説明

脂質含有組成物およびその使用方法

多数の疾患の予防および治療についての前述の事柄に関し、およびそれを含めて設計される食餌性栄養補助食品および食餌計画として、特定の量で有用なナッツ、種子、油、豆、果実、穀物および乳製品を含む脂質組成物が開示される。この組成物は、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を含み、ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率およびその量は、対象の年齢、対象の性別、対象の食餌、対象の体重、対象の医学的状態および対象の生活圏の気候を含む1つまたは複数の要素に基づいて制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2008年4月21日に出願された米国仮特許出願第61/046,747号、2008年6月25日に出願された米国仮特許出願第61/075,708号、2008年11月5日に出願された米国仮特許出願第61/111,747号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願の全ては、あらゆる目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸は、重要な生理機能を果たす。脂肪酸は、リン脂質および糖脂質の構成単位、細胞膜の極めて重要な成分である。脂肪酸は、炭水化物またはタンパク質が生み出すより1グラム当たり2倍以上ものエネルギーを産生する能力のある最良の生体燃料分子である。脂肪酸は、多くのタンパク質の機能に、当該タンパク質の共有結合修飾を通じて直接影響する。脂肪酸は、膜流動性および関連の細胞過程に影響する。さらに、脂肪酸は、遺伝子調節にも関与する。例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、リポキシンおよびレゾルビンなどの脂肪酸の誘導体も、重要なホルモンおよび生体メッセンジャーである。このようなホルモンおよびメッセンジャーは、脈管拡張、血小板凝集、疼痛調節、炎症および細胞増殖などの広範な生理機能に影響する。
【0003】
ヒトおよび動物の体は、多様な数および位置の二重結合を有する多様な長さの炭素鎖である多くの種類の脂肪酸を合成する。二重結合が脂肪酸の鎖の中に加わると、脂肪酸は、生理機能において顕著な役割を果たす不飽和脂肪酸に変換される。不飽和脂肪酸分子中の二重結合の位置を追跡する1つの方式は、末端の炭素、すなわち、ω炭素からのその距離による。例えば、ω位から9番目の炭素に二重結合を有する18−炭素オレイン酸は、ω−9脂肪酸と呼ばれる。下記の表1は、ω位に対するその二重結合の位置により命名されている多様な不飽和脂肪酸群を記載するものである。
【0004】
【表1】

上記の表に示すように、リノール酸(LA)およびα−リノレン酸(ALA)は、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸すべての前駆体である。LAおよびALAが「必須」脂肪酸であることは十分確立されている。LAおよびALAは食餌で補給しなければならないが、その理由は、ヒトおよび他の哺乳動物はLAおよびALAを他の供給源から合成できないからである。この2つの必須脂肪酸が食餌に欠乏するかまたは過剰にあると、多くの疾病が引き起こされる可能性がある。LAおよびALAは同じ代謝経路を共有し、一方が過剰であれば他方の必要量が増し、または他方の欠乏を招くことがあることも周知である。LAおよびALAと同様、オレイン酸など一定の他の脂肪酸および一定の飽和脂肪酸も、こちらは体が作ることはできるとはいえ、ヒトの栄養にとって重要と考えられる。最新の科学により、非必須脂肪酸は、最適量では有益であるが、過剰な場合には必須脂肪酸の活性および代謝を妨げることがあり、食餌性脂肪の量も脂肪酸の代謝に影響を及ぼすことがあるという証拠も示されている。食餌中に存在する他の脂肪酸の量によっては、ヒトの体はALAを優先的に代謝することが公知である。
【0005】
証拠により、抗酸化物質、植物性化学物質、微生物、ビタミンおよびミネラル、他の食餌性要素(タンパク質および炭水化物など)、ならびに、ホルモンおよび遺伝子も、必須脂肪酸の代謝に関与することが示されている。さらに、ヒトの研究から、必須脂肪酸の代謝能力には男女差があるらしいことが確認されている。このような差には、性ホルモンが関わっていることが示唆されている。多価不飽和脂肪酸分子は、二重結合により、ジグザグ様の構造を有する。この分子は、柔軟性があり緊密に密集していないことから、低温でも液体のままであり、集まって組織に柔軟性を与える。そのため、より寒冷な気候では、ヒトの体はより多量の多価不飽和脂肪酸から利益を得る。しかし、脂質分子中の二重結合の数が多いほど、いくつかの疾患と関連することがあり加齢を加速することがある過酸化の生じやすさが高まる。これが、多価不飽和脂肪酸を注意して摂取する別の理由である。
【0006】
多数の研究により、ω−3脂肪酸の補給を用いた医学的状態の予防および治療についての証拠が示され、ω−6脂肪酸の摂取を減らすことが推奨されている。関係する医学的状態としては、更年期障害、心血管疾患、精神障害、神経障害、筋骨格障害、内分泌障害、癌、消化器系障害、加齢症状、ウイルス感染症、細菌感染症、肥満、過体重、腎疾患、肺障害、眼障害、皮膚障害、睡眠障害、歯科疾患、および、自己免疫などの免疫系疾患が挙げられる。例えば、特許文献1では、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸を含む潰瘍性大腸炎患者用の脂質配合物が教示された。こうした脂質配合物中のω−3脂肪酸の含有量は、顕著に高かった。同様に、最近公開された特許文献2では、糖尿病患者用に使用される、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸を含有しω−6対ω−3の具体的な比率が0.25:1〜3:1の間である脂質組成物が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,780,451号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0039525号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ω−3脂肪酸を増やしω−6脂肪酸の摂取を減らすことについての伝統的な強調は十分な解決策(relieves)とならないことが多いが、食餌的および人口統計学的な要素によりもたらされる不確実性がその理由である。したがって、改善された脂質組成物を使用する、医学的状態および予防のための改善された方法および治療が未だに必要とされている。事実、2009年1月26日、米国心臓学会は初めて、ω−6脂肪酸は健康によくないという認識を正す勧告を発した(http://americanheart.mediaroom.com/index.php?s=43&item=650)。現在の方法論は摂取者を混乱させるものであることから、重大な健康上の結果を伴う、決定的に重要な栄養素の過剰摂取または摂取不足を招く。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、他の要素と関わりのある1つまたは複数の脂質の不均衡と関連する医学的状態を予防および/または治療するための組成物および方法に関する。より詳細には、本開示は、栄養的に適切なω−3脂肪酸の存在下でω−6脂肪酸のより有利な供給源を使用する組成物および方法の使用に関する。本開示は、さらに、1つまたは複数の脂質の不均衡に関連する医学的状態の予防および/または治療のための、ω−6およびω−3を毎日送達し、また、生体利用率を最適化する他の栄養素と共にω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を送達する方法および組成物にも関する。本開示は、さらに、その広範且つ突然の変動が有害であると考えられる生体活性物質を1日、1週間、1カ月またはそれより長い期間にわたり安定して送達する方法にも関する。さらに、本開示は、勧告について最適範囲内の必須脂肪酸を毎日送達する方法にも関する。
【0010】
本開示の全般的な一実施形態は、最適量の脂肪酸、抗酸化物質、ミネラルおよび植物性化学物質を含む哺乳動物対象のための脂質含有組成物であって、該対象の年齢、性別、食餌、体重、身体活動、医学的状態および該対象の生活圏の気候を含む群から選択される1つまたは複数の要素に基づく組成物である。そのような組成物は、本開示の一実施形態によれば、追って説明するような安定な送達過程により対象に投与される。本開示の別の実施形態によれば、この組成物の脂質内容物である脂肪酸、抗酸化物質、ミネラルおよび植物性化学物質成分は、以下の高濃度の脂質供給源:油、バター、ナッツおよび種子のうち1つまたは複数を使用することにより少なくとも部分的に達成される。
【0011】
本開示の別の実施形態は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含み、前記3つの脂肪酸型の比率および量が、哺乳動物対象にとっての以下の要素:年齢、性別、気候、体重、身体活動、食餌および医学的状態のうち1つまたは複数に基づいて制御される脂質含有組成物である。
【0012】
本開示の別の態様は、哺乳動物対象への投与に適した特定の脂質組成物である。そのような組成物の一実施形態は、以下の物質(またはその油)のうち3つ以上をある決まった濃度で含む:ピーナッツ、アーモンド、オリーブ、大豆、カシュー、亜麻仁、ピスタチオ、カボチャ種子、ヒマワリ種子、ゴマ種子、クルミ、無水バターオイルおよびココナッツ果肉。そのような組成物の別の例は、ベニバナ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、アーモンド油、コーン油および無水バターオイルを含む。
【0013】
本開示の別の態様は、哺乳動物対象の医学的状態の予防または治療の方法であって、好ましくは、油、バター、ナッツおよび種子などの形態の食品に典型的に加えられる不均衡な脂肪に代わる治療有効量の均衡のとれた脂質配合物を前記対象に投与することを含む方法を目的とする。
【0014】
本開示のまた別の態様は、特別な配合による脂質組成物を、脂質不含または低脂質の食品と組み合わせることにより、脂質および他の栄養素の均衡のとれた食餌を作り出す方法を目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中で使用する場合、「予防」は、健康の維持、予防的治療、または、医学的状態のリスクを低下させる意味での治療を指す。
【0016】
本明細書中で使用する場合、医学的状態に関する場合の用語「治療」は、その状態を管理することを指し、その状態の完全な寛解を伴っていてもいなくてもよい。
【0017】
本明細書中で使用する場合、「医学的状態」は、疾患、障害、症候群など、またはその症状である。
【0018】
本明細書中で使用する場合、「脂質不均衡」は、哺乳動物の血液もしくは他の組織の中の最適以下の/望ましくない脂質プロファイル、または、医学的な基準と比較した場合の、もしくは障害の出現により示されるような1つもしくは複数の脂質の欠乏もしくは過剰を指す。体の防御機構(中でも、必須脂肪酸の貯蔵など)は、特定の脂肪酸の過不足をある程度まで補う助けになる場合があると理解される。
【0019】
本明細書中で使用する場合、「治療有効量」は、結果として医学的状態、または医学的状態の症状の予防および/または治療をもたらす組成物の量である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの思わしくないレベルまたは医学的状態の症状の重篤度が、少なくとも10%以上、少なくとも25%以上、少なくとも50%以上、少なくとも75%以上軽減されるか、または100%寛解される。
【0020】
本明細書中で使用する場合、語句「ω−3脂肪酸の適切量」は、食品、栄養補助食品および/またはこの脂質組成物からの1日当たりのω−3脂肪酸の最小食餌摂取基準(DRI)レベルを指す。
