説明

脂質障害およびコレステロール障害を治療するための抗PCSK9および方法

【課題】コレステロール障害を治療する新規方法を提供すること。
【解決手段】抗PCSK9抗体またはPCSK9のペプチド阻害薬の投与によってコレステロールおよび脂質の代謝の障害を治療するための組成物および方法。本発明はまた、一部には、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、PCSK9に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または組換え抗体)またはEGF−Aポリペプチド、および医薬的に許容される担体を、場合によりさらなる化学療法剤(例えば、エゼチミブおよび/またはシンバスタチン)と共に含有する医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年10月26日出願の米国特許出願第60/982,922号に対する優先権を主張する。米国特許出願第60/982,922号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の分野は、抗PCSK9抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することによってコレステロール恒常性の障害を治療するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アテローム硬化性冠状動脈心疾患(CHD)は、西欧諸国における死亡および心臓血管の病的状態の主要な原因である。アテローム硬化性冠状動脈心疾患についての危険因子は、高血圧、糖尿病、家族歴、男性であること、喫煙、高い血清コレステロールレベル、高い低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルおよび低い高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルを含む。一般に、約225−250mg/dlを超える総コレステロールレベルはCHDの危険度の重大な上昇に結びつく。
【0004】
様々な臨床試験で、総コレステロールまたはLDLコレステロールのレベル上昇はヒトのアテローム性動脈硬化症を促進することが明らかにされた。疫学的調査は、心臓血管罹病率および死亡率が総コレステロールおよびLDLコレステロールのレベルによって直接変化することを確認した。
【0005】
LDLコレステロールレベルを低下させるための1つの方法は、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬を投与することによる。これらの薬剤は、HMG−CoAレダクターゼおよび肝臓におけるコレステロール合成に拮抗し、細胞表面の肝LDL受容体の数を増加させてLDLの取込みと異化を促進する。そのようなアプローチの欠点は、これらの薬剤が共通して、例えば、肝毒性を含む、不都合な副作用プロフィールを有することである。選択的なアプローチは、LDL受容体経路を直接調節することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PCSK9(プロタンパク質コンベルターゼズブチリシン/ケキシン9型)は、細胞の表面上のLDL受容体に結合し、その発現を調節するセリンプロテアーゼファミリーのメンバーである。LDL受容体−PCSK9相互作用の阻害はコレステロール障害の治療への魅力的なアプローチである。抗体または低分子阻害剤の使用による大型タンパク質間の相互作用(すなわちタンパク質間相互作用またはPPI)の阻害は、しかし、一般に極めて難しく、厳しい課題であるとみなされている。約74KDaの分子量を有する、PCSK9のような大型タンパク質と、約160KDaの分子量を有する(細胞表面でグリコシル化される;未熟形態では115KDa)LDLRは、大きな範囲にわたって広範囲の分子間接触を示す可能性が高い。広範囲の接触の存在により、所与の抗体または低分子阻害剤がそれらの結合を成功裏にブロックすることは起こりそうにない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、驚くべきことに、大型タンパク質の間の分子間相互作用の遮断に関連する技術的な問題を克服し、抗体またはペプチドによるPCSK9−LDLR相互作用の遮断が可能であることを明らかにした。本明細書で詳細に論じるように、これは、次に、コレステロール障害を治療する新規方法を提供する。
【0008】
本発明は、一部には、被験者(例えば、ヒト)において総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率または低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させるための方法であって、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、PCSK9に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または組換え抗体)または1EGF−Aポリペプ
チドの治療有効量を、場合によりさらなる化学療法剤(例えば、エゼチミブおよび/またはシンバスタチン)と組み合わせて、前記被験者に投与することを含む方法を提供する。本発明の1つの実施形態では、前記抗体またはフラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、PCSK9触媒ドメインまたはLDL受容体EGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに特異的に結合する。
【0009】
本発明はさらに、一部には、被験者において高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症または黄色腫を治療するまたは予防するための方法であって、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、PCSK9に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または組換え抗体)またはEGF−Aポリペプチドの治療有効量を、場合によりさらなる治療薬(例えば、エゼチミブおよび/またはシンバスタチン)と組み合わせて、前記被験者に投与することを含む方法を提供する。本発明の1つの実施形態では、前記抗体またはフラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、PCSK9触媒ドメインまたはLDL受容体EGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに特異的に結合する。
【0010】
本発明はまた、一部には、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、PCSK9に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または組換え抗体)またはEGF−Aポリペプチド、および医薬的に許容される担体を、場合によりさらなる化学療法剤(例えば、エゼチミブおよび/またはシンバスタチン)と共に含有する医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、ヒトLDL受容体のおよそアミノ酸位置314から始まり、およそアミノ酸位置355で終わるアミノ酸から成る、ヒトLDL受容体フラグメントに対して約90%またはそれより高いアミノ酸配列類似性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、場合により、(i)PCSK9に結合する;(ii)PCSK9への結合に関してLDL受容体または抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントと競合する;(iii)動物に投与した場合、総コレステロールレベルを低下させる;(iv)動物に投与した場合、低密度リポタンパク質コレステロールレベルを低下させる;(v)動物に投与した場合、アポリポタンパク質Bレベルを低下させる;(vi)動物に投与した場合、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率を低下させる;および(vii)動物に投与した場合、低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させることから成る群より選択される1つまたはそれより多くの性質を含む単離ポリペプチド、または医薬的に許容される担体を含有するその医薬組成物を提供する。本発明の1つの実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列、または医薬的に許容される担体を含有するその医薬組成物から成る。
【0012】
本発明は、
(i)配列番号10のアミノ酸配列を含む11B5重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む75B9重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(iii)配列番号26のアミノ酸配列を含む77D10重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(iv)配列番号34のアミノ酸配列を含む29C10重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(v)配列番号42のアミノ酸配列を含む22D11重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(vi)配列番号50のアミノ酸配列を含む1F11/1G11重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(vii)配列番号14のアミノ酸配列を含む11B5軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(viii)配列番号22のアミノ酸配列を含む75B9軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(ix)配列番号30のアミノ酸配列を含む77D10軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(x)配列番号38のアミノ酸配列を含む29C10軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(xi)配列番号46のアミノ酸配列を含む22D11軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(xii)配列番号54のアミノ酸配列を含む1F11/1G11軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む単離抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。本発明はまた、
(i)アミノ酸配列:G F N I K D T Y M H(配列番号11)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P K F Q D(配列番号12)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S Y F G
S I F A Y(配列番号13)を含むHCDR3;
(ii)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号19)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P
K F Q G(配列番号20)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S Y Y G S I F A Y(配列番号21)を含むHCDR3;
(iii)アミノ酸配列:G F N I K D Y Y I H(配列番号27)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P E N G D T E Y A P K F Q G(配列番号28)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Y Y R
Y D D G T W F P Y(配列番号29)を含むHCDR3;
(iv)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号35)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P A N G Y T K Y A P
N F Q G(配列番号36)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G Y Y R Y Y S L D Y(配列番号37)を含むHCDR3;
(v)アミノ酸配列:G F T F S N H D M A(配列番号43)を含むHCDR1、アミノ酸配列:S I T P S G G T T Y Y R D S V E G(配列番号44)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Q N Y Y
D G S Y Y Y G L Y Y F D Y(配列番号45)を含むHCDR3;
(vi)アミノ酸配列:G Y T F T D Y Y M N(配列番号51)を含むHCDR1、アミノ酸配列:D I N P N N G G A I Y N Q
K F K G(配列番号52)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G I I T E I A E D F(配列番号53)を含むHCDR3;
(vii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L Y(配列番号15)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R S S H R A S(配列番号:16)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y Q S Y P P T(配列番号17)を含むLCDR3;
(viii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L F(配列番号23)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R T S Y L A S(配列番号24)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y H T Y P P T(配列番号25)を含むLCDR3;
(ix)アミノ酸配列:R A S G N I H S Y L A(配列番号31)を含むLCDR1、アミノ酸配列:N A K T L P D(配列番号32)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q H F W N T P W T(配列番号33)を含むLCDR3;
(x)アミノ酸配列:R A S Q D I S N Y L N(配列番号39)を含むLCDR1、アミノ酸配列:Y S S R L H S(配列番号40)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q G K T L P L T(配列番号41)を含むLCDR3;
(xi)アミノ酸配列:R S S Q S L V Y S D G N T Y L H(配列番号47)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R V S N R F S(配列番号48)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:L Q S T H F P P T(配列番号49)を含むLCDR3;
(xii)アミノ酸配列:K A S Q N V G T N V V(配列番号55)を含むLCDR1、アミノ酸配列:S A S Y R Y S(配列番号56)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q Y K T Y P Y T(配列番号57)を含むLCDR3
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む単離抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。さらに、本発明は、(a)アミノ酸配列:
【0013】
【化1】

【0014】
を含む免疫グロブリン重鎖;(b)アミノ酸配列:
【0015】
【化2】

【0016】
を含む免疫グロブリン軽鎖;(c)アミノ酸配列:
【0017】
【化3】

【0018】
を含む免疫グロブリン重鎖;(d)アミノ酸配列:
【0019】
【化4】

【0020】
を含む免疫グロブリン軽鎖;(e)アミノ酸配列:
【0021】
【化5】

【0022】
を含む免疫グロブリン重鎖;(f)アミノ酸配列:
【0023】
【化6】

【0024】
を含む免疫グロブリン軽鎖;(g)アミノ酸配列:
【0025】
【化7】

【0026】
を含む免疫グロブリン重鎖;
(h)アミノ酸配列:
【0027】
【化8】

【0028】
を含む免疫グロブリン軽鎖;(i)アミノ酸配列:
【0029】
【化9】

【0030】
を含む免疫グロブリン重鎖;(j)アミノ酸配列:
【0031】
【化10】

【0032】
を含む免疫グロブリン軽鎖;(k)アミノ酸配列:
【0033】
【化11】

【0034】
を含む免疫グロブリン重鎖;および(l)アミノ酸配列:
【0035】
【化12】

【0036】
を含む免疫グロブリン軽鎖
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む、請求項xxxに記載の単離抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。本発明の実施形態は、例えば、さらなる化学療法剤、例えば、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬と共に本発明の抗体またはポリペプチドのいずれかを含有する組成物を含む。本発明の1つの実施形態では、さらなる化学療法剤は、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール(nebivalol)、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロールまたはトラモロールである。本発明の実施形態はまた、抗体またはフラグメントが、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、またはドメイン抗体であるものを含む。本発明の1つの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、免疫グロブリン定常領域、例えば、κ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖に連結されている。本発明はまた、医薬的に許容される担体と共に本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物を提供する。
【0037】
本発明はまた、被験者において、総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率もしくは低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させるため;または高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症もしくは黄色腫を治療するための方法であって、本明細書で述べるように治療有効量の本発明の任意のポリペプチドまたは抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または、その医薬組成物を、場合により、例えば、本明細書で述べるような、さらなる化学療法剤と組み合わせて前記被験者に投与することを含む方法を提供する。
【0038】
本発明はまた、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを作製するための方法であって、前記重鎖および/または軽鎖免疫グロブリンをコードし、その発現を指令する1つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを1つまたはそれより多くの宿主細胞に導入すること;ならびに前記宿主細胞を、前記重鎖および軽鎖免疫グロブリンが発現される条件下で増殖させることを含む方法を提供し、その方法では、例えば、前記軽鎖をコードし、その発現を指令する前記ポリヌクレオチドと、前記重鎖をコードし、その発現を指令する前記ポリヌクレオチドとは、別々の宿主細胞中に存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば以下の単離抗体またはその抗原結合フラグメントなどが提供される:
(項目1) (i)配列番号10のアミノ酸配列を含む11B5重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む75B9重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(iii)配列番号26のアミノ酸配列を含む77D10重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(iv)配列番号34のアミノ酸配列を含む29C10重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(v)配列番号42のアミノ酸配列を含む22D11重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(vi)配列番号50のアミノ酸配列を含む1F11/1G11重鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3;
(vii)配列番号14のアミノ酸配列を含む11B5軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;
(viii)配列番号22のアミノ酸配列を含む75B9軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;
(ix)配列番号30のアミノ酸配列を含む77D10軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;
(x)配列番号38のアミノ酸配列を含む29C10軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;
(xi)配列番号46のアミノ酸配列を含む22D11軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3;および
(xii)配列番号54のアミノ酸配列を含む1F11/1G11軽鎖免疫グロブリンの可変領域のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む単離抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目2) さらなる化学療法剤と組み合わせての項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する組成物。
(項目3) 前記さらなる化学療法剤が、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬である、項目2に記載の組成物。
(項目4) 前記さらなる化学療法剤が、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール(nebivalol)、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロールまたはトラモロールである、項目2に記載の組成物。
(項目5) さらなる化学療法剤が、場合によりシンバスタチンと組み合わせたエゼチミブである、項目4に記載の組成物。
(項目6) ヒト化抗体である、項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。(項目7) モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である抗体である、項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目8) ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、またはドメイン抗体である抗原結合フラグメントである、項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目9) 免疫グロブリンの定常領域に連結されている、項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目10) 前記定常領域がκ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖である、項目9に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目11) 医薬的に許容される担体と組み合わせて項目1に記載の抗体またはフラグメントを含有する医薬組成物。
(項目12) (i)アミノ酸配列:G F N I K D T Y M H(配列番号11)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P K F Q D(配列番号12)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S
Y F G S I F A Y(配列番号13)を含むHCDR3;
(ii)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号19)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P
K F Q G(配列番号20)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S Y Y G S I F A Y(配列番号21)を含むHCDR3;
(iii)アミノ酸配列:G F N I K D Y Y I H(配列番号27)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P E N G D T E Y A P K F Q G(配列番号28)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Y Y R
Y D D G T W F P Y(配列番号29)を含むHCDR3;
(iv)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号35)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P A N G Y T K Y A P
N F Q G(配列番号36)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G Y Y R Y Y S L D Y(配列番号37)を含むHCDR3;
(v)アミノ酸配列:G F T F S N H D M A(配列番号43)を含むHCDR1、アミノ酸配列:S I T P S G G T T Y Y R D S V E G(配列番号44)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Q N Y Y
D G S Y Y Y G L Y Y F D Y(配列番号45)を含むHCDR3;
(vi)アミノ酸配列:G Y T F T D Y Y M N(配列番号51)を含むHCDR1、アミノ酸配列:D I N P N N G G A I Y N Q
K F K G(配列番号52)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G I I T E I A E D F(配列番号53)を含むHCDR3;
(vii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L Y(配列番号15)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R S S H R A S(配列番号:16)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y Q S Y P P T(配列番号17)を含むLCDR3;
(viii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L F(配列番号23)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R T S Y L A S(配列番号24)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y H T Y P P T(配列番号25)を含むLCDR3;
(ix)アミノ酸配列:R A S G N I H S Y L A(配列番号31)を含むLCDR1、アミノ酸配列:N A K T L P D(配列番号32)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q H F W N T P W T(配列番号33)を含むLCDR3;
(x)アミノ酸配列:R A S Q D I S N Y L N(配列番号39)を含むLCDR1、アミノ酸配列:Y S S R L H S(配列番号40)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q G K T L P L T(配列番号41)を含むLCDR3;
(xi)アミノ酸配列:R S S Q S L V Y S D G N T Y L H(配列番号47)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R V S N R F S(配列番号48)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:L Q S T H F P P T(配列番号49)を含むLCDR3;および
(xii)アミノ酸配列:K A S Q N V G T N V V(配列番号55)を含むLCDR1、アミノ酸配列:S A S Y R Y S(配列番号56)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q Y K T Y P Y T(配列番号57)を含むLCDR3
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む単離抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目13) さらなる化学療法剤と組み合わせて項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する組成物。
(項目14) 前記さらなる化学療法剤が、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬である、項目13に記載の組成物。
(項目15) さらなる化学療法剤が、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロール、トラモロール、塩酸フェンスピリド、プロロキサン、塩酸アルフゾシン、塩酸ラベタロール、ブレチリウムトシレート、ジヒドロエルゴタミンメシレート、カルベジロール、ラベタロール、ブレチリウムトシレート、フェントラミンメシレート、酒石酸ソリペルチン、塩酸ゾレルチン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、ロサルタンカリウム、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、フォシノプリル、塩酸モエキシプリル、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル、ラミプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、デラプリル、スピラプリル、塩酸デラプリル、リベンザプリル、ペントプリル、ペリンドプリル1H−インドール−2−カルボン酸、キナプリラート、塩酸スピラプリル、スピラプリラート、テプロチド、ゾフェノプリル、アムロジピンベシレート、マレイン酸クレンチアゼム、イスラジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸テルジピン、ベルホスジル、ホステジル、ラノラジン、塩酸ブトプロジン、トシフェン、モルシドミン、塩酸ラノラジン、トシフェン、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸ソソルビド、ニトログリセリン、塩酸ベラパミル、クロモナール、クロニテート、ドロプレニラミン、リドフラジン、プレニラミン、硝酸プロパチル、塩酸ミオフラジン、ミキシジン、モルシドミン、一硝酸イソソルビド、四硝酸エリトリチル、クロニトレート、ジピリダモール、ニコランジル、ピリジンカルボキサミド、ニフェジピン、マレイン酸ペルヘキシリン、オクスプレノロール、ペントリニトロール、ベラパミル、アルチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、塩酸グアンファシン、ヒドロクロロチアジドと組み合わせたメチルドパ−ヒドロクロロチアジド、メチルドパ−クロロチアジド、塩酸クロニジン、クロルタリドン、塩酸クロニジン、クロニジン、アルチアジド、ベンズチアジド、カプトプリル、カルベジロール、クロロチアジド、塩酸クロニジン、シクロチアジド、塩酸デラプリル、塩酸ジレバロール、塩酸デラプリル、ドキサゾシンメシレート、フォシノプリルナトリウム、塩酸モエキシプリル、マレイン酸モナテピル、コハク酸メトプロロール、塩酸グアンファシン、メチルドパ、キナプリラート、塩酸キナプリル、プリミドロール、塩酸プラゾシン、塩酸ペランセリン、塩酸フェノキシベンズアミン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、マレイン酸アムロジピン、塩酸テラゾシン、塩酸ベバントロールまたはラミプリルである、項目13に記載の組成物。
(項目16) 前記さらなる化学療法剤が、場合によりシンバスタチンと組み合わせたエゼチミブである、項目15に記載の組成物。
(項目17) ヒト化抗体である、項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目18) ヒト化抗体である、項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目19) モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である抗体である、項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目20) ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、またはドメイン抗体である抗原結合フラグメントである、項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目21) 免疫グロブリンの定常領域に連結されている、項目12に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目22) 前記定常領域がκ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖である、項目21に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目23) 医薬的に許容される担体と組み合わせて項目12に記載の抗体またはフラグメントを含有する医薬組成物。
(項目24) (a)アミノ酸配列:
【化36】


