説明

脚部付きケース及び電子機器

【課題】ケースが落下した場合に脚部に加わる力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくい構造の脚部を有した脚部付きケース等を提供する。
【解決手段】ケース2と、前記ケース2を支持する脚部3とを備えた脚部付きケース1であって、前記脚部3は、ダンパー部を備え、前記脚部3が設置部14に接触して前記ケース2が前記設置部14に設置された状態で前記ケース2に力が加わった場合に当該力を受ける剛脚状態と、前記脚部3が落下により衝突して前記脚部3が力を受けた場合に当該力を前記ダンパー部で減衰して前記ケース2に伝達する柔脚状態とに可変可能に構成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面に脚部を備えた脚部付きケース等に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースの落下時の衝撃、即ち、ケースに対して下から力が加わった場合に当該力を吸収してケースへの衝撃を緩和する構造の脚部を有した脚部付きケースを備えたプリンター等の電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の脚部付きケースによれば、落下時の衝撃は緩和されるが、ケースが設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わった場合、ケース内に取付けられた部品に力が伝達されてしまう。例えば、上述した脚部付きケースを備えたプリンターにおいては、ケースが設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わった場合、当該力が印刷ヘッドに伝達され、印刷ヘッドに設けられたノズルからインク滴が漏出してノズルのメニスカスが崩れることがあり、メニスカスが崩れた状態で次に印刷が行われた場合、漏出したインク滴の分だけ記録されるべきドットにインク滴が吐出されず、ドットが形成されないとドット抜けという現象が生じるおそれがある。
即ち、従来の脚部付きケースによれば、設置部に設置された状態において外部からケースに力が加わると、脚部が振動してしまい、当該力が設置部に逃げずにケース内に取付けられた部品に伝達されてしまうという課題があった。
本発明は、ケースが落下した場合に脚部に加わる力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくい構造の脚部を有した脚部付きケース等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る脚部付きケースは、ケースと、前記ケースを支持する脚部とを備えた脚部付きケースであって、前記脚部は、ダンパー部を備え、前記脚部が設置部に接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態で前記ケースに力が加わった場合に当該力を受ける剛脚状態と、前記脚部が落下により衝突して前記脚部が力を受けた場合に当該力を前記ダンパー部で減衰して前記ケースに伝達する柔脚状態とに可変可能に構成されたので、ケースが落下した場合に脚部に加わる力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくくなる。
前記脚部は、脚体と、前記ケースの下面より上方に延長するように形成されて前記脚体が収容される脚体収容孔と、粘性体と、隔壁シール部材と、付勢手段とを備え、前記脚体は、前記設置部に接触する設置脚部を一端部に備えるとともに抵抗受体を他端部に備え、前記脚体収容孔は、前記設置脚部が前記設置部に接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態において前記設置脚部の上面と接触する接触部と、前記抵抗受体及び前記粘性体を収容し前記隔壁シール部材によって水密状態に区切られた上側孔部とを備え、前記付勢手段は、前記設置脚部と前記隔壁シール部材との間に設けられて、前記設置脚部が空中に位置する状態において前記設置脚部を前記隔壁シール部材から離れる方向に付勢して前記抵抗受体と前記隔壁シール部材とを接触させ、前記設置脚部が前記設置部に接触しかつ前記設置脚部の前記上面と前記脚体収容孔の前記接触部とが接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態において前記ケースに力が加わった場合には、当該力を前記接触部を介して前記設置脚部に伝達する剛脚状態となり、前記脚部が空中に位置する状態から前記ケースが落下して前記設置脚部が力を受けた場合には、前記設置脚部が前記付勢手段に抗して前記隔壁シール部材に近づく方向に移動するとともに前記抵抗受体が前記隔壁シール部材から離れる方向に移動することによって前記抵抗受体と前記粘性体との摩擦抵抗による前記ダンパー部により力を減衰してケースに伝達する柔脚状態となるので、ケースが落下した場合に脚部に加わる力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくくなる。
