説明

脱アルミニウム化EUOゼオライトをベースとする触媒の存在下での芳香族C8留分の異性化方法

【課題】パラキシレンの製造を最大にすることを目的とする、特定の工程を経て調製された触媒の存在下で芳香族化合物を含む芳香族供給材料を異性化する方法を提供する。
【解決手段】本発明の芳香族留分の異性化方法は、前記留分を、構造型EUOを有するゼオライトを含有する触媒と接触させる工程を包含し、前記触媒は、i)少なくとも1種の構造型EUOを有するゼオライトを合成する工程と、ii)鉱酸または有機酸の水溶液による処理を用いて前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化する工程と、iii)マトリクスを用いて前記脱アルミニウム化ゼオライトを成形する工程と、iv)元素周期律表の第VIII族金属を担持させる工程とを少なくとも包含する方法を用いて調製されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシレン類の製造を目的とする1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化に関する。本発明のために想定される前記芳香族留分は、キシレン類の混合物、エチルベンゼン単独またはキシレン類とエチルベンゼンとの混合物を含有する供給材料である。この供給材料は、通常、「芳香族C8留分」と呼ばれる。
【0002】
より詳細には、本発明は、パラキシレンの製造を最大にすることを目的とする、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含む芳香族供給材料を異性化する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エチルベンゼンのキシレン類への異性化の触媒は、第VIII族金属の存在を必要とする。モルデナイトおよび第VIII族金属に基づく最適化された調合は、副反応が依然として無視することができない触媒を生じさせる。挙げられてよい例は、ナフタレン環の開環であり、この開環の後には、C8芳香族化合物の分解または不均化およびトランスアルキル化が起こる場合も起こらない場合もあるが、結果として、望みでない芳香族化合物の形成がもたらされる。それ故に、新規なより選択的な触媒を発見することは特に興味深いことである。
【0004】
C8芳香族留分を異性化するために用いられるゼオライトは、ZSM−5を含み、このZSM−5は、単独でまたはモルデナイト等の他のゼオライトと混合されて用いられる。前記触媒は、特許文献1〜3に記載された。主にモルデナイトをベースとする他の触媒は、例えば、特許文献4〜6に記載された。より最近では、構造型EUOを有するゼオライトをベースとする触媒が提案された(特許文献7)。特許文献8には、キシレン類およびエチルベンゼンの異性化のために構造型MTWを有するゼオライトを使用することが記載されている。
【特許文献1】米国特許第4467129号明細書
【特許文献2】米国特許第4482773号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0013617号明細書
【特許文献4】米国特許第4723051号明細書
【特許文献5】米国特許第4665258号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2477903号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0923987号明細書(特開平11−244704号公報)
【特許文献8】国際公開第2005/065380号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パラキシレンの製造を最大にすることを目的として、特定の工程を経て調製された脱アルミニウム化EUOゼオライトをベースとする触媒の存在下で、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含む芳香族供給材料を異性化する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化方法であって、前記留分を、構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを含有する少なくとも1種の触媒と接触させる工程を包含し、前記触媒は、
i)全体Si/Al原子比が5〜45である構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを合成する工程と、
ii)鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を用いて、前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化して、前記工程i)に由来する前記ゼオライトから少なくとも10重量%のアルミニウム原子が抜き出されるようにする工程と、
iii)マトリクスを用いて前記脱アルミニウム化ゼオライトを成形する工程と、
iv)元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させる工程とを少なくとも包含し、前記工程iii)およびiv)を行う順番は、前記工程ii)の次であれば特定されない、方法を用いて調製されたものである、方法である。
【0007】
前記触媒中に存在する前記構造型EUOを有するゼオライトは、EU−1ゼオライトであることが好ましい。
【0008】
前記工程i)の終了時に得られる前記構造型EUOを有するゼオライトの全体Si/Al原子比は10〜25であることが好ましい。
【0009】
前記工程ii)は、前記工程i)に由来する前記構造型EUOを有するゼオライトから少なくとも20重量%のアルミニウム原子を抜き出すことからなることが好ましい。
【0010】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、乾燥空気の流れ中400〜600℃の温度での焼成を経、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経ることが好ましい。
【0011】
少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換工程が、乾燥空気の流れ中の焼成と、前記酸水溶液を用いる処理との間に行われることが好ましい。
【0012】
鉱酸または有機酸の水溶液によるゼオライトの処理は、30〜120℃の温度で行われ、前記水溶液中の酸の濃度は、0.05〜20モル/Lであり、酸溶液の容積(mL)と処理されるゼオライトの重量(g)との間の比が1〜50であり、酸攻撃の継続期間は1時間超であることが好ましい。
【0013】
前記酸は、硝酸、塩酸および硫酸から選択される鉱酸であることが好ましい。
【0014】
酸水溶液によるゼオライトの連続処理数は、4回未満であることが好ましい。
【0015】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、乾燥空気の流れ中400〜600℃の温度での焼成を経、次いで、少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換を経、次いで、水蒸気の存在下に行われる少なくとも1回の熱処理および少なくとも1種の鉱酸または有機酸の水溶液を用いる少なくとも1回の酸攻撃を含むゼオライト骨格の脱アルミニウム化の少なくとも1回のサイクルを経ることが好ましい。
【0016】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、水蒸気の存在下に450〜850℃の温度で行われる熱処理を経、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経ることが好ましい。
【0017】
前記工程iii)は、前記工程iv)に先行することが好ましい。
【0018】
工程iii)において用いられる前記マトリクスは、アルミナであることが好ましい。
【0019】
前記工程iv)を行うために用いられる前記第VIII族金属は、白金であることが好ましい。
【0020】
