説明

脱毛用発色団の局所的塗布

【課題】不必要な毛を取り除くために、毛包から脱毛後の毛包をターゲットとして、傷跡又は感染症(電解法でしばしば起こる)の危険性なしで不必要な毛の永久的又は半永久的脱毛を達成手段と方法を提供。
【解決手段】公知の方法で不必要な毛を取り除いた後、発色団、光増感剤、超音波感応剤、及び化学的手段によって活性化された化合物からなる10ミクロン以上50ミクロン以下のサイズをもつ非球状の微粒子を毛包に導入し、電磁気照射、超音波照射等により化合物を活性化して、毛の成長に寄与している細胞を変化させ及び/又は殺すための永久/半永久的脱毛用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には皮膚科学及び美容学に関し、そして特に電磁気照射の適用に先立って毛包を対象とした皮膚への発色団組成物の塗布に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の毛の主要な機能は環境から保護することである。しかしながら、その機能は人の場合大きく失われてきており、通常保有されるか又は美容上の理由により体の種々の部分から取り除かれる。
【0003】
不必要な毛を取り除くために、髭剃り、電気分解法、脱毛クリーム又はローションの使用、ワックス処理、むしりとり、治療用抗−アンドロゲン、レーザー及びランプを含む種々の方法が使用されてきている。これらの在来の方法はそれぞれ重大な欠点があり、そして一時的な脱毛にすぎないことが多い。電気分解法又は電熱法は永久的脱毛を与えることができるが、これらの苦痛と退屈さを伴う技術は施術者の技能に依存しそして多くの処置を必要とする。それゆえに、毛包の生成、傷跡又は感染症(電解法でしばしば起こる)の危険性なしで不必要な毛の永久的脱毛を達成することは困難である。
【0004】
選択的光熱法(ルビーレーザー、アレクサンドライトレーザー、Nd:YAGレーザー、パルスダイオードレーザー、又はパルス光の使用を通して)が色素毛包を破壊するのに有効であることが開示されている。レーザー照射過程で生ずる熱効果は主に毛包改造と破壊に寄与している。これらの方法では、毛包の熱的ダメージは内在するメラニンによってレーザー光を吸収する結果による。しかしながら、結果は毛の色素、毛中に存在するメラニン量(色、毛の直径、毛のサイクル、体の位置、等々に依存する)及び毛根と表皮中のメラニン濃度の比に本質的に依存する。これらの理由により、レーザー又は光を単独で使用する脱毛方法は淡色の毛(ブロンド、赤茶色及び白)の場合は不十分な結果を与えそして焼けるか及び/又は浅黒い皮膚の脱色を生じさせる。
【0005】
これらの負効果に対応するために、冷却装置、又はパルス、連続又は交互レーザーパルスの使用のような多くのシステムが開発されてきた。純粋なレーザー利用に加えて、内因性のメラニン吸収に比較して毛包の光吸収効率を増加させるために、そして必要とするレーザー力を減少させることによって操作の安全性を増大させるために外因性の発色団の使用を含む他の方法が開示されてきた。
【0006】
特許文献1において、タンコビッチはレーザーの光熱効果が或るレーザー波長の高い吸収を示す汚染物質を利用することによって促進されることを提案した。提案された汚染物質はマッサージ又は超音波で毛管中に炭素を押し込むために使用できるピーチオイル中の炭素を含む。この汚染物質の場合、COレーザーは200と275ナノ秒の間のパルスが推奨される。代替の方法としては約1,060nmで25−30ピコ秒の範囲にあるパルスの近赤外レーザーが使用される。別の代替法としては染色技術を利用しそして選択された色素にレーザーをマッチさせる。さらに別の方法は毛幹を適用するレーザーに感応させる光増感剤を使用する。これらの赤及び赤外光波長を使用する多くの最近のレーザーは秒単位で毛の群に作用することのできるレーザーでの従来の処理よりもずっと敏速である。また、レーザーの使用は上述した非−レーザー法のいずれよりも幾分か苦痛が少なくまた傷や感染症の恐れが少ない。しかしながら、これら従来の炭素ベースの調合は特に毛包をターゲットにすることはできない(例えば、炭素粒子は皮膚角質層に見出される)。
【0007】
