説明

脱灰を検出するための組成物および方法

本発明は、歯の脱灰を検出するための組成物に関する。より具体的には、本発明は、遊離イオン存在の光信号特性を生成することができる複合体を含む組成物、そのような組成物の医薬的な用途、ならびに、そのような組成物を使用する、歯の表面の活発な脱灰を検出するための方法およびキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯の脱灰を検出するための組成物に関する。より具体的には、遊離イオンの存在を示す光信号特性を生成可能な複合体を含む組成物、そのような組成物の医薬的な使用方法、並びに、そのような組成物を使用して、歯の表面での活発な脱灰を検出するための方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
歯のエナメル質は、かたく密集した構造を成す大結晶のアパタイトを含んでいる。しかし、水や有機物で満たされた結晶間の小さな空間や穴が、それらの結晶を分離している。歯で見られるアパタイトの形態は、最小繰り返し単位がCa10(PO4)6・2(OH)のハイドロキシアパタイトである。結晶の成分は、置き換え可能である。既知の置換基は、カルシウムの代わりにストロンチウム、バリウム、鉛、ナトリウム、カリウムやマグネシウムを、水酸化物および炭酸塩の代わりにハロゲン(F, Cl, I, Br)を、リン酸塩の代わりにリン酸水素を含む。これらの置換物の中で、フッ化物は虫歯を予防/修復し、炭酸塩は虫歯に対する感受性を増加するため、フッ化物および炭酸塩が最も重要であることが報告されている。亜鉛、スズ、鉄のような他の多くのイオンも、報告されているところによれば、エナメル質の表面で認められる。十分に形成されたエナメル内で認められる有機物(重さで1%、体積で2%)は、主にエナメル質(質量 50-70 kDa)を構成しているが、低分子量の脂質、並びに、炭水化物および、クエン酸塩や乳酸塩のような有機酸も含んでいる。エナメル質は、免疫ブロット分析により検出されうる。
【0003】
多くの歯科的な問題は、歯の脱灰に起因している。脱灰は、虫歯、歯の酸蝕症、または象牙質の神経過敏の発達に関わる根本的な過程である。歯の硬い組織中の1つまたはより多くの脱灰は、歯牙の完全性の欠損を引き起こす。一般的に、無機質は、石化された状態の歯の硬い組織中に存在しており、脱灰は、遊離イオンの放出を伴う。
【0004】
虫歯障害は、歯の構造に損害を与える。虫歯の病気は、痛み、感染、臭い息、味覚障害、または歯の損失を引き起こす。ひどい場合には、感染が周りの柔らかい組織に拡がり、その組織が死に至る可能性がある。虫歯を引き起こす要素は、プラークとして知られているネバネバする塊、または、摂取された食べ物や飲み物の中の、歯の周りにたまるバクテリアを含んでいる。初期の脱灰に関連するそのバクテリアは、ミュータンス連鎖球菌であるが、乳酸菌が障害の進行に関係しているようである。これらのバクテリアは、食べ物/飲み物中の糖類を、発酵によって乳酸のような酸に変換し、そして、歯と接触したまま残されると、これらの酸が脱灰を引き起こす。この歯の結晶表面からの無機質の除去は、より多孔質の構造を作り、攻撃を受けやすくする。孔の大きさが増すと、酸が組織のより深くまで浸透し、表面の無機質を溶かす。脱灰は、結局、有機物の分解により引き起こされる。もしこれが進行するのを許されるならば、無機質内は、残された柔らかい有機物が歯の無傷の表面に穴や割れ目を形成して分解する程度まで失われる。もし虫歯が進行するのであれば、表面のプラークバイオフィルムの存在は必須である。
【0005】
虫歯障害の位置や程度(深さおよび/または無機質損失の体積)を決定するための技術が存在している。脱灰の領域を同定することが、現在、虫歯や他の歯科的問題を検出するために、臨床医によって行われている。これは、臨床医による視覚的な検査、レントゲンやダイアグノデント(特許番号US4290433)のような最先端技術を含む。虫歯を検出するための視覚的な検査の採用は、評価者の技術や、さらに重要なことには、脱灰/酸蝕症の程度に依存している。この方法で虫歯が検出される時間により、しばしば重大な損害が起きてきたであろう。X線分析は、肉眼では見えない虫歯の存在を示すことができるが、虫歯の活動度を決めるために継続評価が必要とされる。虫歯の診断を助けることができる最先端技術は、光またはレーザーによる光ファイバ照明を含む。ダイアグノデント(特許番号US4290433)およびQuantitative Light-induced Fluorescence (QLF)(特許番号US4290433)は、それぞれ赤いレーザー光(633 nm)または高強度の青い光で歯の表面を照らし、その後、放射された蛍光を分析する工程を含んでいる。放射された蛍光の特徴は、歯の脱灰の程度と相互に関連しうる。超音波虫歯検出装置(UCD)のような他の方法は、反射率の程度が組織の密度に比例する場所での歯の像を創るために、超音波(US2007238996)を採用するか、エナメル質の表面を特徴づけるために、無機質や結晶の方位に敏感なラマン分光法を採用している。
【0006】
歯の酸蝕症は、歯の表面から徐々に進む硬い組織の厚みの進行性の損失であり、脱灰を引き起こし、象牙質の露出に至る可能性がある、酸性の飲み物/食べ物(砂糖を含むか、または含まないかもしれない)によってしばしば引き起こされる。酸蝕症は、エナメル質の完全な除去およびその結果として起こる象牙質の露出に至るため、酸で柔らかくされたエナメル質(または象牙質)の歯磨きによっても加速される。特に、酸蝕症は、硬い歯の組織の進行的な損失を引き起こしている非バクテリア過程に関連している。歯の酸蝕症は、歯のエナメル質が酸によって摩滅されたときに起きる。通常、だ液に含まれるカルシウムが、少量の酸を摂取した後で、歯の再石化(または強化)を助けるだろう。しかし、口内の多量の酸の存在は、再石化を許さない。酸は、炭酸飲料を含む多くの供給源からやってくる。すべての「発泡性」飲料は、酸を含み、急速にエナメル質を溶かすことができる。より長い時間、口に飲み物を入れておくのと同様に、摂取量の増加が、損害の増加をもたらす。純粋な果汁は、酸を含み、その上、炭酸飲料と同じように振る舞う。過食症や胃酸の逆流は、胃酸に歯をさらすことによる歯の酸蝕症の一因となりうる。
【0007】
初期段階(神経過敏、変色、丸型歯)から後期のもっとひどい段階(割れ目、ひどい神経過敏、カッピング)まで、いくつかの歯の酸蝕症の兆候がある。保護エナメル質の摩滅は、神経の露出の増加に至り、結局、熱い、冷たい、または甘い食べ物や飲み物を摂取したときの痛みにつながる歯髄になる。その結果、患者は、しばしば神経過敏を示すであろう。エナメル質がさらに摩滅され、歯が徐々に敏感になると、ひどい神経過敏が発達するであろう。象牙質が露出されると、患者は、歯がわずかに黄色になるような変色した歯を示すであろう。歯は、侵食の結果として、丸められた、または「噴砂機で磨かれた」外観を有するであろう。前歯は、噛み端の近くがわずかに透明に見えるであろう。歯のエナメル質の損失により、より象牙質が露出すると歯がより黄色になる、という進行した変色が起こるであろう。小さい割れ目やでこぼこが、歯の端に現れ、小さいくぼみが歯の噛み合わせ面に現れるように、カッピングが起こるだろう。歯の充填材も、歯から上にあがって現れるだろう。もし歯の酸蝕症が早期に認められれば、その後、治療が行われ、歯を守ることができる。例えば、さらなる脱灰を妨げるために、問題の領域が密閉されるだろう。それゆえ、早期の検出と診断が最も重要である。
【0008】
象牙質の神経過敏は、一般に、外部の刺激に反応して、露出した象牙質から生じる痛みである(そして、それは、他のどのような形態の歯の疾患によっても説明できない)。露出し開いた象牙細管は、直接、歯髄組織をもたらし、それはその中に神経を含んでいる。根象牙質をカバーしているセメント質が、歯茎が退却して(酸蝕症または摩滅のため)既に存在しない時、細管が露出され、神経過敏と痛みが起きる可能性がある。神経過敏の場合、痛みが存在しない時と比べて、象牙質は、象牙質表面で開いた細管を最高で8倍有し、細管径も広い。これは、酸性の飲み物によるような、脱灰に利用可能なより大きな表面積を提供し、さらに、そのような結果の適用後に、より多くのカルシウムの放出をももたらす。
【0009】
上で述べたように、虫歯、酸蝕症、または神経過敏の発達は、1つ以上の歯の硬組織の脱灰を通じて、歯牙の完全性の欠損によって引き起こされる。エナメル質の主要な成分のハイドロキシアパタイトは、酸性の環境にさらされると、可溶性になる。歯は、それらの外環境からの絶え間ない攻撃の下にある。歯の表面上のプラークバクテリアは、酸を生成し、糖質の食事または間食の後で、プラークの酸性度が劇的に増大する可能性がある。いかなる酸性環境であっても露出している間は、歯の表面の無機的な材質の中身の一部は分解し、2時間以上にわたって分解され続ける可能性がある。酸は、この表面脱灰によって生成された微視的な孔に浸透可能であり、プラーク酸性度がより低いレベルに戻り、表層が部分的に再鉱物化するとき、歯の中に脱灰された表面下層が作成される可能性がある。その結果、脱灰と再鉱物化との間の振動周期は、プラークの存在下では、歯の表面での「通常の」特徴である。
【0010】
象牙質およびセメント質は、それらがより低い無機質量のときには、エナメル質よりも酸の脱灰に影響され易い。虫歯の過程は、歯の表面で始まる活発なものであるけれども、歯およびプラークの中の流体中の無機質の濃度勾配と関連した複雑な脱灰−再鉱化過程により、表面は表面下の領域より高度に鉱物化される。エナメル質の無機的な構造の中で置換が容易に起こり、従って、脱灰もまた、多くのさまざまなイオンの放出を起こす。この要素は、エナメル質表面が初期の摂取の位置であり、酸の攻撃のまさに最初のポイントでもあるため、早期発見のために特に重要である。
【0011】
共通の置換基は、ナトリウム、マグネシウム、フッ化物、および炭酸塩を含む。マグネシウムおよび炭酸塩は、エナメルに侵入することができ、それがより溶けやすくなるように、アパタイトの結晶構造を変更することが知られている。従って、これらのイオンは、酸の攻撃下の表面下層から優先的に失われる。より高濃度の亜鉛、鉛、スズ、および鉄も、より深い層に比べて表面のエナメル質の中で認められる。エナメル質の中の齲食病変の分析は、通常、かなりのレベルのマグネシウムとともに、高レベルのフッ化物を示しており、これは、新たに露出したアパタイト層によるこれらのイオンの急速な摂取によるものと信じられている。
【0012】
虫歯損傷の位置と範囲(深度、および/または無機質損失の体積)を測定するために、いくつかの技術が存在しているけれども、これらの方法の欠点は、それらが虫歯の経過の性質、すなわち、それらがある特殊な時点で活発であるか不活発であるか、に的をしぼらないことである。不活発な虫歯損傷は治療を必要としないのに対して、活発な虫歯損傷は(定義により)進行中の脱灰を示すであろう。可能な限り早く脱灰についての情報を有することも有益であろう。しばしば、活発な虫歯は、その過程で遅くまで見つからずに残り、重大な損害が歯の完全性に与えられつづける。エックス線が虫歯の存在を確認するために使われるのは、患者が痛みを感じ始める時だけの時もある。現在、虫歯の活発な性質は、一般にX線像(X線)の場合には1年以上の期間の長時間に渡って虫歯損傷の経過を評価することによってのみ決定されうる。もし虫歯、歯の酸蝕症、または神経過敏の歯が早く識別されうるならば、治療が施され、歯は保護される。例えば、さらなる脱灰を防止するために、問題の領域が塞がれるであろう。従って、早期発見および早期診断は最も重要である。さらに、活動度についての情報が、1回の検査で捕らえられることが望ましい。
【0013】
初期虫歯診断は、しばしば歯の探索器具または金属性ピックと鏡とを使用して、明るい光源によって照らされた全ての目視可能な歯の表面を検査することを必要としている。いくつかの場合には、齲食病変またはエナメル質の脱灰の徴候は、歯の表面上への白亜質の白斑の出現である。しかし、そのような斑は、いつも見えるわけではない。
【0014】
