説明

脂質低下剤として有用な4−[(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]−2−アゼチジノン

【課題】アテローム硬化症の治療および予防における、低コレステロール化剤として有用な薬剤を提供すること。
【解決手段】式(1)の4-[(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノン低コレステロール化剤または、その薬学的に受容可能な塩、ならびに、前記化合物、これらを含有する薬学的組成物、および置換アゼチジノンと、アテローム硬化症の治療および予防のためのコレステロール生合成インヒビターとの組み合わせを投与することによって、血清コレステロールを低下させる方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、アテローム硬化症の治療および予防における、低コレステロール化剤として有用な、4-[(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノン、ならびに本発明の4-[(ヘテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンと、アテローム硬化症の治療および予防のためのコレステロール生合成インヒビターとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性冠状心疾患(atherosclerotic coronary heart disease)は、西側世界における、死亡および心臓血管病(cardiovascularmorbidity)の主要な原因である。アテローム性冠状心疾患に対する危険因子としては、高血圧症、糖尿病、家族歴、男性であること(male gender)、喫煙および血清コレステロールが挙げられる。225mg/dl〜250mg/dlを越える全コレステロールレベルは、非常に高い危険性に関する。
【0003】
コレステリルエステルは、アテローム性病巣(lesion)の主要成分であり、かつ動脈壁細胞中でのコレステロールの主要な貯蔵形態である。コレステリルエステル形成はまた、食物コレステロールの腸内吸収における鍵となる工程である。
【0004】
数種のアゼチジノン化合物が、コレステロールの低下および/または哺乳類の動脈壁におけるコレステロール含有病巣形成の阻害に有用であると、報告された。特許文献1は、抗コレステロール化剤としてN-スルホニル-2-アゼチジノンを開示し、そして非特許文献1は、脂質低下剤としてエチル 4-(2-オキソアゼチジン-4-イル)フェノキシ-アルカノエートを開示する。特許文献2は、血小板凝集インヒビターとして1-置換-4-フェニル-3-(2-オキソアルキリデン)-2-アゼチジノンを開示する。特許文献3および特許文献4は、種々の疾患状態(例えば、アテローム硬化症)に関する組織破壊を生ずる炎症疾患の治療に有用であると主張されている、エラスターゼ阻害性置換アゼチジノンを開示する。特許文献5は、低コレステロール化剤として有用な、置換β-ラクタムを開示する。
【0005】
食物コレステロールの調節に加えて、ヒトおよび動物の全身のコレステロール恒常性の調節は、コレステロール生合成、胆汁酸生合成、およびコレステロール含有血漿リポタンパク質の異化作用に関する。肝臓は、コレステロールの生合成および異化作用に応答し得る主要器官であり、この理由のために、これは、血漿コレステロールレベルの重要な決定因子である。肝臓は非常に低密度のリポタンパク質(VLDL)の合成部位かつ分泌部位であり、VLDLは、後に、循環の間に新陳代謝して低密度リポタンパク質(LDL)となる。LDLは、血漿における主なコレステロール運搬リポタンパク質であり、そしてこれらの濃度の増加は、アテローム硬化症の増加と相関関係にある。
【0006】
腸内におけるコレステロール吸収が低下する場合、いかなる手段によっても、コレステロールはほとんど肝臓へ送達されない。この作用の結果は、肝リポタンパク質(VLDL)産生の減少および血漿コレステロール(主にLDL)の肝浄化の増大である。従って、腸のコレステロール吸収の阻害の正味の効果は、血漿コレステロールレベルの減少である。
【0007】
3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aリダクターゼ(EC1.1.1.34)インヒビターによるコレステロール生合成の阻害は、血漿コレステロールを低下させ(非特許文献2)、かつアテローム硬化症を軽減させる有効な方法であることが示された。HMGCoAリダクターゼインヒビターと、胆汁酸遮蔽剤(sequestrant)との併用治療は、いずれかの薬剤の単独治療より、ヒト高血圧症患者に対してより有効であることが示された(非特許文献3)。
【特許文献1】米国特許第4,983,597号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第264,231号明細書
【特許文献3】欧州特許第199,630号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第337,549号明細書
【特許文献5】国際公開第93/02048号パンフレット
【非特許文献1】Ramら、Indian J Chem.,Sect.B.29B, (1990)12、1134〜7頁
【非特許文献2】Witzum、Circulation,80,(1989)5、1101〜1114頁
【非特許文献3】lllingworth、Drugs,36(補足3)(1988)、63〜71頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、式Iによって表される。
【0009】
【化4】

ここで
Aは、R2-置換ヘテロシクロアルキル、R2-置換ヘテロアリール、R2-置換ベンゾ縮合ヘテロシクロアルキル、およびR2-置換ベンゾ縮合ヘテロシクロアリールからなる群から選択され;
Ar1は、アリールまたはR3-置換アリールであり;
Ar2は、アリールまたはR4-置換アリールであり;
Qは、単結合であるか、またはアゼチジノンの3位の環状炭素と、以下のスピロ基:
【0010】
【化5】

を形成し;そして
R1は、
-(CH2)q-(ここでqは2〜6であり、ただしQがスピロ環を形成する場合、qはまた0または1であり得る)、
-(CH2)e-G-(CH2)r-(ここで、Gは、-O-、-C(O)-、フェニレン、-NR8-または-S(O)0-2であり、eは0〜5であり、そしてrは0〜5であり、ただし、eとrとの和は1〜6である)、
-(C2-C6アルケニレン)-、および
-(CH2)f-V-(CH2)g-(ここで、VはC3-C6シクロアルキレンであり、fは1〜5であり、そしてgは0〜5であり、ただし、fとgとの和は1〜6である)からなる群より選択され;
R5は、
【0011】
【化6】

であり;
R6およびR7は、独立して、-CH2-、-CH(C1-C6アルキル)-、-C(ジ-(C1-C6)アルキル)-、-CH=CH-および-C(C1-C6アルキル)=CH-からなる群より選択されるか;あるいは、R5は隣接するR6と一緒になるか、またはR5は隣接するR7と一緒になって、-CH=CH-または-CH=C(C1-C6アルキル)-基を形成し;
aおよびbは、独立して、0、1、2または3であり(ただし、両方は0でない;R6が-CH=CH-または-C(C1-C6アルキル)=CH-である場合、aは1である;R7が-CH=CH-または-C(C1-C6アルキル)=CH-である場合、bは1である;aが2または3である場合、R6は同じであっても異なってもよい;そしてbが2または3の場合、R7は同じであっても異なってもよい);
そして、Qが単結合である場合、R1はまた、
【0012】
【化7】

