:本明細書中カタカナで表記されている「モノマー」は、単に単量体(monomer)を意味するのではなく、特定の公知物質(CAS登録No.68955-98-6)を表すものとする)。
【0022】
上記したように、ポリオールモノマラートは、少なくとも1つのエステル基R1と、モノマーから誘導される少なくとも1つのR2基とを含有する。本発明の種々の態様において、R1基は、2〜12個の炭素、2〜6個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、4個の炭素、5個の炭素又は6個の炭素を有する。好ましい態様では、R1基は、炭素及び必要に応じて水素のみを含有する。すなわち、R1基は、ヒドロカルビル基である。好適なR1基を表Aに示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表A中、“C−”は、炭素からヒドロキシル(-OH)又はエステル(-O-C=O)基のいずれかへの結合を表す。ポリオールモノマラートが1個のエステル基を有する時、本明細書ではその化合物をポリオールモノモノマラートと称する。同様に、ポリオールモノマラートが2個のエステル基を有する時、本明細書ではその化合物をポリオールジモノマラートと称する。
【0025】
ポリオールモノマラートは、少なくとも1個のエステル基を有するものの、それは、ゼロ、1個又は2個以上のヒドロキシル基を有してもよい。例えば、R1が、構造:
【0026】
【化3】

【0027】
を有する時、ポリオールモノマラートという用語は、以下の2つの構造:
【0028】
【化4】

【0029】
のいずれかのポリオールモノモノマラート、並びに、以下の2つの構造:
【0030】
【化5】

【0031】
のいずれかのポリオールジモノマラート、並びに、以下の構造:
【0032】
【化6】

【0033】
のポリオールトリモノマラートを包含する。
便宜上、R1基は、本明細書中で、それが論理的に誘導され得るポリオールを命名することによって特定することができる。すなわち、R1基は、R1基の空いている位置のそれぞれにヒドロキシル基を有するポリオールの名称によって特定することができ、しばしば特定されるであろう。この命名法は表Bで説明される。表Bは、本質的には、表Aの繰返しであるが、各R1基に対応するポリオールの名称を付け加える。
【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
上記したように、ポリオールモノマラートのR2基は、モノマーから誘導される。モノマーは、種々の有機カルボン酸を含む市販の製品である。モノマーは、典型的には、分岐-、芳香族-、環式-及び直鎖脂肪酸の混合物であり、これらは飽和又は不飽和のいずれでもよい。モノマー中の主要な酸は、“イソ-オレイン酸”であり、イソ-オレイン酸は、直鎖、分岐及び環式C18モノ不飽和脂肪酸の混合物である。精製イソ-オレイン酸を製造するために、イソ-オレイン酸を低温溶剤分離によってモノマーから精製することができる。1つの態様にて、ポリオールモノマラートは、イソ-オレイン酸又はイソ-オレイン酸を含む酸のブレンドから製造することができ、したがって、ポリオールイソ-オレエートと称することができる。
【0037】
したがって、ポリオールモノマラートという用語は、モノマーか又はモノマーの副生物(蒸留精製モノマー又はモノマーのエステル化生成物)のいずれかから製造されるエステルブレンドをさす。1つの態様では、ポリオールモノマラート中のR2基は、少なくとも1つの脂環式C17ヒドロカルビル基及び分岐鎖C17ヒドロカルビル基などである。別の態様では、ポリオールモノマラート中のR2基は、少なくとも1つの脂環式C17ヒドロカルビル基、分岐鎖脂肪族C17ヒドロカルビル基及び直鎖脂肪族C17ヒドロカルビル基などである。さらに別の態様では、ポリオールモノマラート中のR2基は、少なくとも1つの脂環式C17ヒドロカルビル基、分岐鎖脂肪族C17ヒドロカルビル基、芳香族環を含むC17ヒドロカルビル基及び及び直鎖C17ヒドロカルビル基などである。この記載その他で使用する”a”という用
語は、“1つ以上(one or more)”を示す。
【0038】
エライジン酸は、通常モノマー中に存在する脂肪酸の1つである。したがって、1つの態様では、ポリオールモノマラートとしては、エライジン酸のポリオールエステルが挙げられる。その他の種々の態様において、本発明は、グリセロールモノエライジエート、グリセロールジエライジエート及びグリセロールトリエライジエートを提供する。エラジエートエステルは、典型的には、純粋ではなく、その他のポリオールエステルを含有する組成物中に存在しており、該組成物は、典型的には、モノマーから誘導される。
【0039】
代表的な市販のモノマーは、環式及び分岐C18脂肪酸の両方を含んでいる。モノマー中に通常見出される代表的な分岐C18脂肪酸は、以下の構造:
【0040】
【化7】

