説明

脂質代謝亢進剤及び機能性食品

【課題】脂質の代謝を亢進させる脂質代謝亢進剤を提供する。
【解決手段】卵殻膜(Egg Membrane:EM)を有効成分として含有する。EMは脂肪組織での脂肪分解,合成に関与し、脂質代謝亢進に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質代謝亢進剤に関するとともに、脂質代謝亢進機能を有することのできる機能性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏などの鳥類の卵の殻の内側に存在する膜、すなわち卵殻膜(Egg Membrane。以下、卵殻膜を「EM」というときもある。)は、強靭な繊維性のタンパク質からなり、オポケラチン及びオポムシンを主成分としている。このEMは皮膚老化防止作用や肌荒れ防止作用、皮膚疾病の早期治癒作用、育毛・発毛促進作用、脱毛防止作用及び生体内に生成した活性酸素の低減ないし消去作用等の優れた薬理作用を有することが知られている。そして、このような天然のEMに由来する安全性に優れた薬剤を経口摂取しやすいようにした卵殻膜含有錠剤も提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、この提案に係る卵殻膜含有錠剤は、直径が約7〜10mm程度の円形ないし楕円形の錠剤で、錠剤1個の重さが約350〜400mg程度であり、その錠剤1個中にEMが約35〜40mgの量で含まれている。そして、成人がこの錠剤を1日当たり2〜3個(1日当たりEMを合計で70〜120mg)摂取すると、皮膚におけるコラーゲン、特に III型コラーゲンの生成が促進されて、皮膚の老化や肌荒れが防止され、皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態にすることができ、湿疹、炎症、ヤケドなどの皮膚疾患の予防や治癒が促進され、育毛、発毛促進、脱毛の防止、白髪の減少等がなされ、生体内に生成した活性酸素が消去又は低減されて種々の疾病の予防や回復を促進することができるという特長を有している。
【0004】
また、EMは上述のように皮膚損傷部の再生促進作用に優れているので、不織布、織布、編布、紙あるいはプラスチックフィルム等のフィルムからなる支持体に加水分解卵殻膜を含有する創傷被覆層を設けた絆創膏も提案されている(特許文献2参照)。この提案に係る絆創膏は、加水分解卵殻膜が損傷を受けた皮膚の再生を促進する作用に優れているので、皮膚の治癒の促進を図ることができる特長を有しているとともに、天然のEMに由来するので安全性に優れた絆創膏とすることができる。
【0005】
さらに、EMは上述のように育毛・発毛促進作用及び脱毛防止作用に優れているので、水又は水とエチルアルコールとの混合液等の水性媒体中に加水分解卵殻膜を0.001〜5質量%の割合で含有させた育毛・発毛促進剤も提案されている(特許文献3参照)。この提案に係る育毛・発毛促進剤は、育毛促進、発毛促進、脱毛防止及び白髪減少の効果に優れており、毎日所定の量を継続して頭部に付与することによって、薄毛の解消、発毛、育毛、毛髪への張り・腰の付与、白髪の解消などの効果を発現させることができる。しかも、この育毛・発毛促進剤は自然に由来するEMの成分を用いているために、安全性においても優れている。
【0006】
さらにまた、EMの微細粉末を紙に加工して(抄紙して)調湿や吸油等の機能を有する機能紙も提案されている(特許文献4参照)。この提案に係る機能紙は環境中の湿気の吸収と放出により湿度調整を行うことができ、被処理物の油分の吸収除去を行うことができ、また、被処理物中の貴金属、重金属等の金属を吸収することができる優れた機能を有している。
【0007】
上述のように、EMには各種の薬効が有り、また各種の有用な機能を有し、しかもEMが安全な天然物質であることに着目し、本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、先に特願2004−367050号において、EMには血管に柔軟性を与えて血圧を低下させる効果があるとの知見を得て、EMを用いた血圧降下剤、特に拡張期血圧(最低血圧)を効果的に低下させることのできる降圧剤や、EMには紫外線等の化学的刺激(ストレス)から細胞を保護する機能を有する知見を得て、EMを用いた細胞保護剤及びこの細胞保護機能を有する機能性食品を提案した。
また、本発明者らは、上記特許出願において、EMには長距離選手等の持久性トレーニングを行う者のトレーニングによる細胞障害を抑制する効果があるとの知見を得て、EMを用いたトレーニングを行う者の障害発生を未然に防止することのできる細胞障害抑制剤及びこの細胞障害抑制機能を有する機能性食品を提案しているとともに、EMには長距離選手等の持久性トレーニングを行うスポーツ選手の筋、腱及び靭帯等に発現するスポーツ障害を未然に防止できるとの本発明者らによる知見に基づいて、EMを用いたスポーツ障害抑制剤及びこのスポーツ障害抑制機能を有する機能性食品を提案した
【特許文献1】特開2003−146895号公報
【特許文献2】特開2003−225298号公報
【特許文献3】特開2004−189688号公報
【特許文献4】特開平9−176998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先に提案した特許出願に示されるように、EMには各種の薬効や各種の有用な機能を有しているだけでなく、これら薬効や機能を確認するための実験においては、EM摂取による体重増加が統計学的に認められている。図41は、以下の実験動物及び実験条件の下に行われた体重増加の実験結果を示すグラフである。
【0009】
(1)実験で用いた動物
実験動物には、日本エスエルシー株式会社の3週齢の雄性の遺伝的に高血圧となる自然発生高血圧ラット(Spontaneous Hypertensive Rats )(以下、SHRラットという。)を用いた。個体数n(以下、nは個体数を示す。)は32である。これらのラットを任意の4群、すなわち照査資料群(以下、コントロール群(Control 群)という。後述する図面においては、コントロール群をOで表している。)、EMを餌に0.3%を配合した0.3%群、EMを餌に1.0%配合した1.0%群及びEMを餌に3.0%配合した3.0%群に分けた。水と餌は自由摂取とし、実験動物室(室温25℃、湿度60%)内で5週間飼育した。
(2)給餌飼料におけるEMの配合
EMの配合は、日本クレア株式会社へ依頼し、ラットの通常給餌飼料のCE−2固形食へ、それぞれ0.3%、1.0%、3.0%の微粉砕処理されたEMを配合して固形食として用いた。
(3)体重測定
体重の測定は、各週ごとに小動物体重計を用いて行った。
【0010】
上記実験に基づくEM摂取による体重変化の成果をまとめると以下のとおりである。すなわち、コントロール群(n=8)、0.3%群(n=6)、1.0%群(n=6)、3.0%群(n=6)の体重変化は図41に示すとおりであり、コントロール群の発育は、SHRラットのデータ(株式会社星野試験動物飼育所のデータ)とほぼ一致し、SHRラットとしての確認ができた。1〜2週では、これらの群に体重差は認められなかった。しかし、3〜5週にかけ、統計学的に有意な体重差が発現した。特に3.0%群では3週目、5週目で体重増加が認められた。したがって、3.0%群ではEM摂取により栄養学的差異の発現が生じてくると言える。
