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脂質代謝改善剤
説明

脂質代謝改善剤

【課題】脂質代謝改善作用もしくは抗肥満作用を有する食品、医薬品または飼料を提供する。
【解決手段】エボジアミン類を有効成分として含有してなる、脂質代謝改善作用もしくは抗肥満作用を有する食品、医薬品または飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質代謝改善作用もしくは抗肥満作用を有する食品、医薬品または飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質代謝は、食品由来のトリグリセリドを主体とする脂肪を生体内で異化(分解)、同化(蓄積)する過程を指し、広義には脂質のエネルギー化反応、脂肪酸の生合成、アシルグリセロールの生合成、リン脂質の代謝、コレステロールの代謝等を含むものである。
肥満は、身体各部における脂肪組織に適正以上の脂肪が蓄積した状態を指し、高血圧、高脂血症、糖尿病、脳卒中、動脈硬化、心筋梗塞等と深い関係があることが知られている。
【0003】
抗肥満、すなわち肥満を治療または予防する方法としては、エネルギー摂取を抑える方法とエネルギー消費を促進する方法の2種類に大別される。前者の方法としては、砂糖や脂肪の代替物、こんにゃく等の食物繊維またはギムネマシルベスタ(特許文献1参照)等の吸収阻害物質もしくは食欲抑制物質の摂取または服用があげられる。後者の方法としては、運動すること、またはカプサイシン(特許文献2参照)もしくは大豆ペプチド(非特許文献1参照)等の脂質代謝改善剤の摂取もしくは服用があげられる。しかし、運動を継続して行うことは難しく、またカプサイシンは辛みのため摂取量に限度があることなどの問題がある。このため、効果的な脂質代謝改善剤の開発が望まれている。
【0004】
家畜、家禽または養殖魚に対しては、現在、成長の促進を企図して濃厚飼料が投与されているが、その結果、これらの家畜、家禽または養殖魚において脂質代謝異常が生じることがある。また、ペットにおいては、飼料の摂食過剰および運動不足等による肥満が問題になることがある。
エボジアミンは、生薬の一種であるミカン科のゴシュユ(呉茱萸)から得られる化合物である(非特許文献2参照)。
【0005】
エボジアミンの薬理作用としては、利尿作用、発汗作用の他、冷え症改善剤(特許文献3参照)、脳機能改善剤(特許文献4参照)、抗炎症性外用剤(特許文献5参照)、強心剤(特許文献6参照)、血管弛緩作用(非特許文献3参照)、鎮痛作用(非特許文献4参照)としての作用等が知られているが、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
【0006】
ルタエカルピン、デヒドロエボジアミン、ヒドロキシエボジアミンは、すべてエボジアミンと同様にゴシュユから得られる構造類似化合物である。また、生理活性も前者2化合物は、エボジアミンと同様に血管弛緩作用を有する(非特許文献5、6参照)。さらに、ルタエカルピンは、エボジアミンと同様に鎮痛作用を有する(非特許文献7参照)。しかし、上記3化合物はいずれにおいても、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
【0007】
ゴシュユ属(Evodia)に属する植物であるゴシュユ(Evodia rutaecarpa )は、一般に健胃剤、利尿剤、鎮痛剤として使用されるほか、育毛養毛食品(特許文献7参照)、ゴシュユ抽出液含有化粧料(特許文献8参照)、アルコール吸収抑制剤(特許文献9参照)、歯周病治療剤(特許文献10参照)としての作用等が知られている。しかし、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
【0008】
イヌザンショウ属(Fagara)に属する植物であるハザレア(F. rhetza)は、インドネシアの伝承薬用植物で、マラリア、下痢、嘔吐に効果があることが知られている(非特許文献8参照)。しかし、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
サンショウ属(Zantoxylum)に属する植物であるザントキシラム レツァ(Z. Rhetsa)、ザントキシラム バドランガ(Z. budrunga)は、細胞毒性があることが報告されている(非特許文献9参照)。しかし、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
【0009】
アラリオプシス属(Araliopsis)に属する植物であるアラリオプシス タボウエンシス(A. tabouensis)、アラリオプシス ソヤウキー(A. soyauxii)は、淋病に効果があることが知られている(非特許文献10参照)。しかし、脂質代謝改善または抗肥満の作用に関しては知られていない。
【特許文献1】特開平6-343421号公報
【特許文献2】特公平4-58303号公報
【特許文献3】特開平4-305527号公報
【特許文献4】特開昭63-287724号公報
【特許文献5】特開平6-312932号公報
【特許文献6】特開昭60-224622号公報
【特許文献7】特開昭61-1619号公報
【特許文献8】特開昭59-122414号公報
【特許文献9】特開平3-264534号公報
【特許文献10】特開昭62-148426号公報
【非特許文献1】大豆たん白質栄養研究会会誌, 13, 53-58 (1992)
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・ファーマシューティ カル・サイエンス(Journal of Pharmaceutical Sciences), 75, 612-613 (1986)
【非特許文献3】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology), 215, 277-283 (1992)
【非特許文献4】バイオロジカル・アンド・ファーマシューティカル・ブリティン(Biol. Pharm. Bull.), 20(3), 243-248 (1997)
【非特許文献5】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー, 257, 59-66 (1994)
【非特許文献6】ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J. Cardiovasc. Pharmacol.), 27(6), 845-853 (1996)
【非特許文献7】バイオロジカル・アンド・ファーマシューティカル・ブリティン, 20(3), 243-248 (1997)
【非特許文献8】ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブリティン(Chem. Pharm. Bull.), 40(9), 2325-2330 (1992)
【非特許文献9】ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.), 42(6), 697 (1979)
【非特許文献10】プランタ メディカ(Planta medica), 29, 310-317 (1976)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、脂質代謝改善作用もしくは抗肥満作用を有する食品、医薬品または飼料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式(I)
【0012】
【化9】

