説明

脂肪酸シンターゼ(FAS)のインヒビター

本発明は、FAS活性を阻害する置換された3−アリール−4−ヒドロキシキノリン−2(1H)−オンを含んでなる化合物を提供する。本発明はまたかかる阻害性化合物を含有してなる組成物、及び癌の治療を必要とする患者に該化合物を投与することにより、FAS活性を阻害する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
西欧の食事中の高レベルの脂肪は、多くの人の悪性腫瘍、例えば、直腸、乳房及び卵巣の癌の発症に関係があるとされてきた。Boyd,N.F.et al.Lipids27:821(1992);Risch,H.A.et al.J.Natl.Cancer Inst.86:1409(1994);Risch,H.A.et al.Am.J.Epidemiol 144:363(1996);Carroll,K.K.Lipids 27:793(1996);及びReddy,B.S.Lipids 27:807(1992)。興味深いことに、データは、乳癌の細胞が高レベルの脂肪酸シンターゼ(FAS)発現と活性を示すことを示している(Kuhajda,F.P et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:6379(1994))が、このことは癌細胞により合成される脂肪酸の内在性起源が、癌の進行を促進又は強化することを示唆している。
【0002】
FASは、授乳中の乳房と周期性子宮内膜を除いて、我々の食事中の脂肪のために、殆どの正常なヒト組織において負の制御を受ける。対照的に、FASはしばしばヒトの癌(乳房、前立腺、直腸、卵巣、子宮内膜及び甲状腺)に高度に発現される。この異なる組織への分布は、癌細胞に対して、FASを魅力的な標的とする。
【0003】
本発明の目的は、FASのインヒビターである新規な化合物を提供することにある。
【0004】
また、本発明の目的は、FASのインヒビターである新規化合物を含有してなる医薬組成物を提供することにある。
【0005】
また、本発明の目的は、FAS活性のかかるインヒビターを投与することからなる癌の治療方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0006】
発明の要旨
本発明は、FAS活性を阻害する置換された3−アリール−4−ヒドロキシキノリン−2(1H)−オンを含む化合物を提供する。本発明はまたかかる阻害性化合物を含有してなる組成物、及び癌の治療を必要とする患者に該化合物を投与することにより、FAS活性を阻害する方法を提供する。
【0007】
発明の詳細な記載
本発明の化合物は、FASの活性の阻害に有用である。本発明の第一の実施態様において、FAS活性のインヒビターは式A:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
aは0又は1であり;bは0又は1であり;mは0、1、又は2であり;pは0、1、2、3、4又は5であり;
【0010】
環Kは、アリール、C−Cシクロアルキル又はヘテロシクリルであり;
は、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
【0011】
は、H、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
【0012】
3a及びR3bは、独立して、H、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、SH、NO、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよいか、又はR3a及びR3bが一緒になって、Rから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい縮合アリール又はヘテロ環を形成してもよく;
【0013】
はH、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
【0014】
は、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)aObヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、Oa(C=O)bNR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、SH、SO−CF、NO、又は(C=O)aObC−Cシクロアルキルであり、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、へテロシクリル、及びシクロアルキルはR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく、また2つのR置換基が一緒になって、R6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい縮合アリール又はヘテロ環を形成してもよく;
【0015】
6aは、(C=O)aOb(C−C10)アルキル、Oa(C−C)ペルフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)mR、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、及び(C−C)アルキレン−COHから選択され、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3つまでの置換基により置換されていてもよく;
【0016】
及びRは、独立して、H、(C=O)ObC−C10アルキル、(C=O)ObC−Cシクロアルキル、(C=O)Obアリール、(C=O)Obヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、へテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)mR、及び(C=O)NRから選択され、当該アルキル、シクロアルキル、アリール、へテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルはR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよいか、又はR及びRはそれらが結合する窒素と一緒になって、各環が3〜7員の単環状又は二環状へテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選択される1個又は2個のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成してもよく、当該単環状又は二環状へテロ環はR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
【0017】
は、H、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり;また
は独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、へテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)mRである]
によって示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体である。
【0018】
本発明の第二の実施態様において、FAS活性のインヒビターは、式B:
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、
nは、0、1、2、3又は4であり;
環Kは、フェニル、
【0021】
【化3】

【0022】
から選択され;またすべての他の置換基及び変数は第一の実施態様に定義したとおりである]
によって示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体である。
【0023】
本発明の第三の実施態様において、FAS活性のインヒビターは、式C:
【0024】
【化4】

【0025】
[式中、すべての他の置換基及び変数は第二の実施態様に定義したとおりである]
によって示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体である。
【0026】
本発明の第四の実施態様において、FAS活性のインヒビターは、式D:
【0027】
【化5】

【0028】
[式中、すべての他の置換基及び変数は第二の実施態様に定義したとおりである]
によって示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体である。
【0029】
本発明の第五の実施態様において、FAS活性のインヒビターは、式E:
【0030】
【化6】

