説明

脚部付きケース及び記録装置並びに電子機器

【課題】ケースが落下した場合や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくい構造の脚部を有した脚部付きケース等を提供する。
【解決手段】ケース2と、前記ケース2を支持する脚部3と、前記脚部3の状態を設定する脚部設定手段4と、を備えた脚部付きケース1であって、前記脚部3は、前記ケース2の下面5よりもケースの外側に突出する状態と前記ケース2の内側に位置されてケース2の下面5よりもケースの外側に突出しない状態とに可変可能に設けられた剛脚8と、前記ケース2の下面5に固定されて前記剛脚よりも剛性の低い柔脚9と、を備え、前記脚部設定手段4は、前記剛脚8を前記ケース2の下面5よりもケースの外側に突出する状態と前記ケース2の内側に位置されてケース2の下面5よりもケースの外側に突出しない状態とに設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面に脚部を備えた脚部付きケース等に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースの落下時の衝撃、即ち、ケースに対して下から力が加わった場合に当該力を吸収してケースへの衝撃を緩和する構造の脚部を有した脚部付きケースを備えた記録装置としてのプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の脚部付きケースによれば、落下時の衝撃は緩和されるが、ケースが設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わった場合、ケース内に取付けられた部品に力が伝達されてしまう。例えば、上述した脚部付きケースを備えたプリンターにおいては、ケースが設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わった場合、当該力が印刷ヘッドに伝達され、印刷ヘッドに設けられたノズルからインク滴が漏出してノズルのメニスカスが崩れることがあり、メニスカスが崩れた状態で次に印刷が行われた場合、漏出したインク滴の分だけ記録されるべきドットにインク滴が吐出されず、ドットが形成されないドット抜けという現象が生じるおそれがある。
即ち、従来の脚部付きケースによれば、設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わると、脚部が振動してしまい、当該力が設置部に逃げずにケース内に取付けられた部品に伝達されてしまうという課題があった。
本発明は、ケースが落下した場合や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくい構造の脚部を有した脚部付きケース等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る脚部付きケースは、ケースと、前記ケースを支持する脚部と、前記脚部の状態を設定する脚部設定手段と、を備えた脚部付きケースであって、前記脚部は、前記ケースの下面よりもケースの外側に突出する状態と前記ケースの内側に位置されてケースの下面よりもケースの外側に突出しない状態とに可変可能に設けられた剛脚と、前記ケースの下面に固定されて前記剛脚よりも剛性の低い柔脚と、を備え、前記脚部設定手段は、前記剛脚を前記ケースの下面よりもケースの外側に突出する状態と前記ケースの内側に位置されてケースの下面よりもケースの外側に突出しない状態とに設定するので、ケースが落下した場合に受ける力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくくなる。
前記脚部設定手段は、前記ケースの下面とケース内の底面とを貫通するように形成された剛脚出入用貫通孔と、前記剛脚を前記ケースの下面よりもケースの外側に突出させない剛脚非動作状態に保持する剛脚引張手段と、前記剛脚を前記剛脚引張手段に抗して押下げることにより、前記剛脚の下面が前記剛脚出入用貫通孔を通過して設置部と接触しかつ前記剛脚の一部が前記ケースと接触する剛脚動作状態に剛脚を設定する剛脚設定手段と、前記ケースに設けられた開閉体の開動作に連動して前記剛脚設定手段を押圧することにより前記剛脚が前記剛脚動作状態となるように前記剛脚設定手段を動作させる押圧手段と、前記剛脚設定手段と連結され、前記開閉体が開いた状態からの前記開閉体の閉動作の開始から所定時間の間、前記剛脚が前記剛脚動作状態を維持するように前記剛脚設定手段の状態を維持させる遅延設定手段と、を備えたので、開閉体を閉じた際にケースに加わる力が剛脚を介して設置部に伝達されるので、開閉体を閉じた際にケースに加わる力がケース内の部品に伝達されにくくなる。