【0013】
[式中、
【0014】
【化10】


【0015】
【化11】

(式中、Rは水素またはヒドロキシを表し、Rは水素または低級アルキルを表すか、RとRが一緒になって結合を表す)、または
【0016】
【化12】

(式中、Rは低級アルキルを表す)を表し、nは
【0017】
【化13】


【0018】
【化14】

のとき0を表し、
【0019】
【化15】


【0020】
【化16】

のとき1を表し、Xは陰イオンを表す]で表される化合物またはその塩(以下、エボジアミン類と総称する)を有効成分として含有してなり、脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有する食品に関する。
【0021】
また、本発明は、エボジアミン類を有効成分として含有してなる脂質代謝改善剤または抗肥満剤、エボジアミン類の有効量を投与することからなる脂質代謝改善方法または抗肥満方法、脂質代謝改善または抗肥満に有用な薬理学的組成物の製造のためのエボジアミン類の使用、脂質代謝改善または抗肥満のためのエボジアミン類の使用、または薬理的に許容される担体と共に薬理的に許容される投与形態にある、有効量のエボジアミン類からなる脂質代謝改善または抗肥満のための組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、エボジアミン類を有効成分として含有してなり、脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有する飼料に関する。
また、本発明は、エボジアミン類を有効成分として含有してなり、脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有する飼料添加剤、エボジアミン類の有効量を投与することからなる動物の脂質代謝改善方法または抗肥満方法、脂質代謝改善または抗肥満に有用な飼料添加剤の製造のためのエボジアミン類の使用、動物の脂質代謝改善または抗肥満のためのエボジアミン類の使用、または薬理的に許容される担体と共に薬理的に許容される投与形態にある、有効量のエボジアミン類からなる動物の脂質代謝改善または抗肥満のための組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、脂質代謝改善作用もしくは抗肥満作用を有する食品、医薬品または飼料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
式(I)の各基の定義において、RまたはRの低級アルキルとしては、同一または異なって、直鎖または分枝状の炭素数1〜6の、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が、好ましくはメチルがあげられる。
【0025】
陰イオンとしては、水素イオン、ハロゲンイオン、無機酸由来の陰イオン、有機酸由来の陰イオン等があげられる。ハロゲンイオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等があげられる。無機酸由来の陰イオンとしては、例えば硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等があげられる。有機酸由来の陰イオンとしては、例えばギ酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、リン酸イオン、グルタミン酸等のカルボン酸由来の陰イオン等があげられる。
【0026】
塩としては、酸付加塩があげられ、例えば塩酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩があげられる。
式(I)で表される具体的なエボジアミン類としては、エボジアミン、ルタエカルピン、デヒドロエボジアミン、ヒドロキシエボジアミン等があげられる。
エボジアミンは、式(II)
【0027】
【化17】