早期の虫歯を診断する共通の技術は、疑わしい表面に風を吹きつけることである。その結果としての表面からの水分の損失は、脱灰されたエナメル質の光学的性質を変え、早期の虫歯を暗示する白斑損傷の視覚化を可能にする。脱灰し続けると、虫歯は茶色になり、結局、空洞に発達するだろう。大きな虫歯損傷は、しばしば肉眼で見える。しかし、より小さな損傷は、非常に識別しづらいだろう。一旦空洞が形成されたら、失われた歯の構造は、再生されない。この時点より前の過程は、元に戻せる可能性があり、従って、できるだけ早く虫歯を識別することが必須である。
【0015】
虫歯診断を助けることができる最先端科学技術は、光またはレーザーによる光ファイバー照明を含んでいる。ダイアグノデントは、米国特許6,769,911によって扱われた科学技術である。それによれば、プローブ部および集積した赤色光源を含む装置が、歯のバクテリアに感染した虫歯の領域で、適切なフィルタを通過した後に装置によって測定される、蛍光を引き起こす。しかし、この方法は、虫歯が活発であるか不活発であるかについて指し示すものを全く提供しない。
【0016】
蛍光染料を含む色素は、齲食を検出する方法として、歯の上でのバクテリアの位置と酸の存在とを同定するためにも使われている。しかし、これらの色素は、有毒である傾向があり、従って、口の中の分析に不適当である。さらに、エナメル質は自己蛍光性であり、従って、背景蛍光は途方もなく高い可能性がある。
【0017】
歯の酸蝕症は、虫歯検出に関しては、目視検査によって検出される。酸蝕症を示す徴候および症状は、門歯の透明度の増大、周辺の歯よりも上がった充填材、噛まない面の摩滅を含んでいる。これらはすべて目視可能な程度まで発達するのに時間がかかり、損傷は既に与えられ続けているであろう。多くの理由のために、酸蝕症の結果としての脱灰を調べるための方法を有することが望ましい。例えば、所定の食物または飲み物は、開示した組成物により歯に適用されうる。イオンが、食物または飲み物が歯と接触することの結果として放出されているならば、開示した組成物が検出可能な信号を放つであろう。食用の製品がどれほど歯に潜在的な損傷を与えるかを決定する製造業者は、標準的な食べ物や飲み物を測定するために、あるいは、歯に良い(酸蝕症を起こす可能性が低い)製品、または、ねり歯みがきやシーラントなどの酸蝕症防止製品を開発するのにも、この検査を使うことができる。歯の臨床医も、酸蝕症に対する患者の感受性を決定するために、また、歯の組成やだ液によって決定されるように、開示した組成物を使うことができる。
象牙質の神経過敏は、患者によって報告され、歯科医によって調査されるであろう。有効な診断装置は、空気銃/水銃、歯の探索器具、打診テスト、噛みつき応力テスト、および、角氷と咬合の評価のような他の冷熱試験である。しかし、患者報告書に基づいたこれらの方法は、主観的で正確さを欠いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4290433号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/238996号明細書
【特許文献3】米国特許第6769911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上で述べたような問題を緩和することが、発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の最初の側面によれば、遊離イオン存在の光信号特性を生成可能な複合体を含む医薬組成物が得られる。
【0021】
発明の第2の側面によれば、遊離イオン存在の光信号特性を生成可能な複合体を含む、活発な虫歯および/または酸蝕症による活発な歯の脱灰を見つけるために使用される組成物が得られる。
【0022】
検出のための複合体は、染料、EDTAレポーター複合体のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体、タンパク質もしくはタンパク質レポーター複合体、ホリディ接合などの分子認識ポリマーレポーター複合体もしくは分子プローブのような大員環であってもよい。例えば、異なるイオンを検出するのであれば、これらの複合体の1つまたは結合物が使用されてもよい。
【0023】
検出されるイオンは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、炭酸イオン、カリウムイオン、ストロンチウムイオン、フッ化物イオン、銅イオン、塩化物イオン、亜鉛イオン、鉛イオン、スズイオン、鉄イオン、または、エナメリンのような有機物質を含んでもよい。ここで説明するように、異なるイオンが異なる歯の硬組織に存在するかもしれないため、異なるイオンの検出は、歯の硬組織の中での脱灰の位置およびその深度を決定することに役立つだろう。
【0024】
その組成物は、医薬的に許容される添加剤をさらに含んでもよく、その添加剤は好ましくは、殺菌性または静菌静の薬剤である。
組成物は、医薬的に許容される賦形剤を含んでもよく、その賦形剤は好ましくは、風味または着色添加剤である。
【0025】
その組成物は、医薬的に許容される剤形の中にあり、その組成物は、できれば液体、粉末、またはゲルであることが好ましい。その組成物は、約1ng/ml乃至約10mg/mlの複合体、または、十分に高いSN比を与える濃縮物を含んでもよい。
その組成物は、タンパク質またはタンパク質複合体を含んでもよい。そのような複合体は、生成される光信号に結びつく遊離イオンを結合したとき構造変化を受けてもよい。
【0026】
そのタンパク質またはタンパク質複合体は、エクオリン、オベリン、クリチン、ミトロコミン、ハリスタウリン、ピアリディン、ムネミオプシン、シンプレクチン、ジーアール−ボリノプシン、カゼイン、カルゼクエストリン、カレックスサイチン、システインプロテアーゼに結合したカルシウム、カルモデュリンおよび他のEFハンドタンパク質、ベロビンを含んでいることが好ましい。その分野での熟練者は、機能的に同様で、過度の努力なしで選ばれうる他のタンパク質またはタンパク質複合体に気づくであろう。
【0027】
そのタンパク質またはタンパク質複合体は、蛍光性のタンパク質のタンデム融解物、ならびに、カルモデュリン、カルモデュリン結合ペプチド(M13)および増大した緑または黄色を放出する蛍光性のタンパク質のようなイオン結合タンパク質を含むことが好ましい。
【0028】
あるいは、その複合体は、イオンの存在を示す特有の波長で蛍光を発してもよい。
その組成物は、遊離イオンを結合したとき光信号を生成するタンパク質またはタンパク質複合体、および、遊離イオンの存在を示す特有の波長で蛍光を発するタンパク質またはタンパク質複合体の両方を含んでもよい。
【0029】
これらは、信号を強めるため、信号の継続時間を延長するため、またはその放射スペクトルを変更するために、例えば、アセチル化、エトキシカルボニル化、フルオレスカミン改変もしくはフルオレセイン識別により、または、GFPエクオリン(US2003175807)のようなキメラタンパク質の創作により、遺伝子のDNA配列を変更することにより改変されてもよい。光信号をもたらすイオンを結合するときに構造変化を受けるような、同様な機能を持つタンパク質またはタンパク質複合体もまた、使用されてもよい。
【0030】
そのタンパク質またはタンパク質複合体は、好ましくは、(高い純度で絞り出された)組換えタンパク質を含む。そのタンパク質またはタンパク質−タンパク質複合体は、背景信号を減らすために、特殊なイオンがない溶液の中に投与されてもよい。これは、イオンキレート剤を使うことで成されてもよい。
【0031】
好ましくは、その組成物は、光学的に透明であるであろう。これは、その組成物が、イオンに敏感なレポーターの遊離イオンとの接触で放出された光を伝えることを可能にするであろう。例えば、検出可能なシグナルが検出可能である時間の長さを伸ばすためのゲル、反応を最大限にするための緩衝剤、または、腔腸動物ルシフェラーゼのためのエンデュレンシステムのように後で引き起こされる可能性があるが、即時のせん光を防止するための改変された代替物などの添加剤も、信号を変えるために加えられてもよい。
【0032】
遊離イオンにさらすことでその組成物により生成される光信号は、分光光度計、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体 CMOS、デジタルカメラ、インテンシファイドカメラ、口腔内カメラ、ビデオスコープ、写真用フィルム、光ファイバー装置、光度検出器、光電子増倍管、微小電気機械システム(MEMS)、または目視により検出されてもよい。
【0033】
発明の第3の側面によれば、虫歯の検出に使用する調薬を製造するための、上に述べたような医薬組成物の使用方法が得られる。活発な虫歯は、脱灰の存在に基づいて、不活発な虫歯とは区別可能である。それゆえ、その組成物は、活発な虫歯と不活発な虫歯との識別に使用する調薬の製造で使用されてもよい。
【0034】
発明の第4の側面によれば、酸蝕症による活発な歯の脱灰の検出に使用する調薬を製造するための、上に述べたような医薬組成物の使用方法が得られる。
【0035】
発明の第5の側面によれば、象牙質の神経過敏に関連する象牙質の脱灰の場所を検出する調薬を製造するための、上に述べたような医薬組成物の使用方法が得られる。
【0036】
発明の第6の側面によれば、ここより上に述べたような組成物に触れさせる工程と、その結果として生じる信号を検出する工程とを含む、活発な歯の脱灰を検出する方法が得られる。
【0037】
その方法は、歯または歯の模型の詳細な部位の同定を可能にするために、歯または歯の模型の部位に印を付ける工程をさらに含んでもよい。歯または歯の模型の同じ領域が、監視され、異なる技術からのデータと比較するときや、時間とともに疾患または治療の進行を監視するような将来の分析を助けるかもしれない、ということを保証することは難しいであろう。このような印は、色素、鉛筆により、または、歯に銅線で作られたような格子をマニキュアなどで留めることにより作られてもよい。
【0038】
その方法は、その組成物に触れさせる前に、歯を感光液に触れさせる工程をさらに含んでもよい。感光液は、酸性または(プラークが存在する所の)糖を含有する溶液であってもよい。これは、酸蝕症に対する歯の感受性が決定されることを可能にするであろう。これは、歯の酸蝕症に対する個人の感受性を評価するために使用されうる。この方法は、食べ物や飲み物の製品の歯の侵食特性を評価するためにも使用されうる。
【0039】
その方法は、感光液の適用と検出組成物の適用との間に、所定の時間が経過するのを許す工程をさらに含んでもよい。これは、口の中のだ液が増えるのを可能にすることであり、使用者が、だ液の防護効果を評価するのを可能にする。この期間は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29または30秒であってもよいが、口の中のだ液がその通常の量や組成に戻るのを可能にするために必要と考えられる他の時間であってもよい。例えば、1分、2分、または最高5分は必要とされるかもしれない。必要とされる時間の長さは、個々の患者のだ液の容量と流れに依存するだろうし、その分野での熟練者によって容易に決定され得る。
【0040】
その光信号は、分光光度計、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体 CMOS、デジタルカメラ、インテンシファイドカメラ、口腔内カメラ、ビデオスコープ、写真用フィルム、光ファイバー装置、光度検出器、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、感光アレイ、微小電気機械システム(MEMS)、または目視によって検出されてもよい。
【0041】
発明の第7の具体化によると、イオン感受性の複合体を含有する組成物、その組成物を適用する手段、および検出装置を含む、脱灰を検出するのに使用されるキットが得られる。そのキットは、酸性の、または糖を含有する感光液を含んでもよい。そのキットは、歯または歯の模型の関心のある領域に印を付けるための格子のような目印をさらに含んでもよい。そのキットは、多くの理由のために購入可能である。歯科医は、酸蝕症に対する患者の感受性を評価するのに使用するために、市販されている便利な試用キットを持ちたいかもしれない。酸蝕症感受性の家庭用の試用キットは、その時どんな予防対策を採るかを決める消費者によって使用されうる。食べ物または飲み物の製品の製造業者は、彼らの製品の歯の侵食特性に興味があるならば、その試用キットを購入することができる。
【0042】