本発明に係る記録装置は、前記脚部付きケースと、脚部付きケースの内側に取付けられた印刷ヘッドとを備え、前記剛脚が前記印刷ヘッドの移動経路の下に位置するように設けられたので、ケースに加わる力を移動経路を移動する印刷ヘッドの位置に近い位置において剛脚を介して設置部に逃すことができ、印刷ヘッドの位置に近い位置のケースの変形を抑えることができるので、印刷ヘッドが動いてしまうことを効果的に防止できるようになり、印刷ヘッドのドット抜け防止効果を高めることができる。
本発明に係る記録装置は、前記脚部付きケースと、脚部付きケースの内側に取付けられた印刷ヘッドとを備え、前記剛脚が前記印刷ヘッドの非印刷時の停止位置の下に位置するように設けられたので、ケースに加わる力を停止している印刷ヘッドの位置に近い位置において剛脚を介して設置部に逃すことができ、印刷ヘッドの位置に近い位置のケースの変形を抑えることができるので、印刷ヘッドが動いてしまうことを効果的に防止できるようになり、印刷ヘッドのドット抜け防止効果を高めることができる。
本発明に係る電子機器は、前記脚部付きケースを備えたので、ケースが落下した場合に受ける力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】脚部付きケースを備えたプリンターの断面図(実施形態1)。
【図2】(a)はプリンターの脚部設定手段を示す斜視図、(b)はプリンターのケースの下面を見た図(実施形態1)。
【図3】脚部設定手段の動作説明図(実施形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1の脚部付きケース1を備えた記録装置としてのプリンター30は、脚部付きケース1のケース2の内側に、プリンター機能構成部品としてのキャリッジ機構31、図外の印刷対象物搬送機構、その他のプリンター機能構成部品が取付けられ、かつ、開閉体32がヒンジ33を介して開閉可能にケース2に取り付けられて構成される。
【0009】
キャリッジ機構31は、インクを吐出する印刷ヘッド34を搭載したキャリッジ35と、キャリッジガイド手段36と、図外のキャリッジ駆動機構とを備える。
キャリッジガイド手段36は、例えば、キャリッジ35をガイドする案内軸37及びフレーム38により形成され、キャリッジ35は、案内軸37及びフレーム38に沿って往復移動可能なように構成される。例えば、フレーム38はケース2内の底面6に固定されており、案内軸37の両端がフレーム38に固定されている。
図示しないが、キャリッジ駆動機構は、フレーム38に固定されたキャリッジ駆動用のモーターと、モーター軸に固定された駆動プーリーと、キャリッジ支持フレームに回転可能に取付けられた従動プーリーと、駆動プーリーと従動プーリーとに掛け渡されて、かつ、キャリッジ35に連結されたタイミングベルトとを備える。
印刷ヘッド34には、キャリッジ35に着脱可能に装着される図外のインクカートリッジ、又は、キャリッジ35外に装着される図外のインクカートリッジからのインクが供給される。
キャリッジ駆動用のモーターにより駆動プーリーが回転し、キャリッジ35が取付けられたタイミングベルトのベルト部分が駆動プーリーと従動プーリーとの間の所定領域を往復移動することにより、キャリッジ35が所定領域を往復移動可能に構成される。
【0010】
開閉体32の一例としては、例えば自動給紙機構(ADF)付きのスキャナー部を備えた開閉体、スキャナー部の原稿載置部を開閉する開閉体等である。
【0011】
プリンター30の図外の制御手段が、図外の搬送手段に図外の紙等の印刷対象物をケース2内に取り込ませる動作を行わせるとともにキャリッジ駆動機構にキャリッジ35の移動動作を行わせ、かつ、印刷対象物に印刷を行うよう印刷ヘッド34を制御する。
【0012】
図1;2に示すように、脚部付きケース1は、ケース(筐体)2と、脚部3と、脚部3の状態を設定する脚部設定手段4とを備える。
【0013】
