説明

脱水ケーキ圧送装置

【課題】含水率の低い脱水ケーキが供給された場合であっても、ブリッジ現象が発生しにくく、フィーダ装置側から圧送装置側に向けてスムーズに脱水ケーキを移送させることが可能な脱水ケーキ圧送装置の提供を目的とした。
【解決手段】脱水ケーキ圧送装置10は、フィーダ装置20と、圧送装置50と、制御装置100とを備えている。フィーダ装置20は、フィーダケーシング22の内部に設けられた攪拌羽根26が回転することにより、脱水ケーキを下方に配置された圧送装置50側に向けて押し込むことが可能とされている。脱水ケーキ圧送装置10は、フィーダ装置20に設けられた攪拌羽根26の回転時間が所定の基準時間γに達することを条件として、攪拌羽根26の回転方向を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水ケーキを圧送するために使用される脱水ケーキ圧送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場、屎尿処理場、農業集落排水の処理場、清掃工場、あるいは一般工場における排水汚泥処理施設等において排出される脱水ケーキを移送または定量供給するために、下記特許文献1に開示されているような脱水ケーキ圧送装置が使用されている。
【0003】
下記特許文献1に開示されている脱水ケーキ圧送装置は、脱水ケーキを圧送するための一軸偏心ねじポンプ等の圧送装置と、圧送装置に対して圧送対象である脱水ケーキを供給するためのフィーダ装置とを備えている。また、フィーダ装置は、脱水ケーキが投入されるフィーダケーシング内において、回転軸と共に回転可能とされた撹拌羽根が設けられた構成とされている。フィーダ装置は、撹拌羽根回転させることによりフィーダケーシング内に投入された脱水ケーキを下方に配置された圧送装置側に押し込み、供給することができる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4328833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで近年、脱水ケーキの最終処理作業の効率向上等の観点から、脱水ケーキの含水率を低下させるべく、脱水時に繊維を混入して含水率を下げる等の方策が講じられている。このようにして低含水率化された脱水ケーキは、従前のものに比べてより多くの繊維分を含み、強度及び粘性が高い。このような特性を有するため、低含水率の脱水ケーキは、混練及び脱気により大きな塊となり、流動性が非常に乏しい状態になりやすい傾向にある。従って、上述した脱水ケーキ圧送装置において、フィーダケーシング内に低含水率の脱水ケーキが供給された場合には、攪拌羽根による混練及び脱気により、脱水ケーキの塊がフィーダケーシングの上部において橋を架けたように引っ掛かり、圧送装置側に向けてうまく供給できないブリッジ現象と称される現象が発生する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、含水率の低い脱水ケーキが供給された場合であっても、ブリッジ現象が発生しにくく、フィーダ装置側から圧送装置側に向けてスムーズに脱水ケーキを移送させることが可能な脱水ケーキ圧送装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決すべく提供される本発明者らが鋭意検討したところ、上述したブリッジ現象が生じる場合には次のような現象が生じることを見いだした。すなわち、圧送装置による吐出量(圧送量)が少ない状態での運転においては、圧送装置の吐出能力を、フィーダ装置から圧送装置側への圧送能力が上回り、フィーダ装置側において圧送装置側に圧送されずに残存する余剰の脱水ケーキが発生する。このようにして発生した余剰の脱水ケーキは、フィーダケーシングの壁面を伝ってせり上がり、滞留してしまう。
【0008】
さらに、フィーダ装置の攪拌羽根の回転方向が一定である場合には、フィーダケーシングの投入口近傍における脱水ケーキの滞留を解消できない場合がある。すなわち、上述したように低含水率の脱水ケーキは粘度が高いため、攪拌羽根に付着した後、脱落しにくい傾向にある。そのため、フィーダ装置の攪拌羽根の回転方向が一定である場合には、攪拌羽根の先端部分等に付着した脱水ケーキがうまく脱落しないまま、攪拌羽根が回転することがある。また、攪拌羽根に脱水ケーキが付着している状態においては、脱水ケーキが邪魔になり、新たに供給された脱水ケーキを攪拌羽根によって掻き取り、下方に押し込むことができない可能性がある。
【0009】
上述したような理由により攪拌羽根による脱水ケーキの掻き取り、及び下方への押し込みがうまくいかない状態になると、フィーダケーシングの投入口付近における脱水ケーキの滞留を解消することができず、投入口がますます狭くなってしまう。このような状態においては、フィーダケーシング上部において脱水ケーキと壁面との摩擦抵抗が脱水ケーキ自体の自重よりも大きくなり、脱水ケーキがブリッジ状になってフィーダ容器内に落下しない状態になる可能性がある。また、本発明者らが鋭意検討したところ、攪拌羽根を一定方向に回転させた場合には、フィーダケーシング内の所定の箇所に脱水ケーキが集中的に堆積して大きな塊になりやすい傾向にあることが判明した。具体的には、図2にハッチングを付して示した堆積想定箇所δ等の箇所に脱水ケーキが集中的に堆積する傾向にあることが判明した。従って、攪拌羽根に対して脱水ケーキが付着したままの状態になることを防止し、フィーダケーシング内に脱水ケーキが次々と堆積してしまうことを防止できれば、含水率が極めて低い脱水ケーキを取り扱う場合であっても、ブリッジ現象を生じることなくスムーズに圧送装置側に供給し、圧送することができるものと想定される。
