説明

脂質粒子の調製

小滴が直径及び体積を有する場合、溶媒中にベシクル形成液の分離した小滴を生成し、インビボ投与に適する脂質粒子を形成するために水溶液中に分離した小滴を導入すること、を含んでなる脂質粒子を調製する方法。小滴は更に、油、界面活性剤、標的リガンド、マーカー又は治療剤又は診断剤のうちの任意の1又は複数を含有してもよい。小滴はネブライザー、アトマイザー、ベンチュリ霧生成装置、収束音響放出装置及び電気スプレイ装置から選択されるシステムにより生成することができる。この方法は脂質粒子の粒度及び/又は粒度分布を選択又は調整するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的に治療剤の送達のための脂質粒子及び粒子を調製するための簡単で、経費効率のよい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様なミクロ−及びナノ−粒子のシステムが医薬のための脂質粒子の成分として利用されてきた。もっとも一般的な例を挙げると、例えば、リポソーム、リポスフェア、エマルソーム、ニオソーム、エマルションが水溶性の低い又は疎水性薬剤及び親水性薬剤双方のための脂質粒子として特に有用である。これらの脂質粒子は投与される薬剤の長時間にわたる制御された「デポー」放出をもたらし、そして血流中の遊離薬剤の濃度を限定することにより薬剤の副作用を減少させる可能性を有する。
【0003】
これらのミクロ粒子システムのうちでもっとも広範に使用されるものは、主として単一のユニラメラベシクル(SUV、概括的に20〜500nmの直径をもち、リン脂質又は他のベシクル形成脂質の単一の2層からなる)又は多層ベシクル(MLV、数ミクロンまでの直径をもち、相互の内部に玉ねぎ様に取り込まれた複数の2層からなる)の形態で存在するリポソームである。リポソームは溶媒和された疎水性薬剤及び油並びに水の内部に取り込まれた薬剤又は核酸を送達するための潜在能力を提供する。
【0004】
リポソームの薬剤の送達のこれらの利点は静脈内、筋肉内及び皮下を含む種々の投与経路、粘膜組織への適用又は吸入による送達に適用される。リポソームが静脈内送達により投与される場合は、リポソームは薬剤の組織分布を変更する更なる利点をもたらす。リポソームの薬剤送達システムの復習はPozansky等(非特許文献1)及びGregoriadis(非特許文献2)により提示されている(非特許文献1及び2参照)。
【0005】
概括的に、非経口投与に使用のために最適なリポソームの粒度は約50nm〜200nmの間である。この粒度範囲のリポソームは約200nmの直径の区別(discrimination)を有する通常のフィルターの通過により分粒することができる。このリポソームの粒度範囲は、腫瘍組織、肝臓、脾臓及び骨髄のような特定の標的器官中の生体分布に有利に働き、より均一なそして予測可能な薬剤放出速度及び血流中の安定性を与える。それらの直径が約300nm未満のリポソームもまた、貯蔵期間中の少ない凝集傾向を示し、従ってより大きい粒度をもつリポソームより、非経口使用において概括的により安全で毒性が少ない。約150nm未満の選択される直径範囲内における均一な粒度のリポソームもまた、多数の治療的適用において有用である。例えば、それらの小さい粒度のために、SUVは毛細血管の内皮の内張りを通過するそれらの能力のために腫瘍組織又は肝細胞を標的にするのに有用である。SUVはまたより小型のリポソームのより高い光学的透明性のために眼科的リポソーム調製物において有利である。
【0006】
リポソームは典型的にはベシクル形成脂質を水性バッファーと混合することにより調製される。典型的には、主として約1ミクロン(1,000nm)を越える直径を有するリポソームのヘテロ分散分布物が得られる。これらの最初のヘテロ分散懸濁物は多数の知られた方法によりサイズを減少し、粒度分布を狭くすることができる。リポソームは典型的には前進的により小さい孔をとおる押し出しにより、音波処理又は均質化により、洗剤の透析により、あるいは溶媒注入又は蒸発により分粒される。
【0007】
他の脂質粒子も同様な方法を使用して調製される。例えば、リポスフェア、エマルション、ニオソーム及びエマルソームはすべて音波処理を使用して生成することができる。同
様な方法でHaynesに対する特許文献1は、水溶液中のメトキシフルランの微細小滴を音波処理し、そして脂質分子のユニラメラでメトキシフルラン小滴をコートすることによる局所麻酔調製物の調製方法を記載している(特許文献1参照)。しかし、このアプローチはリポスフェア又はリポソームの脂質粒子をもたらさず、リポソームの調製物は考察されていない。
【0008】
大規模生産に適する1直径処理法(one size−processing method)は均質化法である。ここでは最初のヘテロ分散リポソーム調製物が小オリフィス又は反応槽をとおして高圧下でポンプで押し出される。リポソーム粒子の所望される平均粒度が達成されるまで、懸濁物は通常、反応槽中を循環される。この方法の限界は、圧力、均質化サイクルの数及び内部温度のような工程変数の数に応じて、リポソームの粒度分布が典型的に極めて広範で、可変性であることである。更に、処理された流体は均質化ポンプから金属及び油の汚染物を捕捉する傾向があり、ポンプのシールを滅菌するために使用される残留化学物質により更に汚染される可能性がある。
【0009】
脂質分散物の音波処理又は超音波照射は剪断によりリポソームの粒度を減少させるために使用されるもう1つの方法であり、そして特にSUVを調製するために有用である。比較的小体積の長時間の音波処理が必要なので、この方法の処理能力は極めて限定される。更に、音波処理期間中の局所的な熱の蓄積が脂質に酸化的損傷をもたらす可能性があり、そして音波プローブがインビボで極めて毒性の可能性があるチタン粒子を流す。
【0010】
当該技術分野で知られたもう1つの方法は均一な孔サイズをもつポリカーボネート膜をとおすリポソームの押し出しに基づく(非特許文献3参照)。この方法は、異なる選択された粒度範囲内のリポソームを生成するために幾つかの膜の孔サイズが利用可能であるという、均質化法及び音波処理法に勝る利点を有する。更に、特に選択されたサイズのフィルターを数回とおして物質(material)を循環させることにより、リポソームの粒度分布を極めて狭くさせることができる。にも拘らず、膜押し出し法は膜の詰まり、膜の脆弱性及び比較的遅い処理の問題を含む大規模処理における限界を有する。
【0011】
リポソームを調製する更なる方法は共同所有の特許文献2に記載されている(特許文献2参照)。該特許は異なる粒度のリポソームが非対称的セラミックフィルターをとおす押し出しにより分粒されるリポソーム分粒法を記載している。この方法は、高い押し出し圧及び逆方向の流れを使用することができるので、より高い処理速度を可能にし、目詰まりの問題を回避する。しかし、膜押し出し法のように、フィルター押し出し法はリポソーム形成後の分粒を必要とする。更に該方法は均一な粒度のSUVが所望される場合は制約される可能性がある。
【0012】
リポソームを調製する別法は、約300nm以下の均一な粒度分布を有するリポソームを形成する方法を記載している、共同所有の特許文献3に記載されている(特許文献3参照)。該特許中に記載される方法に従うと、ベシクル形成脂質をエタノールのような水混和性溶媒に溶解し、そして水性溶媒を脂質のアセンブリーが最初に起る水:溶媒比に添加する。次に、均一な粒度のリポソームが形成されるまで、混合物の体積を実質的に一定に維持する条件下で、水:溶媒比を上昇させる。リポソームの平均粒度は混合物のイオン強度及び脂質の組成を変えることにより選択的に変更することができる。しかし、この方法において、中性の脂質から形成されるリポソームは300nmの範囲内の粒度分布を有する。より小型のリポソームを形成するためには、帯電した脂質をリポソーム中に取り込むか又はリポソーム形成後の分粒を実施しなければならない。
【0013】
更に、特許文献4は、最終的リポソーム粒度を調製物中のエタノールの最終的割合により決定することができると報告される、リポソームを生成する方法を記載している(特許
文献4参照)。該方法は製薬学的調製物中への使用前に除去を必要とすると思われる大量のエタノールを含有するリポソーム懸濁物をもたらすことができる。更に、このアプローチは異なるタイプの脂質に広範に利用可能であるか又は所望の粒度分布を有するリポソームを生成することは示されなかった。
【0014】
リポソーム形成法は更に詳細にY.P.Zhang等によりレビューされている(非特許文献4参照)。概括的にこれらの方法は不均質の粒度を提供するか、労力及び経費がかかるかあるいは残留溶媒、洗剤又は大型リポソームを除去するための更なる段階を必要とする。前記のどの方法においても、狭い、調節可能なそして対称的な粒度分布をもつリポソーム又は他の脂質粒子が費用有効で、労力を費やさない方法により生成されない。同様に、これらの方法はどれも、狭い、調節可能な粒度のリポスフェア又はエマルソームを生成することができない。更に、当該技術分野で知られた方法は所望の粒度及び内容(content)の脂質粒子を調製するために押し出し段階、透析等のような多数の更なる段階を必要とする。
【0015】
本発明はリポソーム、リポスフェア、エマルソーム、ニオソーム及びエマルションのような脂質粒子を調製するための新規の方法及び装置を提供することにより当該技術分野におけるこれらの欠陥に対処する。
【特許文献1】米国特許第4,622,219号明細書
【特許文献2】米国特許第4,737,323号明細書
【特許文献3】米国特許第5,000,887号明細書
【特許文献4】国際公開第95/01777号パンフレット
【非特許文献1】Pozansky et al.,Pharm.Revs.,36(4):277
【非特許文献2】Gregoriadis,Liposomes,Vol.III,1984
【非特許文献3】Szoka,F.,et al,(1978)Proc.Nat.Acad.Sci.(USA)75:4194
【非特許文献4】Y.P.Zhang,et al.,Liposomes in Drug Delivery,Polymeric Biomaterials,2nd edition,S.Dumitriu,Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York(2001)
【発明の開示】
【0016】
本発明は1つの態様において、溶媒中にベシクル形成脂質の分離した小滴を生成することを含んでなる脂質粒子を調製することを含んでなる。小滴は水溶液に導入されて脂質粒子を形成する。1つの好ましい態様において、脂質粒子はインビボの投与に適する。
【0017】
種々の態様において脂質粒子はリポソーム、リポスフェア、エマルソーム、エマルション、ニオソーム、ナノ粒子及び/又はミクロ粒子であることができる。
【0018】
1つの態様において、小滴の体積は約10−4fL〜約1nLの間である。もう1つの態様において小滴の体積は10−2fL〜約10pLの間である。
【0019】
脂質はジステアロイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン及び水素化大豆ホスファチジルコリン又は任意の他の適当なベシクル形成脂質のうちの少なくとも1つであることができる。脂質はベシクル形成脂質の組み合わせ物並びにベシクル形成脂質と非ベシクル形成脂質の組み合わせ物を含むことができることが認められるであろう。更なる態様において、溶媒はカチオン脂質、アニオン脂質又は中性−カチオン脂質の少なくとも1種を含むことができる。
【0020】
1つの態様において、各小滴中の脂質濃度は約0.1mg/mLまでそして特定の溶媒中に可溶性の脂質の量を含む値の間である。更なる態様において、各小滴中の脂質濃度は約0.1mg/mL〜約1g/mLの間である。更にもう1つの態様において、各小滴中の脂質濃度は約1mg/mL〜約100mg/mLの間である。
【0021】
