説明

脊髄適用において、再構成成分を使用したフィブリンシーラントの注入

線維輪の少なくとも1つの欠損で、そこを通って髄核を漏出する円板を処置する方法。この方法は少なくとも1つの欠損の少なくとも一部を減らすためにフィブリンシーラントを円板に注入することを含み、円板に注入されるフィブリンシーラントはフィブリノーゲンおよび活性化化合物を含んでなり、フィブリンの少なくとも一部が注入後に形成し、フィブリノーゲン、活性化化合物または両方が少なくとも1つの添加剤を含有する溶液で再構成されているが、ただし円板に注入されるフィブリンシーラントにはコルチコステロイドが不存在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は参照により本明細書に編入する2004年10月29日に出願された特許文献1の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は一般に、シーラントが脊髄領域への注入により送達され、そしてフィブリノーゲンおよび/またはトロンビンが添加物を含有する溶液を使用して再構成されるようなフィブリンシーラントの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フィブリンシーラントおよび接着剤は、良く知られ、そして様々な臨床的状況において広範囲に使用されている。そのようなシーラントは、縫合、結紮および焼灼を含む通例の外科技術により出血の制御が効果的でないか、または現実的ではない場合、手術における止血の補助として示されている。このような場合、シーラントは局所的に適用される。
【0004】
最近、コルチコステロイドを含んだフィブリンシーラントが、線維輪の亀裂のような円板(disc)の問題を処置するために使用された。これに関して特許文献2は円板の問題を処置するために円板に組成物が注入されたこと(円板内注入:intra−discal injection)を開示する。
【参考文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/623,600号明細書
【特許文献2】米国特許第6,468,527号明細書
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
本発明の実施において、フィブリンシーラントはヒトの脊髄領域に注入される。シーラントはフィブリノーゲン、およびトロンビンのような活性化化合物を含んでなり、これらは混合した時にフィブリンを形成する。この組成物はコルチコステロイドを含有するフィブリンシーラント組成物に比べて驚くほど優れた結果を提供することが分かった。塩化カルシウムから供給されるようなカルシウムイオンがフィブリンシーラントに含まれることができる。フィブリノーゲンおよび/またはトロンビンは、種々の生物学的および非生物学的作用物質のような1もしくは複数の添加物を含有する溶液で再構成される凍結乾燥状態から誘導することができる。1もしくは複数の添加物の使用は優れた結果を提供する。しかしコルチコステロイドはフィブリンシーラントから排除される。
【0007】
1つの広い観点では、本発明は線維輪の少なくとも1つの欠損で、そこを通って髄核を漏出する円板を処置する方法であり、この方法は少なくとも1つの欠損の少なくとも一部を減らすためにフィブリンシーラントを円板に注入することを含んでなり、ここで円板に注入されるフィブリンシーラントはフィブリノーゲンおよびトロンビンのような活性化化合物を含んでなり、ここでフィブリンの少なくとも一部が注入後に形成し、ここでフィブリノーゲン、活性化化合物または両方が少なくとも1つの添加物を含有する溶液で再構成されているが、ただし円板に注入されるフィブリンシーラントにはコルチコステロイドが不存在である。この処置は線維輪の欠損(1もしくは複数)を通って漏出する髄核からの物質の量を減らすために役立つ。欠損は線維輪の裂け、線維輪の亀裂等であることができる。有利にはフィブリンシーラントの注入は重要な成分である正常な円板高および流体静力学的圧の回復にも役立つことができる。正常な生理学上の流体静力学的圧は人により変
動する可能性があり、そして処置は正常に近い流体静力学的圧を生成することができると理解されるべきである。本明細書で使用するように、正常な生理学上の圧にはこの範囲の圧を包含する。1つの態様では例えば米国特許第6,095,149号明細書に検討されているように、注入前または注入と同時に髄核も線維輪も体内で加熱されて円板を堅くすることはない。1つの態様では本発明の実施において、髄核は全または部分椎間板切除術の場合のように、またはヘルニア様円板の経皮的高周波椎間板減圧術によるように手術により除去されていない。
【0008】
別の広い観点では、本発明は線維輪の少なくとも1つの欠損を封鎖するために、フィブリンシーラントを円板に注入することを含んでなるヒトの背部を処置する方法であって、ここでフィブリンシーラントがフィブリノーゲンおよびトロンビンのような活性化化合物を含んでなり、ここでフィブリノーゲンおよびトロンビンが注入後にフィブリンの少なくとも一部を形成し、ここでフィブリノーゲン、トロンビンまたは両方が少なくとも1つの添加剤を含有する溶液で再構成され、そしてここでフィブリンシーラントはコルチコステロイドを含まない。
【0009】
別の広い観点では、本発明は線維輪の少なくとも1つの欠損を処置するために、ヒトの円板内にフィブリノーゲンおよびトロンビンの混合物を提供することを含んでなるヒトの背部を処置する方法であって、ここでフィブリノーゲン、トロンビンまたは両方が少なくとも1つの添加剤を含有する溶液で再構成され、そしてここで混合物にコルチコステロイドが不存在である。混合物は注入または別の方法により円板に提供され得る。
【0010】
また本発明はフィブリンシーラントを注入するために使用する成分を含むキットを含む。このキットは凍結乾燥フィブリノーゲンのようなフィブリノーゲン、凍結乾燥トロンビンのようなトロンビン、少なくとも1つの添加剤、および例えば湾曲脊髄針を含む脊髄針のようなシーラントを注入するための針を含んでなる。代わりに脊髄カニューレを使用してもよい。キットはコルチコステロイドを排除する。キットは円板に熱エネルギーを提供するためのデバイスを排除することができる。キットは場合により造影剤および他の添加物を含むことができる。単一、二重または多重バレルシリンジ、または他のフィブリンシーラント送達デバイスをキットに含んでもよい。フィブリンシーラントは通例の単管腔針を使用して、または二管腔(bilumen)針もしくは多管(multilumen)腔針を介して送達することができる。二管腔針を使用する場合、各成分は別個の管腔を介して送達することができる。1つの態様では、針の先端でフィブリノーゲン成分およびトロンビン成分の接触を可能にする二管腔針または多管腔針を使用することができる。あるいはフィブリノーゲン成分、続いてトロンビンまたは他の酵素成分の注入の順次添加を使用することができ、そしてこれらの注入は同じ針、多数の針、または二管腔針もしくは多管腔針内で起こることができる。