【0031】
[式中、
は、H、ハロ及び(C−C)アルキルから選択され;
すべての他の置換基及び変数は第一の実施態様に定義したとおりである]
によって示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体である。
【0032】
本発明の具体的化合物は以下のとおりである:
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−2);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−3);
4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−4);
8−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−5);
4−ヒドロキシ−8−メトキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−6);
6,7−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−7);
4−ヒドロキシ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−8);
4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−9);
4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボン酸エチル(1−10);
4−ヒドロキシ−3−フェニル−6−(トリフルオロメチル)キノリン−2(1H)−オン(1−11);
【0033】
4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルベンゾ[H]キノリン−2(1H)−オン(1−12);
4−ヒドロキシ−6−(メチルスルホニル)−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−13);
4−ヒドロキシ−3−フェニル−6−[(トリフルオロメチル)スルホニル]キノリン−2(1H)−オン(1−14);
4−ヒドロキシ−7−メチル−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−15);
4−ヒドロキシ−8−メチル−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−16);
1−エチル−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−17);
1−ブチル−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(1−18);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボン酸メチル(1−19);
4−ヒドロキシ−1,3−ジメチル−5−フェニル−1,7−ジヒドロ−6H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(1−20);
1−ヒドロキシ−2−フェニル−4H−クロメノ[3,4−b]ピリジン−3,5−ジオン(1−21);
【0034】
4−ヒドロキシ−3−フェニル−1,9−ジヒドロ−2H−ピリド[2,3−b]インドール−2−オン(1−22);
4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルイソオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−6(7H)−オン(1−23);
4−ヒドロキシ−3−フェニル−7,8−ジヒドロキノリン−2,5(1H,6H)−ジオン(1−24);
4−ヒドロキシ−3−メチル−1,5−ジフェニル−1,7−ジヒドロ−6H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(1−25);
4−ヒドロキシ−6−オキソ−5−フェニル−6,7−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸メチル(1−26);
5−ヒドロキシ−1,3−ジメチル−6−フェニルピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,7(1H,3H,8H)−トリオン(1−27);
4−ヒドロキシ−3−フェニルベンゾ[b]−1,8−ナフチリジン−2,5(1H,10H)−ジオン(1−28);
6−ヒドロキシ−7−フェニルピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−8(9H)−オン(1−29);
2−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシ−6−オキソ−5−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(1−30);
4−ヒドロキシ−8−メチル−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−31);
【0035】
8−エチル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−32);
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−5);
7−クロロ−3−(4’−フルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−6);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−(3−ピリジン−3−イルフェニル)−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−7);
7−クロロ−3−(3’,5’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−8);
7−クロロ−3−(3’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−9);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2’−メトキシビフェニル−3−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−10);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−11);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−12);
7−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−13);
【0036】
3−[3−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−14);
7−クロロ−3−(2’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−15);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−16);
7−クロロ−3−(3’,5’−ジクロロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−17);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−18);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−19);
3’−(7−クロロ−6−シアノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチル(2−20);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−21);
4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(2−22);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(2−ナフチル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−23);
【0037】
4−ヒドロキシ−8−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(2−24);
7−フルオロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(2−25);
4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−26);
7−クロロ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−27);
7−クロロ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−28);
7−クロロ−3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−29);
7−クロロ−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−30);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2−ナフチル)−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−31);
3−ビフェニル−4−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−32);
3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−33);
【0038】
4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボン酸(2−34);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−(2−チエニル)キノリン−2(1H)−オン(2−35);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−36);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロ−3−(1H−テトラゾール−5−イル)キノリン−2(1H)−オン(2−37);
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン−2(1H)−オン(2−38);
7−クロロ−4−[(4−メトキシベンジル)アミノ]−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−3);
7−クロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−4,6−ジカルボニトリル(3−4);
4,7−ジクロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−5);
4−(ベンジルアミノ)−7−クロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−6);及び
4−クロロ−6−ニトロ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(3−7);
又は医薬的に許容されるその塩若しくは立体異性体。
【0039】
本発明のさらに具体的な化合物は以下のとおりである:
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−2);
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−5);
7−クロロ−3−(4’−フルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−6);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−(3−ピリジン−3−イルフェニル)−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−7);
7−クロロ−3−(3’,5’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−8);
7−クロロ−3−(3’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−9);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2’−メトキシビフェニル−3−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−10);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−11);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−12);
7−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−13);
【0040】
3−[3−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−14);
7−クロロ−3−(2’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−15);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−16);
7−クロロ−3−(3’,5’−ジクロロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−17);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−18);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−19);
3’−(7−クロロ−6−シアノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチル(2−20);
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−21);及び
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(2−ナフチル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−23);
又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【0041】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有していてもよい(記載例:E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学),John Wiley & Sons,New York,1994,pages 1119−1190);またラセミ体、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとしても存在してもよく、可能な異性体及びその混合物は、光学異性体を含め、本発明に包含される。さらに、本明細書に開示した化合物は、互変異性体として存在してもよく、たとえ一方の互変異性体の構造しか描出されていない場合でも、その両方の互変異性体の形状が本発明の範囲に包含されるものとする。
【0042】
いずれかの変数(例えば、R、R、R6aなど)が、いずれかの構成部分に一度以上出現する場合、その各出現についての定義はそれぞれの他の出現から独立している。また、置換基と変数の組合わせは、かかる組合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基から環系に引かれた線は、指示した結合が置換可能な環原子のいずれにも結合していてもよいことを示す。環系が二環である場合、その結合は二環部分のいずれかの環上の適当な原子のいずれかに結合すべきことが意図される。
【0043】
本発明化合物上の置換基と置換パターンは、当業者が選択し、化学的に安定で、また容易に入手し得る出発原料から、当該技術分野で既知の方法ならびに下記に提示する方法により容易に合成し得る化合物を提供し得るものであると理解される。置換基がそれ自体1個を超える基により置換されている場合、安定な構造が結果として生じる限り、それら複数の基は同じ炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよいと理解される。「1つ以上の置換基により置換されていてもよい」という文言は、「少なくとも1つの置換基により置換されていてもよい」という文言と均等であると解釈すべきであり、そのような場合、好ましい実施態様では、0ないし3個の置換基を有する。
【0044】
当業者は1個以上のSi原子を本発明の化合物に取り込ませることができる;その結果、化学的に安定であり、また容易に入手し得る出発原料から、当該技術分野で既知の方法により容易に合成し得る化合物を提供し得ると理解される。
【0045】
本明細書にて使用する場合、「アルキル」は特定数の炭素原子を有する分枝及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。例えば、「C−C10アルキル」における場合、C−C10は、直線状又は分枝状の配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を包含すると定義する。例えば、「C−C10アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどである。
【0046】
用語「シクロアルキル」は特定数の炭素原子を有する単環式又は二環式の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」はシクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含する。
【0047】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合する指定した炭素原子数の環式又は非環式アルキル基を表す。従って、「アルコキシ」は上記のアルキルとシクロアルキルの定義を包含する。
【0048】
炭素原子数が特定されていない場合、「アルケニル」という用語は、2ないし10個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分枝又は環状の非芳香族炭化水素基をいう。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、また4つまでの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルケニル」とは、2ないし6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルである。アルケニル基の直鎖、分枝又は環状部分は、二重結合を含んでもよく、また置換されるアルケニル基が指示されている場合には、置換されていてもよい。
【0049】
「アルキニル」という用語は、2ないし10個の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分枝若しくは環状の炭化水素基をいう。3個までの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルキニル」とは2ないし6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基はエチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどを包含する。アルキニル基の直鎖、分枝若しくは環状の部分は三重結合を含んでよいし、また置換されたアルキニル基が指示されている場合、置換されていてもよい。
【0050】
場合によっては、置換基は例えば(C−C)アルキレン−アリールなどのように、ゼロを含む炭素範囲で定義してもよい。もしアリールがフェニルであるとするならば、この定義にはフェニルそれ自体、ならびに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを包含する。
【0051】
本明細書にて使用する場合、「アリール」は安定な単環式又は二環式の炭素環であって、各環7個までの原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族である環を意味するものとする。かかるアリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルである。アリール置換基が二環式であり、1つの環が非芳香族である場合、その結合は芳香環を介するものと理解される。
【0052】
ヘテロアリールという用語は、本明細書にて使用する場合、安定な単環式又は二環式の環であって、各環7個までの原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族であり、かつO、N及びSからなる群より選択される1ないし4個のヘテロ原子を含む、前記の環を表す。この定義の範囲内のヘテロアリール基は、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンなどである。下記へテロ環の定義におけるように、「ヘテロアリール」とはまた含窒素へテロアリールのN−オキシド誘導体をも包含すると理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、環の1つが非芳香族であるか又はヘテロ原子を含まない場合、結合はそれぞれ芳香環又はヘテロ原子含有環を介するものと理解される。
【0053】
当業者も認識するように、「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書にて使用する場合、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)及びヨード(I)を包含するものとする。
【0054】
用語「ヘテロ環(ヘテロサイクル)」又は「ヘテロシクリル」とは、本明細書にて使用する場合、O、N及びSからなる群より選択される1ないし4個のヘテロ原子を含む3員ないし10員の芳香族又は非芳香族へテロ環を意味するものとし、二環式基を包含する。従って、「ヘテロシクリル」は、上記のヘテロアリール、ならびにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。さらに、「ヘテロシクリル」の例は、以下のものを包含する:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロチエニル、ならびにそのN−オキシド。ヘテロシクリル置換基の結合は炭素原子を介して、又はヘテロ原子を介して起こり得る。
【0055】
該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、他に特に断りのない限り、未置換であっても、未置換であってもよい。例えば、(C−C)アルキルは、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はヘテロシクリル(例えば、モルホリニル、ピペリジニルなど)から選択される1個、2個又は3個の置換基により置換されていてもよい。この場合、もし1個の置換基がオキソであり、他方がOHであるならば、以下のものがその定義に包含される:−(C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、−CH(OH)CHCH(O)など。
【0056】
場合によっては、R及びRはそれらが結合する窒素と一緒になって、各環が3〜7員の単環状又は二環状へテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選択される1個又は2個のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成してもよく、当該へテロ環はR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい。このように形成され得るヘテロ環の例は、該へテロ環がR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよいことを考慮すると、以下のものを包含する:
【0057】
【化7】