前記抵抗受体は、前記設置脚部に一端側が連結される支柱の他端側の周面に設けられた複数の羽根部材により形成されたので、羽根部材と粘性体との摩擦抵抗を大きくでき、減衰効果の大きいダンパー部を形成できる。
本発明に係る電子機器は、前記脚部付きケースを備えた電子機器としたので、ケースが落下した場合に脚部に加わる力や、ケースが設置部に設置された状態においてケースに加わる力が、ケース内の部品に伝達されにくくなる電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】(a)は脚部付きケースの脚部の構成を示す断面図、(b)は(a)のA−A断面図(実施形態1)。
【図2】脚部の分解斜視図(実施形態1)。
【図3】脚部の動作説明図(実施形態1)。
【図4】(a)は脚部付きケースを備えたプリンターを示す側面(一部断面)図、(b)は(a)の底面図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
実施形態1
図1;2に基づいて実施形態1の脚部付きケースの構成を説明する。
脚部付きケース1は、ケース(筐体)2と脚部3とを備える。
ケース2は、例えば、合成樹脂により形成され、内部に、機械部品や電子部品等の振動を嫌う部品が取付けられる。
脚部3は、脚体4と、ケース2の下面5より上方に延長するように形成されて脚体4が収容される有底の脚体収容孔6と、粘性体7と、隔壁シール部材8と、シール部材脱落防止手段9と、付勢手段10とを備える。
脚部3は、例えば、ケース2の四角状の下面5の4角隅部にそれぞれ設けられる(図4参照)。
【0009】
脚体4は、設置脚部11と、支柱12と、抵抗受体13とを備える。
即ち、脚体4は、一端部に設置台等の設置部14に接触する設置脚部11を備えるとともに他端部に支柱12を介して抵抗受体13を備えた構成である。
設置脚部11は、硬質合成樹脂、硬質ゴム、金属等の剛性の高い材料により形成される。即ち、設置脚部11は、設置脚部11が設置部14に接触してケース2が設置部14に設置された状態においてケース2に力が加わった場合に振動しにくく、当該力を設置部14に逃すことができる材料により形成される。
抵抗受体13は、例えば、支柱12の他端側の周面より突出して支柱12の軸方向(支柱12の中心軸線に沿った方向)及び支柱12の径方向(支柱12の中心軸線と直交する方向)に延長するように設けられた羽根部材により形成される。このように、抵抗受体13を羽根部材で形成することにより、羽根部材と粘性体7との摩擦抵抗を大きくでき、後述するダンパー部として減衰効果の大きいダンパー部を形成できるので、衝撃緩和効果をより向上できる。
【0010】
脚体収容孔6は、例えば、上底15側の上側孔部16と、ケース2の下面5側の下側孔部17と、上側孔部16と下側孔部17との間に位置する中間孔部18とを有する。上側孔部16、中間孔部18、下側孔部17は、例えば、中心軸線が一致した同軸状の断面円形孔により形成され、孔径寸法の大きさが上側孔部16<中間孔部18<下側孔部17となるよう形成される。即ち、脚体収容孔6は、3つの異なる孔径の孔部を備えた段差孔により形成される。
そして、上側孔部16は、内部に粘性体7及び抵抗受体13を収容した状態で、隔壁シール部材8によって水密状態に区切られる。
また、中間孔部18と下側孔部17との境界面となる下側孔部17のリング面状の上底面が接触部19として機能し、設置脚部11が設置部14に接触してケース2が設置部14に設置された状態(以下、ケース設置状態という)において、設置脚部11の上面20と接触部19とが接触する。
ケース設置状態において、例えば、接触部19として機能する下側孔部17のリング面状の上底面及び当該接触部19と接触する設置脚部11の上面20は、互いに接触する水平面に形成される。
【0011】
粘性体7としては、例えば、オイル等の粘性流体を用いる。
隔壁シール部材8としては、例えば、オイルシールのようなシール材を用いる。
