説明

脊髄の椎間板内障害の治療の方法

椎間板の治療の方法は、生体適合性充填剤を椎間板に挿入し損傷を治療することを含み得る発明を含むことができる。該生体適合性充填剤は、多量の微小粒子を有する。充填剤は、損傷の封着、椎間板の圧力の増大、椎間板の厚さの増大、椎間板の安定性の改善および椎間板の構造的統合性の改善の少なくとも1つをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に外科用インプラントに関し、および、より詳細には、異物形成性椎間板インプラントおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
椎間板(spinal disk)は、髄核と呼ばれる中心の領域およびそれを取り囲む線維輪として知られる第2の領域から成る。線維輪部分はコラーゲン線維から成っており、もろくなる、破れる、または裂けることで、髄核を環状に閉じ込める機能を損ない、椎間板の膨張、ヘルニア形成およびその他の椎間板に関する病状を生じさせる。
【0003】
持続性でしばしば身体の自由が奪われる背痛の主な原因は、椎間板の線維輪の破裂、椎間板の慢性的炎症(例えば、ヘルニア形成)、または、例えば変性疾患が原因でしばしば起こる不安定性といった、所定の椎間板を取り囲む椎体の不安定性である。椎間板は、主に椎骨のクッションとなりおよびそれらをつなぎ留める機能を有しており、患者の脊椎に柔軟性および安定性をもたらす。機能的に言うと、椎間板は、中心の静水学的クッションとなる髄核、それを取り囲む多層の靱帯(ligament)を含む繊維輪から成る。椎間板が変質すると、それらは、例えば、水分の内容物および厚さ(height)を失い、脊椎が密に詰まった状態になる可能性がある。この現象は、椎間板の有する衝撃吸収の特性の弱体化をもたらし、および脊椎側面の神経が出てくる開口部分を狭め、神経を締めつける可能性をもたらす。この椎間板の変質は、最終的に、背中や脚の痛みを引き起こしうる。椎間板の変性によるまたは椎間板の損傷による繊維輪の脆弱性により、椎間板腔の髄核の断片の脊椎管への移動が起こりうる。このような髄核の移動、または、例えばヘルニア形成といった線維輪の突出は、脊髄神経に影響を及ぼす。髄核または損傷を受けた線維輪が神経に非常に近接していると、神経に直接圧力が加わり、それによって脚の筋肉のしびれおよび脱力感が生じうる。
【0004】
人口の約80%が、人生の長い時間、背中の傷害に苦しんでおり、背痛の治療について医者の診察を必要としていると見積もられている。これらの背中の傷害の大部分は、椎間板の突出またはヘルニア形成に関係しており、より小さな割合が、椎間板内の障害(internal disk derangement)に関係している。
【0005】
しばしば、椎間板の突出またはヘルニア形成による炎症は、非外科的手段、例えば、休息、治療学的運動、抗炎症剤の経口投与またはコルチコステロイドの硬膜外注射によって治療を成功させることができる。ある場合には、椎間板組織が回復不可能なほど障害を受けており、それゆえ、椎間板の一部または全体を除去し、炎症および圧力の原因を消す必要がある。現在、切開を伴って行われる方法は、微小椎間板切除術(microdiskectomy)と呼ばれ、腰椎に正中線の小さな切れ目を入れ、椎弓板(lamina)まで切開する方法である。その後、椎弓板に鍵穴脊椎弓切開術(keyhole laminotomy)を施し、黄色靭帯を除去する。これが一旦行われると、cal嚢(cal sac)および神経根が対側(contralateral side)に収縮し、その結果椎間板腔が露出する。椎間板の位置の確認のため、手術中に側面からX線検査を行うことができ、ヘルニア形成の直接的な視覚化を記録することができる。典型的に、15枚刃(15-blade)が環状切除術(annulotomy)に使用され、その後ヘルニア形成した断片の除去が行われる。ある場合には、これで椎間板切除術が完了し、また別の場合には、外科医が実際に下垂体骨鉗子(pituitary rongeur)または環状掻爬器を椎間板腔に入れ椎間板の物質をさらに除去し、部分的な椎間板切除術が行われる。手術の結果、障害となっていた椎間板の断片は除去され、それにより様々な大きさの環状の損傷(defect)が生じる。この損傷は、0.5 mm x 0.5 mm程度まで小さい場合もあり、10 mm x 15 mm程度まで大きい場合もある。典型的に、環状切除術では、しかしながら、約5 mm x 5 mmの大きさである。現在の多くの技術では、椎間板のヘルニア形成の再発を防ぐ目的で、外科用充填物またはその他の物質で椎間板腔を埋めることが行われていない。
【0006】
