脈管内をクリッピングし、腔内および組織欠損を修復するための方法およびシステム。
植え込み型閉塞構造体は、低侵襲性の技術を用いて搬送され、液体および微粒子状物質が動脈瘤や中隔欠損などの生理的空洞や開口部から移動することを妨げ、同様に、血管や房内から生理的空洞や開口部へ液体および微粒子状物質が流れることを妨げる。本デバイスは、空洞の開口部や頸部を覆う閉塞構造体と、該閉塞構造体を前記空洞や開口部に渡って適切な位置で支持し固定するための1つ以上のアンカー構造体とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低侵襲技術を用いて、ほ乳類の血管やガス流路などの内腔内の欠陥を治療する一般的なシステムおよび方法に関する。より詳細には、 動脈瘤や血管不整、中隔欠損およびその他組織欠損、流路不整などの人間および動物の生態構造体における欠損を、低侵襲技術を用いて、閉塞、クリッピングし、治療するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管や中隔欠損、その他の生理学的欠陥など、身体の内腔や組織を修復したり開口部を閉じるための外科手術の手技は、高い侵襲性を有する。例えば、動脈瘤をクリッピで挟むという外科手術の手技では、頭蓋を開頭し、上層を被覆する脳組織を切開ないしは除去し、動脈瘤にクリップをかけることにより血管の修復を行い、脳組織を元に戻して頭蓋を閉頭する。中隔欠損症に用いられる外科手術手技も侵襲性が高い。この種の治療の術中もしくは術後における麻酔、出血、感染等のリスクは高く、手術を施された組織は機能不全に陥ることもある。
【0003】
低侵襲性の手技として、血管、脊柱、卵管、胆管、気管支気道などの体内開口部や体内管腔部に閉塞装置を設置する手技が代替的に用いられている。一般的に、植え込み型装置は、搬送カテーテルによって所望の場所に誘導され、プッシャーや搬送ワイヤなどの押出機構によって搬送カテーテルの遠位端開口から押し出されて、治療対象部に配置される。閉塞装置が設置された後、押出機構は閉塞装置や周辺組織に損傷を与えることなく抜き取られる。
【0004】
動脈瘤とは、動脈に発生する隆起部分のことであり、一般的に動脈壁の弱体化により生じるとされ、開口や内腔を形成し、しばし脳内出血や脳卒中を起こす部位となる。低侵襲治療の目的は、内腔内にまとめられる物質が血管へ入り込まず、かつ血流が瘤内に入り込まないようにすることにある。このために様々な種類の物質や装置が用いられている。
【0005】
各種の塞栓物質や装置により、動脈瘤に関する患者へのリスクが低減されている。塞栓物質の種類の1つに、微笑繊維コラーゲン、高分子ビーズ、発泡性ポリビニルアルコールなどの注入流体や緩和剤がある。これら高分子物質は血管内での物質の持続性と関連している。これらの物質はカテーテルを通して血管内に注入される。短期間で優れた閉塞を発揮する物質もあるが、たいていは血液中に吸収されて再疎通を許してしまう。他にも、ホッグ・ヘアーや金属粒子によるサスペンションが動脈瘤の閉塞を促進させるものとして提案され使用されている。シアノアクリレートなどの高分子樹脂も血管閉塞用の注入物質として採用されている。これらの樹脂は、放射線不透過物質と混合して用いられるか、タンタル粉を添加して放射線不透過とするのが通常である。これらの物質はひとたび血管内に設置した後に回収することは、困難もしくは不可能である。
【0006】
植え込み型の血管塞栓用金属組織も広く知られており、使用されている。多くの血管塞栓具は、ヘリカル状コイルや形状記憶金属からなるものであり、搬送カテーテルの遠位端から排出されて所望の形状に形成される。コイルは、欠陥により形成された空間を充填し、塞栓の形成を促進することを目的としている。同一ないし異なる種類の複数個のコイルをひとつの動脈瘤内に連続的に移植することもできる。動脈瘤の壁を安定させるために、コイルなどの塞栓物質を挿入する前に骨格構造体物を移植することもできる。
【0007】
血管塞栓具を目的部位まで搬送するにあたっては、一般的に搬送カテーテルと目的部位にコイルを設置した後に搬送カテーテルからコイルを離脱させる離脱機構とを使用する。まず最初に、マイクロカテーテルが搬送カテーテルを通じて動脈瘤の入口付近へ誘導される。通常はガイドワイヤを用いて行われる。ガイドワイヤやマイクロカテーテルから引き抜かれて、植え込み型の血管内閉塞コイルが留置される。血管内閉塞コイルは、マイクロカテーテル内を進出し、マイクロカテーテルから排出されて動脈瘤や血管奇形部に配置される。血管塞栓具の移植とメンテナンスは極めて重要である。血管塞栓具の移動や挿入は血流や生体構造体に左右され、深刻な健康上のリスクをもたらす。
【0008】
「ワイドネック型動脈瘤」として知られている動脈瘤のタイプのひとつは、血管内閉塞コイルの配置と保持が難しいとされている。ワイドネック型動脈瘤とは、一般的に 動脈瘤の直径と比較してそれよりも広い頸部またはエントラスゾーンを有する血管壁からなる動脈瘤のことをいい、血管内閉塞コイルを上述の方法によって配置することは困難であることが臨床上確認されている。
【0009】
コイルや他の塞栓物質を動脈瘤の腔内に配置することは十分には成功していない。配置処置には、コイルなどの複数の塞栓具を血管腔内に連続的に設置する必要があり、困難と時間を伴う。長時間にわたる処置は、動脈瘤から合併症や出血、感染症などを生じさせるリスクが高くなる。さらに、動脈瘤内の空間に物質を配置しても、開口部が完全にふさがれることは一般的になく、再疎通が生じやすく、閉塞物質が動脈瘤内から流出して脳梗塞、血管閉塞、その他の合併症が生じるリスクがある。塞栓物質が流出した後は、血液も動脈瘤内や血管奇形部へ流れ込み、合併症や動脈瘤のさらなる拡張化もたらすリスクが増大する。さらに、従来のコイルや塞栓具がうまく適合しない動脈瘤や欠損も存在する。
【0010】
動脈瘤内に血管閉塞コイルを保持するデバイスが提案されている。かかるデバイスのひとつは、米国特許第5980514号明細書に開示されている。このデバイスは、動脈瘤の栄養血管内腔に設置され、コイルを動脈瘤内に保持する。血管壁に作用する高圧力によってデバイスは固定される。デバイスを適当な場所に設置した後、保持デバイス後方からマイクロカテーテルが挿入され、血管閉塞具を配置すべくカテーテルの遠位端が血管腔内に挿入される。この保持デバイスが血管腔内からの閉塞装置の移動を防止する。
【0011】
動脈瘤を閉塞する他の方法として、米国特許5749894号明細書に開示された血管閉塞装置がある。この装置は、コイルやひもからなり、凝固により障壁を形成する高分子組成からなる外表面を有している。高分子化合靴は光の照射により活性化し、溶け、血管閉塞装置の外側に高分子表面を形成する。該装置はさまざまな部位にくっつき、動脈瘤内に堅固な塊を形成する。
【0012】
動脈瘤の頸部に掛け渡される装置も提案されている。例えば、米国出願2003/0171739 A1には、分岐部に取り付けられた複数のアレイ素子と該アレイ素子や分岐部に取り付けられたカバーとを有するネックブリッジが開示されている。アレイ素子はニトノール合金を採用することができ、カバーには、繊維、メッシュ、そのたシート状構造体物を採用することができる。
【0013】
米国特許出願2004/008799号には、2枚のシートもしくは1枚のシートと1本の支柱構造体により欠陥閉塞具を固定し、開口を閉塞するための装置、および血管閉塞方法が開示されている。本公報は、密着や線維化、組織増殖や内皮増殖を促進するのに用いられる数多くの生体適合材料や物質が列挙されている。
【0014】
米国特許出願2004/0193296号には、少なくとも動脈瘤の一部を閉塞するための装置が開示されており、この装置は、互いに移動して搬送部と配置部との間にブリッジを形成する複数の細長い部材を含んでいる。第1のアレイは動脈瘤内部に配置され、第2のアレイが動脈瘤の外側に配置される2つのアレイブリッジも開示されている。
【0015】
中隔欠損を閉塞する装置も広く知られている。かかる装置は、心臓や血管系の内腔や欠損を閉塞する。例えば、米国特許第6077291号明細書や米国特許第6911037号明細書に中隔閉塞装置が開示されている。気管支の内腔をシールする、もしくは一部をシールする気管支血流調整装置も知られており、例えば米国特許第7011094号明細書を参照されたい。
【0016】
植え込み型デバイスを配置の後に離脱するために現在用いられている手段には、機械的手法、電気的手法、水圧を用いた手法がある。機械的手法のものは、閉塞装置とプッシュワイヤが機械的接続具ないしは内部ロックにより結合されており、ひとたび離脱されると、装置がカテーテルから排出される。かかる装置の例は、米国特許第5263964号、第5304195号、第5350397号および第5261916号に開示されている。
【0017】
電気的手法のものは、繊維や接着剤により構成される結合状態がプッシャーワイヤと閉塞装置を連結させている。装置が所望の場所に配置された後に、前記結合を電流や熱(例えばレーザーを用いて)によって術者が電気的に分解する。このような装置の例は米国特許第5624449号明細書に開示されている。かかる装置は、電気分解により発生した物質が動脈瘤内に放出され、患者に潜在的な危険を与えるという欠点を有している。電気的離脱は、閉塞装置を配置させる作業に時間がかかる。
【0018】
水圧を用いた手法のものは、プッシュワイヤがカップリング重合により閉塞装置と連結されている。プッシュワイヤは、術者がワイヤの近位端から水圧注射を接続するためのマイクロルーメンを有している。注射部に圧力が掛けられると、水圧が上がり、カップリング重合部が破壊され、装置が離脱される。かかる装置の例は、米国特許第6689141号明細書に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
低侵襲性の技術を用いた欠損のさまざまな閉塞装置や方法が知られているが、これらの手法は依然として危険を伴い、例え開口を閉塞するのに成功しても、生理的構造体、通常の健康状態に修復されることはほとんどない。本発明における方法およびシステムは、開口の閉塞、組織欠損の治療、血管等生理的構造体の修復、通常の健康状態への修復を行う低侵襲性処置の長さ、煩雑性を低減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は内腔の開口部または腔内を低侵襲性の技術を用いることにより修復する方法およびシステムに関する。一般的に、これらのシステムおよび方法は、開口部や腔内のような血管異常に関して使用されるものであり、本明細書においては動脈瘤やその他血管欠損への適用に関して開示している。しかしながら、本発明に係るシステムおよび方法は、これらへの適用に限られるものではなく、所望の開口部や腔内や組織を修復し復元すべくざまざまな形態での医学的適用が可能であることは当然である。
【0021】
実施態様の一つとして、本発明に係る方法およびシステムは、閉塞構造体を開口部や腔内に渡って配置し、開口部や腔内に、動脈瘤のような開口部や腔内を切り取り、親動脈から除去する手段として作用する1つ以上のアンカー構造体を使用して閉塞構造体を開口部に保持することにより、血管などの内腔を修復および復元する。配置した後、閉塞構造体は前記開口部や腔内を覆って、健康時の内腔壁とほとんど同じ連続した内腔壁を形成する。アンカー構造体も閉塞構造体も内腔内の血流を妨げることはない。本処置を行っている最中もしくは行った後に、内皮や組織の成長を促進させる物質や、接着剤、治療薬、非血栓形成物質など、さまざまな物質を修復部に提供することができる。
【0022】
別の実施態様として、本発明に係る方法およびシステムは、開口部をまたぐ欠損の細胞伝達を制限する閉塞構造体を配置し、前記閉塞構造体を1つ以上のアンカー構造体を使用して前記開口部に保持することにより動脈瘤などの欠損を除去する。本発明に係る方法およびシステムは、欠損もしくはその一部を縮小し再吸収させることをさらに促進し、欠損内部の止血を促進する。また本発明における動脈瘤を治療するための方法およびシステムは、欠損部周囲の血管の構造体や機能を回復させるのみならず、動脈瘤内部の物質を安定させ、血流内に破片が入ることを防ぎ、動脈瘤の大きさおよび質量の軽減を促進する。
【0023】
内腔内や血管内での処置は、さまざまな種類の医療行為に用いられる植え込み型デバイスや材料の設置に共通して使用される。血管内ガイドカテーテルは患者の血管内に大腿動脈を通じて挿入され、血管内を通って、所望の治療部へ到達する。さらなる搬送機構や特別なカテーテル、マイクロカテーテルやプッシャーデバイスなど、さまざまな種類のデバイスや補機の搬送を用意にするために採用することができる。植え込み型デバイスは一般的に、プッシャーや搬送機構に着脱可能に取り付けられており、ガイドカテーテルを通して目的部に案内され、そこで展開されて搬送機構から分離される。搬送機構は、ガイドカテーテルを通して引き戻され、付加的デバイス、補機、薬剤などは必要であればガイドカテーテルの除去の前に、目的部へ搬送される。
【0024】
本発明にかかる方法は、閉塞構造体と、1つ以上のアンカー構造体と有するデバイスを小さな直径の搬送状態で所望の修復部へ低侵襲性技術を用いて案内することを含んでいる。一実施例として、タイドワイヤはガイドカテーテルを通じて対象とされる修復部へ案内される。閉塞装置は対象とされる修復部へ案内されて、ガイドワイヤの先で展開される。このましい実施例として、閉塞デバイスは搬送カテーテルの遠位端部に予め取り付けられていることが好ましい。ガイドワイヤ、搬送カテーテル、閉塞デバイス、プッシャー、分離デバイスは、適当な大きさを有し、長い内腔内および曲がりくねった通路をしっかり進むために、適度な可撓性、押圧力を有していることが好ましい。長く曲がりくねった通路は妨害されるので、植え込み型デバイスを搬送するためには、搬送カテーテルおよび植え込み型デバイスの双方に、所要の可撓性、押圧性および誘導性をそなえる大きさおよび形状を有していなくてはならない。
【0025】
一実施例において、本発明に係る方法は、閉塞装置および少なくとも2つのアンカー構造体を小さな直径の搬送状態において欠損部の近傍に有するさらに欠損閉塞システムを案内し位置させることを含んでいる。一般的に、第一のアンカー構造体は、欠損部もしくは開口部の近傍の表面に接触して、もしくは近傍に設置されて展開される。展開により、第1のアンカー構造体は、円周方向に開いて広がり、閉塞構造体の周囲長よりも大きな周囲長の構造体をなす。閉塞構造体は、欠損部や開口部に渡って配置されて展開し、欠損部や開口部を覆い閉塞する。閉塞構造体が配置された後に、第2のアンカー構造体が、欠損部や開口部と向き合う表面と接触して、もしくは近傍に配置されて展開される。第2のアンカー構造体は、円周方向に開いて広がり、閉塞構造体の周囲長よりも大きな周囲長の構造体をなす。展開した状態でのアンカー構造体は、内腔表面や欠損近傍の組織と接触しているか、近くに位置していることが好ましく、閉塞構造体は開口部を覆い、正常な構造体および形状に回復させるために閉じられている内腔壁や欠損の構造体および形状と一致している。アンカー構造体は、欠損構造体と向かい合う表面と接触する作用を奏し、欠損部近傍の健康な組織と接触し、位置して閉塞構造体を開口部に保持するために拡張する作用を奏している。
【0026】
欠損閉塞システムの配置は、放射線透過性マーカーを搬送カテーテルおよび/または欠損閉塞システムに設置することによりなすこともできる。1つ以上の放射線透過性マーカーが例えば第1のアンカー構造体である前記デバイスの遠位端(搬送状態において);閉塞構造体である前記デバイスの中間部(搬送状態において);および/または第2のアンカー構造体である前記デバイスの近位端に設けることができる。前記デバイスは、遠位端放射線透過性マーカーを欠損開口部にわたって、および欠損開口部の近傍に設置し、第1のアンカー構造体を展開する;中央放射線透過性マーカーを欠損開口部に設置し、閉塞構造体を展開する;近位端放射線透過性マーカーを開口部のやや外側に設置し第2のアンカー構造体を展開することにより、展開することができる。放射線透過性マーカーを閉塞デバイスおよび/または搬送カテーテルに関して使用することにより、アンカーおよび閉塞構造体の設置および展開を正確に行うことができる。前記閉塞システムは、アンカー構造体を開口部近傍の組織と向かい合った面に円周状に配置し、閉塞構造体を開口部に配置することにより、しっかり固定されて保持される。閉塞システムの位置は、設置し治療した後に、デバイスに設けられた放射線透過性マーカーの位置を調べることにより、観測することができる。
【0027】
本発明における移植方デバイスは開口部または腔内を閉塞し伸ばすために閉塞構造体を採用している。前記閉塞構造体は、下に述べるさまざまな材料で構成することができる。展開した状態における閉塞構造体の寸法および形状は、少なくとも動脈瘤頚部などの欠損開口部よりも大きく、閉塞構造体が展開したときに開口部を覆うことが好ましい。閉塞構造体は、連続的に閉塞した表面積を有することができ、他の実施例として、ガイドワイヤを使用した設置を容易にするため、および/または補助的植え込み型デバイスの搬送や物質の搬送を容易にするための1つ以上の開口部を有するとすることができる。
【0028】
閉塞構造体は、ある実施例において 前記構造体を再現し対象組織が移動する(例.拍動性)のに十分な半径方向の可撓性を有している。閉塞構造体が動脈瘤の頸部に配置されると、効果的な血管壁の修復および強度、構造体、可撓性を回復をなしながら、血管の動きに追従する。好ましい実施例においては、閉塞構造体および/またはアンカー構造体は、血管欠損に配置された後に、欠損を修復するだけでなく、細胞の成長を促し、さらに、閉塞構造体を生理的構造体に組み込み、前記構造体が欠陥状態に戻る機会を減少させる。
【0029】
閉塞構造体は、表面領域もしくはその構造体の一部分を介して補強構造体を組み込むとすることができる。一実施例として、例えば、弾力性のある可撓性シート材料を定形ないし不定形模様の補強構造体に付けることができる。一実施例において、閉塞構造体は補強力を与えるワイヤループもしくはフレームワーク構造体によって周辺部近傍に支持され、付加的もしくは代替的にアンカー構造体を備えている。一実施例において、補強構造体は1つ以上のアンカー構造体と一体となった、もしくは1つ以上のアンカー構造体を取り付けるための襟構造体を含んでいる。
【0030】
ある実施例において、アンカー構造体は、閉塞構造体を欠損開口部と向かい合った内腔壁へ偏らせている。ある実施例におけるアンカー構造体は複数個設けられており、閉塞構造体を欠損開口部と向かい合った内腔壁へ偏らせている。他の実施例においても、複数個のアンカー構造体が設けられており、少なくとも1つのアンカー構造体は開口部近傍の内腔壁と接触またはその近傍に位置し、少なくとも1つのアンカー構造体は欠損部の外側内腔壁もしくは内側内腔壁と接触またはその近傍に位置している。ある実施例におけるアンカー構造体は、開口部近傍の欠損内腔壁の内側および外側において円周状に位置し、閉塞構造体は開口部に位置して覆い、効果的に開口部の一方側から他方側を締め出し、腔内を原型である閉じた構造体に回復させる。
【0031】
ある実施例において、アンカー構造体は少なくとも部分的に開口部近傍の血管の一面もしくは両面と接触し、閉塞構造体を開口部に支持することを目的としている。アンカー構造体は非外傷性で近傍の組織を傷つけたり、血管内の血流を妨げることなく閉塞構造体を支持する。一実施例において、アンカー構造体はループ構造体もしくは開口を有するクリップ構造体をなし、表面部分の物質密度は閉塞構造体の表面部分における密度よりも低い。植え込み型デバイスは一般的に小さな直径を有し、搬送状態において円筒形状をなし、この状態において、アンカー構造体は中央の閉塞構造体から互いに反対の方向へ突出している。設置のさいに、アンカー構造体は形を変化させ、外側へ円周形状に開き、より大きな直径のアンカー構造体をなす。搬送状態の位置としての、遠位および近位端アンカー構造体は、腔内の両サイドへ展開され、ほぼ同一の形状および寸法を有するとすることができる。またアンカー構造体は、異なる長さ、形状、構造体からなるとすることもできる。ある実施例において、アンカー構造体は、内腔の内側および外側に位置し互いに整列されており、一方で他の実施例においては互いにジグザグ状をなして配置されている。
【0032】
他の実施例において、植え込み型デバイスは上述のように1つ以上のアンカー構造体および/または襟構造体と組み合わされた閉塞構造体を含んでいる。この実施例において、アンカー構造体は閉塞構造体にもうけられた少なくとも2つの位置決めループを含んでいる。位置決めループは、展開した状態において、動脈瘤および/または動脈瘤近傍の血管壁の内壁と接触する大きさおよび形状を有しており、閉塞構造体を動脈瘤の壁側もしくは動脈瘤頚部近傍の血管壁側へと偏らせ、閉塞構造体が動脈瘤の頸部を覆うように固定する。
【0033】
展開した状態において、閉塞構造体およびアンカー構造体は、動脈瘤頚部の内側および/または外側に位置させることができる。ある実施例において、例えば、植え込み型デバイスは動脈瘤内部に位置させ、その結果アンカー構造体は動脈瘤の内壁と接触し、閉塞構造体はその周辺部で動脈瘤の頸部を覆う。別の実施例において、植え込み型デバイスは動脈瘤における血管に配置され、その結果アンカー構造体は血管壁と接触し、閉塞構造体はその周辺部で動脈瘤の頸部を覆う。アンカー構造体の形状によって、複数個のアンカーループが配置の後に動脈瘤の近くの血管壁と接触ないしは近傍に位置するように設けられる。
【0034】
さらに別の実施例において、植え込み型デバイスは、閉塞メンブレンンと結合するテーパ状のもしくは円錐状の閉塞構造体と、少なくとも2つの位置決め部材を有するアンカー構造体とを含む。この実施例において、閉塞構造体のテーパ部は、形状変更可能な金属素材からなる非連続的メッシュを含み、配置のさいに少なくとも一部が動脈瘤の内壁と接触するように広がる。テーパ状の非連続的メッシュ構造体の基部は閉塞構造体と結合されていることが好ましい。アンカー構造体は閉塞構造体に設けられ、複数の位置決めループを含ませてもよく、展開した状態において少なくとも動脈瘤頸部近傍の血管壁と接触する。他の実施例によれば、アンカー構造体は少なくとも2つの花弁状の構造体を有し、例えば透過性ないし非透過性の皮膜にもうけられた金属構造体を有している。別の実施例によれば、アンカー構造体は、閉塞構造体よりも浅い形状を有した第2のテーパ状の非連続的メッシュ構造体を含むとすることができる。
【0035】
動脈瘤の頸部に配置される閉塞構造体は、別のデバイスのガイドワイヤが通ることのできる、もしくは部品やデバイスなどを閉塞システムに続いて導入するための中央開口部もしくは溝を有していてもよい。本発明における方法によれば、コイルなどの塞栓症デバイスや液体状、微粒子状塞栓が閉塞構造体を設置した後に搬送カテーテルを通して閉塞構造体の開口部に注入される。ある実施例において、塞栓物質および/またはデバイスは、閉塞デバイスの周辺部を動脈瘤の内壁側へ偏らせ、その結果閉塞デバイスを動脈瘤の頸部で固定している。
【0036】