更なる態様において、少なくとも1種の治療剤は溶媒又は水溶液のうちの少なくとも片方に含まれる。1つの態様において、少なくとも1種の治療剤は溶媒及び水溶液の双方に含まれる。更にもう1つの態様において少なくとも第1の治療剤は溶媒中に含まれ、そして少なくとも第2の治療剤は水溶液中に含まれる。1つの態様において、治療剤は化学療法剤、抗ガン剤又は抗ウイルス剤である。特別の態様において、治療剤はアントラサイクリン抗生物質である。代表的なアントラサイクリン抗生物質には、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン及びビスアントレンが含まれる。
【0022】
更なる態様において溶媒は1又は複数のリポポリマー、標的リガンド、油、界面活性剤、マーカー及び製薬学的賦形剤を含むことができる。1態様において、リポポリマーはポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポリアスパルトアミドから選択される。好ましい態様の1つにおいて、リポポリマーはポリエチレングリコールである。好ましい態様の更にもう1つにおいて、リポポリマーは約500ダルトン〜約10,000ダルトンの間の分子量を有するポリエチレングリコール鎖を含む。
【0023】
もう1つの態様において、少なくとも1個のリガンドはリポポリマーの少なくとも一部の遠位末端に結合されている。更にもう1つの態様において、少なくとも1つのリガンドはベシクル形成脂質の少なくとも一部の極性ヘッド基に結合されている。リポポリマーとベシクル形成脂質双方の少なくとも一部が結合されたリガンドを含むことができることが認められるであろう。更に、リポポリマー又はベシクル形成脂質に対する結合のために異なるリガンドを使用することができることが認められるであろう。非ベシクル形成脂質が溶媒中に包含される場合は、非ベシクル形成脂質の少なくとも一部は結合されたリガンドを含むことができる。
【0024】
1つの態様において、小滴はネブライザー、アトマイザー、ベンチュリ霧発生装置、収束音響放出装置及び電気スプレイ装置からなる群から選択されるシステムにより生成される。小滴が音響放出装置により形成される場合は、小滴を水溶液に導入する前そして/又はその期間中に溶液の表面近くの焦点に収束音響放射を適用することにより小滴を形成することができる。射出装置は、複数の小滴が1又は複数のレザボアから射出され得るように複数の射出装置を含むことができる。更なる態様において、分離した小滴は霧として生成され、そして小滴の霧が水溶液と接触するように誘導される。
【0025】
発明の詳細な記述
I.定義及び概要
特記されない限り、本発明は特定の脂質、小滴生成法及び/又は小滴導入法に限定されない。従って、アトマイザー、ネブライザー、収束音響放出装置、等が変ることができることが認められるであろう。更に本明細書中で使用される用語は特定の態様を説明する目的のためのみのものであり、本発明の範囲を限定することは意図されないことを理解しなければならない。
【0026】
本明細書に使用される単数形の「a」、「an」および「the」は文脈が明白に特記しない限り、複数の指示物(referents)を含むことに注意しなければならない。従って、例えば「a solvent」に対する言及は2種以上の溶媒を含み;「a pharmaceutical agent」に対する言及は2種以上の医薬を含む、等であることが認められるであろう。
【0027】
一連の値が提供される場合に、文脈が明白に反対を指示しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の1/10までの挟まれる各値及びその指定された範囲内の任意の他の指定される値又は挟まれる値は本発明内に包含されると理解しなければならない。これらのより小さい範囲の上限及び下限は独立により小さい範囲内に包含されてもよく、そして更に指定された範囲内の任意の特別に除外された限界に従って本発明内に包含される。指定される範囲が限界値の片方又は双方を含む場合は、これらの包含される限界値の片方又は双方を除外する範囲も本発明内に包含される。
【0028】
用語「脂質構造物」又は「脂質粒子」は本明細書において、リポソーム、リポスフェア、エマルソーム、ニオソーム、エマルション等により代表されるような水溶液中に脂質により形成される構造物又は粒子を表わすために使用されている。
【0029】
本明細書で使用される用語「治療剤」は概括的にヒトを含む動物に投与のための製薬学的、治療的又は診断的薬剤を表わす。本明細書で使用される用語「治療剤」、「化合物」及び「薬剤(drug)」は互換可能に使用されている。
【0030】
本明細書で使用される用語「疎水性物質」は概括的に約0.1mg/ml未満の水中溶解度を有する物質を表わす。疎水性物質は必ずしもそれ自体薬剤又は化合物ですらあるとは限らず、物質の混合物、天然産物の抽出物、ナノ物質(例えば、フラレン、カーボンナノチューブ及び金のナノ粒子)、工業製品、等を含むことができる。
【0031】
用語「両親媒性脂質」は疎水性及び親水性領域双方を有する脂質を表わし、リポソーム形成脂質並びにリソホスファチジルコリンにより例示されるような唯一の炭化水素鎖を有するリソ脂質のような界面活性分子を包含する。
【0032】
「ベシクル形成脂質」は、疎水性及び極性のヘッド基部分を有し、そしてリン脂質により例示されるように水中で2層のベシクルを自然に形成することができるか又は2層の膜の内部の疎水性領域と接触する疎水性部分及び膜の外部の極性表面の方向に向けられた極性ヘッド基部分をもつ脂質の2層中に安定に内包される両親媒性脂質を表わす。このタイプのベシクル形成脂質は典型的には、1又は2本の疎水性アシル炭化水素鎖又は1つのステロイド基を含み、そして極性ヘッド基にアミン、酸、エステル、アルデヒド又はアルコールのような化学的反応性基を含むことができる。このクラスには、2本の炭化水素鎖が典型的には約14〜22個の炭素原子の長さを有し、そして変動する不飽和度を有する、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)及びスフィンゴミエリン(SM)のようなリン脂質が含まれる。更に用語「ベシクル形成脂質」の範囲内にセレブロシド及びガングリオシドのような糖脂質が包含される。
【0033】
本明細書で使用される用語「サイズ分布」又は「粒度(particle size)分布」は脂質粒子の異なる粒度の各画分の数字による相対的百分率を表わす。
【0034】
本発明の目的のためには、用語「ネブライザー」と「アトマイザー」の間は区別されず、これらの用語は互換可能に使用されている。
【0035】
本明細書で使用される用語「診断的」はヒト及びヒト以外の患者に対するインビボ、インビトロ又はエックスビボの適用並びに医学(medicines)又は他の分野における画像診断的適用のための診断的試験を包含する。
【0036】
略語:PEG:ポリエチレングリコール;mPEG:メトキシ−末端ポリエチレングリコール;mPEG2000−DSPE:ホスファチジルエタノールアミンに共役したメトキシ−末端ポリエチレングリコール;Chol:コレステロール;PC:ホスファチジルコリン;PHPC:部分的に水素化したホスファチジルコリン;PHEPC:部分的に水素化した卵のホスファチジルコリン;PHSPC:部分的に水素化した大豆のホスファチジルコリン;DSPE:ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン;POPC:パルミトイルオレイルホスファチジルコリン;HSPC:水素化大豆ホスファチジルコリン。
【0037】
II.脂質粒子
1アスペクトにおいて、本発明は均一でそして/又は選択された粒度分布を有する脂質粒子を形成する方法を包含する。脂質粒子は水溶液中に脂質を導入することにより形成される構造物又は粒子である。本明細書に記載の方法を使用して形成することができる脂質粒子にはリポソーム、リポスフェア、エマルソーム、エマルション、ニオソーム及びナノ粒子及びミクロ粒子が包含される。脂質粒子の調製物は多種多様な両親媒性脂質、油、界面活性剤、マーカー、標的リガンド、リポポリマー、溶媒等を包含することができる。これらの成分は以下に更に考察される。
【0038】
前記に考察されたように脂質粒子は特に治療剤の送達又は薬剤送達のための調製物中に使用される。脂質粒子を使用する薬剤送達は特に、生体利用能を増加し、毒性を減少し、標的到達(targeting)のような能力を提供し、網状内皮システム(RES)による取り込みにより例示される身体の天然防御力を擦り抜けるための内密性を提供し又は高め、組織又は細胞浸透を高め、薬剤の制御された放出を提供するため、あるいは前記の任意の組み合わせた機能のために有用である。
【0039】
リポソームは内包された水性の体積を含有する1又は複数の同心性脂質の2層からなるベシクルである。2層は、疎水性領域が2層の中心の方向を向き、親水性領域が内側又は外側の水相の方向を向く、疎水性「テイル」領域及び親水性「ヘッド」領域を有する2つの脂質のユニラメラからなる。リポソームは概括的に粒度によりそして/又はそれらがユニラメラであるかマルチラメラ(MLV)であるかにより分類される。小型のユニラメラベシクル(SUV)は概括的に20〜500nmの直径を有する。一般により大型のリポソームはMLVを形成し、他方、より小型のリポソームはユニラメラであるが、より大型のリポソームがユニラメラであり、より小型のリポソームがユニラメラであるかも知れないことは認められるであろう。好ましい態様においてリポソームはSUV又はMLVである。
【0040】
リポスフェアは油状コア又は油滴の周囲に配列された脂質分子の単一分子層により形成される、概括的に球形又はほとんど球形の構造物である。リポスフェアは水相との接触から隔離される疎水性物質のための疎水性環境を提供する。
【0041】
エマルソームは1又は複数の脂質の2層により囲まれた油のような疎水性コアからなる。この構成物は非常に小型の安定な粒子の形成を許す。
【0042】
ニオソームはリポソームに類似の構造物であり、そこでニオソームは脂質分子に加えて又はそれらの代わりに界面活性剤分子、好ましくは、非イオン性界面活性剤を含む。
【0043】
エマルションは水中油又は油中水のいずれかの、内部コアをもつリポスフェア及びエマルソームの巨視的バージョンである。特に、エマルションは脂質と、脂質が液体中に分布された顕微鏡的又は超顕微鏡的粒度の小滴として存在する少なくとも1種の水性液体との混合物である。脂質の小滴はリポソームにおけるように水性コアを囲む2層に又はリポスフェアに対するように油状コアを囲む単一脂質層に形成することができる。
【0044】
脂質粒子の粒度は約20nm〜約1000nmの直径をもち、粒度は多様であることができる。好ましい態様において、脂質粒子は約80nm〜約200nmの直径を有する。脂質粒子の粒度は送達経路に従って選択することができることが認められるであろう。静脈内送達のためには脂質粒子は約80nm〜約200nm、好ましくは、約100nm〜約175nm、より好ましくは、約90nm〜約150nmの直径を有する。吸入による送達のためには、概括的に、その直径が約1μm〜約7μmである脂質粒子がエアゾール化又は噴霧される。肺胞膜をとおる急速な薬剤吸収のためには脂質粒子は概括的に約10nm〜約100nmの直径を有する。皮下送達のためには、脂質粒子は約100nm〜約250nmの直径を有する。
【0045】
A.脂質
本発明の脂質調製物中に包含される脂質は概括的にベシクル形成脂質である。ベシクル形成脂質は好ましくは、2本の炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖及び極性のヘッド基をもつものである。このクラスに包含されるものは、2本の炭化水素鎖が典型的には約14〜22個の炭素原子の長さをもち、そして種々の度合いの不飽和度を有する、ホスファチジルコリン(PC)、PE、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)及びスフィンゴミエリン(SM)のようなリン脂質である。更にこのクラスにはセレブロシド及びガングリオシドのような糖脂質が包含される。好ましいベシクル形成脂質はリン脂質である。使用することができるもう1つのベシクル形成脂質はコレステロール、硫酸コレステロール及びコレステロールヘミスクシネートのようなコレステロール誘導体並びに関連ステロールを包含する。
【0046】