【0028】
で示される化合物である。
エボジアミンは、市販品(キシダ化学株式会社製)を用いてもよいし、例えば特開昭52-77098、特公昭58-434[[(R,S)- エボジアミン]またはジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ・ケミカル・コミュニケーションズ(J. Chem. Soc. Chem. Commun.), 10, 1092-1093 (1982) [(S)-エボジアミン]に記載の化学合成法により、またはミカン科のゴシュユ属[ゴシュユ(Evodia rutaecarpa)、ホンゴシュユ(E. officinalis)、チョウセンゴシュユ(E. danielli)、ジュヨウシ(E. meliaefolia)等]、イヌザンショウ属[ハザレア(Fagararhetza)等]、サンショウ属[ザントキシラム レツァ(Zantoxylum rhetsa)、ザントキシラム バドランガ(Z.budrunga)、ザントキシラム フラバム(Z. flavum)等]、アラリオプシス属[アラリオプシス タボウエンシス(Araliopsis tabouensis)、アラリオプシス ソヤウキー(A.soyauxii)等]等のエボジアミンを含有する植物の植物体から、例えばジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス(Journal of Pharmaceutical Sciences), 75, 612-613 (1986)に記載の方法により調製し、これを用いてもよい。
【0029】
エボジアミンには光学異性体が存在し、化学合成法によればS体、R体の両方の異性体が、植物からはS体が得られる。本発明においては、S体、R体およびこれらの混合物のいずれの異性体を用いてもよいが、好ましくはS体のものが用いられる。
ルタエカルピンは式(III)
【0030】
【化18】

【0031】
で示される化合物である。
ルタエカルピンは、市販品(キシダ化学株式会社製)を用いてもよいし、例えば特開昭53-77100、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.), 50, 1246-1255 (1985)に記載の化学合成法により、またはミカン科のゴシュユ属(ゴシュユ、ジュヨウシ等)、イヌザンショウ属(ハザレア等)、サンショウ属[ザントキシラム レツァ、ザントキシラム リモネラ(Z.limonella)、ザントキシラム インテグリフォリオラム(Z. integrifoliolum)等]等のルタエカルピンを含有する植物の植物体から、例えばケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブリティン(Chem. Pharm. Bull.), 37, 1820-1822 (1989)]に記載の方法により調製し、これを用いてもよい。
【0032】
デヒドロエボジアミンは式(IV)
【0033】
【化19】

【0034】
で示される化合物である。
式中、Xは陰イオンを表し、陰イオンは上記と同義である。
デヒドロエボジアミンは、例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.), 50, 1246-1255 (1985)に記載の化学合成法により、またはミカン科のゴシュユ属(ゴシュユ、ジュヨウシ等)等のデヒドロエボジアミンを含有する植物の植物体から、例えばアメリカン・ジャーナル・オブ・チャイニーズ・メディシン(American Journal of Chinese Medicine), 10, 75-85 (1982)に記載の方法により調製し、これを用いてもよい。
【0035】
ヒドロキシエボジアミンは式(V)
【0036】
【化20】