を含む免疫グロブリン重鎖;
(b)アミノ酸配列:
【化37】


を含む免疫グロブリン軽鎖;
(c)アミノ酸配列:
【化38】


を含む免疫グロブリン重鎖;
(d)アミノ酸配列:
【化39】


を含む免疫グロブリン軽鎖;
(e)アミノ酸配列:
【化40】


を含む免疫グロブリン重鎖;
(f)アミノ酸配列:
【化41】


を含む免疫グロブリン軽鎖;
(g)アミノ酸配列:
【化42】


を含む免疫グロブリン重鎖;
(h)アミノ酸配列:
【化43】


を含む免疫グロブリン軽鎖;
(i)アミノ酸配列:
【化44】


を含む免疫グロブリン重鎖;
(j)アミノ酸配列:
【化45】


を含む免疫グロブリン軽鎖;
(k)アミノ酸配列:
【化46】


を含む免疫グロブリン重鎖;および
(l)アミノ酸配列:
【化47】


を含む免疫グロブリン軽鎖
から成る群より選択される1つまたはそれより多くのメンバーを含む、項目12に記載の単離抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目25) さらなる化学療法剤と組み合わせて項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する組成物。
(項目26) 前記さらなる化学療法剤が、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬である、項目25に記載の組成物。
(項目27) 前記さらなる化学療法剤が、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロール、トラモロール、塩酸フェンスピリド、プロロキサン、塩酸アルフゾシン、塩酸ラベタロール、ブレチリウムトシレート、ジヒドロエルゴタミンメシレート、カルベジロール、ラベタロール、ブレチリウムトシレート、フェントラミンメシレート、酒石酸ソリペルチン、塩酸ゾレルチン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、ロサルタンカリウム、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、フォシノプリル、塩酸モエキシプリル、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル、ラミプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、デラプリル、スピラプリル、塩酸デラプリル、リベンザプリル、ペントプリル、ペリンドプリル1H−インドール−2−カルボン酸、キナプリラート、塩酸スピラプリル、スピラプリラート、テプロチド、ゾフェノプリル、アムロジピンベシレート、マレイン酸クレンチアゼム、イスラジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸テルジピン、ベルホスジル、ホステジル、ラノラジン、塩酸ブトプロジン、トシフェン、モルシドミン、塩酸ラノラジン、トシフェン、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸ソソルビド、ニトログリセリン、塩酸ベラパミル、クロモナール、クロニテート、ドロプレニラミン、リドフラジン、プレニラミン、硝酸プロパチル、塩酸ミオフラジン、ミキシジン、モルシドミン、一硝酸イソソルビド、四硝酸エリトリチル、クロニトレート、ジピリダモール、ニコランジル、ピリジンカルボキサミド、ニフェジピン、マレイン酸ペルヘキシリン、オクスプレノロール、ペントリニトロール、ベラパミル、アルチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、塩酸グアンファシン、ヒドロクロロチアジドと組み合わせたメチルドパ−ヒドロクロロチアジド、メチルドパ−クロロチアジド、塩酸クロニジン、クロルタリドン、塩酸クロニジン、クロニジン、アルチアジド、ベンズチアジド、カプトプリル、カルベジロール、クロロチアジド、塩酸クロニジン、シクロチアジド、塩酸デラプリル、塩酸ジレバロール、塩酸デラプリル、ドキサゾシンメシレート、フォシノプリルナトリウム、塩酸モエキシプリル、マレイン酸モナテピル、コハク酸メトプロロール、塩酸グアンファシン、メチルドパ、キナプリラート、塩酸キナプリル、プリミドロール、塩酸プラゾシン、塩酸ペランセリン、塩酸フェノキシベンズアミン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、マレイン酸アムロジピン、塩酸テラゾシン、塩酸ベバントロールまたはラミプリルである、項目25に記載の組成物。
(項目28) 前記さらなる化学療法剤が、場合によりシンバスタチンと組み合わせたエゼチミブである、項目27に記載の組成物。
(項目29) ヒト化抗体である、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目30) ヒト化抗体である、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目31) モノクローナル抗体、標識抗体、二価抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である抗体である、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目32) ラクダ化単一ドメイン抗体、ダイアボディ、scfv、scfv二量体、dsfv、(dsfv)、dsFv−dsfv’、二重特異性dsダイアボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、またはドメイン抗体である抗原結合フラグメントである、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目33) 免疫グロブリンの定常領域に連結されている、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目34) 前記定常領域がκ軽鎖、γ1重鎖、γ2重鎖、γ3重鎖またはγ4重鎖である、項目33に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目35) 医薬的に許容される担体と組み合わせて項目24に記載の抗体またはフラグメントを含有する医薬組成物。
(項目36) PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、PCSK9に特異的に結合する単離抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは単離EGF−Aポリペプチド、および医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
(項目37) 前記抗体がPCSK9触媒ドメインまたはLDL受容体EGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに特異的に結合する、項目36に記載の医薬組成物。
(項目38) ヒトLDL受容体のおよそアミノ酸位置314から始まり、およそアミノ酸位置355で終わるアミノ酸から成る、ヒトLDL受容体フラグメントに対して約90%またはそれより高いアミノ酸配列類似性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、場合により、
(i)PCSK9に結合する;
(ii)PCSK9への結合に関してLDL受容体または抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントと競合する;
(iii)動物に投与した場合、総コレステロールレベルを低下させる;
(iv)動物に投与した場合、低密度リポタンパク質コレステロールレベルを低下させる;
(v)動物に投与した場合、アポリポタンパク質Bレベルを低下させる;
(vi)動物に投与した場合、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率を低下させる;および
(vii)動物に投与した場合、低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させる
ことから成る群より選択される1つまたはそれより多くの性質を含む単離ポリペプチド、または医薬的に許容される担体を含有するその医薬組成物。
(項目39) 配列番号3のアミノ酸配列から成る項目38に記載のポリペプチドまたは医薬的に許容される担体を含有するその医薬組成物。
(項目40) 被験者において、
総コレステロールレベル;
低密度リポタンパク質コレステロールレベル;
アポリポタンパク質Bレベル;
総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率;または
低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率
を低下させるための方法であって、PCSK9に特異的に結合する、PCSK9アンタゴニストであるEGF−Aポリペプチドまたは抗体もしくはその抗原結合フラグメントの治療有効量を、場合によりさらなる化学療法剤と組み合わせて前記被験者に投与する工程を含み、該抗体もしくはフラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、方法。
(項目41) 前記抗体もしくはフラグメントが、PCSK9触媒ドメインまたはLDL受容体EGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに特異的に結合する、項目40に記載の方法。
(項目42) 被験者において高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症または黄色腫を治療するまたは予防するための方法であって、PCSK9に特異的に結合する、EGF−Aポリペプチドまたは抗体もしくはその抗原結合フラグメントの治療有効量を、場合によりさらなる化学療法剤と組み合わせて前記被験者に投与する工程を含み、該抗体もしくはフラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、PCSK9とLDL受容体との間の結合を阻害する、方法。
(項目43) 前記抗体が、PCSK9触媒ドメインまたはLDL受容体EGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに特異的に結合する、項目42に記載の方法。(項目44) 被験者において、
総コレステロールレベル;
低密度リポタンパク質コレステロールレベル;
アポリポタンパク質Bレベル;
総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率;もしくは
低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率
を低下させるため;または
高コレステロール血症;
高脂血症;
高トリグリセリド血症;
シトステロール血症;
アテローム性動脈硬化症;
動脈硬化症;
冠状動脈性心疾患;
血管炎症;もしくは
黄色腫
を治療するための方法であって、項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記被験者に投与する工程を含む方法。
(項目45) 項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをさらなる化学療法剤と組み合わせて投与する、項目44に記載の方法。
(項目46) 前記さらなる化学療法剤が、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬である、項目45に記載の方法。
(項目47) 前記さらなる化学療法剤が、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロール、トラモロール、塩酸フェンスピリド、プロロキサン、塩酸アルフゾシン、塩酸ラベタロール、ブレチリウムトシレート、ジヒドロエルゴタミンメシレート、カルベジロール、ラベタロール、ブレチリウムトシレート、フェントラミンメシレート、酒石酸ソリペルチン、塩酸ゾレルチン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、ロサルタンカリウム、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、フォシノプリル、塩酸モエキシプリル、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル、ラミプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、デラプリル、スピラプリル、塩酸デラプリル、リベンザプリル、ペントプリル、ペリンドプリル1H−インドール−2−カルボン酸、キナプリラート、塩酸スピラプリル、スピラプリラート、テプロチド、ゾフェノプリル、アムロジピンベシレート、マレイン酸クレンチアゼム、イスラジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸テルジピン、ベルホスジル、ホステジル、ラノラジン、塩酸ブトプロジン、トシフェン、モルシドミン、塩酸ラノラジン、トシフェン、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸ソソルビド、ニトログリセリン、塩酸ベラパミル、クロモナール、クロニテート、ドロプレニラミン、リドフラジン、プレニラミン、硝酸プロパチル、塩酸ミオフラジン、ミキシジン、モルシドミン、一硝酸イソソルビド、四硝酸エリトリチル、クロニトレート、ジピリダモール、ニコランジル、ピリジンカルボキサミド、ニフェジピン、マレイン酸ペルヘキシリン、オクスプレノロール、ペントリニトロール、ベラパミル、アルチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、塩酸グアンファシン、ヒドロクロロチアジドと組み合わせたメチルドパ−ヒドロクロロチアジド、メチルドパ−クロロチアジド、塩酸クロニジン、クロルタリドン、塩酸クロニジン、クロニジン、アルチアジド、ベンズチアジド、カプトプリル、カルベジロール、クロロチアジド、塩酸クロニジン、シクロチアジド、塩酸デラプリル、塩酸ジレバロール、塩酸デラプリル、ドキサゾシンメシレート、フォシノプリルナトリウム、塩酸モエキシプリル、マレイン酸モナテピル、コハク酸メトプロロール、塩酸グアンファシン、メチルドパ、キナプリラート、塩酸キナプリル、プリミドロール、塩酸プラゾシン、塩酸ペランセリン、塩酸フェノキシベンズアミン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、マレイン酸アムロジピン、塩酸テラゾシン、塩酸ベバントロールまたはラミプリルである、項目46に記載の方法。(項目48) 前記さらなる化学療法剤がエゼチミブおよび、場合により、シンバスタチンである、項目47に記載の方法。
(項目49) 前記抗体またはその抗原結合フラグメントがヒト化抗体である、項目44に記載の方法。
(項目50) 被験者において、
総コレステロールレベル;
低密度リポタンパク質コレステロールレベル;
アポリポタンパク質Bレベル;
総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率;もしくは
低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率
を低下させるため;または
高コレステロール血症;
高脂血症;
高トリグリセリド血症;
シトステロール血症;
アテローム性動脈硬化症;
動脈硬化症;
冠状動脈性心疾患;
血管炎症;もしくは
黄色腫
を治療するための方法であって、項目24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記被験者に投与する工程を含む方法。
(項目51) 項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをさらなる化学療法剤と組み合わせて投与する、項目50に記載の方法。
(項目52) 前記さらなる化学療法剤が、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬、アドレナリン刺激薬またはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬である、項目51に記載の方法。
(項目53) 前記さらなる化学療法剤が、エゼチミブ、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、アゼチジノン、塩酸ブノロール、アセブトロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸セタモロール、塩酸ラベタロール、塩酸エスモロール、塩酸レボベタキソロール、塩酸レボブノロール、ナドロール、プラクトロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ソタロール、チモロール、マレイン酸チモロール、ビソプロロール、フマル酸ビソプロロール、ネビボロール、塩酸シクロプロロール、塩酸デキスプロプラノロール、塩酸ジアセトロール、塩酸ジレバロール、塩酸エキサプロロール、硫酸フレストロール、塩酸メタロール、メトプロロール2−プロパノール、酒石酸メトプロロール、硫酸パマトロール、硫酸ペンブトロール、プラクトロール、塩酸チプレノロール、トラモロール、塩酸フェンスピリド、プロロキサン、塩酸アルフゾシン、塩酸ラベタロール、ブレチリウムトシレート、ジヒドロエルゴタミンメシレート、カルベジロール、ラベタロール、ブレチリウムトシレート、フェントラミンメシレート、酒石酸ソリペルチン、塩酸ゾレルチン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、ロサルタンカリウム、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、フォシノプリル、塩酸モエキシプリル、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル、ラミプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、デラプリル、スピラプリル、塩酸デラプリル、リベンザプリル、ペントプリル、ペリンドプリル1H−インドール−2−カルボン酸、キナプリラート、塩酸スピラプリル、スピラプリラート、テプロチド、ゾフェノプリル、アムロジピンベシレート、マレイン酸クレンチアゼム、イスラジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニルバジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸テルジピン、ベルホスジル、ホステジル、ラノラジン、塩酸ブトプロジン、トシフェン、モルシドミン、塩酸ラノラジン、トシフェン、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸ソソルビド、ニトログリセリン、塩酸ベラパミル、クロモナール、クロニテート、ドロプレニラミン、リドフラジン、プレニラミン、硝酸プロパチル、塩酸ミオフラジン、ミキシジン、モルシドミン、一硝酸イソソルビド、四硝酸エリトリチル、クロニトレート、ジピリダモール、ニコランジル、ピリジンカルボキサミド、ニフェジピン、マレイン酸ペルヘキシリン、オクスプレノロール、ペントリニトロール、ベラパミル、アルチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、塩酸グアンファシン、ヒドロクロロチアジドと組み合わせたメチルドパ−ヒドロクロロチアジド、メチルドパ−クロロチアジド、塩酸クロニジン、クロルタリドン、塩酸クロニジン、クロニジン、アルチアジド、ベンズチアジド、カプトプリル、カルベジロール、クロロチアジド、塩酸クロニジン、シクロチアジド、塩酸デラプリル、塩酸ジレバロール、塩酸デラプリル、ドキサゾシンメシレート、フォシノプリルナトリウム、塩酸モエキシプリル、マレイン酸モナテピル、コハク酸メトプロロール、塩酸グアンファシン、メチルドパ、キナプリラート、塩酸キナプリル、プリミドロール、塩酸プラゾシン、塩酸ペランセリン、塩酸フェノキシベンズアミン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、カンデサルタン、マレイン酸アムロジピン、塩酸テラゾシン、塩酸ベバントロールまたはラミプリルである、項目51に記載の方法。(項目54) 前記さらなる化学療法剤がエゼチミブおよび、場合により、シンバスタチンである、項目53に記載の方法。
(項目55) 前記抗体またはその抗原結合フラグメントがヒト化抗体である、項目50に記載の方法。
(項目56) 項目1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを作製するための方法であって、前記重鎖および/または軽鎖免疫グロブリンをコードし、その発現を指令する1つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを、1つまたはそれより多くの宿主細胞に導入する工程;ならびに該宿主細胞を前記重鎖および軽鎖の免疫グロブリンが発現される条件下で増殖させる工程を含む方法。
(項目57) 前記軽鎖をコードし、その発現を指令する前記ポリヌクレオチドと、前記重鎖をコードし、その発現を指令する前記ポリヌクレオチドが別々の宿主細胞中に存在する、項目56に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1−1】マウス抗ヒトPCSK9抗体の成熟可変領域アミノ酸配列。CDRに下線を付している。
【図1−2】マウス抗ヒトPCSK9抗体の成熟可変領域アミノ酸配列。CDRに下線を付している。
【図1−3】マウス抗ヒトPCSK9抗体の成熟可変領域アミノ酸配列。CDRに下線を付している。
【図1−4】マウス抗ヒトPCSK9抗体の成熟可変領域アミノ酸配列。CDRに下線を付している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(発明の詳細な説明)
本発明は、コレステロール障害を治療する革新的方法のための方法および組成物を含む。本発明の方法および組成物は、LDL受容体経路を調節することによってコレステロール障害を治療するために有用である。具体的には、本発明の方法および組成物は、PCSK9とLDLRの相互作用に拮抗し、それにより血流からのLDLのクリアランス上昇を導く。PPIをブロックすることに関連する非常な技術的困難さにもかかわらず、本発明は、この相互作用を標的化し、ブロックするための、それゆえ血中コレステロールレベルに関する有益な作用を導く方法を提供する。
【0041】
低密度リポタンパク質受容体(LDLR)という用語は、任意のそのような受容体、例えば、ヒトLDLRとその任意の対立遺伝子変異体を包含する。本発明の1つの実施形態では、完全長LDLRは以下のアミノ酸配列を含む(例えば、GenBank NM_000527.2参照):
【0042】
【化13】