用語「ベシクル形成脂質」はより概括的に、疎水性部分と極性のヘッド基部分を有し、そして(a)それ自体リン脂質により例示されるように水性媒質中で2層のベシクルを自然に形成することができるか又は(b)2層の膜の内部の疎水性領域と接触するその疎水性部分及び、膜の外側の極性表面に向かって配向されたその極性ヘッド基部分をもつ、リン脂質と組み合わせて脂質の2層中に安定に内包される任意の両親媒性脂質を包含することが意図されている。
【0047】
場合により、分枝炭化水素鎖を有する脂質を包含することが望ましいかも知れない。変動するアシル鎖組成を有する卵又は大豆ホスファチジルコリンのような脂質の混合物をその部分的水素化状態又は天然状態で利用することができる。実施例1において部分的に水素化された大豆ホスファチジルコリンが利用された(PHSPC)。
【0048】
好ましい態様において、ベシクル形成脂質は1又は複数のジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)及び水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)から選択される。
【0049】
他の態様において脂質粒子は更にカチオン及び/又はアニオン脂質を包含することができる。カチオン脂質には共同所有の米国特許第20030031704号明細書に記載のような中性のカチオン脂質並びにジアルキルジメチルアンモニウムブロミド(例えば、ジメチルジオクトアシルアンモニウムブロミド(DDAB))及びジアルキルトリメチルアンモニウム1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)のようなカチオン脂質が含まれる。カチオン脂質の多数の他の例はY.P.Zhang,
et al.(Liposomes in Drug Delivery,in Polymeric Biomaterials,2nd edition,S.Dumitriu,Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York(2001))によるレビュー中に考察されている。
【0050】
アニオン脂質にはそれらに限定されずに、一般に使用されるホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール及びホスファチジン酸並びにGM1のようなガングリオシド、等が含まれる。
【0051】
本発明の脂質は標準の合成法を使用して調製することができる。本発明の脂質は更に市販されている(Avanti Polar Lipids,Inc.,Birmingham,AL)。
【0052】
脂質粒子は1又は複数の異なるタイプの脂質を含むことができることは認められるであろう。1つの態様において、脂質粒子は2種以上の異なるタイプの両親媒性脂質及び1又は複数の非両親媒性脂質を含むことができる。2種以上の異なるタイプの脂質を含む1態様において、脂質は、脂質粒子を種々のモル比率で存在する多種多様な脂質を使用して調製することができるように混合される。例えば、リポソームは一般にPE、PC及びコレステロール、並びに以下に考察されるリポポリマーの混合物から調製される。
【0053】
B.治療剤
本発明の送達ビヒクルの好ましい態様はヒトの患者に対する治療剤又は診断薬の送達のための脂質粒子としてのものである。他の用途は容易に想像できるが、ヒト又は動物に投与のための医薬品、治療剤又は診断薬が含まれる。更に投与後に活性形態に転化することができるプロドラッグも含まれる。
【0054】
本発明の調製物中に使用することができる治療剤には親水性薬剤(すなわち0.01%(すなわち0.1mg/ml)を超える、室温下(25℃)の水溶性をもつ)及び疎水性薬剤(すなわち0.01%未満の、室温下(25℃)の水溶性をもつ)が含まれる。
【0055】
治療剤は典型的には脂質粒子の脂質層中に内包される。「内包される」により治療剤がリポソームの中心の室及び/又は脂質層の空間中に内包されるか、外部の脂質表面と結合するか、又は脂質粒子の内部に取り込まれそして外部と結合する双方である。治療剤は親水性、疎水性又は両親媒性であることができる。親水性分子は典型的にはリポソーム、ニオソーム又はエマルソームの表面と結合してリポソーム又はニオソームのための脂質粒子の水性室内あるいはリポソームの水性の2層間の空間中に内包される。疎水性分子は典型的には脂質層又は存在する場合は油のコア中に局在する。両親媒性分子はしばしば、脂質/水の界面に局在する。
【0056】
場合により、水溶液中に存在する親水性物質は疎水性又は静電気の引力によるように脂質粒子の表面と結合することができる。例えば、多アニオン化合物はカチオンの表面荷電と結合するか又は多カチオン化合物は脂質粒子上のアニオン表面荷電と結合するか又は、他の化合物は脂質と水相間の界面に存在する脂質ヘッド基により提供される界面層と有効に相互作用するであろう。
【0057】
代表的な疎水性薬剤にはそれらに限定はされずに、ステロイド、ブリオスタチン−1、セファロマンニン、シスプラチン、プリカマイシン、レスヴェラトロール、トポテカン及びイリノテカンのようなカンプトテシン;リドカイン又はブピヴィカインのような局所麻酔剤、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシンのようなアントラサイクリン抗生物質;エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン;パクリタキセル及
びドセタキセルのようなタキサン;限定はされないが、アンフォテリシン、パルトリシン、ナイスタチンのようなポリエン抗カビ剤を含む抗カビ剤並びに前記のすべての類似体及び誘導体が含まれる。
【0058】
前記のように、治療剤はプロドラッグであることができる。プロドラッグにはそれらに限定されずに、ゲンシタビン、カペシタビン、5−フルオロシトシン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジンのようなフルオロピリミジン及びシチジン類似体;エトポシドの3,4−ジヒドロキシフェニルカルバメート誘導体、VP−16、ProVP−16I及びIIのような活性化エトポシド;シクロホスホアミド、イリノテカン、マイトマイシンC、AQ4N、ガングリコビル、単純ヘルペスチミジンキナーゼ、ジニトロベンズアミド、緑膿菌カルボキシペプチダーゼを含むCMDA又はZP2767P、ホースラディッシュペルオキシダーゼにより活性化されたG(2)インドール−3−酢酸、9−アミノカンプトテシングルクロニドのようなカンプトテシンのプロドラッグ及び可溶性ポリマー担体結合カンプトテシン(MAG−カンプトテシン);大腸菌ニトロレダクターゼにより活性化されたCB1954;並びにトリブチリンが含まれる。
【0059】
幾つかの態様において、治療剤には、リポソーム又は、形成時にカチオン界面活性剤又はカチオン脂質を含むことにより提供されるような陽性の表面荷電を担持する脂質粒子との結合体の形成時に内包されることができる核酸(例えば、DNA、RNA、リボザイム、アンチセンスRNA、siRNA、ベクトル、遺伝子、ゲノムフラグメント、修飾ヌクレオチド又は修飾結合を含んでなる核酸)が含まれる。
【0060】
他の態様において治療剤は細胞毒性薬剤である。更にもう1つの態様において治療剤はワクチンである。もう1つの態様においてペプチド、糖類又は他の抗原が脂質粒子の以下に更に考察される脂質又はリポポリマーに共有結合される。このような脂質粒子は脂質粒子の表面上に露出された抗原に対する免疫原性反応を高めるための補助剤として有効である。
【0061】
当業者は本明細書に記載の脂質粒子及びそれらを調製する方法が医薬品に限定はされないことを認めるであろう。従って本明細書に説明される脂質粒子は肥料、殺虫剤、植物又はカビの生長調節剤又は阻害剤のような園芸;遺伝子トランスフェクション剤、ベクトル及びマーカー(例えば、発蛍光団、ラジオトレーサー、染料、酵素)のような生物工学;治療、診断及び写像のような適用のための医薬;ナノチューブ又はナノスフェア、フラーレン、量子ドット、等を処理及び送達するためのようなナノ工学において;エマルション内の薄膜製造又は重合のような工業的適用のために;油及びエッセンス、又は皮膚手入れ剤を調製するような化粧品学及び美容食品において;ビタミン及び、植物又はカビ抽出物を調製するための栄養補助食品として、等のための調製物に有用である。
【0062】
C.リポポリマー
1態様において脂質粒子には少なくとも1種のリポポリマー、ポリマーで誘導される脂質、好ましくは、親水性ポリマーで誘導されるベシクル形成脂質が含まれる。親水性ポリマーで誘導されるベシクル形成脂質の調製は例えば、米国特許第5,213,804号明細書に記載された。1態様において、脂質層中の1〜20モルパーセントの間のベシクル形成脂質が親水性ポリマーで誘導される。
【0063】
代表的な親水性ポリマーにはポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチル−アクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリエチレングリコール、ポリアスパルトアミド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド・コポリマー、前記に引用されたポリマーのコポリマー及びそれらの混合物が含まれる。多数のこれらのポリマーの特性及びそれらとの反応は米国特許第5,395,619号及び第5,631,018号明細書に記載されている。適当かも知れない他のポリマーにはポリ乳酸、ポリグリコール酸及びそれらのコポリマー並びにヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースのような誘導セルロースが含まれる。更に、特にPEGセグメントを含むこれらのポリマーのブロックコポリマー又はランダムコポリマーは米国特許第5,395,619号及び第5,631,018号明細書に記載されたように適当であるかも知れない。PEGのような親水性ポリマーで誘導される脂質を調製する方法は例えば、共同所有の米国特許第5,013,556号明細書に記載されるように周知である。
【0064】
好ましい親水性ポリマー鎖はポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは、500〜15,000ダルトン、より好ましくは1,000〜5,000ダルトンの間の分子量を有するPEG鎖である。PEGのメトキシ又はエトキシ−キャップをもつ類似体もまた、多種多様なポリマーサイズ、例えば、120〜20,000ダルトンで市販されている好ましい親水性ポリマーである。
【0065】
更なる親水性ポリマーにはDanthiに対する米国特許出願第2003/0133972号明細書に記載のもののような多糖類が含まれる。このような多糖類にはそれらに限定はされないが、デキストラン、グルカン、マンナン、フカン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、並びに他のホモ−又はヘテロポリマー、等が含まれる。
【0066】
例えば米国特許第5,213,804号明細書中に記載されたように、脂質調製物中にこのような誘導脂質を含むことは脂質粒子の周囲に親水性ポリマー鎖の表面コートを形成する。リポソームに対して、親水性ポリマー鎖の表面コートはそのようなコートの欠けたリポソームに比較してリポソームのインビボの血液循環寿命を増加するために有効であることが示された。更に、このような誘導脂質を含むことは標的細胞(内密能を与える)及びRESとのリポソーム表面の相互作用を調整することに、より大きい柔軟性を与える(Miller et al.,(1998)Biochemistry,37:12875−12883)。
【0067】
PEG−置換合成セラミドは立体的に安定化されたリポソームの非帯電成分として使用されてきたが(Webb et al.,(1998)Biochim.Biophys.Acta,1372:272−282);これらの分子は複雑で調製するのに高価であり、そしてそれらは概括的にリン脂質の2層並びにジアシルグリセロリン脂質中に充填されない。
【0068】