であり得;
Mは、-O-、-S-、-S(O)-、または-S(O)2-であり;
X、YおよびZは、独立して、-CH2-、-CH(C1-C6アルキル)-および-C(ジ-(C1-C6)アルキル)からなる群より選択され;
R10およびR12は、独立して、-OR14、-O(CO)R14、-O(CO)OR16および-O(CO)NR14R15からなる群より選択され;R11およびR13は、独立して、水素、(C1-C6)アルキルおよびアリールからなる群より選択されるか;あるいは、R10およびR11は共に=Oであるか、もしくはR12およびR13は共に=Oであり;
dは1、2または3であり;
hは0、1、2、3または4であり;
sは0または1であり;tは0または1であり;m、nおよびpは、独立して、0〜4であり(ただしsおよびtの少なくとも1つは1であり、そしてm、n、p、sおよびtの和は1〜6である;pが0であり、そしてtが1である場合、m、sおよびnの和は1〜5である;およびpが0であり、そしてsが1である場合、m、tおよびnの和は1〜5である);
vは0または1であり;
jおよびkは、独立して、1〜5であり(ただしj、kおよびvの和は1〜5である);
R2は、水素、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)シクロアルケニル、R17-置換アリール、R17-置換ベンジル、R17-置換ベンジルオキシ、R17-置換アリールオキシ、ハロゲノ、-NR14R15、NR14R15(C1-C6アルキレン)-、NR14R15C(O)(C1-C6アルキレン)-、-NHC(O)R16、OH、C1-C6アルコキシ、-OC(O)R16、-COR14、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、NO2、-S(O)0-2R16、-SO2NR14R15および-(C1-C6アルキレン)COOR14からなる群より選択される環上の炭素原子における1つ〜3つの置換基であり;R2がヘテロシクロアルキル環上の置換基である場合、R2は定義された通りであるか、または=O、もしくは
【0013】
【化8】

であり;そして、ここで、R2が置換可能な環上の窒素における置換基である場合、それは水素、(C1-C6)アルキル、アリール、(C1-C6)アルコキシ、アリールオキシ、(C1-C6)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヒドロキシ、-(CH2)1-6CONR18R18
【0014】
【化9】

であり;
Jは、-O-、-NH-、-NR18-または-CH2-であり;
R3およびR4は、独立して、(C1-C6)アルキル、-OR14、-O(CO)R14、-O(CO)OR16、-O(CH2)1-5OR14、-O(CO)NR14R15、-NR14R15、-NR14(CO)R15、-NR14(CO)OR16、-NR14(CO)NR15R19、-NR14SO2R16、-COOR14、-CONR14R15、-COR14、-SO2NR14R15、S(O)0-2R16、-O(CH2)1-10-COOR14、-O(CH2)1-10CONR14R15、-(C1-C6アルキレン)-COOR14、-CH=CH-COOR14、-CF3、-CN、-NO2およびハロゲンからなる群から選択される、1つ〜3つの置換基からなる群より選択され;
R8は、水素、(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R14または-COOR14であり;
R9およびR17は、独立して、水素、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-COOH、NO2、-NR14R15、OHおよびハロゲノからなる群から選択される、1つ〜3つの基であり;
R14およびR15は、独立して、水素、(C1-C6)アルキル、アリール、およびアリール-置換(C1-C6)アルキルからなる群から選択され;
R16は、(C1-C6)アルキル、アリールまたはR17-置換アリールであり;
R18は、水素または(C1-C6)アルキルであり;そして
R19は、水素、ヒドロキシまたは(C1-C6)アルコキシである。
【0015】
「A」は、好ましくは、1つまたは2つの窒素原子を含有する、R2-置換の6員のヘテロシクロアルキル環である。好ましいヘテロシクロアルキル環は、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニル基である。環「A」は、好ましくは、環上の窒素を介してフェニル環に結合される。好ましいR2置換基は、水素および低級アルキルである。R19は、好ましくは、水素である。
【0016】
Ar2は、好ましくは、フェニルまたはR4-フェニルであり、特に好ましくは、(4-R4)-置換-フェニルである。R4の好ましい定義は、低級アルコキシであり、特に、メトキシおよびハロゲノ、特にフルオロである。
【0017】
Ar1は、好ましくは、フェニルまたはR3-置換フェニルであり、特に、(4-R3)-置換-フェニルである。
【0018】
記号-R1-Q-の組み合わせに対し、以下のようないくつかの好ましい定義がある:
Qは単結合であり、かつR1は低級アルキレン、好ましくはプロピレンであり;
Qは上記で定義された通りのスピロ基であり、ここで、好ましくは、R6およびR
7は各々エチレンであり、そしてR5は、
【0019】
【化10】

である;
Qは単結合であり、かつR1は以下:
【0020】
【化11】

であり、ここで、記号は、R1が-O-CH2-CH(OH)-であるように選択される;
Qは単結合であり、かつR1は以下:
【0021】
【化12】

であり、ここで、
記号は、R1が-CH(OH)-(CH2)2-であるように選択される;そして
Qは単結合であり、かつR1は以下:
【0022】
【化13】

であり、ここで、
記号は、R1が-CH(OH)-CH2-S(O)0-2-であるように選択される。
【0023】
本発明はまた、このような治療を必要とする哺乳類における、低コレステロール化剤としての式Iの化合物の使用に関する。
【0024】
他の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中に式Iの置換アゼチジノンを含有する薬学的組成物に関する。
【0025】
本発明はまた、血漿コレステロールレベルを低下させる方法およびアテローム硬化症を治療または予防する方法に関し、これは、このような治療を必要とする哺乳類へ、本発明の4-[(へテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンコレステロール吸収インヒビターとコレステロール生合成インヒビターとの組み合わせの有効量を投与する工程を包含する。すなわち、本発明は、アテローム硬化症を治療または予防するため、あるいは血漿コレステロールレベルを低下させるための、コレステロール生合成インヒビターと併用するための4-[(へテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンコレステロール吸収インヒビターの使用(および、同様に、4-[(へテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンコレステロール吸収インヒビターと併用するためのコレステロール生合成インヒビターの使用)に関する。
【0026】
さらに他の局面において、本発明は、有効量の4-[(へテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンコレステロール吸収インヒビター、コレステロール生合成インヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。最終局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中の有効量の4-[(へテロシクロアルキルまたはヘテロ芳香環)置換フェニル]-2-アゼチジノンコレステロール吸収インヒビターを一方の容器内に含み、そして薬学的に受容可能なキャリア中の有効量のコレステロール生合成インヒビターを他の容器内に含むキットに関する。
【0027】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、さらに以下を提供する。
(項目1)以下の構造式で表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩:ここで、
【0028】
【化14】

Aは、R2-置換ヘテロシクロアルキル、R2-置換ヘテロアリール、R2-置換ベンゾ縮合ヘテロシクロアルキル、およびR2-置換ベンゾ縮合ヘテロアリールからなる群から選択され;
Ar1は、アリールまたはR3-置換アリール;
Ar2は、アリールまたはR4-置換アリール;
Qは、単結合であるか、またはアゼチジノンの3位の環上炭素と、以下のスピロ基:
【0029】
【化15】

を形成し;そして
R1は、
-(CH2)q-、ここでqは2〜6であり、ただし、Qがスピロ環を形成する場合、qは0または1であり得る;
-(CH2)e-G-(CH2)r-、ここで、Gは、-O-、-C(O)-、フェニレン、-NR8-または-S(O)0-2-であり、eは0〜5であり、そしてrは0〜5であり、ただしeとrの和は1〜6である;
-(C2-C6アルケニレン)-;および
-(CH2)f-V-(CH2)g-、ここで、VはC3-C6シクロアルキレンであり、fは1〜5であり、そしてgは0〜5であり、ただしfとgの和は1〜6である; からなる群より選択され;
R5
【0030】
【化16】