ケース2は、例えば、合成樹脂により形成され、内部には、上述したようにプリンター機能構成部品が取付けられる。ケース2には、開閉体32がヒンジ33を介して開閉可能に取り付けられている。
さらに、ケース2は、ケース2の下面5とケース2内の底面6とを貫通するように形成された剛脚出入用貫通孔7を備える。
【0014】
前記脚部3は、剛脚8と、剛脚よりも剛性の低い柔脚9とを備える。
剛脚8は、硬質合成樹脂、硬質ゴム、金属等の剛性の高い材料により形成され、例えば、図2(b)に示すように、印刷ヘッド34の移動経路の下の位置39に位置するように少なくとも1つ設けられる。剛脚8は、少なくとも、印刷ヘッド34のホームポジションと呼ばれる非印刷位置の真下位置40に位置するように設けられることが好ましい。より好ましくは、インク交換時にキャリッジ35が停止する際の印刷ヘッド34の位置の真下位置41にも設けられることが好ましい。即ち、ケース2の下面5において印刷ヘッド34の非印刷時の停止位置の下に位置する個所に剛脚8を設けることが好ましい。
剛脚8は、例えば、中心軸線が一致する同軸状の下部小径柱体部10と上部大径部11とを備えた構成に形成され、押圧面となる後述の傾斜板部24の下面24bと接触する受圧面となる上部大径部11の上面部11aは例えば球面に形成される。下部小径柱体部10と上部大径部11との境界に位置する段差面12は、例えば、下部小径柱体部10の上端縁の周囲を取り囲む環状面により形成される。段差面12は、剛脚8を形成する下部小径柱体部10及び上部大径部11の中心軸線と直交する平面に形成される。例えば、剛脚出入用貫通孔7が円形孔であれば、下部小径柱体部10が円柱により形成されて当該円柱の円径寸法は剛脚出入用貫通孔7の円径寸法よりも小さい寸法(例えば、数mm程度小さい寸法)に形成され、かつ、上部大径部11が半球に形成されて当該半球の直径寸法は剛脚出入用貫通孔7の円径寸法よりも大きい寸法(例えば、数cm程度大きい寸法)に形成される。この場合、半球の球面が上部大径部11の上面部11aを形成し、かつ、半球の平面の中央部に下部小径柱体部10の一端が位置されて半球の平面の周縁面である環状面が段差面12を形成する。尚、後述するように、段差面12とケース2内の底面6とが接触した場合に、剛脚8の下面8aとなる下部小径柱体部10の下面と設置台等の設置部13とが接触するように、下部小径柱体部10の高さ寸法が設定される。
剛脚8は、脚部設定手段4の作動によって、剛脚出入用貫通孔7を介してケース2の下面5よりもケース2の外側に突出する状態と、ケース2の内側に位置されて下面5よりもケース2の外側に突出しない状態とに可変可能に設定される。
柔脚9は、剛脚8よりも柔らかい材料、例えば、ゴムのような弾性部材により構成され、ケース2の下面5に固定される。例えば、図2(b)に示すように、ケース2の矩形状の下面5の4つの角隅部5aにそれぞれ柔脚9が設けられる。
【0015】
脚部設定手段4は、前記剛脚8を、前記ケース2の下面5よりもケース2の外側に突出する状態と、前記ケース2の内側に位置されて下面5よりもケース2の外側に突出しない状態とに設定する手段である。
【0016】
脚部設定手段4は、上述した剛脚出入用貫通孔7と、剛脚引張手段15と、剛脚設定手段16と、押圧手段17と、遅延設定手段18とを備える。
【0017】
剛脚引張手段15は、剛脚8をケース2の下面5よりもケース2の外側に突出させない剛脚非動作状態に保持する手段である。
即ち、剛脚8は、ケース2の下面5よりもケース2の外側に突出しないように剛脚引張手段15の一例としての引張りばねにより保持されている。例えば、引張りばねの一端がケース2に固定された支持部15aに連結され、引張りばねの他端が剛脚8に連結されている。剛脚8は、剛脚引張手段15によって、剛脚8の中心軸線と剛脚出入用貫通孔7の中心軸線とが一致した状態に保持される。
【0018】
剛脚設定手段16は、剛脚8を剛脚引張手段15に抗して押下げることにより、剛脚8の下面8aが剛脚出入用貫通孔7を通過して設置部13と接触し、かつ、剛脚8の一部である段差面12がケース2内の底面6と接触する剛脚動作状態に剛脚8を設定する手段である。
剛脚設定手段16は、例えば、段差が付けられた段差部材20と、受板21とを備える。
