説明

脱気装置

【課題】循環水に溶存する酸素を短時間で効率良く脱気させる脱気装置を提供する。
【解決手段】内部に循環水6が所定量貯留されるとともに、循環水6の上部に所定容積の空間7が形成される一つの反応槽2と、反応槽2の上部に接続されるとともに、水循環系80から排出される循環水6を反応槽2の空間7に導く還水系統10と、還水系統10の途中に接続されるとともに、還水系統10を流通する循環水6内に窒素を加圧注入する窒素注入系統20と、反応槽2の上部に接続されるとともに、反応槽2の空間7内を真空引きして所定の負圧環境に維持する負圧環境維持系統30と、反応槽2から排出される循環水6を水循環系80に導く返水系統60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気装置に関し、特に、水を循環利用する水循環系に付設され、水循環系統を循環する循環水に溶存する酸素を脱気させるための脱気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水には大気中の酸素がその分圧に応じた一定率で溶存しており、この溶存酸素は、金属配管や機器等を腐食させる原因となる。そのため、蓄熱媒体として水を循環利用する空調システム等の水循環系に脱気装置を付設し、この脱気装置に水循環系を循環する循環水を通すことにより、循環水の溶存酸素を不活性ガスである窒素に置き換え、循環水の溶存酸素を低減させている。
【0003】
例えば、特許文献1では、水槽内に貯留させた水を循環利用する水循環系において、水循環系とは別に水槽内の水を窒素置換処理して戻す循環処理系を設置している。この循環処理系には、窒素注入部、循環ポンプ、及び溶解促進タンクが設けられている。
【0004】
このような装置では、水槽内の水は循環ポンプで循環させられるとともに、循環ポンプの吸入側で窒素が注入される。窒素が注入された循環水には、溶解しきれない窒素が気泡の形で多く含まれる。この気泡状窒素は、循環ポンプで細かく攪拌された後に、溶解促進タンクへ送り込まれて溶解が促進される。
【0005】
この溶解促進タンクは、溶解バッファ槽(バッファタンク)としての機能を有している。窒素が水に溶解するには時間を要する。そのため、循環水をタンク内の高静圧下に長時間曝することにより窒素の溶解を促進させている。つまり、溶解バッファタンクとして使用することにより、例えば、床下に設置される平型の水槽であっても、その水槽内の水の溶存酸素を窒素置換により低減させることができる。
【0006】
また、特許文献2では、水槽内の水を利用系とは別の水循環経路に導いて気体窒素の注入及び攪拌と溶解による窒素置換処理を行わせる循環処理系を設置するとともに、その循環処理系のうち、少なくとも上記気体窒素の注入及び攪拌の箇所を含む範囲の循環経路全体を、上記水槽に対して所定以上の加圧状態におくように構成している。
【特許文献1】特開2001−342583号公報
【特許文献2】特開2005−40699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような従来の装置のうち、特許文献1に記載の装置は、以下のような問題を有している。
すなわち、循環水に注入された窒素の溶解が促進されるのは、循環処理系内に配置した溶解促進タンク内であって、それ以外のところでの溶解はほとんど期待できない。また、循環ポンプの吸入側で注入した窒素は、その循環ポンプの回転翼で攪拌されるが、その循環ポンプの吸入側には負圧が生じる。この負圧発生部分で窒素を攪拌しても、そこで溶解が促進されることはなく、ほとんどが気泡のまま溶解促進タンクへ送り込まれる。
【0008】
溶解促進タンクで窒素を効率良く溶解させるためには、窒素の気泡を予め十分に攪拌してできるだけ細分化することが望ましい。その気泡の攪拌を十分に行わせるためには、その攪拌を担う回転翼を高速で回転させる必要がある。しかし、その回転翼を高速させると、キャビティーション現象が生じて逆に気泡が発生してしまい、ポンプの寿命が大幅に低下してしまう。
【0009】
結局、注入した窒素の溶解が行われる箇所は、実質的に上述した溶解促進タンク(溶解バッファ槽)内だけとなる。溶解促進タンク内に窒素と共に送り込まれた循環水は、そのタンク内の高静圧下に長時間曝されることにより、窒素を溶解させることができる。この溶解時間を確保するためには、溶解促進タンクを通過する循環水が、その溶解タンク内に長時間曝されるようにする。つまり、循環水が溶解促進タンク内を十分な時間をかけて通過するようにすればよい。
【0010】
しかし、そのためには、溶解促進タンクの容積を十分に大きくするか、あるいは循環水の流量を少なくする必要が生じる。前者の場合は、装置が大型かつ高コスト化し、後者の場合は処理能力が低下するという問題が生じる。
【0011】
一方、特許文献2に記載の装置は、特許文献1に記載の装置のような問題が生じるようなことはなく、窒素置換による溶存酸素低減処理を比較的小型で、かつ低コストな装置で効率よく行うことができる。
【0012】
しかし、ポンプでキャビティーションが発生することを防止するためには、ポンプの一次側での窒素の供給量に限度があるため、効率良く脱気し、かつ余剰に供給された窒素を排出させる(配管系への気体の混入防止)ために、溶解槽、脱気槽の2つの槽を設ける必要があり、それらの設置に大きなスペースが必要になる。