【0010】
上述した知見に基づき提供される本発明の脱水ケーキ圧送装置は、脱水ケーキを受け入れて圧送する圧送装置と、前記圧送装置側に向けて上方から脱水ケーキを供給可能なフィーダ装置と、前記フィーダ装置の動作制御を実施可能な制御装置とを備えている。前記フィーダ装置は、脱水ケーキを投入可能なフィーダケーシングと、前記フィーダケーシング内において脱水ケーキの落下方向に対して交差するように設置された支軸を中心として正方向及び逆方向に回転することにより脱水ケーキを前記圧送装置側に向けて押し込んで供給可能な攪拌羽根とを備えている。本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、前記フィーダ装置から前記圧送装置に対する脱水ケーキの供給過程において、前記攪拌羽根の回転方向が前記制御装置によって切り替えられる。
【0011】
本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、フィーダ装置から圧送装置に対して脱水ケーキを供給する過程において、制御装置により攪拌羽根の回転方向を切り替えることとしている。これにより、フィーダケーシング内の所定の箇所に脱水ケーキが局所的に堆積することを防止できる。また、本発明のように所定のタイミング毎に攪拌羽根の回転方向を切り替えることにより、脱水ケーキが攪拌羽根に付着したままの状態にならない。これにより、攪拌羽根による脱水ケーキの掻き落とし能力、及び押し込み能力が低下してしまうことを回避しうる。従って、本発明の脱水ケーキ圧送装置によれば、局所的に脱水ケーキが堆積することを原因としてブリッジ現象が生じることを防止し、フィーダ装置側から圧送装置側に向けてスムーズに脱水ケーキを移送させることが可能となる。
【0012】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記攪拌羽根の回転量が所定の基準回転量に達することを条件として、前記制御装置により、前記攪拌羽根の回転方向が切り替えられるものであることが望ましい。
【0013】
本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、フィーダケーシング内に設けられた攪拌羽根の回転量が、所定の基準回転量に達することを条件として、制御装置が攪拌羽根の回転方向が逆方向に切り替えられる。すなわち、本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、攪拌羽根の回転方向の切り替え基準(しきい値)が攪拌羽根の回転量によって設定されており、しきい値たる基準回転量に到達することを条件として攪拌羽根の回転方向を逆転させる制御を実行することとしている。これにより、フィーダケーシング内の所定の箇所に集中的に脱水ケーキが堆積してしまうことを防止できる。また、所定のタイミング毎に攪拌羽根の回転方向を切り替えることにより、脱水ケーキが攪拌羽根に付着したままの状態になること、及びこれに起因して攪拌羽根による脱水ケーキの掻き落とし能力、及び押し込み能力が低下してしまうことを防止できる。従って、本発明の脱水ケーキ圧送装置によれば、フィーダケーシング内において脱水ケーキのブリッジ現象が生じることを回避し、フィーダ装置側から圧送装置側に向けてスムーズに脱水ケーキを移送させることが可能となる。
【0014】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記制御装置が、前記攪拌羽根が前記フィーダケーシング内の所定位置を通過する回数が所定回数に到達することにより、前記攪拌羽根の回転量が前記基準回転量に達したものと判断するものであることが望ましい。
【0015】
かかる構成によれば、攪拌羽根の回転量が所定の基準回転量に到達したことを正確かつ容易に把握することが可能となる。これにより、攪拌羽根の回転制御を精度良く実施し、フィーダケーシング内におけるブリッジ現象の発生を確実に防止できる。
【0016】
また、上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記攪拌羽根が、前記支軸の周方向に所定の間隔を開けて二枚取り付けられているものであることが望ましい。
【0017】
かかる構成によれば、フィーダケーシング内に投入された脱水ケーキを確実かつ効率よく下方に押し込み、圧送装置側に向けて供給することが可能となる。
【0018】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記攪拌羽根の先端部分の断面形状が、円形あるいは楕円形であることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、攪拌羽根を正方向及び逆方向のいずれの方向に回転させた場合であっても、脱水ケーキに対して下向きの力を作用させることが可能である。これにより、攪拌羽根をいずれの方向に回転させた場合であっても同様の移送能力を発揮させることが可能となる。
【0020】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置において、前記攪拌羽根が正方向に回転する際の前記基準回転量、及び前記攪拌羽根が逆方向に回転する際の前記基準回転量は、同一であることが望ましい。
【0021】
上述したように攪拌羽根の正転時、及び逆転時における基準回転量を同一とすることにより、攪拌羽根がいずれの方向に回転している場合であっても略同様に脱水ケーキを掻き取り、下方に押し込むことができる。従って、本発明の脱水ケーキ圧送装置によれば、ブリッジ現象をより一層確実に防止しうる。
