説明

脊椎運動保持アセンブリ

脊椎運動セグメントにおいて使用に適した脊椎運動保持アセンブリを開示し、これは経仙骨アプローチにより形成される軸方向チャネルを通じて脊椎運動セグメントに脊椎運動保持アセンブリを送達し、組み立てる方法を含む。脊椎運動保持アセンブリではデュアルピボットを用いる。脊椎運動保持アセンブリの多くの異なる実施形態が開示されており、これは圧縮荷重下で弾性変形に適合した少なくとも1つの構成要素を含む。開示される運動性保持アセンブリは、脊椎運動セグメントの動的安定化(DS)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型デバイスアセンブリ、実装システム及び低侵襲性の経仙骨アプローチによって脊椎運動セグメントにアクセスする方法(参照して本明細書に組み込まれる米国特許第6,558,390号に記載)並びに骨に固着され、ヒト脊椎において位置決めし、運動を管理し、脊椎運動セグメントを安定化させるのに用いられ、腰痛を緩和し、腰椎の生理機能を回復させ、変性疾患の進行又は転移を防止することが可能な埋め込み型コンポーネント及びアセンブリの配置を含む処置に関する。より具体的には、本発明は、低侵襲性で外傷が少ない方法で脊椎におけるアクセスポイントに組織を通じて経皮的に導入され、脊椎の治療を行う脊椎運動性保持アセンブリ(MPA)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主たる事業所をノースカロライナ州ウィルミントンに置く、本願出願人であるトランス1 インコーポレイテッド(TranS1 Inc.)に帰する研究の延長である。大部分の研究は、上記で言及され、参照して本出願に組み込まれる多くの出願に詳細に述べられている。従って、本明細書で述べる発明の背景では、早い時期の出願において述べたあらゆる詳細事項を繰り返すのではなく、本発明がこの一連の研究を如何様に深めるかに重点を置く。
【0003】
脊柱は骨分節(bone segments)(椎体及び他の骨分節)の複合系であり、骨分節はほとんどの場合、椎間腔における椎間板によって互いに離間している(仙椎は例外である)。図1は側方からみたヒト脊柱の種々のセグメントを示す。本発明の内容において、「運動セグメント(motion segment)」は隣接する椎骨、即ち、上下の椎体と、脱核した間隙であるか、或いは無傷又は損傷した脊椎椎間板を有するかに関わらず、前記2つの椎体を分離している椎間板腔とを含む。各運動セグメントは脊椎の全体的な柔軟性に役立ち、これは屈曲して体幹及び頭部の運動を支持する脊椎の全体的な能力に関与する。
【0004】
従来、脊髄の椎骨は複数の部分に細分化されている。頭部から尾骨に移動し、当該部分は頸椎104、胸椎108、腰椎112、仙椎116及び尾椎120である。当該部分内の個々の椎体は頭部に最も近い椎体から始まる番号によって特定される。本出願において特に重要であるのは腰部及び仙部における椎体である。通常、成人では仙部における種々の椎体は癒合しているため、個々の仙骨構成部分よりも単に仙骨と称することで十分であり、おそらくより便宜的である。
【0005】
本発明の背景のより詳細な考察に入る前に、標準的な医学用語の一部を示すことは有用である。本考察の文脈において、前方(anterior)は脊柱の前部(腹側)を指し、後方(posterior)は脊柱の後部(背側)を指す;頭側(cephalad)は患者の頭部方向のことである(時には「上位」);尾側(caudal)(時には「下位」)は足部に近い方向又は位置を指す。本出願では仙骨から進入して頭部方向に移動する好ましいアプローチを通じて種々の椎体及び椎間腔にアクセスすることを意図するため、近位及び遠位はこのチャネルのアプローチの文脈で定義される。従って、近位は当該チャネルの開始部分により近く、故に足部又は外科医方向であり、遠位は当該チャネルの開始部分からより離れており、故に頭部方向であり、或いは外科医からより遠い部位である。
【0006】
脊柱内の個々の運動セグメントは制約された限界内の運動を可能にし、脊髄を保護する。ヒトが歩き、からだを曲げ、起き上がり、或いは他の動きをする際に、椎間板は脊柱を貫通する大きな力を支持し、分散するのに重要である。残念なことに下記の多くの理由のため、一部のヒトでは脊柱における1つ又はそれ以上の椎間板が意図するように機能しない。椎間板の不具合の理由は、先天異常、疾患、損傷又は加齢に起因する変性に及ぶ。椎間板が適切に機能しない場合、隣接する椎体の間の間隙が減少し、これにより痛みを含む更なる不具合が生じることが多い。
【0007】
現在、米国では腰痛を治療するために年間700,000件以上の外科的処置が行われている。2004年には、米国では200,000件以上、世界中では300,000件以上の腰椎固定術が行われると控えめに推定され、患者の痛みを緩和しようとする約10億ドルの取り組みを表している。脊椎手術の約60%は腰椎で行われ、そのうち約80%が第4腰椎(“L4”)、第5腰椎(“L5”)及び第1仙椎(“S1”)と称される下部腰椎に関連する。持続性腰痛はL5とS1の間の椎間板の変性に起因することが多い(図1における腰部112と仙骨116の間の縁部を参照されたい)。
【0008】
椎間板の不具合に伴う痛みを緩和するため、様々な治療法が開発されてきた。1つの部類の解決手段は、損傷した椎間板を除去し、次に、恒久的であるが柔軟性のない間隙とともに2つの隣接する椎体を固定(fuse)することであり、静的安定化とも称される。上記のように毎年推定で300,000件の固定手術が行なわれている。1つの部分を固定すると、その運動セグメントにおける屈曲能力が絶たれてしまう。運動セグメントの固定による運動セグメントに対する正常な生理的椎間板機能の喪失は、痛みに苦しみ続けるよりは良いかもしれないが、痛みを緩和し、なおかつ健常な運動セグメントのすべて又は多くの正常な機能を保持できればなお良いであろう。
【0009】
別の部類の治療法は、椎間板が意図する椎間腔及び機械的特性を伴って機能を再開するように、椎間板を修復しようとするものである。1つの種類の修復は損傷した元の椎間板を人工椎間板に置き換えることである。この種の治療法は動的安定化又は脊椎運動性保持等の異なる名称で呼ばれる。
【0010】
(脊椎の働き)
連続した腰椎体、胸椎体及び頸椎体は互いに連接し、脊椎椎間板によって分離されている。各脊椎椎間板は、脊柱に対する圧迫力のクッション性及び緩衝性を付与する中心部の塊「髄核」(又は本明細書では「核」)を取り囲む線維軟骨の外殻を含む。核を取り囲む外殻は、頭側及び尾側の椎体の対向する皮質骨終板に付着した軟骨質終板並びに髄核の周囲を取り巻き、軟骨質終板を結合する多層の対向膠原線維を含む「線維輪」(又は本明細書では「輪」)を含む。自然の生理学的核は、親水性(水誘引性)ムコ多糖類(mucopolysacharide)及び線維束(蛋白質ポリマー)から成る。核は比較的非弾性的であるが、輪は外側に僅かに膨張し、脊椎運動セグメントに対して軸方向に加えられる荷重を受容することができる。
【0011】
椎間板は脊椎管の前方にあり、頭側椎体と尾側椎体の対向する端面又は終板の間に位置する。下関節突起は尾側(即ち、足部方向又は下位)方向において次に続く椎骨の上関節突起と連接する。複数の靱帯(棘上靱帯、棘間靱帯、前縦靱帯及び後縦靱帯並びに黄色靱帯)は、椎骨を所定位置に保持するが、動きが限定される。2つの椎体、挿置された脊椎椎間板並びに付着した靱帯、筋肉及び椎間関節の集合体は、「脊椎運動セグメント」と称される。
【0012】
脊椎の前部に位置する比較的大きな椎体及び椎間板は、脊柱の大部分の荷重を支持する。各椎体は、終板を含む椎体の露出した外面を含む比較的強固な皮質骨層及び椎体の中心を含む比較的脆弱な海綿骨を有する。
【0013】
椎間板の中心部を形成する髄核は、健常な成人の脊椎においてプロテオグリカンに吸収される水分の80%から成る。加齢に伴い、核は液性が低下し、粘着性が高まり、時には脱水及び収縮(「孤立性椎間板再吸収」(isolated disc resorption)と呼称されることもある)でさえも多くの症例において重度の痛みを引き起こす。脊椎椎間板は、各椎体間における「緩衝体」として機能して脊柱への運動の衝撃を最小限にし、核内水含量の減少を特徴とする椎間板の変性は、椎間板が荷重を輪層に伝達する効果をなくしてしまう。加えて、輪は肥厚し、乾燥し、より硬質化する傾向があり、荷重下で弾性的に変形する能力が低下し、断裂又は亀裂しやすくなり、従って、輪が亀裂し、或いは断裂したときに椎間板の1つの形態の変性が生じる。亀裂は核物質の輪の中への突出及び輪を越えた突出を伴う場合もあれば伴わない場合もある。椎間板の結合組織の全般的な変性変化に加え、亀裂自体は唯一の形態変化であり得るが、椎間板の亀裂は疼痛性且つ消耗性となり得る。核内に含まれる生化学物質が、亀裂から外に押し出されて近傍の構造体を刺激する。
【0014】
また、亀裂は輪のヘルニア形成又は破裂に伴って発生する場合があり、核が亀裂を通じて外方向に膨張し、或いは突出し、脊柱又は神経に接触する(「破裂椎間板」又は「脱出」椎間板)。椎間板内ヘルニア(contained disc herniation)に関しては、核は輪の一部に進入し得るが、輪内又は後縦靱帯下に含まれたままであり、脊椎管に遊離した核断片はない。しかし、椎間板内ヘルニアであっても、外方向の突出が脊髄又は脊髄神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こし得る。
【0015】
椎間板が、一カ所だけでなくあらゆる方向において外周方向外向きに膨張する場合、また別の椎間板の不具合が生じる。これは、経時的に椎間板が脆弱化し、外向きに膨張し、「ロール」形を呈する場合に生じる。関節の機械的剛性は低下し、脊椎運動セグメントは不安定化し、脊髄セグメントを短縮し得る。椎間板「ロール」が正常な周囲を越えて伸張すると、椎間板高に障害が生じ得て、神経根を有する神経孔が圧迫され、痛みを引き起こす。症候性の椎間板ロール及び椎間板ヘルニアに対する脊椎固定以外の他の現在の処置法には「椎弓切除」が含まれ、これは輪の外科手術による露出及び脱出した椎間板の症候性部分の外科的切除を伴い、その後、比較的長期の回復期間が続く。加えて、骨棘が椎間板ロールの外面に形成され、神経が通過する脊椎管及び神経孔を更に侵し得る。頭側椎骨は最終的に尾側椎骨の上部に定着し得る。この状態は「腰椎症」と呼ばれる。
【0016】
脊椎椎間板を保持し、単に痛みを軽減しようとする他の様々な外科治療には、一部又は大部分の内部核を除去し、これにより輪に対する外方向の圧力を減じ、低下させるための「椎間板切除術」又は「椎間板減圧術」が含まれる。「顕微腰椎椎間板切除術」及び「自動経皮的腰椎椎間板切除術」として公知の低侵襲性顕微手術手技において、核は輪を通って横方向に延びる針を介して吸引することにより除去される。これらの手技は切開術より低侵襲性であるが、神経根及び硬膜嚢への損傷、神経周囲の瘢痕形成、手術部位の再ヘルニア形成並びに過度の骨除去による不安定性の可能性を被る。加えて、一般的にこれらの手技は輪の穿孔を含む。
【0017】
損傷した椎間板及び椎体は、最新の診断画像によって同定することができるが、既存の外科的介入及び臨床転帰は常に良好とはいえない。更に、このような融合手術を受ける患者は、深刻な合併症及び不快且つ長期的な回復期を経験する。手術合併症には、例えば、椎間板腔感染症;神経根損傷;血腫形成;隣接椎骨の不安定性並びに筋肉、腱及び靱帯の破壊が含まれる。
【0018】
複数の企業が生理的椎間板を完全に置換すること、即ち、人工椎間板を目的として、ヒト脊椎用の人工器官の開発を続けている。変性の程度が輪の破壊にまで進行していない患者では、人工椎間板全置換ではなく、好ましい治療の選択肢は人工器官の椎間板核の配置を含む髄核を置換又は増強することでよい。前記のように、正常な核はその上下の骨性の椎骨及びその周囲を取り巻く線維輪によって囲まれた間隙内に含まれる。このようにして、核は完全に包囲且つ封入され、からだに対する唯一の伝達は、終板として知られる椎骨との骨界面を通じて生じる流体交換である。
【0019】
生理的核を含む吸湿物質は水に対する親和性を有し(体積が膨潤する)、これは通常の活動において椎間板にわたり加えられる有意な生理的荷重に関わらず、椎間板腔を伸延する(即ち、上昇させ、或いは「膨張させる」)ほど十分に強力である。これらの力は体重の約0.4倍から約1.8倍に及び、通常の血圧をはるかに上回る局所圧力を生じさせ、核及び環状内部組織は実際に有効に無血管性である。
【0020】
クッションとしての核(例えば、脊椎椎間板が「タイヤ」ならば核は「空気」である)及び柔軟性要素としての輪の存在は、正常な椎間板における一連の運動に関与する。一連の運動は自由度の点から説明される(即ち、基準点に対する平行移動及び3つの直交面の周囲の回転、脊椎の長手方向軸周囲の回転の瞬間中心)。屈曲、伸長、圧縮、左/右(L/R)回転、L/R横曲げ及び伸延の点から運動性を保持し、回復し、及び/又は管理するにあたって、本発明の軸方向脊椎インプラントアセンブリの利点は、脊椎の運動と解剖学的構造の関係の説明並びに下記の損傷(例えば、外傷/機械的損傷又は加齢)の結果及び影響からより明らかとなろう。
(屈曲及び伸長)
脊椎の屈曲及び伸長は椎骨の前方滑動及び回転を組み合わせる。椎間関節及び輪は前方滑動に抵抗する。回転は、輪;椎間関節包;背筋の作用及び胸腰筋膜によって生じる他動張力に抵抗される。伸長は椎間関節、そして二次的に輪に抵抗される。
【0021】
椎間関節及び椎間板の組合せはこの面において本質的に安定しているため、力が純粋な屈曲であれば、脊椎は損傷に抵抗性を示す。棘筋は強力な屈曲中にこの運動を制御するのに重要であるため、損傷する可能性があるが、通常、その後の痛みは慢性的ではない。
【0022】
伸長は椎間関節、最終的には薄板に対する下関節突起の固着によって阻害される。これにより、椎間関節の軟骨損傷;椎間関節包の断裂並びに椎間関節又は椎間関節部の骨折が生じ得る。
(圧縮)
脊椎の圧縮は体重及び脊椎に加えられる荷重に起因する。体重は小圧縮荷重である。脊椎への主要な圧縮荷重は背筋によって生じる。ヒトが前屈する際、体重+外部荷重を背筋により生じる力によって平衡させる必要がある。即ち、筋荷重が重力荷重を平衡化し、そのため脊椎は平衡状態となり、ヒトが倒れないようにしてくれている。外力は荷重に脊椎からの荷重の垂直距離を掛けることによって計算される。脊椎からの距離が大きいほど、荷重は大きくなる。背筋は脊椎に近接して作用するため、荷重を平衡させるために大きな力を働かせる必要がある。背筋によって生じる力は脊椎構造を圧縮することになる。
【0023】
大部分の圧縮荷重(〜80%)は前柱(椎間板及び椎体)によって支持される。椎間板は静圧システムである。核は輪内の閉込め流体として作用する。核は椎体終板における圧縮(軸方向荷重)を線維輪における引張りに変換する。
【0024】
圧縮損傷は主に2つの機序によって生じる;重力による軸方向荷重又は筋作用である。重力損傷は尻もちをつくことに起因し、一方、筋損傷は引張り又は持上げ中の重度の運動に起因する。損傷の重篤な転帰は椎体終板の破壊である。終板は椎間板にとって栄養学的に重要であるため、損傷は椎間板の生化学及び代謝状態を変化させ得る。終板が治癒すれば、椎間板は害を被らないであろう。しかし、終板が治癒しない場合、核は有害な変化を受け得る。核はそのプロテオグリカンを、従って、その水分保持能を喪失する。核の静圧特性は損なわれる。荷重を核と輪で共有するのではなく、より多くの荷重が輪に伝達される。そして、線維輪は破壊する。輪の断裂に加え、輪の層が分離する(離層する)。椎間板は崩壊し、或いは進行する輪の断裂とともにその高さを維持し得る。輪が有意に脆弱化した場合、椎間板が破壊する場合があり、これによって核物質が輪又は脊椎管に移動し、神経根の圧縮を引き起こす。
(回転)
脊椎の回転は、胸部及び胸腰筋膜を通じて作用する腹筋の収縮によって達成される。腰椎回転に関与する主要な筋肉はない。輪の椎間関節及び膠原線維はこの回転に抵抗する。回転時、僅か50%の膠原線維が常時緊張状態にあり、これにより輪は損傷を受けやすくなる。
【0025】