シェーファーの特許文献2においては、微細球状の特定の直径のみが毛包をターゲットにして特に使用できることが提案されている。人の皮膚の場合は、シェーファーは10μm以上の直径の微細球は毛管中に入らないが、3μmより小さい微細球は皮膚角質層及び毛包管に侵入するとしている。結果として、シェーファーはこのサイズ範囲の微細球にカプセル化された活性物質が特に毛包に適していることを請求している。非特許文献1においてローランドらは以下のような毛包に蛍光を発する微細球を局在化させる方法によってこれを強調している。小微細球(直径<1μm)は皮膚角質層の上部の2−3細胞層と同様に毛包中に入りそしてこのように皮膚を拡げると思われる。対照的に、中間サイズの微細球(約5μm)は毛包中に入るがしかし皮膚角質層の上部層には侵入しない。このことはこれらの微細球が明らかに毛包に適していることを示すものである。大きな微細球(>10μm)はこれらのサイトのいずれにも侵入することが排除される。結果として、粒子サイズの適切な選択は特定の毛包対応を容易にする。しかしながら、これらの粒子は皮膚表面下200−300μmに相当する深さまで侵入できるだけで、毛包の源の細胞を破壊するのに十分ではない。また、これらの粒子は汗腺の通路のような皮膚の他の領域に入り込みダメージを引き起こすこともある。
【0008】
光増感剤及び、一般的には、光(外因的発色団)と組み合わせて使用される外因化合物は“活性物質”(これらの化合物は光の下でのみ“活性”である)と見做されずそして他のアプローチはレーザー照射前の特定の毛包ターゲットを得るためにこの微細球サイズ範囲(直径で3−10ミクロン)での少なくとも1の外因的発色団をカプセル化することが記載されている。このアプローチはスミアンらによって特許文献3に記載されている。しかしながら、スミアンらは非特許文献2中で染料(例えば、ローダミン6G)はもし染料が規定されたサイズの微細球(約5μm直径)にカプセル化されておりそして微細球の外部拡散が起こるなら毛包中に特別に位置することができる。この拡散は(適切な媒体によって)皮膚表面下に500μmまで到達することができる。拡散後に、化合物は毛包中に留まり特定の作用を生じさせ及び/又は真皮組織に拡散する。毛包内の化合物/薬剤の浸透及び拡散は調合媒体及び崩壊した毛包を通過する分子の能力、特にそのサイズ、分子量及び溶解度に依存する。もし拡散が起こるなら、化合物/薬剤の流れは初期の脱毛の後で崩壊したそれらの毛包によって制限される。さらに、これらの微細粒子は毛包に向けられるのみでなく、いくつかの微細粒子は汗腺中で見出すことができる。汗腺は皮膚表面で汗を生成させそして排出させることによって体温を調節する助けとなるため、レーザー照射後におけるそれらの排泄通路の変化は“危険な”体温不制御をもたらし、そしてこのように避けなければならない事態が生ずることになる。
【0009】
クロポチェクは特許文献4で磁性粒子を脱毛に利用する方法を開示している。毛は最初に手動で毛包から取り除かれ、それから乾燥スラリー又はローション中で粒子を含ませるような毛包中に粒子を押し込む方法によって粒子は皮膚に塗布される。別の方法は磁場を使用して皮膚中に粒子を押し込む。組成物はそれらのいくつかは毛包に適合するように十分小さな(5オングストローム−100ミクロン、好ましくは50オングストローム−10ミクロン)サイズの磁性粒子から構成されている。磁場がそれから処理面にかけられ、それは粒子を加熱しそして毛包中の突起又は他の生命構造を破壊させる。
【0010】
先行技術は脱毛における微細粒子の使用を教示しているが、しかし汗腺通路のような皮膚の他の領域への微細粒子の吸着を防止する有効な方法は開示していない。粒子を擦る行為は、組成物が乾燥状態であっても他の状態であっても、毛包以外の他の領域における皮膚にいくつかの粒子を埋め込ませる可能性がある。このことは皮膚にダメージを与えたり脱色したりする結果となる。発色団は毛包にあまり適していないので、加えられたエネルギーの少ない部分のみが実際に毛包によって吸収され、そして残りは皮膚に吸収される。このように、加えられたエネルギーが個々の毛包に局在化(非常に時間が掛かる)しなければ、この処理は粒子を吸着して皮膚の他の部分に入り込みそしてダメージを引き起こすことになる。周囲の組織にダメージを与えずに毛包の損傷のみに作用させるために、大きな毛包特異性が必要とされる。毛包に運ばれる発色団の量と毛包管に侵入する深さの両方を増加させると、脱毛効率は毛の色に依存して改善されることになる。
【0011】
前述の理由により、主として毛包向けを目的として、そして毛包の周りに発色団を深く沈積させて毛の再成長を減少又は抑制することができる、効率的で且つ容易に施術でき、刺激性のない新規の方法の開発が求められている。
【0012】
【特許文献1】USP5,425,728