【0013】
また、溶解槽は0.35MPa、脱気槽は0.53MPa程度の圧力で使用されるため、溶解槽及び脱気槽を製作する際に第2種圧力容器の認定が必要になり、申請、検定等に時間と費用がかかり、装置全体としての製作に時間がかかるとともに、製作費が高くついてしまう。
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、水を循環利用する水循環系において、循環水に溶存している酸素を容易にかつ短時間で効率良く脱気させることができるとともに、全体を小型化、低コスト化することができ、さらに設置スペースを小さくすることができ、さらに、装置全体を短時間で、かつ低コストで製作することができる脱気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、水を循環利用する水循環系に付設され、該水循環系を循環する循環水に溶存する酸素を脱気させるための脱気装置であって、内部に循環水が所定量貯留されるとともに、該循環水の上部に所定容積の空間が形成される一つの反応槽と、該反応槽の上部に接続されるとともに、前記水循環系から排出される循環水を該反応槽の上部空間に導く還水系統と、該還水系統の途中に接続されるとともに、該還水系統を流通する循環水内に窒素を加圧注入する窒素注入系統と、前記反応槽の上部に接続されるとともに、前記反応槽の上部空間内を真空引きして所定の負圧環境に維持する負圧環境維持系統と、前記反応槽から排出される循環水を前記水循環系統に導く返水系統とを備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明による脱気装置によれば、水循環系から排出される循環水は、還水系統によって反応槽の上部空間内に導かれ、この際に、還水系統の途中に接続されている窒素注入系統によって循環水に窒素が加圧注入され、循環水に窒素が泡状になって混入し、この状態で反応槽の上部空間内に供給される。
この場合、反応槽の上部空間内は、負圧環境維持系統により真空引きされて、所定の負圧環境に維持されているので、この負圧環境の空間内に循環水を供給することにより、循環水に混入している窒素及び酸素が空間内に噴出する。そして、空間内に噴出した窒素及び酸素は、負圧環境維持系統によって真空引きされて反応槽の外部に排出され、窒素及び酸素が分離された循環水が反応槽内に貯留される。そして、反応槽内に貯留された循環水は、返水系統によって水循環系に供給され、水循環系を循環した後に、再び還水系統によって反応槽内に供給される。
このようなことが連続して行われることにより、水循環系を循環する循環水から次第に酸素が脱気されることになる。
【0017】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の脱気装置であって、前記還水系統は、前記水循環系から排出される循環水を前記反応槽に圧送する送水ポンプと、送水ポンプの二次側に設けられる定流量弁とを備え、前記送水ポンプの一次側及び前記定流量弁の二次側に前記窒素注入系統により窒素を加圧注入するように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明による脱気装置によれば、還水系統の送水ポンプの一次側及び二次側に窒素注入系統により窒素が加圧注入され、還水系統を流通する循環水に窒素が泡状になって混入し、この状態で反応槽の上部空間内に供給される。
この場合、送水ポンプの一次側での窒素の注入量を少なくし、二次側での窒素の注入量を多くすることにより、送水ポンプにキャビティーションが生じるのを防止できる。
また、定流量弁の一時側には送水ポンプの圧力が作用し、二次側には反応槽の上部空間の負圧が作用しているので、定流量弁の一次側と二次側との差圧を大きくとることができ、この差圧によって定流量弁を循環水が通過した際に、循環水から窒素及び酸素が勢いよく噴出し、この噴出した窒素及び酸素と定流量弁の二次側で供給される窒素とが一緒になって反応槽の上部空間内に供給され、これらの気体が負圧環境維持系統による真空引きによって上部空間から排出され、上部空間内が次第に負圧環境の窒素雰囲気に形成され、反応槽内に貯留される循環水から次第に酸素が脱気される。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の脱気装置であって、前記負圧環境維持系統は、前記反応槽の上部に真空引き配管を介して接続される真空ポンプと、前記真空引き配管の途中に分岐配管を介して接続される真空破壊弁と、真空ポンプを循環する水を貯留させる水槽とを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明による脱気装置によれば、真空ポンプの作動により反応槽の上部空間内を真空引きすることにより、反応槽の上部空間内から酸素及び窒素が吸引されて外部に排出され、上部空間内の真空度が次第に高められていく。
そして、上部空間内の真空度が高められて真空ポンプの能力を超えようとする場合には、真空破壊弁が作動して外部から空気が取り込まれ、真空ポンプが破壊されるのが防止される。この場合、外部から取り込まれる空気は、分岐配管から真空引き配管に取り込まれ、真空引き配管から真空ポンプに取り込まれることになるので、外部からの空気が反応槽の上部空間内に流入するようなことはなく、還水系統によって反応槽内に供給される循環水に真空破壊弁からの空気が接触するのを避けることができ、反応槽内に貯留されている循環水に空気が溶解するのを防止できる。