伝統的な外傷性脊髄手術の不利な点を克服するため、最小限に侵襲的な脊髄手術が開発された。例えば、内視鏡脊髄手術法は、切開脊髄手術法よりも侵襲的でない。内視鏡手術法では、脊柱管を侵襲せず、それゆえ瘢痕の形成を伴う硬膜外の出血を最小化または回避できる。加えて、靭帯および骨の除去による不安定性のリスクは、切開手術よりも内視鏡手術のほうが一般的に低い。さらに、より迅速なリハビリテーションが、より早い回復および仕事への復帰を促進する。脊髄疾患および障害の治療のための、最小限に侵襲的な技術には、椎間板造影術、化学的髄核分解、レーザー技術および機械的技術が含まれる。これらの手法は一般に、外科用器具、インプラント等を挿入するために、外科医は、患者の身体の表面から椎間板まで導管(passage)または手術用通路(operating corridor)を形成する必要がある。典型的に、この手術用通路の形成には、手術(例えば、腹腔鏡検査、胸腔鏡検査、関節鏡検査、背中等)に依存して、柔組織、筋肉またはその他の組織の除去が必要となる。ひとたび手術用通路が作られれば、神経根が収縮し、椎間板の一部または全体を除去できる。除去に続いて、典型的な技術では、環状の損傷または開口部分を効率的におよび有効に治療し、例えば将来的な核のヘルニア形成といった合併症の再発の可能性を最小化するために、環状の封着またはその他の手段は実行されない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一側面に従って、本方法は、線維輪に裂け目または亀裂の入った、無脊椎の椎間板(invertebrate spinal disks)の治療および封着のために提供される。
【0008】
一実施態様において、椎間板の治療の方法は、椎間板に薬剤を送達することを含み、該薬剤は、多数の微小粒子を含む。
【0009】
別の実施態様において、医療用キットは、微小粒子を含む薬剤、および少なくとも1つの椎間板を修復するために構成される1以上の外科用器具を含む。
【0010】
別の実施態様において、インプラント剤は、椎間板の構造的統合性の修復および/または改善にて使用するため、多数の微小粒子を含む。
【0011】
加えて、椎間板の治療の方法は、多数の粒子を椎間板の内部に挿入することを含む。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本出願に記載される、何れかの特徴または特徴の組み合わせも、何れかのそのような組み合わせに含まれる特徴が、前後関係、この記述、および当業者の知識から明らかであるように相互に相反しない限り、本発明の範囲に含まれる。加えて、何れかの特徴または特徴の組み合わせは、本発明の何れかの実施態様から特に除外されてよい。本発明、特定の側面を要約する目的のため、本発明の利点および新規の特徴がここに記載される。もちろん、必ずしも、全てのそのような側面、利点または特徴が、本発明による何れかの特定の実施態様において具現化されるわけではないことが理解されるだろう。
【0013】
本出願の開示に関して、便宜的および理解の助けという目的のためだけに、頂部(top)、底部(bottom)、左(left)、右(right)、上(up)、下(down)、上級(upper)、下級(lower)、超えて(over)、上に(above)、低く(below)、下に(beneath)、後ろに(rear)、および前に(front)といった、方向を示す用語を使用してよい。そのような方向を示す用語は、何れの様式においても、本発明の範囲を限定するよう解釈するべきでない。本出願で示される実施態様は、例示のためであって、限定のためでないと理解されるべきである。以下の詳細な説明の意図は、例示的な実施態様を論じるものの、実施態様の全ての修飾物、代替物、および均等物を包含するよう理解されるべきであり、本発明の精神および範囲で入ってよい。
【0014】
本発明は、椎間板内またはその表面の損傷(defects)の選択的な治療のための組成物および方法を提供する。これらの方法は、ヘルニアを起こした椎間板の治療のための椎弓切除術/椎間板切除術、腰仙および頚椎における狭窄症のための除圧椎弓切除術、中央の脊椎関節突起切除術(medial facetectomy)、後部腰仙(posterior lumbosacral)および頚椎の固定術、椎骨疾患と関連のある脊柱側弯症の治療、神経根の圧迫を軽減するため椎間孔の天蓋を取り除く椎間孔天蓋切除術、ならびに前頚椎および腰椎の椎間板切除術を含む。これらの方法は、切開手術(例えば、脊椎弓切開術、椎弓切除術、半側脊椎弓切開術および半側椎弓切除術)によって、または、(例えば、椎間板に対して、後側、後外側、外側、前側または前外側から経皮的に行われる)胸腔鏡検査、関節鏡検査、腹腔鏡検査、椎間板造影術といった最小限の侵襲性技術等を用いて行われてよい。
【0015】
本発明による生体適合性異物形成性インプラントの実施の1つによると、椎間板内障害(internal disk derangement)または環状の亀裂として知られる障害は、時折、磁気共鳴映像法(MRI)を用いて検出できるが、ある場合には、より容易に、コンピュータ断層撮影(CT) 椎間板造影術を用いて識別してよい。これらの環状の亀裂または切れ目は、持続的な背痛をもたらし、最終的に、明白なヘルニア形成および/または腰椎部分の不安定性を引き起こす。MRIで確認してよいそのような変化は、時折、誘発性(provocative) CT椎間板造影術にてさらに調べられ、環状の切れ目の位置が明らかにされる。IDET(椎間板内高周波熱凝固法(intradiscal electrothermal annuloplasty))および核形成術といった方法は、より広く用いられている。この文脈において、本出願に記載される生体適合性異物形成性インプラントの使用は、椎間板の表裏から環状の切れ目の封着またはその他の治療を促進するために、介入する放射線科医、麻酔科医、物理療法医または外科医によって、前記インプラントを挿入することを必然的に伴うことができる。
【0016】