前記工程iv)を行うために、第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択される少なくとも1種の金属が導入されることが好ましい。
【0021】
温度:300〜500℃、水素分圧:0.3〜1.5MPa、全圧:0.45〜1.9MPa、触媒の重量(kg)当たりの毎時の導入される供給材料の重量(kg)で表される空間速度:0.25〜30h−1の操作条件下に行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化方法であって、前記留分を、構造型EUOを有するゼオライトを含有する触媒と接触させる工程を包含し、前記触媒は、
i)全体Si/Al原子比が5〜45である少なくとも1種の構造型EUOを有するゼオライトを合成する工程と、
ii)鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を用いて前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化して、前記工程i)からのゼオライトから少なくとも10重量%のアルミニウム原子が抜き出されるようにする工程と、
iii)マトリクスを用いて前記脱アルミニウム化ゼオライトを成形する工程と、
iv)元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させる工程とを少なくとも包含し、前記工程iii)およびiv)を行う順番は、前記工程ii)の次であれば特定されない、方法を用いて調製されるものである、方法であり、このような方法では、上記の特定の触媒を用いることによって、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含む芳香族留分を異性化する方法においてそれが用いられた場合に選択性に関して改善された触媒性能がもたらされ、特に、このような触媒は、所望の生成物、すなわち、キシレン類、特にパラキシレンの方に、非脱アルミニウム化EUO型構造を有するゼオライトをベースとする従来技術の触媒より選択的である。キシレン類の異性化の方へのこの増大した選択性は、望みでない副反応である分解、脱アルキル化、トランスアルキル化おび不均化を損なわせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(本発明の要約および利点)
本発明は、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分を異性化する方法であって、構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを含有する少なくとも1種の触媒と該留分を接触させる工程を包含し、該触媒は、
i)全体Si/Al原子比が5〜45である構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを合成する工程と、
ii)鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を用いて前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化して、少なくとも10重量%のアルミニウム原子が、前記工程i)に由来する前記ゼオライトから抜き出されるようにする工程と、
iii)前記脱アルミニウム化されたゼオライトをマトリクスと共に成形する工程と、
iv)元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させる工程とを少なくとも包含し、前記工程iii)およびiv)を行う順番は、前記工程ii)の次であれば特定されない、方法を用いて調製されるものである、方法に関する。
【0024】
驚くべきことに、押出物またはビーズ状の形態の触媒であって、構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトと、少なくとも1種のマトリクスと、元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属とを含み、該ゼオライトは、脱アルミニウム化されて、合成された際の形態にある構造型EUOを有するゼオライトの少なくとも10重量%のアルミニウム原子が抜き出された、触媒により、結果として、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含む芳香族留分を異性化する方法においてそれが用いられた場合に選択性に関して改善された触媒性能がもたらされることが発見された。特に、このような触媒は、所望の生成物、すなわち、キシレン類、特にパラキシレンの方に、非脱アルミニウム化EUO型構造を有するゼオライトをベースとする従来技術の触媒より選択的である。キシレン類の異性化の方へのこの増大した選択性は、望みでない副反応である分解、脱アルキル化、トランスアルキル化おび不均化を損なわせる。本発明の方法の前記工程i)の終了時に得られるゼオライトの脱アルミニウム化は、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理によって行われる。
【0025】
(発明の説明)
本発明は、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分を異性化する方法であって、該留分を、構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを含有する少なくとも1種の触媒と接触させる工程を包含し、前記触媒は、
i)全体Si/Al原子比が5〜45である構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを合成する工程と、
ii)鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を用いて、前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化して、少なくとも10重量%のアルミニウム原子が、前記工程i)に由来する前記ゼオライトから抜き出されるようにする工程と、
iii)前記脱アルミニウム化されたゼオライトをマトリクスと共に成形する工程と、
iv)元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させる工程と
を少なくとも含み、前記工程iii)およびiv)を行う順番は、工程ii)に続いて行われるのであれば特定されない、方法を用いて調製されるものである、方法を提供する。
【0026】
本発明の異性化方法を行うために用いられる触媒中に存在する、構造型EUOを有するゼオライトであって、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理によって脱アルミニウム化されたものは、EU−1ゼオライト、TPZ−3ゼオライトおよびZSM−50ゼオライトから選択されるゼオライトであるが、好ましくは、それは、EU−1ゼオライトである。構造型EUOを有するEU−1、TPZ−3およびZSM−50ゼオライトは、当該技術において周知である(「Atlas of Zeolite Framework Types」,Ch. Baerlocher,W. M. Meier and D. H. Olson,第5版,2001)。構造型EUOを有するゼオライト、特に、EU−1ゼオライトは、4.1×5.4Å(1Å=1オングストローム=10−10m)の細孔径を有する一次元のミクロ孔ネットワークを有することが知られている。さらに、N. A. Briscoeらは、総説Zeolites(1988,8,74)における論文において、これらの一次元チャネルは、8.1Åの深さおよび6.8×5.8Åの径を有するサイドポケットを有することを開示した。
【0027】