段差部材20は、ケース2の下面5よりもケース2の外側に突出しないように剛脚引張手段15で保持された剛脚8の上方に位置する上板部22と、ケース2の下面5よりも下方に突出しないように剛脚引張手段15で保持された剛脚8の上端よりも下方に位置する下板部23と、上板部22の他端と下板部23の一端とを連結する傾斜板部24とを備える。傾斜板部24の傾斜は、下板部23の一端から上板部22の一端22aが位置する方向に向けて上がるように傾斜する傾斜である。即ち、下板部23と上板部22とが傾斜板部24により連結されたことで下板部23と上板部22との間に傾斜板部24による段差が設けられた構成である。段差部材20は、剛脚8の上面部11aに接触する上板部22の下面22bと下板部23の下面23bとが水平を維持しながら移動できるように図外のガイドにより移動可能に保持されている。
受板21は、下板部23の他端23aに連結されて例えば上方に垂直に延長する板により形成される。
【0019】
押圧手段17は、開閉体32の開閉に伴ってヒンジ33の回転中心を中心として回転するように開閉体32に設けられ、ヒンジ33の回転中心を中心として回転することにより受板21を押圧する部材である。即ち、押圧手段17は、ケース2に設けられた開閉体32の開動作に連動して剛脚設定手段16の受板21を押圧することにより剛脚8が剛脚動作状態となるように剛脚設定手段16を動作させる手段である。
【0020】
遅延設定手段18は、剛脚設定手段16の上板部22の一端22aと連結され、開閉体32が開いた状態からの開閉体32の閉動作の開始から所定時間の間、剛脚8が剛脚動作状態を維持するように剛脚設定手段16の状態を維持させる手段である。
遅延設定手段18としては、例えば、ばね25とばね25の動きを減衰させるダンパー26とを備えた構成のものを用いる。
【0021】
脚部付きケース1の動作を説明する。
初期状態(開閉体32が閉じられ、かつ、遅延設定手段18による遅延時間が経過した状態)では、剛脚8は、ケース2の下面5よりもケース2の外側に突出しないように剛脚引張手段15で保持された状態である。この初期状態においては、剛脚8の上方に上板部22が位置された状態である(図3(a);(e)参照)。よって、初期状態においては、脚部3として柔脚9のみがケース2の下面5より突出している状態であるので、プリンター30を設置部13上に落下させた場合等に柔脚9が設置部13から受ける力は柔脚9の弾性により吸収され、落下時の衝撃がケース2やフレーム38(図1参照)や案内軸37を介してキャリッジ35及び印刷ヘッド34に伝達されるのを防止できるので、印刷ヘッド34のドット抜けを防止できる。
【0022】
また、図3(a)に示すように開閉体32が閉じられた状態で柔脚9と設置部13と接触させてプリンター30が設置部13に設置された初期状態から、開閉体32を開いていくことにより、開閉体32の開動作に連動して押圧手段17が回転し、押圧手段17が剛脚設定手段16を押すと、剛脚設定手段16がヒンジ33の設けられているケース2の後壁2fと対向するケース2の前壁2g側に向けて水平方向に移動する。この際、剛脚設定手段16により遅延設定手段18に加えられる力が遅延設定手段18に蓄えられていく。そして、剛脚設定手段16の傾斜板部24の下面24b(押圧面)と剛脚8の上面部11a(受圧面)とが接触することにより、剛脚8が下方に押圧され剛脚8が剛脚引張手段15に抗して下方に移動する。即ち、剛脚8の下面8aが剛脚出入用貫通孔7を通過してケース2の下面5より下方に突出する。そして、開閉体32を最大開状態まで開く前の段階で、下板部23の下面23bと剛脚8の上面部11aとが接触し(図3(b)参照)、剛脚8は、剛脚8の下面8aと設置部13とが接触するととともに段差面12とケース2内の底面6とが接触した剛脚動作状態となる。つまり、図3(b)に示すように開閉体32を開くことができる最大開状態まで開いた際には、剛脚8は、既に剛脚動作状態となっているように構成される。よって、開閉体32を最大開状態まで開いた際にケース2に加わる力(衝撃)を、剛脚8を介して設置部13に逃すことができてケース2の変形を抑えることができるので、ケース2が変形してしまうことによって印刷ヘッド34が動いてしまうことを防止でき、印刷ヘッド34のドット抜けを防止できる。
【0023】