【0011】
別の広い観点では、本発明はフィブリノーゲン成分、トロンビン成分、少なくとも1つの添加物、および脊髄針またはポリマー性カテーテルまたは両方を提供することを含んでなるキットの形成法であり、ここでキットはコルチコステロイドを除外し、そしてキットは円板に熱エネルギーを提供するデバイスを除外する。
【0012】
有利には本発明の方法およびキットは漏出性円板症候群(leaky disc syndrome)を有する患者の長期化する疼痛の緩和を促進し、ここで例えば線維輪における欠損(例えば裂け、または亀裂)を介して髄核が円板から漏出する。驚くべきことには、コルチコステロイド無しでフィブリンを使用すると、コルチコステロイドを含むフィブリンシーラントの注入に対して予期せぬ優れた結果が提供されることが分かった。本発明はコルチコステロイドを含有するフィブリンシーラントの注入を開示する米国特許第6,468,527号明細書に説明される方法に対して予期せぬ優れた結果を提供する。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明のフィブリンシーラントは、フィブリノーゲン成分およびフィブリノーゲンをフィブリンに転換するトロンビンのような活性化合物を含んでなる。シーラントは1もしくは複数の他の添加物を含む。フィブリノーゲン、トロンビンまたは両方は、少なくとも1つの添加剤を含有する溶液で再構成され、ここで添加物はコルチコステロイド以外である。フィブリンシーラントは例えば線維輪の亀裂および裂けを封鎖するために、円板に注入される。線維輪中の欠損は通常、現在ではMRIスキャンおよびディスコグラムを使用して診断される。これは腰椎の椎骨間円板に注入された場合、椎間板起因の腰痛および神経根障害脚痛の両方を処置することができる。
【0014】
本発明の実施に使用するフィブリノーゲンには、ヒト体内でフィブリンを形成するフィブリノーゲンを含む。フィブリノーゲンは凍結乾燥状態で市販されることが多く、そして使用前に再構成されなければならない。トロンビンが添加物を含む溶液を使用して再構成される場合、フィブリノーゲンは凍結または新しい(fresh)もの、オートロガス(処置する患者由来)、プールしたヒトのフィブリノーゲンを含むヒト、組換え体およびウシまたは魚(例えばサケおよび降海型のマス)のような他の非ヒト起源であることができる。フィブリノーゲンは所定の処置、患者等に適する量で使用される。凍結乾燥フィブリノーゲンは、典型的にはアプロチニンおよび塩化カルシウムを含有する溶液を使用して再構成される。本明細書で検討するように、フィブリノーゲンまたはトロンビンまたは両方は、少なくとも1つの添加物を含む溶液で再構成される。例えば凍結乾燥フィブリノーゲンは、例えば添加物を含む塩水、アプロチニンおよび添加物を含有する塩溶液、添加物および塩化カルシウムから供給され得るようなカルシウムイオン(Ca+2)を含有する塩溶液、または添加物の組み合わせを含有する溶液を使用して再構成することができる。
【0015】
トロンビンは典型的にはフィブリノーゲンのフィブリンへの変換に役立てるために使用される酵素である。しかし当該技術分野で知られているヘビ毒(例えばバトロキソビン:batroxobin)またはクモ毒に由来するもののような他の酵素を使用することができる。本明細書で使用する「活性化化合物」とはフィブリノーゲンからフィブリンを形成させる化合物を指し、そしてこの用語にはトロンビン、バトロキソビン等を含む。トロンビンは典型的には凍結乾燥状態で市販されている。凍結乾燥トロンビンは使用前に再構成されなければならない。またトロンビンは凍結または新しいものであることができる。トロンビンはヒトまたはプールしたヒト起源の自己由来、ウシ、魚(サケのような)、または種々の蛛形類および他の有毒種のような他の非ヒトフィブリノーゲン−分解酵素源であることができる。トロンビンまたは酵素は当業者に知られているようなフィブリノーゲンのフィブリンへの変換を促進する任意の量で使用される。トロンビンは塩水および1もしくは複数の添加物、または添加物およびカルシウムイオンを含有する塩溶液を使用して再構成することができる。
【0016】
本明細書で使用する用語「添加物」は:抗生物質;化学療法剤を含む抗増殖剤、細胞傷害剤および抗腫瘍剤;鎮痛剤;アンチアンギオーゲン(antiangiogen);抗体;抗ウイルス剤;サイトカイン;コロニー刺激因子;タンパク質;化学誘引物質;EDTA;ヒスタミン;抗ヒスタミン:エリスロポエチン;抗カビ・菌剤;抗寄生生物剤;非コルチコステロイド抗炎症剤;抗凝固剤;リドカインおよびブピバカインのような局所麻酔薬を含む麻酔薬;鎮痛薬;腫瘍剤;心血管薬;ビタミンおよび他の栄養補助剤;ホルモン;糖タンパク質;フィブロネクチン;ポリペプチドおよびタンパク質を含むペプチド;インターフェロン;軟骨誘導因子;プロテアーゼインヒビター;血管収縮薬、血管拡張薬、無機質除去骨または骨形態形成タンパク質;ホルモン;脂質;炭水化物;アグレカン(コンドロイチン硫酸およびデラチン(deratin)硫酸)、バーシカン(versican)、デコリン(decorin)およびビグリカンのようなプロテオグリカン;ア
ンチアンギオゲニン(antiangiogenin);抗原;DBM;ヒアルロン酸およびその塩および誘導体;多糖;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシ−プロピルメチルセルロースのようなセルロース化合物およびその誘導体;抗体;遺伝子治療剤;遺伝的に改変された細胞、トランスホーミング増殖因子を含む間充識幹細胞を含む幹細胞、および/または他の細胞;傷害を受けた組織のリハビリテーションおよび/または新たな健康な組織の成長を促進するBMP7およびBMP2のような細胞増殖因子;IおよびII型コラーゲン;エラスチン;硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、硫酸グルコサミン;pH調整剤;メチルスルホニルメタン(MSM);骨原性化合物;骨伝導性化合物;プラスミノーゲン;ヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ポリマー;骨原性タンパク質1(組換えOP−1を含むOP−1):LMP−1(リム鉱化タンパク質−1):自己軟骨を含む軟骨;酸素−含有成分;例えばそのような成分から酸素の放出を媒介するペルオキシダーゼのような酵素;メラトニン;ビタミン;および例えばグルコースまたは他の糖のような栄養物を意味する。しかしこれら任意の添加物をフィブリンシーラントに別個に、または組み合わせて加えることができると予想される。1もしくは複数の添加物をフィブリノーゲンおよびトロンビンと共に、または1もしくは複数のこれら成分をフィブリンシーラントが注入される前、またはされた後のいずれかに別個に注入することができる。これらの添加物の組み合わせを使用することができ、そして種々の添加物をフィブリノーゲンおよびトロンビンを再構成するために使用する溶液に使用することができる(例えば、局所麻酔薬を含有する溶液を使用して、フィブリノーゲンを再構成し、そしてII型コラーゲンを含有する溶液を使用してトロンビンを再構成する)。さらに1もしくは複数の他の添加物が、トロンビンまたはフィブリノーゲンのいずれかを再構成する溶液に加えることができる。同様に1もしくは複数のこれらの添加物をフィブリノーゲンおよび活性化化合物と共に注入することができ、あるいは1もしくは複数のこれらの添加物を、フィブリンシーラントが注入される前または後のいずれかに別個に注入することができる。