【0043】
本発明の1つの実施形態では、可溶性LDLRフラグメントは以下のアミノ酸配列を含む(Yamamotoら、Cell(1984)39:27−38):
【0044】
【化14−1】

【0045】
本発明の1つの実施形態では、LDL受容体のEGF−Aドメインは以下のアミノ酸配列を含む:
【0046】
【化14−2】

【0047】
「被験者」という用語は、任意の動物、例えば、ヒトなどの哺乳動物を含む。
【0048】
PCSK9
本発明は、PCSK9、例えば、ヒトPCSK9に特異的に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントを含む組成物および方法を包含する。本発明の一部の実施形態では、以下で述べる様々な種からの特定PCSK9ポリペプチド配列またはその抗原性フラグメントは、抗原として使用され得る:
HUMAN gi|31317307|ref|NP_777596.2|プロタンパク質コンベルターゼズブチリシン/ケキシン9型
プレプロタンパク質[ヒト(Homo sapiens)]
【0049】
【化15】

【0050】
CHIMP gi|114556790|ref|XP_001154126.1|予測:プロタンパク質コンベルターゼズブチリシン/ケキシン9型[チンパンジー(Pan
troglodytes)]
【0051】
【化16】

【0052】
MOUSE gi|23956352|ref|NP_705793.1|プロタンパク質コンベルターゼズブチリシン/ケキシン9型[ハツカネズミ(Mus musculus)]
【0053】
【化17】

【0054】
RAT gi|77020250|ref|NP_954862.2|プロタンパク質コンベルターゼズブチリシン/ケキシン9型[ドブネズミ(ラット)(Rattus norvegicus)]
【0055】
【化18】

【0056】
EGF−A
本発明はまた、場合によりさらなる化学療法剤(例えば、本明細書で述べるような)と共に、LDL受容体EGF−Aドメインを含むポリペプチドまたは医薬的に許容される担体を含有するその医薬組成物を被験者に投与することにより、該被験者において総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率または低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させるための方法を提供する。LDL受容体のEGF−AドメインはPCSK9に結合し、そして、特定の理論または機序に拘束されることなく、PCSK9への結合に関して完全な内因性LDL受容体と競合することによってPCSK9の活性を低下させ得る。
【0057】
例えば、本発明の1つの実施形態では、EGF−Aドメインは以下のアミノ酸配列を含むまたは以下のアミノ酸配列から成る:
【0058】
【化19】

【0059】
本発明の1つの実施形態では、ヒトLDL受容体は以下のアミノ酸配列を含む:
【0060】
【化20】

【0061】
EGF−Aドメインに下線を付し、太字活字で示している。Genbankアクセッション番号:NP_000518、EAW84170、BAD92646.1またはAAF24515.1も参照のこと。
【0062】
本発明はまた、例えば、医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物中の、EGF−Aポリペプチドを含むまたはEGF−Aポリペプチドから成る単離ポリペプチドを包含する。本発明はまた、場合により、天然では他の直接隣接するLDL受容体配列に隣接していない任意の他の異種ポリペプチドに融合した、そのようなポリペプチド、ならびに、例えば、本明細書で論じるような、融合ポリペプチドの投与を含む治療の方法を提供する。そのようなポリペプチドを本明細書では「EGF−Aポリペプチド」と称することがあり、またEGF−Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを「EGF−Aポリヌクレオチド」と称することがある。
【0063】
例えば、本発明の1つの実施形態では、EGF−Aポリヌクレオチドは以下のヌクレオチド配列を含む:
【0064】
【化21】

【0065】
前記で論じたように、本発明はまた、本発明のEGF−Aポリペプチドおよびポリヌクレオチドと、「タグ」と称され得る第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド部分を含む融合物を包含する。本発明の融合ポリペプチドは、例えば、本発明のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを発現ベクターに挿入することにより、好都合に構築され得る。本発明の融合物は、精製または検出を容易にするタグを含み得る。そのようなタグは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ヘキサヒスチジン(His6)タグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、赤血球凝集素(HA)タグ、セルロース結合タンパク質(CBP)タグおよびmycタグを含む。32P、35S、H、14C、18F、125I、131I、113mIn、76Br、67Ga、99mTc、123I、111Inおよび68Gaなどの検出可能なタグも、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを標識するために使用し得る。そのような融合物を構築し、使用するための方法は極めて慣例的であり、当技術分野において周知である。
【0066】
本発明のそのようなEGF−Aポリペプチドをコードする任意の単離ポリヌクレオチドも、そのようなポリヌクレオチドを含む任意のベクターおよびそのようなベクターを含む宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞または真核細胞)と共に、本発明の一部を形成する。発現制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結されたそのようなポリヌクレオチドも本発明の一部を形成する。
【0067】
一般に、「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼに結合することができ(例えば、直接にまたは他のプロモーター結合タンパク質もしくは物質を介して)、コード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。プロモーター配列は、一般に、転写開始部位によってその3’末端で結合され、任意のレベルで転写を開始させるために必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に伸びる。プロモーター配列内には、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1でマッピングすることにより、好都合に定義される)ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が認められ得る。プロモーターは、エンハンサーおよびリプレッサー配列を含む他の発現制御配列と、または本発明の核酸と作動可能に連結され得る。遺伝子発現を制御するために使用し得るプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同第5,168.062号)、SV40初期プロモーター領域(Benoistら(1981)Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamotoら(1980)Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら(1982)Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Komaroffら(1978)Proc,Natl.Acad.Sci,USA 75:3727−3731)またはtacプロモーター(DeBoerら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25)などの原核生物発現ベクター;“Useful proteins from recombinant bacteria”
in Scientific American(1980)242:74−94も参照のこと;ならびにGal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーターまたはアルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母または他の真菌からのプロモーターエレメントを含むが、これらに限定されない。
【0068】
細胞または他の発現系における転写制御配列および翻訳制御配列が、RNAポリメラーゼを介したコード配列のRNA、好ましくはmRNAへの転写を指令し、次にそれがスプライシングされたRNAとなり(それがイントロンを含む場合)、場合によりコード配列によってコードされるタンパク質へと翻訳され得る場合、コード配列は転写制御配列および翻訳制御配列「の制御下にある」、「と機能的に連結されている」または「と作動可能に連結されている」。
【0069】
「発現する」および「発現」という用語は、遺伝子、RNAまたはDNA配列内の情報が明らかになることを可能にするまたは明らかになるようにすること、例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによってタンパク質を生産することを意味する。DNA配列は、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質などの「発現産物」を形成するように細胞においてまたは細胞によって発現される。発現産物自体も、細胞によって「発現される」と言われ得る。
【0070】
「ベクター」という用語は、DNAまたはRNA配列が宿主を形質転換して、場合により、導入された配列の発現および/または複製を促進するように、DNAまたはRNA配列を宿主細胞に導入することができる媒体(例えば、プラスミド)を包含する。
【0071】
本発明において使用できるベクターは、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNAフラグメント、および宿主のゲノムへの核酸の導入を促進し得る他の媒体を含む。プラスミドは最も一般的に使用される形態のベクターであるが、同様の機能を果たし、当技術分野で公知であるかまたは公知となる他のすべての形態のベクターが本明細書における使用に適する。例えば、Pouwelsら、Cloning Vectors:A Laboratory Manual,1985 and Supplements,Elsevier,N.Y.およびRodriguezら(編集),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors
and Their Uses,1988,Buttersworth,Boston,MA参照。
【0072】
「発現系」という用語は、例えば、適切な条件下で、そのベクターによって担持され、宿主細胞に導入されるタンパク質または核酸を発現することができる、宿主細胞および適合性ベクターを包含する。一般的な発現系は、大腸菌(E.coli)宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウイルスベクター、ならびに哺乳動物宿主細胞とベクターを含む。
【0073】
原核生物宿主−ベクター系は、多くの異なる種のための多種多様なベクターを含む。DNAを増幅するための代表的なベクターは、pBR322またはその誘導体の多く(例えば、pUC18もしくはpUC19)である。EGF−Aポリペプチドを発現するために使用できるベクターは、lacプロモーターを含むもの(pUCシリーズ);trpプロモーターを含むもの(pBR322−trp);lppプロモーターを含むもの(pINシリーズ);λ−pPプロモーターもしくはλ−pRプロモーターを含むもの(pOTS);またはptacなどのハイブリッドプロモーターを含むもの(pDR540)を包含するが、これらに限定されない。Brosiusら、“Expression Vectors Employing Lambda−,trp−,lac−,and lpp−derived Promoters”,in Rodriguez and Denhardt(編集)Vectors;A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,1988,Buttersworth,Boston,pp.205−236参照。多くのポリペプチドは、米国特許第4,952,496号、同第5,693,489号および同第5,869,320号およびDavanloo,P.ら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:2035−2039;Studier,F.W.ら(1986)J.Mol.Biol.189:113−130;Rosenberg,A.H.ら(1987)Gene 56:125−135;およびDunn,J.J.ら(1988)Gene
68:259に開示されているような大腸菌/T7発現系において高レベルで発現され得る。
【0074】
本発明は、本発明のEGF−Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、プロモーターなどの発現制御配列に作動可能に連結された)を含むベクターを適切な宿主細胞に導入し、ベクター内のポリヌクレオチドからのポリペプチドの発現に適した条件下で宿主細胞を増殖させる(例えば、適切な液体増殖培地で増殖させる)ことを含む、本発明のEGF−Aポリペプチドの発現の方法を含む。
【0075】
また、配列番号3のアミノ酸配列と約90%またはそれより高いアミノ酸配列類似性または同一性を有する任意の単離ポリペプチドも本発明の一部である。本発明の1つの実施形態では、そのようなポリペプチドは、PCSK9もしくはその機能的フラグメントに結合しなければならないか、またはPCSK9とLDL受容体もしくはそのいずれかの機能的フラグメントの結合を阻害しなければならないか、または許容される動物モデル(例えば、イヌ、霊長類、ウサギ、マウスもしくはラットなどの哺乳動物)またはヒトなどの被験者において総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率または低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させる能力を示さなければならない。
【0076】
本発明に従って、従来の分子生物学、微生物学および当分野の技術内の組換えDNA手法が使用され得る。そのような手法は文献において十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(本明細書中以下では「Sambrookら、1989」);DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover編集、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編集、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & SJ.Higgins編集(1985));Transcription And Translation(B.D.Hames & SI.Higgins編集(1984));Animal Cell Culture(RJ.Freshney編集(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)参照。
【0077】
「宿主細胞」という用語は、細胞による物質の生産、例えば、細胞による遺伝子、DNAもしくはRNA配列またはタンパク質の発現または複製のために、任意の方法で選択される、改変される、トランスフェクトされる、形質転換される、増殖されるまたは使用されるまたは操作される任意の生物の任意の細胞を包含する。
【0078】
「単離ポリヌクレオチド」または「単離ポリペプチド」という用語は、それぞれ、細胞においてまたは組換えDNA発現系において通常認められる他の成分から部分的にまたは完全に分離されている、ポリヌクレオチド(例えば、RNAもしくはDNA分子、または混合ポリマー)またはポリペプチドを包含する。これらの成分は、細胞膜、細胞壁、リボソーム、ポリメラーゼ、血清成分および外来性ゲノム配列を含むが、これらに限定されない。
【0079】
単離ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本発明の1つの実施形態では、基本的に分子の均質な組成物であるが、多少の不均質性を含み得る。
【0080】
本発明は、本発明のEGF−Aポリペプチドおよびポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列への表面的なまたはわずかな改変を企図する。特に、本発明は、本発明のEGF−Aポリペプチドをコードする核酸の配列保存的変異体を企図する。EGF−Aポリヌクレオチド配列の「配列保存的変異体」は、所与のコドン内の1つまたはそれより多くのヌクレオチドの変化がその位置でコードされるアミノ酸の変化を生じさせないものである。本発明のEGF−Aポリペプチドの機能保存的変異体も本発明によって企図される。「機能保存的変異体」は、EGF−Aポリペプチド内の1つまたはそれより多くのアミノ酸残基が、ポリペプチドの全体的な高次構造および/または機能(例えば、PCSK9に結合する能力またはPCSK9とLDL受容体もしくはそのフラグメントの結合を阻害する能力)を変化させることなく変更されたものであり、類似の性質を有する別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を含むが、決してこれに限定されない。類似の性質を有するアミノ酸は当技術分野において周知である。例えば、交換可能であり得る極性/親水性アミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、トレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む;交換可能であり得る非極性/疎水性アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む;交換可能であり得る酸性アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含み、交換可能であり得る塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンを含む。
【0081】
本発明は、EGF−Aをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号9)およびその機能的フラグメントならびに前記ポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸を含む。本発明の1つの実施形態では、核酸は、低ストリンジェンシー条件下で、中ストリンジェンシー条件下でまたは高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。一本鎖形態の核酸分子が温度および溶液のイオン強度の適切な条件下で他の核酸分子にアニーリングすることができる場合、核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAなどの別の核酸分子に「ハイブリダイズ可能」である(Sambrookら、前出参照)。温度およびイオン強度の条件がハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。典型的な低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、55℃、5×SSC、0.1%SDS、0.25%乳、および42℃でホルムアミドなし;または42℃で30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDSである。典型的な中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが40%ホルムアミド、5×SSCまたは6×SSC中42℃で実施されることを除き、前記低ストリンジェンシー条件と同様である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション条件が50%ホルムアミド、5×SSCまたは6×SSC中、場合により、より高い温度(例えば、42℃より高い温度:57℃、59℃、60℃、62℃、63℃、65℃または68℃)で実施されることを除き、低ストリンジェンシー条件と同様である。一般に、SSCは0.15M NaClおよび0.015M クエン酸ナトリウムである。ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補的配列を含むことを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが起こり得る。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、当技術分野で周知の変数である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列の間の類似性または相同性の程度が大きいほど、その下で核酸がハイブリダイズし得るストリンジェンシーはより高い。100ヌクレオチド長より大きいハイブリッドに関して、融解温度を計算するための方程式が導かれている(Sambrookら、前出、9.50−9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrookら、前出参照)。本発明の1つの実施形態では、そのようなポリヌクレオチドは、PCSK9もしくはその機能的フラグメントに結合しなければならないが、またはPCSK9とLDL受容体もしくはそのいずれかの任意の機能的フラグメントの結合を阻害しなければならないか、または許容される動物モデル(例えば、イヌ、霊長類、ウサギ、マウスもしくはラットなどの哺乳動物)またはヒトなどの被験者において総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率または低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させる能力を示さなければならないポリペプチドをコードする。
【0082】
また、比較をBLASTアルゴリズムによって実施する場合(そこではアルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列の間で最大のマッチを与えるように選択される)、参照ヌクレオチド配列(配列番号9)または参照アミノ酸配列(配列番号3)に少なくとも約70%同一である、好ましくは少なくとも約80%同一である、より好ましくは少なくとも約90%同一である、最も好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含むポリペプチドも本発明に包含される。比較をBLASTアルゴリズムによって実施する場合(そこではアルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列の間で最大のマッチを与えるように選択される)、配列番号3の参照EGF−Aアミノ酸配列に少なくとも約70%類似する、好ましくは少なくとも約80%類似する、より好ましくは少なくとも約90%類似する、最も好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)類似するアミノ酸配列を含むポリペプチドも本発明に包含される。
【0083】
配列同一性は、比較する2つの配列のヌクレオチドまたはアミノ酸の間の正確なマッチを指す。配列類似性は、非同一で生化学的に関連するアミノ酸の間のマッチに加えて、比較する2つのポリペプチドのアミノ酸の間の正確なマッチの両方を指す。類似の性質を共有し、交換可能であり得る生化学的に関連するアミノ酸については前記で論じている。
【0084】
BLASTアルゴリズムに関する以下の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる:BLASTアルゴリズム:Altschul,S.F.ら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;Gish,W.ら(1993)Nature Genet 3:266−272;Madden,T.L.ら(1996)Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul,S.F.ら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Zhang,J.ら(1997)Genome Res.7:649−656;Wootton,J.C.ら(1993)Comput.Chem.17:149−163;Hancock,J.M.ら(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67−70;アラインメントスコアリングシステム:Dayhoff,M.O.ら、“A model of evolutionary change in proteins.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3,M.O.Dayhoff(編集),pp.345−352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.ら、“Matrices for detecting distant relationships.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3,M.O.Dayhoff(編集),pp.353−358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington DC;Altschul,S.F.,(1991)J.Mol.Biol.219:555−565;States,D.J.ら(1991)Methods 3:66−70:Henikoff,S.ら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919;Altschul.S.F.ら(1993)J.Mol.Evol.36:290−300;アラインメント統計学:Karlin,S.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268;Karlin,S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877;Dembo,A.ら(1994)Ann.Prob.22:2022−2039;およびAltschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai編集)(1997)pp.1−14,Plenum,New York。
【0085】
抗体
本発明は、抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントを含む方法および組成物を包含する。抗PCSK9抗体等の用語は、PCSK9(例えば、ヒトPCSK9)に特異的に結合するいかなる抗体も包含する。本発明において使用される抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントは、全PCSK9タンパク質に対して惹起されるまたはそれに結合する抗体およびフラグメント、ならびにPCSK9内の特定の短いエピトープ、例えば、PCSK9の触媒ドメインもしくはその部分(例えば、VFAQSIPWNLERエピトープ(配列番号8)に結合する部分)またはアミノ酸配列:SRSGKRRGERMEA(配列番号4のアミノ酸490−502)を有する、PCSK9のC末端ドメイン(すなわちPCSK9のcatドメインに対するC末端)に対して惹起されるまたはそれに結合する抗体を包含する。本発明の1つの実施形態では、抗PCSK9抗体またはその抗原結合フラグメントは、LDL受容体のEGF−Aドメインと相互作用するPCSK9のドメインに結合する。
【0086】
本発明の具体的な単離マウス抗ヒトPCSK9抗体免疫グロブリン配列を以下に示す。各々の免疫グロブリン鎖についてのCDR配列に下線を付している。
【0087】
11B5免疫グロブリン重鎖
【0088】
【化22】