【特許文献2】USP5,292,512
【特許文献3】USP6,287,549
【特許文献4】USP6,074,385
【0013】
【非特許文献1】“Site−specific drug delivery to pilosebaceous structure using polymeric microspheres”,Pharmaceutical Research 10:1738−44(1993)
【非特許文献2】“A new method to improve penetration depth of dyes into the follicular duct:Potential application for laser hair removal”,J.Am.Acav.Dermatol.,41:172−5(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は先行技術の欠点を克服する微細粒子毛包をターゲットとする方法を提供することである。
また、本発明の目的は主として毛包から脱毛後の毛包をターゲットとする局所的組成物を提供しそして毛包中に選択的に化合物や薬剤を導入できる組成物を提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は微細粒子を皮膚の他の部分に吸着させずに毛包に導入できる方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は皮脂腺に影響を与えずに、もっぱら毛包をターゲットとして粒子を導入できる方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は処理されるべき領域に電磁気照射を行う前に光増感剤及び/又は超音波感応剤を毛包に選択的に導入して、毛の再成長を減少又は抑制することのできる局所的な組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は毛包の全ての直径及び形状に対して異なったサイズ及び/又は形状の微細粒子を含む局所的な組成物を提供することである。
【0017】
要約すると、本発明は毛包中に導入される微細粒子の活性化によって永久又は半永久的脱毛の手段と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
微細粒子は皮膚に局所的に塗布される組成物中に内包されている。これらの着色団又は化学的に活性化された分子を含む微細粒子は種々の形状及びサイズをもつ。微細粒子は1ミクロン−70ミクロン、好ましくは10と50ミクロンの範囲内のサイズである。このサイズと種々の形状の微細粒子は皮膚角質層又は汗腺通路のような皮膚の他の領域に入ることなしに皮膚の全領域の毛包に入ることができる。レーザー又は非−干渉性の照射−発光ランプ、超音波照射又は化学的手段によってなされる電磁気照射による皮膚の処理は着色団又は化学的に活性化された分子を活性化させ、皮膚の他の領域にダメージを与えないで毛包を破壊する。別の態様においては、微細粒子はさらに溶媒又は他の方法を使用して毛包中にさらに開放されるナノ粒子をさらに含み、着色団又は化学的に活性化された分子を毛包中に深く侵入させそして皮脂腺のような構造は避けさせる。
【0019】
本発明の上記の、そして他の目的、態様及び利点は図を参照して以下の説明を読めば明らかとなるであろう。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、脱毛に際し汗腺、皮膚角質層などの皮膚の他の領域にダメージを与えずに毛包に選択的に作用するため、安全且つ効果的な永久/半永久的脱毛が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は電磁気照射、超音波照射、又は化学的操作などの1以上の処理をした後で毛の再成長を減少又は避けるための着色団を含み、異なったサイズと形状をもつ微細粒子を内包するか又は生成する組成物の局所的塗布を包含する。種々のサイズや形状の微細粒子を使用すると皮膚の他の領域に侵入することなく異なった領域にある皮膚上の毛包中に侵入させる。特に、10−50ミクロンの範囲のサイズをもつ微細粒子は皮膚角質層又は汗腺通路から微細粒子を排除しながら毛包中に侵入させる。
【0022】