ここに開示した植え込み型デバイスは、目的箇所へ搬送カテーテルを通してプッシャー搬送システムおよび/または離脱機構をしようすることにより搬送することができる。閉塞構造体、支持フレームワークおよびアンカー構造体は搬送軸に沿って圧縮されており、搬送状態において円筒形状に配列されている。プッシャー機構を使用する実施例において、プッシャーはアンカーデバイスの近傍に配置されており、閉塞デバイスを搬送カテーテルと関係づけながら移動させることができる。前記デバイスを搬送カテーテルから押し出し、前記デバイスを静的状態に保つ一方でカテーテルを引き戻すことによって展開される。代替実施例において、植え込み型デバイスは、配置された後に切り離される取り外し可能な要素を含んでいる。離脱機構は周知であり、機械的手法、電気的手法、水圧的手法、およびその他のシステムが植え込み型デバイスを展開するために用いられる。
【0037】
ある展開システムにおいて、デバイスワイヤが本発明における植え込み型デバイスに設けられている。前記デバイスワイヤは、線形であり搬送ワイヤやカテーテルなどの近位端部で固定的に結合されたている形状変形活性化要素を含む離脱機構に、もしくはその近傍に取り付けられている。前記デバイスの近位端部と前記活性化要素の遠位端部は、交配型接続機構でなり、搬送状態において確実に接続され所望の離脱位置に植え込み型デバイスを案内する。デバイスワイヤからの活性化要素の離脱は、所望の位置にデバイスを配置した後に、熱や電流などにより形状変形力を活性化要素に与えることによりなされ、活性化要素の形状が変化することによりデバイスワイヤが解放され、活性化要素および搬送ワイヤを引き戻すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明における植え込み型システムは、その詳細を動脈瘤閉塞デバイスへの適用に関して記述および図示している。しかしながら、これらシステムが本適用に限られず、血管、組織、気管支気道などの治療および修復に関して適用できることは当然である。同様に、欠損および開口部を修復するための出願人の方法がここに記載されたシステムに限られないことも当然である。
【0039】
本発明における植え込み型閉塞デバイスは、組織欠損に掛け渡される閉塞構造体と、該閉塞構造体を適切な位置に固定するアンカー構造体を含んでいる。多くの代替実施例および構造体がここに開示されている。ここに開示されている閉塞構造体に採用されている可撓性パッチもしくはメンブレンンは、カテーテル内を小さな直径の搬送状態で搬送され、展開状態において大きな寸法の形状となることのできる可撓性材料からなる。ある実施例において、前記閉塞構造体は、血液や体液などの液体を通さない不透過性の材料からなる。もしくは、血液や体液などの液体を半分通すもしくは通す透過性の材料からなしてもよい。閉塞構造体は前記デバイスの適用によってさまざまな形状を採用することができ、一般的には、円形、楕円形、卵形、多角形などが採用される。
【0040】
前記閉塞構造体は、生体適合可能な材料であり、かつ搬送時において小さな直径をなすように圧縮可能、折畳み可能、変形可能な材料からなる。前記閉塞構造体を形成する材料としては、例えば、さまざまな種類の天然もしくは人工ポリマー材料、シリコン材料、ゴム材料、ダクロン(登録商標)のような織布もしくは不織布、テフロン(登録商標)のようなポリテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)やゴアテックス(登録商標)、ソフトフォーム(登録商標)、インプラ(登録商標)のような拡張したポリテトラフルオロエチレン共重合体(ePTFE)のようなフッ素重合体組成物、ポリウレタン材料、ポリウレタンとシリコンの化合物および今日重合体などがある。他の実施例において、閉塞構造体は薄膜形状記憶合金、例えばニチノール合金などの薄膜ニッケル・チタン合金である金属材料を含ませてもよい。メンブレンン層およびメンブレンンは複数の成分を含み、組成が与えられる。ある実施例において、前記閉塞構造体は、配置された場所の組織や血管の動作や拍動性に応じて半径方向に可撓性があり、弾力性があり、拡張可能であり、材料から構成される。
【0041】
ある実施例において、前記閉塞構造体は表面に定形ないし不定形のメッシュ類似の構造体を含んでいる。一般的に、メッシュ形状の閉塞構造体は、微細メッシュ構造体を有している。ある実施例における閉塞構造体は、半径方向に拡張可能なメッシュ類似の構造体を有している。他の実施例における閉塞構造体は、1つ以上の軸方向に拡張可能なメッシュ類似の構造体を有している。
【0042】
前記閉塞構造体は、ポーラスもしくは穿孔表面構造体を少なくともその表面積の一部に有していてもよく、穴は一定の気孔率で配列されているか、もしくは、場所によって気孔率が異なって配列されている。標準的な穴の大きさは、閉塞構造体の表面において一定としてもよいし、さまざまな大きさの穴を配置してもよい。一般的に穴の大きさは約0.5から200ミクロンが好ましい。ある実施例における穿孔構造体は、液体が閉塞構造体を横切って流れるのを許すが、赤血球を含む巨大タンパク質や細胞を排除する。一般的に10ミクロン以下の平均的な直径を有する穿孔は巨大タンパク質や細胞を排除し、一方で流体がメンブレンンを横切って流れるのは可能である。前記穿孔の配列は定形ないし不定形のパターンを形成し、前記穿孔の形態は定形でも不定形でもよく、一般的に円形、楕円径、四角形などがある。例えば組織や血管壁と接触する閉塞構造体の周辺部において高気孔率としてもよい。
【0043】
前記閉塞構造体は、代替的もしくは追加的に細胞の付着と成長を促進させるための表面処理加工をその一方もしくは両方の面に施してもよい。例えば、ある実施例において前記閉塞構造体を構成する材料は不規則な粗い面を有しており、細胞の付着を促進させる。別の実施例において、前記閉塞構造体は、くぼみや溝が定形ないし不定形のパターンで組み込まれた3次元形状を有し、細胞の付着と内皮活性化を促進させる。
【0044】
ここに開示されたデバイスにおいて、閉塞構造体および/または植え込み型デバイスの他の部品は、1つ以上のアンカー構造体を含んでおり、細胞の成長と展開部での付着を促進するよう構造体化されもしくは加工されている、もしくは材料を含んでいる。同様に、本願発明における方法は、細胞の成長と内皮活性化を促す物質をデバイスが展開された箇所において、植え込み型デバイスが設置される以前、最中および/またが以降において注入することを伴う。たとえば血管への適用においては、本発明におけるデバイスが配置されることにより修復される動脈瘤やその他の欠損がある場所で血管の内皮活性化を促すことが望ましい。本発明の方法およびシステムにおいて使用されるさまざまな物質は米国特許公報2004/0087988および2004/0193206に記載されており、これらはその全体を参照することにより本書に組み込まれる。
【0045】
多数の材料をデバイスを配置する以前、最中、以降にわたって、もしくは植え込み型デバイスと関連させて投与することができ、細胞の成長を促進させる。生体適合性のある材料を本目的に使用することができ、例えば、コラーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、抗体、サイトカイン、成長因子、酵素などのタンパク質;ヘパリン、コンドロイチンなどの多糖類;生物固有の架橋ゼラチン;ヒアルロンン酸;ポリ(アルファ.ヒドロキシ 酸);RNA;DNA;その他の核酸;ポリグリコイド、ポリラクチド、ポリラクチドグリコイド(polylactid-co-glycolides)などのポリエステル;ポリカプトラクトンを含むポリラクトン;ポリジオキサノンン;ポリリシンなどのポリアミノ酸;ポリシアノアクリレイト;ポリ(フォスファゼン);ポリ(リン酸エステル);ポリエステルアミド;ポリアクセタール;ポリケタール;トリメチレンカーボネートを含むポリカーボネート;分解性ポリエチレン;ポリアルキレンシュウ酸塩;ポリアルキレンコハク酸エステル;キチン;キトサン;酸化セルロース;ポリハイドロキシ酪酸、ポリハイドロキシ吉草酸およびこれらの共重合体を含むポリハイドロキシアルカノエート;ポリエチレン・オキシドの重合体および共重合体;アクリル酸ポリエチレン;ポリアミド;ポリエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリホスファゼン;ポリ(アミド無水物)、ポリ(アミドエステル)無水物、芳香族脂肪酸無水物、芳香族無水物、ポリ(エステル無水物)、脂肪酸無水物などを含むジカルボン酸のモノマーからなる酸無水物;他の生体適合性重合体、共重合体および三元重合体;生物活性物の残留物質;これらの化合物。
【0046】
ポリラクチド、ポリグリコイド、ポリラクチドグリコイド、酸無水物、ポリp-ジオキサン、トリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエートなどを含む、いくつかの生体適合性ポリマーは十分な生体吸収性を有しており、本発明におけるデバイスおよび方法に関して使用するのに適している。一般に十分な生体吸収性を有していないとされる以下に含まれる生体適合性ポリマーも使用するこことができる。ポリアクリル酸塩;エチレン酸塩ビニール;酢酸酸塩セルロースおよび酢酸プロピオン酸セルロースを含むセルロースおよびセルロース誘導体;非侵食性ポレオレフィン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;フッ化ビニル樹脂;ポリビニル(イミダゾール);クロロスルホン化ポリエチレン;ポリエチレン・オキシド;ポリエチレン・グリコール;ポリビニル・ピロリドン;ポリウレタン;ポリシロキサン;これらの共重合体および三元重合体;これらの化合物。他の例となるポリマーは広くしられており、当業者であればかかるポリマーはここに列挙できないほど多数あることは容易に理解できる。したがって、本リストは説明のために示したものであり、網羅したものではない。
【0047】
非ポリマー材料も本は積めにおける閉塞システムに使用することができる。好ましい非ポリマー材料には、例えば、ホルモン物質や抗新生物薬物質を含む。血管との一体性を促進させる他の生体適合性材料の例は、例えば細胞や細胞片などの処理がなされた人間もしくは動物の組織、人工血管組織、膀胱・胃・肝臓のマトリクス材、天然もしくは人工の遺伝物質を含む。
【0048】
他の種類の組成物も本発明における閉塞デバイスを構成する閉塞構造体またはアンカー構造体に使用することができる。親水性物質および/または疎水性物質または接着剤は、例えば全てのもしくは一部の構造体に使用できる。同様に、PTFEのようなフッ素重合体を含む減摩剤は、全てのもしくは一部の構造体に使用されることにより搬送カテーテルからの展開を促進する。放射線透過性マーカーや放射線透過性物質はデバイス構造体の特定構造体ないしは一部に設けられることにより、正確な位置決め、配置、展開されたデバイスの監視を可能にする。例えば、ある実施例において、放射線透過性物質は、閉塞構造体と一体的に設けたり、閉塞構造体を被覆して設けることができる。他の実施例において、特定の治療薬、抗生物質、血栓形成物質、非血栓形成物質などを前記デバイス構造体の特定構造体ないしは一部に設けたり、植え込み型デバイスを展開する以前、最中もしくは以降に投与してもよい。適切な物質は、広く知られており、他の種類の植え込み型デバイスとともに使用されている。
【0049】
前記閉塞構造体は、複数の層を含み、さまざまな種類の被覆や、付着・接着物質や治療薬、親水性物質ないし疎水性物質、ハイドロジェルのような膨潤性材料、放射線透過性材料などを使用することができる。ある実施例において、膨潤性ハイドロジェルは、閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用すれば、展開された状態において、動脈瘤の内壁と接触する。他の実施例において、塞栓作用を促進させるある物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用すれば、展開された状態において動脈瘤の内壁と接触して、動脈瘤の塞栓を進められる。さらに別の実施例においては、ヘパリン、プラスミノーゲン活性化因子(tPA)などの血栓症および血液凝固を軽減させる作用のある、ある物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/または血管壁の表面に使用する。別の実施例においては、パクリタクセル(Paclitaxel)やその派生物、シロリムス、ステロイドやスタチン、イブプロフェンなどの抑炎症性物質など、再狭窄を防ぐ物質および/または炎症を減少させる物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用する。別の実施例においては、放射性物質を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に治療ないしは結像目的で使用する。
【0050】
前記閉塞構造体をなしているメンブレンンは、連続した表面積を有し、植え込み型デバイスの設置または搬送状態における搬送システムへ取付を容易にする、1つ以上の開口部もしくは溝部を備えている。メンブレンンは、形状記憶合金のような形状変更可能な材料を含んでいるフレームワークもしくはアンカー構造体に固定されている。いくつかのメンブレンン材料はフレームワークもしくはアンカー構造体にも、被覆、浸漬被覆などの方法により適用することができる。
【0051】
前記閉塞構造体を支持するアンカー構造体や補強構造体のようなフレームワークの組成は、超弾性および/または形状記憶特性を示す形状記憶合金のような生体適合性形状変更可能な材料からなる。形状変形可能な材料は、熱や電流などにより形状変形力が加えられることにより予定されてた形態に形を変え、既定の展開状態へと変形する。形状を変化させる力は、発生した温度の変化により生じ、例えばデバイスを体温環境の下に置いたり、外部装置を使用してデバイスに熱が加えたり、電流を使用してデバイスに熱を加えることにより発生する。形状記憶材料を温めることにより、上記のように、材料が変化し、前記デバイスのフレームワーク構造体および/またはアンカー構造体は予め定められている大きな寸法および形状へ変化する。
【0052】
超弾性および形状記憶特性を示すニチノール合金は本発明におけるデバイスに使用するのが好ましい形状記憶合金である。フレームワークおよびアンカー構造体は、例えば、剛性ワイヤ、管状ワイヤ、編組材料で形成することができ、管状ないしは円筒状の構造体から切断して作られる。フレームワークおよびアンカー構造体は、他のさらなる材料を内蔵していてもよく、フレームワーク構造体同士の間に被覆や部材を有していてもよい。ある実施例において、フレームワークおよびアンカー構造体物は、周知のスパッタリング技術を使用することによりニチノール薄膜合金などの薄膜形状記憶合金からなる。
【0053】
植え込み型デバイスは、プッシャーもしくはロッドを備えた搬送カテーテル、もしくは特性のマイクロカテーテル(“搬送カテーテル”という。)を使用すること、あるいは離脱機構を備えたプッシャーシステムを使用することにより目的箇所へ搬送される。例えばある実施例において、前記閉塞構造体は搬送カテーテルの遠位端において低姿勢の状態で取り外し可能に設けられており、引き込み可能なシースによって覆われ低姿勢の状態で保持されている。前記搬送カテーテルは、周知の技術によって動脈瘤の頸部に位置され、シースが引き込まれると、前記閉塞デバイスは予め定められた形状に展開し、前記動脈瘤の頸部を塞ぐ。より詳細には、シースを引き込む第1のステップにおいて、第1のアンカー構造体が展開され、動脈瘤頸部近傍の組織と接触して、もしくは近傍に位置し;第2のステップにおいて、閉塞構造体またはメンブレンンが動脈瘤の頸部を塞ぎ、第2のアンカー構造体が展開されて動脈瘤頸部近傍の組織と接触して、もしくは近傍に位置する。
【0054】
図1は、2つのアンカー構造体32,33に設けられているパッチ、すなわち閉塞構造体31を有する閉塞デバイス30の実施例を示す。前記閉塞構造体すなわちメンブレンンを形成する好ましい材料は上述のとおりである。閉塞構造体31は、フレームワーク構造体34によって支えられており、フレームワーク構造体34は、少なくとも閉塞構造体31周囲の一部に、接着や縫合などの態様で閉塞構造体31に取り付けられている。フレームワーク構造体34は、翼状のアンカー構造体32,33に設けられている。フレームワーク構造体34およびアンカー構造体32,33は、いずれもニチノール合金などの形状変更可能な材料で形成することが好ましい。
【0055】
アンカー構造体32,33は、高剛性ワイヤすなわちチューブ状構造体、もしくは編み上げ構造体やその他メッシュ構造体などをから成る材料で形成してもよい。設置した状態においてアンカー構造体32,33は、少なくともアンカー構造体32,33の一部が動脈瘤の内壁や血管の内壁に接触する形状となっている。アンカー構造体32,33の形状は、円形、楕円形、その他曲線構造体をなすものとすることができ、多角形状としてもよい。好ましい実施態様としては、図1Aに示されるように、アンカー構造体32,33は、フレームワーク構造体34との結合部35から外方側へ曲線を描き、端部では結合部35より内方側へ互いに向かうよう楕円曲線形状をなしている。
【0056】
図1Aに示された実施例において、アンカーループ32,33は、概して同じ形状の、同じ次元からなり、互いに向かい合った位置に取り付けられている。別の実施例として、異なる構造体、かつ/もしくは、次元からなるアンカー構造体としてもよい。例えば、一方のアンカー構造体が他方のそれよりも、長い、かつ/もしくは、幅広くしたり、両者で異なる3次元の曲線構造体や多面形状を有するとしてもよい。図では2つのアンカー構造体32,33が示されているが、さらなるアンカー構造体を付加してもよい。この場合、フレームワーク構造体34および/または閉塞構造体31に関して、対称となるよう取り付けることが好ましい。
【0057】
図1Bは、フレームワーク構造体39の側縁部に向かい合って設けられたアンカー構造体37,38を有する閉塞構造体36である、類似の閉塞デバイスを示す。閉塞構造体36のほぼ中央部に、開口部ないしは溝部を設けてもよい。アンカー構造体37,38は図1Bに示されるように、ほぼ曲線を描いており、その末端部は、対応するフレームワーク構造体および閉塞構造体の末端部を超えて延びている。本実施例における閉塞構造体およびフレームワーク構造体は、動脈瘤の頸部よりも広い表面を有しており、アンカー構造体は動脈瘤の内側に以下に述べる配置形状で設置される。本形状により、閉塞構造体には側方および下方への力が発生するため、動脈瘤の血管内腔の側面に合致し、動脈瘤の頸部を血流からシールして血管を修復する。
【0058】
図1C−1Fは、図1Aおよび1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に配置した状態で図式的に示したものである。血管Bの隆起部が動脈瘤Aを形成している。図1Cおよび1Dに示されるように、閉塞デバイス30は、頸部にわたって、および、動脈瘤の内部に配置され、閉塞構造体31は、動脈瘤の開口部を覆うように、アンカー構造体32,33は動脈瘤の内部において、少なくともその表面の一部が動脈瘤の内壁と接触するように配置されている。本形態において閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の開口部に支持され、動脈瘤の外方側に位置している。図1Cおよび1Dに示された実施例において、閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の外側に配置されている。図1Eは別の実施例を示し、閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の開口部に支持され、動脈瘤の内方側に位置している。
【0059】
図1Fは、他の配置システムおよび方法を示し、少なくとも2つのアンカー構造体を有する閉塞デバイスは、閉塞構造体31が動脈瘤の開口部を覆うように、アンカー構造体32,33が動脈瘤の外側に位置し、動脈瘤近傍の血管内壁と接触するように配置されている。本実施例において、アンカー構造体32,33は、動脈瘤の頸部付近の血管内径と同じ大きさおよび形状を有しているため、アンカー構造体は動脈瘤のある血管に損傷を与えたり膨張させることなく、連続的な態様で血管の内壁と接触することができる。これらの実施例において、閉塞構造体は欠陥を効率的に治療すべく動脈瘤の頸部を覆っており、アンカー構造体は血流を妨げることがない。
【0060】
図2Aは、フレームワーク構造体42によって支えられ、アンカー構造体43,44,45,46に設けられた閉塞構造体41を有する、別の閉塞デバイス40を示す。閉塞構造体41の特性や形状は上述のとおりである。閉塞構造体41は、フレームワーク構造体42によって支えられており、フレームワーク構造体41は、少なくとも閉塞構造体41周囲の一部に、接着や縫合などの態様で閉塞構造体41に取り付けられている。フレームワーク構造体42は、一対の翼状アンカー構造体43,44および45,46に設けられている。フレームワーク構造体42およびアンカー構造体43,44,45,46は、いずれもニチノール合金などの形状変更可能な材料で形成することが望ましい。
【0061】
アンカー構造体43,44,45,46は、設置された状態において、アンカー構造体43,44,45,46の少なくとも一部が動脈瘤の内壁もしくは血管の内壁と接触するよう設計されている。アンカー構造体43,44,45,46の設置された状態における形状は、円形、楕円形、その他曲線形状をなすものとすることができ、多角形状としてもよい。好ましい実施態様としては、図2Aに示されるように、アンカー構造体43,44,45,46は、フレームワーク構造体42との結合部から外方側へ曲線を描き、外位端部ではフレームワーク構造体42から内方側へ違いに向かうようほぼ楕円曲線形状をなしている。図2Aに示される実施例において、アンカーループ43,44,45,46は、ほぼ同じ形状、および、ほぼ同じ次元を有している。アンカーループ43および46は、アンカーループ44および45に関して、鏡像をなす位置関係にある。同様に、アンカーループ43および44は、アンカーループ46および45に関して、鏡像をなす位置関係にある。他の実施例として、アンカーループ43,44,45,46のそれぞれの形状、および/または、次元を変化させたり、異なるものとしてもよい。ここでは2対のアンカー構造体が図示されているが、さらなるアンカー構造体つまり対になるアンカー構造体を設けてもよい。アンカー構造体は、フレームワーク構造体42および/または閉塞構造体41に関して対象となるようとりつけることが好ましい。
【0062】
図2Bは、図2Aに示した種類の閉塞デバイスを、2つのアンカー構造体が動脈瘤内部に配置されて少なくとも動脈瘤内壁の一部と接触しながら、パッチ41が動脈瘤の開口部を覆い、動脈瘤の外側に配置された2つのアンカー構造体が動脈瘤近傍の血管内壁に接触した状態で配置した状態で示す図である。図2Aに示されたタイプの閉塞デバイスをしようした血管の治療方法においては、第1のアンカー構造体、例えば動脈瘤A内部のアンカーループ43,46を、動脈瘤内部頸部付近の動脈瘤内壁に接触するよう配置し、閉塞構造体41を動脈瘤の頸部にわたり、頸部を覆うように配置させ、第2のアンカー構造体、例えば動脈瘤頸部の外側にあるアンカーループ44,45を動脈瘤頸部付近の血管内壁に接触するように配置している。
【0063】
動脈瘤の閉塞デバイスに関する別の実施例について、図3Aは、一部を展開した状態で示し、図3Bは全部を展開した状態で示したものである。本実施例において、閉塞デバイス50は、上述の閉塞構造体および複数個の位置決め部材53,54,55,56を備えたメンブレンン52に円錐の先端を切り取った形状に結合されたテーパ状閉塞構造体51を有している。