であり;
R6およびR7は、独立して、-CH2-、-CH(C1-C6アルキル)-、-C(ジ-(C1-C6)アルキル)、-CH=CH-および-C(C1-C6アルキル)=CH-からなる群より選択されるか;あるいは、R5は隣接するR6と一緒になるか、またはR5は隣接するR7と一緒になって、-CH=CH-または-CH=C(C1-C6アルキル)基を形成し;
aおよびbは、独立して、0、1、2または3であり、ただし、両方は0でない;R6が-CH=CH-または-C(C1-C6アルキル)=CH-である場合、aは1である;R7が-CH=CH-または-C(C1-C6アルキル)=CHである場合、bは1である;aが2または3の場合、R6は同じであっても異なってもよい;およびbが2または3の場合、R7は同じであっても異なってもよい;
そしてQが単結合である場合、R1はまた、
【0031】
【化17】

であり得;
Mは、-O-、-S-、-S(O)-、または-S(O)2-であり;
X、YおよびZは、独立して、-CH2-、-CH(C1-C6アルキル)-および-C(ジ-(C1-C6)アルキル)からなる群より選択され;
R10およびR12は、独立して、-OR14、-O(CO)R14、-O(CO)R16および-O(CO)NR14R15からなる群より選択され;R11およびR13は、独立して、水素、(C1-C6)アルキルおよびアリールからなる群より選択されるか;あるいは、R10およびR11は共に=Oであるか、もしくはR12およびR13は共に=Oであり;
dは1、2または3であり;
hは0、1、2、3または4であり;
sは0または1であり;tは0または1であり;m、nおよびpは、独立して、0〜4であり;ただし、sおよびtの少なくとも1つは1であり、そしてm、n、p、sおよびtの和は1〜6である;pが0であり、かつtが1である場合、m、sおよびnの和は1〜5である;およびpが0であり、かつsが1である場合、m、tおよびnの和は1〜5である
vは0または1であり;
jおよびkは、独立して、1〜5であり、ただしj、kおよびvの和は1〜5である;
R2は、水素、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)シクロアルケニル、R17-置換アリール、R17-置換ベンジル、R17-置換ベンジルオキシ、R17-置換アリールオキシ、ハロゲノ、-NR14R15、NR14R15(C1-C6アルキレン)-、NR14R15C(O)(C1-C6アルキレン)-、-NHC(O)R16、OH、C1-C6アルコキシ、-OC(O)R16、-COR14、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、NO2、-S(O)0-2R16、-SO2NR14R15および-(C1-C6アルキレン)COOR14からなる群より選択される、環上炭素上の1つ〜3つの置換基であり;R2がヘテロシクロアルキル環上の置換基である場合、R2は定義された通りか、または=O、あるいは
【0032】
【化18】

であり;そして、ここで、R2が置換可能な環窒素上における置換基である場合、それは水素、(C1-C6)アルキル、アリール、(C1-C6)アルコキシ、アリールオキシ、(C1-C6)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヒドロキシ、-(CH2)1-6CONR18R18
【0033】
【化19】

であり;
Jは、-O-、-NH-、-NR18-または-CH2-であり;
R3およびR4は、独立して、水素、(C1-C6)アルキル、-OR14、-O(CO)R14、-O(CO)OR16、-O(CH2)1-5OR14、-O(CO)NR14R15、-NR14R15、-NR14(CO)R15、-NR14(CO)OR16、-NR14(CO)NR15R19、-NR14SO2R16、-COOR14、-CONR14R15、-COR14、-SO2NR14R15、S(O)0-2R16、-O(CH2)1-10-COOR14、-O(CH2)1-10CONR14R15、-(C1-C6アルキレン)-COOR14、-CH=CH-COOR14、-CF3、-CN、-NO2およびハロゲンからなる群から選択される、1つ〜3つの置換基からなる群より選択され;
R8は、水素、(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R14または-COOR14であり;
R9およびR17は、独立して、水素、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-COOH、NO2、-NR14R15、OHおよびハロゲノからなる群から選択される、1つ〜3つの基であり;
R14およびR15は、独立して、水素、(C1-C6)アルキル、アリール、およびアリール置換(C1-C6)アルキルからなる群から選択され;
R16は、(C1-C6)アルキル、アリールまたはR17-置換アリールであり;
R18は、水素または(C1-C6)アルキルであり;そして
R19は、水素、ヒドロキシまたは(C1-C6)アルコキシである。
(項目2)Aが、R2-置換した、1つまたは2つの窒素原子を含有する6員のヘテロシクロアルキル環である、項目1に記載の化合物。
(項目3)Aが、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルである、項目2に記載の化合物。
(項目4)Ar2が、フェニルまたはR4-フェニルであり、そしてAr1が、フェニルまたはR3-フェニルである、項目1、2または3のいずれか1つに記載の化合物。
(項目5)項目1、2、3、4または5のいずれか1つに記載の化合物であって、
Qが単結合であり、そしてR1が低級アルキレンであるか;
Qがスピロ基であり、ここでR6およびR7は、それぞれエチレンである、そしてR5が、
【0034】
【化20】

であるか;
Qが単結合であり、かつR1が-O-CH2-CH(OH)-であるか;
Qが単結合であり、かつR1が-CH(OH)-(CH2)2-であるか;あるいは、
Qが単結合であり、かつR1が-CH(OH)-CH2-S(O)0-2-である、化合物。
(項目6)項目1に記載の化合物であって、以下から選択される化合物:
3-[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)フェニル)-2,7-ジフェニル-2-アザスピロ-[5,3]ノナン-1-オン;ならびに
R19が水素、およびAr1-R1-Q-がフェニルプロピルであり、以下の式によって表される項目1に記載の化合物:
【0035】
【化21】

ここで、AおよびAr2、ならびにシスおよびトランス異性体は、以下の表で定義された通りである:
【0036】
【化22】

【0037】
【化23】

(項目7)単独で、またはコレステロール生合成インヒビター、および薬学的に受容可能なキャリアと共に、項目1、2、3、4、5、または6のいずれか1つに定義された通りの化合物を含有する、アテローム硬化症の治療または予防のため、あるいは血漿コレステロールレベルを低下させるための薬学的組成物。
(項目8)項目1、2、3、4、5、または6のいずれか1つに記載の化合物を、単独で、またはコレステロール生合成インヒビターと共に、薬学的に受容可能なキャリアと混合させる工程を包含する、項目7に記載の薬学的組成物を調製する方法。
(項目9)項目1、2、3、4、5、または6のいずれか1つに記載の化合物を、単独で、またはコレステロール生合成インヒビター、および薬学的に受容可能なキャリアと共に含有し、アテローム硬化症を治療または予防するため、あるいは血漿コレステロールのレベルを低下させるための薬剤を調製するための、項目1、2、3、4、5、または6のいずれか1つに記載の化合物の使用。
(項目10)薬学的に受容可能なキャリア中のコレステロール生合成インヒビターの有効量を第1の容器中に含み、そして薬学的に受容可能なキャリア中の項目1、2、3、4、5または6のいずれか1つに記載の化合物の有効量を第2の容器中に含んで、アテローム硬化症を治療または予防するか、あるいは血漿コレステロールレベルを低下させるために併用する薬学的組成物を単一包装の別々の容器に含有するキット。
(項目11)項目1、2、3、4、5または6のいずれか1つに記載の化合物の有効量を、単独で、またはコレステロール生合成インヒビターと共に投与する工程を包含する治療を必要とする哺乳類の血清コレステロールレベルを低下させる方法であって、項目1、2、3、4、5または6に記載の化合物および該コレステロール生合成インヒビターを、同時にまたは連続的に投与する、方法。
(項目12)項目1に記載の化合物を調製する方法であって、以下を包含する方法:
方法A:
【0038】
【化24】