また、図3(c)に示すように開閉体32を最大開状態から閉じていくと、押圧手段17がケース2の後壁2f側に回転して剛脚設定手段16から離れる方向に移動するが、剛脚設定手段16は遅延設定手段18の作用によって遅れてケース2の後壁2f側に戻る。そして、図3(d);(e)に示すように開閉体32が完全に閉じられてから遅延設定手段18で設定された遅延時間が経過したならば、剛脚設定手段16の下板部23が剛脚8の上面部11aを通過するので、剛脚8が剛脚引張手段15により上方に引き上げられてケース2の下面5よりも下方に突出しないように剛脚引張手段15で保持された状態となり、剛脚設定手段16の受板21が押圧手段17と接触する初期状態に戻る。
即ち、脚部設定手段4は、開閉体32が開かれてから開閉体32が閉じられた後、遅延設定手段18で設定された遅延時間が経過するまでの間、剛脚8を剛脚動作状態に設定する手段である。
よって、開閉体32を閉じた際にケース2に加わる力を、剛脚8を介して設置部13に逃すことができてケース2の変形を抑えることができるので、ケース2が変形してしまうことによって印刷ヘッド34が動いてしまうことを防止でき、印刷ヘッド34のドット抜けを防止できる。
【0024】
実施形態1のプリンター30は、脚部付きケース1を備えるので、例えば、プリンター30を設置部13に設置する際にプリンター30を落下させてしまった場合等、柔脚9により落下時の衝撃を吸収できるので、設置部13から受ける力がケース2やフレーム38や案内軸37等を介して印刷ヘッド34に伝達されるのを防止でき、印刷ヘッド34のドット抜けを防止できるようになる。
また、ケース2が設置部13に設置された状態において、自動給紙機構(ADF)付きのスキャナー部を備えた比較的重い開閉体等の開閉体32の開閉時にケース2に加わる力を剛脚8を介して設置部13に逃すことができてケース2の変形を抑えることができるので、ケース2が変形してしまうことによって印刷ヘッド34が動いてしまうことを防止でき、印刷ヘッド34のドット抜けを防止できるようになる。
特に実施形態1では、剛脚8を、印刷ヘッド34の移動経路の下の位置39に位置するように少なくとも1つ設けたので、開閉体32の開閉時にケース2に加わる力を移動経路を移動する印刷ヘッド34の位置に近い位置において剛脚8を介して設置部13に逃すことができ、印刷ヘッド34の位置に近い位置のケース2の変形を抑えることができるので、印刷ヘッド34が動いてしまうことをより効果的に防止できるようになり、印刷ヘッド34のドット抜け防止効果を高めることができる。
さらに、剛脚8を、ケース2の下面5において印刷ヘッド34の非印刷時の停止位置の下に位置する個所、例えば、印刷ヘッド34が停止するホームポジションの真下位置40やインク交換時に印刷ヘッド34が停止する位置の真下位置41に設ければ、印刷ヘッド34が停止している時に開閉体32を開閉した場合に、開閉体32の開閉時にケース2に加わる力を停止している印刷ヘッド34の位置に近い位置において剛脚8を介して設置部13に逃すことができ、印刷ヘッド34の位置に近い位置のケース2の変形を抑えることができるので、印刷ヘッド34が動いてしまうことをより効果的に防止できるようになり、印刷ヘッド34のドット抜け防止効果を高めることができる。
従って、特許文献1のプリンターと比べて、ドット抜け防止効果に優れたプリンターを得ることができる。
【0025】
尚、剛脚8の上面部11aに傾斜面(ケース2の後壁2fからケース2の前壁2gに向けて立ち上がる傾斜面)を設け、下板部23の一端が当該傾斜面に接触しながら移動することで剛脚8を下方に移動させる構成としてもよい。この場合、上板部22の他端と下板部23の一端とがこれら上板部22及び下板部23と垂直な板により連結された段差部材20を用いることができる。
【0026】
実施形態2
実施形態1では、開閉体32の開閉と連動する押圧手段17を設けたが、電気制御によって、剛脚8をケース2の下面5よりもケースの外側に突出する状態とケース2の内側に位置されてケース2の下面5よりもケース2の外側に突出しない状態とに設定する構成としてもよい。
例えば、図示しないが、開閉体32の開閉を検出するセンサと、押圧手段と、センサから開閉体32が開いたことを示す信号を入力した場合に、押圧手段を起動させて剛脚を剛脚動作状態に設定する制御手段を備えた構成としてもよい。
【0027】
実施形態3
実施形態1では、水平方向に移動して剛脚8に接触する剛脚設定手段16を設けたが、垂直方向に移動したり、回転運動する剛脚設定手段を設け、かつ、開閉体32に連動して当該剛脚設定手段を押圧することにより剛脚設定手段を垂直方向に移動させたり回転運動させるような押圧手段を設けてもよい。