【0017】
完全に水に溶解しない添加物(1もしくは複数)を含有する溶液には、例えばポリソルベートのような抗−凝結剤を加えてこの成分を懸濁し易くすることができる。本発明では抗−凝結剤としてグリコールの使用は適切ではない。
【0018】
フィブリン形成は、二重シリンジのY−コネクターのようなフィブリノーゲンとトロンビンとの接触で即座に始まることを考えるべきである。本明細書で使用するような用語フィブリンシーラントの「注入」には、円板中にフィブリンを形成する成分の任意の注入を包含し、それには成分の一部が反応して接触前の混合、または円板への実際の導入によりフィブリンを形成する状況を含む。またトロンビン成分に続いてフィブリノーゲン成分を注入するか、またはフィブリノーゲン成分に続いてトロンビン成分を注入することによるように、フィブリンシーラントの成分を円板に順次注入することも本発明の範囲内である。同様にフィブリノーゲン成分およびトロンビン成分は円板に各々が断続的に注入されることができる。
【0019】
また注入点(1もしくは複数)(例えば脊髄針の先端)は、線維輪内または髄核内にあることができると考えるべきである。注入が髄核で起こる場合、注入される成分は髄核と線維輪との間の界面でパッチを形成することができ、あるいはより一般的には、成分は線維輪の欠損(1もしくは複数)(例えば亀裂)に流れ、そして円板内空間に「あふれ出る」可能性がある。実際には、成分を円板に注入することにより円板に過剰な圧をかけることは回避すべきである。
【0020】
フィブリノーゲンおよび活性化化合物は、当業者に明白であるように円板の所定の欠損を密封するために有効な量で注入される。トロンビンのような活性化化合物の量は、完全にフィブリンが形成するための時間を減らすか、または延ばすために変動させることがで
きる。一般に、単位量のフィブリノーゲンあたり、より高レベルのトロンビンで、より迅速なフィブリン形成が起こる。より遅いフィブリン形成を所望する場合、フィブリノーゲン単位あたり、より少ないトロンビンが使用される。一方または両方の成分溶液中にカルシウムイオン(塩化カルシウムに由来するような)を使用することは、そのようにして形成されるフィブリンの強さに影響し、カルシウムイオンの量が上昇すれば、フィブリン凝固の強さが上がる。一般に水溶液であるフィブリノーゲンを含んでなる組成物について、有効なフィブリンシーラントになるには約3mL〜約5mLのそのような組成物で十分であると考えられる。しかし組成物の用途に依存して、投薬用量は約0.05mL〜約40mLの範囲となることができる。
【0021】
フィブリンシーラントは天然の凝固メカニズムの最終段階を模している。典型的にはそのようなシーラントはフィブリノーゲン成分とトロンビンのような活性化酵素との混合を必要とする。トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに転換することにより血液の凝固を引き起こす血漿内に存在する酵素である。通常の実施では、フィブリンシーラントの成分は使用前に凍結乾燥状態から別個に再構成される。しかし凍結状態または新しい状態から調製したサンプルの使用も許容され得る。シーラントと宿主組織と生体適合性を上げるために、種々の成分を宿主の体液から内的に供給することができる。再構成される成分を合わせると、弾性のある凝塊に即座に固まる粘稠溶液を生じる。従来のフィブリンシーラントの調製法は、J.Rousou,et al.,Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery、vol.97,no.2,pp194−203、Feb,1989に記載されている。供給源の血漿に由来する低温沈殿を洗浄し、バッファー溶液に溶解し、濾過し、そして凍結乾燥させる。凍結乾燥したフィブリノーゲンは、例えば3000KIU/mlのアプロチニン(形成されたフィブリンの未熟な分解を防止する多価プロテアーゼインヒビター)および添加物を含有するフィブリン溶解インヒビター溶液中に再構成される。溶液を撹拌し、そして約37℃の温度に加熱する。各溶液(トロンビンおよびフィブリノーゲン溶液)はシリンジから引き出され、そしてY−コネクターに取り付けられ、これに合わせる溶液を送達するための針が付けられる。(例えばオーストリア、ウィーンのImmunoAGからのDuploject(商標)デバイスを参照にされたい)。このように成分の混合は所望する適用部位のみで凝固の形成を促進する送達工程中にのみ起こる。成分は十分に迅速に注入して、通路が針および/またはY−コネクターでフィブリン形成により遮断されるようになることを回避すべきである。
【0022】
1つの態様では、フィブリンシーラント成分の混合は、円板内で起こる凝固と平衡して少なくとも一部はY−コネクターおよびY−コネクターに取り付けた針で起こる。この調製法は送達中、またはその後直ぐに円板中の所望の部位でフィブリン凝固の形成を促進する。塩化カルシウムを注入されるフィブリンシーラントに含めて、そのように形成されるフィブリンの組成物および生じた凝固の強さを修飾することができる。
【0023】
1つの態様では、約75〜105mg/mLの凍結乾燥フィブリノーゲンが従来の方法に従い再構成され、そして約45〜55mg/mLのトロンビン成分が本発明の方法および組成物に従い凍結乾燥状態から別個に再構成される。凍結乾燥フィブリノーゲンおよび凍結乾燥トロンビンは、バクスター(Baxter)のような製造元からTISEEL(商標)の名でキット状態で市販されている。これら2つのフィブリンシーラント成分は、例えば各約2mLのサンプル中で調製して、約4mLの全シーラント(再構成されたフィブリノーゲンに加えて再構成されたトロンビン)を生じることができる。少なくとも1つの再構成されたフィブリノーゲンおよびトロンビンは、少なくとも1つの添加物を含有する溶液を使用して再構成される。
【0024】
幾つかの方法および組成物が本発明のフィブリンシーラントに使用するための凍結乾燥
