説明

脚式移動ロボット

【課題】足部に帯電する静電気を効果的に放電して除去するようにした脚式移動ロボットを提供する。
【解決手段】基体と、2本の脚部と、そのそれぞれの先端に足関節を介して連結される足部22と、足部22と脚部の間に配置されて足関節を駆動する電動モータ20と、足部と脚部の間に配置されて足部22が接地する床面Fから作用する床反力を検出する6軸力センサ56とを少なくとも備えると共に、足部22に床面と接地するときの衝撃を緩衝する緩衝部材224を備えてなる脚式移動ロボットにおいて、足部22の緩衝部材224に導電部材226を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は脚式移動ロボットに関し、より具体的には足部に帯電する電荷を放電・除去するようにした脚式移動ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
脚式移動ロボットとしては、下記の特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の脚式移動ロボットは、基体と、基体に連結される2本の脚部と、そのそれぞれの先端に足関節を介して連結される足部とを備えると共に、足部と脚部の間に第2の関節を駆動する電動モータと、足部が接地する床面から作用する床反力を検出する力センサとを少なくとも備える。かかる脚式移動ロボットにおいて、足部はアルミニウム材などから製作される平板なフレームなどからなると共に、その底面には床面と接地するときの衝撃を緩衝するウレタンゴムからなる弾性材(緩衝部材)が貼られる。
【0003】
このような脚式移動ロボットは床面を移動するとき、弾性体と床面との摩擦、あるいは脚部などを構成するリンク間の摩擦などによって静電気を帯電することがあるが、従来、帯電した静電気を放電する技術として、下記の特許文献2から4に記載のものが知られている。特許文献2記載の技術は無人搬送車に関し、それに帯電した静電気の電位と、対象とするワークを積載した設備のそれとを等しくするため、接触板、接触子および導線よりなる接触機構(放電機構)を備えることを開示する。また、特許文献3から4記載の技術は、固定型の産業ロボットにおいて同様に帯電した静電気の放電・除去を図るように構成している。
【特許文献1】特開平9−94785号公報
【特許文献2】実開平6−09098号公報
【特許文献3】特開平11−138488号公報
【特許文献4】特開2001−267094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脚式移動ロボットにあっても、帯電した電気(電荷)は、その量によっては足部の上に配置された力センサにとってノイズとなるため、帯電した電荷を放電して除去することが望ましい。しかしながら、特許文献2から4記載の技術にあっては無人搬送車あるいは固定型の産業ロボットにおける電荷の放電および除去に関し、脚式移動ロボットについては何等対策するものではなかった。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、足部に力センサなどを備えた脚式移動ロボットにおいて、足部に帯電する静電気を効果的に放電して除去するようにした脚式移動ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、基体と、前記基体に連結される複数本の脚部と、前記複数本の脚部のそれぞれの先端に足関節を介して連結される足部と、前記足部と前記脚部の間に配置されて前記足関節を駆動する電動モータと、前記足部と前記脚部の間に配置されて前記足部が接地する床面から作用する床反力を検出する力センサとを少なくとも備えると共に、前記足部に前記床面と接地するときの衝撃を緩衝する緩衝部材を備えてなる脚式移動ロボットにおいて、前記足部の緩衝部材に導電部材を設ける如く構成した。
【0007】
請求項2に係る脚式移動ロボットにあっては、前記足部の緩衝部材が底面に張り付けられた弾性変形自在な部材からなると共に、前記導電部材が前記緩衝部材の内部に設けられる如く構成した。
【0008】
請求項3に係る脚式移動ロボットにあっては、前記緩衝部材が凹部を備えると共に、前記凹部に前記導電部材を収容し、よって前記弾性変形が生じたとき、前記導電部材が前記床面に接触するように構成されるようにした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る脚式移動ロボットにあっては、足部の床面と接地するときの衝撃を緩衝する緩衝部材に導電部材を設ける如く構成したので、足部に帯電した静電気を必要に応じて放電して除去することができ、それによって足部の上方に配置された力センサにとってノイズとなることがない。
【0010】