【0041】
を有する。
モノマー中に時々見出される代表的な環式C18脂肪酸は、以下の構造:
【0042】
【化8】

【0043】
を有する。
したがって、ポリオールモノマラートは、エステルの混合物を表し、この混合物は、モノマーから誘導される酸部分を有することによって定義される。換言すれば、ポリオールモノマラート中のR2基は、実際には、分岐及び環式の両方のC17ヒドロカルビル基など、複数のヒドロカルビル基を表す。本発明の1つの態様では、環式C17ヒドロカルビル基は不飽和である。本発明の別の態様では、環式C17ヒドロカルビル基は、飽和及び不飽和C17ヒドロカルビル基の混合物である。
【0044】
本発明のポリオールモノマラートの製造は、種々の手段によって達成することができる。直接的な合成法は、所望のR1構造を有するポリオールとモノマーとを混合し、ついで、ポリオールモノマラートが形成されるまで、これら2つの反応物質を加熱する、というものである。このエステル化反応は、経済的に適切な時間で進行するように、典型的に、150〜250℃の範囲の高温を必要とする。エステル化反応の進行は、試料を採取し、その試料を酸価分析にかけることによって容易にモニターすることができる。酸価が反応混合物中に存在する未反応モノマーの量の有効な尺度であるから、比較的低い酸価は比較的進行したエステル化度を表す。
【0045】
酸価は、既知重量の試料を有機溶剤(トルエンが典型的な溶剤)中に溶解させ、ついで、測定した量のメタノール性水酸化カリウム(KOH)溶液を試料溶液に滴定することによって
測定される。pH約7となる時、滴定を完了する。試料の酸価は、KOHの量(mg)に等しく、これを滴定に使用し、滴定した試料の重量(グラム)で割った。換言すれば、酸価は、試料1グラムを中和するのに必要とされるKOHのmg数に等しい。
【0046】
通常の場合、モノマーの全てをエステル化された形に容易に変換できるわけではない。したがって、生成物ポリオールモノマラートは、典型的には、ゼロより大きい酸価を有することになる。それでも、潤滑助剤としての性能のためには、生成物混合物の酸価が比較的低く、典型的には、10未満、さらに典型的には、5未満であるのが好ましい。
【0047】
通常の場合、ポリオールの全てをエステル化された形に容易に変換できるわけではない。残留ポリオールは、蒸留により、生成物混合物から除去することができ、蒸留条件は、ポリオールの性質に依存するであろう。高沸点を有するポリオールは、さらに厳しい蒸留条件、すなわち、より高い温度及び/又は高真空度を必要とするであろう。残留ポリオールは、また、水蒸気蒸留によって除去することもできる。本発明の1つの態様では、
ポリオールモノマラートを含む組成物のポリオール含量は、組成物の10重量パーセント未満であり、他方、別の態様では、ポリオール含量は、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、2重量%未満、又は、1重量%未満である。同様に、本発明の1つの態様では、ポリオールモノマラートを含む組成物のモノマー含量は、組成物の10重量%未満であり、他方、別の態様では、モノマー含量は、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、2重量%未満、又は、1重量%未満である。本発明のさらなる態様は、ポリオールモノマラートを含む組成物であって、該組成物のポリオールとモノマーの含量が、各々、独立に、組成物の10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、2重量%未満、及び、1重量%未満から選択される前記組成物を提供する。本発明のこれら態様の各々に関して、本発明は、組成物のポリオール及び/又はモノマー含量が少なくとも0.1か、0.5か又は1.0重量%であることを特徴とするさらなる態様を提供する。
【0048】
エステル化反応の速度を速くするために、エステル化反応のための触媒を反応混合物に含有させることができる。エステル化触媒は、当業界で周知であり、例えば、硫酸、リン酸及びその他の無機酸;金属水酸化物及びアルコキシド、例えば、酸化錫及びチタンイソプロポキシド;及び、二価金属塩、例えば、錫又は亜鉛塩が挙げられる。好ましい触媒は、錫触媒、例えば、FASCAT 2001(登録商標)錫触媒(Atochem,米国ペンシル
バニア州フィラデルフィア)である。触媒が存在する時、少量、例えば反応混合物の合計質量の約5重量%未満、好ましくは反応混合物の合計質量の約2%未満、さらに好ましくは約1%未満使用する必要がある。過剰量の触媒は、ポリオールモノマラートを製造するコストを高めると同時に、エステルが置かれる環境、例えばエンジンにとって有害となり得る残渣を残すことが多い。
【0049】
ポリオールとモノマーとを一緒に反応させて、ポリオールモノマラートを形成する時、この反応の副生物は水である。反応を完了に向けて促進するためには、この水を反応又は生成物混合物から除去する必要がある。減圧又は共沸物形成が存在しない場合、反応成分から水を留去するためには、少なくとも100℃の反応温度が必要とされる。かくして、少なくともエステル形成の初期工程の間は、反応温度は、望ましくは、約100〜125℃に設定される。より高い初期反応温度を使用する場合、都合よく水を除去するよりも速い速度で水が生成するという結果となる可能性がある。
【0050】
反応を促進して完了させるためには、水と低沸点共沸混合物を形成する有機溶剤を添加するか及び/又は反応容器を軽い減圧状態に置くことによって、水の除去を促進する。低沸共沸混合物を生じさせるためには、水と共沸混合物を形成する有機溶剤、例えば、トルエン又はキシレンを反応容器に加えて、ついで、常圧下で蒸留により除去する。
【0051】
ポリオールとモノマーとの反応は、ポリオールモノマラートを製造するための便利な方法であるものの、この方法の変法もまた使用できる。例えば、エステル交換反応を使用することができ、モノマーのエステル、例えば、メチルエステルをポリオールと反応させる。この方法によって、ポリオールモノマラート、及び、副生物としてのメタノールが生ずるであろう。したがって、モノマーのメチルエステルはポリオールモノマラートの製造におけるモノマーの反応性等価体である。モノマーの酸塩化物形態は、ポリオールモノマラートを製造するために使用することのできるモノマーのもう1つの反応性等価体であるが、しかし、これは、典型的には、ポリオールモノマラートの製造コストを上昇させ、また、望ましくない副生物(塩化水素)をもたらすであろう。同様に、ポリオールのエステルは、ポリオールの代わりに使用することができ、酢酸エステルが適当なエステルであり、このエステルは、ポリオールの反応性等価体である。