トロンビンを調製するために使用できるが、1つの方法では約45〜55mg/mLの凍結乾燥トロンビンを準備し、そしてそれを再構成溶液と混合することである。トロンビンまたはフィブリノーゲン、または両成分を再構成するために使用する再構成溶液は、さらに本明細書に記載する約0.1−100ミリグラムの別の添加物(例えば局所麻酔薬)および/または塩化カルシウムを含んでなることができる。塩化カルシウム濃度は,例えば1〜100ミリモル/mLであることができ、そして1つの態様では4〜40ミリモル/mLである。使用する場合、塩化カルシウム濃度は、さらに耐久性のあるフィブリンシーラント凝固を形成する重合反応に十分であるべきである。保存剤を含まない再構成溶液が望ましいが、かならずしも必要ではない。
【0025】
造影剤はフィブリンシーラントの注入と一緒に使用することができる。造影剤はフィブリンシーラントの注入前に注入してもよい。あるいは造影剤は、円板に注入されるフィブリノーゲン成分またはトロンビン成分に含められる。造影剤およびその使用は当業者に周知である。
【0026】
別の量および濃度のフィブリノーゲンおよびトロンビンを使用して、体内で所望するフィブリンシーラントの凝固を形成することができる。例えば上記のように、フィブリノーゲンおよび/またはトロンビンの量/濃度を変動させることは、合わせたフィブリノーゲンおよびトロンビン成分の粘度および「固まる時間」を変動させるために行うことができる。同様にフィブリノーゲンを変動させることは合わせた成分の密度を変化させることができ、これはカテーテルのような長い導管を通って体内への流れを制御するために重要となり得る。トロンビンを変動させることにより、成分の重合時間を変動させることができ、これは未熟に固まるよりは体内の正しい部位および時間で成分が固まることを確実とするために凝固が形成する時間を制御するために重要となり得る。
【0027】
凍結乾燥状態で得られた場合、トロンビンおよびフィブリノーゲンは使用するために再構成する必要がある。場合により1もしくは複数の添加物を含有するトロンビン再構成溶液(例えば塩水に基づく溶液)は、凍結乾燥したトロンビンと混合する前に1つのバイアル中に調製することができる。フィブリンシーラントのこの成分は、次いで再構成された状態で使用者に提供されるか、または凍結乾燥したトロンビンおよび予め混合された再構成溶液を含有する2つの合わせていないバイアルで提供することができる。2つのバイアルの内容物を混合することは、フィブリンシーラント(またはその成分)が患者に注入される時期までに、そしてその時点を含め、任意の時点で行うことができる。フィブリン溶液の再構成は、従来の方法に従い行うことができる。例えばフィブリノーゲン成分は、例えば局所麻酔薬のような添加物を場合により含んでもよいアプロチニン塩溶液中で再構成することができる。所望によりトロンビンまたはフィブリノーゲンまたは両方を、1もしくは複数の添加物を含む塩溶液を使用して再構成することができる。すべての溶液は約37℃の温度にされる。好ましくはトロンビンは、本明細書に記載する二重シリンジ注入法を使用してフィブリノーゲン溶液と合わせ、患者に注入される単一のシーラント組成物を形成する。本発明はシーラントを脊部の正確な領域に運び、線維輪を封鎖し、そして弾性の凝塊を介してフィブリンを正しい位置に保持する、シーラントを送達するための媒体を提供する。さらに形成されたフィブリン凝塊の生分解的特性を最小とし、または有効な使用期間の後に侵襲性の外科的除去の必要性を排除する。したがってシーラントおよび適用方法の利点は、線維輪の欠損(例えば亀裂)の局所化した長期封鎖、ならびに添加物がシーラントにある場合、時限放出される(time−released)添加剤の送達を達成する、最小に侵襲的な手段を提供する能力である。
【0028】
フィブリンシーラントは円板または他の身体領域に当業者が周知な手順を使用して注入され得る。典型的には導入針を円板内空間に、先端が線維輪の欠損近く配置されるように挿入する。次いでより細いゲージ針(例えばステンレス鋼製であり、そして線維輪を穿刺
することができる)を導入針に挿入する。フィブリンシーラントはこのより細いゲージ針を通して注入される。あるいは合成ポリマーで作られたカテーテルを使用することができる。より細いゲージ針または合成ポリマーでできたカテーテルのいずれかを用いて、針またはカテーテルを導入針を通って髄核へ進めることができる。あるいは針またはカテーテルは導入針の先端の上まで進めることができるが、導入針の先端を越えて行くことはない。特にポリマー性カテーテルは髄核で曲がり、これにより位置を間違えるようになるので、導入針により注入の点を正しく配置する利点を有することができる。同様に第1の事柄として所望の注入点に導入針を配置することにより、フィブリンシーラントを素早く注入して、処置を早く行うことができ、これは患者に対する利益とある。一般に本発明のフィブリンシーラントは円板、硬膜外空間、関節突起間(zygaphysical)(2−関節)関節、脊柱管、および/または包膜嚢(thecal sac)に注入される。フィブリンシーラントの円板への注入に関して、円板内注入は核から物質が円板の外側領域に漏出する円板を封鎖するフィブリンマトリックスを作成するために役立つ。例えば、フィブリンシーラントは米国特許第6,468,527号明細書に記載されているような透視型経孔腰椎硬膜外(fluoroscopic transforaminal lumber epidural)または円板内注入により送達することができる。これらのような脊部の損傷の処置には、フィブリンシーラントは図1に示すように髄核に注入されて、線維輪の亀裂または空所(void)を満たし、骨終板から円板を密封し、円板の圧を上げ、そして円板空間の高さを上げる。一般にフィブリンシーラントは線維輪中の欠損近くの位置に注入される。典型的にはフィブリンシーラントは線維輪中の亀裂に流れ込み、そして幾つかのフィブリンシーラントは円板内空間から流れ出る可能性がある。注入は神経根の直接上の円板に隣接する領域、および核物質の漏出の影響からこれらの領域を保護するために役立つ周囲領域を覆うためにも役立つことができる。亀裂および骨終板の密封は、有害な化学物質が円板環境に漏出することを停止し、そして免疫系により損傷した円板に向かう外来物質−身体反応が始まることを防ぐ。円板空間を上げることにより神経根に及ぼす圧を緩和する。これは注入の結果として、円板高の上昇が起こり、これが板間の空間を上げ、そして次いでこれは板上の神経根に及ぼす圧を緩和する。この応用について、増殖因子をフィブリンシーラントに補充すると、損傷した組織のリハビリテーション、またはフィブリンシーラントと健康な組織との漸次置き換えを促進することができる。
【0029】
改善されたフィブリンシーラント組成物の使用は、以下の実施例を参照にしてより良く理解できる。これらの実施例は代表例であり、そして本発明の範囲またはその特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。特に示さない限り(実施例3)、コルチコステロイドはこれらの実施例で使用されるフィブリンシーラントには不存在であり、そして手順は髄核および線維輪の加熱工程の不存在下、および部分または全椎間板切除術の不存在下で行った。
【実施例】
【0030】
実施例1
