脈波センサ
【課題】被験者の脈波を精度良く測定することのできる脈波センサを提供する。
【解決手段】発光部から生体2に光を照射して生体2内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部11と、光センサ部11を担持する本体部10と、を有する脈波センサ1において、本体部10は、生体2への装着時に生体2側への押圧力が与えられる部材であり、光センサ部11は、本体部10の表面上において生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍(ハッチング領域内)に設けられている。
【解決手段】発光部から生体2に光を照射して生体2内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部11と、光センサ部11を担持する本体部10と、を有する脈波センサ1において、本体部10は、生体2への装着時に生体2側への押圧力が与えられる部材であり、光センサ部11は、本体部10の表面上において生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍(ハッチング領域内)に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脈波センサは、被験者の指先などに光を照射する発光部と、生体内を透過した光の強度を検出する受光部と、を用いて脈波の測定を行う構成とされていた。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−212016号公報
【特許文献2】国際公開第2002/062222号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脈波センサは、基本的に被験者の安静時における脈波を測定するものであり、被験者の運動時における脈波を精度良く測定することは困難であった。
【0006】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、被験者の脈波を精度良く測定することのできる脈波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部を備えた脈波センサであって、前記光センサ部は、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を有する構成(第1−1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記遮光壁の高さH1と前記発光部の高さH2との間には、H1>H2という関係が成立している構成(第1−2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1−2の構成から成る脈波センサにおいて、前記遮光壁の高さH1から前記発光部の高さH2を差し引いたオフセット距離ΔH(=H1−H2)は、0mm<ΔH<2mmである構成(第1−3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1−2または第1−3の構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の高さH2と前記受光部の高さH3との間には、H2>H3という関係が成立している構成(第1−4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1−1〜第1−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部と前記受光部との素子間距離W1は、0.2mm≦W1≦0.8mmである構成(第1−5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1−1〜第1−5いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサ部は前記発光部の上部に集光レンズを有する構成(第1−6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1−1〜第1−6いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記第1領域は、前記発光部の発光領域よりも小さい第1開口部を備えた第1蓋部材によって被覆されている構成(第1−7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1−1〜第1−7いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記第2領域は、前記受光部の受光領域よりも大きい第2開口部を備えた第2蓋部材によって被覆されている構成(第1−8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1−1〜第1−8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部及び前記受光部の少なくとも一方は、所定の波長成分のみを選択的に通過させるカラーフィルタを有する構成(第1−9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1−1〜第1−9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部及び前記受光部は、それぞれ、基板と、前記基板上に載置された発光チップ及び受光チップと、前記発光チップ及び受光チップを封止する封止体と、を有する構成(第1−10の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1−1〜第1−10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記ケースは、前記光センサ部を担持する本体部から突出する形で前記本体部に埋設されている構成(第1−11の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1−1〜第1−11いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長はおよそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第1−12の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、前記光センサ部を担持する本体部と、を有する脈波センサであって、前記本体部は、前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍に設けられている構成(第2−1の構成)とされている。
【0020】
なお、上記第2−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記本体部は、両端にベルトが接続されるものであり、前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられている構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第2−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記本体部は、第1端にバネ蝶番が接続されて第2端が開放端とされるものであり、前記光センサ部は、前記本体部の第2端から10mm以内に設けられている構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第2−1〜第2−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられている構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第2−1〜第2−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第2−5の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、前記光センサ部の出力信号にフィルタ処理を施すフィルタ部と、を有する脈波センサであって、前記フィルタ部は、前記光センサ部の出力信号に重畳した低周波成分を除去するハイパスフィルタ回路と、前記ハイパスフィルタ回路の出力信号を後段に伝達するボルテージフォロワ回路と、前記ボルテージフォロワ回路の出力信号に重畳した高周波成分を除去するローパスフィルタ回路と、前記ローパスフィルタ回路の出力信号を増幅する第1増幅回路と、前記第1増幅回路の出力信号に重畳した低周波成分と高周波成分を除去するバンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力信号を増幅する第2増幅回路と、を有する構成(第3−1の構成)とされている。
【0025】
なお、上記第3−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記ハイパスフィルタ回路は0.66Hzのカットオフ周波数を持つ1次のCRハイパスフィルタ回路である構成(第3−2の構成)にするとよい。
【0026】
また、上記第3−1または第3−2の構成から成る脈波センサにおいて、前記ローパスフィルタ回路は、0.26Hzのカットオフ周波数を持つ2次のCRローパスフィルタ回路である構成(第3−3の構成)にするとよい。
【0027】
また、上記第3−1〜第3−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記バンドパスフィルタ回路は、0.80〜2.95Hzの通過周波数帯域を持つ6次のバンドフィルタ回路である構成(第3−4の構成)にするとよい。
【0028】
また、上記第3−1〜第3−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記フィルタ部は、電源電圧を分圧して中間電圧を生成する中間電圧生成回路を有し、前記ハイパスフィルタ回路、前記ローパスフィルタ回路、前記第1増幅回路、前記バンドパスフィルタ回路、及び、前記第2増幅回路は、いずれも、前記中間電圧を基準電圧として動作する構成(第3−5の構成)にするとよい。
【0029】
また、上記第3−1〜第3−5いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第3−6の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時における脈波についても、これを精度良く測定することのできる脈波センサを提供することが可能となるので、脈波センサの利用シーンを広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】脈波測定の原理を説明するための模式図
【図2】生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図
【図3】本発明に係る脈波センサの一構成例を模式的に示す断面図
【図4】光センサ部11の第1構成例を模式的に示す断面図
【図5】光センサ部11の第2構成例を模式的に示す断面図
【図6】オフセット距離ΔHと信号強度との相関関係を示す波形図
【図7】素子間距離W1と信号強度との相関関係を示す波形図
【図8A】光センサ部11の第3構成例を模式的に示す断面図
【図8B】光センサ部11の第4構成例を模式的に示す断面図
【図8C】光センサ部11の第5構成例を模式的に示す断面図
【図8D】光センサ部11の第6構成例を模式的に示す断面図
【図9】腕時計型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図
【図10】光センサ部11の配置と信号強度との相関関係を示す波形図
【図11】イヤリング型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図
【図12】フィルタ部12の第1構成例を示す回路図
【図13】フィルタ部12の第2構成例を示す回路図
【図14】フィルタ部12の出力波形図
【発明を実施するための形態】
【0032】
<脈波測定の原理>
図1は、脈波測定の原理を説明するための模式図であり、図2は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。
【0033】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、図1に示したように、測定窓に押し当てられた生体の一部(図1では手首)に向けて発光部(LED[Light Emitting Diode]など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、図2に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。
【0034】
なお、図1では、図示の便宜上、脈波センサ(発光部と受光部)を手首の腹側に装着した様子が描写されているが、脈波センサの装着位置についてはこれに限定されるものではなく、手首の背側であってもよいし、他の部位(指先、指の第3関節、額、眉間、鼻先、頬、眼下、こめかみ、耳たぶなど)であってもよい。
【0035】
<脈波から分かること>
