説明

脱毛防止又は発毛促進用組成物

【課題】5α−リダクターゼの活性を抑制し、実際動物実験と臨床試験においても脱毛防止及び発毛促進効果を有する蛇苺抽出物を用いた脱毛防止又は発毛促進用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、蛇苺抽出物を有効成分として含む脱毛防止又は発毛促進用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛防止又は発毛促進用組成物に係り、具体的には、蛇苺(Duchesnea chrysantha)抽出物を用いた脱毛防止又は発毛促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境汚染、薬物の誤乱用などによる副作用、社会環境的ストレスなどにより脱毛人口は増え続けている。
人体の毛髪は成長期、退行期及び休止期を経て成長・脱落するが、脱毛は、成長期の毛髪の数が少なく、退行期又は休止期の毛髪の数は多くなることにより起こる症状である。
【0003】
脱毛の原因は、未だに明確に解明されてはいないが、一般に、血液循環の不良、ジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone)の過多生成などによる皮脂過剰分泌、過酸化物又は細菌などによる頭皮機能低下、老化、遺伝的要因、ストレス、及びこれらの複合的作用などが脱毛の原因として知られている。
【0004】
特に、脱毛症状のあるヒトから、ジヒドロテストステロンが生体内で高い水準に維持されていることが観察されることにより、ジヒドロテストステロンの過多生成が脱毛の主要原因として注目されている。
【0005】
ジヒドロテストステロンは、5α−リダクターゼによってテストステロンという男性ホルモンから作られる別の男性ホルモンである。
5α−リダクターゼの活性を抑制してジヒドロテストステロンを阻害させることにより脱毛防止などの効果を示す薬物の代表的なものとしては、米国Merck社が開発して現在FADの承認を受けたプロペシア(成分名:フィナステライド(finasteride))を挙げることができる(特許文献1、特許文献2又は特許文献3)。
【0006】
本発明も、5α−リダクターゼの活性を抑制するうえ、実際動物実験と臨床試験においても脱毛防止及び発毛促進効果を有する蛇苺抽出物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5547957号明細書
【特許文献2】米国特許第5760046号明細書
【特許文献3】韓国特許第375083号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、脱毛防止又は発毛促進用組成物を提供することにある。
本発明のその他の目的又は具体的な様態などは、以下に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、下記実施例及び実験例に示すように、乾燥した蛇苺全草を水と70%エタノールで抽出し、その各抽出物に対して、ジヒドロテストステロンを生成することにより脱毛を促進するものとして知られている5α−リダクターゼの抑制活性を察してみた結果、対照群(蛇苺抽出物が添加されていない実験群)に比べて、水抽出物は64.3%、エタノール抽出物は58.7%の抑制活性をそれぞれ有することを確認することができた。このような酵素実験結果は、動物実験と臨床実験の結果において類似の傾向を示した。
【0010】
また、紅参(生の高麗人参を蒸して乾かしたもの)抽出物又は冬山椒の葉抽出物を蛇苺抽出物に添加した場合、全体的に5α−リダクターゼの抑制活性が高くなったうえ、動物実験と臨床試験においても発毛促進及び/又は脱毛防止効果が全体的に上昇した。
【0011】
特に、蛇苺抽出物と紅参抽出物との混合比率を9:1〜7:3(重量比)としたときは、蛇苺抽出物を単独で使用したときよりも5α−リダクターゼの抑制活性だけでなく、動物実験における発毛促進活性が著しく高かった。一方、蛇苺抽出物と紅参抽出物との混合比率を8:2にして実施した臨床試験では、陽性対照群として用いた市販の養毛剤「モキシジル(登録商標)」(ハンミ薬品社、韓国)よりも優れた効果を示した。
【0012】
また、冬山椒の葉抽出物が蛇苺抽出物と9:1の比率(重量比)で添加された場合にも、臨床試験で陽性対照群として用いた市販の養毛材「モキシジル」(ハンミ薬品社、韓国)よりも優れた効果を示した。
【0013】
本発明は、このような実験結果に基づいて提供されるものである。
【0014】
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物は、蛇苺抽出物を有効成分として含むことを特徴とし、好ましくは有効成分として紅参抽出物/粉末又はムクロジの葉抽出物をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本明細書において、前記「脱毛」とは、その発生の直・間接的な原因を問わず、当業界で脱毛として分類される全ての症状を含む意味として理解されるべきである。具体的に、血液循環の不良、ヒドロテストステロンの過多生成などによる皮脂過剰分泌、過酸化物又は細菌などによる頭皮機能低下、老化、遺伝的要因、ストレス、及びこれらの複合的作用などによる脱毛症状を全て含む意味である。これは、下記の実験例(実験例3)に示すように、無作為に選出された脱毛症状を有する150名の男性(1グループは30名である)を対象として臨床試験を実施した結果、蛇苺抽出物を使用した3つの実験群のいずれにおいても著しく脱毛防止又は発毛促進効果が現れることからみても分かる。