なお、今回の実験に供したSHRラットは、株式会社星野試験動物飼育所のSHRラットの週齢、体重、最高血圧を対照させると、4週齢で最高血圧160mmHg前後、体重220g前であり、今回実験で飼育したSHRラットもこれらの測定値にきわめて近似した数値となり、正にSHRラットであることが確認できた。このラットの特徴は20週齢で最高血圧220mmHg前後に達する特徴がある。今回の実験の測定値では、4週齢で既に180mmHg前後となり、5週齢では220mmHg前後に達し、自然発生的に血圧上昇が生じていた。
【0011】
また、EM摂取は、いずれにしてもプロテイン(protein )を摂取したことになる。この結果は特に3%群にみられ、3〜5週にかけ図41に示したように有意な体重増加として認められる。EMはきわめて特殊なプロテインであり、消化によるアミノ酸として吸収されるものの、これらのアミノ酸により生体内肝でどのようなプロテイン合成が促進されているかは明らかではない。しかし、いずれにせよ、EMは消化・吸収されて、体重増加を発現させていることには間違いはない。このEM摂取に伴う体重増加の背景には、脂質代謝亢進の動向が考えられる。
本発明は、この仮想に基づいてEMについてさらに研究を重ねた結果成されたものであり、その目的は、新規な成分を有する脂質代謝亢進剤を提供するとともに、この脂質代謝亢進機能を有する機能性食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る脂質代謝亢進剤は、上記目的を達成するために、EMを有効成分として含有することを特徴とし(請求項1)、そのEMが微粉砕処理されたものであることを特徴としている(請求項2)。そして、脂質代謝亢進機能を有する機能性食品は、EMを有効成分として含有することを特徴とし(請求項3)、そのEMは微粉砕処理されていることを特徴としている(請求項4)。
【0013】
本発明に係るEMは、EMを微粉砕処理(パウダー処理)した粉末を所定量そのまま用いることができる他、本出願人(株式会社アルマード)製のアルマードTO.IIの卵殻加工食品を用いることができる。この卵殻加工食品は、上記特許文献1に記載されているように、EMを微粉砕処理(パウダー処理)し、これを化工澱粉等の賦形剤を用いて錠剤としたもので、1粒に卵殻膜が2.7mg含まれている。EMの摂取量は、後述するラットを用いた実験結果に基づいて適宜決められている。例えば、ラットにおける0.3%EMの摂取量を体重300gのラット(CE−2固形食、5g/日)で計算すると、体重300gあたり1日15mg摂取となる(0.003×5g/日=15mg)。これを体重60kgのヒトに換算すると(60kg/300g=200)、200倍となる。この倍率の計算では、15mg×200=3000mg=3gとなるが、通常ヒトの摂取は、ラットの1/10〜1/30とするため、これを考慮すると100〜300mg/日となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1及び請求項2に係る脂質代謝亢進剤は、EM、特に好ましくは微粉砕処理されたEMからなるので、安全な天然原料で脂質代謝を効果的に亢進させることができる。
本発明の請求項3及び請求項4に係る機能性食品は、EM、特に好ましくは微粉砕処理されたEMからなるので、安全な天然原料で脂質代謝を効果的に亢進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
最初にEM摂取による脂質代謝への影響について、実験に基づいて説明する。
1.実験方法
(1)実験動物
上記発明が解決しようとする課題の項で記載したと同じ条件で飼育したSHRラットである。また、後述する各種分析の実験に供した資料は、4週間飼育後のラットを一昼夜絶食させたのち、エーテル麻酔下で開胸し、血液、心臓、肝臓、骨格筋(腓腹筋)及び副睾丸脂肪組織(以下、「脂肪組織」という。)を摘出したものである。
(2)給餌飼料におけるEMの配合
EMの配合も上記発明が解決しようとする課題で記載したと同じである。
(3)体重測定
各週毎に小動物用体重計を用い、体重測定を行い、SHRラットの週齢、血圧変動と合わせ、SHRラットの確認指標とした。
(4)組織及び臓器重量
脂肪組織、肝臓及び心臓については、総重量を測定し、体重(g)当りのmg重量%として、EM摂取の影響について検討した。
(5)各脂質の薄層クロマトグラフィー(Thin-layer-chromatography :以下、「TLC」という。)
血漿、心筋、肝臓及び脂肪組織について、一定量の脂質を分離し、TLCによる定性を試みた。リン脂質の展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(65:25:4、v/v/v)を用い、また、中性脂質展開溶媒はヘプタレー、石油エーテル、エーテル、酢酸(60:20:20:1、v/v/v/v)を用いた。
【0016】
2.実験成果
(1)脂肪並びに各臓器に対するEM摂取の影響
上記図41に示されるように、EM摂取による体重増加が認められることから、肝臓、心臓及び脂肪組織の単位体重比(%mg/g、あるいは%g/g)を求めた。
(1A)図1は、体重当りの肝臓重量比(%g/g)である。この図から明らかなように、EM摂取により、肝臓重量比に変化が認められた。通常であれば、体重当りの肝臓重量比は一定しているが、EM摂取群では0.3%摂取で肝臓重量比が大きく、1%及び3%摂取群ではこの比が小さくなった。これらの変化は統計学的にも有意な差であった(p<0.05)。
(1B)図2は、体重当りの心臓重量比(%mg/g)である。この図から明らかなように、心臓重量は0.3%EM摂取で変化はなかったが、1.0及び3.0%EM摂取では心臓重量が大きく、いずれも統計学的に有意であった(p<0.05)。
(1C)図3は、体重当りの脂肪組織比(%mg/g)である。この図から明らかなように、脂肪組織は0.3〜3.0%EM摂取のいずれの群においても有意に増加していた(p<0.05)。
【0017】
(2)TLC上から見た各脂質の変動
(2A1)血清脂質(以下、「Plasma lipids 」という場合がある。)の変化
図4は、それぞれの0.5mlのplasma lipids を分離したTLCを示している。PE(Phosphatidyl Ethanolamine )及びPC(Phosphatidyl Croline)を中心とする膜系の脂質(細胞構成脂質)として存在するリン脂質では、ほとんど変化が認められないが、TG(Triglyceride)では1.0%及び3.0%EM摂取で明らかな減少が認められた。しかし、血清FFA(Plasma Free Fatty Acids )には大差は認められていない。
(2A2)赤血球膜脂質の変化
図5には、一定量の赤血球膜脂質を分離したTLC状態が示されている。この図から明らかなように、EM摂取群ではいずれもPE及びPCに増加が観察され、赤血球膜脂質への影響が認められた。
(2B)肝臓組織脂質における変化
図6には、同量の肝組織における各脂質のTLCが示されている。肝臓脂質では1.0及び3.0%EM摂取でFFAの増加と、カルジオリピン(Cardiolipin ;CL)の増加が認められた。この増加を定性的に見ると、図7に示されるように、EM摂取量に依存していた。この結果は、EM摂取が肝での脂質利用を促進していることを示している。
(2C)心筋脂質における変化