構造型EUOを有する種々のゼオライトの調製の態様も当業者に周知である。一般に、このようなゼオライトを調製する方法は、ケイ素源、アルミニウム源、アルカリ金属源およびテンプレートとして作用する窒素含有有機化合物を水性媒体中で混合する工程を包含する。欧州特許出願EP-A-0 042 226に記載されたEU−1ゼオライトは、テンプレートとしてのα−ωポリメチレンジアンモニウム化合物のアルキル化された誘導体、または、当該誘導体の分解産物、さらには当該誘導体の前駆体のいずれかを用いて調製される。欧州特許出願EP-A-0 051 318に記載されたTPZ−3ゼオライトは、EU−1ゼオライトを合成するために用いられるものと同一系統のテンプレートを用いて調製される。特に、該特許文献には、化合物1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムの使用が記載されている。文献EP 0 159 845およびUS-A-4 640 829に記載されたZSM−50ゼオライトは、ジベンジルジメチルアンモニウム誘導体(DBDMA)をテンプレートとして用いて調製される。さらに、本発明の異性化方法において用いられる触媒中に存在する構造型EUOを有するゼオライトを調製するために前記工程i)を行うために、当業者は、このようなゼオライトの調製を記載している上記に挙げられた文献のどちらか一方を使用することができるだろう。
【0028】
より正確には、前記工程i)に従ってEU−1ゼオライトを調製するために、以下のものが水性媒体中で混合される:少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のアルミニウム源、式R−N−(CH−N−R(式中、nは3〜12であり、基R〜Rは、同一または異なってよく、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基であり、前記基R〜Rの5つまでは、場合によっては、水素である)を有する少なくとも1種の窒素含有有機テンプレートQ、および場合によるゼオライトの種。
【0029】
反応混合物は、以下のモル組成を有する:
SiO/Al: 10〜150;
OH/SiO: 0.1〜6;
(M+Q)/Al: 0.5〜100;
Q/(M+Q): 0.1〜10;
O/SiO: 1〜100。
【0030】
Qは、上記のカチオンR−N−(CH−N−R、好ましくは、1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムであり、Mは、アルカリまたはアンモニウムカチオンである。
【0031】
前記反応混合物は、自生圧力下に、場合によっては、ガス、例えば窒素が加えられ、85〜250℃の温度で、EU−1ゼオライトの結晶が形成されるまで反応させられる。反応期間は、試薬の組成、加熱および混合の態様、反応温度および攪拌態様に応じて1分〜数月である。反応の終了時に、固体相がフィルタ上に集められ洗浄される。この段階で、EU−1ゼオライトは、「合成された際(as-synthesized)」と称され、その内部結晶細孔内に、少なくともカチオンR−N−(CH−N−R、好ましくは1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを含有する。本発明によると、工程i)の終了時に得られた前記合成された際のEU−1ゼオライトの全体Si/Al原子比は5〜45、好ましくは10〜40、より好ましくは10〜25である。X線蛍光または原子吸光によって測定される全体Si/Al原子比は、ゼオライト骨格中に存在するアルミニウム原子および前記ゼオライト骨格の外側に存在し得る任意のアルミニウム原子(格子外(extra-lattice)アルミニウムとも称される)の両方を考慮に入れている。
【0032】
本発明の異性化方法を行うために用いられる触媒中に存在する構造型EUOを有するゼオライト、好ましくはEU−1ゼオライトを調製する方法の工程ii)は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%のアルミニウム原子を、合成された際の形態にある前記工程i)に由来する構造型EUOを有する前記ゼオライト、好ましくはEU−1ゼオライトから抜き出すことからなる。結果として、前記工程ii)の終了時に得られた、構造型EUOを有する脱アルミニウム化されたゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、まだ脱アルミニウム化されていない、構造型EUOを有する合成された際のゼオライト、好ましくは合成された際のEU−1ゼオライトの全体Si/Al原子比より高い全体Si/Al原子比を有する。触媒の調製方法の工程ii)は、工程i)の終了時に得られたゼオライトを、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理に付すことによって行われる。
【0033】
前記脱アルミニウム化工程ii)の第1の実施形態によると、前記工程i)に由来する、構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、EU−1ゼオライトは、乾燥空気の流れ中、400〜600℃の温度での焼成を経、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経る。焼成工程の継続期間は変動し得、数時間から数日までの範囲である。前記工程i)に由来する前記EUO構造型を有するゼオライトに関して行われる焼成処理は、ゼオライトのミクロ孔中に存在する有機テンプレート、例えば、カチオンR−N−(CH−N−R、好ましくは、前記工程i)の間に合成されたゼオライトがEU−1ゼオライトである場合の1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを除去することを目的とする。前記焼成工程に由来するゼオライト中の残留炭素の重量百分率は、好ましくは0.3%未満、一層より好ましくは0.1%未満である。
【0034】
焼成工程後に行われる鉱酸または有機酸の水溶液による前記の構造型EUOを有するゼオライト、好ましくはEU−1ゼオライトの処理は、「酸攻撃工程(acid attack step)」とも称される。前記処理は、所望の脱アルミニウム化の度合いを得るのに必要なだけ多数回繰り返され得る。この場合、ゼオライトは、各連続的な酸攻撃工程の合間に蒸留水により洗浄される。
【0035】
好ましくは、少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換工程が、乾燥空気の流れ中の焼成と酸性水溶液による処理との間に、ゼオライトの合成された際の形態における陽イオン性の位置の中に存在し得る、アルカリカチオン、特に、ナトリウムの少なくとも一部、好ましくは、事実上全部を除去するために行われる。各交換工程は、好ましくは50〜150℃の温度で、有利には2〜10時間の期間にわたり行われる。一般に、7〜12Nの規定度を有する硝酸アンモニウムNHNOの水溶液が用いられる。同様に、処理(単数回または複数回)が酸水溶液により行われた場合の前記脱アルミニウム化工程ii)の終了時に、残留アルカリカチオン、特にナトリウムを除去するために少なくとも1種のNHNO溶液を用いて1回以上のイオン交換工程を行うことが可能である。
【0036】
前記工程ii)に由来するゼオライトが、少なくとも10重量%のアルミニウム原子を、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトから抜き出した後に所望の全体Si/Al原子比を有するために、各酸攻撃工程の操作条件を注意深く選択しかつこれを制御することが必要である。特に、鉱酸または有機酸の水溶液による処理が行われる温度、用いられる酸の性質および濃度、酸溶液の量と処理されるゼオライトの重量との間の比率、処理の継続期間および行われる処理の数は、各酸攻撃工程を行う場合に重大なパラメータである。鉱酸または有機酸の水溶液によるゼオライトの処理は、有利には30〜120℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃の温度で行われる。水溶液中の酸の濃度は、一般的に0.05〜20モル/L、好ましくは0.1〜10モル/L、より好ましくは0.5〜5モル/Lである。酸溶液の容積V(mL)と処理されるゼオライトの重量P(g)と間の比率は、一般的に1〜50、好ましくは2〜20である。酸攻撃の継続期間は、一般的に1時間超、通常2〜10時間、好ましくは2〜8時間である。前記酸攻撃工程を行うために選択される酸は、鉱酸または有機酸のいずれか、好ましくは、硝酸HNO、塩酸HClおよび硫酸HSOから選択される鉱酸である。非常に好ましくは、それは硝酸である。酸攻撃のために有機酸が用いられる場合、酢酸CHCOOHが好適である。酸水溶液によるゼオライトの連続処理の数は、好ましくは4回未満である。数回の酸攻撃が連続して行われた場合、種々の濃度の鉱酸または有機酸の水溶液が用いられ得る。
