説明

脂肪酸銀塩および導電性ペーストの製造方法

【課題】簡便な方法で脂肪酸銀塩を得ることができる脂肪酸銀塩の製造方法、および、銀粉の変形が抑制され、銀粉の分散が良好となる導電性ペーストの製造方法の提供。
【解決手段】脂肪酸と酸化銀とを反応させて脂肪酸銀塩を得る脂肪酸銀塩の製造方法であって、
複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、
脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る、脂肪酸銀塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸銀塩および導電性ペーストの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀粒子などの導電性粒子に熱可塑性樹脂(例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等)や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)などからなるバインダ、有機溶剤、硬化剤、触媒等を添加し混合して得られる銀ペースト(導電性組成物)を、合成樹脂基材上(例えば、ポリエステルフィルム等)に所定の回路パターンとなるように印刷し、これらを加熱して導体回路をなす導電性配線を形成し、回路基板を製造する方法が知られている。
【0003】
このような導電性ペーストとして、本出願人は、特許文献1において、「電気抵抗率が20×10-6Ω・cm以下の金属材料(A)と、水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)と、沸点が200℃以下の2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(C)と、を含有する導電性組成物。」を提案しており([請求項1])、その製造方法として、各成分をロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法を提案している([0063])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−92684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が、特許文献1に記載された導電性組成物の製造方法について検討したところ、脂肪酸銀塩を調製する段階において、例えば、ボールミルを用いた製造では、撹拌に1〜3日間要したり、多量の溶媒が必要となるため撹拌後に溶媒の除去が必要となったりと工程が煩雑であり、また、脂肪酸銀塩や金属材料(例えば、銀粉末等)等の各成分を混合する方法や溶媒の添加量によっては、金属材料が潰れてしまったり、金属材料の分散が不十分となったりすることが明らかとなった。
【0006】
そこで、本発明は、簡便な方法で脂肪酸銀塩を得ることができる脂肪酸銀塩の製造方法、および、銀粉の変形が抑制され、銀粉の分散が良好となる導電性ペーストの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、所定のプラネタリー型ミキサーを用い、脂肪酸と酸化銀との合計量に対して特定少量の溶媒を添加した固練り工程を行うことにより、簡便な方法で脂肪酸銀塩を得ることができ、また、銀粉の変形が抑制され、銀粉の分散が良好となる導電性ペーストを調製できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記(1)および(2)を提供する。
【0008】
(1)脂肪酸と酸化銀とを反応させて脂肪酸銀塩を得る脂肪酸銀塩の製造方法であって、
複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、
脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る、脂肪酸銀塩の製造方法。
【0009】
(2)脂肪酸銀塩と銀粉と溶媒とを含有する導電性ペーストを得る導電性ペーストの製造方法であって、
複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、
脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る固練り工程と、
上記固練り工程の後に、銀粉を添加する銀粉添加工程と、
上記銀粉添加工程の後に、上記溶媒、上記脂肪酸銀塩および上記銀粉を混練して導電性ペーストを得るペースト調製工程と
を有する導電性ペーストの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
以下に示すように、本発明によれば、簡便な方法で脂肪酸銀塩を得ることができる脂肪酸銀塩の製造方法、および、銀粉の変形が抑制され、銀粉の分散が良好となる導電性ペーストの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明で使用するプラネタリー型ミキサーが有する撹拌羽根の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の態様は、脂肪酸と酸化銀とを反応させて脂肪酸銀塩を得る脂肪酸銀塩の製造方法(以下、単に「本発明の脂肪酸銀塩の製造方法」ともいう。)であって、複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る、脂肪酸銀塩の製造方法である。