図8には、同量の心筋組織における各脂質のTLCが示されている。この図から明らかなように、心筋ではEM摂取により、FFAの増加とCLの増加とが平行して認められた。さらに1.0及び3.0%EM摂取では他のリン脂質(PE,PC)にも増加が出現していた。したがって、心筋ではミトコンドリアの増加を伴い、脂質利用が促進しているといえる。
(2D)骨格筋脂質における変化
図9には、同量の骨格筋脂質のTLCが示されている。この図から明らかなように、骨格筋脂質では、上記図8の心筋で認められたような減少はなかった。しかし1%及び3%EM摂取ではTGの減少が認められ、PCが増加していた。
(2E)脂肪組織脂質における変化
図10には、同量の脂肪組織における各脂質のTLCが示されている。この図から明らかなように、脂肪組織では、0.3、1.0及び3.0%EM摂取により、TG含有量が増加していた。特に1%及び3.0%EMの脂肪組織では、FFAの増加も確認された。
【0018】
3.実験の考察
EMの直接的作用については、既に培養細胞並びに傷害部位への貼布によりその効果は実証されてきている。しかし、EMの摂取では、一般のプロテインの消化・吸収となるため、その最終産物はアミノ酸となり、肝臓でのプロテインの再合成の経過を辿る。このような経過の中では主に肝臓でのDNAによる働きとなるため、特別な作用をもつプロテインの合成が生じることは考えにくい。しかしながら、現実にはヒトでのEM摂取では、本出願人による特願2004−367050号明細書に開示されているように、長距離選手の障害発生がおよそ50%減少し、その後全く障害発生の発現しない選手もあった。またこれらのスポーツ選手が好んでコラーゲンスープや動物の靭帯や腱などを摂取することも知られている事実である。したがって、EM摂取が全く無意味であれば上述の効果はない。しかし何らかの変化が生じているとすると、そのメカニズムが存在しているはずである。
ところで、EM摂取を0.3%、1.0%及び3.0%とすると肝臓重量は0.3%摂取で増加したが、1.0及び3.0%EM摂取では減少した(図1参照)。さらに心臓では、1.0%及び3.0%EM摂取で増加した(図2参照)。これらの結果は、EMの摂取がプロテインとしての栄養学的背景をもっていることを示唆している。特に心臓での変化はEM摂取による血圧上昇を支持する結果であり、その理由は不明としても、結果的に心臓の収縮力を高める働きをもつと考えられる。さらに脂肪組織では、EM摂取による脂肪組織代謝を動員していることを示し、TG含有量及び脂肪組織量の増加は体重増加に反映されているものと考えられる。これらのことから、
(1)EM摂取による脂質代謝亢進の影響は少なくとも血清脂質(plasma lipids )に反映されているといえる(図4参照)。Plasma lipids ではTGの低下とFFAの増加が逆転して出現しているので、EM摂取はAdepose tissue TGの脂肪分解(lipolysis )を高めていると考えられる。Adepose tissue TLC上にも、1%及び3%EM摂取でFFAの増加が生じていた(図9参照)。このようなFFA−TG cycleから見れば、心臓、肝臓、骨格筋TGでの増加となるが、これらのTGは図6、図7及び図8に示したように逆に低下となり、plasma TGの低下も肝臓TGの低下に依存している現象と考えられる。
(2)これらのplasma lipids の変化は赤血球膜脂質にも影響し、EMの摂取はPE及びPCの増加をもたらしていた(図5参照)。このような変化は赤血球膜の柔らかさに関係するため、その理由は明らかではないが、プラスの要因といえる。
(3)組織Cardiolipin (CL)は、CLがミトコンドリアに限局して存在するため、ミトコンドリア量の変化を表わすと考えられる。EM摂取では図6,7に示したように、肝臓、心筋CLの増加を招来した。このようなCLの増加はエネルギー産生工場の増加であり、より多くの脂質利用につながる。心筋並びに肝臓FFAの増加は、それだけ多くの脂肪(FFA)をエネルギー産生に用いている証拠である。
【0019】
4.実験のまとめ
(1)EM摂取では臓器,組織重量への影響が認められた。肝では0.3%EMで増加したが、1及び3%では逆に減少した。心臓では、1%及び3%で増加が認められ、いずれも統計学的に有意であった(それぞれ、p<0.05)。また脂肪組織ではEM摂取により有意な増加となった(p<0.05)。しかし、これらの変化にはEM濃度の依存性はなかった。
(2)Plasma lipids ではEM摂取によりTGの減少が認められ、Plasma FFAは増加していた。このとき、赤血球膜脂質ではPE及びPCの増加がそれぞれ生じていた。
(3)心筋、肝及び骨格筋ではTGの減少が認められ、FFAの増加が観察された。
(4)心筋及び肝ではCardiolipin の増加がおこり、ミトコンドリアの増加があった。 以上のように、EM摂取では脂質の動員と共に脂質の利用を亢進するためのシステムが形成されていることが明らかとなった。
【0020】
次に、脂肪組織に対するEM摂取の影響について説明する。上述のように、EMの摂取が脂肪代謝に大きく影響し、Plasma lipids への効果も発現していた。この脂肪代謝の中心的基盤は脂肪組織にあり、Plasma lipids に変化が生じたとすれば、その基盤を成す脂肪組織においても影響を及ぼしているはずである。そこで脂肪組織へのEM摂取の影響についてさらに検討した。
【0021】
1.実験方法
実験に供した実験動物(SHRラット)及び実験に供した資料等は上述と同様である。
【0022】
2.実験の成果
(1)脂肪組織の脂質
図11には、脂肪組織の脂質をTLCで分離した結果が示されている。この図から明らかなように、脂肪組織の中心的脂肪はTG(Triglyceride)である。このTGはおよそ85%で、その他にFFAやTPL(総リン脂質(Total phospholipids )があるが、その量は極めて少ない。脂肪の分解が盛んになるとFFAが多くなり、TGは減少し、脂肪の分解が低下することになる。あらゆる脂質代謝の基盤は、この脂肪が分解されることによって始まる。EMの摂取量の影響はこの図からだけでははっきりしていない。そこで、これらの分画をかき取り、以下にその定量による量的比較を行うこととした。
【0023】
(2)脂肪組織TGにおけるEMの影響
図12には、脂肪組織TGの量的変化と脂肪酸組成率の変化について示されている。この図から明らかなように、量的変化では0.3%EM摂取では変化はなかったが、1.0%ではTGの有意な増加がおこり、3%EM摂取では逆に有意な減少となった。
一方、脂肪酸組成率の立場からみると、0.3%EM摂取でも脂肪酸組成率(オレイン酸(C18:1)は増加(↑),リノール酸(C18:2)は減少(↓))の変化がおき、1.0%並びに3.0%EM摂取では徐々にC18:1の組成率が低下していた。このように量的変化では明らかでなくとも、脂肪酸組成率の立場からみると、EMの明らかな影響が存在していることが分かる。したがって、EM摂取は脂肪組織TGの分解並びに合成に関して影響を与えていることになる。
【0024】
(3)脂肪組織FFAにおけるEMの影響
図13には、脂肪組織FFAに対するEMの影響について示されている。この脂肪組織FFAは脂肪組織TGが分解したことを示す物質である。したがって、このTGとFFAとの間には拮抗関係が成立している。しかし、EM摂取ではいずれの濃度においてもFFAの有意な減少がおこり、特に1%EM摂取ではその傾向がさらに明確となっていた。したがって、EM摂取の影響としては、脂肪組織TGの分解というよりは細胞内FFAを血液中へ送り出すことに大きな働きが存在していると思われる。しかし、3%EM摂取では脂肪酸組成率(パルミチン酸(C16)リノール酸(C18:2))が急に逆転していることを考慮すると、この濃度では何らかの別の作用が生じていると考えられる。