【0089】
11B5免疫グロブリン軽鎖
【0090】
【化23】

【0091】
75B9免疫グロブリン重鎖
【0092】
【化24】

【0093】
75B9免疫グロブリン軽鎖
【0094】
【化25】

【0095】
77D10免疫グロブリン重鎖
【0096】
【化26】

【0097】
77D10免疫グロブリン軽鎖
【0098】
【化27】

【0099】
29C10免疫グロブリン重鎖
【0100】
【化28】

【0101】
29C10免疫グロブリン軽鎖
【0102】
【化29】

【0103】
22D11免疫グロブリン重鎖
【0104】
【化30】

【0105】
22D11免疫グロブリン軽鎖
【0106】
【化31】

【0107】
1F11/1G11免疫グロブリン重鎖
【0108】
【化32】

【0109】
1F11/1G11免疫グロブリン軽鎖
【0110】
【化33】

【0111】
本発明は、Kabat,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”(National Institutes of Health,Bethesda,Md,,1987および1991);またはChothiaら、J.Mol.Biol.196:901(1987);Nature 342:878(1989);およびJ.Mol.Biol.186:651(1989)(KabatもしくはChothia)またはAl−Lazikaniら、J.Mol.Biol.273:927−948(1997)に述べられている慣例によって定義されるような前記に示す軽鎖および/または重鎖免疫グロブリンからの1つまたはそれより多くの(例えば、3つの)CDRを含む単離ポリペプチド(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を包含する。
【0112】
ゆえに、本発明は、前記に示す軽鎖および/または重鎖免疫グロブリンCDRの1つまたはそれを超えて含むいかなる抗体またはその抗原結合フラグメントも包含する。本発明の1つの実施形態では、抗体またはフラグメントは、3つの軽鎖CDR全部および/または3つの重鎖CDR全部を、例えば、前記で特定した順序で含む。本発明の実施形態は、例えば、抗体またはフラグメントがモノクローナル抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、一本鎖抗体、ジスルフィドFv(dsfv)、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)およびドメイン抗体である、前記で述べたような、抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントを含む。ゆえに、抗体という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を包含するが、これらに限定されない。抗体の抗原結合フラグメントという用語は、典型的には、親抗体の結合特異性の少なくとも一部を保持する、親抗体の抗原結合領域または可変領域の少なくとも一部(例えば、1つまたはそれより多くのCDR)を含む、抗体のフラグメントまたは誘導体を包含する。抗体の抗原結合フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント:dsFv;(dsFv)、dsダイアボディ;dsFv−dsFv’;一本鎖抗体分子、例えば、sc−Fv、scFv二量体(二価ダイアボディ);二重特異性ダイアボディ;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
本発明は、PCSK9、例えば、ヒトPCSK9に特異的に結合する抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントを含む。本発明の1つの実施形態では、ヒトPCSK9に特異的に結合する抗体またはフラグメントは、ラット、マウスまたはチンパンジーのPCSK9に対するそれと比較してヒトPCSK9に選択的に結合する。ヒトPCSK9への選択的結合とは、ラット、マウスまたはチンパンジーのPCSK9への結合の親和性よりも任意の程度大きい親和性(例えば、1%、10%、50%、100%または10倍高い親和性)での結合を意味する。本発明の1つの実施形態では、抗ヒトPCSK9抗体は、いかなる他の種のPCSK9への検出可能な結合も伴わずに(例えば、マウスまたはラットのPCSK9への検出可能な結合を伴わずに)ヒトPCSK9に結合する。特異的抗PCSK9結合とは、結合し得る他の任意のタンパク質のそれよりも少なくとも約100倍高いKdおよび約500nMの最小Kdでの、PCSK9またはその抗原性フラグメントへの抗体の結合を指す。
【0114】
抗体を作製するためのいかなる適切な方法も使用し得る。例えば、受容者をPCSK9またはその抗原性フラグメントで免疫し得る。免疫のいかなる適切な方法も使用できる。そのような方法は、アジュバント、他の免疫刺激薬、反復ブースター免疫、および1つまたはそれより多くの免疫化経路の使用を含み得る。PCSK9のいかなる適切なソースも、本明細書で開示する組成物および方法の抗体およびフラグメントの作製のための免疫原として使用できる。そのような形態は、当技術分野で公知の組換え、合成、化学的または酵素分解手段を介して作製される全タンパク質、ペプチドおよびエピトープを含むが、これらに限定されない。
【0115】
いかなる形態の抗原も、生物学的に活性な抗体を生成するのに十分である抗体を作製するために使用できる。ゆえに、惹起した抗原は、単独のまたは当技術分野で公知の1つもしくはそれより多くの免疫原性増強剤と組み合わせた、単一エピトープ、複数のエピトープまたはタンパク質全体であり得る。惹起した抗原は、単離完全長タンパク質、細胞表面タンパク質(例えば、少なくとも抗原の一部でトランスフェクトした細胞で免疫する)または可溶性タンパク質フラグメントであり得る。
【0116】
いかなる適切な方法も、PCSK9を阻害するための所望生物学的特性を備えた抗体を惹起するために使用できる。モノクローナル抗体(mAb)は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ヒト、他の霊長類等のような様々な哺乳動物宿主から作製され得る。そのようなモノクローナル抗体を作製するための手法の説明は、例えば、Stitesら(編集)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(第4版)Lange Medical Publications,Los Altos,CAおよびその中で引用される参考文献;HarlowとLane(1988)ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL CSH Press;Goding(1986)MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Academic Press,New York,NYに見出される。ゆえに、モノクローナル抗体は、当技術分野の研究者が精通する様々な手法によって入手し得る。典型的には、所望抗原で免疫した動物からの脾細胞を、一般に骨髄腫細胞との融合によって不死化する。KohlerとMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519参照。不死化の選択的な方法は、エプスタイン‐バーウイルス、癌遺伝子もしくはレトロウイルスでの形質転換、または当技術分野で公知の他の方法を含む。例えば、Doyleら(編集、1994および定期的補遺)CELL AND TISSUE CULTURE:LABORATORY PROCEDURES,John Wiley and Sons,New York,NY参照。単一不死化細胞から生じるコロニーを、抗原に対する所望の特異性および親和性を有する抗体の産生に関してスクリーニングし、そのような細胞によって産生されたモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔内への注射を含む、様々な手法によって増強し得る。あるいは、モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードするDNA配列を、例えば、Huseら(1989)Science 246:1275−1281に概説されている一般的プロトコールに従って、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離し得る。
【0117】
他の適切な手法は、ファージまたは同様のベクター中の抗体のライブラリーの選択を含む。例えば、Huseら、前出;およびWardら(1989)Nature 341 :544−546参照。キメラ抗体またはヒト化抗体を含む、本発明のポリペプチドおよび抗体は、改変を加えてまたは改変せずに使用し得る。しばしば、ポリペプチドおよび抗体は、共有結合によってまたは非共有結合的に、検出可能なシグナルを提供する物質と結合することによって標識される。多種多様な標識および結合手法が公知であり、学術文献および特許文献の両方において広範に報告されている。適切な標識は、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子等を含む。そのような標識の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号を含む。また、組換え免疫グロブリンは、Cabillyの米国特許第4,816,567号;Queenら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照して生成され得るか、またはMendezら(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照して、トランスジェニックマウスにおいて作製され得る。
【0118】
所与の抗原で免疫した場合にヒト免疫グロブリンを産生するマウスも当技術分野において使用可能である。例えば、Lonberg,N.ら(1994)Nature 368(6474):856−859;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101;
Lonberg,N.ら(1995)Intern.Rev.Immunol.13:65−93、およびHarding,F.ら(1995)Ann.N.Y Acad.Sci 764:536−546);Taylor,L.ら(1992)Nucleic Acids Research 20:6287−6295;Chen,J.ら(1993)International Immunology 5:647−656;Tuaillonら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:3720−3724;Choiら(1993)Nature Genetics 4:117−123;Chen,J.ら(1993)EMBO J.12:821−830;Tuaillonら(1994)J Immunol.152:2912−2920;Lonbergら(1994)Nature 368(6474):856−859;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101;Taylor,L.ら(1994)International Immunology 6:579−591;Lonberg,N.ら(1995)Intern.Rev.Immunol.Vol.13:65−93;Harding,F.ら(1995)Ann.N.Y Acad.Sci 764:536−546;Fishwild,D.ら(1996)Nature Biotechnology 14:845−851およびHardingら(1995)Annals NY Acad.Sci.764:536−546参照。さらに、米国特許第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,789,650号;同第5,877,397号;同第5,661,016号;同第5,814,318号;同第5,874,299号;同第5,770,429号および同第5,545,807号;ならびに国際特許出願公開公報第WO98/24884号;同第WO94/25585号;同第WO93/12227号;同第WO92/22645号および同第WO92/03918号も参照のこと。
【0119】
「Fabフラグメント」は、1本の軽鎖および1本の重鎖のC1領域と可変領域から成る。Fab分子の重鎖は別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0120】
「Fc」領域は、抗体のC1ドメインとC2ドメインを含む2つの重鎖フラグメントを含有する。2つの重鎖フラグメントは、2つまたはそれを超えるジスルフィド結合によっておよびC3ドメインの疎水性相互作用によって結びつけられている。
【0121】
「Fab’」フラグメントは、1本の軽鎖ならびに、F(ab’)分子を形成するために2つのFab’フラグメントの2本の重鎖の間で鎖間ジスルフィド結合が結合され得るように、VドメインとC1ドメインおよびまたC1ドメインとC2ドメインの間の領域を含む1本の重鎖の一部を含有する。
【0122】
「F(ab’)フラグメント」は、2本の軽鎖および、2本の重鎖の間で鎖間ジスルフィド結合が形成されるように、C1ドメインとC2ドメインの間の定常領域の一部を含む2本の重鎖を含有する。F(ab’)フラグメントは、それゆえ、2本の重鎖の間のジスルフィド結合によって結びつけられた2つのFab’フラグメントから成る。
【0123】
「ジスルフィド安定化Fvフラグメント」および「dsFv」は、ジスルフィド架橋によって連結された可変重鎖(V)および/または可変軽鎖(V)を有する分子を含む。
【0124】
「Fv領域」は、重鎖と軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域を欠く。
【0125】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体という用語は、抗体のVドメインとVドメインを含み、これらのドメインが一本のポリペプチド鎖に存在する抗体フラグメントを指す。一般に、Fvポリペプチドは、V鎖とV鎖が対合して結合部位を形成することを可能にする、VドメインとVドメインの間のポリペプチドリンカー(例えば、5〜12残基長)をさらに含む。scFvの総説については、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgとMoore編集、Springer−Verlag,New York,pp.269−315参照。また、国際特許出願公開公報第WO88/01649号および米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号も参照のこと。
【0126】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域だけを含む免疫学的に機能性の免疫グロブリンフラグメントである。一部の場合、2つまたはそれを超えるV領域がペプチドリンカーで共有結合連結されて、二価ドメイン抗体を形成する。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同じ抗原または異なる抗原を標的し得る。
【0127】
「二価抗体」は2つの抗原結合部位を含む。一部の場合、2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかし、二価抗体は二重特異性であり得る。例えば、本発明は、scfvおよびdsfv部分の各々が共通のまたは異なる抗原結合特異性を有し得る、scfv二量体およびdsfv二量体を包含する。
【0128】
本発明の1つの実施形態では、(dsfv)は3本のペプチド鎖を含む:ペプチドリンカーで連結され、ジスルフィド架橋によって2つのV部分に対して結合された2つのV部分。本発明の1つの実施形態では、二重特異性dsダイアボディは、VHとVLの間のジスルフィド架橋によってVL−VH部分(ペプチドリンカーによってテザー(鎖繋)された)に連結されたVH−VL(同じくペプチドリンカーによってテザーされた)を含む。本発明の1つの実施形態では、二重特異性dsfv−dsfv’も3本のペプチド鎖を含む:重鎖がペプチドリンカー(例えば、長い柔軟なリンカー)によって連結され、それぞれジスルフィド架橋によってVLおよびVL部分に結合されており、各々のジスルフィド対合した重鎖と軽鎖が異なる抗原特異性を有する、VH−VH部分。本発明の1つの実施形態では、scfv二量体(二価ダイアボディ)は、重鎖と軽鎖がペプチドリンカーによって結合して、1本の鎖のVが別の鎖のVと調和的に働いて2つの同一結合部位を形成するように、別のそのような部分と二量体化している、V−V部分を含む。本発明の1つの実施形態では、二重特異性ダイアボディは、VHとVLが調和的に働いて、VHとVLが調和的に働いて、各々の組み合わされたセットが多様な抗原特異性を有する、VL−VH(ペプチドリンカーによって連結された)と結合したVH−VL部分(ペプチドリンカーによって連結された)を含む。
【0129】
本明細書で使用される、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団、すなわち集団を構成する個々の抗体が、少量存在し得る天然に起こり得る突然変異を除いて同一である、集団から得られる抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原エピトープだけを対象とする。これに対し、従来の(ポリクローナル)抗体製剤は、典型的には種々のエピトープを対象とする(または種々のエピトープに特異的な)多数の抗体を含有する。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均質な抗体の集団から得られるという抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、組換えによってもしくはKohlerら(1975)Nature 256:495によって最初に記述されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に述べられている手法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離し得る。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照のこと。
【0130】
モノクローナル抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定種に由来するまたは特定抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同であり、鎖の残りの部分が別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに、それらが所望生物活性を示す限り、そのような抗体のフラグメントを包含する(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。例えば、可変ドメインはマウスなどの実験動物からの抗体(「親抗体」)より得られ、定常ドメイン配列は、生じるキメラ抗体が親マウス抗体よりもヒト被験者において有害な免疫応答を惹起する可能性がより低くなるように、ヒト抗体から得られる。
【0131】
本発明の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントは、本発明の1つの実施形態では、組換えによって作製される、例えば、生物(例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌)または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)に形質転換された抗体またはフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド)に導入されたポリヌクレオチドから発現され、その後生物から抗体またはフラグメントを単離して作製される抗体である。
【0132】
本発明は、本発明の任意の抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはポリペプチドを発現するための方法を含む。例えば、本発明の1つの実施形態は、CHO細胞(例えば、CHO−K1またはDXB11細胞)などの宿主細胞(例えば、単一宿主細胞)において、少なくとも免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖の可変ドメインを含む免疫グロブリン分子または免疫学的に機能性の免疫グロブリンフラグメントを作製するための工程であって、(i)前記宿主細胞を、少なくとも免疫グロブリン重鎖の可変ドメインをコードする第1ポリヌクレオチドおよび少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変ドメインをコードする第2ポリヌクレオチドで形質転換し、そして(ii)前記免疫グロブリン重鎖と軽鎖が前記形質転換宿主細胞において別々の分子として生成されるように、前記第1ポリヌクレオチドと前記第2ポリヌクレオチドを独立して発現させる段階を含む工程を包含する。本発明の1つの実施形態では、ポリヌクレオチドはCMVプロモーターなどのプロモーターに作動可能に連結される。本発明はまた、免疫グロブリン分子または免疫学的に機能性の免疫グロブリンフラグメントを作製するための工程であって、第1ハプロイド酵母宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(メタノール資化性酵母)(Pichia pastoris)などのピキア属)を、少なくとも免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可変ドメインをコードする第1ポリヌクレオチドで形質転換し、第2ハプロイド酵母宿主細胞(例えば、ピキア・パストリスなどのピキア属)を、その他の鎖をコードする第2ポリヌクレオチドで形質転換して、ハプロイド細胞に二倍体などの倍数体を形成するのを可能にし(例えば、接合を介して)、ハプロイドから倍数体を選択して、重鎖と軽鎖が倍数体において発現され、場合により培地に分泌される条件下で倍数体を増殖させる工程を含む工程を包含する。
【0133】