【0016】
また、本明細書において、前記「蛇苺抽出物」とは、抽出方法を問わず、抽出対象としての蛇苺を蒸留水などの水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒に浸漬させて抽出して得られた粗抽出物、及びその粗抽出物を前記列挙された溶媒で分画して得られた抽出物を含む意味として理解される。前記抽出物の意味には、抽出溶媒が除去された濃縮液状の抽出物又は固形状の抽出物が含まられる。また、抽出方法を問わないので、抽出対象を抽出溶媒に浸漬させる段階によって抽出される限りは、抽出方法は冷浸、還流、加温、超音波放射などの任意の方式が全て適用できる。好ましくは水、エタノール又はこれらの混合溶媒を用いて得られた蛇苺抽出物を意味する。
【0017】
また、本明細書において、前記「紅参抽出物」又は前記「冬山椒の葉抽出物」も、その抽出対象が紅参又は冬山椒(Zanthoxylum planispinum)の葉であることを除いては前記「蛇苺抽出物」と同様に定義できる。
【0018】
また、本明細書において、前記「紅参」は、水参を蒸熟させてから乾かして得られた赤い人参をいい、より具体的には、水参を蒸熟させた後、水分含量が10〜15重量%程度となるように陽地又は陰地で乾燥させて得られたものをいう。
【0019】
本発明の下記の実施例及び実験例では、紅参抽出物を使用したが、当業者にとっては 紅参粉末を使用した場合にも類似の効果を示すことが自明なので、紅参抽出物の代わりに或いは紅参抽出物と共に紅参粉末を使用しても構わない。
【0020】
前述したように、このような紅参抽出物が添加された場合、全体的に蛇苺抽出物の発毛促進又は脱毛防止効果が上昇するが、特に添加比率が9:1〜7:3(蛇苺抽出物と紅参抽出物との混合重量比)の場合には発毛促進又は脱毛防止効果が上昇した。よって、紅参抽出物が添加されるとき、紅参抽出物と蛇苺抽出物との混合比率は9:1〜7:3(蛇苺抽出物と紅参抽出物の混合重量比)であることが好ましい。ここで、蛇苺抽出物と紅参抽出物との混合比率は同一の性状における混合比率である。例えば、抽出溶媒が除去された固形状の蛇苺抽出物であれば、同様に、抽出溶媒が除去された固形状の紅参抽出物を基準としたものである。また、例えば抽出液の形態であれば、下記実施例のように同一の抽出条件で得られた液状の抽出液を基準としたものである。
【0021】
また、本明細書において、前記「有効成分」とは、単独で目的の活性を示す、或いはそれ自体は活性のない担体と共に活性を示すことが可能な成分を意味する。
本明細書において特に定義されていない用語に対しては、国語辞典的意味又は当業界で通常受け入れられている意味に従う。
【0022】
一方、本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物において、蛇苺抽出物は、脱毛防止又は発毛促進活性を示すことができる限りは、用途、剤形、配合目的などに応じて任意の量(有効量)で含むことができるが、通常の有効量は組成物の全体重量に対して0.001重量%〜99.999重量%の範囲内で決定できる。ここで、「有効量」とは、脱毛防止又は発毛促進のための有効成分の量をいう。このような有効量は当業者における通常の能力範囲内で実験的に決定できる。
【0023】
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物は、蛇苺抽出物以外に、脱毛防止又は発毛促進効果を上昇又は補強させることができるように脱毛防止又は発毛促進効果があると既に知られている化合物又は植物抽出物を含むことができ、ひいては養毛剤の製造に通常使用する化合物又は植物抽出物を含むことができる。
【0024】
ここで、前記化合物又は植物抽出物としては、プロゲステロンやエストロゲンなどの女性ホルモン、緑茶抽出物、フィナステライド、コノテガシワの種抽出物、クララ抽出物、リノール酸、γ−リノール酸、ホホバ油、オリーブ油、ヒマワリ油、アボカド油、大豆油添加レシチン、丁香抽出物、ヨクイニン抽出物、五倍子抽出物、ウコン抽出物、檳榔子抽出物、阿仙薬抽出物、牽牛子抽出物、車前子抽出物、降真香抽出物、甘草抽出物、補骨脂抽出物、ソーパルメット(saw palmetto)、リンゴ抽出物、当薬抽出物、高麗人参抽出物、生の地黄抽出物、何首烏抽出物、黄精抽出物、パントテニールエチルエーテル、Dパンテノール、ヘンナ抽出物、ショウブ抽出物、ヒノキチオール、ニコチン酸アミド、l−メントール、ミノキシジル、インチョウ抽出物、酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、サリチル酸、ピロクトンオラミン(piroctone olamine)、ケトコナゾールなどを挙げることができる。
【0025】
前記に例示した化合物又は植物抽出物は、本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物に蛇苺抽出物と共に少なくとも一つ含まれ得る。
【0026】