【0058】
式Bの別の実施態様において、環Kはアリール又はヘテロシクリルである。
式Bの別の実施態様において、環Kはアリール又はヘテロシクリルであり、RはH又は(C−C)アルキルである。
【0059】
式Cの別の実施態様において、nは2であり、RはH又は(C−C)アルキルであり、また一方のRはCNであり、他方のRはClである。
【0060】
式Eの別の実施態様において、Rは、H、ハロ、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、O(C−C)アルキル、S(O)−(C−C)アルキル及びフェニルから選択され、この場合、当該アルキル、フェニル、アリール及びヘテロシクリルは、H、ハロ、フエニル、O(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C=O)O(C−C)アルキル、S(O)−(C−C)アルキル、OH、オキソ、CF及びNHから選択される1ないし5つの置換基により置換されていてもよく、またRはClである。
【0061】
式Eの別の実施態様において、Rは、H及びフェニルから選択され、この場合、当該フェニルは、H、ハロ、フェニル、O(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C=O)O(C−C)アルキル、S(O)−(C−C)アルキル、OH、オキソ、CF及びNHから選択される1ないし5つの置換基により置換されていてもよく、またRはClである。
【0062】
本発明に包含されるのは、式Aで示される遊離型(フリー体)の化合物、ならびにその医薬的に許容される塩及び立体異性体である。本明細書に例示した具体的単離化合物の一部のものは、アミン化合物のプロトン化された塩である。「遊離型(フリー体)」という用語は、非塩形状のアミン化合物をいう。包含される医薬的に許容される塩は、本明細書に記載した具体的化合物について例示の単離塩を含むのみならず、式Aで示される遊離型の化合物のすべての代表的な医薬的に許容される塩をも含む。記載された具体的塩化合物の遊離型は、当該技術分野で既知の方法により単離してもよい。例えば、該遊離型は、該塩を適当な希釈塩基水溶液、例えば、希釈水性NaOH、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウムなどにより処理することにより再生してもよい。遊離型は、それぞれの塩の形状と、ある種の物理的性質、例えば、極性溶媒中での溶解度などが幾分異なってもよいが、その酸及び塩基の塩は、その他の点で本発明が目的とするそれらそれぞれの遊離型に医薬的に等価である。
【0063】
本発明化合物の医薬的に許容される塩は、塩基性又は酸性基を含む本発明化合物から常套の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は遊離塩基を、化学当量若しくは過剰の所望とする塩形成性無機若しくは有機酸と適当な溶媒中又は様々な溶媒の組合わせ中で反応させることにより調製する。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機またな有機の塩基と反応させることにより形成する。
【0064】
従って、本発明化合物の医薬的に許容される塩は、塩基性の本発明化合物と無機酸又は有機酸とを反応させることにより形成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される塩、ならびに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)などから調製される塩を包含する。
【0065】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「医薬的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む医薬的に許容される非毒性塩基から調製される塩をいう。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。医薬的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、一級、二級及び三級のアミン、天然産置換アミンなどの置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタインカフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0066】
上記の医薬的に許容される塩及びその他の典型的な医薬的に許容される塩の調製については、文献(Berg et al.,“Pharmaceutical Salts(医薬用塩),”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19)により詳しい記載がある。
【0067】
本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることも銘記される;その理由はその場合、生理条件下で、当該化合物の脱プロトン化された酸性基(例えば、カルボキシル基)がアニオン性であり得るし、またこの電荷が、プロトン化若しくはアルキル化された塩基性基(例えば、四級窒素原子など)のカチオン性電荷に対して内部的にバランスを取る可能性があるからである。
【0068】
用途
本明細書に提供される化合物、組成物及び方法は、癌の治療に特に有用であると思われる。本発明化合物、組成物及び方法によって治療してもよい癌は、限定されるものではないが、以下のとおりである:心臓系:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺癌、肉腫、リンパ腫、軟骨髄性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、類癌腫瘍、VIP線腫)、小腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺種、絨毛腺種、過誤腫、平滑筋腫)結腸直腸;泌尿生殖器管:腎臓(腺癌、ウイルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、肝内胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺癌、血管腫;:骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨大細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨大細胞腫瘍;神経系:頭骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、グリオーマ、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性グリア細胞芽腫、希突起グリオーマ、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、グリオーマ、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚部(子宮頚部癌、前腫瘍子宮頚部異形性)、卵巣(卵巣癌[漿膜性のう胞腺癌、ムチン性のう胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜−卵胞膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、陰門(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児横紋筋肉腫))、卵管(癌腫)、乳房;血液学的:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、奇胎形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫。従って、本明細書にて提示される用語の「癌性細胞」は、上記の症状のいずれか一つに罹患する細胞である。
【0069】
本発明の化合物、組成物及び方法により治療できる癌は、限定されるものではないが、以下の部位のものである:乳房、前立腺、結腸、結腸直腸、肺、脳、睾丸、胃、膵臓、皮膚、小腸、大腸、咽頭、頚頭、口腔、骨、肝臓、膀胱、腎臓、甲状腺及び血液。
【0070】
本発明の化合物、組成物及び方法により治療できる癌は、乳房、前立腺、結腸、卵巣、子宮内膜及び甲状腺の癌である。
【0071】
本発明の化合物、組成物及び方法により治療できる癌は、乳房及び前立腺の癌である。
【0072】
本発明の化合物はまた癌の処置に有用な医薬の製造においても有用である。
【0073】
本発明化合物は、ヒトを含む哺乳動物に、単独で、又は医薬組成物中に医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組合わせて、標準的薬学のプラクティスに従って、投与してもよい。本化合物は経口的に、又は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸及び局所の投与経路など非経口的に投与することができる。
【0074】
有効成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルジョン、ハード若しくはソフトカプセル、又はシロップ若しくはエリキシルとしてもよい。経口用組成物は医薬組成物の製造上、当該分野で技術的に既知の方法に従って調製してもよい;また、かかる組成物は製剤上形のよい口に違和感のない製剤とするために、甘味剤、芳香剤、着色剤及び保存剤からなる群より選択される1種以上の剤を含有してもよい。錠剤は有効成分と、錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容される賦形剤とを混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えば、微結晶性セルロース、ナトリウム・クロスカルメロース、コーンスターチ、又はアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン又はアラビアゴム);及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)などであってもよい。錠剤は未被覆であってもよいし、又は薬物の不快な味をマスクするために、若しくは胃腸管での分解と吸収を遅延させて、それによって長時間作用を持続させるために、既知の技術的方法により被覆してもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性味遮蔽物質又はエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延物質を用いてもよい。
【0075】
経口使用の剤形はハードゼラチンカプセルとしても提供してよいが、その場合、有効成分は不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンなどと混合させる;あるいはソフトゼラチンカプセルとしても提供してよいが、その場合、有効成分はポリエチレングリコールなどの水溶性担体、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合させる。
【0076】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と一緒に活性物質を含有する。かかる賦形剤は懸濁化剤、例えば、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアゴムなどである;分散剤又は湿潤剤は天然産のホスファチド(例えば、レシチン)、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合産物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)でよい。水性懸濁液はさらに1種以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル若しくはn−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の芳香剤、及び1種以上の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン若しくはアスパルテーム)などを含有してもよい。
【0077】
油性懸濁液は、有効成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油)、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)などに懸濁することにより製剤化してもよい。この油性懸濁液は増粘剤(例えば、ミツロウ、硬パラフィン若しくはセチルアルコールなど)を含有してもよい。口当たりのよい経口製剤とするために、上記のような甘味剤及び芳香剤を添加してもよい。これらの組成物はブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファ−トコフェロールなどの抗酸化剤を添加して保存してもよい。
【0078】
水を加えることにより水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤と混合した有効成分を提供する。適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、すでに上記したものにより例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、芳香剤及び着色剤も存在してよい。これらの組成物はアスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により保存してもよい。
【0079】
本発明の医薬組成物は水中油型のエマルジョンの形態でもよい。油相は植物油(例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油)、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)、又はそれらの混合物でもよい。適当な乳化剤は天然産のホスファチド(例えば、ダイズレシチン)、及び脂肪酸とヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、及び当該部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)でよい。該エマルジョンは甘味剤、芳香剤、保存剤及び抗酸化剤をも含んでもよい。
【0080】
シロップ及びエリキシルは甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)とともに製剤化してもよい。かかる製剤は粘活剤、保存剤、芳香及び着色剤及び抗酸化剤をも含んでもよい。
【0081】
該医薬組成物は無菌の注射用水性溶液の形態でもよい。使用してもよい許容し得る媒体と溶媒は、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。
【0082】
無菌の注射用製剤は、有効成分を油相に溶かした、無菌の注射用水中油型マイクロエマルジョンでもよい。例えば、有効成分を先ずダイズ油とレシチンの混合物に溶かしてもよい。次いで、その油溶液を水とグリセロールの混合物中に導入し、加工処理してマイクロエマルジョンとしてもよい。