【0025】
(4)脂肪組織総リン脂質(TPL)におけるEMの影響
脂肪組織総リン脂質(TPL)は脂肪細胞に種々な膜構成脂質である。したがって、この変化は脂肪細胞膜成分に生じている変化と解釈される。図14には、EM摂取による脂肪組織TPLの変化が示されている。この図から明らかなように、EMを摂取することで脂肪組織TPLがおよそ50%に減少している。しかし、EM摂取量との関係はなかった。したがってEM摂取が何らかの形で脂肪細胞へ影響を与えていることは確かである。
一方、脂肪酸組成率の立場からみると、特にパルミチン酸(C16),リノール酸(C18:2)に有意な変化が発現しており、EMが細胞膜上への何らかの作用を引き起こしていると考えられる。しかし3%EMの場合、その作用は0.3%及び1.0%とは異なっている。またこのような脂肪酸組成率の変化は、上記図13に示される脂肪組織FFAに起きている変化と類似しており、脂肪細胞からFFA分泌に関する働きと考えられる。
【0026】
3.実験の考察
(1)EM摂取は脂肪組織代謝に影響を与えている。
EM摂取ではEMが消化されることになるので、その分解産物は全てアミノ酸となる。この経過では他のプロテインと違いはないはずで、EM摂取の特異性は考えられない。しかし、これまで報告してきたように、Plasma lipidに変化が生じた変化を考慮すると、EM摂取が何らかの形で作用していると言わざるを得ない。
その一つの証明が脂肪組織に与えている影響である。上記図12に示したように、3.0%EM摂取では確かに脂肪組織TGが減少していた。1%EM摂取では逆に増加となっていたので、TGの分解と合成が盛んとなっていることは予測できる。特に脂肪酸組成率が変化していることを考慮すると、これらの合成分解が亢進している結果と言える。しかし、EM摂取後にそのプロテインの何がこのような現象を引き起こしているかは明らかではなく、今後の研究が必要である。
【0027】
(2)EMは脂肪組織FFAの分泌を促進している。
図13及び図14に示した結果は、脂肪組織FFAの減少とこれに伴う細胞構成脂質の減少であった。これらの結果はいずれも脂肪細胞からFFAが分泌されることによる変化と考えられ、この一つの要因はこれらの脂肪酸組成率(C16,C18:2)変化と類似的変化にあると考えられる。脂肪組織TGの変化と比較するときわめて著しい変化であり、EM摂取全ての群で共通して出現していた。これらの結果からみると、EMは脂肪細胞膜面に作用し、脂肪酸細胞からのFFA分泌の促進に大きく作用している働きと考えられる。
【0028】
4.実験のまとめ
(1)EM摂取により、脂肪組織/体重比は、いずれの群でも有意に大きくなった。
(2)しかし、脂肪組織TG含有量は0.3%EM摂取で変化はなく、1%EMでは有意な増加となった。しかし、3%EM摂取では逆に有意な減少が出現していた。EM摂取では、EM摂取量と関係なく、脂肪酸組成率(C18:1,C18:2)に拮抗的な変動が出現していた。
(3)脂肪組織FFAはEM摂取により有意な減少となったが、EM摂取量には依存していなかった。脂肪酸組成率(C16,C18:2)には拮抗的変化が出現していたが、3%EM摂取では0.3%及び1.0%EMとは異なっていた。
(4)脂肪組織TPLにはEM摂取により著しい低下が発現していた。しかしEM摂取量には依存していなかった。これらの脂肪酸組成率(C16,C18:2)にも拮抗的変化が出現し、脂肪組織FFAの脂肪酸組成率の変化と類似した変化を示した。
これらのことから、EM摂取が脂肪組織での脂肪分解・合成に関与し、特に脂肪組織FFAの分泌に深く関係していることが予測され、その一つの要因にTPLの量的質的変化が関係していることが明らかとなった。
【0029】
次に、EM摂取による肝組織脂質の変化について説明する。
【0030】
1.実験方法
(1)実験に供した実験動物(SHRラット)及び実験に供した資料等は上述と同じである。
(2)脂質の抽出・分離・定量
血清(Plasma)及び組織脂質の抽出には、ホルチ(Folch )方法を用いた。これらの脂質をTLCによりCE,TG,FFA,TPL,PE,CL,PCに分離し、それぞれの脂肪酸の種類並びに総脂肪酸量をガスクロマトグラフィーにより定量した。これらの脂肪酸量から各脂質量並びに脂肪酸組成率の変化について検討した。
【0031】
2.実験の成果
肝臓組織脂質でみられるEMの効果について
(2a)CL(Cardiolipin )の変化
定性的にはEM摂取によってCLの増加が生じていた。図15は、その結果を定量的にまとめたグラフである。肝CLはEMの添加量(%)に伴い、それぞれ有意な増加となっていた(それぞれ、p<0.05)。
【0032】
(2b)PE(Phosphatidylethanolamine)における変化
図16に肝PEにおける変化が示されている。この図から明らかなように、0.3%EMではPEの量的変化並びに脂肪酸組成率の変化は少なかったが、アラキドン酸(CC20:4)の増加とステアリン酸(C18:0)の変化が拮抗して認められ、いずれも統計学的には有意の変化であった(それぞれ、p<0.05)。しかし、1.0%及び3.0%EM群ではステアリン酸(C18:0)及びパルミチン酸(C16)に著しい変化が認められ、ステアリン酸に有意な増加がおこり、パルミチン酸は逆に有意な低下となった(それぞれ、p<0.05)。そして、これらの群では有意な肝PEの増加となり、EM量に比例して増加した。
【0033】
(2c)PC(Phosphatidylcholine )における変化
図17に肝PCにおける変化が示されている。この図から明らかなように、肝PCでは0.3%EM群でPCの低下が認められ、脂肪酸組成率にもパルミチン酸(C16)とステアリン酸(C18)との間で逆転が起きていた。しかしアラキドン酸(C20:4)には増加が認められ、この点はPEの結果と一致していた。1%及び3%EM群ではステアリン酸組成率(C18)が著しく増加し、肝PCにも有意な増加が起きていた(それぞれ、p<0.05)。
【0034】
(2d)肝TGの変化
図18に肝TGへのEMの影響について示されている。この図から明らかなように、肝TGへのEMの影響は0.3%EM群で認められ、統計学的にも有意な増加であった(p<0.05)。0.3%EM群の肝TG脂肪酸組成率ではリノール酸(C18:2)とパルミチン酸(C16)との組成率の逆転が生じ、脂肪代謝的にもTGの合成の促進となっていることが分かる。しかしながら、1.0%及び3.0%EM群ではリノール酸組成率の増加が認められたが(p<0.05)、肝TG量にはほとんど変化はなかった。
【0035】
(2e)肝FFAの変化
図19には、肝FFAへのEMの影響について示されている。この図から明らかなように、0.3%及び1.0%EM群で肝FFAの有意な低下が発現していた(それぞれ、p<0.05)。しかし、3%EM群では逆に増加し、Control 群と同水準となった。脂肪酸の組成率では1%EM群でリノール酸(C18:2)とパルミチン酸(C16)との逆転が生じていることから、1%及び3%EMでは何らかの質的変化が生じていると考えられ、EMの影響が出現していると言える。
【0036】