Qが単結合であり、かつ残りの記号が項目1に定義された通りである式Iの化合物の調製であって、AおよびR19が項目1で定義された通りである式IIのベンズアルデヒドを、Ar2が項目1で定義された通りの式Ar2NH2のアニリンと反応させ、次いで、A1およびR1が上記で定義された通りであり、かつQが単結合である式Ar1-R1-Q-CH2COClの酸クロライドと、塩基存在下で、還流する工程を包含する調製、ただし、置換基Ar1-R1-Qが上記条件下で反応性である場合、該反応性置換基は、反応中、適切な保護基で保護される;
方法B:
【0039】
【化25】

Ar1、R1、Ar2が項目1で定義された通りであって、そしてQが単結合である式Icの化合物の調製であって、Ar1、R1、Ar2およびQが方法Aで定義された通りである式Vの安息香酸ヒドリドを、ジオキサンおよび水を含む溶媒中の臭化シアンおよびNaHCO3と反応させる工程を包含する調整、ただし、置換基Ar1-R1-Qが上記条件下で反応性である場合、該反応性置換基は、反応中、適切な保護基で保護される;
方法C:
【0040】
【化26】

Ar1、R1、Ar2が項目1で定義された通りであって、そしてQが単結合である式Idの化合物の調製であって、方法Bで定義された通りである式Vの安息香酸ヒドリドを、塩基存在下で1,1'-カルボニルジイミダゾールと反応させる工程を包含する調整、ただし、置換基Ar1-R1-Qが上記条件下で反応性である場合、該反応性置換基は、反応中、適切な保護基で保護される;
方法D:
【0041】
【化27】

Ar1、R1、Ar2が項目1で定義された通りであって、そしてQが単結合である式Ieの化合物の調製であって、Ar1、R1、Ar2およびQが上記で定義された通りである、式IXのN-3-プロピンベンズアミドを、酢酸水銀のような試薬と環化させる工程を包含する調整、ただし、置換基Ar1-R1-Qが上記条件下で反応性である場合、該反応性置換基は、反応中、適切な保護基で保護される;あるいは、
方法E:
【0042】
【化28】

Ar1、R1、Ar2が項目1で定義された通りであって、そしてQが項目1で定義された通りのスピロ基である式Ifの化合物の調製であって、Ar1およびR1が上記で定義された通りであり、そしてQが上記定義されるスピロ基である式Xの酸クロライドを、Ar2およびAが項目1で定義された通りである式XIのイミンと、塩基存在下で反応させる工程を包含する調整、ただし、置換基Ar1-R1-Qが上記条件下で反応性である場合、該反応性置換基は、反応中、適切な保護基で保護される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
詳細な説明
本明細書中で使用される、用語「アルキル」または「低級アルキル」は、1つ〜6つの炭素原子からなる直鎖または分枝アルキル鎖を意味し、そして「アルコキシ」は、同様に1つ〜6つの炭素原子を有するアルコキシ基を指す。
【0044】
「アルケニル」は、その鎖中に共役した、または共役していない1つ以上の2重結合を有する直鎖または分枝炭素鎖を意味する。同様に、「アルキニル」は、その鎖中に1つ以上の3重結合を有する直鎖または分枝炭素鎖を意味する。アルキル鎖、アルケニル鎖、またはアルキニル鎖が、2つの他の記号を合わせ、そしてそれゆえ2価である場合、用語アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンを使用する。
【0045】
「シクロアルキル」は、3つ〜6つの炭素原子からなる飽和炭素環を意味し、一方で、「シクロアルキレン」は、対応する2価の環を指す。ここで、他の基との結合点は、全ての位置異性体を含む。
【0046】
「ハロゲノ」は、フッ素、塩素、ホウ素、またはヨウ素のラジカルを指す。
【0047】
「アリール」は、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチル、またはインダニルを意味する。「フェニレン」は、2価のフェニル基(オルト、メタ、およびパラ置換体を含む)を意味する。R17-ベンジルおよびR17-ベンジルオキシは、フェニル環上で置換されるベンジルラジカルおよびベンジルオキシラジカルを指す。
【0048】
「ヘテロシクロアルキル」は、窒素原子を含む3員〜7員の飽和環を意味し、それは必要に応じて、N、O、およびS(O)0-2からなる群より選択される1つのさらなるヘテロ原子を含み、そして必要に応じて、環上窒素と隣接炭素との間の2重結合を含む。ヘテロシクロアルキル環は、1つ以上の環上炭素原子または窒素原子上で、上記で定義された記号R2により置換される。「ベンゾ縮合ヘテロシクロアルキル」は、定義されたようなヘテロシクロアルキル基を指し、ここでベンゼンラジカルは、隣接炭素原子に結合している。代表的なヘテロシクロアルキルおよびベンゾ縮合ヘテロシクロアルキル基を、以下に例示する:
【0049】
【化29】

「ヘテロアリール」は、窒素原子および必要に応じてN、SおよびOからなる群より選択される1つ〜3つのさらなるヘテロ原子を含む、5員〜6員の芳香族環を意味する。そのヘテロアリール環は、1つ以上の環上炭素原子または窒素原子上で、上記で定義されたような記号R2により置換される。ベンゾ縮合ヘテロリールは、ベンゼンラジカルのヘテロアリール環上の隣接炭素原子への結合により形成されるラジカルを指す;例えば、インドリル、キノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、およびベンゾフラニル。代表的なヘテロアリール基を以下に例示する:
【0050】
【化30】