本発明で使用される微細粒子は薬学的に又は化学的に活性化された化合物又は着色団の存在下で永久的脱毛を達成する。発色団は電磁気的又は超音波照射下で活性であるが単独では直接の活性がない化合物又は物質である。典型的に使用される発色団のタイプは光増感剤、超音波感応剤、及び他の電磁気照射下で活性な化合物を包含する。光増感剤は単色光又は多色光照射下で化学的又は熱的作用を生ずる物質でありそして超音波感応剤は超音波照射下で化学的又は熱的作用を生ずる物質である。
【0023】
本発明で使用できる発色団化合物の種類としては化粧品及び/又は薬品分野で使用される如何なる分子も包含し、全ての光増感剤分子、それらの誘導体、及び光力学的な治療で使用される前駆体を含みそして全ての超音波感応剤分子、それらの誘導体、及び超音波力学的な治療で使用される前駆体を含む。
【0024】
本発明と共に使用される発色団は皮膚への局所的塗布のための組成物に含まれる微細粒子の使用によって毛包中に導入される。これらの微細粒子は如何なる公知の方法によって製造されてもよい。そのような製造方法の例としてはモノマー重合又は予め作られた天然又は合成ポリマーの分散が包含される。リポソーム又は重合リポソームもまた本発明と共に使用できる。
【0025】
発色団又は他の活性化化合物が種々の方法で微細粒子中に内包させることができる。化合物は微細粒子中にカプセル化することができ又それ自身で微細粒子を形成することもできる。また、微細粒子は化合物で含浸させるか及び/又は化合物でコートすることもできる。全ての場合において、本発明の為に製造されるか又は使用される微細粒子は特定のサイズ範囲に限定される。
【0026】
微細粒子のサイズは1−70ミクロンそして好ましくは10−50ミクロンの範囲である。調合で含まれる微細粒子は異なったサイズをもちそして又異なった形状をもつことができる。微細粒子の幾何学的形状には限定はなく、そしてサイズは上述のサイズ範囲内であれば限定なしで変化してもよい。本発明で使用される微細粒子は気孔状であることもできる。使用できる形状の例としては球状、円筒状、卵型微細粒子、立方体、及びピラミッド状が包含される。これらの微細粒子のサイズはこれらの微細粒子のもつ最大寸法によって定義される。例えば、もしこれらの微細粒子が円板形状であれば、最大サイズは(この円板の厚みではなく)円板の直径となる。好ましい一態様としては、微細粒子は、人体に存在する全ての毛包をターゲットとするために、本発明の制限範囲内で、その直径の限定なしで異なったサイズをもつ。
【0027】
微細粒子の潜在的な形状の例は図1に示される。形状101は典型的な球状微細粒子、又は微細球である。従来の発明はこの形状を使用してきたが、毛包のみをターゲットとするためには汗腺通路の直径よりずっと大きな直径の微細粒子を使用する必要があった。多くの非−球形形状は効果的にそして特に毛包をターゲットとすることができる。これらの形状は脱毛後の開口部の変形タイプとしてモデル化される。例えば、円板(103)、半円球(105)、又は丸薬形状(107)は全て毛包の潜在的形状を近似するためにそして毛包中に置かれた微細粒子の量を増加させるために球形に加えて使用できる。代替法としては、微細粒子は可撓性(109)であってもよく、さらに可能性のある毛包形状に順応でき、そしてより効率的な微細粒子の侵入をもたらす。
【0028】
微細粒子はそれから化粧品として及び/又は薬剤として受け入れ可能な組成物中に内包されそれによって微細粒子は毛包に導入できる。そのような組成物は塩、薬剤、医薬(治療に使用される物質)、不活性成分又は他の物質を包含する。人間又は他の動物の組織に接触して毒性、配合禁忌性、不安定性、炎症性、アレルギー症候、及び類似の反応なしで使用可能なかぎり、どのような態様が使用されてもよい。組成物中で使用される微細粒子の少なくとも90%は本発明で好ましい10−50ミクロンのサイズ範囲内の微細粒子による必要がある。
【0029】
本発明は動物又は人の体の永久的又は半永久的脱毛のための方法を伴う。特定のサイズ範囲の微細粒子を含む組成物は局所的に塗布され、以下の工程からなる:
1.脱毛が望ましい目的の皮膚領域から公知の方法で不必要な毛を取り除く。
2.1−70ミクロン、好ましくは10−50ミクロンの範囲のサイズをもつ微細粒子を含み、そして活性な化合物/薬剤を含む化粧品として及び/又は薬剤として受け入れ可能な組成物を目的の皮膚領域に局所的に塗布する。
3.それから過剰の組成物を皮膚から取り除き、毛包に侵入した微細粒子のみを残す。
4.所望により付加的な工程において、超音波を処理領域に当てる。超音波は発色団又は微細粒子を毛包中にさらに押し込む。この工程はその化合物又は薬剤が微細粒子から出た後で毛包中に押し込まれる限り、工程5の後で行うこともできる。