【0021】
「治療効果」は、当該用語が本明細書中で使用される場合、治療上の利益および/または予防上の利益を包含する。治療上の利益とは、治療対象である基礎的障害の根絶または寛解を意味する。さらに、治療上の利益は、患者がその基礎的障害に依然として罹患してはいても当該患者において改善が観察されるように、基礎的障害に伴う生理的症状の1つまたは複数を根絶または寛解することで達成してもよい。予防上の利益としては、この組成物は、当該疾患の診断を未だ行えずにいる場合でも、特定の疾患を発症するリスクのある患者/個体、または、疾患の生理的症状の1つもしくは複数を訴える患者/人に投与してもよい。予防効果としては、疾患もしくは状態の出現を遅らせもしくは回避すること、疾患もしくは状態の症状の発症を遅らせもしくは回避すること、疾患もしくは状態の進行を低速化、停止もしくは逆行させること、またはその任意の組合せが挙げられる。
【0022】
脂質配合物
一態様では、本開示は、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸両方の最適な1日送達量を維持しながら、ω−3脂肪酸に対して比較的高率のω−6脂肪酸を組み込む。高率を維持する1つの理由は、配合物の不可欠な構成要素として、抗酸化物質、ミネラルおよび植物性化学物質の含有量が多く、過剰なω−3を不要にすると考えられる他の特性を有するナッツ、種子およびナッツ油が組み込まれているからである。場合により、過剰なω−3(3〜6つの二重結合を有する)は、過酸化ストレスを伴うことがある。本開示の一定の実施形態は、用量依存的な抗炎症特性および他の健康上の利益を有すると考えられるリノール酸代謝産物γ−リノレン酸(3つの二重結合)およびジホモ−γ−リノレン酸(3つの二重結合)のin−vivo形成を容易にすると考えられる。ナッツおよび種子は、治療域が狭く、望ましくない相互作用、および、慎重な使用が必要な他の特性を有する可能性があることから、この配合物は、測定され最適化された量のナッツおよび種子を油と共に送達する。
【0023】
本開示の一定の実施形態は、以下のうち1つまたは複数の補給を含む組成物を提供する:ビタミンA、B9(葉酸)、C、D、E;βカロテン、リコペン、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチンなどの、アルカロイド、カロテノイド;モノフェノール;ケルセチン、ケンフェロールおよびレスベラトロールなどの、ポリフェノール、フラボノイド、スチルベン、フラボノール;フラバノン;フラボン;カテキンなどのフラバン−3−オール;アントシアニンおよびアントシアニジン;イソフラボン;フィトエストロゲン;カンプエステロール、シトステロールおよびスチグマステロールなどのフィトステロール(phytotesterol);没食子酸、エラグ酸およびクルクミンなどのフェノール酸;クマリンなどのヒドロキシケイ皮酸;有機硫化物;サポニン;テルペノイド;ラクトン;メラトニン;リグナン;ならびに、抗酸化物質および植物性化学物質全般。一定の実施形態では、このような栄養補助食品/栄養素はそれぞれ、ω−3脂肪酸の必要量/忍容性を減少/変化させ、前記栄養補助食品(複数可)/栄養素(複数可)の不在下よりも高いω−6対ω−3比を可能にすると考えられる。一定の実施形態では、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Zn、MnおよびSeなどのミネラルおよび微量元素も、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の代謝および/または必要量/忍容性を変化させると考えられる。一定の実施形態では、微生物/プロバイオティクスも、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の代謝および/または必要量/忍容性を変化させると考えられる。一定の実施形態では、前述の栄養素のそれぞれは、油、バター、ナッツ、種子、ハーブ、甘味料および他の食品などの天然の供給源により最適化される。ナッツおよび種子は、植物の幹細胞を含有する植物胚である。ナッツおよび種子は、要素が発芽にとって適切なものとなるまで、当該絶頂(climactic)条件の最も厳しいものに耐えるように作られる。したがって、グラム/グラムでは、ナッツおよび種子は、天然栄養素のうち最も栄養価の高い供給源の1つである。アーモンドは栄養的に最も濃厚なナッツの1つであり、多くの強力な栄養素:数例を挙げれば、フラボノイド、ビタミンE、マンガン、マグネシウム、銅、ビタミンB2およびリンなどを供給する。ナッツ、とりわけアーモンドの皮の中で見出されるフラボノイドをその果肉の中で見出されるビタミンEと合わせると、いずれかが別々に送達する抗酸化物質が倍増する。
【0024】
ナッツおよび種子は、植物の幹細胞を含有する植物胚である。ナッツおよび種子は、要素が発芽にとって適切なものとなるまで、当該絶頂条件の最も厳しいものに耐えるように作られる。したがって、グラム/グラムでは、ナッツおよび種子は、天然栄養素のうち最も栄養価の高い供給源の1つである。アーモンドは栄養的に最も濃厚なナッツの1つであり、多くの強力な栄養素:数例を挙げれば、フラボノイド、ビタミンE、マンガン、マグネシウム、銅、ビタミンB2およびリンなどを供給する。ナッツ、とりわけアーモンドの皮の中で見出されるフラボノイドをその果肉の中で見出されるビタミンEと合わせると、いずれかが別々に送達する抗酸化物質が倍増する。
【0025】
クルミ、ペカンおよびクリは、木の実のうち抗酸化物質含有量が最も多く、クルミは、少なくとも16種の抗酸化フェノール、ビタミンEならびにエラグ酸および没食子酸を含め、3オンス当たり20mmolを超える抗酸化物質を送達する。クルミは、ω−6脂肪酸のリノール酸およびω−3脂肪酸のα−リノレン酸の含有量もひときわ多い。
【0026】
ピーナッツも、抗酸化物質の食餌性摂取に著しく貢献し、ブラックベリーおよびイチゴの抗酸化物質含有量に匹敵し、リンゴ、ニンジンまたはビートより抗酸化物質にはるかに富む。ピーナッツは、ビタミンE(γ−およびα−トコフェロール)、ナイアシン、葉酸、タンパク質およびマンガンの良好な供給源である。ピーナッツは、高濃度の植物性化学物質ポリフェノール(レスベラトロールなど)も含有する。
【0027】
ゴマ種子は、マンガン、銅、カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、ビタミンB1、亜鉛および食物繊維の非常に良好な供給源である。このような重要な栄養素に加え、ゴマ種子は、セサミンおよびセサモリン、リグナンを含有する。ゴマ種子は、すべてのナッツおよび種子のうち、フィトステロールの総含有量が最も多く(100グラム当たり400〜413mg)、ピスタチオおよびヒマワリ種子は2番目に豊富であり(270〜289mg/100g)、僅差でカボチャ種子が続く(265mg/100g)。
【0028】
ヒマワリ種子4分の1カップは、マグネシウムの1日摂取量の31.9%を供給できる。ヒマワリ種子は、セレンの良好な供給源でもある。カシュー、亜麻仁、カボチャ種子およびゴマ種子は、マグネシウムの良好な供給源である。アーモンド、カシュー、ヒマワリ種子、カボチャ種子、クルミおよびゴマ種子は、銅の良好な供給源である。アーモンド、亜麻仁、ピーナッツ、ヒマワリ種子、カボチャ種子およびクルミは、マンガンの良好な供給源である。わずか4分の1カップのアーモンドはマンガンの1日摂取量の45.0%、銅の1日摂取量の20.0%を供給できる。
【0029】
一態様では、本開示は、種子、ナッツおよび/または油を含む組成物を提供する。別の態様では、この組成物は、豆、乳製品、ココア、レンズマメおよび/または穀物を含む。一実施形態では、この組成物は、1つまたは複数の食用油、料理用ナッツおよび/または種子を、非限定的ではあるが、アサイー油、アマランス油、リンゴの種子油、杏仁油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババッス油、ベン油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ種子油、ボルネオタローナッツ油、ボトルゴード油、バッファローゴード油、バターオイル(無水)、キャノーラ油(ナタネ)、ケープチェスナット油、キャロブポッド油、オナモミ油、ココアバター油、コフネ油、コリアンダー種子油、コーン油、綿実油、ディカ(dika)油、月見草油、アマナズナ油(camelina sativa)、魚油(肝油)、魚油(ニシン)、魚油(メンハーデン)、魚油(サケ)、魚油(イワシ)、ブドウ種子油、家庭用ラード、カポック種子油、ラレマンティア油、マルラ油、メドウフォーム種子油、カラシ油、ナツメグバター、オクラ種子油、パーム油、パパイヤ種子油、ペクイ油、紫蘇油、プルーン仁油、キノア油、ラムティル油、米ぬか油、ロイル油、サチャインチ油、ベニバナ油、シアナッツ油、大豆レシチン油、茶油、アザミ油、トマト種子油、ウクフババターオイル、小麦胚芽油、ドングリ、アーモンド、ブナの実、ブラジルナッツ、パンノキ、キャンドルナッツ、クリ、チラカヨーテナッツ、チリヘーゼルナッツ、ココナッツ、カシュー、コロシントナッツ、セイヨウハシバミ、ヘーゼルナッツ、ヒッコリー、コーラナッツ、マカダミア、マモンチロ、メロン種子、モンゴンゴ、オボンゴナッツ、オリーブ、ピーナッツ、ペカン、ピリナッツ、松の実、ピスタチオ、大豆の実、ケシ種子、カボチャ種子、麻種子、亜麻種子、ゴマ種子、ヒマワリ種子、クルミ、およびスイカ種子など、そのまるごとの形態またはその油の形で含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、以下の最適に均衡のとれた脂肪酸およびその組合せを含む。飽和脂肪酸:酪酸(C4:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)およびアラキジン酸(20:0);一価不飽和脂肪酸:ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトレイン酸(C16:1)、およびω−9脂肪酸のオレイン酸(C18:1)、ガドレイン酸(C20:1)、エルカ酸(C22:1)およびネルボン酸(C24:1);ならびに多価不飽和脂肪酸:ω−6脂肪酸のリノール酸(C18:2)、コンジュゲートリノール酸(C18:2)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコサジエン酸(C20:2)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)およびアラキドン酸(C20:4);ならびにω−3脂肪酸のα−リノレン酸(C18:3)、ステアリドン酸(C18:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、ドコサペンタエン酸(C22:5)およびドコサヘキサエン酸(C22:6)。
【0031】
いくつかの実施形態では、異なる供給源に由来する補完的な栄養素間の相乗作用が組み込まれていてもよい。例えば、in−vivo酸化は異なる経路をとる場合があり、抗酸化物質の最適な混合を用いると、異なる経路の管理においてより有効であり、生理機能にとって必要な適度なレベルの酸化をもたらすと考えられる。さらに、ナッツおよび種子は、良くも悪くも強力な結果を有することが公知であることから、異なる供給源を使用すると、過剰な場合には有害と考えられる特定の抗酸化物質および植物性化学物質(例えばある種のフィトステロール)の高濃度での送達が回避される。一実施形態では、油、ナッツおよび種子の使用にまつわるアーユルヴェーダ原理(何世紀にもわたり経験的に証明されている古代インドの医学)を、西洋の分子科学と統合させて多様な脂質含有組成物を設計してもよい。
【0032】
下記、表2に示すのは、油の成分の数例である。多様な油、ナッツおよび種子の詳細な成分については、USDAのウェブサイト(http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/)を調べることができる。
【0033】
【表2−1】