【0037】
酸水溶液による処理(単数回または複数回)を行った後、ゼオライトは、次いで、蒸留水により洗浄され、80〜140℃の温度で10〜48時間の期間にわたり乾燥させられる。
【0038】
本発明の異性化方法を行うために用いられる触媒中に存在する構造型EUOを有するゼオライトを調製する方法の工程ii)の実施形態の前記第1の態様により行われるこの脱アルミニウム化方法は、直接酸攻撃法と称される。
【0039】
前記脱アルミニウム化工程ii)の第2の実施形態によると、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、EU−1ゼオライトは、乾燥空気の流れ中の400〜600℃の温度での焼成、次いで、少なくとも1種のNHNO溶液による1回以上のイオン交換を経、次いで、水蒸気の存在下に行われる少なくとも1回の熱処理と、鉱酸または有機酸の少なくとも1種の水溶液を用いる少なくとも1回の酸攻撃とを含むゼオライト骨格の脱アルミニウム化のための少なくとも1回のサイクルを経る。
【0040】
乾燥空気中での焼成の継続期間は、変動し得、数時間から数日の範囲である。前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトの焼成処理は、前記ゼオライトのミクロ孔中に存在する有機テンプレート、例えば、カチオンR−N−(CH―N―R、好ましくは、工程i)の間に合成されるゼオライトがEU−1ゼオライトである場合の1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを除去することを目的とする。乾燥空気の流れ中の前記焼成に続くイオン交換(単数回または複数回)は、合成された際の形態のゼオライト中の陽イオン性の位置に存在し得るアルカリカチオン、特にナトリウムの少なくとも一部、好ましくはほぼ全部を除去し得る。各交換は、好ましくは50〜150℃の温度で、有利には2〜10時間の期間にわたって行われる。一般に、7〜12Nの規定度を有する硝酸アンモニウムNHNOの水溶液が用いられる。
【0041】
水蒸気の存在下の熱処理のための操作条件、特に、前記処理の温度および継続期間および水蒸気の容積百分率、並びに、熱処理後の酸攻撃のための操作条件、特に、酸攻撃の継続期間、用いられる酸の性質および濃度、および酸溶液の容積と処理されるゼオライトの重量との間の比率は、前記工程i)に由来する合成された際のゼオライト中に存在する少なくとも10重量%のアルミニウム原子を抜き出した後に、所望の全体Si/Al原子比を有する、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを得るように適応させられる。水蒸気存在下の熱処理は、有利には200〜900℃、好ましくは300〜900℃、より好ましくは400〜600℃の温度で行われる。前記熱処理の継続期間は、一般的に0.5時間以上、好ましくは0.5〜24時間、非常に好ましくは0.5〜12時間である。熱処理の間の水蒸気の容積百分率は、一般的に5〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは40〜100%である。場合によっては存在し得る水蒸気以外の容積部分は、空気によって構成される。水蒸気および場合による空気によって形成されるガスの流量は、0.2〜10L/h/g(処理される固体)である。
【0042】
水蒸気の存在下での熱処理に続けて行われる、酸攻撃が行われる温度は、一般的に30〜120℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃である。酸水溶液の濃度は、一般的に0.05〜20モル/L、好ましくは0.1〜10モル/L、より好ましくは0.5〜5モル/Lである。酸水溶液の容積V(mL)と処理されるゼオライトの重量P(g)との間の比率は、一般的に1〜50、好ましくは2〜20である。酸攻撃の継続期間は、一般的に1時間超、通常2〜10時間、好ましくは2〜8時間である。酸攻撃を行うために選択される酸は、鉱酸または有機酸のいずれかであるが、それは、好ましくは、硝酸HNO、塩酸HClおよび硫酸HSOから選択される鉱酸である。非常に好ましくは、それは硝酸である。酸攻撃のために有機酸が用いられる場合、酢酸CHCOOHが好適である。
【0043】
水蒸気の存在下に行われる少なくとも1回の熱処理と、鉱酸または有機酸の少なくとも1種の水溶液を用いる少なくとも1回の酸攻撃とを含むゼオライト骨格の脱アルミニウム化のためのサイクルは、所望の特徴、特に、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%のアルミニウム原子を合成された際のゼオライトから抜き出した後に、合成された際の形態のゼオライトの全体Si/Al原子比より高い全体Si/Al原子比を有する、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを得るのに必要なだけ多数回繰り返され得る。脱アルミニウム化サイクルの数は、好ましくは4回未満である。
【0044】
本発明の異性化方法を行うために用いられる触媒中に存在する構造型EUOを有するゼオライトを調製する方法の工程ii)の実施形態のための前記第2の態様に従って行われるこの脱アルミニウム化方法は、熱処理・酸攻撃法と称される。
【0045】
前記脱アルミニウム化工程ii)の第3の実施形態によると、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、EU−1ゼオライトは、水蒸気の存在下に450〜850℃の温度で行われる熱処理、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経る。酸水溶液による前記処理(単数回または複数回)に次いで、好ましくは、合成された際の形態のゼオライト中のカチオン性の位置に存在し得るアルカリカチオン、特に、ナトリウムの事実上全部を除去するために少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換が行われる。各交換は、好ましくは50〜150℃の温度で、有利には2〜10時間の期間にわたり行われる。一般的に、7〜12Nの規定度を有する硝酸アンモニウムNHNOの水溶液が用いられる。
【0046】
前記工程ii)の前記第3の実施形態によると、水蒸気の存在下の前記熱処理は、前記ゼオライトのミクロ孔中に存在する有機テンプレート、好ましくは、カチオンR−N−(CH−N−R、非常に好ましくは1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムの除去と同時に行われる。水蒸気の存在下での熱処理は、前記テンプレートの除去を可能にするのに十分に高い温度で行われる。水蒸気の存在下での前記熱処理を行うための操作条件は、脱アルミニウム化工程ii)の第2の実施形態の脱アルミニウム化サイクルにおいて行われる水蒸気の存在下での熱処理を行うために上記に与えられたものと同一である。鉱酸または有機酸の水溶液による処理は、脱アルミニウム化工程ii)の第2の実施形態の脱アルミニウム化サイクルにおいて用いられた鉱酸または有機酸の少なくとも1種の水溶液による酸攻撃を行うために上記に与えられたものと同一の操作条件下に行われる。水蒸気の存在下に行われる熱処理の後、複数の連続的酸攻撃が、所望の脱アルミニウム化の度合いを得るために行われ得る。これらの種々の酸攻撃工程を行うために用いられる酸水溶液は、同一または異なる濃度を有するが、好ましくは異なっている。各酸攻撃工程の合間に、ゼオライトは、蒸留水により洗浄される。
【0047】