従って、本発明は、歯科的応用における遊離イオンの検出のための組成物およびそのような組成物の使用方法を提供しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、例示のみを通して、および、以下の付随する図面を参照して、さらに説明されるであろう。
【図1】図1は、カメレオン(cameleon)指示薬におけるFRETの概略図である。
【図2】図2は、表面に印を付けられた、覆われた「窓」を有する、抜き取られた臼歯を示す。
【図3】図3は、酸のゲルおよび開示したゲルの適用後の抜き取られた歯のイメージを示す。
【図4】図4および図5は、酸のゲルおよび開示したゲルで処理された領域の明るさを決定するための画像解析プログラムImageJの使用効果を説明する。
【図5】図4および図5は、酸のゲルおよび開示したゲルで処理された領域の明るさを決定するための画像解析プログラムImageJの使用効果を説明する。
【図6】図6は、開示した組成物としてのオベリンの使用効果を説明する。
【図7】図7aから図7bは、虫歯を有する歯根で実施された実験結果を示す。
【図8】図8aおよび図8bは、歯の象牙質で実施された実験結果を示す。
【図9】図9aから図9bは、空洞識別に関連して実施された実験結果を示す。
【図10】図10aから図10bは、空洞識別に関連して実施された追加実験の結果を示す。
【図11】図11aから図11bは、虫歯識別に関連して実施された追加実験の結果を示す。
【図12】図12は、空洞化された損傷(A)を有する脱落性の大臼歯の画像を示す。図12aおよび図12cは、光の中での歯の画像を示し、図12bおよび図12dは、開示したゲルの適用後の単色画像を示す。
【図13】図13Aは、(哺乳びん症候群として知られる)大きな虫歯損傷を有する(脱落性の)門歯の、光の中での歯の画像を示す。 図13Bは、開示したゲルの適用後の(哺乳びん症候群として知られる)大きな虫歯損傷を有する(脱落性の)門歯の単色画像である。
【図14】図14Aは、(脱落性の)大臼歯の滑らかな表面を示す、光の中での歯の画像である。 図14Bは、開示したゲルの適用後の(脱落性の)大臼歯の滑らかな表面を示す単色画像である。
【図15】図15Aおよび図15Bは、(永久歯の)大臼歯の咬合面の画像を示す。図15Aは、光の中での歯の画像を示す。図15Bは、開示したゲルの適用後の単色画像を示す。
【図16】図16Aは、光のなかで撮影された(脱落性の)大臼歯の画像である。 図16Bは、開示したゲルの適用後の単色画像を示す。 図16Cは、損傷を横切る、発生した光のグラフ表示である。
【図17】図17Aは、永久歯の大臼歯のエックス線像を示す。 図17Bは、近心面がエックス線、その後開示したゲルよって検査された永久歯の大臼歯を示す。
【図18】図18Aは、脱イオン水の中ですすがれて、評価前に取り除かれた歯の画像を示す。 図18Bは、だ液の中ですすがれて評価された歯を示す。 図18Cは、だ液の中ですすがれたが、評価前に取り除かれた歯を示す。 図18Dは、だ液の中で培養され、取り除かれて、評価前に脱イオン水の中ですすがれた歯を示す。
【図19】図19Aは、開示した溶液の付加後に撮影された歯肉上部の歯石を示す。 図19Bは、開示した溶液の付加後に撮影された歯肉下部の歯石を示す。
【図20】図20Aは、開示したゲルの適用後の、光による歯の画像を示す。ボックスは、歯石の領域を示す。 図20Bは、開示したゲルの適用後の、単色画像を示す。ボックスは、歯石の領域を示す。
【図21】図21Aは、開示したゲルの適用前の、光の中での(永久歯の)大臼歯の咬合面の画像を示す。 図21Bは、開示したゲルの適用後の、(永久歯の)大臼歯の咬合面の単色画像である。
【図22】図22aから図22cは、歯の酸蝕症および神経過敏に関連して実施された実験結果を示す。
【図23】図23aから図23cは、歯の酸蝕症および神経過敏に関連して実施された追加実験の結果を示す。
【図24】図24aから図24cは、歯の酸蝕症および神経過敏に関連して実施されたさらなる追加試験の結果を示す。
【図25】図25aから図25cは、酸エッチングされた歯を使って実施された実験結果を示す。
【図26】図26aから図26dは、酸エッチングされた歯を使って実施された追加実験の結果を示す。
【図27】図27Aおよび図27Bは、脱イオン水と比較した、酸処理されたエナメル質でのだ液の防護効果を示すグラフである。
【図28】図28は、さらなる脱灰(さらなる明るさ)を生成する低pH溶液とともに、明るさの変化によって測定された、様々な脱灰レベルでの異なるpHの溶液の効果を示すグラフである。そして、
【図29】図29は、歯の脱灰への食料品の効果が、本発明の開示した組成物と分析方法を使用して決定されうることを示すグラフである。
【0044】
本発明の文脈中で、「イオン感応性の複合体」は、脱灰の結果として放出される遊離イオンの存在による光信号特性を作り出すことができる複合体を意味している。その複合体は、色素、EDTAレポーター複合体のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体、タンパク質もしくはタンパク質レポーターの複合体、分子認識ポリマーレポーター複合体、もしくはホリディ接合のようなマクロサイクルであってもよい。それらは、イオンへの感受性を増大させるため、信号強度を改善するため、信号を伸ばすため、SN比を改善するため、スペクトル応答を改善するために改変されていてもよい。組換え体または改変されたタンパク質が使用されてもよい。
【0045】
本発明は、歯の脱灰の検出におけるレポーターとして、イオン感応性の色素、EDTAレポーター複合体のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体、タンパク質もしくはタンパク質レポーターの複合体、分子認識ポリマーレポーター複合体、もしくはホリディ接合のような分子プローブの、1つまたは組合せの、新規な医薬的な使用方法に関連する。上で述べたように、歯の表面の遊離イオンの存在は、脱灰の存在を示す。これらのレポーターは、歯の上の遊離イオンの存在を検出するのに使用可能であり、従って特殊な歯の問題を検出する手助けとなる。
【0046】
遊離イオンがあると、光信号がイオン感応性のレポーターから放出される。信号のスペクトル、強度、または継続時間は、遊離イオンの性質に比例している。異なる組織は、異なる量およびタイプのイオンを有しており、従って、イオン感応性のレポーターの反応は、組織間で変わるであろう。歯の酸蝕症の過程において、象牙質は最後には露出されるであろう。象牙質の神経過敏の過程では、セメント質が取り除かれて、根象牙質が露出される。象牙質およびセメント質は、エナメル質ほど鉱物化されず、それゆえ、イオン感応性のレポーターに直接反応する。これらの脱灰された歯の特質は、より強い光信号を有する領域によって識別されるであろう。
【0047】
活発な虫歯があると、酸性環境およびバクテリアによって歯が脱灰されるので、遊離イオンが放出され続けるであろう。この信号の場所および強度は、活発な虫歯の場所を決定するのを可能にする。
【0048】
本組成物は、以下の1つ以上を含んでもよい。すなわち、色素、EDTAレポーター複合のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体、タンパク質もしくはタンパク質レポーターの複合体、分子識別ポリマーレポーター複合体、もくしはホリディ接合のような分子プローブなどのマクロサイクル。タンパク質またはタンパク質複合体は、蛍光、または、生物発光、化学ルミネセンスもしくは蛍光共鳴エネルギー伝達(BRET、CRET、またはFRET)、例えばエナメル質のような有機物を認識する標識抗体によって検出され得るイオン感応性の発光タンパク質、イオン感応性の蛍光タンパク質、またはタンパク質複合体を含んでもよい。合成イオンキレート剤またはタンパク質複合体は、イオン結合で消される蛍光部分を組み込んでいてもよく、または、タンパク質複合体は、蛍光部分および消光剤を組み込んでいてもよい。イオン結合で取り除かれる後者は、光の放出を引き起こす。
【0049】
異なるイオンは、異なる複合体を使用して検出されてもよい。マグネシウムは、Mag-Fura-2およびMag-Fura-5のような蛍光染料によって検出される。それらは、所定の場所でのマグネシウムを測定するために使われる(励起 340-380 nm、放射 500-510 nm)。色素は有毒でないことが好ましい。
【0050】
多くの色素は、カルシウムに敏感であるが、毒性が強すぎるため、口の中で使用できないであろう。Fura-2、Calcium Green-1、Fluo-3、Indo-1、およびcSNARF-1は、すべて、細胞内の遊離したカルシウムに結合する蛍光染料である。Indo-1およびcSNARF-1は、二重の放射色素である。遊離カルシウムを検出し、測定するために使われる蛍光カルシウム結合色素は、冷光を発する発光タンパク質の代替物として有益であるだろう。さらに、これらの色素は、ハリウタウリンとともに使われれば、だ液中のカルシウムおよびストロンチウムの同時測定のための新しい方法の中で使われてもよい。Fura-2、Calcium Green-1、Indo-1および、それらのアクテトメチル(actetomethyl)エステル誘導体は、ニューロン活動を監視するためにマウス(生体内)で使われている。Fluo-3より敏感でないけれど、Rhod-2もカルシウムに敏感な色素である。Rhod-2のより長い励起および放射波長(〜556/576 nm)は、高レベルの自発蛍光を有する細胞および組織の中での実験、および、より短い波長の別の蛍光染料が同時に使われる実験に対して、指示薬を役立つようにする。エナメル質は蛍光を発することが知られているため、このような長い放射波長は、重要な利点になるであろう。
【0051】
フッ化物の検出は、蛍光染料によって達成されるだろう。高レベルのフッ化物は、一般に、脱灰の場所でのイオンの高摂取によると信じられている虫歯損傷において見出される。産業的および医薬的応用の両方のために、フッ化物に敏感な蛍光システムについての多くの研究がなされ、またされ続けている。このような複合体の1つは、フッ化物結合における蛍光の減少を示すZr(IV)-EDTAオキシンである。フッ化物の存在により蛍光の増加を示すフッ化物センサーも、報告されている。これらはホウ素の酸化合物およびチオウライド(thioureido)ナフタレン誘導体を含む。ホウ素の酸化合物は、現在、比較的鈍感である(検出レベル50 - 70 mM)が、しかし、適切な改変で、フッ化物の選択性は、所望の濃度域に微調整されうると考えられている。新規なチオウライドナフタレン誘導体は、フッ化物の存在により蛍光で40倍の増加を示し、他のハロゲンにわたって、フッ化物に対する非常に高い選択性を有している。あるいはまた、Tae-Hyun Kim and Timothy M. Swager (2003、 Chem. Int. Ed. Angewandte 42, 4803-4806) は、フッ化物によるSi-Oの裂け目が、高い蛍光クマリン分子の形成をもたらすシステムについて述べている。
【0052】
カリウムの検出は、カリウムとナトリウムの両方に敏感な(励起340-380 nm、放射510 nm)、SBFIのような蛍光染料を用いてもよい。カリウムは、歯の神経過敏およびおそらく虫歯に関連付けられる。あるいはまた、オキナワイカ(Symplectoteuthis oualaniensis)に由来する発光タンパク質は、カリウムに敏感であり、使用されてもよい(US2004191884)。
【0053】
その組成物がタンパク質またはタンパク質複合体を含む場所では、それは遊離イオンと結合するときに、光信号を生成するだろう。そのようなタンパク質またはタンパク質複合体は、例えば、遺伝子のDNA配列を変更することによって、アセチル化、エトキシルカーボン化、フルオレスカミン改変もしくはフルオレセインラベリングによって、または、信号を高める、信号の継続期間を延長する、もしくはその放射スペクトルを変更するためのGFPエクオリン(US2003175807)のようなキメラタンパク質の生成によって改変されてもよい。光信号をもたらすイオンまたは有機物との結合時に構造変化を受けるというような、似た機能を有するタンパク質およびタンパク質複合体が使用されてもよい。
【0054】