共同所有の米国特許第6,586,001号明細書に記載のように、PEG−リン脂質の荷電性ホスフェート結合の代わりに中性結合を含むリポポリマーもまた使用することができる。中性結合は典型的にはカルバメート、エステル、アミド、カルボネート、尿素、アミン及びエーテルから選択される。ジスルフィド、ヒドラゾン、ペプチド、カルボネート及びエステルのような加水分解可能な又はさもなければ分解可能な結合は、インビボで一定の循環時間後にPEG鎖を除去することが望ましい場合の適用に好まれる。好ましい解放可能な結合は同時継続中の米国特許第20030031704号明細書中に記載されたジチオベンジル結合である。この特徴はリポソームがその標的に到達した後に薬剤を放出するか又は細胞中への取り込みを容易にし(Martin et al.,米国特許第5,891,468号明細書及び国際公開第98/18813号パンフレット(1998)あるいは以下に考察されるように標的リガンドを一時的に隠蔽するのに有用であることができる。
【0069】
D.標的リガンド
脂質粒子は場合により、特定の細胞集団に対する所望される標的結合特性を達成するために細胞表面の受容体、抗原及び他の類似の化合物と相互作用するための抗体又は抗体フラグメント、小エフェクター分子のような表面のグループを含むことができる。このようなリガンドは標的分子で誘導される脂質を含む又は標的分子で誘導することができる極性−ヘッドの化学基を有する脂質を含むことにより脂質粒子中に含まれることができる。あるいはまた、標的部分は、脂質粒子をリガンド−ポリマー−脂質共役物とともにインキュベートすることによる形成後に脂質粒子中に挿入することができる。
【0070】
脂質は、その近位末端でベシクル形成脂質に結合される親水性ポリマー鎖の遊離遠位末端にリガンドを共有結合させ、そして標的リガンドをリポソーム中に取り込むことにより標的リガンドにより誘導することができる(Zalipsky,S.,(1997)Bioconjugate Chem.,8(2):111−118)。あるいはまた、標的リガンドは直接に又は結合基を介して脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)に誘導されて、それにより、親水性ポリマー鎖の除去まで隠蔽されたままでおくことができる。もちろん、時々はリポポリマーの存在を伴わずに標的リガンドを脂質粒子中に取り込むことが望まれるかも知れないことは当業者により認められるであろう。
【0071】
選択される親水性ポリマーを選択される脂質に結合し、そしてポリマーの遊離の未結合末端を選択されるリガンドとの反応のために活性化するための多種多様の方法が存在し、そしてとりわけ親水性ポリマーのポリエチレングリコール(PEG)が広範に研究されてきた(Zalipsky,S.,(1997)Bioconjugate Chem.,8(2):111−118;Allen,T.M.,et al.,(1995)Biochemicia et Biophysica Acta 1237:99−108;Zalipsky,S.,(1993)Bioconjugate Chem.,4(4):296−299;Zalipsky,S.,et al.,(1994)FEBS Lett.353:71−74;Zalipsky,S.,et al.,(1995)Bioconjugate Chemistry,705−708;Zalipsky,S.,in Stealth Liposomes(D.Lasic and F.Martin,Eds.)第6章,CRCプレス,Boca Raton,FL(1995))。
【0072】
以下の方法の章に更に説明されるように標的リガンドは脂質を含む溶媒中に存在することができる。あるいはまた、標的リガンドは、特に溶媒に対する暴露により損傷される可能性がある標的リガンドに対し、脂質粒子の形成後にリポソーム又は他の脂質粒子に添加することができる(Zalipsky,S.,(1997)Bioconjugate Chem.,8(2):111−118)。
【0073】
E.
前記のように、脂質粒子は油の内部コアをもつように形成することができる。特に油はリポスフェア、エマルソーム及びエマルションの炭化水素成分を構成することができる。脂質粒子中への使用に適する油には限定されずに、動物又は植物由来の、トリオレイン、トリリノレイン、トリカプリン、トリネルボニン、トリノナデカノイン、トリミリスチン、トリノナノインのようなトリグリセリド、1,3−ジステアリン、1,3−ジパルミチンのようなジグリセリド、モノオレインのようなモノグリセリド及びステアリン酸、オレイン酸又はアラキドン酸のような脂肪酸;合成油;半合成油;又は炭化水素が含まれる。油はまたMalickに対する米国特許第5,688,897号明細書に記載されたようなシリコーン油を含むことができる。シリコーン油の例にはGE Silicone SF 1154(General Electric,Waterford,NY)のようなポリメチルジフェニルシロキサン又はフルオロシリコーンPS 181及びPS 182が含まれる。1態様において、油自体が治療剤又は診断剤であることができる。
【0074】
油と脂質の割合は概括的にリポスフェア、エマルソーム及びエマルションに対してより高いことが認められるであろう。概括的にこれらの脂質粒子に対して総調製物の1/4以上が油であることができる。リポスフェアに対しては概括的に総調製物の2/3までが油であり、そしてエマルソームに対しては概括的に総調製物の約1/3が油であることができる。
【0075】
F.界面活性剤
1つの態様において界面活性剤を本明細書に記載される脂質粒子中に包含することができる。界面活性剤にはイオン界面活性剤(少なくとも1種のイオン化部分を有する)及び非イオン界面活性剤(イオン化基をもたない)が含まれる。イオン界面活性剤には、限定されずに、脂肪酸及び脂肪酸の塩(例えば、ナトリウムラウリルスルフェート);ステロール酸及びそれらの塩(例えば、コレート及びデオキシコレート)のようなアニオン界面活性剤;アルキルトリメチル及びエチルアンモニウムブロミド(例えば、セチルトリエチルアンモニウムブロミド(CTAB)及びC16TAB)のようなカチオン界面活性剤;リソ脂質(例えば、リソホスファチジルコリン又はホスファチジルエタノールアミン)及びCHAPSのような両性界面活性剤;Zwittergent(R)3−14のようなZwittergent剤が含まれる。
【0076】
もう1つの態様において、非イオン界面活性剤が脂質粒子中に包含される。非イオン界面活性剤はニオソーム、エマルソーム及びエマルションの生成に特に有用である。非イオン界面活性剤には、限定されずに、脂肪アルコール、すなわち、ラウリル、セチル及びステアリルアルコールのような、構造式CH(CHC(H)OH(例えば、nが少なくとも6である場合)を有するアルコール;オクチルグルコシド及びジギトニンのような脂肪糖;Lubrol(R)PXのようなLubrol;TRITON(R)X−100のようなTriton;Nonident P−40のようなNonidents;ソルビタン脂肪酸エステル(商品名SPAN(R)として販売されているもののような)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名TWEEN(R)として販売されているもののような)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(商品名MYRJ(R)として販売されているもののような)、ポリオキシエチレンステロイドエステル、ポリオキシプロピレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンステロイドエステル、ポリオキシエチレンエーテル(商品名BRIJ(R)として販売されているもののような)、ポリグリコールエーテル(商品名TERGITOL(R)として販売されているもののような)等が含まれる。本明細書で界面活性剤として使用のために好ましい非イオン界面活性剤はポリグリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン4−ラウリルエーテル、プロピレングリコール及びそれらの混合物である。
【0077】
本明細書で溶解剤として使用することができるアニオン界面活性剤には長鎖アルキルスルホネート、カルボキシレート及びスルフェート並びにアルキルアリールスルホネート等が含まれる。好ましいアニオン界面活性剤はナトリウムドデシルスルフェート、ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えば、ナトリウムビス−(2−エチルヘキシル)−スルホスクリネート)、ナトリウム7−エチル−2−メチル−4−ドデシルスルフェート及びナトリウムドデシルベンゼンスルホネートである。有効物質を可溶化するために使用することができるカチオン界面活性剤は概括的に長鎖アミン塩又は第四級アンモニウム塩、例えば、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド等である。両性界面活性剤は必須ではないが概括的に、アニオンとしてカルボキシレート又はホスフェート基を含みそしてカチオンとしてアミノ又は第四級アンモニウム部分を含む化合物である。これらには例えば、種々のポリペプチド、タンパク質、アルキルベタイン並びにリゾレシチン及びリゾセファリンのような天然のリン脂質が含まれる。
【0078】
好ましい態様において、界面活性剤は粒子中の脂質の量に対して約1〜50モルパーセントの範囲内で、そしてより好ましくは、約1〜25モルパーセントの範囲内で存在する。界面活性剤の最大量は界面活性剤及び脂質の組成に左右され、そして好ましくは、界面活性剤は脂質粒子の構造を破壊する量では存在しない。当業者は、界面活性剤が所望の目的のためにより高い又はより低いモル比率で存在することができることを認めるであろう。
【0079】
本明細書に記載される脂質粒子が医薬の投与に使用される場合、界面活性剤は製薬学的許容性に従って選択しなければならない。例えば、ヒトの患者に対する医薬の全身投与のためのニオソームの構成において、TWEEM(R)80のような非イオン界面活性剤が適当であると考えられる。当業者がヒト及び動物の患者に対する調製条件を知っており、適切な界面活性剤は用途に応じて変ることができることを理解することが認められるであろう。
【0080】
G.マーカー
マーカーもまた本発明の脂質粒子に含むことができる。染料、放射活性トレーサー等のような水性マーカーは好ましくは、以下に更に考察される脂質粒子の形成期間中に水溶液中に存在する。
【0081】
H.投与
本発明の脂質粒子は意図される適用に応じて多様な異なる変動する手段により患者に投与することができる。当業者が認めるであろうように、脂質粒子の投与は種々の様式で、例えば、限定されずに、皮膚、眼科及び直腸を含む局所投与により;例えば、パッチ、担体又はイオントフォレーゼを使用して受動的又は能動的手段により経皮的に;経粘膜的に、例えば、舌下、頬内、直腸内、膣内又は経尿道的に;経口、例えば、胃腸又は十二指腸;体腔又は血管中への非経口注射、例えば、腹腔内、静脈内、リンパ管内、体液内、筋肉内、間質内、動脈内、皮下、病巣内、眼内、滑液嚢内、関節内;吸入により、例えば、ネブライザーを使用する例えば、肺又は鼻の吸収により実施することができる。脂質粒子は好ましくは、非経口的に又は腫瘍内に投与される。
【0082】
全身投与が所望される場合は、脂質粒子はどんな血管をも栓塞させずに毛細血管の網目内を循環するのに十分小さい粒度をもたなければならない。このような脂質粒子は好ましくは、約20nm〜500nmの直径、より好ましくは、80〜200nmの直径である。間質組織への投与のためには、脂質粒子は内膜組織を通過するのに十分小さくなければならない(例えば、約100nm未満の直径を有する)。
【0083】
III.脂質粒子の形成法
1アスペクトにおいて本発明は、水溶液中に、溶媒中にベシクル形成脂質を含んでなる分離した小滴を導入することを含んでなる、リポソーム、リポスフェア、エマルソーム、ニオソーム、エマルション等を含む脂質粒子を調製する方法を提供する。以後に考察される脂質粒子はリポソームであるが、該考察は他の脂質粒子に適用することが認識されるであろう。
【0084】
説に限定されずに、形成されるリポソーム及び他の脂質粒子の粒度は主として小滴の粒