本発明の1つの実施形態では、宿主細胞に導入されたポリヌクレオチドは異所性のままであるが、本発明のもう1つの実施形態では、ポリヌクレオチドは宿主細胞の染色体DNAに組み込まれる。
【0134】
本発明の1つの実施形態では、抗体またはフラグメントを作製するための方法は、発現された鎖を宿主細胞および/または培地から単離する工程をさらに含む。
【0135】
本発明はまた、ラクダ化単一ドメイン抗体を含む。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Muyldermansら(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら(1999)J.Immunol.Methods 231:25;国際公開公報第WO94/04678号;同第WO94/25591号;米国特許第6,005,079号参照。ラクダ科(Camelidae)(ラクダ、ヒトコブラクダおよびラマ)は、軽鎖を欠き、それゆえ「重鎖」IgGまたはHCAb(重鎖抗体)と呼ばれるIgG抗体を含む。HCAbは、重鎖可変ドメインだけから成るので、典型的には約95kDaの分子量を有する。HCAbは軽鎖を欠くが、真正な抗原結合レパートリーを有する(Hamers−Castermanら、Nature(1993)363:446−448;Nguyenら、Adv.Immunol.(2001)79:261−296;Nguyenら、Immunogenetics.(2002)54:39−47)。1つの実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるように改変が加えられた2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0136】
本明細書で使用される、「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、前記フラグメントは、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含む(V−VまたはV−V)。同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合することを強いられ、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第EP404,097号;国際公開公報第WO93/11161号;およびHolligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448においてより詳細に説明されている。設計された抗体変異体の総説については、一般にHolligerとHudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126−1136参照。
【0137】
本明細書で使用される、「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体と非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の両方からの配列を含む抗体の形態を指す。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループ(CDR)の全部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含む。免疫グロブリン軽鎖可変領域または重鎖可変領域は、CDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって中断される「フレームワーク」領域から成る。ヒトフレームワーク配列についてのいくつかの公的なソースが使用可能であり、例えば、V−base(MRC Center for Protein Engineering)を含む。ヒト化抗体は、場合によりヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。例えば、本発明の1つの実施形態は、本明細書で述べる、例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域に融合した、特定のマウス免疫グロブリンCDRとヒト免疫グロブリンフレームワーク領域を含むヒト化抗PCSK9(例えば、抗ヒトPCSK9)抗体を包含する。以下の米国特許は参照により本明細書に組み込まれる:第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号および第6,180,370号。例えば、本発明の実施形態は、以下の群のCDRのいずれかが本発明のヒト化抗体内に含まれるものを包含する:
(i)アミノ酸配列:G F N I K D T Y M H(配列番号11)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P K F Q D(配列番号12)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S Y F G
S I F A Y(配列番号13)を含むHCDR3;
(ii)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号19)を含むHCDR1、アミノ酸配列:R I D P A N G H T E Y D P
K F Q G(配列番号20)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:S Y Y G S I F A Y(配列番号21)を含むHCDR3;
(iii)アミノ酸配列:G F N I K D Y Y I H(配列番号27)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P E N G D T E Y A P K F Q G(配列番号28)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Y Y R
Y D D G T W F P Y(配列番号29)を含むHCDR3;
(iv)アミノ酸配列:G F N I K D T Y I H(配列番号35)を含むHCDR1、アミノ酸配列:W I D P A N G Y T K Y A P
N F Q G(配列番号36)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G Y Y R Y Y S L D Y(配列番号37)を含むHCDR3;
(v)アミノ酸配列:G F T F S N H D M A(配列番号43)を含むHCDR1、アミノ酸配列:S I T P S G G T T Y Y R D S V E G(配列番号44)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:Q N Y Y
D G S Y Y Y G L Y Y F D Y(配列番号45)を含むHCDR3;
(vi)アミノ酸配列:G Y T F T D Y Y M N(配列番号51)を含むHCDR1、アミノ酸配列:D I N P N N G G A I Y N Q
K F K G(配列番号52)を含むHCDR2およびアミノ酸配列:G I I T E I A E D F(配列番号53)を含むHCDR3;
(vii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L Y(配列番号15)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R S S H R A S(配列番号:16)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y Q S Y P P T(配列番号17)を含むLCDR3;
(viii)アミノ酸配列:S A S S S V S Y L F(配列番号23)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R T S Y L A S(配列番号24)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:H Q Y H T Y P P T(配列番号25)を含むLCDR3;
(ix)アミノ酸配列:R A S G N I H S Y L A(配列番号31)を含むLCDR1、アミノ酸配列:N A K T L P D(配列番号32)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q H F W N T P W T(配列番号33)を含むLCDR3;
(x)アミノ酸配列:R A S Q D I S N Y L N(配列番号39)を含むLCDR1、アミノ酸配列:Y S S R L H S(配列番号40)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q G K T L P L T(配列番号41)を含むLCDR3;
(xi)アミノ酸配列:R S S Q S L V Y S D G N T Y L H(配列番号47)を含むLCDR1、アミノ酸配列:R V S N R F S(配列番号48)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:L Q S T H F P P T(配列番号49)を含むLCDR3;
(xii)アミノ酸配列:K A S Q N V G T N V V(配列番号55)を含むLCDR1、アミノ酸配列:S A S Y R Y S(配列番号56)を含むLCDR2およびアミノ酸配列:Q Q Y K T Y P Y T(配列番号57)を含むLCDR3。
【0138】
本発明はまた、本明細書で示す免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを、前記ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、および前記ポリヌクレオチドとベクターを含む単離宿主細胞(例えば、CHO細胞、大腸菌のような細菌細胞ならびにサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)およびピキア・パストリスなどのピキア属のような真菌細胞)と共に包含する。前記ポリペプチドを作製するための方法も包含され、その方法は、ポリヌクレオチドまたはベクターを宿主細胞に導入し、ポリペプチドが発現され得、場合により分泌され得る条件下で宿主細胞を培養して、場合によりポリペプチドを単離する工程を含む。
【0139】
治療方法、投与および医薬製剤
本発明は、コレステロールまたは脂質の恒常性の障害およびそれに関連する障害、例えば、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症および黄色腫を、治療有効量の抗PCSK9抗体(例えば、本明細書で述べるような)もしくはその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドを投与することによって治療するまたは予防するための方法を提供する。
【0140】
高コレステロール血症という用語は、例えば、家族性および非家族性の高コレステロール血症を含む。家族性高コレステロール血症(FHC)は、低密度リポタンパク質(LDL)に結合した血清コレステロールの上昇によって特徴づけられる常染色体優性障害である。家族性高コレステロール血症は、ヘテロ接合FHCとホモ接合FHCの両方を含む。
【0141】
高脂血症は血流中の脂質の増加である。これらの脂質は、コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質およびトリグリセリドを含む。高脂血症は、例えば、I型、IIa型、IIb型、III型、IV型およびV型を含む。
【0142】
シトステロール血症は、まれな遺伝性植物ステロール蓄積疾患である。一般に、罹患患者における代謝欠損は、胃腸管からのシトステロールの過剰吸収、シトステロールの肝分泌低下とその後の排泄低下、およびコレステロール合成の変化を引き起こす。
【0143】
アテローム性動脈硬化症は、動脈の内層における脂肪物質、コレステロール、細胞廃棄物、カルシウムおよびフィブリンの沈着に関連する動脈の硬化を含む。生じる集積物はプラークと呼ばれる。
【0144】
動脈硬化症は、硬化を導く、動脈壁におけるカルシウムの散在性蓄積と沈着を含む。
【0145】
本発明はまた、心疾患の危険度上昇に関連する血液コレステロールマーカーを改善するための方法を提供する。これらのマーカーは、高い総コレステロール、高いLDL、高い総コレステロール対HDL比および高いLDL対HDL比を含む。
【0146】
一般に、200mg/dL未満の総コレステロールが望ましいとみなされ、200〜239mg/dLは高境界値とみなされ、そして240mg/dL以上は高いとみなされる。
【0147】
一般に、100mg/dL未満の血中LDLレベルが最適とみなされる;100〜129mg/dLは最適に近い/最適よりは高いとみなされ、130〜159mg/dLは高境界値とみなされ、160〜189mg/dLは高いとみなされ、そして190mg/dL以上は非常に高いとみなされる。
【0148】
一般に、正常とみなされるHDLレベルは少なくとも35〜40mg/dLである。
【0149】
心疾患危険度のもう1つの指標は、総コレステロールのHDLに対する比率である。一般に、心疾患の非常に低い危険度は、<3.4(男性)または<3.3(女性)の比率と相関する;低い危険度は4.0(男性)または3.8(女性)の比率に結びつき、平均的な危険度は5.0(男性)または4.5(女性)の比率に結びつき、中等度の危険度は9.5(男性)または7.0(女性)の比率に結びつき、そして高い危険度は>23(男性)または>11(女性)の比率に結びつく。
【0150】
心疾患危険度のさらなる指標は、LDLのHDLに対する比率である。一般に、非常に低い危険度は、1(男性)または1.5(女性)の比率に結びつき、平均的な危険度は3.6(男性)または3.2(女性)の比率に結びつき、中等度の危険度は6.3(男性)または5.0(女性)の比率に結びつき、そして高い危険度は8(男性)または6.1(女性)の比率に結びつく。
【0151】
本発明の1つの実施形態では、本発明の抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、医薬的に許容される担体を含有する医薬製剤に製剤化される。製剤に関する一般的な情報については、例えば、Gilmanら(編集)(1990),The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版、Pergamon Press;A.Gennaro(編集),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania.;Avisら(編集)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York;Liebermanら(編集)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York;およびLiebermanら(編集)(1990),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York;Kenneth A.Walters(編集)(2002)Dermatologiesl and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences),Vol 119,Marcel Dekker参照。
【0152】
本発明の抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドは、医薬的に有用な組成物を製造するための公知の方法に従って製剤化でき、それにより抗体またはフラグメントを医薬的に許容される担体と混合して組み合わせる。担体、賦形剤または安定剤は、使用される用量および濃度で受容者に無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリン類を含む単糖類、二糖類および他の糖質;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTween(商標)、Pluronics(商標)またはPEGなどの非イオン性界面活性剤を含む。インビボ投与のために使用される製剤は無菌でなければならない。これは、凍結乾燥および再構成の前または後に、滅菌ろ過膜を介したろ過によって容易に達成される。本明細書の治療もしくは医薬組成物または製剤は一般に、滅菌アクセス口を有する容器、例えば、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを備えた静脈内溶液バッグまたはバイアル中に収められる。
【0153】
本発明の抗体およびその抗原結合フラグメントの投与の経路は、本発明の1つの実施形態では、非経口経路(例えば、静脈内、皮下、動脈内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内)によるものである。
【0154】
本発明の医薬組成物の用量および所望の抗PCSK9濃度またはEGF−Aポリペプチド濃度は、想定される特定用途に依存して異なり得る。適切な用量または投与経路の決定は十分に一般的な医師の技術範囲内である。動物実験は、ヒト治療用の有効用量の決定のために信頼し得る指針を提供する。有効用量の種間スケーリング(scaling)は、Mordenti,J.とChappell,W.“The use of interspecies scaling in toxicokinetics”In Toxicokinetics and New Drug Development,Yacobiら編集、Pergamon Press,New York 1989,pp.4296によって規定された原則に従って実施できる。
【0155】
被験者(例えば、本明細書で論じるような)において障害を治療するために使用される場合、抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドの治療有効用量または治療有効量を被験者に投与する。本発明の1つの実施形態では、治療有効用量は、いかなる程度であれ総血清コレステロールを低下させる、血中LDLレベルを低下させる、または血中HDLレベルを上昇させるのに十分な用量である。本発明の1つの実施形態では、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症もしくは黄色腫の治療のため、または心疾患危険度の任意の血液マーカー(例えば、本明細書で論じるような)の治療のための抗PCSK9抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、本明細書で述べるような)の治療有効用量は、約0.1mg/kg(体重)/週〜約1.0mg/kg/週である。可溶性PCSK9 EGF−Aポリペプチドの治療有効用量は、本発明の1つの実施形態では、約0.25mg/kg/週〜約25mg/kg/週である。
【0156】
可能な場合、作用物質(例えば、本明細書で論じるさらなる治療薬)の投与および投薬は、Physicians’ Desk Reference 2003(Physicians’ Desk Reference,第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)の中の、作用物質の製品情報シートに列挙されているスケジュール、ならびに当技術分野で周知の治療プロトコールに従って行われる。
【0157】
医師および臨床家は、抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドで治療されているまたは治療される予定である被験者において血中コレステロールレベルを監視し、有益な医学的結果に達するために必要に応じて被験者の治療レジメンに調整を加え得る。
【0158】
さらなる化学療法剤
本発明は、抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドの投与によって脂質およびコレステロールの代謝の障害(例えば、本明細書で述べるような)を治療するための方法および組成物を提供する。抗体は、本発明の1つの実施形態では、任意の付加的なまたはさらなる化学療法剤と共に提供または投与され得る。本発明の1つの実施形態では、さらなる化学療法剤は、心臓血管薬、アドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、アンギオテンシン系阻害薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、冠血管拡張薬、利尿薬またはアドレナリン刺激薬である。本発明の1つの実施形態では、さらなる治療薬は、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬のようなコレステロール低下薬である。
【0159】
本発明に関連して使用し得る心臓血管薬は、脂質および/もしくはコレステロール障害または高血圧ならびに他の心臓血管障害および疾患の治療または予防のためのものを含む。脂質またはコレステロールの代謝の障害は、高血圧によって引き起こされ得るまたは悪化し得る。高血圧は、持続的に高い血圧と定義される。一般に、成人は、収縮期血圧が持続的に140mmHgより高い場合または拡張期血圧が90mmHgより高い場合に高血圧と分類される。心臓血管死亡率についての長期的な危険度は、持続的血圧と直接関係して上昇する。本発明において使用し得る抗高血圧薬の例としては、例えば、カルシウムチャネル遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、利尿薬、βアドレナリン受容体遮断薬およびαアドレナリン受容体遮断薬を含むアドレナリン遮断薬、または利尿薬が挙げられる。
【0160】
抗PCSK9抗体またはその抗原結合フラグメントと共に提供され得る他の心臓薬としては、アドレナリン刺激薬または冠血管拡張薬などの抗狭心症薬およびHMG−CoAレダクターゼ阻害薬が挙げられる。
【0161】
HMG−CoAレダクターゼ阻害薬は、HMG−CoAレダクターゼ酵素を阻害し、それゆえ、被験者の体内でのコレステロールの産生を減少させる。HMG−CoAレダクターゼ阻害薬は、例えば、ロバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、リバスタチンおよびシンバスタチン:
【0162】
【化34】