なお、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被験者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被験者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被験者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被験者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被験者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0036】
<脈波センサ>
図3は、本発明に係る脈波センサの一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の脈波センサ1は、本体ユニット10と、本体ユニット10の両端部に取り付けられて生体2(具体的には手首)に巻き回されるベルト20とを備えた腕輪構造(腕時計型構造)とされている。ベルト20の素材としては、皮革、金属、樹脂などを用いることができる。
【0037】
本体ユニット10は、光センサ部11と、フィルタ部12と、制御部13と、表示部14と、通信部15と、電源部16と、を含む。
【0038】
光センサ部11は、本体ユニット10の裏面(生体2と対向する側の面)に設けられており、発光部から生体2に光を照射して、生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより、脈波データを取得する。本構成例の脈波センサ1において、光センサ部11は、発光部と受光部が生体2を挟んで互いに反対側に設けられた構成(いわゆる透過型、図1の破線矢印を参照)ではなく、発光部と受光部が生体2に対していずれも同じ側に設けられた構成(いわゆる反射型、図1の実線矢印を参照)とされている。なお、本願の発明者らは、手首での脈波測定について、指先での脈波測定に比べればやや感度は低いものの、十分に脈波の測定が可能であることを実際に実験で確認済みである。光センサ部11の具体的な構造については、後ほど詳細に説明する。
【0039】
フィルタ部12は、光センサ部11の出力信号(受光部の検出信号)にフィルタ処理、増幅処理、及び、アナログ/デジタル変換処理を施して制御部13に伝達する。なお、フィルタ部12の具体的な回路構成については、後ほど詳細に説明する。
【0040】
制御部13は、脈波センサ1全体の動作を統括的に制御するほか、フィルタ部12の出力信号に各種の信号処理を施すことにより、脈波に関する種々の情報(脈波の揺らぎ、心拍数、心拍変動、及び、加速度脈波など)を取得する。なお、制御部13としては、CPU[Central Processing Unit]などを好適に用いることができる。
【0041】
表示部14は、本体ユニット10の表面(生体2と対向しない側の面)に設けられており、表示情報(日付や時間に関する情報のほか、脈波の測定結果なども含まれる)を出力する。すなわち、表示部14は、腕時計の文字盤面に相当する。なお、表示部14としては、液晶表示パネルなどを好適に用いることができる。
【0042】
通信部15は、脈波センサ1の測定データを外部機器(パーソナルコンピュータや携帯電話機など)に無線または有線で送信する。特に、脈波センサ1の測定データを外部機器に無線で送信する構成であれば、脈波センサ1と外部機器とを有線で接続する必要がなくなるので、例えば、被験者の行動を制約せずに測定データのリアルタイム送信を行うことが可能となる。また、脈波センサ1を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、測定データの外部送信方式として無線送信方式を採用することが望ましい。なお、無線送信方式を採用する場合、通信部15としては、Bluetooth(登録商標)無線通信モジュールICなどを好適に用いることができる。
【0043】
電源部16は、バッテリとDC/DCコンバータを含み、バッテリからの入力電圧を所望の出力電圧に変換して脈波センサ1の各部に供給する。このように、バッテリ駆動方式の脈波センサ1であれば、脈波の測定時に外部からの給電ケーブルを接続する必要がないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。なお、上記のバッテリとしては、繰り返して充電を行うことが可能な二次電池(リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなど)を用いることが望ましい。このように、バッテリとして二次電池を用いる構成であれば、煩わしい電池交換作業が不要となるので、脈波センサ1の利便性を高めることができる。また、バッテリ充電時における外部からの電力供給方式としては、USB[Universal Serial Bus]ケーブルなどを用いる接触給電方式であってもよいし、或いは、電磁誘導方式、電界結合方式、及び、磁界共鳴方式などの非接触給電方式であってもよい。ただし、脈波センサ1を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、外部からの電力供給方式として非接触給電方式を採用することが望ましい。
【0044】
上記のように、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者が意図的に脈波センサ1を手首から外さない限り、脈波の測定中に脈波センサ1が手首から脱落してしまうおそれは殆どないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【0045】
また、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者に対して脈波センサ1を装着していることをあまり意識させずに済むので、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行う場合であっても、被験者に過度のストレスを与えずに済む。
【0046】
特に、脈波の測定結果だけでなく、日時情報なども表示することのできる表示部14を備えた脈波センサ1(すなわち、腕時計構造の脈波センサ1)であれば、被験者は脈波センサ1を腕時計として日常的に装着することができるので、脈波センサ1の装着に対する抵抗感をさらに払拭することが可能となり、延いては、新規ユーザ層の開拓に寄与することが可能となる。
【0047】
また、脈波センサ1は、防水構造としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、水(雨)や汗などに濡れても故障せずに脈波を測定することが可能となる。また、脈波センサ1を多人数で共用する場合(例えばスポーツジムでの貸し出し用として使用する場合)には、脈波センサ1を丸ごと水洗いすることにより、脈波センサ1を清潔に保つことが可能となる。
【0048】
<光センサ部(構造)>
図4は、光センサ部11の第1構成例を模式的に示す断面図である。第1構成例の光センサ部11は、ケース11aと、遮光壁11bと、透光板11zと、発光部Aと、受光部Bと、を有する。
【0049】
ケース11aは、発光部Aと受光部Bを収納する枡形状の部材である。なお、ケース11aは、その開口面を塞ぐ透光板11zが本体ユニット10の表面(生体2と対向する側の面)と面一になるように、本体ユニット10に埋設されている。
【0050】
遮光壁11bは、ケース11aを発光部Aが載置される第1領域と受光部Bが載置される第2領域に分割する部材である。遮光壁11bを設けることにより、発光部Aから受光部Bへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。なお、ケース11aと遮光壁11bは、一体成形することが望ましい。
【0051】
透光板11zは、ケース11aの開口面を塞ぐ透光性の部材である。透光板11zを設けることにより、発光部A及び受光部Bの汚損(埃などの付着)を防止することができるので、発光部A及び受光部Bとして、樹脂などで封止されていないベアチップ(発光チップ及び受光チップ)を用いることが可能となる。
【0052】
第1構成例の光センサ部11であれば、発光部Aから生体2に光を照射した後、生体2内を透過した光の強度を受光部12で検出することによって、被験者の脈波データを取得することが可能である。
【0053】
しかしながら、第1構成例の光センサ部11では、生体2と発光部A及び受光部Bとの間に透光板11zが存在するので、生体2を介することなく透光板11zを介して発光部Aから受光部Bへ直接的に光が入射されるおそれがある。また、第1構成例の光センサ部11では、光センサ部11と生体2との密着性が損なわれたときに、外光が受光部Bに漏れ入るおそれもある。生体2を透過していない光が受光部Bに入射されると、脈波データの検出精度(S/N)が低下するので、脈波データの検出精度を向上させるためには、上記の問題を解消しておくことが重要となる。
【0054】
図5は、光センサ部11の第2構成例を模式的に示す断面図である。第2構成例の光センサ部11は、ケース11aと、遮光壁11bと、発光部Xと、受光部Yと、を有する。すなわち、第2構成例の光センサ部11では、先述の透光板11zが除外されている。
【0055】
ケース11aは、発光部Xと受光部Yを収納する枡形状の部材である。ケース11aの外形寸法(高さH0、幅W0、奥行D0)は、例えば、H0=1.5mm、W0=4.5mm、D0=3.0mmに設計されている。なお、ケース11aは、本体ユニット10から所定寸法H4(例えばH4=0.3mm)だけ突出する形で本体ユニット10に埋設されている。このような構成であれば、ケース11aの突出部分によって受光部Yに漏れ入る外光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0056】
遮光壁11bは、ケース11aを発光部Xが載置される第1領域と受光部Yが載置される第2領域に分割する部材である。先述の第1実施形態と同じく、遮光壁11bを設けることにより、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。なお、ケース11aと遮光壁11bは、一体成形することが望ましい。
【0057】
発光部Xは、基板X1と、発光チップX2と、封止体X3と、ワイヤX4と、導電体X5と、を有する。基板X1は、その表面上に発光チップX2が載置される部材である。発光チップX2は、所定波長の光を出力する発光素子(例えば、緑色LEDのベアチップ)である。封止体X3は、発光チップX2を封止する透光性の部材である。ワイヤX4は、発光チップX2と導電体X5とを電気的に接続する部材である。導電体X5は、基板X1の上面から下面にわたって形成された導電性の部材であり、ケース11aの底面に形成された配線パターンと半田付けされる。
【0058】
受光部Yは、基板Y1と、受光チップY2と、封止体Y3と、ワイヤY4と、導電体Y5と、を有する。基板Y1は、その表面上に受光チップY2が載置される部材である。受光チップY2は、所定の波長領域に属する光を電気信号に変換する光電変換素子(例えば近赤外領域〜可視領域の光感受性を持つフォトトランジスタのベアチップ)である。封止体Y3は、受光チップY2を封止する透光性の部材である。ワイヤY4は、受光チップY2と導電体Y5とを電気的に接続する部材である。導電体Y5は、基板Y1の上面から下面にわたって形成された導電性の部材であり、ケース11aの底面に形成された配線パターンと半田付けされる。
【0059】
このように、第2構成例の光センサ部11では、発光部X及び受光部Yとして、ベアチップではなくパッケージ型の半導体装置が用いられている。従って、ケース11aの開口面を透光板で被覆する必要がなくなるので、透光板を介して発光部Xから受光部Yへ直接的に光が入射される懸念を払拭することが可能となり、延いては、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0060】
また、第2構成例の光センサ部11において、遮光壁11bの高さH1と発光部Xの高さH2との間には、H1>H2という関係が成立している。なお、遮光壁11bの高さH1は、ケース11aの底面から遮光壁11bの上端部までの距離(例えば、H1=1.4mm)を指している。また、発光部Xの高さH2は、ケース11aの底面から発光チップX2の発光面までの距離(例えば、H2=0.5mm)を指している。ただし、発光チップX2が基板X1に比べて非常に薄いことを鑑みると、基板X1の厚みを発光部Xの高さH2として取り扱うこともできる。
【0061】
上記の関係式を満たした寸法設計を行えば、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮光壁11bで効果的に遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0062】
ただし、遮光壁11bの高さH1に比べて、発光部Xの高さH2を小さく設計し過ぎると、発光部Xから出射された光が生体2に到達するまでに散乱ないし減衰してしまい、受光部Yで検出される光の強度が小さくなって脈波データの検出精度が低下する。従って、遮光壁11bの高さH1から発光部Xの高さH2を差し引いたオフセット距離ΔH(=H1−H2)には、最適な設計範囲が存在する。
【0063】
図6は、オフセット距離ΔHと信号強度(受光信号のピークトゥピーク値)との相関関係を示す波形図であり、上から順に、ΔH=0.6mm、0.7mm、0.9mm、1.1mm、及び、2.1mmであるときの受光波形が描写されている。図6から、オフセット距離ΔHが0.9mmであるときに信号強度が最大となることが分かる。この実験結果を鑑みると、オフセット距離ΔHは、0mm<ΔH<2mm(より好ましくは、0.6mm≦ΔH≦1.4mm)の設計範囲に収めることが望ましいと言える。