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物は、具体的な様態において、毛髪化粧品(Hair cosmetics)組成物として把握できる。
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物が毛髪化粧品組成物として把握される場合、その化粧品組成物は多様な剤形に製造できるが、エマルジョン、ローション、クリーム(水中油滴型、油中水滴型、多重相)、溶液、懸濁液(無水及び水系)、無水生成物(オイル及びグリコール系)、ゲル、粉末などの剤形に製造できる。
【0027】
本発明の脱毛防止又は発毛促進用毛髪化粧品組成物は、蛇苺抽出物などの他に、毛髪化粧品製剤において受け入れられる担体を含むことができる。
前記担体としては、アルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコンオイル、防腐剤、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、油剤、安定剤、紫外線遮断剤、発色剤、香料、希釈剤などが例示できる。
【0028】
前記アルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコンオイル、防腐剤、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、油剤、安定剤、紫外線遮断剤、発色剤、香料、希釈剤などとして使用できる具体的な化合物又は組成物は、既に当業界において公知になっているため、当業者であれば適切な当該化合物又は組成物を選択して使用することができる。
【0029】
ここで、幾つかを例示してみると、アルコールとしては高級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどの水溶性多価アルコールなどを挙げることができ、オイルとしてはアボカド油、 パーム油、牛脂、ホホバ油などを挙げることができ、防腐剤としてはエチルパラベン、ブチルパラベンなどを挙げることができ、保湿剤としてはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、ピロリドンカルボン酸塩などを挙げることができ、希釈剤としてはエタノール、イソプロパタノールなどを挙げることができる。
【0030】
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物は、他の具体的な様態においてシャンプー組成物として把握できる。
本発明の脱毛防止又は発毛促進用組成物がシャンプー組成物として把握される場合、本発明のシャンプー組成物は、蛇苺抽出などの他に、シャンプー製剤において受け入れられる担体を含んで製造できるが、そのような担体としては、界面活性剤、気泡増進剤、乳化剤、粘増剤、ハイドロトロープ(hydrotrope)、防腐剤、pH調節剤、殺菌剤、フケ防止剤、トニック剤、保湿剤などを挙げることができる。
【0031】
前記界面活性剤、気泡増進剤、乳化剤、粘増剤、ハイドロトロープ、防腐剤、pH調節剤、殺菌剤、フケ防止剤、トニック剤などは当業界で公知のものを使用することができるが、例えば、界面活性剤としてはアルキルエーテル硫酸塩S(Alcohol Ethoxy Sulfate; Sodium Lauryl Ethoxylated Sulfate)、アルキル硫酸塩(Alcohol Sulfate)、アシルサルコシン酸塩、アシルグルタミン酸塩、リン酸エステル、スクロースエステルなどを使用することができ、気泡増進剤としてはアルカノールアミドとアミンオキシドなどを使用することができ、粘増剤としては塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、澱粉、テキストリンなどを使用することができ、ハイドロトロープ剤としてはエチルアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコールなどを使用することができ、保湿剤としてはグリセリンなどを使用することができる。
【0032】
本発明の組成物は、別の具体的な様態において石鹸組成物として把握できる。
本発明の組成物が石鹸組成物として把握される場合、本発明の石鹸組成物は石鹸基材にその有効成分を含有させて製造でき、添加剤として皮膚保湿剤、乳化剤、硬水軟化剤などを含有させて製造できる。
【0033】
前記石鹸基材としてはヤシ油、パーム油、大豆油、ヒマシ油、オリーブ油、パーム核類などの植物油脂、又は牛脂、豚脂、羊油、魚油などの動物油脂などが使用でき、前記皮膚保湿剤としてはグリセリン、エリトリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシルグリコール、ミリスチン酸イソプロピル、シリコン誘導体、アロエベラ、ソルビトールなどが使用でき、前記乳化剤としては天然オイル、ワックス脂肪アルコール、炭化水素類、天然植物抽出物などが使用でき、前記硬水軟化剤としてはエチドロン酸4ナトリウム(tetrasodium etidronate)などが使用できる。
【0034】