透視型経孔硬膜外注入(fluoroscopic transforaminal epidural injection)
造影台上に平伏した体勢の患者に、透視装置を配置し、そして影響を受けている神経根の椎骨間の孔に配置するように調整した。湾曲した22ga×3.5”針は、皮膚および深部組織に麻酔をかけた後に導入した。針を直接的な透視視界下で前方硬膜外空間の位置まで進めた。針の配置は側方の透視視界、そして針を介して造影媒質を注入することにより確認した。そのような配置はさらに調整してもしなくてもよい。調整する場合、針の位置をもう一度確認する。針が正しい領域に進むと、初期の病訴と一致する様式で痛みを刺激することができる。したがって針の配置は患者の痛みの認識によっても確認することができる。硬膜外空間には、注入可能な麻酔薬で麻酔をかける。フィブリノーゲンおよびトロンビンのフィブリンシーラント(凝固前)は、次いで二重シリンジ系の容量が十分に消
耗されるまで針を介して連続的に軽い圧で導入する。トロンビンまたはフィブリノーゲンまたは両方は、少なくとも1つの添加物を含有する溶液で再構成された。次いでフィブリンシーラントは神経根および輪を覆い、そして針が引き抜かれる。患者の観察およびバイタルサインの監視は、処置後約20〜30分間行う。
【0031】
この手順に関して、十分な容量のフィブリンシーラントが標的の神経根の回りの領域を効果的にバイドロ−ディセクト(hydro−dissect)するために注入される。これは硬膜外空間の無血管的性質により、吸収/分解期間が、より大きな血管分布をもち、そして適用時に部屋の空気に対して暴露された領域での開放型の応用で観察される期間より、典型的には長いと考えられる。
【0032】
フィブリンシーラントが円板のヘルニア形成に関連する輪の亀裂を密封する能力は、患者に治療的利益を提供する。化学的な神経根炎、または神経根の炎症は、場合により大変痛いことが知られている。上記に記載する様式でフィブリンシーラントを使用することは、神経根を覆うだけでなく、ヘルニア形成円板の回りの輪の亀裂も密封すると考えられる。(図1参照)。影響を受けた神経根の回りの領域のハイドロ−ディセクトの結果、シーラントは輪の外側から輪の亀裂も密封する。
【0033】
実施例2
透視誘導型円板内注入(fluoroscopic guided intra−discal injection)
滅菌調製後、導入針を斜位方向撮影で上関節突起まで進める。湾曲した脊髄針は導入針を介して円板に進める。前方−後方および側方の透視型撮影を使用して正しい針の配置を確認する。針の配置を調整する必要がある場合、配置を再度、透視的に確認する。造影剤を注入して針の配置を確認する。化学的な神経根炎がある患者では、造影剤が輪の亀裂を介して漏出することが観察でき、および/または円板内の病理学を同定できる。いったん針が円板内空間に正しく配置されれば、フィブリンシーラント(またはその成分)が注入される。トロンビンまたはフィブリノーゲンまたは両方は、少なくとも1つの添加剤を含有する溶液で再構成された。フィブリンシーラントが輪の亀裂を密封すると、造影剤を円板内空間から引き出すことが観察される。あるいは造影剤はシーラントと共に注入される。あるいは造影剤は使用されない。この手順は線維輪の欠損/亀裂を密封し、そして化学的漏出を止め、そして円板内の再生を促進する。
【0034】
実施例3
コルチコステロイドを含有するフィブリンシーラントの注入に対するフィブリンシーラントの注入の比較
20名の患者を10人の2群の患者に分けた。すべての患者が線維輪中の欠損(亀裂)により引き起こされる円板の変性による疼痛を患っていた。すべての患者がすでに少なくとも6カ月間の従来の保存的治療に失敗していた。実施例2の手順を使用して、第1群の患者には、フィブリノーゲンおよびトロンビンを含有するフィブリンシーラントが円板内に注入された。実施例2の手順を使用して、第2群の患者にはフィブリノーゲン、トロンビンおよびベータメタゾン(コルチコステロイド)を含有するフィブリンシーラントが円板内に注入された。コルチコステロイドはトロンビン成分中にあった。各患者は手術前、および後に予め定めた間隔で脊部および脚の痛みを0〜10の尺度で採点した。結果(VASスコア)を図3および4に示す。見ればわかるように、フィブリンシーラントのみ(ベータメタゾンを含まない)を注入された患者は、ベータメタゾンを含有するフィブリンシーラントを注入された患者よりも痛みの優れた緩和を体験した。ベータメタゾンを含む注入を受けた患者は、炎症を減らすためのベータメタゾンの作用により優れた結果を体験したと思われた。しかし反対も観察された。実際には、フィブリンシーラントのみを注入された患者は有意に改善された痛みの緩和を手術後1週間だけでなく、特に手術後12週
間も体験した。これらの結果は驚くべきであり、そして予想されなかった。
【0035】
実施例4
局所麻酔薬を用いて再構成されたフィブリンシーラント
患者は局所麻酔薬を含有するフィブリンシーラントで処置した。局所麻酔薬はトロンビンを再構成するために使用した。患者は線維輪中の欠損(亀裂)により引き起こされる円板の変性による疼痛を患っていた。実施例2の手順を使用して、患者には、フィブリノーゲン、トロンビンおよび局所麻酔薬(3ccの75%ブピバカイン)を含有するフィブリンシーラントが円板内に注入された。局所麻酔薬はトロンビンを再構成するために使用した。全部で5ccのフィブリノーゲン、トロンビンおよび局所麻酔薬が注入された。患者は手術前、および後に予め定めた間隔で脊部および脚の痛みを0〜10の尺度で採点した。結果は背部の疼痛について:前処置、4;処置の1週間後、4、処置の3週間後、1;および6週間後、1。脚の痛みは前処置および処置後の両方でゼロであった。6週間後の痛みの劇的な低下により、これらの結果は驚くべきであり、そして予想されないことだった。
【0036】
本発明は、上記実施例に記載するものと同様な様式で、フィブリンシーラントの使用を介して種々の条件に取り組むために使用できると構想される。本発明の検討は、特許請求する本発明の限定された応用を創作する特定の手段、材料および態様を参照として引用した。本発明はこれらの特定の例に限定されず、そしてすべての均等物に応用される。本発明は特定の手段、材料および態様について上に記載してきたが、本発明はこれらの開示された特定の例に限定されず、代わりに添付する特許請求の範囲内のすべての均等物に広がると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の態様に従い処置することができる輪の亀裂を表す円板空間での椎体の断面図である。
【図2】本発明の1態様に従い改善されたシーラントが注入され得る経−孔(trans−foraminal)空間の概略図である。
【図3】実施例3からのVASスコアのグラフを表す。