上記に記載された第1、第2または第3の実施形態に従って前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理に付すことによって行われる前記脱アルミニウム化工程ii)の終了時に、合成された際の構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは合成された際のEU−1ゼオライト中に存在する少なくとも10重量%のアルミニウム原子、好ましくは少なくとも20重量%のアルミニウム原子が抜き出される。前記工程ii)の終了時に得られる脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、85%超、好ましくは90%超、より好ましくは97%超の結晶性を有する。結晶性は、回折図から構造型EUOを有する基準ゼオライトとの比較によって算出される。結晶性は、2θ=8〜40°の回折角範囲における、分析される固体のピークの表面積の、構造型EUOを有する基準ゼオライトのピークの表面積に対する比に対応する。工程ii)の終了時に得られた、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、メソ孔を含んでいない:脱アルミニウム化工程ii)の実施後に2〜50nmのサイズを有するメソ孔の空洞は作り出されない。
【0048】
脱アルミニウム化工程ii)を行った後、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、次いで、水により洗浄され、80〜140℃の温度で10〜48時間の期間にわたって乾燥させられる。
【0049】
本発明の異性化方法におけるそれの使用の目的で、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒の調製は、成形するための前記工程iii)および元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させるための前記工程iv)を行うことによって構成される。前記工程ii)に続く前記工程iii)およびiv)を行う順番は重要ではない。好ましくは、前記工程iii)は前記工程iv)に先行する。
【0050】
前記脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを成形する前記工程iii)を行うために、粘土、マグネシア、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ホウ素、ジルコニア、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、シリカ−アルミナおよび石炭および前記組成物の少なくとも2種の混合物から選択されるマトリクスが用いられる。好ましくは、マトリクスはアルミナである。マトリクスと関連するゼオライトは、有利にはビーズ状または押出物状に、非常に有利には押出物の形態に成形される。
【0051】
より詳細には、前記工程iii)に従う成形は、脱アルミニウム化EUOゼオライト、好ましくは脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを湿気のあるマトリクスゲル、好ましくはアルミナに混合し、次いで、ダイを通して得られたペースト状物を通して、例えば、0.4〜4mmの直径を有する押出状物を成形することからなる。上記マトリクスゲルは、一般的には少なくとも1種の酸およびマトリクスの粉体を、ペースト状物の良好な均一性を得るのに必要な期間、すなわち、例えば約10分間にわたって混合することによって得られる。成形の次には、一般的には、乾燥、次いで焼成が行われる。乾燥は、有利には、100〜150℃の温度で5〜20時間の期間にわたってオーブン中で行われる。焼成は、有利には、250〜600℃の温度で1〜8時間の期間にわたって行われる。
【0052】
脱アルミニウム化EUOゼオライト、好ましくは脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒を調製するための工程iv)は、元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属および場合による第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択される少なくとも1種の金属を導入することからなる。
【0053】
本発明の異性化方法において用いられる触媒中に存在する前記第VIII族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から、好ましくは貴金属から、非常に好ましくはパラジウムおよび白金から選択される。より好ましくは、前記第VIII族金属は白金である。前記第VIII族金属を担持させる方法によると、下記の記載において示されるように、前記第VIII族金属、好ましくは、白金は、主として脱アルミニウム化ゼオライト上またはマトリクス上に担持させられ得る。
【0054】
場合によっては本発明の触媒中に存在する第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択される前記金属は、ガリウム、インジウム、スズおよびレニウムから、好ましくはインジウム、スズおよびレニウムから選択される。
【0055】
本発明の異性化方法において用いられる触媒は、当業者に知られるあらゆる方法を用いて調製され得る。好ましくは、成形工程iii)の終了時に行われる焼成に続けて、ゼオライト性の担体上に、すなわち、主としてマトリクス上または主として脱アルミニウム化ゼオライト上または改変ゼオライト−マトリクス集合物上のいずれかに少なくとも1種の第VIII族金属が導入される。前記金属は、有利には、乾式含浸技術、過剰含浸(excess impregnation)技術またはイオン交換を用いてゼオライト担体上に担持させられる。複数種の金属が導入される場合、これらは、全部同じ方法でまたは異なる技術を用いて導入され得る。
【0056】
任意の第VIII族金属前駆体が1種以上の第VIII族金属をゼオライト担体上に担持させるために適している。特に、第VIII族からの任意の貴金属のために、アンモニア化合物、クロロ白金酸アンモニウム、ジカルボニル二塩化白金、ヘキサヒドロキシ白金酸、塩化パラジウム、硝酸パラジウム等の化合物を用いることが可能である。白金は、一般的に、ヘキサクロロ白金酸の形態で導入される。第VIII族貴金属は、好ましくは、上記の金属化合物の1つの水溶液または有機溶液を用いる含浸によって導入される。挙げられ得る適切な有機溶媒の例は、パラフィン性、ナフテン性または芳香族性の炭化水素であって、例えば、1分子当たり6〜12個の炭素原子を含有するもの、および1分子当たり1〜12個の炭素原子を含有するハロゲン化有機化合物である。挙げられ得る例は、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、トルエンおよびクロロホルムである。溶媒の混合物も用いられ得る。
【0057】
担持の間に用いられる所定のパラメータ、特に、用いられる第VIII族金属(単数種または複数種)の前駆体の性質が、主としてマトリクス上またはゼオライト上への前記金属の担持に向かうように制御され得る。
【0058】
それ故に、第VIII族金属(単数種または複数種)、好ましくは白金および/またはパラジウムを主としてマトリクス上に導入するために、競争剤、例えば、塩酸の存在下でのヘキサクロロ白金酸および/またはヘキサクロロパラジウム酸との陰イオン交換を行うことが可能であり、担持に次いで、一般的に、焼成が行われる。この焼成は、例えば、350〜550℃の温度で、1〜4時間の期間にわたって行われる。このような前駆体により、第VIII族金属(単数種または複数種)は、主としてマトリクス上に担持させられ、前記金属(単数種または複数種)は十分に分散させられ、触媒粒子を通じて良好な巨視的分布を有する。
【0059】
陽イオン交換によって第VIII族金属(単数種または複数種)、好ましくは白金および/またはパラジウムを担持させて、前記金属(単数種または複数種)が主としてゼオライト上に担持させられるようにすることを想定することも可能である。それ故に、白金の場合、前駆体は、例えば、下記から選択され得る:
・ アンモニア性の化合物、例えば、式Pt(NHを有する白金(II)テトラミン塩、式Pt(NHを有する白金(IV)ヘキサミン塩、式(PtX(NH)Xを有する白金(IV)ハロゲノペンタミン塩、式PtX(NHを有する白金 N−テトラハロゲノジアミン塩等;および
・式H(Pt(acac)X)を有するハロゲン化された化合物