【0083】
注射用溶液又はマイクロエマルジョンは、局所のボーラス注射により患者の血流中に導入してもよい。あるいは、当該化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で、溶液又はマイクロエマルジョンを投与することが有利であり得る。かかる一定濃度を維持するためには、連続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック・カッド−プラス(Deltec CADD−PLUS;商標)モデル5400静脈内用ポンプである。
【0084】
該医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の無菌注射用水性又は油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は既知の技術に従い、上記の適当な分散若しくは湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤化してもよい。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口投与可能な希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)でもよい。さらに、無菌の不揮発性油を溶剤又は懸濁媒体として用いるのが便利である。この目的のためには、合成のモノ−又はジグリセリドを含む刺激のないいずれの不揮発性油も採用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射用製剤に使用し得る。
【0085】
式Aで示される化合物は、薬物を直腸投与する坐剤の形状でも投与してもよい。これらの組成物は、適当な非刺激性の賦形剤であって、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果、直腸内で融解して薬物を放出するような賦形剤と薬物を混合することにより調製し得る。かかる物質はカカオ脂、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物を包含する。
【0086】
局所での使用には、式Aで示される化合物を含有するクリーム、軟膏、ジェリー、溶液又は懸濁液などが用いられる。(この適用の目的には、局所適用剤としてうがい薬及び含嗽剤も包含するものとする)。
【0087】
本発明化合物は鼻腔内用の形態で、適当な鼻腔内媒体と送達装置を局所的に使用するか、又は当業者周知の皮膚透過性皮膚パッチの形態で、経皮経路により投与し得る。経皮送達システムの形態で投与するには、勿論、一定用量の投与を薬剤投与計画全般で断続的であるよりもむしろ連続的であるようにする。本発明化合物はカカオ脂、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物などの基剤を用いる坐剤としても送達してもよい。
【0088】
本発明化合物をヒト対象に投与する場合、その一日用量は通常処方医が決定するが、その用量は一般に、年齢、体重、及び個々の患者の反応、ならびに患者症候の重症度によって変る。
【0089】
一実施態様においては、癌の治療を受ける哺乳動物に適量のFASインヒビターを投与する。投与は、1日あたり約0.1mg/kg体重ないし約60mg/kg体重の量、又は、1日あたり0.5mg/kg体重ないし約40mg/kg体重の量のインヒビターで実施される。当該組成物からなる別の治療投与量は、FASインヒビターとして、約0.01mgないし約1000mgである。別の実施態様において、投与量はFASインヒビター約1mgないし約1000mgからなる。
【0090】
本発明化合物は、治療剤、化学療法剤及び抗癌剤との組合わせでも有用である。ここに開示した化合物と治療剤、化学療法剤及び抗癌剤との組合わせは、本発明の範囲内である。かかる薬剤の例は文献(Cancer Principles and Practice of Oncology(癌の原理と腫瘍学の実際)V.T.Devita and S.Hellman(editors),6th edition(2001年2月15日),Lippincott Williams & Wilkins Publishers)に見出し得る。当業者はどの薬剤との組合せが有用であるかについて、関係する薬物と癌の特性に基づいて、明確に認識し得よう。かかる薬剤は、以下のとおりである:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビターと他の血管形成インヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、細胞増殖と生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスホネート、アロマターゼインヒビター、siRNA治療剤、γ−セクレターゼインヒビター、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に緩衝する薬剤、及び細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤。本発明化合物は放射線療法と同時投与の場合に特に有用である。
【0091】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するエストロゲンの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。エストロゲン受容体モジュレーターの例は、限定されるものではないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン(toremifene)、フルベストラント(fulvestrant)、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646などである。
【0092】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するアンドロゲンの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。アンドロゲン受容体モジュレーターの例は、フィナステリドと他の5α−リダクターゼ・インヒビター、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)及び酢酸アビラテロン(abiraterone acetate)などである。
【0093】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、メカニズムの如何を問わず、その受容体に対するレチノイドの結合を干渉又は阻害する化合物をいう。かかるレチノイド受容体モジュレーターの例は、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin)、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドなどである。
【0094】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」とは、細胞死を惹き起こすか、又は細胞の機能に直接干渉して細胞増殖を主として阻害するか、又は細胞の減数分裂を阻害又は干渉する化合物をいい、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレート剤、低酸素症活性化化合物、微小管インヒビター/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンインヒビター、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、有糸分裂進行に関与するキナーゼのインヒビター、増殖因子及びサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼのインヒビター、代謝拮抗剤、生物応答修飾因子、ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼインヒビター、プロテオソームインヒビター、ユビキチンリガーゼインヒビター、及びオーロラキナーゼインヒビターを包含する。
【0095】
細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤の例は、限定されるものではないが、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド(temozolomide)、ヘプタプラチン、エストラムスチン(estramustine)、イムプロスルファン・トシレート(improsulfan tosilate)、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(参照WO00/50032)、Rafキナーゼインヒビター(Bay43−9006など)及びmTORインヒビター(ワイスCCI−779など)である。
【0096】
低酸素症活性化化合物の例は、チラパザミン(tirapazamine)である。
プロテオソームインヒビターの例は、限定されるものではないが、ラクタシスチン(lactacystin)及びMLN−341(ベルケイド;Velcade)である。
【0097】
微小管インヒビター/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート(mivobulin isethionate)、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン類(epothilones)(参照例:USP6,284,781及び6,288,237)及びBMS188797などである。一実施態様において、エポチロンは微小管インヒビター/微小管安定化剤に含まれない。
【0098】
トポイソメラーゼインヒビターの一部の例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チャートロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパナミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ラートテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナンスリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及びジメスナ(dimesna)などである。
【0099】
有糸分裂キネシン、とりわけヒトの有糸分裂キネシンKSPのインヒビターの例は、PCT公開WO01/30768及びWO01/98278、及び係属中の米国特許出願番号:60/338,779(2001年12月6日出願)、60/338,344(2001年12月6日出願)、60/338,383(2001年12月6日出願)、60/338,380(2001年12月6日出願)、60/338,379(2001年12月6日出願)及び60/344,453(2001年11月7日出願)に記載されている。一実施態様において、有糸分裂キネシンのインヒビターは、限定されるものではないが、KSPのインヒビター、MKLP1のインヒビター、CENP−Eのインヒビター、MCAKのインヒビター及びRab6−KIFLのインヒビターである。
【0100】
「ヒストン・デアセチラーゼ・インヒビター」の例は、限定されるものではないが、SAHA、TSA、オキサムフラチン(oxamflatin)、PXD101、MG98及びスクリプタイド(scriptaid)である。その他のヒストン・デアセチラーゼ・インヒビターに関しては、さらに、以下の文献:Miller,T.A.et al.J.Med.Chem.46(24):5097−5116(2003)に見出し得る。
【0101】
「有糸分裂の進行に関わるキナーゼのインヒビター」は、限定されるものではないが、オーロラ・キナーゼのインヒビター、ポロ様キナーゼ(PLK)のインヒビター(とりわけPLK−1のインヒビター)、バブ−1のインヒビター及びバブ−R1のインヒビターを包含する。「オーロラ・キナーゼのインヒビター」の例は、VX−680である。
【0102】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001、及び代謝拮抗剤、例えば、エノシタビン、カルモフル、テガフル、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビン・オクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール、デキスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒド・チオセミカルバゾン及びトラスツズマブ(trastuzumab)などである。
【0103】
モノクローナル抗体標的化治療剤の例は、癌細胞特異的又は標的細胞特異的モノクローナル抗体に結合した細胞傷害剤又は放射性同位体を有する治療薬である。その例はベクサール(Bexxar)である。
【0104】
「HMG−CoAリダクターゼインヒビター」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAリダクターゼのインヒビターをいう。使用してもよいHMG−CoAリダクターゼインヒビターの例は、限定されるものではないが、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR;登録商標);参照USP4,231,938、4,294,926及び4,319,039)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR;登録商標);参照USP4,444,784、4,820,850及び4,916,239)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL;登録商標);参照USP4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447及び5,180,589)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL;登録商標);参照USP5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946及び5,356,896)、アトルバスタチン(リピトール(LIPITOR;登録商標);参照USP5,273,995、4,681,893、5,489,691及び5,342,952)及びセリバスタチン(cerivastatin;リバスタチン(rivastatin)及びベイコール(BAYCHOL;登録商標)としても知られる;参照:USP5,177,080)を包含する。本方法に使用してもよいこれら及びさらなるHMG−CoAリダクターゼインヒビターの構造式については、文献(M.Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs(コレステロール低下剤)”,Chemistry & Industry,pp.85−89(1996年2月5日))の87ページ及びUSP4,782,084及び4,885,314に記載がある。本明細書にて使用する場合の用語HMG−CoAリダクターゼインヒビターとは、HMG−CoAリダクターゼ阻害活性を有する化合物のすべての医薬的に許容されるラクトン及び開環酸型(すなわち、ラクトン環が開いて遊離の酸を形成する場合)のもの、ならびに塩及びエステル型のものを包含し、従って、かかる塩、エステル、開環酸及びラクトン型の使用が本発明の範囲に包含される。