用語ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、上記で定義したような所定のヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基(例えば、2-ピペリジニル(piperdinyl)、3-ピペリジニルまたは3-ピペリジニル、ならびに2-ピリジル、3-ピリジルおよび4-ピリジル)に対する全ての位置異性体を含む。
【0051】
上記事項(つまり、例えばR14、R15およびR19が、独立して、置換基の群から選択されること)は、 R14、R15およびR19が、独立して選択されることを意味するが、さらにR14、R15またはR19の変化が、1分子において1度を上回って生じることを意味し、それらは独立して選択される(例えば、R3が-OR14(ここでR14は、水素である)である場合、R4は、-OR14(ここでR14は、低級アルキルである)であり得る)。当業者は、置換基の大きさおよび性質が、存在し得る置換基の数に影響することを認識する。
【0052】
本発明の化合物は、少なくとも1つの不斉炭素原子を有し、それゆえ、全ての異性体(ジアステレオマーおよび回転異性体を含む)を、本発明の一部分として意図する。本発明は、純粋形態およびラセミ混合物を含む混合物の両方の、dおよびl異性体を含む。異性体は、従来の技術を用いて、光学的に純粋なまたは光学純度の高い出発物質を反応させるか、あるいは式Iの化合物の異性体を分割することにより調製され得る。
【0053】
当業者は、式Iのいくつかの化合物に対して1つの異性体が、他の異性体より薬学的に大きな活性を示すことを理解する。
【0054】
アミノ基を有する本発明の化合物は、有機酸および無機酸を有する薬学的に受容可能な塩を形成し得る。塩形成のための適切な酸の例は、当業者に周知の塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および他の鉱酸ならびにカルボン酸である。その塩は、塩を形成するために十分な量の所望の酸と、遊離塩基形態を接触させることにより調製される。遊離塩基形態は、適切な希釈塩基水溶液(例えば、希釈した炭酸水素ナトリウム水溶液)で、その塩を処理することにより、再生産され得る。遊離塩基形態は、特定の物理的性質(例えば、極性溶媒への溶解性)において、いくぶん、その各塩形態が異なるが、その他の点では、その塩は、本発明の目的に対して、その各遊離塩基形態と等価である。
【0055】
本発明の特定の化合物(例えば、カルボキシル基を有する化合物)は、酸性である。これらの化合物は、無機塩基および有機塩基を有する薬学的に受容可能な塩を形成する。そのような塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、金、および銀の塩である。また、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N-メチルグルカミンなどの薬学的に受容可能なアミンで形成された塩がある。
【0056】
本発明の組み合わせに使用するためのコレステロール生合成インヒビターとしては、HMG CoA還元酵素インヒビター(例えば、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチンおよびCl-981);HMGCoA合成インヒビター(例えば、L-659,699((E,E)-11-[3'R-(ヒドロキシ-メチル)-4'-オキソ-2'R-オキセタニル]-3,5,7R-トリメチル-2,4-ウンデカジエン酸));スクアレン合成インヒビター(例えば、スクアレスタチン1);およびスクアレンエポキシダーゼインヒビター(例えば、NB-598((E)-N-エチル-N-(6,6-ジメチル-2-ヘプテン-4-イニル)-3-[(3,3'-ビチオフェン-5-イル)メトキシ]ベンゼン-メタンアミンヒドロクロライドが挙げられる。好ましいHMGCoA還元酵素インヒビターは、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンである。
【0057】
式Iの化合物は、公知の方法(例えば、WO93/02048は、-R1-Q-がヘテロ原子、フェニレンまたはシクロアルキレンによりさえぎられたアルキレン、アルケニレンまたはアルキレンである化合物の調製を記載する;WO94/17038は、Qがスピロ環基である化合物の調製を記載する;PCT/US94/10099は、-R1-Q-がヒドロキシ置換アルキレン基である化合物の調製を記載する;1995年3月22日出願のPCT/US95/03196は、-R1-Q-が、-O-またはS(O)0-2-基を介してAr1部分に結合したヒドロキシ置換アルキレンである化合物を記載する;そして1994年11月18日出願の米国出願第08/342,197号は、-R1-Q-が、-S(O)0-2-基によりアゼチジノン環に結合したヒドロキシ置換アルキレン基である化合物の調製を記載する)により調製され得る。引用した特許出願は、本明細書中で参考として援用される。
【0058】
例えば、Ar1-R1-Q-がフェニルプロピルである式Iの化合物は、以下の手順に従い作製され得る:
方法 A
【0059】
【化31】

式IIのヘテロシクロアルキル-またはヘテロアリール置換されたベンズアルデヒドを、不活性な溶媒(例えば、トルエン)中、式Ar2NH2のアニリン誘導体と還流する。n-トリブチルアミンを、還流時に添加し、次いで5-フェニルバレリルクロライド(Ph(CH2)4COCl)を添加し、そしてその混合物を還流する。従来の抽出およびクロマトグラフィー技術を、式Iaのトランス異性体を得るために使用する。
【0060】
方法 B
【0061】
【化32】

式IIのヘテロシクロアルキル-またはヘテロアリール置換されたベンズアルデヒドを、不活性な溶媒(例えば、トルエン)中、式Ar2NH2のアニリン誘導体と還流する。ピリジンおよびPh(CH2)4COClを添加し、そしてその混合物を還流するか、またはトルエンを除去し、そしてピリジンを溶媒および塩基の両方として供する。従来の抽出およびクロマトグラフィー技術を、式IaおよびIbのシスとトランス異性体との混合物を得るために使用する。
【0062】
方法 C
【0063】
【化33】

19が水素であり、そしてAがオキサジアゾリルである化合物を、式Vの対応する安息香酸ヒドラジドから調製し得る:式Icのアミノ-置換されたオキサゾリルは、水中のヒドラジドとジオキサンとの混合物を室温にて、シアノーゲンブロマイドおよびNaHCO3と反応させることにより調製する;式Idのケト置換されたオキサゾリルを、不活性な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中、1,1'-カルボニルジイミダゾールおよび塩基(例えば、トリエチルアミン)と反応させることにより調製する。
【0064】
方法 D:
【0065】
【化34】

式Iの化合物(ここで、Aはオキサゾリル基(例えば、式Ieの化合物)である)は、式VIIIの安息香酸を周知のカップリング剤(例えば、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロライド、ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN-メチルモルホリン)の存在下、プロパルジルアミンと反応させて、対応する式IXのN-3-プロピン-ベンズアミドを得ることにより調製し得る。次いで式IXの化合物を、試薬(例えば、酢酸水銀)で処理して、式Ieのオキサゾリル置換された化合物を得る。
【0066】
当業者は、反応基が存在する場合、例えばヒドロキシ基が側鎖中に存在する化合物において、その反応基が反応の間適切に保護される場合、 Ar1-R1-Q-がフェニルプロピル以外である式Iの化合物を、方法A〜Dと同様の手順により調製し得ることを認識する。
【0067】
また、Qがスピロ環である式Iの化合物を以下の手順に従って調製し得る:
【0068】
【化35】

式Xの酸を、対応する酸クロライドに変換し得、次いでトルエンとピリジンとの混合物中で還流することにより式XIのイミンと反応させ得る。得られたジアステレオマーの粗混合物を当該分野で周知の技術を用いて、精製し得そして分離し得る。
【0069】
式IIaの出発物質(Aは環上窒素を介して、フェニル環に結合した窒素含有ヘテロシクロアルキル、またはヘテロ芳香環基である)を、公知の方法により調製し得る、例えば:
【0070】
【化36】

BおよびNがヘテロシクロアルカンまたはヘテロ芳香環部分を形成し、そしてR2が上記で定義した通りである式IIIの化合物を、K2CO3(無水)と合わせ、そして加熱し、対応する式IIaの窒素含有ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール置換されたベンズアルデヒドを得る。
【0071】
式Vの出発物質を、公知の方法により調製し得る、例えば:
【0072】
【化37】

20が低級アルキル(例えば、メチル)である式VIのエステルを、式Ar2NH2のアニリン誘導体と反応させ、続いて方法Aにおいて上記で定義した5-フェニルバレリルクロライドを反応させて、式VIIのベンゾエートを得る。次いで、ベンゾエートを、ヒドラジン水和物と還流し、式Vのヒドラジドを得る。
【0073】
式VIIIの出発物質を、従来の方法(例えば、LiOHまたはNaOHのような塩基を用いた処理)により式VIIの対応するエステルを脱保護することにより調製する。式III、VIおよびXの出発物質は、当該分野で公知であるか、または周知の方法により調製され得る。
【0074】
また、式Iの化合物が公知の方法により式Iの異なる化合物に変換され得ることは、当業者および以下の実施例を参照することにより、明白である。例えば、Aが(4-(4-ベンジルピペラジニル(benzylpiperaziny)-1-イル)基である式Iの化合物を、ギ酸パラジウムおよびギ酸アンモニウムと処理することにより、対応する(4-ピペラジン-1-イル)化合物に変換し得る。
【0075】
上記の方法中に含まれない反応基を、反応の間従来の保護基で保護し得る。その保護基は反応後標準的な方法により除去され得る。以下の表1は、いくつかの代表的な保護基を示す:
【0076】
【化38】