(式中、Xは、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素によって形成される群から選択されるハロゲンであり、Xは、好ましくは塩素であり、「acac」は、アセチルアセトンから誘導されるアセチルアセトナート基(実験式Cを有する)を示す)。このような前駆体により、第VIII族金属(単数種または複数種)は、主として、ゼオライト上に担持させられ、前記金属(単数種または複数種)は、触媒粒子を通じて良好な巨視的分散で十分に分散させられる。
【0060】
第VIII族金属のゼオライト担体上への乾式含浸により、前記金属はマトリクスおよび脱アルミニウム化ゼオライトの両方上に担持させられる。
【0061】
本発明の異性化方法において用いられる触媒が第IIIA、IVAおよびVIIBからの金属から選択される少なくとも1種の金属をも含有する場合、当業者に知られる、このような金属を担持させるためのあらゆる技術およびこのような金属のためのあらゆる前駆体が適している。
【0062】
第VIII族金属(単数種または複数種)および第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属(単数種または複数種)が、少なくとも1つの単位工程において別々にまたは同時に加えられ得る。第IIIA、IVAおよびVIIB族からの少なくとも1種の金属が別々に加えられる場合、第VIII族金属の後にそれが加えられるべきことが好ましい。
【0063】
第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択されるさらなる金属は、第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属の塩化物、臭化物または硝酸塩または等の化合物を介して導入され得る。例として、インジウムの場合には、硝酸塩または塩化物が有利に用いられ、レニウムの場合には、過レニウム酸が有利に用いられる。スズの場合、塩化物であるSnClおよびSnClが好適である。第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択されるさらなる金属はまた、前記金属の錯体(特に金属のポリケトン錯体)およびヒドロカルビル金属(例えば、金属のアルキル化物、シクロアルキル化物、アリール化物、アルキルアリール化物またはアリールアルキル化物)によって構成される群から選択される少なくとも1種の有機化合物の形態で導入され得る。この後者の場合、金属は、有利には、前記金属の有機金属化合物の有機溶媒中の溶液を用いて導入される。金属の有機ハロゲン化化合物を用いることも可能である。挙げられ得る金属の有機化合物の特定の例は、スズの場合にはテトラブチルスズ、インジウムの場合にはトリフェニルインジウムである。
【0064】
第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択されるさらなる金属が、第VIII族金属の前に導入される場合、用いられる第IIIA、IVAおよび/またはVIIB族の金属の化合物は、一般的には、金属のハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、炭酸塩およびシュウ酸塩によって構成される群から選択される。それ故に、導入は、有利には、水溶液中で行われる。しかしながら、それはまた、金属の有機金属化合物、例えば、テトラブチルスズの溶液を用いて導入され得る。この場合、第VIII族からの少なくとも1種の金属を導入する前に、空気中での焼成が行われる。
【0065】
さらに、種々の金属の連続する担持の合間に焼成および/または還元等の中間処理が行われ得る。
【0066】
触媒の調製は、一般的に、焼成によって終結させられる。この焼成は、通常、250〜600℃の温度で、0.5〜10時間の期間にわたって行われる。この乾燥の前には、好ましくは、室温から250℃までの温度、好ましくは40〜200℃での、乾燥、例えば、オーブン乾燥が行われる。前記乾燥工程は、好ましくは、前記焼成を行うのに必要な昇温工程の間に行われる。触媒の従前の還元は、現場外(ex situ)で、水素の流れの中で、例えば、450〜600℃の温度で、0.5〜4時間の期間にわたって行われ得る。
【0067】
前記第VIII族金属(単数種または複数種)は、化学吸着によって測定される前記金属(単数種または複数種)の分散が有利には50〜100%、好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%であるように担持させられる。有利には、前記第VIII族金属(単数種または複数種)は、成形された触媒において前記金属(単数種または複数種)の良好な分配を得るように担持させられる。この分配は、キャスタン・マイクロプローブ(Castaing microprobe)を用いて得られるそのプロファイルによって特徴付けられる。分配係数として規定される、粒子の周縁部に対する粒子のコア中の各第VIII族元素の濃度の比は、有利には0.7:1〜1.3:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1である。
【0068】
本発明の異性化方法において用いられる触媒の組成物において、脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、触媒の重量に対して特定的には1〜90重量%、好ましくは3〜80重量%、より好ましくは4〜60重量%の量で存在する。ゼオライトおよび/またはマトリクス上に担持させられる第VIII族金属(単数種または複数種)(好ましくは白金)は、触媒の重量に対して0.01〜4重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%を示す。マトリクスは、100%までの残部を構成する。前記触媒が第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択される少なくとも1種の金属を含有する場合、その量は、触媒の重量に対して2重量%までであり得る。有利には、それは、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%である。
【0069】
前記触媒が硫黄を含有する場合、その量は、担持させられた第VIII族金属原子の数に対する硫黄原子の数の比が2:1までであるようにされ得る。それは、有利には0.5:1〜2:1である。
【0070】
本発明の異性化方法を行うために用いられる触媒中に存在する脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトは、非常に好ましくは、プロトン化された形態(水素型H)であって、H以外のカチオンの比率がゼオライト上の全カチオン数の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、一層より好ましくは5%未満である。このプロトン化された形態は、一般的には、前記工程ii)の前記第2および第3の実施形態を実施する時に利用される水蒸気の存在下での熱処理の間または脱アルミニウム化ゼオライトのマトリクスとの成形の次に行われる焼成工程の間に得られる。
【0071】
触媒が硫黄を全く含有しない場合、水素中での金属の還元は、供給材料を注入する前に現場(in situ)で行われる。
【0072】
本発明の触媒が硫黄を含有する場合、硫黄は、成形および焼成がなされ、かつ、単数種または複数種の上記金属を含有する触媒上に、触媒反応の前に現場でまたは現場外で導入される。還元後にあらゆる硫化が行われる。現場での硫化の場合、触媒が既に還元されたものでなければ、還元は、硫化後に行われる。現場外での硫化の場合、還元が行われた後に硫化が行われる。硫化は、水素の存在下に、当業者に周知である任意の硫化剤、例えば、二硫化ジメチルまたは硫化水素を用いて行われる。例として、触媒は、水素の存在下に二硫化ジメチルを含有する供給材料により、硫黄/金属の原子比が1.5であるような濃度で処理される。触媒は、その後、供給材料を注入する前に、約3時間にわたり約400℃で水素流中に維持される。
【0073】
本発明の異性化方法は、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分を、少なくとも前記脱アルミニウム化された構造型EUOを有するゼオライト、好ましくは前記脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含有する少なくとも前記触媒と接触させる工程であって、該触媒は、本詳細な説明中の上記に記載された前記工程i)、ii)、iii)およびiv)のそれぞれに従って調製されたものである、工程からなる。