【0034】
【表2−2】

【0035】
【表2−3】

関連する一態様では、本開示は、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸など、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、この組成物は液体配合物である。他の実施形態では、この組成物は固形配合物である。また他の実施形態では、この組成物は半固形配合物である。一定の実施形態では、この組成物は、他の供給源由来の個体の食餌中に含有される多様な食品調製物および/または栄養補助用脂肪に典型的に加えられる不均衡な脂肪(料理用油、脂肪など)に置き換えることができる。一定の実施形態では、本開示は、通常の脂質含有原料に加え、ハーブ、香辛料、甘味料および添加物をさらに含んでもよい。一定の実施形態では、脂質不含または低脂質の食餌計画を開発して、この組成物を補完する。一定の実施形態では、完全な食餌は、脂肪酸、抗酸化物質、植物性化学物質、ビタミンおよびミネラルに関して均衡のとれた組成物である。いくつかの実施形態では、本開示は、ω−3、ω−6およびω−9および他の脂肪酸の比率および1日送達量が、医学的状態もしくは障害もしくはその症状の発症もしくは進行を防止し、その重症化を防ぎ、または、それを低下させるのに十分な量である組成物を含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、食餌、性別、年齢、サイズ、体重、身体活動、医学的状態、家族の病歴、気候および他の人口統計学的要素を非限定的に含む個体の要素の1つまたは複数に関して配合される。この組成物は、任意の許容可能な送達方法により送達でき、一定の実施形態では、ビタミンおよびミネラルをこの組成物に加えてもよく、一定の実施形態では、ビタミンおよびミネラルの添加的な栄養補助食品を投与してもよい。
【0036】
一実施形態では、草食性の食餌、乳卵菜食主義食、完全菜食主義食、または、抗酸化物質が多く植物性化学物質が多い雑食性の食餌を摂取している個体には、関連組成物を投与してもよい。別の態様では、抗酸化物質が少なく植物性化学物質が少ない草食性の食餌、抗酸化物質が少なく植物性化学物質が少ない乳卵菜食主義食、抗酸化物質が少なく植物性化学物質が少ない完全菜食主義食、または抗酸化物質が少なく植物性化学物質が少ない雑食性の食餌を摂取している個体には、関連組成物を投与してもよい。別の態様では、個体は、自身の食餌が少量または多量のシーフード摂取を含むか否かに関して配合される組成物を投与されてもよい。これは、高濃度脂質組成物に関する。抗酸化物質および植物性化学物質の摂取量を測定する1つの方法は、1日当たりの果物、野菜、全粒穀物および豆のサービング数を測定することであり、この場合、1日当たり2サービング以上では、抗酸化物質、植物性化学物質の含有量が多くなる可能性がある。しかし、白米またはジャガイモなどの食品の2サービング以上は、植物性化学物質を非常にわずかしか含有しない可能性がある。しかし、ある種の他の食品、とりわけ、ウコンなどのハーブは、強力な植物性化学物質(少量、例えばティースプーン4分の1であっても)を含有することがある。ウェブサイトwww.phytochemicals.infoおよびhttp://www.ars−grin.gov/duke/では、植物性化学物質についてさらなる情報を調べることができる。したがって、本開示は、摂取者の食餌および/または忍容性レベルに適合するようにω−3脂肪酸のレベルを変えたものを含め、いくつかの異なる組成物を提供する。本明細書中で使用する場合、「忍容性」などは、摂取者がこの組成物に一切の不快感なく耐える能力を意味する。いくつかの実施形態では、シーフードの多い食餌(1週間当たり2サービング以上のシーフード)を摂る摂取者のために設計された組成物には、少量のナッツおよび種子が含まれる。場合により、ナッツまたは種子は一切含まれない。他の植物性化学物質は、望ましくない相互作用を回避するために、組成物の一部として、最小限に抑えるか、または排除してもよい。
【0037】
投与
いくつかの実施形態では、本明細書中で開示する脂質配合物を含む組成物は、経口的に許容される任意の形態で個体に投与できる。この脂質配合物は、1、2、3、4またはそれを超える相互補完的な1日用量で包装してもよい。いくつかの実施形態では、この脂質配合物は、場合により、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体と共に調製される、単回用量または持続放出および制御放出用のカプセル、ソフトゲルカプセル、ハードカプセル、錠剤、散剤、ロゼンジまたは丸剤;粉末または顆粒;栄養バー;パン、デザート、ペストリー、トリュフ、プリンまたはケーキなどのベーカリー食品;液体、オイルブレンド、ゲル、ソース、ドレッシング、スプレッド、バター、ドロップ、半固形物を含有する密封された単回用量の小袋または再密封可能な包装;液体など;または、フライ油、フライパン料理用油、離型油などの料理油のうちいずれか1つもしくは複数の中に入っていてもよいがこれらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、この脂質配合物は、封を切って経口摂取されるか、または、予め調理済もしくは未調理の食品調製物(脂肪は加えられていてもいなくてもよい)に料理原料の一部として加えてもよい。例えば、この脂質配合物は、特別な料理油、バター、ドレッシングなどにすることもでき、そのような食品が調製される間に食品中に加えることができる。一定の実施形態では、この組成物の成分のいくつかまたはすべては、皮をむきおよび/または皮をむかず、予め浸漬しおよび/または浸漬せず、発芽させおよび/または発芽させず、カットしおよび/またはカットせず、さいの目に切り、細かく刻み、ピューレにし、粉砕し、ブレンドし、あぶり、焼き、ローストし、ソテーし、および/または、調理しもしくは調理せず、加工せず、および/または任意の他の方法により加工してもよい。この組成物の成分は、食事の多様な構成要素としての一部または複数部分の形態で、または、例えば食事を補完するように、送達してもよい。いくつかの実施形態では、この脂質含有組成物は、当該組成物を含有するためのゼラチン状のケース、バイアル、ポーチまたはフォイルを用いて送達してもよい。いくつかの実施形態では、この脂質含有組成物は、経腸または非経口用の配合物の一部またはその組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、投与される組成物を毎日変えて、本明細書中に記載の多様な脂質配合物を含む1日、1週間、2週間、隔週、隔月または1カ月の食餌計画を考案してもよい。
【0038】
本明細書中で開示する均衡のとれた脂質組成物を使用して、いくつか例を挙げれば脂質、植物性化学物質、抗酸化物質、ビタミンおよびミネラルの均衡のとれた成分を含有する組成物を食餌の成分としての食品中に加えることにより、完全に均衡のとれた食餌計画を構築してもよい。一実施形態では、食餌の成分は、調製済または未調製の食品または飲料に加えられる料理原料であってもよい。いくつかの実施形態では、食餌の成分は、食事の他の構成要素と一緒に供されるデザートまたはサイドディッシュなどの完成した食用製品であってもよい。均衡のとれた脂質配合物と一緒に使用されるように、脂質を全く含有しないか、または少量の脂質(例えば、獣肉、鳥肉、シーフード、乳、果物、野菜、豆および穀物中に含有される少量の脂質)を含有する特別な食品を作り出して、脂質摂取の完全な均衡を確実にしてもよい。また、均衡のとれた複合栄養素の投与は、食事における1料理または食事における複数料理(例えば、サラダ、主料理およびデザート)により達成してもよい。
【0039】
各個体には、任意の医薬製品、栄養補給製品、または、摂取を意図した任意の製品の場合に通常見られるように、製品の使用およびリスクおよび警告量についての取扱説明書を提供してもよい。油、ナッツ、種子およびハーブは強力であることから、取扱説明書には、推奨される用量、回数、および、最適化についての提案を含めてもよい。例えば、ゴマ種子は、とりわけ多量の場合には子宮収縮を引き起こすことがあるため、妊婦は、臨月前には、ゴマ種子を含む一定の組成物の使用に対し注意を受けることがあるが、そのような組成物は、ある一定の他の状態にとっては有益な場合がある。
【0040】
この望ましい脂質組成物の送達は、一部または複数部分の相互補完する送達系により達成してもよい。例えば、この望ましい配合物は、パン、サラダ、主料理および/またはデザートなど、食事の多様な構成部分に多様な成分を加えることにより達成してもよい。
【0041】
本開示の一態様は、この脂質組成物からのω−6およびω−3の1日送達量の合計およびそれ以外の食餌が1日推奨量に関して最適であるような方式で脂肪酸を送達することである。
【0042】
本開示のまた別の態様は、食餌性脂質の送達/摂取が変化する度に、その変化により体の生理機能が乱れ、ときに頭痛、筋肉痛および関節痛、消化器および腸の不調、精神的混乱および不安などの有害作用が伴い、またあるときは、その変化により一時的な多幸感および一般的な意味での健康がもたらされることがあるとの観察に基づく、植物性化学物質、抗酸化物質およびミネラルに関して脂肪酸を安定に送達するというコンセプトである。体は2〜3週間以上かけた変化には適応するものの、最適範囲外の変化/摂取の長期的な効果は有害である場合がある。さらに、脂肪酸摂取が突然大きく変動すると、急性的な有害作用を有する可能性もある。長鎖ω−3脂肪酸または免疫抑制性の植物性化学物質/栄養素の習慣的で多量の供給が宿主に対して突然行われなくなるか、またはω−6脂肪酸が突然増加すると、全身性の炎症応答(毛細血管漏出、発熱、頻脈、呼吸促迫)、多臓器不全(消化器、肺、肝臓、腎臓、心臓)および関節の結合組織損傷を含む重篤な結果を伴うサイトカインストームの応答が生じることがある。そのような場合、宿主は、それ以外の体内化学物質、および、感染性物質の存在によっては、感染症、心筋梗塞、脳卒中および乾癬誘導に最も罹りやすいと考えられる。脂肪酸およびそれ以外の健康によい条件の穏やかな変動による比較的苛酷でない症状の出現においては、宿主は、睡眠障害、頭痛、筋痙攣、混乱、うつ病、ならびに、神経伝達の変化、筋肉および神経細胞の興奮性、エイコサノイドおよびアンドロゲンの変動に起因する発作的激怒を経験することがある。この安定な送達には、最低限およそ2〜3週間持続する最適範囲内での安定な用量が必要である。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
多様な脂質比率の配合物
本開示の特定の実施形態では、本明細書中に記載の配合物は、余分なω−3を不要にする多量の抗酸化物質および植物性化学物質の内容物および特性を有する。特定の実施形態では、この組成物中に含まれるリグナン(ゴマ中などの)、甘味料(蜂蜜など)、およびハーブ/香辛料(ウコンなど)は、余分なω−3を不要にすることができる。この配合物は、およそ10〜100グラムの1日総脂肪の、均衡のとれた脂肪酸組成物を供給できる。この配合物は、下記、表3に示すように、特定の比率の多様な脂質成分を含んでもよい。この比率は、重量対重量、重量対体積または体積対体積(w/w、w/vまたはv/v)であってもよい。
【0044】
【表3】

いくつかの実施形態では、この脂質配合物には、下記表4に示すように、特定の比率(%)のω−9脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸が必要である。
【0045】
【表4】

(実施例2)
気候による脂質組成物
一実施形態では、本開示の組成物は、気候条件および気温範囲により配合される。表5は、気候条件および温度範囲による、本開示の実施形態により開示されるとおりの油、ナッツおよび種子を含む脂質配合物についての重量%範囲を示すものである。
【0046】
【表5】

表6は、気候条件および温度範囲による、本開示の実施形態により開示されるとおりのω−9脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸についての重量%範囲(組成物全体に対する重量%)を示すものである。
【0047】
【表6】

以下の実施例では、さまざまな気候に暮らす、抗酸化物質/植物性化学物質の多い食餌および/または菜食主義食を摂取する健康な個体用に、全身の健康状態および幸福を維持するための特定の脂質組成物を調製した。この組成物は、表5に記載するようなさまざまな油、ナッツおよび種子で構成した。表7に示す組成物を、3つの異なる方法により配合した:脂質の液体配合物のみ、ナッツおよび種子の固形または半固形配合物のみ、油、ナッツおよび種子を含有する組合せ配合物。この組成物は、1日1回形式(組合せ配合物)、または、一方の投与が液体脂質を形成する投与であり他方の投与がナッツおよび種子の固形組成物の投与である1日2回形式で投与されるように配合した。
【0048】
表7は、ある範囲の気候用のこの実施例の脂質組成物中に含有されるω−6対ω−3の比率を示すものである。この比率は、液体のみの配合物、固形物のみの配合物または組合せ配合物のいずれか1つについて示してある。
【0049】
【表7】

表8は、総脂質対、ある範囲の気候用のこの実施例の脂質組成物中の一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸のそれぞれの比率を示すものである。比率は、液体のみの配合物、固形物のみの配合物または組合せ配合物のいずれか1つについて示してある。
【0050】
【表8】

(実施例3)
年齢、性別および食餌に基づく脂質組成物
本開示の一態様は、異なるヒト対象に、その年齢および性別および食餌に基づいてあつらえた脂質配合物を供給することである。下記の表9は、本開示の実施形態により開示されるような、菜食主義者、または、多量の抗酸化物質および/または多量の植物性化学物質を摂取する非菜食主義者対象用の、総脂肪酸内容物についての用量範囲(単位:グラム)、一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率範囲および一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率範囲、ω−3脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)およびω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率範囲を、性別および年齢群により示すものである。
【0051】
【表9】

表10は、本開示により開示されるような、非菜食主義者(すなわち雑食者)、または、少量の抗酸化物質および/または少量の植物性化学物質を摂取している菜食主義者対象用の、総脂肪酸内容物についての用量範囲(単位:グラム)、一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率範囲および一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率範囲、ω−3脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)およびω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率範囲を、性別および年齢群により示すものである。
【0052】
【表10】

表11は、本開示により開示されるような多量のシーフード摂取者用の、総脂肪酸内容物についての用量範囲(単位:グラム)、一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率範囲および一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率範囲、ω−3脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)およびω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率範囲を、性別および年齢群により示すものである。
【0053】
【表11】