度及び各小滴中の脂質の量により、並びに溶媒、界面活性剤及び油(存在する場合は)、溶媒中の脂質濃度、水の状態、小滴形成速度及び水溶液中の溶媒の分散速度により制御されると考えられる。更にリポソーム又は他の脂質粒子の粒度分布は主として小滴の分布により制御されると考えられる。例えば、粒度、脂質濃度、等が同様な小滴は該リポソームに対し実質的に均一な又は同様な粒度分布を形成するであろう。
【0085】
本明細書に記載の方法の利点は、更なる分粒段階又は透析の必要が最少化されるか又は回避されて、製造時の時間及び経費の節約をもたらす。好ましい態様において、リポソームは分粒のようなどんな更なる処理をも伴わずにインビボの適用に使用することができる。本明細書に記載の方法はまた、脂質粒子を形成するために押し出し、音波処理又は他の先行技術の方法と併せて使用することができる。
【0086】
図1は小滴形成システム10を使用する脂質粒子16を形成するためのシステムの1態様を表わす。図1に認められるように、脂質粒子16は水溶液20を含有する回収容器14中に小滴生成システム10から溶媒中に脂質を含んでなる溶液の小滴12を導入することにより形成される。
【0087】
前記のようなベシクル形成脂質は適当な溶媒に溶解される。本発明の方法に使用することができる溶媒には、その中で脂質が約1mMの最少濃度を達成するのに十分に可溶性である任意の溶媒が含まれる。溶媒中の脂質濃度は約0.1mg/mL〜溶媒中に可溶性の脂質の最大量までである。この上限は溶媒中の脂質の溶解度により決定されることが認められるであろう。好ましい態様において、溶媒中の脂質濃度は約0.1mg/mL〜約1g/mLの間である。溶媒中の脂質濃度は好ましくは、約1mg/mL〜約100mg/mLの間である。
【0088】
溶媒及び脂質の小滴の水性レザボア14への導入時に、好ましい溶媒がバルクの水相中に分散又は蒸発して、脂質及び他の成分を結合させて水相中に脂質粒子を形成させる。溶媒は、脂質形成の特定の特徴、治療剤の溶解度条件及び所望される脂質粒子に応じて水混和性でも水不混和性でもよい。
【0089】
適した有機溶媒には限定されずに、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、等のような脂肪族アルカン、シクロヘキサンのような環式アルカン及び、ベンゼン、クメン、プソイドクメン、シメン、スチレン、トルエン、キシレン、テトラヒドロナフタレン及びメシチレンのような芳香族炭化水素を含む炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ブロモホルム、メチルクロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、エピクロロヒドリン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジメトキシメタンのようなアルキルエーテル又は1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、フラン、テトラヒドロピラン及びテトラヒドロフランのような環式エーテルを含むエーテル;メチルホルメート、エチルホルメート及びフルフラールのようなアルデヒド;アセトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン及びイソホロンのようなケトン;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドのようなアミド;エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、グリセロール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのようなアルコール;ピリジン、ピペリジン、2−メチルピリジン、モルホリン、等のような環式アミン及びトリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びエタノールアミンのようなモノ−、ジ−及びトリ−置換アミン並びにエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなアミン−置換炭化水素を含むアミン;酢酸、トリフルオロ酢酸及びギ酸
のようなカルボン酸;エチルアセテート、イソペンチルアセテート、プロピルアセテート、等のようなエステル;カプロラクタムのようなラクタム;アセトニトリル、プロパンニトリル及びアジポニトルのようなニトリル;ニトロベンゼン、ニトロエタン及びニトロメタンのような有機ナイトレート;二硫化炭素のような硫化物;並びにジメチルスルホキシドのようなスルホキシドが含まれる。
【0090】
好ましい溶媒にはエタノールのようなアルコール、ジエチルエーテルのようなエーテル、DMSO及び、クロロホルム及びメチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が含まれる。
【0091】
溶媒は更に、少なくとも1種のリポポリマー、1又は複数の治療剤、標的リガンドで誘導された脂質、ステロール、カチオン脂質、アニオン脂質、界面活性剤、油、1又は複数のマーカー等を含んでなることができる。リポポリマー、治療剤及び/又は標的リガンドで誘導された脂質のようなこれらの成分の幾つかは、リポソームが形成される後に水溶液に添加することができることが認められるであろう。溶媒、水溶液又はそれら双方が治療剤又は診断剤又は賦形剤を含むことができることが認められるであろう。油が脂質粒子の1成分として存在する時は、好ましくは、水溶液に対する小滴の導入前に小滴中に存在する。
【0092】
小滴12は任意の適した手段により脂質/溶媒の溶液から生成される。小滴生成装置又は方法が本明細書に記載される脂質粒子を調製するために望ましい粒度範囲を有する小滴を提供する限り、小滴を生成するための代表的なシステムにはネブライザー、アトマイザー、ベンチュリ霧生成装置、収束音響放出装置、電気スプレイ装置、等が含まれる。小滴を生成する装置及び方法は好ましくは、時間及び費用有効な方法で脂質粒子を調製するのに十分な速度で小滴を提供する。収束音響生成装置及びネブライザーによる小滴生成は以下に更に考察される。
【0093】
次にこれらの小滴を水性溶媒20中に導入して脂質粒子16を形成する。水溶液は前記に考察されたような他の適した成分と一緒に、溶媒中にベシクル形成脂質を含んでなる小滴のための受容器(receptacle)として働く。小滴の導入時に、小滴からそして水相中に溶媒(及び場合により界面活性剤)の拡散又は蒸発により脂質粒子が形成して、脂質、油、界面活性剤等を残して小滴の組成に従う構造物を形成する。温度、電解質及び電解質濃度、圧力等がすべて、形成される構造物に影響を与えるように調整されることができることが認められるであろう。概括的に水溶液は水相中に導入される脂質の主要相転移温度より上の温度で維持しなければならない。
【0094】
水相は概括的に所望に応じて場合による溶質とともに水を含んでなる。場合による溶質には、限定されずに、電解質、タンパク質、ペプチド、糖、カオトロピック剤、キレート形成剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ビタミンE);酸、中性又は塩基性バッファー(例えば、一塩基性又は二塩基性ホスフェート);静菌剤及び、懸濁剤、溶解剤、増粘剤、安定剤、製薬学的賦形剤及び保存剤(例えば、アルキルパラベン、ベンジルアルコール)を含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液;前記のようなイオン又は非イオン界面活性剤、ポリソルベート、共溶媒;すなわちグリセロール、マニトール及びキシリトールのようなポリアルコールが含まれることができる。水溶液はまた、所望に応じて両親媒性脂質のミセル未満の濃度(例えば、約1μM濃度の脂質)で前以て平衡させることができる。
【0095】
水溶液は脂質粒子の親水性表面又は疎水性内部を取り込む又は結合することを所望される任意の溶質又は共溶媒を含むことができる。従って水溶液は更に、内包することができる少なくとも1種の治療剤を含有することができる。「取り込む」により、治療剤が脂質
粒子の中央の室内及び/又は脂質の2層の空間中に内包されるか、外部の脂質粒子の表面と結合するか又は、内部に取り込まれそして脂質粒子と外部で結合する双方であることを意味する。治療剤は親水性、疎水性、又は両親媒性であってもよい。親水性分子は典型的には脂質粒子の水性室内又はリポソームの水性2層内空間内に内包される。疎水性分子は典型的にはリポソームの内部又は外部の2層コアのいずれかの中に局在するか、油コア内に内包されるか、あるいは脂質の非極性のヘッド基と結合される。両親媒性分子はしばしば、脂質/水の界面に局在する。
【0096】
もう1つの態様において、水溶液は核酸又は他のポリマーを含む脂質粒子の表面と結合する溶質を含むことができる。
【0097】
製薬学的調製物に対して、水溶液は典型的には調製物を意図される受容者の血液と等張にさせる溶質を含有する。製薬学的調製物は典型的にはNaCl、KCl、MgSO及びCaClのような1又は複数の製薬学的に許容できる電解質;ブドウ糖及び蔗糖を含む糖;及び/又はグリセロール、トレハアロース及びマンニトースのような凍結防止剤を含有することができる。更に、水溶液は染料、放射活性トレーサー及びカルボキシフルオレッセインのような水溶性蛍光発光団のような水性マーカーを含むことができる。リポソームに対しては、水溶液の一部がリポソームの水性コアを形成しているリポソームの内部に内包される。
【0098】
当業者は、調製物の意図される用途に基づくであろう小滴中に存在する特定の脂質、油及び界面活性剤、等の最適な性能のためにpHを調整することができることを認めるであろう。水溶液中のpHは典型的には、医学、園芸学、生物工学並びに化粧品学及び美容食品学における大部分の目的のためには約3〜約8の範囲内にあるであろう。しかし、成分がそのpHで安定である限り、脂質粒子を形成するためにどんなpHを使用することもできる。pHは脂質粒子形成後に、より中性、塩基性又は酸性のpHに調整することができる。全身的薬剤送達のためには、生理学的に許容できるpH、典型的には薬剤7.4のpHが望まれる。脂質粒子はまた、低い又は高いpHで水溶液中で形成して、後に所望の範囲内にpHを調整することができる。
【0099】
薬剤、医薬又は他の物質の遠隔充填のために、硫酸アンモニウムを含有する水溶液中でリポソーム送達ビヒクルを調製し、次により低い濃度の硫酸アンモニウムを有する水溶液に移し(例えば、透析又はクロマトグラフィーを使用して)、それにより後に添加される薬剤の封入を駆動するpH勾配を提供することができる。遠隔充填はBarenholzに対する米国特許第5,192,549号明細書及びSlaterに対する米国特許第6,465,008号明細書(特に実施例1)に詳細に記載された。
【0100】
脂質の成分及び濃度、小滴の粒度及び溶媒の貢献度は脂質粒度に対する最終的影響を決定するために変更することができる。更に、脂質の小滴を形成する速度、小滴を水溶液中に導入する方法、水溶液を撹拌する又は撹拌しない効果、水溶液の温度、電解質濃度、等はすべて通常の実験を使用して研究することができる。従って、与えられた小滴粒度に対して、これらの成分の不在時に得られる粒度に比較してより小さいリポソームをもたらすアニオン又はカチオンの脂質又は界面活性剤の存在の効果を研究し、最適化することができる。同様に、リポソームの粒度及び特徴に対する水中の溶媒の混和性の役割及び水相中への溶媒の拡散速度を研究するために溶媒を変えることができる。当業者は意図された用途のために得られたリポソーム又は他の脂質粒子を最適化するために通常の実験を使用することができると考えられる。
【0101】
水溶液は例えば、撹拌棒18のような任意の知られた方法を使用して小滴を導入する時に撹拌あるいは混合することができる。
【0102】
A.小滴の生成
前記のように、1又は複数のベシクル形成脂質及び場合により油及び/又は界面活性剤を水混和性溶媒、水非混和性溶媒又はそれらの混合物に溶解する。
【0103】