【0022】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記制御装置が、前記攪拌羽根の回転方向を切り替える際に、所定時間に亘って前記攪拌羽根を停止させるものであることが好ましい。
【0023】
上述したように、攪拌羽根の回転方向を切り替える際に、攪拌羽根の回転を停止させる時間を設けることにより、攪拌羽根等に作用する衝撃を緩和することが可能となる。これにより、攪拌羽根等の構成部材が破損等することを防止し、脱水ケーキ圧送装置の長寿命化、及びメンテナンス作業等についての省力化を図ることが可能となる。
【0024】
また、攪拌羽根等に作用する衝撃を緩和するためには、上述したように攪拌羽根の回転方向の切り替え時に攪拌羽根の停止期間を設けることに加えて、若しくは停止期間を設けることに代えて、インバータを利用する等して攪拌羽根の回転を徐々に加速させることが望ましい。このように攪拌羽根の回転速度を変化させることにより、攪拌羽根等に作用する衝撃をより一層緩和することが可能になり、回転方向の切り替えもさらに容易になる。
【0025】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記制御装置が、前記攪拌羽根の回転速度、及び回転時間に基づいて前記攪拌羽根の回転量を把握し、前記攪拌羽根が所定の基準時間に亘って回転した時点で前記攪拌羽根の回転量が前記基準回転量に到達したものとして前記攪拌羽根の回転方向を切り替えるものであることが望ましい。
【0026】
本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、攪拌羽根の回転方向の切替を、攪拌羽根の回転時間に基づいて制御することができる。そのため、本発明の脱水ケーキ圧送装置は、攪拌羽根の動作制御を容易かつ正確に行うことができる。
【0027】
上述した本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記基準回転量が、圧送対象である脱水ケーキの含水率を基準として決定されることが好ましい。
【0028】
本発明の脱水ケーキ圧送装置においては、脱水ケーキの含水率を考慮して基準回転量が定められるため、脱水ケーキのブリッジ現象を回避するために適切なタイミングで攪拌羽根の回転方向を切り替えることが可能となる。
【0029】
ここで上述したように、ブリッジ現象が生じる主な要因として、攪拌羽根を一定方向に回転させることにより、フィーダケーシング内の所定の箇所(堆積想定箇所)に脱水ケーキが集中的に堆積することが本発明者らによって見いだされた。かかる知見に基づけば、堆積想定箇所について脱水ケーキの堆積状況を逐次監視し、脱水ケーキが所定量以上堆積した段階において攪拌羽根の回転方向を逆転させることにより、ブリッジ現象を抑制できるのではないかと考えられる。
【0030】
かかる知見に基づけば、本発明の脱水ケーキ圧送装置は、前記フィーダケーシング内において攪拌羽根の回転に伴い脱水ケーキの堆積が想定される堆積想定箇所について、脱水ケーキの堆積状況を検知可能な堆積状況検知手段を有し、前記堆積状況検知手段により前記堆積想定箇所に所定量以上の脱水ケーキが堆積していることが確認されることを条件として前記攪拌羽根の回転方向が前記制御装置によって切り替えられるものであることが好ましい。
【0031】
かかる構成とすれば、堆積想定箇所において脱水ケーキが集中的に堆積することを防止し、ブリッジ現象の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、含水率の低い脱水ケーキが供給された場合であっても、ブリッジ現象が発生しにくく、フィーダ装置側から圧送装置側に向けてスムーズに脱水ケーキを移送させることが可能な脱水ケーキ圧送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る脱水ケーキ圧送装置の構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す脱水ケーキ圧送装置を支軸に対して略垂直な面で断面視した状態を示す断面図である。
【図3】図1に示す脱水ケーキ圧送装置において採用されている制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す脱水ケーキ圧送装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
続いて、本発明の一実施形態に係る脱水ケーキ圧送装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。脱水ケーキ圧送装置10は、下水処理場、屎尿処理場、農業集落排水の処理場、清掃工場、あるいは一般工場における排水汚泥処理施設等において発生する脱水ケーキを移送するために用いられる。図1に示すように、脱水ケーキ圧送装置10は、脱水ケーキが投入されるフィーダ装置20、フィーダ装置20から供給された脱水ケーキを圧送する圧送装置50、及びフィーダ装置20及び圧送装置50の動作制御を行う制御装置100を主要な構成要素として備えている。
【0035】
図1及び図2に示すように、フィーダ装置20は、脱水ケーキを投入可能なフィーダケーシング22を有する。フィーダケーシング22は、天面側に脱水ケーキを投入するための投入口22aを備え、底面側に脱水ケーキを排出するための排出口22bを備えた上下方向に連通したケーシングである。また、図2に示すように、フィーダケーシング22の底面側には、下方に設けられた圧送装置50のポンプケーシング62側に向けて下り勾配となるように形成された傾斜面22sが設けられている。