脊椎は、回転と屈曲の荷重の組合せにおいて特に損傷を受けやすい。屈曲は線維輪に圧縮応力を加える。脊椎が回転すると、回転の反対側の関節の椎間関節面に圧縮が生じる。回転の同じ側の椎間関節に伸延が生じる。運動セグメントの回転の中心は椎間板の後部から圧縮状態の椎間関節に移動する。椎間板は横方向に移動し、線維輪への剪断力は有意である。線維輪はこの方向では脆弱であるため、断裂し得る。回転が継続する場合、椎間関節は軟骨損傷、破裂及び包断裂を維持できるが、輪は複数の異なる様式で断裂し得る。これらの損傷のいずれもが疼痛源となり得る。
(横曲げ)
曲げは、輪及び椎間関節を経由する横方向の屈曲と回転の組合せである。
(伸延)
純粋な伸延は稀にしか生ぜず、通常、印加される力の方向による脊椎関節における引張りと圧縮の組合せである。伸延力の一例は脊椎の「荷重を除荷する」ための治療上の脊椎牽引である。
【0026】
本発明に照らし、本明細書で用いるように、伸延という用語は、形式上、運動保持アセンブリ又は人工髄核デバイス(“PND”)の導入によって生じる、椎間板腔を増大させる高さの上昇を指し、これは移植中にデバイスを軸方向に配置、或いは暫定的な伸延ロッドによって補助され達成され得る。暫定的な伸延とは伸延ロッドのような手段による椎間板高の上昇を指し、これは後に取り外されるが、その上昇は術中に保持され、その間患者は腹臥位の状態である。従って、デバイスは他の伸延手段によって最初に形成された上昇椎間板腔に挿入され、その後、挿入されたデバイスの物理的存在及び立体性がその高さ間隙を保持する要となって、椎間板を減圧し、神経接触によって生じた痛みを緩和する。
【0027】
従って、椎体の上面に基準点をとれば、椎体、次の最も頭側の椎体及びこれら2つの椎体の間の椎間板を含む運動セグメントは、6自由度を有する。x軸が前方/後方方向に配向され、y軸が右/及び左側に配向され、z軸が尾側/頭側方向に配向された場合、6自由度は次のようになる。
【0028】
【表1】

今日まで、現在企図され、或いは配置されている人工髄核デバイスの欠点には、沈降(subsidence);その突出又は移動する傾向;骨を侵食する傾向;経時的に劣化する傾向或いは生体力学的荷重の分散及び支持を付与しない傾向が含まれる。これらの欠点の一部は、通常、その配置が、患者のからだを横方向に貫通して椎間板部位に導入されるとともに、椎間板及び隣接する皮質骨を切除し、或いは椎間板及び隣接する皮質骨を貫通する横方向の孔を開けるように操作される器具によって達成されるほぼ完全な椎間板切除を伴うという事実に関連する。椎体の終板は非常に硬い皮質骨を含み、椎体に必要な強度を与える役割を果たし、通常、孔開け中に脆弱化し、或いは破壊される。椎体終板は各椎骨の頂部及び底部を取り囲む特別な軟骨構造体であり、椎間板と直接接触している。椎体終板は椎間板への栄養素及び水の通過を可能にするため、椎間板の栄養に重要である。これらの構造体が損傷すると、椎間板の劣化及び椎間板機能の変化が生じ得る。横方向に開けられた大きな1つの孔又は複数の孔は椎体の統合性を損なうのみならず、過度に後方に孔開けされた場合、脊髄が損傷し得る。
【0029】
或いは、現在のデバイスは輪において外科的に生成され、或いは拡大された孔を通じて配置される場合がある。線維輪は強靭で太い膠原線維から成る。線維輪を含む膠原線維は同心の交互層にて配置されている。これらの線維の層内配向は並行であるが、各交互(即ち、層間)層の膠原線維は斜めに配向している(〜120度)。この斜め配向により、輪は垂直及び水平方向での力に抵抗することが可能である。椎間板の軸方向の圧縮は椎間板腔における圧力上昇を生じる。この圧力は輪の壁部に垂直な荷重(応力)の形態にて輪に伝達される。応力が印加されると、これらの線維層は引張り状態となり、水平角が縮小して荷重により良く抵抗し、即ち、輪は荷重を輪の外周に伝達することにより(フープ応力)、これらの垂直応力に抵抗するように働く。垂直引張力は曲げ及び伸延(屈曲及び伸長)に抵抗する。水平引張力は回転及び滑動(即ち、捻転)に抵抗する。輪の層の垂直構成部分は椎間板が前方及び後方の曲げに十分に耐えることを可能にするが、回転運動中に関与する輪の水平方向の線維は僅かに半分である。概して、椎間板は捻転運動中により損傷を受けやすく、回転中にその主たる保護を後方の椎間関節から得ているが、このリスクは輪が損傷した場合に、更に上昇する。
【0030】
更に、輪の破壊は術後に残存し、椎間板構造の生理学的生体力学を損なうことに加え、デバイスの突出及び移動の経路を付与する。受ける応力に耐えるのに十分な機械的統合性を付与しようとする他のデバイスは、非常に強靭且つ硬性であり柔軟性に欠けるように構成されるため、骨を腐食し、或いは経時的に椎体に埋め込まれる傾向があり、この現象は「沈降」として既知であり、「入れ子状(telescoping)」と称される場合もある。沈降の結果は脊柱の有効長が短縮されることであり、これは引き続いて神経根及び隣接する2つの椎骨の間を通る神経に損傷を生じさせ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
1つ又はそれ以上の弾性(例えば、半柔軟性;圧縮性)又はばね部材(比較的薄いBelleville皿ばねのような非螺旋ばねを含む)と連動して機能するとともに、脊椎の長手方向軸に対するどの平面においても運動を保持するのに特に効果的な複数のピボットを含むように構成された脊椎運動性保持アセンブリを開示する。
【0033】
本発明に照らし、「平面」は直交軸x,y,zに対して画定され、ここでzは脊椎の長手方向軸である。より具体的には、x,y,z周囲の回転及びx,y周囲の運動は複数の非拘束枢着点(pivot point)によって可能となり、弾性部材がz方向での運動を可能にし、軸方向の圧縮を抑制するように機能する。
【0034】
本明細書で用いるように、非拘束という用語はピボットが固定されないという事実を指し、6自由度のすべてにおいて正常な運動範囲を超える運動を指す。従って、腰椎に関し、通常、正常な最大運動範囲は約12°の屈曲、約8°の伸長、約9°の左又は右の横方向の曲げ並びに約2°の右回り又は左回りの運動を可能にするが、概して腰椎用に構成された、本発明の好ましい態様による(例えば、弾性部材と連動する非拘束デュアルピボットを有する)運動保持アセンブリは、少なくとも約4°、多くの場合少なくとも約8°、好ましくは約20°程度の屈曲(前方への曲げ)、及び少なくとも約4°、多くの場合少なくとも約6°、好ましくは約20°程度の伸長(後方への曲げ)を可能にする。回転は完全に非拘束であり、制限がない。脊椎に関しては、一般的に本発明によるMPAは、処置される任意の特定の運動セグメントに対し、正常な最大運動範囲の少なくとも約100又は125%を付与する場合が多い。
【0035】
平行移動を保持することを目的とするデバイスを用いて、特定の他のヒト関節(例えば、指及び膝)を移植することは当該技術分野で公知であるが、上記のように、脊椎は運動に対して6自由度を有する唯一のヒト関節部である。現在のデバイス(例えば、Medtronic(登録商標)Maverick(商標)デバイス又はSpineCore Flexicore(商標)椎間板)と異なり、本発明の脊椎移植アセンブリは、6自由度すべてにおいて運動(平行移動を含む)を保持することが可能である。その理由は、これらのアセンブリが生理的荷重を支持する自然構造体の運動(平行移動)をいずれの平面においても阻害しないように、好ましくは弾性部材又は弾性的に変形可能な部材と連動する複数の枢着点と、ほぼ主要圧縮応力ラインに配向された配置、即ち、ヒト椎間板運動セグメントに対してほぼ回転の中心における配置をもって構成されているためである。
【0036】
一般に、部分的又は完全な髄核切除の後、当該アセンブリは脊椎内に軸方向に、仙骨に固定されたカニューレを通じ、処置域を越えて前記アクセスポイントから外科的に脱核された椎間板腔に挿入され得る。本発明の一態様において、人工又は増強材料は少なくとも1つの椎体を通じて、或いは少なくとも1つの椎間板腔に導入される。本発明の脊椎MPAの導入は、椎間板の線維輪に外科的に孔を形成し、或いは既存の孔を有害に拡大する必要なく行われ、椎間板構造体の生理機能を治療上保持するように配置される。
【0037】
本発明の一態様において、インプラントの脱出、移動又は沈降に関連するリスク(本発明のMPAでは本質的に少ない)は、椎体に係合し、そこにインプラントアセンブリを固定(即ち、固着)する外部の保持手段、例えば、広い表面積にわたり応力を均一に分散するように構成されたセルフタッピング雄ねじによって更に軽減され得る。
【0038】
通常、ねじは当該技術分野で公知の「海綿」状骨ねじである。通常、ねじは、ねじ山においてほぼ平坦な表面になるように切削され、表面の最も平坦な部分は印加される荷重の方向に配向される。一実施形態において、概してねじ山形状は非対称のねじ山形状をした深いねじ山を含み、これは向上した重量支持及び荷重分散の利点を付与する。ねじ山は根部に形成され、それぞれの螺子部の後端から先端まで連続したねじ山として延在する。ねじ山は、ねじ山間の間隙によって根部に沿って離間された複数の回転部を備える。近位構成部と遠位構成部のねじ山は同様のねじれであるため(即ち、ねじ山は同一方向に回転する)、両ねじ山は右回りであり、或いは両方とも左回りである。
【0039】
セルフタッピングねじは、運動セグメント内の隣接する椎体の伸延を支援するように構成される場合もあればそうでない場合もあり、即ち、異なるねじピッチを有する遠位及び近位構成部(それぞれ上位椎体、下位椎体に固着される)をもって構成される場合もあればそうでない場合もあり、ここで遠位固着は近位固着より小さい外径を有する。右回りのねじ山(即ち、上記のように異なるピッチ及び外径)をもって構成される実施形態の右回り回転は、アセンブリを軸方向に進め、運動セグメント内の上位及び下位椎体を互いに対して伸延する。
【0040】
本発明に照らし、「動的」とは、損傷し、脆弱化し、或いは存在しない生理構造体を補助し、或いは代替する力又は耐荷重性を可能にし、或いは促進することによって運動性を可能にする固有能力を有する非静的デバイスを指す。本発明の運動性保持アセンブリ(MPA)は、X線像では変性又は崩壊がほとんど明らかでない患者の処置から人工髄核デバイス又は椎間板全置換が適応となる患者に及ぶ、症候性の椎間板起因の痛みを処置するために進行中の治療介入の動的安定化(DS)を提供する。例えば、変性及び椎間板高の喪失の程度が大きいが、進行した輪の破壊が存在する病期に至らない患者においては、人工髄核(PN)が適応とされるであろう。人工髄核は、侵襲性の髄核切除及び引き続く適切な材料による脱核間隙の充填を含むことにより、動的安定化の範囲を超え得る。この場合の目的は椎間板高及び運動を回復させることである。一般的に、椎間板全置換(TDR)は人工髄核の場合よりも進行した疾患であるが、一部の輪機能が残存している場合に適応とされる。本発明の運動保持アセンブリは、従来の椎間板全置換よりはるかに低侵襲性であって(配置の点において)、適応とされる介入に従って生理機能を増強、保持、回復、及び管理、もしくは増強、保持、回復、又は管理するように構成された人工椎間板置換(PDR)として機能する。概して、本明細書に開示する本発明の軸方向運動保持アセンブリは、好ましくは1を超えるアスペクト比を有するデバイスとして構成され、即ち、椎骨軸面におけるデバイス寸法が軸回転の生理的瞬間中心に近接する当該軸面への任意の直交方向におけるデバイス寸法より大きく、また、主要圧縮応力ラインにほぼ沿った配向にて配置され、ヒト椎間板運動セグメントに対してほぼ回転の中心に配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(軸方向経仙骨アクセス)
本発明は腰仙椎への軸方向経仙骨アクセスの使用を企図する。図2に示す軸方向経仙骨アクセス法は、筋切開や従来の脊椎手術に伴う他の侵襲的処置の必要性を排除しながら、介入における治療の進行にわたる安定化、運動保持及び固定デバイス/融合システムを含む、新規で改良された器具及び治療的介入の設計及び配置を可能にする。
【0042】
図2はプロセスの導入的概要を示し、図2A及び2Bは蛍光透視鏡にてモニタリングしながら(図示せず)、丸い先端のスタイレット204を仙骨116の前面上方へ「緩徐に進め」、仙骨116の所望位置へ至らしめるプロセスを示す。このプロセスでは直腸208を脇に移動させるため、その後の工程に対して直線経路が構築される。図2Cは仙骨116、L5/仙骨椎間板腔、L5椎骨216、L4/L5椎間板腔を通じてL4椎骨220に構築される代表的な軸方向経仙骨チャネル212を示す。治療がL4/L5運動セグメントで行われない場合は、当該チャネルはL4へ延伸するというよりはL5で終止し得る。
【0043】
図2の考察は本発明の背景を提供するために示すものである。本願出願人による過去の出願(一部は米国特許として登録済)には、前方経仙骨軸方向脊椎アプローチというよりも後方経仙骨軸方向脊椎アプローチである別のアクセス法について説明されている(例えば、米国特許第6,558,386号「軸方向脊椎インプラント並びに脊椎の椎骨内に軸方向脊椎インプラントを移植するための方法及び装置」(Axial Spinal Implant and Method and Apparatus for Implanting an Axial Spinal Implant Within the Vertebrae of the Spine)を参照されたい。同特許は図2に示す前方経仙骨軸方向アプローチについて説明しており、同特許に開示された内容は本願においても開示されたものとする)。本発明の教示は軸方向経仙骨チャネルに関して用いることができる。
【0044】
脊椎領域にアクセスして治療を受ける本方法の概要は、本発明の背景を示すのに有用である。図2Aに示すように、仙骨の目標部位に向かう経皮的前方経路からの仙骨前アプローチ、これを通して経仙骨軸方向孔が開けられ、チャネルが遠位に伸展され、その後、マルチレベルの軸方向脊椎安定化アセンブリを進めていく。前方、仙骨前、経皮的経路は、「仙骨前空隙」を貫通して仙骨前方に延びる。仙骨前、経皮的経路は、器具を導入してアクセスし用意するために使用されることが好ましい(例えば、1つ又はそれ以上の腰椎体及び介在する椎間板を通じて遠位/頭側方向に孔を開けることによって)。この文脈における「経皮的」(percutaneous)は、transcutaneous又はtransdermalのように、単に皮膚を通じて後方又は前方の標的ポイントに至ることを意味し、他の医療分野由来の特定の処置を示唆するものではない。しかし、経皮は外科的アクセスと異なり、皮膚の経皮開口部は最小にされることが望ましく、直径4cm未満、好ましくは2cm未満、場合により1cm未満である。一般的に、経皮経路は、X線透視又は蛍光透視装置によって視覚化されるように、それぞれの後方又は前方の標的ポイントから頭側方向における、少なくとも1つの仙椎体及び1つ又はそれ以上の腰椎体を通じて伸長する孔と軸方向に整合される。より具体的には、図2bに示すように、腰椎は尾骨の先端に隣接する小さな皮膚開口を介してアクセスされる。標準的な経皮的手法を用いて仙骨前空隙が進入され、スタイレットの鈍端が拡張器として機能する導入アセンブリが尾骨側方進入部位を通じて配置される。スタイレットの先端が面層を通過すると、鈍端は仙骨の前面に対して回転され、蛍光透視下で仙骨の所望位置に「緩徐に進められる」。標的部位がアクセスされ、軟組織損傷のリスクが軽減すると、鈍端スタイレットは取り外され、ガイドピン又はワイヤがガイドピン導入チューブを通じて安全に導入され、「タップイン(tapped in)」される。ガイドピンは引き続く骨拡張器及びシースの配置のための経路を構築し、これを通じてツイストドリルが導入されて軸方向孔路を形成し、その内腔は遠位に拡張される。ガイドピンは孔路より大きい径のアクセス及び準備ツールの軸方向配列並びにカニューレ挿入脊椎安定化デバイス及びアセンブリの配列を維持し、これらは引き続いて23インチ(約58.4cm)長、0.090インチ(約2.28mm)径のガイドピン上に且つ脊柱内配置のための交換カニューレを通じて導入される。これについては、すべて2004年10月22日に出願された、同じ譲受人による米国特許出願第10/972,065号,第10/971,779号;第10/971,781号;第10/971,731号;第10/972,077号;第10/971,765号;第10/971,775号;第10/972,299号;及び第10/971,780号、並びに2005年8月9日に出願された、同じ譲受人による米国特許出願第60/706,704号において少なくとも部分的に説明されており、これらの特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0045】