(実施例4)
食餌配合物
一実施形態では、すべての食品に由来する1日の総脂質は本明細書中に記載の比率内であり、本明細書中に記載の組成物は、年齢および推奨されるとおりのカロリー摂取範囲内にある個体に投与される。
【0054】
別の実施形態では、本明細書中に記載の脂質比率および組成物は、自身の食餌の合計が、脂肪由来のカロリー(脂質組成物由来のものを含む)を20%〜45%、炭水化物由来のカロリーを45%〜65%、タンパク質由来のカロリーを10%〜25%含む個体に投与される。特定の一態様では、個体が摂取する総カロリーは、いくつか例を挙げると、性別、年齢および活動レベルについて、1日推奨量の平均と同じ範囲内にある。
【0055】
特定の実施形態では、この組成物の投与と併せて対象が従うような食事計画が構築されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の脂質比率および組成物は、自身の食餌が脂肪由来のカロリーを20%〜45%含む個体に投与される。一態様では、脂肪由来のカロリーの50〜90%は、本明細書中に記載の脂質組成物により供給される。さらなる一態様では、脂肪由来のカロリーは、魚油、乳製品(バター、バターオイル、乳、ミルククリームおよび/またはチーズ)、果実油、植物油、ナッツ、種子、ナッツ油および種子油のうち1つまたは複数により供給される。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の脂質比率および組成物は、自身の食餌が総カロリーの45%〜65%の炭水化物由来のカロリーを含む個体に投与される。別の態様では、この食餌は総カロリーの45%〜65%の炭水化物由来のカロリーを含み、この炭水化物は、穀物摂取50%〜70%(カロリーで)、野菜摂取15%〜30%(カロリーで)および果物摂取10%〜30%(カロリーで)に由来する。関連する一態様では、炭水化物由来のカロリーは、加えて、香辛料、甘味料および飲料のうち1つまたは複数に由来する。さらなる一態様では、穀物由来の炭水化物の50%〜70%は、小麦、米、トウモロコシ、大麦、スペルト、オーツ、ライ、ソバ、キビ、キノアおよび他の穀物のうち1つまたは複数により供給される。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の脂質比率および組成物は、自身の食餌がタンパク質由来のカロリーを10%〜25%含む個体に投与される。別の態様では、この食餌はタンパク質由来のカロリーを10%〜25%含み、このタンパク質は、豆、卵、チーズ、乳、ヨーグルト、鳥肉、シーフードおよび獣肉のうち1つまたは複数に由来するが、これらに限定されない。
【0059】
一実施形態では、本明細書中に記載の脂質組成物により供給される脂肪由来のカロリーを20%〜45%含む食餌計画が提供される。関連する一実施形態では、脂肪由来のカロリーを20%〜45%含み、そのうち脂肪カロリーの50〜90%が本明細書中に記載の脂質組成物により供給される、1日、1週間、2週間または1カ月の食餌計画が提供される。1つの食餌計画では、残りの、炭水化物由来のカロリー45〜65%およびタンパク質由来のカロリー10〜25%は、以下の成分、カロリーで特定された範囲を含む食餌により供給される。
【0060】
a.炭水化物由来のカロリー 45〜65%
i.穀物 50〜70%
1.小麦 50%未満
2.米 50%未満
3.トウモロコシ 20%未満
4.大麦 20%未満
5.スペルト 20%未満
6.オーツ 20%未満
7.ライ 20%未満
8.ソバ 15%未満
9.キビ 15%未満
10.キノア 15%未満
11.他の穀物 10%未満
ii.野菜 15〜30%
1.アスパラガス、ピーマン、キュウリ、ナス、サヤインゲン、グリーンピース、ケール、タチチシャ、ホウレンソウ、スカッシュサマーおよびスカッシュウィンター、トマト、ニンジン、ロメインレタス、ラディッシュ、ニガウリ、オクラ、コロハの葉 50%未満
2.ブロッコリー、メキャベツ、キャベツ、フダンソウ、カリフラワー、カラシナ、コラードの葉、カブの葉 40%未満
3.カブ、ビート、ジャガイモ、ヤムイモ、サツマイモ 50%未満
4.真菌(マッシュルームおよび酵母菌を含む) 25%未満
5.他の野菜 15%未満
iii.果物 10〜30%
1. リンゴ、アンズ、オレンジ、洋ナシ、プラム、バナナ、カンタロープ、ブドウ 75%未満
2. グレープフルーツ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル 50%未満
3. ブルーベリー、クランベリー、イチジク、キウイ、プルーン、ラズベリー、ザクロ、イチゴ、スイカ 30%未満
4. 他の果実 15%未満
iv. 香辛料/ハーブ 7%未満
1. バジル、黒コショウ、トウガラシ、チリペッパー、シナモン、クローブ、コリアンダーの種子および葉、クミン、ディル、ショウガ、カラシ種子、オレガノ、ペパーミントの葉、ローズマリー、セージ、タイム、ウコン、フェンネル、ニンニク、タマネギ、ニラ、パセリ、セロリ、カルダモン、サフラン、ライム、レモン、タマリンド、食卓塩、ミント、酢、他
v. 甘味料 7%未満
1. 糖蜜、サトウキビ汁、蜂蜜、メープルシロップ、ナツメヤシ、レーズン、乾燥ベリー、イチジク、糖、他
vi. 飲料 5%未満
1. 緑茶、紅茶、ココア、コーヒー、アルコール、他 5%未満
b. タンパク質由来のカロリー 10〜25%
i. 豆:黒豆、乾燥エンドウ、緑豆、ヒヨコマメ、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、白インゲンマメ、ピントマメ、大豆 75%未満
ii.卵 25%未満
iii.チーズ 25%未満
iv.乳 25%未満
v.ヨーグルト 25%未満
vi.鳥肉 30%未満
vii.シーフード 30%未満
viii.獣肉 30%未満
ix.その他 15%未満
(実施例5)
ω−3脂肪酸含有量を変えた配合物
表12は、ヒト対象が自身の食餌に最もふさわしい組成物を選ぶことができる(この場合、その選択は、食餌中の抗酸化物質および植物性化学物質のレベルおよび/または医学的素因に基づいてもよい)ようにω−3の強度を低、中および高に増やした場合の、年齢および性別により設計された、総脂肪酸内容物についての用量範囲(単位:グラム)、一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率範囲および一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率範囲、ω−3脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)を示すものである。
【0061】
【表12】

(実施例6)
医学的状態に基づく配合物
多様な実施形態では、本明細書中に記載の脂質組成物は、疾患、障害または状態の予防および/または治療のために個体に投与される。例えば、この脂質配合物は、更年期、すなわち月経の停止する過程の症状を緩和するために使用される。この脂質配合物は、内分泌障害の症状を緩和するためにも使用される。
【0062】
表13は、本開示により開示されるとおりの医学的適応を有する対象について、総脂肪酸内容物についての用量範囲(単位:グラム)、一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率範囲および一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率範囲、ω−6脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率範囲、ω−3脂肪酸含有量の範囲(単位:グラム)およびω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率範囲を示すものである。
【0063】
【表13】

(実施例7)
食餌および医学的状態による脂質組成物
一例では、毎日投与(1つまたは複数の構成要素)することを意図して、脂質組成物のパラメーターを食餌または医学的状態毎に構築した。表14および表15に示すように、この組成物のパラメーターは、自身の食餌が抗酸化物質/植物性化学物質の多いものであり、および/または菜食主義者である個体、自身の食餌が抗酸化物質/植物性化学物質の少ないものであり、および/または非菜食主義者である個体、または医学的状態もしくは障害を呈する個体について構築された。この組成物は、さまざまなナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油、ナッツおよび種子で構成される。表14は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸の比率範囲を示すものである。表15は、特定の比率の多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸を含むいくつかの組成物を示す。
【0064】
【表14】

【0065】
【表15】

(実施例8)
食餌および医学的状態による2つの構成要素の脂質配合物
一例では、1日2回投与(すなわち2つの構成要素の毎日摂取用配合物)を意図して、液体脂質および固形脂質の組成物のパラメーターを、食餌または医学的状態毎に構築した。表16〜表19に示すように、この組成物のパラメーターは、自身の食餌が抗酸化物質/植物性化学物質の多いものであり、および/または菜食主義者である個体、自身の食餌が抗酸化物質/植物性化学物質の少ないものであり、および/または非菜食主義者である個体、または医学的状態もしくは障害を呈する個体について構築された。この組成物は、さまざまなナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油、ナッツおよび種子で構成される。表16は、バー(固形)配合物について、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸の比率を示すものである。表17は、液体配合物について、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸の比率を示すものである。表18は、バー配合物(固形)の例を示し、表19は、特定の比率範囲の多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸およびω−9脂肪酸を含む1つの液体組成物を示すものである。
【0066】
【表16】

【0067】
【表17】

【0068】
【表18】

【0069】
【表19】

(実施例9)
食餌に基づく特別配合物
この実施例では、1つの液体脂質組成物のパラメーターを構築し、自身の食餌が抗酸化物質/植物性化学物質の多いものであり、および/または菜食主義者である個体、および、ナッツおよび種子を好まないか、または忍容できない個体に1日1回、2回、3回またはそれを超えて投与することを意図した1つの配合物を調製した。この組成物には、さまざまなナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油が含まれる。配合物のためのいくつかの範囲を、各成分について重量%(w/w)により示す(当該個体用の成分について1日当たりの重量%を表す)。この組成物は、1日1回またはそれを超えて投与できる。組成物によっては、以下のうち2つ以上を含んでもよい:アーモンド油(4%〜23%)、無水バターオイル(5%〜29%)、アボカド油(1%〜6%)、カシュー油(2%〜15%)、ココナッツ油(0%〜2%)、コーン油(3%〜19%)、魚油(0%〜5%)、亜麻仁油(0%〜5%)、カラシ油(0%〜5%)、オリーブ油(3%〜17%)、パーム油(0%〜5%)、ピーナッツ油(5%〜30%)、ピスタチオ油(1%〜7%)、カボチャ種子油(1%〜8%)、ベニバナ油(高オレイン酸のもの)(1%〜5%)、ゴマ種子油(0%〜5%)、大豆レシチン(0%〜5%)、大豆油(1%〜7%)、ヒマワリ油(高オレイン酸のもの)(2%〜14%)、ヒマワリ油(通常のもの)(0%〜5%)および/またはクルミ油(3%〜15%)。
【0070】
ナッツおよび種子を好まないか、または忍容できない個体に1日1回、2回または3回投与することを意図して、1つの液体脂質組成物のための別の一連のパラメーターを構築した。この組成物には、さまざまなナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油が含まれた。配合物のためのいくつかの範囲を、各成分について重量%(w/w)により示す(当該個体用の成分について1日当たりの重量%を表す。この範囲は、菜食主義者/多量の抗酸化物質/多量の植物性化学物質摂取者および雑食者/少量の抗酸化物質/少量の植物性化学物質摂取者またはシーフード摂取者に、異なる組合せで対応できる。この組成物は、1日1回またはそれを超えて投与できる。組成物によっては、以下のうち2つ以上を含んでもよい:アーモンド油(2%〜36%)、無水バターオイル(2%〜36%)、ココナッツ油(0%〜8%)、コーン油(1%〜24%)、亜麻仁油(0%〜8%)、カラシ油(0%〜8%)、オリーブ油(2%〜36)、パーム油(0%〜2%)、ピーナッツ油(4%〜72%)、カボチャ種子油(1%〜24%)、ベニバナ油(高オレイン酸のもの)(2%〜60%)、大豆レシチン(0%〜4%)、ヒマワリ油(高オレイン酸のもの)(4%〜72%)および/またはクルミ油(2%〜36%)。
【0071】
(実施例10)
毎日摂取用配合物
液体脂質および固形脂質の組成物のパラメーターを、1日2回投与(すなわち2つの構成要素の毎日摂取用配合物)用に構築した。この組成物は、さまざまなナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油で構成された。液体および固形の配合物の各成分についての範囲を、固形配合物および液体配合物のそれぞれについて示す。この固形配合物は、組成物全体に占める重量%で、以下のうち2つ以上を含む:アーモンド(10%〜25%)、カシュー(7%〜15%)、細かく刻んだココナッツ(1%〜4%)、亜麻仁(0%〜1%)、オリーブ(15%〜25%)、ピーナッツ(4%〜15%)、ピスタチオ(2%〜9%)、カボチャ種子(2%〜12%)、ゴマ(0%〜0%)、大豆(8%〜20%)、ヒマワリ種子(1%〜4%)および/またはクルミ(5%〜15%)。この液体配合物は、組成物全体に対する重量%で、以下のうち2つ以上を含む:アボカド油(3%〜14%)、コーン油(15%〜30%)、カラシ油(0%〜2%)、オリーブ油(10%〜22%)、パーム油(0%〜2%)、ピーナッツ油(15%〜35%)、ベニバナ油(高オレイン酸のもの)(5%〜15%)、大豆レシチン(0%〜2%)、ヒマワリ油(高オレイン酸のもの)(10%〜25%)および/または無水バターオイル(5%〜15%)。
【0072】
1回または複数回の毎日の投与(例えば、1、2または3つの構成要素の毎日摂取用配合物)についても、いくつかのパラメーターが構築された。この組成物は、さまざまなナッツ、種子、ナッツ油、種子油、植物油、果実油および他の油で構成された。この配合物の各成分についての範囲を、固形および液体の成分のそれぞれについて示す。この配合物は、組成物全体に対する重量%で、以下のうち2つ以上を含むことができる:ピーナッツまたはピーナッツ油(4〜35)、アーモンドまたはアーモンド油(2%〜25%)、オリーブまたはオリーブ油(3%〜45%)、豆または穀物(15%〜45%)、カシューまたはカシュー油(10%〜40%)、ピスタチオまたはピスタチオ油(5%〜25%)、カボチャ種子またはカボチャ種子油(4%〜25%)、ヒマワリ種子またはヒマワリ種子油(2%〜30%)、ゴマ種子またはゴマ種子油(0%〜20%)、クルミまたはクルミ油(5%〜25%)、亜麻仁または亜麻仁油(0%〜10%)、無水バターオイル、または、チーズなどの乳製品(5%〜45%)、ココナッツ果肉またはココナッツ油(2%〜8%)、コーン油(3%〜20%)、アボカド油(3%〜8%)、ベニバナ油(2%〜20%)、カラシ油(0%〜8%)、パーム油(0%〜8%)および/または大豆レシチン(0%〜2%)。
【0073】
(実施例11)
更年期障害、加齢および筋骨格障害についてのケーススタディー
更年期に関連するのぼせを発症している47歳女性。この対象の食餌に、6週間にわたり植物油、種子油、ナッツおよび種子の組合せを補給した。この対象に実施例10に記載の1日2回の投与配合物を提供した。ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸およびこの組成物に関する場合の比率を最適化することにより、のぼせの強さが徐々に低下する適応期間があることが観察された。軽減した他の症状は、対象により報告されるように、寝汗、性欲減退、膣乾燥、疲労、脱毛、暑さおよび寒さへの過敏、睡眠障害、集中困難、記憶力低下、体重増加、鼓腸、気分変動、うつ、不安、興奮性、乳房の圧痛、偏頭痛、関節痛、舌の灼熱感、電気ショックの感覚、消化異常、歯肉の異常、筋肉の緊張、肌のかゆみおよび四肢の刺痛であった。6週間コースの治療の間、対象の姿勢がよくなり(これは、筋肉量が増加したことを示すものである)、関節および/または腱の強度および柔軟性ならびに骨密度が改善された。骨粗鬆症に及ぼす効果は、油、ナッツおよび種子の補給を用いた治療をより長期間にわたり続け、治療前、治療中および治療後に標準的な方法を用いて骨密度を測定することにより試験できる。
【0074】
治療の有益な効果が更年期関連の症状に及んだのは、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の補給と、抗酸化物質および植物性化学物質に関する最適化とにより、性ホルモン様の安定な利益が達成されたことによると思われる。食餌性脂肪の量、その組成、および、当該栄養素が動物に与えられる期間は、アンドロゲンおよび内因性ステロイドの分泌および代謝、ならびに、細胞表面上での性ホルモン受容体の提示に影響することが公知である。エストロゲンおよび多価不飽和脂肪酸も同様の作用を有すると考えられる。ホルモン変動を少なくするには、量および組成に加え、比較的安定な用量も重要であると考えられる。Das UN、Estrogen, statins, and polyunsaturated fatty acids: similarities in their actions and benefits−is there a common link? Nutrition、2002年2月、18巻(2号)、178〜88頁。McVey MJ、Cooke GM、Curran IH、Chan HM、Kubow S、Lok E、Mehta R、Epub、2007年9月11日、Effects of dietary fats and proteins on rat testicular steroidogenic enzymes and serum testosterone levels.、Food Chem Toxicol.、2008年1月、46巻(1号)、259〜69頁。Gromadzka−Ostrowska J、Effects of dietary fat on androgen secretion and metabolism.、Reprod Biol.、2006年、6巻、補遺2、13〜20頁。
【0075】
投与された脂質組成物を含めた食餌全体に由来する栄養素(天然供給源)を、下記のとおり表20に示す。
【0076】
【表20−1】