【図4】実施例3からのVASスコアのグラフを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維輪の少なくとも1つの欠損により髄核を漏出する円板の処置方法であって:少なくとも1つの欠損の少なくとも一部を減らすためにフィブリンシーラントを円板に注入することを含んでなり、ここで、円板に注入されるフィブリンシーラントがフィブリノーゲンおよび活性化化合物を含んでなり、かつ、フィブリンの少なくとも一部が注入後に形成し、フィブリノーゲン、活性化化合物またはその両方が少なくとも1つの添加物を含有する溶液で再構成されているが、ただし円板に注入されるフィブリンシーラントにはコルチコステロイドが不存在である、上記方法。
【請求項2】
髄核も線維輪も加熱されていない請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィブリンシーラントが本質的にフィブリノーゲン、活性化化合物および少なくとも1つの添加物、そして場合により塩化カルシウムからなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
フィブリンシーラントがフィブリノーゲン、活性化化合物および少なくとも1つの添加物からなり、そして場合により塩化カルシウムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
塩化カルシウムがフィブリノーゲンおよび活性化化合物と共に注入される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
活性化化合物がトロンビンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
方法が注入工程からなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
添加物が抗生物質;化学療法剤を含む抗増殖剤、細胞傷害剤および抗腫瘍剤;鎮痛剤;アンチアンギオーゲン;抗体;抗ウイルス剤;サイトカイン;コロニー刺激因子;タンパク質;化学誘引物質;EDTA;ヒスタミン;抗ヒスタミン:エリスロポエチン;抗カビ・菌剤;抗寄生生物剤;非コルチコステロイド抗炎症剤;抗凝固剤;麻酔薬;鎮痛薬;腫瘍剤;心血管薬;ビタミンおよび他の栄養補助剤;ホルモン;糖タンパク質;フィブロネクチン;ポリペプチドおよびタンパク質を含むペプチド;インターフェロン;軟骨誘導因子;プロテアーゼインヒビター;血管収縮薬、血管拡張薬、無機質除去骨または骨形態形成タンパク質;ホルモン;脂質;炭水化物;プロテオグリカン;アンチアンギオゲニン;抗原;DBM;ヒアルロン酸およびその塩および誘導体;多糖;セルロース化合物およびその誘導体;抗体;遺伝子治療剤;遺伝的に改変された細胞、トランスホーミング増殖因子を含む間充識幹細胞を含む幹細胞、および/または他の細胞;細胞増殖因子;IおよびII型コラーゲン;エラスチン;硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、硫酸グルコサミン;pH調整剤;メチルスルホニルメタン(MSM);骨原性化合物;骨伝導性化合物;プラスミノーゲン;ヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ポリマー;骨原性タンパク質1(組換えOP−1を含むOP−1):LMP−1(リム鉱化タンパク質−1):軟骨;酸素−含有成分;酵素;メラトニン;ビタミン;および栄養物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの添加物が局所麻酔薬である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
髄核の部分が手術により除去されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの欠損が線維輪の裂けまたは亀裂である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
円板の正常な流体静力学的圧が回復するか、または正常な円板高が回復するか、または
その両方である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
フィブリノーゲンがオートロガスである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
注入が二重バレルシリンジを使用して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
活性化化合物がトロンビンであり、そしてフィブリノーゲンおよびトロンビンの混合物が注入される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
活性化化合物がトロンビンであり、そしてフィブリノーゲンおよびトロンビンが順次注入され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
添加剤がフィブリノーゲンおよびトロンビンの前または後のいずれかに順次注入され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
フィブリンシーラントが多くの部位で円板に注入される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
注入が、先端を有する導入針を円板内空間に少なく1つの欠損に隣接する位置まで挿入し、第2の針またはポリマー性カテーテルを導入針を通って導入針の先端の上であるがそれを越えないように挿入し、そしてフィブリンシーラントを第2の針またはポリマー性カテーテルを通して注入することにより起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
円板が腰椎円板である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
円板が頚部円板である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
円板が胸郭円板である請求項1に記載の方法。
【請求項23】
造影剤がフィブリンシーラント前、フィブリンシーラントと共に、またはフィブリンシーラントが注入された後のいずれかに注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
線維輪の少なくとも1つの欠損を封鎖するために、フィブリンシーラントを円板に注入することを含んでなるヒトの背部を処置する方法であって、フィブリンシーラントがフィブリノーゲンおよびトロンビンを含んでなり、フィブリノーゲンおよびトロンビンが注入後にフィブリンの少なくとも一部を形成し、フィブリノーゲン、トロンビンまたは両方が少なくとも1つの添加物を含有する溶液で再構成されており、そしてフィブリンシーラントがコルチコステロイドを含まない上記方法。
【請求項25】
髄核も線維輪も加熱されていない請求項24に記載の方法。