【0105】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター」は、1種類の又は組合わせたプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素を阻害する化合物をいい、該酵素はファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、ラブGGPTアーゼともいう)などである。
【0106】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの例は、以下の公開出願及び特許に見出し得る:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、USP5,420,245、USP5,523,430、USP5,532,359、USP5,510,510、USP5,589,485、USP5,602,098、欧州特許公開0 618 221、欧州特許公開0 675 112、欧州特許公開0 604 181、欧州特許公開0 696 593、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、USP5,661,152、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、USP5,571,792、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及びUSP5,532,359。血管形成に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビターの役割の例については、文献(European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394−1401(1999))を参照されたい。
【0107】
「血管形成インヒビター」とは、メカニズムに関係なく、新しい血管の形成を阻害する化合物をいう。血管形成インヒビターの例は、限定されるものではないが、チロシンキナーゼインヒビター、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)のインヒビター、表皮由来、線維芽細胞由来若しくは血小板由来増殖因子のインヒビター、MMP(マトリックス・メタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリン・ブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼインヒビター(アスピリン及びイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、ならびにセレコキシブ及びロフェコキシブなどの選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター(PNAS,Vol.89,p.7384(1992);JNCI,Vol.69,p.475(1982);Arch.Opthalmol.,Vol.108,p.573(1990);Anat.Rec.,Vol.238,p.68(1994);FEBS Letters,Vol.372,p.83(1995);Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995);J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107(1996);Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997);Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997);Cell,Vol.93,p.705(1998);Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998);J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド系抗炎症剤(コルチコステロイド、ミネラロコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレッド、ベタメサゾンなど)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(参照Fernandez et al.,J.Lab.Clin.Med.105:141−145(1985))、及びVEGFに対する抗体(参照Nature Biotechnology,Vol.17,pp.963−968(1999年10月);Kim et al.,Nature,362,841−844(1993);WO00/44777;及びWO00/61186)である。
【0108】
血管形成を調節又は阻害し、本発明化合物と組合わせて使用してもよい他の治療薬は、凝固系及び繊維素溶解系を調節又は阻害する薬剤である(参照概説:Clin.Chem.La.Med.38:679−692(2000))。凝固及び繊維素溶解経路を調節又は阻害するかかる薬剤の例は、限定されるものではないが、ヘパリン(参照:Thromb.Haemost.80:10−23(1998))、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼUインヒビター(活性トロンビンを活性化し得る繊維素溶解インヒビター(TAFIa)のインヒビターとしても知られる)(参照:Thrombosis Res.101:329−354(2001))などを包含する。TAFIaインヒビターは、米国特許出願番号:60/310,927(2001年8月8日出願)及び米国特許出願番号:60/349,925(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0109】
「細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤」とは、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するタンパク質キナーゼを阻害し、それによってDNA傷害剤に対し癌細胞を増感する化合物をいう。かかる薬剤は、ATR、ATM、CHK11及びCHK12キナーゼのインヒビター、及びcdkとcdcキナーゼインヒビターであり、具体的には7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(シクラセル(Cyclacel))及びBMS−387032などである。
【0110】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤」とは、RTKを阻害する化合物、従って、発癌と腫瘍進行に関わるメカニズムを阻害する化合物をいう。かかる薬剤はc−Kit、Eph、PDGF、Flt3及びc−Metのインヒビターである。さらなる薬剤は、文献(Bume−Jensen and Hunter,Nature,411:355−365,2001)に記載されているRTKのインヒビターである。
【0111】
「細胞増殖と生存シグナル伝達経路のインヒビター」とは、細胞表面受容体の下流にあるシグナル伝達カスケードを阻害する化合物をいう。かかる薬剤は、セリン/スレオニンキナーゼのインヒビター(限定されるものではないが、下記に記載されているAktインヒビターを含む:WO02/083064、WO02/083139、WO02/083140、WO02/083138、WO03/086279、WO03/086394、WO03/086403、WO03/086404及びWO04/041162)、Rafキナーゼのインヒビター(例えば、BAY−43−9006)、MEKのインヒビター(例えば、CI−1040及びPD−098059)、mTORのインヒビター(例えば、ワイスCCI−779)、及びP13Kのインヒビター(例えば、LY294002)である。
【0112】
上記のように、NSAIDとの組み合わせは、強力なCOX−2阻害剤であるNSAIDの使用を目的とする。本明細書の目的にとって、NSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより測定した場合、COX−2の阻害のIC50が1μM以下を有するなら強力である。
【0113】
また本発明は選択的COX−2インヒビターであるNSAIDとの組合わせをも包含する。本明細書の目的上、選択的COX−2インヒビターであるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価されるCOX−2のIC50のCOX−1のIC50に対する比で測定して、COX−1よりもCOX−2を少なくとも100倍阻害する特異性を有するものと定義される。かかる化合物は、限定されるものではないが、USP5,474,995、USP5,861,419、USP6,001,843、USP6,020,343、USP5,409,944、USP5,436,265、USP5,536,752、USP5,550,142、USP5,604,260、U.S.5,698,584、USP5,710,140、WO94/15932、USP5,344,991、USP5,134,142、USP5,380,738、USP5,393,790、USP5,466,823、USP5,633,272及びUSP5,932,598(これらはすべて参照により本明細書の一部とする)に開示された化合物である。
【0114】
本治療方法において特に有用なCOX−2インヒビターは:3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又はその医薬的に許容される塩;である。
【0115】
COX−2の特異的インヒビターとして記載されており、従って、本発明において有用である化合物は、限定されるものではないが、以下のものである:パレコキシブ(parecoxib)、ベクストラ(BEXTRA;登録商標)及びセレブレックス(CELEBREX;登録商標)又は医薬的に許容されるその塩。
【0116】
血管形成インヒビターのその他の例は、限定されるものではないが、エンドスタチン、ウクライン(ukrain)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン(squalamine)、コンブレタスタチン(combretastatin)、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)である。
【0117】
上記で使用される「インテグリン・ブロッカー」とは、生理的リガンドがαvβ3インテグリンに結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、生理的リガンドがαvβ5インテグリンに結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、生理的リガンドがαvβ3インテグリンとαvβ5インテグリンの両方に結合するのを選択的に拮抗、阻害又は反作用する化合物、及び毛細血管内皮細胞で発現される特定インテグリンの活性を拮抗、阻害又は反作用する化合物をいう。この用語はまたαvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1及びα6β4インテグリンのアンタゴニストをいう。この用語はまたαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1及びα6β4インテグリンのいずれかの組合わせのアンタゴニストをもいう。
【0118】
チロシン・キナーゼインヒビターの一部の具体例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリナミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン(genistein)、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジナミン、及びEMD121974である。
【0119】
抗癌化合物以外の化合物との組合わせもまた本方法に包含される。例えば、本出願の請求項に記載した化合物とPPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの組合わせは、ある種悪性腫瘍の治療に有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの内皮細胞における発現及び血管形成におけるその関与については文献(参照:J.Cardiovasc.Pharmacol.1998;31:909−913;J.Biol.Chem.1999;274:9116−9121;Invest.Ophthalmol Vis. Sci.2000;41:2309−2317)に報告されている。つい最近、PPAR−γアゴニストがインビトロでVEGFに対する血管形成応答を阻害することが示されている;トログリタゾン(troglitazone)及びマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)両方が、マウスにおいて網膜新生血管形成の進展を阻害する(Arch.Ophthamol.2001;119:709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、限定されるものではないが、チアゾリジンジオン類(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン(troglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、及びピオグリタゾン(pioglitazone))、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN09/782,856に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN60/235,708及び60/244,697に開示)などを包含する。
【0120】
本発明のもう一つの実施態様は、癌治療のための遺伝子療法と組合わせて、本明細書に開示した化合物を使用することである。癌治療の遺伝子戦略の概観については:Hall et al(Am.J.Hum.Genet.61:785−789,1997)及びKufe et al(Cancer Medicine,5th Ed,pp876−889,BC Decker,Hamilton 2000)を参照。遺伝子療法は腫瘍抑制遺伝子を送達するために使用することができる。かかる遺伝子の例は、限定されるものではないが、p53(この遺伝子は組換えウイルス媒介遺伝子伝達を介して送達される)(例えば、USP6,069,134参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(“uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、マウスにおいて血管形成依存性腫瘍増殖及び拡散を抑制する”Gene Therapy,August 1998;5(8):1105−13)、及びインターフェロン−ガンマ(J.Immunol.2000;164:217−222)などを包含する。