【0077】
【表20−2】

(実施例12)
高コレステロール血症、心血管疾患についてのケーススタディー
宿主対象は、大部分がオリーブ油(75%が一価不飽和脂肪)、魚油栄養補助食品1グラムを毎日、および総必須脂肪酸(EFA)栄養補助食品1グラムを毎日の、低脂肪の菜食主義食を摂取していて、高コレステロール血症に罹患した。治療の一部として、魚油およびEFA栄養補助食品は中止した。次に、対象に、植物油およびナッツおよび種子の組合せで主に構成される、ω−6脂肪酸11グラムおよびω−3脂肪酸1.2グラムを含有する毎日摂取用の脂質組成物の栄養補助食品を投与した。この脂質組成物を投与した結果、LDLは160mgから120mgに減少した。ω−3を1.8グラムに増加すると非常に低レベルの血圧90/55mmHgが観察されたが、血圧レベルは、ω−6脂肪酸11グラムおよびω−3脂肪酸1.2グラムで105/70mmHgで正常化した。ω−3を1日当たり1.8グラムから1.2グラムに減らすと対象は不整脈を起こし、この不整脈は、2〜3週間かかって鎮静化した。しかし、ω−3を1日当たり0.5グラムにさらに減らすと、不整脈が継続する結果となった。
【0078】
このケーススタディーにより、ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率が約9:1である植物油、ナッツおよび種子を補給すると、血中のLDLコレステロールレベル(アテローム性硬化症と関連のある脂質異常)が顕著に低下すると考えられることが実証された。このケーススタディーにより、本明細書中に記載の脂質組成物および比率は、血圧および不整脈を和らげるうえで有用であると考えられることも実証された。
【0079】
別のヒト対象においては、ω−6脂肪酸の多い食事に続いて左の胸腔/胸壁から生じる激しい筋痙攣が観察されたが、この対象の典型的な食餌には、主に、一価不飽和脂肪酸および非常に少量の飽和脂肪酸が含まれた。体が慢性的に欠乏状態であるときにω−6を突然増加させると有害である可能性があるとの仮説が立てられる。
【0080】
多価不飽和脂肪酸(ω−3およびω−6、とりわけγ−リノレン酸)は、冠動脈心疾患を減らすために、飽和脂肪酸を減少させる勧告と共にしばしば推奨されてきた。しかし、すべての飽和脂肪が肝臓内のコレステロール合成に同じ効果を及ぼすわけではない。鎖長が12、14および16の飽和脂肪(ラウリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸)は、血中コレステロールを上昇させることが示されている。ステアリン酸(18−炭素、飽和)は、コレステロールを21%低下させることが示されており、この数値は、LDLを15%低下させるオレイン酸(18−炭素、一価不飽和)をさらに超える。多価不飽和脂肪酸は、細胞膜流動性、ひいては組織柔軟性(動脈の柔軟性など)を高める。必須脂肪酸を代謝する酵素であるδ6デサチュラーゼおよびδ5デサチュラーゼの活性低下は、アテローム性硬化症の発症および進行の要素である可能性があることが示唆されている。Das UN、A defect in the activity of Delta6 and Delta5 desaturases may be a factor in the initiation and progression of atherosclerosis.、Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids.、2007年5月、76巻(5号)、251〜68頁、Epub、2007年4月26日。しかし、ある種の植物性化学物質は、この酵素活性を阻害することが示されている。Fujiyama−Fujiwara Y、Umeda R、Igarashi O、Effects of sesamin and curcumin on delta 5−desaturation and chain elongation of polyunsaturated fatty acid metabolism in primary cultured rat hepatocytes.、J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo).、1992年8月、38巻(4号)、353〜63頁。このことから、食餌性の植物性化学物質は必須脂肪酸の必要量/代謝を変化させる可能性があることが示唆される。長鎖ω−6アラキドン酸の形成の減少は、その過剰な活性を低下させるためには望ましいと考えられるが、ある点を超えると、その減少により、決定的に重要な細胞膜の成分およびその代謝産物の欠乏が引き起こされる場合がある。
【0081】
(実施例13)
気分変動、精神機能についてのケーススタディー
対象宿主に、多様な油およびナッツの組合せを用いたω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の比率を変化させる試験を実施した。ω−3を減らすかまたはω−6を増やす度に対象は抑鬱状態となり、ほんのわずかな刺激で泣くようになった。ω−3を増やすと、対象の気分は即座に目に見えて上昇した。しかし、ω−6およびω−3のある一定の範囲内ではその効果は自己調節され、例えば、気分は3〜6週間かかって正常化した。ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の当該範囲内では、対象は3〜6週間にわたり、実際、ω−6のレベルが高まると家に閉じこもることが増え、ω−3のレベルが高まると多幸状態になることも観察された。ω−3を増加させると認知機能が向上したが、これは、即座に顕著であった。ω−3を減少させると、混乱、失読症および認知機能低下を引き起こしたが、こうした症状は時間の経過と共に鎮静化し、ある一定のω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸範囲内でも同様であった。対象は、3〜6週間かかってω−6およびω−3を最適化させた後、注意持続時間の増加および集中の向上も示し、読む速度および理解力が高まった。したがって、ω−3脂肪酸のレベルが低い方が対象の能力は高かったことから、食餌性ω−3脂肪酸のレベルが高まると、必要なω−6代謝産物のレベルを補うために適応機序が活性化されることが示唆される。食餌からの供給が不十分な場合には、必要なω−3代謝産物レベルについて同様の適応機序が存在すると考えられる。そのような適応が累積した結果、長期的に見てその個体に脅威となる可能性があると考えられる。
【0082】
食餌性脂肪を操作すると、脳の細胞膜の脂肪酸組成が変化する可能性があり、思考処理および行動に影響が及ぶ。多価不飽和脂肪酸は、神経伝達のさまざまな段階に影響する膜流動性におけるその役割により、また、神経伝達を妨げる炎症促進性サイトカインおよびエイコサノイドの前駆体としてのその機能により、異なるレベルで脳機能に関与することがあると考えられる。過剰な場合には有害であっても、サイトカインおよび脂質の過酸化産生物は、低レベルで有益な効果を発揮することがある。いくつかの研究により、小児の間の注意欠陥多動性障害においては脂質過酸化の低下が見出されており、このことから、抗酸化物質に関し脂質を均衡させる必要性が示唆される。Spahis Sら、「Lipid profile, fatty acid composition and pro− and anti−oxidant status in pediatric patients with attention−deficit/hyperactivity disorder.」、Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids.、2008年7〜8月、79巻(1〜2号)、47〜53頁、Epub、2008年8月30日。
【0083】
(実施例14)
神経障害についてのケーススタディー
1.進行性核上性麻痺
対象宿主は、症状に、歯の過敏、筋肉量低下、時々生じる呼吸困難、痣になりやすさ、軽度の不整脈および便通困難が含まれる50歳女性であった。この女性の敏感な歯への解決策として、歯科医は、彼女の歯を抜き、50歳で義歯に入れ替えていた。他の症状はそれぞれ、独立した症状として治療され、脂質以外の薬剤を用いて治療された。60歳で、彼女は平衡感覚欠如、二重視(複視)および発語不明瞭を発症した。最終的に、骨を砕くような転倒が見られるようになると、彼女は、脳幹内の神経組織の欠損を主に特徴とする神経疾患である進行性の進行性核上性麻痺(PSP)を有していると診断された。次に、この対象は歩行運動および話すことができなくなり、嚥下障害を発症した。彼女は67歳で肺炎により死亡した。
【0084】
この女性はそれまでに4回健康な出産を経験し50歳までは健康な生活を送っており、家族に神経疾患は発生していなかった。50歳前後の生活における変化をより詳細に調べると、脂肪は心疾患の原因となるからすべての脂肪は有害であるという1980年代の流行りの学説を理由に、その時点前後、食餌中の脂肪が著しく減らされていたことが明らかになった。この女性の両親は二人とも70歳代前半に、兄弟は48歳で、心筋梗塞により死亡している。したがって、脂肪を減らしたことは心疾患を回避するための予防手段であったが、その後、心疾患は強力な遺伝的要素を有すると考えられた。しかし、本開示においては、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の両方が彼女に極度に欠乏するようになる程度まで脂肪が減らされたと仮説を立てる。この女性は、抗酸化物質および植物性化学物質を多く摂取する閉経後の菜食主義者であり、食餌中に含まれたわずかな脂肪は、飽和脂肪(総脂肪の20%未満)または一価不飽和脂肪(総脂肪の70〜90%)のいずれか、オリーブ油を他のすべてに勝ると考える当時の学説に従って、ほとんどがオリーブ油であった。オリーブ油は75%が一価不飽和油であり、ポリフェノールに富む。すべての脂肪酸は代謝経路において競合し、抗酸化物質および植物性化学物質はω−6の必要量を増加させることから、彼女の場合は、ω−6酸の欠乏がより大きな原因であると思われる。ω−6の欠乏は、彼女の初期症状からも明らかである。すなわち、筋肉量にはω−6およびω−3の均衡が必要であり、ω−6誘導体のロイコトリエンを欠くと喘息様の呼吸上の問題を引き起こすことがあり(逆に、過剰なロイコトリエンが喘息様の症状を引き起こす場合もある)、ω−3の欠乏は不整脈と関係しており、ω−6に誘導されるトロンボキサンの欠乏は、痣になりやすい状態を引き起こすことがあり、ω−6に誘導されるプロスタグランジンの欠如は、平滑筋活性、ひいては便通を妨げることがある。本開示において仮説を立てるように、エストロゲンおよびアンドロゲンは多価不飽和脂肪として同様の作用および利益を有することから、彼女が閉経後であったという事実は、ω−6およびω−3の必要性をより決定的に重要なものとした。生殖ホルモンが減少すると、体は、生理機能についてω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸およびその代謝産物に次第に依存すると考えられる。
【0085】
神経組織、とりわけ神経シナプスの膜の中に非常に多量に存在する、リノール酸(LA)代謝産物のアラキドン酸(AA)、およびα−リノレン酸(ALA)代謝産物のドコサヘキサエン酸(DHA)の欠乏が神経変性の原因となっていると考えられることは、本開示の一実施形態である。神経炎症は、脳の正常な構造および機能の侵害および回復の無効化と関連のある宿主防御機構であり、すべての主要な神経疾患に特徴的である。LAおよびALAの食餌性欠乏、およびその結果生じる、組織における望ましくないAA対DHA比が、急性の神経外傷および神経変性疾患と関連のある神経変性をもたらした可能性があると考えられる。
【0086】
すべてのω−6脂肪酸またはω−3脂肪酸の欠乏または不均衡がPSPにつながるわけではないことに注目することは重要である。この欠乏または不均衡は体内で危険な状態を作り出すのみであり、発症する疾患は、それ以外の体内化学物質に依存する。西洋では、ω−3脂肪酸は大きな注目を集めているが、それは、大衆の消費がω−6に対し非常に歪んでおり、抗酸化物質および植物性化学物質の摂取が不十分であることが理由である。ω−3の必要量は非常に小さいと考えられ、その必要量はω−6の増加に伴ってのみ増加すると考えられる。本明細書中で開示するのは、人口統計学的要素に照らした、ω−3脂肪酸とω−6脂肪酸とを均衡させるための、およびその安定な送達のための、方法および組成物である。
【0087】
2.筋萎縮性側索硬化症
対象は、主にオリーブ油およびナッツを用いた低脂肪食を摂取する30歳代半ばの菜食主義女性であった。彼女は、以下のような筋萎縮性側索硬化症(ALS)様の症状を発症していた:手、腕、脚および話す際に使う筋肉の筋力低下、筋肉の単収縮および痙攣、息切れならびに嚥下困難。左半身は右半身より症状が重かった。脂質組成物を投与し食餌を変化させてω−6脂肪酸を約12グラムに増やすと、症状は消え、筋緊張は、症状の発症前より良好に改善された。この場合、組織中のω−6に対するω−3の量は、体が忍容する比率を超えていたとの仮説が立てられる。この菜食主義食およびナッツにより抗酸化物質および植物性化学物質が多量になったことから、この対象は、食餌性ω−3脂肪酸が適度なレベルであったにもかかわらず、ω−6脂肪酸および必要な代謝産物が欠乏するようになった可能性があると考えられる。
【0088】
ALSの初期症状は、人により相当違う場合がある。ある人はカーペットの縁でのつまずきを経験する場合があり、別の人は物を持ち上げるのが困難である場合があり、3人目の人の初期症状は発語不明瞭である場合がある。少数の人においては、ALSはその進行を緩めまたは停止することが公知であるが、このことが起こる機序および理由については科学的に解明されていない。本発明においては、ALSはω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の摂取の無意識の変更と関係があるとの仮説を立てている。多くの人間は、好き嫌い、家族から受け継いだ習慣、ある一定の食品の入手しやすさ、料理の癖およびたまたま流行の食品に基づいて、ある一定の食パターンになる。しかし、そのような変化は生活において常にあり、友人宅での夕食会、好意を寄せる人からの食品の贈り物、または離れた場所への休暇、または気に入った新しい油、そうしたことが食餌の変化をもたらす。一握りのナッツ、またはスプーン1杯分の多量のω−6油および/またはω−3油があれば、一時的にではあっても均衡を傾けるには十分である。どんなにわずかであっても、それにより体内で実際に影響が出る。
【0089】
他の宿主対象において、本開示の組成物によるω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸のレベルの実験的な調節に次いで、運動協調性、手書き、バランス、および体がリズムについていく能力(例えば、ダンスのステップにおいて)の改善が観察された。
【0090】
(実施例15)
筋骨格障害についてのケーススタディー
1.筋肉の性能
宿主対象において、脂質組成物の投与によるω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸療法のコースにわたり、多くの筋骨格問題が現れ、消失した。10〜11グラムのω−6を摂取した菜食主義の宿主においては、ω−3が0.5gを超えて増加すると、筋肉の性能がより良好となり、関節痛が減り、関節の鳴る音が減り、空間課題の成績が良好になった。しかし、限界収益逓減点には、ω−3約1.2グラムで到達した。ω−3が1.2グラムを超えて増加すると、筋緊張、姿勢および運動の持久性が低下する結果となった。ω−3を1.2グラムに向けて徐々に戻すと、対象は、脚のつり、背下部の痛み、頭皮内の灼熱感、膝関節の座屈(buckling)、ならびに、膝および肩の関節痛を経験した。3〜6週間かかって、こうした症状は鎮静化した。
【0091】
2.痛風
別の宿主対象は、低脂肪食、主にオリーブ油およびナッツを摂取しており、痛風、関節障害を発症していた。食餌中のω−6を増やすと、症状は消失した。
【0092】
3.筋筋膜痛および胸郭出口症候群
食餌中の主要脂肪としてオリーブ油を用いた低脂肪食を摂取している35歳の菜食主義女性において、急性筋筋膜痛のエピソードの発症が観察された。この対象は、体の数個所、頸肩、傍脊椎筋、大腿、手および腕において重度の筋緊張を経験した。
【0093】
宿主は、筋筋膜痛症候群(MFS)および胸郭出口症候群(TOS)に罹患していると診断された。TOSは、腕神経叢(頸部から腕の中へ通る神経)および頸基部と腋窩(腋の下)との間の鎖骨下動静脈血管の中の神経に影響する一群の別々の障害からなる。ほとんどの場合、こうした障害は、腕神経叢の構成要素(頸部から腕に通る神経の大きな塊)、鎖骨下動脈または鎖骨下静脈が圧迫されることにより生じる。神経原性型のTOSは、TOSの全症例の95〜98%を占めることから、神経疾患が疑われた。宿主対象は、CNS全体のMRI、X線、血液検査、薬物療法、マッサージ療法およびカイロプラクティック治療を含む多数の試験を受けた。症状は消えても、その後、数カ月後または1年後に再発することになった。本開示の脂質組成物の投与により対象の食餌中のω−6およびω−3を最適化させた後、TOSおよび筋筋膜痛のエピソードは鎮静化した。本発明においては、こうしたエピソードは、体にω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸が極度に欠乏している結果であったとの仮説を立てる。ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸、より詳細には、ω−6脂肪酸が無意識に増加する(これは、食餌の何らかの偶発的変化により生じる可能性がある)度に、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンの突然の急増、ならびに、神経細胞および筋細胞の興奮が生じ、その結果、重度の筋緊張が生じた可能性がある。関与している可能性のある脂質に関する他の機序は、未だ解明されていない。