【0028】
実施形態4
実施形態1では、開閉体32の開閉と連動する押圧手段17を設けたが、剛脚8をケース2の下面5よりもケースの外側に突出する状態とケース2の内側に位置されてケース2の下面5よりもケース2の外側に突出しない状態とに設定するための切替操作レバーのような操作部材を設けて、この操作部材を手動で操作する構成としてもよい。
【0029】
本発明の脚部付きケース1は、内部に機械部品や電子部品等の振動を嫌う部品が取付けられるケースに使用できて振動抑制効果を発揮する。例えば、上述したプリンター、あるいは、ファクシミリ、複写機、スキャナー装置等の電子機器のケースとして使用できて振動抑制効果を発揮し、脚部付きケース1が落下した場合や脚部付きケース1が設置部13に設置された状態においてケース2に加わる力が、ケース2内の部品に伝達されにくくなるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0030】
1 脚部付きケース、2 ケース、3 脚部、4 脚部設定手段、
5 ケースの下面、6 ケース内の底面、7 剛脚出入用貫通孔、8 剛脚、9 柔脚、15 剛脚引張手段、16 剛脚設定手段、17 押圧手段、
18 遅延設定手段、30 プリンター、32 開閉体、34 印刷ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースを支持する脚部と、前記脚部の状態を設定する脚部設定手段と、を備えた脚部付きケースであって、
前記脚部は、前記ケースの下面よりもケースの外側に突出する状態と前記ケースの内側に位置されてケースの下面よりもケースの外側に突出しない状態とに可変可能に設けられた剛脚と、前記ケースの下面に固定されて前記剛脚よりも剛性の低い柔脚と、を備え、
前記脚部設定手段は、前記剛脚を前記ケースの下面よりもケースの外側に突出する状態と前記ケースの内側に位置されてケースの下面よりもケースの外側に突出しない状態とに設定することを特徴とする脚部付きケース。
【請求項2】
前記脚部設定手段は、
前記ケースの下面とケース内の底面とを貫通するように形成された剛脚出入用貫通孔と、
前記剛脚を前記ケースの下面よりもケースの外側に突出させない剛脚非動作状態に保持する剛脚引張手段と、
前記剛脚を前記剛脚引張手段に抗して押下げることにより、前記剛脚の下面が前記剛脚出入用貫通孔を通過して設置部と接触しかつ前記剛脚の一部が前記ケースと接触する剛脚動作状態に剛脚を設定する剛脚設定手段と、
前記ケースに設けられた開閉体の開動作に連動して前記剛脚設定手段を押圧することにより前記剛脚が前記剛脚動作状態となるように前記剛脚設定手段を動作させる押圧手段と、
前記剛脚設定手段と連結され、前記開閉体が開いた状態からの前記開閉体の閉動作の開始から所定時間の間、前記剛脚が前記剛脚動作状態を維持するように前記剛脚設定手段の状態を維持させる遅延設定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の脚部付きケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の脚部付きケースと、脚部付きケースの内側に取付けられた印刷ヘッドとを備え、
前記剛脚が前記印刷ヘッドの移動経路の下に位置するように設けられたことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の脚部付きケースと、脚部付きケースの内側に取付けられた印刷ヘッドとを備え、
前記剛脚が前記印刷ヘッドの非印刷時の停止位置の下に位置するように設けられたことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の脚部付きケースを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−166416(P2012−166416A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28288(P2011−28288)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】