【0036】
フィーダケーシング22内には、支軸24及び攪拌羽根26が設置されている。支軸24は、フィーダケーシング22の側面22x,22yに対して略垂直であり、略水平になるように取り付けられている。支軸24は、両端部に取り付けられた軸受28,28によって自由に回転可能なように支持されている。
【0037】
また、攪拌羽根26は、支軸24の長手方向(軸方向)一端側及び他端側の二カ所において、それぞれ支軸24の周方向に二枚、略180度の間隔を開けて固定されている。また、支軸24は、一端側がフィーダケーシング22の外側に向けて突出しており、フィーダ駆動モータ30に接続されている。そのため、フィーダ駆動モータ30を作動させることにより、支軸24を回転させることができる。また、フィーダ駆動モータ30は、支軸24を正方向及び逆方向に回転させることが可能である。
【0038】
攪拌羽根26は、アーム状に形成されたアーム部26aの基端部を固定することにより、支軸24に対して片持ち状に取り付けられている。従って、フィーダ駆動モータ30を作動させることにより、攪拌羽根26を支軸24と共に正方向及び逆方向に回転させることが可能である。攪拌羽根26は、外観形状が板状の板状攪拌部26bと、断面形状が略円形の管状攪拌部26cとを有する。管状攪拌部26cは、金属製の筒によって構成されており、攪拌羽根26の先端部分おいて支軸24と略平行になるように形成されている。また、攪拌羽根26においてアーム部26aの基端側の部分には、開口部26dが設けられている。
【0039】
図2に示すように、攪拌羽根26の回転半径rは、支軸24の軸心位置からフィーダケーシング22の傾斜面22sまでの距離よりも僅かに小さい程度とされている。そのため、攪拌羽根26を回転させた際に管状攪拌部26cが描く軌跡Cと傾斜面22sとは、僅かなクリアランスを介して近接した状態にある。従って、攪拌羽根26を回転させると、攪拌羽根26と傾斜面22sとの相互作用によりフィーダケーシング22の下方に設けられた圧送装置50側に向けて押し込もうとする力を脱水ケーキに対して作用させることができる。
【0040】
図1及び図2に示すように、フィーダ装置20の下方には、圧送装置50が設けられている。圧送装置50は、スクリューポンプ60及び一軸偏心ねじポンプ80を備えており、両ポンプ60,80を直列に配置した構成とされている。スクリューポンプ60は、上述したフィーダ装置20から供給された脱水ケーキを受け取り、下流側に設けられた一軸偏心ねじポンプ80に供給するためのものである。スクリューポンプ60の外殻をなすポンプケーシング62は、フィーダケーシング22の直下に設置されている。ポンプケーシング62は、天面側に設けられた受入口62aが、フィーダケーシング22の排出口22bに連通している。また、ポンプケーシング62は、長手方向一端側に形成された排出口62bが、後に詳述する一軸偏心ねじポンプ80の導入口86bに接続されている。
【0041】
ポンプケーシング62の内部には、スクリューロッド64が設けられている。スクリューロッド64は、中空の円筒状ロッド64aの外周にスクリュー64bを一体的に装着した構成とされている。スクリューロッド64の一端側には、自在継手66を介して駆動軸68が接続されている。駆動軸68は、軸受69によって回転自在に支持されると共に、ポンプケーシング62の外部に設けられた圧送駆動モータ70に接続されている。また、スクリューロッド64の他端側には、自在継手72を介して後に詳述する一軸偏心ねじポンプ80のロータ82が接続されている。
【0042】
一軸偏心ねじポンプ80は、上述したスクリューポンプ60に対して脱水ケーキの流れ方向下流側に設置されている。一軸偏心ねじポンプ80は、回転容積式のポンプであり、動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータ82と、内周面が雌ねじ型に形成されたステータ84とを有する。一軸偏心ねじポンプ80は、ポンプケーシング86の内部にロータ82、及びステータ84を収容した構成とされている。
【0043】
ポンプケーシング86は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側の開口が吐出口86aとして機能し、他端側の開口が導入口86bとして機能する。導入口86bは、上述したスクリューポンプ60の排出口62bと連通している。一軸偏心ねじポンプ80は、ロータ82を所定方向に回転させることにより、圧送対象である脱水ケーキを導入口86bから吸い込み、排出口86aから排出させることができる。
【0044】
ステータ84は、ゴム等の弾性体、又は樹脂等によって形成された略円筒形の外観形状を有する部材である。ステータ84の内周壁88は、n条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ステータ84は、2条で多段の雌ねじ形状とされている。また、ステータ84の貫通孔90は、ステータ84の長手方向のいずれの位置において断面視しても、その断面形状(開口形状)が略長円形となるように形成されている。
【0045】