【0121】
本発明化合物はまた本来多剤耐性(MDR)であるインヒビター、とりわけ輸送体タンパク質の高レベル発現と関係するMDRのインヒビターと組合わせて投与し得る。かかるMDRインヒビターはp−糖タンパク質(P−gp)のインヒビター、例えば、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポダール(valspodar))を包含する。
【0122】
本発明化合物は、本発明化合物の単独使用又は放射線療法との併用から生じ得る急性、遅延型、後期、及び予測性の嘔吐などの悪心又は嘔吐を治療するために、抗嘔吐剤とともに使用し得る。嘔吐の予防又は治療のために、本発明化合物は他の抗嘔吐剤、とりわけ、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)、及びザチセトロン(zatisetron)など、GABAB受容体アゴニスト、例えば、バクロフェンなど、コルチコステロイド、例えば、デカドロン(デキサメタゾン)など、ケナログ(Kenalog)、アリストコルト(Aristocort)、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又はUSP2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326及び3,749,712に開示されたその他のもの、抗ドーパミン作動性薬、例えば、フェノチアジン類(例:プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクロプラミド又はドロナビノールなどと共に使用し得る。別の実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤との共用療法が、本発明化合物の投与により生じ得る嘔吐の治療又は予防のために、開示される。
【0123】
本発明化合物と組合わせて使用するニューロキニン−1受容体アンタゴニストについては、例えば、以下に詳しく記載されている:米国特許USP5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147; 欧州特許公開番号EP0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942及び97/21702;及び英国特許公開PB−A2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び 2 302 689。かかる化合物の調製については、上記の特許及び出願公開に詳しく記載されている;これらを参照により本明細書の一部とする。
【0124】
一実施態様において、本発明化合物と組合わせて使用されるニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、USP5,719,147に開示されている2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又はその医薬的に許容される塩から選択される。
【0125】
本発明化合物は貧血の治療に有用な薬剤と共にも投与してもよい。かかる貧血治療の薬剤は、例えば、連続的赤血球形成受容体活性化因子(エポエチンアルファなど)である。
【0126】
本発明化合物は好中球減少症の治療に有用な薬剤と共にも投与してもよい。かかる好中球減少症治療の薬剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの好中球の産生と機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例はフィルグラスチム(filgrastim)である。
【0127】
本発明化合物はまた免疫増強剤、例えば、レバミゾール、イソプリノシン(isoprinosine)及びザダキシン(Zadaxin)などと共にも投与してもよい。
【0128】
本発明化合物はまたビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸などを含むと理解される)と組合わせて、骨癌などの癌の治療又は予防に有用であってもよい。ビスホスホネートの例は、限定されるものではないが、エチドロネート(ジドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレジア(Aredia))、アレンドロネート(ホサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート(incadronate)若しくはシマドロネート(cimadronate)、クロドロネート(clodronate)、EB−1053、ミノドロネート(minodronate)、ネリドロネート(neridronate)、ピリドロネート(piridronate)及びチルドロネート(tiludronate)ならびにそのいずれかの、及びすべての医薬的に許容される塩、誘導体、水和物及びその混合物である。
【0129】
また、本発明化合物はアロマターゼインヒビターと組合わせて、乳癌の治療又は予防にも有用であってもよい。アロマターゼインヒビターの例は、限定されるものではないが、アナストロゾール、レトロゾール及びエクゼメスタンである。
【0130】
また、本発明化合物はsiRNA療法と組合わせた癌の治療又は予防にも有用であってもよい。
【0131】
また、本発明化合物はγ−セクレターゼインヒビターと組合わせた癌の治療又は予防にも有用であってもよい。
【0132】
従って、本発明の範囲は、本出願請求項に記載の化合物と、第二の化合物、すなわち、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、本来多剤耐性であるもののインヒビター、抗嘔吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスホネート、アロマターゼインヒビター、siRNA療法剤、γ−セクレターゼインヒビター、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤及び細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤から選択される化合物とを組合わせて使用することを包含する。
【0133】
本発明化合物に関連する用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与する」)は、該化合物又は該化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系に導入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグを1種以上の他の活性薬剤(例えば、細胞傷害剤など)と組合わせて提供する場合、「投与」及びその変形はそれぞれ該化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤を同時に、及び連続的に導入することを意味すると理解される。
【0134】
本明細書にて使用する場合、用語「組成物」とは、特定量の特定成分からなる製品、ならびに直接又は間接に、特定量の特定成分の組合わせから生じる製品を包含するものとする。
【0135】
本明細書にて使用する場合、用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床家が求める、組織、系、動物又はヒトにおける、生物学的又は医薬的応答を生じる活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0136】
用語「癌を治療する」又は「癌の治療」とは、癌の症状に侵された哺乳動物に投与することをいい、また癌細胞を殺すことにより癌の症状を軽減する作用をいうが、さらに癌の増殖及び/又は転移を阻害する作用をもいう。
【0137】
一実施態様において、第二の化合物として使用するべき血管形成インヒビターは、チロシンキナーゼインヒビター、上皮由来増殖因子のインヒビター、線維芽細胞由来増殖因子のインヒビター、血小板由来増殖因子のインヒビター、MMP(マトリックス・メタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリン・ブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン・ポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼ・インヒビター、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施態様において、エストロゲン受容体モジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0138】
請求項の範囲には、本発明化合物の治療有効量を、放射線療法との組合わせ及び/又はエストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、本来多剤耐性であるもののインヒビター、抗嘔吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスホネート、アロマターゼインヒビター、siRNA療法剤、γ−セクレターゼインヒビター、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤及び細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤から選択される第二の化合物とを組み合わせて投与することからなる癌の治療方法が包含される。
【0139】
また本発明のなお別の実施態様は、本発明の化合物の治療有効量を、パクリタキセル又はトラスツズマブと組合わせて投与することからなる癌の治療方法である。
【0140】
本発明はさらに本発明化合物の治療有効量をCOX−2インヒビターと組合わせて投与することからなる癌の治療又は予防方法を包含する。
【0141】
本発明はまた本発明化合物の治療有効量と、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスホネート、アロマターゼインヒビター、siRNA療法剤、γ−セクレターゼインヒビター、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤及び細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤から選択される第二の化合物とを含有してなる癌の治療又は予防に有用な医薬組成物を包含する。
【0142】
特定した特許、出版物及び係属中の特許出願はすべて参照により本明細書の一部とする。
【0143】
化学の記載及びそれに続く実施例にて使用する略号は、以下のとおりである:AcO(無水酢酸);AcOH(酢酸);AEBSF(フッ化p−アミノエチルベンゼンスルホニル);BSA(ウシ血清アルブミン);BuLi(n−ブチルリチウム);CDCl(クロロホルム−d);CuI(ヨウ化銅);CuSO(硫酸銅);DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン−7−エン);DCE(ジクロロエタン);DCM(ジクロロメタン);DEAD(アゾジカルボン酸ジエチル);DIPEA(ジイロプロピルエチルアミン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMP(デス−マーチン・ペルヨーディナン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DPPA(アジ化ジフェニルホスホリル);DTT(ジチオスレイトール);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);EGTA(エチレングリコール四酢酸);EtO(ジエチルエーテル);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);HOAc(酢酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);HRMS(高分解質量分析);LAH(水素化アルミニウムリチウム);LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分析計);LHMDS(リチウム・ビス(トリメチルシリル)アミド);LRMS(低分解質量分析);mCPBA(3−クロロペルオキシ安息香酸);MeOH(メタノール);MP−B(CN)H(マクロ細孔水素化シアノホウ素);NaHCO(重炭酸ナトリウム);NaSO(硫酸ナトリウム);Na(OAc)BH(水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム);NHOAc(酢酸アンモニウム);NBS(N−ブロモコハク酸アミド);NMP(1−メチル−2−ピロリジノン);NMR(核磁気共鳴);PBS(リン酸緩衝食塩水);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);Pd(dppf)([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム);Pd(Ph(パラジウム(0)テトラキス−トリフェニルホスフィン);POCl(オキシ塩化リン);PS−DIEA(ポリスチレン・ジイソプロピルエチルアミン);PS−PPh(ポリスチレン−トリフェニルホスフィン);PTSA(パラ−トルエンスルホン酸);Pyr(ピリジン);セレクトフルオル(1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン・ビス(テトラフルオロボレート);TBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム);T−BuOH(tert−ブタノール);THF(テトラヒドロフラン);Tf(トリフルオロメタンスルホニル);TFA(トリフルオロ酢酸);及びTMSCH(トリメチルシリルジアゾメタン)。
【0144】
本発明の化合物は以下の反応工程図に示す反応を使用することにより、さらに文献上既知の、又は実験手順に例示する他の標準的手法に従い調製してもよい。下記に図示する反応工程図は、掲載した化合物に限定されるものではなく、また実例として使用した特定の置換基に限定されるものではない。反応工程図に示す置換基の番号付けは、必ずしも請求項に使用するものと相関するものではなく、またしばしば明確にするために、複数の置換基が上記の式Aの定義のもとで選択肢として可能である場合にも、単一の置換基を化合物に結合して示してある。
【0145】
本発明化合物を生成させるために使用する反応は、反応工程図I〜IIIに示す反応を使用して実施する。
【0146】
反応工程図一覧
反応工程図Iに示すように、エナミン、アニリン、ヘテロ環状アニリンなどとジ−(2,4,6−トリクロロフェニル)−2−フェニルマロン酸エステルとの無溶媒マイクロ波反応により、対応する3−アリールピリドン(I−A)又は3−アリール−4−ヒドロキシキノリン−2(1H)−オン(I−A)が得られる。
【0147】
【化8】