本発明者は、本発明の化合物が、血清脂質レベル、特に血清コレステロルレベルを低下させることを見出した。本発明の化合物が、コレステロールの腸吸収を阻害し、そして動物モデルの肝臓コレステリルエステルの形成を大きく低下させることを見出した。それゆえ、本発明の化合物は、コレステロールのエステル化を阻害および/または腸吸収を阻害し得る効果のある、低コレステロール化剤である。これにより、これらは哺乳類(特にヒト)のアテローム硬化症を治療および予防するのに有用である。
【0077】
化合物の局面に加え、本発明はまた血清コレステロールレベルを低下させる方法に関する。その方法は、本発明の式Iの化合物の低コレステロール化に有効な量を、そのような処置の必要な哺乳類に投与する工程を包含する。その化合物は、好ましくは経口投与に適した薬学的に受容可能なキャリア中で投与される。
【0078】
本発明はまた、本発明の式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。式Iの化合物は、任意の従来の経口投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、粉剤、カセ剤、懸濁剤および液剤)で投与され得る。処方物および薬学的組成物は、従来の薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤、ならびに従来の技術を用いて調製され得る。そのような薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤としては、無毒で適合性の充填剤、結合剤、壊変剤(disintegrant)、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、着香剤、濃縮剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。
【0079】
式Iの化合物の1日の低コレステロール化用量は、1日当たり体重で約0.1mg/kg〜約30mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg 〜約15mg/kgである。それゆえ、70kgの平均体重の場合、用量レベルは、1日当たり約5mg/kg〜約2000mgの薬剤、好ましくは約5mg/kg〜1000mgである(単一用量または2回〜4回の分割用量で与えられる)。しかし、正確な用量は、主治医により決定され、そして投与される化合物の効能、患者の年齢、体重、状態、および応答に依存する。
【0080】
置換されたアゼチジノンがコレステロール生合成インヒビターと共に投与される本発明の組み合わせについて、代表的なコレステロール生合成インヒビターの1日の用量は、単一用量または分割用量(通常1日に1回か2回である)で投与される、1日当たり哺乳類の体重の0.1mg/kg 〜80mg/kgである:例えば、HMG CoA還元酵素インヒビターに関しては、1用量当たり約10mg/kg 〜約40mgを、1日に1回〜2回与え、1日当たり約10mg〜80mgの1日の全用量を与える。他のコレステロールの生合成インヒビターに関しては、1用量当たり約1mg〜1000mgを、1日に1回〜2回与え、1日当たり約1mg〜約2gの1日の全用量を与える。投与される組み合わせのいずれかの成分の正確な用量は、主治医により決定され、そして投与される化合物の効能、患者の年齢、体重、状態、および応答に依存する。
【0081】
組み合わせの成分が別々に投与される場合、1日当たりに与えられる各成分の用量の回数は、必ずしも同じではあり得ない(例えば、1つの成分が、活性の長い存続期間を有し得る場合、ほとんど投与する必要はない)。
【0082】
本発明は、活性成分の組み合わせで処理することにより血漿コレステロールレベルの低下に関する。ここで、その活性成分は、別々に投与され得る。また、本発明は、キット形態の別々の薬学的な組成物を組み合わせることに関する。すなわち、以下の2つの異なるユニットを組み合わせるキットを意図する:コレステロール生合成インヒビターの薬学的組成物および置換されたアゼチジノン吸収インヒビターの薬学的組成物。好ましくは、キットは、異なる組成物の投与のための指示書を含む。キット形態とすることは、異なる成分を異なる投薬形態(例えば、経口的および非経口的)で投与しなければならないか、または異なる投薬間隔で投与する場合、特に有益である。
【0083】
以下は、式Iの化合物の調製の実施例である。記載される立体化学は、特に指示のない限り相対立体化学である。用語シスおよびトランスは、βラクタムの3位または4位の相対的回転を指す。
【0084】
調製1
4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ベンズアルデヒド
DMF(50mL)中の4-ベンジルピペラジン(5.0mL、28.8mmol)、4-フルオロベンズアルデヒド(3.1mL、28.8mmol)および無水K2CO3(5.96g、43.1mmol)の混合物を、約150℃まで一晩加熱する。混合物を室温まで冷却し、水とエーテル(Et2O)との間に分配し、そしてEt2Oで抽出する。Et2O抽出物を合わせ、水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そして真空下で濃縮して7.91g(98%)の4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ベンズアルデヒドをさらに精製することなく実施例1に使用するに十分な純度の黄色固体として得る。
【0085】
【化39】

調製2
4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-オキソ
-4-アゼチジニル]安息香酸ヒドラジド
工程1:メチル4-ホルミルベンゾエート(5.23g、31.9mmol)およびp-アニシジンのトルエン(50mL)溶液を一晩、Dean-Starkトラップにより水を共沸除去しながら還流する。n-トリブチルアミン(22.8mL、95.6mmol)を添加し、続いて5-フェニルバレリルクロライド(47.8mL、47.8mmol、トルエン中、1M)を添加し、そして一晩還流する。反応物を室温まで冷却し、反応を1MHClで停止させ、そして15分間撹拌する。反応混合物を酢酸エチル(EtOAc)で希釈し、1M HCl、水、およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そして濃縮する。得られた残渣をテトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、等容量のCH3OHで希釈し、NaBH4(1.22g、32mmol)を添加し、30分間撹拌する。1MHClを添加し、EtOAcで希釈し、そして1M HCl、水およびブラインで洗浄する。Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして充分なシリカゲル上で濃縮し、自由流(free-flowing)粉末を得る。シリカおよび30%EtOAc/ヘキサンで充填したクロマトグラフィーカラム上に粉末をロードし、そして同じ溶媒で溶出して12.2g(92%)のメチル4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-オキソ-4-アゼチジニル]ベンゾエートをトランス/シス(12/1)混合物として得る。
【0086】
【化40】

工程2: CH3OH(40mL)中の工程1の生成物(7.5g、17.5mmol、トランス/シス(12/1)混合物)と水素化ヒドラジン(4.7mL、87.3mmol)との混合物を一晩還流し、反応をTLC(30%EtOAc/ヘキサン)によりモニターし、そしてさらにヒドラジンを添加し、必要ならばさらに還流する。真空下で溶媒の大部分をエバポレートし、そして得られた残渣を水とEtOAcとの間に分配する。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そしてシリカゲル上で濃縮し、自由流粉末を得る。シリカおよびEtOAcで充填したクロマトグラフィーカラム上に粉末をロードする。EtOAcで溶出し、3.8g(50%)の表題化合物をトランス/シス(6/1)混合物として得る。
【0087】
【化41】

調製3
4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)
-2-オキソ-4-アゼチジニル]安息香酸
調製2、工程1の生成物(6.7g、15.6mmol、トランス/シス(12/1)混合物)の室温の50% THF/CH3OH(200mL)溶液に、2NNaOH(39mL、78mmol)を添加する。混合物を一晩撹拌し、真空下で溶媒の大部分をエバポレートし、そして残渣を3N HClとEtOAcとの間に分配する。EtOAcで抽出し、抽出物を合わせ、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そして濃縮し、6.87g(約100%)の表題化合物をトランス/シス(11/1)の混合物として得る。
【0088】
【化42】