【0163】
を含む。
【0164】
アドレナリン遮断薬は、β受容体阻害薬および/またはα受容体阻害薬である化合物を含む。β受容体阻害薬であるアドレナリン遮断薬は、高血圧、狭心症および心不整脈におけるカテコールアミンの心臓血管作用に拮抗する薬剤のクラスを含む。βアドレナリン受容体遮断薬は、塩酸ブノロール(1(2H)−ナフタレノン,5−[3−(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジヒドロ−,塩酸塩、Parke−Davisより入手できる、CAS RN 31969−05−8);アセブトロール(±N−[3−アセチル−4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチルエチル)アミノ]プロポキシ]フェニル]−ブタンアミド、または(±)−3’−アセチル−4’−[2−ヒドロキシ−3−(イソプロピルアミノ)プロポキシ]ブチルアニリド);塩酸アセブトロール(例えば、N−[3−アセチル−4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチルエチル(methylethyle))アミノ]プロポキシ]フェニル]−,一塩酸塩(monohydrocochloride)、(±)−3’−アセチル−4’−[2−ヒドロキシ−3−(イソプロピルアミノ)プロポキシ]ブチルアニリド一塩酸塩、例えば、Wyeth−Ayerstより入手可能なSECTRAL(登録商標)カプセル);塩酸アルプレノロール(2−プロパノール,1−[(1−メチルエチル)アミノ]−3−[2−(2−プロペニル)フェノキシ]−,塩酸塩、CAS RN 13707−88−5、オランダ特許出願第6,605,692号参照);アテノロール(例えば、ベンゼンアセトアミド4−[2’−ヒドロキシ−3’−[(1−メチルエチル)アミノ]プロポキシ]−、例えば、AstraZenecaより入手可能なTENORMIN(登録商標)I.V.注射剤);塩酸カルテオロール(例えば、5−[3−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン一塩酸塩、例えば、Abbottより入手可能なCartrol(登録商標)、Filmtab(登録商標)錠剤);塩酸セリプロロール(3−[3−アセチル−4−[3−(tert−ブチルアミノ)−2−ヒドロキシプロポキシル]フェニル]−1,1−ジエチル尿素一塩酸塩、CAS RN 57470−78−7、米国特許第4,034,009号も参照のこと);塩酸セタモロール(アセトアミド,2−[2−[3−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ]−フェノキシ]−N−メチル−、一塩酸塩、CAS RN 77590−95−5、米国特許第4,059,622号も参照のこと);塩酸ラベタロール(例えば、5−[1−ヒドロキシ−2−[(1−メチル−3−フェニルプロピル)アミノ]エチル]サリチルアミド一塩酸塩、例えば、Scheringより入手可能なNORMODYNE(登録商標)錠剤);塩酸エスモロール((±)−メチルp−[2−ヒドロキシ−3−(イソプロピルアミノ)プロポキシ]ヒドロシンナメート塩酸塩、例えば、Baxterより入手可能なBREVIBLOC(登録商標)注射剤);塩酸レボベタキソロール(例えば、(S)−1−[p−[2−(シクロプロピルメトキシ)エチル]フェノキシ]−3−(イソプロピルアミノ)−2−プロパノール塩酸塩、例えば、Alconより入手可能なBETAXON(商標)眼科用懸濁剤);塩酸レボブノロール(例えば、(−)−5−[3−(tert−ブチルアミノ)−2−ヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン塩酸塩、例えば、Allerganより入手可能なC CAP(登録商標)コンプライアンスキャップを有するBETAGAN(登録商標)Liquifilm(登録商標));ナドロール(例えば、1−(tert−ブチルアミノ)−3−[(5,6,7,8−テトラヒドロ−シス−6,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)オキシ]−2−プロパノール、例えば、Mylanより入手可能なNadolol錠剤);プラクトロール(アセトアミド,N−[4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−プロポキシ]フェニル]−、CAS
RN 6673−35−4、米国特許第3,408,387号も参照のこと);塩酸プロプラノロール(1−(イソプロピルアミノ)−3−(1−ナフチルオキシ)−2−プロパノール塩酸塩、CAS RN 318−98−9);塩酸ソタロール(例えば、d,l
−N−[4−[1−ヒドロキシ−2−[(1−メチルエチル)アミノ]エチル]−フェニル]メタンスルホンアミド一塩酸塩、例えば、Berlexより入手可能なBETAPACE AF(商標)錠剤);チモロール(2−プロパノール,1−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−3−[[4−4(4−モルホリニル)−1,2,5−チアジアゾール−3−イル]オキシ]−,半水和物、(S)−、CAS RN 91524−16−2);マレイン酸チモロール((S)−1−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−3−[[4−(4−モルホリニル)−1,2,5−チアジアゾール−3−イル]オキシ]−2−プロパノール(Z)−2−ブテンジオエート(1:1)塩、CAS RN 26921−17−5);ビソプロロール(2−プロパノール,1−[4−[[2−(1−メチルエトキシ)エトキシ]−メチル]フェノキシル]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−、(±)、CAS RN 66722−44−9);フマル酸ビソプロロール(例えば、(±)−1−[4−[[2−(1−メチルエトキシ)エトキシ]メチル]フェノキシ]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−2−プロパノール(E)−2−ブテンジオエート(2:1)(塩)、例えば、Lederie Consumerより入手可能なZEBETA(商標)錠剤);ネビボロール(nebivalol)(2H−1−ベンゾピラン−2−メタノール,αα’−[イミノビス(メチレン)]ビス[6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−、CAS RN 99200−09−6、米国特許第4,654,362号も参照のこと);塩酸シクロプロロール、例えば、2−プロパノール,1−[4−[2−(シクロプロピルメトキシ)エトキシ]フェノキシ]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−,塩酸塩、A.A.S.RN 63686−79−3);および塩酸デキスプロプラノロール(2−プロパノール,1−[(1−メチルエチル)−アミノ]−3−(1−ナフタレニルオキシ)−塩酸塩(CAS RN 13071−11−9);塩酸ジアセトロール(アセトアミド,N−[3−アセチル−4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチル−エチル)アミノ]プロポキシ][フェニル]−,一塩酸塩、CAS RN 69796−04−9);塩酸ジレバロール(ベンズアミド,2−ヒドロキシ−5−[1−ヒドロキシ−2−[1−メチル−3−フェニルプロピル)アミノ]エチル]−,一塩酸塩、CAS RN
75659−08−4);塩酸エキサプロロール(2−プロパノール,1−(2−シクロヘキシルフェノキシ)−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−,塩酸塩、CAS RN 59333−90−3);硫酸フレストロール(安息香酸,2−フルオロ(fluro)−,3−[[2−[アミノカルボニル)アミノ]−1−ジメチルエチル]アミノ]−2−ヒドロキシプロピルエステル,(±)−硫酸塩(1:1)(塩)、CAS RN 88844−73−9;塩酸メタロール(メタンスルホンアミド,N−[4−[1−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)プロピル]フェニル]−,一塩酸塩、CAS RN 7701−65−7);メトプロロール2−プロパノール,1−[4−(2−メトキシエチル)フェノキシ]−3−[1−メチルエチル)アミノ]−、CAS RN 37350−58−6);酒石酸メトプロロール(例えば、2−プロパノール,1−[4−(2−メトキシエチル)フェノキシ]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−、例えば、Novartisより入手可能なLOPRESSOR(登録商標));硫酸パマトロール(カルバミン酸,[2−[4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチルエチル)アミノ]プロポキシル]フェニル]−エチル]−,メチルエステル,(±)硫酸塩(塩)(2:1)、CAS RN 59954−01−7);硫酸ペンブトロール(2−プロパノール,1−(2−シクロペンチルフェノキシ)−3−[1,1−ジメチルエチル)アミノ]1,(S)−,硫酸塩(2:1)(塩)、CAS RN 38363−32−5);プラクトロール(アセトアミド,N−[4−[2−ヒドロキシ−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−プロポキシ]フェニル]−、CAS RN 6673−35−4);塩酸チプレノロール(プロパノール,1−[(1−メチルエチル)アミノ]−3−[2−(メチルチオ)−フェノキシ]−,塩酸塩,(±)、CAS RN 39832−43−4);トラモロール(ベンズアミド,4−[2−[[2−ヒドロキシ−3−(2−メチルフェノキシ)−プロピル]アミノ]エトキシl]−、CAS RN 38103−61−6)を含むが、これらに限定されない。
【0165】
α受容体阻害薬であるアドレナリン受容体は、内因性カテコールアミンによって誘導される血管収縮をブロックするように働く。生じる末梢抵抗の減少は平均血圧の低下を導く。この作用の大きさは、アンタゴニストが投与される時点での交感神経緊張の程度に依存する。
【0166】
α受容体阻害薬である適切なアドレナリン受容体は、塩酸フェンスピリド(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,399,192号に開示されているように製造され得る);プロロキサン(CAS RN 33743−96−3);塩酸アルフゾシン(CAS RN 81403−68−1);および前述した塩酸ラベタロールまたはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0167】
本発明と共に使用し得るαおよびβ受容体阻害剤活性を有するアドレナリン遮断薬は、ブレチリウムトシレート(CAS RN 61−75−6);ジヒドロエルゴタミンメシレート(dihydroergtamine mesylate)(例えば、エルゴタマン−3’,6’,18−トリオン,9−10−ジヒドロ−12’−ヒドロキシ−2’−メチル−5’−(フェニルメチル)−,(5’(α))−,モノメタンスルホン酸塩、例えば、Novartisより入手可能なDHE45(登録商標)注射剤);カルベジロール(例えば、(±)−1−(カルバゾール−4−イルオキシ)−3−[[2−(o−メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]−2−プロパノール、例えば、SmithKline Beechamより入手可能なCOREG(登録商標)錠剤);ラベタロール(例えば、5−[1−ヒドロキシ−2−[(1−メチル−3−フェニルプロピル)アミノ]エチル]サリチルアミド一塩酸塩、例えば、Scheringより入手可能なNORMODYNE(登録商標)錠剤);ブレチリウムトシレート(ベンゼンメタンアミニウム,2−ブロモ−N−エチル−N,N−ジメチル,4−メチルベンゼンスルホン酸との塩(1:1)、CAS RN 61−75−6);フェントラミンメシレート(フェノール,3−[[(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)メチル](4−メチルフェニル)アミノ]−,モノメタンスルホン酸塩(塩)CAS RN 65−28−1);酒石酸ソリペルチン(5H−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドール,7−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−,(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:1)、CAS RN 5591−43−5);塩酸ゾレルチン(ピペラジン,1−フェニル−4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]−,一塩酸塩(8Cl,9Cl)、CAS RN 7241−94−3)を含むが、これらに限定されない。
【0168】
アンギオテンシン系阻害薬は、アンギオテンシンIIの機能、合成または異化に干渉する作用物質である。本発明において使用し得るこれらの作用物質は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンギオテンシンIIの異化を活性化する作用物質、およびそこからアンギオテンシンIIが最終的に誘導されるアンギオテンシンIの合成を妨げる作用物質を含むが、これらに限定されない。レニン−アンギオテンシン系は血行力学および水と電解質のバランスの調節に関与する。血液量、腎プロフュージョン(renal profusion)、または血漿中のNaの濃度を低下させる因子はこの系を活性化する傾向があり、一方これらのパラメータを上昇させる因子はその機能を抑制する傾向がある。アンギオテンシンIおよびアンギオテンシンIIは、酵素的レニン−アンギオテンシン経路によって合成される。合成プロセスは、レニン酵素が、血漿中の偽性グロブリンであるアンギオテンシノゲンに作用して、デカペプチド(cecapeptide) アンギオテンシンIを生成するときに開始される。アンギオテンシンIはアンギオテンシン変換酵素(ACE)によってアンギオテンシンIIに変換される。後者は、様々な哺乳動物種においていくつかの形態の高血圧の原因物質として関係づけられてきた活性昇圧物質である。
【0169】
アンギオテンシンII受容体アンタゴニストは、アンギオテンシンII受容体に結合し、その活性を妨げることによってアンギオテンシンIIの活性に干渉する化合物である。本発明において使用し得るアンギオテンシンII受容体アンタゴニストは周知であり、ペプチド化合物および非ペプチド化合物を含む。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストの非限定的な例としては、カンデサルタンシレキセチル(lH−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸,2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−,1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル)、CAS RN 145040−37−5);テルミサルタン([1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸,4’−[(1,4’−ジメチル−2’−プロピル[2,6’−ビ−1H−ベンズイミダゾール]−1’−イル)メチル]−、CAS RN 144701−48−4);カンデサルタン(lH−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸,2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−、CAS RN 139481−59−7);ロサルタンカリウム(1H−イミダゾール−5−メタノール,2−ブチル−4−クロロ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]−メチル]−,一カリウム塩;イルベサルタン(1,3−ジアザスピロ[4.4]ノン−1−エン−4−オン,2−ブチル−3−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−、CAS RN 138402−11−6)が挙げられる。
【0170】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、アンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの変化を触媒する酵素である。本発明において使用し得るACE阻害薬は、ACEの活性を阻害することによってレニン−アンギオテンシン系に干渉し、それにより昇圧物質アンギオテンシンIIの形成を低減するまたは排除する、アミノ酸およびその誘導体、ジペプチドおよびトリペプチドを含むペプチドならびにACEに対する抗体を含む。ACE阻害薬は、高血圧、うっ血性心不全、心筋梗塞および腎疾患を治療するために医学的に使用されてきた。適切なACE阻害薬としては、塩酸ベナゼプリル(例えば、3−[[1−(エトキシカルボニル)−3−フェニル−(1S)−プロピル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−(3S)−ベンザゼピン−1−酢酸一塩酸塩、例えば、Novartisより入手可能なLOTREL(登録商標)カプセル);カプトプリル(例えば、1−[(2S)−3−メルカプト−2−メチルプロピオニル]−L−プロリン、例えば、Mylanより入手可能なCAPTOPRIL錠剤);フォシノプリル(例えば、L−プロリン,4−シクロヘキシル−1−[[[2−メチル−1−(1−オキソプロポキシ)プロポキシ](4−フェニルブチル)ホスフィニル]アセチル]−,ナトリウム塩、トランス−、例えば、Bristol−Myers Squibbより入手可能なMONOPRIL(登録商標)錠剤);塩酸モエキシプリル(例えば、[3S−[2[R(R)],3R]]−2−[2−[[1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−6,7−ジメトキシ−3−イソキノリンカルボン酸,一塩酸塩,例えば、Schwarzより入手可能なUNIRETIC(登録商標)錠剤);ペリンドプリルエルブミン(例えば、(2S,3aS,7aS)−1−[(S)−N−[(S)−1−カルボキシブチル]アラニル]ヘキサヒドロ−2−インドリンカルボン酸,1−エチルエステル、tert−ブチルアミンとの化合物(1:1)、例えば、Solvayより入手可能なACEON(登録商標)錠剤);キナプリル(例えば、[3S−[2[R(R)],3R]]−2−[2−[[1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸,一塩酸塩、例えば、Parke−Davisより入手可能なACCURETIC(登録商標)錠剤);ラミプリル(例えば、2−アザビシクロ[3.3.0]−オクタン−3−カルボン酸誘導体、例えば、Monarchより入手可能なALTACE(登録商標)カプセル);マレイン酸エナラプリル(例えば、(S)−1−[N −[1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]−L−アラニル]−L−プロリン,(Z)−2−ブタンジオエート塩(1:1)、例えば、Merckより入手可能なVASOTEC(登録商標)錠剤);リシノプリル(例えば、(S)−1−[N2−(1−カルボキシ−3−フェニルプロピル)−L−リシル]−L−プロリン二水和物、例えば、Merckより入手可能なPRINZIDE(登録商標)錠剤);デラプリル(米国特許第4,385,051号に開示されているように製造され得る);およびスピラプリル(米国特許第4.470,972号に開示されているように製造され得る);ベナザプリラート(1H−1−ベンザゼピン−1−酢酸,3−[[(1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ、(3S)−、CAS RN 86541−78−8);塩酸デラプリル(グリシン,N−[(1S)−1 −(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]−L−アラニル−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−,一塩酸塩、CAS RN 83435−67−0);フォシノプリルナトリウム(L−プロリン,4−シクロヘキシル−1−[[(R)−[(1S)−2−メチル−1−(1−オキソプロポキシ)プロポキシ](4−フェニルブチル)ホスフィニル]アセチル]−,ナトリウム塩,(4S)−、CAS RN 88889−14−9);リベンザプリル(1H−1−ベンザゼピン−1−酢酸,3−[[(1S)−5−アミノ−1−カルボキシペンチル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−,(3S)−、CAS RN 109214−55−3);ペントプリル(1H−インドール−1−ペンタン酸,2−カルボキシ−2,3−ジヒドロ−α,γ−ジメチル−δ−オキソ−,α−エチルエステル(αR,γR,2S)−、CAS RN 82924−03−6); ペリンドプリル(1H−インドール−2−カルボン酸,1−[(2S)−2−[[(1S)−1 −(エトキシカルボニル)ブチル]アミノ]−1−オキソプロピル]オクタヒドロ−,(2S,3aS,7aS)−、CAS RN 82834−16−0);塩酸キナプリル(3−イソキノリンカルボン酸,2−[(2S)−2−[[(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−,一塩酸塩,(3S)−、CAS RN 82586−55−);キナプリラート(3−イソキノリンカルボン酸,2−[(2S)−2−[[(1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−,(3S)−、CAS RN 82768−85−2);塩酸スピラプリル(1,4−ジチア−7−アザスピロ[4,4]ノナン−8−カルボン酸,7−[(2S)−2−[[(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−,一塩酸塩,(8S)−、CAS RN 94841−17−5);スピラプリラート(1,4−ジチア−7−アザスピロ[4.4]ノナン−8−カルボン酸,7−[(2S)−2−[[(1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−,(8S)−、CAS RN 83602−05−5);テプロチド(ブラジキニン増強剤BPP9a、CAS RN 35115−60−7);リシノプリル(L−プロリン,N2−[(1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]−L−リシル−、CAS RN 76547−98−3);ゾフェノプリル(L−プロリン,1−[(2S)−3−(ベンゾイルチオ)−2−メチル−1−オキソプロピル]−4−(フェニルチオ)−,カルシウム塩(2:1),(4S)−、CAS RN 81938−43−4)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
「カルシウムチャネル遮断薬」は、高血圧、狭心症および心不整脈などのいくつかの心臓血管障害を含む様々な疾患の管理において重要な治療的価値を有する化学的に多様なクラスの化合物である(Fleckenstein,Cir.Res.V.52(suppl.1),p.13−16(1983);Fleckenstein,Experimental Facts and Therapeutic Prospects,John Wiley,New York(1983);McCall,D.,Curr.Pract Cardiol.v.10,p.1−11(1985))。カルシウムチャネル遮断薬は、細胞カルシウムチャネルを調節することによって細胞へのカルシウムの流入を防ぐまたは緩やかにする薬剤の不均一な群である(Remington,The Science and Practice of Pharmacy,第19版,Mack Publishing Company,Eaton,PA,p.963(1995))。本発明において有用なカルシウムチャネル遮断薬としては、アムロジピンのベシレート塩(例えば、3−エチル−5−メチル−2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−1,4−ジヒドロ−6−メチル−3,5−ピリジンジカルボキシレートベンゼンスルホン酸塩、例えば、Pfizerより入手可能なNORVASC(登録商標));マレイン酸クレンチアゼム(1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン,3−(アセチルオキシ)−8−クロロ−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−(2S−シス)−,(Z)−2−ブテンジオエート(1:1)、米国特許第4,567,195号も参照のこと);イスラジピン(3,5−ピリジンジカルボン酸,4−(4−ベンゾフラザニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−,メチル1−メチルエチルエステル,(±)−4(4−ベンゾフラザニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンジカルボキシレート、米国特許第4,466,972号も参照のこと);ニモジピン(例えば、イソプロピル(2−メトキシエチル)1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジン−ジカルボキシレート、例えば、Bayerより入手可能なNIMOTOP(登録商標));フェロジピン(例えば、エチルメチル4−(2,3−ジクロロフェニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンジカルボキシレート、例えば、AstraZeneca LPより入手可能なPLENDIL(登録商標)持続放出錠);ニルバジピン(3,5−ピリジンジカルボン酸,2−シアノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−,3−メチル5−(1−メチルエチル)エステル、米国特許第3,799,934号も参照のこと);ニフェジピン(例えば、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(2−ニトロフェニル)−,ジメチルエステル,例えば、Pfizerより入手可能なPROCARDIA XL(登録商標)持続放出錠);塩酸ジルチアゼム(例えば、1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン,3−(アセチルオキシ)−5[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−2(4−メトキシフェニル)−,一塩酸塩,(+)−シス、例えば、Forestより入手可能なTIAZAC(登録商標)カプセル);塩酸ベラパミル(例えば、ベンゼンアセトニトリル,(α)−[[3−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−(α)−(1−メチルエチル)塩酸塩,例えば、Knoll Labsより入手可能なISOPTIN(登録商標)SR錠剤);塩酸テルジピン(3,5−ピリジンジカルボン酸,2−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[2−[(1E)−3−(1,1−ジメチルエトキシ)−3−オキソ−1−プロペニル]フェニル]−1,4−ジヒドロ−6−メチル−,ジエチルエステル,一塩酸塩)、CAS RN 108700−03−4);ベルホスジル(ホスホン酸,[2−(2−フェノキシエチル)−1,3−プロパンジイル]ビス−,テトラブチルエステル、CAS RN 103486−79−9);ホステジル(ホスホン酸,[[4−(2−ベンゾチアゾリル)フェニル]メチル]−,ジエチルエステル、CAS RN 75889−62−2)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
「抗狭心症薬」としての役割も果たす本発明の心臓血管薬は本発明において有用である。狭心症は、心筋酸素アベイラビリティーが心筋酸素需要を満たすのに不十分であるときに起こる症状を含む。これらの薬剤の非限定的な例としては、ラノラジン(塩酸塩1−ピペラジンアセトアミド,N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−,二塩酸塩、CAS RN 95635−56−6);塩酸ベタキソロール(2−プロパノール,1−[4−[2(シクロプロピルメトキシ)エチル]フェノキシ]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−,塩酸塩、CAS RN 63659−19−8);塩酸ブトプロジン(メタノン,[4−[3(ジブチルアミノ)プロポキシ]フェニル](2−エチル−3−インドリジニル)−,一塩酸塩、CAS RN 62134−34−3);マレイン酸シネパゼト(1−ピペラジン酢酸,4−[1−オキソ−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−プロペニル]−,エチルエステル,(2Z)−2−ブテンジオエート(1:1)、CAS RN 50679−07−7);トシフェン(ベンゼンスルホンアミド,4−メチル−N−[[[(1S)−1−メチル−2−フェニルエチル]アミノ]カルボニル]−、CAS RN 32295−18−4);塩酸ベラパミル(ベンゼンアセトニトリル,α−[3−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−α−(1−メチルエチル)−,一塩酸塩、CAS RN 152−11−4);モルシドミン(1,2,3−オキサジアゾリウム,5−[(エトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−モルホリニル)−,分子内塩、CAS RN 25717−80−0);塩酸ラノラジン(1−ピペラジンアセトアミド,N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−,二塩酸塩、CAS RN 95635−56−6);トシフェン(ベンゼンスルホンアミド,4−メチル−N−[[[(1S)−1−メチル−2−フェニルエチル]アミノ]カルボニル]−、CAS RN
32295−18−4)が挙げられる。
【0173】
「冠血管拡張薬」は、心臓への酸素供給を増大することによって狭心症のシステムを軽減するように作用し得る。本発明において有用な冠血管拡張薬としては、塩酸ジルチアゼム(例えば、1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン,3−(アセチルオキシ)−5[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,−3−ジヒドロ−2(4−メトキシフェニル)−,一塩酸塩,(+)−シス、例えば、Forestより入手可能なTIAZAC(登録商標)カプセル);二硝酸イソソルビド(例えば、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール2,5−ジニトレート、例えば、Wyeth−Ayerstより入手可能なISORDIL(登録商標)TITRADOSE(登録商標)錠剤);一硝酸ソソルビド(例えば、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール,5−ニトレート,有機硝酸塩、例えば、Wyeth−Ayerstより入手可能なIsmo(登録商標)錠剤);ニトログリセリン(例えば、2,3プロパントリオールトリニトレート、例えば、Parke−Davisより入手可能なNITROSTAT(登録商標)錠剤);塩酸ベラパミル(例えば、ベンゼンアセトニトリル,(±)−(α)[3−[[2−(3,4ジメトキシフェニル)エチル]メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−(α)−(1−メチルエチル)塩酸塩、例えば、Searleより入手可能なCOVERA HS(登録商標)持続放出錠);クロモナール(米国特許第3,282,938号に開示されているように製造され得る);クロニテート(Annalen 1870 155);ドロプレニラミン(ドイツ特許第2,521,113号に開示されているように製造され得る);リドフラジン(米国特許第3,267,104号に開示されているように製造され得る);プレニラミン(米国特許第3,152,173号に開示されているように製造され得る);硝酸プロパチル(フランス特許第1,103,113に開示されているように製造され得る);塩酸ミオフラジン(1−ピペラジンアセトアミド,3−(アミノカルボニル)−4−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−N−(2,6−ジクロロフェニル)−,二塩酸塩、CAS RN 83898−67−3);ミキシジン(ベンゼンエタンアミン,3,4−ジメトキシ−N−(1−メチル−2−ピロリジニリデン)−ピロリジン,2−[(3,4−ジメトキシフェネチル)イミノ]−1−メチル−1−メチル−2−[(3,4−ジメトキシフェネチル)イミノ]ピロリジン、CAS RN 27737−38−8);モルシドミン(1,2,3−オキサジアゾリウム,5−[(エトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−モルホリニル)−,分子内塩、CAS RN 25717−80−0);一硝酸イソソルビド(D−グルシトール,1,4:3,6−ジアンヒドロ−,5−ニトレート、CAS RN 16051−77−7);四硝酸エリトリチル(1,2,3,4−ブタンテトロール,四硝酸塩,(2R,3S)−レル− 、CAS RN 7297−25−8);クロニトレート(1,2−プロパンジオール,3−クロロ−,ジニトレート(7Cl,8Cl,9Cl)、CAS RN 2612−33−1);ジピリダモール(エタノール,2,2’,2’’,2’’’−[(4,8−ジ−1−ピペリジニルピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)ジニトリロ]テトラキス−、CAS RN 58−32−2);ニコランジル(CAS RN 65141−46−03);ピリジンカルボキサミド(N−[2−(ニトロオキシ)エチル]−ニソルジピン3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(2−ニトロフェニル)−,メチル2−メチルプロピルエステル、CAS RN 63675−72−9);ニフェジピン(3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(2−ニトロフェニル)−,ジメチルエステル、CAS RN 21829−25−4);マレイン酸ペルヘキシリン(ピペリジン,2−(2,2−ジシクロヘキシルエチル)−,(2Z)−2−ブテンジオエート(1:1)、CAS RN 6724−53−4);塩酸オクスプレノロール(2−プロパノール,1−[(1−メチルエチル)アミノ]−3−[2−(2−プロペニルオキシ)フェノキシ]−,塩酸塩、CAS RN
6452−73−9);ペントリニトロール(1,3−プロパンジオール,2,2−ビス[(ニトロオキシ)メチル]−,一硝酸塩(エステル)、CAS RN 1607−17−6);ベラパミル(ベンゼンアセトニトリル,α−[3−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−α−(1−メチルエチル)−、CAS RN 52−53−9)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
「利尿薬」という用語は、溶質(主としてNaCl)と水の排泄を高める化合物である。一般に、利尿薬治療の主要な目的は、血圧を低下させるまたは過剰の間質液(水腫)を身体から除去するために細胞外液量を減少させることである。本発明の範囲内で使用し得る利尿薬の非限定的な例としては、アルチアジド(英国特許第902,658号に開示されているように製造され得る);ベンズチアジド(米国特許第3,108,097号に開示されているように製造され得る);ブチアジド(英国特許第861,367号に開示されているように製造され得る);クロロチアジド(米国特許第2,809,194号に開示されているように製造され得る);スピロノラクトン(CAS番号52−01−7);およびトリアムテレン(CAS番号396−01−0)が挙げられる。
【0175】
本発明における心臓血管薬として有用な「アドレナリン刺激薬」としては、塩酸グアンファシン(例えば、N−アミジノ−2−(2,6−ジクロロフェニル)アセトアミド塩酸塩、例えば、Robinsより入手可能なTENEX(登録商標)錠剤);ヒドロクロロチアジド(例えば、6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド1,1−ジオキシド)と組み合わせたメチルドパ−ヒドロクロロチアジド(例えば、レボ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−メチルアラニン、例えば、Merckより入手可能なALDORIL(登録商標)錠剤のような組合せ);メチルドパ−クロロチアジド(例えば、6−クロロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド1,1−ジオキシドと前述したようなメチルドパ、例えば、Merckより入手可能なALDOCLORr(登録商標)錠剤);塩酸クロニジン(例えば、2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−2−イミダゾリン塩酸塩とクロルタリドン(例えば、2−クロロ−5−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−1−イソインドリニル)ベンゼンスルホンアミド)、例えば、Boehringer Ingelheimより入手可能なCOMBIPRES(登録商標)錠剤);塩酸クロニジン(例えば、2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−2−イミダゾリン塩酸塩、例えば、Boehringer Ingelheimより入手可能なCATAPRES(登録商標)錠剤);クロニジン(1H−イミダゾール−2−アミン,N−(2,6−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−、CAS RN 4205−90−7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
抗PCSK9抗体およびその抗原結合フラグメントならびにEGF−Aポリペプチドはまた、腸のコレステロール吸収を阻害する任意のアゼチジノンと共に投与し得る。そのようなアゼチジノンは、エゼチミブ:
【0177】
【化35】