【請求項26】
フィブリンシーラントが本質的にフィブリノーゲン、活性化化合物および少なくとも1つの添加物からなる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
フィブリンシーラントがフィブリノーゲン、活性化化合物、少なくとも1つの添加物、および塩化カルシウムからなる請求項24に記載の方法。
【請求項28】
塩化カルシウムがフィブリノーゲンおよびトロンビンと共に注入される請求項24に記載の方法。
【請求項29】
方法が注入工程からなる請求項24に記載の方法。
【請求項30】
活性化化合物がトロンビンである請求項24に記載の方法。
【請求項31】
添加物が抗生物質;化学療法剤を含む抗増殖剤、細胞傷害剤および抗腫瘍剤;鎮痛剤;アンチアンギオーゲン;抗体;抗ウイルス剤;サイトカイン;コロニー刺激因子;タンパク質;化学誘引物質;EDTA;ヒスタミン;抗ヒスタミン:エリスロポエチン;抗カビ・菌剤;抗寄生生物剤;非コルチコステロイド抗炎症剤;抗凝固剤;麻酔薬;鎮痛薬;腫瘍剤;心血管薬;ビタミンおよび他の栄養補助剤;ホルモン;糖タンパク質;フィブロネクチン;ポリペプチドおよびタンパク質を含むペプチド;インターフェロン;軟骨誘導因子;プロテアーゼインヒビター;血管収縮薬、血管拡張薬、無機質除去骨または骨形態形成タンパク質;ホルモン;脂質;炭水化物;プロテオグリカン;アンチアンギオゲニン;抗原;DBM;ヒアルロン酸およびその塩および誘導体;多糖;セルロース化合物およびその誘導体;抗体;遺伝子治療剤;遺伝的に改変された細胞、トランスホーミング増殖因子を含む間充識幹細胞を含む幹細胞、および/または他の細胞;細胞増殖因子;IおよびII型コラーゲン;エラスチン;硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、硫酸グルコサミン;pH調整剤;メチルスルホニルメタン(MSM);骨原性化合物;骨伝導性化合物;プラスミノーゲン;ヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ポリマー;骨原性タンパク質1(組換えOP−1を含むOP−1):LMP−1(リム鉱化タンパク質−1):軟骨;酸素−含有成分;酵素;メラトニン;ビタミン;および栄養物からなる群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの添加物が局所麻酔薬である請求項24に記載の方法。
【請求項33】
髄核の部分が手術により除去されていない請求項24に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの欠損が線維輪の裂けまたは亀裂である請求項24に記載の方法。
【請求項35】
円板の正常な流体静力学的圧が回復するか、または正常な円板高が回復するか、または両方である請求項24に記載の方法。
【請求項36】
フィブリノーゲンがオートロガスである請求項24に記載の方法。
【請求項37】
注入が二重バレルシリンジを使用して行われる請求項24に記載の方法。
【請求項38】
活性化化合物がトロンビンであり、そしてフィブリノーゲンおよびトロンビンの混合物が注入される請求項24に記載の方法。
【請求項39】
活性化化合物がトロンビンであり、そしてフィブリノーゲンおよびトロンビンが順次注入され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項24に記載の方法。
【請求項40】
フィブリンシーラントが円板の多くの部位で円板に注入される請求項24に記載の方法。
【請求項41】
注入が、先端を有する導入針を円板内空間に少なく1つの欠損に隣接する位置まで挿入し、第2の針またはポリマー性カテーテルを導入針を通って導入針の先端の上であるがそれを越えないように挿入し、そしてフィブリンシーラントを第2の針またはポリマー性カテーテルを通して注入することにより起こる、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
円板が腰椎円板である請求項24に記載の方法。
【請求項43】
円板が頚部円板である請求項24に記載の方法。
【請求項44】
円板が胸郭円板である請求項24に記載の方法。
【請求項45】
造影剤がフィブリンシーラント前、フィブリンシーラントと共に、またはフィブリンシーラントが注入された後のいずれかに注入される、請求項24に記載の方法。
【請求項46】
添加剤がフィブリノーゲンおよびトロンビンの前または後のいずれかに順次注入され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項24に記載の方法。
【請求項47】
線維輪の少なくとも1つの欠損を処置するために、ヒトの円板内にフィブリノーゲンおよびトロンビンの混合物を提供することを含んでなるヒトの背部を処置する方法であって、フィブリノーゲン、トロンビンまたは両方が少なくとも1つの添加物を含有する溶液で再構成されており、そしてコルチコステロイドが混合物に不存在である上記方法。
【請求項48】
髄核も線維輪も加熱されていない請求項47に記載の方法。
【請求項49】
フィブリンシーラントが本質的にフィブリノーゲン、トロンビンおよび少なくとも1つの添加物からなる請求項47に記載の方法。
【請求項50】
フィブリンシーラントがフィブリノーゲン、トロンビン、少なくとも1つの添加物、および塩化カルシウムからなる請求項47に記載の方法。
【請求項51】
塩化カルシウムがフィブリノーゲンおよびトロンビンと共に提供される請求項47に記載の方法。
【請求項52】
方法が工程を提供することからなる請求項47に記載の方法。
【請求項53】
添加物が抗生物質;化学療法剤を含む抗増殖剤、細胞傷害剤および抗腫瘍剤;鎮痛剤;アンチアンギオーゲン;抗体;抗ウイルス剤;サイトカイン;コロニー刺激因子;タンパク質;化学誘引物質;EDTA;ヒスタミン;抗ヒスタミン:エリスロポエチン;抗カビ・菌剤;抗寄生生物剤;非コルチコステロイド抗炎症剤;抗凝固剤;麻酔薬;鎮痛薬;腫瘍剤;心血管薬;ビタミンおよび他の栄養補助剤;ホルモン;糖タンパク質;フィブロネクチン;ポリペプチドおよびタンパク質を含むペプチド;インターフェロン;軟骨誘導因子;プロテアーゼインヒビター;血管収縮薬、血管拡張薬、無機質除去骨または骨形態形成タンパク質;ホルモン;脂質;炭水化物;プロテオグリカン;アンチアンギオゲニン;抗原;DBM;ヒアルロン酸およびその塩および誘導体;多糖;セルロース化合物およびその誘導体;抗体;遺伝子治療剤;遺伝的に改変された細胞、トランスホーミング増殖因子を含む間充識幹細胞を含む幹細胞、および/または他の細胞;細胞増殖因子;IおよびII型コラーゲン;エラスチン;硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、硫酸グルコサミン;pH調整剤;メチルスルホニルメタン(MSM);骨原性化合物;骨伝導性化合物;プラスミノーゲン;ヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ポリマー;骨原性タンパク質1(組換えOP−1を含むOP−1):LMP−1(リム鉱化タンパク質−1):軟骨;酸素−含有成分;酵素;メラトニン;ビタミン;および栄養物からなる群から選択される請求項47に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも1つの添加物が局所麻酔薬である請求項47に記載の方法。