【0064】
例えば、厚み0.6mmの封止体X3を備えた発光部Xを用いて、オフセット距離ΔHを0.9mmに設計する場合には、封止体X3の上面が遮光壁11bの上端部から0.3mmだけ奥まった高さ位置となるように、基板X1の厚みを設計すればよい。
【0065】
また、第2構成例の光センサ部11において、発光部Xの高さH2と受光部Yの高さH3との間には、H2>H3という関係が成立している。なお、受光部Yの高さH3は、ケース11aの底面から受光チップY2の受光面までの距離(例えば、H3=0.3mm)を指している。ただし、受光チップY2が基板Y1に比べて非常に薄いことを鑑みると、基板Y1の厚みを受光部Yの高さH3として取り扱うこともできる。
【0066】
上記の関係式を満たした寸法設計を行えば、外光が受光部Yに届き難くなるので、脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0067】
次に、図7を参照しながら、発光部Xと受光部Yとの素子間距離W1に応じて信号強度がどのように変化するかを考察する。図7は、素子間距離W1と信号強度との相関関係を示す波形図であり、上から順に、W1=0.1mm、0.5mm、1.0mm、3.0mm、及び、5.0mmであるときの受光波形が描写されている。図7から、素子間距離W1が0.5mmであるときに信号強度が最大となることが分かる。この実験結果を鑑みると、素子間距離W1は、0.1mm≦W1≦3.0mm(より好ましくは、0.2mm≦W2≦0.8mm)の設計範囲に収めることが望ましいと言える。
【0068】
次に、図8A〜図8Dを参照しながら、光センサ部11の変形例について説明する。図8A〜図8Dは、それぞれ、光センサ部11の第3構成例〜第6構成例を模式的に示す断面図である。なお、第3構成例〜第6構成例は、先出の第2構成例とほぼ同様の構成であり、脈波データの検出精度をさらに向上するために種々の構成要素が追加されている。
【0069】
例えば、第3構成例(図8A)の光センサ部11は、発光部Xの上部に集光レンズ11cを有する。集光レンズ11cを設けることにより、発光部Xから出射される光を生体2に集めて照射することができるので、受光部Yで検出される光の強度を高めて脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0070】
また、第4構成例(図8B)の光センサ部11において、発光部Xが載置される第1領域は、発光部Xの発光領域よりも小さい開口部d1を備えた蓋部材11dによって被覆されている。例えば、発光部Xの発光領域が0.7mm四方の矩形領域である場合、開口部d1は、直径0.5mmの円形状や0.5mm四方の矩形状に形成すればよい。蓋部材11dを設けることにより、発光部Xから出射される光の拡散を防止して、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0071】
また、第5構成例(図8C)の光センサ部11において、受光部Yが載置される第2領域は、受光部Yの受光領域よりも大きい開口部d2を備えた蓋部材11eによって被覆されている。例えば、受光部Yの発光領域が0.7mm四方の矩形領域である場合、開口部d2は、直径1.0mmの円形状や1.0mm四方の矩形状に形成すればよい。蓋部材11eを設けることにより、受光部Yに漏れ入る外光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0072】
また、第6構成例(図8D)の光センサ部11において、発光部X及び受光部Yの少なくとも一方は、所定の波長成分のみ(発光部Xの出力ピーク波長近傍)を選択的に通過させるカラーフィルタX6及びY6を有する。カラーフィルタX6及びY6を設けることにより、不要な波長成分を除去することができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0073】
なお、上記の第3構成例(図8A)〜第6構成例(図8D)で各々追加された構成要素については、各々を単独で適用してもよいし、任意に組み合わせて適用してもよい。
【0074】
<光センサ部(配置)>
図9は、腕時計型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図である。腕時計型の脈波センサ1において、光センサ部11を担持する本体ユニット10(例えば直径28mm)は、その両端にベルト20が接続されるものであり、生体2(手首)への装着時には、ベルト20の締め付けによって生体2側への押圧力(図9中の太い矢印を参照)が与えられる部材である。
【0075】
このような腕時計構造の脈波センサ1について、本願の発明者らは、本体ユニット10に与えられる生体2側への押圧力が所定の分布を有しており、光センサ部11の配設位置に応じて、光センサ部11と生体2との密着性(延いては受光信号の信号強度)が異なるという知見を得た。
【0076】
そして、本願の発明者らは、鋭意研究の末、生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍、より具体的には、本体ユニット10とベルト20との接続点から光センサ部11の配設位置(光センサ部11の中心位置)までの距離をDとしたときに、D≦10mmという関係が成立する領域内(図9のハッチング領域内)に光センサ部11を配置すれば、受光信号の信号強度を向上し得ることを見出した。
【0077】
図10は、光センサ部11の配置と信号強度との相関関係を示す波形図であり、上段には、本体ユニット10の端部(図9のハッチング領域内)に配置された光センサ部11の受光波形が示されており、下段には、本体ユニット10の中央部(図9のハッチング領域外)に配置された光センサ部11’の受光波形が示されている。両波形を比較すれば分かるように、本体ユニット10の端部に配置された光センサ部11は、生体2との密着性が向上した結果、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時における脈波についても、これを精度良く測定することが可能である。
【0078】
なお、上記で得られた知見は、腕時計型の脈波センサ1のみならず、図11で示すように、イヤリング型の脈波センサ1にも適用が可能である。
【0079】
図11は、イヤリング型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図である。イヤリング型の脈波センサ1において、光センサ部11を担持する本体ユニット10(例えば第1端から第2端までの全長が24mm)は、第1端にバネ蝶番30が接続されて第2端が開放端とされるものであり、生体2(耳朶)への装着時には、バネ蝶番30によって生体2側への押圧力(図11中の太い矢印を参照)が与えられる部材である。
【0080】
この場合、生体2側への押圧力が最大となる着力点は、本体ユニット10の第2端(開放端)となる。従って、本体ユニット10の第2端(開放端)から光センサ部11の配設位置(光センサ部11の中心位置)までの距離をDとしたときに、D≦10mmという関係が成立する領域内に光センサ部11を配置すれば、光センサ部11と生体2との密着性を高めて、受光信号の信号強度を向上することができる。
【0081】
なお、図9及び図11では、本体ユニット10の表面上に光センサ部11を一つだけ設けた構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に、光センサ部11を複数設けても構わない。
【0082】
<フィルタ部>
図12は、フィルタ部12の第1構成例を示す回路図である。第1構成例のフィルタ部12は、電流/電圧変換回路100と、1次CRハイパスフィルタ回路110(以下、HPF[high pass filter]回路110と呼ぶ)と、増幅回路120と、1次CRローパスフィルタ回路130(以下、LPF[low pass filter]回路130と呼ぶ)と、増幅回路140と、を有する。
【0083】
電流/電圧変換回路100は、光センサ部11から出力される電流信号を電圧信号に変換する回路であり、抵抗R1(例えば200kΩ)を含む。光センサ部11を形成する発光ダイオードのアノードは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記発光ダイオードのカソードは、接地端に接続されている。光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタは、抵抗R1を介して電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記フォトトランジスタのエミッタは、接地端に接続されている。
【0084】
HPF回路110は、電流/電圧変換回路100の出力信号に重畳した低周波成分を除去する回路であり、キャパシタC1(例えば0.1μF)と、抵抗R2(例えば4.7MΩ)とを含む。キャパシタC1の第1端は、光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタに接続されている。キャパシタC1の第2端は、抵抗R2を介して接地端に接続されている。なお、上記構成から成るHPF回路110のカットオフ周波数は、0.34Hzに設計されている。
【0085】
増幅回路120は、HPF回路110の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP1と、抵抗R3(例えば100kΩ)と、抵抗R4(例えば10kΩ)と、キャパシタC2(例えば0.01μF)と、キャパシタC3(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP1の非反転入力端(+)は、キャパシタC1の第2端に接続されている。オペアンプOP1の反転入力端(−)は、抵抗R3を介してオペアンプOP1の出力端に接続される一方、抵抗R4を介して接地端にも接続されている。オペアンプOP1の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP1の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC2は、抵抗R3と並列に接続されている。キャパシタC3は、オペアンプOP1の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0086】
LPF回路130は、増幅回路120の出力信号に重畳した高周波成分を除去する回路であり、抵抗R5(例えば100kΩ)と、キャパシタC4(例えば1.0μF)と、を含む。抵抗R5の第1端は、オペアンプOP1の出力端に接続されている。抵抗R5の第2端は、キャパシタC4を介して接地端に接続されている。なお、上記構成から成るLPF回路130のカットオフ周波数は、1.6Hzに設定されている。
【0087】
増幅回路140は、LPF回路130の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP2と、可変抵抗R6(例えば500kΩ)と、抵抗R7(例えば10kΩ)と、キャパシタC5(例えば0.01μF)と、キャパシタC6(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP2の非反転入力端(+)は、抵抗R5の第2端に接続されている。オペアンプOP2の反転入力端(−)は、可変抵抗R6を介してオペアンプOP2の出力端に接続される一方、抵抗R7を介して接地端にも接続されている。オペアンプOP2の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP2の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC5は、可変抵抗R6と並列に接続されている。キャパシタC6は、オペアンプOP2の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0088】
第1構成例のフィルタ部12であれば、簡易な回路構成により、光センサ部11の出力信号に重畳するノイズ成分を除去して、脈波データの検出精度を高めることができる。
【0089】
ただし、第1構成例のフィルタ部12では、被験者の体動ノイズ(運動によって生じる6.0Hz程度のノイズ成分)を十分に除去し切れない場合があり、被験者の運動時における脈波を高精度に検出するためには、さらなる改善の余地を残していた(図14の下段を参照)。
【0090】
図13は、フィルタ部12の第2構成例を示す回路図である。第2構成例のフィルタ部12は、電流/電圧変換回路200と、1次CRハイパスフィルタ回路210(以下、HPF回路210と呼ぶ)と、ボルテージフォロワ回路220と、2次CRローパスフィルタ回路230(以下、LPF回路230と呼ぶ)と、増幅回路240と、6次バンドパスフィルタ回路250(以下、BPF[band pass filter]回路250と呼ぶ)と、増幅回路260と、中間電圧生成回路270と、を有する。
【0091】
電流/電圧変換回路200は、光センサ部11から出力される電流信号を電圧信号に変換する回路であり、抵抗R8(例えば200kΩ)と、抵抗R9(例えば430Ω)と、を含む。光センサ部11を形成する発光ダイオードのアノードは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記発光ダイオードのカソードは、抵抗R9を介して接地端に接続されている。光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタは、抵抗R8を介して電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記フォトトランジスタのエミッタは、接地端に接続されている。