【0037】
で示される化合物である。
ヒドロキシエボジアミンは、例えばミカン科のゴシュユ属(ゴシュユ等)、サンショウ属(ザントキシラム レツァ等)、アラリオプシス属(アラリオプシス タボウエンシス等)等のヒドロキシエボジアミンを含有する植物の植物体から、例えば薬学雑誌, 82, 619-626 (1962)に記載の方法により調製し、これを用いてもよい。
【0038】
本発明において、エボジアミン類は精製品または純品を用いてもよいが、食品、医薬品、飼料として不適当な不純物を含有しない限り、未精製または粗精製のエボジアミン類を用いてもよい。
未精製または粗精製のエボジアミン類としては、例えばエボジアミン類を含有する植物、好ましくはミカン科に属する植物、さらに好ましくはゴシュユ属(Evodia)、イヌザンショウ属(Fagara)、サンショウ属(Zanthoxylum)またはアラリオプシス属(Araliopsis)に属する植物の、葉、幹、樹皮、根、果実等の植物体、または該植物体から得られるエボジアミン類を含有する粉砕物、抽出物、粗製物または精製物があげられる。
【0039】
エボジアミン類を含有する植物の植物体としては、ゴシュユ、ハザレア、ザントキシラム レツァ、アラリオプシス タボウエンシスまたはジュヨウシ等の果実または樹皮または根皮が好適に用いられる。
エボジアミン類を含有する粉砕物は、エボジアミン類を含有する植物の植物体を乾燥後、粉砕することにより得ることができる。
【0040】
エボジアミン類を含有する抽出物は、該粉砕物を水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン等の親水性溶媒またはジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼン等の有機溶媒等を単独または組み合わせて用い、抽出することにより得ることができる。
【0041】
エボジアミン類の粗精製物または精製物は、該粉砕物または該抽出物をダイヤイオンHP-20(登録商標;三菱化学社製) 等のポーラスポリマー、セファデックスLH-20(登録商標;ファルマシアLKB バイオテクノロジー社製) 等のセファデックス、順相系シリカゲル、逆相系シリカゲル、ポリアミド、活性炭またはセルロース等を担体としたカラムクロマトグラフィーまたは分取高速液体クロマトグラフィーに付し、薄層クロマトグラフィー( 展開溶媒:95%メタノール、発色剤:5 %硫酸エタノール) で、目的成分を確認しながら分画精製することによりエボジアミン類を精製することができる。エボジアミン類の精製物または純品を得るためには、上記操作を適宜、組み合わせ、反復し、必要に応じて再結晶操作等を行うことが望ましい。
【0042】
本発明の食品は、食品原料、特にエボジアミン類を本来実質的に含有しない食品原料に、エボジアミン類を0.001%以上、好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.05%〜1%含有するようにエボジアミン類を純品、精製物、粗精製物等の形態または脂質代謝改善剤もしくは抗肥満剤の形態として添加し、一般的食品製造方法を用いることにより加工製造することができる。
【0043】
食品の種類としては、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、乳製品(バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ハンバーグ等)、魚肉練り製品(蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等)、卵製品(だし巻き、卵豆腐等)、菓子類(クッキー、ゼリー、スナック菓子)、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等があげられる。
【0044】
本発明の食品の形態としては、エボジアミン類を含有していれば冷凍食品、粉末食品、シート状食品、瓶詰食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル状食品、タブレット状食品等の形態の他、例えば蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等が配合された自然流動食、半消化栄養食および成分栄養食、ドリンク剤等の加工形態等、いずれの形態でもよい。
【0045】
本発明の食品は、健康食品、機能性食品として、ダイエット食品の他、脂肪肝、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病、心筋梗塞等の疾患の治療、予防または改善のために用いてもよい。この場合、エボジアミン類として1日当たり0.1〜2000mg経口摂取されるような加工食品であることが好ましい。
【0046】
本発明の脂質代謝改善剤または抗肥満剤は、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、腸溶剤、トローチ剤、注射剤、輸液等いずれの剤形のものでもよい。製剤の投与形態は特に限定されないが、例えば投与経路として、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与などをあげることができる。これらのうち、経口投与が好ましい。経口投与の場合は、エボジアミン類の純品、精製物、粗精製物等をそのまま投与してもよいが、医薬的に許容できる賦形剤とともに、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の形態で投与してもよい。賦形剤としては、ソルビトール、ラクトース、グルコース、乳糖、デキストリン、澱粉、結晶セルロース等の糖類、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、蒸留水、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等、一般に使用されているものであればいずれも用いることができる。製剤化する際には、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いることができる。注射剤としては、適当な緩衝剤、等張剤等を添加し、植物油等の油に溶解したものを用いることができる。
【0047】
投与量は、年齢、性別、疾患の程度、投与形態、投与回数、剤形等により異なるが、成人を対象とする経口投与の場合、有効成分であるエボジアミン類は、0.1〜2000mg/日を1〜4回に分けて投与するのが適当である。また、必要に応じて上記制限外の投与量を用いることもできる。
本発明の脂質代謝改善剤または抗肥満剤は、脂肪肝、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病、心筋梗塞等の疾患および肥満の治療および予防に用いることができる。
【0048】
本発明の飼料としては、哺乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類等の動物に対して脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有する飼料であればいずれでもよく、例えばイヌ、ネコ、ネズミ等のペット用飼料、ウシ、ブタ等の家畜用飼料、ニワトリ、七面鳥等の家禽用飼料、タイ、ハマチ等の養殖魚用飼料等があげられる。
本発明の飼料添加剤は、エボジアミン類を純品、精製物、粗精製物等の形態として用いてもよいし、エボジアミン類を含有する植物の植物体をそのまま、または該植物体から得られるエボジアミン類を含有する粉砕物、抽出物、粗精製物もしくは精製物として用いてもよい。該飼料添加剤は、必要に応じて、常法に従って混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工製造し、これを用いてもよい。
【0049】
本発明の飼料は、該飼料添加剤を飼料に配合して得られる。本発明の飼料添加剤の飼料中への配合量は、飼料の種類、当該飼料の摂取により期待する効果等に応じて適宜選択される。一般には、飼料原料、特にエボジアミン類を本来実質的に含有しない飼料原料に、エボジアミン類を0.001%以上、好ましくは0.01〜20 %、より好ましくは0.05%〜1%含有するように本発明の飼料添加剤を添加し、一般的飼料製造方法を用いることにより本発明の飼料を加工製造することができる。
試験例1 マウスの内臓脂肪に対する効果
エボジアミンを含有する飼料を用い、以下の実験を行った。
【0050】
C3H系雄マウス9週齢を、第1表の組成で調製したエボジアミンを添加しない飼料Aにて、8日間予備飼育した。予備飼育終了後、4頭ずつの2群に分け、一方の群(飼料Aの摂取群)のマウスに飼料Aを、他方の群(飼料Bの摂取群)に第1表の組成で調製したエボジアミンを添加した飼料Bを、それぞれ12日間与え、1日間絶食させた後、13日目に犠殺した。犠殺後、速やかに腎臓周囲および睾丸周囲の脂肪を摘出し、その重量を測定した。なお、試験期間中の飼料摂取量は毎日測定した。
【0051】
【表1】