必要な粒度及び/又は脂質濃度の小滴を噴霧化、霧化、収束音響射出、電気スプレイ、ベンチュリ霧生成等を使用するような任意の適した装置又は方法を使用して生成することができる。使用することができる小滴の粒度に下限は存在しないが、小滴は約0.01ミクロン〜約100ミクロンの間の直径を有する。小滴の粒度の下限は生成システムの性能に左右されることが認められるであろう。好ましい態様において、小滴は狭い粒度分布を有する。小滴は好ましくは、約10ミクロン未満、より好ましくは、約5ミクロン未満の直径を有する。好ましい態様において、小滴は約0.1ミクロン〜約5ミクロン間の直径を有する。
【0104】
前記のように、該方法により形成されるリポソームの粒度は主として小滴の粒度及び小滴中の脂質の濃度により制御される。これらのパラメーターは関連させることができることは認められるであろう。例えば、5ミクロンの直径を有する小滴は約67fL(フェムトリッター)の体積を含み、従って溶液中1mMの脂質溶液を推定すると約4×10個の脂質分子を含有する。直径2ミクロンの小滴は4fLの体積を有し、従って約2.4×10個の脂質分子を含有する。0.1ミクロンの直径を有する小滴は5×10−4fLの体積をもち、従って約300個の脂質分子を含有する。溶媒中の脂質(及び場合により油及び界面活性剤等)の特定の濃度を選択することにより、水中の分離した局所的濃度の脂質として水溶液中に導入することができる前以て決定された数の分子を有する小滴を調製することができ、それにより分子レベルで生成された脂質粒子の粒度及び組成に制御を与えることができることが認められるであろう。存在する脂質(及び他の成分)の性状、溶媒、水溶液又は溶媒中の界面活性剤の存在、水溶液中の温度及び塩の状態に応じて、小滴の粒度を選択して、生成される脂質粒子を最適化することができる。
【0105】
好ましい態様において、各小滴は約1ミクロリッター以下の体積である。使用することができる小滴の粒度に下限は存在しないが、小滴の体積は好ましくは、約10−4fL〜約1nLの間であり、そして更により好ましくは、小滴の体積は約10−2fL〜約10pLの間である。
【0106】
Quateに対する米国特許第4,697,195号明細書、Elrodに対する第4,751,529号及び第4,751,530号及びWilliamsに対する第6,596,239号明細書に記載されたようなインクジェット印刷法は極めて密な粒度分布を伴うピコリッター−サイズの小滴を生成することができることが示された。本発明の小滴を同様な方法を使用して形成することができることが認められるであろう。米国特許第6,596,239号明細書に従うと、小滴の粒度は音響放出装置、一般に圧電変換器を励起するために使用されるエネルギー源の振動数、電圧及び期間を調整することにより制御することができる。小滴の粒度は少なくとも1ミクロンの直径であると報告されている。
【0107】
生成される脂質粒子の粒度並びに水溶液中に導入される小滴の粒度は当該技術分野で知られた方法を使用して決定することができる。脂質粒子及び小滴の粒度を決定する方法の限定されないリストには:電子顕微鏡検査法(フリーズ・フラクチャー、ネガティブ染色トランスミッションEM及び走査型EM);サブミクロン粒子分析装置(例えば、Malvern Laser、Cascade Impactor、Coulter);フィールドフロー細分化(FFF);毛細管流体力学細分化(CHDF);レーザー回折測定及びフェーズドップラー分析装置(PDA)が含まれる。
【0108】
B.収束音響放出法
図2に示されるもう1つの態様において、小滴26は米国特許第20030012892号明細書に記載されたような収束音響放出装置22により形成される。端的には、該装置は音響放射線を発生するための音響放射線発生装置からなる音響放出装置を含む。音響放射線は流体表面25の近位の溶媒及び溶解された脂質23を含有するレザボア内の焦点に収束される。音響放出装置24は水溶液34を含有する収集容器28中に流体表面25から流体の小滴26を放出するように音響放射線を発生し、収束させるようになっている。
【0109】
実施例8に説明されるように、脂質は所望される脂質濃度まで溶媒、好ましくは、エタノール、DMSO、エーテル又はハロゲン化炭化水素のようなアルカノール溶媒中に溶解される。脂質/溶媒溶液はまた、薬剤、標的リガンド、リポポリマー等を含有することができる。溶媒/脂質小滴を生成するために、米国特許第4,751,530号明細書に記載のような音響レンズアレーを利用することができる。前記のように、小滴を水溶液34を含有する収集容器28中に導入して、脂質粒子30を形成する。あるいはまた、収束される音響生成システム22は図示されていない担体ガスを使用して水溶液中に泡立てることができる霧を生成する。例えば、窒素の流れを放出装置を通過して配向することができ、放出された小滴を含有する窒素が水溶液中で泡立てられることができる。
【0110】
溶媒/脂質の小滴を収集するために使用される水溶液(場合によりバッファー、電解質、治療剤等を含有する)は好ましくは、使用される脂質の主要相転移温度より上の温度に維持される。特にリポソーム以外の脂質粒子に対して、所望の組成及び最終生成物に従って温度を変えることができることが認められるであろう。
【0111】
小滴が水溶液に導入される時に、小滴は水溶液の表面に接触時に水相中に吸収され、溶媒はバルクの水相中に拡散する。小滴からの脂質分子は小滴中に存在する成分に応じてリポソーム又は他の脂質粒子を形成する。水相中への小滴の導入時に、溶媒は水相中に小滴から拡散し、脂質が2層又はユニラメラに再形成して、水相中に脂質粒子を形成する。油が脂質溶液中に存在する時は、油の小滴が小滴のコアに留まり、そして脂質のアシル鎖が自然に油のコアの周囲に表面層を形成する。更なる過剰の脂質は中央の油滴コアの周囲に同心2層を形成することができる。非イオン界面活性剤が存在する時は、ニオソームが形成される。存在する油、脂質及び界面活性剤の割合に応じてリポソーム、リポスフェア、ニオソーム、エマルソーム又はエマルションが形成される。
【0112】
水のレザボアは溶媒/脂質のレザボアと流体連絡して、水溶液による小滴の直接の捕捉を許すことができることは認められるであろう。レザボアは、レザボアを接続する配管を含む任意の適切な手段を使用して流体連絡させることができる。この態様において、小滴は概括的に窒素のような不活性担体ガスを使用して水溶液中に小滴を泡立てることにより水溶液に導入される。本態様において、水溶液中への小滴の運搬前に空気又は他の気体相中への小滴の放出時に起る可能性があるような喪失を防止することができる。しかし、水性溶媒が脂質/溶媒溶液を含有するレザボア中に導入されることは一般に望ましくないことは認められるであろう。
【0113】
収束音響放出は0.01ピコリッター〜20ピコリッターの体積の小滴(2.7ミクロンまで小さい直径を有する小滴)の放出を可能にし、そこで小滴は毎分少なくとも約1,000,000滴の速度で生成されることができる(Stearnsに対する米国特許第6,416,164号明細書)。他の態様において、収束音響装置を使用して、5〜10ミクロンの直径を有する小滴を生成した(米国特許第20020077369号明細書)。収束音響エネルギーは概括的にその直径が音響の波長の次元にある液滴を生成するために使用される。言い換えると、小滴の直径は典型的には溶媒溶液中を伝播するバルクの音波の波長の次元にある。この波長はバルクの音波の振動数により、溶媒中のバルク波伝播のための音の速度を割ることにより決定することができる。従って、振動数を増加することにより小滴直径を縮小することができる。300MHzを超えるRF駆動振動数は典型的には5ミクロン未満の直径の小滴の生成をもたらす。
【0114】
もう1つの態様において、米国特許第6,622,720号明細書に記載されたように毛細管波生成が小滴を生成するために使用される。毛細管波駆動小滴を生成する時に、主要マウンドは小滴を放出するのに十分なエネルギーを受けない。その代わり、主要マウンドがサイズを縮小する時に、過剰な液体が周囲の毛細管波クレスト又は側部のマウンドにより吸収される。これらの波のクレストが小滴26に対応する霧を放出する。収束された単一の放出小滴の代わりに、毛細管作用の小滴を生成するためには、各放出変換器が、典型的には放出装置当り約1ワット以上のピーク電力で5ミクロ秒以下の次元の、より高いピーク電力でより短いパルス幅を発生する。毛細管作用はより低い振動数においてより小さい小滴を形成するために使用することができる。毛細管により発生される小滴の直径は毛細管波の波長と大きさが類似している。
【0115】
リポソームの粒度はサブミクロン粒子分析装置(例えば、Coulter N4MD)により測定することができる。音響発電機の振動数は所望のリポソーム粒度を達成するために0.001fL〜50pLの範囲内の小滴を生成するように調整することができる。非経口注射のためには最終平均直径は80〜200nmの範囲内になければならない。最終リポソームの直径が特定の小滴の直径に所望されるものより大きい場合は、脂質濃度を適当に減少させることができる。
【0116】
もう1つの態様において、図示されていない複数の放出装置及び脂質の溶液を含有するレザボアを提供することができる。収束音響放出装置のアレーを水相の上又は下に直接に、溶媒中の脂質のミクロ小滴の放出のための微量滴定皿の下方に配置することができる。脂質溶液を含有する微量滴定皿を水相と密封接触状態にすることができる。微量滴定皿のレザボアの開口部の小型サイズのために、水相と溶媒相間の混合は存在しない。あるいはまた、水溶液中への小滴の導入前に、混和性の少ない(又は多少濃厚な)溶媒を水相と溶媒相の混合を防止するために使用することができる。微小小滴は、好ましくは、水溶液中の放出小滴の急速な混合を許すために混合手段32を使用して撹拌あるいは激しく撹拌され(agitated)されている、水相中に直接に、収束音響放出法を使用して放出される。あるいはまた、前記のように、溶媒/脂質の霧を担体ガスを使用して又は放出された小滴の軌道を使用して水溶液中に誘導することができる。更に、各放出装置は急速な速度で小滴を生成するように高い振動数で駆動することができる。
【0117】
C.噴霧(nebulization)及び霧形成(atomization)
図3に示されるもう1つの態様において、小滴43はネブライザー又はアトマイザー44により形成される。ネブライザー及びアトマイザーはサブミクロン〜数百ミクロンの範囲内の直径の、典型的には1〜10ミクロンの範囲内の直径の小滴を含む種々の粒度の小滴を生成することができる。本発明の目的のための0.01ミクロン〜約100ミクロンの範囲内の、そしてより好ましくは、約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲内の直径をもつ小滴が生成される。ネブライザーは概括的に2タイプ:ジェット(又は圧縮空気の)小体積のネブライザー及び超音波ネブライザーである。ジェットネブライザーはベンチュリの原理に基づき、他方、超音波ネブライザーは交流を高周波音響エネルギーに変換するために逆圧電効果を使用する。
【0118】
1つの態様において、圧縮空気ネブライザー44(例えば、AeroEclipse、Pari L.C.,the Parijet、Whisper Jet、Microneb(R)、Sidestream(R)、Acorn II(R)、Cirrus(R
及びUpmist(R))は空気ポンプ50から管48により供給される急速に移動する空気で液体の流れを閉めることにより霧として小滴43を発生する。この方法により生成される小滴は典型的には約2〜5μmの直径を有する。
【0119】
もう1つの態様において、脂質/溶媒溶液からエアゾールの小滴を生成するために電流を機械的振動に変換するための圧電式変換器を使用する超音波ネブライザーが使用される。これらの小滴は1〜約5ミクロンの粒度範囲の直径を有する。Aeroneb(R)Nebulizer(Aerogen,Inc.,Mountain View,CA)、MicroNeb III、Pari Plus and Pari Star(5ミクロン未満の小滴を生成するため、Pari,Starnberg,Germany)、Ventstream、Omron U1、UMISTノズル、エアブラッシノズル、AeroEclipse、Huang,et al.,(1999)Anal.Sci.15:265により記載されたような音波スプレイネブライザー(1ミクロンの小滴)、Skylark超音波ネブライザー(3〜8ミクロン、台湾)、使い捨て医学用ネブライザー(Raindrop;Puritan Bennett,Lenexa,KS,Andersenカスケードインパクターにより測定されると3.2ミクロン(±1.9)の直径を有する)により例示されるような任意の適した超音波ネブライザーを使用することができることが認められるであろう。