本発明による一側面に従って、生体適合性異物形成性インプラントが、椎間板の線維輪における切れ目といった、椎間板の切れ目またはその他の損傷もしくは症状を封着するために提供される。生体適合性異物形成性インプラントは、破裂した椎間板に挿入することができ、髄核および/または線維輪の一部を埋め、封着することができる。実施の1つにおいて、生体適合性異物形成性インプラントは、破裂した椎間板の中心領域に挿入される。ある側面に従って、生体適合性異物形成性インプラントは、微小椎間板切除術後の髄核に挿入され、外科医が作った医原性の裂け目または環状切開を閉じ、それによってヘルニア形成の再発のリスクを最小化する。また、生体適合性異物形成性インプラントは、例えば椎間板造影術後に、1以上の環状の切れ目を封着するために、椎間板の中央に注射可能な密閉剤として投与される。
【0017】
本発明を用いてそのような切れ目または損傷が治療されるという点で、椎間板のヘルニア形成の再発および修正手術の必要の発生というリスクを小さくするまたは無くすことができる。そのような修正は、典型的に、わずかに大きな切開、大規模な骨の切除、瘢痕組織の除去、より困難な収縮、出血の増大、麻酔時間の増大、および神経根の破壊のリスクまたは硬膜もしくは根鞘(root sleeves)を損傷し脳脊髄液(CSF)の漏出に至る可能性の増大、瘻孔、感染症等を必然的に伴う。修正手術の必要性を最小化した結果、手術結果を改善することができ、同程度の手術の繰り返しの必要性を減少することができる。
【0018】
さらに、例えば、固定(fusion)を予定している部位の上または下にある近傍部位を範囲に含める必要があるかどうかを確認するための誘発性(provocative) 椎間板造影術の使用の増加とともに、使用者は、固定範囲がその近傍部位へ拡大するのを最小化するため、生体適合性異物形成性インプラントを注入することができる。従来の方法を用いて、例えば、不安定な運動を行う部位を固定することが予定されており、手術前の誘発性椎間板造影術によって近傍部位(例えば、近傍の骨髄椎間板)も症候を示すことが判明した場合、そのレベルは固定の範囲に含まれるだろう。しかしながら、本発明の側面によると、本発明による生体適合性異物形成性インプラントは、環状の切れ目の封着を助けるために、手術に先立って近傍部位に注入することができる。実施の一つとして、本発明による生体適合性異物形成性インプラントは、手術前の誘発性椎間板造影術の間に近傍部位に注入することができる。結果として、本発明による生体適合性異物形成性インプラントの使用は、微小椎間板切除術(microdiscectomy)または切開椎間板切除術(open diskectomy procedures)に限定されず、しかしまた、切開を伴わない方法(closed procedures)においても使用できる。そのような切開を伴わない方法では、例えば画像診断検査によって、調和性の痛み(concordant pain)を再びもたらす環状の切れ目または裂け目の存在が確認される。本発明の実施の1つによると、生体適合性異物形成性インプラントの導入は、無症候性でない環状の切れ目および調和性の痛みをもたらさない環状の切れ目に特に適してよい。
【0019】
生体適合性異物形成性インプラントの移植が、切開を伴わない方法にて行われる場合、後方の正中線(posterior midline)もしくは後外側(posterolateral)からのやり方、または直接の側面(lateral)からのやり方によって達成できる。切開による方法にて行われる場合、生体適合性異物形成性インプラントの移植は、後方の正中線からのやり方、後外側からのやり方、前側(anterior)、前外側(anterolateral)または直接の側面からのやり方によって達成できる。それゆえ、前側からのやり方を前側の椎間板切除術のみに使用する場合、本発明による生体適合性異物形成性インプラントは、例えば障害となる椎間板の断片が除去された後に、髄核の空間に注射器および針を用いて注入することができる。ある移植において、材料は、例えば、商業的に知られる標準的な経皮的針および標準的なカテーテルチップといった、変更可能な長さおよび直径を有した柔軟なカテーテルによって導入することができる。例えば椎弓切除術または微小椎間板切除術が行われている典型的な切開による方法では、3または4”の針を付けた25ゲージの注射器といった注射器を用いて、本発明に従って使用される生体適合性異物形成性インプラントを注入することが、より容易であってよい。
【0020】
本発明の一側面によると、本発明による生体適合性異物形成性インプラントの成熟は、付加的な、または少なくとも部分的な、安定化を線維輪に次第にもたらすことができ、その後、関係する作動部位に付加的な支持性を提供する。生体力学におけるこの変化は、この作動部位に対する安定性における部分的増加に言い換えられる。環状の切れ目の存在は、一般に、作動部位の支持構造の脆弱化を引き起こしうる。本発明による生体適合性異物形成性インプラントで椎間板の髄核を治療することにより、一定の実施において、核の材料の最大量が中心に位置するようにでき、および/または、周囲の環状の線維の統合性を増加させることができる。
【0021】