結果を第2表に示す。
【0052】
【表2】


脂肪量について、飼料Bの摂取群は、飼料Aの摂取群に比べ、腎周囲において有意に減少した。また、睾丸周囲脂肪量も飼料Bの摂取群で減少傾向を示した。飼料摂取量は両群間に有意な差はなく、嗜好上の問題はなかった。このように、エボジアミンは脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有するものであった。
試験例2 ラットの体重、内臓脂肪、脂肪分解に対する効果
参考例1で調製したゴシュユ抽出物を含有する飼料を用い、以下の実験を行った。
【0053】
SD系雄ラット4週齢を、第3表の組成で調製したゴシュユ抽出物を添加しない低脂肪飼料Cにて、7日間予備飼育した。予備飼育終了後、体重に有意差のない3頭を1組として9組に分けた。各組の1頭には1日絶食後、ゴシュユ抽出物を添加した高脂肪飼料である飼料Eを与えた。各組の残りの2頭にはゴシュユ抽出物を添加しない低脂肪飼料である飼料Cおよび高脂肪飼料である飼料Dを、それぞれ同じ組の飼料E群の1頭が摂取した量と同量ずつ与える、ペアフィーディングを行った。飼料Cと飼料Eとでは、脂肪含量が異なるため、同量摂取した場合、飼料Cによる摂取カロリーは飼料Eの摂取カロリーの約78%になる。上記飼育を21日間行い、1日絶食させた後、犠殺した。犠殺後、速やかに腎臓周囲および睾丸周囲の脂肪を摘出し、その重量を測定した。また、以下の方法により脂肪分解活性も測定した。なお、試験期間中、体重は毎日測定した。
【0054】
脂肪分解活性の測定:
各ラットの腎周囲脂肪をはさみで50回細切し、その100〜300mgを秤量後、2%アルブミン含有クレブス-リンガービカルボネート緩衝液(以下KRB緩衝液と略記する) 1.9mlを添加して試料を2検体調製し、これら試料を37℃で5分反応させた。1検体には0.2mg/mlのノルアドレナリン-2%アルブミン含有KRB緩衝液を0.1mlを添加し、37℃で1時間反応させ、これを反応区とした。他の1検体には2%アルブミン含有KRB緩衝液0.1mlを添加し、5分間氷冷し、これを反応前対照区とした。各区をそれぞれ0.45μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)で濾過し、濾液中の遊離脂肪酸量を市販の測定キット(デタミナーNEFA 協和メディックス社製)で測定し、分解したトリグリセライド量を算出した。活性値は、反応区の値から反応前対照区の値を減算したものとした。
【0055】
【表3】