3.実験の考察
(1)EM摂取の効果
SHRラットに0.3%、1%及び3%EM固形食を4週間与えると、体重の増加と肝臓重量の増減が認められた。したがって、通常であれば全てのプロテインはアミノ酸まで分解され、EMといっても通常の蛋白食摂取と変わらないことになる。しかし、体重及び肝重量にこのような差が出現していることを考慮すると、通常のプロテイン摂取とは異なった作用を引き起こしていると言える。この作用がどのようなアミノ酸によるものかは現在のところ明らかではないが、キューピー(株)研究所の分析に基づくと、プロリン(prolin)の含有が特徴的かと思われる。
【0037】
(2)EM摂取による肝臓脂質の変化
組織脂質には構造脂質と機能脂質があり、いわゆるリン脂質(PE,PC,CL)は構造脂質であり、これらの増減は、細胞並びに細胞内構造物の増減を意味している。このうちCLはミトコンドリア内膜に局在する物質であるため、この変化はミトコンドリアの増減を示す。
【0038】
(2a)CLに生じた変化
肝CLは図15に示したようにEM摂取によりそれぞれ有意な増加となった。この増加は0.3%<1%<3%EM群の順位となり、EMの摂取量に依存し、細胞内ミトコンドリアが増加したことを意味している。このような変化は生命エネルギー(ATP生成)工場の増加を示し、エネルギー生産を高め、いきいきとなる根元と思われる。特に、高齢化するとミトコンドリアも減少し、このことが活力の低下につながる。このことを考えるとEMのこのような働きは老化防止作用をもつと考えてもよい。
【0039】
(2b)PE,PCに生じる変化
PE,PCは膜系の脂質(細胞構成脂質)として存在するため、もしミトコンドリアが増加するとすれば、CLの増加に伴い、PE,PCにも増加が生じていなければならない。CLの変化ほど明確ではないが、図16及び図17に示したように、EM量に依存した増加を示した。したがって、PE,PCのこのような変化はやはりミトコンドリアの増加に関する変化と言える。これらの変化が確かに生じている証拠は脂肪酸組成率の有意な変化にも認められ、これらの結果はEM摂取によりPE,PCの合成が促進されていることを支持している。
【0040】
(2c)肝TG,FFAの変化
0.3%EMの摂取では、図18及び図19に示したように、肝TGの著しい増加とFFAの低下が出現していた。このような変化は、0.3%EM摂取が肝機能面としてのTG合成を促進している結果である。
ところが、1.0%並びに3.0%EM摂取では、このような減少は認められず、肝TGの有意な低下と、図15及び図16に示したように、PE,PC及びLCの有意な増加となっていた。このような結果からみると、TGとリン脂質合成は同一の代謝経路上にあり、いずれもDG(Diglyceride )を中心にTGあるいはリン脂質(PE,PC,CL)合成に傾き、高濃度(1.0%及び3.0%)では構造脂質合成に傾いていると考えられる。
【0041】
4.実験のまとめ
(1)EMの摂取ではミトコンドリア内膜に局在するCLの増加をひきおこし、0.3%<1.0%<3.0%EMに順じた有意な増加を示した。
(2)肝PE,PCの変化は0.3%EM摂取で低下するものの、1%及び3%EM摂取では、それぞれ有意な増加となった。
(3)肝TG及びFFAでは、0.3%EM摂取で肝TGの有意な増加とFFAの有意な減少が認められた。しかし、1%並びに3%EMではいずれも肝TGの低下となった。 これらのことから、EM摂取では低濃度、高濃度での作用が異なり、低濃度(0.3%)ではTG合成、高濃度ではPE,PC,CLなどリン脂質合成に作用している。特にCLの増加は生命エネルギー生産工場の増加を意味し、活力の源を与える変化である。
【0042】
次に血清脂質(Plasma lipids )に対するEMの効果について説明する。
1.実験方法
実験に供した実験動物(SHRラット)及び実験に供した資料等は上述と同じである。
【0043】
2.実験の成果
(1)フローサイトメトリー(Flow cytometry)による血清粒子(Plasma粒子)の確認 図20には、EM摂取後4週目のPlasma粒子像を示した。グラフ上のY軸(横軸)は粒子の大きさを示し、X軸(縦軸)はそれぞれの粒子の構造変化を示している。このような観点からみると、0.3%EMではそれほど著しい変化はないが、1.0%及び3.0%EM摂取では粒子が小さくなり(Y軸が低い)、粒子の構造変化が大きく(X軸が広がる)なっていることが明らかである。このような結果は、EM摂取がPlasma粒子に変化を与え、少なくとも代謝的変化を引き起こしていると推測することができる。
【0044】
(2)Plasma lipids のTLC(薄層クロマトグラフィー)
Plasma lipids をTLCで分離すると、図21に示されるように、CE(Cholesterolester)、TG(Triglyceride)、FFA(Free fatty Acids)、CH(cholestrol)及びTPL(総リン脂質(Total phospholipids ))に分けられる。この図においてCEとTGとの間には不明のスポットが認められ、これは現在のところ何の物質か不明(unknown )であるため、ここではUK物質として取り扱うこととする。そこでこれらの個々の物質について、量的,質的変化を検討し、EM摂取の影響を明らかにする。
【0045】
(3)Plasma CEにおける変化
図22には、Plasma CEにおける変化が示されている。この図から明らかなように、量的変化(棒グラフ)ではEM摂取による影響はほとんど認められなかった。しかし、脂肪酸組成率(折れ線グラフ)では1.0%及び3.0%EM摂取により、アラキドン酸(C20:4)に著しい増加が観察された。このような変化は、LCAT(Lecithin-cholesterol Acyltransferase)によるコレステロール処理が著しく進んでいることを示している。
【0046】
(4)Plasma TPLにおける変化
LCATの働きはPlasma PC(phosphatidylcholine )を中心に展開されるため、Plasma 総リン脂質を測定した。この測定結果が図23に示されている。この図から明らかなように、EM摂取では図中の矢印に示したように明らかにアラキドン酸(C20:4)の低下が生じていた。さらにPlasma TPLの量的変化をみると、図24に示されるように、Plasma TPLの有意な低下が観察され、TPLでのアラキドン酸(C20:4)がPlasma CEのアラキドン酸へ転移していることが明らかである。そこで、Plasma CEのアラキドン酸組成率(%)とPlasma TPLとの関係を求めた。その結果が図25に示されている。この図によると、これらの間には負の相関関係が成立し、EMがLCAT活性を高め、コレステロール処理に働いていることがわかる。
【0047】
(5)Plasma TGにおける変化
図26には、Plasma TGのガスクロマトグラフィーが示されている。この図から明らかなように、0.3%EM摂取ではPlasma TGの増加となったが、1.0%及び3.0%EM摂取では逆にPlasma TGの低下となり、特に3%EM摂取ではその傾向が著しかった。図27には、これらの量的変化がまとめられている。この図から明らかなように、定性的定量と同様の結果が得られ、やはり1.0%及び3.0%EM摂取では著しいTG低下が認められた。同時にPlasma TGの脂肪酸組成率の変化にも明らかな傾向が認められ、EM摂取ではリノール酸組成(C18:2)の減少を生じていた。