本発明による生体適合性異物形成性インプラントは、好ましくは多量の微小粒子を含み、典型的な実施態様において固体の微小粒子を含むことができる。実施の改変した例において、微小粒子は、中空またはた多孔性微小粒子を含んだ実施といったように、全体的に固体でなくもよい。本出願で使用されるような「微小粒子」という用語は、500μm以下の平均直径を有する微小粒子(例えば、粉剤または散剤の形態)を指す。典型的に、平均直径は、約20μmよりも大きく、単球が「食べる」にはあまりに大きなサイズであるだろう。微小粒子は、リンパ系またはその他の組織系によって移植部位から排除されないために十分な直径を有すことができる。微小粒子が球形でない場合、本出願で使用する直径とは、最も小さな横断面積を示す最も大きな直径を指す。しかしながら、4から5μmまたは5から10μmの範囲の直径を有する、より小さな微小粒子を使用することも可能である。典型的に、微小粒子は、約200μm未満の平均直径を有するだろう。典型的な実施態様において、微小粒子は、約15から約200μmの平均直径を有すことができ、一定の実施においては約15から約60μmの平均直径を有すことができる。一定の構成において、微小粒子は、微細なゲージのカニューレ(例えば、25ゲージ)または注射器を用いて目的の椎間板領域まで注入できる程度に十分小さい直径である。本出願にて特定した直径を有する粒子は、周辺の組織、つまりcal嚢(cal sac)の硬膜または神経根鞘(nerve root sleeves)に対する影響が相対的に最小であってよい。
【0022】
使用する微小粒子の、生物的特徴をそなえた(formed)表面およびサイズのため、内在性のマクロファージから異物と認識されず、そのため防衛的な応答が起こらない。典型的な実施態様によると、微小粒子は球形または球に似た形を有し、それらが移植される部位で厳密に充填された配列を形成することができ、さらに瘢痕組織によって個々に被包され得る。
【0023】
従来の誘発性(provocative)CT椎間板造影術の間に、開放状態における椎間板の圧力(opening spinal-disk pressures)がしばしば測定される。椎間板造影術、または何れかの上述した方法と関連して、本発明の一定の側面に従って、生体適合性異物形成性インプラントの椎間板の髄核への導入、および、おそらくは髄核の中心領域への導入によって、開放状態における椎間板の圧力を大きく変化させることができ、これにより、例えば、椎間板の少なくとも一部の封着を内側から外側へ向けて行うことができる。
【0024】
生体適合性異物形成性インプラントの椎間板への移植の結果、例えば、実施の1つとして、髄核を移植の位置(例えば、髄核の中間、または、より好ましくは、ある実施態様において、髄核の中心領域)から例えば線維輪の損傷の方向へとずらすことによって、線維輪の損傷に封着または閉塞(occlusion)を形成することができ、これにより、髄核は線維輪の近傍にずれ、従って、少なくとも1つの椎間板の性質または損傷を強めるか、あるいはその逆にそれらに悪影響を及ぼす。本発明の別の実施において、例えば、生体適合性異物形成性インプラントを、線維輪の損傷の直接近傍にてまたはすぐ近傍にて髄核に導入することにより、線維輪の損傷に封着または閉塞を形成することができ、これにより、少なくとも1つの椎間板の性質または損傷を増強するか、あるいはその逆にそれらに悪影響を及ぼす。例えば、生体適合性異物形成性インプラントが、切開しない様式または切開する様式のどちらかで注入または挿入された場合、および生体適合性異物形成性インプラントの十分な配分が、中央に配置された(および/または凝固もしくは成熟が起きた)場合、核の支持性の増大は、環状の統合性の増大だけでなく、例えば、核の安定性の増大の発生を、結果として起こすことができる。
【0025】
典型的な実施態様においてPMMA球形ビーズを含んでよい微小粒子は、椎間板腔に挿入された後、結合組織の繊細なカプセルによって包まれてよく、および/または、結合組織または線維に包埋され、組織中に定常的にとどまる。本出願に記載される懸濁剤の使用は必須ではない。というのは、微小粒子は、懸濁剤なしでも、体内に挿入(例えば、配置(placed))または注入することができるからである。
【0026】
一度髄核内に配置されると、生体適合性異物形成性インプラントは、少なくとも1つの椎間板の生理学的構造の特徴を模倣してよく、またはそれらの代わりとなってよい。例えば、生体適合性異物形成性インプラントは、椎間板を模倣してよく、および部分的な人工椎間板として機能してよくまたは部分的な人工髄核として機能してよい。従って、椎間板造影像(disco gram)の形態が、生体適合性異物形成性インプラントの移植に続いて、改善されてよい。例えば、生体適合性異物形成性インプラントの微小粒子の蓄積および/または髄核内での微小粒子周辺における瘢痕組織の蓄積は、椎間板内部および/または線維輪の外側部分に、特定の物理的安定性を付与することができる。密閉剤(すなわち、生体適合性異物形成性インプラント)が成熟した後(例えば、移植の微小粒子周辺の持続性の瘢痕組織の形成によって、宿主の組織に取りこまれた後)の試験は、髄核の圧力の勾配の増大をもたらすことができる。また、椎間板腔の厚さ(height)におけるわずかな増大は、注入された生体適合性異物形成性インプラントの量に比例して達成されてよい。該生体適合性異物形成性インプラントの量は、椎間板ごとに変化してよいが、典型的な実施態様において、約3から4立方センチメーター(ccs)を超えず、典型的に、約0.5から1.5 ccsの範囲内である。注入の間、椎間板から針を取り出す際、椎間板の外表面から約3から5mm以内に針の先端があるときに、注射器のプランジャーは圧力を開放しておく方法が都合がよい。
【0027】