(実施例)
選択された例示的な実施形態を開示するため、添付図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態にて実施され得るものであり、本明細書に示す実施形態に限定されると理解すべきではない。むしろこれらの実施形態は、開示が十分且つ完全となるように、また、本発明の範囲を当業者に伝えようとする取り組みの一部として、提供される。全体にわたって同様の番号は同様の要素を指す。
【0046】
一度に多くの異なる代替的な構成を考察している際に、特許出願に生ぜられ得る印象を避けるべく、本発明の1つの極めて具体的な実施形態を示す図3について説明する。構成要素及びその脊椎運動セグメントに対する配置を概略的に示すため、移植されたデバイスの概要から説明をする。後続の図面では当該デバイスの送達及びアセンブリについて詳述する。
【0047】
図3は移植された運動保持アセンブリ300を示す。図4は、図3に記載した構成要素の別の図を示す分解図である。
この運動保持アセンブリ300は、遠位椎体304及び近位椎体308に移植され、椎間板腔312を横断して伸展している。運動保持アセンブリ300は事前に形成した軸方向チャネル212に配置され得る。集合的に、遠位椎体304、近位椎体308及び椎間板腔312は運動セグメント316を形成している。椎体の図面は脊椎構成要素の解剖学的詳細を伝えることではなく、組立運動保持アセンブリ300の配置を示すことを目的とする。図3に示す構成要素の脊椎へのマッピングの1つは、遠位椎体が腰椎部112(図1を参照)の尾側端部におけるL5椎体216(図2を参照)であり、近位椎体308が仙骨116(図1を参照)となり得る。或いは、運動セグメントはL4/L5椎体220,216(図2を参照)のように、より頭側(従って、外科医に対してより遠位)となり得る。
【0048】
運動保持アセンブリ300の主要な構成要素は、遠位構成要素(上位又は遠位椎体に固着され、本明細書では遠位骨アンカーと称される場合もある)340、近位構成要素(下位又は近位椎体に固着され、本明細書では近位骨アンカーと称される場合もある)344、人工髄核348(一般的に外膜460を含む)及びピボット352を含む。
【0049】
図3に示す遠位骨アンカー340は一組の雄ねじ356を有する。或いは、一組の雄ねじ356は遠位椎体304へのねじ径路の切り込みの開始を容易にするため、遠位骨アンカーの遠位端にチップブレーカー部360を含み得る。チップブレーカー部は図5において明確に示される。チップブレーカーはねじ山における不連続部であり、ねじ径路が切り込まれるとチップが剥離することを可能にする。軸方向チャネル212は遠位椎体304に形成され、遠位椎体304における軸方向チャネル212の径は一組の雄ねじ356の小径にほぼ等しい。
【0050】
遠位骨アンカー340は、遠位骨アンカー340の遠位面366から遠位骨アンカー340の近位面370まで続くキャビティ364を有する。これに関連して、面はその側面から見たようにその部分の3次元面であり、一対のサイコロからの1つのサイコロの6つの3次元面に類似している。キャビティ364は均一な断面ではなく、複数の目的を果たす。キャビティ364の遠位端は、当該キャビティを用いて遠位骨アンカー340がガイドワイヤ上に配置されることを可能にすることを示す。キャビティ364は、下記のドライバ、保持又は除去ツールに係合可能な雌ねじ部368を備える。図3に示す遠位骨アンカー340におけるキャビティ364は、キャビティ364の対応するカップ部376において遠位ピボットカップ372を有する。
【0051】
次に、遠位ピボットカップ372は、ピボット352の遠位端384の支持面として機能するキャビティ380を有する。
図3に示すピボット352は、この実施形態ではピボット体部392と一体化したほぼ球状の構成要素として構成された上記遠位端384及び近位端388を有する。
【0052】
近位骨アンカー344は、導入部408を含む一組の雄ねじ404を有する。近位骨アンカー344は近位骨アンカー344の遠位面410から近位骨アンカー344の近位面414まで続くキャビティ412を有する。キャビティ412は断面が均一でない。キャビティ412の一部は一組の雌ねじ416を有する。一組の雌ねじ416のピッチは比較的微細であることが好ましい(おそらく1インチ(約2.54cm)あたり16個のねじ山、最大で1インチ(約2.54cm)あたり64個のねじ山)。図3に示す実施形態において、近位骨アンカーキャビティ412は一組の雌ねじ416に係合する一組の雌ねじ424を有する近位ピボットカップ420を含み、ドライバ係合部428に付与されるドライバ(図示せず)からのトルクが近位骨アンカー344に対して近位ピボットカップ420を回転させ、近位ピボットカップ420を軸方向(遠位)に進める。近位ピボットカップ420を軸方向に進めると、近位ピボットカップ420はピボット352に接触し、ピボット352は遠位ピボットカップ372に接触する。これらの構成要素が接触した後、近位ピボットカップ420を更に軸方向に進めると、近位骨アンカー344(及び近位骨アンカー344に係合した近位椎体308)に対する遠位骨アンカー340(及び遠位骨アンカー340に係合した遠位椎体304)の軸方向移動が生じる。1つの椎体が別の椎体から離れるこの運動は、2つの椎体の間の椎間板腔の伸延を生じさせる。
【0053】
近位ピボットカップ420の回転によって達成可能な伸延は、1つの調整として運動保持アセンブリのピボットと人工髄核構成要素の間の荷重の分散を変えるために用いられることが好ましい。伸延を達成する主要な手段は、下記のように図20における伸延及び挿入ツール2032によるものである。
【0054】
図3に戻ると、ドライバ係合部428は多くの種類の様式の中でもドライバによってトルクを付与するように構成され得る。雌六角ソケットが好適な選択である。図3に示す近位ピボットカップ420は、ドライバ又は除去ツールに係合可能なねじ山付きキャビティ432を含む。近位ピボットカップ420は、ピボット352の近位端388に対する支持面として機能する遠位キャビティ436を含む。
【0055】
近位骨アンカー344におけるキャビティ412は、遠位端442及び近位端446を有するジャムナット440も含む。ジャムナット440は一組の雌ねじに係合するようにされた一組の雄ねじ444を有する。ジャムナット440は雄六角ドライバのような対応するドライバに付与されるトルクを受けるように構成されたドライバ係合部448も有する。トルク入力はジャムナット440を軸方向(遠位)に進ませ、近位ピボットカップ420と接触させる。図3に示すジャムナット440は、ドライバ又は除去ツールによって使用可能なねじ山付きキャビティ452も含む。
【0056】
人工髄核348は、外膜460及び人工髄核材料464を含む。外膜460は人工髄核材料464を充填されているため、外膜460は拡張して遠位椎体304の下位終板、近位椎体308の上位終板及び線維輪(図示せず)の内壁に適合可能に接触し、また、これらは集合的に椎間板腔の境界を画定する。
【0057】
図4は、体内への挿入前の種々の構成要素を示しており、人工髄核材料464により拡張して、椎間板腔内に人工髄核348を形成する前の外膜460を示す。また、図4は、外膜460を遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344に十分に付着させて、骨アンカーから引き離されることなく、膜を伸張させて椎間板腔を満たすようにする機構の一部として用いられる一対の保持リング484を示す。保持リング484の装着は多くの方法にて実行可能であり、これには接着剤、レーザー溶接、圧着又は圧伸成形の使用が含まれる。リングはばね荷重式又は収縮性(例えば、ニチノール又は熱収縮ポリマー)でもよい。好ましい装着方法ではレーザー溶接法を用いて、保持リング484の外周を骨アンカー340,344それぞれに溶接する。保持リング484が溶接される際に、レーザー溶接法にて保持リング484を圧縮することは有用であり、そのためリングは縮小されるので、外膜460を所定位置に保持するのにより効果的である。レーザー溶接は正確な位置でエネルギーを加えることが可能であり、そのため膜に悪影響を及ぼし得る多量の熱がアセンブリへ移動しないで溶接が行われる。
【0058】
図5及び図6は、運動保持アセンブリ300の更なる図を示す。図5において、遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344から四半円部が取り除かれ、構成要素の組立セット内の構成要素が示される(しかし、人工髄核材料464は挿入されない。このデバイスが運動セグメントに移植されないためである)。図6は同じ運動保持アセンブリ300を示すが、アセンブリ全体の四半円が取り外されている。
【0059】
図7は図5の拡大部分を示す。図7は、外膜460を遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344に対して結合する1つの方法の詳細を示す。好ましい実施形態において、外膜460は拡張可能な膜として構成され、好ましくは弾性材料、例えば、シリコーンゴムから成り、例えば、カリフォルニア州Carpeneriaに所在するNusil Silicone Technology社から得られるようなものであって、約500%〜約1500%、最も好ましくは約1000%の伸びを示し、0.220インチ(約5.58mm)の壁厚を有する。外膜460は遠位骨アンカー340の近位端における溝部516に嵌合する遠位端508及び近位骨アンカー344の遠位端における溝部512に嵌合する近位端504を有する。保持リング484が外膜端部504,508上に、且つ骨アンカー340,344に対するそれぞれの外周に沿って配置された後(好ましくはリングがより小さくなるように保持リング484を圧縮しながら)、外膜460は2つの骨アンカーに堅固に結合され、そのため骨アンカー340又は344から引き離されることなく、外膜460は有意に伸張し、挿入された人工髄核材料464からの圧力により椎間板腔を満たす。
【0060】
図3に戻ると、バルク人工髄核材料(PNN)(図3における要素464)は弾性固体物及び粘弾性ゲル、もしくは弾性固体物又は粘弾性ゲル、即ち、その粘弾性特性(例えば、レオロジー及び圧縮性)単独で、或いは拡張可能な外膜460の生体力学的特性と共に、生理的椎間板核と実質的に同等の機能態様にて機能を果たすことを可能にする材料を含むことが好ましい。好ましい人工髄核材料及びシステムは、生物医学用のシリコーンエラストマー(例えば、シリコーンゴム)、例えば、カリフォルニア州Carpeneriaに所在するNusil Silicone Technology社から販売されているもの、或いはヒドロゲル又はこれらのブレンド(例えば、ヒドロゲル/ヒドロゲル又はヒドロゲル/エラストマー)を含む。イタリアのFidia社から市販されているような架橋ヒアルロン酸は好適な材料の一例であるが、多くの天然及び人工ヒドロゲル又はそのブレンドが、類似した特性を炎症反応なく得られるように構成可能であり、例えば、上記した米国特許出願、また、特に2004年8月9日に出願された米国特許出願第60/599,989号及び2004年3月31日に出願された第60/558,069号に開示且つ説明されている。
【0061】
適時性送達の図4は、遠位骨アンカー340のキャビティ(364)におけるスロット488及び近位骨アンカー344のキャビティ412におけるスロット492の図を示す。これら2つのスロットの使用は2つの構成要素の適合された送達を可能にする。2つの骨アンカー340及び344の適合された(或いは適時性の)送達は、2セットのねじ山の回転位置に対する制御を可能にする。この制御された送達の目的は、ねじ山の交差を回避するためである。より具体的には、遠位骨アンカー340上の雄ねじ356と近位骨アンカー344上の雄ねじ404に対して同じねじピッチを用いるように選択する場合、遠位骨アンカー340は近位骨アンカー344と同じ大きさの断面(ロッド径)をもって形成され得る。大きい断面を有することは、適切な強度及びねじ山と遠位椎体の骨との最大の係合を有する遠位骨アンカーを設計することがより容易になるため、望ましい。
【0062】
遠位骨アンカー340と近位骨アンカー344のねじ山部の小径及び大径が同じ場合、軸方向チャネル212を形成する工程中に形成される近位椎体308と遠位椎体304を貫通する孔は同寸法である。遠位骨アンカー340が遠位椎体304における孔方向に移動されると、遠位骨アンカー340は、近位椎体308における孔を通じて回転することにより、まず軸方向に進められる。遠位骨アンカー340が近位椎体308を通じて回転可能に進められると、雄ねじ356は近位椎体308における孔の周囲の骨に螺旋ねじ路を切削する。当該孔は雄ねじ356の小径の寸法とほぼ同じであり、雄ねじ356の大径は当該孔を越えて骨に延びる。適時又は適合された送達がないと、次の近位骨アンカー344の軸方向進行は近位椎体308における孔の周囲の骨に新たな螺旋を切削し易い。当該骨が新しく切削されたねじ山螺旋を受けたばかりのため、この第二の螺旋は付加的抵抗に遭い、近位骨アンカー344上の雄ねじ404の間の結合強度は、先に骨を通じて切削され現時点で使用されないねじ路によって損なわれる。対照的に、適時送達により、近位骨アンカー344の外部における螺旋ねじ山の前縁が、遠位骨アンカー340上の雄ねじ356によって残された螺旋ねじ山路に進入することを可能にする。適時送達の代替は、遠位骨アンカー上の雄ねじの大径が近位椎体における孔の径より小さくなるように寸法を設定し、次に、遠位骨アンカー上の雄ねじの小径の寸法とほぼ同じである遠位椎体における孔を形成することである。
(異なるねじ山ピッチの使用を通じた運動セグメントの伸延)
本願出願人に譲渡された過去の特許出願では、運動セグメントに伸延を課す方法について説明している(2つの椎体をz軸に沿って互いに引き離す)。例えば、米国特許第6,921,403号「脊椎伸延及び融合のための方法及び装置(Method and Apparatus for Spinal Distraction and Fusion)」を参照されたい。従って、最初のより微細なねじ山ピッチの遠位ねじ山部を有するねじ山ロッドが遠位椎体に係合し(遠位ねじ山部におけるねじ山の大径より大きい近位椎体における孔を通過した後)、同一ねじ山ロッドにおける近位でより粗いねじ山部が近位椎体に係合するとき、異なるねじ山ピッチを有する2つのねじ山部の回転は、遠位でより微細なピッチのねじ山を、より粗いねじ山が近位椎体に進むよりも遅く遠位椎体に進める。正味効果は2つのねじ山部の2つの椎体との係合が2つの椎体を引き離すことである。
【0063】
この同じ方法は、本発明用の骨アンカーを用いて、当該骨アンカーが、非隣接骨アンカー間の所定の空間分離を維持するとともに各骨アンカーに同じ回転を課すことが可能な単一ドライバに配置される場合、軸方向伸延を課すために用いられ得る。この種のドライバは、2005年10月25日に出願された米国出願第60/621,730号「軸方向インプラントを脊椎に導入するためのマルチパートアセンブリ(Multi‐Part Assembly for Introducing Axial Implants into the Spine)」において説明されており、同特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
(伸延を課すための別の手段)
上記のように異なるねじ山ピッチを用いて伸延を課し得るが、他の好ましい伸延の手段が図20に関連して下記に説明するツールにより用いられ、遠位ピボットカップを押し進め、当該ツールは近位骨アンカーにおける雌ねじとの係合によって軸方向に進められる。
(自由度及び制約)