【0092】
HPF回路210は、電流/電圧変換回路200の出力信号に重畳した低周波成分を除去する回路であり、キャパシタC7(例えば1.0μF)と、抵抗R10(例えば240kΩ)と、を含む。キャパシタC7の第1端は、光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタに接続されている。キャパシタC7の第2端は、抵抗R10を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。なお、上記構成から成るHPF回路210のカットオフ周波数は、0.66Hzに設計されている。
【0093】
ボルテージフォロワ回路220は、HPF回路110の出力信号を後段に伝達する回路であり、オペアンプOP3と、キャパシタC8(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP3の非反転入力端(+)は、キャパシタC7の第2端に接続されている。オペアンプOP3の反転入力端(−)は、オペアンプOP3の出力端に接続されている。オペアンプOP3の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP3の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC8は、オペアンプOP3の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0094】
LPF回路230は、ボルテージフォロワ回路220の出力信号に重畳した高周波成分を除去する回路であり、抵抗R11(例えば620kΩ)と、抵抗R12(例えば620kΩ)と、キャパシタC9(例えば1.0μF)と、キャパシタC10(例えば1.0μF)と、を含む。抵抗R11の第1端は、オペアンプOP3の出力端に接続されている。抵抗R11の第2端は、抵抗R12の第1端に接続される一方、キャパシタC9を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。抵抗R12の第2端は、キャパシタC10を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。なお、上記構成から成るLPF回路230のカットオフ周波数は、0.26Hzに設定されている。
【0095】
増幅回路240は、LPF回路230の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP4と、抵抗R13(例えば10kΩ)と、抵抗R14(例えば1kΩ)と、キャパシタC11(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP4の非反転入力端(+)は、抵抗R12の第2端に接続されている。オペアンプOP4の反転入力端(−)は、抵抗R13を介してオペアンプOP4の出力端に接続される一方、抵抗R14を介して中間電圧VMの印加端にも接続されている。オペアンプOP4の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP4の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC11は、オペアンプOP4の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0096】
BPF回路250は、増幅回路240の出力信号に重畳した低周波成分と高周波成分を除去する回路であり、オペアンプOP5〜OP7と、抵抗R15(例えば75kΩ)と、抵抗R16(例えば2MΩ)と、抵抗R17(例えば150kΩ)と、抵抗R18(例えば130kΩ)と、抵抗R19(例えば91kΩ)と、抵抗R20(例えば620kΩ)と、抵抗R21(例えば43kΩ)と、抵抗R22(例えば30kΩ)と、抵抗R23(例えば200kΩ)と、キャパシタC12(例えば1μF)と、キャパシタC13(例えば1μF)と、キャパシタC14(例えば0.1μF)と、キャパシタC15(例えば1μF)と、キャパシタC16(例えば1μF)と、キャパシタC17(例えば0.1μF)と、キャパシタC18(例えば1μF)と、キャパシタC19(例えば1μF)と、キャパシタC20(例えば0.1μF)と、を含む。
【0097】
抵抗R15の第1端は、オペアンプOP4の出力端に接続されている。抵抗R15の第2端は、抵抗R16を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP5の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP5の反転入力端(−)は、キャパシタC12を介して抵抗R15の第2端に接続される一方、抵抗R17を介してオペアンプOP5の出力端にも接続されている。オペアンプOP5の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP5の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC13は、抵抗R15の第2端とオペアンプOP5の出力端との間に接続されている。キャパシタC14は、オペアンプOP5の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0098】
抵抗R18の第1端は、オペアンプOP5の出力端に接続されている。抵抗R18の第2端は、抵抗R19を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP6の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP6の反転入力端(−)は、キャパシタC15を介して抵抗R18の第2端に接続される一方、抵抗R20を介してオペアンプOP6の出力端にも接続されている。オペアンプOP6の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP6の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC16は、抵抗R18の第2端とオペアンプOP6の出力端との間に接続されている。キャパシタC17は、オペアンプOP6の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0099】
抵抗R21の第1端は、オペアンプOP6の出力端に接続されている。抵抗R21の第2端は、抵抗R22を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP7の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP7の反転入力端(−)は、キャパシタC18を介して抵抗R21の第2端に接続される一方、抵抗R23を介してオペアンプOP7の出力端にも接続されている。オペアンプOP7の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP7の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC19は、抵抗R21の第2端とオペアンプOP7の出力端との間に接続されている。キャパシタC20は、オペアンプOP7の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0100】
なお、上記構成から成るBPF回路250は、0.80〜2.95Hzの通過周波数帯域を持つ。
【0101】
増幅回路260は、BPF回路250の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP8と、可変抵抗R24(例えば1MΩ)と、抵抗R25(例えば1kΩ)と、キャパシタC21(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP8の非反転入力端(+)は、オペアンプOP7の出力端に接続されている。オペアンプOP8の反転入力端(−)は、可変抵抗R24を介してオペアンプOP8の出力端に接続される一方、抵抗R25を介して中間電圧VMの印加端にも接続されている。オペアンプOP8の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP8の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC21は、オペアンプOP8の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0102】
中間電圧生成回路260は、電源電圧VDDを1/2に分圧して中間電圧VM(=VDD/2)を生成する回路であり、抵抗R26(例えば1kΩ)と、抵抗R27(例えば1kΩ)と、キャパシタC22(0.1μF)と、を含む。抵抗R26の第1端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。抵抗R26の第2端と抵抗R27の第1端は、いずれも中間電圧VMの印加端に接続されている。抵抗R27の第2端は、接地端に接続されている。キャパシタC22は、抵抗R27に対して並列に接続されている。
【0103】
第2構成例のフィルタ部12であれば、被験者の体動ノイズを適切に除去することができるので、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時(例えば歩行時)における脈波についても高精度に検出することが可能となる(図14の上段を参照)。
【0104】
また、第2構成例のフィルタ部12において、HPF回路210、LPFフィルタ回路230、増幅回路240、BPF回路250、及び、増幅回路260は、いずれも中間電圧VM(=VDD/2)を基準電圧として動作するので、フィルタ部12の出力信号は、中間電圧VMに対して上下に振幅変動する波形となる。従って、第2構成例のフィルタ部12であれば、出力信号の飽和(電源電圧VDDや接地電圧への張り付き)を防止して、脈波データを正しく検出することが可能となる。
【0105】
<出力波長についての考察>
実験では、いわゆる反射型の脈波センサ1において、発光部の出力波長をλ1(赤外:940nm)、λ2(緑:630nm)、及び、λ3(青:468nm)とし、発光部の出力強度(駆動電流値)を1mA、5mA、10mAに変化させたときの挙動を各々調査した。その結果、およそ波長600nm以下の可視光領域において、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数が大きくなり、測定される脈波のピーク強度が大きくなるため、脈波の波形を比較的取得しやすいことが分かった。
【0106】
なお、動脈血の酸素飽和度を検出するパルスオキシメータでは、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数(実線)と脱酸素化ヘモグロビンHbの吸収係数(破線)との差違が最大となる近赤外領域の波長(700nm前後)が発光部の出力波長として広く一般的に用いられているが、脈波センサ(特に、いわゆる反射型の脈波センサ)としての利用を考えた場合には、上記の実験結果で示したように、波長600nm以下の可視光領域を発光部の出力波長として用いることが望ましいと言える。
【0107】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、脈波センサの利便性を高めるための技術として利用することが可能であり、ヘルスケアサポート機器、ゲーム機器、音楽機器、ペットコミュニケーションツール、車両の運転手の居眠り防止機器など、様々な分野への応用が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0109】
1 脈波センサ
2 生体(手首、耳朶)
10 本体ユニット
11 光センサ部
11a ケース
11b 遮光壁
11c 集光レンズ
11d、11e 蓋部材
11z 透光板
12 フィルタ部
13 制御部
14 表示部
15 通信部
16 電源部
20 ベルト
30 バネ蝶番
A 発光部(発光チップ)
B 受光部(受光チップ)
X 発光部
X1 基板
X2 発光チップ
X3 封止体
X4 ワイヤ
X5 導電体
X6 カラーフィルタ
Y 受光部
Y1 基板
Y2 受光チップ
Y3 封止体
Y4 ワイヤ
Y5 導電体
Y6 カラーフィルタ
100 電流/電圧変換回路
110 1次CRハイパスフィルタ回路
120 増幅回路
130 1次CRローパスフィルタ回路
140 増幅回路
200 電流/電圧変換回路
210 1次CRハイパスフィルタ回路
220 ボルテージフォロワ回路
230 2次CRローパスフィルタ回路
240 増幅回路
250 6次バンドパスフィルタ回路
260 増幅回路
270 中間電圧生成回路
R1〜R27 抵抗
C1〜C22 キャパシタ
OP1〜OP8 オペアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脈波センサは、被験者の指先などに光を照射する発光部と、生体内を透過した光の強度を検出する受光部と、を用いて脈波の測定を行う構成とされていた。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−212016号公報