また、本発明の脂肪酸銀塩の製造方法においては、上記脂肪酸銀塩を得る工程(以下、「固練り工程」ともいう。)の前に、脂肪酸と酸化銀とを乾式混練する乾式混練工程を有していてもよい。
以下に、本発明の脂肪酸銀塩の製造方法における各工程および各工程に用いる酸化銀等の成分について詳述する。
【0013】
<乾式混練工程>
上記乾式混練工程は、後述する固練り工程において溶媒を添加する前に、複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用いて、必要に応じて脂肪酸と酸化銀とを乾式混練する工程である。
【0014】
上記プラネタリー型ミキサーについて、図1を用いて説明する。
図1は、本発明で使用するプラネタリー型ミキサーが有する撹拌羽根の一例を示す平面図である。
図1に示すように、本発明で使用するプラネタリー型ミキサーは、撹拌浴2内で複数の撹拌羽根3が遊星運動するように設けられたミキサーであり、本発明においては、図1に示すように撹拌羽根3は3本以上設けられているのが好ましい。
また、撹拌羽根3は、遊星運動するように遊星歯車機構(図示せず)に接続され、モーター(図示せず)等の駆動源により撹拌浴2内で公転・自転するよう構成されているが、撹拌羽根軸6の軸端に設けた遊星歯車(図示せず)が内歯車で構成された太陽歯車(図示略)に係合して公転・自転の方向が逆方向となるのが好ましい。
【0015】
(脂肪酸)
上記脂肪酸は特に限定されず、従来公知の有機カルボン酸を用いることができる。
上記脂肪酸としては、具体的には、例えば、特開2008−198595号公報の[0064]〜[0067]段落に記載された脂肪酸、特許第4482930号公報の[0030]段落に記載された脂肪酸成分、特開2010−92684号公報の[0030]〜[0040]段落に記載された水酸基を1個以上有する脂肪酸、同公報の[0047]〜[0051]段落に記載された2級脂肪酸等を用いることができる。
【0016】
(酸化銀)
上記酸化銀は、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
【0017】
<固練り工程>
上記固練り工程は、必要に応じて行われる上記乾式混練工程の後に、上記脂肪酸および上記酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、上記プラネタリー型ミキサーを用いてこれらを混練(固練り)して脂肪酸銀塩を得る工程である。
【0018】
ここで、上記溶媒は、上記脂肪酸および上記酸化銀に対する十分なシェアを確保する観点から、混練(反応)の進行とともに徐々に添加していくのが好ましい。
また、上記溶媒は特に限定されないが、後述する導電性ペーストが含有する溶媒であるのが好ましく、その具体例としては、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の脂肪酸銀塩の製造方法においては、上記溶媒の添加量は、得られる脂肪酸銀塩を用いて調製される導電性ペーストの印刷方法に応じて適切に粘度を調整する観点から、上記脂肪酸および上記酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部であるのが好ましく、3〜100質量部であるのがより好ましい。
【0020】
また、本発明の脂肪酸銀塩の製造方法においては、上記脂肪酸および上記酸化銀の反応により生ずる熱(反応熱)の影響を考慮し、上記溶媒を添加した後の混練を冷却下(例えば、20〜40℃)で行うのが好ましい。
【0021】
このような固練り工程を有することにより、簡便な方法で脂肪酸銀塩を得ることができる。これは、上記プラネタリー型ミキサーが、上記溶媒の添加量が少ない条件下においても撹拌効率に優れ、固体−液体の反応が短時間で効率よく進行するためと考えられる。また、これにより、導電性ペーストの一成分として使用する際に溶媒の除去が不要となる。
なお、上記脂肪酸と上記酸化銀との反応の終了は、生成物(脂肪酸銀塩)の加熱重量減分析(TGA)によっても判断ができるが、混練物の色の変化、すなわち、酸化銀由来の黒色から(黄)白色への変化からも判断することができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、脂肪酸銀塩と銀粉と溶媒とを含有する導電性ペーストを得る導電性ペーストの製造方法(以下、単に「本発明の導電性ペーストの製造方法」ともいう。)であって、複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る固練り工程と、上記固練り工程の後に銀粉を添加する銀粉添加工程と、上記銀粉添加工程の後に、上記溶媒、上記脂肪酸銀塩および上記銀粉を混練して導電性ペーストを得るペースト調製工程とをこの順に有する導電性ペーストの製造方法である。
また、本発明の導電性ペーストの製造方法においては、上記固練り工程の前に、脂肪酸と酸化銀とを乾式混練する乾式混練工程を有していてもよい。