典型的な実施態様においてPMMAの球体ビーズを含んでよい微小粒子の成熟に関して、PMMAビーズのサイズおよび物理的安定性のために、それらは、食作用により捕食または溶解されない状態でいることができる。異物を単離するために、動物の身体は、瘢痕組織の形態にて、線維的にのみ異物を取り囲むことができる。そのような工程は、動物の身体が破壊することができない、何れかの異物のほとんどに対して生じる。生体適合性異物形成性インプラントの導入および(適用可能であれば)椎間板の一部の何れかの除去の前に、またはそれらと実質的に同時に、脊椎の端板(vertebra end plates)の上および下に付着した環状の線維は、例えば、端板の縁から点状の出血を生じさせるために、最小限に切除できる。
【0028】
現在の範囲内で、結合組織の線維の成長は、注入用カニューレによって起こされた組織の破壊、および微小粒子の存在に対する、自然な反応である。繊維性の反応は、微小粒子(例えば、PMMAビーズ)の滑らかで化学的に不活性な表面のために、生体適合性異物形成性インプラントの注入後3から6月の間生じてよい。それ以降、ビーズは反応することなく組織中に存在し、持続性の血管結合組織(fibrovascular connective tissue)の形成および存在をもたらす。
【0029】
生体適合性異物形成性インプラントは、実施の1つにおいて、散剤の形態において、組織適合性の固体を含む。固体を形成する微小粒子は、懸濁剤に取り込んでよく、例えば、望ましい椎間板のレベルで注射針を用いて注入してよい。
【0030】
本発明の実施態様によって使用される微小粒子に、滑らかな表面をもたせ角や縁を除き、微小粒子が表面に鋭い変わり目(transitions)を持たないようにすることは都合がよい。加えて、何れかの頂点または先細りした突起を持たないようにしてよい。実施の1つによると、表面は、細孔をもたない。別の実施において、表面は細孔を含んでよい。滑らかで、特に球形の粒子が都合よいが、ある実施態様において、角または頂点等を有した滑らかでない微小粒子もなお、本発明による椎間板の治療の適用に使用されてよい。
【0031】
多くの都合の良い実施態様において、本発明に従って使用される微小粒子の1つの外表面から別の外表面への変わり目が、連続的な様式で生じる。そのような変わり目が存在する場合、立方体の縁の場合と同様に、そのような変わり目を平滑化してよい。本発明の実施態様によると、結晶性(例えば針状)の微小粒子、より大きな単位から小さな断片へと機械的に分解して得られた微小粒子は、微小粒子が上述したような鋭い縁および角を持つ限り、使用されない。滑らかな表面構造のために、細胞およびその他の組織の構造への損傷は最小化される。加えて、単球の反応または顆粒の形成といった、組織の反応を引き起こす危険性が最小化される。
【0032】
実施の1つにおいて、動力学的に平均のとれた微小粒子、および特に楕円形または球形を有する微小粒子を使用することができる。加えて、全ての微小粒子が、または別の実施態様において大多数の微小粒子が、滑らかなおよび滑らかにされた(smoothed-off)表面を有す場合、異なる幾何学的形態の微小粒子を使用することが可能である。
【0033】
本発明の典型的な実施態様に従って使用される微小粒子の、不活性で組織適合性の材料は、滑らかなおよび/または滑らかにされた(smoothed-off)表面を有したプレキシガラスビーズまたはプレキシガラスペレットの形態で存在する、プレキシガラス(または「骨セメント(bone cement)」)を含むことができる。本発明の典型的な実施に従って使用される微小粒子は、ポリマーを含むことができ、特に、毒性を示しまたは癌を引きおこす可能性のあるモノマーが残らないよう、完全に硬化され(cured)および十分重合されたポリマーが、治療される患者の体内へ取り込まれる。
【0034】
原則として、本発明に従って使用される微小粒子の作製のために、何れかの不活性で組織適合性のポリマーを使用することが可能である。実施態様の改変例として、全体的にまたは部分的に、非ポリマーの微小粒子を含んでよい。典型的な実施態様において、インプラントは、アーテコール(Artecoll)(登録商標)という名で記載され、www.artecoll.comおよびwww.canderm.comにて入手可能な1以上のインプラントを含む。典型的な実施態様はまた、米国特許第5,344,452号に記載されている。
【0035】
インプラント材料は、例えば、直径が約32から40μmのサイズの範囲であって、メタクリル酸メチルモノマーの不純物のレベルが低い、実質的に滑らかで球体のPMMAビーズを約20%含んでよい。残りの80%は、部分的に変性したコラーゲンの溶液を含んでよく、該コラーゲンは、水および/またはアルコールの溶液中に含まれる約3.5%のコラーゲンであってよい。一実施態様において、インプラント材料1 cc当り、約600万の粒子が存在する。
【0036】
十分に重合化したPMMAは、生体適合性であり、有害な毒性または発癌性の反応がなく、人体に取り込むことができ、化学的および物理的に不活性で生体適合性であるとみなすことができる。このような理由のため、PMMAポリマーはすでに、顔面および頭蓋における骨損傷の人工的被覆または臀部全体もしくは膝全体の関節形成術のための骨セメント(bone cement)といったインプラント製品として使用されてきた。ポリマーはまた、人工歯、人工心臓弁の製品として、ならびに眼球内レンズおよび透析膜の製品として使用されている。