【0120】
所望の直径の小滴は所望の範囲の小滴を生成するネブライザー、ジェット又は超音波の選択により生成することができる。更に、生成される小滴の直径を調整するためにネブライザーを修正することは当業者の能力内にある。1つの態様において、閾値の所望される直径より上の小滴が生成され、物質を再循環することができる場合は、任意の特定のネブライザー、アトマイザー又は他の小滴源により生成される一定の直径より上の小滴を除去するために小滴インパクタープレートが使用される。更に、ネブライザーの使用によりそして更に適当なノズルサイズを選択することにより所望の直径範囲をもつ小滴を生成することができる。小滴の生成速度を高めるために複数のノズルを使用することができることが認められるであろう。更に、閾値の所望される直径を超える小滴が生成される場合は、小滴のインパクタープレートを使用して、一定の直径を超える小滴を除去することができることが認められるであろう。
【0121】
溶媒/脂質溶液46の噴霧は小滴の微細スプレイ又は蒸気43をもたらす。噴霧される脂質/溶媒の霧43は管42のような適当な機構を使用して水溶液36の方向に配向される。もう1つの態様において、脂質/溶媒の霧43は図3に示されるように小滴の捕捉のために溶液36中で発泡される38。発泡作用は、水溶液の撹拌を同様に提供することができ、それは脂質粒子の形成のために必須ではないが、混合の効率及び速度を増加し、並びに工程の再現性を改善することができる。もう1つの態様において、水溶液は通常の撹拌装置52及び撹拌棒54を使用して撹拌することができる。
【0122】
溶媒/脂質の小滴を収集するために使用することができる水溶液(バッファー、電解質等を含有する)は好ましくは、脂質粒子中に含まれる脂質の主要相転移温度を超える温度に維持される。小滴は当該技術分野で知られた任意の方法により導入することができる。1つの態様において、水溶液はステンレス鋼のシートから製造されたハネコム様マトリックス(自動車のラジエーターのデザインに類似)中に溶液を走行させることにより液体表面積の最大露出のために特別にデザインされている容器中で撹拌することができる。溶媒/脂質の霧の流れは水の容器の方向に向けられ、小滴は水の表面に当る時に吸収される。溶媒の小滴中に含有される脂質分子は存在する成分及び水の条件に従って水溶液中にリポソーム又は他の脂質粒子を形成するであろう。リポソーム又は脂質粒子の直径はサブミクロン粒子分析装置により測定することができる。
【0123】
通常の実験法を使用してこれらのパラメーターの効果を決定するために、溶媒、脂質の組成、温度及び水溶液を変更することができる。所望のリポソーム又は他の脂質粒子の粒度が達成されるまで、異なる領域の小滴を生成するネブライザーを試すことができる。例えば、非経口注射のためには、最終平均直径は80〜200nmの範囲内になければならない。最終脂質粒度が所望のサイズより大きい場合は、脂質濃度を適当に減少することができる。
【0124】
実施例1に説明されるように、静脈注射に適した粒度(166±6nmの直径)をもつリポソームはエタノール/POPC溶液を噴霧し、そしてDI水に小滴を導入することにより形成された。実施例2に説明されるように、溶媒及び脂質パラメーターの変更(溶媒としてエーテルを使用し、POPCの20mg/mLの脂質濃度をもつことにより)により、形成されたリポソームは1160±140nmの直径を有した。従って、リポソームの粒度を調整し、標的に合わせるためには、脂質濃度の修正及び/又は他の溶媒の使用を利用することができる。
【0125】
実施例3及び4に考察されるように、リポソームは噴霧により生成された小滴から形成された。これらの方法により、166及び223nmの直径を有するリポソームが形成された。従って、約100〜150nm及び約200〜250nmのリポソームが脂質濃度の調整により形成された。実験においてリポソームの捕捉体積はそれぞれ15.5mL/ミリモル及び11.4mL/ミリモルの脂質であった。捕捉体積のこれらの値は大部分の先行技術の方法を使用して調製されたリポソームより高く、それは存在する多層リポソームの量の減少又は直径の不均一性の減少を示唆する。押し出されたリポソームの捕捉体積は典型的には1〜2mL/ミリモル脂質であり、エタノール又はエーテル注入を使用して調製されたリポソームに対しては、捕捉体積は5〜10mL/ミリモルの範囲内にあり、そして音波処理リポソームに対しては捕捉体積は0.2〜0.5mL/ミリモルの範囲内にある(Zhang,et al.,Liposomes in Drug Delivery,in Polymeric Biomaterials,2nd edition,S.Dumitriu,Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York(2001))。
【0126】
実施例2に記載されたように、噴霧により生成された小滴を使用するリポソームの調製を水溶液中へのエーテル/POPC溶液の直接の注入と比較した。小滴生成法により、Coulterサブミクロン分粒装置により測定されると1160±140nmの平均直径を有するリポソームが形成された。それに対し、エーテル/脂質溶液が脱イオン水中に直接緩徐に注入された時は、リポソームは形成されなかった。従って小滴生成法を使用する脂質粒子の形成は、他の方法では脂質粒子の形成に適当ではないと思われる条件下で進行することができる。
【0127】
本発明の方法及び調製物中の使用に適した小滴を生成するために、実施例7に記載のように振動数(vibrational frequency)のような更なる技術が利用可能であることが認められるであろう。電気スプレイ(及びナノスプレイ)法は適した直径の小滴を生成するために使用することができる。通常の電気スプレイは10ミクロン未満の小滴直径を生成し、そしてより高い電圧においては、更に小さい小滴を生成することができる。ベンチュリ霧生成装置は0.43ミクロン又は約0.04fLにおいてピークになる小滴を生成すると報告された(米国特許第6,511,718号明細書)。
【0128】
当業者は、残りの溶媒は一旦形成されると脂質粒子中に存在し続けることを認めるであろう。存在する過剰な溶媒は所望される場合は、例えば、エタノール及びDMSOのような水混和性溶媒に対しては透析又はダイアフィルトレーションにより、そしてエーテル及びクロロホルムのような水非混和性溶媒に対しては、真空蒸発により除去することができ
る。しかし、溶媒の除去は残留溶媒の量及び調製物中の残留溶媒の許容性に応じて必要でないかも知れない。
【0129】
当業者は、調製物中の脂質及び場合により油及び界面活性剤の比率が調製される脂質粒子の形態に影響を有し、そしてリポスフェア、エマルション、リポソーム、ニオソーム又はエマルソームが調製されるか否かを決定することを認めるであろう。同様に、温度及び、pH及びイオン強度のような水の条件もまた、本明細書に記載される方法を使用して調製される脂質粒子及びリポソームに効果をもつことができ、そして当業者は通常の実験法のみを使用して変動する溶媒、脂質含量、脂質濃度、温度及び水の条件の効果を研究することができる。実施例5及び6に記載されるように、脂質濃度の変更及び油のトリオレインの含有がそれぞれ、リポスフェア又はエマルソームの形成をもたらす。
【0130】
もう1つのアスペクトにおいて、該方法は前以て決められた直径又は粒度分布を有する脂質粒子を調製するために使用することができる。前記と同様に、溶媒/脂質の小滴が生成され、水溶液中に導入されて脂質粒子を形成する。更に、異なる溶媒/脂質組成を有する小滴(異なる脂質又は溶媒又は異なる溶媒/脂質濃度のような)を生成し、水溶液中に導入して脂質粒子を形成する。2種の溶媒/脂質溶液から形成される脂質粒子を、直径、体積等のような因子に基づき比較することができる。この方法で、所望の特性を有する脂質粒子の調製のための条件を決定することができる。生成される小滴の粒度(粒度及び/又は体積)のような脂質粒子に影響する他の因子を研究するために同様な方法を使用することができることは認められるであろう。
【0131】
本発明はその好ましい特定の態様に関連して説明されてきたが、上記の説明並びに以下の実施例は具体的に説明することを意図され、本発明の範囲を限定することを意図されないことを理解しなければならない。本発明の実施は別記されない限り、当該分野の技術の範囲内にある、有機化学、ポリマー化学、生化学等の通常の方法を使用するであろう。本発明の範囲内の他のアスペクト、利点及び修正は本発明が関与する当業者には明白であろう。このような方法は文献に詳細に説明されている。
【0132】
前記及び以下双方の本明細書に挙げたすべての特許、特許出願物及び刊行物は引用により本明細書中に取り込まれている。
【0133】
[実施例]
IV.実施例
以下の実施例は本発明を具体的に示すがそれを限定する意図は全くもたれない。
【0134】
以下の実施例において、使用される数字(例えば、量、温度等)に関して精度を確保する努力をしたが、幾らかの実験誤差及び偏差を考慮しなければならない。別記されない限り、温度は摂氏(℃)にあり、圧力は大気圧において、又はその近位にある。すべての溶媒はHPLC等級として購入され、すべての工程は別記されない限り標準雰囲気下で定常的に実施した。別記されない限り、使用された試薬は次の会社から得た:リン脂質、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birminghan,AL)から;有機溶媒、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から;そしてガス、Matheson(Seacaucus,NJ)から。
粒度はCoulterサブミクロン微量分粒装置(モデルN4MD)を使用して測定した。
【実施例1】
【0135】
ネブライザー発生小滴を使用するリポソームの調製
POPC(NOF Corp)0.57gを5mLの目盛付きフラスコ中のエタノール
(無水エチルアルコールUSP、ロット99F 15QA、AAPER Alcohol
and Chem.Co.)に溶解した。最終脂質濃度は110mg/mLであった。POPC:エタノール溶液2ミリリッターをPARI LC STARネブライザー(Pari Respiratory,Starnberg,Germany,モデル22F51)中に充填して、POPC:エタノール溶液の小滴を生成した。エアゾール生成のための空気流は管を介してネブライザーの底部に結合されたDURA−NEB(R)3000(Pari Respiratory)のポータブルエアゾールシステムを使用して生成された。
【0136】
噴霧された小滴を連続的に撹拌しながらネブライザーの出口に接続された0.5cm口径のサイズ18の柔軟な管をとおして脱イオン水(DI)45mLを含有する100mLのガラスビーカーに導入した。エアポンプのスイッチを入れると、エタノールの霧が水中に発泡した。水が緩徐に透明になり、リポソームが形成されていることを示した。リポソームの直径はCoulterサブミクロン粒度測定器により測定されると166±6nm(n=3)であると測定された。
【実施例2】
【0137】
エーテルの溶媒及びネブライザーによる小滴の発生を使用するリポソームの
調製
POPCを無水エーテルに溶解して、最終濃度20mg/mLにした。2mLの増分でエーテル溶液10ミリリッターを実施例1に記載されたように50mLのDI水中に噴霧した。脱イオン水を連続的に撹拌しながら40℃に維持した。空気ポンプのスイッチを入れて噴霧を開始後、水溶液は急速に透明になり、リポソームが形成されていることを示した。リポソームの平均直径はCoulterサブミクロン粒度測定器により測定されると1160±140nmであると測定された。
【0138】
対照として、エーテル/脂質溶液0.5mLを40℃の脱イオン水5mL中に緩徐に注入した。溶液の上方部に濃い、塊状のゲルが形成し、リポソームの形成は明白ではなかった。
【実施例3】
【0139】
噴霧により形成されたリポソームの内包(encapsulation)効