【特許文献2】国際公開第2002/062222号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脈波センサは、基本的に被験者の安静時における脈波を測定するものであり、被験者の運動時における脈波を精度良く測定することは困難であった。
【0006】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、被験者の脈波を精度良く測定することのできる脈波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部を備えた脈波センサであって、前記光センサ部は、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を有する構成(第1−1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記遮光壁の高さH1と前記発光部の高さH2との間には、H1>H2という関係が成立している構成(第1−2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1−2の構成から成る脈波センサにおいて、前記遮光壁の高さH1から前記発光部の高さH2を差し引いたオフセット距離ΔH(=H1−H2)は、0mm<ΔH<2mmである構成(第1−3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1−2または第1−3の構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の高さH2と前記受光部の高さH3との間には、H2>H3という関係が成立している構成(第1−4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1−1〜第1−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部と前記受光部との素子間距離W1は、0.2mm≦W1≦0.8mmである構成(第1−5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1−1〜第1−5いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサ部は前記発光部の上部に集光レンズを有する構成(第1−6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1−1〜第1−6いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記第1領域は、前記発光部の発光領域よりも小さい第1開口部を備えた第1蓋部材によって被覆されている構成(第1−7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1−1〜第1−7いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記第2領域は、前記受光部の受光領域よりも大きい第2開口部を備えた第2蓋部材によって被覆されている構成(第1−8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1−1〜第1−8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部及び前記受光部の少なくとも一方は、所定の波長成分のみを選択的に通過させるカラーフィルタを有する構成(第1−9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1−1〜第1−9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部及び前記受光部は、それぞれ、基板と、前記基板上に載置された発光チップ及び受光チップと、前記発光チップ及び受光チップを封止する封止体と、を有する構成(第1−10の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1−1〜第1−10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記ケースは、前記光センサ部を担持する本体部から突出する形で前記本体部に埋設されている構成(第1−11の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1−1〜第1−11いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長はおよそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第1−12の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、前記光センサ部を担持する本体部と、を有する脈波センサであって、前記本体部は、前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍に設けられている構成(第2−1の構成)とされている。
【0020】
なお、上記第2−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記本体部は、両端にベルトが接続されるものであり、前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられている構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第2−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記本体部は、第1端にバネ蝶番が接続されて第2端が開放端とされるものであり、前記光センサ部は、前記本体部の第2端から10mm以内に設けられている構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第2−1〜第2−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられている構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第2−1〜第2−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第2−5の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、前記光センサ部の出力信号にフィルタ処理を施すフィルタ部と、を有する脈波センサであって、前記フィルタ部は、前記光センサ部の出力信号に重畳した低周波成分を除去するハイパスフィルタ回路と、前記ハイパスフィルタ回路の出力信号を後段に伝達するボルテージフォロワ回路と、前記ボルテージフォロワ回路の出力信号に重畳した高周波成分を除去するローパスフィルタ回路と、前記ローパスフィルタ回路の出力信号を増幅する第1増幅回路と、前記第1増幅回路の出力信号に重畳した低周波成分と高周波成分を除去するバンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力信号を増幅する第2増幅回路と、を有する構成(第3−1の構成)とされている。
【0025】
なお、上記第3−1の構成から成る脈波センサにおいて、前記ハイパスフィルタ回路は0.66Hzのカットオフ周波数を持つ1次のCRハイパスフィルタ回路である構成(第3−2の構成)にするとよい。
【0026】
また、上記第3−1または第3−2の構成から成る脈波センサにおいて、前記ローパスフィルタ回路は、0.26Hzのカットオフ周波数を持つ2次のCRローパスフィルタ回路である構成(第3−3の構成)にするとよい。
【0027】
また、上記第3−1〜第3−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記バンドパスフィルタ回路は、0.80〜2.95Hzの通過周波数帯域を持つ6次のバンドフィルタ回路である構成(第3−4の構成)にするとよい。
【0028】
また、上記第3−1〜第3−4いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記フィルタ部は、電源電圧を分圧して中間電圧を生成する中間電圧生成回路を有し、前記ハイパスフィルタ回路、前記ローパスフィルタ回路、前記第1増幅回路、前記バンドパスフィルタ回路、及び、前記第2増幅回路は、いずれも、前記中間電圧を基準電圧として動作する構成(第3−5の構成)にするとよい。
【0029】
また、上記第3−1〜第3−5いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第3−6の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時における脈波についても、これを精度良く測定することのできる脈波センサを提供することが可能となるので、脈波センサの利用シーンを広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】脈波測定の原理を説明するための模式図
【図2】生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図
【図3】本発明に係る脈波センサの一構成例を模式的に示す断面図
【図4】光センサ部11の第1構成例を模式的に示す断面図
【図5】光センサ部11の第2構成例を模式的に示す断面図
【図6】オフセット距離ΔHと信号強度との相関関係を示す波形図
【図7】素子間距離W1と信号強度との相関関係を示す波形図
【図8A】光センサ部11の第3構成例を模式的に示す断面図
【図8B】光センサ部11の第4構成例を模式的に示す断面図
【図8C】光センサ部11の第5構成例を模式的に示す断面図
【図8D】光センサ部11の第6構成例を模式的に示す断面図
【図9】腕時計型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図
【図10】光センサ部11の配置と信号強度との相関関係を示す波形図
【図11】イヤリング型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図
【図12】フィルタ部12の第1構成例を示す回路図
【図13】フィルタ部12の第2構成例を示す回路図
【図14】フィルタ部12の出力波形図
【発明を実施するための形態】
【0032】
<脈波測定の原理>
図1は、脈波測定の原理を説明するための模式図であり、図2は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。
【0033】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、図1に示したように、測定窓に押し当てられた生体の一部(図1では手首)に向けて発光部(LED[Light Emitting Diode]など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、図2に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。
【0034】
なお、図1では、図示の便宜上、脈波センサ(発光部と受光部)を手首の腹側に装着した様子が描写されているが、脈波センサの装着位置についてはこれに限定されるものではなく、手首の背側であってもよいし、他の部位(指先、指の第3関節、額、眉間、鼻先、頬、眼下、こめかみ、耳たぶなど)であってもよい。
【0035】
<脈波から分かること>
なお、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被験者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被験者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被験者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被験者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被験者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0036】
<脈波センサ>
図3は、本発明に係る脈波センサの一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の脈波センサ1は、本体ユニット10と、本体ユニット10の両端部に取り付けられて生体2(具体的には手首)に巻き回されるベルト20とを備えた腕輪構造(腕時計型構造)とされている。ベルト20の素材としては、皮革、金属、樹脂などを用いることができる。
【0037】
本体ユニット10は、光センサ部11と、フィルタ部12と、制御部13と、表示部14と、通信部15と、電源部16と、を含む。
【0038】
光センサ部11は、本体ユニット10の裏面(生体2と対向する側の面)に設けられており、発光部から生体2に光を照射して、生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより、脈波データを取得する。本構成例の脈波センサ1において、光センサ部11は、発光部と受光部が生体2を挟んで互いに反対側に設けられた構成(いわゆる透過型、図1の破線矢印を参照)ではなく、発光部と受光部が生体2に対していずれも同じ側に設けられた構成(いわゆる反射型、図1の実線矢印を参照)とされている。なお、本願の発明者らは、手首での脈波測定について、指先での脈波測定に比べればやや感度は低いものの、十分に脈波の測定が可能であることを実際に実験で確認済みである。光センサ部11の具体的な構造については、後ほど詳細に説明する。