【0037】
本発明に従って椎間板のインプラントとして使用される微小粒子またはポリマー微小粒子を注入するため、微小粒子は、懸濁剤中で形成することができる。それ自体が既知のゲル、および体内で分解されるゲル、例えば、ゼラチンまたは、好ましくは、コラーゲンを基礎とするゲルを、懸濁剤として使用することができる。本発明の実施の1つに従って使用される懸濁剤は、ツイーンad (Tween ad)といったテンシデ(tenside)を含むことができる。というのは、そのようなテンシデ(tenside)は、水の表面張力を変更し、微小粒子が、および特別な実施態様においてポリマー微小粒子が、より均一な分布をとるためである。
【0038】
懸濁剤の構成成分の混合の割合は、必要に応じて選択することができ、特に注入に使用する注射器のサイズに応じて選択できる。本発明の一実施態様に従って使用される微小粒子の使用または注入のために、微小粒子は液体の不活性な溶液に懸濁させるまたはそのような溶液中でスラリー(slurry)とすることができる。特別な実施の1つにおいて、懸濁剤の体積と微小粒子またはポリマー微小粒子の体積が2対1という割合が選択される。
【0039】
そのうえ、組織促進(tissue-promoting)インプラントとともに、腱および靭帯の治療および/または修復に必要な要素を含んだ、医療用キットが作製されてよい。そのようなキットは、多量のインプラント、および注射器またはその他の塗布器(applicator)といった送達用装置を含んでよい。従来の椎間板への到達の方法およびその修復手術に使用される1以上の手術用器具もまた、有利に、そのようなキットで提供される。
【0040】
本発明が様々な側面を有することが理解されるだろう。これらの側面の幾つかに従って、生体適合性異物形成性インプラントは、椎間板の破裂といった、椎間板の損傷を環状に結合(welding)または封着させるために使用することができる。生体適合性異物形成性インプラントは、固体微小粒子を含むことができ、該固体微小粒子は、実質的に角および縁がなく、滑らかな表面を有しており、一定の実施において生体適合性の媒質に懸濁できる。生体適合性異物形成性インプラントは、破裂した椎間板に挿入し、髄核または線維輪の部分を満たし、封着することができる。実施の1つにおいて、生体適合性異物形成性インプラントは、破裂した椎間板の中心の領域に挿入される。生体適合性異物形成性インプラントの破裂した椎間板への挿入は、椎間板のヘルニア形成の再発の危険性を低減し、椎間板の少なくとも一部の構造的統合性または衝撃吸収特性を回復することができる。
【0041】
本発明に従って椎間板を治療する方法は、椎間板における損傷を同定し、異物形成性充填剤を椎間板に挿入し、それによって損傷を治療することを含むことができ、前記異物形成性充填剤は多量の微小粒子を含む。損傷の同定は、例えば、観察器具(scope)を用いた損傷の同定を含むことができる。典型的な実施において、損傷の同定は、椎間板の部分的に破れたまたは細くなった線維輪中での髄核の移動を含む、局所的な外側へのふくらみ(outpouching)の同定を含むことができ、椎間板内に維持された髄核の移動を含む、椎間板の線維輪の裂け目を通した、突出の同定を含むことができ、または、椎間板内に維持されていない髄核の移動を含む、隔離(sequestration)の同定を含むことができる。
【0042】
微小粒子は、滑らかな表面を有し角および縁のない組織適合性とすることができ、動力学的に安定させることができ、ならびに楕円形および球形の少なくとも1つの形を有することができる。例えば、多量の微小粒子は、典型的に、不正確な形状(loose)の微小粒子と同様に椎間板に挿入することができ、不正確な形状の微小粒子と同様にそこに残留することができる、多量の微小球体を含むことができる。典型的な実施態様において、微小粒子は、リンパ系またはその他の組織系によって移植部位から排除されない直径を有する。大部分の微小粒子は、少なくとも10μmの直径を有することができ、特別な実施において微小粒子は、約15から約200μmの範囲にある平均直径を有することができる。微小粒子は、さらに、約15から約60μmの直径を有することができる。
【0043】
組成物に関して、本発明の特定の実施に関する微小粒子は、ポリメタクリル酸塩(polymethacrylate)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)といった、硬化(cured)ポリマーを含むことができる。実施の1つにおいて、微小粒子は固体微小粒子を含むことができ、該固体微小粒子は、一実施態様において、非多孔性ビーズの形態をとってよく、該ビーズは、生理学的に生体適合性の懸濁剤中で処理してよい。懸濁剤は、液体とすることができ、水および生理食塩水の少なくとも1つを含むことができる。特別な実施において、懸濁剤は、哺乳類の体内で分解可能なコラーゲンおよびゼラチンの1つとすることができる。そのうえ、懸濁剤は、テンシデ(tenside)と混合することができる。
【0044】