【0094】
筋骨格障害との脂肪酸の関係は、非常に複雑である。アラキドン酸および他の多価不飽和脂肪酸は、主に、細胞の興奮性に影響する神経細胞および筋細胞において、電位開口型のカルシウムチャネル、ナトリウムチャネルおよびカリウムチャネルの機能を調節することを実証する多くの研究がある。Boland LM、Drzewiecki MM、Polyunsaturated Fatty Acid modulation of voltage−gated ion channels.、Cell Biochem Biophys.、2008年、52巻(2号)、59〜84頁、Epub、2008年10月2日。いくつかの研究においては、脂肪酸の量および種類の変化と共に筋線維の型が変化することが観察されている(と考えられる)。de Wilde J、Mohren R、van den Berg S、Boekschoten M、Dijk KW、de Groot P、Muller M、Mariman E、Smit E、Short−term high fat−feeding results in morphological and metabolic adaptations in the skeletal muscle of C57BL/6J mice.、Physiol Genomics.、2008年2月19日、32巻(3号)、360〜9頁、Epub、2007年11月27日。骨格について言えば、骨量は、骨芽細胞(骨形成細胞)および破骨細胞(骨吸収細胞)の均衡のとれた作用により支配される。多様な長鎖多価不飽和脂肪酸およびその代謝産物は、カルシウム均衡、骨芽細胞形成、破骨細胞形成、ならびに、骨芽細胞および破骨細胞の機能に影響するという証拠が増えている。Poulsen RC、Moughan PJ、Kruger MC、Long−chain polyunsaturated fatty acids and the regulation of bone metabolism.、Exp Biol Med (Maywood)、2007年11月、232巻(10号)、1275〜88頁。Rahman MM、Bhattacharya A、Fernandes G、Docosahexaenoic acid is more potent inhibitor of osteoclast differentiation in RAW 264.7 cells than eicosapentaenoic acid.、J Cell Physiol.、2008年1月、214巻(1号)、201〜9頁。
【0095】
(実施例16)
甲状腺障害についてのケーススタディー
宿主対象においては、ω−3脂肪酸の減少に伴う甲状腺障害の症状、疲労および衰弱、低温不耐、脱毛、手足の冷え、体重増加、不眠症、便秘、うつ、記憶力低下、健忘症および神経過敏が観察され、脂肪酸の最適範囲内では自己調節された。
【0096】
(実施例17)
体重増加、肥満についてのケーススタディー
菜食主義の宿主対象において、それを超えると対象の体重が増加する、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の最適な量および比率の幅が存在することが発見された。ω−6 11グラムおよびω−3 2グラムでは、対象は134ポンドであった。ω−3を1.2グラムまで徐々に減らすと、対象は最初6ポンド増えた後、6週間後12ポンド減り、最終的な体重は128ポンドとなった。肥満は代謝の遅さにしばしば関係があった。同様に、代謝速度は細胞膜組成に関係があった。Hulbert AJ、Membrane fatty acids as pacemakers of animal metabolism.、Lipids、2007年9月、42巻(9号)、811〜9頁、Epub、2007年4月27日。多量の多価不飽和膜組成は、膜関連の速い過程と関係があると考えられる。膜組成は、エネルギー平衡方程式のすべての側面、すなわち、電解質勾配の均衡、神経ペプチド調節、遺伝子調節およびグルコース調節に影響する。
【0097】
(実施例18)
糖尿病についてのケーススタディー
糖尿病のごく初期の症状が誘導される可能性があるかどうかを見るために、さまざまな量および比率のω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を、その他の点では健康な対象に投与した。本開示の組成物に関する場合のω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸のある一定の比率および量により、高血糖、過剰な尿生成、過剰な口渇および水分摂取の増加、かすみ目、原因不明の体重増加および嗜眠が誘導された。非常に高レベルのω−3に伴うこのような模擬的な症状は、用量を減らすことによっても回復させることができる。一例では、インスリン抵抗性は低レベルのω−6脂肪酸と関連があると考えられる。Summers LK、Fielding BA、Bradshaw HA、Ilic V、Beysen C、Clark ML、Moore NR、Frayn KN、Substituting dietary saturated fat with polyunsaturated fat changes abdominal fat distribution and improves insulin sensitivity.、Diabetologia、2002年3月、45巻(3号)、369〜77頁。
【0098】
(実施例19)
消化器系障害についてのケーススタディー
宿主対象においては、酸逆流疾患、腸の過敏、消化不良および胃弱の発症が観察された。ω−6脂肪酸を増やすか、またはω−3脂肪酸を減らす度に、以下の症状:胃痛、鼓腸、胸やけ、悪心(胃のむかつき)およびゲップが現れたが、ω−6増加に体が適応するにつれ、こうした症状はすべて消失した。ω−6は、最大11グラム試験した。特定の宿主においてはその点を超えると症状が持続するだろうとの仮説が立てられる。2グラムを超えてω−3を増やすと、濃色で固いペレット様の便が生成された。ω−6およびω−3の最適な均衡においては、便の黄褐色により判定されるように、胆汁の生成は最適であった。口腔中の粘液生成を指標として用い、正しいω−6およびω−3の量および比率では消化管中の粘液生成が最適であることも観察された。ω−3が2グラムの場合には口臭も観察され、ω−3を減らすと悪化した後、3〜6週間かかって正常化した。アラキドン酸は、腸の粘膜の保護および完全性において中心的役割を果たす。過剰なω−3は、アラキドン酸に置き換わり、胃腸粘膜の損傷を引き起こすことがある。
【0099】
(実施例20)
排卵、生殖障害についてのケーススタディー
宿主対象の35歳女性においては、食餌中のω−6脂肪酸が極めて少ない場合には、排卵の停止(水のように薄い月経周期により示されるとおり)、排卵に伴う強烈な痛みおよび無排卵(anovulatry)月経が観察されたが、オリーブ油が主要な脂肪源であった。本明細書中では、このことは、排卵を助ける、ω−6により誘導されるプロスタグランジンの欠乏によるものであったと仮説を立てている。対象が、シクロオキシゲナーゼ活性、ひいてはプロスタグランジン合成を遮断するAdvilを処方されたときに、同じ現象が観察された。
【0100】
食餌性脂肪酸は、月経から、受精、妊娠関連の合併症(糖尿病など)、胎児の発育、早産、出生後の母子の健康まで、生殖と複雑に関連する。
【0101】
(実施例21)
加齢、組織修復についてのケーススタディー
宿主対象においては、本開示の組成物によりω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を均衡および最適化することにより、筋肉量回復、睡眠の安定化、精神的な鮮明さの向上、エネルギーおよび活力の向上、皮膚の改善、脱毛の減少、腸機能の改善、性欲および性的機能の改善ならびに体重管理を含め、加齢症状が調節された。本開示の組成物によるω−6およびω−3の理想的な均衡に伴う頻尿の管理も観察された。これは、組織中のω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸、関連するエイコサノイドの管理の効果の組合せ、ならびに、それらが生理機能に及ぼす効果によるものであり、また、こうした脂質の性ホルモン様の効果によるものであり、また、それらが性ホルモン産生の最適化に及ぼす効果によるものであり、この組成物中の抗酸化物質および植物性化学物質によりさらに促進されたとの仮説が立てられる。
【0102】
脂質過酸化は、適度なレベルでは必要であるが、加齢における重大な要素である可能性があることが示唆されている。酸化ストレスは、核酸およびタンパク質といった他の重要な生体分子を損傷する可能性もある。Hulbert AJ、「Life and Death: Metabolic Rate, Membrane Composition, and Life Span of Animals」、Physiol Rev.、2007年10月、87巻(4号)、1175〜213頁。膜流動性は若々しさと関連があると考えられるが、最初の2〜3個を超えて二重結合がどんどん導入されると、追加的な流動性が生まれない可能性がある。さらに、脂質過酸化は、膜流動性の低下と関連があると考えられる。本開示の組成物は、天然の抗酸化物質および植物性化学物質を効果的に使用して、過剰なω−3送達を回避しながら、過酸化を管理し膜流動性を保持する。3〜6つの二重結合を有するω−3系の脂肪酸は、最も過酸化しやすい脂肪酸だからである。線維芽細胞は、動物組織の構造の骨格である細胞外マトリックスおよびコラーゲンを合成する種類の細胞である。線維芽細胞が正しく機能することは、組織の最適な修復および再生にとって必須である。多価不飽和脂肪酸、抗酸化物質およびステロールは、望ましい線維芽細胞血漿膜の環境を構築する可能性があり、二重層の脂質膜をはさんだ電気化学勾配に関与していると考えられる。Schroeder F、Kier AB、Sweet WD、Role of polyunsaturated fatty acids and lipid peroxidation in LM fibroblast plasma membrane transbilayer structure.、Arch Biochem Biophys.、1990年1月、276巻(1号)、55〜64頁。Haines TH、Do sterols reduce proton and sodium leaks through lipid bilayers?、Prog Lipid Res.、2001年7月、40巻(4号)、299〜324頁。本開示は、幹細胞が増殖および/または分化するための環境を提供することによるなど、内因性幹細胞の増殖および/または分化を誘導および管理することによる、組織の修復および/または再生のための組成物および方法も提供する。腸細胞および骨髄細胞は、継続的で生涯にわたる循環細胞の生理的補充におけるその存在量およびその役割についての成人幹細胞の例を示す。本開示の組成物および方法はカロリーも制限することから、酸化ストレスが制限され膜不飽和指数がより低くなることにより寿命が長期化する可能性がある。
【0103】
(実施例22)
肺障害についてのケーススタディー
宿主対象においては、ω−6脂肪酸の増加またはω−3脂肪酸の減少は、呼吸困難、鼻うっ血、耳痛、くしゃみおよび粘液過多を伴った。しかし、ω−6およびω−3の最適範囲内では、そうした症状は一定期間をかけて自己調節された。低脂肪食、すなわち、主に一価不飽和脂肪、総必須脂肪酸(EFA)の栄養補助食品1グラムおよび魚油栄養補助食品の食餌が、宿主対象の呼吸困難の原因となった。ω−6脂肪酸10〜11グラムを補給すると呼吸困難は消失した。EFA栄養補助食品は、必要なロイコトリエンを十分産生していなかったとの仮説が立てられる。ω−6およびω−3に誘導されるロイコトリエンは、肺機能における非常に重要な物質である。ロイコトリエンは、必要とされる細胞を組織に運ぶのを助け、血管の透過性を増加させる。過剰な場合には、ロイコトリエンは、気道閉塞、粘液の分泌および蓄積の増加、気管支狭窄および炎症の原因となることがある。調節期間は、EFAの突然且つ広範な変化が免疫系を混乱させ、病原体への脆弱性が高まった期間を作り出す可能性があることを示している。さらなる研究により、感冒およびインフルエンザへの罹りやすさとω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の突然且つ広範な変化との関連が見出される可能性がある。
【0104】
(実施例23)
眼障害についてのケーススタディー
宿主対象において、ω−3脂肪酸を減らしω−6脂肪酸を増やした際に、ドライアイおよび眼内の圧迫されるような痛みが観察された。ω−6およびω−3のレベルが人口統計学的タイプにより適当な範囲内で維持されたときは、時間の経過と共に症状は消失した。ドルーゼン、すなわち、眼角の中に集まることの多い過剰な目の粘液が、本開示の組成物について言う場合の正しいω−6/ω−3の均衡で排除できることも観察された。しかし、ω−6またはω−3が過剰に増加したときは、ドライアイ症候群が持続した。過剰なω−3は血液が非常に薄くなる結果をもたらしたが、恐らくこれは、トロンボキサン作用の低下、それにより引き起こされた目の充血によるものであった。
【0105】
ドコサヘキサエン酸(ω−3)は、網膜の光受容体および脳のシナプス膜の重要な成分であり、アラキドン酸(ω−6)は、血管内皮細胞の重要な成分である。さらに、ω−6は血管の血圧にも関与していることから、ω−6およびω−3は両方とも、眼の健康に決定的に重要である。ω−3脂肪酸、ならびに、ビタミンC、E、βカロテンおよび亜鉛の配合物は加齢黄斑変性症(AMD)の進行を予防することが示されているが、ルテイン/ゼアキサンチン(xeaxanthin)およびω−3脂肪酸の摂取増加はAMDの進行と関連があるのに対し、ルテイン/ゼアキサンチンおよびω−3の適度な摂取はより良好な眼の健康と関連があり、このことから、植物性化学物質の役割、および、用量の重要性が示唆される。Robman L、Vu H、Hodge A、Tikellis G、Dimitrov P、McCarty C、Guymer R、Dietary lutein, zeaxanthin, and fats and the progression of age−related macular degeneration.、Can J Ophthalmol.、2007年10月、42巻(5号)、720〜6頁。
【0106】
(実施例24)
皮膚障害についてのケーススタディー
宿主対象は、食餌中に多量のω−3脂肪酸があると毛穴のサイズが大きくなり、食餌中に多量のω−6脂肪酸があると皮膚が乾燥することを実証した。2つを均衡させると、最良の結果が得られた。本開示の組成物に関して言う場合の正しい均衡を用いると、小皺が減る可能性がある。時々ω−3が減少するのは、頸部領域周辺での発疹の出現と関連があると考えられる。ω−6代謝の増加に由来するサイトカイン活性の突然の増加により皮膚の発疹が発生したとの仮説が立てられる。脆い爪および魚の目およびたこは、本開示の組成物により脂肪酸を適切に均衡させれば消失すると考えられる。ω−3脂肪酸を減らした後で表面に現れる死細胞と同様、皮膚の脱落も観察された。
【0107】
皮膚は、多価不飽和脂肪酸の高度に活発な代謝を示す。食餌性ω−6、リノール酸が欠乏すると、うろこ状の皮膚疾患および皮膚の防御系の崩壊を招くことが示されており、ビタミンCの多量摂取と組み合わせたリノール酸摂取は、皮膚加齢のより良好な外見と関連がある。食餌性の麻種子油は、血漿中の脂肪酸プロファイルの著しい変化およびアトピー性皮膚炎の臨床症状改善をもたらすことが示されており、このことは、麻種子油中のω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の両方が豊富に供給されることによると考えられる。Ziboh VA、Prostaglandins, leukotrienes, and hydroxy fatty acids in epidermis.、Semin Dermatol.、1992年6月、11巻(2号)、114〜20頁。Ziboh VA、Cho Y、Mani I、Xi S、Biological significance of essential fatty acids/ prostanoids/ lipoxygenase−derived monohydroxy fatty acids in the skin.、Arch Pharm Res.、2002年12月、25巻(6号)、747〜58頁。Cosgrove MC、Franco OH、Granger SP、Murray PG、Mayes AE、Dietary nutrient intakes and skin−aging appearance among middle−aged American women.、Am J Clin Nutr.、2008年8月、88巻(2号)、480頁。