【0021】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の脱気装置であって、前記負圧環境維持系統には、前記水槽内に設けられる冷却コイルと、前記水槽外に設けられる冷却ユニットと、前記冷却コイルと前記冷却コイルとの間を循環する冷媒とを備えた冷却装置が設けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明による脱気装置によれば、冷却装置の作動により、冷却コイルと冷却ユニットとの間で冷媒が循環し、水槽内の水が冷却されることになるので、真空ポンプの温度上昇による能力の低下を防止でき、真空ポンプによって反応槽の上部空間内を所定の負圧環境に維持することができる。
【0023】
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れかに記載の脱気装置であって、前記還水系統の定流量弁には、バイパス配管が並設されるとともに、該バイパス配管の途中には該バイパス配管を開閉させるバイパス電磁弁が設けられ、該バイパス電磁弁の開閉動作を、前記反応槽内の水位を検知する検知手段からの信号によって制御するように構成したことを特徴とする。
【0024】
本発明による脱気装置によれば、反応槽内に貯留される循環水の水位は検知手段によって検知され、この検知手段から検知信号によってバイパス電磁弁の開閉動作が制御され、バイパス電磁弁を介してバイパス配管が開閉され、反応槽内の水位が所定の範囲内に保たれる。従って、反応槽内に、常時、所定容積の空間を確保することができるので、所定の負圧環境の窒素雰囲気を維持することができ、所定の脱気性能を維持することができる。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の脱気装置であって、前記検知手段は、少なくとも、前記反応槽内の制御許容水位の上限を検出する第1電極棒と、下限を検出する第2電極棒と、コモン用の第3電極棒とを有し、第1電極棒及び第2電極棒からの検知信号により、前記バイパス電磁弁の開閉動作が制御されることを特徴とする。
【0026】
本発明による脱気装置によれば、反応槽内に貯留される循環水の許容水位は、検知手段の第1電極棒によって上限が検知されるとともに、第2電極棒によって下限が検知され、この第1電極棒及び第2電極棒から検知信号によってバイパス電磁弁の開閉動作が制御され、バイパス回路を介して反応槽内に循環水が補給され、又は循環水の補給が停止され、反応槽内の循環水の水位が所定の範囲内に維持されることになる。
【発明の効果】
【0027】
以上、説明したように、本発明の脱気装置によれば、一つの反応槽内の空間内を負圧環境維持系統によって所定の負圧環境に維持し、還水系統と窒素注入系統との協働により、反応槽の空間内に循環水内に混入している窒素及び酸素を噴出させて、それらの気体を負圧環境維持系統によって真空引きすることにより外部に排出させることにより、循環水から酸素を次第に脱気させることができ、殆ど酸素が含まれていない循環水を反応槽内に貯留させることができるので、循環水から酸素を脱気させるのに容積の大きな反応槽が不要になるとともに、循環水からの酸素の脱気を容易に短時間で効率よく行うことができる。
また、装置全体を小型化、低コスト化することができるとともに、設置スペースを小さくすることができる。さらに、反応槽の耐圧性を第2種圧力容器の基準に合わせる必要がないので、装置全体を短時間でかつ低コストで製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5には、本発明による脱気装置の一実施の形態が示されていて、図1は全体の概略構成図、図2は還水系統及び窒素注入系統の概略構成図、図3は負圧環境維持系統の概略構成図、図4は図3の真空破壊弁の拡大図、図5は真空ポンプの冷却装置の概略構成図、図6は水位調整系統の概略構成図、図7は図6の水位検知部の説明図である
【0029】
すなわち、この脱気装置1は、蓄熱媒体として水を循環利用する蓄熱式空調システム等の水循環系80に適用され、水循環系80を循環する水(以下、「循環水6」という。)に溶存する酸素を脱気させるためのものであって、一端が水循環系80の循環水6の流出口81に接続され、他端が水循環系80の循環水6の流入口82に接続される閉路を形成し、この閉路内に、1つの反応槽2と、還水系統10と、返水系統60と、窒素注入系統20と、負圧環境維持系統30と、水位調整系統70とを設けて構成したものである。
【0030】
反応槽2は、図1に示すように、上下端が開口する筒状の中胴部3と、中胴部3の上端開口部に接続される上端が閉塞された筒状の上胴部4と、中胴部3の下端開口部に接続される下端が閉塞された筒状の下胴部5とからなる密閉された縦型タンクであって、この反応槽2の内部で循環水6に溶存している酸素が脱気される。
【0031】