結果を第4表に示す。
【0056】
【表4】


体重について、飼料Eの摂取群は、ほぼ同カロリーの飼料Dの摂取群に比べ、有意に増加が抑制された。また、カロリー摂取量当たりの体重増加量は飼料Dの摂取群ばかりでなく、総摂取カロリーの少ない飼料Cの摂取群に比べても有意に少なかった。
【0057】
脂肪量について、飼料Eの摂取群は、飼料Dの摂取群に比べ、腎周囲及び睾丸周囲脂肪量において有意に減少した。さらに、総摂取カロリーの少ない飼料Cの摂取群に比べ、睾丸周囲脂肪量は有意に減少し、腎周囲でも減少傾向を示した。
脂肪分解活性は、飼料Eの摂取群は、飼料CおよびDの摂取群に比べ、有意に増加し、脂質代謝が改善された。このように、エボジアミン含有ゴシュユ抽出物は脂質代謝改善作用または抗肥満作用を有するものであった。
【実施例1】
【0058】
次の配合によりクッキー(30個分)を製造する。
薄力粉 100g
澱粉 74g
水 14g
エボジアミン 0.6g
ベーキングパウダー 小さじ2
塩 小さじ1/2
卵 1 個
バター 80g
牛乳 大さじ2
ハチミツ 少量
【実施例2】
【0059】
次の配合により清涼飲料水(10本分)を製造する。
エボジアミン 1g
ビタミン C 1g
ビタミン B1 5mg
ビタミン B2 10mg
ビタミン B6 25mg
液糖 150g
クエン酸 3g
香料 1g
水にて1000mlとする。
【実施例3】
【0060】
次の配合により食パン(4斤分)を製造する。
エボジアミン 2.4g
強力粉 1kg
砂糖 50g
食塩 20g
脱脂粉乳 20g
ショートニング 60g
イースト(生) 30g
イーストフード 1g
水 650g
【実施例4】
【0061】
次の処方で常法により錠剤(1錠あたり300mg)を製造する。
エボジアミン 10mg
乳糖 230mg
コーンスターチ 30mg
合成ケイ酸アルミニウム 12mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 15mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
【実施例5】
【0062】
次の処方で常法により散剤(1包あたり1000mg)を製造する。
エボジアミン 10mg
乳糖 800mg
コーンスターチ 190mg
【実施例6】
【0063】
次の処方でハードカプセル剤(1カプセルあたり360mg)を製造する。
エボジアミン 10mg
乳糖 230mg
コーンスターチ 100mg
ヒドロキシプロピルセルロース 20mg
エボジアミン10mgに乳糖230mg およびコーンスターチ100mg を添加して混合し、これにヒドロキシプロピルセルロース20mgの水溶液を添加して練合する。次いで、押し出し造粒機を用いて、常法により顆粒を製造する。この顆粒をゼラチンハードカプセルに充填することにより、ハードカプセル剤を製造する。
【実施例7】
【0064】
次の処方でソフトカプセル剤(1カプセルあたり170mg)を製造する。
エボジアミン 10mg
大豆油 160mg
大豆油160mg にエボジアミン10mgを添加して混合する。次いで、ロータリー・ダイズ式自動成型機を用いて、常法に従い、ソフトカプセルに充填することにより、ソフトカプセル剤を製造する。
【実施例8】
【0065】
次の配合によりマウス(ハツカネズミ)用飼料(1か月分)を製造する。
エボジアミン 0.03 g
カゼイン 20 g
ラード 10 g
蔗糖 10 g
ミネラル配合 4 g
ビタミン配合 1 g
セルロースパウダー 2 g
コール酸ナトリウム 0.125 g
塩化コリン 0.2 g
コーンスターチ 52.645 g
【実施例9】
【0066】
次の処方で常法により散剤(1包あたり1000mg)を製造する。
ルタエカルピン 10mg
乳糖 800mg
コーンスターチ 190mg
【実施例10】
【0067】
次の処方でソフトカプセル剤(1カプセルあたり170mg)を製造する。
デヒドロエボジアミン 10mg
大豆油 160mg
大豆油160mg にデヒドロエボジアミン10mgを添加して混合する。次いで、ロータリー・ダイズ式自動成型機を用いて、常法に従い、ソフトカプセルに充填することにより、ソフトカプセル剤を製造する。
【実施例11】