【0039】
フィルタ部12は、光センサ部11の出力信号(受光部の検出信号)にフィルタ処理、増幅処理、及び、アナログ/デジタル変換処理を施して制御部13に伝達する。なお、フィルタ部12の具体的な回路構成については、後ほど詳細に説明する。
【0040】
制御部13は、脈波センサ1全体の動作を統括的に制御するほか、フィルタ部12の出力信号に各種の信号処理を施すことにより、脈波に関する種々の情報(脈波の揺らぎ、心拍数、心拍変動、及び、加速度脈波など)を取得する。なお、制御部13としては、CPU[Central Processing Unit]などを好適に用いることができる。
【0041】
表示部14は、本体ユニット10の表面(生体2と対向しない側の面)に設けられており、表示情報(日付や時間に関する情報のほか、脈波の測定結果なども含まれる)を出力する。すなわち、表示部14は、腕時計の文字盤面に相当する。なお、表示部14としては、液晶表示パネルなどを好適に用いることができる。
【0042】
通信部15は、脈波センサ1の測定データを外部機器(パーソナルコンピュータや携帯電話機など)に無線または有線で送信する。特に、脈波センサ1の測定データを外部機器に無線で送信する構成であれば、脈波センサ1と外部機器とを有線で接続する必要がなくなるので、例えば、被験者の行動を制約せずに測定データのリアルタイム送信を行うことが可能となる。また、脈波センサ1を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、測定データの外部送信方式として無線送信方式を採用することが望ましい。なお、無線送信方式を採用する場合、通信部15としては、Bluetooth(登録商標)無線通信モジュールICなどを好適に用いることができる。
【0043】
電源部16は、バッテリとDC/DCコンバータを含み、バッテリからの入力電圧を所望の出力電圧に変換して脈波センサ1の各部に供給する。このように、バッテリ駆動方式の脈波センサ1であれば、脈波の測定時に外部からの給電ケーブルを接続する必要がないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。なお、上記のバッテリとしては、繰り返して充電を行うことが可能な二次電池(リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなど)を用いることが望ましい。このように、バッテリとして二次電池を用いる構成であれば、煩わしい電池交換作業が不要となるので、脈波センサ1の利便性を高めることができる。また、バッテリ充電時における外部からの電力供給方式としては、USB[Universal Serial Bus]ケーブルなどを用いる接触給電方式であってもよいし、或いは、電磁誘導方式、電界結合方式、及び、磁界共鳴方式などの非接触給電方式であってもよい。ただし、脈波センサ1を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、外部からの電力供給方式として非接触給電方式を採用することが望ましい。
【0044】
上記のように、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者が意図的に脈波センサ1を手首から外さない限り、脈波の測定中に脈波センサ1が手首から脱落してしまうおそれは殆どないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【0045】
また、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者に対して脈波センサ1を装着していることをあまり意識させずに済むので、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行う場合であっても、被験者に過度のストレスを与えずに済む。
【0046】
特に、脈波の測定結果だけでなく、日時情報なども表示することのできる表示部14を備えた脈波センサ1(すなわち、腕時計構造の脈波センサ1)であれば、被験者は脈波センサ1を腕時計として日常的に装着することができるので、脈波センサ1の装着に対する抵抗感をさらに払拭することが可能となり、延いては、新規ユーザ層の開拓に寄与することが可能となる。
【0047】
また、脈波センサ1は、防水構造としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、水(雨)や汗などに濡れても故障せずに脈波を測定することが可能となる。また、脈波センサ1を多人数で共用する場合(例えばスポーツジムでの貸し出し用として使用する場合)には、脈波センサ1を丸ごと水洗いすることにより、脈波センサ1を清潔に保つことが可能となる。
【0048】
<光センサ部(構造)>
図4は、光センサ部11の第1構成例を模式的に示す断面図である。第1構成例の光センサ部11は、ケース11aと、遮光壁11bと、透光板11zと、発光部Aと、受光部Bと、を有する。
【0049】
ケース11aは、発光部Aと受光部Bを収納する枡形状の部材である。なお、ケース11aは、その開口面を塞ぐ透光板11zが本体ユニット10の表面(生体2と対向する側の面)と面一になるように、本体ユニット10に埋設されている。
【0050】
遮光壁11bは、ケース11aを発光部Aが載置される第1領域と受光部Bが載置される第2領域に分割する部材である。遮光壁11bを設けることにより、発光部Aから受光部Bへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。なお、ケース11aと遮光壁11bは、一体成形することが望ましい。
【0051】
透光板11zは、ケース11aの開口面を塞ぐ透光性の部材である。透光板11zを設けることにより、発光部A及び受光部Bの汚損(埃などの付着)を防止することができるので、発光部A及び受光部Bとして、樹脂などで封止されていないベアチップ(発光チップ及び受光チップ)を用いることが可能となる。
【0052】
第1構成例の光センサ部11であれば、発光部Aから生体2に光を照射した後、生体2内を透過した光の強度を受光部12で検出することによって、被験者の脈波データを取得することが可能である。
【0053】
しかしながら、第1構成例の光センサ部11では、生体2と発光部A及び受光部Bとの間に透光板11zが存在するので、生体2を介することなく透光板11zを介して発光部Aから受光部Bへ直接的に光が入射されるおそれがある。また、第1構成例の光センサ部11では、光センサ部11と生体2との密着性が損なわれたときに、外光が受光部Bに漏れ入るおそれもある。生体2を透過していない光が受光部Bに入射されると、脈波データの検出精度(S/N)が低下するので、脈波データの検出精度を向上させるためには、上記の問題を解消しておくことが重要となる。
【0054】
図5は、光センサ部11の第2構成例を模式的に示す断面図である。第2構成例の光センサ部11は、ケース11aと、遮光壁11bと、発光部Xと、受光部Yと、を有する。すなわち、第2構成例の光センサ部11では、先述の透光板11zが除外されている。
【0055】
ケース11aは、発光部Xと受光部Yを収納する枡形状の部材である。ケース11aの外形寸法(高さH0、幅W0、奥行D0)は、例えば、H0=1.5mm、W0=4.5mm、D0=3.0mmに設計されている。なお、ケース11aは、本体ユニット10から所定寸法H4(例えばH4=0.3mm)だけ突出する形で本体ユニット10に埋設されている。このような構成であれば、ケース11aの突出部分によって受光部Yに漏れ入る外光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0056】
遮光壁11bは、ケース11aを発光部Xが載置される第1領域と受光部Yが載置される第2領域に分割する部材である。先述の第1実施形態と同じく、遮光壁11bを設けることにより、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。なお、ケース11aと遮光壁11bは、一体成形することが望ましい。
【0057】
発光部Xは、基板X1と、発光チップX2と、封止体X3と、ワイヤX4と、導電体X5と、を有する。基板X1は、その表面上に発光チップX2が載置される部材である。発光チップX2は、所定波長の光を出力する発光素子(例えば、緑色LEDのベアチップ)である。封止体X3は、発光チップX2を封止する透光性の部材である。ワイヤX4は、発光チップX2と導電体X5とを電気的に接続する部材である。導電体X5は、基板X1の上面から下面にわたって形成された導電性の部材であり、ケース11aの底面に形成された配線パターンと半田付けされる。
【0058】
受光部Yは、基板Y1と、受光チップY2と、封止体Y3と、ワイヤY4と、導電体Y5と、を有する。基板Y1は、その表面上に受光チップY2が載置される部材である。受光チップY2は、所定の波長領域に属する光を電気信号に変換する光電変換素子(例えば近赤外領域〜可視領域の光感受性を持つフォトトランジスタのベアチップ)である。封止体Y3は、受光チップY2を封止する透光性の部材である。ワイヤY4は、受光チップY2と導電体Y5とを電気的に接続する部材である。導電体Y5は、基板Y1の上面から下面にわたって形成された導電性の部材であり、ケース11aの底面に形成された配線パターンと半田付けされる。
【0059】
このように、第2構成例の光センサ部11では、発光部X及び受光部Yとして、ベアチップではなくパッケージ型の半導体装置が用いられている。従って、ケース11aの開口面を透光板で被覆する必要がなくなるので、透光板を介して発光部Xから受光部Yへ直接的に光が入射される懸念を払拭することが可能となり、延いては、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0060】
また、第2構成例の光センサ部11において、遮光壁11bの高さH1と発光部Xの高さH2との間には、H1>H2という関係が成立している。なお、遮光壁11bの高さH1は、ケース11aの底面から遮光壁11bの上端部までの距離(例えば、H1=1.4mm)を指している。また、発光部Xの高さH2は、ケース11aの底面から発光チップX2の発光面までの距離(例えば、H2=0.5mm)を指している。ただし、発光チップX2が基板X1に比べて非常に薄いことを鑑みると、基板X1の厚みを発光部Xの高さH2として取り扱うこともできる。
【0061】
上記の関係式を満たした寸法設計を行えば、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮光壁11bで効果的に遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0062】
ただし、遮光壁11bの高さH1に比べて、発光部Xの高さH2を小さく設計し過ぎると、発光部Xから出射された光が生体2に到達するまでに散乱ないし減衰してしまい、受光部Yで検出される光の強度が小さくなって脈波データの検出精度が低下する。従って、遮光壁11bの高さH1から発光部Xの高さH2を差し引いたオフセット距離ΔH(=H1−H2)には、最適な設計範囲が存在する。
【0063】
図6は、オフセット距離ΔHと信号強度(受光信号のピークトゥピーク値)との相関関係を示す波形図であり、上から順に、ΔH=0.6mm、0.7mm、0.9mm、1.1mm、及び、2.1mmであるときの受光波形が描写されている。図6から、オフセット距離ΔHが0.9mmであるときに信号強度が最大となることが分かる。この実験結果を鑑みると、オフセット距離ΔHは、0mm<ΔH<2mm(より好ましくは、0.6mm≦ΔH≦1.4mm)の設計範囲に収めることが望ましいと言える。
【0064】
例えば、厚み0.6mmの封止体X3を備えた発光部Xを用いて、オフセット距離ΔHを0.9mmに設計する場合には、封止体X3の上面が遮光壁11bの上端部から0.3mmだけ奥まった高さ位置となるように、基板X1の厚みを設計すればよい。
【0065】
また、第2構成例の光センサ部11において、発光部Xの高さH2と受光部Yの高さH3との間には、H2>H3という関係が成立している。なお、受光部Yの高さH3は、ケース11aの底面から受光チップY2の受光面までの距離(例えば、H3=0.3mm)を指している。ただし、受光チップY2が基板Y1に比べて非常に薄いことを鑑みると、基板Y1の厚みを受光部Yの高さH3として取り扱うこともできる。
【0066】
上記の関係式を満たした寸法設計を行えば、外光が受光部Yに届き難くなるので、脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0067】
次に、図7を参照しながら、発光部Xと受光部Yとの素子間距離W1に応じて信号強度がどのように変化するかを考察する。図7は、素子間距離W1と信号強度との相関関係を示す波形図であり、上から順に、W1=0.1mm、0.5mm、1.0mm、3.0mm、及び、5.0mmであるときの受光波形が描写されている。図7から、素子間距離W1が0.5mmであるときに信号強度が最大となることが分かる。この実験結果を鑑みると、素子間距離W1は、0.1mm≦W1≦3.0mm(より好ましくは、0.2mm≦W2≦0.8mm)の設計範囲に収めることが望ましいと言える。