反応槽2の上胴部4の閉塞されている上端部には後述する環水系統10及び負圧環境維持系統30が接続され、中胴部3の側部には後述する返水系統60が接続され、上胴部4の側部と下胴部5の側部との間には後述する水位調整系統70が接続され、還水系統10と返水系統60と水位調整系統70との協働により、反応槽2の内部に所定量の循環水6が貯留され、循環水6の上部に所定容積の空間7が形成される。
【0032】
反応槽2の上部の空間7は、後述する負圧環境維持系統30によって真空度が−7〜−8mAq程度の負圧環境に設定され、この負圧環境の空間7内に後述する窒素注入系統20により窒素が充填され、この負圧環境の窒素雰囲気内で循環水6に溶存している酸素が脱気される。
【0033】
反応槽2は、上部の空間7の真空度が−7〜−8mAq程度に設定されるので、第2種圧力容器のように圧力容器としての認定を受ける必要はなく、認定を受けるための申請、検定等が不要である。従って、反応槽2を第2種圧力容器で構成した場合に比べて、反応槽2の製作に要する時間を大幅に短縮できるとともに、製作費を安く抑えることができ、装置全体としての製作に要する時間を短縮することができ、装置の製作費を安く抑えることができる。
【0034】
環水系統10は、図1及び図2に示すように、水循環系80から排出される循環水6を反応槽2に導くためのものであって、一端が水循環系80の循環水6の流出口81に接続され、他端が反応槽2の上胴部4の上端中央部に接続される還水配管11と、還水配管11の途中に設けられて、水循環系80から排出される循環水6を反応槽2に圧送する送水ポンプ12と、送水ポンプ12のサクション側(一次側)に設けられる開閉弁13、流量計14、及び開閉弁15と、送水ポンプ12のデリバリ側(二次側)に設けられる逆止弁16、定流量弁17、及び開閉弁18とを備えている。
【0035】
還水系統10の送水ポンプ12の作動により、水循環系80の流出口81から還水配管11内に循環水6が排出され、還水配管11内を流通して開閉弁13、流量計14、開閉弁15、送水ポンプ12、逆止弁16、流量調整用手動弁84、定流量弁17、及び開閉弁18を介して反応槽2の上部の空間7に供給される。
【0036】
この場合、還水系統10の定流量弁17の二次側(下流側)の還水配管11内は、後述する負圧環境維持系統30によって反応槽2の上部の空間7と同様の負圧環境となるので、水循環系80から還水配管11内に排出される循環水6は、送水ポンプ12による圧力と反応槽2の空間7の負圧との協働によって反応槽2の空間7内に供給されることになる。
【0037】
また、定流量弁17の一次側(上流側)は送水ポンプ12による高圧が作用し、二次側(下流側)は反応槽2の空間7の負圧が作用しているので、定流量弁17の一次側(上流側)と二次側(下流側)との差圧を大きくとすることができる。従って、定流量弁17を循環水6が通過した瞬間に、ビールや炭酸飲料の栓を抜いたときのように、後述する窒素注入系統20によって送水ポンプ12のサクション側で循環水6に注入された窒素、及び循環水6に溶存している酸素が泡状になって還水配管11内に勢いよく噴き出し、この噴き出した窒素及び酸素と、後述する窒素注入系統20によって定流量弁17の二次側(下流側)に注入された窒素と、定流量弁17を通過した循環水6とが一緒になって反応槽2の空間7内に供給される。
【0038】
窒素注入系統20は、図1及び図2に示すように、窒素発生装置21と、一端が窒素発生装置21に接続されるとともに、他端が還水配管11に接続される窒素注入配管22、23と、窒素注入配管22、23の途中に設けられる窒素注入量調整装置24、25とから構成されている。
【0039】
窒素注入配管22、23は、途中から2本に分岐されて一方の第1窒素注入配管22が送水ポンプ12のサクション側(流量計14と開閉弁15との間)に接続され、他方の第2窒素注入配管23が送水ポンプ12のデリバリ側(定流量弁17と開閉弁18との間)に接続され、第1窒素注入配管22の途中に第1窒素注入量調整装置24が設けられ、第2窒素注入配管23の途中に第2窒素注入量調整装置25がそれぞれ設けられている。
なお、窒素発生装置21としては、窒素を供給できるものであれば特に制限はなく、大気から窒素を分離して供給する窒素発生装置、窒素ボンベ等を使用することができる。
【0040】
窒素発生装置21から第1窒素注入配管22及び第2窒素注入配管23に分岐された窒素は、第1窒素注入量調整装置24を介して送水ポンプ12のサクション側(開閉弁15の一次側)に注入され、第2窒素注入量調整装置25を介して送水ポンプ12のデリバリ側(定流量弁17の二次側)に注入される。この場合、送水ポンプ12のサクション側に注入される窒素は、送水ポンプ12にキャビティーションが発生しない程度の量に第1窒素注入量調整装置24によって調整される。
【0041】
送水ポンプ12のサクション側で還水配管11内の循環水6に注入された窒素、及び循環水6に溶存している酸素は、定流量弁17の一次側に送水ポンプ12の圧力が作用し、二次側に反応槽2の空間7の負圧が作用し、定流量弁17の一次側と二次側との間に大きな差圧が生じていることから、定流量弁17を通過した瞬間に負圧環境の還水配管11内に勢いよく噴き出る。そして、この還水配管11内に噴き出した窒素及び酸素と、送水ポンプ12のデリバリ側の還水配管11内に注入された窒素と、定流量弁17を通過した循環水とが一緒になり、開閉弁18を介して反応槽2の空間7内に霧状又はシャワー状となって供給され、反応槽2の空間7の全体に拡散される。