【0068】
次の配合によりマウス(ハツカネズミ)用飼料(1か月分)を製造する。
ヒドロキシエボジアミン 0.03g
カゼイン 20g
ラード 10g
蔗糖 10g
ミネラル配合 4g
ビタミン配合 1g
セルロースパウダー 2g
コール酸ナトリウム 0.125g
塩化コリン 0.2g
コーンスターチ 52.645g
【実施例12】
【0069】
次の配合により茶飲料1000mlを製造する。
ゴシュユ抽出物(参考例1) 5g
茶葉 15g
熱水1000mlにて溶出する。
【実施例13】
【0070】
次の処方で常法により錠剤(1錠あたり300mg)を製造する。
ゴシュユ抽出物 (参考例1) 50mg
乳糖 190mg
コーンスターチ 30mg
合成ケイ酸アルミニウム 12mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 15mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
【実施例14】
【0071】
次の配合によりチューインガム(30個分)を製造する。
ゴシュユ抽出物 (参考例1) 1g
ガムベース 25g
砂糖 63g
水飴 10g
香料 1g
【実施例15】
【0072】
次の配合によりキャンディー(20個分)を製造する。
ゴシュユ抽出物 (参考例1) 1g
砂糖 80g
水飴 20g
香料 0.1g
【実施例16】
【0073】
次の処方でソフトカプセル剤(1カプセルあたり170mg)を製造する。
ハザレア抽出物 (参考例2) 50mg
大豆油 120mg
大豆油120mg にハザレア抽出物50mgを添加して混合する。次いで、ロータリー・ダイズ式自動成型機を用いて、常法に従い、ソフトカプセルに充填することにより、ソフトカプセル剤を製造する。
【実施例17】
【0074】
次の配合によりマーマレードを製造する。
ザントキシラム レツァ抽出物 (参考例3) 7g
夏みかんの皮 500g
砂糖 200g
夏みかんの果汁 1個分
【実施例18】
【0075】
次の配合によりタイ用飼料を製造する。
アラリオプシス タボウエンシス抽出物 (参考例4) 10g
魚粉 25g
チキンミール 100g
肉骨粉 150g
フィッシュソリュブル 25g
大豆粕 260g
小麦粉 125g
トウモロコシ 250g
小麦胚芽 40g
ルーサンミール 40g
食塩 5g
抗酸化剤 20g
参考例1 ゴシュユ抽出物の製造方法
ゴシュユの果実2.5kgにエタノール10Lを加えて2日間冷浸した。抽出液を回収後、さらに同様の操作を2回繰り返し、30Lのエタノール抽出液を得た。これを濾布(ヘキスト社製 ミラクロース)で濾過し、濾液を減圧下に濃縮乾固し、100gの抽出物を得た。
参考例2 ハザレア抽出物の製造方法
ハザレアの樹皮200gにメタノール1Lを加えて2日間冷浸した。抽出液を回収後、さらに同様の操作を2回繰り返し、3Lのエタノール抽出液を得た。これを濾布(ヘキスト社製 ミラクロース)で濾過し、濾液を減圧下に濃縮乾固し、19.6gの抽出物を得た。
参考例3 ザントキシラム レツァ抽出物の製造方法
ザントキシラム レツァの根皮200gにエタノール1Lを加えて2日間冷浸した。抽出液を回収後、さらに同様の操作を2回繰り返し、3Lのエタノール抽出液を得た。これを濾布(ヘキスト社製 ミラクロース)で濾過し、濾液を減圧下に濃縮乾固し、7.1gの抽出物を得た。
参考例4 アラリオプシス タボウエンシス抽出物の製造方法
アラリオプシス タボウエンシスの樹皮250gにクロロホルム1Lを加えて2日間冷浸した。抽出液を回収後、さらに同様の操作を2回繰り返し、3Lのクロロホルム抽出液を得た。これを濾布(ヘキスト社製 ミラクロース)で濾過し、濾液を減圧下に濃縮乾固し、9.6gの抽出物を得た。
参考例5 エボジアミンの定量
参考例1〜4で得た抽出物の濃度が0.01%(w/v)になるようにエタノールに溶解し、これの10μlを高速液体クロマトグラフィー(島津社製、ODSカラム:4.6mmI.D.25cm、移動相:50%アセトニトリル水溶液、検出波長254nm)で定量した。
【0076】
結果を第5表に示す。
【0077】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