そのようなタンパク質またはタンパク質複合体の例は、発光タンパク質である。発光タンパク質は、ポリペプチド鎖と、固いがタンパク質と非共有結合している2-ヒドロペロクシセレンテラジンのような酸素であらかじめ活発化されている基質とから成る、安定した酵素―基質複合体である。生物発光は、例えばCa2+によって引き起こされ、タンパク質と結合された基質の脱炭酸に起因している。本発明に従って、役立つであろう別の発光タンパク質は、ハリスタウリンである。ハリスタウリンは、鉱物化の間にハイドロキシアパタイト結晶中で小さいカルシウム部分に取って代わると考えられるストロンチウムを検出するために使われうる。ストロンチウムの不足は、虫歯に関連付けられる。(”Strontium and dental caries” Nutr Rev 1983;41:342-344)。ストロンチウムの検出は、ハリスタウリンのような発光タンパク質を用いてもよい。広範囲に渡る歯の中のストロンチウム量(例えば、66 - 564 ppm)が、米国の異なる地域から報告されている。
【0055】
発光タンパク質の別の例は、生物発光のクラゲ、Aequorea victoria中で当然に発生する、または、組換えで表現され得るエクオリンである。エクオリンは、カルシウムの存在下で放出される大量のエネルギーを蓄えることができるタンパク質である。アポエクオリンは、カルシウムによって活発化させられる比較的安定した複合体を形成するために、その基質セレンテラジンと相互作用する。エクオリンへの2つのカルシウムイオンの結合は、タンパク質の開放、そして、光信号または光の放出に伴われる、セレンテラジン過酸化物のセレンテラミドとCO2への分解という、タンパク質の構造変化を引き起こす。エクオリンのさらなる説明は、Shimomura et al (1978) Proc. Natl Acad. Sci U.S.A. 75、 2611-2615; Head et al (2000) Nature 405, 372-376;そして、Shimomura (2005) Journal of Microscopy 217, 3-15で見られるだろう。
【0056】
発光タンパク質の他の例は、オベリン、クリチン、ミトロコミン、ハリスタウリン、ピアリディン、ムネミオプシン、シンプレクチン、ジーアール−ボリノプシンおよびベロビンを含む。これらの発光タンパク質は、高い配列相同性を示し、3つの”EF-hand”カルシウム結合部位を含んでいる。これらの発光タンパク質のさらなる説明は、Prasher et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 126 (1985); Inouye et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 (1985), pp.3154-3158; Prasher et al, Biochemistry 26 (1987), pp. 1326-1332; Inouye et al, FEBS Lett. 315 (1993), pp. 343-346; T.F. Fagan et al, FEBS Lett. 333 (1993), pp. 301-305; Illarionov et al, Dokl. Akad. Nauk 326 (1992), pp. 911-913; Illarionov et al, Gene 153 (1995), pp. 273-274; Shimomura et al (1985), Biochem J. Jun 15; 228(3):745-9; Ward et al (1974) Biochemistry. Mar 26;13(7):1500-10で見られるだろう。これらのタンパク質の活動様式のさらなる説明は、Markova et al, Biochemistry 41 (2002), pp. 2227-2236; Charbonneau et al, Biochemistry 24 (1985), pp. 6762-6771 ; Tsuji et al, Photochem. Photobiol. 62 (1995), pp. 657-661で見られるだろう。
【0057】
その組成物は、EDTAレポーター複合体のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体のようなマクロサイクルを含んでもよい。イオンと結合するこれらの例は多く、レポーターを有する複合体が作られ続けている。例えば、John F. Callan, A. Prasanna de Silvaa and Nathan D. McClenaghanv (2004) Chem. Commun. 2048-2049に述べられているように、光誘起された電子を使用した蛍光体と選択的なレポーターとの結合は、BAPTAを使ってカルシウムを移動させる。米国特許5409835も、標本中でのカルシウムイオン濃度を決定するために、蛍光カルシウム結合複素環式プローブ化合物を記載している。
【0058】
その組成物は、イオンの存在を示す特徴的な波長で蛍光を発する複合体を含んでもよい。そのような蛍光複合体は、光の強度または色を変更することによりイオンに反応する。これらの複合体は、タンパク質またはタンパク質複合体であってもよい。
【0059】
蛍光性のタンパク質の好ましい例は、カメレオンタンパク質またはカメレオン指示薬を含む。カメレオンは、生きた細胞の中でのカルシウムイオン濃度の新しい種類の指示薬であり、それは、カルシウムイオンの存在下で、結果として「フェスター共鳴エネルギー伝達」(FRETまたは「蛍光共鳴エネルギー伝達」)になる構造変化を通して作用する。図1は、カメレオン指示薬におけるFRETの概略図を示す。より具体的には、FRETは、励起エネルギーの非放射性移動、および、分子間の長距離範囲(10-100 オングストローム)双極子相互作用の方法による基底状態の受容蛍光体に対する励起した供与蛍光体に関係している。カメレオン指示薬は、緑の蛍光タンパク質(GFP)から改変された人工的なタンパク質から成る。カメレオンの分子構造は、カルモジュリン(CaM)および、ミオシン軽鎖キナーゼ(Ml3)のカルモジュリン結合領域の、(異なる励起および放射特性を有する)2つの蛍光タンパク質間の融合生成物としてモデル化される。カルモジュリンは、遊離カルシウムイオンと結合することが可能であり、カルシウムイオンと結合した後、M13鎖がカルモジュリンと結合することができる。これら4つのタンパク質の遺伝子は直線的に結合され、融合遺伝子はさまざまな細胞の中に現れる。カルモジュリンが遊離カルシウムと結合すると、構造が変化して、より近い2つの蛍光タンパク質をもたらし、結果としてFRETになる。従って、青い光を放出するシアン蛍光タンパク質の代わりに、この光は黄色の蛍光タンパク質に転換され、結果的に黄色の蛍光を生じる。カメレオン指示薬のさらなる説明は、Miyawaki et al (1997) Nature 388 (6645):882; Miyawaki et al, Proceedings of the National Academy of Sciences (USA) 96: 2135-2140 (1999)で見られるだろう。
【0060】
蛍光タンパク質のさらなる例は、GFPの改変された形であるペリカムである。Nagai et al, PNAS 98 (6): 3197 (2001)で述べられているように、CaMと、ペリカムの結合ペプチドMl3との間のCa2+を誘発する相互作用は、円形に変換された(cp)YFPの蛍光特性に変化を引き起こす。
【0061】
蛍光アプローチのさらなる例は、(Rudiger Rudolf, Marco Mongillo, Rosario Rizzuto & Tullio Pozzan Nature Reviews Molecular Cell Biology 4, 579-586で論評されているように)カルシウムの結合が、タンパク質の構造変化と黄色の蛍光タンパク質からの蛍光増加とを引き起こすカルモジュリンと相互作用し、蛍光の増加を誘発する、カンガループローブである。
【0062】
蛍光アプローチのさらなる例は、例えば、蛍光分子が発光タンパク質と共有結合され、化学ルミネセンス共鳴エネルギー伝達(CRET)によってエネルギーの移動がある、GFPエクオリン(US2003175807など)のようなキメラ蛍光−発光タンパク質である。
【0063】
これらの例は、イオン検出においてタンパク質レポーター複合体の使用方法を説明するのに役立つ。関連するタンパク質は、結合するか、特定のイオンを結合するときに構造を変化する、いかなる種類のものであってもよい。カルシウムでは、それらは、カゼイン、カルゼクエストリン、カレックスサイチン、システインプロテアーゼに結合したカルシウム、カルモジュリンおよび他のEFハンドタンパク質である。レポーターは、色素または、蛍光もしくは発光タンパク質であってもよい。
【0064】
その組成物は、Scorpionプローブ、Taqmanプローブ、ホリディ接合、または線形プローブのような分子プローブを組み込んだ複合体を含んでいてもよい。蛍光または発光は、プローブにイオンが結合したときに起こるであろう。分子プローブの好ましい例は、ホリディ接合である。これらはDNAの4つの鎖の間に形成された移動型の接合である。それらは、特殊なDNA配列の検出のために通常使われているが、金属イオンは、特定の位置に結合することによって、接合の構造を決定するのに重要な役割を果たすことが知られている(Thorpe J. H., Gale B. C, Teixeria S. C. and Cardin C. J. (2003) J MoI Biol. 2003 Mar 14;327(l):97-109 )。さらに、これらの接合は、ナトリウム、カルシウム、およびストロンチウムのようなイオンの存在を検出するために使用可能である。
【0065】
多くの方法は、一緒に使われてもよい。例えば、キレート剤は、他のものに発光タンパク質を結合させるために、1つのイオンを隔離するのに使われてもよい。例えば、発光タンパク質ハリスタウリンは、カルシウムとストロンチウムの両方を結合する。ストロンチウムは疾患のよい尺度であり、カルシウムは、発光タンパク質が歯に加えられる前に、発光タンパク質にストロンチウムのみを反応させるために、隔離され得る。そうでなければ、カルシウムは、存在するストロンチウム全量を覆い隠すであろう。カルシウム隔離剤は、タンパク質ベースのもの(カルモジュリン、カルサイクリン)または化学ベースのもの(BAPTA、EGTA)であってもよい。BAPTA(1、2-bis(oアミノフェノキシ)エタンN,N,N’,N’-4酢酸)は、カルシウム特殊キレート剤であり、BAPTAベースの化合物は、細胞内の遊離Ca2+を測定するのに、最も一般的なものの一つである。
【0066】
発光タンパク質から生成された光信号を蛍光タンパク質のすぐ近くに転送し、その後蛍光タンパク質からの蛍光を測定する、生物発光共鳴エネルギー伝達(BRET)を使用して、発光タンパク質および蛍光タンパク質が一緒に使用されてもよい。この場合、信号の色が変更されてもよく、信号の継続時間が結像を改善するために増やされてもよい。歯の結像蛍光染料での問題の一つは、本質的に高い歯の自動蛍光性により、高強度の光源を使うことが実用的でない状況がしばしばあることである。BRETを使うことの1つの可能な利点は、それが、カルシウムが存在する特定領域の中で、同じ場所に限定される蛍光プローブの励起のために使用されうることである。
【0067】
その組成物は、例えば活発な虫歯の存在を検出する口内分析や、研究所内での人工的に引き起こされた虫歯の研究、歯に友好的な新しい食物の開発、並びに、食料品の腐食性の明確な説明および研究のような口外分析に使用されてもよい。その組成物を使用した口外分析は、ハイドロキシアパタイトモデルまたはエナメル切片のような歯の模型を使って実施されてもよい。
【0068】
その組成物は、例えば、活発な脱灰の早期発見、最良な治療の決定、長時間にわたる問題または治療の監視、および、特定の歯の問題(例えば、酸蝕症または神経過敏)に敏感であろう個人の識別のために、歯科医や歯科衛生士によって使用されてもよく、新しい製品(例えば、ねり歯みがき、飲み物)の開発のための実験研究者によって使用されてもよく、または、(例えば、うがい薬または歯垢顕示錠という形での)活発な歯の疾患の検出と評価のための家庭看護市場のために使用されてもよい。