また、力センサなどは精度向上のため、周囲、例えば電動モータなどの磁界の影響を受けないように電動モータから絶縁されることが多いが、その結果、足部の上方は絶縁されることとなって、帯電した電荷は足部で蓄積される。帯電した電荷は電位の低い所に放電されるため、その放電エネルギによるショックで力センサの処理回路などを停止させたり、誤動作させる恐れがあるが、上記のように構成したことで、そのような不都合が生じることがない。
【0011】
請求項2に係る脚式移動ロボットにあっては、足部の緩衝部材が底面に張り付けられた弾性変形自在な部材からなると共に、導電部材が緩衝部材の内部に設けられる如く構成したので、上記した効果に加え、緩衝部材の衝撃緩衝動作を妨げることがないと共に、構造としてコンパクトになる。
【0012】
請求項3に係る脚式移動ロボットにあっては、緩衝部材が凹部を備えると共に、その凹部に導電部材を収容し、よって弾性変形が生じたとき、導電部材が床面に接触するように構成されるようにしたので、上記した効果に加え、歩行中に足部に荷重が加わって緩衝部材が弾性変形したときに接地して帯電した静電気を放電して除去させることで、万一、ロボットの基体などに収容したバッテリ源から漏電が生じても、足部に荷重が作用していない限り、床面にまで漏電することがない。
【0013】
また、導電部材は荷重が作用しない限り、凹部に収容されていることから、歩行中に床面と常時接触することがなく、従って導電部材が汚れることが少なく、よってその放電性能が低下することが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に即してこの発明に係る脚式移動ロボットを実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明の第1実施例に係る脚式移動ロボットを説明する。
【0016】
図1は第1実施例に係る脚式移動ロボットの正面図、図2はその側面図である。尚、脚式移動ロボットとしては、2足のヒューマノイド型(人間型)のロボットを例にとる。
【0017】
図1に示すように、脚式移動ロボット(以下「ロボット」という)1は、複数個(本)、より具体的には2個(本)の脚部2を備えると共に、その上方には基体(上体)3が設けられる。基体3のさらに上方には頭部4が形成されると共に、基体3の両側には2個(本)の腕部5が連結される。また、図2に示すように、基体3の背部には格納部6が設けられ、その内部には電子制御ユニット(後述)およびバッテリなどが収容される。尚、図1および図2に示すロボット1は、内部構造を保護するためのカバーで被覆される。
【0018】
図3はロボット1をスケルトンで示す説明図である。同図を参照してその内部構造を関節を中心に説明すると、図示の如く、ロボット1は、左右それぞれの脚部2および腕部5に、11個の電動モータで動力化された6個の関節を備える。
【0019】
即ち、ロボット1は、腰部(股部)の股関節に、脚部2を鉛直軸(Z軸あるいは鉛直軸)まわりに回転させる関節を駆動する電動モータ10R,10L(右側をR、左側をLとする。左右対称であることから、以下R,Lの表記を省略する)と、脚部2をピッチ(進行)方向(Y軸まわり)に揺動させる関節を駆動する電動モータ12と、脚部2をロール(左右)方向(X軸まわり)に回転させる関節を駆動する電動モータ14を備えると共に、膝部に脚部2の下部をピッチ方向(Y軸まわり)に回転させる膝関節を駆動する電動モータ16を備え、さらに足首に脚部2の先端側をピッチ方向(Y軸まわり)に回転させる足(足首)関節を駆動する電動モータ18とロール方向(X軸まわり)に回転させる足(足首)関節を駆動する電動モータ20を備える。
【0020】
上記したように、図3において、関節はそれを駆動する電動モータ(あるいは電動モータに接続されてその動力を伝動するプーリなどの伝動要素)の回転軸線で示す。尚、脚部2の先端には足部(足平)22が取着される。
【0021】
このように、脚部2の股関節には電動モータ10,12,14がそれらの回転軸線が直交するように配置されると共に、足関節(足首関節)には電動モータ18,20がそれらの回転軸線が直交するように配置される。尚、股関節と膝関節は大腿リンク24で、膝関節と足関節は下腿リンク26で連結される。
【0022】
脚部2は股関節を介して基体3に連結されるが、図3では基体3を基体リンク28として簡略的に示す。前記したように、基体3には腕部5が連結される。
【0023】
腕部5も、脚部2と同様に構成される。即ち、ロボット1は、肩部の肩関節に、腕部5をピッチ方向に回転させる関節を駆動する電動モータ30とロール方向に回転させる関節を駆動する電動モータ32を備えると共に、その自由端側を回転させる関節を駆動する電動モータ34と、肘部にそれ以降の部位を回転させる関節を駆動する電動モータ36を備え、さらにその先端側にそれを回転させる手首関節を駆動する電動モータ38を備える。手首の先にはハンド(エンドエフェクタ)40が取着される。
【0024】