隔壁シール部材脱落防止手段9は、例えば、止輪9aと中間孔部18の内周面を1周するように内周面に形成された環状溝21とにより構成され、止輪9aが環状溝21内に嵌め込まれて隔壁シール部材8の下面22と接触することにより、隔壁シール部材8の脱落が防止される。
付勢手段10としては、例えば、コイルばね等のばねを用いる。当該コイルばねは、例えば、コイルばねの中央中空部に支柱12を通した状態に配置され、設置脚部11の上面20とシール部材8の下面22との間に設けられる。当該コイルばねは、設置脚部11が空中に位置する状態において設置脚部11をシール部材8から離れる方向に付勢して抵抗受体13の下端24と隔壁シール部材8の上面23とを接触させるよう機能する(図3(a)参照)。
【0012】
設置脚部11の径寸法は、下側孔部17の径寸法と対応する寸法に形成される。例えば、設置脚部11の径寸法は、下側孔部17の径寸法よりも数mm程度小さい寸法に形成される。即ち、設置脚部11が下側孔部内を上下方向に移動する際に支柱12及び設置脚部11の中心軸線が脚体収容孔6の中心軸線に対して傾いた状態とならないように、設置脚部11の径寸法と下側孔部17の径寸法とが設定される。
また、図1に示すように、ケース設置状態において、設置脚部11の高さa>下側孔部17の高さb>隔壁シール部材8の上面23と抵抗受体13の下端24との間の距離c、となるように、a、b、cの寸法が設定されている。よって、ケース設置状態において、設置脚部11の下面25がケース2の下面5よりも下方に突出して設置部14に接触し、ケース2に力が加わった場合に、当該力がケース2と設置脚部11との接触部19を介して設置脚部11に直接に伝達され、設置脚部11から設置部14に伝達される。即ち、ケース2に力が加わった場合に、当該力がケース2内の部品に伝達されないように当該力を設置部14に逃すことができる。
さらに、設置脚部11が空中に位置する状態においては、抵抗受体13の下端24と隔壁シール部材8の上面23とが接触するまで、設置脚部11が付勢手段10により付勢されて隔壁シール部材8から離れる方向に移動する。この状態においては、上述したようにb>cであり、かつ、付勢手段10の付勢力を選定することによって、設置脚部11の上部が下側孔部17内に残るように構成される(図3(b)参照)。
そして、上述したように設置脚部11の径寸法と下側孔部17の径寸法とが対応する寸法に形成されているので、ケース2が落下した際に設置脚部11が設置部14に衝突して設置脚部11が下から力を受けた場合に、下側孔部17が設置脚部11の上方への移動をガイドするガイド孔として機能し、設置脚部11が下側孔部17内を上下方向に移動する際に支柱12及び設置脚部11の中心軸線が脚体収容孔6の中心軸線に対して傾いた状態とならないように防止される。
【0013】
脚部3の作り方の一例を説明する。
ケース2の下面5を上に向けて、上側孔部16内に粘性体7としてのオイルを充填し、支柱12の他端に設けられた抵抗受体13をオイル中に挿入した後に、支柱12の後端から支柱12を隔壁シール部材8としてのオイルシールの軸受孔8a(図2参照)に嵌め込んでオイルシールの上面23を中間孔部18のリング面状の上底面27に設置する。そして、中間孔部18の内周面に形成された環状溝21内に止輪9aを嵌め込んで隔壁シール部材脱落防止手段9を形成し、オイルシールの軸受孔8aよりもケース2の下面5側に突出する支柱12の一端側に付勢手段10としてのコイルばねを挿入した後に、支柱12の一端部を設置脚部11の上面20に形成された支柱嵌合孔26(図2参照)に嵌め込んで支柱12と設置脚部11とを連結する。この際、設置脚部11を支柱12から取り外し可能なように支柱嵌合孔26に嵌合して連結した構成、あるいは、設置脚部11が支柱12から外れないように支柱嵌合孔26又は支柱12の一端部に接着剤を付けた後に支柱12を支柱嵌合孔26内に嵌合して連結した構成する。
以上により、脚部3が形成される。
【0014】
脚部3の動作を説明する。
ケース設置状態においては、図3(a)に示すように、設置脚部11の上面20と下側孔部17の接触部19とが接触し、設置脚部11の下面25がケース2の下面5よりも下方に突出して設置部14に接触した状態となる。このケース設置状態において、ケース2に力が加わった場合、力がケース2と設置脚部11との接触部19を介してケース2から設置脚部11に直接に伝達され、設置脚部11から設置部14に伝達されるので、力を設置部14に逃すことができて、ケース2の変形が抑えられ、力がケース2内の部品に伝達されにくくなる。