【0064】
テーパ状閉塞構造体51は、ポーラスすなわち形状変更可能な金属材料から成るメッシュのような構造体が好ましく、搬送時は薄く、小径の構造体をなし、配置時には、広がって少なくとも一部が動脈瘤の内壁に接触する。前記ポーラスすなわちメッシュのような構造体は、該構造体内に大小の空間を有しており、これら空間および構造体は、左右対称でも非対称でもよく、曲線状・線状・角状のいずれでもよい。拡張式の前記メッシュのような構造体は、周知のもの、例えば様々な種類のステントを採用することができる。テーパ状閉塞構造体51は、そのすくなくとも一部を弾力性のある繊維や、シリコン材料、PFTE材料、ダクロン(登録商標)などの生体適合性のあるメンブレンン材料、線維状材料で覆ってもよい。
【0065】
テーパ状閉塞構造体51は、小径ベース部57において閉塞メンブレンン52に結合ないしは設けられている。閉塞構造体51の周囲長は、小径ベース部57の直径と一致させてもよいし、小径ベース部57の直径より大きくしてもよい。例えば、閉塞構造体51は、フレームワーク構造体58の近傍に設けられており、小径ベース部57はフレームワーク構造体58の内周縁に設けられている。
【0066】
閉塞デバイス50の位置決め部材53、54、55および56には、上述したアンカー構造体に類似したループ構造体を採用することができる。もしくは、硬金属構造体や非連続形のメッシュ、もしくは可撓性材料で前記位置決め部材を形成してもよい。2個以上の部材が、閉塞構造体51に関して、半径方向に対称となるよう配置されている。別の実施例として、テーパ状閉塞構造体51よりも浅く、テーパ形状をなす非連続のメッシュ構造体をアンカー構造体として設けることもできる。
【0067】
図4A−4Cは、閉塞デバイス50を動脈瘤の内側もしくは動脈瘤に掛け渡して設置を行う最中、もしくは設置後の配置された状態を示す図である。図4Aは、一部分が動脈瘤Aに挿入された状態の閉塞デバイス50を示す図である。テーパ状閉塞構造体51は、動脈瘤の頸部を通され第1のアンカー構造体として設置され、動脈瘤内にメンブレン52とともに配置される。メンブレン52は、動脈瘤の頸部に渡って広がっており、頸部を実質的に閉塞している。位置決め部材53、54、55および56は、設置の後に動脈瘤頸部の外側に配置されて、動脈瘤頸部近傍の血管内壁と接触する。このように閉塞デバイスを設置することにより、血管内壁が治療され、通常の健康状態に修復される。
【0068】
図5は、埋め込み型デバイス60の別の実施例を示し、可撓性閉塞構造体61は、該閉塞構造体の近傍もしくは周囲に取り付けられた複数個のアンカー部材62を有している。アンカー部材62は、図に示されるように少なくとも2つの相隔たったアーム63、64を有しており、閉塞構造体61の内面ないしは外面に取り付け、もしくは向かい合うアーム63および64が閉塞構造体61の反対側の面から伸びて閉塞構造体61を貫通させた状態で取り付けられている。アーム63、64は、閉塞構造体上に位置するが、閉塞構造体61の外縁部65は、アーム63、64と閉塞構造体61の結合部よりも外側に配置されている。
【0069】
埋め込み型デバイス60は、カテーテルデバイスを介した低侵襲性の搬送を実現するために半径方向に折り畳み可能、もしくは圧縮可能である。搬送状態おいて、デバイスは小さな直径の円筒形状内を移動するため、アーム63、64は実質的に直線形状をなしている。所望の位置にデバイスを搬送した後、搬送状態におけるアームの一つが、拡張展開されて、頸部近傍の動脈瘤内壁に設置される。残りのアームは、一連のアームが、三次元空間内で相隔たって対峙するよう配置され、第2のアーム群は頸部近傍の血管内壁に配置される。閉塞構造体61は、各アンカーアームが展開された状態にあるとき、動脈瘤の頸部開口を覆うよう動脈瘤全体に渡って位置している。埋め込み型デバイス60が動脈瘤頸部に設置されると、閉塞構造体61が頸部を覆い、アーム63、64が動脈瘤内部および血管内に固定点を形成する。外縁部65は、閉塞構造体61のそれよりも大きな直径断面を有しており、動脈瘤頸部および/または頸部近傍の血管内壁に、さらなる被覆を別途形成している。
【0070】
図6A−6Cは、他の実施例である閉塞デバイスを示す。閉塞システム70は、図6Aに示されるように、強化ネック構造体72および複数のアンカー構造体73、74を備えた中央閉塞構造体71を含んでいる。閉塞構造体72には、その中央領域に開口もしくは溝を随意設けてもよい。強化ネック構造体72は、閉塞構造体71と一体、もしくは別体として閉塞構造体71の周縁部に取り付けることができる。ネック構造体72は、補強部材75と可撓性メンブレンン部材とを含む。これらを組み合わせることにより、強化ネック構造体は、円筒形状や卵形状もしくは同種の形状の直立型襟構造体部を有し、これは動脈瘤の頸部に配置された後、動脈瘤内に突き出て、前記頸部を封鎖して血管から分離する。補強部材75は、図に示されるようにジグザグパターンで規定、もしくは、直立したネック構造体を構造体上支持する別の模様で規定することができる。強化ネック構造体72は、閉塞構造体71の平面から垂直に突き出る方向に描かれているが、望ましい適用形態、閉塞するべき身体の組織形状に応じて、強化ネック構造体72は、閉塞構造体71の面に対して鋭角ないしは鈍角をなして突出することが好ましい。
【0071】
閉塞システム70は、閉塞構造体71もしくはネック構造体72から広がり、前記閉塞構造体71もしくは前記ネック構造体72より大きな径を有している裾部72を含んでいる。裾部は閉塞すべき開口部をより広い領域に渡って閉塞し、開口部の外側に位置して、例えば動脈瘤の例であれば、動脈瘤頸部近傍の血管壁と接触する。裾部を含んだデバイスを開口部の形状が不定形な場合に使用すると特に好ましく、裾部の寸法は開口部に沿って調整される。裾部は、展開したときの直径が少なくとも10%伸びることが好ましい。より好ましくは15%であり、ある実施例においては20%である。さらに他の実施例においても、裾部の展開状態での直径は少なくとも30%伸びることが好ましい。
【0072】
アンカー構造体73,74は、硬い材料から形成することが好ましく、ニチノール合金など形状記憶材料で形成することが好ましい。図6Aに示された実施例において、アンカー構造体73,74は、閉塞構造体71の面に対して両サイドの方向へ突出しており、構造体支持中間体77によって結合している。アンカー構造体は一体的に形成して単体としてもよいし、分離して別体としてもよい。アンカー構造体73,74は、丸角を備えた三角形状のものが図6Aには示されている。図6Bに示された閉塞構造体78の他の実施例において、前記アンカー構造体は、より丸みを帯びたペーパークリップのような構造体をなしている。アンカー構造体は、様々な大きさ、形状および幅をとることができる。使用目的によっては、アンカー構造体はメッシュに類似の、もしくはポーラス形状とすることができる。図では、3組のアンカー構造体が示されているが、当然これよりも数を多くしても少なくしてもよく、中央のパッチに対して対称となるよう放射状に配置する。
【0073】
図6Cは似た構造体の閉塞構造体80を示し、円筒形状の襟領域部82とフレアー裾部83とを備えた中央閉塞構造体81が含まれている。前記襟領域部82と前記フレアー裾部83との境界部は、曲線を描き連続している。反対方向を向いたアンカーアーム84,85により補強がなされ、これらは交互にねじれ形状をなし、かつ放射状に配置されている。
【0074】
図7Aは、本発明における別の実施例である閉塞デバイス120を小さな直径の搬送状態で示す図であり、図7Bは代替例である閉塞デバイス130を大きな直径の展開状態で示す図である。閉塞デバイス120は、第1および第2のアンカー構造体122,124を含み、該アンカー構造体は中間襟構造体126から反対方向へ突出しており、閉塞構造体128の横方向へ伸びている。アンカー構造体122および124は形状変更可能な材料からなり、図7Aに示す搬送状態において全体的に円筒形状をなしている。配置時にアンカー構造体(124,126)は円形のリングのような構造体描いた展開形状となるよう外側へ大きく屈曲する。
【0075】
アンカー構造体122および124は、展開状態において、実質的に組織を傷つけることがないもの、組織への外傷を最小限におさえるものが好ましい。ある実施例において、アンカー構造体122および124は、ほぼ扁平な構造体、断面形状を有している。図7Aに示された実施例において、アンカー構造体(122,124)は、ほぼ同じ形状および寸法を有しており、中間襟構造体の両面から突出し、ジグザグ状すなわちオフセット形状をなしている。展開した状態において、アンカー構造体122,124は、閉塞する欠損部と向かい合う組織の非重複部分と接触する。この配置により、外傷が与えられることはほとんどなく、閉塞デバイスが当接する領域の組織の生存力や血液の流れを促進し、維持することができる。膨張した遠位端および近位端のパッド123および125がアンカー構造体122および124にそれぞれ設けられており、閉塞装置の設置および展開を行い、組織と接着している領域での接触直径がより大きくなる。
【0076】
図において、アンカー構造体122および124は、ほぼ三角形状の扁平なワイヤ構造体として描かれており、全体の長さは中間襟構造体よりも長いが、当然他の形状を採用することもできる。補強構造体や圧力分散構造体を表面に追加することも可能である。代替的に、もしくは、追加的に閉塞構造体を形成しているメンブレンンを少なくとも1つ以上のアンカー構造体に備えてもよい。
【0077】
少なくとも1つ以上の放射線不透過性マーカーが、アンカー構造体122,124の中間襟構造体から離れた端部の近傍に設けられていることが好ましく、すなわち植え込み型デバイスを展開した状態での近位端および遠位端にあたる。例えば、パッド123および125は、放射線不透過性マーカーを内蔵する、そのものから成る、もしくは備えており、設置作業の間もしくは設置した後において、アンカー構造体の末端部をマーキングする。放射線不透過性材料としては、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンなどが好ましい。放射線不透過性マーカーは、例えば膠状接着や、粘着、圧着、溶接、レーザー溶接などによりアンカー構造体に結合させることができる。
【0078】
中間襟構造体126は、リブ127で構成される円筒状の補強構造体を含んでおり、この補強構造体はアンカー構造体よりも密度が高い。リブ127は、可撓性のメンブレンン構造体に結合されており、本実施例において、襟構造体のほぼ全範囲に渡っている。メンブレンン構造体は、閉塞構造体128の横方向に伸びている。放射線不透過性マーカーは襟構造体126および/または閉塞構造体128に設けられるのが好ましい。
【0079】
図7Bは、本発明における他の閉塞装置130の一部を部分的に展開した状態で示す。閉塞装置130は、中間襟構造体136の両面からおよび閉塞構造体138の側方から突出した第1および第2のアンカー構造体132,134を含む。アンカー構造体132,134は形状変更可能な材料から成り、図7Aに示されるように搬送状態においては、ほぼ円筒形状をなし、配置の際に構造体を変化させて、図7Bに示されるようにアンカー構造体132,134を備えたより大きな直径の構造体をなす。アンカー構造体132,134の展開した状態は、図7Bに示されるとおりであり、植え込み型デバイスにより修復される欠損部の種類や構造体に応じて、デバイスの中央線に向かって窪む。同様に、中央襟構造体136は、図7Bに示されるように展開した状態において、ほぼ直立した円筒形状をなして、円周の外方に湾曲しており、アンカー構造体とともに欠損部近傍の組織にデバイスを固定させている。欠損部の大きさや修復部組織の種類や厚さに応じて、デバイスは多様な湾曲形状をなす。
【0080】
アンカー構造体132、134は、展開した状態において、接触する組織に対して実質的に非外傷性、ないしは外傷を最小限にするよう構成されていることが好ましい。ある実施例において、アンカー構造体132および134は、ほぼ円筒形状すなわちチューブ状の構造体をなし、断面形状を有している。図7Bに示されるように、部分的に転換されたアンカー構造体132,134は、中央襟構造体136の両サイドから突出しており、目的部で展開した状態において、アンカー構造体が欠損部の近傍の互いに向かい合う組織表面に接触するように配置されている。アンカー構造体の遠位端部は、広い表面積を形成し、終端部は鈍角をなしているため、組織と良好な姿勢で接触し、閉塞装置が接触する組織に外傷を与えることがほとんどない。
【0081】
アンカー構造体132、134は、三角形状の扁平なワイヤ構造体として描かれており、全体の長さは中間襟構造体よりも長いが、当然のことながら他の形状を採用することもできる。アンカー構造体は、その表面に補強ないし圧力を分散させる構造体をさらに有していてもよい。閉塞構造体を構成するメンブレンンを代替的にもしくは追加的に1つ以上のアンカー構造体に備えさせてもよい。
【0082】
少なくとも1つ以上の放射線不透過性マーカーが、アンカー構造体132、134の中間襟構造体から離れた端部の近傍に設けられていることが好ましく、すなわち植え込み型デバイスを展開した状態での近位端および遠位端にあたる。放射線不透過性マーカーは、例えば、放射線不透過性物質をアンカー構造体に結合させることで備えさせることができる。放射線不透過性材料としては、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンなどが好ましい。放射線不透過性マーカーは、例えば膠状接着や、粘着、圧着、溶接、レーザー溶接などによりアンカー構造体に結合させることができる。バンド133および135は、設置作業の間もしくは設置した後において、アンカー構造体の末端部をマーキングするよう、放射線不透過性マーカーを内蔵する、またはそのものから成る、もしくはマーカーを備えている。
【0083】
中間襟構造体136は、リブ137よりなる円筒形状の補強構造体を含んでおり、該補強構造体はアンカー構造体132,134よりも密度が高い。リブ137は十字形構造体をなし、可撓性のメンブレンン構造体に結合されており、襟構造体と同一の広がりを有している。襟構造体は、襟構造体は、展開した状態において、直立した円筒形状を有し、襟構造体およびリブは、外方へ湾曲した円周構造体をなしている。横閉塞構造体138は、中間襟構造体136および/または襟構造体に取り付けられたメンブレンン構造体に設けられ、もしくは結合されており、ガイドワイヤその他の器具を通すための溝すなわち穴を設けてもよい。1つ以上の放射線不透過性マーカーが選り構造体136および/または横閉塞構造体138に設けられていることが好ましい。
【0084】
図8は、別の実施例である閉塞デバイス90を示し、閉塞デバイス91は中央部に閉塞面と、補強構造体へ連結された基板とを備えている。基板は、複数のアンカー支柱体92および93を有し、向かい合ったアンカー支柱体92および93は花弁のような蹄状紋を左右対称の形状になしている。支柱92、93は中間構造体94によって互いに連結されている。前記補強構造体は、単体で構成してもよいし、複数の独立構造体を接続して構成してもよい。
【0085】
デバイス90は、小さな径の搬送状態で開口の頸部へ搬送された後に展開されると、まずアンカー支柱体92が開口部の内側で展開され、動脈瘤の内壁と接触もしくは近傍に位置され、中間体94は開口部の頸部に位置する。展開過程において、アンカー支柱体93は、展開された後に動脈瘤開口部近傍の血管内壁と接触するため、閉塞デバイス91は開口部において血管の方向へ押しつけられる。本実施例における閉塞デバイス91は不定形な形状の開口部を閉塞することができる。
【0086】
図9はさらに別の実施例である閉塞デバイス100を拡張された展開状態で示す。閉塞デバイス100は、湾曲した円錐形すなわち球根状の構造体101を含み、これは例えばニチノールのような薄膜上の形状記憶合金からなる。湾曲構造体101の小さな直径を備えた端部は閉塞しており(図示せず)、大きな直径を備えた端部は開口を有している。図9に示された実施例において、湾曲構造体101は、メンブレンン壁102すなわち複数個のリブ103により補強された複数個のメンブレンンパネルを含む。リブ103は、放射線状に対称的な形状に配置されており、数を増やすことも減らすこともできる。他の実施例として、メンブレンン壁102をメッシュ類似の構造体、もしくは別の種類のフレームワーク構造体で補強してもよい。
【0087】
閉塞デバイス100は、該デバイス100を位置決めし、開口部に固定するための、さらに少なくとも1つの固定構造体104を含んでいる。固定構造体104は、曲線状もしくはコイル状の帯の形状としてもよいし、花弁状もしくはループのような構造体としてもよく、さまざまな固定構造体104を採用できる。デバイス100が展開するさいに、球根状構造体101は開口部の内側を拡張すべく配置され、固定構造体104は開口頸部の外側に配置されて、開口部付近の内壁と接触することによって、デバイス100を開口部に固定する。
【0088】
図10は、別の実施例であるスパイラル形状の閉塞デバイス110を示す。フレームワーク構造体は、スパイラル構造体の内部境界もしくは外部境界に取り付けられており、メンブレンンがフレームワーク構造体に設けられもしくは一体的に取り付けられている。ある実施例において、スパイラル構造体は、小さな径の直径と大きな径の直径とを有するとすることができる。別の実施例として、閉塞デバイス110は、向かい合った二重スパイラルコイル形状を有している。本実施例において、向かい合ったコイルは、小さな直径部からなる中央部において結合し、互いに反対方向へ拡張している2つのコイルを含んでいる。
【0089】
コイル補強構造体は、ニチノールワイヤもしくはそれと類似の生体適合性があり形状変形可能な材料で形成し、閉塞構造体をなしているメンブレンン材料に埋め込み、ないしは設けてもよい。前記メンブレンンは、コイル補強構造体に貼り付けられてあるメンブレンンのループを重複できる寸法を有し、コイル状に巻かれた状態において、重複境界部を有している。閉塞デバイス110は、終端部すなわち大きな直径のコイルの端部が閉塞すべき開口部の内側に位置し、スパイラル形状が開口部を締め付けるように、展開される。向かい合うコイル構造体が結合している小さな直径の部分は、開口頸部にわたって位置し、開口部の外部領域で展開して、開口部近傍の構造体の内壁(血管内壁など)と接触する。
【0090】
上記のように、ここに開示した閉塞システムに用いられる閉塞構造体およびメンブレンンは、薄膜ニチノール合金のような、薄膜の形状記憶合金で形成することができる。本願発明におけるメンブレンンや閉塞構造体に用いられる薄膜ニチノール合金は、約0.5−100ミクロンの厚さを有し、より好ましくは約2−50ミクロンの厚さを有し、45−55%のチタンおよびニッケルをそれぞれ含むとしてもよい。
【0091】
薄膜ニチノール合金は、例えば米国特許第6533905号に開示されるような、全体を参照することにより開示は省略するが、スパッタリング技術を用いて製造される。かかる技術は、スパッタ蒸着された薄いニチノール合金の層の上に露出した外表層を有する、鉄やガラス、シリコンなどからなるマンドレルを使用する。スパッタ蒸着の後、マンドレル上に形成されたニチノール合金の薄膜にあーニングを施し、その結果生成された薄膜は、例えばマンドレルおよびマンドレルに形成されたうす膜をエッチング液に浸すことによって剥がされる。アニールを施された薄膜上に気孔の模様を含むレジスト層を形成し、気孔の模様に対応した穿孔を作るために薄膜をさらし、レジスト層を除去することにより、穿孔や小さな穴、気孔がニチノール合金の薄膜上に形成されることがある。構造体部材はスニチノール合金のパッタ蒸着に先立って設置されるため、薄膜は直接構造体部材に付着される。
【0092】
閉塞デバイスに使用されている、フレームワーク、支持部材およびアンカー部材は、チタニウムニッケル合金薄膜(例えばニチノール合金)などの形状記憶合金薄膜からなる管もしくはシリンダから切断ないしはエッチングされる。形状記憶合金薄膜をエッチングする技術は、広く知られている。一実施例として、例えばGupta他(SMST-2003: Proc. Intl. Conf. Shape Memory Superelastic Technol., (Pacific Grove, CA) eds. A.R. Pelton &T. Duerig, p.639,2003)によって説明されているように薄肉管が製造される。簡潔に説明するに、ニチノール合金および犠牲材料(クロムなど)からなる複数の層が、研磨された酸化膜シリコンウエハのような扁平な基板表面に連続的にスパッタ蒸着される。前記シリコンウエハは、クロムからなる第1の蒸着層と、その後に蒸着されたニチノール合金からなる第2のクロム層と分離された2つの蒸着層とを備えている。ニチノール合金層の厚さは、1ないし40ミクロンとすることができ、クロム層の厚さは500オングストロームとすることができる。2枚のフォトマスクプレート(マスク1およびマスク2とする。)を使用し、これらマスクは、結果物の大きさや形状、ここではシリンダないしは管、を決定する既定のパターンが転写されている。マスク1はウエハ上の第2のクロム層からなるパターン形状を含んでおり、マスク2はニチノール合金層のパターン形状を含んでいる。ニチノール合金およびクロム層の薄膜にパターン形成するには、標準的なMEMS技術が用いられる。ウエハ上にニチノール合金およびクロム層の薄膜を蒸着した後に、クロムエッチング液に浸し、クロム層を剥がして第1および第2のニチノール合金層の間にポケットを形成することにより、複数層の薄膜構造体がウエハから除去される。分離された薄膜構造体は、例えばステンレススチールからなるマンドレルを2つのニチノール合金層の間に形成されたポケットに挿入し、真空中で500℃で温めることにより、3次元シリンダへ変形される。標準的なフォトグラフィ技術を用いることにより、所望の寸法、形状および模様の穿孔をニチノール合金層に形成することが可能である。
【0093】
また、ここに開示した植え込み型システムは、デバイスワイヤを備えた閉塞デバイスも含み、前記デバイスワイヤは、離脱ジョイントにより植え込み型デバイスを搬送/プッシュワイヤに着脱可能に接続している。デバイスワイヤは、遠位端において離脱ジョイントを介して植え込み型デバイスと一体的に、もしくは付属的に設けられており、植え込み型デバイスを体内の所望の位置にガイドカテーテルの案内により搬送するのに使用される。好ましいデバイスワイヤ、離脱ジョイントおよび搬送/プッシュワイヤは周知であり、本発明における閉塞装置にも使用することができる。デバイスおよびデバイスワイヤに用いられる素材も周知である。
【0094】
本発明における閉塞システムは動脈瘤などの血管内の欠損や生理的欠損、内腔内や組織の空洞の欠損を治療するのに使用される。本発明における方法およびシステムは、侵襲的な外科処置を伴わない低侵襲性の内腔技術を使用することにより、内腔壁や組織欠損の治療と復元を可能にする。搬送および配置の手順は、他の代替手段にくらべ容易かつ時間がかからないものであり、結果的に合併症の危険を低減できる。
【0095】