【0074】
特に、1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する前記芳香族留分は、キシレン類の混合物のみ、エチルベンゼンのみ、またはキシレン類(単数種または複数種)およびエチルベンゼンの混合物のいずれかを、8個の炭素原子を含有する芳香族化合物として含む。前記本発明の異性化方法は、一般的に、以下の操作条件下に行われる:
・温度:300〜500℃、好ましくは320〜450℃、より好ましくは340〜430℃;
・水素分圧:0.3〜1.5MPa、好ましくは0.4〜1.2MPa、より好ましくは0.7〜1.2MPa;
・全圧:0.45〜1.9MPa、好ましくは0.6〜1.5MPa、および
・触媒の重量(kg)当たり、かつ、時間当たりの導入される供給材料の重量(kg)で表される空間速度:0.25〜30h−1、好ましくは1〜10h−1、より好ましくは2〜6h−1
【0075】
以下の実施例は、決して本発明の範囲を制限することなく本発明を例示する。
【0076】
(実施例1:脱アルミニウム化EU−1ゼオライトの調製)
用いられる出発材料は、合成された際のEU−1ゼオライトであって、有機テンプレート、すなわち、1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを含み、15.3の全体Si/Al原子比、30.8のNa/Al原子比(%)に対応するナトリウムの重量含有量を有するものである。このゼオライトは、EP-B1-0 042 226の教示に従って合成された。そのようなゼオライトを調製するために、反応混合物は、以下のモル組成を有していた:60SiO:10.6NaO:5.27NaBr:1.5Al:19.5Hexa−Br:2777HO。Hexa−Brは、1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムであり、臭素は対イオンであった。反応混合物は、攪拌されるオートクレーブ(300rpm)内に5日間にわたって180℃に置かれた。
【0077】
このEU−1ゼオライトは、最初に、550℃で乾燥空気流中24時間にわたる乾式焼成を経、有機テンプレートが除去された。次に、得られた固体は、4回のイオン交換を経た。イオン交換は、各交換について10NのNHNO溶液中約100℃で4時間にわたるものである。得られた固体は、EU−1(1)と表記され、15.3の全体Si/Al原子比および0.51%のNa/Al原子比を有していた。
【0078】
EU−1ゼオライトは、次いで、3回の連続的な酸攻撃を経た。酸攻撃は、2N、5N次いで8Nの硝酸を約100℃で4時間にわたり用いるものである。用いられた硝酸溶液の容積V(mL)は、乾燥EU−1ゼオライトの重量P(g)の10倍に等しかった(V/P=10)。酸攻撃のそれぞれの合間に、ゼオライトは、水により洗浄された。次に、ゼオライトは、120℃で終夜乾燥させられた。
【0079】
これらの処理の終了時に、EU−1(2)ゼオライトが得られた。このゼオライトのX線蛍光によって測定される全体Si/Al原子比は21.35であり、Na/Al原子比は0.2%未満であった。それ故に、合成された際のEU−1ゼオライト中に存在するアルミニウム原子の28.3%が抜き出された。
【0080】
(実施例2(本発明に合致しない):非脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒Aの調製)
実施例1において得られたEU−1ゼオライト(1)が、アルミナゲルを用いた押出によって成形され、100℃の温度での終夜乾燥および450℃の温度に導かれた乾燥空気中4時間にわたる焼成の後に、担体S1が得られた。この担体S1は、15重量%のEU−1ゼオライトおよび85重量%のアルミナを含有していた。
【0081】
この担体S1は、競争剤としての塩化水素の存在下にヘキサクロロ白金酸との陰イオン交換を経て、触媒の重量に対して1重量%の白金が担持させられた。次いで、湿気の有る固体は、120℃で12時間にわたって乾燥させられ、乾燥空気の流れの中500℃の温度で1時間にわたって焼成された。
【0082】
得られた触媒Aは、15重量%のEU−1ゼオライト、84重量%のアルミナおよび1重量%の白金を含有していた。
【0083】
(実施例3(本発明に合致する):脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒Bの調製)
実施例1において得られた脱アルミニウム化EU−1(2)ゼオライトが、アルミナゲルを用いた押出によって成形され、100℃の温度で終夜乾燥および450℃の温度に導かれた乾燥空気中4時間にわたる焼成の後に、担体S2が得られた。この担体S2は、15重量%の脱アルミニウム化EU−1ゼオライトおよび85重量%のアルミナを含有していた。
【0084】
この担体S2は、強壮剤としての塩酸の存在下にヘキサクロロ白金酸との陰イオン交換を経て、触媒の重量に対して1重量%の白金が担持させられた。次いで、湿気の有る固体は、120℃で12時間にわたって乾燥させられ、乾燥空気の流れの中500℃の温度で1時間にわたり焼成された。
【0085】
得られた触媒Bは、15重量%の脱アルミニウム化EU−1ゼオライト、84重量%のアルミナおよび1重量%の白金を含有していた。
【0086】
(実施例4(本発明に合致しない):非脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒Cの調製)
用いられた出発材料は、合成された際のEU−1ゼオライトであって、有機テンプレート、すなわち、1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを含み、全体Si/Al原子比が21.35であり、Na/Al原子比に対応するナトリウムの重量含有量(%)が27.4であるものであった。このゼオライトは、EP-B1-0 042 226の教示に従って合成された。このようなゼオライトを調製するために、反応混合物は、以下のモル組成を有していた:60SiO:10.6NaO:5.27NaBr:1Al:19.5Hexa−Br:2777HO。Hexa−Brは、1,6−N,N,N,N’,N’,N’,−ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムであり;臭素は対イオンであった。反応混合物は、攪拌されるオートクレーブ(300rpm)内に4日間にわたり180℃に置かれた。
【0087】
このEU−1ゼオライトは、最初に、550℃で乾燥空気の流れ中24時間にわたる乾式焼成を経た。次に、得られた固体は、4回のイオン交換を経た。このイオン交換は、各交換について10NのNHNO溶液中、約100℃で4時間にわたるものである。得られた固体は、EU−1(3)と表記され、21.35の全体Si/Al原子比および0.52%のNa/Al原子比を有していた。
【0088】
得られたEU−1(3)ゼオライトは、次いで、アルミナゲルを用いた押出によって成形されて、100℃の温度での終夜乾燥および乾燥空気中450℃での4時間にわたる焼成の後に、担体S3が得られた。この担体は、15重量%のEU−1ゼオライトおよび85重量%のアルミナを含有していた。
【0089】
この担体S3は、競争剤としての塩酸の存在下にヘキサクロロ白金酸との陰イオン交換を経て、触媒の重量に対して1重量%の白金が担持させられた。次いで、湿気を有する固体は、120℃で12時間にわたり乾燥させられ、乾燥空気の流れの中500℃の温度で1時間にわたり焼成された。
【0090】
得られた触媒Cは、15重量%のEU−1ゼオライト、84重量%のアルミナおよび1重量%の白金を含有していた。
【0091】
(実施例5:エチルベンゼンの異性化についての触媒A、BおよびCの触媒性能の評価)
触媒A、触媒B、そして触媒Cと接触させられる、異性化される供給材料は、もっぱらエチルベンゼンによって構成されていた。
【0092】
異性化の操作条件は、以下の通りであった:
・温度:410℃;
・全圧:10バール(1バール=0.1MPa);
・水素分圧:8バール;
・供給材料:エチルベンゼン;