図3〜7は静止した状態が示されており、運動保持アセンブリの所望の属性は動的安定化であるため、運動セグメントが移植された運動保持デバイスによりどのように運動するかを詳述することは妥当である。
【0064】
近位ピボットカップにおけるねじ山キャビティ432の真上に位置する枢着点(pivot point)480により、遠位骨アンカー340及び対応する遠位椎体304は、多くの方法により枢着点480に対して運動することができる。最初のタイプの運動は軸回転である(右回り又は左回り)。この特定の運動保持デバイスにおいて右回り又は左回りの運動量を制約するものはない。上記のように、この軸において約2°の回転を許容するシステムは、この軸において正常範囲の運動を支持するであろう(注記:運動の範囲及び度合は椎体レベルにより異なる−例えば、L4−L5はL5−S1と同じではない)。
【0065】
通常、正常な最大範囲の運動は約12°の屈曲、約8°の伸長、約9°の左又は右横方向曲げを許容するため、正常範囲の運動を拘束することを避けるには、導入される運動保持デバイスは少なくともこれらの量の運動を許容する必要があろう。運動セグメントに対する運動の正確な範囲及び度合は脊椎の運動セグメントに沿って異なる。例えば、L4−L5運動セグメントにおける運動の範囲及び度合はL5−S1運動セグメントと全く同じではない。
【0066】
図3に示すデバイスはz軸の周囲にて半径方向において対称であり、特定の方向において最大回転能力を付与するために特定の配向に配置される必要はない(例えば、屈曲対伸長又は横方向の曲げ)。近位骨アンカーに対する移植された遠位骨アンカーの回転は、近位ピボットカップ420に対して動く近位ピボットヘッド388の作用及び遠位ピボットカップ372に対する遠位ピボットヘッド384の作用の組合せを通じて行われ得る。
【0067】
2つのパラメータ、ピボットカップにおけるキャビティの深さ及びピボットキャビティに対するピボット体部の幅を変えることにより、対応するピボットカップに対するピボットの最大ピボット角を変えることができる。図8A及び図8Bはこれらの概念を示す。図8Aは2つの異なるピボット体部幅を示す。ピボット体部が幅608から幅612に変更された場合、より幅広いピボット体部612はピボット体部が幅608の状態である場合より少ない量の回転後にピボット端カップ604に衝突するであろう。
【0068】
図8Bは図8aのピボット体部を用いているが、それほど深くないピボット端カップ616に配置しており、そのためピボットはピボット端カップに対して図8Aの場合より図8Bの場合により回転することができる。
【0069】
2つのピボットの使用はx軸(前方/後方)、y軸(横方向)又はこの2つの組合せにおける1つの移植された骨アンカーの他のアンカーに対する平行移動を許容する。2つのピボットを用いる利点を理解するには、1つのピボットがある場合の運動を見ることが有用である。図9Aにおいて、単一ピボット650が近位骨アンカー654における支持面に係合し、遠位骨アンカー658に固定されている。図9Bに示すように、ピボット650がx−z面においてz軸から離れて回転する場合、遠位骨アンカー658は近位骨アンカー654に対して回転運動し、1つの骨アンカーの他の骨アンカーに対する相対的配向を変える。
【0070】
対照的に、図9Cにおいて、ピボット660はデュアルピボットであり、故に近位骨アンカー654又は遠位骨アンカー668に対して枢動することができる。こうして遠位骨アンカー668は近位骨アンカー654に対してx軸に沿ってほぼ純粋な平行移動が可能である。骨アンカーの相対的配向は、移動が遠位骨アンカー668に回転を課さなかったため、保持される。ほぼ純粋な平行移動という用語は、遠位骨アンカー668の高さが運動中に図9Cに示す状態から図9Dに示す状態に僅かに変化したため用いたが、これは純粋なx軸平行移動では生じないであろう。この実施例ではx軸における平行移動を示したが、図9に示すような同種の運動は、ピボットが何らかのかたちで拘束されていなければ、y軸又はxとyの構成要素の混合にて生じ得る。
【0071】
図3に示す実施例は、ピボットカップがピボットカップに配置されたピボット端部とほぼ同じ寸法であるため、有意な付加的x又はy平行移動のための有意な能力を付与しない。ピボットカップを拡張し、ピボット端球部の最大径を5mm上回るようにすれば、平行移動に対する幾分かの付加的能力が得られる。両ピボットカップでこれを行えば、更なる付加的量の平行移動の可能性が加えられる。
【0072】
図3に示す実施例では、半径方向に対称的なピボット端部及びピボットカップキャビティを用いている。ピボットカップにおいて非対称的なキャビティを用いれば、他の方向と比較して1つの方向においてより大量の付加的許容平行移動を許容し得る。図10はこの概念の一例を示す。半分のピボット608を見下ろすと、ピボット体部の壁部及びピボットの球状頭部の最大寸法が示される。ピボット608が内側で運動する場合の拘束領域として機能する軌道620も示している。x方向における付加的平行移動は極度に限定されるが、はるかに大量の付加的平行移動がy(横方向)方向にあることに留意されたい。このような非対称軌道を用いる場合、軌道の伸長方向が適切な方向に整合されるように、挿入技法では骨アンカーの配向を制御する必要があろう。1つの方法はドライバに対して特定の配向に構成要素を挿入することである。ドライバがマーカーを有し、そのためドライバマーカーをモニタリングし、前方/後方及び横方向軸に関して適切な配向に構成要素を配置するようにすることも可能である。挿入された孔アンカー内のピボットカップの配向は、ピボットカップと孔アンカーのキー及びスロット係合を有することにより、制御し得る。
【0073】
1方向において他方向よりも更に曲げを可能にする方法は、非対称ピボットを有することである。図11はピボットカップ628における非対称ピボット624を示す(ピボットの一端のみを示す)。この非対称ピボットはy方向(横方向左側/横方向右側)よりもx方向(前方/後方)における運動により制約を与えている。非対称構成要素を用いる場合、導入手順では非対称構成要素を適切な開始位置に配置することが重要である。デバイスはz軸に沿って非限定的回転を支持するが、個々の運動セグメントに対する軸回転の範囲が右回りで僅か約2°であり、左回りで約2°であるため、非対称ピボットの配置は比較的一定していることに留意されたい。
【0074】
6番目の自由度、z軸における平行移動を付与するためには、運動保持アセンブリは遠位骨アンカーを近位骨アンカーに対してz軸にて運動できるようにする必要があろう(注意深く観察していれば、デュアルピボット点の使用を通じて達成されるx又はy軸における平行移動は偶発的にz軸の変化を提供するが、純粋にz軸に沿った力であればこの種の平行移動を生じさせないと思われることに注目するであろう)。z平行移動に対して自由度を加えることは、理論上、張力を受けて伸長するデバイスによって達成され得る。しかし、運動セグメントに伸延を付与する引張荷重は稀である。最も一般的であるのは脊椎を伸ばすために治療上の牽引を用いることである。
【0075】
従って、z軸における平行移動に対するより有用な能力は圧縮する能力である。理想的には、圧縮は可逆性で反復性である。従って、圧縮由来の変形は弾性的である必要があろう。弾性は固形物が力を受けてその形状及び寸法を変えるが、力が除去されると元の形状を回復する特性である。多くの人にとって、弾性変形は変形可能であって元の形状を回復するゴムボールを思い起こさせる。空気袋は弾性変形を受けることができる(その例には空気タイヤ及びサッカーボールの空気袋が含まれる)。弾性変形はBelleville皿ばね又は類似のばねのような種々のタイプの皿ばねを含むばねの使用を通じて達成され得る。
【0076】
運動保持アセンブリに弾性変形可能な構成要素を加えれば、この運動セグメントは跳躍後の着地又は尻もちのような強力な圧縮力下で脊柱の圧縮する能力に寄与するであろう。一組の運動セグメントはスタック状であるため、融合運動セグメントを有する人にとって許容できるように、1つの運動セグメントの弾性的に圧縮する能力の欠如は許容可能である。z方向に弾性的に圧縮する幾分かの能力を有することは、人工髄核を備えた運動保持デバイスに特に望ましいと考えられるが、それはこれらが自然の運動セグメントの動作を理想的に模倣していためである。
【0077】
遠位椎体及び近位椎体の終板が互いに接近することを可能にする運動保持デバイスの弾性変形は、これらの椎体の終板に接触する適合形状を呈する人工髄核に圧縮力を印加する。z方向における人工髄核の圧縮は、これを半径方向に外側に拡張させ、人工髄核の全体量を維持する。人工髄核は半径方向に外側に拡張するため、力を線維輪の様々な層に伝達し、故に生理的荷重の自然な伝達及び消散を模倣する。
【0078】
z軸において弾性変形を受ける能力及び線維輪への荷重の半径方向分散を促進し、通常の生理的荷重共有を模倣する能力を有する運動保持デバイスを有することは、沈降又は変移症候群のリスクを低減する傾向にある。
(弾性的に変形可能な構成要素の導入)
圧縮性軸方向平行運動及び荷重分散の能力を支援するために弾性的に変形可能な構成要素を用いる1つの選択肢は、遠位ピボットカップ372の遠位端と遠位骨アンカー340の間にOリング、エラストマワッシャ又は他のエラストマー対象物を配置することである。理想的には、遠位ピボットカップ又は遠位骨アンカー又は両方ともエラストマー材料のための空隙を許容するような形状にされ得る。このようなエラストマー構成要素は半柔軟性材料、例えば、フルオロポリマーエラストマー(Viton(商標))、ポリウレタンエラストマー又はシリコーンゴムから構成され得る。
【0079】
エラストマー構成要素の配置に用いられ得る別の位置は、近位ピボットカップとジャムナットの間の近位骨アンカー内である(実施形態は示さず)。この構成では近位ピボットカップは雄ねじを有さないであろうから、近位骨アンカーのキャビティにおいて軸方向に自由に運動し、近位ピボットカップの近位端とジャムナットの遠位面の間のエラストマー材料を圧縮する。エラストマー面の配置のための更なる位置は支持面とピボットの間である。
【0080】
図12はエラストマー構成要素を有する1つの運動保持アセンブリ800を示す。より具体的には、運動保持アセンブリ800は遠位ピボットカップ808におけるキャビティに嵌合するピボット804を有し、当該キャビティはピボット804の遠位端に対する支持面を付与する。ピボット804の他端は、これも支持面を付与する近位ピボットカップ812におけるキャビティに嵌合する。遠位ピボットカップ808及び近位ピボットカップ812の外部はねじ切りされておらず、ピボットカップは遠位骨アンカー816及び近位骨アンカー820におけるキャビティ内を長手方向に移動することができる。遠位Oリング824は遠位ピボットカップ808と遠位骨アンカー816におけるキャビティ壁部の間に配置される。同様に、近位Oリング828は、近位ピボットカップ812と近位骨アンカー820におけるキャビティの近位端における一組の雌ねじに係合するねじ山キャップ832の間に配置される。ねじ山キャップ832は、ねじ山キャップにトルクを付与するための同様の形状のドライバの収容のためのスロット836を有する。スロット836への十分な入力により、ねじ山キャップは、ねじ山キャップ832、Oリング828(これも圧縮する)、近位ピボットカップ812、ピボット804、遠位ピボットカップ808、遠位Oリング824及び遠位骨アンカー816を軸方向(遠位)に進めることにより挿入されるこの運動保持デバイスを有する運動セグメントに伸延を付与するために用いることができる。ねじ山キャップ832の軸方向運動は、近位骨アンカー820に関連するため、他のすべての構成要素の運動は遠位骨アンカー816に係合した椎体の運動を近位骨アンカー820に係合した椎体に対して運動させる。
【0081】
当業者であれば単一のOリングの使用は2つのOリングの使用の実行可能な代替策であることを理解しよう。当業者であれば単一運動保持アセンブリにおいて2つのエラストマー挿入物を用いる際、当該エラストマー挿入物は異なる特性を有し得て、例えば、異なる厚さで、或いは異なるエラストマー材料から作製され、そのため一方は他方より小さい軸方向荷重下で応答することを理解しよう。
【0082】
運動保持アセンブリ内の構成要素の形状に対する適切な改変を考慮すると、Oリングはワッシャ形構成要素のような他のエラストマー構成要素に置換され得る。また、Oリングはエラストマー構成要素の使用に依存することなく、弾性変形を許容し得る種々の構成及び剛性のねじにも置換され得る。
【0083】
コイルばねは1つの選択肢である。別の選択肢はBelleville皿ばねのような種々のタイプのスプリングワッシャ製品の1つである。スプリングワッシャは重ねられてより大きな総たわみを付与し、或いは単に力に対するたわみの応答曲線を変更することができる。
(加工ばね)
図13は、第一の端部904、第二の端部908及び当該2端部を結合する加工された中空ロッド912を有するピボット900の断面を示す。中空ロッドに加工されたばねは(コイルストックから形成されたばねと対照的に)高い精度で作製でき、加工ばね間のばらつきが減少する。
【0084】
加工ばねの別の使用法は雄ねじを有さないピボットカップにおけるものであり、例えば、図12に示すピボットカップである。一体化された加工ばねを有するピボットカップは、ピボットの一端を収容し、支持面として機能する第一の部分を有し得る。ピボットカップのその他の部分は、加工されて加工ばねを組み込み得る円筒部分を含み得る。
(他の実施形態)
図14は、上記運動保持アセンブリ300の別の実施形態を示す。遠位骨アンカー740及び近位骨アンカー744をピボット352と共に示すが、外膜460はない(図7を参照)。近位骨アンカーの遠位端における溝部512及び遠位骨アンカーの近位端における溝部516がこの図から見てとれる。この運動保持アセンブリ700と運動保持アセンブリ300の主な相違点は、遠位ピボットカップ772が雄ねじ776を有し、遠位骨アンカー740のキャビティにおける対応する一組の雌ねじ780にねじ切られていることと、人工髄核材料464が外膜を充填するのではなく、椎間板腔に直接導入されることであり、2005年8月8日に出願された米国特許出願第11/199,541号に記載されており、更に下記に簡潔に記されるような手段及び方法による椎間板腔の表面の密閉工程を伴うか、或いは伴わない。遠位ピボットカップ772は、遠位ピボットカップ772にトルクを付与し、これを回転させて遠位骨アンカー740にねじ係合させる、対応するドライバの係止突起部に係合し得る係止凹部を有することに留意されたい。
【0085】
図14は、ピボット352の端部を収容するキャビティの前縁に沿ったキャビティ斜面748の使用を示し、キャビティ斜面748はピボット体部392がキャビティ壁部に接触する前に更に進むことを可能にする。これに関連して、「更に進む」とはキャビティ壁部が斜面を含まないことを除き、同じ構成要素で可能である場合よりも更にということである。
【0086】
図14は、近位骨アンカー744のねじ切り内部に係合する近位ピボットカップ720(ピボットが見えるように断面で示す)及びジャムナット760を示す。
図15は、別の運動保持アセンブリ1000の分解図を示す。この運動保持アセンブリ1000は、幾つかの点において運動保持アセンブリ300と異なる。運動保持アセンブリ1000は、一体化された支持面(不可視)を備えた遠位骨アンカー1004を有する。運動保持アセンブリ1000は、近位骨アンカーを貫通するキャビティを備えた近位骨アンカー1008を有する。ピボット1012は、近位骨アンカー1008及び近位骨アンカー1008に結合される膜1016及び遠位骨アンカー1004中に挿入され得る。ピボット1012は、ピボット体部の長さがピボットにより異なり得て、この多様性を用いて特定の患者の解剖的構造に合わせた構成要素の組合せを生み出すことができるという、より一般的な点を例示する。
【0087】