ロータ82は、金属製の軸体であり、n−1条で単段あるいは多段の雄ねじ形状とされている。本実施形態においては、ロータ82は、1条で偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ82は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状が略真円形となるように形成されている。ロータ82は、上述したステータ84に形成された貫通孔90に挿通され、貫通孔90の内部において自由に偏心回転可能とされている。ロータ82の基端側(導入口86b側)の端部は、自在継手72を介してスクリューポンプ60のスクリューロッド64に接続されている。そのため、ロータ82は、圧送駆動モータ70の動力を受けて、スクリューロッド64と共にに回転する。
【0046】
ロータ82をステータ84に対して挿通すると、ロータ82の外周壁92とステータ84の内周壁88とが両者の接線で密接した状態になり、ステータ84の内周壁88とロータ82の外周壁92との間に流体搬送路94(キャビティ)が形成される。流体搬送路94は、ステータ84やロータ82の長手方向に向けて螺旋状に延びるように形成される。
【0047】
流体搬送路94は、ロータ82をステータ84の貫通孔90内において回転させると、ステータ84内を回転しながらステータ84の長手方向に進む。そのため、ロータ82を回転させると、ステータ84の一端側(導入口86b側)から流体搬送路94内に脱水ケーキを吸い込むと共に、この脱水ケーキを流体搬送路94内に閉じこめた状態でステータ84の他端側に向けて移送し、ステータ84の他端側(吐出口86a側)において吐出させることが可能である。
【0048】
図3に示すように、制御装置100は、脱水ケーキ圧送装置10の動作制御を行うものである。制御装置100は、フィーダ装置20の動作制御を行うフィーダ制御手段102と、圧送装置50の動作制御を行う圧送制御手段104と、上位制御手段106とを備えている。また、制御装置100には、設定手段108が接続されている。脱水ケーキ圧送装置10は、制御装置100のうちフィーダ制御手段102によるフィーダ装置20の動作制御の点において特徴を有する。
【0049】
フィーダ制御手段102は、プログラマブルロジックコントローラ110(PLC;Programmable Logic Controller)、ソリッドステートコンタクタ112(SSC;SOLID STATE CONTACTOR)等によって構成することができる。PLC110は、上位制御手段106から出力されたフィーダ装置20の動作指令信号を受信可能とされている。また、PLC110は、設定手段108から出力されたフィーダ装置20の動作設定信号を受信することができる。また、PLC110は、SSC112に対してフィーダ駆動モータ30の駆動を指令するための駆動指令信号を出力することができる。
【0050】
SSC112に対して出力される駆動指令信号は、フィーダ駆動モータ30、すなわち攪拌羽根26の回転方向を指令するための信号であり、攪拌羽根26を正方向に回転させるための正回転指令信号、及び逆方向に回転させるための逆回転指令信号とを有する。SSC112は、フィーダ駆動モータ30に対して接続されており、PLC110から受信した駆動指令信号に基づいてフィーダ駆動モータ30の動作を制御し、攪拌羽根26の回転方向を切り替えることができる。
【0051】
PLC110は、攪拌羽根26の回転量が所定の基準回転量αに達する毎にSSC112に対して出力する駆動指令信号を切り替え、攪拌羽根26の回転方向を切り替える。言い換えれば、攪拌羽根26がフィーダケーシング22内の所定位置(例えば堆積想定箇所δ)を通過する回数が所定の基準回数βに到達する毎に、攪拌羽根26の回転量が基準回転量αに達したものとしてSSC112に対して出力する駆動指令信号を切り替え、攪拌羽根26の回転方向を切り替える。さらに言い換えれば、攪拌羽根26の回転速度V、及び回転時間Tに基づいて攪拌羽根26の回転量が定まるため、攪拌羽根26が所定の基準時間γに亘って回転する毎に攪拌羽根26の回転量が基準回転量αに到達したものとして攪拌羽根26の回転方向を切り替える。
【0052】
本実施形態においては、攪拌羽根26の回転方向をシンプルかつ的確な制御により切り替えるべく、予め定められた攪拌羽根の基準回転量αを攪拌羽根26の回転速度Vで除して得られる基準時間γをSSC112に対して出力する駆動指令信号を切り替えるための判断基準として使用する。従って、PLC110は、攪拌羽根26が回転を開始した後、設定手段108により設定された基準時間γが経過した時点で駆動指令信号を切り替え、攪拌羽根26の回転方向を切り替える制御を実行する。また、基準時間γは、圧送対象である脱水ケーキの含水率を基準として決定される。具体的には、攪拌羽根26の回転速度Vが10〜30[rpm]である条件下において、脱水ケーキの含水率が70[%]以下である場合には、基準時間γが15[秒]〜25[秒]に設定される。また、脱水ケーキの含水率が70[%]よりも高く74[%]以下である場合には、基準時間γが25[秒]〜40[秒]に設定される。脱水ケーキの含水率が78[%]以上である場合には、基準時間γが40[秒]以上に設定される。
【0053】
続いて、脱水ケーキ圧送装置10の動作について、図4に記載のフローチャートを参照しつつ、フィーダ制御手段102によるフィーダ装置20の動作制御を中心に説明する。脱水ケーキ圧送装置10により脱水ケーキを圧送する場合には、先ずステップ1において上位制御手段106から動作指令信号が出力されているか否かが確認される。上位制御手段106から動作指令信号が出力されている場合は、制御フローがステップ2に進行する。
【0054】