図11は、本発明における植え込み型デバイスを、治療部に案内し配置するための搬送カテーテルに取り付けた状態で示す図であり、図12A−Eは、搬送および配置方法の例を示す図である。搬送システム140は、動脈瘤や血管内に形成された内腔など目的部分へ案内するために、適切な寸法、可撓性および押圧力を備えた搬送カテーテル142を含んでいる。神経血管の動脈瘤などのように、小さな内腔や入り組んだ通路に案内することが必要である場合には、搬送カテーテル142に、径が小さく、高可撓性を有したマイクロカテーテルを備えさせてもよい。搬送カテーテルの遠位端部は、可撓性がより高く、例えば近位端部よりも可撓性が高い。さまざまな搬送カテーテルが知られており、本発明の搬送システムに使用するのに適している。
【0096】
修復デバイス、ここに開示した2個の向かい合ったアンカー構造体を備えた修復デバイスおよび/または閉塞デバイスのいずれのものであってもよいが、搬送カテーテル142の遠位端141に径の小さな搬送状態で予め取り付けられているのが好ましい。搬送カテーテル142内を搬送される、修復デバイス144の遠位端部145は、動脈瘤や内腔内、搬送路の内壁と向かい合った内腔壁に配置されるアンカー構造体であることが好ましい。1つ以上の放射線透過性マーカー146を修復デバイス144の遠位端部145ないしその近傍に設けることができる。搬送カテーテル142内を搬送される修復デバイス144の近位端部147は、動脈瘤や内腔内の頸部の近傍である血管壁、搬送路の内壁と向かい合った内腔壁に配置されるアンカー構造体であることが好ましい。1つ以上の放射線透過性マーカー148を修復デバイス144の近位端部147ないしその近傍に設けることができる。修復デバイス144は、閉塞構造体149にあたるデバイス中央部の近位端に、追加的もしくは代替的に放射線透過性マーカーを内蔵させてもよい。放射線透過性マーカーは、搬送カテーテル142に関して、追加的もしくは代替的に設けられ、修復デバイス144の遠位端部および近位端部をそれをれマーキングする。
【0097】
図11および12A−Eに示された搬送システムは、修復デバイス144を案内して位置決めするためのガイドワイヤ150および該ガイドワイヤ用の内腔を備え、修復デバイス144の近位端部147を接触させ、搬送カテーテル142から分離させるプッシャー152を使用している。好ましいガイドワイヤおよびプッシャーは周知であり、本発明の修復および閉塞デバイスでの使用に適している。
【0098】
生理的欠損を修復する、すなわち開口や内腔160を閉塞するための方法においては、修復デバイス144を小さな直径内を搬送状態で目的とする修復箇所へガイドワイヤ150を伝って、非侵襲性ないしは低侵襲性技術を用いて、第1のアンカー構造体に相当する修復デバイス144の遠位端部を、図12Aに示す修復開口部に位置させ案内することを伴う。もしくは、中間襟構造体もしくは閉塞構造体149に設けられた放射線透過性マーカーにより修復デバイス144を血管170内の動脈瘤や欠損部160に位置させてもよい。一連のアンカーアーム145を含む第1のアンカー構造体は、修復デバイス144の遠位端を搬送カテーテル142から押圧し、および/または、第1のアンカー構造体を図12Bに示されるように頸部近傍の動脈瘤内壁に接触するよう位置づけるために、搬送カテーテル142を引き戻すことにより展開される。展開によって、第1のアンカーアーム145は、円周方向に開いて広がり、アンカー構造体は欠損部の表面もしくは近傍に接触し、もしくは、正確かつ無傷の位置合わせを行うために設置および位置決めの最中は、第1のアンカー構造体に設けられた放射線透過性マーカー146を監視するようにしてもよい。
【0099】
第1のアンカー構造体を配置した後、閉塞構造体149を備えた修復デバイスの中間部が修復対象である開口部を覆って展開され、図12Cに図示されるように欠損開口部を閉塞する。中間閉塞帯149の展開によって、閉塞構造体は開口部を覆うように、開いて広がる。この状態において、第1のアンカーアーム145は、動脈瘤内壁の一側面と接触し、もしくは一側面の近傍に位置し、閉塞構造体149は、内腔開口部を覆っている。その後に、第2のアンカー構造体147およびそれに備え付けられた放射線透過性マーカー148を含む修復デバイスの近位端部が、搬送カテーテル142から押し出される、もしくは、閉塞デバイスに対して前記カテーテルを引き戻すことにより、図12Dに示されるように展開される。第2のアンカー構造体が展開されたことにより、アンカーアーム147は外方へ開いて広がり、搬送路を形成する部分との境界部である欠損部表面に接触し、もしくは欠損部表面の近傍に位置する。この時点で、閉塞デバイス144は、しっかりと固定され、ガイドワイヤ150は搬送カテーテル142内に引き戻されている。図12Eに示されるように、搬送システム140は抜き取られ、閉塞デバイスは開口部を修復する。
【0100】
本発明における方法およびシステムによれば、身体上の欠損部および開口部を、開口部を覆うように閉塞構造体を取り付け、欠損部近傍の内腔もしくは組織の両側面に配置されるアンカー構造体を備えた閉塞構造体を、開口部を越えた位置に支持し、固定することにより、効果的に修復することができる。デバイスが配置された領域における細胞および内皮の再生により、組織機能の回復がすすみ、欠損部が修復される。放射線透過性マーカーは、デバイスの設置および位置合わせに使用されるが、設置後もさまざまな場面でデバイスの位置を監視することもできる。
【0101】
本発明に関する以上の説明は、特定の好ましい実施例との関係で記載されており、説明のために詳細を示したが、実施例の追加と同様に、ここに記された詳細を本願発明を越えない範囲でさまざまな変形や変更が可能であることは当業者にとって自明である。
【0102】
詳細名説明において引用したすべての参考資料および刊行物はその全体を参照することにより本書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】植え込み型閉塞デバイスの一実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図1B】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図1C】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1D】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1E】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1F】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図2A】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図2B】図2Aに示した植え込み型閉塞デバイスを血管不整に適用した状態で示す拡大正面斜視図。
【図3A】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を一部が展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図3B】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を全部が展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4A】図3A及び図3Bに示した植え込み型閉塞デバイスを動脈瘤の頸部に挿入した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4B】図3Bに示した植え込み型閉塞デバイス(破線)を動脈瘤および血管の内部で展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4C】図3Bに示した植え込み型閉塞デバイスを動脈瘤の内部で展開した状態で示す断面図。
【図5】複数のアンカー構造体を周囲部に備えた可撓性パッチを含む閉塞構造体。
【図6A】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図6B】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図6C】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図7A】搬送状態においてアンカー構造体と結合された閉塞構造体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大側面図。
【図7B】本発明における植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を一部が展開した状態で示す拡大側面図。
【図8】展開状態において向かい合ったアンカー支柱体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図9】展開状態において球根状の閉塞部材を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図10】展開状態においてコイル構造体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図11】本発明における植え込み型閉塞デバイスの実施例を搬送状態で示す拡大斜視図。
【図12A】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12B】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12C】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12D】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12E】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0104】
30、40、50、60 閉塞デバイス
31、41、51、61 閉塞構造体
32、34、37、38、43、44、45、46 アンカー構造体
84、85、145、147 アンカーアーム
126 襟構造体
140 搬送システム
142 搬送カテーテル
150 ガイドワイヤ
152 プッシャー
A 動脈瘤
B 血管
【図1A】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低侵襲技術を用いて、ほ乳類の血管やガス流路などの内腔内の欠陥を治療する一般的なシステムおよび方法に関する。より詳細には、 動脈瘤や血管不整、中隔欠損およびその他組織欠損、流路不整などの人間および動物の生態構造体における欠損を、低侵襲技術を用いて、閉塞、クリッピングし、治療するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管や中隔欠損、その他の生理学的欠陥など、身体の内腔や組織を修復したり開口部を閉じるための外科手術の手技は、高い侵襲性を有する。例えば、動脈瘤をクリッピで挟むという外科手術の手技では、頭蓋を開頭し、上層を被覆する脳組織を切開ないしは除去し、動脈瘤にクリップをかけることにより血管の修復を行い、脳組織を元に戻して頭蓋を閉頭する。中隔欠損症に用いられる外科手術手技も侵襲性が高い。この種の治療の術中もしくは術後における麻酔、出血、感染等のリスクは高く、手術を施された組織は機能不全に陥ることもある。
【0003】
低侵襲性の手技として、血管、脊柱、卵管、胆管、気管支気道などの体内開口部や体内管腔部に閉塞装置を設置する手技が代替的に用いられている。一般的に、植え込み型装置は、搬送カテーテルによって所望の場所に誘導され、プッシャーや搬送ワイヤなどの押出機構によって搬送カテーテルの遠位端開口から押し出されて、治療対象部に配置される。閉塞装置が設置された後、押出機構は閉塞装置や周辺組織に損傷を与えることなく抜き取られる。
【0004】
動脈瘤とは、動脈に発生する隆起部分のことであり、一般的に動脈壁の弱体化により生じるとされ、開口や内腔を形成し、しばし脳内出血や脳卒中を起こす部位となる。低侵襲治療の目的は、内腔内にまとめられる物質が血管へ入り込まず、かつ血流が瘤内に入り込まないようにすることにある。このために様々な種類の物質や装置が用いられている。
【0005】
各種の塞栓物質や装置により、動脈瘤に関する患者へのリスクが低減されている。塞栓物質の種類の1つに、微笑繊維コラーゲン、高分子ビーズ、発泡性ポリビニルアルコールなどの注入流体や緩和剤がある。これら高分子物質は血管内での物質の持続性と関連している。これらの物質はカテーテルを通して血管内に注入される。短期間で優れた閉塞を発揮する物質もあるが、たいていは血液中に吸収されて再疎通を許してしまう。他にも、ホッグ・ヘアーや金属粒子によるサスペンションが動脈瘤の閉塞を促進させるものとして提案され使用されている。シアノアクリレートなどの高分子樹脂も血管閉塞用の注入物質として採用されている。これらの樹脂は、放射線不透過物質と混合して用いられるか、タンタル粉を添加して放射線不透過とするのが通常である。これらの物質はひとたび血管内に設置した後に回収することは、困難もしくは不可能である。
【0006】
植え込み型の血管塞栓用金属組織も広く知られており、使用されている。多くの血管塞栓具は、ヘリカル状コイルや形状記憶金属からなるものであり、搬送カテーテルの遠位端から排出されて所望の形状に形成される。コイルは、欠陥により形成された空間を充填し、塞栓の形成を促進することを目的としている。同一ないし異なる種類の複数個のコイルをひとつの動脈瘤内に連続的に移植することもできる。動脈瘤の壁を安定させるために、コイルなどの塞栓物質を挿入する前に骨格構造体物を移植することもできる。
【0007】
血管塞栓具を目的部位まで搬送するにあたっては、一般的に搬送カテーテルと目的部位にコイルを設置した後に搬送カテーテルからコイルを離脱させる離脱機構とを使用する。まず最初に、マイクロカテーテルが搬送カテーテルを通じて動脈瘤の入口付近へ誘導される。通常はガイドワイヤを用いて行われる。ガイドワイヤやマイクロカテーテルから引き抜かれて、植え込み型の血管内閉塞コイルが留置される。血管内閉塞コイルは、マイクロカテーテル内を進出し、マイクロカテーテルから排出されて動脈瘤や血管奇形部に配置される。血管塞栓具の移植とメンテナンスは極めて重要である。血管塞栓具の移動や挿入は血流や生体構造体に左右され、深刻な健康上のリスクをもたらす。
【0008】
「ワイドネック型動脈瘤」として知られている動脈瘤のタイプのひとつは、血管内閉塞コイルの配置と保持が難しいとされている。ワイドネック型動脈瘤とは、一般的に 動脈瘤の直径と比較してそれよりも広い頸部またはエントラスゾーンを有する血管壁からなる動脈瘤のことをいい、血管内閉塞コイルを上述の方法によって配置することは困難であることが臨床上確認されている。
【0009】
コイルや他の塞栓物質を動脈瘤の腔内に配置することは十分には成功していない。配置処置には、コイルなどの複数の塞栓具を血管腔内に連続的に設置する必要があり、困難と時間を伴う。長時間にわたる処置は、動脈瘤から合併症や出血、感染症などを生じさせるリスクが高くなる。さらに、動脈瘤内の空間に物質を配置しても、開口部が完全にふさがれることは一般的になく、再疎通が生じやすく、閉塞物質が動脈瘤内から流出して脳梗塞、血管閉塞、その他の合併症が生じるリスクがある。塞栓物質が流出した後は、血液も動脈瘤内や血管奇形部へ流れ込み、合併症や動脈瘤のさらなる拡張化もたらすリスクが増大する。さらに、従来のコイルや塞栓具がうまく適合しない動脈瘤や欠損も存在する。
【0010】
動脈瘤内に血管閉塞コイルを保持するデバイスが提案されている。かかるデバイスのひとつは、米国特許第5980514号明細書に開示されている。このデバイスは、動脈瘤の栄養血管内腔に設置され、コイルを動脈瘤内に保持する。血管壁に作用する高圧力によってデバイスは固定される。デバイスを適当な場所に設置した後、保持デバイス後方からマイクロカテーテルが挿入され、血管閉塞具を配置すべくカテーテルの遠位端が血管腔内に挿入される。この保持デバイスが血管腔内からの閉塞装置の移動を防止する。
【0011】
動脈瘤を閉塞する他の方法として、米国特許5749894号明細書に開示された血管閉塞装置がある。この装置は、コイルやひもからなり、凝固により障壁を形成する高分子組成からなる外表面を有している。高分子化合靴は光の照射により活性化し、溶け、血管閉塞装置の外側に高分子表面を形成する。該装置はさまざまな部位にくっつき、動脈瘤内に堅固な塊を形成する。
【0012】
動脈瘤の頸部に掛け渡される装置も提案されている。例えば、米国出願2003/0171739 A1には、分岐部に取り付けられた複数のアレイ素子と該アレイ素子や分岐部に取り付けられたカバーとを有するネックブリッジが開示されている。アレイ素子はニトノール合金を採用することができ、カバーには、繊維、メッシュ、そのたシート状構造体物を採用することができる。
【0013】
米国特許出願2004/008799号には、2枚のシートもしくは1枚のシートと1本の支柱構造体により欠陥閉塞具を固定し、開口を閉塞するための装置、および血管閉塞方法が開示されている。本公報は、密着や線維化、組織増殖や内皮増殖を促進するのに用いられる数多くの生体適合材料や物質が列挙されている。
【0014】
米国特許出願2004/0193296号には、少なくとも動脈瘤の一部を閉塞するための装置が開示されており、この装置は、互いに移動して搬送部と配置部との間にブリッジを形成する複数の細長い部材を含んでいる。第1のアレイは動脈瘤内部に配置され、第2のアレイが動脈瘤の外側に配置される2つのアレイブリッジも開示されている。
【0015】
中隔欠損を閉塞する装置も広く知られている。かかる装置は、心臓や血管系の内腔や欠損を閉塞する。例えば、米国特許第6077291号明細書や米国特許第6911037号明細書に中隔閉塞装置が開示されている。気管支の内腔をシールする、もしくは一部をシールする気管支血流調整装置も知られており、例えば米国特許第7011094号明細書を参照されたい。
【0016】
植え込み型デバイスを配置の後に離脱するために現在用いられている手段には、機械的手法、電気的手法、水圧を用いた手法がある。機械的手法のものは、閉塞装置とプッシュワイヤが機械的接続具ないしは内部ロックにより結合されており、ひとたび離脱されると、装置がカテーテルから排出される。かかる装置の例は、米国特許第5263964号、第5304195号、第5350397号および第5261916号に開示されている。
【0017】
電気的手法のものは、繊維や接着剤により構成される結合状態がプッシャーワイヤと閉塞装置を連結させている。装置が所望の場所に配置された後に、前記結合を電流や熱(例えばレーザーを用いて)によって術者が電気的に分解する。このような装置の例は米国特許第5624449号明細書に開示されている。かかる装置は、電気分解により発生した物質が動脈瘤内に放出され、患者に潜在的な危険を与えるという欠点を有している。電気的離脱は、閉塞装置を配置させる作業に時間がかかる。
【0018】
水圧を用いた手法のものは、プッシュワイヤがカップリング重合により閉塞装置と連結されている。プッシュワイヤは、術者がワイヤの近位端から水圧注射を接続するためのマイクロルーメンを有している。注射部に圧力が掛けられると、水圧が上がり、カップリング重合部が破壊され、装置が離脱される。かかる装置の例は、米国特許第6689141号明細書に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
低侵襲性の技術を用いた欠損のさまざまな閉塞装置や方法が知られているが、これらの手法は依然として危険を伴い、例え開口を閉塞するのに成功しても、生理的構造体、通常の健康状態に修復されることはほとんどない。本発明における方法およびシステムは、開口の閉塞、組織欠損の治療、血管等生理的構造体の修復、通常の健康状態への修復を行う低侵襲性処置の長さ、煩雑性を低減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は内腔の開口部または腔内を低侵襲性の技術を用いることにより修復する方法およびシステムに関する。一般的に、これらのシステムおよび方法は、開口部や腔内のような血管異常に関して使用されるものであり、本明細書においては動脈瘤やその他血管欠損への適用に関して開示している。しかしながら、本発明に係るシステムおよび方法は、これらへの適用に限られるものではなく、所望の開口部や腔内や組織を修復し復元すべくざまざまな形態での医学的適用が可能であることは当然である。
【0021】
実施態様の一つとして、本発明に係る方法およびシステムは、閉塞構造体を開口部や腔内に渡って配置し、開口部や腔内に、動脈瘤のような開口部や腔内を切り取り、親動脈から除去する手段として作用する1つ以上のアンカー構造体を使用して閉塞構造体を開口部に保持することにより、血管などの内腔を修復および復元する。配置した後、閉塞構造体は前記開口部や腔内を覆って、健康時の内腔壁とほとんど同じ連続した内腔壁を形成する。アンカー構造体も閉塞構造体も内腔内の血流を妨げることはない。本処置を行っている最中もしくは行った後に、内皮や組織の成長を促進させる物質や、接着剤、治療薬、非血栓形成物質など、さまざまな物質を修復部に提供することができる。
【0022】
別の実施態様として、本発明に係る方法およびシステムは、開口部をまたぐ欠損の細胞伝達を制限する閉塞構造体を配置し、前記閉塞構造体を1つ以上のアンカー構造体を使用して前記開口部に保持することにより動脈瘤などの欠損を除去する。本発明に係る方法およびシステムは、欠損もしくはその一部を縮小し再吸収させることをさらに促進し、欠損内部の止血を促進する。また本発明における動脈瘤を治療するための方法およびシステムは、欠損部周囲の血管の構造体や機能を回復させるのみならず、動脈瘤内部の物質を安定させ、血流内に破片が入ることを防ぎ、動脈瘤の大きさおよび質量の軽減を促進する。
【0023】
内腔内や血管内での処置は、さまざまな種類の医療行為に用いられる植え込み型デバイスや材料の設置に共通して使用される。血管内ガイドカテーテルは患者の血管内に大腿動脈を通じて挿入され、血管内を通って、所望の治療部へ到達する。さらなる搬送機構や特別なカテーテル、マイクロカテーテルやプッシャーデバイスなど、さまざまな種類のデバイスや補機の搬送を用意にするために採用することができる。植え込み型デバイスは一般的に、プッシャーや搬送機構に着脱可能に取り付けられており、ガイドカテーテルを通して目的部に案内され、そこで展開されて搬送機構から分離される。搬送機構は、ガイドカテーテルを通して引き戻され、付加的デバイス、補機、薬剤などは必要であればガイドカテーテルの除去の前に、目的部へ搬送される。
【0024】
本発明にかかる方法は、閉塞構造体と、1つ以上のアンカー構造体と有するデバイスを小さな直径の搬送状態で所望の修復部へ低侵襲性技術を用いて案内することを含んでいる。一実施例として、タイドワイヤはガイドカテーテルを通じて対象とされる修復部へ案内される。閉塞装置は対象とされる修復部へ案内されて、ガイドワイヤの先で展開される。このましい実施例として、閉塞デバイスは搬送カテーテルの遠位端部に予め取り付けられていることが好ましい。ガイドワイヤ、搬送カテーテル、閉塞デバイス、プッシャー、分離デバイスは、適当な大きさを有し、長い内腔内および曲がりくねった通路をしっかり進むために、適度な可撓性、押圧力を有していることが好ましい。長く曲がりくねった通路は妨害されるので、植え込み型デバイスを搬送するためには、搬送カテーテルおよび植え込み型デバイスの双方に、所要の可撓性、押圧性および誘導性をそなえる大きさおよび形状を有していなくてはならない。