5.微細粒子中の化合物又は薬剤を毛包中に押し出す。
6.電磁気照射、超音波照射、化学的又は熱的方法、又は他の公知の方法によって化合物を活性化し、毛の成長に寄与している細胞を変化させ及び/又は殺す。
【0030】
上記の工程はさらに以下のように説明される。毛は冷ワックス処理、温ワックス処理、又は機械装置の使用のようないずれか公知の方法を使用して工程1の毛包から取り除かれる。
【0031】
工程2において、人又は他の動物の皮膚に組成物を直接乗せるか拡げることによって局所的な塗布を行ってもよい。この塗布はマッサージで実施してもよい。この塗布の後で、物質、フィルム、上乗せ又は他の手段が閉じ込め(領域を閉鎖するために)を達成するために取られる。
【0032】
微細粒子中で使用できる光増感剤分子の例としてはメチレンブルー、ヘマトポルフィリン、インドシアニングリーン、ミクロシアニン、クロリン、クロロフィル、染料、炭素、ALA(アミノレブリン酸)、ベンゾポルフィリン、プロトポルフィリン及びそれらの誘導体が包含される。好ましい一例として、両親媒性の光増感剤が微細流子中で使用される。微細粒子中で使用できる超音波感応剤分子の例としては全ての光増感剤分子、メソポルフィリン、ガリウムポルフィリン類似体、アルミニウムフタロシアニン及びその誘導体が包含される。ここで与えられる光増感剤及び超音波感応剤分子のリストは説明の目的であってこれらの例に限定するものではない。
【0033】
工程3においては、皮膚からの過剰の組成物の除去は典型的には皮膚をガーゼで拭いて洗浄することによって行われる。追加の組成物が皮膚表面を効果的に洗浄するために加えられてもよい。
【0034】
工程5においては、“押し出す(開放する)”は微細粒子からの毛包及び周囲の組織に化合物を拡散させることを意味する。この拡散は公知の手段によって得られそして微細粒子中で使用される発色団又は他の化合物の種類に依存して変化する。そのような手段の例としては微細粒子生分解、溶媒の局所的使用によって起こる可能性のある微細粒子の溶解、局所的反応、温度変化、物理的方法又は生理的反応を包含する。ここで与えられる方法のリストは説明のためのもので限定的なものではない。
【0035】
工程6においては、電磁気照射は電磁気照射又は超音波照射を含むことができる。電磁気照射はレーザーによって生ずる単色照射又はランプによって生ずる多色照射によって発色団を有利に活性化することができる。非−レーザー照射の使用は多色照射が溶媒又は他の周囲の化合物を使用して化合物の吸収を最大に変える場合に光増感剤のより効果的な活性化を生み出すことができる。また、非−レーザー源は安価で安全に使用できる。化学的効果は光増感剤又は超音波感応剤が使用される光力学的治療又は超音波治療を含む。
【0036】
特定の微細粒子サイズ及び形状のみを含む調合を使用する上でこの方法を使用することには多くの利点がある。第一の利点は毛包のサイズは体の位置で変わるという事実に由来する。また特に機械的な脱毛の後では毛包が崩壊するために毛包の形状は変形することが知られている。結果として、固定されたサイズと形状の微細粒子は特定のサイズをもつ毛包を含む体の或る領域に限定されそしてさらにこれらの微細粒子を除外するように変形した毛包によって制限される。本発明を使用すると、同じ調合で、体の全ての領域中における全ての毛包径に向けることが可能となる。このことは製造プロセスを単純化させ、特定のサイズの微細粒子を分離するために高度のフィルター分離を行う必要がなくなる。
【0037】
従来の発明に対する別の利点は、特に従来の発明は一般的に3−10ミクロンのサイズをもつ微細粒子を必要とするので、本発明では大きいサイズの微細粒子は皮膚に侵入できずそして皮膚からより容易に取り除くことができる点である。また、微細粒子のサイズは微細粒子が汗腺通路に入るのを妨げ、これによって照射におけるダメージの可能性を避けることができる。
【0038】
本発明の別の態様は本発明で規定された範囲の異なったサイズと形状をもつ微細粒子を含み、ナノ粒子中にカプセル化された発色団を含む組成物の使用を包含する。ナノ粒子は1−1000ナノメーターの範囲のサイズをもつ粒子である。この態様においては、微細粒子は前述の態様と同様に毛包中に侵入する。この方法は以下の諸工程からなる:
【0039】
1.脱毛が望ましい目的の皮膚領域から公知の方法で不必要な毛を取り除く。