ステップ2において、圧送制御手段104は、圧送駆動モータ70を作動させるべく、圧送駆動モータ70に対して圧送指令信号を出力する。これにより、圧送駆動モータ70が駆動を開始し、スクリューポンプ60及び一軸偏心ねじポンプ80が駆動を開始する。また、ステップ2では、フィーダ駆動モータ30を作動させるべく、フィーダ制御手段102からフィーダ駆動モータ30に対してフィーダ駆動指令信号が出力される。ここで、フィーダ駆動モータ30の駆動開始時には、PLC110からSSC112に対して正回転指令信号(駆動指令信号)が出力される。そのため、ステップ2においてフィーダ駆動指令信号が出力されると、ステップ3においてフィーダ駆動モータ30から動力を受けて攪拌羽根26が正方向に回転する。
【0055】
攪拌羽根26が正方向に回転を開始すると、フィーダケーシング22内に投入された脱水ケーキが攪拌羽根26によって下方に配置されたスクリューポンプ60のポンプケーシング62内に押し込まれる。その後、脱水ケーキは、スクリューポンプ60及び一軸偏心ねじポンプ80によって順次圧送される。
【0056】
上述したようにして攪拌羽根26が正方向に回転を開始すると、制御フローがステップ4に進行する。ステップ4においては、攪拌羽根26が正方向に回転し始めてから、予め設定されている基準時間γが経過したか否かが確認される。ステップ4において未だ基準時間γに到達していない場合には、制御フローがステップ3に戻され、引き続き攪拌羽根26が正方向に回転し続ける。これに対し、ステップ4において基準時間γに亘って攪拌羽根26が正方向に回転したことが確認されると、制御フローがステップ5に進められる。ステップ5においては、フィーダ制御手段102からフィーダ駆動モータ30に対して出力されていたフィーダ駆動指令信号がオフ状態となり、フィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26が予め定められている停止時間(本実施形態では2秒)に亘って停止状態とされる。
【0057】
ステップ5においてフィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26が停止してから所定の停止時間が経過すると、制御フローがステップ6に進む。ステップ6においては、フィーダ制御手段102からフィーダ駆動モータ30に向けてフィーダ駆動指令信号が出力され、フィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26が回転を開始する。ここで、ステップ6においては、PLC110からSSCには逆回転指令信号が出力される。従って、ステップ6においては、フィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26がステップ3における回転方向とは逆方向に回転する。すなわち、ステップ6において、フィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26の回転方向が切り替えられる。
【0058】
ステップ6において攪拌羽根26が逆回転を開始すると、上述したステップ3において正回転を行っている場合と同様に、フィーダケーシング22から圧送装置50側に向けて脱水ケーキが圧送される。また、圧送装置50においては、フィーダ装置30側から供給されてきた脱水ケーキが圧送される。ステップ6において攪拌羽根26が逆回転を開始すると、ステップ7において所定の基準時間γが経過したか否かが確認される。ここで、基準時間γが経過していない場合には、制御フローがステップ6に戻され、引き続き攪拌羽根26が逆回転を継続する。一方、基準時間γが経過したことが確認されると、制御フローがステップ8に進められる。
【0059】
ステップ8においては、上述したステップ5と同様にフィーダ駆動指令信号がオフ状態となり、フィーダ駆動モータ30及び攪拌羽根26が予め定められた停止時間(2秒)に亘って停止状態とされる。その後、停止時間が経過すると、制御フローがステップ9に進行し、上位制御手段106から出力されていた圧送指令信号が引き続きオン状態であるか否かが確認される。ステップ9において圧送指令信号が引き続きオン状態であることが確認された場合には、制御フローがステップ3に戻される。これにより、攪拌羽根26の回転方向が逆回転から正回転に切り替えられ、引き続き脱水ケーキの圧送が実施される。一方、圧送指令信号がオフ状態であることが確認された場合には、一連の制御フローが完了し、脱水ケーキの圧送が終了する。
【0060】
上述したように、本実施形態の脱水ケーキ圧送装置10においては、フィーダケーシング22内に設けられた攪拌羽根26の回転量が所定の基準回転量αに達すること、言い換えれば攪拌羽根26の回転時間が所定の基準時間γに達することを条件として、攪拌羽根26の回転方向が逆方向に切り替えられる。さらに言い換えれば、脱水ケーキ圧送装置10においては、攪拌羽根26がフィーダケーシング22内の所定位置を通過する回数が基準回数βに到達することを条件として、攪拌羽根26の回転方向が逆方向に切り替えられる。これにより、フィーダケーシング22内の所定の箇所に集中的に脱水ケーキが堆積してしまうことを防止できる。具体的には、図2においてハッチングを付して示した堆積想定箇所δに脱水ケーキが堆積し、ブリッジ現象が発生してしまうことを防止できる。
【0061】
また、基準時間γ毎に攪拌羽根26の回転方向を切り替えることにより、脱水ケーキが攪拌羽根26に付着したままの状態になることを防止できる。これにより、脱水ケーキの付着に伴い、攪拌羽根26の掻き落とし能力が低下してしまうことを防止できる。従って、脱水ケーキ圧送装置10によれば、フィーダケーシング22内において脱水ケーキのブリッジ現象が生じることを回避できる。
【0062】