【0025】
一実施例において、本発明に係る方法は、閉塞装置および少なくとも2つのアンカー構造体を小さな直径の搬送状態において欠損部の近傍に有するさらに欠損閉塞システムを案内し位置させることを含んでいる。一般的に、第一のアンカー構造体は、欠損部もしくは開口部の近傍の表面に接触して、もしくは近傍に設置されて展開される。展開により、第1のアンカー構造体は、円周方向に開いて広がり、閉塞構造体の周囲長よりも大きな周囲長の構造体をなす。閉塞構造体は、欠損部や開口部に渡って配置されて展開し、欠損部や開口部を覆い閉塞する。閉塞構造体が配置された後に、第2のアンカー構造体が、欠損部や開口部と向き合う表面と接触して、もしくは近傍に配置されて展開される。第2のアンカー構造体は、円周方向に開いて広がり、閉塞構造体の周囲長よりも大きな周囲長の構造体をなす。展開した状態でのアンカー構造体は、内腔表面や欠損近傍の組織と接触しているか、近くに位置していることが好ましく、閉塞構造体は開口部を覆い、正常な構造体および形状に回復させるために閉じられている内腔壁や欠損の構造体および形状と一致している。アンカー構造体は、欠損構造体と向かい合う表面と接触する作用を奏し、欠損部近傍の健康な組織と接触し、位置して閉塞構造体を開口部に保持するために拡張する作用を奏している。
【0026】
欠損閉塞システムの配置は、放射線透過性マーカーを搬送カテーテルおよび/または欠損閉塞システムに設置することによりなすこともできる。1つ以上の放射線透過性マーカーが例えば第1のアンカー構造体である前記デバイスの遠位端(搬送状態において);閉塞構造体である前記デバイスの中間部(搬送状態において);および/または第2のアンカー構造体である前記デバイスの近位端に設けることができる。前記デバイスは、遠位端放射線透過性マーカーを欠損開口部にわたって、および欠損開口部の近傍に設置し、第1のアンカー構造体を展開する;中央放射線透過性マーカーを欠損開口部に設置し、閉塞構造体を展開する;近位端放射線透過性マーカーを開口部のやや外側に設置し第2のアンカー構造体を展開することにより、展開することができる。放射線透過性マーカーを閉塞デバイスおよび/または搬送カテーテルに関して使用することにより、アンカーおよび閉塞構造体の設置および展開を正確に行うことができる。前記閉塞システムは、アンカー構造体を開口部近傍の組織と向かい合った面に円周状に配置し、閉塞構造体を開口部に配置することにより、しっかり固定されて保持される。閉塞システムの位置は、設置し治療した後に、デバイスに設けられた放射線透過性マーカーの位置を調べることにより、観測することができる。
【0027】
本発明における移植方デバイスは開口部または腔内を閉塞し伸ばすために閉塞構造体を採用している。前記閉塞構造体は、下に述べるさまざまな材料で構成することができる。展開した状態における閉塞構造体の寸法および形状は、少なくとも動脈瘤頚部などの欠損開口部よりも大きく、閉塞構造体が展開したときに開口部を覆うことが好ましい。閉塞構造体は、連続的に閉塞した表面積を有することができ、他の実施例として、ガイドワイヤを使用した設置を容易にするため、および/または補助的植え込み型デバイスの搬送や物質の搬送を容易にするための1つ以上の開口部を有するとすることができる。
【0028】
閉塞構造体は、ある実施例において 前記構造体を再現し対象組織が移動する(例.拍動性)のに十分な半径方向の可撓性を有している。閉塞構造体が動脈瘤の頸部に配置されると、効果的な血管壁の修復および強度、構造体、可撓性を回復をなしながら、血管の動きに追従する。好ましい実施例においては、閉塞構造体および/またはアンカー構造体は、血管欠損に配置された後に、欠損を修復するだけでなく、細胞の成長を促し、さらに、閉塞構造体を生理的構造体に組み込み、前記構造体が欠陥状態に戻る機会を減少させる。
【0029】
閉塞構造体は、表面領域もしくはその構造体の一部分を介して補強構造体を組み込むとすることができる。一実施例として、例えば、弾力性のある可撓性シート材料を定形ないし不定形模様の補強構造体に付けることができる。一実施例において、閉塞構造体は補強力を与えるワイヤループもしくはフレームワーク構造体によって周辺部近傍に支持され、付加的もしくは代替的にアンカー構造体を備えている。一実施例において、補強構造体は1つ以上のアンカー構造体と一体となった、もしくは1つ以上のアンカー構造体を取り付けるための襟構造体を含んでいる。
【0030】
ある実施例において、アンカー構造体は、閉塞構造体を欠損開口部と向かい合った内腔壁へ偏らせている。ある実施例におけるアンカー構造体は複数個設けられており、閉塞構造体を欠損開口部と向かい合った内腔壁へ偏らせている。他の実施例においても、複数個のアンカー構造体が設けられており、少なくとも1つのアンカー構造体は開口部近傍の内腔壁と接触またはその近傍に位置し、少なくとも1つのアンカー構造体は欠損部の外側内腔壁もしくは内側内腔壁と接触またはその近傍に位置している。ある実施例におけるアンカー構造体は、開口部近傍の欠損内腔壁の内側および外側において円周状に位置し、閉塞構造体は開口部に位置して覆い、効果的に開口部の一方側から他方側を締め出し、腔内を原型である閉じた構造体に回復させる。
【0031】
ある実施例において、アンカー構造体は少なくとも部分的に開口部近傍の血管の一面もしくは両面と接触し、閉塞構造体を開口部に支持することを目的としている。アンカー構造体は非外傷性で近傍の組織を傷つけたり、血管内の血流を妨げることなく閉塞構造体を支持する。一実施例において、アンカー構造体はループ構造体もしくは開口を有するクリップ構造体をなし、表面部分の物質密度は閉塞構造体の表面部分における密度よりも低い。植え込み型デバイスは一般的に小さな直径を有し、搬送状態において円筒形状をなし、この状態において、アンカー構造体は中央の閉塞構造体から互いに反対の方向へ突出している。設置のさいに、アンカー構造体は形を変化させ、外側へ円周形状に開き、より大きな直径のアンカー構造体をなす。搬送状態の位置としての、遠位および近位端アンカー構造体は、腔内の両サイドへ展開され、ほぼ同一の形状および寸法を有するとすることができる。またアンカー構造体は、異なる長さ、形状、構造体からなるとすることもできる。ある実施例において、アンカー構造体は、内腔の内側および外側に位置し互いに整列されており、一方で他の実施例においては互いにジグザグ状をなして配置されている。
【0032】
他の実施例において、植え込み型デバイスは上述のように1つ以上のアンカー構造体および/または襟構造体と組み合わされた閉塞構造体を含んでいる。この実施例において、アンカー構造体は閉塞構造体にもうけられた少なくとも2つの位置決めループを含んでいる。位置決めループは、展開した状態において、動脈瘤および/または動脈瘤近傍の血管壁の内壁と接触する大きさおよび形状を有しており、閉塞構造体を動脈瘤の壁側もしくは動脈瘤頚部近傍の血管壁側へと偏らせ、閉塞構造体が動脈瘤の頸部を覆うように固定する。
【0033】
展開した状態において、閉塞構造体およびアンカー構造体は、動脈瘤頚部の内側および/または外側に位置させることができる。ある実施例において、例えば、植え込み型デバイスは動脈瘤内部に位置させ、その結果アンカー構造体は動脈瘤の内壁と接触し、閉塞構造体はその周辺部で動脈瘤の頸部を覆う。別の実施例において、植え込み型デバイスは動脈瘤における血管に配置され、その結果アンカー構造体は血管壁と接触し、閉塞構造体はその周辺部で動脈瘤の頸部を覆う。アンカー構造体の形状によって、複数個のアンカーループが配置の後に動脈瘤の近くの血管壁と接触ないしは近傍に位置するように設けられる。
【0034】
さらに別の実施例において、植え込み型デバイスは、閉塞メンブレンンと結合するテーパ状のもしくは円錐状の閉塞構造体と、少なくとも2つの位置決め部材を有するアンカー構造体とを含む。この実施例において、閉塞構造体のテーパ部は、形状変更可能な金属素材からなる非連続的メッシュを含み、配置のさいに少なくとも一部が動脈瘤の内壁と接触するように広がる。テーパ状の非連続的メッシュ構造体の基部は閉塞構造体と結合されていることが好ましい。アンカー構造体は閉塞構造体に設けられ、複数の位置決めループを含ませてもよく、展開した状態において少なくとも動脈瘤頸部近傍の血管壁と接触する。他の実施例によれば、アンカー構造体は少なくとも2つの花弁状の構造体を有し、例えば透過性ないし非透過性の皮膜にもうけられた金属構造体を有している。別の実施例によれば、アンカー構造体は、閉塞構造体よりも浅い形状を有した第2のテーパ状の非連続的メッシュ構造体を含むとすることができる。
【0035】
動脈瘤の頸部に配置される閉塞構造体は、別のデバイスのガイドワイヤが通ることのできる、もしくは部品やデバイスなどを閉塞システムに続いて導入するための中央開口部もしくは溝を有していてもよい。本発明における方法によれば、コイルなどの塞栓症デバイスや液体状、微粒子状塞栓が閉塞構造体を設置した後に搬送カテーテルを通して閉塞構造体の開口部に注入される。ある実施例において、塞栓物質および/またはデバイスは、閉塞デバイスの周辺部を動脈瘤の内壁側へ偏らせ、その結果閉塞デバイスを動脈瘤の頸部で固定している。
【0036】
ここに開示した植え込み型デバイスは、目的箇所へ搬送カテーテルを通してプッシャー搬送システムおよび/または離脱機構をしようすることにより搬送することができる。閉塞構造体、支持フレームワークおよびアンカー構造体は搬送軸に沿って圧縮されており、搬送状態において円筒形状に配列されている。プッシャー機構を使用する実施例において、プッシャーはアンカーデバイスの近傍に配置されており、閉塞デバイスを搬送カテーテルと関係づけながら移動させることができる。前記デバイスを搬送カテーテルから押し出し、前記デバイスを静的状態に保つ一方でカテーテルを引き戻すことによって展開される。代替実施例において、植え込み型デバイスは、配置された後に切り離される取り外し可能な要素を含んでいる。離脱機構は周知であり、機械的手法、電気的手法、水圧的手法、およびその他のシステムが植え込み型デバイスを展開するために用いられる。
【0037】
ある展開システムにおいて、デバイスワイヤが本発明における植え込み型デバイスに設けられている。前記デバイスワイヤは、線形であり搬送ワイヤやカテーテルなどの近位端部で固定的に結合されたている形状変形活性化要素を含む離脱機構に、もしくはその近傍に取り付けられている。前記デバイスの近位端部と前記活性化要素の遠位端部は、交配型接続機構でなり、搬送状態において確実に接続され所望の離脱位置に植え込み型デバイスを案内する。デバイスワイヤからの活性化要素の離脱は、所望の位置にデバイスを配置した後に、熱や電流などにより形状変形力を活性化要素に与えることによりなされ、活性化要素の形状が変化することによりデバイスワイヤが解放され、活性化要素および搬送ワイヤを引き戻すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明における植え込み型システムは、その詳細を動脈瘤閉塞デバイスへの適用に関して記述および図示している。しかしながら、これらシステムが本適用に限られず、血管、組織、気管支気道などの治療および修復に関して適用できることは当然である。同様に、欠損および開口部を修復するための出願人の方法がここに記載されたシステムに限られないことも当然である。
【0039】
本発明における植え込み型閉塞デバイスは、組織欠損に掛け渡される閉塞構造体と、該閉塞構造体を適切な位置に固定するアンカー構造体を含んでいる。多くの代替実施例および構造体がここに開示されている。ここに開示されている閉塞構造体に採用されている可撓性パッチもしくはメンブレンンは、カテーテル内を小さな直径の搬送状態で搬送され、展開状態において大きな寸法の形状となることのできる可撓性材料からなる。ある実施例において、前記閉塞構造体は、血液や体液などの液体を通さない不透過性の材料からなる。もしくは、血液や体液などの液体を半分通すもしくは通す透過性の材料からなしてもよい。閉塞構造体は前記デバイスの適用によってさまざまな形状を採用することができ、一般的には、円形、楕円形、卵形、多角形などが採用される。
【0040】
前記閉塞構造体は、生体適合可能な材料であり、かつ搬送時において小さな直径をなすように圧縮可能、折畳み可能、変形可能な材料からなる。前記閉塞構造体を形成する材料としては、例えば、さまざまな種類の天然もしくは人工ポリマー材料、シリコン材料、ゴム材料、ダクロン(登録商標)のような織布もしくは不織布、テフロン(登録商標)のようなポリテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)やゴアテックス(登録商標)、ソフトフォーム(登録商標)、インプラ(登録商標)のような拡張したポリテトラフルオロエチレン共重合体(ePTFE)のようなフッ素重合体組成物、ポリウレタン材料、ポリウレタンとシリコンの化合物および今日重合体などがある。他の実施例において、閉塞構造体は薄膜形状記憶合金、例えばニチノール合金などの薄膜ニッケル・チタン合金である金属材料を含ませてもよい。メンブレンン層およびメンブレンンは複数の成分を含み、組成が与えられる。ある実施例において、前記閉塞構造体は、配置された場所の組織や血管の動作や拍動性に応じて半径方向に可撓性があり、弾力性があり、拡張可能であり、材料から構成される。
【0041】
ある実施例において、前記閉塞構造体は表面に定形ないし不定形のメッシュ類似の構造体を含んでいる。一般的に、メッシュ形状の閉塞構造体は、微細メッシュ構造体を有している。ある実施例における閉塞構造体は、半径方向に拡張可能なメッシュ類似の構造体を有している。他の実施例における閉塞構造体は、1つ以上の軸方向に拡張可能なメッシュ類似の構造体を有している。
【0042】
前記閉塞構造体は、ポーラスもしくは穿孔表面構造体を少なくともその表面積の一部に有していてもよく、穴は一定の気孔率で配列されているか、もしくは、場所によって気孔率が異なって配列されている。標準的な穴の大きさは、閉塞構造体の表面において一定としてもよいし、さまざまな大きさの穴を配置してもよい。一般的に穴の大きさは約0.5から200ミクロンが好ましい。ある実施例における穿孔構造体は、液体が閉塞構造体を横切って流れるのを許すが、赤血球を含む巨大タンパク質や細胞を排除する。一般的に10ミクロン以下の平均的な直径を有する穿孔は巨大タンパク質や細胞を排除し、一方で流体がメンブレンンを横切って流れるのは可能である。前記穿孔の配列は定形ないし不定形のパターンを形成し、前記穿孔の形態は定形でも不定形でもよく、一般的に円形、楕円径、四角形などがある。例えば組織や血管壁と接触する閉塞構造体の周辺部において高気孔率としてもよい。
【0043】
前記閉塞構造体は、代替的もしくは追加的に細胞の付着と成長を促進させるための表面処理加工をその一方もしくは両方の面に施してもよい。例えば、ある実施例において前記閉塞構造体を構成する材料は不規則な粗い面を有しており、細胞の付着を促進させる。別の実施例において、前記閉塞構造体は、くぼみや溝が定形ないし不定形のパターンで組み込まれた3次元形状を有し、細胞の付着と内皮活性化を促進させる。
【0044】
ここに開示されたデバイスにおいて、閉塞構造体および/または植え込み型デバイスの他の部品は、1つ以上のアンカー構造体を含んでおり、細胞の成長と展開部での付着を促進するよう構造体化されもしくは加工されている、もしくは材料を含んでいる。同様に、本願発明における方法は、細胞の成長と内皮活性化を促す物質をデバイスが展開された箇所において、植え込み型デバイスが設置される以前、最中および/またが以降において注入することを伴う。たとえば血管への適用においては、本発明におけるデバイスが配置されることにより修復される動脈瘤やその他の欠損がある場所で血管の内皮活性化を促すことが望ましい。本発明の方法およびシステムにおいて使用されるさまざまな物質は米国特許公報2004/0087988および2004/0193206に記載されており、これらはその全体を参照することにより本書に組み込まれる。
【0045】
多数の材料をデバイスを配置する以前、最中、以降にわたって、もしくは植え込み型デバイスと関連させて投与することができ、細胞の成長を促進させる。生体適合性のある材料を本目的に使用することができ、例えば、コラーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、抗体、サイトカイン、成長因子、酵素などのタンパク質;ヘパリン、コンドロイチンなどの多糖類;生物固有の架橋ゼラチン;ヒアルロンン酸;ポリ(アルファ.ヒドロキシ 酸);RNA;DNA;その他の核酸;ポリグリコイド、ポリラクチド、ポリラクチドグリコイド(polylactid-co-glycolides)などのポリエステル;ポリカプトラクトンを含むポリラクトン;ポリジオキサノンン;ポリリシンなどのポリアミノ酸;ポリシアノアクリレイト;ポリ(フォスファゼン);ポリ(リン酸エステル);ポリエステルアミド;ポリアクセタール;ポリケタール;トリメチレンカーボネートを含むポリカーボネート;分解性ポリエチレン;ポリアルキレンシュウ酸塩;ポリアルキレンコハク酸エステル;キチン;キトサン;酸化セルロース;ポリハイドロキシ酪酸、ポリハイドロキシ吉草酸およびこれらの共重合体を含むポリハイドロキシアルカノエート;ポリエチレン・オキシドの重合体および共重合体;アクリル酸ポリエチレン;ポリアミド;ポリエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリホスファゼン;ポリ(アミド無水物)、ポリ(アミドエステル)無水物、芳香族脂肪酸無水物、芳香族無水物、ポリ(エステル無水物)、脂肪酸無水物などを含むジカルボン酸のモノマーからなる酸無水物;他の生体適合性重合体、共重合体および三元重合体;生物活性物の残留物質;これらの化合物。
【0046】
ポリラクチド、ポリグリコイド、ポリラクチドグリコイド、酸無水物、ポリp-ジオキサン、トリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエートなどを含む、いくつかの生体適合性ポリマーは十分な生体吸収性を有しており、本発明におけるデバイスおよび方法に関して使用するのに適している。一般に十分な生体吸収性を有していないとされる以下に含まれる生体適合性ポリマーも使用するこことができる。ポリアクリル酸塩;エチレン酸塩ビニール;酢酸酸塩セルロースおよび酢酸プロピオン酸セルロースを含むセルロースおよびセルロース誘導体;非侵食性ポレオレフィン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;フッ化ビニル樹脂;ポリビニル(イミダゾール);クロロスルホン化ポリエチレン;ポリエチレン・オキシド;ポリエチレン・グリコール;ポリビニル・ピロリドン;ポリウレタン;ポリシロキサン;これらの共重合体および三元重合体;これらの化合物。他の例となるポリマーは広くしられており、当業者であればかかるポリマーはここに列挙できないほど多数あることは容易に理解できる。したがって、本リストは説明のために示したものであり、網羅したものではない。
【0047】
非ポリマー材料も本は積めにおける閉塞システムに使用することができる。好ましい非ポリマー材料には、例えば、ホルモン物質や抗新生物薬物質を含む。血管との一体性を促進させる他の生体適合性材料の例は、例えば細胞や細胞片などの処理がなされた人間もしくは動物の組織、人工血管組織、膀胱・胃・肝臓のマトリクス材、天然もしくは人工の遺伝物質を含む。
【0048】
他の種類の組成物も本発明における閉塞デバイスを構成する閉塞構造体またはアンカー構造体に使用することができる。親水性物質および/または疎水性物質または接着剤は、例えば全てのもしくは一部の構造体に使用できる。同様に、PTFEのようなフッ素重合体を含む減摩剤は、全てのもしくは一部の構造体に使用されることにより搬送カテーテルからの展開を促進する。放射線透過性マーカーや放射線透過性物質はデバイス構造体の特定構造体ないしは一部に設けられることにより、正確な位置決め、配置、展開されたデバイスの監視を可能にする。例えば、ある実施例において、放射線透過性物質は、閉塞構造体と一体的に設けたり、閉塞構造体を被覆して設けることができる。他の実施例において、特定の治療薬、抗生物質、血栓形成物質、非血栓形成物質などを前記デバイス構造体の特定構造体ないしは一部に設けたり、植え込み型デバイスを展開する以前、最中もしくは以降に投与してもよい。適切な物質は、広く知られており、他の種類の植え込み型デバイスとともに使用されている。
【0049】
前記閉塞構造体は、複数の層を含み、さまざまな種類の被覆や、付着・接着物質や治療薬、親水性物質ないし疎水性物質、ハイドロジェルのような膨潤性材料、放射線透過性材料などを使用することができる。ある実施例において、膨潤性ハイドロジェルは、閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用すれば、展開された状態において、動脈瘤の内壁と接触する。他の実施例において、塞栓作用を促進させるある物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用すれば、展開された状態において動脈瘤の内壁と接触して、動脈瘤の塞栓を進められる。さらに別の実施例においては、ヘパリン、プラスミノーゲン活性化因子(tPA)などの血栓症および血液凝固を軽減させる作用のある、ある物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/または血管壁の表面に使用する。別の実施例においては、パクリタクセル(Paclitaxel)やその派生物、シロリムス、ステロイドやスタチン、イブプロフェンなどの抑炎症性物質など、再狭窄を防ぐ物質および/または炎症を減少させる物質もしくは物質の化合物を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に使用する。別の実施例においては、放射性物質を閉塞構造体の表面および/またはアンカー構造体の表面に治療ないしは結像目的で使用する。
【0050】
前記閉塞構造体をなしているメンブレンンは、連続した表面積を有し、植え込み型デバイスの設置または搬送状態における搬送システムへ取付を容易にする、1つ以上の開口部もしくは溝部を備えている。メンブレンンは、形状記憶合金のような形状変更可能な材料を含んでいるフレームワークもしくはアンカー構造体に固定されている。いくつかのメンブレンン材料はフレームワークもしくはアンカー構造体にも、被覆、浸漬被覆などの方法により適用することができる。
【0051】
前記閉塞構造体を支持するアンカー構造体や補強構造体のようなフレームワークの組成は、超弾性および/または形状記憶特性を示す形状記憶合金のような生体適合性形状変更可能な材料からなる。形状変形可能な材料は、熱や電流などにより形状変形力が加えられることにより予定されてた形態に形を変え、既定の展開状態へと変形する。形状を変化させる力は、発生した温度の変化により生じ、例えばデバイスを体温環境の下に置いたり、外部装置を使用してデバイスに熱が加えたり、電流を使用してデバイスに熱を加えることにより発生する。形状記憶材料を温めることにより、上記のように、材料が変化し、前記デバイスのフレームワーク構造体および/またはアンカー構造体は予め定められている大きな寸法および形状へ変化する。