・触媒の重量(kg)当たりの毎時の導入される供給材料の重量(kg)で表される空間速度:8.7h−1
【0093】
触媒A、BおよびCの触媒性能は、エチルベンゼンの異性化について連続して評価された。各触媒は、供給材料を注入する前に水素中4時間にわたって480℃で還元された。
【0094】
触媒は、選択性に関して評価された。キシレン類を生じさせるエチルベンゼンの異性化に対応する所望の反応に加えて、副反応により、3タイプの副生物:ナフテン環の開環反応およびその後の分解に本質的に由来するパラフィン、8個の炭素原子を含有する芳香族化合物(AC8)の不均化およびトランスアルキル化によって形成される芳香族化合物、および最後の芳香族化合物の水素化によって形成された8個の炭素原子を含有するナフテン(N8)を含むナフテン、が生じた。N8は、再循環させられ得、したがって、ナフテン以外の生成物の選択性が比較された。
【0095】
異性化反応の種々の生成物の方への選択性は、これらの種々の生成物の収率を用いて算出された。収率は、流出物の分析によって得られた種々の生成物の重量百分率(重量%)から決定され、以下のように算出された:
異性化収率:Σキシレン類;
不均化収率:2×106/134×DEB(ジエチルベンゼン);
脱アルキル化収率:106/30×C(エタン);
トランスアルキル化収率:106/134×DMEB(ジメチルエチルベンゼン)+106/120×ET(エチルトルエン);
ナフテン収率:106/84×ΣN(6個の炭素を含有するナフテン)+106/98×ΣN(7個の炭素を含有するナフテン)+106/112×ΣN(8個の炭素を含有するナフテン);
分解生成物収率:ΣC+C+C+C(C−C脂肪族化合物);
ナフテン以外の生成物「i」についての選択性:(生成物iの収率)/(Σ収率−ナフテン収率)。
【0096】
【表1】

【0097】
表1に示される結果により、脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含み、少なくとも10重量%のアルミニウム原子が合成された際のEU−1ゼオライトから抜き出された触媒Bが、選択性に関して触媒的に、非脱アルミニウム化EU−1ゼオライトを含む触媒AおよびCを用いた時よりもはるかに良好に機能することが証明される。特に、エチルベンゼンの異性化のために触媒Bを使用することによって、不均化、脱アルキル化、トランスアルキル化および分解についての選択性を押しのけて異性化選択性における多大な向上が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子当たり8個の炭素原子を含む少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化方法であって、前記留分を、構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを含有する少なくとも1種の触媒と接触させる工程を包含し、前記触媒は、
i)全体Si/Al原子比が5〜45である構造型EUOを有する少なくとも1種のゼオライトを合成する工程と、
ii)鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を用いて、前記工程i)の終了時に得られたゼオライトを脱アルミニウム化して、前記工程i)に由来する前記ゼオライトから少なくとも10重量%のアルミニウム原子が抜き出されるようにする工程と、
iii)マトリクスを用いて前記脱アルミニウム化ゼオライトを成形する工程と、
iv)元素周期律表の第VIII族からの少なくとも1種の金属を担持させる工程とを少なくとも包含し、前記工程iii)およびiv)を行う順番は、前記工程ii)の次であれば特定されない、方法を用いて調製されたものである、方法。
【請求項2】
前記触媒中に存在する前記構造型EUOを有するゼオライトは、EU−1ゼオライトである、請求項1に記載の異性化方法。
【請求項3】
前記工程i)の終了時に得られる前記構造型EUOを有するゼオライトの全体Si/Al原子比は10〜25である、請求項1または2に記載の異性化方法。
【請求項4】
前記工程ii)は、前記工程i)に由来する前記構造型EUOを有するゼオライトから少なくとも20重量%のアルミニウム原子を抜き出すことからなる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項5】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、乾燥空気の流れ中400〜600℃の温度での焼成を経、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経る、請求項1〜4のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項6】
少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換工程が、乾燥空気の流れ中の焼成と、前記酸水溶液を用いる処理との間に行われる、請求項5に記載の異性化方法。
【請求項7】
鉱酸または有機酸の水溶液によるゼオライトの処理は、30〜120℃の温度で行われ、前記水溶液中の酸の濃度は、0.05〜20モル/Lであり、酸溶液の容積(mL)と処理されるゼオライトの重量(g)との間の比が1〜50であり、酸攻撃の継続期間は1時間超である、請求項5または6に記載の異性化方法。
【請求項8】
前記酸は、硝酸、塩酸および硫酸から選択される鉱酸である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項9】
酸水溶液によるゼオライトの連続処理数は、4回未満である、請求項5〜8のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項10】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、乾燥空気の流れ中400〜600℃の温度での焼成を経、次いで、少なくとも1種のNHNO溶液を用いる1回以上のイオン交換を経、次いで、水蒸気の存在下に行われる少なくとも1回の熱処理および少なくとも1種の鉱酸または有機酸の水溶液を用いる少なくとも1回の酸攻撃を含むゼオライト骨格の脱アルミニウム化の少なくとも1回のサイクルを経る、請求項1〜4のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項11】
前記工程ii)を行うために、前記工程i)に由来する構造型EUOを有するゼオライトは、水蒸気の存在下に450〜850℃の温度で行われる熱処理を経、次いで、鉱酸または有機酸の水溶液による少なくとも1回の処理を経る、請求項1〜4のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項12】
前記工程iii)は、前記工程iv)に先行する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項13】
工程iii)において用いられる前記マトリクスは、アルミナである、請求項1〜12のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項14】
前記工程iv)を行うために用いられる前記第VIII族金属は、白金である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項15】
前記工程iv)を行うために、第IIIA、IVAおよびVIIB族からの金属から選択される少なくとも1種の金属が導入される、請求項1〜14のいずれか1つに記載の異性化方法。
【請求項16】
温度:300〜500℃、水素分圧:0.3〜1.5MPa、全圧:0.45〜1.9MPa、触媒の重量(kg)当たりの毎時の導入される供給材料の重量(kg)で表される空間速度:0.25〜30h−1の操作条件下に行われる、請求項1〜15のいずれか1つに記載の異性化方法。

【公開番号】特開2008−280347(P2008−280347A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112060(P2008−112060)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】