【0048】
(6)Plasma FFAにおける変化
Plasma FFAは脂肪組織TGの分解に依存する遊離脂肪酸(FFA)である。EMを摂取すると、図28に示されるように、Plasma FFAの増加が認められる。この増加はEMの濃度に依存し、3%EM摂取ではおよそ1.5倍の増加となった。したがってEMの摂取は脂肪を分解していることになる。脂肪酸組成率にも変化があることからもこの点は支持される。
【0049】
(7)Plasma UK物質における変化
図29には、Plasma UK物質に認められた変化が示されている。この図から明らかなように、EM摂取ではこのUK物質が徐々に増加し、3.0%EM摂取で最も高い値となった。したがってこの物質の産生はEMに依存していることは確かであるが、どのような物質で、どのような働きをしているか不明である。
【0050】
3.実験の考察
(1)Flow cytometry によるPlasma粒子像の意義
EMを摂取すると、Plasma粒子に確かな変化が生じていた(図20参照)。その変化の方向はEM摂取によってPlasma粒子が小さくなり、同時に構造変化を伴うことであった。内因性のリポプロテイン(lipoproteins)について考えると、VLDL→VHDLへの変化が存在し、この経過はEMがHDL上にはLCAT(lecithin-cholesterol Acyl transferase )の酵素があり、HDLの増加はこのLCAT活性の活性化を意味する。したがって、この粒子像の変化は主にlipoproteinsに生じている現象と解釈して良いと思われる。
【0051】
(2)EM摂取はLCAT活性を高める
上記図22に示したように、EM摂取ではCEの量的変化はないが、その脂肪酸組成となるアラキドン酸(C20:4)に著しい増加を示し、LCATが作用していることを示している。この反応はPlasma PCを介して行われるため、上記図23及び図24に示したようにPlasma TPLでは逆に著しいアラキドン酸の低下が認められ、EMがこの反応(LCAT)を促進させていることがわかる。したがって、上記図25にまとめたようにCEのアラキドン酸組成率(%)とPlasma TPLとの間に負の関係が成立し、EMがCE−TPL間におけるLCAT反応を促進させていることが明確である。
【0052】
(3)EM摂取はPlasma TGを低下させる
Plasma TGは内因性脂質であり、その合成は肝臓に由来する。上記図26及び図27に示したように、0.3%EM摂取ではPlasma TGが著しく増加し、このとき肝臓TGは上述したように0.3%EM摂取で増加していた。しかし、1%及び3%EM摂取では著しいPlasma TGの現象となり、このときの肝臓TGにも現象が認められた。これらの結果からみると、EM摂取でもその濃度による作用が異なり、1%以上であればPlasma TGを減少させる。この背景には肝臓TG合成が抑えられている現象がある。
【0053】
(4)EMは脂肪分解を促進している
Plasma FFAの量的変化は脂肪組織TGの分解を反映している。図28に示したように、EMの摂取ではその濃度に依存したPlasma FFAの増加が認められた。この増加は脂肪組織TGに由来するため、EMの摂取は脂肪分解(lipolysis )を促進していることになる。
【0054】
4.実験のまとめ
(1)0.3%、1.0%及び3.0%EM投与のラットのPlasma粒子をflow cytometryにより分析すると、濃度に依存し、Plasma粒子は小さくなり、より複雑な構造変化を引き起こしていることが明らかとなった。
(2)Plasmaコレストロールエステルでは量的変化はなかったが、1%及び3%EM摂取で、アラキドン酸組成率(C20:4)が著しく増加していた。このような背景にはPlasma TPLのアラキドン酸が関係し、Plasma TPLとPlasma CEのアラキドン酸組成率との間には有意で負の相関関係が成立していた。これらのことから、EMがLCATを高めていることが明らかとなった。
(3)Plasma TGは0.3%EM摂取で増加したが、1%及び3%EM摂取では逆に著しい低下となり、EM濃度により作用が異なっていた。このようなPlasma TGの変化は肝臓TGの低下によることが明らかとなった。
(4)EM摂取は脂肪組織での脂肪分解(lipolysis )を高め、その結果としてEM摂取に依存したPlasma FFAの有意な増加が発現していた。
これらのことから、これまでの実験経過(研究経過)とは異なり、EMの摂取では脂肪動員の作用が認められ、その効果は1%及び3%で著しく高まることが明らかとなった。
【0055】
次に心筋脂質におけるEM摂取の影響について説明する。
1.実験方法
実験に供した実験動物(SHRラット)及び実験に供した資料等は上述と同じである。
【0056】
2.実験の成果
(1)SHRラット心臓/体重比について
図30には、EM摂取による心臓重量比(心臓重量/体重)について示されている。この図から明らかなように、0.3%EM摂取では心臓重量比の変化はなかった。1%及び3%EM摂取では有意に心臓重量比が大きくなった。体重差はなかったので、これらのEM量(1.0%及び3.0%)では心臓が大きくなっていることを示す。EMのこのような影響は少なくともこの濃度で代謝的変化が生じ高血圧という機能に応じた構造変化を引き起こしていることを示している。
【0057】
(2)心筋トリグリセリド(TG)におけるEM摂取の影響
SHRラットの心筋TGは、図31に示されるように、いずれの群においても著しく少なく、高血圧ラットとしての心臓代謝に依存しているのではないかと思われる。EM摂取では0.3%EM濃度で心筋TGの著しい増加が認められた。しかし1.0%及び3.0%EMではコントロール群(O)より増加しているものの、0.3%EM摂取群より少ない値となった。このような現象は肝臓TGでも発現しており、EM量に依存する現象とすれば、0.3%EM摂取に特徴があると言える。
【0058】
(3)心筋カルジオリピン(CL)におけるEMの影響
図32は、心筋CLにおけるEMの影響について示している。CLはミトコンドリア内膜に局在する物質であるため、この変化はミトコンドリアの量的,質的変化を表わしている。心筋CLは0.3%EM摂取で著しい増加を示し、およそ2倍の値に達した。しかし、1.0%,3.0%とEM量を増加させてもCLの増加は発現しなかった。CLの脂肪酸組成率(C18:2,C16)の間にはEM濃度による拮抗関係が生じていることから、ミトコンドリアCL自体の合成,分解にもEMが影響を及ぼしている。このような変化は心筋TGと類似した変化であり、TGの多くなることと、このTGを利用するためのミトコンドリアとの関係が存在しているように思われる。
【0059】
(4)各組織TG並びにCLにおける相互関係
各条件下における骨格筋(Muscle),心筋(Heart )及び肝(Liver )のTGとCLとの関係が図33にまとめられている。この図から明らかなように、各臓器特性もあるが、TG含有量とCLとの関係をみると、これらの間には有意な関係が成立していた。したがって、0.3%EM摂取のようにTG含有量が増加すると、これを利用するためミトコンドリア量やその活性が高まるためにCLの増加となっているはずである。
【0060】
(5)心筋PE並びにPCにおけるEM摂取の影響