挿入は、観察器具(scope)を用いて椎間板の少なくとも一部を観察しながら、椎間板に生体適合性充填剤を挿入することを含むことができる。観察器具は、ビデオX線透視装置(video fluoroscope)を含むことができ、挿入は、X線透視装置の助けのもと行うことができる。実施の1つにおいて、生体適合性充填剤は、水溶性のX線不透過性色素を浸透させ、生体適合性充填剤を椎間板に挿入した際の可視化を促進することができる。X線不透過性色素はバリウムを含むことができる。典型的な実施において、挿入は、約3または4立方センチメートル(ccs)以下の生体適合性充填剤を椎間板の髄核に挿入することを含むことができ、および、特別な実施において、挿入は、約0.5から1.5立方センチメートル(ccs)の生体適合性充填剤を椎間板の髄核に挿入することを含む。
【0045】
挿入は、椎間板の厚さ(height)の増大を伴ってよく、該厚さの増大は、椎間板に挿入される生体適合性充填剤の量に比例する。本発明の一側面に従って、挿入は、挿入前の椎間板の構造的統合性と比較して、椎間板の構造的統合性の改善を伴ってよい。例えば、椎間板の線維輪の安定性は、挿入前の線維輪の安定性と比較して改善されてよく、それにより、挿入前の椎間板の作動部位の生物学的特性と比較して、椎間板の作動部位の生物学的特性が改善される。
【0046】
椎間板が、上部の脊椎および下部の脊椎の少なくとも1つに近接して並列している場合、少なくとも1つの開口を、上部の脊椎および下部の脊椎の一方または両方の端板に形成することができる。典型的に、椎間板は、上部の脊椎および下部の脊椎の間に並列しており、多数の開口が、上部の脊椎および下部の脊椎の少なくとも1つの端板に形成される。開口は、針を用いて形成することができ、例えば椎間板造影術といった進行中の処置の間に、椎間板にすでに存在してよい。
【0047】
本出願にて開示される方法の代表的な実施において、損傷は、椎間板の損傷を含む。例えば、損傷は、椎間板内の障害(internal disk derangement)を含むことができる。生体適合性充填剤の椎間板への挿入は、脊髄の環状の損傷(spinal annular defect)におよびその周囲に、封着の形成をもたらすことができる。この封着は、例えば、挿入前の椎間板の安定性に比べて増大した安定性を椎間板にもたらすことにより、挿入前の椎間板の作動部位と比較して、より安定した作動部位を椎間板にもたらすことができる。
【0048】
挿入は、椎間板造影術の間に行うことができ、損傷は、少なくとも1つの環状の裂け目を含むことができる。椎間板造影術の間、同定は、最初に少なくとも1つの裂け目の可視化を行い、その後に同様の椎間板造影術の間に挿入を行うことを含むことができる。本出願で開示される、本発明による方法の実施の1つに従って、椎間板造影術は、誘発性(provocative) 椎間板造影術を含み、該誘発性椎間板造影術では、同定は、最初に少なくとも1つの裂け目の可視化を行うことを含み、および、挿入が同様の誘発性椎間板造影術の間に行われる。
【0049】
別の実施によると、椎間板造影術を、椎間板に対して、後方(posterior)、後外側(posterolateral)、外側(lateral)、前側(anterior)または前外側(anterolatera)から経皮的に行うことができる。
【0050】
別の実施において、挿入は、切開による方法の際に行うことができ、脊椎弓切開術、椎弓切除術、半側椎弓切開術および半側椎弓切除術の切開による方法の1つにおいて、椎間板に注射器および針を用いて生体適合性充填剤を挿入することを含むことができる。
【0051】
椎間板で行うことができる、本発明の別の方法は、多量の微小粒子を含んだ充填材料を椎間板に送達することを含む。送達は、注入装置の椎間板への挿入を先行して行うことができ、充填材料は、その注入装置を通して椎間板に送達することができる。椎間板が、上部の脊椎の端板および下部の脊椎の端板の少なくとも1つに近接して位置する場合、上部の脊椎の端板および下部の脊椎の端板の少なくとも1つに1以上の開口または穿孔を形成することを含む方法とすることができる。
【0052】
充填材料の送達は、椎間板の中央または非周辺領域といった、椎間板の髄核に充填材料を送達することを含むことができる。送達は、椎間板の障害の検出を先行して行うことができ、充填材料は、障害の治療のために、椎間板に送達することができる。そのうえ、微小粒子は、例えば、微小球体の形にすることができ、コラーゲンを含む懸濁剤といった、懸濁剤中に均一に分布させることができる。そのうえ、障害の検出は、椎間板の部分的に破れたまたは細くなった環(annulus)の中での椎間板内物質の移動の検出を含むことができ、送達は、3から4立方センチメーター(ccs)以下のオーダーの量の充填材料を椎間板に送達することを含むことができる。
【0053】
本出願に記載された技術は、犬や猫といった家庭用ペットの治療に有利な効果をもたらすよう使用することができるということもまた、述べられてよい。これらの場合、脊椎椎体固定術(vertebral fusions)および同様の手段は、しばしば費用がひどく掛かるため、より費用の掛からない何れかの椎間板修復技術が有利であろう。
【0054】