【0042】
負圧環境維持系統30は、図1、図3、図4及び図5に示すように、一端が反応槽2の上胴部4の上端部に接続される真空引き配管31と、真空引き配管31の他端に接続される真空ポンプ32と、真空ポンプ32を循環する水を貯留させる水槽36と、水槽36内に水を補給する補給水配管37と、補給水配管37を開閉させる開閉弁38と、開閉弁38を作動させる水槽36の水面上に浮かべられたボールタップ39と、水槽36内の水を冷却する冷却装置45と、真空引き配管31の途中に分岐配管55を介して接続される真空破壊弁56とから構成されている。
【0043】
真空ポンプ32は、水封式真空ポンプであって、ケーシング33内に回転自在に設けられている羽根車34をモータ35の作動によって回転させて、水槽36とケーシング33との間で水を循環させることによりケーシング33の内周面に環状の水膜を形成し、この水膜と羽根車34との間に形成される空間の容積を羽根車34の回転に追従して拡大、縮小させることにより、真空引き配管31を介して反応槽2の空間7内から窒素及び酸素を吸い込み、空間7内を所定の負圧環境に形成するものである。
【0044】
この場合、水槽36内の水は、給水配管42を介して真空ポンプ32のケーシング33内に吸い込まれるとともに、ケーシング33内を循環した後に排水配管43を介して水槽36内に排出され、この際に、真空ポンプ32内に吸い込んだ反応槽2内の窒素及び酸素が水と一緒に水槽36内に排出される。排水配管43の水槽36内の排出口にはサイレンサー44が取り付けられ、このサイレンサー44によって排水配管43から水槽36内に窒素及び酸素を排出させる際に水面が暴れるのを防止し、水面上に浮かべられているボールタップ39が誤動作するのを防止し、ボールタップ39に連動する補給水配管37の開閉弁38が誤動作するのを防止している。
【0045】
冷却装置45は、図5に示すように、水槽36内に配置される冷却コイル46と、水槽36外に配置される冷却ユニット47と、冷却ユニット47と冷却コイル46とを接続する冷媒配管48とから構成され、冷却コイル46と冷却ユニット47との間で冷媒配管48を介して冷媒を循環させることにより、水槽36内に貯留される水が冷却されて所定の温度(例えば、40℃以下)に保たれる。
【0046】
この場合、水槽36内の所定の位置(例えば、真空ポンプ32の給水配管42の吸込口近傍)には、温度センサ50が設けられ、この温度センサ50からの検知信号によって冷却ユニット47のON−OFFが制御され、水槽36内の水の温度が所定の範囲内に保たれる。
【0047】
冷却装置45により、水槽36内の水の温度を所定の範囲内に保つことにより、真空ポンプ32を循環する水の温度上昇によって真空ポンプ32の能力が低下するのを防止でき、所定の真空度を維持し続けることができる。
【0048】
また、水槽36内の所定の位置(例えば、真空ポンプ32の給水配管42の吸込口近傍)には、前述した温度センサ50とは別の温度センサ51が設けられ、この温度センサ51からの検知信号によって水槽36の底部に設けられている排水配管40の開閉弁41の作動が制御される。
【0049】
すなわち、温度センサ51からの検知信号によって開閉弁41が開くことにより、開閉弁41に接続されている排水配管40を介して水槽36内の水が排出され、水槽36内の水位の低下に追従してボールタップ39に連動する補給水配管37の開閉弁38が開き、補給水配管37から開閉弁38を介して水槽36内に水が補給される。
【0050】
この場合、補給水配管37は、開閉弁38を介して水循環系80の流出口81に接続され、開閉弁38の作動によって補給水配管37内に水循環系80から循環水6が取り込まれる。排水配管40を介して水槽36内の水を排出させ、補給水配管37を介して水槽36内に循環水6を補給することにより、水槽36内の水の温度上昇が防止される。従って、冷却装置45の故障等の緊急時に、排水配管40を介して水槽36内から水を排出させ、補給水配管37を介して水槽36内に循環水6を補給することにより、水槽36内の水が温度上昇するのを防止でき、真空ポンプ32による所定の真空度を維持し続けることができる。なお、補給水配管37を水道等の水源に接続し、水道等の水源から補給水配管37を介して水槽36内に補給水を補給してもよい。
【0051】
一般に、水封式真空ポンプは、排水配管の開閉弁を所定の開度に保ち、排水配管を介して水槽内から水を排出し続け、排出量に応じた補給水を補給水配管を介して水槽内に補給し続けるような使い方がなされている。例えば、2.2Kwの真空ポンプを用いた場合には、水槽内の水を40℃以下に保つためには、5℃程度の補給水を約0.7〜1.2m/日程度(25℃の水では約1.6〜2.8m/日程度)補給する必要がある。これに対して、本実施の形態においては、冷却装置45の故障等の緊急時以外には、水槽36内に補給水を補給する必要がないので、その分だけ水の消費を抑えることができ、経済的に有利である。
【0052】