また、本発明の石鹸組成物は、添加剤として抗菌剤、分散剤、泡抑制剤、溶媒、水垢防止剤、腐食防止剤、香料、色素、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、防腐剤などをさらに含むことができる。
【0035】
本発明の組成物は、他の具体的な様態において薬学的組成物として把握できる。
本発明の薬学的組成物は、その有効成分以外に、薬学的に許容される担体、賦形剤などを含み、局所型剤形、例えばクリーム、ローション、軟膏(半固形の外用薬)、マイクロエマルジョン、ゲル、ペースト、経皮製剤(TTS)(例えばパッチ剤、包帯など)などに製造できる。
【0036】
前記「薬学的に許容される」とは、有効成分の活性を抑制しないながら適用(処方)対象が適応可能な以上の毒性を有しないことを意味する。
薬学的に許容される担体の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、澱粉(例えば、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉など)、セルロース、その誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースなど)、麦芽、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなど)、硫酸カルシウム、植物性油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油など)、ポリオール(例えばプロピレングリコール、グリセリンなど)、アルギン酸、乳化剤(例えば、TWEENS)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、風味剤、安定化剤、抗酸化剤、保存剤、水、食塩水、リン酸塩緩衝溶液などを挙げることができる。このような担体は、本発明の薬学的組成物の剤形に応じて、適当なものを少なくとも一つ選択して使用することができる。
【0037】
賦形剤も、本発明の薬学低組成物の剤形に応じて、適当なものを選択して使用することができるが、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの懸濁剤又は分散剤などを挙げることができる。
【0038】
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、好ましくは局所的に投与できる。
本発明の薬学的組成物は、その1日投与量が通常0.001〜150mg/kg体重の範囲であり、1回又は数回に分けて投与することができる。ところが、本発明の薬学的組成物の投与量は、投与経路、患者の年齢、性別、体重、患者の重症度などの様々な関連因子によって決定されるので、いずれの側面においても、本発明の範囲を制限するものと理解されてはならない。
【0039】
本発明の組成物は、他の具体的な様態において、食品組成物として把握することができる。
本発明の食品組成物は、健康補助食品や特殊栄養補充用食品、機能性飲料などに製造できる。
【0040】
本発明の食品組成物には、その有効成分以外に甘味剤、風味剤、生理活性成分、ミネラルなどが含まれ得る。
甘味剤は、食品に適当な甘味を出させる量で使用でき、天然又は合成のものであってもよい。好ましくは天然甘味剤を使用する場合であるが、天然甘味剤としては、トウモロコシシロップ固形物、蜂蜜、スクロース、フルクトース、ラクトース、マルトースなどの糖甘味剤を挙げることができる。
【0041】
風味剤は、味又は香を良くするために使用できるが、天然のもの及び合成のものを両方とも使用できる。好ましくは天然のものを使用する場合である。天然のものを使用する場合、風味以外に栄養強化の目的も併行することができる。天然風味剤としては、リンゴ、果物、蜜柑、ブドウ、イチゴ、桃などから得られたものであってもよく、緑茶の葉、アマドコロ、竹の葉、桂皮、菊花の葉、ジャスミンなどから得られたものであってもよい。また、高麗人参(紅参)、竹の子、アロエベラ、インチョウなどから得られたものを使用することができる。天然風味剤は、液状の濃縮液又は固形状の抽出物であってもよい。場合に応じて合成風味剤が使用できるが、合成風味剤としてはエステル、アルコール、アルデヒド、テルペンなどが使用できる。
【0042】
生理活性物質としては、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンなどのカテキン類や、レチノール、アスコルビン酸、トコフェロール、カルシフェロール、チアミン、リボフラビンなどのビタミン類などが使用できる。
【0043】
ミネラルとしては、カルシウム、マグネシウム、クロム、コバルト、銅、フッ素化物、ゲルマニウム、ヨード、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム、セレニウム、ケイ素、ナトリウム、硫黄、バナジウム、亜鉛などが使用できる。
【0044】
また、本発明の食品組成物は、前記甘味剤などの他にも、必要に応じて保存剤、乳化剤、酸味料、粘増剤などを含むことができる。
このような保存剤や乳化剤などは、それが添加される用途を達成することができる限りは、極微量で添加されて使用されることが好ましい。極微量とは、数値的に表現するときに食品組成物の全体重量に対して0.0005重量%〜約0.5重量%の範囲を意味する。
【0045】