【0108】
(実施例25)
睡眠障害についてのケーススタディー
人口統計学的なタイプによる本開示の脂質組成物により、最適化されたレベルのω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を使用すると、宿主対象においてより良好な安眠、ならびに、睡眠時間および覚醒時間の正常化が達成される可能性があることが観察された。事実、1人の宿主対象において8時間から7時間へ睡眠時間を減らした場合に、時間の経過と共により良好な安眠が観察された。下肢静止不能症候群も、宿主対象において軽減すると考えられる。ω−6およびω−3の量を変更する度に、宿主には調節期間が訪れた。ω−3の方が睡眠をより強く誘導し合計睡眠時間を増加させたのに対し、ω−6は、最初は睡眠を誘導したものの、数時間後には、一時的な不眠症を引き起こすほどの覚醒の強い反動を引き起こしたが、2週間かかって睡眠パターンは正常化した。こうしたことは、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸が甲状腺機能に及ぼす効果、ならびに、甲状腺機能が、他の機序の中でも、PGD2作用など睡眠に及ぼす効果が理由であるとの仮説が立てられる。
【0109】
ω−6代謝産物のPGD2は、不眠症に至る覚醒の強い反動および用量依存的なベル型の応答曲線を伴う強力な睡眠誘導物質であると考えられる。他の研究においては、ω−3が欠乏した食餌は、松果体のメラトニンリズムを低下させ、概日時計の内因性の機能を弱め、夜間の睡眠障害に関与することが示されている。他の脂肪酸の中でも、パルミトレイン酸およびオレイン酸は睡眠障害にとって重要であることが示されているが、これは恐らく、これらの物質が、睡眠を誘導するオレアミドの前駆体としての機能を有することによるものである。
【0110】
(実施例26)
歯科疾患についてのケーススタディー
菜食主義の宿主対象において、ω−6を11グラムで一定に維持しながらω−3脂肪酸を2グラムから1.2グラムに減らすと、歯の過敏の低下、歯肉の後退の回復、歯のエナメル質の輝き、ならびに、歯の染みおよびプラークの減少が観察された。ナッツおよび油を含む脂質組成物が、ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸の供給源であった。症状が宿主対象において悪化してから回復するまで3〜6週間の調節期間があった。介入期間中の歯の喪失を調査することにより、さらに長期の介入研究から、この仮説を検証できるはずである。脂質の生物活性は、歯周炎/歯の喪失と冠動脈心疾患との間の関連を説明すると考えられる。
【0111】
(実施例27)
免疫、自己免疫および感染性疾患および炎症性疾患についてのケーススタディー
油およびナッツからリノール酸(LA)11gおよびα−リノレン酸(ALA)1.8gを摂取している菜食主義の宿主対象、48歳の閉経期女性において、脊椎の灼熱感、体内、皮膚および足の熱、ならびに創傷治癒の遅延が観察された。この対象は、さらに、膣の酵母菌感染症も発症した。症状は、最初の調節期間の後でALAを1.2gに減らすと消失した。とりわけ、食餌性脂肪酸が大きく変化した後の調節期間中に、ω−6脂肪酸/ω−3脂肪酸の不均衡により、炎症、免疫低下および感染症が生じたとの仮説が立てられる。とりわけ、植物性化学物質との相互作用の可能性に照らせば、ω−6およびω−3は両方とも低用量では抗炎症性であり、高用量では炎症性であることがさらに疑われる。一実施形態では、ω−3、植物性化学物質および他の食餌性構成要素による過度の免疫系抑制は、いくつかの疾患を引き起こす炎症の調節不全の原因となる代償的な機序の上方調節に繋がることがある。したがって、免疫系の自己調節が抑制されている閾値を下回るすべての食餌性免疫調節の正味の効果は、より効果的な栄養的アプローチであると考えられることは、本開示の一実施形態である。
【0112】
任意の組合せの成分の総重量パーセントが100%を超えないことは理解される。ある成分が組成物中に存在する場合には、その成分は、ゼロではない量(例えば、約0.00000001mg超または総重量の0.00000001重量パーセント超)で存在することも理解される。
【0113】
いくつか例を挙げれば、本発明の実施形態の多様なナッツ、種子、脂質および油の量および比率は、前述のように多様な疾患および状態にとっての利益との関連によるもの、実験的には、結果に焦点を合わせた実験法によるものを含め、有益であることが発見された。先に列挙した例、ケーススタディー、特定の医学的状態との関連などは、本開示を限定するのではなく、単に、例の目的で本開示を説明することを意図したものである。
【0114】
本明細書中で本開示のいくつかの実施形態を示し記載してきたが、そのような実施形態は例の目的でのみ記載されていることは当業者には自明であろう。多様な変形、変更および代用が、今や、本開示から逸脱することなく当業者には思い浮かぶであろう。本明細書中に記載の本開示の実施形態への多様な代案は、本開示を実行するうえで採用される可能性があることは理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法および構造ならびにその等価物がそれにより包含されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日最適量の脂肪酸および植物性化学物質を含む哺乳動物対象のための脂質含有組成物であって、以下の群:前記対象の年齢、前記対象の性別、前記対象の食餌、前記対象の体重、前記対象の医学的状態、および前記対象の生活圏の気候から選択される1つまたは複数の要素に基づく組成物。
【請求項2】
安定な送達により前記対象に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸をさらに含み、ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の比率およびその量が、前記群から選択される1つまたは複数の要素に基づいて制御される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の前記比率が、4:1〜45:1の範囲内である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ω−6脂肪酸対ω−3脂肪酸の前記比率が、1:1〜10:1の範囲内であり、前記対象が、抗酸化物質の少ないおよび/または植物性化学物質の少ない食餌を摂取している、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
1つまたは複数のω−9脂肪酸をさらに含み、ω−9脂肪酸対ω−6脂肪酸の比率も、前記群から選択される1つまたは複数の要素に基づいて決定される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記ω−9対ω−6の前記比率が1:1〜5:1の範囲内であり、
前記ω−6対ω−3の前記比率が1:1〜45:1の範囲内であり、
前記医学的状態が、ある形態の脂質不均衡を伴う、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ω−9脂肪酸が前記組成物中の総脂質の10%〜80%の範囲内であり、
前記ω−6脂肪酸が前記組成物中の総脂質の4%〜60%の範囲内であり、
前記ω−3脂肪酸が前記組成物中の総脂質の0.3%〜20%の範囲内である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前期組成物の前記脂肪酸の成分が、以下の高濃度の脂質供給源:油、バター、ナッツおよび種子のうち1つまたは複数を使用することにより少なくとも部分的に達成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記群が、前記対象の脂質忍容性をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
食餌の成分として使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ω−9が前記組成物中の総脂質の15%〜80%の範囲内であり、前記ω−6が前記組成物中の総脂質の8%〜60%の範囲内であり、ω−3が前記組成物中の総脂質の0.3%〜12%の範囲内である、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
ビタミンEをさらに含み、前記ビタミンEの量が前記組成物中の総脂質の0.001%〜0.2%の範囲内である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記対象が、雑食性のヒト、または、抗酸化物質の少ないおよび/または植物性化学物質の少ない食餌を摂取しているヒトであり、
前記ω−9脂質が前記組成物中の総脂質の15%〜80%の範囲内であり、前記ω−6が前記組成物中の総脂質の6%〜53%の範囲内であり、前記ω−3脂質が前記組成物中の総脂質の1%〜18%の範囲内である、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中の総脂質の0.005%〜0.2%の範囲内であるビタミンEをさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含む脂質含有組成物であって、前記3つの脂肪酸型の比率および量が、哺乳動物対象についての以下の要素:年齢、性別、気候、体重、食餌、および医学的状態のうち1つまたは複数に基づいて制御される組成物。
【請求項17】
前記要素のうち1つまたは複数に基づいて添加栄養素も制御され、前記添加栄養素が、以下の群:植物性化学物質、抗酸化物質、ビタミン、およびミネラルから選択される1つまたは複数の成分である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項16に記載の組成物を用いて均衡のとれた食餌計画を構築する方法。
【請求項19】
脂質不含または低脂質の食品が、均衡のとれた食餌計画を達成するために前記脂質組成物と組み合わせて使用するように設計される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物中の総脂肪酸含有量対一価不飽和脂肪酸含有量の比率が1.25:1〜4:1の範囲内であり、
前記組成物中の一価不飽和脂肪酸対多価不飽和脂肪酸の比率が1:1〜3:1の範囲内であり、
前記組成物中の一価不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比率が1:1〜5:1の範囲内である、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
以下の成分:ピーナッツ油、植物油、アボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油のうち1つまたは複数を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
以下の成分:カラシ油、パーム油および大豆レシチンのうち1つまたは複数をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
以下の成分:
前記組成物中に8〜56重量パーセントで存在するピーナッツ油、
前記組成物中に8〜46重量パーセントで存在する植物油、
前記組成物中に3〜16重量パーセントで存在するアボカド油、
前記組成物中に5〜32重量パーセントで存在するオリーブ油、
前記組成物中に6〜34重量パーセントで存在するヒマワリ油、および
前記組成物中に2〜30重量パーセントで存在するベニバナ油
のうち3つ以上を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
前記制御された脂肪酸成分が、以下のナッツおよび種子:ピーナッツ、アーモンド、オリーブ、大豆、カシュー、ピスタチオ、カボチャ種子、ヒマワリ種子、クルミ、ココナッツ果肉のうち1つまたは複数に由来する、請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
前記制御された脂肪酸成分が、無水バターにさらに由来する、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
哺乳動物対象への投与に適した脂質含有組成物であって、前記脂質組成物が、以下の成分:
前記組成物中に2〜11重量パーセントで存在するピーナッツ、
前記組成物中に5〜32重量パーセントで存在するアーモンド、
前記組成物中に6〜36重量パーセントで存在するオリーブ、
前記組成物中に4〜25重量パーセントで存在する大豆、
前記組成物中に4〜21重量パーセントで存在するカシュー、
前記組成物中に2〜9重量パーセントで存在するピスタチオ、
前記組成物中に2〜15重量パーセントで存在するカボチャ種子、
前記組成物中に1〜4重量パーセントで存在するヒマワリ種子、
前記組成物中に3〜25重量パーセントで存在するクルミ、
前記組成物中に4〜24重量パーセントで存在する無水バター、および
前記組成物中に1〜6重量パーセントで存在するココナッツ果肉
のうち3つ以上を含む組成物。
【請求項27】
哺乳動物対象への投与に適した脂質含有組成物であって、前記脂質組成物が、以下の成分:
前記組成物中に2〜23重量パーセントで存在するアーモンド油、
前記組成物中に1〜7重量パーセントで存在するアボカド油、
前記組成物中に1〜7重量パーセントで存在する大豆油、
前記組成物中に2〜15重量パーセントで存在するカシュー油、
前記組成物中に1〜7重量パーセントで存在するピスタチオ油、
前記組成物中に1〜8重量パーセントで存在するカボチャ種子油、
前記組成物中に3〜25重量パーセントで存在するクルミ油、
前記組成物中に5〜30重量パーセントで存在するピーナッツ油、
前記組成物中に3〜19重量パーセントで存在するコーン油、
前記組成物中に3〜17重量パーセントで存在するオリーブ油、
前記組成物中に1〜14重量パーセントで存在するベニバナ油、および
前記組成物中に5〜29重量パーセントで存在する無水バターオイル
のうち3つ以上を含む組成物。
【請求項28】
哺乳動物対象の医学的状態の予防または治療の方法であって、治療有効量の請求項16に記載の組成物を前記対象に投与するステップを含み、前記医学的状態が前記哺乳動物対象における脂質不均衡と関連している方法。
【請求項29】
前記医学的状態が、更年期症状、心血管疾患、精神障害、神経障害、筋骨格障害、内分泌障害、癌、消化器系障害、加齢症状、ウイルス感染症、細菌感染症、肥満、過体重、腎疾患、肺障害、眼障害、皮膚障害、睡眠障害、歯科疾患、免疫系疾患および自己免疫からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物対象への投与に適した脂質組成物であって、以下の成分:
前記組成物中に1〜36重量パーセントで存在するアーモンド油、
前記組成物中に1〜24重量パーセントで存在するカボチャ種子油、
前記組成物中に2〜36重量パーセントで存在するクルミ由来の油、
前記組成物中に4〜72重量パーセントで存在するピーナッツ油、
前記組成物中に1〜24重量パーセントで存在するコーン油、
前記組成物中に2〜36重量パーセントで存在するオリーブ油、
前記組成物中に4〜72重量パーセントで存在するヒマワリ油、
前記組成物中に2〜60重量パーセントで存在するベニバナ油、および
前記組成物中に2〜36重量パーセントで存在する無水バターオイル
のうち3つ以上を含む組成物。
【請求項31】
前記組成物中に8重量パーセント以下で存在するカラシ油、前記組成物中に8重量パーセント以下で存在する亜麻仁油、前記組成物中に2重量パーセント以下で存在するパーム油、前記組成物中に8重量パーセント以下で存在するココナッツ油、および前記組成物中に4重量パーセント以下で存在する大豆レシチンのうち1つまたは複数をさらに含む、請求項30に記載の脂質組成物。
【請求項32】
哺乳動物対象への投与に適した脂質含有組成物であって、前記脂質成分が前記対象の生活圏の季節的気候に基づいて制御される組成物。
【請求項33】
前記季節的気候が日中の高い温度範囲を有し、前記組成物が、以下に挙げるA〜G群から選択される対応する脂質成分を有し、前記温度範囲が華氏度(°F)であり、前記脂質成分が、前記日中の高い温度範囲に対応する、下記の「前記脂質成分群」と題した群から選択される3つ以上の成分を含む、請求項32に記載の組成物。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【請求項34】
以下に挙げる、前記日中の高い温度に対応する追加成分群の1つから選択される1つまたは複数の追加成分をさらに含む、請求項32に記載の組成物。
【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