【0052】
かくして、1つの態様では、本発明は、(a) モノマー又はその反応性等価体、及び、(b) ポリオール又はその反応性等価体のエステル化生成物を含む組成物を提供する。関連する態様において、本発明は、(a) ポリオールモノマラート、及び、(b) ポリオール又はその反応性等価体のエステル交換生成物を含む組成物を提供する。好ましい実施態様では、これらの組成物中のポリオールは、グリセロールである。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、ポリオールモノマラートを提供する。該ポリオールモノマラートとしては、ポリオール成分の官能価に応じて、1つ以上のポリオールモノモノマラート、ポリオールジモノマラート、ポリオールトリモノマラート等が挙げられる。本発明の本態様に含まれる種々の実施形態では、ポリオールは、ジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール;又は、トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン又はトリス(ヒドロキシメチル)メタノール;又は、テトラオール、例えば、ペンタエリスリトール若しくはそのオリゴマー、例えば、ジ-ペンタエリスリトール及びトリ-ペンタエリスリトールとなり得る。上記の各ポリオールは、本発明のポリオールエステルの製造に使用することができる。
【0054】
例えば、1つの実施形態では、本発明は、ポリオールモノモノマラート、例えば、グリセロールモノモノマラートを提供する。別の実施形態では、本発明は、ポリオールジモノマラート、例えば、グリセロールジモノマラートを提供する。さらに別の実施態様では、本発明は、ポリオールモノモノマラートとポリオールジモノマラートであるか又はそれらを含むブレンドを提供するが、ここで、ポリオールとモノマラート成分は、モノモノマラート及びジモノマラート中で同一である。例えば、本発明は、グリセロールモノモノマラートとグリセロールジモノマラートとであるか又はそれらを含む組成物を提供する。
【0055】
エンジンオイル中で摩擦改質剤として使用するためには、例えば、ポリオールモノモノマラートとポリオールジモノマラートの両方を含むポリオールモノマラートのブレンドを使用するのが好ましい。このようなブレンドは、モノマーが当モル量のポリオールと反応する時、自然に生ずる。ブレンドのポリオールジモノマラート含量を増加させることが望まれる場合、反応混合物中のモノマー:ポリオールのモル比を増加させることによって達成することができる。同様に、ブレンドのポリオールモノモノマラート含量の増加は、反応混合物中のモノマー:ポリオールのモル比を減少させることによって達成することができる。このようなブレンドは、また、十分にエステル化されたポリオールモノマラート、例えば、グリセロールトリモノマラートをポリオール、例えば、グリセロールと反応させることによって製造することができる。このエステル交換反応は、また、ポリオールモノモノマラートとポリジモノマラートの両方を含むブレンドを効率的に生成する。脂肪酸のポリオールエステルを製造するその他の方法は、米国特許第3,595,888号明細書
及び同第2,875,221号明細書に記載されている。
【0056】
以上に詳述したとおり、本発明は、酸部分がモノマーから誘導され、したがって、分岐C17炭化水素及び環式C17炭化水素基などが酸部分として含まれるエステル基を有する化合物(すなわち、“esters”)を提供する。直鎖C17炭化水素基も通常は存在する。本発明の1つの態様では、分岐及び環式炭化水素基は、モノマーから誘導され、別の態様では、本発明は、少なくとも1つのポリオールエステルがエステルの酸部分に分岐C12-C28ヒドロカルビル基を有し、少なくとも1つのポリオールがエステルの酸部分に環式C12-C28ヒドロカルビル基を有し、酸部分が必ずしもモノマーから誘導されないポリオールエステルのブレンドを提供する。しかし、ポリオール部分は、ポリオールモノマラートエステルに関して先に特定したものと同一である。
【0057】
モノマーは、本発明のエステルを製造するのに使用される分岐及び環式脂肪酸の便利な供給源であるが、Kao Corporation(日本国東京)によって開発された脂肪酸異性化のゼオライト触媒プロセスも、また、適当な脂肪酸を製造するために使用することができる。この方法の説明は、例えば、特開6−128193号公報(Production of Branched Fatty Acids)及び特開5−25108号公報(Branched Fatty Acids and Production Thereof)で見つけることができる。
【0058】
かくして、1つの実施形態では、本発明は、第1及び第2のポリオールエステルの混合物であり、前記第1のエステルが、C12-C28環式ヒドロカルビル基である酸部分を有し、前記第2のエステルが、C12-C28分岐ヒドロカルビル基の酸部分を有する混合物を提供する。1つの実施形態では、第1及び第2のエステルのアルコール部分が同一であるものの、他方、別の実施形態では、第1及び第2のエステルのアルコール部分は、同一ではない。第1及び第2のエステルのアルコール部分が同一でない時、アルコール部分の各々は、例えば、ジオール、例として、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール;又は、トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン若しくはトリス(ヒドロキシルメチル)メタノール;又は、テトラオール、例えば、ペンタエリスリトール若しくはそのオリゴマー、例えば、ジ-ペンタエリスリトール及びトリ-ペンタエリスリトールから選択することができる。第1及び第2のエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル等である。例えば、R1が、少なくとも形式的に、グリセリンから誘導される場合、本発明は、
【0059】
【化9】