本実施形態においては、攪拌羽根26の回転時間を基準として攪拌羽根26の回転量が基準回転量αに達したか否かを検知し、攪拌羽根26の回転方向を切り替える方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、攪拌羽根26の回転量を直接的に検知可能な回転量検知手段を設けた構成としても良い。また、攪拌羽根26がフィーダケーシング22内の所定位置を通過したことを検知するためのセンサ等を設け、このセンサにより検知された攪拌羽根26の通過回数に基づき、攪拌羽根26の回転量が基準回転量αに到達したか否かを検知することとしても良い。
【0063】
本実施形態の脱水ケーキ圧送装置10においては、攪拌羽根26が、支軸24の周方向に二枚取り付けられている。このような構成とすることにより、フィーダケーシング22内に投入された脱水ケーキを確実かつ効率よく下方に押し込み、圧送装置50側に供給することができる。
【0064】
また、脱水ケーキ圧送装置10においては、攪拌羽根26の先端部分が管状攪拌部26cとされている。このような構成とすることにより、攪拌羽根26を正方向及び逆方向のいずれの方向に回転させた場合であっても、脱水ケーキに対して下向きに押し込む力を効率よく作用させることが可能である。従って、脱水ケーキ圧送装置10は、攪拌羽根26を正逆いずれの方向に回転させた場合であっても、略同一の圧送能力を発揮することが可能である。
【0065】
なお、本実施形態においては、管状攪拌部26cを断面形状を略円形のパイプによって構成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、管状攪拌部26cを断面形状が略楕円形の筒等によって構成しても良い。管状攪拌部26cを楕円形の断面形状を有するものとした場合についても、略円形の断面形状とした場合と同様の作用効果が得られる。また、本実施形態においては、攪拌羽根26に管状攪拌部26cを設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、管状攪拌部26cを設けるまでもなく、脱水ケーキに対して下向きに押し込む力を効率よく作用させることが可能である場合等には、管状攪拌部26cを設けない構成としても良い。
【0066】
また、本実施形態の脱水ケーキ圧送装置10においては、攪拌羽根26を正逆いずれの方向に回転させる場合についても、基準時間γ(基準回転量α,基準回数β)は同一とされている。これにより、正逆いずれの方向に攪拌羽根26を回転させた場合であっても、フィーダケーシング22内の局所に脱水ケーキを集中させることなく、スムーズに下方に向けて押し込むことが可能である。これにより、脱水ケーキがフィーダケーシング22においてブリッジを形成してしまうことを防止できる。
【0067】
本実施形態の脱水ケーキ圧送装置10では、攪拌羽根26の回転方向を切り替える際に、所定時間に亘って攪拌羽根26を停止させこととしているため、攪拌羽根26等に過剰に大きな衝撃が作用しない。これにより、攪拌羽根26をはじめとする構成部材が破損等することを防止でき、ひいては脱水ケーキ圧送装置10の長寿命化、及びメンテナンス作業等についての省力化を図ることが可能となる。なお、脱水ケーキ圧送装置10は、必ずしも一定の停止時間を経た後攪拌羽根26の回転方向を切り替える構成とする必要はなく、停止時間を設けない構成としても良い。また、攪拌羽根26の回転方向の切り替え時における停止時間は、いずれのタイミングにおいても均一である必要はなく、適宜調整することが可能である。
【0068】
また、脱水ケーキ圧送装置10において攪拌羽根26等に作用する衝撃を緩和すべく、SSC112に代えてインバータを用いる等し、攪拌羽根26の回転方向の切り替え時に徐々に攪拌羽根26の回転速度を加速させることが可能な構成としても良い。これにより、攪拌羽根26等に作用する衝撃をより一層緩和することが可能になると共に、回転方向の切り替えも容易になる。なお、攪拌羽根26の回転方向の切り替え時に回転速度を徐々に加速させる動作制御については、回転方向の切り替え時に攪拌羽根26の停止期間を設ける動作制御と共に実行しても、回転方向の切り替え時に攪拌羽根26の停止期間を設ける動作制御に代えて実行することとしても良い。
【0069】
上述したように、脱水ケーキ圧送装置10においては、基準時間γ(基準回転量α,基準回数β)を圧送対象である脱水ケーキの含水率を基準として設定手段108により設定することが可能である。そのため、脱水ケーキ圧送装置10によれば、脱水ケーキのブリッジ現象を回避するために適切なタイミングで攪拌羽根26の回転方向を切り替えることが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態においては、脱水ケーキ圧送装置10の管理者あるいはユーザーが適宜設定手段108を用いて脱水ケーキの含水率を考慮して基準時間γ(基準回転量α,基準回数β)を設定可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、脱水ケーキの含水率によらず、一定の基準時間γで攪拌羽根26の回転方向を切り替えることとしても良い。なお、基準時間γを一定にする場合には、想定の範囲内において脱水ケーキの含水率が最も低い条件(上述した例においては70[%]以下である場合)の基準時間γに設定されることが好ましい。また、脱水ケーキの含水率を検知可能な検知センサ等を設け、検知センサの検出結果に応じて基準時間γを自動設定できるようにしても良い。
【0071】