[式中、
【化2】


【化3】

(式中、Rは水素またはヒドロキシを表し、Rは水素または低級アルキルを表すか、RとRが一緒になって結合を表す)、または
【化4】

(式中、Rは低級アルキルを表す)を表し、nは
【化5】


【化6】

のとき0を表し、
【化7】


【化8】

のとき1を表し、Xは陰イオンを表す]で表される化合物またはその塩(以下、エボジアミン類と総称する)を有効成分として含有する脂質代謝改善用または抗肥満用錠剤、散剤、ハードカプセル剤またはソフトカプセル剤。
【請求項2】
エボジアミン類を有効成分として含有する脂質代謝改善用または抗肥満用ドリンク剤。
【請求項3】
エボジアミン類が、エボジアミン、ルタエカルピン、デヒドロエボジアミンおよびヒドロキシエボジアミンから選ばれるエボジアミン類である、請求項1または2記載の剤。
【請求項4】
エボジアミン類が、ミカン科に属する植物から調製されるエボジアミン類である、請求項1または2記載の剤。
【請求項5】
エボジアミン類が、ゴシュユ属(Evodia)、イヌザンショウ属(Fagara)、サンショウ属(Zanthoxylum)およびアラリオプシス属(Araliopsis)から選ばれる属に属する植物から調製されるエボジアミン類である、請求項1または2記載の剤。

【公開番号】特開2007−99777(P2007−99777A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302542(P2006−302542)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【分割の表示】特願平10−501449の分割
【原出願日】平成9年6月12日(1997.6.12)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】