【0052】
超弾性および形状記憶特性を示すニチノール合金は本発明におけるデバイスに使用するのが好ましい形状記憶合金である。フレームワークおよびアンカー構造体は、例えば、剛性ワイヤ、管状ワイヤ、編組材料で形成することができ、管状ないしは円筒状の構造体から切断して作られる。フレームワークおよびアンカー構造体は、他のさらなる材料を内蔵していてもよく、フレームワーク構造体同士の間に被覆や部材を有していてもよい。ある実施例において、フレームワークおよびアンカー構造体物は、周知のスパッタリング技術を使用することによりニチノール薄膜合金などの薄膜形状記憶合金からなる。
【0053】
植え込み型デバイスは、プッシャーもしくはロッドを備えた搬送カテーテル、もしくは特性のマイクロカテーテル(“搬送カテーテル”という。)を使用すること、あるいは離脱機構を備えたプッシャーシステムを使用することにより目的箇所へ搬送される。例えばある実施例において、前記閉塞構造体は搬送カテーテルの遠位端において低姿勢の状態で取り外し可能に設けられており、引き込み可能なシースによって覆われ低姿勢の状態で保持されている。前記搬送カテーテルは、周知の技術によって動脈瘤の頸部に位置され、シースが引き込まれると、前記閉塞デバイスは予め定められた形状に展開し、前記動脈瘤の頸部を塞ぐ。より詳細には、シースを引き込む第1のステップにおいて、第1のアンカー構造体が展開され、動脈瘤頸部近傍の組織と接触して、もしくは近傍に位置し;第2のステップにおいて、閉塞構造体またはメンブレンンが動脈瘤の頸部を塞ぎ、第2のアンカー構造体が展開されて動脈瘤頸部近傍の組織と接触して、もしくは近傍に位置する。
【0054】
図1は、2つのアンカー構造体32,33に設けられているパッチ、すなわち閉塞構造体31を有する閉塞デバイス30の実施例を示す。前記閉塞構造体すなわちメンブレンンを形成する好ましい材料は上述のとおりである。閉塞構造体31は、フレームワーク構造体34によって支えられており、フレームワーク構造体34は、少なくとも閉塞構造体31周囲の一部に、接着や縫合などの態様で閉塞構造体31に取り付けられている。フレームワーク構造体34は、翼状のアンカー構造体32,33に設けられている。フレームワーク構造体34およびアンカー構造体32,33は、いずれもニチノール合金などの形状変更可能な材料で形成することが好ましい。
【0055】
アンカー構造体32,33は、高剛性ワイヤすなわちチューブ状構造体、もしくは編み上げ構造体やその他メッシュ構造体などをから成る材料で形成してもよい。設置した状態においてアンカー構造体32,33は、少なくともアンカー構造体32,33の一部が動脈瘤の内壁や血管の内壁に接触する形状となっている。アンカー構造体32,33の形状は、円形、楕円形、その他曲線構造体をなすものとすることができ、多角形状としてもよい。好ましい実施態様としては、図1Aに示されるように、アンカー構造体32,33は、フレームワーク構造体34との結合部35から外方側へ曲線を描き、端部では結合部35より内方側へ互いに向かうよう楕円曲線形状をなしている。
【0056】
図1Aに示された実施例において、アンカーループ32,33は、概して同じ形状の、同じ次元からなり、互いに向かい合った位置に取り付けられている。別の実施例として、異なる構造体、かつ/もしくは、次元からなるアンカー構造体としてもよい。例えば、一方のアンカー構造体が他方のそれよりも、長い、かつ/もしくは、幅広くしたり、両者で異なる3次元の曲線構造体や多面形状を有するとしてもよい。図では2つのアンカー構造体32,33が示されているが、さらなるアンカー構造体を付加してもよい。この場合、フレームワーク構造体34および/または閉塞構造体31に関して、対称となるよう取り付けることが好ましい。
【0057】
図1Bは、フレームワーク構造体39の側縁部に向かい合って設けられたアンカー構造体37,38を有する閉塞構造体36である、類似の閉塞デバイスを示す。閉塞構造体36のほぼ中央部に、開口部ないしは溝部を設けてもよい。アンカー構造体37,38は図1Bに示されるように、ほぼ曲線を描いており、その末端部は、対応するフレームワーク構造体および閉塞構造体の末端部を超えて延びている。本実施例における閉塞構造体およびフレームワーク構造体は、動脈瘤の頸部よりも広い表面を有しており、アンカー構造体は動脈瘤の内側に以下に述べる配置形状で設置される。本形状により、閉塞構造体には側方および下方への力が発生するため、動脈瘤の血管内腔の側面に合致し、動脈瘤の頸部を血流からシールして血管を修復する。
【0058】
図1C−1Fは、図1Aおよび1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に配置した状態で図式的に示したものである。血管Bの隆起部が動脈瘤Aを形成している。図1Cおよび1Dに示されるように、閉塞デバイス30は、頸部にわたって、および、動脈瘤の内部に配置され、閉塞構造体31は、動脈瘤の開口部を覆うように、アンカー構造体32,33は動脈瘤の内部において、少なくともその表面の一部が動脈瘤の内壁と接触するように配置されている。本形態において閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の開口部に支持され、動脈瘤の外方側に位置している。図1Cおよび1Dに示された実施例において、閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の外側に配置されている。図1Eは別の実施例を示し、閉塞構造体31および支持部34は、動脈瘤の開口部に支持され、動脈瘤の内方側に位置している。
【0059】
図1Fは、他の配置システムおよび方法を示し、少なくとも2つのアンカー構造体を有する閉塞デバイスは、閉塞構造体31が動脈瘤の開口部を覆うように、アンカー構造体32,33が動脈瘤の外側に位置し、動脈瘤近傍の血管内壁と接触するように配置されている。本実施例において、アンカー構造体32,33は、動脈瘤の頸部付近の血管内径と同じ大きさおよび形状を有しているため、アンカー構造体は動脈瘤のある血管に損傷を与えたり膨張させることなく、連続的な態様で血管の内壁と接触することができる。これらの実施例において、閉塞構造体は欠陥を効率的に治療すべく動脈瘤の頸部を覆っており、アンカー構造体は血流を妨げることがない。
【0060】
図2Aは、フレームワーク構造体42によって支えられ、アンカー構造体43,44,45,46に設けられた閉塞構造体41を有する、別の閉塞デバイス40を示す。閉塞構造体41の特性や形状は上述のとおりである。閉塞構造体41は、フレームワーク構造体42によって支えられており、フレームワーク構造体41は、少なくとも閉塞構造体41周囲の一部に、接着や縫合などの態様で閉塞構造体41に取り付けられている。フレームワーク構造体42は、一対の翼状アンカー構造体43,44および45,46に設けられている。フレームワーク構造体42およびアンカー構造体43,44,45,46は、いずれもニチノール合金などの形状変更可能な材料で形成することが望ましい。
【0061】
アンカー構造体43,44,45,46は、設置された状態において、アンカー構造体43,44,45,46の少なくとも一部が動脈瘤の内壁もしくは血管の内壁と接触するよう設計されている。アンカー構造体43,44,45,46の設置された状態における形状は、円形、楕円形、その他曲線形状をなすものとすることができ、多角形状としてもよい。好ましい実施態様としては、図2Aに示されるように、アンカー構造体43,44,45,46は、フレームワーク構造体42との結合部から外方側へ曲線を描き、外位端部ではフレームワーク構造体42から内方側へ違いに向かうようほぼ楕円曲線形状をなしている。図2Aに示される実施例において、アンカーループ43,44,45,46は、ほぼ同じ形状、および、ほぼ同じ次元を有している。アンカーループ43および46は、アンカーループ44および45に関して、鏡像をなす位置関係にある。同様に、アンカーループ43および44は、アンカーループ46および45に関して、鏡像をなす位置関係にある。他の実施例として、アンカーループ43,44,45,46のそれぞれの形状、および/または、次元を変化させたり、異なるものとしてもよい。ここでは2対のアンカー構造体が図示されているが、さらなるアンカー構造体つまり対になるアンカー構造体を設けてもよい。アンカー構造体は、フレームワーク構造体42および/または閉塞構造体41に関して対象となるようとりつけることが好ましい。
【0062】
図2Bは、図2Aに示した種類の閉塞デバイスを、2つのアンカー構造体が動脈瘤内部に配置されて少なくとも動脈瘤内壁の一部と接触しながら、パッチ41が動脈瘤の開口部を覆い、動脈瘤の外側に配置された2つのアンカー構造体が動脈瘤近傍の血管内壁に接触した状態で配置した状態で示す図である。図2Aに示されたタイプの閉塞デバイスをしようした血管の治療方法においては、第1のアンカー構造体、例えば動脈瘤A内部のアンカーループ43,46を、動脈瘤内部頸部付近の動脈瘤内壁に接触するよう配置し、閉塞構造体41を動脈瘤の頸部にわたり、頸部を覆うように配置させ、第2のアンカー構造体、例えば動脈瘤頸部の外側にあるアンカーループ44,45を動脈瘤頸部付近の血管内壁に接触するように配置している。
【0063】
動脈瘤の閉塞デバイスに関する別の実施例について、図3Aは、一部を展開した状態で示し、図3Bは全部を展開した状態で示したものである。本実施例において、閉塞デバイス50は、上述の閉塞構造体および複数個の位置決め部材53,54,55,56を備えたメンブレンン52に円錐の先端を切り取った形状に結合されたテーパ状閉塞構造体51を有している。
【0064】
テーパ状閉塞構造体51は、ポーラスすなわち形状変更可能な金属材料から成るメッシュのような構造体が好ましく、搬送時は薄く、小径の構造体をなし、配置時には、広がって少なくとも一部が動脈瘤の内壁に接触する。前記ポーラスすなわちメッシュのような構造体は、該構造体内に大小の空間を有しており、これら空間および構造体は、左右対称でも非対称でもよく、曲線状・線状・角状のいずれでもよい。拡張式の前記メッシュのような構造体は、周知のもの、例えば様々な種類のステントを採用することができる。テーパ状閉塞構造体51は、そのすくなくとも一部を弾力性のある繊維や、シリコン材料、PFTE材料、ダクロン(登録商標)などの生体適合性のあるメンブレンン材料、線維状材料で覆ってもよい。
【0065】
テーパ状閉塞構造体51は、小径ベース部57において閉塞メンブレンン52に結合ないしは設けられている。閉塞構造体51の周囲長は、小径ベース部57の直径と一致させてもよいし、小径ベース部57の直径より大きくしてもよい。例えば、閉塞構造体51は、フレームワーク構造体58の近傍に設けられており、小径ベース部57はフレームワーク構造体58の内周縁に設けられている。
【0066】
閉塞デバイス50の位置決め部材53、54、55および56には、上述したアンカー構造体に類似したループ構造体を採用することができる。もしくは、硬金属構造体や非連続形のメッシュ、もしくは可撓性材料で前記位置決め部材を形成してもよい。2個以上の部材が、閉塞構造体51に関して、半径方向に対称となるよう配置されている。別の実施例として、テーパ状閉塞構造体51よりも浅く、テーパ形状をなす非連続のメッシュ構造体をアンカー構造体として設けることもできる。
【0067】
図4A−4Cは、閉塞デバイス50を動脈瘤の内側もしくは動脈瘤に掛け渡して設置を行う最中、もしくは設置後の配置された状態を示す図である。図4Aは、一部分が動脈瘤Aに挿入された状態の閉塞デバイス50を示す図である。テーパ状閉塞構造体51は、動脈瘤の頸部を通され第1のアンカー構造体として設置され、動脈瘤内にメンブレン52とともに配置される。メンブレン52は、動脈瘤の頸部に渡って広がっており、頸部を実質的に閉塞している。位置決め部材53、54、55および56は、設置の後に動脈瘤頸部の外側に配置されて、動脈瘤頸部近傍の血管内壁と接触する。このように閉塞デバイスを設置することにより、血管内壁が治療され、通常の健康状態に修復される。
【0068】
図5は、埋め込み型デバイス60の別の実施例を示し、可撓性閉塞構造体61は、該閉塞構造体の近傍もしくは周囲に取り付けられた複数個のアンカー部材62を有している。アンカー部材62は、図に示されるように少なくとも2つの相隔たったアーム63、64を有しており、閉塞構造体61の内面ないしは外面に取り付け、もしくは向かい合うアーム63および64が閉塞構造体61の反対側の面から伸びて閉塞構造体61を貫通させた状態で取り付けられている。アーム63、64は、閉塞構造体上に位置するが、閉塞構造体61の外縁部65は、アーム63、64と閉塞構造体61の結合部よりも外側に配置されている。
【0069】
埋め込み型デバイス60は、カテーテルデバイスを介した低侵襲性の搬送を実現するために半径方向に折り畳み可能、もしくは圧縮可能である。搬送状態おいて、デバイスは小さな直径の円筒形状内を移動するため、アーム63、64は実質的に直線形状をなしている。所望の位置にデバイスを搬送した後、搬送状態におけるアームの一つが、拡張展開されて、頸部近傍の動脈瘤内壁に設置される。残りのアームは、一連のアームが、三次元空間内で相隔たって対峙するよう配置され、第2のアーム群は頸部近傍の血管内壁に配置される。閉塞構造体61は、各アンカーアームが展開された状態にあるとき、動脈瘤の頸部開口を覆うよう動脈瘤全体に渡って位置している。埋め込み型デバイス60が動脈瘤頸部に設置されると、閉塞構造体61が頸部を覆い、アーム63、64が動脈瘤内部および血管内に固定点を形成する。外縁部65は、閉塞構造体61のそれよりも大きな直径断面を有しており、動脈瘤頸部および/または頸部近傍の血管内壁に、さらなる被覆を別途形成している。
【0070】
図6A−6Cは、他の実施例である閉塞デバイスを示す。閉塞システム70は、図6Aに示されるように、強化ネック構造体72および複数のアンカー構造体73、74を備えた中央閉塞構造体71を含んでいる。閉塞構造体72には、その中央領域に開口もしくは溝を随意設けてもよい。強化ネック構造体72は、閉塞構造体71と一体、もしくは別体として閉塞構造体71の周縁部に取り付けることができる。ネック構造体72は、補強部材75と可撓性メンブレンン部材とを含む。これらを組み合わせることにより、強化ネック構造体は、円筒形状や卵形状もしくは同種の形状の直立型襟構造体部を有し、これは動脈瘤の頸部に配置された後、動脈瘤内に突き出て、前記頸部を封鎖して血管から分離する。補強部材75は、図に示されるようにジグザグパターンで規定、もしくは、直立したネック構造体を構造体上支持する別の模様で規定することができる。強化ネック構造体72は、閉塞構造体71の平面から垂直に突き出る方向に描かれているが、望ましい適用形態、閉塞するべき身体の組織形状に応じて、強化ネック構造体72は、閉塞構造体71の面に対して鋭角ないしは鈍角をなして突出することが好ましい。
【0071】
閉塞システム70は、閉塞構造体71もしくはネック構造体72から広がり、前記閉塞構造体71もしくは前記ネック構造体72より大きな径を有している裾部72を含んでいる。裾部は閉塞すべき開口部をより広い領域に渡って閉塞し、開口部の外側に位置して、例えば動脈瘤の例であれば、動脈瘤頸部近傍の血管壁と接触する。裾部を含んだデバイスを開口部の形状が不定形な場合に使用すると特に好ましく、裾部の寸法は開口部に沿って調整される。裾部は、展開したときの直径が少なくとも10%伸びることが好ましい。より好ましくは15%であり、ある実施例においては20%である。さらに他の実施例においても、裾部の展開状態での直径は少なくとも30%伸びることが好ましい。
【0072】
アンカー構造体73,74は、硬い材料から形成することが好ましく、ニチノール合金など形状記憶材料で形成することが好ましい。図6Aに示された実施例において、アンカー構造体73,74は、閉塞構造体71の面に対して両サイドの方向へ突出しており、構造体支持中間体77によって結合している。アンカー構造体は一体的に形成して単体としてもよいし、分離して別体としてもよい。アンカー構造体73,74は、丸角を備えた三角形状のものが図6Aには示されている。図6Bに示された閉塞構造体78の他の実施例において、前記アンカー構造体は、より丸みを帯びたペーパークリップのような構造体をなしている。アンカー構造体は、様々な大きさ、形状および幅をとることができる。使用目的によっては、アンカー構造体はメッシュに類似の、もしくはポーラス形状とすることができる。図では、3組のアンカー構造体が示されているが、当然これよりも数を多くしても少なくしてもよく、中央のパッチに対して対称となるよう放射状に配置する。
【0073】
図6Cは似た構造体の閉塞構造体80を示し、円筒形状の襟領域部82とフレアー裾部83とを備えた中央閉塞構造体81が含まれている。前記襟領域部82と前記フレアー裾部83との境界部は、曲線を描き連続している。反対方向を向いたアンカーアーム84,85により補強がなされ、これらは交互にねじれ形状をなし、かつ放射状に配置されている。
【0074】
図7Aは、本発明における別の実施例である閉塞デバイス120を小さな直径の搬送状態で示す図であり、図7Bは代替例である閉塞デバイス130を大きな直径の展開状態で示す図である。閉塞デバイス120は、第1および第2のアンカー構造体122,124を含み、該アンカー構造体は中間襟構造体126から反対方向へ突出しており、閉塞構造体128の横方向へ伸びている。アンカー構造体122および124は形状変更可能な材料からなり、図7Aに示す搬送状態において全体的に円筒形状をなしている。配置時にアンカー構造体(124,126)は円形のリングのような構造体描いた展開形状となるよう外側へ大きく屈曲する。
【0075】
アンカー構造体122および124は、展開状態において、実質的に組織を傷つけることがないもの、組織への外傷を最小限におさえるものが好ましい。ある実施例において、アンカー構造体122および124は、ほぼ扁平な構造体、断面形状を有している。図7Aに示された実施例において、アンカー構造体(122,124)は、ほぼ同じ形状および寸法を有しており、中間襟構造体の両面から突出し、ジグザグ状すなわちオフセット形状をなしている。展開した状態において、アンカー構造体122,124は、閉塞する欠損部と向かい合う組織の非重複部分と接触する。この配置により、外傷が与えられることはほとんどなく、閉塞デバイスが当接する領域の組織の生存力や血液の流れを促進し、維持することができる。膨張した遠位端および近位端のパッド123および125がアンカー構造体122および124にそれぞれ設けられており、閉塞装置の設置および展開を行い、組織と接着している領域での接触直径がより大きくなる。
【0076】
図において、アンカー構造体122および124は、ほぼ三角形状の扁平なワイヤ構造体として描かれており、全体の長さは中間襟構造体よりも長いが、当然他の形状を採用することもできる。補強構造体や圧力分散構造体を表面に追加することも可能である。代替的に、もしくは、追加的に閉塞構造体を形成しているメンブレンンを少なくとも1つ以上のアンカー構造体に備えてもよい。
【0077】
少なくとも1つ以上の放射線不透過性マーカーが、アンカー構造体122,124の中間襟構造体から離れた端部の近傍に設けられていることが好ましく、すなわち植え込み型デバイスを展開した状態での近位端および遠位端にあたる。例えば、パッド123および125は、放射線不透過性マーカーを内蔵する、そのものから成る、もしくは備えており、設置作業の間もしくは設置した後において、アンカー構造体の末端部をマーキングする。放射線不透過性材料としては、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンなどが好ましい。放射線不透過性マーカーは、例えば膠状接着や、粘着、圧着、溶接、レーザー溶接などによりアンカー構造体に結合させることができる。
【0078】
中間襟構造体126は、リブ127で構成される円筒状の補強構造体を含んでおり、この補強構造体はアンカー構造体よりも密度が高い。リブ127は、可撓性のメンブレンン構造体に結合されており、本実施例において、襟構造体のほぼ全範囲に渡っている。メンブレンン構造体は、閉塞構造体128の横方向に伸びている。放射線不透過性マーカーは襟構造体126および/または閉塞構造体128に設けられるのが好ましい。
【0079】
図7Bは、本発明における他の閉塞装置130の一部を部分的に展開した状態で示す。閉塞装置130は、中間襟構造体136の両面からおよび閉塞構造体138の側方から突出した第1および第2のアンカー構造体132,134を含む。アンカー構造体132,134は形状変更可能な材料から成り、図7Aに示されるように搬送状態においては、ほぼ円筒形状をなし、配置の際に構造体を変化させて、図7Bに示されるようにアンカー構造体132,134を備えたより大きな直径の構造体をなす。アンカー構造体132,134の展開した状態は、図7Bに示されるとおりであり、植え込み型デバイスにより修復される欠損部の種類や構造体に応じて、デバイスの中央線に向かって窪む。同様に、中央襟構造体136は、図7Bに示されるように展開した状態において、ほぼ直立した円筒形状をなして、円周の外方に湾曲しており、アンカー構造体とともに欠損部近傍の組織にデバイスを固定させている。欠損部の大きさや修復部組織の種類や厚さに応じて、デバイスは多様な湾曲形状をなす。
【0080】
アンカー構造体132、134は、展開した状態において、接触する組織に対して実質的に非外傷性、ないしは外傷を最小限にするよう構成されていることが好ましい。ある実施例において、アンカー構造体132および134は、ほぼ円筒形状すなわちチューブ状の構造体をなし、断面形状を有している。図7Bに示されるように、部分的に転換されたアンカー構造体132,134は、中央襟構造体136の両サイドから突出しており、目的部で展開した状態において、アンカー構造体が欠損部の近傍の互いに向かい合う組織表面に接触するように配置されている。アンカー構造体の遠位端部は、広い表面積を形成し、終端部は鈍角をなしているため、組織と良好な姿勢で接触し、閉塞装置が接触する組織に外傷を与えることがほとんどない。
【0081】
アンカー構造体132、134は、三角形状の扁平なワイヤ構造体として描かれており、全体の長さは中間襟構造体よりも長いが、当然のことながら他の形状を採用することもできる。アンカー構造体は、その表面に補強ないし圧力を分散させる構造体をさらに有していてもよい。閉塞構造体を構成するメンブレンンを代替的にもしくは追加的に1つ以上のアンカー構造体に備えさせてもよい。
【0082】