PE(Phosphatidy ethanolamine)及びPC(Phosphatidylcholine )は細胞構成脂質といわれ、細胞膜構成の中心的物質である。この比率はPE:PC=1:2ぐらいの割合で存在し、PCに対し、PEでの変化が大きく出現する。
図34には心筋PEに対するEMの影響について示されている。この図から明らかなように、0.3%及び1.0%EM摂取では、それぞれPEの増加がおこり、脂肪酸組成率(C18,C18:2)についても拮抗的変化を示した。したがってEMがこのような膜構成脂質にも影響を与えていることは確かである。しかし3%EM摂取ではその傾向が0.3%及び1.0%EM摂取と異なることは、脂肪酸組成率の変化からも明らかである。 図35には、心筋PCのEMにおける影響が示されている。この図から明らかなように、上記PEとは異なり量的変化は生じていないと考えてもよい。しかし脂肪酸組成率をみると、0.3,1.0及び3.0%EM摂取群でC16,C18との間にそれぞれ逆転現象が出現し、EMが細胞膜成分としてのPCに代謝的変化を生じさせている。特に、1.0%及び3.0%EMでその影響が顕著に出現していた。これらの結果からみると、EMの摂取では単に代謝機能面(TG,CL)だけではなく、細胞構成成分としてのPC,PEの構成脂質においても質的変化を生じさせている。
【0061】
3.実験の考察
(1)EM摂取では心臓重量が増加する
図30に示したように、1%及び3%EM摂取では心臓重量比(心臓重量/体重)が大きくなった。これらの群では体重減少はないので、少なくともEM摂取により心臓重量が大きくなったと考えざるを得ない。
実験動物がSHRラットであることから、原因は明らかでないとしても、血圧上昇が起きることは確認できているので、これらの血圧上昇に耐え得る心臓肥大が生じてくることは予測できる。1%及び3%EM摂取では同じ血圧上昇に際して、心重量が増加する結果であり、血圧上昇に際した心臓肥大と言っても良い。その原因(メカニズム)は明らかではないが、血圧上昇の負荷に対応した心重量の増加と考えられ、ここにEMが関与していることになる。
【0062】
(2)EM摂取による心臓代謝の亢進
EM摂取では0.3%EM濃度で心筋TGの増加と心筋CLの有意な増加が発現していた。心筋代謝における脂質利用は周知の事実であるが、0.3%EM摂取によりこの脂質利用が亢進し、TGの増加はこの脂質利用を反映していると考えられる。脂質の利用はミトコンドリア内に限定されるため、このTG増加に際しては細胞内ミトコンドリアのCL増加となり、エネルギー産生も同時に高め、より脂質を利用できる状態を形成していると言える。これを支持する結果が図33のTG−CL関係である。各臓器・組織におけるTG,CL含有量の関係をみると、これらの間に比例関係が成立している。したがって、0.3%EM摂取は心臓での脂質利用システムを形成している。しかし1.0%及び3.0%EMではこのような現象の発現はなく、現在のところその理由は明らかではない。
【0063】
(3)EM摂取の心筋構成脂質への影響
PE及びPCは細胞構成脂質であり、膜様構造物の主成分を成している。EM摂取ではPE,PCの量的変化は他の物質に比べ比較的少なかった(図34及び図35参照)。したがってこれらの構成要素を大きく変えるほどの変化は生じていない。しかしこれらの物質(PE,PC)の脂肪酸組成率をみると、EM摂取により脂肪酸組成率の変化、あるいは逆転が生じており(図34及び図35参照)、量的変化ではなく、これらの物質の質的変化が生じていることになる。この点はこれまでEM摂取によって生じる現象として知られていない現象であり、EM摂取に限定された現象かどうか明確にする必要がある。これが明らかとなれば、ここに挙げた現象がEM摂取の特徴としてとらえることができる。
【0064】
4.実験のまとめ
(1)EM摂取では1%及び3%EMで心臓重量比(心臓重量/体重)の増加が認められ、EMが形態的な変化も起こし得ることが明らかとなった。
(2)0.3%EM摂取では心筋TGが有意に増加し、同時に心筋CLにも増加が起きていた。脂質利用の立場からみると、0.3%EM摂取では脂質利用が亢進していることを示した。
(3)EM摂取では細胞構成脂質としてのPE及びPCには量的変化は生じていなかった。しかし、脂肪酸組成率をみると、脂肪酸組成の変化並びに逆転が発現し、EMがこれらの構成要素にも大きく影響していた。
これらの結果から、EM摂取ではそのメカニズムは明らかではないが、心筋の構成要素並びに脂質代謝に大きく作用した現象をもっていることは明らかとなった。
【0065】
次に骨格筋脂質におけるEM摂取の影響について説明する。
1.実験方法
実験に供した実験動物(SHRラット)及び実験に供した資料等は上述と同じである。
【0066】
2.実験の成果
(1)骨格筋脂質の薄層クロマトグラフィー(TLC)
図36には、一定量の骨格筋組織脂質のTLCが示されている。この図から明らかなように、骨格筋TGでは1.0及び3.0%EM摂取で低下した。3%EMではFFAが多くなっているが、0.3%及び1.0%EMではコントロール(O)に比べ少ない。リン脂質においてはPC(phosphatidylcholine )がEM摂取量に依存し、R値が移動していた。
【0067】
(2)骨格筋TGの変化
図37には、骨格筋TGにおけるEM摂取の影響について示されている。この図から明らかなように、0.3%EM摂取ではTGの有意な増加が認められた。しかし1.0%及び3.0%EMのようにEM摂取を増加させると、骨格筋TGは逆に有為な低下を示した。したがってEM摂取ではその濃度により作用が異なり、決して一方向性ではないことが分かる。脂肪酸組成率でもパルミチン酸(C16)とリノール酸(C18:2)の組成率に拮抗的な変化がおこり、1.0%EMで最も大きな変化となった。全体的な傾向からみれば、EM摂取ではリノール酸(C18:2)が増加する変化が生じているといえる。
【0068】
(3)骨格筋CLの変化
図38には、EM摂取による骨格筋CLの変化が示されている。この図から明らかなように、骨格筋CLはEM摂取により0.3%及び3.0%EMのそれぞれに有意な増加を示した。脂肪酸組成率の変化ではもっと明確な変化が認められ、リノール酸組成率(C18:2)はEM摂取量に依存した低下を示し、パルミチン酸組成率(C16)の拮抗的増加が発現していた。
CL(Cardiolipin )はミトコンドリア内膜に局在し、チトクロムC−オキシダーゼに結合しているため、この増加はミトコンドリアの増加と考えてもよい。したがってこの結果ではEM摂取では肝CLと同様にミトコンドリアを増加させ、脂質の利用を高める現象が引き起こされている。骨格筋全体でこのような変化が生じていることを考えると、この変化はきわめて重要である。
【0069】
(4)骨格筋PEの変化
図39には、EM摂取による骨格筋PE(Phosphatidylethanolamine)の変化が示されている。この図から明らかなように、0.3%EMではPEの有意な増加となったが、EM濃度が増加すると、逆に有意な低下となった。しかし、3%EMではステアリン酸(C18)とパルミチン酸(C16)の脂肪酸組成率が逆転し、PEの構造変化が起きた。
【0070】
(5)骨格筋PCの変化
図40には、EM摂取による骨格筋PC(Phosphatidylcholine )の変化が示されている。この図から明らかなように、0.3%EM摂取ではPCの有意な増加が認められた。また3.0%EMでも発現していることから、EM摂取はPC増加に寄与していると言える。同時にEM摂取ではステアリン酸組成率(C18)とパルミチン酸組成率(C16)に拮抗的変化が生じ、EM摂取によってPCの脂肪酸組成率が変化していることは確かである。さらにPCでは、アラキドン酸組成率(C20:4)の増加がEM濃度に伴って生じた。