挿入されるピボット1012の遠位端は、遠位骨アンカー1004の支持面に接触する。一体化された支持面(不可視)を備えたねじ山キャップ1020はドライバ係合部1024を有し、これは対応するドライバによってトルクを付与されて、ねじ山キャップ1020を回転させ、ねじ山キャップ上の一組の雄ねじ1028と近位骨アンカー1008のキャビティにおける一組の雌ねじ1032の係合を通じて近位骨アンカーにおけるキャビティの近位端内に軸方向に進める。
【0088】
キャビティが支持面の連続性を妨害しない支持面を有することが好ましいと考えられる。従って、遠位骨アンカーがピボットとの係合のための一体化された支持面を備えようとする場合、好ましくは配置手段にはガイドワイヤを用いないようにすべきである。同様に、図3における要素368のようなねじ山キャビティは支持面における不連続性又は間隙を生じ得るため、使用しないことが好ましい。
【0089】
係止手段及び係止凹部の使用を含む、遠位骨アンカーを配置するための他の手段が存在するため、キャビティを付加することなく支持面に対して連続性底部を有することは望ましい。
【0090】
図16は、更に別の運動保持アセンブリ1100の構成要素を示す。このアセンブリは遠位骨アンカー1104、遠位Oリング1108、遠位ピボットカップ1112、ピボット1116、近位ピボットカップ1120、近位Oリング1124、近位骨アンカー1132及び端部カップ1136を有する。これらの構成要素の相互作用は前記構成要素間の相互作用と同様であり、これには端部カップ1136の外部と近位骨アンカー1132のねじ状内部とのねじ係合を通じて近位骨アンカー1132内に軸方向に進めるための端部カップ1136の回転に基づく伸延を課す能力が含まれる。運動保持アセンブリ1100における付加的構成要素は螺旋ばね1128であり、これは実際の使用時には近位骨アンカー1132の遠位端と遠位骨アンカー1104の近位端との間に結合され得る。螺旋ばね1128は運動保持アセンブリ1100を収容する運動セグメントの椎間板腔に配置され得る。この特定のばねはその低エネルギー状態が圧縮される際、圧縮荷重に抵抗しないであろう。しかし、螺旋ばね1128は運動セグメントが屈曲、伸長又は横方向の曲げのために曲がる際、運動保持アセンブリ1100の回転に抵抗するであろうが、それはこれらの運動の任意の1つが当該螺旋ばねの一側面を圧縮している間に当該ばねの対向側を伸長するためである。
【0091】
図3は移植された運動保持アセンブリ300を示し、これは椎間板腔312を満たす人工髄核348を含み、外膜460は人工髄核材料464を充填されている。図3はすべての運動保持アセンブリが人工髄核又は特定の種類の人工髄核を有するという要件として解釈されるべきでなく、それは、運動保持アセンブリは下記のような遮断−密封膜で形成された人工髄核を用いて使用することができるためである。
【0092】
拡張可能な膜を有さずに構成される人工髄核運動保持アセンブリの実施形態において、一般的に2工程配置法が用いられ、好ましくはまず遮断−密封膜(BSM)が椎間板腔の内面との整合的な接触を通じて導入され、生理的構造体、例えば、輪における亀裂を密閉し、その後に導入されるバルク人工髄核材料の漏出を防止する。運動保持アセンブリの一部として用いられる人工髄核デバイスでは、粘弾性特性、例えば、バルク及び圧縮モジュラスは自然の椎間板核に実質的に「整合」するように設計され、椎間板腔内での最大デバイス面領域の整合的接触を機能的に可能にし;生理的荷重の分散及び消散を「模倣」し;骨の腐食又はインプラントの沈降を防止し;疲労及び剪断力に対する十分な抵抗を示し、材料の断片化及び椎間板からの移動を防止する。運動保持アセンブリが遮断−密封膜と共に使用されるように構成された実施形態において、遮断−密封剤は合成又は精製(非抗原性)されたバイオポリマー又は蛋白質の水溶液、例えば、コラーゲン又はコラーゲン−アルブミン混合物又はスラリー;或いは好適に高度の繊維性のフィブリノーゲン、トロンビンなど又はその組合せ;高度な架橋;高密度の固体(例えば、65mg/ml超)を含む。一実施形態において、バイオポリマー蛋白質系は不溶性になるように修飾され、また、可能で適切な場合には蛋白質は1型であることが好ましい。別の実施形態において、密封剤は、架橋剤、例えば、グルタルアルデヒド/アルデヒド或いは毒性及び壊死、もしくは毒性又は壊死を最小化するように修飾された他の好適な官能基(例えば、クエン酸誘導体)を更に含む。
【0093】
遮断−密封膜の好ましい態様において、架橋剤は残渣を減少させ、或いは自然に代謝される物質である官能性基を含む。一実施形態において、架橋剤は少なくとも1つのクエン酸誘導体及び上記の系統のような合成若しくは高度に精製されたバイオポリマー若しくは蛋白質(例えば、コラーゲン;コラーゲン−胚乳;エラスチンなど)を含む。好ましい態様において、架橋剤は、電子求引基、例えば、スクシンイミジル基によって修飾されたカルボキシル基又はヒドロキシル基のような極性官能基を含む比較的低重量の巨大分子である。
【0094】
更に別の実施形態において、遮断−密封剤及び遮断材、もしくは遮断−密封剤又は遮断材(例えば、厚層)はヒドロコロイド類を含む。より具体的には、遮断−密封膜は、それぞれ密封剤又は組織修復マトリクスとしてのエラストマー又はバイオポリマーと組み合わせて、水溶性の親水性コロイド状構成要素、例えば、カルボキシメチルセルロースを含むように構成され得て、遮断膜は非分解性の半浸透性フィルムを含む。他の実施形態において、遮断材はペクチンベース又は発泡体でよい。
【0095】
運動保持アセンブリは、人工髄核が配置されない場合のように、人工髄核の同時形成なしに配置され得る。運動保持アセンブリは、輪に接触してヘルニアを通じた人工髄核材料又は外膜の移動又は漏出を防止し、瞬間荷重を減衰し、荷重を半径方向に線維輪に分散するエラストマーリング又はカラーの挿入を含む組立手順にて配置することができる。
【0096】
輪に接触し、人工線維輪として機能し、瞬間荷重を減衰し、荷重を半径方向に線維輪に分散するエラストマーリング又はカラーに関してより具体的には、非膨張性エラストマー(例えば、シリコーン又はポリウレタン)カラーは拡張性膜と併用して用いることが可能である。このカラーは米国出願第60/558,069号「軸方向に配置された脊椎可動性デバイス(Axially−Deployed Spinal Mobility Devices)」に記載されており、同特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。このカラーは最初に折り重ねて配置され、それから椎間板腔に送達される。当該カラーは適合するように、即ち、輪を強化してヘルニアを通じた膜の移動又は漏出を防止するように構成される。当該カラーの断面は拡張可能な膜に比し、硬い。好ましい実施形態において、当該カラーは高さが約8mm〜12mm、厚さが約0.5〜1.0mmである。
【0097】
輪を強化する別の方法は、遠位アンカー部と近位アンカー部の間に拡張可能な外膜(上記外膜460の代わりに)を用いることであり、この場合、当該外膜は拡張されると、近位及び遠位椎体の終板近傍に配置された膜材料より硬い膜材料を線維輪に対して配置する。
【0098】
この輪強化外膜は単独で、或いは輪に接触するエラストマーリング又はカラーと組み合わせて配置され得て、運動保持アセンブリデバイスは現行の椎間板全置換(TDR)処置の侵襲性を受けることなく、人工椎間板(PD)として有効に機能し、自然の椎間板と同じ荷重支持特性を提供する。整合性と剛性のバランス、即ち、前記のような一体式の高剛性構成要素を有する人工髄核にカラー及び外膜、もしくはカラー又は外膜として提供されるかを問わず、半柔軟性エラストマー構成要素の付加は運動保持アセンブリが圧縮荷重下で崩壊せずに運動セグメントを衝撃から守ることを可能にする。即ち、半柔軟性構成要素は瞬間荷重の減衰を付与し、また、運動保持アセンブリと生理的構造体、即ち、輪並びに近位及び遠位椎体の終板との整合的接触(調和的界面)の有効な表面積も維持する。次に、これはより均一な半径方向の荷重の分散を生じ、より近似した生理的荷重の共有になる。本発明のこの態様に従って、本明細書に開示する運動性デバイスは沈降及び変移症候群、もしくは沈降又は変移症候群を引き起こす可能性がより低い。
(好ましい材料)
本発明の好ましい態様において、本発明の非弾性構成要素運動保持アセンブリは生体適合性高強度材料、例えば、MP35N;Stellite(商標)のようなCo−Cr合金を含むように構成されることが好ましい。本明細書の文脈において、「生体適合性」とは、生理組織が本発明の材料及びデバイスに接触し、或いは曝露された場合に(例えば、磨耗片)、慢性炎症反応の非存在を指す。生体適合性に加えて、本発明の別の態様において、運動保持アセンブリを構成する材料は滅菌可能;視認可能及び画像形成可能、もしくは視認可能又は画像形成可能であることが好ましく、例えば、蛍光透視上;或いはCT(コンピューター断層撮影)又はMRI(磁気共鳴映像)を通じて行い、この最後に挙げた画像法では材料がFe(鉄)を実質的に含有しないことを指示する。更に、コントラスト、細部及び位置感度を考慮し、造影剤又は他の物質(例えば、硫酸バリウム)は時と場所により必要とされ適切であればデバイスを構成する際に用い得て、放射線透過性又は放射線不透明度を補助し、或いは修正する。また、本明細書で用いるように、高強度とは、例示的実施形態の材料が概して長期的インプラントに対するISO 10993規格を満たし、且つ/或いは磨耗することなく、全可動域を通じて約1250ニュートン(N)(280lbf)〜2250N(500lbf)の軸方向圧縮;横方向及び前後垂直方向剪断応力のそれぞれ100N(25lbf)及び450N(100lbf)の長期的な正常範囲の生理的荷重(即ち、インプラントの寿命期間に渡り、或いは最大約40×10サイクル)に耐えることができることが好ましいということである。加えて、本発明の運動保持アセンブリは、約8000ニュートン(N)(1800lbf)の軸方向圧縮;約2000N(450lbf)の横方向剪断応力;及び約3000N(675lbf)の前後垂直方向剪断応力の全可動域を通じた短期的(例えば、約20連続サイクルに渡る)最大生理的荷重に確実に耐えることができることが好ましい。
【0099】
好ましい実施形態において、ピボット及び支持面はStellite(商標)のようなCo−Cr合金である。更に、ピボットの端部は処理して(例えば、適宜に表面又は熱処理)磨耗抵抗を増強することができる。従って、化学組成は同じであり得るが、これで端部は中間部と異なる材料であり、これに関連しては、「材料」は特性を生じるための組成と処理の組合せであるためである。更に別の実施形態において、ピボット体部は別の適合性材料(例えば、電気化学的腐食を生じるように反応しない材料)で作製され得て、ピボット端部はより磨耗抵抗性に作製されるが、ピボット体部に用いられる材料及びピボット体部、もしくはピボット体部に用いられる材料又はピボット体部はピボット端部に用いられる材料に対して疲労抵抗を高めるように処理され得る。単一の金属片から加工されるのではなく、2つのピボット端部及び1つのピボット体部からピボットを作製することは、端部と体部が同一材料、例えば、市販されている高度に研磨され、高度に円形の球体から作製されるとしても、非合理的な製造方法ではない。保持リング484に好ましい材料はチタンである。
(運動保持アセンブリを装着する方法に関する詳細)
2004年10月25日に出願された米国出願第60/621,730号「軸方向インプラントを脊椎に導入するためのマルチパートアセンブリ(Multi‐Part Assembly for Introducing Axial Implants into the Spine)は、優先権書類として優先権を主張されており、同文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。運動保持アセンブリを装着するための工具及び方法に関する詳細は当該出願に見出される。
【0100】
運動保持アセンブリと種々のドライバの相互作用をみることは有用であり得るため、工程の手順を下記に示すが、ドライバデバイスの構築の詳細よりもドライバが運動保持アセンブリとどのように相互作用するかに重点をおく。
【0101】
図17は遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344を示し、膜460は遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344に結合している。この実施例において、遠位骨アンカー上の雄ねじ356のねじ山ピッチは、近位骨アンカー上の一組の雄ねじ404のねじ山ピッチと同じである。キー締めされたドライバアセンブリ2000は肩部2008を備えたキー2004を有する。キー2004は近位骨アンカー及び遠位骨アンカーにおけるスロット中に摺動する(既出)。従って、キー締めされたドライバアセンブリ2000は近位骨アンカー344が遠位骨アンカー340に対して回転するのを防止する。骨アンカー間の距離の正確な制御と同調したキー締めは、近位骨アンカー上の雄ねじの前縁が近位椎体に進入し、遠位骨アンカーが遠位椎体方向に進む間に近位椎体を通じてねじ込まれた、遠位骨アンカーに残されたねじ山路の開始部に進入することを可能にする。
【0102】
雄ねじ2016を有する保持ロッド2012は遠位骨アンカー340の雌ねじ部368に係合する。保持ロッド2012はドライバチップ2018に対して回転可能であり、そのため遠位骨アンカー340は引っ張られてドライバチップ2018に接触する。
【0103】
同様に、近位アンカー保持継手2088は外部シース2096に付着しているため、雄ねじ2092を有する近位アンカー保持継手2088はドライバチップ2018に対して回転可能である。近位アンカー保持継手2088の回転は雄ねじ2092と近位アンカー344の雌ねじ416との係合を生じさせ、近位アンカー344を肩部2008まで引き下げる。両アンカーがキー締めされたドライバアセンブリ2000の構成要素に接触した状態に保持され、近位骨アンカー344に対する遠位骨アンカー340の位置が肩部2008とドライバチップ2018の間の距離に基づいて設定され得る。2つの離れた骨アンカー間の距離に対する制御は、同じ大径を有する2つの骨アンカーが近位椎体の交差ねじ込みなしに挿入されることを可能にする。
【0104】
図18は、一組の係止突起部2020を用いて係止凹部に係合する(図19における要素2028を参照)遠位キャップドライバ2022による遠位ピボットカップ372の遠位骨アンカー340内の送達を示す。図19は遠位端カップ372の遠位端から離れるドライバの軸方向運動を生じさせる非外傷性チップ2024の伸展によるドライバの解放を示し、そのため係止突起部2020は係止凹部2028から解放される。一実施形態において、非外傷性チップ2024は遠位端カップ372における支持面より軟性となるように選択され、そのため当該支持面は傷つけられない。
【0105】
図20は、運動セグメントを伸延し、次に人工髄核材料を膜460に配置し、膜460を拡張させて椎間板腔の間隙内に適合させるのに用いられる伸延及び挿入ツール2032を示す。挿入ツール2032は近位骨アンカー344における一組の雌ねじ416に係合する一組の雄ねじ2036を有する。挿入ツール2032の遠位端は遠位ピボットカップ372における支持面を損傷させずに接触するように設計された非外傷性チップ2042である。軸方向に進みながら伸延及び挿入ツール2032は非外傷性チップ2042を遠位ピボットカップ372に押し進め、近位骨アンカー344に係合した椎体に対して遠位骨アンカー340に係合した椎体を移動させる。所望の量の伸延を成した後、内部チャネル2048を用いて一組の開窓部2052を通じて送達される人工髄核材料を付与し、膜460を満たし、拡張させる。人工髄核材料は、膜460と2椎体の終板と線維輪の壁部が適合するまで挿入される。
【0106】
人工髄核材料を硬化させた後、挿入ツール2032は取り外すことができ、人工髄核の形成中に当該挿入ツールが存在した位置に人工髄核材料における間隙が残される(図3における要素348を参照)。図面の手順は運動セグメントに移植されないデバイスを示すため、図20に示す非移植デバイスは実際には人工髄核材料を収容しなかった。明敏に観察していればこの手順における後続の図は拡張性膜を示さないことに気づくであろう。
【0107】