少なくとも1つ以上の放射線不透過性マーカーが、アンカー構造体132、134の中間襟構造体から離れた端部の近傍に設けられていることが好ましく、すなわち植え込み型デバイスを展開した状態での近位端および遠位端にあたる。放射線不透過性マーカーは、例えば、放射線不透過性物質をアンカー構造体に結合させることで備えさせることができる。放射線不透過性材料としては、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンなどが好ましい。放射線不透過性マーカーは、例えば膠状接着や、粘着、圧着、溶接、レーザー溶接などによりアンカー構造体に結合させることができる。バンド133および135は、設置作業の間もしくは設置した後において、アンカー構造体の末端部をマーキングするよう、放射線不透過性マーカーを内蔵する、またはそのものから成る、もしくはマーカーを備えている。
【0083】
中間襟構造体136は、リブ137よりなる円筒形状の補強構造体を含んでおり、該補強構造体はアンカー構造体132,134よりも密度が高い。リブ137は十字形構造体をなし、可撓性のメンブレンン構造体に結合されており、襟構造体と同一の広がりを有している。襟構造体は、襟構造体は、展開した状態において、直立した円筒形状を有し、襟構造体およびリブは、外方へ湾曲した円周構造体をなしている。横閉塞構造体138は、中間襟構造体136および/または襟構造体に取り付けられたメンブレンン構造体に設けられ、もしくは結合されており、ガイドワイヤその他の器具を通すための溝すなわち穴を設けてもよい。1つ以上の放射線不透過性マーカーが選り構造体136および/または横閉塞構造体138に設けられていることが好ましい。
【0084】
図8は、別の実施例である閉塞デバイス90を示し、閉塞デバイス91は中央部に閉塞面と、補強構造体へ連結された基板とを備えている。基板は、複数のアンカー支柱体92および93を有し、向かい合ったアンカー支柱体92および93は花弁のような蹄状紋を左右対称の形状になしている。支柱92、93は中間構造体94によって互いに連結されている。前記補強構造体は、単体で構成してもよいし、複数の独立構造体を接続して構成してもよい。
【0085】
デバイス90は、小さな径の搬送状態で開口の頸部へ搬送された後に展開されると、まずアンカー支柱体92が開口部の内側で展開され、動脈瘤の内壁と接触もしくは近傍に位置され、中間体94は開口部の頸部に位置する。展開過程において、アンカー支柱体93は、展開された後に動脈瘤開口部近傍の血管内壁と接触するため、閉塞デバイス91は開口部において血管の方向へ押しつけられる。本実施例における閉塞デバイス91は不定形な形状の開口部を閉塞することができる。
【0086】
図9はさらに別の実施例である閉塞デバイス100を拡張された展開状態で示す。閉塞デバイス100は、湾曲した円錐形すなわち球根状の構造体101を含み、これは例えばニチノールのような薄膜上の形状記憶合金からなる。湾曲構造体101の小さな直径を備えた端部は閉塞しており(図示せず)、大きな直径を備えた端部は開口を有している。図9に示された実施例において、湾曲構造体101は、メンブレンン壁102すなわち複数個のリブ103により補強された複数個のメンブレンンパネルを含む。リブ103は、放射線状に対称的な形状に配置されており、数を増やすことも減らすこともできる。他の実施例として、メンブレンン壁102をメッシュ類似の構造体、もしくは別の種類のフレームワーク構造体で補強してもよい。
【0087】
閉塞デバイス100は、該デバイス100を位置決めし、開口部に固定するための、さらに少なくとも1つの固定構造体104を含んでいる。固定構造体104は、曲線状もしくはコイル状の帯の形状としてもよいし、花弁状もしくはループのような構造体としてもよく、さまざまな固定構造体104を採用できる。デバイス100が展開するさいに、球根状構造体101は開口部の内側を拡張すべく配置され、固定構造体104は開口頸部の外側に配置されて、開口部付近の内壁と接触することによって、デバイス100を開口部に固定する。
【0088】
図10は、別の実施例であるスパイラル形状の閉塞デバイス110を示す。フレームワーク構造体は、スパイラル構造体の内部境界もしくは外部境界に取り付けられており、メンブレンンがフレームワーク構造体に設けられもしくは一体的に取り付けられている。ある実施例において、スパイラル構造体は、小さな径の直径と大きな径の直径とを有するとすることができる。別の実施例として、閉塞デバイス110は、向かい合った二重スパイラルコイル形状を有している。本実施例において、向かい合ったコイルは、小さな直径部からなる中央部において結合し、互いに反対方向へ拡張している2つのコイルを含んでいる。
【0089】
コイル補強構造体は、ニチノールワイヤもしくはそれと類似の生体適合性があり形状変形可能な材料で形成し、閉塞構造体をなしているメンブレンン材料に埋め込み、ないしは設けてもよい。前記メンブレンンは、コイル補強構造体に貼り付けられてあるメンブレンンのループを重複できる寸法を有し、コイル状に巻かれた状態において、重複境界部を有している。閉塞デバイス110は、終端部すなわち大きな直径のコイルの端部が閉塞すべき開口部の内側に位置し、スパイラル形状が開口部を締め付けるように、展開される。向かい合うコイル構造体が結合している小さな直径の部分は、開口頸部にわたって位置し、開口部の外部領域で展開して、開口部近傍の構造体の内壁(血管内壁など)と接触する。
【0090】
上記のように、ここに開示した閉塞システムに用いられる閉塞構造体およびメンブレンンは、薄膜ニチノール合金のような、薄膜の形状記憶合金で形成することができる。本願発明におけるメンブレンンや閉塞構造体に用いられる薄膜ニチノール合金は、約0.5−100ミクロンの厚さを有し、より好ましくは約2−50ミクロンの厚さを有し、45−55%のチタンおよびニッケルをそれぞれ含むとしてもよい。
【0091】
薄膜ニチノール合金は、例えば米国特許第6533905号に開示されるような、全体を参照することにより開示は省略するが、スパッタリング技術を用いて製造される。かかる技術は、スパッタ蒸着された薄いニチノール合金の層の上に露出した外表層を有する、鉄やガラス、シリコンなどからなるマンドレルを使用する。スパッタ蒸着の後、マンドレル上に形成されたニチノール合金の薄膜にあーニングを施し、その結果生成された薄膜は、例えばマンドレルおよびマンドレルに形成されたうす膜をエッチング液に浸すことによって剥がされる。アニールを施された薄膜上に気孔の模様を含むレジスト層を形成し、気孔の模様に対応した穿孔を作るために薄膜をさらし、レジスト層を除去することにより、穿孔や小さな穴、気孔がニチノール合金の薄膜上に形成されることがある。構造体部材はスニチノール合金のパッタ蒸着に先立って設置されるため、薄膜は直接構造体部材に付着される。
【0092】
閉塞デバイスに使用されている、フレームワーク、支持部材およびアンカー部材は、チタニウムニッケル合金薄膜(例えばニチノール合金)などの形状記憶合金薄膜からなる管もしくはシリンダから切断ないしはエッチングされる。形状記憶合金薄膜をエッチングする技術は、広く知られている。一実施例として、例えばGupta他(SMST-2003: Proc. Intl. Conf. Shape Memory Superelastic Technol., (Pacific Grove, CA) eds. A.R. Pelton &T. Duerig, p.639,2003)によって説明されているように薄肉管が製造される。簡潔に説明するに、ニチノール合金および犠牲材料(クロムなど)からなる複数の層が、研磨された酸化膜シリコンウエハのような扁平な基板表面に連続的にスパッタ蒸着される。前記シリコンウエハは、クロムからなる第1の蒸着層と、その後に蒸着されたニチノール合金からなる第2のクロム層と分離された2つの蒸着層とを備えている。ニチノール合金層の厚さは、1ないし40ミクロンとすることができ、クロム層の厚さは500オングストロームとすることができる。2枚のフォトマスクプレート(マスク1およびマスク2とする。)を使用し、これらマスクは、結果物の大きさや形状、ここではシリンダないしは管、を決定する既定のパターンが転写されている。マスク1はウエハ上の第2のクロム層からなるパターン形状を含んでおり、マスク2はニチノール合金層のパターン形状を含んでいる。ニチノール合金およびクロム層の薄膜にパターン形成するには、標準的なMEMS技術が用いられる。ウエハ上にニチノール合金およびクロム層の薄膜を蒸着した後に、クロムエッチング液に浸し、クロム層を剥がして第1および第2のニチノール合金層の間にポケットを形成することにより、複数層の薄膜構造体がウエハから除去される。分離された薄膜構造体は、例えばステンレススチールからなるマンドレルを2つのニチノール合金層の間に形成されたポケットに挿入し、真空中で500℃で温めることにより、3次元シリンダへ変形される。標準的なフォトグラフィ技術を用いることにより、所望の寸法、形状および模様の穿孔をニチノール合金層に形成することが可能である。
【0093】
また、ここに開示した植え込み型システムは、デバイスワイヤを備えた閉塞デバイスも含み、前記デバイスワイヤは、離脱ジョイントにより植え込み型デバイスを搬送/プッシュワイヤに着脱可能に接続している。デバイスワイヤは、遠位端において離脱ジョイントを介して植え込み型デバイスと一体的に、もしくは付属的に設けられており、植え込み型デバイスを体内の所望の位置にガイドカテーテルの案内により搬送するのに使用される。好ましいデバイスワイヤ、離脱ジョイントおよび搬送/プッシュワイヤは周知であり、本発明における閉塞装置にも使用することができる。デバイスおよびデバイスワイヤに用いられる素材も周知である。
【0094】
本発明における閉塞システムは動脈瘤などの血管内の欠損や生理的欠損、内腔内や組織の空洞の欠損を治療するのに使用される。本発明における方法およびシステムは、侵襲的な外科処置を伴わない低侵襲性の内腔技術を使用することにより、内腔壁や組織欠損の治療と復元を可能にする。搬送および配置の手順は、他の代替手段にくらべ容易かつ時間がかからないものであり、結果的に合併症の危険を低減できる。
【0095】
図11は、本発明における植え込み型デバイスを、治療部に案内し配置するための搬送カテーテルに取り付けた状態で示す図であり、図12A−Eは、搬送および配置方法の例を示す図である。搬送システム140は、動脈瘤や血管内に形成された内腔など目的部分へ案内するために、適切な寸法、可撓性および押圧力を備えた搬送カテーテル142を含んでいる。神経血管の動脈瘤などのように、小さな内腔や入り組んだ通路に案内することが必要である場合には、搬送カテーテル142に、径が小さく、高可撓性を有したマイクロカテーテルを備えさせてもよい。搬送カテーテルの遠位端部は、可撓性がより高く、例えば近位端部よりも可撓性が高い。さまざまな搬送カテーテルが知られており、本発明の搬送システムに使用するのに適している。
【0096】
修復デバイス、ここに開示した2個の向かい合ったアンカー構造体を備えた修復デバイスおよび/または閉塞デバイスのいずれのものであってもよいが、搬送カテーテル142の遠位端141に径の小さな搬送状態で予め取り付けられているのが好ましい。搬送カテーテル142内を搬送される、修復デバイス144の遠位端部145は、動脈瘤や内腔内、搬送路の内壁と向かい合った内腔壁に配置されるアンカー構造体であることが好ましい。1つ以上の放射線透過性マーカー146を修復デバイス144の遠位端部145ないしその近傍に設けることができる。搬送カテーテル142内を搬送される修復デバイス144の近位端部147は、動脈瘤や内腔内の頸部の近傍である血管壁、搬送路の内壁と向かい合った内腔壁に配置されるアンカー構造体であることが好ましい。1つ以上の放射線透過性マーカー148を修復デバイス144の近位端部147ないしその近傍に設けることができる。修復デバイス144は、閉塞構造体149にあたるデバイス中央部の近位端に、追加的もしくは代替的に放射線透過性マーカーを内蔵させてもよい。放射線透過性マーカーは、搬送カテーテル142に関して、追加的もしくは代替的に設けられ、修復デバイス144の遠位端部および近位端部をそれをれマーキングする。
【0097】
図11および12A−Eに示された搬送システムは、修復デバイス144を案内して位置決めするためのガイドワイヤ150および該ガイドワイヤ用の内腔を備え、修復デバイス144の近位端部147を接触させ、搬送カテーテル142から分離させるプッシャー152を使用している。好ましいガイドワイヤおよびプッシャーは周知であり、本発明の修復および閉塞デバイスでの使用に適している。
【0098】
生理的欠損を修復する、すなわち開口や内腔160を閉塞するための方法においては、修復デバイス144を小さな直径内を搬送状態で目的とする修復箇所へガイドワイヤ150を伝って、非侵襲性ないしは低侵襲性技術を用いて、第1のアンカー構造体に相当する修復デバイス144の遠位端部を、図12Aに示す修復開口部に位置させ案内することを伴う。もしくは、中間襟構造体もしくは閉塞構造体149に設けられた放射線透過性マーカーにより修復デバイス144を血管170内の動脈瘤や欠損部160に位置させてもよい。一連のアンカーアーム145を含む第1のアンカー構造体は、修復デバイス144の遠位端を搬送カテーテル142から押圧し、および/または、第1のアンカー構造体を図12Bに示されるように頸部近傍の動脈瘤内壁に接触するよう位置づけるために、搬送カテーテル142を引き戻すことにより展開される。展開によって、第1のアンカーアーム145は、円周方向に開いて広がり、アンカー構造体は欠損部の表面もしくは近傍に接触し、もしくは、正確かつ無傷の位置合わせを行うために設置および位置決めの最中は、第1のアンカー構造体に設けられた放射線透過性マーカー146を監視するようにしてもよい。
【0099】
第1のアンカー構造体を配置した後、閉塞構造体149を備えた修復デバイスの中間部が修復対象である開口部を覆って展開され、図12Cに図示されるように欠損開口部を閉塞する。中間閉塞帯149の展開によって、閉塞構造体は開口部を覆うように、開いて広がる。この状態において、第1のアンカーアーム145は、動脈瘤内壁の一側面と接触し、もしくは一側面の近傍に位置し、閉塞構造体149は、内腔開口部を覆っている。その後に、第2のアンカー構造体147およびそれに備え付けられた放射線透過性マーカー148を含む修復デバイスの近位端部が、搬送カテーテル142から押し出される、もしくは、閉塞デバイスに対して前記カテーテルを引き戻すことにより、図12Dに示されるように展開される。第2のアンカー構造体が展開されたことにより、アンカーアーム147は外方へ開いて広がり、搬送路を形成する部分との境界部である欠損部表面に接触し、もしくは欠損部表面の近傍に位置する。この時点で、閉塞デバイス144は、しっかりと固定され、ガイドワイヤ150は搬送カテーテル142内に引き戻されている。図12Eに示されるように、搬送システム140は抜き取られ、閉塞デバイスは開口部を修復する。
【0100】
本発明における方法およびシステムによれば、身体上の欠損部および開口部を、開口部を覆うように閉塞構造体を取り付け、欠損部近傍の内腔もしくは組織の両側面に配置されるアンカー構造体を備えた閉塞構造体を、開口部を越えた位置に支持し、固定することにより、効果的に修復することができる。デバイスが配置された領域における細胞および内皮の再生により、組織機能の回復がすすみ、欠損部が修復される。放射線透過性マーカーは、デバイスの設置および位置合わせに使用されるが、設置後もさまざまな場面でデバイスの位置を監視することもできる。
【0101】
本発明に関する以上の説明は、特定の好ましい実施例との関係で記載されており、説明のために詳細を示したが、実施例の追加と同様に、ここに記された詳細を本願発明を越えない範囲でさまざまな変形や変更が可能であることは当業者にとって自明である。
【0102】
詳細名説明において引用したすべての参考資料および刊行物はその全体を参照することにより本書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】植え込み型閉塞デバイスの一実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図1B】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図1C】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1D】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1E】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図1F】図1A及び図1Bに示した閉塞デバイスを動脈瘤に適用した状態で示す拡大図。
【図2A】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図2B】図2Aに示した植え込み型閉塞デバイスを血管不整に適用した状態で示す拡大正面斜視図。
【図3A】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を一部が展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図3B】植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を全部が展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4A】図3A及び図3Bに示した植え込み型閉塞デバイスを動脈瘤の頸部に挿入した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4B】図3Bに示した植え込み型閉塞デバイス(破線)を動脈瘤および血管の内部で展開した状態で示す拡大正面斜視図。
【図4C】図3Bに示した植え込み型閉塞デバイスを動脈瘤の内部で展開した状態で示す断面図。
【図5】複数のアンカー構造体を周囲部に備えた可撓性パッチを含む閉塞構造体。
【図6A】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図6B】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図6C】展開状態において直立したネック要素を有する植え込み型閉塞デバイスの拡大斜視図。
【図7A】搬送状態においてアンカー構造体と結合された閉塞構造体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大側面図。
【図7B】本発明における植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を一部が展開した状態で示す拡大側面図。
【図8】展開状態において向かい合ったアンカー支柱体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図9】展開状態において球根状の閉塞部材を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図10】展開状態においてコイル構造体を有する植え込み型閉塞デバイスの別の実施例を示す拡大斜視図。
【図11】本発明における植え込み型閉塞デバイスの実施例を搬送状態で示す拡大斜視図。
【図12A】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12B】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12C】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12D】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【図12E】本発明におけるデバイスを設置するのに有益な展開方法を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0104】
30、40、50、60 閉塞デバイス
31、41、51、61 閉塞構造体
32、34、37、38、43、44、45、46 アンカー構造体
84、85、145、147 アンカーアーム
126 襟構造体
140 搬送システム
142 搬送カテーテル
150 ガイドワイヤ
152 プッシャー
A 動脈瘤
B 血管
【図1A】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする組織欠損の開口部または腔内を修復し、小さな直径の形状を呈する搬送状態からより大きな直径の形状を呈する展開状態へと変形することのできる植え込み型デバイスであって、
前記デバイスが前記展開状態であるときに前記開口部または腔内を覆う寸法の閉塞構造体と、
前記デバイスが前記搬送状態であるときに前記閉塞構造体から第1の方向へ広がる第1のアンカー構造体および前記閉塞構造体から第1の方向と反対側の第2の方向へ広がる第2のアンカー構造体とを有し、
前記第1および第2のアンカー構造体は前記デバイスが前記展開状態であるときに閉塞構造体の直径よりも大きな直径の円周方向に広がる構造体をなす、植え込み型デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2のアンカー構造体の少なくとも一方に設けられた少なくとも1つの放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項3】
前記第1および第2のアンカー構造体のそれぞれに設けられた少なくとも1つの放射線透過性マーカーを含む、請求項2に記載の植え込み型デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のアンカー構造体の中間に設けられた放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項5】
前記閉塞構造体に設けられた放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項6】
前記放射線透過性マーカーは、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンおよびこれらの化合物のグループから選択される1つの組成物を含む、
請求項2−5に記載の植え込み型デバイス。
【請求項7】
前記閉塞構造体は、連続した十分な閉塞表面積を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項8】
前記閉塞構造体は、他のデバイスの通過を容易にする少なくとも1つの開口部を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項9】
前記閉塞構造体は、前記構造を再現し対象組織へ移動するのに十分な半径方向の可撓性を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項10】
前記閉塞構造体は、シリコン材料;ゴム材料;織布または不織布;フッ素重合体組成物;ポリマー材料、ポリウレタン材料、金属材料およびこれらの化合物のグループから選択される1つの材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項11】
前記閉塞構造体は薄膜形状記憶合金を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項12】
前記閉塞構造体はニッケルチタニウム合金を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項13】