【0069】
活発な虫歯の検出のための1段階での方法は、現在利用できない。活発な虫歯は、継続的な脱灰による遊離イオンを生成する傾向がある。不活発な虫歯は、脱灰がないため、あったとしてもほんの少ししか、遊離イオンを生成しないであろう。脱灰は、イオン感応性のレポーターの適用に続く光信号出力を測定することによって検出されるであろう。これは、ほとんどまたは全く脱灰がない不活発な虫歯と比較されるであろう。
【0070】
それゆえ、イオン感応性レポーターは、虫歯の活発な性質の1回測定を提供することができ、歯医者への複数回の訪問の必要性を取り除くことができる。イオン感応性レポーターは、例えば酸蝕症などの歯の疾患に対する個人の感受性を決定するために使用されてもよい。この場合、穏やかに侵食する溶液、例えば弱酸が、歯に添加され、検出組成物により放出される信号によって測定されるような歯の応答は、脱灰の範囲および将来の酸蝕症の問題に直面する可能性を示すであろう。
【0071】
活発な歯の脱灰の検出方法は、歯面からだ液を取り除くステップ、(存在するならば)適切な場所のプラークを取り除くステップ、それから、上で述べたように検査中の歯面を組成物にさらすステップ、および、結果として生じる光信号を検出するステップを任意に含んでもよい。
【0072】
その方法は、タンパク質組成物で曝される前に、糖類または酸性の溶液のような感光液に歯をさらすステップをさらに含んでもよい。感光液は、神経過敏および酸蝕症を検出するための脱灰の作用によく似ており、特殊な問題の範囲を評価するために使用されてもよい。例えば、酸溶液は、(例えば、歯の酸蝕症からの)象牙質または(例えば、歯茎の低下からの)歯根の露出の領域を識別するために使用されてもよい。これは、歯の特定の部分が他の部分より強く酸溶液に反応するだろうし、それゆえ識別されることができるためである。例えば、エナメル質に比べて、象牙質およびセメント質中のより低度の鉱物化により、感光液の付加は、より多くの象牙質およびセメント質からのカルシウムの放出を引き起こすであろう。イオン感応性レポーターの適用上、(象牙質の酸蝕症または神経過敏の領域に対応する)象牙質の領域は、エナメル質の領域よりも明るい、すなわちより強い光信号を伴い、その結果、問題の範囲を示すであろう。これは、結果の正確さを高めるであろう。
【0073】
感光液は、特定の状態にある個人の感受性を評価するのにも使用されてもよい。歯の酸蝕症により影響され易いそれらの個人は、より多くの脱灰および、それによるより大きな応答を示すであろう。エナメル質の構造および組織は、歯の酸蝕症への感受性を評価することにおいて、だ液ほど重要ではない。だ液の組成、体積、組成物および流れは、個人の酸蝕症感受性を決定するのに重要な役割を果たす。本発明の科学技術は、個人のだ液(特にだ液の薄膜)によって与えられた保護を含む、酸の挑戦に対する歯のエナメル質の抵抗を決定することができるだろう。このような量的なテストは、患者の感受性を決定し、治療を監視する歯科医および歯科衛生士、ならびに、何の作用が脱灰のレベルの明確な説明を変えるのかを理解したい、ねり歯みがきの開発者および食物科学者に有益であるだろう。さらに、このテストは、新しい酸蝕症防止コーティングの推進において有益であるだろう。それゆえ、酸蝕症による脱灰のためのテストの代替バージョンは、だ液が口の中で徐々に作られるよう、侵食溶液にさらした後、例えば、1秒以下、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30秒の所定の時間待つこと、および、その後検出組成物で脱灰の範囲を調べることを伴うであろう。その所定の時間は、再びだ液が徐々に作られるよう、必要であれば最高1、2、または5分まで伸ばされうる。
【0074】
結果として生じる光信号は、分光光度計、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、デジタルカメラ、インテンシファイドカメラ、写真用フィルム、光ファイバー装置、光度検出器、光電子増倍管、微小電気機械システム(MEMS)を使用して、または目視により検出されてもよい。例えば歯に友好的な飲み物の開発における研究所でのテストにおいて、その過程は、自動化および標本の高処理能力のために、カメラ、照度計、または蛍光光度計を使ってもよい。
【0075】
光の強さ、光の位置、および生成された光の継続時間を分析するために、ソフトウェアが使用されてもよい。それは、歯科医が正確に位置を絞り込み、治療中または治療後の変化を監視するのを助けることを可能にするために、信号を増幅し、歯の画像の上に「重ね合わせられた」画像を提供するのに使用されうる。
【0076】
さらに、本発明は、遊離カルシウムの量を決定することによって、(露出した象牙細管のさらなる開口を引き起こしている脱灰を通して)象牙質の神経過敏と同様に、さらなる酸蝕症の可能性の評価をも可能にする。さらに、その方法は、神経過敏の歯と同様に、歯の酸蝕症に対してより敏感な患者の識別を可能にする。これは、酸蝕症になりやすいそれらの個人が予防手段を採用するのを可能にし、また、研究室でのテストが、神経過敏のための新しいねり歯みがきを検査すること、または、歯侵食特性のために食べ物もしくは飲み物の製品を分析することを可能にするであろう。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下の実験は、発光技術に基づいた画像およびイオン感応性のタンパク質エクオリンを使って実行された。すべての作業は、抜かれた人の歯を使って実行された。口の中では、さまざまな応用方法を使用することができた。例えば、開示した本組成物のための運搬の装置があってもよい。これは歯のトレーのようなマウスピースであってもよい。運搬装置を使う利点は、それがだ液を歯および開示した本組成物から離しておくことである。人の口のおおよその形およびサイズを有するときだけ、トレーはカスタマイズされていなくてもよく、トレーを作るために鋳型として人の歯を使うときには、カスタマイズされてもよい。トレーは、開示した本組成物と検出器との間の接点として活動するであろう。好ましくは、運搬装置は、光学的に透き通っている。開示した本組成物は、患者の口の中に置かれる前に、運搬装置に加えられてもよく、口の中で運搬装置に注入されてもよい。あるいはまた、開示した本組成物の細片が使われてもよい。これは、従来技術において知られている、関心のある領域に適用される歯漂白細片と同族であるだろう。従来の漂白細片は、使用者の歯に向き合う細片の面上で適度な粘性と比較的低いねばっこさとを有する、歯の漂白ゲルで覆われた柔軟な可塑性の細片を含んでいる。あるいはまた、開示した本組成物は、歯に吹きかけられるか、うがい薬に適用されてもよい。
【0078】
エクオリン溶液は、次のようにして準備された。組換えエクオリンは、基質セレンテラジンと混合されたAequorea Victoriaから元来、遺伝子配列を使って大腸菌(E.coil)の中で表され、凍結乾燥された。乾燥した調整原料は、マンニトール(Prolume (RTM))中に約1%質量濃度のエクオリンを含んでいた。歯に適用するための実用のエクオリン溶液を作るために、乾燥したエクオリン調整原料は、カルシウムを含まない純水の中で、1mg/ml w/vの濃度で溶解された。あるいはまた、1mg/ml w/vのエクオリンが、1mM EDTAを有する1%のAkucell 3625ゲルの中で準備された。カルシウムイオンがこのエクオリン溶液またはゲルに加えられる時、青い光の閃光が放出される。
【0079】
標本は、高さ調節可能なステージ上の暗い箱の中に置かれ、画像は、弱光電荷結合素子またはCCD(タムロン(RTM)マクロレンズを取り付けられ、熱電気で冷却されたCCDカメラStarlight Xpress HX-9(RTM))を使って記録された。検出の感度を上げ、露出時間を減らすために、ほとんどの場合に、2×2のハードウェア画素ビニングが使われた。画像は、TIFファイルとして保存された。昼光の画像は、環境光が標本を照らすのを可能にするために、暗い箱のドアが開いている状態で撮影され、10/100秒の露出および2×2ビニングを使って撮影された。暗い画像は、暗い箱のドアを閉めた状態で、2×2画素ビニングで、1または2分の露出時間を使って撮影された。
【0080】
グレースケール(256レベル)画像はImage Jで開かれ、(必要ならば)Microsoft Word(登録商標)文書に挿入される前に、画像の明瞭さを高めるためにコントラストが調整された。同じ実験で生成された画像において、同じ調整が各画像になされた。結果として得られた画像は、標本上のカルシウムの存在に対応する発光地図を作るために使用されうる。最も暗い領域(黒色)は、最も低い光の領域を示し、より明るい領域(白色)は、光が増大する領域を示す。
【0081】
実験A:酸のゲルを使用した歯の脱灰
実験室内で活発な虫歯の生成を模倣するための産業で使用される標準的な方法は、酸の溶液またはゲルを使用して脱灰の領域を作成することである(例えば、Amaechi et al.: Arch Oral Biol 1998; 43: 619-628参照)。我々は、我々の開示した材料が、脱灰の領域を識別するのに使用可能かどうかを決定するために、同様な実験を実施した。
【0082】
カルボキシメチルセルロース(3% w/v Akucell 1985)ゲルが、(5Mの水酸化カリウムによって中和された0.1Mの乳酸を使用して)pH4.7またはpH6.4で準備された。エナメル質が約5.4の臨界pHで溶けるため、このpH範囲が選ばれた。図2に示すように、抜き取られた小臼歯の滑らかな表面に、マニキュアを使って約4×4 mmの「窓」が作成された。窓は、(サイズが、無機質の損失の範囲に影響すると知られているため)同様なサイズであった。(pH4.7または6.4の)ゲルが窓に適用され、歯が、水和した環境および37℃で、5、10、14、または21日間培養された。5つの複製された歯が、各時間点およびpHで使用された。加えて、15個の歯が、それぞれpH4.7のゲルで14日間培養されて評価され、さらに、再評価される前に、5日間pH4.7またはpH6.4のゲルで培養された。これは、ゲルを中和することによって脱灰を停止できるかどうかの決定を可能にする。
【0083】
培養の後に、ゲルは、ティッシュペーパーで歯面から優しく拭き取られ、その表面は、脱イオン水ですすがれた。歯は、2×2ビニングおよび光の中での10 msの画像捕捉時間を使用して、ソニーHX9カメラによって映像化された。1mM EDTAによって準備された1% Akucell 3625ゲル(開示したゲル)中のl mg/cm3エクオリン0.2cm3 が、自動分注器によって歯に移された。2×2ビニングでの1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。
【0084】
画像の例が、図3に示されている。表示状態を改善するために、画像のコントラストが変更され、まったく同じ調整が、すべての画像に適用された。図4および5に示すように、ImageJが、窓の中の領域の明るさを決定するために使用された。
【0085】
その結果、pH4.7のゲルで培養されたそれらの歯が、pH6.4のゲルで培養されたそれらより、高レベルの光、すなわち遊離カルシウムの放出および脱灰を示した、ということを明確に示している。さらに、歯が最初に酸のゲルで培養され、それから中和ゲルに移されたとき、酸のゲルから酸のゲルに移された歯に比べて、光の出力が減少した。
【0086】
これらの結果は、エクオリンのようなカルシウム感応性の発光タンパク質は脱灰の領域を検出可能である、という断固とした証拠を提供する。重要なことに、脱灰は、わずか5日後に検出された。これは出版された文献において述べられている他の技術より早く、この方法がかなり初期の脱灰のデータを提供するであろうという証拠を提供している。
【0087】
実験B:開示した代替材料の使用
イオン放出を測定することにより、脱灰の領域を識別するのに使われうる多くの材料がある。例Aでは、発光タンパク質エクオリンを使った。他の材料が使用されてもよい。
【0088】