真空破壊弁56は、図3及び図4に示すように、反応槽2の空間7の負圧が真空ポンプ32の最大使用圧力よりも高くならないように調整するためのものであって、真空破壊弁56の作動によって分岐配管55を介して外部から真空ポンプ32に空気を取り込むことにより、真空ポンプ32がそれ自身の能力によって破壊されるのを防止している。つまり、真空ポンプ32によって反応槽2の空間7の負圧を高めていくと、それに追従して真空度が次第に低くなり真空ポンプ32の能力分だけ低くなる。しかし、真空ポンプ32が最大の負圧能力を発揮すると、真空ポンプ32がそれ自身の能力によって破壊してしまうことがあるので、真空破壊弁56を設けて真空ポンプ32を保護している。なお、図3及び図4中、57はサイレンサー、58は負圧度調整用弁である。
【0053】
本実施の形態においては、真空引き配管31から分岐させた分岐配管55の先端部に真空破壊弁56を取り付けているので、真空破壊弁56の作動によって分岐配管55内に外部から空気を取り込んだ場合に、その空気は反応槽2の空間7内には流入せずに真空引き配管31を介して真空ポンプ32に直接に吸い込まれることになる。従って、反応槽の上部に配管を介して直接に真空破壊弁を接続したもののように、反応槽2の空間7内に空気が流入することがないので、空間7を窒素だけが通過する負圧環境に保つことができ、反応槽2内に貯留されている循環水6に空気が接触するのを防止できる。
【0054】
返水系統60は、図1及び図6に示すように、一端が反応槽2の中胴部3の側部に接続され、他端が水循環系80の流入口82に接続される返水配管61と、返水配管61の途中に設けられる返水ポンプ62と、返水ポンプ62の一次側に設けられる開閉弁63と、返水ポンプ62の二次側に設けられる開閉弁64及び定流量弁65とを備えており、返水ポンプ62の作動により、反応槽2から排出される循環水6が開閉弁63、返水ポンプ62、開閉弁64、及び定流量弁65を介して水循環系80の流入口82に導かれる。
【0055】
水位調整系統70は、図1〜図3、図6及び図7に示すように、反応槽2に隣接して並設されるとともに、上端部が反応槽2の上胴部4の側部に接続され、下端部が下胴部5の側部に接続される水位検知部71と、水位検知部71内に設けられる複数本の電極棒72〜76と、還水系統10の定流量弁17に並列に設けられるバイパス配管77と、バイパス配管77の途中に設けられるバイパス電磁弁78とを備えている。
【0056】
水位検知部71に設けられる複数本の電極棒72〜76は、図7に示すように、先端が反応槽2の上胴部4の高さ方向の中間部に相当する位置に位置する第1電極棒72と、先端が反応槽2の上胴部4の第1電極棒72の先端よりも下方に相当する位置に位置する第2電極棒73と、先端が反応槽2の中胴部3の高さ方向の上端部に相当する位置に位置する第3電極棒74と、下端が反応槽2の中胴部3の第3電極棒74の下端よりも下方に相当する位置に位置する第4電極棒75と、下端が反応槽2の下胴部5の下端部に相当する位置に位置する第5電極棒76とを備えている。
【0057】
この場合、第1電極棒72は、循環水6の水位の上限を検知する電極棒として機能し、第2電極棒73及び第3電極棒74は、循環水6の設定水位の上限及び下限を検知する電極棒として機能し、第4電極棒75は、循環水6の水位の下限を検知する電極棒として機能し、第5電極棒76は、コモン(アース)用として機能している。
【0058】
つまり、第1電極棒72の先端が循環水6に接触することにより、第1電極棒72と第5電極棒76との間に電流が流れて送水ポンプ12が停止され、第2電極棒73の先端が循環水6に接触することにより、第2電極棒73と第5電極棒76との間に電流が流れてバイパス電磁弁78が閉じ、第3電極棒74の先端が循環水6から離れることにより、第3電極棒74と第5電極棒76との間の電流が流れなくなったことを受けて、バイパス電磁弁78が開き、第4電極棒75の先端が循環水6から離れることにより、第4電極棒75と第6電極棒76との間の電流がなくなり、返水ポンプ62が停止される。
【0059】
なお、水位検知部71内に設ける電極棒72〜76は、少なくともバイパス電磁弁78を閉じるための第2電極棒73と、バイパス電磁弁78を開くための第3電極棒74と、コモン用の第5電極棒76の3本の電極棒があればよい。
【0060】
一般に、定流量弁は、流量を一定に保つ弁であるが、圧力損失が大きい(水が流れにくい)欠点がある。反応槽2の一次側の還水系統10に設けられた定流量弁17と、二次側の返水系統60に設けられた定流量弁65とは、二次側の定流量弁65が一次側の定流量弁17よりも流量が大きく(二次側定の流量弁65>一次側の定流量弁17)なるように調整されている。つまり、反応槽2内の循環水6の水位が徐々に低下するように調整されている。このため、反応槽2内の水位が徐々に低下して設定範囲の下限に達した場合には、その水位を電極棒74により検知し、バイパス電磁弁78を開くことにより、反応槽2内にバイパス配管77を介して循環水6を補給している。このとき、一次側の定流量弁17+バイパス電磁弁78の流量>二次側の定流量弁65の流量となる。これにより、反応槽2内の循環水6の水位が回復し、水位が上昇する方向に移行する。逆に、反応槽2内の水位が設定範囲の上限に達した場合には、その水位を電極棒73が検知し、バイパス電磁弁78を閉じて、再度、水位は徐々に減る方向に移行する。
【0061】