実施例1
トランス-1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-4-[4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-アゼチジノン
調製1の生成物(7.89g、28.1mmol)および4-メトキシアニリン(3.47g、28.1mmol)のトルエン(100mL)溶液を、Dean-Starkトラップにより水を共沸除去しながら還流する。NMRにより反応の進行をモニターする。反応が完了すると、n-トリブチルアミン(20.1mL、84.4mmol)を還流中に添加し、次いで、5-フェニルバレリルクロライド(42.2mL、42.2mmol、トルエン中1M)を添加し、そして一晩混合物を還流する。再び、NMRにより反応の進行をモニターし、そしてかなりの量のイミンが残っていることが示される場合、さらに5-フェニルバレリルクロライド(1.5当量〜2.0当量、トルエン中1M)およびn-トリブチルアミン(2.2当量〜3.0当量)を添加し、そして還流を継続する;NMRにより、さらに反応の進行がなくなるまで必要とされるこのプロセスを繰り返す。混合物を室温まで冷却し、NH4Cl(飽和)とEtOAcとの間に分配し、そしてEtOAcで抽出する。抽出物を合わせ、NH4Cl(飽和)、水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そして褐色オイルに濃縮する。シリカゲル上でクロマトグラフし、33%EtOAc/ヘキサンで溶出し、4.14g(27%)の琥珀色のオイルを得る。EtOAc/ヘキサンから再結晶し、0.67gの表題化合物を得る。
【0089】
【化43】

上記と類似の手順で適切な出発物質を用いて、以下の表に示される化合物を調製し得る(ここで、AおよびArは表に定義された通りである):
【0090】
【化44】

【0091】
【化45】

実施例2
4-(4-(モルホリン-1-イル)フェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチドン
4-(モルホリン-1-イル)ベンズアルデヒド(8.94g、46.8mmol)および4-メトキシアニリン(5.76g、46.8mmol)のトルエン(250mL)溶液を、Dean-Starkトラップにより水を共沸除去しながら、10時間還流し、室温まで冷却する。得られた沈殿を真空濾過により回収し、ヘキサンで洗浄し、そして真空下で乾燥し、10.2g(74%)のN-[4-(モルホリン-1-イル)ベンジデン]-4-メトキシアニリンを得る。生成物をトルエン(75mL)中に溶解させる。室温で、ピリジン(1.43mL、17.5mmol)を添加し、続いて5-フェニルバレリルクロライド(15.2mL、15.2mmol、トルエン中1M)を添加する。混合物を還流するまで加温し、そして一晩還流する。反応の進行を実施例1に記載されるようにモニターする。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、0.1MNaOH、1M HCl、水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そして濃縮する。残渣をシリカ上でクロマトグラフし、40%EtOAc/ヘキサンで溶出して、2.71g(77%)の表題化合物を、シス異性体とトランス異性体との1/1混合物として得る。さらなるクロマトグラフィーにより純粋なシス異性体およびトランス異性体が提供される:
【0092】
【化46】

上記と類似の手順で適切な出発物質を用いて、以下の表に示される化合物を調製し得る(ここで、AおよびArは表に定義された通りである):
【0093】
【化47】

【0094】
【化48】

実施例3
1-(4-メトキシフェニル)-(3-フェニルプロピル)-4-(イミダゾイル-1-イル)フェニル-2-アゼチドン
CH3OH(200mL)中の4-(1-イミダゾイル)ベンジルアルデヒド(3.79g、22mmol)と4-メトキシアニリン(2.71g、22mmol)との混合物を還流するまで短時間で加熱する。溶液を室温まで冷却させ、そして一晩静置する。得られた沈澱を真空濾過により回収し、そして乾燥して、6.1g(100%)のN-[4-(イミダゾイル-1-イル)-ベンジデン-4-メトキシアニリンを得る。生成物を、実施例2に記載の方法で、ピリジン、n-トリブチルアミンおよび5-フェニルバレリルクロライドで処理し、次いで、実施例2と類似の方法で抽出およびクロマトグラフし、表題化合物を1/1.17のシス/トランス比で得る。
【0095】
【化49】

実施例4
4-[4-(2-ピリミジル)ピペラジン-1-イル]フェニル)
-3-(3-フェニルプロピル)-1-(4-メトキシフェニル)-2-アゼチドン
トルエン(250mL)中の4-(2-ピリミジル)ピペラジニル]-ベンズアルデヒド(5.62g、21mmol)と4-メトキシアニリン(2.58g、21mmol)との混合物をDean-Starkトラップにより水を共沸除去しながら還流する。1HNMRにより反応の進行をモニターする。3日後、85%の反応が完了したところで(at 85% completion)、混合物を室温まで冷却し、濃縮し、そして残渣をEtOAcおよびヘキサンから再結晶し、6.6g(85%)のN-[4-(モルホリン-1-イル)ベンジデン]-4-メトキシアニリンを黄色固体として得る。生成物をピリジン(80mL)に溶解させ、室温で、5-フェニルバレリルクロライド(11mL、11mmol、トルエン中1M)を添加し、そして一晩還流する。先の実施例に記載されるように反応をモニターする。蒸留によりピリジンの大部分を除去し、溶液を室温まで冷却し、EtOAcと水との間に分配し、水およびブラインで洗浄し、濃縮しそしてシリカゲル上でクロマトグラフし、1.02g(36%)の表題化合物をシス/トランス(1/1)混合物として得る。さらなるシリカゲルクロマトグラフィーにより純粋なシス異性体およびトランス異性体が提供される。
【0096】
【化50】

実施例5
トランス-1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)
-4-(4-ピペラジン-1-イル)フェニル-2-アゼチジノン
アンモニウムホルメート(3.0g、48mmol)をCH3OH(20mL)中の実施例1の生成物(3.0g、5.53mmol)および10%Pd/C(0.7g)の還流懸濁液に添加する。4時間反応させ、TLC(30% EtOAc/ヘキサンで溶出)により反応の進行をモニターする。反応混合物をセライトを通して濾過し、そして濾過ケークをCH3OHで十分に洗浄する。濾液を濃縮し、そして得られた残渣をブラインとEtOAcとの間に分配し、そしてEtOAcで抽出する。抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そして濃縮する。得られた残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし、10%MeOH/CH2Cl2で溶出し、粗生成物を得る。再結晶により純粋な表題化合物を得る。
【0097】
【化51】

実施例6
5-[4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)
-2-オキソ-4-アゼチジニル]1,3,4-オキサジアゾール-2-アミン
調製2の生成物(0.59g、1.36mmol、6/1トランス混合物)、NaHCO3(0.12g、1.42mmol)、水(2.5mL)およびジオキサン(3.5mL)の混合物を室温にて5分間撹拌する。BrCN(0.15g、1.42mmol)を添加し、4時間撹拌し、そして濾過する。濾過ケークを水で洗浄し、そして一晩、真空下で乾燥し、0.50g(81%)の表題化合物をトランス/シス(8/1)混合物として得る。
【0098】
【化52】

実施例7
5-[4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-オキソ-4-アゼチジニル]フェニル]-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オン
1,1'-カルボニルジイミダゾール(0.22g、1.36mmol)を、0℃にて調製2の生成物(0.39g、0.91mmol、トランス/シス(6/1)混合物)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.82mmol)のTHF(5mL)溶液に添加し、そして混合物を、一晩室温まで加温する。混合物を真空下で濃縮し、そして残渣をEtOAc中に溶解させる。1MHCl、飽和NaHCO3、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そしてシリカ上で濃縮し、自由流粉末を得る。シリカゲルおよび40%EtOAc/ヘキサンで充填したクロマトグラフィーカラム上に粉末をロードし、そして同じ溶媒で溶出して0.383g(93%)の表題化合物をトランス/シス(9/1)混合物で得る。
【0099】
【化53】