図21は、Oリング2060によってピボットの近位端388に係合する送達ツール2056によるピボット352の送達を示す。図22は送達後のピボット352を示し、ピボットの遠位端384は遠位ピボットカップ372における支持面に接触し、ピボットの近位端388はOリング2060を超えて押されている。ピボット352の送達は硬化した人工髄核材料に妨害されないであろう。というのも挿入ツール2032が充填及び硬化中に当該容積を占めた際、この材料は運動保持デバイスの中心軸に沿って硬化したわけではないと思われるためである。人工髄核に対する圧縮力が運動保持アセンブリの長手方向中心線方向への人工髄核材料の移動を生じさせたという点において、ピボット352は柔軟性人工髄核材料を移動させることにより、縮小した開口部を通じて押し進められ得る。
【0108】
図23は、近位ピボットカップにおけるねじ山キャビティ432にねじ係合する保持ロッド2068によって近位ピボットカップ420に係合するドライバ2064の使用を示す。ドライバヘッド2072は、近位ピボットカップ420における、対応するドライバ係合部428(図3において最良に認められる)に係合し、トルクを与えて近位ピボットカップ420を軸方向に近位骨アンカー344内に進め、故にピボット352を通じて遠位ピボットカップ372、従って遠位骨アンカー340を押し進め、近位骨アンカー344に対して遠位骨アンカー340を移動させる。椎体に移植された場合、これは椎体を引き離して軸方向伸延を課すであろう。
【0109】
図23と図24の比較では構成要素の移動の概念が示され、ピボット352は遠位骨アンカー340と近位骨アンカー344の間により近接して中心に位置する。前記のように、ピボット352は様々な長さで提供することができ、そのためピボット352は延伸を課した後に椎間板腔に対して適切に配向される。
【0110】
図24は、ねじ山キャビティ352(図3において最良に認められる)及びドライバ係合部448(図3において最良に認められる)を通じてジャムナットを係合する、ドライバヘッド2080を有するジャムナットドライバ2076及び保持ロッド2084を示す。
【0111】
図25は、図17に示すキー締めされるドライバアセンブリ2000の代替物を提供する。デュアルアンカードライバ2100は、多角形トルクドライバ2104を用いて遠位骨アンカー2108及び近位骨アンカー2112を同時に係合する。これらの骨アンカーは同じ小径、同じ大径、同じピッチ及び同じ巻きを有する雄ねじ部(2116及び2120)を有する。近位アンカーの雄ねじ2120が回転させられて近位椎体に進入する際、遠位アンカーの雄ねじ2116によって近位椎体に残される螺旋ねじ切削の交差ねじ込みを避けるため、2つの骨アンカーの送達は調整する必要がある。骨アンカーの回転及び軸方向移動中の骨アンカーの相対位置に対する制御を有することは、これを可能にする。ここで、A)遠位アンカー2108の雌ねじ2124に係合し、遠位アンカー2108を引っ張り、多角形トルクドライバ2104の遠位チップ2128にこれを固定する保持ロッド2012の作用及びB)一組の雄ねじ2136を近位アンカー2112の雌ねじ2142に係合し、近位アンカー2112を多角形トルクドライバ2104の肩部2146に固定する近位アンカー保持継手2132の作用によって制御がなされる。保持ロッド2012及び近位アンカー保持継手2132はデュアルアンカードライバ2100に結合され、各々は多角形トルクドライバ2104に対して回転可能となる。
【0112】
図25では即座に視認できないが、多角形トルクドライバ2104を用いたデュアルアンカードライバ2100は、図17のキー締めドライバを用いた場合に必要であるように、骨アンカーにおけるスロットと相互作用する必要がない。トルクドライバとして六角形が一般的に使用されるが、三角形、四角形、五角形、八角形などのような他の多角形を用いることも可能であることを当業者は理解しよう。星形又は非対称形のようなより複雑な形状を用いることも可能であるが、単純な多角形が妥当である。
【0113】
ドライバと2つの骨アンカーの他の関係が、遠位骨アンカーによって近位椎体に切り込まれたねじ山路への近位骨アンカーの適時の送達を生じさせ得ることを当業者は理解しよう。このような解決策の1つは、遠位骨アンカーのキャビティにおける、対応するドライバ係合部に係合する六角ヘッドを有する二重六角ヘッド六角ドライバのような二重六角ヘッドドライバ、上部六角ヘッドに結合し、遠位骨アンカーの内壁部に係合する、より大きな下部六角ヘッドから延びているスペーサ軸を用いることである。遠位骨アンカー及び近位骨アンカーは二重六角ドライバにプレロードされ、椎体に移植されるまでそこに保持される際(保持ロッド及びねじ山付き保持継手を用いるように)、骨アンカーが二重六角ヘッドに接触している間、回転配向及び相対的軸位置は変化しないため、2つの骨アンカーの配向は制御され得る。
【0114】
遠位骨アンカーが近位骨アンカーより幅が狭い場合、より小さな遠位ヘッドを有する二重六角ドライバが妥当であり、例えば、伸延のために異なるねじ山ピッチを用いるような場合である。しかし、異なるねじ山ピッチは伸延の好ましい手段ではない。
(配置及び使用の好ましい方法)
本発明は上記のような多くの変形により実施可能であり、これらの変形は実施のための工程に影響を及ぼすが、好ましい運動保持アセンブリ(MPA)及び人工椎間板置換のための配置工程2200の概要を述べることは教示的である。1つは同じロッド径並びに同じ大径、小径、ねじ山ピッチ及び巻きの雄ねじを有する脊椎インプラントの遠位構成要素及び近位構成要素に関することであり、遠位構成要素の通過によって近位椎体に切り込まれた螺旋ねじ山路に進入する近位構成要素の適時の送達を有することが必要であり、前記ねじ山付き構成要素はインプラントを隣接する椎体に固定する機能を果たす。この実施形態では遠位構成要素及び近位構成要素に対して中間位置となり、これらと一体化するように構成され、その後、人口髄核材料の挿入により拡張され、隣接する遠位及び近位椎体の間の椎間板腔内に人工髄核構成要素を形成する柔軟性膜を用いる。
【0115】
同径(上記のような)の2つのねじ山付き構成要素に好ましいドライバは、図25に示すドライバに類似した長尺状の六角形ドライバである。骨アンカー及びドライバに関する多くの詳細事項はすでに紹介されたため、このフロー図は詳細な紹介というより概要として機能する。
【0116】
工程2210 デバイスドライバアセンブリに遠位及び近位構成要素を載置する。柔軟性膜によって結合されたこれら2つのアンカーは、アンカードライバアセンブリに配置される。長尺状のトルクドライバ、この場合、一定の断面部を有する長尺状の部分(長手方向軸に対して直交して)を有する六角形トルクドライバを用いるという点において、ドライバアセンブリは図25におけるアンカードライバアセンブリに類似している。
【0117】
ドライバアセンブリを装着する工程は、遠位構成要素をドライバの遠位端に固定し、これは挿入中に先端部に保持され、ねじ山付き保持ロッドによって軸方向、遠位に進められる工程と、近位アンカー保持継手の使用を通じて近位骨アンカーをデュアルアンカードライバアセンブリ内の肩部に固定する工程を含む。2つの骨アンカーをドライバアセンブリに固定することにより、遠位構成要素と近位構成要素の間の所定の空間分離が維持され、これらの間に位置する柔軟性膜が引き延ばされ、そのため当該膜は僅かにネックインし、近位椎体を通過する間に損傷を受ける可能性が低くなる。
【0118】
工程2220 アンカードライバアセンブリをガイドワイヤ上に挿入し、近位椎体を貫通する孔及び遠位椎体における孔を含む、事前に作製された軸方向チャネルを通じてアンカードライバアセンブリを進める。近位椎体における孔は両骨アンカー上の雄ねじの小径の大きさとほぼ同じである。
【0119】
工程2230 アンカードライバアセンブリを用いてトルクを与え、近位椎体を通じて遠位骨アンカーを回転させ、軸方向に進め、これによって第一の椎体を通じた螺旋ねじ山路が形成される。
【0120】
工程2240 トルクを連続して与えて骨アンカーを軸方向に進め、骨アンカーは空間的に維持された距離にてアンカードライバアセンブリに保持され、遠位構成要素を遠位椎体に固定し、近位椎体における交差ねじ込み又は再ねじ込みなしに、近位構成要素を近位椎体に固定する。
【0121】
工程2250 骨アンカーがそれぞれの椎体に配置されると、遠位骨アンカーを保持ロッドとのねじ係合から解放し、近位骨アンカーを近位アンカー保持継手から解放する。保持ロッド及び近位アンカー保持継手は長尺状の六角形ドライバに対して回転可能である。
【0122】
工程2260 アンカードライバアセンブリを取り外す。
工程2270 遠位ピボットカップを係合するために係止機構を用いる図18及び図19に示すように、遠位ピボットカップをドライバに係合することにより、遠位ピボットカップを挿入する。
【0123】
工程2280 遠位ピボットカップドライバを遠位ピボットカップから外し、遠位ピボットカップドライバを除去する。
工程2290 ディストラクタ/インジェクタツールを移植した骨アンカーに挿入し、ディストラクタ/インジェクタツールの非外傷性チップが遠位ピボットカップの支持面に接触する。
【0124】
工程2300 近位骨アンカー内でのねじ係合を通じて近位骨アンカーに対してディストラクタ/インジェクタツールを軸方向に進め、遠位ピボットカップ上の非外傷性チップを通じて押し進めることにより、近位椎体に対して遠位椎体を移動させる。
【0125】
工程2310 ディストラクタ/インジェクタの内部及びディストラクタ/インジェクタの内部と柔軟性膜との間の流体伝達における外開口部を通じて人工髄核材料を注入し、柔軟性膜を十分に拡張させて充填し、この人工椎間板デバイスの人工髄核構成要素を形成し、当該人工髄核構成要素は椎間板腔の表面と整合的に接触する。
【0126】
工程2320 注入した材料を硬化させる。
工程2330 ディストラクタ/インジェクタツールを除去する。
工程2340 ピボットの近位端を送達ツールに係合する。送達ツールを挿入し、ピボットの遠位端を硬化した材料を通じて遠位ピボットカップに押し進め、同時にピボットの近位端を送達ツールとの係合から開放する。好ましい送達ツールが図21及び図22に示される。
【0127】
工程2350 ピボット送達ツールを軸方向チャネルから除去する。
工程2360 ねじ山付き近位ピボットカップを近位骨アンカーに挿入する。近位骨アンカーにおけるねじ山を係合し、近位ピボットカップを進めてピボットの近位端に接触させる。
【0128】
工程2370 近位ピボットカップを更に回転させ、軸方向に進めることにより、ピボットは遠位ピボットカップに押圧され、故に近位椎体に対する遠位椎体の付加的増大伸延が生じる。このようにして椎体の伸延を付加的に調節する能力は、人工椎間板デバイスの人工髄核構成要素と、ピボット、支持面、エラストマー構成要素を含む機械的「インライン」サブアセンブリと、椎体に固定された遠位及び近位ねじ山付き構成要素との間の軸方向荷重支持の選択的分散を可能にする。この伸延は圧縮時に弾性変形を受けることが可能な1つ又はそれ以上の構成要素上に圧縮力を課す。
【0129】
工程2380 ドライバをピボットカップから外す。
工程2390 ジャムナットをドライバに係合する。ドライバ及びジャムナットを軸方向チャネルに挿入する。ジャムナットにおけるねじ山を近位骨アンカーにおけるねじ山に係合し、締め付ける。好ましい方法ではピボットカップ及びジャムナットに対して同じドライバを用いる。
【0130】
工程2400 ドライバをジャムナットから外し、ドライバを軸方向チャネルから除去する。
以上で脊椎において軸方向チャネルに運動保持デバイスを配置する方法を終え、手術部位は外科医によって縫合され得る。
【0131】
当業者であれば、上記に示した代替の実施形態は普遍的に相互排他的ではなく、場合により上記の2つ又はそれ以上の変形例を用いる代替の実施形態が可能であることを理解しよう。同様に、本発明は、本発明の理解を容易にするために提供した具体的な実施例又は特定の実施形態に限定されるものではない。更に、当業者には公知であるように、本発明の範囲は、本明細書に記載の構成要素に対する一定範囲の変形、改変及び代替に及ぶ。特許請求の範囲の法的制約は特許請求の範囲に示されており、進展してその法的等価に範囲が及ぶ。
(関連出願について)
本出願は、2004年10月22日に出願された米国出願第60/621,148号「脊椎運動保持アセンブリ」(Spinal Mobility Preservation Assemblies)及びもう1つの2004年10月25日に出願された米国出願第60/621,730号「軸方向インプラントを脊椎に導入するためのマルチパートアセンブリ(Multi‐Part Assembly for Introducing Axial Implants into the Spine)に対して優先権を主張し、これらの文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。本出願は、すべて2004年10月22日に出願された4つの米国特許出願第10/972,184号、第10/927,039号、第10/972,040号及び第10/972,176号に対して優先権を主張し、これらの文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。これら4つの出願は、2004年3月31日に出願された米国特許出願第60/558,069号及び2003年10月23日に出願された同第60/513,899号に対して優先権を主張するものである。これら2つの文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。本出願は、2005年8月8日に出願された米国特許出願第11/199,541号に対しても優先権を主張するものである。この出願及びこの出願に対する優先権書類として主張されている、2004年8月9日に出願された米国特許出願第60/599,989号に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0132】
また、本出願は、本出願人によってなされた研究を伸展させるものであり、一連の米国出願、仮出願及び登録特許を参照して組み込むものとする。これには、2000年2月16日に出願された米国特許出願第60/182,748号;2000年8月16日に出願された同第09/640,222号(現在、第6,575,979号として登録済);2003年6月11日に出願された同第10/459,149号;2000年10月10日に出願された同第09/684,820号(現在、第6,558,386号として登録済);2003年5月6日に出願された同第10/430,751号;2000年2月16日に出願された同第60/182,748号;2001年2月13日に出願された同第09/782,583号(第6,558,390号として登録済);2001年5月3日に出願された同第09/848,556号;2002年4月18日に出願された同第10/125,771号(第6,899,716号として登録済);2004年11月17日に出願された同第10/990,705号;2003年5月6日に出願された同第10/430,841号;2000年11月10日に出願された同第09/710,369号(第6,740,090号として登録済);2004年5月25日に出願された同第10/853,476号;2000年11月10日に出願された同第09/709,105号(第6,790,210号として登録済);2001年2月13日に出願された同第09/782,534号;すべて2004年10月22日に出願された米国特許出願第10/971,779号,第10/971,781号,第10/971,731号,第10/972,077号,第10/971,765号,第10/972,065号,第10/971,775号,第10/971,299号,第10/971,780号;2005年8月9日に出願された同第60/706,704号;2005年7月26日に出願された同第11/189,943号、2002年12月3日に出願され、現在、米国特許第6,921,403号である同第10/309,416が含まれる。これらの出願は更なる詳細を提供するために参照して組み込まれているが、これら他の出願(後に特許として登録された出願を含める)は早い時期に作成され、本出願とは異なる焦点を有していたことに留意すべきである。従って、これらの組み込まれた任意の出願において教示又は用語の使用が本出願と異なる範囲内では、本出願にて調整する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】ヒト脊椎の各部を示す側面図。