バイパス電磁弁78が開いて、水位が回復する速度は、バイパス電磁弁78の二次側に設けられたバイパス配管流量調整用手動弁83の開閉度の調整によって調整できる。何らかの原因によって水位が設定範囲の上限又は下限を超え、上限よりも上昇又は下限よりも下降した場合には、第1電極棒72又は第4電極棒75で検知し、送水ポンプ12又は返水ポンプ62を強制的に停止し、真空ポンプ32が液体を吸引するのを阻止し又は返水ポンプ62が空転するのを阻止している。
【0062】
そして、上記のように構成した本実施の形態による脱気装置1を作動させ、水循環系80から排出される循環水6を還水系統10の送水ポンプ12によって反応槽2の方向に圧送する。この際、送水ポンプ12のサクション側及びデリバリ側において、還水配管11を流通する循環水6に窒素を加圧注入する。循環水6が送水ポンプ12の二次側の定流量弁17を通過する際に、循環水6に溶存している酸素及び窒素の一部が定流量弁17の二次側の還水配管11内に噴出し、この噴出した酸素及び窒素と送水ポンプ12のデリバリ側で供給された窒素と定流量弁17を通過した循環水6とが一緒になって反応槽2の上部空間7内に霧状になって噴出され、窒素及び酸素は上部空間7内に貯留され、循環水6は反応槽2の下部に貯留されていく。
【0063】
この場合、反応槽2の上部空間7内は、負圧環境維持系統30の真空ポンプ32によって真空引きされて所定の負圧環境に維持されているとともに、還水系統10から連続的に供給されてくる窒素によって窒素雰囲気に形成されており、この負圧環境の窒素雰囲気内に還水系統10から窒素、酸素及び循環水6が霧状になって噴出されることにより、循環水6に溶存している窒素及び酸素が更に析出され、上部の空間7内に充満している酸素及び窒素が真空ポンプ32によって真空引きされて反応槽2外に排出され、循環水6の溶存酸素が低減されていく。
【0064】
ここで、窒素、酸素及び循環水6を霧状にして反応槽2内に噴出させているのは、循環水6を水滴化して表面積を増やし、循環水6に溶存している酸素及び窒素を排出しやすくするためである。また、送水ポンプ12のサクション側で循環水6に窒素を注入しているのは、循環水6の含有気体量を高め、負圧環境下で酸素を含む気体を排出する効率を高めるためである。
【0065】
そして、反応槽2内に貯留された循環水6は、返水系統60の返水ポンプ62の作動によって返水配管61を介して水循環系80の流入口82に導かれ、水循環系80を循環した後に流出口81から排出され、再び、還水系統10、反応槽2、返水系統60を経て水循環系80に供給され、このようなことを繰り返し行うことにより、循環水6の溶存酸素が次第に低減され、殆ど溶存酸素の含まれていない循環水6にすることができる。
【0066】
上記のように構成した本実施の形態による脱気装置1にあっては、反応槽2の内部に所定量の循環水6を貯留させ、その上部に所定容積の空間7を形成し、この空間7を負圧環境維持系統30によって所定の負圧環境に維持し、この負圧環境の空間7内を還水系統10から連続的に供給される窒素によって窒素雰囲気に形成し、この負圧環境の窒素雰囲気内に還水系統10から循環水6を霧状にして噴出させることにより、循環水6に溶存している酸素を脱気させ、脱気させた酸素を窒素と共に真空引きによって外部に排出させるようにしたので、循環水6に溶存している酸素を容易に短時間で効率良く脱気させることができる。
【0067】
また、反応槽2の上部空間7は、真空度が−7.0〜−8.0mAq程度に維持されているので、反応槽2を製作する場合に、第2種圧力容器のような圧力容器としての認定が不要になり、製作に要する時間を短縮することができ、製作コストを低減させることができる。
【0068】
さらに、水循環系80に付設した閉路に1つの反応槽2を設ければよいので、反応槽2を設置する場所に大きなスペースを必要とすることはなく、省スペース化を図ることができる。
【0069】
さらに、真空ポンプ32を保護する真空破壊弁56を真空引き配管31の途中に分岐配管55を介して接続しているので、真空破壊弁56を介して外部から空気を取り込む場合に、外部からの空気が反応槽2の上部空間7内に流入するようなことはなく、分岐配管55から真空引き配管31を介して真空ポンプ32に直接に取り込まれることになる。従って、外部からの空気が反応槽2内の循環水6に溶解するようなことはなく、反応槽2内で循環水6から溶存酸素を効率良く脱気させることができる。なお、真空破壊弁56を反応槽2に配管を介して直接に取り付けた場合には、循環水6の脱気低減限界は0.3mg/リットル程度となるが、本実施の形態においては、0.1mg/リットル未満となり、非常に優れた脱気能力を有していることが分かる。
【0070】
さらに、真空ポンプ32に供給する水を貯留させておく水槽36に冷却装置45を設け、この冷却装置45によって水槽36内の水を所定の温度に保っているので、真空ポンプ32の能力が水槽36内の水の温度上昇によって低下するようなことはなく、反応槽2内の上部空間7を所定の負圧環境に維持し続けることができる。
【0071】
さらに、反応槽2内に貯留されている循環水6の水位を所定の範囲内に保つのに複雑な制御を必要とすることなく、電極棒74、75により水位の上限及び下限を検知して、電極棒74、75からの検知信号によりバイパス配管77のバイパス電磁弁78の開閉を制御しているので、安価な制御で反応槽2内の水位を所定の範囲内に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による脱気装置の一実施の形態の全体を示す概略構成図である。