実施例8
2-[4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)
-2-オキソ-4-アゼチジニル]フェニル]-4-メチルオキサゾール
工程1:1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(0.89g、4.64mmol)を、調製3の生成物(1.61g、3.86mmol、トランス/シス(11/1)混合物)、プロパルジルアミン(propargylamine)(0.318mL、4.64mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.625g、4.64mmol)、およびN-メチルモルホリン(0.85mL、7.72mmol)のCH2Cl2(15mL)溶液に室温にて添加し、そして一晩撹拌する。混合物をCH2Cl2で希釈し、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そしてシリカ上に濃縮する。シリカおよび50%EtOAc/ヘキサンで充填したクロマトグラフィーカラム上にシリカをロードする。同じ溶媒で溶出し、1.24g(71%)のN-3-プロピン-4-[1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-フェニルプロピル)-2-オキソ-4-アゼチジニル]ベンズアミドをトランス/シス(12/1)混合物として得る。MS(Cl):453(M+1,100),304(57),150(92)。
【0100】
工程2:工程1の生成物(1.21g、2.67mmol、トランス/シス(12/1)混合物)および酢酸水銀(0.05g、0.16mmol)を酢酸(10mL)中で合わせ、そして3時間還流する。反応混合物を室温まで冷却し、そして真空下で濃縮する。得られた残渣を飽和K2CO3とEtOAcとの間に分配し、次いで、EtOAcで抽出する。抽出物を合わせ、水およびブラインで洗浄し、次いで、Na2SO4上で乾燥し、そしてシリカ上で濃縮する。このシリカを、シリカおよび30%EtOAc/ヘキサンで充填したクロマトグラフィーカラム上にロードする。30%〜40% EtOAc/ヘキサンで溶出し、0.74g(61%)の表題化合物をトランス/シス(6/1)混合物として得る。
【0101】
【化54】

実施例9
3-[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)フェニル]-2,7-ジフェニル
-2-アザスピロ[5,3]ノナン-1-オン
オキサリルクロライド(0.8mL、9.46mmol)を、還流している4-フェニルシクロヘキサンカルボン酸のCH2Cl2(10mL)溶液に添加する。2時間後、室温まで冷却し、そして真空下で溶媒をエバポレートする。得られた残渣をトルエン中に溶解させ、還流しているN-4-[4-メチル-1-ピペラジニル]ベンジリデンアニリン(1.2g、4.3mmol)のトルエン(15mL)とピリジン(5mL)との混合溶液中に添加し、そして一晩還流する。反応混合物を水に注ぎ、CH2Cl2で抽出し、抽出物を合わせ、そして溶媒をエバポレートする。得られた残渣をシリカ上でクロマトグラフし、10%CH3OH/CH2Cl2で溶出し、ジアステレオマー混合物として表題の粗化合物を得る。調製シリカTLCにより混合物を精製し、10%CH3OH/EtOAcで2回溶出し、表題化合物をジアステレオマー混合物として得る。調製シリカTLCによりジアステレオマーを分離し、10%CH3OH/EtOAcで3回溶出し、ジアステレオマーAおよびBを、合わせた収率0.19g(9%)で得る。
【0102】
【化55】

以下の処方物は、本発明の特定の投薬形態を例示する。それぞれにおいて用語「活性化合物」は式Iの化合物を指す。
【0103】
実施例A
錠剤
【0104】
【化56】

製造方法
項目番号1と2とを、適切なミキサー中で10分間〜15分間混合する。この混合物を項目番号3と共に顆粒状にする。必要ならば、粗いふるい(例えば、1/4インチ、0.63cm)にかけて湿った顆粒を粉砕する。次いで、湿った顆粒を乾燥する。必要ならば、乾燥した顆粒をふるいにかけ、そして項目番号4と混合し、そして10分間〜15分間混合する。項目番号5を添加し、そして1分間〜3分間混合する。適切な錠剤機で、混合物を適切なサイズおよび重さに圧縮する。
【0105】
実施例B
カプセル
【0106】
【化57】

製造方法
項目番号1、2、および3を適切なブレンダー中で10分間〜15分間混合する。項目番号4を加え、そして1分間〜3分間混合する。適切なカプセル化機で、混合物を適切な2ピースのハードゼラチンカプセルに充填する。
【0107】
コレステロール生合成インヒビターを含有する代表的な処方物は、当該分野で周知である。2つの活性構成成分を単一の組成物として投与する場合、置換アゼチジノン化合物について上記で開示された投与形態は、当業者の知識を用いて容易に改変し得ることが意図される。
【0108】
式Iの化合物のインビボ活性は以下の手順により決定され得る。
【0109】
高脂血症ハムスターを用いる低脂化薬剤のインビボアッセイ
ハムスターを6つの群に分け、制御されたコレステロール食餌(0.5%のコレステロールを含むPurina Chow 番号5001)を7日間与える。餌の消費をモニターし、試験化合物の存在下における食餌性のコレステロール曝露(dietarycholesterol exposure)を決定する。動物に、食餌の開始以降、毎日1回試験化合物を投与する。投与は、0.2mLのコーンオイル単独(コントロール群)またはコーンオイル中の試験化合物の溶液(または懸濁液)の経口的な強制投与(gavage)により行う。瀕死のまたは衰えた(poor)身体状態のすべての動物は、安楽死させる。7日後、動物をケタミンの筋肉内(IM)注射により麻酔し、断頭に処する。血液を血漿の脂質分析のために、EDTAを含む真空(vacutainer)チューブに集め、そして組織の脂質分析のために肝臓を切除する。脂質分析は、発表された手順(Schnitzer-Polokoff,R.ら、Comp. Biochem. Physiol., 99A, 4(1991), 665-670頁)に従って行い、そしてデータは、コントロールに対する脂質のパーセント減少として報告する。
【0110】
実質的に、上記に記載されるようなハムスターインビボ試験の手順を用いて、以下のデータが、代表的な化合物に対して得られた。化合物は対応する実験番号により以下の表に引用される。データはコントロールに対するパーセント変化として報告される。これにより、負の数字は、正の脂質低下効果を示す。血清コレステロールおよびコレステロールエステルの両方における減少を測定した。しかし、コレステロールエステルの減少の測定は、活性のより信頼性のある指標として認識される。
【0111】
【化58】

式Iのラセミ化合物あるいは式Iの化合物の活性なジアステレオマーまたはエナンチオマーについて、50mg/kgの用量で投与される化合物は、コレステロールエステルにおいて0%〜-96%の範囲の減少を示し、一方10mg/kg〜30mg/kgの用量で投与される化合物は、コレステロールエステルにおいて0%〜-31%の範囲の減少を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から選択される化合物、または薬学的に受容可能な塩:
3−[4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル)−2,7−ジフェニル−2−アザスピロ−[5,3]ノナン−1−オン];ならびに
以下の式によって表される化合物:
【化1】

ここで、AおよびAr、ならびにシスおよびトランス異性体は、以下の表で定義された通りである:
【化2】

【請求項2】
請求項1に定義されたとおりの化合物を単独でまたはコレステロール生合成インヒビターと共に、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、アテローム硬化症の治療または予防のため、あるいは血漿コレステロールレベルを低下させるための薬学的組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合勿を単独でまたはコレステロール生合成インヒビターと共に、および薬学的に受容可能なキャリアを含有し、アテローム硬化症を治療または予防するため、あるいは血漿コレステロールのレベルを低下させるための薬剤を調剤するための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2007−91757(P2007−91757A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2850(P2007−2850)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【分割の表示】特願平8−519846の分割
【原出願日】平成7年12月18日(1995.12.18)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】