2.化合物又は薬剤を含むナノ粒子からなる10−50ミクロンの範囲のサイズをもつ微細粒子を含み、化粧品として及び/又は薬剤として受け入れ可能な組成物を目的の皮膚領域に局所的に塗布する。
3.それから過剰の組成物を皮膚から取り除き、毛包に侵入した微細粒子のみを残す。
4.公知の方法で微細粒子からナノ粒子を開放し、それからナノ粒子が毛包中に沈積し深く侵入する時間を与える。
5.ナノ粒子内の化合物又は薬剤を毛包中に開放する。
6.電磁気照射、超音波照射、化学的又は熱的方法、又は他の公知の方法によって化合物を活性化し、毛の成長に寄与している細胞を変化させ及び/又は殺す。
【0040】
工程4においては、ナノ粒子は、例えば、溶媒を使用して遊離させることができる。工程1−3及び工程5と6は前述の態様で記載された工程と同様である。前述の態様でなされたこれらの工程の議論は又この態様にも適用できる。
【0041】
この代替の態様を使用することには付加的な利点がある。第一に、ナノ粒子に充填した発色剤が毛包中へ出た後はこれらのナノ粒子はそれらのサイズにより細胞膜に侵入できない。このように、これらのナノ粒子は毛包中に局在化しているだけで、表皮、真皮、又は下皮のような周囲の組織を汚染することはできない。第二に、電磁気照射なしであれば毒性は減少する。最後に、発色団はナノ粒子から毛包中により深く入ることができ、これによって毛包内の深い細胞のみをターゲットとすることができる。例えば、この態様は皮脂腺中の発色剤の遊離を避けるために使用できる。
【0042】
添付の図を参照して本発明の好ましい態様について記載してきたが、本発明はこの厳密な態様のみに限定されるものではなく、そして熟練した当業者にとっては本明細書の請求の範囲に規定された本発明の範囲と精神を逸脱することなしで種々の変更と修飾は容易になされることは理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
汗腺、皮膚角質層などの皮膚の他の領域にダメージを与えない安全且つ効果的な永久/半永久的脱毛法として、皮膚科学及び美容学の分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】可能な微細粒子形状を記載した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細粒子からなり、該微細粒子のサイズが該微細粒子の最大寸法で測定したときに10ミクロン以上で50ミクロン以下であり且つ毛包を破壊するように活性化しうるものであることを特徴とする永久/半永久的脱毛用組成物。
【請求項2】
該微細粒子が球状でなく且つ他の皮膚領域に侵入することなしに全てのサイズ及び形状の毛包に入り込むことのできる請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該微細粒子が発色団、光増感剤、超音波感応剤、及び化学的手段によって活性化された化合物からなる群から選択される化合物からなる請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該化合物がメチレンブルーである請求項3記載の組成物。
【請求項5】
該微細粒子が可撓性をもつ請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該微細粒子が気孔状である請求項1記載の組成物。
【請求項7】
最大寸法で測定したときに10ミクロン以上で50ミクロン以下である非球状の微粒子からなり、該微細粒子が発色団、光増感剤、超音波感応剤、及び化学的手段によって活性化された化合物からなる群から選択される化合物からなるナノ粒子を含むことを特徴とする永久/半永久的脱毛用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−79050(P2009−79050A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256022(P2008−256022)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【分割の表示】特願2003−530238(P2003−530238)の分割
【原出願日】平成14年9月26日(2002.9.26)
【出願人】(502359666)セラムオプテック インダストリーズ インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】