また、ケース2を持ち上げた状態においては、図3(b)に示すように、設置脚部11が付勢手段10により下方に押圧され、抵抗受体13の下端24と隔壁シール部材8の上面23とが接触した状態となり、抵抗受体13の上端28と上側孔部16の上底15との間の距離が長くなる。従って、例えば、ケース2を持ち上げた状態からケース2が落下して設置脚部11が設置部14やその他の物に衝突した場合、衝突により設置脚部11に加わる力によって設置脚部11が上方に移動する。このとき、抵抗受体13が上方に移動する際に、抵抗受体13の面(支柱12の中心軸線と直交する面13a及び支柱12の中心軸線と平行な面13b(図1(b)参照))と粘性体7との摩擦抵抗によるダンパー部が形成され、このダンパー部のダンピング効果により力が減衰されてケース2に伝達されケース2の落下時の衝撃が吸収されるので、力がケース2内の部品に伝達されにくくなる。
即ち、脚部3は、ケース設置状態においてケース2に力が加わった場合には、当該力を接触部19を介して設置脚部11が直接受ける剛脚状態となるとともに、脚部3が空中に位置する状態からケース2が設置部14に落下して設置脚部11が設置部14から力を受けた場合には、設置脚部11が付勢手段10に抗して隔壁シール部材8に近づく方向に移動し、かつ、抵抗受体13が隔壁シール部材8から離れる方向に移動することによって、抵抗受体13と粘性体7との摩擦抵抗によるダンパー部で減衰してケース2に伝達する柔脚状態となり、この剛脚状態と柔脚状態とに可変可能に構成される。
つまり、実施形態1の脚部付きケース1は、剛柔兼用の脚部3を備えたので、ケース2が落下した場合に脚部3に加わる力や、ケース2が設置部14に設置された状態においてケース2に加わる力が、ケース2内の部品に伝達されにくくなる。
【0015】
実施形態2
実施形態1の脚部付きケース1が電子機器の一例としてのプリンターのケースとして用いられた場合について説明する。
図4に示すように、脚部付きケース1を備えたプリンター30は、脚部付きケース1の内側に、キャリッジ機構31、図外の印刷対象物搬送機構、その他のプリンター機能構成部品が取付けられ、かつ、開閉体32がヒンジ33を介して開閉可能なようにケース2に取り付けられて構成される。
【0016】
キャリッジ機構31は、インクを吐出する印刷ヘッド34を搭載したキャリッジ35と、キャリッジガイド手段36と、図外のキャリッジ駆動機構とを備える。
キャリッジガイド手段36は、例えば、キャリッジ35をガイドする案内軸37及び図外のフレームにより形成され、キャリッジ35は、案内軸37に沿って往復移動可能なように構成される。
図示しないが、キャリッジ駆動機構は、フレームに固定されたキャリッジ駆動用のモーターと、モーター軸に固定された駆動プーリーと、キャリッジ支持フレームに回転可能に取付けられた従動プーリーと、駆動プーリーと従動プーリーとに掛け渡されて、かつ、キャリッジに連結されたタイミングベルトとを備える。
印刷ヘッド34には、キャリッジ35に着脱可能に装着される図外のインクカートリッジ、又は、キャリッジ35外に装着される図外のインクカートリッジからのインクが供給される。
キャリッジ駆動用のモーターにより駆動プーリーが回転し、キャリッジ35が取付けられたタイミングベルトのベルト部分が駆動プーリーと従動プーリーとの間の所定領域を往復移動することにより、キャリッジ35が所定領域を往復移動可能に構成される。
【0017】
開閉体32の一例としては、例えば自動給紙機構(ADF)付きのスキャナー部を備えた開閉体、スキャナー部の原稿載置部を開閉する開閉体、その他の開閉体がある。
【0018】
プリンター30の図外の制御手段が、図外の搬送手段に図外の紙等の印刷対象物をケース2内に取り込ませる動作を行わせるとともにキャリッジ駆動機構にキャリッジ35の移動動作を行わせ、かつ、印刷対象物に印刷を行うよう印刷ヘッド34を制御する。
【0019】
実施形態2のプリンター30によれば、脚部付きケース1を備えるので、ケース2が落下した場合に脚部3に加わる力や、ケース2が設置部14に設置された状態においてケース2に加わる力が、ケース2内の部品に伝達されにくくなり、ドット抜けを防止できる。
例えば、プリンター30を設置部14に設置する際にプリンターを落下させてしまった場合等、柔脚状態の脚部3を備えていることにより、落下時の衝撃が上述したフレームやケース2を介して印刷ヘッド34に伝達されるのを防止でき、ドット抜けを防止できるようになる。
また、剛脚状態の脚部3を備えていることにより、ケース設置状態において比較的重い自動給紙機構(ADF)付きのスキャナー部を備えた開閉体32を開閉する際にケース2に加わる力を設置部14に逃すことができてケース2の変形を抑えることができるので、ケース2が変形してしまうことによって印刷ヘッド34が動いてしまうことを防止でき、ドット抜けを防止できるようになる。