【0060】
から選択される第1のエステル、並びに
【0061】
【化10】

【0062】
から選択される第2のエステルを含み、
R2aが、分岐C12-C28炭化水素であり、R2bが、環式C12-C28炭化水素である組成物を提供する。しかし、別の態様では、第1のエステルは、少なくとも形式的に、グリセリンから誘導することができるが、他方、第2のエステルは、少なくとも形式的に、ペンタエリスリトールから誘導される。
【0063】
関連する態様において、本発明は、グリセロールと分岐したC12-C28脂肪酸とのモノエステル、グリセロールと分岐したC12-C28脂肪酸とのジエステル及びグリセロールと分岐したC12-C28脂肪酸とのトリエステルからなる群より選択される第1の成分、並びに、グリセロールと環式C12-C28脂肪酸とのモノエステル、グリセロールと環式C12-C28脂肪酸とのジエステル及びグリセロールと環式C12-C28脂肪酸とのトリエステルからなる群より選択される第2の成分を含む組成物を提供する。
【0064】
分岐及び環式C12-C28脂肪酸は、多くの供給源から入手することができる。例えば、ファイン及びバルク薬品の供給元は分岐及び環式C12-C28脂肪酸を販売している。例えば、幾つか名前を挙げると、Acros Organics(ペンシルヴァニア州ピッツバーグ)、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー,Sigma Chemical and Flukaを含む)、Apin Chemicals Ltd.(英国ミルトンパーク)、Avocado Research(英国ランカシャー)、BDH Inc.(カナダ、トロント)、Bionet(英国コーンウォール.)、Chemservice Inc.(ペンシルヴァニア州ウェストチェスター)、Crescent Chemical Co.(Hauppauge NY)、Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(ニューヨーク州ロチェスター)、Fisher Scientific Co.(ペンシルヴァニア州ピッスバーグ)、Fison Chemicals(英国レスターシャー)、Frontier
Scientific(ユタ州ローガン)、ICN Biomedicals,Inc.(カリフォルニア州コスタメーサ)、Key Organics(英国コーンウォール)、Lancaster Synthesis(ニューハンプシャー州ウィンダム)、Maybridge Chemical Co.Ltd.(英国コーンウォール)、Parish Chemical Co.(ユタ州オレム)、Pfalz & Bauer Inc.(コネチカット州ウォーターベリー)、Polyorganix(テキサス州ヒューストン)、Pierce Chemical Co.(イリノイ州ロックフォード)、Riedel de Haen AG(独国ハノーヴァー)、Spectrum Quality Products,Inc.(ニュージャージー州ブランズウィック)、TCI America(オレゴン州ポートランド)、Trans World Chemicals,Inc.(メリーランド州ロックビル)及びWako Chemicals USA,Inc.(バーモント州リッチモンド)などである。
【0065】
以上に列挙した薬品供給元は、また、対応するアルコール、すなわち、式R2-CH2-OHで表される化合物も販売しており、このアルコールは、当業界で周知の技術によって所望の分岐又は環式脂肪酸に酸化することができる(例えば、Fuhrhop,J.and Penzlin G.“Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials”,Second,Revised and Enlarged Edition (1994) John Wiley & Sons ISBN:3-527-29074-5;Hoffman,R.V.“Organic Chemistry,An intermediate Text”(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5;Larock,R.C.“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations” 2ndEdition (1999) Wiley-VCH,ISBN:0-471-19031-4;March,J.“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure”4th Edition (1992) John Wiley & Sons,ISBN:0-471-60180-2;Patai,S.“Patai’s1992 Guide
to the Chemistry of Functional Groups”(1992) Interscience ISBN:0-471-93022-9;Solomons,T.W.G.“Organic Chemistry”7th Edition (2000) John Wiley & Sons,ISBN:0-471-19095-0;Stowell,J.C.”Intermediate Organic Chemistry” 2nd Edition (1993) Wiley Interscience,ISBN:0-471-57456-2;”Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclpedia”(1999) John Wiley
& Sons,ISBN:3-527-29645-X,全8巻、“Organic Reactions” (1942〜2000) John Wiley & Sons,全55巻以上; “Chemistry of Functional Groups” John Wiley & Sons,全73巻)。
【0066】
本発明のエステル及びエステルブレンドは、潤滑流体と混和させたとき、これらの流体の摩擦特性を改善するのに有用である。有用な潤滑流体は、広範囲にわたって変更することができ、このような流体はいずれも本発明に使用することができる。有用な潤滑ベース流体の例は、American Petroleum Institute(API)に従いI族〜V族に分類され、潤滑剤業界によって採用されている。これらは、溶剤抽出された鉱油からなるI族(硫黄>又は=0.03%,サチュレート(saturates)<又は=90%,粘度指数>又は=80及び<又は=120);溶剤抽出されかつ水素化処理済(hydrofinished)の鉱油からなるII族(硫黄<ま
たは=0.03%,サチュレート>又は=90%,粘度指数>又は80-<又は=120);水素化分解された(hydrocracked)鉱油からなるIII族(硫黄<又は=0.03%,サチュレート>又は=90%、粘度指数>又は=120)、IV族(ポリアルファーオレフィン,PAO)及びV族(I族〜V族に入らない全て)であり;これらとしては、エステル、アルキル化された芳香族及びシリコーンが挙げられる。
【0067】