【0023】
ここで、上記プラネタリー型ミキサー、上記乾式混練工程および上記固練り工程ならびにこれらの工程に用いる酸化銀等は、いずれも本発明の脂肪酸銀塩の製造方法において説明したものと同様である。
これは、言い換えると、本発明の導電性ペーストの製造方法では、上記プラネタリー型ミキサーを用いることにより、脂肪酸銀塩を単離回収することなく、導電性ペーストの調製まで一度に進行させることができるため、簡便な方法であるだけでなく、時間の短縮も図ることができる。
以下に、本発明の導電性ペーストの製造方法における銀粉添加工程およびペースト調製工程について詳述する。
【0024】
<銀粉添加工程>
上記銀粉添加工程は、上記固練り工程の後に銀粉を添加する工程である。
【0025】
上記銀粉は特に限定されず、従来公知の導電性ペーストで配合されているものを使用することができる。
また、上記銀粉の形状は特に限定されず、球状およびフレーク状のいずれであってもよいが、銀粉の変形が抑制されるという本発明の効果がより発揮できる理由から、上記銀粉の少なくとも一部に球状の銀粉を50質量%以上の割合で用いるのが好ましく、平均粒子径が0.5〜10μmの球状の銀粉を用いるのがより好ましい。
ここで、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。
また、平均粒子径とは、球状の銀粉末の粒子径の平均値をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、球状の銀粉末の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
【0026】
<ペースト調製工程>
上記ペースト調製工程は、上記銀粉添加工程の後に、上記固練り工程で用いた上記溶媒、上記固練り工程により得られた脂肪酸銀塩および上記銀粉添加工程により添加された上記銀粉を、上記プラネタリー型ミキサーを用いて混練し、導電性ペーストを得る工程である。
【0027】
本発明の導電性ペーストの製造方法においては、上記固練り工程で用いた上記溶媒の使用量により、必要に応じて上記ペースト調製工程において更に溶媒を添加してもよい。
上記溶媒としては、具体的には、例えば、上記固練り工程において挙げたものが挙げられる。中でも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶媒として用いるのが、得られる導電性ペーストのチクソ性が良好となる理由から好ましい。
また、上記溶媒の添加量は、上記固練り工程で用いる上記溶媒の使用量によって左右されるため特に限定されないが、得られる導電性ペーストの印刷性の観点から、上記銀粉100質量部に対して2〜50質量部であるのが好ましい。
ここで、導電性ペーストの粘度は、EHD型粘度計(3度コーン、5rpm)を用いて25℃で測定した値をいう。
【0028】
このようなペースト調製工程を有することにより、銀粉の変形が抑制され、銀粉の分散が良好な導電性ペーストを得ることができる。これは、上記プラネタリー型ミキサーの撹拌効率が優れ、各成分(特に銀粉)が凝集等して形成される塊部分を3本ロール等で圧延する必要がないためと考えられる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を用いて、本発明の脂肪酸銀塩の調製方法および本発明の導電性ペーストの製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
酸化銀(東洋化学工業社製)50gおよび2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸(東京化成社製)64gをプラネタリー型ミキサー(型番:トリミックスTX−0.5、撹拌羽根:3本(遊星運動)、公転・自転の回転方向:逆方向、井上製作所社製)の撹拌浴に投入し、室温で数分間、乾式混練を施した。
次いで、上記撹拌浴に溶媒(α−テルピネオール)12gを添加し、室温で、混練物から酸化銀由来の黒色がなくなるまでの数十分間、固練りを施すことにより、溶媒を9.8質量%含む白色の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩122gを得た。
得られた2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩のグラム数から、収率は100%であることが分かった。
【0031】
(比較例1)
酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸(東京化成社製)64gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩を115g得た。
得られた2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩のグラム数から、収率は94%であることが分かった。
【0032】
実施例1および比較例1の結果から、複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用いて乾式混練および固練りを施すことにより、簡便な方法で短時間かつ高収率で脂肪酸銀塩を得ることができることが分かった。