【請求項35】
哺乳動物対象への投与に適した脂質含有組成物であって、前記対象が、所与のまたは予測される1日の高い周辺温度を有する環境にあり、前記脂質含有組成物および前記所与のまたは予測される1日の高い周辺温度の温度範囲が、以下からなる群:
前記脂質含有組成物が、総脂質の20〜90重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の4〜60重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の0.3〜5重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約90〜約135度である、
前記脂質含有組成物が、総脂質の20〜90重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の4〜60重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の0.5〜6.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約70〜約99度である、
前記脂質含有組成物が、総脂質の20〜90重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の6〜60重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の0.8〜7.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約50〜約75度である、
前記脂質含有組成物が、総脂質の10〜80重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の10〜60重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の1〜8.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約33〜約55度である、
前記脂質含有組成物が、総脂質の10〜80重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の12〜70重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の1.5〜9.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約0〜約37度である、
前記脂質含有組成物が、総脂質の10〜80重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の13〜70重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の1.8〜12.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約−50〜約5度である、および
前記脂質含有組成物が、総脂質の10〜80重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−9脂質を含み、総脂質の15〜73重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−6脂質を含み、総脂質の2.0〜13.0重量パーセントの範囲で存在する1つまたは複数のω−3脂質を含み、前記温度範囲が華氏約−100〜約−45度である、
から選択される組成物。
【請求項36】
以下の成分:総脂質の0.005〜0.2重量パーセントの範囲で存在するビタミンE−αおよび総脂質の0.001〜0.04重量パーセントの範囲で存在するビタミンE−γの1つまたは両方をさらに含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
1つまたは複数の一価不飽和脂質、1つまたは複数の多価不飽和脂質および1つまたは複数の飽和脂質からなる総脂質を含む、哺乳動物対象への投与に適した脂質含有組成物であって、前記対象が、所与のまたは予測される1日の高い周辺温度を有する環境にあり、前記脂質含有組成物および前記所与のまたは予測される1日の高い周辺温度の温度範囲が、以下の群:
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜4.5:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.7:1.0〜15.0:1.0であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜10.0:1.0であり、前記温度範囲が華氏約90〜約135度である、
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜4.5:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.5:1.0〜10.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜10.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約70〜約99度である、
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜4.5:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.5:1.0〜8.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜10.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約50〜約75度である、
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜4.5:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.4:1.0〜7.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜11.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約33〜約55度である、
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜5.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.3:1.0〜6.5:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜11.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約0〜約37度である、
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜5.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.2:1.0〜6.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜11.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約−50〜約5度である、および
前記総脂質対前記一価不飽和脂質の比率が1.0:1.0〜5.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記多価不飽和脂質の比率が1.1:1.0〜5.0:1.0の範囲内であり、前記総脂質対前記飽和脂質の比率が2.0:1.0〜11.0:1.0の範囲内であり、前記温度範囲が華氏約−100〜約−45度である、
のうち1つから選択される組成物。
【請求項38】
以下の成分:総脂質の0.005〜0.2重量パーセントの範囲で存在するビタミンE−αおよび総脂質の0.001〜0.04重量パーセントの範囲で存在するビタミンE−γの1つまたは両方をさらに含む、請求項37に記載の脂質含有組成物。
【請求項39】
ベニバナ油、ヒマワリ油、アーモンド油および無水バターオイルを含む組成物。
【請求項40】
オリーブ油およびヒマワリ油を含む組成物であって、前記組成物中の1つまたは複数のω−6脂質の量が前記組成物中の総脂質の20%を超える組成物。
【請求項41】
無水バターオイルを含む組成物であって、前記組成物中のω−6脂質対ω−3脂質の比率が8:1〜12:1である組成物。

【公表番号】特表2011−518223(P2011−518223A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506377(P2011−506377)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041114
【国際公開番号】WO2009/131939
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510279262)アーシャ リピッド サイエンシーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】