即ち、腕部5の肩関節には電動モータ30,32,34がそれらの回転軸線が直交するように配置される。尚、肩関節と肘関節とは上腕リンク42で、肘関節と手首関節とは下腕リンク44で連結される。
【0025】
図示は省略するが、ハンド40は5本のフィンガ(指)40aの駆動機構を備え、フィンガ40aで物を把持するなどの作業ができるように構成される。
【0026】
また、頭部4は、鉛直軸まわりの電動モータ(首関節を構成)46と、それと直交する軸まわりに頭部4を回転させる頭部揺動機構48を介して基体3に連結される。図3に示す如く、頭部4の内部には2個のCCDカメラ50がステレオ視自在に配置されると共に、音声入出力装置52が配置される。
【0027】
上記の構成により、脚部2は左右の足について6個の関節を備えて合計12の自由度を与えられ、6個の関節を適宜な角度で駆動(関節変位)することで、脚部2に所望の動きを与えることができ、ロボット1を任意に3次元空間において歩行させることができる。また、腕部5も左右の腕について5個の関節を備えて合計10の自由度を与えられ、5個の関節を適宜な角度で駆動(関節変位)することで所望の作業を行わせることができる。さらに、頭部4は2つの自由度からなる関節あるいは揺動機構を与えられ、これらを適宜な角度で駆動することにより所望の方向に頭部4を向けることができる。
【0028】
電動モータ10などのそれぞれにはロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、電動モータの回転軸の回転を通じて対応する関節の角度、角速度、および角加速度の少なくともいずれかを示す信号を出力する。尚、電動モータ10などは具体的には、DCサーボモータからなる。
【0029】
足部22には公知の6軸力センサ(以下「力センサ」という)56が取着され、ロボットに作用する外力の内、接地面からロボット1に作用する床反力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。尚、力センサ56は公知の如く、荷重を伝達する2つのフランジ部を連結すると共に、そこに複数のひずみ検出素子を取り付けてなり、それらの出力信号に基づいてセンサ基準点に作用する力やモーメントの各成分を算出して出力する構造を備える。
【0030】
手首関節とハンド40の間には同種の力センサ(6軸力センサ)58が取着され、ロボット1に作用する床反力以外の外力、具体的にはハンド40に対象物から作用する外力(対象物反力)の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
【0031】
基体3には傾斜センサ60が設置され、鉛直軸に対する基体3の傾き(傾斜角度)とその角速度の少なくともいずれか、即ち、ロボット1の基体3の傾斜(姿勢)などの状態量を示す信号を出力する。
【0032】
これら力センサ56などの出力群は、格納部6に収容されたマイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(Electric Control Unit 。以下「ECU」という)70に送られる(図示の便宜のためロボット1の右側についてのみ、入出力を図示する)。ECU70はCPU、メモリおよび入出力インターフェースなどからなるマイクロコンピュータを備え、ロボット1が安定な姿勢で移動できるように、関節角変位指令を算出して各関節を構成する電動モータ10などの駆動を制御する。格納部6には、電動モータ10などの駆動回路(モータドライバ)72が回路ユニットとして収容されると共に、無線系74とバッテリ76も収容される。
【0033】
ECU70は、無線系74を介して同様にマイクロコンピュータからなる操作用ECU78と通信自在に接続される。操作用ECU78は操作用ユーザI/F78aを備え、ユーザ(操作者)が操作用ユーザI/F78aから入力した緊急停止などのコマンドは、無線系74を通じてECU70に送られる。
【0034】
上記した構成において、ECU70はそのメモリに格納された歩容パラメータに基づいてロボット1の歩行(移動)に歩容を生成し、生成された歩容に基づいて各関節の変位量(駆動量)を決定し、決定された変位量となるように駆動回路72を介して該当する電動モータを駆動する。また、ECU70は、操作用ECU78を介して操作コマンドが入力されたとき、それに応じて停止などの動作を行なう。
【0035】
本願の特徴は、上記したロボット1において、足部22に帯電した静電気を放電して除去するようにした構成にあるので、以下、それについて説明する。
【0036】
図4は、図1から図3に示す足部22の付近の構造を模式的に示す、足部22の付近の側面図、図5はその底面図である。尚、足部22の構造は具体的には、特許文献1に記載される構造に類似するものである。
【0037】