また、本実施形態においては、攪拌羽根26の回転量が所定の基準回転量に達することを条件として、堆積想定箇所δに脱水ケーキが堆積している可能性があると想定し、攪拌羽根26の回転方向を切り替える構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図2に二点鎖線によって示すように、堆積想定箇所δにおける脱水ケーキの堆積量を検知可能なセンサ90a、あるいは監視カメラ90b等の堆積状況検知手段90を設け、堆積状況検知手段90によって所定量以上の脱水ケーキが堆積していることが確認されることを条件として、攪拌羽根26の回転方向を切り替えるようにしても良い。かかる構成とすることによっても、堆積想定箇所δにおいて脱水ケーキが集中的に堆積することを防止し、ブリッジ現象の発生を防止することができる。なお、堆積状況検知手段90の検知結果に基づく攪拌羽根26の回転制御は、上述した攪拌羽根26の回転量に基づく攪拌羽根26の回転制御と併用されても良く、いずれか一方のみが実施されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の脱水ケーキ圧送装置は、下水処理場、屎尿処理場、農業集落排水の処理場、清掃工場、一般工場における排水汚泥処理施設等において脱水ケーキを圧送するために好適に利用可能であり、特に低含水率の脱水ケーキを取り扱う処理場等において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 脱水ケーキ圧送装置
20 フィーダ装置
22 フィーダケーシング
24 支軸
26 攪拌羽根
26c 管状攪拌部
50 圧送装置
80 一軸偏心ねじポンプ
100 制御装置
α 基準回転量
β 基準回数
γ 基準時間
δ 堆積想定箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水ケーキを受け入れて圧送する圧送装置と、
前記圧送装置側に向けて上方から脱水ケーキを供給可能なフィーダ装置と、
前記フィーダ装置の動作制御を実施可能な制御装置とを備えており、
前記フィーダ装置が、
脱水ケーキを投入可能なフィーダケーシングと、
前記フィーダケーシング内において脱水ケーキの落下方向に対して交差するように設置された支軸を中心として正方向及び逆方向に回転することにより脱水ケーキを前記圧送装置側に向けて押し込んで供給可能な攪拌羽根とを備えており、
前記フィーダ装置から前記圧送装置に対する脱水ケーキの供給過程において、前記攪拌羽根の回転方向が前記制御装置によって切り替えられることを特徴とする脱水ケーキ圧送装置。
【請求項2】
前記攪拌羽根の回転量が所定の基準回転量に達することを条件として、前記制御装置により、前記攪拌羽根の回転方向が切り替えられることを特徴とする請求項1に記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項3】
前記制御装置が、前記攪拌羽根が前記フィーダケーシング内の所定位置を通過する回数が所定回数に到達することにより、前記攪拌羽根の回転量が前記基準回転量に達したものと判断することを特徴とする請求項2に記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項4】
前記攪拌羽根が、前記支軸の周方向に所定の間隔を開けて二枚取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項5】
前記攪拌羽根の先端部分の断面形状が、円形あるいは楕円形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項6】
前記攪拌羽根が正方向に回転する際の前記基準回転量、及び前記攪拌羽根が逆方向に回転する際の前記基準回転量が同一であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項7】
前記制御装置が、前記攪拌羽根の回転方向を切り替える際に、所定時間に亘って前記攪拌羽根を停止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項8】
前記制御装置が、前記攪拌羽根の回転速度、及び回転時間に基づいて前記攪拌羽根の回転量を把握し、前記攪拌羽根が所定の基準時間に亘って回転した時点で前記攪拌羽根の回転量が前記基準回転量に到達したものとして前記攪拌羽根の回転方向を切り替えるものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項9】
前記基準回転量が、圧送対象である脱水ケーキの含水率を基準として決定されることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。
【請求項10】
前記フィーダケーシング内において攪拌羽根の回転に伴い脱水ケーキの堆積が想定される堆積想定箇所について、脱水ケーキの堆積状況を検知可能な堆積状況検知手段を有し、
前記堆積状況検知手段により前記堆積想定箇所に所定量以上の脱水ケーキが堆積していることが確認されることを条件として前記攪拌羽根の回転方向が前記制御装置によって切り替えられることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の脱水ケーキ圧送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103787(P2013−103787A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247408(P2011−247408)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000239758)兵神装備株式会社 (76)
【Fターム(参考)】