【0071】
3.実験の考察
(1)EM摂取の影響は骨格筋脂質に生じたか
EM摂取ではこれまでの報告のように血清(Plasma)及び肝脂質でEM摂取影響が出現していた。心筋及び骨格筋はこれらの動員された脂質を生かし、利用する臓器であるため、その変化は従属的なものとなる。従属的変化であるとすると、骨格筋や心筋へのEM摂取の影響ではない。特に骨格筋は体重の60%余りを占める臓器であるため、従属的変化なのか、あるいは直接的影響なのかによりその意義も全く異なる。
しかし、図37に示されるように、骨格筋CLが増加すること、及び図38,40に示されるように脂肪酸組成の変化が濃度依存性を示すことなどの結果からみると、EM影響は従属的要因によるものではなく、骨格筋への直接影響を示している。この事柄はきわめて重要で、EM摂取が生体全体の骨格筋に対し、直接作用する働きをもっていることを示している。
【0072】
(2)EM摂取の影響はどのような働きとなって出現しているのか
EM摂取によって生じる骨格筋脂質での変化は大きく2つに分けられる。第1は細胞内TGを利用するシステムの変化であり、第2は細胞構造の組成を変えている変化である。前者では細胞内ミトコンドリアを増加させ、図37,38にみられるようにTGを利用している現象である。すなわち、脂質の利用はミトコンドリアに限定されるので、どんなに動員されたとしても、その利用はミトコンデリア量によって決定される。EMはこのミトコンドリア量を増加させ(図38参照)、より多くの脂質利用(TG)ができるシステムを形成していることになる。
一方、骨格筋PE並びにPCは細胞構造脂質と言われ、何らかの細胞構造上の変化がおこれば、これらの物質の量的,質的変化が生じることになる。しかしこのような役割にあるため、これらの物質の変化はそれほど容易に発現する現象ではない。ところが、図39,図40に示したように、EM摂取では明らかに脂肪酸組成率の変化が認められ、EMが直接的に細胞構造物質へ影響していることが明らかとなった。この点は量的にも質的にも極めて重要で、細胞の構造的基盤に影響を与えている。特にPCにおけるアラキドン酸(C20:4)の増加はLCATへの供給源でもあり、この変化が全ての骨格筋で生じているとすると、その役割はきわめて意義深いものである。
【0073】
4.実験のまとめ
(1)骨格筋TGでは0.3%EM摂取で有意な増加が認められたが、1.0%、3.0%と増加させると、逆に有意なTG減少が起きた。これらの変化とともに脂肪酸組成率にも有意な変化が認められ、リノール酸組成率(C18:2)の増加が生じた。
(2)骨格筋CLでは0.3%EM摂取でCLの有意な増加が起き、3.0%EM摂取ではさらに増加した。脂肪酸組成率ではリノール酸(C18:2)の減少とパルミチン酸(C16)の増加が拮抗的に発現し、これらの変化はEM濃度に依存していた。
(3)細胞構造脂質としてのPE,PCでもEM摂取により量的,質的変化が生じた。0.3%EM摂取では骨格筋PE,PCに有意な増加が認められたが、これらの変化はEM濃度に依存していなかった。しかし脂肪酸組成率ではEM摂取により脂肪酸組成率の逆転(PE、C16とC18)、あるいは濃度依存性を示し、特にPCではアラキドン酸(C20:4)の組成率の増加が生じた。
以上のことから、EM摂取は骨格筋脂質に直接的影響を示し、構造的にも機能的にも変化を引き起こしていることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】SHRラットの体重当りの肝臓重量比を示すグラフである。
【図2】SHRラットの体重当りの心臓重量比を示すグラフである。
【図3】SHRラットの体重当りの脂肪組織重量比を示すグラフである。
【図4】血清の変化を示す図である。
【図5】赤血球膜脂質の変化を示す図である。
【図6】肝臓脂質の変化を示す図である。
【図7】EM摂取と肝CLとの関係を示す図である。
【図8】心筋脂質の変化を示す図である。
【図9】骨格筋脂質の変化を示す図である。
【図10】脂肪組織脂質の変化を示す図である。
【図11】脂肪組織のTLCを示す図である。
【図12】脂肪組織TGの変化を示すグラフである。
【図13】脂肪組織FFAの変化を示すグラフである。
【図14】脂肪組織TPLの変化を示したグラフである。
【図15】肝CLを示すグラフである。
【図16】肝PEを示すグラフである。
【図17】肝PCを示すグラフである。
【図18】肝TGを示すグラフである。
【図19】肝FFAを示すグラフである。
【図20】血清(Plasma)粒子を示す図である。
【図21】血清(Plasma lipids )のTLCである。
【図22】血清(Plasma)CEの変化を示すグラフである。
【図23】血清(Plasma)TPLの変化を示すガスクロマトグラフィーである。
【図24】血清(Plasma)TPLの変化を示すグラフである。
【図25】血清(Plasma)TPLの血清CEとの関係を示すグラフである。
【図26】血清(Plasma)TGの変化を示すガスクロマトグラフィーである。
【図27】血清(Plasma)TGの変化を示すグラフである。
【図28】血清(Plasma)FFAの変化を示すグラフである。
【図29】血清(Plasma)UKの変化を示すグラフである。
【図30】心重量比を示すグラフである。
【図31】心筋TGを示すグラフである。
【図32】心筋CLを示すグラフである。
【図33】TG−CLの関係を示すグラフである。
【図34】心筋PEを示すグラフである。
【図35】心筋PCを示すグラフである。
【図36】骨格筋脂質のTLCを示す図である。
【図37】骨格筋TGの変化を示すグラフである。
【図38】骨格筋CLの変化を示すグラフである。
【図39】骨格筋PEの変化を示すグラフである。
【図40】骨格筋PCの変化を示すグラフである。
【図41】SHRラットの体重の変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻膜を有効成分として含有することを特徴とする脂質代謝亢進剤
【請求項2】
請求項1に記載の脂質代謝亢進剤において、卵殻膜は微粉砕処理されていることを特徴とする脂質代謝亢進剤。
【請求項3】
卵殻膜を有効成分として脂質代謝亢進機能を有することを特徴とする機能性食品。
【請求項4】
請求項3に記載の機能性食品において、卵殻膜は微粉砕処理されていることを特徴とする機能性食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図21】
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【図36】
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【公開番号】特開2006−213653(P2006−213653A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28474(P2005−28474)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(501303046)株式会社 アルマード (8)
【Fターム(参考)】