【0148】
反応工程図IIは、B−3(B−2のB−1によるアシル化により調製する)の環化反応から、どのように4−ヒドロキシ−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(B−4)を調製し得るかを図解する。
【0149】
【化9】

【0150】
反応工程図III
反応工程図IIIは、C−2(このものはC−1から調製し得る)から、どのように4−置換−3−フェニルキノリン−2(1H)−オン(C−3)を調製し得るかを図解する。
【0151】
【化10】

【実施例】
【0152】
提供する実施例は、本発明のさらなる理解の一助とするためのものである。使用する特定の原料、種類及び条件はさらに本発明を詳しく説明しようとするものであり、それらを妥当な範囲に限定しようとするものではない。以下の表に提示する化合物を合成する際に利用する試薬類は市販品として入手し得るか、又は当業者により容易に調製される。
【0153】
【化11】

【0154】
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(1−2)
封管中、4−アミノ−2−クロロベンゾニトリル(1−1;0.076g)とジ−(2,4,6−トリクロロフェニル)−2−フェニルマロン酸エステル(0.535g)との攪拌混合物を15分間250℃に照射した。粗製の反応混合物を室温でジエチルエーテルにより処理し、沈殿を真空濾過により集め、高真空下に2時間乾燥した。H−NMR(600MHz,d−DMSO)δ=11.9(1H,s),10.7(1H,s),8.39(1H,s),7.44(1H,t,J=7.5Hz);7.39−7.37(2H,m),7.33−7.31(3H,m);13C−NMR(150MHz,d−DMSO)δ=163.4,156.9,142.2,136.3,133.1,131.8,131.7,128.4,127.9,116.9,116.3,115.6,114.7,104.5;LC−ESMS観測値[M+H]+297.0(計算値297.0)。
【0155】
表1に示す化合物は反応工程図1に従って合成した。
【0156】
【化12】

【0157】
【化13】

【0158】
【化14】

【0159】
【化15】

【0160】
【化16】

【0161】
【化17】

【0162】
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−5)
(3−ヨードフェニル)酢酸エチル(2−1)
CHCl(200mL)中、3−ヨードフェニル酢酸(24.8g、94.6mmol)の溶液に、塩化オキサリル(189mmol、2当量)を加え、次いで、1滴のDMFを加えた。この混合物を室温で1時間攪拌し、次いで濃縮した。エタノールを加え、フラッシュ・クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、黄色油を生成物として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ=7.63(s,1H),7.59(d,1H),7.25(d,1H),7.04(t,1H),4.16(q,2H),3.53(s,2H),1.25(t,3H);LRMS:m+1(291.0,4.228min.)。
【0163】
ビフェニル−3−イル酢酸エチル(2−2)
(2−1)(5.0g、17.2mmol)、フェニルホウ酸(51.7mmol、3当量)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(6.9mmol、0.4当量)からなる混合物に、トルエン(100mL)、2M−NaCO溶液(20mL)、及びエタノール(20mL)を加えた。反応混合物をパージし、90℃で18時間還流した。混合物をセライトのパッドで濾過し、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、褐色油を生成物として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ=7.58(dd,2H),7.50(m,2H),7.43(t,2H),7.39(t,1H),7.34(t,1H),7.27(dt,1H),4.17(q,2H),3.68(s,2H),1.26(t,3H).LRMS:m+1(241.1,2.885min.)。
【0164】
ビフェニル−3−イル酢酸(2−3)
THF(48mL)中、(2−2)(2.25g、9.4mmol)の溶液に、4N−LiOH溶液(12mL)を加えた。混合物は蓋をして室温で16時間攪拌した。混合物のpHを1N−HClの添加で3に調整し、EtOAc(×5)で抽出した。併合したEtOAc抽出液を乾燥し(MgSO)、溶媒を除去した。フラッシュ・クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、白色固体を生成物として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ=10.96(s,1H),7.57(dd,2H),7.50(m,2H),7.42(m,3H),7.34(t,1H),7.27(dt,1H),3.68(s,2H);LRMS:m+1(213.1,2.304min.)。
【0165】
2−[(ビフェニル−3−イルアセチル)アミノ]−4−クロロ−5−シアノ安息香酸メチル(2−4)
CHCl(75mL)中、(2−3)(1.12g、5.3mmol)の溶液に、塩化オキサリル(10.6mmol、2当量)を加え、次いで、1滴のDMFを加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を除去し、アミン(1.12g、5.3mmol)及び1,2−ジクロロエタンを加え、その混合物を100℃で18時間還流した。反応混合物を一旦室温とし、反応混合物にMeOHを加えて不活化し、次いで溶媒を除去した。フラッシュ・クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、所望の産物を白色固体として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ=11.33(s,1H),9.03(s,1H),8.28(s,1H),7.61(dd,2H),7.56(m,2H),7.44(m,3H),7.34(m,2H),3.86(s,3H),3.84(s,2H);LRMS:m+1(405.1,3.150min)。
【0166】
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(2−5)
THF(50mL)中、(2−4)(2.03g、5.0mmol)の溶液に、1M−ナトリウム・ビス(TMS)アミド/THF(11mL)溶液を加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。6N−HClの添加により、白色固体が生成した。濾過して白色固体を生成物(1.46g、78%)として得た。H NMR(600MHz,(CDSO):δ=11.96(s,1H),10.83(s,1H),8.37(s,1H),7.62(d,2H),7.59(m,2H),7.48(t,1H),7.43(m,3H),7.32(m,2H)。13CNMR(150.8MHz,(CDSO):δ=163.5,157.0,142.1,140.9,140.5,136.5,133.4,131.4,130.8,130.0,129.6,129.2,128.1,127.3,126.5,116.9,116.3,115.7,114.5,104.7.
LRMS:m+1(373.0,2.487min.)。
【0167】
表2に示す化合物は反応工程図2に従って合成した。
【0168】
【化18】