本発明のエステル及びエステルブレンドは、好ましくは、エンジンオイルの摩擦特性を改善するために使用される。エンジンオイルの主たる機能は、少なくとも1つのエンジン部品がエンジン作動の間に運動するエンジン部品間の潤滑性を付与することであるから、エンジンオイルは、潤滑粘度を有するオイルである必要がある。エンジンオイルは、天然又は合成オイル及びそれらの混合物そのものであるか又はそれらの混合物を含んだものでよい。天然オイルとしては、動物油、植物油、ミネラル潤滑油、溶剤又は酸で処理した鉱油及び石炭又は頁岩から誘導されるオイルが挙げられる。合成オイルとしては、アルキル化された芳香族化合物、炭化水素油、ハロ置換された炭化水素油、アルキレンオキシドポリマー、ジカルボン酸とポリオールとのエステル、リンを含有する酸のエステル、ポリイソブチレン、ポリメリック・テトラヒドロフラン及びケイ素を主体とするオイルが挙げられる。典型的な自動車用エンジンオイルは、
基油(74%);
リンを主体とする耐磨耗剤(1%);
亜鉛ジアルキルジチオホスフェート極圧剤(1.3%);
アリールアミンとフェノール性抗酸化剤(1.5%);
ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤(18%);
スルホネート洗剤(5.5%);
ホスフェートアミン防錆剤(0.5%);
ポリメチルメタクリレート粘度指数改良剤(1.15%);
シリコーン脱泡剤(0.05%);及び、
GMM(1%);
からなる。
【0068】
本発明のエステル及びエステルブレンドは、また、好ましくは、主要な機能が工作される金属と機械工具との間の潤滑性の付与にある金属工作流体に使用される潤滑流体の摩擦特性を改善するために使用される。金属工作流体として使用される潤滑ベース流体としては、鉱油、エステル及びポリアルキレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。GMMを使用する典型的な金属工作配合物は、
鉱油(68%);
スルホネート(7%);
蒸留したトール油(10%);
トリエタノールアミン(2.5%);
エトキシ化したヒマシ油(6.5%);
乳化剤(2.5%);
GMM(3%);
からなる。
【0069】
本発明のエステル又はエステルブレンド以外に、潤滑流体は、1つ以上の添加剤を含有してもよい。添加剤は、潤滑流体に含まれることが多く、したがって、このような添加剤は当業者にはよく知られている。該添加剤には、耐磨耗剤、極圧剤(extreme pressure agents)、抗酸化剤、分散剤、洗剤、抗錆剤、粘度指数改良剤及び脱泡剤などがあるが、これらには限定されない。これらの添加剤は、本発明の潤滑流体配合物に、それらの通常量、すなわち、本発明のポリオールエステルを含まない組成物に添加剤を使用して、その通常の特性を発揮させることができる量で含有させることができる。添加剤の例としては、
イミダゾリン、例えば、2-メチルイミダゾリン、及び、ポリアルキルアミン、例えば、米国特許第4,713,188号明細書に開示されているもの;
数平均分子量400〜2500、好ましくは、約950を有するポリイソブチレン。ポリイソブチレンは、潤滑剤の潤滑性及び耐擦り傷(scuff)活性を改善するように作用する;
数平均分子量400〜2500、好ましくは、約1300を有する官能化されたポリイソブチレン。オレフィンについての官能基は、典型的にはアミンが主体である。この官能化されたポリイソブチレンは、15重量%まで、好ましくは、10%まで、さらに好ましくは、約5重量%の量で存在する。官能化されたポリイソブチレンは、したがって、オレフィン及びオレフィンポリマーとアミン(モノ-又はポリアミン)との反応生成物である。官能化されたポリイソブチレンは、優れた洗浄性能、特に、2ストロークサイクルエンジンにおいて、優れた洗浄力を生ずる;
補助極圧剤並びに腐食及び酸化抑制剤、例えば、塩素化脂肪族炭化水素、例えば、塩素化ワックス及び塩素化芳香族化合物;有機スルフィド及びポリスルフィド;硫化アルキルフェノール;ホスホ硫化炭化水素;リンエステル、例えば、主としてジヒドロカーボン及びトリヒドロカーボンホスファイト;及び、金属チオカルバメートである。これらの補助極圧剤及び腐食酸化抑制剤の多くは、また、耐磨耗剤としての役割を果たす。亜鉛ジアルキルホスホロジチオエートは、周知の具体例である;
流動点降下剤、これは、潤滑流体を主体とする組成物の低温特性を改善する役割を果たす。有用な流動点降下剤の具体例は、ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリアクリルアミド;ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物;ビニルカルボキシレートポリマー;及び、ジアルキルフマレートのターポリマー;脂肪酸とアルキルビニルエーテルとのビニルエステルである。本発明の目的のための流動点降下剤は、それらの製法及び使用方法が米国特許第2,387,501号明細書;同第2,015,748号明細書;同第2,655,479号明細書;同第1,815,022号明細書;同第2,191,498号明細書;同第2,666,746号明細書;同第2,721,877号明細書;同第2,721,878号明細書;及び同第3,250,715号明細書に記載されている;並びに、
消泡剤、これは、安定な気泡の形成を減少させ又は防止するように機能する。典型的な消泡剤としては、シリコーン又は有機ポリマーなどである;
が挙げられる。
【0070】
ポリオールエステルは、本発明のポリオールモノマラートをはじめとして、エンジンオイル組成物に、該組成物の約0.1〜10重量%の濃度で含有させることができ、約0.5〜2重量%の濃度が典型的には、最適である。オイルは、2-サイクルエンジン又は4-サイクルエン
ジン用に配合することができる。オイルは、幾つか例を挙げると、ガソリンエンジン、ジェット燃料エンジン又はディーゼル燃料エンジン用に配合することができる。
【0071】
オイルは、好ましくは、潤滑油である一方、本発明のエステルは、オイルの摩擦特性を向上させることが望まれるその他のいかなるオイルと組み合わせて使用してもよい。このようなオイルとしては、オートマチック・トランスミッション液(ATF);シリンダー潤滑剤;クランクケース潤滑油;機能性流体、例えば、動力伝達流体が挙げられ、ここで、動力伝達流体の具体例としては、作動液及び作動油、トラクターオイル、ギア・オイル及び金属工作オイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらのオイルでは、本発明の組成物のエステルは、組成物の摩擦特性、例えば、組成物の摩擦係数を改善するのに有効な量で組成物中に存在させることができる。
【0072】