使用できる保存剤としては、ソルビン酸ナトリウムカルシウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)などを挙げることができる。
【0046】
使用できる乳化剤としては、アカシアガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ペクチンなどを挙げることができる。
【0047】
使用できる酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸などを挙げることができる。このような酸味料は、味を増進させる目的以外に微生物の増殖を抑制する目的で、食品組成物が適正の酸度となるように添加できる。
【0048】
使用できる粘増剤としては、懸濁化具現剤、沈降剤、ゲル形成剤、膨化剤などを挙げることができる。
【発明の効果】
【0049】
上述したように、本発明によれば、蛇苺抽出物を用いた脱毛防止又は発毛促進用組成物が提供される。
本発明の組成物は、毛髪化粧品、シャンプー、石鹸、食品、薬品などに製品化できる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施例及び実験例を参照して説明する。ところが、本発明の範囲はこれらの実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0051】
<実施例>蛇苺抽出物及び紅参抽出物の製造
<実施例1>蛇苺抽出物の製造
<実施例1−1>蛇苺抽出物の製造例1
乾燥した蛇苺全草1kgに水5Lを入れ、70〜90℃の温度で約6時間熱水抽出して抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して蛇苺抽出物を製造した。その液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0052】
<実施例1−2>蛇苺抽出物の製造例2
乾燥した蛇苺全草1kgを70%のエタノール2Lに常温で24時間浸漬させて抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して蛇苺抽出物を製造する。この液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0053】
<実施例2>紅参抽出物の製造
<実施例2−1>紅参抽出物の製造例1
紅参の細切物1kgに水5Lを入れ、70〜90℃の温度で約6時間熱水抽出して抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して紅参抽出物を製造した。この液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0054】
<実施例2−2>紅参抽出物の製造例2
紅参の細切物1kgを70%のエタノール2Lに常温で24時間浸漬させて抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して紅参抽出物を製造した。この液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0055】
<実施例3>冬山椒の葉抽出物の製造
<実施例3−1>冬山椒の葉抽出物の製造例1
冬山椒の葉の細切物1kgに水5Lを入れ、70〜90℃の温度で約6時間熱水抽出して抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して冬山椒の葉抽出物を製造した。この液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0056】
<実施例3−2>冬山椒の葉抽出物の製造例2
冬山椒の葉の細切物1kgを70%のエタノール2Lに常温で24時間浸漬させて抽出液を得、その抽出液を2μmの濾紙で濾過して冬山椒の葉抽出物を製造した。この液状の抽出物をそのまま実験に使用した。
【0057】
<実験例>脱毛抑制及び/又は発毛促進活性実験
<実験例1−1>5α−リダクターゼ抑制活性実験
前記各実施例の抽出物の5α−リダクターゼの活性抑制効果を次のように測定した。
実験に使用する5α−リダクターゼは、8週齢のSprague−Dawley系白マウスの肝から得られたもので、Bradford方法でタンパク質を定量して一定量のタンパク質懸濁液として準備した。
【0058】
前記5α−リダクターゼの懸濁液30μLを酵素反応溶液60μL(50mM Na2HPO4(pH6.8)、25mM KCl、500mM NADPH)に添加すると共に、前記実施例の試料(蛇苺抽出物、紅参抽出物、冬山椒の葉抽出物又はこれら抽出物の様々な比率(重量比)の混合物)10μLを添加して全体反応溶液の量を100μLとした。
この際、5α−リダクターゼの反応基質は、放射能標識テストステロン(3H-Testosterone)を使用した。
【0059】
前記反応溶液を37℃の恒温槽で20分間放置して反応させた後、反応溶媒を蒸発させて除去し、残留物をクロロホルム20μLに溶かし、これをTLCプレート上にスポットし、TLCチャンバーで30分間展開溶媒(トルエン:アセトン=4:1)を用いて展開させた後、展開されたプレートをハイパーフィルムに3日間感光させ、感光された面積をデンシトメーター(densitometer)で定量分析した。