【図2】還水系統及び窒素注入系統の概略構成図である。
【図3】負圧環境維持系統の概略構成図である。
【図4】図3の真空破壊弁の拡大図である。
【図5】真空ポンプの冷却装置の概略構成図である。
【図6】水位調整系統の概略構成図である。
【図7】図6の水位検知部の説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 脱気装置、2 反応槽、3 中胴部、4 上胴部、5 下胴部、6 循環水、
7 上部空間、10 還水系統、11 還水配管、12 送水ポンプ、
13 開閉弁(一次側)、14 流量計、15 開閉弁(一次側)、
16 逆止弁(二次側)、17 定流量弁(二次側)、18 開閉弁(二次側)、
20 窒素注入系統、21 窒素発生装置、22 第1窒素注入配管、
23 第2窒素注入配管、24 第1窒素注入量調整装置、
25 第2窒素注入量調整装置、30 負圧環境維持系統、31 真空引き配管、
32 真空ポンプ、33 ケーシング、34 羽根車、35 モータ、36 水槽、
37 補給水配管、38 開閉弁、39 ボールタップ、40 排水配管、
41 開閉弁、42 給水配管、43 排水配管、44 サイレンサー、
45 冷却装置、46 冷却コイル、47 冷却ユニット、48 冷媒配管、
50 温度センサ、51 温度センサ、55 分岐配管、56 真空破壊弁、
57 サイレンサー、58 負圧度調整用弁、60 返水系統、61 返水配管、
62 返水ポンプ、63 開閉弁(一次側)、64 開閉弁(二次側)、
65 定流量弁、70 水位調整系統、71 水位検知部、72 第1電極棒、
73 第2電極棒、74 第3電極棒、75 第4電極棒、76 第5電極棒、
77 バイパス配管、78 バイパス電磁弁、80 水循環系、81 流出口、
82 流入口、83 バイパス配管流量調整用手動弁、
84 流量調整用手動弁(還水系統)、85 流量調整用手動弁(返水系統)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を循環利用する水循環系に付設され、該水循環系を循環する循環水に溶存する酸素を脱気させるための脱気装置であって、
内部に循環水が所定量貯留されるとともに、該循環水の上部に所定容積の空間が形成される一つの反応槽と、
該反応槽の上部に接続されるとともに、前記水循環系から排出される循環水を該反応槽の上部空間に導く還水系統と、
該還水系統の途中に接続されるとともに、該還水系統を流通する循環水内に窒素を加圧注入する窒素注入系統と、
前記反応槽の上部に接続されるとともに、前記反応槽の上部空間内を真空引きして所定の負圧環境に維持する負圧環境維持系統と、
前記反応槽から排出される循環水を前記水循環系統に導く返水系統とを備えていることを特徴とする脱気装置。
【請求項2】
前記還水系統は、前記水循環系から排出される循環水を前記反応槽に圧送する送水ポンプと、送水ポンプの二次側に設けられる定流量弁とを備え、
前記送水ポンプの一次側及び前記定流量弁の二次側に前記窒素注入系統により窒素を加圧注入するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱気装置。
【請求項3】
前記負圧環境維持系統は、前記反応槽の上部に真空引き配管を介して接続される真空ポンプと、前記真空引き配管の途中に分岐配管を介して接続される真空破壊弁と、真空ポンプを循環する水を貯留させる水槽とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項4】
前記負圧環境維持系統には、前記水槽内に設けられる冷却コイルと、前記水槽外に設けられる冷却ユニットと、前記冷却コイルと前記冷却コイルとの間を循環する冷媒とを備えた冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の脱気装置。
【請求項5】
前記還水系統の定流量弁には、バイパス配管が並設されるとともに、該バイパス配管の途中には該バイパス配管を開閉させるバイパス電磁弁が設けられ、該バイパス電磁弁の開閉動作を、前記反応槽内の水位を検知する検知手段からの信号によって制御するように構成したことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の脱気装置。
【請求項6】
前記検知手段は、少なくとも、前記反応槽内の制御許容水位の上限を検出する第1電極棒と、下限を検出する第2電極棒と、コモン用の第3電極棒とを有し、第1電極棒及び第2電極棒からの検知信号により、前記バイパス電磁弁の開閉動作が制御されることを特徴とする請求項5に記載の脱気装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−216122(P2007−216122A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38437(P2006−38437)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(504027657)株式会社イーズ (12)
【Fターム(参考)】