POPC490mgをエタノール25mLに溶解して、最終脂質濃度9.6mg/mLにした。脂質/エタノール溶液を室温で目盛付き50mLの体積シリンダー中の0.6mg/mLのデキストランフルオレセイン、蛍光染料(10,000MV、Molecular Probes,D−1821,ロット9A)含有のDI水30mL中に実施例1に記載された装置を使用して噴霧した。シリンダーを使用して、脂質/エタノールの霧への水の露出を増加させた。脂質/エタノール溶液10mLを噴霧し、シリンダー中に導入した。噴霧後、シリンダー中の総体積は約35mLであった。懸濁水中の最終脂質濃度はリン含量により測定されると3.35mg/mLと測定された。従って水溶液による噴霧脂質の捕捉効率はほぼ60%であった。リポソームの直径はCoulterサブミクロン粒度測定器により測定されると166±4nmであった。4日目にリポソーム直径はCoulterサブミクロン粒度測定器により測定されると185±5nmであった。
【0140】
リポソームによる染料の内包効率を測定するために、未捕捉染料をダイアフィルトレーション(カートリッジ:A/G Tech Corp.,UFP−100−E−MM01A、100,000NMWC、1mm、16cm)によりリポソームから分離した。ダイアフィルトレーション前及び後の試料の蛍光強度の測定値は6.6%の内包効率を示した。4.26mMの脂質濃度を与えられると、リポソームの捕捉体積は15.5mL/ミ
リモルであると計算された。
【実施例4】
【0141】
噴霧により生成されたリポソーム中の蛍光染料の内包
POPC650mgをエタノール25mLに溶解して、最終脂質濃度26mg/mLにした。脂質/エタノール溶液を実施例1に記載され装置を使用して噴霧した。噴霧小滴を室温で目盛付き50mLのシリンダー中の6.4mg/mLのHPTS、蛍光染料(Molecular Probes Inc.H348 ロット:0181−2)含有のDI水30mL中に導入した。この実験で、小滴を導入する管はガスの流量を減少させるために挟み、それが水溶液中への小滴の送達及び/又は小滴粒度に影響を与えた可能性がある。総量で3.5mLの脂質−エタノール溶液を噴霧し、DI水中に導入した。噴霧及び導入後、シリンダー中の総量は約32mLであった。懸濁水中の最終脂質濃度はリン含量により測定すると0.64±0.16mg/mL(0.81±0.2mM,n=3)であると測定された。これは水による噴霧小滴の捕捉効率に対し24%の値に相当する。リポソームの直径はCoulterサブミクロン粒度測定器により測定すると223±6nm(n=3)と測定された。
【0142】
染料の内包効率を測定するために、未捕捉染料をSephadex G50(Pharmacia)のカラム(30cmの長さ×0.5cmの口径)中を脂質懸濁物200ミクロリットルを通過させることによりリポソーム捕捉染料から分離し、リポソームを生理食塩水(0.9%NaCl)で溶離した。総量40画分(25滴/画分)を回収した。リポソームを含有する画分4〜8を総量3.15mLとして貯蔵し、未捕捉染料を含有する画分24〜35は総量7.5mLの体積であった。2種の貯蔵された画分の蛍光強度の測定は0.92%の捕捉効率を示した。G50カラムからの回収は100%(実測は104%)であった。0.81±0.2mMの脂質濃度を与えられると、捕捉体積は11.4±2.9mL/ミリモルであると計算された。
【実施例5】
【0143】
リポスフェアの調製
POPC100mg及びトリオレイン200mgをDMSO/エタノール(1:1v/v)25mLに溶解する。脂質/溶媒溶液を実施例1に記載されたような装置を使用して噴霧し、室温で目盛付き50mLシリンダー中に含有されたDI水30mL中に導入する。総量4.0mLの脂質溶液を噴霧し、水中に導入してリポスフェアを形成する。脂質及びトリオレインの濃度はHPLCにより測定し、リポスフェアの直径はCoulterN4MDサブミクロン粒度測定器を使用して測定する。
【実施例6】
【0144】
エマルソームの調製
POPC200mg及びトリオレイン100mgをDMSO/エタノール(1:1v/v)25mLに溶解する。脂質/溶媒溶液を実施例1に記載されたような装置を使用して噴霧し、室温で目盛付き50mLのシリンダー中に含有されるDI水30mL中に導入する。総量4.0mLの脂質溶液を噴霧し、水中に導入するとエマルソームを形成する。脂質及びトリオレインの濃度をHPLCにより測定し、粒子の直径をCoulterN4MDサブミクロン粒度測定器を使用して測定する。
【実施例7】
【0145】
振動数生成小滴を使用するリポソームの調製
HSPC/コレステロール/mPEG2000−DSPE(55:40:5)10グラムをエタノール100mLに溶解して、最終脂質濃度0.1g/mlにする。小滴をHessに対する米国特許第6,405,934号明細書に記載されたものに類似の装置を使
用して振動数による溶媒/脂質の霧として生成する。すなわち、装置は溶媒/脂質溶液に振動数振動を適用するための振動手段を使用し、それにより液滴のスプレイを生成する。次に液滴スプレイを出口から噴射する。小滴の粒度は特定の振動数及び圧力に対して励起振動数に反比例する。溶媒/脂質の霧の流れは水溶液を含有する容器の方向に向けられる。小滴は水の表面に接触するときに吸収され、そしてリポソームが水溶液中に形成される。水溶液は主要相転移温度(60〜65℃)より上の温度で維持される。リポソームの粒度はCoulter N4MDサブミクロン粒度測定器のようなサブミクロン粒子分析機により測定される。振動(vibration)の振動数(frequnecy)は所望のリポソーム直径、好ましくは、50〜200nmの直径を有するリポソームが達成されるまで50fL〜5pLの範囲内の小滴を生成するように調整される。
【実施例8】
【0146】
収束音響装置生成の小滴を使用するリポソームの調製
HSPC/コレステロール/mPEG2000−DSPE(55:40:5)10グラムをエタノール100mLに溶解して、最終脂質濃度0.1g/mlにする。小滴を図2に表わされたような装置を使用して収束音響放出装置により溶媒/脂質の霧として生成する。すなわち、装置はRF電源のような適当な動力源を使用して音響放射線を発生する。放出装置は溶媒/脂質レザボアの流体表面の近位の焦点に音響放射線を収束させ、それにより装置から小滴を放出する。小滴のスプレイはDI水のような水溶液を含有するレザボア中に導入する。小滴は水面と接触時に吸収され、リポソームが水溶液中に形成される。リポソームの粒度はCoulter N4MDサブミクロ粒度測定装置のようなサブミクロン粒子分析装置により測定される。放射線の振動数は50〜200nmの範囲内の直径をもつリポソームを生成するように調整される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】脂質粒子を調製する方法のスキーム図を表わす。
【図2】水溶液中に脂質/溶媒の小滴を導入するために、収束音響放出装置が溶媒中の脂質のレザボアに結合されている態様のスキーム図を表わす。
【図3】噴霧された脂質/溶媒の小滴が水溶液中に導入される態様のスキーム図を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中にベシクル形成脂質の分離した小滴であって、一定の直径及び一定の体積を有する小滴を生産し;
該小滴を水溶液中に導入し;そして
インビボ投与に適した脂質粒子を形成すること:
を含んでなる脂質粒子の調製方法。
【請求項2】
脂質粒子がリポソームである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脂質がジステアロイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン及び水素化大豆ホスファチジルコリンからなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒又は水溶液の少なくとも片方に治療剤を含むことを更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項5】
治療剤がアントラサイクリン抗生物質である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アントラサイクリン抗生物質がダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン及びビスアントレンからなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
小滴中にリポポリマーを含むことを更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項8】
リポポリマーがポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポリアスパルタミドからなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リポポリマーが約500ダルトン〜約10,000ダルトンの間の分子量をもつポリエチレングリコール鎖である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
リポポリマーの少なくとも一部の遠位末端に結合されたリガンドを更に含んでなる請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ベシクル形成脂質の少なくとも一部の極性ヘッド基に結合されたリガンドを更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項12】
各小滴中の脂質濃度が約0.1mg/mL〜約1g/mLの間であるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項13】
各小滴中の脂質濃度が約1mg/mL〜約100mg/mLの間である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
小滴の体積が約10−4fL〜約1nLの間であるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項15】
小滴の体積が約10−2fL〜約10pLの間である請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
溶媒中にカチオンの脂質、アニオンの脂質、界面活性剤、マーカー、油又は製薬学的賦形剤の少なくとも1つを含むこと:を更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項17】
導入の前そして/又はその期間中に溶液の表面に近い焦点に収束音響放射線を適用することを更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項18】
導入段階が、複数の小滴が該脂質及び溶媒を含有する複数の溶媒レザボアから射出されることができるような複数の射出装置を提供すること:を更に含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項19】
分離した小滴が霧として生成され、そして該導入段階が小滴の霧を水溶液と接触させ誘導することを含んでなるいずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項20】
小滴の霧がネブライザー、アトマイザー、ベンチュリ霧生成装置、収束音響放出装置及び電気スプレイ装置からなる群から選択されるシステムにより生成される請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−533647(P2007−533647A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536941(P2006−536941)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035726
【国際公開番号】WO2005/039535
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】