図6は、オベリン(カルシウム感応性の発光タンパク質)が使用されるであろう方法を示す。抜かれた歯は、2分間、1%のクエン酸の中で培養された。酸は、エナメル質の脱灰を起こすことが知られている。歯は抜かれ、脱イオン水の中ですすがれて、それから分析された。歯は、光の中で、2×2ビニング、10 msの画像捕捉時間を使って、ソニーHX9カメラで映像化された。1mM EDTAによって準備された1%のAkucell 3625ゲル(開示したゲル)中のlmg/cm3エクオリンまたは50ug/mlオベリンのどちらか0.2cm3が、自動分注器によって歯に移された。2×2ビニングでの1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。表示状態を改善するために、画像のコントラストがImageJを使って調整された。同じ調整が、両方の画像になされた。図6Aは、エクオリンゲルから生成された光を示し、図6Bは、オベリンゲルからのものを示す。結果は、遊離イオンの存在および脱灰を示すために、多くの異なるレポーターが使われてもよい、ということを示している。
【0089】
実験C:歯根の露出
歯のすべての領域がエクオリン溶液に同じように反応したかどうかを調べるために、抜かれた歯がエクオリンに浸された。歯は、カルシウムを含まない純水によって軽く磨かれ、暗い箱の中の径3 cmのペトリ皿に置かれた。昼光の画像は、CCDカメラを使って得られた。
【0090】
l mg/mlエクオリン溶液5 mlが、歯の表面にピペットで直接移された。2×2ビニングで2分の露出で、画像がすぐに得られた。その後、同じ歯の根が、液体の乳液(CopyDex(登録商標))で「マスク」され、前と同じように、再びエクオリン溶液が加えられ、画像が得られた。結果は、図7Aおよび図7Bに示されている。
【0091】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、エクオリンへの露出後の歯、および、エクオリンへの露出前にcopydex(登録商標)で覆われた歯根のイメージである。図7Aでは、より明るい領域(最も大きな発光)は根と一致しており、図7Bでは、覆われている根の領域からの光はない。光の出力は、マスキング後の歯の再適応により少し異なっている。矢印は、白斑と同じくらい明白な、歯の臨床医によって確認された歯冠の中の虫歯の存在を示す。
【0092】
結果は、歯根が、歯冠より強くエクオリンに反応することを示しており、歯根の中のかなり大量の遊離カルシウムを示している。これは、歯冠のエナメル質より低い歯根組織(象牙質とセメント質)の鉱物化のためであると考えられる。ここで述べられた方法のような、エクオリンを使ったカルシウム感受性の分析は、例えば神経過敏のメカニズムの調査の一部として、露出した歯根組織を識別するために使用されてもよい。あるいは、歯根からの干渉なしで歯冠の検査を可能にするエクオリンの付加前に、歯根が例えばCopydex(登録商標)で覆われてもよい。
【0093】
実験D:象牙質の露出
イオン放出による脱灰を識別する開示したゲルまたは溶液は、酸蝕症(および間接的な神経過敏)に起因する脱灰の範囲および位置を検出し、評価するために使われてもよい。
【0094】
歯冠がかけら状になる時−すなわち、いくらかのエナメル質を失うとき、歯の象牙質が露出されうる。同様に、歯が、例えば酸によって侵食されるとき、象牙質が露出されるだろう。この実験において、露出された象牙質がイオン感応性レポーター分析を使って識別されうるかどうかを調べるために、かけら状の歯が使われた。抜かれた歯は、カルシウムを含まない純水によって軽く磨かれた。エナメル質の一部が、その過程で削られ、下層の象牙質を露出した。歯根は、液体の乳液(CopyDex(登録商標))で覆われた。歯は、暗い箱の中の3 cmのペトリ皿に置かれた。昼光の画像が得られた。1 mg/mlエクオリン溶液4 mlが、歯の表面にピペットで直接移された。画像が、2×2画素ビニングで2分の露出を使って、完全な暗闇で直ちに得られた。結果は、図8Aおよび図8Bに示されている。
【0095】
図8Aが、歯の昼光の画像であり、図8Bが、エクオリンへの露出後の歯の画像である。円で囲った領域が、かけらの領域を示す。矢印は、CopyDex(登録商標)によって完全には覆われていない歯根の領域を示す。
【0096】
結果は、歯の新鮮なかけら状の領域との接触で、エクオリンから多くの光が生成されたことを示す。これは、露出された象牙質が、光を生成するためにエクオリンと反応することを示す。従って、イオン感応性のレポーター分析、例えばエクオリンを使用するものは、例えば歯の酸蝕症の後、象牙質が露出される領域を識別するために使われうる。
【0097】
実験E:空洞の識別
抜かれた歯は、訓練された歯の臨床医により、空洞を有すると識別された。歯根は、CopyDex(登録商標)を使って覆われた。歯は、カルシウムを含まない純水によって軽く磨かれ、暗い箱の中の3 cmのペトリ皿に置かれた。昼光の画像が、CCDカメラを使って得られた。
【0098】
l mg/mlエクオリン溶液5 mlが、歯の表面にピペットで直接移された。画像が、2×2画素ビニングで2分の露出を使って、完全な暗闇で直ちに得られた。結果は、図9Aから図9Bおよび図10Aから図10Bに示されている。
【0099】
図9Aから図9Bは、(a)光の中での脱落性の(または「ミルク状の」)歯、および(b)単色の画像である。画像の現像後、より光の弱い領域は、黒で現れ、灰色および白の領域は、光が増大する領域を示している。矢印は、歯の臨床医により識別された空洞を示す。
【0100】
図10Aから図10Bは、それぞれ、光の中での永久歯の画像、および単色の画像である。画像の現像後、より光の弱い領域は、黒で現れ、灰色および白の領域は、光が増大する領域を示している。矢印は、歯の臨床医により識別された空洞を示す。
【0101】
本発明による組成物は、光を放つことにより遊離イオンに反応し、光信号の強度は、存在する遊離イオンの量の尺度となる。放たれた光の継続時間は、放出されたイオンの性質を示し、例えば、より長い輝きは、イオンの継続的な放出、またはより深い組織から放出されたそれを示すであろう。歯の異なる部分は、存在する遊離イオンの化学的な性質のために、イオン感応性のタンパク質に対して異なった反応を示す。例えば、鉱物化の量のために、象牙質がエナメル質よりも反応する。これは、活発な虫歯、活発な酸蝕症、歯肉が退却した後に露出した象牙質などを識別するために使用されうる。
【0102】
光信号の位置は、例えば活発な虫歯のような問題の位置を示すであろう。光の表面積の大きさは、例えば活発な虫歯の表面積のような問題の範囲を示す。輝きの継続時間は、例えば、酸への挑戦(すなわち虫歯また酸蝕症への歯/患者の個々の感受性)の効果の程度、または影響を受けた組織の型のような、問題の程度を示すことができる。活発な虫歯は、生成された光信号の強度、継続時間、または色によって、不活発な虫歯と区別されるであろう。活発な虫歯の中で、脱灰は継続的であるため、より多くのカルシウムが存在し、多くの信号が生成される。全体的に不活発な損傷は、「背景」信号レベルしか生成しないであろう。部分的に活発な損傷が、活発な領域と不活発な領域、すなわち信号がある領域と信号のない領域、を示すであろう。
【0103】
従って、臨床的に肉眼で見ることができる虫歯損傷の形成前に、イオン感応性の複合体を使って脱灰の領域が検出されてもよい。そのため、減衰過程のさらなる進展を防ぐため、例えばフッ化物外用薬のような治療が適用されうる。
【0104】
実験F:虫歯の識別I
実験室での研究が、酸の溶液を使用して人工的な虫歯を作成するために使われうる。好ましくは、口から抜かれ、虫歯を有する歯が、その研究方法をテストするために使われる。これらは、自然に生成された虫歯を有し、口の中での歯のよりよい擬態を提供するであろう。
【0105】
抜かれた歯は、明るい光の下で「白い」領域を識別した後、訓練された歯の臨床医によって虫歯を有することが識別された。これは、脱灰の領域を示し、虫歯を識別する伝統的な方法である。
【0106】
歯根は、CopyDex(登録商標)を使って覆われた。歯は、カルシウムを含まない純水によって軽く磨かれ、暗い箱の中の3 cmのペトリ皿に置かれた。昼光の画像が、CCDカメラを使って得られた。1 mg/mlエクオリン溶液5 mlが、歯の表面にピペットで直接移された。画像が、2×2画素ビニングで2分の露出を使って、完全な暗闇において直ちに得られた。
【0107】
図11Aから図11Bは、それぞれ、光の中での昼光の画像、およびグレースケールの画像である。画像の現像後、より光の弱い領域は、黒で現れ、灰色および白の領域は、光が増大する領域を示している。矢印は、伝統的な方法を使って、歯の臨床医によって識別された虫歯を示す。
【0108】
画像に示すように、(歯が抜かれた時に活発な)虫歯損傷であることを、訓練された歯の臨床医によって識別された「白い」領域が、エクオリン分析におけるより明るい領域であると同定されている。これは、エクオリン分析が、伝統的な「視覚による」方法に取って代わることかできることを示している。
【0109】
実験G:虫歯の識別、新鮮に抜かれた歯の評価
歯科矯正または他の理由により抜かれた歯が、抜歯の直後に得られた。歯のいくつかは、年齢(それは未成年者のための診療所であった)および歯の状態により活発な虫歯を有することが歯科医によって予測されたけれども、どの患者情報も利用できなかった。抜歯のすぐ後に、いくつかの粘着した血液および生体物質を取り除くために、歯は脱イオン水ですすがれた。歯は、開示したゲルで直ぐに試験された。
【0110】
図12に示すように、脱イオン水の中で抜かれた歯を磨く効果は、空洞化された損傷のある磨かれた歯、および磨かれていない歯からの光出力を比較することによって測定された。限定された効果が観察されたため、残りの歯が磨かれた。この方法は、歯科医に行く時の患者の行動を最もよく模倣していると考えられる。
【0111】
歯科医が虫歯損傷の歯を評価し、歯のどちら側を見るのかを鉛筆で印を付けた。この側がペトリ皿に上にして置かれ、光の中で、2×2ビニングおよび10 msの画像捕捉時間を使って、ソニーHX9カメラによって歯が映像化された。1mM EDTAによって準備された1%のAkucell 3625ゲル(開示したゲル)中のl mg/cm3エクオリン0.2 cm3が、自動分注器によって歯に移された。2×2ビニングの1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。
【0112】
違いは画像改変なしでも容易に見えるけれど、画像のコントラストを変更するためにImageJが使用された。これは、データをよりよく表示するために実行された。より弱い光の領域は、黒で現れ、灰色および白の領域は、光が増大する領域を示している。結果は、図13−16に示されている。
【0113】
その後、発光タンパク質分析で識別された活発な脱灰の領域が、伝統的な方法によって見えるかどうかを決定するために、歯がX線検査された。X線は損傷を監視するために使用されるけれども、図17に示すように、開示したゲルで検出された進行性の虫歯は、エックス線では見えなかった。これは、虫歯損傷の早期発見に対する、この方法の有用性を示している。
【0114】
実験H:干渉の評価
他の製品、例えばねり歯みがきによる潜在的な干渉が、検査された。なぜならば、光がこれらに呼応して生成されるならば、この分析は口の中での使用に対して問題が多いからである。
【0115】
だ液:抜かれた歯が、脱イオン水または(8人から集められた)だ液のいずれかですすがれた。開示した溶液の付加前に、光の中で、2×2ビニング、10 msの画像捕捉時間を使って、ソニーHX9カメラによって歯が映像化された。その後、脱イオン水中の1mg/mlエクオリン5 cm3が付加され(開示した溶液)、暗闇で2×2ビニングで、2分間映像化された。図18に示すように、歯は、それぞれ、だ液の中で、だ液から取り除かれて、取り除かれ脱イオン水ですすがれて、映像化された。結果は、だ液が大量のカルシウムを含んでいることを示している。しかし、もし歯が大量のだ液中にないならば、それは分析を妨げないであろう。口の中でさえ、だ液の体積は最小になるだろうし、従って、分析ではだ液は問題にならないと思われる。
【0116】
実験H2−結石
結石は、歯科治療の過程において、歯からこすり落とすことによって得られ、水に浮遊した薄片として供給された。歯肉下部のものおよび歯肉上部のもの両方が評価された。標本は、使用前に、真空雰囲気で、ミリポア膜フィルターホルダーで濾過され、脱イオン水によって洗浄された。脱イオン水中の1mg/mlエクオリン5 cm3が付加され、図19aおよび図19bに示すように、標本は、2×2ビニングで1分間、映像化された。表示を改善するためにImageJを使ってコントラストが調整され、同じ調整が両方の標本に適用された。