【0169】
【化19】

【0170】
【化20】

【0171】
【化21】

【0172】
【化22】

【0173】
【化23】

【0174】
【化24】

【0175】
7−クロロ−4−[(4−メトキシベンジル)アミノ]−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−3)及び7−クロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−4,6−ジカルボニトリル(3−4)
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−1)_
DMF(4mL)中、4(1.0g、3.37mmol)の溶液に、POBr(966mg、1.0当量)を加えた。混合物を110℃で15時間還流し、室温に冷やし、次いでHO(4mL)で希釈した。混合物のpHを2M−NaCOの添加により7に調整し、次いでCHCl(×5)で抽出した。併合したCHCl抽出液を乾燥(MgSO)した。溶媒を除去することで、所望の化合物をクリーム色の固体(230mg、19%)として得た。H NMR(600MHz,(CDSO):δ=12.71(s,1H),8.39(s,1H),7.58(s,1H),7.44(t,2H),7.40(d,1H),7.29(d,2H).LRMS:[M+1]:358.9(1.390min)。
【0176】
4−ブロモ−7−クロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−2)
DMSO(0.5mL)中、1(200mg、0.56mmol)の溶液に、4−メトキシベンジルアミン(72μl、1.0当量)を加えた。混合物を150℃で16時間還流し、室温に冷やし、次いでCHCl(4mL)で希釈した。フラッシュ・クロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン)により精製し、所望の産物をクリーム色固体(40mg、17%)として得た。H NMR(600MHz,CDCl):δ=11.64(s,1H),8.01(s,1H),7.43(t,2H),7.38(t,1H),7.34(s,1H),7.27(d,3H),6.98(d,2H),6.82(d,2H),4.08(s,2H),3.79(s,3H).LRMS:[M+1]:416.1(1.806min)。
【0177】
7−クロロ−4−[(4−メトキシベンジル)アミノ]−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル(3−3)
トリフルオロ酢酸(2mL)中、2(40mg、0.10mmol)の溶液を65℃で1時間攪拌した。減圧下に酸を除去した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、10%NaOH溶液で洗った。有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮した。逆相HPLCにより精製し、NaHCOで洗浄してクリーム色の固体を所望の産物(7mg、24%)として得た。H NMR(600MHz,(CDSO):δ=12.01(s,1H),7.89(s,1H),7.40(t,3H),7.24(d,2H),6.68(s,2H),6.57(s,1H).LRMS:[M+1]:296.1(1.308min)。
【0178】
7−クロロ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−4,6−ジカルボニトリル(3−4)
DMF(3mL)中、1(189mg、0.53mmol)の溶液に、CuCN(2.1mmol、4.0当量)を加えた。混合物を180℃で18時間攪拌し、室温に冷やし、次いでMeOH(4mL)で希釈した。逆相HPLCにより精製し、NaHCOで洗浄して黄色の固体を所望の産物(65mg、40%)として得た。H NMR(600MHz,(CDSO):δ=12.92(s,1H),8.28(s,1H),7.57(m,3H),7.52(m,3H)。13CNMR(150MHz,(CDSO):δ=160.182,143.072,142.193,137.571,133.221,130.551,128.800,118.902,117.008,116.173,114.705,106.608.LRMS:[M+1]:306.0(1.238min)。
【0179】
表3に示す化合物は反応工程図3に従って合成した。
【0180】
【化25】

【0181】
実施例1
実施例1は本発明の別の特徴と利点をさらに説明するために以下に提供する。
実施例1:脂肪酸シンターゼ酵素の阻害
脂肪酸シンターゼ(FAS)は以下の反応を触媒する:アセチル−CoA+nマロニル−CoA+2nNADPH+2nH+=長鎖脂肪酸+(n+1)補酵素A[CoA]+nCO+2nNADP+。FAS活性は一般に、(1)長鎖脂肪酸の生成[放射性トレーサーにより];(2)NADPHの減量[固有のNADPH吸収又は蛍光による]:又は(3)遊離CoAの生成[スルフヒドリル−反応性色素との反応];を測定することにより決定する。ここでFAS酵素活性はインビトロで、スルフヒドリル−反応性色素7−ジエチルアミノ−3−(4−マレイミドフェニル)−4−メチルクマリン[CPM]によりFAS−生成したCoAを測定することにより決定した。未反応のCPMは非蛍光性である。しかし、CPM−CoA付加体は蛍光を示し、そのピーク励起波長は〜380nm、ピーク放出波長は〜475nmである。CPMによるFAS活性のアッセイは以下のように実施した:「FASバッファー」、「FAS酵素」、「FAS基質」及び「CPM停止バッファー」は下記の表に掲載した成分から新たに作製した。化合物はアッセイ開始直前に、無水DMSOで1:3に段階希釈した。ブラック・コーニング低容量384穴非結合性表面マイクロプレートの各ウエルに、384/30μLヘッドとマトリックス延伸長30μLチップを有するマトリックス・プレートメイト・プラス自動化ピペッターにより、FAS酵素9μLを加えた。段階希釈した化合物のそれぞれのプレートから0.5μLをとり、マトリックス・プレートメイト・プラスを使用し酵素に加えた。プレートを室温で20分間インキュベートした。FAS基質1μLをマトリックス・プレートメイト・プラスにより各ウエルに加えた。プレートを室温で11分間インキュベートした。CPM停止バッファー2.2μLをマトリックス・プレートメイト・プラスにより各ウエルに加えて、FAS反応を停止させた。プレートを室温で15分間インキュベートした。次いで、パーキン−エルマー・ビューラックスuHTSマイクロプレート像検出器を用いて、プレートの各ウエルのCPM蛍光を測定した(ビューラックス読み取りは380nmの励起フィルター、475nmの発光フィルター及びD400ミラーを使用した)。次いで、化合物を容れたウエルのシグナルのパーセント減少を用いて、用量に対するパーセント阻害の非直線フィットにより各化合物の効力を決定した。
【0182】
【化26】

【0183】
本発明の具体的化合物につき、上記のアッセイ法により試験し、それらが基質に対して<50μMのIC50を有することを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A:
【化1】

[式中、
aは0又は1であり;bは0又は1であり;mは0、1、又は2であり;pは0、1、2、3、4又は5であり;
環Kは、アリール、C−Cシクロアルキル又はヘテロシクリルであり;
は、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
は、H、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
3a及びR3bは、独立して、H、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、SH、NO、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよいか、又はR3a及びR3bが一緒になって、Rから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい縮合アリール又はヘテロ環を形成してもよく;
は、H、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、(C=O)aObC−C10アルケニル、(C=O)aObC−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、(C=O)aNR、CN、(C=O)aObC−Cシクロアルキル、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、及び(C=O)aObヘテロシクリルから選択され、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルはRから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
は、(C=O)aObC−C10アルキル、(C=O)aObアリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)aObヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、ObC−Cペルフルオロアルキル、Oa(C=O)bNR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)mNR、S(O)m−(C−C10)アルキル、SH、SO−CF、NO、又は(C=O)aObC−Cシクロアルキルであり、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、へテロシクリル、及びシクロアルキルはR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく、また2つのR置換基が一緒になって、R6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい縮合アリール又はヘテロ環を形成してもよく;
6aは、(C=O)aOb(C−C10)アルキル、Oa(C−C)ペルフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)mR、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、及び(C−C)アルキレン−COHから選択され、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3つまでの置換基により置換されていてもよく;
及びRは、独立して、H、(C=O)ObC−C10アルキル、(C=O)ObC−Cシクロアルキル、(C=O)Obアリール、(C=O)Obヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、へテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)mR、及び(C=O)NRから選択され、当該アルキル、シクロアルキル、アリール、へテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルはR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよいか、又はR及びRはそれらが結合する窒素と一緒になって、各環が3〜7員の単環状又は二環状へテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選択される1個又は2個のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成してもよく、当該単環状又は二環状へテロ環はR6aから選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
は、H、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり;また
は独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、へテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)mRである]
で示される化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項2】
式B:
【化2】

[式中、
nは、0、1、2、3又は4であり;
環Kは、フェニル、
【化3】

から選択され;またすべての他の置換基及び変数は請求項1に定義したとおりである]
で示される請求項1記載の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項3】
式C:
【化4】

[式中、すべての他の置換基及び変数は請求項2に定義したとおりである]
で示される請求項2記載の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項4】
式D:
【化5】

[式中、すべての他の置換基及び変数は請求項2に定義したとおりである]
で示される請求項3記載の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項5】
式E:
【化6】

[式中、
は、H、ハロ及び(C−C)アルキルから選択され;また
すべての他の置換基及び変数は請求項1に定義したとおりである]
で示される請求項4記載の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項6】
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
3−ビフェニル−3−イル−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(4’−フルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−3−(3−ピリジン−3−イルフェニル)−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(3’,5’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(3’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2’−メトキシビフェニル−3−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
3−[3−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]−7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(2’,4’−ジフルオロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−3−(3’,5’−ジクロロビフェニル−3−イル)−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3’−(メチルスルホニル)ビフェニル−3−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
3’−(7−クロロ−6−シアノ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチル;
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;及び
7−クロロ−4−ヒドロキシ−3−[3−(2−ナフチル)フェニル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−カルボニトリル;
から選択される請求項1記載の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくは立体異性体。
【請求項7】
医薬担体、及びそこに分散した請求項1記載の化合物の治療有効量を含有してなる医薬組成物。
【請求項8】
癌の治療を必要とする哺乳動物における癌の治療又は予防に有用な医薬の製造における請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−525278(P2009−525278A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552459(P2008−552459)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002254
【国際公開番号】WO2007/089634
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】