【0060】
5α−リダクターゼに対する活性抑制率は下記の式を用いて評価した。その結果を下記表1に示した。
5α−リダクターゼに対する活性抑制率=100(A−B/A)
A:試料未添加時のテストステロンからジヒドロテストステロンへの転換率
B:試料添加時のテストステロンからジヒドロテストステロンへの転換率
【0061】
(表1)5α−リダクターゼに対する活性抑制率

【0062】
表1の結果は、前記実施例の蛇苺抽出物と紅参抽出物と冬山椒の葉抽出物が5α−リダクターゼの活性を抑制することを示す。特に、蛇苺抽出物の5α−リダクターゼの抑制活性が紅参抽出物又は冬山椒の葉抽出物のそれに比べて著しく高かった。
混合物はいずれも、その5α−リダクターゼの抑制活性が各抽出物の5α−リダクターゼの抑制活性より高かった。特に蛇苺抽出物と紅参抽出物との混合物の場合は9:1〜7:3の比率で著しく高かった。
【0063】
<実験例2>蛇苺抽出物及び/又は紅参抽出物の動物モデルにおける発毛促進活性実験
7〜8週齢の雄マウスC57BL/6の背部位の毛を剃刀の刃を用いて注意深く3〜4cm2程度の広さだけ除去し、24時間後に残った毛がないことを確認した後、実験群と対照群をそれぞれ7匹ずつ配定した。
前記マウスに前記実施例の試料(蛇苺抽出物、紅参抽出物、冬山椒の葉抽出物又はこれらの抽出物の様々な比率(重量比)の混合物)を適量総2週間1日2回前記毛の除去された背部位に塗布し、デジタルカメラで撮影して得たイメージを、画像分析器(Image−Pro Plus、米国)で分析し、毛の除去された面積に対する新生毛の生えた面積の比率で発毛効率を評価した。
対照群としては蒸留水を使用した。
その結果を下記表3に平均値±標準偏差で示した。
【0064】
(表2)動物モデルにおける発毛効率

表2の結果は、前記表1の結果と類似の傾向を示した。蛇苺抽出物の発毛効率が紅参抽出物又は冬山椒の葉抽出物のそれに比べて著しく高かった。また、混合物の場合も、その発毛効率が各抽出物の発酵効率より高かった。特に、蛇苺抽出物と紅参抽出物との9:1〜7:3の混合物の発毛効率が最も高かった。
【0065】
<実験例3>蛇苺抽出物及び/又は紅参抽出物の脱毛防止効果及び発毛促進効果に対する臨床試験
前記実施例の抽出物の脱毛防止効果及び発毛促進効果を臨床で確認するために、臨床試験を行った。
【0066】
まず、表3のように蛇苺抽出物、紅参抽出物及び/又は冬山椒の葉抽出物を用いて養毛剤組成物を製造し、また、結果比較のために、陽性対照群としては養毛剤「モキシジル(登録商標)」(ハンミ薬品社、韓国)を使用した。
【0067】
(表3)養毛剤組成物の成分及び含量

前記各製造された養毛剤組成物を、脱毛症状のある30歳〜55際の成人男性150名を無作為に選抜して5つのグループに分けてシャンプー後に3ヶ月間1日1回〜2回脱毛部位に適量使用するようにした。
その結果を被験者の肉眼による評価基準で評価して平均値として下記表4に示した。
【0068】
(表4)養毛剤組成物の臨床試験結果

表4の臨床試験においても、蛇苺抽出物の発毛効率が紅参抽出又は冬山椒の葉抽出物のそれに比べて高かった。混合物の場合はいずれも、陽性対照群として使用した「モキシジル」よりも優れた発毛効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇苺抽出物を有効成分として含む、脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項2】
前記組成物は紅参抽出物又は紅参粉末をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項3】
前記組成物は紅参抽出物をさらに含み、該紅参抽出物は蛇苺抽出物と1:9〜3:7(紅参抽出物:蛇苺抽出物)の重量比で混合されることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項4】
前記組成物は冬山椒の葉抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項5】
前記組成物は毛髪化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項6】
前記組成物はシャンプー組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項7】
前記組成物は石鹸組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項8】
前記組成物は薬学的組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。
【請求項9】
前記組成物は食品組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛防止又は発毛促進用組成物。

【公開番号】特開2011−219458(P2011−219458A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18581(P2011−18581)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(511027437)
【Fターム(参考)】