【0117】
元の場所での結石の効果も、検査された。脱イオン水中の1mg/mlエクオリン5 cm3が付加され、図20に示すように、標本が、2×2ビニングで2分間、映像化された。
【0118】
実験H3−レジン充填
レジン充填を有する歯が評価された。歯は、光の中で、2×2ビニングおよび10 msの画像捕捉時間を使って、ソニーHX9カメラで映像化された。1mM EDTAによって準備された1%のAkucell 3625ゲル(開示したゲル)中の1mg/cm3エクオリン0.2 cm3が、自動分注器で歯に移された。図21に示すように、2×2ビニングの1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。
【0119】
結果は、少量の光が得られたことを示すけれども、おそらく弱すぎて、分析には干渉できない。実際には、より光の弱い歯の領域は、結石の存在の兆候を提供するかもしれない。
【0120】
実験H4−ねり歯みがき
歯は、脱イオン水中の1mg/cm3エクオリン2 cm3で評価される前に、脱イオン水または、ねり歯みがきおよび脱イオン水で磨かれた。ねり歯みがきが分析に干渉しないことを示す対照区より以上に、ねり歯みがきで処理された表面からは余分な光は見られなかった(データは示されていない)。
【0121】
実験I:歯の酸蝕症と神経過敏
炭酸化された清涼飲料は、高レベルの酸を含んでおり、歯の酸蝕症の原因であることが知られており、象牙質の神経過敏を悪化させる。抜かれた歯の多くが、これらの飲み物の中で培養され、エクオリンがそれらの効果を評価するために使われた。これは、酸蝕症(および間接的には神経過敏)のための分析、または敏感な個人を識別する方法を開発する視点で着手された。
【0122】
抜かれた歯は、カルシウムを含まない純水および歯ブラシで軽く磨かれ、暗い箱の中の3 cmのペトリ皿に置かれた。昼光の画像が、CCDカメラを使って得られた。1 mg/mlエクオリン溶液5 mlが、歯の表面上にピペットで直接移された。画像が、2×2画素ビニングで2分の露出を使用して、完全な暗闇中で直ちに得られた。
【0123】
その後、歯は、コーラ、Irn Bru(登録商標)、または1%のクエン酸に10分間浸される前に、カルシウムを含まない純水ですすがれた。その後、歯は、5 mlのエクオリン溶液が付加される前に、カルシウムを含まない純水によってすすがれ、前と同じように歯が映像化された。溶液のpHも、(Hydrus 300 pH計(登録商標)によって)評価された。すべては酸性であった。コーラはpH 2.38、Irn Bru(登録商標)はpH 2.82、クエン酸はpH2.17であった。結果は、図22Aから図22C、図23Aから図23C、図24Aから図24Cに示されている。
【0124】
図22Aから図22Cは、コーラ中に10分浸したときの効果を示している。図22Aは、エクオリンを付加しない歯の昼光の画像である。図22Bは、エクオリン付加後、他の処理なしの、暗闇での歯の画像である。そして、図22Cは、エクオリンを付加し、コーラ中で10分間の培養した後の、暗闇での歯の画像である。
【0125】
図23Aから図23Cは、Irn Bru(登録商標)中に10分浸したときの効果を示している。図23Aは、エクオリンを付加しない歯の昼光の画像である。図23Bは、エクオリン付加後、他の処理なしの、暗闇での歯の画像である。そして、図23Cは、エクオリンを付加し、Irn Bru(登録商標)中で10分間の培養した後の、暗闇での歯の画像である。
【0126】
図24Aから図24Cは、1%のクエン酸中に10分浸したときの効果を示している。図24Aは、エクオリンを付加しない歯の昼光の画像である。図24Bは、エクオリン付加後、他の処理なしの、暗闇での歯の画像である。そして、図24Cは、エクオリンを付加し、1%のクエン酸中で10分間の培養した後の、暗闇での歯の画像である。
【0127】
炭酸飲料を飲むと、歯の酸蝕症を引き起こすことが知られている。ここでの結果は、糖製の炭酸飲料または酸の溶液で培養後、遊離カルシウムが歯から放出されるということを示しており、それはエクオリンで検出されうる。これは、歯根で最も顕著であった。従って、エクオリンのようなイオン感応性のタンパク質が、カルシウム放出の領域を示し、そのため、脱灰、その次に、酸蝕症または増大する神経過敏の可能性のような歯の損傷の領域を示すために使われうる。
【0128】
神経過敏の歯では、象牙質は、象牙質表面により多くの開いた細管を有し(最高8倍)、細管径はより広い。これは、例えば酸性の飲み物による脱灰に利用できるより大きな表面積を提供し、そのような製品の使用後の、より多くのカルシウムの放出ももたらすであろう。図22から図24に示すように、これは、より明るい領域として観察されるであろう。
【0129】
実験J:酸でエッチングされた歯
例えば裂け目密封剤が堅く付着されるように、歯のエッチングゲルは、歯の表面を荒くするために使用される。エッチングゲルは、局部で限定された深度でエッチングを行う酸性の調剤である。
【0130】
抜かれた歯は、カルシウムを含まない純水および歯ブラシによって軽く磨かれた。小さな(4×4 mm)ラベルが歯に適用され、ラベルの全面および周辺の歯の表面を、マニキュアで塗ることによって、適所に固定された。これは乾燥された後、ラベルが剥離され、マニキュアで取り囲まれて露出した4×4 mmの領域が得られた。これは、歯のエッチングゲル(Ultradent Products Inc)が適用される領域の境界を定めた。エッチングゲルは、綿棒によって拭き取られる前に、5分間放置され、湿った羊毛製の綿棒によってすすぎ落とされた。
【0131】
1mg/mlエクオリン溶液5 mlが、歯の表面にピペットで直接移された。画像が、2×2画素ビニングで2分の露出を使用して、完全な暗闇中で直ちに得られた。2つ目の画像が、2分の露出を使用して、そのすぐ後に得られた。結果は、図25Aから図25Cに示されている。
【0132】
図25Aから図25Cは、エクオリンの付加なしでの昼光の画像、2分の露出でのエクオリン付加後の単色画像、そして2分の連続露出でエクオリン付加後の単色画像である。残された矢はマニキュアを示し、星印はエッチングゲルが適用された領域を示す。
【0133】
エクオリンが、歯のエッチングゲルによってエッチングされた歯に付加された時、眼によって見える明るい閃光があった。2つ目の露出は、結果として最初の露出より弱い光の放射しか生じなかった。これは、ゲルが局所的な部分からのみ、カルシウムを放出することを示している。これは、光の出力が長引くように放出される僅かに「表層下の」カルシウムでの、エクオリンに対する反応、閃光、にすぐに利用可能である。
【0134】
これは、光の出力がしばらくの間続く、クエン酸で観察された効果とは違っている。図26Aから図26Dに示すように、実験Eで述べたような方法が、5分の露出で、エクオリンが追加された15分後に得られた2番目の画像で実行された。クエン酸がより広い脱灰を引き起こすようである。
【0135】
図26Aから図26Dは、1%のクエン酸中に10分間浸されたときの効果を示している。図26Aは、エクオリンの付加なしでの昼光の画像である。図26Bは、エクオリン付加後、他の処理なしの、暗闇中での歯の画像である。図26Cは、エクオリンを付加し、1%のクエン酸中で10分間培養したときの、エクオリンの付加後すぐに撮影された2分の露出の、暗闇中での歯の画像である。図26Dは、エクオリンを付加し、1%のクエン酸中で10分間培養したときの、エクオリンを付加して15分後に撮影された5分の露出の、暗闇中での歯の画像である。
【0136】
実験K:酸蝕症に対する患者の感受性の評価
異なる人々は、酸蝕症および神経過敏に対する異なる感受性を有している。歯の酸蝕症防止に影響する最も重要な要因がだ液(流量、組成、緩和処理および再鉱物化能力)であることは一般に考えられているけれど、これは、いくぶん歯のフッ素症と位置調整のような治療によることが知られている。
【0137】
開示した組成物は、患者の酸蝕症によって引き起こされた脱灰のレベルを識別するために、酸の溶液中で最初に歯をすすぐことにより使用されてもよい。これは酸蝕症に対する歯自身の感受性についての情報を提供するであろう。さらに、歯にだ液を付加した後の光の出力を再評価することによって、個々の患者のだ液の役割が測定されうる。分析は、抜かれた歯で、または口の中で実行されてもよい。
【0138】
脱灰の分析のため、歯は、光の中で、2×2ビニングおよび10 msの画像捕捉時間を使用して、ソニーHX9カメラで映像化された。1mM EDTAによって準備された1%のAkucell 3625ゲル(開示したゲル)中の1mg/cm3エクオリン0.2 cm3が、自動分注器で歯に移された。2×2ビニングの1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。ImageJが、歯冠および歯根の領域の明るさを決定するために使用された。Glowell(blue G2、96 well format)が、光の測定機器の均一性を保証するために含まれていた。重要なことには、エクオリンはpHに敏感ではなく、光の出力は広いpH範囲に渡って似通っている。抜かれた歯は、上のようにして(三組で)評価された。歯は、1%のクエン酸中で2分間培養され、取り除かれ、脱イオン水の中ですすがれ、評価され、その後、脱イオン水またはだ液のいずれかの中で30秒間培養され、その後再評価された。
【0139】
図27Aおよび図27Bは、だ液が、酸で処理されたエナメル質において、脱イオン水よりどの程度大きな防護効果を有しているのかを示している。その結果、光の出力でのより大きな減少を生じている。歯根の表面では、ほとんど違いが観察されなかった。分析の量的な性質の証拠を提供する実験Lとともに、これは、患者の歯が酸の溶液ですすがれる類似の分析、開示した脱灰溶液で評価される光の出力、および、だ液との接触後に再評価することによって決定されるだ液の保護効果が、酸蝕症に対する患者の感受性を決定するための方法を提供するであろうことを示唆している。これは、臨床診断、適切な治療の決定、および、生活様式が患者の歯にどのように影響するかの証拠の提供において、助けとなるであろう。
【0140】
実験L:食料品の酸蝕性の評価
異なる食料品は、異なるレベルの酸蝕症を引き起こすことが知られている(例えば、 Hemingway et al., British Dental Journal (2006); 201 , 439)。これは、一つには食料のpHにより、また一つにはカルシウム濃度による。例えば、炭酸化された清涼飲料は、高レベルの酸を含んでいて、歯の酸蝕症の原因であることが知られており、象牙質の神経過敏を悪化させる。
【0141】
開示した溶液および分析方法は、酸蝕症(および間接的には、神経過敏)のための分析を発展させるために使用されてもよい。これは、食料品によって引き起こされる脱灰の範囲を識別するのに使用されてもよく、それにより食物の危険要因を証明する。それは、ねり歯みがき、うがい薬、シーラント、漂白剤のような消費者製品および臨床製品の有効性を決定するために使用されてもよい。それは、それほど脱灰を起こさず、従ってより歯に親切な食料品の開発と識別にも使用されてもよい。
【0142】
神経過敏の歯では、象牙質は、象牙質表面により多くの細管の開きを有し(最高8倍)、細管径はより広い。これは、例えば酸性の飲み物による脱灰に利用可能なより大きな表面積を提供し、また、そのような製品の適用後のより多くのカルシウムの放出をももたらすであろう。これは、より明るい領域として観察されるであろう。
【0143】