【図2A】脊椎に軸方向チャネルを形成する前方軸方向経仙骨アクセス法であって、本発明に用いる脊椎における軸方向チャネルを用意するために使用可能な方法を示す概略図。
【図2B】脊椎に軸方向チャネルを形成する前方軸方向経仙骨アクセス法であって、本発明に用いる脊椎における軸方向チャネルを用意するために使用可能な方法を示す他の概略図。
【図2C】脊椎に軸方向チャネルを形成する前方軸方向経仙骨アクセス法であって、本発明に用いる脊椎における軸方向チャネルを用意するために使用可能な方法を示す別の概略図。
【図3】脊椎運動セグメントに移植された運動保持アセンブリ300を示す概略図である。
【図4】図3に示す構成要素の別の図を示す分解図。
【図5】図3における運動保持アセンブリを示す概略図であって、遠位骨アンカー340及び近位骨アンカー344から四半円部が取り外され、構成要素の組立セット内の構成要素を表す。
【図6】同一の運動保持アセンブリ300であるが、アセンブリ全体の四半円が取り外された運動保持アセンブリを示す概略図。
【図7】図5の拡大部分を示す拡大図。
【図8A】2つの異なるピボット体部幅を用いる効果を示す模式図。
【図8B】ピボット端カップの深さを変更する効果を示す模式図。
【図9】シングルピボットに対するデュアルピボットの利点を示す模式図。
【図10】他の方向に比べて、一方向においてより多い量の付加的許容平行移動を可能にするピボットカップにおける非対称キャビティを示す模式図。
【図11】非対称ピボットを示す模式図。
【図12】弾性部材を有する1つの運動保持アセンブリを示す分解図。
【図13】加工ばねが2つの端部を連結しているピボット900の断面を示す断面図。
【図14】雄ねじ遠位ピボットカップを有する、運動保持アセンブリの別の実施形態を示す概略図。
【図15】一体化した支持面を有する遠位インプラント部材を有する別の運動保持アセンブリを示す分解図。
【図16】螺旋ばねを有する更に別の運動保持アセンブリの構成要素を示す分解図。
【図17】移植される2つの構成要素の送達のためのキー締めされたドライバアセンブリの断面を示す断面図。
【図18】遠位ピボットカップの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図19】遠位ピボットカップの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図20】ディストラクタ/インジェクタツールから四半円が取り外されたところを示す斜視図。
【図21】デュアルピボットの遠位ピボットカップへの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図22】デュアルピボットの遠位ピボットカップへの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図23】近位端カップの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図24】ジャムナットの送達中における送達ツールの断面を示す断面図。
【図25】長尺状の六角型ドライバを用いて移植される2つの構成要素の送達のためのドライバアセンブリの遠位部分を示す斜視図。
【図26A】運動保持アセンブリの配置のための特定の方法を示すフロー図。
【図26B】運動保持アセンブリの配置のための特定の方法を示すフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎運動セグメントにおける使用に適した脊椎運動保持アセンブリであって、
遠位骨アンカーと、該遠位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該近位端からアクセス可能な該遠位骨アンカーの内部にあって、対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、該遠位骨アンカーの外部にあって、該運動セグメントにおける遠位椎体に係合するように適合された一組のねじ山とを含むことと、
遠位端と、近位端と、これらの間の中間部とを含むピボットと、
遠位ピボットカップと、該遠位ピボットカップは、該遠位骨アンカーの内部のキャビティの一部に対応する外部と、該ピボットの遠位端を収容するための遠位ピボットカップの近位端におけるキャビティとを含むことと、
近位骨アンカーと、該近位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該遠位端から該近位端まで該近位骨アンカーの内部を貫通し、且つ対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、該運動セグメントにおける近位椎体に係合するように適合された該近位骨アンカーの外部における一組のねじ山とを含むことと、
近位ピボットカップと、該近位ピボットカップは、遠位端と、近位端と、該ピボットの近位端を収容するための該近位ピボットカップの遠位端におけるキャビティとを含むことと、
該遠位骨アンカーと該近位骨アンカーとの間に位置し、弾性変形可能な少なくとも1つの構成要素とを備えることとを特徴とする、脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項2】
前記遠位骨アンカーが、該遠位骨アンカーを前記ドライバヘッドに保持するためにドライバツールにより係合される、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項3】
前記近位骨アンカーが、該近位骨アンカーを前記ドライバツールの一部に保持するために該ドライバツールにより係合される、請求項2に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項4】
前記ドライバツールに係合する前記遠位骨アンカー及び前記ドライバツールに係合する前記近位骨アンカーが、通過することにより前記近位椎体に切削されるねじ路を交差ねじ切りせずに、脊椎における軸方向チャネルによって前記遠位椎体及び前記近位椎体に送達されることが可能である、請求項3に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項5】
前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山の大径が、前記近位骨アンカーの外部における一組のねじ山の大径より小さく、
前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山の巻きが、前記近位骨アンカーにおける一組のねじ山の巻きと同じであり、
前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山のピッチが前記近位骨アンカーにおける一組のねじ山より微細であって、前記ドライバツールによる同じ時間及び同じ速度における該遠位骨アンカー及び該近位骨アンカーの回転が、該遠位骨アンカーに係合した前記遠位椎体を該近位骨アンカーに係合した前記近位椎体に対して移動させ、椎間板腔を伸延する、請求項3に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項6】
前記遠位骨アンカーにおけるキャビティが、長手方向軸に沿って近位端から遠位端まで伸展しているため、該遠位骨アンカーがガイドワイヤ上に配置されることが可能である、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項7】
前記近位ピボットカップが、前記近位骨アンカーキャビティの最初のねじ山部分に対応する一組の雄ねじ及び前記近位ピボットカップの近位端におけるドライバキャビティを更に含み、前記ドライバキャビティが対応するドライバヘッドを収容するように構成されているため、前記ドライバヘッドは前記近位ピボットカップにトルクを付与することが可能であり、前記近位ピボットカップを前記近位骨アンカーの長手方向軸に沿って選択的に進め、前記ピボットを前記遠位骨アンカー方向に移動させ、前記遠位椎体と前記近位椎体との間の距離を延ばす、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項8】
ジャムナットを更に備え、該ジャムナットは、
遠位端と、
近位端と、
これらの間において該ジャムナットの外部に沿って少なくとも部分的にねじ切りされ、前記近位骨アンカーのねじ山付きキャビティに係合可能なねじ山を有するジャムナット体部と、
該ジャムナットの少なくとも近位端において開口するドライバキャビティとを有し、対応するドライバが該ドライバキャビティに係合してトルクを付与し、該ジャムナットを前記近位骨アンカーの長手方向軸に沿って進めて該ジャムナットの近位端を移動させ、前記近位ピボットカップの近位端に接触させるようにすることを特徴とする、請求項7に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項9】
移植された脊椎運動保持アセンブリを有する脊椎運動セグメントが、屈曲、伸長、右側への横曲げ、左側への横曲げ、右回りの軸回転及び左回りの軸回転において運動することが可能である、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項10】
移植された脊椎運動保持アセンブリを有する前記脊椎運動セグメントが、約12°の屈曲、約8°の伸長、約9°の右側への横曲げ、約9°の左側への横曲げ、約2°の右回りの軸回転及び約2°の左回りの軸回転にて運動することが可能である、請求項9に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項11】
前記遠位椎体が、前方向/後方向且つ右横方向/左横方向において前記近位椎体に対して平行移動することが可能であるとともに、前記脊椎保持アセンブリの少なくとも1つの構成要素の弾性変形及び弾性回復から生じる平行移動が可能である、請求項10に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項12】
弾性変形を受けることが可能な少なくとも1つの構成要素が、フルオロポリマーエラストマー、ポリウレタンエラストマー及びシリコーンゴムから選択された材料から形成される、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項13】
弾性変形を受けることが可能な少なくとも1つの構成要素が、圧縮において回復可能に変形するばねからなる、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項14】
弾性変形を受けることが可能な少なくとも1つの構成要素が、前記遠位ピボットカップと前記遠位骨アンカーとの間に位置する、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項15】
弾性変形を受けることが可能な少なくとも1つの構成要素が、前記近位ピボットカップと前記近位骨アンカーとの間に位置する、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項16】
前記ピボットの少なくとも一部が弾性変形を受けることが可能である、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項17】
前記ピボットが少なくとも部分的に加工ばねから成る、請求項16に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項18】
前記遠位ピボットカップの少なくとも一部が弾性変形を受けることが可能である、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項19】
前記遠位ピボットカップが少なくとも部分的に加工ばねから成る、請求項18に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項20】
前記近位ピボットカップの少なくとも一部分が弾性変形を受けることが可能である、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項21】
前記近位ピボットカップが少なくとも部分的に加工ばねから成る、請求項20に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項22】
前記近位ピボットカップが、前記キャビティの遠位端へ長手方向に移動するために、回転する必要なしに前記近位骨アンカーのキャビティの遠位端に対して長手方向に移動するように構成され、前記脊椎運動保持アセンブリは、
前記遠位骨アンカーの近位端から前記近位骨アンカーの遠位端まで延び、人工髄核材料を充填されると人工髄核として機能して、力を線維輪に分散する拡張可能な膜と、
ねじ山付きキャップとを更に備え、該ねじ山付きキャップは、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端と前記近位端との間の体部と、該体部の外面が少なくとも該外面の一部分に対してねじ切りされており、このねじ山が前記近位骨アンカーキャビティの最初のねじ山部分と対応することと、
該ねじ山付きキャップの近位端におけるドライバキャビティとを有し、前記近位骨アンカーの近位端に挿入されるドライバヘッドが該ドライバキャビティ内に係合でき、移植された前記近位骨アンカーに対して該ねじ山付きキャップを回転させ、該ねじ山付きキャップを前記遠位骨アンカーに向かって遠位方向に進め、前記ピボットに対して押圧し、前記近位骨アンカーと前記遠位骨アンカーとの間の長手方向距離を増大させ、人工髄核並びに前記近位骨アンカー上の雄ねじ及び前記遠位骨アンカー上の雄ねじによって担われる共有軸方向圧縮荷重の分散を選択的に変えることとを特徴とする、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項23】
前記ピボットが、
損耗に対して最適化された第一の組の生体力学的特性を有し、遠位端及び近位端を構成する際に用いられる材料と、
耐疲労性に対して最適化された第二の組の生体力学的特性を有し、遠位端と近位端との間のピボット体部を構成する際に用いられる材料とから成る、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項24】
前記遠位骨アンカーの近位端から前記近位骨アンカーの遠位端まで延びる拡張可能な膜を更に備え、該膜は、人工髄核材料を充填されると人工髄核として機能して力を線維輪に分散する、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項25】
前記近位ピボットカップが前記近位骨アンカーとねじ係合するように構成され、運動保持アセンブリが近位及び遠位椎体に移植されるとともに前記拡張可能な膜が硬化した人工髄核材料を充填された後、前記近位骨アンカー内の前記近位ピボットカップの回転を用いて前記ねじ山付き近位ピボットカップを遠位方向へ前記遠位骨アンカーに向けて進めることができ、前記ピボットに対して押圧し、A)人工髄核及び線維輪とB)前記近位骨アンカー上の雄ねじ及び前記遠位骨アンカー上の雄ねじとの間の荷重の分散を選択的に変える、請求項24に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項26】
前記拡張可能な膜が、前記線維輪の少なくとも一部における第一の剛性を有する膜材料と、前記近位椎体の少なくとも一部及び前記遠位椎体の少なくとも一部における第二の剛性を有する膜材料と接触するように構成され、該第一の剛性は該第二の剛性より高く、拡張後、該拡張された膜が該近位椎体及び該遠位椎体の椎体終板に接触するその端部分より、該線維輪に接触するその中央部において外周方向、半径方向により剛性が高くなるように構成される、請求項24に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項27】