【0033】
(実施例2)
プラネタリー型ミキサー(トリミックスTX−0.5、井上製作所社製)の撹拌浴に、実施例1で調製した2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩(溶媒9.8質量%含有)80gと、銀粉(型番:AG2−1C、形状:球状、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)400gとを添加し、室温で数分間、混練した。
次いで、上記撹拌浴に溶媒(α−テルピネオール)80gを複数回に分けて添加し、数十分間混練することで、導電性ペーストを調製した。
【0034】
(比較例2)
比較例1で得た2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩72.2gをα−テルピネオール7.8gを使って分散させた後、銀粉(AG2−1C、球状、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)400gと溶媒(α−テルピネオール)80gとをプラネタリー型真空ミキサー(型番:ARV−310、撹拌羽根:なし、公転・自転と遠心力により撹拌、シンキー社製)を用いて数分間混練した。
次いで、混練後のペースト状物に対して、3本ロール(井上製作所社製)を用いた分散処理を3回施すことで、導電性ペーストを調製した。
【0035】
<外観>
調製した各導電性ペーストの外観を目視により確認した。
その結果、ペースト表面に銀粉由来の粒状物が確認できないものを銀粉の分散性が良好であるものとして「○」と評価し、ペースト表面に銀粉由来の粒状物が確認できるものを銀粉の分散性に劣るものとして「×」と評価した。
【0036】
<粘度>
調製した各導電性ペーストの粘度を、ブルックフィールド型粘度計(HBT #14)を用いて25℃で測定した。その結果を下記第1表に示す。
【0037】
<体積抵抗率(比抵抗)>
調製した各導電性ペーストをシリコン基板(単結晶シリコンウェハー、LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製)上に、スクリーン印刷で塗布して配線(線幅:70μm、長さ:5cm)を形成した。
配線を形成した後、オーブンにて200℃、180℃および150℃の3つの条件で30分間乾燥し、導電性の配線(電極)を形成させた太陽電池セルのサンプルを作製した。
作製した各太陽電池セルのサンプルについて、電極の体積抵抗率を抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により測定した。その結果を下記第1表に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
第1表に示す結果から、複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、固練り工程、銀粉添加工程およびペースト調製工程を経ることにより、銀粉の分散が良好な導電性ペーストが得られることが分かった。この結果は、同じ溶媒量を添加しても、実施例2で調製した導電性ペーストの方が比較例2で調製した導電性ペーストよりも粘度が低いことからも分かる。
また、同じ銀粉量を添加しても、実施例2で調製した導電性ペーストの方が、比較例2で調製した導電性ペーストよりも低抵抗であることから、銀粉の変形が抑制されることが分かった。
なお、比較例2の調製において、3本ロールを用いた分散処理を施さない場合、銀粉の変形は抑制されるものの、外観がより悪くなり、粘度もより高くなり、体積抵抗率もより高くなることから、銀粉の分散性が著しく低下していることが分かった。
【符号の説明】
【0040】
2 撹拌浴
3 撹拌羽根
6 撹拌羽根軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸と酸化銀とを反応させて脂肪酸銀塩を得る脂肪酸銀塩の製造方法であって、
複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、
脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る、脂肪酸銀塩の製造方法。
【請求項2】
脂肪酸銀塩と銀粉と溶媒とを含有する導電性ペーストを得る導電性ペーストの製造方法であって、
複数の撹拌羽根が遊星運動するように設けられたプラネタリー型ミキサーを用い、
脂肪酸および酸化銀の合計100質量部に対して1〜200質量部の溶媒を添加し、これらを混練して脂肪酸銀塩を得る固練り工程と、
前記固練り工程の後に、銀粉を添加する銀粉添加工程と、
前記銀粉添加工程の後に、前記溶媒、前記脂肪酸銀塩および前記銀粉を混練して導電性ペーストを得るペースト調製工程と
を有する導電性ペーストの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−182006(P2012−182006A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44002(P2011−44002)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】