【0068】
次に、図8A〜図8Dを参照しながら、光センサ部11の変形例について説明する。図8A〜図8Dは、それぞれ、光センサ部11の第3構成例〜第6構成例を模式的に示す断面図である。なお、第3構成例〜第6構成例は、先出の第2構成例とほぼ同様の構成であり、脈波データの検出精度をさらに向上するために種々の構成要素が追加されている。
【0069】
例えば、第3構成例(図8A)の光センサ部11は、発光部Xの上部に集光レンズ11cを有する。集光レンズ11cを設けることにより、発光部Xから出射される光を生体2に集めて照射することができるので、受光部Yで検出される光の強度を高めて脈波データの検出精度を向上することが可能となる。
【0070】
また、第4構成例(図8B)の光センサ部11において、発光部Xが載置される第1領域は、発光部Xの発光領域よりも小さい開口部d1を備えた蓋部材11dによって被覆されている。例えば、発光部Xの発光領域が0.7mm四方の矩形領域である場合、開口部d1は、直径0.5mmの円形状や0.5mm四方の矩形状に形成すればよい。蓋部材11dを設けることにより、発光部Xから出射される光の拡散を防止して、発光部Xから受光部Yへ直接的に入射される光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0071】
また、第5構成例(図8C)の光センサ部11において、受光部Yが載置される第2領域は、受光部Yの受光領域よりも大きい開口部d2を備えた蓋部材11eによって被覆されている。例えば、受光部Yの発光領域が0.7mm四方の矩形領域である場合、開口部d2は、直径1.0mmの円形状や1.0mm四方の矩形状に形成すればよい。蓋部材11eを設けることにより、受光部Yに漏れ入る外光を遮ることができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0072】
また、第6構成例(図8D)の光センサ部11において、発光部X及び受光部Yの少なくとも一方は、所定の波長成分のみ(発光部Xの出力ピーク波長近傍)を選択的に通過させるカラーフィルタX6及びY6を有する。カラーフィルタX6及びY6を設けることにより、不要な波長成分を除去することができるので、脈波データの検出精度を高めることが可能となる。
【0073】
なお、上記の第3構成例(図8A)〜第6構成例(図8D)で各々追加された構成要素については、各々を単独で適用してもよいし、任意に組み合わせて適用してもよい。
【0074】
<光センサ部(配置)>
図9は、腕時計型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図である。腕時計型の脈波センサ1において、光センサ部11を担持する本体ユニット10(例えば直径28mm)は、その両端にベルト20が接続されるものであり、生体2(手首)への装着時には、ベルト20の締め付けによって生体2側への押圧力(図9中の太い矢印を参照)が与えられる部材である。
【0075】
このような腕時計構造の脈波センサ1について、本願の発明者らは、本体ユニット10に与えられる生体2側への押圧力が所定の分布を有しており、光センサ部11の配設位置に応じて、光センサ部11と生体2との密着性(延いては受光信号の信号強度)が異なるという知見を得た。
【0076】
そして、本願の発明者らは、鋭意研究の末、生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍、より具体的には、本体ユニット10とベルト20との接続点から光センサ部11の配設位置(光センサ部11の中心位置)までの距離をDとしたときに、D≦10mmという関係が成立する領域内(図9のハッチング領域内)に光センサ部11を配置すれば、受光信号の信号強度を向上し得ることを見出した。
【0077】
図10は、光センサ部11の配置と信号強度との相関関係を示す波形図であり、上段には、本体ユニット10の端部(図9のハッチング領域内)に配置された光センサ部11の受光波形が示されており、下段には、本体ユニット10の中央部(図9のハッチング領域外)に配置された光センサ部11’の受光波形が示されている。両波形を比較すれば分かるように、本体ユニット10の端部に配置された光センサ部11は、生体2との密着性が向上した結果、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時における脈波についても、これを精度良く測定することが可能である。
【0078】
なお、上記で得られた知見は、腕時計型の脈波センサ1のみならず、図11で示すように、イヤリング型の脈波センサ1にも適用が可能である。
【0079】
図11は、イヤリング型の脈波センサ1における光センサ部11の配置レイアウト図である。イヤリング型の脈波センサ1において、光センサ部11を担持する本体ユニット10(例えば第1端から第2端までの全長が24mm)は、第1端にバネ蝶番30が接続されて第2端が開放端とされるものであり、生体2(耳朶)への装着時には、バネ蝶番30によって生体2側への押圧力(図11中の太い矢印を参照)が与えられる部材である。
【0080】
この場合、生体2側への押圧力が最大となる着力点は、本体ユニット10の第2端(開放端)となる。従って、本体ユニット10の第2端(開放端)から光センサ部11の配設位置(光センサ部11の中心位置)までの距離をDとしたときに、D≦10mmという関係が成立する領域内に光センサ部11を配置すれば、光センサ部11と生体2との密着性を高めて、受光信号の信号強度を向上することができる。
【0081】
なお、図9及び図11では、本体ユニット10の表面上に光センサ部11を一つだけ設けた構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、生体2側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に、光センサ部11を複数設けても構わない。
【0082】
<フィルタ部>
図12は、フィルタ部12の第1構成例を示す回路図である。第1構成例のフィルタ部12は、電流/電圧変換回路100と、1次CRハイパスフィルタ回路110(以下、HPF[high pass filter]回路110と呼ぶ)と、増幅回路120と、1次CRローパスフィルタ回路130(以下、LPF[low pass filter]回路130と呼ぶ)と、増幅回路140と、を有する。
【0083】
電流/電圧変換回路100は、光センサ部11から出力される電流信号を電圧信号に変換する回路であり、抵抗R1(例えば200kΩ)を含む。光センサ部11を形成する発光ダイオードのアノードは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記発光ダイオードのカソードは、接地端に接続されている。光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタは、抵抗R1を介して電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記フォトトランジスタのエミッタは、接地端に接続されている。
【0084】
HPF回路110は、電流/電圧変換回路100の出力信号に重畳した低周波成分を除去する回路であり、キャパシタC1(例えば0.1μF)と、抵抗R2(例えば4.7MΩ)とを含む。キャパシタC1の第1端は、光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタに接続されている。キャパシタC1の第2端は、抵抗R2を介して接地端に接続されている。なお、上記構成から成るHPF回路110のカットオフ周波数は、0.34Hzに設計されている。
【0085】
増幅回路120は、HPF回路110の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP1と、抵抗R3(例えば100kΩ)と、抵抗R4(例えば10kΩ)と、キャパシタC2(例えば0.01μF)と、キャパシタC3(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP1の非反転入力端(+)は、キャパシタC1の第2端に接続されている。オペアンプOP1の反転入力端(−)は、抵抗R3を介してオペアンプOP1の出力端に接続される一方、抵抗R4を介して接地端にも接続されている。オペアンプOP1の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP1の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC2は、抵抗R3と並列に接続されている。キャパシタC3は、オペアンプOP1の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0086】
LPF回路130は、増幅回路120の出力信号に重畳した高周波成分を除去する回路であり、抵抗R5(例えば100kΩ)と、キャパシタC4(例えば1.0μF)と、を含む。抵抗R5の第1端は、オペアンプOP1の出力端に接続されている。抵抗R5の第2端は、キャパシタC4を介して接地端に接続されている。なお、上記構成から成るLPF回路130のカットオフ周波数は、1.6Hzに設定されている。
【0087】
増幅回路140は、LPF回路130の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP2と、可変抵抗R6(例えば500kΩ)と、抵抗R7(例えば10kΩ)と、キャパシタC5(例えば0.01μF)と、キャパシタC6(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP2の非反転入力端(+)は、抵抗R5の第2端に接続されている。オペアンプOP2の反転入力端(−)は、可変抵抗R6を介してオペアンプOP2の出力端に接続される一方、抵抗R7を介して接地端にも接続されている。オペアンプOP2の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP2の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC5は、可変抵抗R6と並列に接続されている。キャパシタC6は、オペアンプOP2の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0088】
第1構成例のフィルタ部12であれば、簡易な回路構成により、光センサ部11の出力信号に重畳するノイズ成分を除去して、脈波データの検出精度を高めることができる。
【0089】
ただし、第1構成例のフィルタ部12では、被験者の体動ノイズ(運動によって生じる6.0Hz程度のノイズ成分)を十分に除去し切れない場合があり、被験者の運動時における脈波を高精度に検出するためには、さらなる改善の余地を残していた(図14の下段を参照)。
【0090】
図13は、フィルタ部12の第2構成例を示す回路図である。第2構成例のフィルタ部12は、電流/電圧変換回路200と、1次CRハイパスフィルタ回路210(以下、HPF回路210と呼ぶ)と、ボルテージフォロワ回路220と、2次CRローパスフィルタ回路230(以下、LPF回路230と呼ぶ)と、増幅回路240と、6次バンドパスフィルタ回路250(以下、BPF[band pass filter]回路250と呼ぶ)と、増幅回路260と、中間電圧生成回路270と、を有する。
【0091】
電流/電圧変換回路200は、光センサ部11から出力される電流信号を電圧信号に変換する回路であり、抵抗R8(例えば200kΩ)と、抵抗R9(例えば430Ω)と、を含む。光センサ部11を形成する発光ダイオードのアノードは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記発光ダイオードのカソードは、抵抗R9を介して接地端に接続されている。光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタは、抵抗R8を介して電源電圧VDDの印加端に接続されている。前記フォトトランジスタのエミッタは、接地端に接続されている。
【0092】
HPF回路210は、電流/電圧変換回路200の出力信号に重畳した低周波成分を除去する回路であり、キャパシタC7(例えば1.0μF)と、抵抗R10(例えば240kΩ)と、を含む。キャパシタC7の第1端は、光センサ部11を形成するフォトトランジスタのコレクタに接続されている。キャパシタC7の第2端は、抵抗R10を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。なお、上記構成から成るHPF回路210のカットオフ周波数は、0.66Hzに設計されている。
【0093】
ボルテージフォロワ回路220は、HPF回路110の出力信号を後段に伝達する回路であり、オペアンプOP3と、キャパシタC8(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP3の非反転入力端(+)は、キャパシタC7の第2端に接続されている。オペアンプOP3の反転入力端(−)は、オペアンプOP3の出力端に接続されている。オペアンプOP3の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP3の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC8は、オペアンプOP3の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0094】