1つの態様では、本発明のエステル及びエステルブレンドは、燃料の潤滑用添加剤として有用である。燃料は、硫黄含量が低いのが好ましい。硫黄含有燃料の燃焼よって、副生物として二酸化硫黄が生じるが、二酸化硫黄は、近年、環境被害を生ずるために厳しい監視下に置かれている。特に、ディーゼル燃料は、比較的高い硫黄含量を有する傾向にある。典型的なディーゼル燃料は、過去において、(硫黄元素で表すと)1重量%以上の硫黄を含有していた。今日では、0.2重量%まで、好ましくは、0.05重量%まで、好都合には、0.01重量%未満、特に、0.001重量%未満にまで低下させることが望ましいと考えられている。これらの低硫黄燃料の製造は、望ましくない結果として、燃料に潤滑性を付与する固有の燃料成分の減少をもたらす。潤滑性が乏しいと、燃料油の固有の潤滑性に基づく潤滑に依存する機械装置では磨耗の問題をもたらすおそれがある。したがって、当業界では、潤滑添加剤、すなわち、添加剤を含有する燃料の潤滑性を増加させる物質に対する需要が存在する。本発明は、本明細書に記載するエステル及びエステルブレンドにこのような潤滑性向上剤を提供する。
【0073】
燃料は、好ましくは、ディーゼル燃料であるが、ガソリン燃料も、また、汚染物を低下させるために、組成に関する規制、例えば、硫黄含量についての規制に服するようになりつつある。最大の懸念は、排ガス用触媒の寿命と性能に及ぼす硫黄の影響である。ガソリンの潤滑性の対する要求は、大半のガソリン燃料噴射システムが導入バルブの上流域で燃料を噴射し、そのためディーゼル燃料ポンプよりはるかに低い圧力で作動するので、ディーゼル燃料についてよりは幾分低い。しかし、自動車製造業者は、燃料タンク内で電気的に作動する燃料ポンプを用いることを望むため、ポンプの故障には多額の修理費用がかかる可能性がある。これらの問題は、また、噴射システムがさらに精巧となり、ガソリン燃料がさらに高度に精製されるにつれて、増加する可能性がある。
【0074】
したがって、本発明は、潤滑性を改善した燃料組成物であって、ガソリン及び本明細書に記載するエステル又はエステルブレンドを含む成分を組み合わせたものであることを特徴とする前記燃料組成物を提供する。1つの態様では、本発明は、主要な量の燃料を含み、その燃料が硫黄含量0.2重量%未満、好ましくは、0.05重量%未満、さらに好ましくは、0.01重量%未満、特に、0.001重量%未満を有し、かつ、少量の本明細書に記載するエステル又はエステルブレンドとを含み、エステル又はエステルブレンドが、燃料組成物で作動するエンジン、特に、ディーゼルエンジン噴射システムの磨耗速度を低下させるのに有効であることを特徴とする燃料組成物を提供する。関連する態様において、本発明は、0.05重量%未満の硫黄含量と1〜10,000ppmの本発明のエステル又はエステルブレンドとを有する留出燃料を含む燃料組成物を提供する。同じく、本発明は、燃料の磨耗特性を低下させる方法であって、燃料と本発明のエステル又はエステルブレンドとを組み合わせる工程を含み、エステル又はエステルブレンドを含まない燃料と比較して優れた磨耗特性を有するような相対量で該組み合わせ工程を行うことを特徴とする前記方法を提供する。かくして、本発明は、0.05重量%未満の硫黄含量を有する留出燃料の潤滑性を改善するための方法で
あって、該燃料に、本発明のエステル又はエステルブレンドを添加する工程を含む方法を提供する。
【0075】
本発明の燃料組成物は、本明細書に記載するエステル及びエステルブレンド以外に追加の添加剤を含有してもよい。これらの追加の添加剤としては、追加の分散剤/洗剤、セタン価向上剤、オクタン価向上剤、抗酸化剤、担体流体、金属失活剤、染料、マーカー、腐食抑制剤、殺生物剤、帯電防止添加剤、抗力低下剤(drag reducing agents)、解乳剤、脱曇り剤(dehazer)、着氷防止添加剤、アンチノック添加剤、抗-バルブ-シートくぼみ添加剤(anti-valve-seat recession additives)、その他の潤滑性添加剤及び燃焼改良剤が挙げられるが、これらには限定されない。
【0076】
本発明の燃料組成物を配合するのに使用されるベース燃料としては、スパーク点火又は圧縮点火内燃エンジンの作動に適したベース燃料、例えば、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ケロセン、鉛含有又は無鉛自動車及び航空機用ガソリン;及び、典型的には、ガソリン沸騰範囲の炭化水素と、燃料溶解性酸素化ブレンド剤(例えば、アルコール、エーテル及びその他の適当な酸素含有有機化合物など)の両方を含有するいわゆる改質ガソリンが挙げられる。本発明での使用に適した含酸素化合物としては、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、t-ブタノール、混合C1-C5アルコール、メチルt-ブチルエーテル、t-アミルメチルエーテル、エチルt-ブチルエーテル及び混合エーテルが挙げられる。含酸素化合物は、使用時に、通常、ベース燃料中約25体積%より低い量、好ましくは、約0.5〜約5体積%の範囲の燃料全体中の酸素含量を供給する量で存在する。
【実施例】
【0077】
以下の実施例によって本発明を例示するが、これは、本発明の具体例であり、本発明を何等制限するものと解釈すべきではない。本実施例は、本発明のポリオールエステルの合成及び性能特性を例示するものであり、さらに、これらの性能特性を、商業的成功を収めているエンジンオイル用のポリオールエステル、すなわち、グリセロールモノオレエート(GMM)の特性と比較するものである。
【0078】
実施例I
モノマー(米国フロリダ州ジャクソンビルのArizona Chemical社から供給されるCENTURY
MO5 (登録商標)脂肪酸;1.390g,77.2wt%)とグリセロール(410g,22.8wt%)とを、窒素雰囲気下4口丸底フラスコ内で混合した。フラスコには、機械的攪拌機、温度計プローブ及びDean Starkトラップを装着されていた。フラスコ内容物を攪拌し、200℃の温度まで7.5時間加熱して同時に水を除去した。その時点で、反応混合物の酸価は6.5より低かった。反応混合物を減圧(5mmHg)下におき、水と過剰のグリセロールを含む揮発物を除去したところ、GMMの重量に基づき、1wt%未満のグリセロール含量を有するGMMと呼ばれる生成物が残った。GMMは、酸価2.2、ガードナーカラー5+、40℃での粘度163.6cSt、100℃での粘度138cStを有し、ほぼ1:1の重量比でグリセロールモノモノマラート及びグリセロールジモノマラートを含有していた。
【0079】
実施例II
0.5wt%及び1.0wt%GMMを有する、GMMとオートマテチック・トランスミッション燃料(ATF,本実施例の終わりに記載する組成物)のブレンドを調製した。比較のために、グリセロールモノオレエート(GMO)も0.5wt%及び1wt%レベルでATFに添加した。GMOは、重要な工業的用途見込まれる摩擦改質剤であり、GMMの性能を比較するために使用した。これらのブレンドは、以下のように評価した:
各ブレンドの摩擦係数は、リング-オン-ディスク法(ring-on-disk procedure)を使用して、ニート(neat)のATFと比較して測定した。結果は、表1に記載するが、0.5wt%のGMOの添加によって摩擦係数が(ATF単独と比較して)21%上昇することが認められる。概して
、摩擦係数が低いほど望ましい。対照的に、GMMでは、実際に摩擦係数が相当程度、すなわち26%低下した。
【0080】
【表4】