歯冠および歯根の表面を区切るために、抜かれた乳歯を横切る線が、マニキュアで引かれた。抜かれた歯は、様々なpHの溶液の中で培養された。これらは、様々な希釈のクエン酸、炭酸水素ナトリウム、リン酸緩衝食塩水、または脱イオン水のいずれかであった。溶液のpHも、(Hydrus 300 pH計(登録商標)で)評価された。培養は2分間で、培養後、歯は移されて、脱イオン水の中ですすがれ、その後、評価された。歯は、光の中で、2×2ビニングで10 msの画像捕捉時間を使用して、ソニーHX9カメラで映像化された。1%のAkucell 3625ゲル(開示したゲル)中の1mg/cm3エクオリン0.2cm3が、1mM EDTAによって準備され、自動分注器によって歯に移された。2×2ビニングを有する1分の画像が、暗闇の中ですぐに撮影された。歯冠および歯根の領域の明るさを決定するために、ImageJが使用された。Glowell(blue G2、96 well format)が、光の測定機器の均一性を保証するために含まれていた。実験は、3組で実行され、平均が示されている。
【0144】
図28は、明るさにより測定され、pHの異なる溶液が異なるレベルの脱灰をもたらすことを示しており、よりpHの低い溶液がより多くの脱灰(より明るい)を生成していることを示している。図28に示すように、歯根は、歯冠より感受性が強く、pH4でより脱灰が多い。これは、入手可能な文献と良く一致している。それらは、エナメル質は臨界pH5.5で脱灰する一方、エナメル質で保護されない歯根組織は臨界pH6.2で脱灰するということを指摘している、この実験は、分析が量的で、酸蝕症に起因する脱灰を評価するのに使用可能であることを示している。イオン放出による脱灰を識別する開示したゲルまたは溶液は、酸蝕症または増大する神経過敏の可能性のような歯の損害を指摘するために使用可能である。
【0145】
図29は、歯の脱灰に対する食料品の効果が、この開示した組成物および分析方法を使って、どのように決定されるのかを示している。分析方法は、上で述べたものと同様である。結果は、食料のpHが歯に大きな影響を有していることを示している。再び、歯根の表面がpHに影響され易いようである。結果は、食物のpHに依存しているだけでなく、他の要因が関係しているようである。そのため、ダイエット飲料のcoca cola(登録商標)およびribena really light(登録商標)は、それらのpHから予期されるより弱い光を発生した。
【0146】
このような分析で使われるときにイオン放出による脱灰を識別する開示したゲルまたは溶液は、異なる食料品の歯に対する危険要因を決定するため、または、新しい食料品、消費者製品および、ねり歯みがき、うがい薬、シーラント、漂白剤のような臨床製品の開発の道具として、使用可能である。実験Gに示すようなだ液洗浄を組み込むなど、他の手順の付加も、口内の状態を模倣するのに有効だろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離イオン存在の光信号特性を生成可能な複合体を含む医薬組成物。
【請求項2】
遊離イオン存在の光信号特性を生成可能な複合体を含む、活発な虫歯および/または酸蝕症による活発な歯の脱灰を見つけるために使用される組成物。
【請求項3】
前記複合体は染料、EDTAレポーター複合体のような合成イオンキレート剤、または、クラウンエーテルレポーター複合体、タンパク質もしくはタンパク質レポーター複合体、分子認識ポリマーレポーター複合体もしくは分子プローブのような大員環である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
検出される少なくとも一つのイオンは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、炭酸イオン、カリウムイオン、ストロンチウムイオン、フッ化物イオン、銅イオン、塩化物イオン、亜鉛イオン、鉛イオン、スズイオン、鉄イオン、または、エナメリンのような有機物質の群から選ばれる、請求項1または2記載の組成物。
【請求項5】
さらに医薬的に許容される添加剤を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項6】
前記添加剤は治療的に活性な薬剤である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記活性な薬剤は殺菌性または静菌性の薬剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
さらに医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記賦形剤は風味または着色添加剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項10】
医薬的に許容される剤形の中にある、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
液体、粉末、成形物またはゲルである、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
約1ng/ml乃至約10mg/mlの複合体、または、十分に高いSN比を与える濃縮物を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記複合体はタンパク質またはタンパク質複合体である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記タンパク質またはタンパク質複合体は、生成される光信号に結びつく遊離イオンを結合したとき構造変化を受ける、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記タンパク質またはタンパク質複合体は、エクオリン、オベリン、クリチン、ミトロコミン、ハリスタウリン、ピアリディン、ムネミオプシン、シンプレクチン、ジーアール−ボリノプシン、カゼイン、カルゼクエストリン、カレックスサイチン、システインプロテアーゼに結合したカルシウム、カルモデュリンおよび他のEFハンドタンパク質、ベロビン、またはそれらの混合物を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記タンパク質またはタンパク質複合体は、蛍光性のタンパク質のタンデム融解物、カルモデュリンおよびカルモデュリン結合ペプチド(M13)を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
前記複合体はイオンの存在を示す特有の波長で蛍光を発する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
遊離イオンを結合したとき光信号を生成する複合体、および遊離イオンの存在を示す特有の波長で蛍光を発する複合体の両方を含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記タンパク質またはタンパク質複合体は、前記信号を強めるために、またはその放射スペクトルを変更するために改変されている、請求項13記載の組成物。
【請求項20】
前記タンパク質またはタンパク質複合体の前記改変は、アセチル化、エトキシカルボニル化、フルオレスカミン改変もしくはフルオレセイン識別により、またはキメラタンパク質の創作により、遺伝子のDNA配列を変更することを通じて成される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記タンパク質またはタンパク質複合体は、組換えタンパク質を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項22】
光学的に透明である、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記光信号は、分光光度計、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体 CMOS、デジタルカメラ、インテンシファイドカメラ、口腔内カメラ、ビデオスコープ、写真用フィルム、光ファイバー装置、光度検出器、光電子増倍管、微小電気機械システム(MEMS)、または目視により検出される、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
虫歯の検出に使用する調薬を製造するための、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の組成物の使用方法。
【請求項25】
活発な虫歯と不活発な虫歯との識別に使用する調薬の製造における、請求項24記載の組成物の使用方法。
【請求項25】
酸蝕症による歯の脱灰の検出に使用する調薬を製造するための、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の組成物の使用方法。
【請求項26】
象牙質の神経過敏に関連する象牙質の脱灰の場所を検出する調薬を製造するための、
請求項1乃至23のいずれか1項に記載の組成物の使用方法。
【請求項27】
歯を請求項1乃至23のいずれか1項に記載の組成物に触れさせる工程と、その結果として生じる信号を検出する工程とを含む、歯の脱灰の検出方法。
【請求項28】
詳細な部位の同定を可能にするために、前記歯または歯の模型の部位に印を付ける工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記組成物に触れさせる前に、前記歯を感光液に触れさせる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記感光液は酸性の溶液を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記感光液は糖を含有する溶液を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記感光液の適用と請求項1乃至23のいずれか1項に記載の前記検出組成物の適用との間に、所定の時間が経過するのを許す、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記所定の時間は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29または30秒である請求項33記載の方法。
【請求項34】
検出は、分光光度計、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体 CMOS、デジタルカメラ、インテンシファイドカメラ、口腔内カメラ、ビデオスコープ、写真用フィルム、光ファイバー装置、光度検出器、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、感光アレイ、微小電気機械システム(MEMS)、または目視によって実施される、請求項24乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
a)イオン感受性の複合体を含有する請求項1乃至23のいずれか1項に記載の組成物、
b)前記組成物を適用する手段、および
c)検出装置
を含む、脱灰を検出するのに使用されるキット。
【請求項36】
酸性の、または糖を含有する感光液をさらに含む、請求項35記載のキット。
【請求項37】
歯または歯の模型の関心のある領域に印を付けるための格子のような目印をさらに含んでいる、請求項35記載のキット。


【図4】
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【図5】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2010−529415(P2010−529415A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542225(P2009−542225)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004944
【国際公開番号】WO2008/075081
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(505277602)ラックス イノベート リミテッド (3)
【出願人】(509176363)ユニバーシティー・コート・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・ダンディー (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY COURT OF THE UNIVERSITY OF DUNDEE
【Fターム(参考)】