LPF回路230は、ボルテージフォロワ回路220の出力信号に重畳した高周波成分を除去する回路であり、抵抗R11(例えば620kΩ)と、抵抗R12(例えば620kΩ)と、キャパシタC9(例えば1.0μF)と、キャパシタC10(例えば1.0μF)と、を含む。抵抗R11の第1端は、オペアンプOP3の出力端に接続されている。抵抗R11の第2端は、抵抗R12の第1端に接続される一方、キャパシタC9を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。抵抗R12の第2端は、キャパシタC10を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。なお、上記構成から成るLPF回路230のカットオフ周波数は、0.26Hzに設定されている。
【0095】
増幅回路240は、LPF回路230の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP4と、抵抗R13(例えば10kΩ)と、抵抗R14(例えば1kΩ)と、キャパシタC11(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP4の非反転入力端(+)は、抵抗R12の第2端に接続されている。オペアンプOP4の反転入力端(−)は、抵抗R13を介してオペアンプOP4の出力端に接続される一方、抵抗R14を介して中間電圧VMの印加端にも接続されている。オペアンプOP4の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP4の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC11は、オペアンプOP4の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0096】
BPF回路250は、増幅回路240の出力信号に重畳した低周波成分と高周波成分を除去する回路であり、オペアンプOP5〜OP7と、抵抗R15(例えば75kΩ)と、抵抗R16(例えば2MΩ)と、抵抗R17(例えば150kΩ)と、抵抗R18(例えば130kΩ)と、抵抗R19(例えば91kΩ)と、抵抗R20(例えば620kΩ)と、抵抗R21(例えば43kΩ)と、抵抗R22(例えば30kΩ)と、抵抗R23(例えば200kΩ)と、キャパシタC12(例えば1μF)と、キャパシタC13(例えば1μF)と、キャパシタC14(例えば0.1μF)と、キャパシタC15(例えば1μF)と、キャパシタC16(例えば1μF)と、キャパシタC17(例えば0.1μF)と、キャパシタC18(例えば1μF)と、キャパシタC19(例えば1μF)と、キャパシタC20(例えば0.1μF)と、を含む。
【0097】
抵抗R15の第1端は、オペアンプOP4の出力端に接続されている。抵抗R15の第2端は、抵抗R16を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP5の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP5の反転入力端(−)は、キャパシタC12を介して抵抗R15の第2端に接続される一方、抵抗R17を介してオペアンプOP5の出力端にも接続されている。オペアンプOP5の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP5の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC13は、抵抗R15の第2端とオペアンプOP5の出力端との間に接続されている。キャパシタC14は、オペアンプOP5の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0098】
抵抗R18の第1端は、オペアンプOP5の出力端に接続されている。抵抗R18の第2端は、抵抗R19を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP6の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP6の反転入力端(−)は、キャパシタC15を介して抵抗R18の第2端に接続される一方、抵抗R20を介してオペアンプOP6の出力端にも接続されている。オペアンプOP6の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP6の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC16は、抵抗R18の第2端とオペアンプOP6の出力端との間に接続されている。キャパシタC17は、オペアンプOP6の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0099】
抵抗R21の第1端は、オペアンプOP6の出力端に接続されている。抵抗R21の第2端は、抵抗R22を介して中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP7の非反転入力端(+)は、中間電圧VMの印加端に接続されている。オペアンプOP7の反転入力端(−)は、キャパシタC18を介して抵抗R21の第2端に接続される一方、抵抗R23を介してオペアンプOP7の出力端にも接続されている。オペアンプOP7の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP7の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC19は、抵抗R21の第2端とオペアンプOP7の出力端との間に接続されている。キャパシタC20は、オペアンプOP7の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0100】
なお、上記構成から成るBPF回路250は、0.80〜2.95Hzの通過周波数帯域を持つ。
【0101】
増幅回路260は、BPF回路250の出力信号を増幅する回路であり、オペアンプOP8と、可変抵抗R24(例えば1MΩ)と、抵抗R25(例えば1kΩ)と、キャパシタC21(例えば0.1μF)と、を含む。オペアンプOP8の非反転入力端(+)は、オペアンプOP7の出力端に接続されている。オペアンプOP8の反転入力端(−)は、可変抵抗R24を介してオペアンプOP8の出力端に接続される一方、抵抗R25を介して中間電圧VMの印加端にも接続されている。オペアンプOP8の第1電源端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。オペアンプOP8の第2電源端は、接地端に接続されている。キャパシタC21は、オペアンプOP8の第1電源端と接地端との間に接続されている。
【0102】
中間電圧生成回路260は、電源電圧VDDを1/2に分圧して中間電圧VM(=VDD/2)を生成する回路であり、抵抗R26(例えば1kΩ)と、抵抗R27(例えば1kΩ)と、キャパシタC22(0.1μF)と、を含む。抵抗R26の第1端は、電源電圧VDDの印加端に接続されている。抵抗R26の第2端と抵抗R27の第1端は、いずれも中間電圧VMの印加端に接続されている。抵抗R27の第2端は、接地端に接続されている。キャパシタC22は、抵抗R27に対して並列に接続されている。
【0103】
第2構成例のフィルタ部12であれば、被験者の体動ノイズを適切に除去することができるので、被験者の安静時における脈波はもちろん、被験者の運動時(例えば歩行時)における脈波についても高精度に検出することが可能となる(図14の上段を参照)。
【0104】
また、第2構成例のフィルタ部12において、HPF回路210、LPFフィルタ回路230、増幅回路240、BPF回路250、及び、増幅回路260は、いずれも中間電圧VM(=VDD/2)を基準電圧として動作するので、フィルタ部12の出力信号は、中間電圧VMに対して上下に振幅変動する波形となる。従って、第2構成例のフィルタ部12であれば、出力信号の飽和(電源電圧VDDや接地電圧への張り付き)を防止して、脈波データを正しく検出することが可能となる。
【0105】
<出力波長についての考察>
実験では、いわゆる反射型の脈波センサ1において、発光部の出力波長をλ1(赤外:940nm)、λ2(緑:630nm)、及び、λ3(青:468nm)とし、発光部の出力強度(駆動電流値)を1mA、5mA、10mAに変化させたときの挙動を各々調査した。その結果、およそ波長600nm以下の可視光領域において、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数が大きくなり、測定される脈波のピーク強度が大きくなるため、脈波の波形を比較的取得しやすいことが分かった。
【0106】
なお、動脈血の酸素飽和度を検出するパルスオキシメータでは、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数(実線)と脱酸素化ヘモグロビンHbの吸収係数(破線)との差違が最大となる近赤外領域の波長(700nm前後)が発光部の出力波長として広く一般的に用いられているが、脈波センサ(特に、いわゆる反射型の脈波センサ)としての利用を考えた場合には、上記の実験結果で示したように、波長600nm以下の可視光領域を発光部の出力波長として用いることが望ましいと言える。
【0107】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、脈波センサの利便性を高めるための技術として利用することが可能であり、ヘルスケアサポート機器、ゲーム機器、音楽機器、ペットコミュニケーションツール、車両の運転手の居眠り防止機器など、様々な分野への応用が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0109】
1 脈波センサ
2 生体(手首、耳朶)
10 本体ユニット
11 光センサ部
11a ケース
11b 遮光壁
11c 集光レンズ
11d、11e 蓋部材
11z 透光板
12 フィルタ部
13 制御部
14 表示部
15 通信部
16 電源部
20 ベルト
30 バネ蝶番
A 発光部(発光チップ)
B 受光部(受光チップ)
X 発光部
X1 基板
X2 発光チップ
X3 封止体
X4 ワイヤ
X5 導電体
X6 カラーフィルタ
Y 受光部
Y1 基板
Y2 受光チップ
Y3 封止体
Y4 ワイヤ
Y5 導電体
Y6 カラーフィルタ
100 電流/電圧変換回路
110 1次CRハイパスフィルタ回路
120 増幅回路
130 1次CRローパスフィルタ回路
140 増幅回路
200 電流/電圧変換回路
210 1次CRハイパスフィルタ回路
220 ボルテージフォロワ回路
230 2次CRローパスフィルタ回路
240 増幅回路
250 6次バンドパスフィルタ回路
260 増幅回路
270 中間電圧生成回路
R1〜R27 抵抗
C1〜C22 キャパシタ
OP1〜OP8 オペアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、
前記光センサ部を担持する本体部と、
を有する脈波センサであって、
前記本体部は、前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍に設けられていることを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記本体部は、両端にベルトが接続されるものであり、
前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記本体部は、第1端にバネ蝶番が接続されて第2端が開放端とされるものであり、
前記光センサ部は、前記本体部の第2端から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項5】
前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項1】
発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、
前記光センサ部を担持する本体部と、
を有する脈波センサであって、
前記本体部は、前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍に設けられていることを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記本体部は、両端にベルトが接続されるものであり、
前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記本体部は、第1端にバネ蝶番が接続されて第2端が開放端とされるものであり、
前記光センサ部は、前記本体部の第2端から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項5】
前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公開番号】特開2013−63205(P2013−63205A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204408(P2011−204408)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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