前記線維輪に接触し、拡張後に前記拡張された膜の少なくとも一部を取り囲むエラストマーカラーを更に含む、請求項24に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項28】
前記椎間板腔に配置される大量の人工髄核材料を更に含む、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項29】
前記脊椎運動セグメントが、前記遠位椎体と前記近位椎体との間に椎間板腔を含み、前記脊椎運動保持アセンブリが、該椎間板腔の表面に等角接触する遮断−密封材料からなる層を更に含む、請求項28に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項30】
前記遠位骨アンカーの近位端及び前記近位骨アンカーの遠位端に対して結合された軟質性中間部を更に含み、前記アセンブリの長手方向軸に沿った前記近位椎体に対する前記遠位椎体の一定範囲の運動が、該軟質性中間部の形状の可逆性変化を生じさせる、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項31】
前記軟質性中間部が、前記近位骨アンカーを前記遠位骨アンカーに対して結合する螺旋ばねである、請求項30に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項32】
前記螺旋ばねが単一の部材片から製造される、請求項31に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項33】
前記近位骨アンカーの遠位端と前記遠位骨アンカーの近位端との間に密封容積を提供する拡張可能な軟質性膜を更に含む、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項34】
前記拡張可能な軟質性膜に配置され、且つ前記拡張可能な軟質性膜を椎間板腔へ拡張させる人工髄核材料を更に含む、請求項33に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項35】
前記拡張可能な軟質性膜が人工髄核材料によって拡張され、前記椎間板腔を満たし、遠位椎体、近位椎体及び線維輪に適合可能に接触する、請求項34に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項36】
前記遠位ピボットカップが、前記遠位骨アンカーの内部におけるキャビティの少なくとも一部における一組の雌ねじと対応する一組の雄ねじを有する、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項37】
前記遠位骨アンカーにおけるキャビティが整合スロットを有し、前記近位骨アンカーにおけるキャビティが整合スロットを有し、前記遠位骨アンカー及び前記近位骨アンカーが、該遠位骨アンカーの該近位骨アンカーに対する相対位置を維持するドライバによって前記脊椎運動セグメント内へ軸方向に進められ得る、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項38】
前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山の大径が、前記近位骨アンカーの外部における一組のねじ山の大径と実質的に同等であり、
前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山のピッチが、前記近位骨アンカーの外部における一組のねじ山のピッチと同等であり、
前記遠位骨アンカーの外部におけるねじ山の巻きが、前記近位骨アンカーにおける一組のねじ山と同等であり、
前記遠位骨アンカー及び前記近位骨アンカーにおける整合スロットが、前記近位骨アンカーの適時送達を支援し、前記近位骨アンカーにおける一組のねじ山の開始部が、近位椎体内へ進んで、前記遠位骨アンカーの外部における一組のねじ山によって近位椎体に切削されたねじ路に進入する、請求項37に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項39】
前記遠位骨アンカーがドライバアセンブリ係合手段を有し、前記近位骨アンカーがドライバアセンブリ係合手段を有し、該遠位骨アンカー及び近位骨アンカーがドライバアセンブリに保持され、該ドライバアセンブリが該遠位骨アンカーの該近位骨アンカーに対する相対位置を維持するため、前記ドライバアセンブリに保持された状態でこれら両骨アンカーが前記脊椎運動セグメント内へ軸方向に進められ得て、前記近位骨アンカーが、適時送達によって近位椎体に提供され、前記遠位椎骨アンカーの通過によって事前に切削された近位椎体における螺旋ねじ路に係合する、請求項1に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項40】
脊椎運動セグメントにおける使用に適した脊椎運動保持アセンブリであって、
遠位骨アンカーと、該遠位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該近位端からアクセス可能な該遠位骨アンカーの内部にあって、対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、前記遠位骨アンカーの外部にあって、前記運動セグメントにおける遠位椎体に係合するように適合されたねじ山とを含むことと、
遠位端と、近位端と、これらの間の中間部とを含むピボットと、
遠位ピボットカップと、該遠位ピボットカップは、該遠位骨アンカーの内部におけるキャビティの一部に対応する外部と、該ピボットの遠位端を収容するための該遠位ピボットカップの近位端におけるキャビティとを含むことと、
近位骨アンカーと、該近位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該遠位端から該近位端まで該近位骨アンカーの内部を貫通し、且つ対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、該運動セグメントにおける近位椎体に係合するように構成された近位骨アンカーの外部における一組のねじ山とを含むことと、
該遠位骨アンカーの近位端から該近位骨アンカーの遠位端まで延びて、人工髄核材料を充填されると人工髄核として機能して力を線維輪に分散する拡張可能な膜と、
近位ピボットカップと、該近位ピボットカップは、遠位端と、近位端と、該ピボットの近位端を収容するための該近位ピボットカップの遠位端におけるキャビティとを含むことと、
該遠位骨アンカーと該近位骨アンカーとの間に位置し、弾性変形可能な少なくとも1つの構成要素と含むこととを特徴とする、脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項41】
脊椎運動セグメントにおける使用に適した脊椎運動保持アセンブリであって、
遠位骨アンカーと、該遠位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該近位端からアクセス可能な該遠位骨アンカーの内部にあって、対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、該遠位骨アンカーの外部において、前記運動セグメントにおける遠位椎体に係合するように適合されたねじ山とを含むことと、
遠位端と、近位端と、これらの間の中間部とを含むピボットと、
遠位ピボットカップと、該遠位ピボットカップは、該遠位骨アンカーの内部におけるキャビティの一部に対応する外部と、該ピボットの遠位端を収容するための該遠位ピボットカップの近位端におけるキャビティとを含むことと、
近位骨アンカーと、該近位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該遠位端から該近位端まで該近位骨アンカーの内部を貫通し、対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、近位骨アンカーの外部にあって、運動セグメントの近位椎体に係合するように構成された一組のねじ山とを含むことと、
近位ピボットカップと、該近位ピボットカップは、遠位端と、近位端と、該ピボットの近位端を収容するための該近位ピボットカップの遠位端におけるキャビティとを含むこととを特徴とする、脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項42】
前記遠位ピボットカップが、前記遠位骨アンカーの内部のキャビティの少なくとも一部において一組の雌ねじと対応する一組の雄ねじを有する、請求項41に記載の脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項43】
脊椎運動セグメントにおける使用に適した脊椎運動保持アセンブリであって、
遠位骨アンカーと、該遠位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該近位端からアクセス可能な該遠位骨アンカーの内部にあって、対応するドライバヘッドの収容に適し、ピボットの遠位端を収容するように構成され、該ピボットの遠位端に対して支持面として機能するキャビティと、該遠位骨アンカーの外部にあって、該運動セグメントの遠位椎体に係合するように構成された一組のねじ山とを含むことと、
遠位端と、近位端と、これらの間の中間部とを含むピボットと、
近位骨アンカーと、該近位骨アンカーは、遠位端と、近位端と、該遠位端から該近位端まで該近位骨アンカーの内部を貫通して、対応するドライバヘッドの収容に適したキャビティと、該近位骨アンカーの外部にあって、該運動セグメントの近位椎体に係合するように構成された一組のねじ山とを含むことと、
近位ピボットカップと、該近位ピボットカップは、遠位端と、近位端と、該ピボットの近位端を収容するための該近位ピボットカップの遠位端におけるキャビティとを含むことと、
該遠位骨アンカーと該近位骨アンカーとの間に位置し、圧縮時に弾性変形可能な少なくとも1つの構成要素とを含むこととを特徴とする、脊椎運動保持アセンブリ。
【請求項44】
脊椎内の運動セグメントに動的安定化を付与するための脊椎運動安定化アセンブリであって、
遠位移植デバイスアセンブリと、
近位移植デバイスアセンブリと、
該遠位移植デバイスアセンブリにおける支持面との非拘束ピボット接触を通じて該遠位移植デバイスアセンブリと接触し、また、該近位移植デバイスアセンブリにおける支持面との非拘束ピボット接触を通じて該近位移植デバイスアセンブリと接触するデュアルピボットと、
該デュアルピボットの少なくとも一部を取り囲む人工髄核とを含む、脊椎運動安定化アセンブリ。
【請求項45】
移植された脊椎運動安定化アセンブリを有する脊椎運動セグメントが、屈曲、伸長、右側への横方向の曲げ、左側への横方向の曲げ、右回りの軸回転及び左回りの軸回転において運動することが可能である、請求項44に記載の脊椎運動安定化アセンブリ。
【請求項46】
移植された脊椎運動安定化アセンブリを有する運動セグメントが、約12°の屈曲、約8°の伸長、約9°の右側への横曲げ、約9°の左側への横曲げ、約2°の右回りの軸回転及び約2°の左回りの軸回転にて運動することが可能である、請求項45に記載の脊椎運動安定化アセンブリ。
【請求項47】
前記運動セグメントが上位椎体及び下位椎体を含み、該上位椎体が、前方向/後方向、右横方向/左横方向において該下位椎体に対して平行移動することが可能であるとともに、前記脊椎動安定化アセンブリの少なくとも1つの構成要素の弾性変形及び弾性回復から生じる平行移動が可能である、請求項44に記載の脊椎運動安定化アセンブリ。
【請求項48】
前記近位移植デバイスアセンブリが、前記脊椎運動安定化アセンブリの組立中に印加されるトルクに応答し、該近位移植デバイスアセンブリ内の支持面を前記遠位移植デバイスアセンブリ方向に移動させるように構成され、A)人工髄核及び線維輪とB)近位椎体に係合した該近位移植デバイスアセンブリ上の雄ねじ及び該遠位デバイスアセンブリ上の雄ねじ及び遠位椎体との間の荷重の分散を選択的に変える、請求項44に記載の脊椎運動安定化アセンブリ。
【請求項49】
軸方向経仙骨アプローチによってアクセスされる運動セグメントに脊椎運動保持アセンブリを配置する方法であって、移植される脊椎運動保持アセンブリが、両方とも雄ねじを有する遠位構成要素及び近位構成要素と、該遠位構成要素と該近位構成要素との間に延びて、該遠位構成要素及び該近位構成要素内のデュアルピボット端部による非拘束係合に適したピボットを含む移植サブアセンブリと、人工髄核材料により拡張される拡張可能な膜とを含み、
該遠位構成要素及び該近位構成要素を同時に配置し、該遠位構成要素を遠位椎体に係合し、該近位構成要素を近位椎体に係合すると同時に、該遠位構成要素と該近位構成要素との間の所定の分離距離を維持し、該近位椎体に切削されるねじ山路を交差ねじ切りしないドライバを回転させる工程と、
該ピボットの遠位端を該遠位移植デバイスアセンブリの近位端に挿入する工程と、
該近位移植デバイスアセンブリの一部を選択的に進め、該ピボットを該遠位移植デバイスアセンブリに対して押圧し、A)人工髄核とB)該近位構成要素上の雄ねじ及び該遠位構成要素上の雄ねじとの間の荷重の分散を変える工程とを含む方法。
【請求項50】
前記遠位構成要素を、圧縮荷重下で弾性変形するように構成された少なくとも1つの構成要素に係合させる工程を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記近位構成要素を、圧縮荷重下で弾性的に変形するように構成された少なくとも1つの構成要素に係合させる工程を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記遠位構成要素を、圧縮荷重下で弾性的に変形するように適合された少なくとも1つの構成要素に係合する工程を更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
脊椎における運動セグメントに動的安定化を付与する方法であって、
経仙骨アプローチにより形成された軸方向チャネルによって該運動セグメントに、一対の非拘束枢着点及び弾性変形可能な少なくとも1つの構成要素を有する脊椎運動安定化アセンブリを配置し、該運動セグメントが該脊椎運動安定化アセンブリを収容した後、6自由度すべてにおいて正常範囲の運動を可能にする運動を受けることを可能にする工程を含む方法。
【請求項54】
人工髄核材料により前記脊椎運動安定化アセンブリに対して結合した膜を拡張させ、人工髄核を形成する工程と、
人工髄核と前記運動セグメントの上端及び下端における椎体に係合した前記脊椎運動安定化アセンブリ上の一組のねじ山との間の荷重を選択的に変動させる工程とを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記運動セグメントの伸延後、且つディストラクタ/インジェクタツールの除去前に、該ディストラクタ/インジェクタツールを介して人工髄核材料が前記膜に提供される、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【公表番号】特表2008−517672(P2008−517672A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538174(P2007−538174)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/038444
【国際公開番号】WO2006/047541
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507132190)トランス1 インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】TRANS1 INC.
【Fターム(参考)】