従って、特許文献1のプリンターと比べて、ドット抜け防止効果に優れたプリンターを得ることができる。
【0020】
実施形態3
ケース設置状態においてケース2に力が加わっていない状態では設置脚部11の上面20と下側孔部17の接触部19とが離れた状態となるよう設置脚部11を保持し、ケース設置状態においてケース2に力が加わった状態では設置脚部11の上面20と下側孔部17の接触部19とを接触させるダンパー部を備えた脚部3としてもよい。例えば、開閉体32を開く際や開閉体32を閉じる際に、最初は柔脚状態で力を吸収し、ケース2に力が加わりやすい開閉体32の最大開状態となる時や開閉体32を閉じた時に剛脚状態となってケース2の変形を防止するような脚部3を備えた構成としてもよい。
【0021】
本発明の脚部付きケース1は、内部に機械部品や電子部品等の振動を嫌う部品が取付けられるケースに使用できて振動抑制効果を発揮する。例えば、上述したプリンター、あるいは、ファクシミリ、複写機、スキャナー装置等の電子機器のケースとして使用できて振動抑制効果を発揮する。
【符号の説明】
【0022】
1 脚部付きケース、2 ケース、3 脚部、4 脚体、5 ケースの底面、
6 脚体収容孔、7 粘性体、8 隔壁シール部材、9 隔壁シール部材脱落防止手段、
10 付勢手段、11 設置脚部、12 支柱、13 抵抗受体、14 設置部、
19 接触部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースを支持する脚部とを備えた脚部付きケースであって、
前記脚部は、ダンパー部を備え、前記脚部が設置部に接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態で前記ケースに力が加わった場合に当該力を受ける剛脚状態と、前記脚部が落下により衝突して前記脚部が力を受けた場合に当該力を前記ダンパー部で減衰して前記ケースに伝達する柔脚状態とに可変可能に構成されたことを特徴とする脚部付きケース。
【請求項2】
前記脚部は、脚体と、前記ケースの下面より上方に延長するように形成されて前記脚体が収容される脚体収容孔と、粘性体と、隔壁シール部材と、付勢手段とを備え、
前記脚体は、前記設置部に接触する設置脚部を一端部に備えるとともに抵抗受体を他端部に備え、
前記脚体収容孔は、前記設置脚部が前記設置部に接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態において前記設置脚部の上面と接触する接触部と、前記抵抗受体及び前記粘性体を収容し前記隔壁シール部材によって水密状態に区切られた上側孔部とを備え、
前記付勢手段は、前記設置脚部と前記隔壁シール部材との間に設けられて、前記設置脚部が空中に位置する状態において前記設置脚部を前記隔壁シール部材から離れる方向に付勢して前記抵抗受体と前記隔壁シール部材とを接触させ、
前記設置脚部が前記設置部に接触しかつ前記設置脚部の前記上面と前記脚体収容孔の前記接触部とが接触して前記ケースが前記設置部に設置された状態において前記ケースに力が加わった場合には、当該力を前記接触部を介して前記設置脚部に伝達する剛脚状態となり、
前記脚部が空中に位置する状態から前記ケースが落下して前記設置脚部が力を受けた場合には、前記設置脚部が前記付勢手段に抗して前記隔壁シール部材に近づく方向に移動するとともに前記抵抗受体が前記隔壁シール部材から離れる方向に移動することによって前記抵抗受体と前記粘性体との摩擦抵抗による前記ダンパー部により力を減衰してケースに伝達する柔脚状態となることを特徴とする請求項1に記載の脚部付きケース。
【請求項3】
前記抵抗受体は、前記設置脚部に一端側が連結される支柱の他端側の周面に設けられた複数の羽根部材により形成されたことを特徴とする請求項2に記載の脚部付きケース。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の脚部付きケースを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−169402(P2012−169402A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28287(P2011−28287)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】