【0081】
基油(base oil)の潤滑特性の改善に関する更なる比較性能データは、ASTM D2670に従って得られた。その結果を表2に示す。ASTM D2670の条件下では、0.5wt%GMOのATFへの添加は、ATFの摩擦性能を変化させなかった。しかし、0.5wt%GMMをATFに添加した時、ブレンドは、ATF単独又は0.5wt%GMOを含むATFのいずれと比較しても非常に望ましい、60%減少した磨耗痕を与えた。
【0082】
【表5】

【0083】
本発明のエステルについて、高周波数往復運動リグ(HFRR)試験を実施して、潤滑剤の摩擦特性を改善する能力に関する更なる性能データを得た。ニートの基油(NBO)中1wt%のGMM又はGMOを有するブレンドを試験し、ニートの基油と比較した。NBOは、CIT 85 (登録商標)オイル(CITGO,米国オクラホマ州タルサ;@citgo.com)として公知の水素処理した高粘度石油誘導オイルであった。結果を表3に記載する。1wt%GMMの添加によって、摩擦係数が(基油単独、すなわち、ニート基油と比較して)0.171から0.097まで低下することが認められ、他方、同重量のGMOは、ニートの基油の摩擦係数をやや少なめの量だけ低下させて0.099とすることができた。
【0084】
【表6】

【0085】
表2及び3中に特性が示された組成物に使用されるオートマチック・トランスミッション液(ATF)は、(重量パーセント基準に基づき):91.8%基油、0.5%フェノール性抗酸化剤、0.5%アリールアミン抗酸化剤、2.0%分散剤、0.1%金属失活剤、2.5%ギア・オイル・パッケージ、0.1%防錆剤、2.0%粘度指数向上剤、残り0.5%又は1.0%摩擦改質剤を含有していた。
【0086】
実施例III
実施例IIの方法を使用し、100℃でRing on Disk試験を使用して、自動車エンジンオイルについて、摩擦改質剤としての0.1重量%のGMM及びGMOの添加の効果を評価した。エンジンオイルは、本実施例にて、エンジンオイルBと特定するが、以下の組成を有した:
エンジンオイルBの組成
パラフィン系鉱油(72重量%);
リンを主体とする耐磨耗剤(1重量%);
亜鉛ジアルキルジホスフェート極圧剤(1.3重量%);
アリールアミン及びフェノール系抗酸化剤(1.5重量%);
ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤(18重量%);
スルホネート洗剤(5.5重量%);
ホスフェートアミン防錆剤(0.5重量%);
ポリメチルメタクリレート粘度指数向上剤(1.15重量%);
シリコーン脱泡剤(0.05重量%)。
結果は、以下の表4に記載する。
【0087】
【表7】