上述した実施態様は、例示として提供され、本発明はそれらの例示に限定されない。開示された実施態様の複数の変形例および修正例が、相互に排他的でない範囲で、前述の記述を考慮に入れて、当業者によって考え出されるだろう。加えて、その他の組み合わせ、省略、置換および修正が、本出願における開示を考慮して、当業者に明らかとなるだろう。従って、本発明は、開示された実施態様に限定されるよう意図されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板に薬剤を送達することを含む、該椎間板の治療の方法であって、該薬剤が多量の微小粒子を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに前記椎間板に損傷(defect)を同定することを含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、損傷の封着、前記椎間板の圧力の増大、前記椎間板の厚さの増大、前記椎間板の安定性の改善および前記椎間板の構造的統合性の改善の少なくとも1つを含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、宿主の組織と少なくとも部分的に置き換わるよう構成された方法。
【請求項5】
前記薬剤が、さらにコラーゲンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、水、生理食塩水、テンシデ(tenside)、X線不透過性色素、および嫌色素性物質(chromophobe)の少なくとも1つを含む方法。
【請求項7】
前記微小粒子が、組織適合性固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記微小粒子が、実質的に、約15μmから約200μmまでの範囲の直径を有した球体である方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記微小粒子が、1以上のポリメタクリル酸塩(polymethacrylate)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、硬化(cured)ポリマー、十分に重合化したポリマー、およびガラスを含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記椎間板に接したもしくは前記椎間板周辺の組織、または近接する組織を切除し、出血させることを含む方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤の送達が、観察器具(scope)を用いて前記椎間板を観察することを含む方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、損傷が、椎間板内物質の移動、脊髄の環状の損傷(spinal annular defect)、椎間板内の障害(internal disk derangement)の少なくとも1つを含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤の送達が、約0.5から1.5立方センチメーターの前記薬剤の送達を含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤の送達が、注射器を用いることを含む方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤の送達が、前記椎間板の髄核に前記薬剤を送達することを含む方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記薬剤の送達が、椎間板造影術、脊椎弓切開術、椎弓切除術、半側脊椎弓切開術および半側椎弓切除術、ならびに切開による方法(open prcedure)の少なくとも1つの間に行われる方法。
【請求項17】
以下を含む医療用キット:
微小粒子を含む薬剤;および
少なくとも1つの椎間板の修復のために構成された、1以上の外科用器具。
【請求項18】
請求項17に記載の医療用キットであって、さらに、インプラントを送達するために構成された送達用装置を含む医療用キット。
【請求項19】
椎間板の構造的統合性の修復および/または改善における使用のための、多量の微小粒子を含んだインプラント剤。
【請求項20】
請求項19に記載のインプラント剤であって、前記インプラント剤が、生体適合性の媒質中の、実質的に球形の微小粒子を含むインプラント剤。
【請求項21】
請求項24に記載のインプラント剤であって、前記生体適合性の媒質がコラーゲンを含むインプラント剤。
【請求項22】
椎間板を治療する方法であって、多量の粒子を前記椎間板の内部に配置することを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記多量の粒子がコラーゲンを含んだ溶液中に懸濁される方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記粒子が実質的に球形であって、および、前記粒子が約15μmから約200μmの直径を有する方法。

【公表番号】特表2008−511420(P2008−511420A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530372(P2007−530372)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/031225
【国際公開番号】WO2006/026731
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507063665)スピネオベイションズ・インコポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】