前記閉塞構造体は、少なくともその表面の一部にポーラス表面構造を有する、
請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項14】
前記閉塞構造体は、液体を透過させるが気泡は透過させない材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項15】
前記閉塞構造体は、補強構造体を組み込んでいる、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項16】
前記補強構造体は、前記閉塞構造体の周辺部近傍にフレームワーク構造体を含んでいる、請求項15に記載の植え込み型デバイス。
【請求項17】
前記閉塞構造体の周辺部近傍に設けられた襟構造体を含み、前記襟構造体は、ほぼ円筒形状の構造をなし、搬送状態において前記閉塞構造体の面とほぼ直角の面内に拡張する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項18】
前記襟構造体は、可撓性メンブレン構造体に設けられたほぼ円筒形状の補強構造体を含む、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項19】
前記襟構造体は、前記デバイスが展開状態にあるときにほぼ円筒形状をなす、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項20】
前記襟構造体の少なくとも一部は、展開状態においてデバイス中央から角をなしている、もしくは湾曲している、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項21】
前記アンカー構造体は、非外傷性でかつ前記閉塞構造体の表面部分における密度よりも低い物質密度からなる表面部分を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項22】
前記アンカー構造体は生体適合形状記憶合金材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項23】
前記アンカー構造体はニッケルチタン合金を含む、請求項22に記載の植え込み型デバイス。
【請求項24】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ円形、ほぼ楕円形、ほぼ曲線、ほぼ多角形、ほぼ三角形、およびこれらを組み合わせた形状のグループから選択される1つの形状を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項25】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ同じ形状を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項26】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ同じ寸法を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項27】
前記第1および第2のアンカー構造体は、異なる形状および/または寸法を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項28】
前記第1のアンカー構造体は、ほぼ同じ形状を有した複数個のアンカーアームを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項29】
前記第1のアンカー構造体は、異なる形状および/または寸法を有した複数個のアンカーアームを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項30】
前記第1および第2のアンカー構造体は、展開状態において互いに整列されている、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項31】
前記第1および第2のアンカー構造体は、展開状態において互いにジグザグ状を描いている、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項32】
前記第1および/または第2のアンカー構造体は、メッシュと類似のもしくはポーラスの形状を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項33】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;親水性物質;疎水性物質;接着剤;減摩剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの材料を内蔵する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項34】
対象とする組織欠損の開口部もしくは腔内を修復する植え込み型デバイスを有する搬送システムであって、
対象とする組織欠損の近傍へ搬送するための遠位端を有する搬送カテーテルと、植え込み型デバイスとを含み、
該植え込み型デバイスは、搬送状態においてほぼ円筒形状をなし、前記開口部もしくは前記腔内を覆う大きさの閉塞構造体と、該閉塞構造体から違いに反対方向へ伸びる第1および第2のアンカー構造体とを含む植え込み型デバイスとを含み、前記搬送カテーテルの遠位端部の内腔に位置している、搬送システム。
【請求項35】
前記植え込み型デバイスの近傍に位置するプッシャーを含む、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項36】
搬送状態において植え込み型デバイスの近位端部に設けられたワイヤおよび取り外し可能な要素を有する離脱機構を含む、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項37】
少なくとも1つの放射線透過性マーカーが前記搬送カテーテルの遠位端に設けられている、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項38】
対象とする組織欠損の開口部もしくは腔内の修復方法であって、
(a) 第1のアンカー部と、第2のアンカー部と、前記第1および第2のアンカー部の中央に位置する閉塞構造体とを対象とする前記組織欠損部へ低侵襲性技術を用いて修復デバイスを案内すること、
(b) 前記第1のアンカー部を対象とする前記組織欠損部の開口部内で展開し、前記第1のアンカー部を前記開口部を囲む第1の組織表面の近傍に位置させもしくは接触させた状態で位置させること、
(c) 前記閉塞構造体を前記開口部を覆うように展開させること、
(d) 前記第2のアンカー部を対象とする前記組織欠損部の開口部外で展開し、前記第2のアンカー部を前記開口部を囲む第2の組織表面の近傍に位置させもしくは接触させた状態で位置させることとを含む、修復方法。
【請求項39】
ガイドワイヤを対象とする前記組織欠損部の近傍に案内することと、前記修復デバイスを前記ガイドワイヤに沿って前記欠損部に案内することとを含む、請求項38に記載の修復方法。
【請求項40】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;接着剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの物質を対象とする前記組織欠損部に導入することを含む、請求項38に記載の修復方法。
【請求項41】
(a) 第1および第2のアンカー部の中間に位置する閉塞構造体を有する閉塞デバイスを小さな直径の搬送状態で動脈瘤の頸部近傍へ低侵襲性の技術を使用して案内すること、
(b) 前記第1のアンカー部の遠位領域を、前記動脈瘤の前記頸部を通して前記動脈瘤の内部に展開し、前記動脈瘤の頸部を囲む内側動脈瘤組織表面の近傍に、前記開口部よりも大きい直径を有した第1の円周状アンカー構造体を位置させること、
(c) 前記中間閉塞構造体を前記動脈瘤の頸部に渡って展開し、前記開口部を被覆および閉塞すること、
(d) 前記第2のアンカー部を前記動脈瘤の頸部外に展開し、前記動脈瘤の前記頸部近傍の血管表面近傍に、前記動脈瘤の頸部よりも大きい直径を有した第2の円周状アンカー構造体を位置させることとを含む、動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項42】
ガイドワイヤを対象とする前記組織欠損部の近傍に案内することと、前記修復デバイスを前記ガイドワイヤに沿って前記欠損部に案内することとを含む、請求項41に記載の動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項43】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;接着剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの物質を対象とする前記組織欠損部に導入することを含む、請求項41に記載の動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項44】
開口部を覆い、動脈瘤と患者の血管との間の細胞伝達を制限する閉塞構造体を前記動脈瘤の前記開口部に配置させること、
前記動脈瘤の前記開口部の内部および/または外部に配置される少なくとも1つのアンカー構造体を用いて、前記閉塞構造体を適切な位置に固定することとを含む、患者の血管から動脈瘤を除去し、前記動脈瘤の質量軽減を促進させるための方法。
【請求項1】
対象とする組織欠損の開口部または腔内を修復し、小さな直径の形状を呈する搬送状態からより大きな直径の形状を呈する展開状態へと変形することのできる植え込み型デバイスであって、
前記デバイスが前記展開状態であるときに前記開口部または腔内を覆う寸法の閉塞構造体と、
前記デバイスが前記搬送状態であるときに前記閉塞構造体から第1の方向へ広がる第1のアンカー構造体および前記閉塞構造体から第1の方向と反対側の第2の方向へ広がる第2のアンカー構造体とを有し、
前記第1および第2のアンカー構造体は前記デバイスが前記展開状態であるときに閉塞構造体の直径よりも大きな直径の円周方向に広がる構造体をなす、植え込み型デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2のアンカー構造体の少なくとも一方に設けられた少なくとも1つの放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項3】
前記第1および第2のアンカー構造体のそれぞれに設けられた少なくとも1つの放射線透過性マーカーを含む、請求項2に記載の植え込み型デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のアンカー構造体の中間に設けられた放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項5】
前記閉塞構造体に設けられた放射線透過性マーカーを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項6】
前記放射線透過性マーカーは、タンタル、金、銀、バリウム、プラチナ、タングステンおよびこれらの化合物のグループから選択される1つの組成物を含む、
請求項2−5に記載の植え込み型デバイス。
【請求項7】
前記閉塞構造体は、連続した十分な閉塞表面積を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項8】
前記閉塞構造体は、他のデバイスの通過を容易にする少なくとも1つの開口部を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項9】
前記閉塞構造体は、前記構造を再現し対象組織へ移動するのに十分な半径方向の可撓性を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項10】
前記閉塞構造体は、シリコン材料;ゴム材料;織布または不織布;フッ素重合体組成物;ポリマー材料、ポリウレタン材料、金属材料およびこれらの化合物のグループから選択される1つの材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項11】
前記閉塞構造体は薄膜形状記憶合金を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項12】
前記閉塞構造体はニッケルチタニウム合金を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項13】
前記閉塞構造体は、少なくともその表面の一部にポーラス表面構造を有する、
請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項14】
前記閉塞構造体は、液体を透過させるが気泡は透過させない材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項15】
前記閉塞構造体は、補強構造体を組み込んでいる、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項16】
前記補強構造体は、前記閉塞構造体の周辺部近傍にフレームワーク構造体を含んでいる、請求項15に記載の植え込み型デバイス。
【請求項17】
前記閉塞構造体の周辺部近傍に設けられた襟構造体を含み、前記襟構造体は、ほぼ円筒形状の構造をなし、搬送状態において前記閉塞構造体の面とほぼ直角の面内に拡張する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項18】
前記襟構造体は、可撓性メンブレン構造体に設けられたほぼ円筒形状の補強構造体を含む、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項19】
前記襟構造体は、前記デバイスが展開状態にあるときにほぼ円筒形状をなす、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項20】
前記襟構造体の少なくとも一部は、展開状態においてデバイス中央から角をなしている、もしくは湾曲している、請求項17に記載の植え込み型デバイス。
【請求項21】
前記アンカー構造体は、非外傷性でかつ前記閉塞構造体の表面部分における密度よりも低い物質密度からなる表面部分を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項22】
前記アンカー構造体は生体適合形状記憶合金材料を含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項23】
前記アンカー構造体はニッケルチタン合金を含む、請求項22に記載の植え込み型デバイス。
【請求項24】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ円形、ほぼ楕円形、ほぼ曲線、ほぼ多角形、ほぼ三角形、およびこれらを組み合わせた形状のグループから選択される1つの形状を有する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項25】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ同じ形状を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項26】
前記第1および第2のアンカー構造体は、ほぼ同じ寸法を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項27】
前記第1および第2のアンカー構造体は、異なる形状および/または寸法を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項28】
前記第1のアンカー構造体は、ほぼ同じ形状を有した複数個のアンカーアームを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項29】
前記第1のアンカー構造体は、異なる形状および/または寸法を有した複数個のアンカーアームを含む、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項30】
前記第1および第2のアンカー構造体は、展開状態において互いに整列されている、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項31】
前記第1および第2のアンカー構造体は、展開状態において互いにジグザグ状を描いている、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項32】
前記第1および/または第2のアンカー構造体は、メッシュと類似のもしくはポーラスの形状を有している、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項33】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;親水性物質;疎水性物質;接着剤;減摩剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの材料を内蔵する、請求項1に記載の植え込み型デバイス。
【請求項34】
対象とする組織欠損の開口部もしくは腔内を修復する植え込み型デバイスを有する搬送システムであって、
対象とする組織欠損の近傍へ搬送するための遠位端を有する搬送カテーテルと、植え込み型デバイスとを含み、
該植え込み型デバイスは、搬送状態においてほぼ円筒形状をなし、前記開口部もしくは前記腔内を覆う大きさの閉塞構造体と、該閉塞構造体から違いに反対方向へ伸びる第1および第2のアンカー構造体とを含む植え込み型デバイスとを含み、前記搬送カテーテルの遠位端部の内腔に位置している、搬送システム。
【請求項35】
前記植え込み型デバイスの近傍に位置するプッシャーを含む、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項36】
搬送状態において植え込み型デバイスの近位端部に設けられたワイヤおよび取り外し可能な要素を有する離脱機構を含む、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項37】
少なくとも1つの放射線透過性マーカーが前記搬送カテーテルの遠位端に設けられている、請求項34に記載の搬送システム。
【請求項38】
対象とする組織欠損の開口部もしくは腔内の修復方法であって、
(a) 第1のアンカー部と、第2のアンカー部と、前記第1および第2のアンカー部の中央に位置する閉塞構造体とを対象とする前記組織欠損部へ低侵襲性技術を用いて修復デバイスを案内すること、
(b) 前記第1のアンカー部を対象とする前記組織欠損部の開口部内で展開し、前記第1のアンカー部を前記開口部を囲む第1の組織表面の近傍に位置させもしくは接触させた状態で位置させること、
(c) 前記閉塞構造体を前記開口部を覆うように展開させること、
(d) 前記第2のアンカー部を対象とする前記組織欠損部の開口部外で展開し、前記第2のアンカー部を前記開口部を囲む第2の組織表面の近傍に位置させもしくは接触させた状態で位置させることとを含む、修復方法。
【請求項39】
ガイドワイヤを対象とする前記組織欠損部の近傍に案内することと、前記修復デバイスを前記ガイドワイヤに沿って前記欠損部に案内することとを含む、請求項38に記載の修復方法。
【請求項40】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;接着剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの物質を対象とする前記組織欠損部に導入することを含む、請求項38に記載の修復方法。
【請求項41】
(a) 第1および第2のアンカー部の中間に位置する閉塞構造体を有する閉塞デバイスを小さな直径の搬送状態で動脈瘤の頸部近傍へ低侵襲性の技術を使用して案内すること、
(b) 前記第1のアンカー部の遠位領域を、前記動脈瘤の前記頸部を通して前記動脈瘤の内部に展開し、前記動脈瘤の頸部を囲む内側動脈瘤組織表面の近傍に、前記開口部よりも大きい直径を有した第1の円周状アンカー構造体を位置させること、
(c) 前記中間閉塞構造体を前記動脈瘤の頸部に渡って展開し、前記開口部を被覆および閉塞すること、
(d) 前記第2のアンカー部を前記動脈瘤の頸部外に展開し、前記動脈瘤の前記頸部近傍の血管表面近傍に、前記動脈瘤の頸部よりも大きい直径を有した第2の円周状アンカー構造体を位置させることとを含む、動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項42】
ガイドワイヤを対象とする前記組織欠損部の近傍に案内することと、前記修復デバイスを前記ガイドワイヤに沿って前記欠損部に案内することとを含む、請求項41に記載の動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項43】
細胞の成長と前記対象部分への付着を促進する物質;接着剤;放射線不透過性物質;抗生物質製剤;血栓形成物質:非血栓形成物質;治療薬;ヒドロゲル成分:非炎症性物質;非再狭窄物質;放射性物質;これらを組み合わせた物質、のグループから選択される1つの物質を対象とする前記組織欠損部に導入することを含む、請求項41に記載の動脈瘤を閉塞する方法。
【請求項44】
開口部を覆い、動脈瘤と患者の血管との間の細胞伝達を制限する閉塞構造体を前記動脈瘤の前記開口部に配置させること、
前記動脈瘤の前記開口部の内部および/または外部に配置される少なくとも1つのアンカー構造体を用いて、前記閉塞構造体を適切な位置に固定することとを含む、患者の血管から動脈瘤を除去し、前記動脈瘤の質量軽減を促進させるための方法。
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【公表番号】特表2009−512515(P2009−512515A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536802(P2008−536802)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040907
【国際公開番号】WO2007/047851
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508119921)パルサー バスキュラー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040907
【国際公開番号】WO2007/047851
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508119921)パルサー バスキュラー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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