図4に示す如く、足部22と脚部2の間、より具体的には足部22と脚部2を構成する下腿リンク26の間には、足関節を構成する電動モータの1つである電動モータ20が配置されると共に、その下部には力センサ56が配置される。力センサ56は、検出精度を上げるため、上方の電動モータ20と下部の足部22の間で絶縁材220を介して絶縁される。
【0038】
足部22は、アルミニウムなどの金属材(導電材)からなる平板なフレーム222を備えると共に、その下部の床面Fと接触する底面には、弾性変形自在な素材、例えばウレタンゴム材からなる緩衝部材(弾性体)224が貼られる。緩衝部材224は、足部22が床面Fと接地するとき(荷重が作用するとき)、図6に示す如く、弾性変形し、足部22を介してロボット1に作用する衝撃を緩和する。
【0039】
緩衝部材224には、図5に示す如く、足部22の長手方向中心線(破線)を境としてその両側に2箇所ずつ、計4箇所において凹部(切り欠き)224aが穿設され、その内部に導電部材226が収容される。導電部材は銅など導電性に優れた金属材からなり、その一端(一面)はフレーム222に接触すると共に、その他端(多面)は、緩衝部材224の表面から内方に後退して位置するように、緩衝部材224の内部に設けられる(配置される)。尚、導電部材として導電性ゴム材を用いても良い。
【0040】
即ち、導電部材226は、緩衝部材224の凹部224aに収容され、ロボット1が歩行するとき、図6に示す如く、足部22が着地したときの荷重によって緩衝部材224が弾性変形して収縮したとき、床面Fと接触し、図6(および図4)に矢印で示す如く、足部22のフレーム222および緩衝部材224に帯電している静電気を床面Fに(さらにはその下部の床材へと)放電して除去するように構成される。
【0041】
床面Fは、通常、マットあるいは樹脂材などが敷き詰められていることから、床面Fは導電体からは製作されていない。しかしながら、静電気も電気の一種であるので、より電位の低い方に流れようとする。床面Fは導電体ではないとしても、その下部には床材や柱などの建物の構造物を介して電位零の大地があるので、結果として、図7に示す如く、足部22に帯電している静電気は、床面Fに向かって流れようとする。また、床面Fは導電体ではないとしても、完全絶縁体ではないので、エネルギ的には微小な静電気ならば、十分に放電できると考えられる。
【0042】
仮に、床面Fの抵抗値を1MΩ、静電気の帯電圧を4kVとすると、4kV/1MΩ=4mAとなり、その値まで放電可能となる。しかしながら、微小エネルギである静電気ではこの値まで流れることがないことから、よって上記した構成によって足部22に帯電した静電気は床Fに十分放電できると考えられる。
【0043】
このように、この実施例に係るロボット1にあっては、足部22の床面Fと接地するときの衝撃を緩衝する緩衝部材224に導電部材226を設ける如く構成したので、足部22に帯電した静電気を必要に応じて放電して除去することができ、それによって足部22の上方に配置された力センサ56にとってノイズとなることがない。
【0044】
図8は、この実施例に係るロボット1の帯電電圧を従来技術(特許文献1に示す)と比較して示す説明グラフである。従来技術にあっては帯電電圧が経時的に増加するのに対し、この実施例にあっては上記の如く構成したことで、帯電電圧は増加することなく、微小な一定に保たれる。尚、図8に示す特性は、床面Fの材質や湿度によって変化することはいうまでもない。
【0045】
また、力センサ56を精度向上のため、図4に示す如く、周囲、例えば電動モータ20の磁界の影響を受けないように電動モータ20から絶縁されるように構成した場合、足部22の上方は絶縁されることとなって、帯電した電荷は足部22で蓄積される。帯電した電荷は電位の低い所に放電されるため、その放電エネルギによるショックで力センサの処理回路などを停止させたり、誤動作させる恐れがあるが、上記のように構成したことで、そのような不都合が生じることがない。
【0046】
また、足部22の緩衝部材224が底面に張り付けられた弾性変形自在な部材(ウレタンゴムなど)からなると共に、導電部材226が緩衝部材224の内部に設けられる如く構成したので、上記した効果に加え、緩衝部材224の衝撃緩衝動作を妨げることがないと共に、構造としてコンパクトになる。
【0047】
また、緩衝部材224が凹部224aを備えると共に、その凹部224aに導電部材226を収容し、よって弾性変形が生じたとき、導電部材226が床面Fに接触するように構成されるようにしたので、上記した効果に加え、歩行中に足部22に荷重が加わって緩衝部材224が弾性変形したときに接地して帯電した静電気を放電して除去させることで、万一、ロボット1の基体2などに収容したバッテリ76などからの漏電が生じても、足部22に荷重が作用していない限り、床面Fにまで漏電することがない。
【0048】
また、導電部材226は荷重が作用しない限り、凹部224aに収容されていることから、歩行中に床面Fと常時接触することがなく、従って導電部材226は汚れることが少なく、よってその放電性能が低下することが少ない。