【0178】
を含む。
【0179】
抗PCSK9抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはEGF−Aポリペプチドと共に投与し得るさらなる化学療法剤としては、魚油、エイコサペンタエン酸(eicosaepenanoic acid)、ドコサヘキサン酸、リノール酸、ナイアシン、フェノフィブラートなどのフィブラート、ゲムフィブロジル、ならびにコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラムなどの胆汁酸吸着剤が挙げられる。
【0180】
他の化学療法剤としては、アルチアジド(2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド,6−クロロ−3,4−ジヒドロ−3−[(2−プロペニルチオ)メチル]−,1,1−ジオキシド、CAS RN 5588−16−9);ベンズチアジド(2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド,6−クロロ−3−[[(フェニルメチル)チオ]メチル]−,1,1−ジオキシド、CAS RN 91−33−8);カプトプリル(L−プロリン,1−[(2S)−3−メルカプト−2−メチル−1−オキソプロピル]−、CAS RN 62571−86−2);カルベジロール(2−プロパノール,1−(9H−カルバゾール−4−イルオキシ)−3−[[2−(2−メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]−、CAS RN 72956−09−3);クロロチアジド(2−プロパノールナトリウム,1−(9H−カルバゾール−4−イルオキシ)−3−[[2−(2−メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]−、CAS RN 72956−09−3);塩酸クロニジン(1H−イミダゾール−2−アミン、N−(2,6−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−,一塩酸塩、CAS RN 4205−91−8);シクロチアジド(2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−,1,1−ジオキシド、CAS RN 2259−96−3);塩酸デラプリル(2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−,1,1−ジオキシド、CAS RN 2259−96−3);塩酸ジレバロール(2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−,1,1−ジオキシド、CAS RN 2259−96−3);塩酸デラプリル(グリシン,N−[(1S)−1−(エトキシカルボニル)− 3−フェニルプロピル]−L−アラニル−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−,一塩酸塩、CAS RN 83435−67−0);ドキサゾシンメシレート(ピペラジン,1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−4−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)カルボニル]−,モノメタンスルホン酸塩、CAS RN 77883−43−3);フォシノプリルナトリウム(L−プロリン,4−シクロヘキシル−1−[[(R)−[(1S)−2−メチル−1−(1−オキソプロポキシ)プロポクス(propox));塩酸モエキシプリル(3−イソキノリンカルボン酸,2−[(2S)−2−[[(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−6,7−ジメトキシ−,一塩酸塩,(3S)−、CAS RN 82586−52−5);マレイン酸モナテピル(1−ピペラジンブタンアミド,N−(6,11−ジヒドロジベンゾ(b,e)チエピン−11−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−,(±)−,(Z)−2−ブテンジオエート(1:1)(±)−N−(6,11−ジヒドロジベンゾ(b,e)チエピン−11−イル)−4−(p−フルオロフェニル)−1−ピペラジンブチルアミドマレエート(piperadinebutyramide maleate)(1:1)、CAS RN 132046−06−1);コハク酸メトプロロール(ブタン二酸,1−[4−(2−メトキシエチル)フェノキシ]−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−2−プロパノールとの化合物(1:2)、CAS RN 98418−47−4);塩酸グアンファシン(ベンゼンアセトアミド,N−(アミノイミノメチル)−2,6−ジクロロ−,一塩酸塩、CAS RN 29110−48−3);メチルドパ(L−チロシン,3−ヒドロキシ−α−メチル−、CAS RN 555−30−6);キナプリラート(3−イソキノリンカルボン酸,2−[(2S)−2−[[(1S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−,(3S)−、CAS RN 82768−85−2);塩酸キナプリル(3−イソキノリンカルボン酸,2−[(2S)−2−[[(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−,一塩酸塩,(3S)−、CAS RN 82586−55−8);プリミドロール(2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン,1−[2−[[2−ヒドロキシ−3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]アミノ]エチル]−5−メチル−、CAS RN 67227−55−8);塩酸プラゾシン(ピペラジン,1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−4−(2−フラニルカルボニル)−,一塩酸塩、CAS RN 19237−84−4);塩酸ペランセリン(2,4(1H,3H)−キナゾリンジオン,3−[3−(4−フェニル−1−ピペラジニル)プロピル]−,一塩酸塩、CAS RN 42877−18−9);塩酸フェノキシベンズアミン(ベンゼンメタンアミン,N−(2−クロロエチル)−N−(1−メチル−2−フェノキシエチル)−,塩酸塩、CAS RN 63−92−3);カンデサルタンシレキセチル(1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸,2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−,1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル、CAS RN 145040−37−5);テルミサルタン([1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸,4’−[(1,4’−ジメチル−2’−プロピル[2,6’−ビ−1H−ベンズイミダゾール]−1’−イル)メチル]−、CAS RN 144701−48−4);カンデサルタン(1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸,2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−、CAS RN 139481−59−7);アムロジピンベシレート(3,5−ジピリジンカルボン酸,2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−1,4−ジヒドロ−6−メチル−,3−エチル5−メチルエステル,モノベンゼンスルホン酸塩、CAS RN 111470−99−6);マレイン酸アムロジピン(3,5−ピリジンジカルボン酸,2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−1,4−ジヒドロ−6−メチル−,3−エチル5−メチルエステル,(2Z)−2−ブテンジオエート(1:1)、CAS RN 88150−47−4);塩酸テラゾシン(ピペラジン,1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−4−[(テトラヒドロ−2−フラニル)カルボニル]−,一塩酸塩、CAS RN 63074−08−8); 塩酸ベバントロール(2−プロパノール,1−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]アミノ]−3−(3−メチルフェノキシ)−,塩酸塩、CAS RN 42864−78−8);ラミプリル(シクロペンタ[b]ピロール−2−カルボン酸,1−[(2S)−2−[[(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル]アミノ]−1−オキソプロピル]オクタヒドロ−,(2S,3aS,6aS)−、CAS RN 87333−19−5)が挙げられる。
【0181】
スクリーニングアッセイ
本発明は、PCSK9阻害剤もしくはPCSK9/LDL受容体結合の阻害剤もしくはPCSK9/EGF−Aドメイン結合の阻害剤である物質;または総コレステロールレベル、低密度リポタンパク質コレステロールレベル、アポリポタンパク質Bレベル、総コレステロール/高密度リポタンパク質の比率もしくは低密度リポタンパク質/高密度リポタンパク質の比率を低下させる物質;または被験者において高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、血管炎症または黄色腫を治療するまたは予防する物質を同定するための方法であって、PCSK9ポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよびLDL受容体EGF−Aドメイン(例えば、配列番号3)を含むポリペプチドと、前記物質の存在に関して試験する試料を接触させ、試料の非存在下よりも試料の存在下の方がPCSK9およびLDL受容体EGF−Aドメインを含むポリペプチドのより少ない結合が認められる場合に前記物質が同定される方法をさらに提供する。そのようなアッセイにおいて同定されるいかなるそのような物質も本発明の一部を形成する。
【0182】
本発明の実施形態は、前記PCSK9およびEGF−Aポリペプチドを、PCSK9およびLDL受容体またはそのEGF−Aドメインの結合を阻害しないことが公知の物質と接触させ、前記結合の阻害剤の存在下よりも多いPCSK9およびLDL受容体またはそのEGF−Aドメインの結合が認められる場合、アッセイは適切に機能していると決定される、陰性対照アッセイをさらに含む。
【0183】
本発明の1つの実施形態は、前記PCSK9およびEGF−Aポリペプチドを、PCSK9およびLDL受容体またはそのEGF−Aドメインの結合を阻害することが公知の物質と接触させ、前記結合の阻害剤の存在下よりも少ないPCSK9およびLDL受容体またはそのEGF−Aドメインの結合が認められる場合、アッセイは適切に機能していると決定される、陽性対照アッセイをさらに含む。
【0184】
物質の結合は、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかを使用して測定できる。
【実施例】
【0185】
以下の情報は本発明をより明瞭に説明するために提供されるものであり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。以下で述べるありとあらゆる組成物および方法が本発明の範囲内に含まれる。
【0186】
(実施例1)
LDL受容体の可溶性EGF−Aドメインまたは抗PCSK9抗体はLDLR−PCSK9の相互作用をブロックする。
【0187】
この実施例では、ヒトLDL受容体のEGF−Aドメインをコードする可溶性ペプチドならびに様々な抗PCSK9抗体がPCSK9と受容体の間の相互作用をブロックすることが示される。
【0188】
以下は、PCSK9−LDLR相互作用に対する抗体およびEGF−A阻害実験のためのアルファスクリーン法と材料である。
【0189】
C末端FLAGタグを担持する精製PCSK9を、PCSK9を安定に発現するHEK293細胞から精製した。純度は、銀染色法により、>90%と推定された。抗PCSK9触媒ドメイン抗体は、Cayman Chemical(ウサギ抗マウスPCSK9ポリクローナル抗体、Cayman Chemical;Ann Arbor,MI;カタログ番号10008811)より購入した。このウサギ抗マウス/ヒトPCSK9触媒ドメイン抗体は、以下のアミノ酸配列:VFAQSIPWNLER(配列番号8)を有するエピトープを認識する。ウサギ抗ヒトPCSK9 C末端ドメイン抗体(SRSGKRRGERMEA(配列番号4のアミノ酸490〜502)に特異的に結合する)およびウサギ抗ヒトPCSK9全長タンパク質抗体も使用した。
【0190】
可溶性EGF−Aドメインペプチドは、標準的な方法を用いて合成によって作製した。緩衝液(25mM HEPES、0.1M NaCl 0.1%BSA、pH7.5)2.5μl中の精製C末端FLAG標識PCSK9 2.5ng(2.5ng/2.5μl/ProxiPlate−384 Plus(Perkin−Elmer;Waltham,Mass)のウエル)を、指示されている濃度の抗PCSK9抗体またはEGF−Aドメインペプチドのいずれか2.5μlと共に室温で30分間プレインキュベートした。次に、精製HIS標識可溶性LDLR(R&D Systems;Minneapolis,MN;カタログ番号2148−LD/CF;配列番号2)2.5ngとビオチニル化抗FLAG抗体(BioM2モノクローナル抗体、Sigma;St.Louis,MO;カタログ番号F9291)5ngを含む緩衝液5μlおよび前記混合物を室温でさらに30分間インキュベートした。最後に、弱光条件下で、ドナー/アクセプタービーズ混合物(アルファスクリーンヒスチジン検出キット、Perkin−Elmer;Waltharn,Mass.;カタログ番号6760619C)5μlを添加し、2103 EnVision Multilabel Plate Reader(Perkin−Elmer;Waltham,Mass)を使用してアルファスクリーンシグナルを検出した。ドナー/アクセプタービーズ混合物は、1つの384ウェルプレートについてニッケル−アクセプタービーズ10μlおよびSA−ドナービーズ10μlを緩衝液2.2mlに添加することによって暗条件下で調製し、室温で少なくとも2時間、暗所にてインキュベートした。
【0191】
これらの実験で生成されたデータを以下の表1〜3に示す。
【0192】
【表1】