【0088】
表4に記載した結果は、0.1wt%GMOの添加によって摩擦係数が(エンジンオイルB単独と比較して)8.4%上昇したことを示す。概して、より低い摩擦係数が望ましい。対照的に、GMMでは、実際に摩擦係数が0.9%低下した。
【0089】
実施例IV
実施例IIの方法を使用し、Ring on Disk試験と高周波数往復運動リグ(HFRR)を使用して、工業用ギア・オイル配合物について100℃と周囲温度とにおいて摩擦改質剤としての0.1重量%のGMM及びCMOの添加の効果を評価した。工業用ギア・オイル配合物は、ギア・オイルCと特定するが、以下の組成を有していた:
ギア・オイルCの組成
PAO 40/エステルベース流体(96重量%);
アリルアミン及びフェノール系抗酸化剤(1.5重量%);
Mobilad G 305 ギア・オイル添加剤パッケージ(2.3重量%);
シリコーン脱泡剤(0.05重量%);
ポリイソブチレン粘度指数向上剤(0.15重量%)。
周囲温度でのRing-on-Disk試験の結果を以下の表5に記載する。
【0090】
【表8】

【0091】
表5に記載した結果は、0.1wt%のGMOの添加によって周囲温度での摩擦係数が(ギヤオイルC単独と比較して)25.49%低下し、他方、0.1wt%GMOの添加によって周囲温度で摩擦係数が31.37%低下したことを示す。
【0092】
100℃でのRing on Disk試験の結果を、以下の表5に記載する。
【0093】
【表9】

【0094】
表6に記載した結果は、0.1wt%GMOの添加によって周囲温度での摩擦係数が(ギア・オイルC単独と比較して)42.10%低下し、他方、0.1wt%GMOの添加によって周囲温度で摩擦係数が72.37%低下したことを示す。
【0095】
高周波数往復運動リグ(HFRR)試験の結果を、以下の表7に記載する。
【0096】
【表10】

【0097】
表7に記載した結果は、0.1wt%GMMの添加すると0.1wt%GMOの添加する場合より著しく(ギア・オイルC単独と比較して)摩擦係数及び磨耗痕が減少したことを示す。本明細書及び/又は出願データシートにて参照した上記米国特許、米国特許出願公開公報、米国.特許出願、外国特許、外国特許出願及び特許ではない刊行物は、全て、それらの全体を参考とすることによって本明細書に組み込む。
【0098】
前述の記載から、本発明の個々の実施形態は、例として示す目的のために本明細書に記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更をなすことができることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールモノマラート。
【請求項2】
ポリオールがグリセロールである、請求項1に記載のポリオールモノマラート。
【請求項3】
ポリオールモノモノマラート。
【請求項4】
ポリオールがグリセロールである、請求項3に記載のポリオールモノモノマラート。
【請求項5】
ポリオールモノモノマラート及びポリオールジモノマラートを含む組成物。
【請求項6】
ポリオールがグリセロールである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオールとモノマーとのモノエステル、ポリオールとモノマーとのジエステル及びポリオールとモノマーとのトリエステルからなる群より選択される第1の成分、並びに、ポリオールとモノマーとのモノエステル、ポリオールとモノマーとのジエステル、ポリオールとモノマーとのトリエステル、ポリール及びモノマーからなる群より選択される第2の成分を含み、
第1及び第2の成分が同一ではない組成物。
【請求項8】
ポリオールがグリセロールである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリオールとモノマーとが、各々、10重量%未満の濃度で組成物中に存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
a) モノマー又はその反応性等価体、及び
b) ポリオール又はその反応性等価体
のエステル化生成物を含む組成物。
【請求項11】
ポリオールがグリセロールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
a) C12-C28環式脂肪酸又はその反応性等価体、
b) C12-C28分岐脂肪酸又はその反応性等価体、及び
c) 1つ以上のポリオール又はその反応性等価体
のエステル化生成物を含む組成物。
【請求項13】
ポリオールがグリセロールである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、グリセロールとペンタエリスリトールとのエステル化生成物を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
C12-C28環式脂肪酸及びC12-C28分岐脂肪酸の各々がモノマー中に存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
【化1】

から選択される第1のエステル、並びに
【化2】

から選択される第2のエステル
を含み、
R2aが分岐C12-C28炭化水素であり、R2bが環式C12-C28炭化水素である組成物。
【請求項17】
R1-COOH及びR2-COOHがモノマー中に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
潤滑流体と請求項1に記載のエステルとを含む潤滑組成物。
【請求項19】
潤滑油である、請求項18に記載の潤滑組成物。
【請求項20】
金属工作流体組成物である、請求項18に記載の潤滑組成物。
【請求項21】
潤滑流体の摩擦特性を改善する方法であって、請求項1に記載のエステルを潤滑流体に加える工程を含む方法。
【請求項22】
0.05重量%未満の硫黄含量と1〜10,000ppmの請求項1に記載のエステルとを有する留出燃料を含む燃料組成物。
【請求項23】
燃料組成物がディーゼル燃料組成物である、請求項22に記載の燃料組成物。
【請求項24】
0.05重量%未満の硫黄含量を有する留出燃料の潤滑性を改善するための方法であって、請求項1に記載のエステルの該燃料への添加を含む方法。

【公開番号】特開2012−12401(P2012−12401A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177612(P2011−177612)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【分割の表示】特願2006−528266(P2006−528266)の分割
【原出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】