【実施例2】
【0049】
図9は、この発明の第2実施例に係る脚式移動ロボット、より具体的にはその足部22の付近の構造を示す、図4と類似する足部22の付近の側面図である。
【0050】
第1実施例と相違する点に焦点をおいて説明すると、第2実施例にあっては、緩衝部材224を導電性ゴム材から製作するようにした。即ち、ゴムの中にカーボンブラックなどの導電材226aを添加してなる材料から緩衝部材224を製作するようにした(図で導電材226aを誇張して示す)。従って、緩衝部材224は導電部材226と一体に製作、換言すれば、緩衝部材224に導電部材226を、あるいは緩衝部材224の内部に導電部材226を設けるように構成した。
【0051】
第2実施例においては上記の如く構成したことで、緩衝部材224が床面Fと接触している限り、帯電した静電気が放電され続ける。最初に述べた如く、静電気の帯電は歩行時の緩衝部材224と床面Fとの摩擦などによって生じるが、ロボット1の歩行時、足部22は交互に床面Fに接触するので、第2実施例においては、実際には、静電気の帯電がほとんど生じないことになる。
【0052】
このように第2実施例に係るロボット1においては、第1実施例のように荷重が作用したときのみ放電される構成とは若干異なるものの、静電気が帯電しない、あるいは帯電しても直ちに放電して除去されるので、第1実施例で述べたとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0053】
尚、導電性ゴムに代え、導電性樹脂、即ち、導電性のない高分子マトリックスの中に導電性のある金属や金属繊維、カーボンブラック、グラスファイト、炭素繊維、銀粒子などを混合・分散させたものを用いても良い。
【0054】
また、上記において力センサの例として6軸力センサを示したが、それに限られるものではなく、足部を介してロボットに作用する床反力を検出するものならば、どのようなものでも良い。
【0055】
また、脚式移動ロボットとして2足ロボットを例示したが、それに限られるものではなく、3足以上のロボットであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の第1実施例に係る脚式移動ロボットの正面図である。
【図2】図2に示すロボットの側面図である。
【図3】図1および図2に示すロボットをスケルトンで示す説明図である。
【図4】図1に示すロボットの足部付近の構造を模式的に示す、足部付近の側面図である。
【図5】図4に示す足部の底面図である。
【図6】図4に示す足部に荷重が作用した状態を示す、足部の側面図である。
【図7】図4に示す足部において帯電した静電気の床への放電を説明する説明図である。
【図8】図4に示す足部の構造の効果を示す説明グラフである。
【図9】この発明の第2実施例に係る脚式移動ロボットを示す、図4と同様の足部付近の側面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 脚式移動ロボット(ロボット)
2 脚部
3 基体
20 電動モータ
22 足部
56 6軸力センサ(力センサ)
224 衝撃緩衝部材
224a 凹部
226 導電部材
226a 導電材
F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体に連結される複数本の脚部と、前記複数本の脚部のそれぞれの先端に足関節を介して連結される足部と、前記足部と前記脚部の間に配置されて前記足関節を駆動する電動モータと、前記足部と前記脚部の間に配置されて前記足部が接地する床面から作用する床反力を検出する力センサとを少なくとも備えると共に、前記足部に前記床面と接地するときの衝撃を緩衝する緩衝部材を備えてなる脚式移動ロボットにおいて、前記足部の緩衝部材に導電部材を設けたことを特徴とする脚式移動ロボット。
【請求項2】
前記足部の緩衝部材が底面に張り付けられた弾性変形自在な部材からなると共に、前記導電部材が前記緩衝部材の内部に設けられることを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボット。
【請求項3】
前記緩衝部材が凹部を備えると共に、前記凹部に前記導電部材を収容し、よって前記弾性変形が生じたとき、前記導電部材が前記床面に接触するように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の脚式移動ロボット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−82200(P2006−82200A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271614(P2004−271614)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】