【0193】
これらのデータは、PCSK9−LDLR相互作用がカルシウムの存在下または非存在下で可溶性EGF−Aドメインによって阻害されることを示す。カルシウムの非存在下よりもカルシウムの存在下でわずかに高いレベルの阻害が認められた。カルシウムの存在下では、IC50は約3μモルであり、カルシウムの非存在下ではIC50は約12μモルであった。
【0194】
【表2】

【0195】
これらのデータは、抗PCSK9触媒ドメイン抗体および抗PCSK9 C末端ドメイン抗体がPCSK9とLDL受容体の間の相互作用を阻害することを明らかにする。C末端ドメインに対して惹起した抗PCSK9は、相互作用を阻害するうえで効果がより低かった。非特異的IgG対照は相互作用を阻害するうえで無効であり、比較のために示している。この表の数値は3回の反復実験の平均値である。
【0196】
【表3】

【0197】
これらのデータは、PCSK9−LDLR相互作用が、PCSK9触媒ドメインペプチドに結合する抗体および全長PCSK9タンパク質に対して惹起した抗体によって阻害されることを明らかにする。非特異的IgG対照は相互作用を阻害するうえで無効であり、比較のために示している。これらの数値は3回の反復実験の平均値である。
【0198】
(実施例2)
細胞の抗PCSK9抗体処理はLDL取込みの増強を導く。
【0199】
可溶性PCSK9との細胞のインキュベーションは、細胞が培地から低密度リポタンパク質(LDL)を吸収し、清掃する能力の低下を導く。この実施例は、抗PCSK9抗体によるPCSK9の阻害がPCSK9のこの作用に拮抗し、LDLの取込みとクリアランスのレベル上昇を導くことを明らかにする。
【0200】
取込みアッセイを以下のように実施した:384穴のI型コラーゲンを被覆したプレートにおいて10,000細胞/ウエルのHepG2細胞を接種し、一晩増殖させた。その翌日、MEM−1%BSA中のbacu−PCSK9−WTの段階希釈溶液を作製し、固定濃度の抗マウスcatドメインPCSK9ポリクローナル抗体(Cayman Chemical;Ann Arbor,MI;カタログ番号10008811;マウスPCSK9抗原VFAQSIPWNLER(配列番号8)に対して惹起され、ヒトPCSK9と交差反応する)と、または抗ヒトPCSK9ポリクローナル抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN;カタログ番号AF3888)と、100μg/mlの最終濃度で、それぞれ混合した。これらの混合物を4℃で1時間インキュベートし、次に培地をHepG2細胞から吸引して除き、混合物25μl/ウエルを384穴プレート中のHepG2細胞に添加し、それぞれ6時間および18時間インキュベートした。指示されたインキュベーション時間後、混合物をHepG2細胞から取り出し、PBSで1回洗浄して、次にDil−LDL(Dil標識は、1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩である)をMEM−1%BSA中10μg/mlで細胞に添加し、続いて室温で90分間インキュベートした。その後Dil−LDLを除去し、細胞をPrefer固定液(グリオキサール、エタノール、緩衝液;Anatech LTD.;Hayward,CA;カタログ番号414)で20分間固定して、次に細胞をPBSで2回洗浄し、蛍光強度リーダーAnalystを使用して細胞へのDil−LDL取込みを読み取った。これらのアッセイで生成されたデータを以下の表4に示す。
【0201】
【表4】

【0202】
表4は、指示されている量の精製組換えPCSK9(対照)で処理した、または触媒ドメインペプチドに対して惹起したポリクローナル抗体(抗CAT)で処理した、もしくは全長タンパク質に対して惹起した抗体(抗全長)の存在下でのPCSK9で処理したヒトHepG2肝細胞によるdil標識LDLの取込みを示す。細胞によるLDLのPCSK9依存性取込みは、混合物中の抗PCSK9抗体の存在に依存する様式で増加した。より大きな数は、PCSK9の存在にもかかわらず、より大きなLDL取込みとLDLRの保存を示した。
【0203】
(実施例3)
抗PCSK9抗体の特徴づけ。
【0204】
75B9、77D10、11B5、22D11、1F11/1G11および29C10の抗PCSK9抗体を特徴づけた。抗体は、PCSK9とLDL受容体の間の相互作用を有効に阻害し、ならびにPCSK9を介したLDL受容体分解を阻害することが認められた。インビボで、抗体はPCSK9を阻害し、それによって存在するLDL受容体のレベルを上昇させることが認められた。さらに、抗体は、外因性PCSK9を添加したときに認められるインビボでのコレステロール上昇を中和した。
【0205】
抗PCSK9抗体によるPCSK9を介したLDLR分解の阻害。
【0206】
75B9、77D10、11B5、22D11、1F11/1G11および29C10抗体を、細胞内ウエスタンアッセイにおいてHepG2細胞でのPCSK9によるLDL受容体の分解を阻害するそれらの能力に関して評価した。
【0207】
細胞内ウエスタン法は、PCSK9を介したLDLR分解の抗PCSK9抗体による阻害を定量するために実施した。HepG2細胞を384ウェルのI型コラーゲンを被覆したプレートに接種し、抗PCSK9抗体および/またはPCSK9(100nM)で18時間処理した。LDLRおよびβアクチンの検出を、IRDye 800CWヤギ抗ウサギ(Li−Cor)およびIRDye 680ヤギ抗マウス(Li−Cor)と共に上記の抗体を使用して、製造者のプロトコール(Li−Cor Biosciences;Lincoln,Nebraska)に従って実施した。アッセイをOdyssey赤外イメージングシステム(Li−Cor)で読み取り、各々のウエル中のLDLRタンパク質についてのシグナルをβアクチン含量に対して基準化した。これらの実験からのデータを以下の表5に示す。
【0208】
【表5】

【0209】
「+PCSK9/抗体なし」対照と比較して、試験した抗体はHepG2細胞において様々な効力でPCSK9を介したLDL受容体の分解を阻害した。
【0210】
アルファスクリーン結合アッセイ
PCSK9−FLAGと推定上の結合パートナーとの間の相互作用を直接測定することができる増幅ルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)(ALPHA,Perkin−Elmer;Waltham,Massachusetts)を使用して、この相互作用への抗PCSK9抗体の作用を測定した。この手法は、「ドナー」ビーズと「アクセプター」ビーズをタンパク質間相互作用によって近接させ、ルミネセンス上昇を生じさせることを必要とした(Ullmanら、Proc.Nat.Acad.Sci.(1994)91:5426−5430)。基本アッセイでは、PCSK9へのLDL受容体結合を以下のように測定した:適切な濃度の組換え受容体5μlをPCSK9−FLAG(1.4μg/ml)2.5μlと共に30分間インキュベートした。ビオチニル化抗Flag−M2抗体(1.8μg/ml)約2.5μlを添加し、その混合物を1時間インキュベートした。その後ストレプトアビジンドナービーズとニッケルキレートアクセプタービーズ(1:1混合物)5μlを添加し、その検定物を一晩インキュベートした。アルファスクリーンシグナル(計数/秒)を、EnVisionマイクロプレートリーダー(Perkin−ESmer)を用いて分析した。すべてのデータポイントを3回ずつ測定した。アッセイは、25mM HEPES、0.1M NaCl、pH7.4、0.1%BSAを含む緩衝液中23℃で実施した。阻害アッセイは、アッセイ容量とタンパク質濃度にわずかな調整を加えて同様に測定した。簡単に述べると、1.25μg/mlのPCSK9−Flagおよび1.25μg/mlのHis標識LDL受容体5μlを適切な濃度の抗体2.5μlと共に30分間インキュベートし、その後抗Flag−BioM2(1.8μg/ml)2.5μlを添加して、1時間インキュベートした。これらのアッセイからのデータを以下の表6に示す。
【0211】
【表6】

【0212】
試験した抗体は様々な効力でPCSK9/LDL受容体相互作用を阻害した(IC50および抗体を添加せずに実施したアッセイと比較した阻害%として表している)。
【0213】
LDLR分解のインビボ阻害および血漿コレステロールへの抗PCSK9の作用
マウスにおいてLDL受容体分解を阻害する抗PCSK9抗体(1F11/1G11)の能力を、コレステロールレベルを調節する抗体の能力と共にこれらのアッセイにおいて評価した。
【0214】
インビボ手順:
0時点:雄性C57BL/6jマウスに抗ヒトPCSK9抗体、1F11/1G11 400μgを腹腔内注射した。
【0215】
2時間目の時点:次にヒトPCSK9タンパク質10μgをマウスに静脈内注射した。
【0216】
4時間目の時点:マウスを犠死させ、血漿および肝臓試料を採取した。
【0217】
分析:
個々のマウスの血漿リポタンパク質プロフィール(血漿0.1mL)を、Pharmacia Superose 6カラムによる高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)によって測定した。FPLC画分のコレステロールレベルを、Wakoコレステロール酵素比色法を用いて測定した。
【0218】
肝LDL受容体のタンパク質レベルをウエスタンブロット法によって測定した。各々の肝ホモジネート40μgをInvitrogen 4〜12% NuPAGEゲル上で分離し、PVDF膜に移して、ヤギ抗マウスLDL受容体抗体と共にインキュベートした(ウサギ抗GAPDH抗体を等しい負荷についての対照として使用した)。次に膜を対応するHRP結合抗体と共にインキュベートし、高性能化学発光フィルムで可視化を行った。ImageQuant 5.2ソフトウエアを使用してバンドの強さを定量した。
【0219】
LDL受容体レベルをLDL受容体のバンド強度のGAPDHのバンド強度に対する比率として任意単位(Arbitrary Units)(AU)で表した。LDL受容体測定の結果を以下の表7および8に示す。2つの別々の分析のデータを提示する。
【0220】
【表7】

【0221】
【表8】

【0222】
1F11/1G11抗体は、試験したマウスにおいてPCSK9を介したLDL受容体分解のレベルを低下させた。
【0223】
【表9】

【0224】
1F11/1G11抗体は、試験したマウスにおいてPCSK9を介したコレステロール上昇のレベルを低下させた。
【0225】
本発明は、本明細書で述べる特定実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、本明細書で述べるものに加えて本発明の様々な改変が前記説明から当業者に明らかになる。そのような改変は付属の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0226】
特許、特許出願、刊行物、製品説明書およびプロトコールが本出願全体を通じて引用され、それらの開示は、すべての目的に関してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【公開番号】特開2013−91655(P2013−91655A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−284770(P2012−284770)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−531314(P2010−531314)の分割
【原出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(596129215)メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション (785)
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
【住所又は居所原語表記】126 East Lincoln Avenue,Rahway,New Jersey 07065−0907 U.S.A.
【Fターム(参考)】