【請求項54】
髄核の部分が手術により除去されていない、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つの欠損が線維輪の裂けまたは亀裂である請求項47に記載の方法。
【請求項56】
円板の正常な流体静力学的圧が回復するか、または正常な円板高が回復するか、または両方である請求項47に記載の方法。
【請求項57】
フィブリノーゲンがオートロガスである請求項47に記載の方法。
【請求項58】
提供が二重バレルシリンジを使用して行われる請求項47に記載の方法。
【請求項59】
フィブリノーゲン、トロンビンおよび少なくとも1つの添加物の混合物が提供される請求項47に記載の方法。
【請求項60】
フィブリノーゲンおよびトロンビンが順次提供され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項47に記載の方法。
【請求項61】
フィブリンシーラントが円板の多くの部位で円板に提供される請求項47に記載の方法。
【請求項62】
注入が、先端を有する導入針を円板内空間に少なく1つの欠損に隣接する位置まで挿入し、第2の針またはポリマー性カテーテルを導入針を通って導入針の先端の上であるがそれを越えないように挿入し、そしてフィブリンシーラントを第2の針またはポリマー性カテーテルを通して注入することにより起こる、請求項47に記載の方法。
【請求項63】
円板が腰椎円板である請求項47に記載の方法。
【請求項64】
円板が頚部円板である請求項47に記載の方法。
【請求項65】
円板が胸郭円板である請求項47に記載の方法。
【請求項66】
造影剤がフィブリンシーラント前、フィブリンシーラントと共に、またはフィブリンシーラントが注入された後のいずれかに提供される、請求項47に記載の方法。
【請求項67】
添加剤がフィブリノーゲンおよびトロンビンの前または後のいずれかに順次注入され、そして少なくとも円板中で一部混合する請求項47に記載の方法。
【請求項68】
フィブリノーゲン、トロンビン、少なくとも1つの添加物、脊髄針またはポリマー性カテーテルまたは両方を含んでなるキットであって、キットがコルチコステロイドを除外し、そしてキットが円板に熱エネルギーを提供するデバイスを除外する上記キット。
【請求項69】
少なくとも1つの添加物が局所麻酔薬である請求項68に記載のキット。
【請求項70】
さらに塩化カルシウムを含んでなる請求項68に記載のキット。
【請求項71】
添加物が抗生物質;化学療法剤を含む抗増殖剤、細胞傷害剤および抗腫瘍剤;鎮痛剤;アンチアンギオーゲン;抗体;抗ウイルス剤;サイトカイン;コロニー刺激因子;タンパク質;化学誘引物質;EDTA;ヒスタミン;抗ヒスタミン:エリスロポエチン;抗カビ・菌剤;抗寄生生物剤;非コルチコステロイド抗炎症剤;抗凝固剤;麻酔薬;鎮痛薬;腫瘍剤;心血管薬;ビタミンおよび他の栄養補助剤;ホルモン;糖タンパク質;フィブロネクチン;ポリペプチドおよびタンパク質を含むペプチド;インターフェロン;軟骨誘導因子;プロテアーゼインヒビター;血管収縮薬、血管拡張薬、無機質除去骨または骨形態形成タンパク質;ホルモン;脂質;炭水化物;プロテオグリカン;アンチアンギオゲニン;
抗原;DBM;ヒアルロン酸およびその塩および誘導体;多糖;セルロース化合物およびその誘導体;抗体;遺伝子治療剤;遺伝的に改変された細胞、トランスホーミング増殖因子を含む間充識幹細胞を含む幹細胞、および/または他の細胞;細胞増殖因子;IおよびII型コラーゲン;エラスチン;硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、硫酸グルコサミン;pH調整剤;メチルスルホニルメタン(MSM);骨原性化合物;骨伝導性化合物;プラスミノーゲン;ヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ポリマー;骨原性タンパク質1(組換えOP−1を含むOP−1):LMP−1(リム鉱化タンパク質−1):軟骨;酸素−含有成分;酵素;メラトニン;ビタミン;および栄養物からなる群から選択される請求項68に記載のキット。
【請求項72】
フィブリノーゲンおよびトロンビンが凍結乾燥状態である請求項68に記載のキット。
【請求項73】
さらに導入針を含んでなる請求項69に記載のキット。
【請求項74】
ポリマー性カテーテルが、使用中に導入針の先端を越えて伸びないような寸法である、請求項69に記載のキット。
【請求項75】
フィブリノーゲン成分、トロンビン成分、少なくとも1つの添加物、および脊髄針または合成カテーテルまたは両方を提供することを含んでなるキットの製造法であって、キットがコルチコステロイドを排除し、そしてキットが円板に熱エネルギーを提供するデバイスを排除する上記方法。
【請求項76】
ポリマー性カテーテルが、使用中に導入針の先端を越えて伸びないような寸法である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
脊髄針が、使用中に導入針の先端を越えて伸びないような寸法である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
線維輪の少なくとも1つの欠損で、そこを通って髄核を漏出する哺乳動物の円板を処置するための製薬学的組成物の調製において、フィブリノーゲンを含んでなる第1溶液およびトロンビンを含んでなる第2溶液の使用であって、添加物を含有する溶液がフィブリノーゲン、トロンビンまたは両方のいずれかを再構成するために使用され、コルチコステロイドが第1および第2の溶液に不存在である上記使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−518944(P2008−518944A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539249(P2007−539249)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039277
【国際公開番号】WO2006/050269
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507141620)スピナル・レストレーシヨン・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】