説明

脱着式輸送用コンテナ

【課題】 輸送用コンテナの脱着容易性を高める。
【解決手段】脱着式輸送用コンテナ1は、コンテナ脱着装置付き自動車100に脱着され、底板2の下面2aに長手方向に設けた一対のガイドレール3a,3bと、一対のガイドレール3a,3bの後端部にそれぞれ設けられ、リフトバー40,41を設けた左右一対の牽引装置4a,4bを備え、牽引装置4a,4bに掛止部材5を掛け止めし、コンテナ脱着装置付き自動車100のアーム101に設けたフック102で掛止部材5を持ち上げ牽引することにより後退される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ脱着装置付き自動車に脱着する脱着式輸送用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ脱着装置付き自動車に脱着される特許文献1、2に記載のコンテナが開発されている。
【0003】
このコンテナは、コンテナ脱着装置付き自動車に脱着されるように、前壁上部に掛合部、底面前部に脚、底面後部に車輪、後部に開閉扉を備え、前方からコンテナを吊り上げてコンテナ脱着装置付き自動車に装着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142905号公報
【特許文献2】特開2002−347883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、輸送用コンテナの保管場所が狭小な場合、コンテナ脱着装置付き自動車から積み降ろされたコンテナは、リフトで輸送用コンテナを壁面や地所境界に寄せて保管することも多々ある。そのため、輸送用コンテナの脱着に際して、輸送用コンテナをリフトでいちいち移動させてから、コンテナ脱着装置付き自動車へ脱着しなければならず、脱着効率が悪く、作業性が劣るといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、輸送用コンテナの脱着効率を高め作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本願発明は請求項1に記載の通り、コンテナ脱着装置付き自動車100(図6参照)に脱着される脱着式輸送用コンテナ1において、底板2の下面2aに長手方向に設けた一対のガイドレール3a,3bと、後端下部に設けられ、リフトバー40,41を設けた左右一対の牽引装置4a,4bを備え、牽引装置4a,4bに掛止部材5を掛け止めし、コンテナ脱着装置付き自動車100のアーム101に設けたフック102で掛止部材5を持ち上げ牽引することにより、後退されることを特徴とするものである。牽引装置4a、4bは一対のガイドレール3a,3bに設けられることが好ましい。
【0008】
コンテナ1の形状は方形が好ましいが、その他の形状でも良い。また、上部の開放されたもの、上部の閉じたもの、開閉蓋の付いたもの等、各種のものが挙げられる。また、掛合部7は、コンテナ脱着装置付き自動車100のアーム101のフック102を掛けるもののほか、ワイヤを繋着できる繋着部等でもよく、コンテナ脱着装置付き自動車100のフックやワイヤ等に対して係脱自在にできる構造を備えたものが好適である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、輸送用コンテナの牽引装置に掛止部材を引っ掛けて、掛止部材をコンテナ脱着装置付き自動車のフックで引っ掛けて、掛合部にフックを引っ掛けられる位置まで、後退させることにより、狭小な場所でもリフトを要せずに、コンテナ脱着装置付き自動車に装着できる。したがって、輸送用コンテナの脱着効率が高まり作業性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は本発明実施形態の輸送用コンテナの正面図、(b)は同平面図である。
【図2】同輸送用コンテナの底面図である。
【図3】(a)は同輸送用コンテナの右側面図、(b)は同左側面図である。
【図4】(a)は図2のA−A断面図、(b)は図2のB−B断面図、(c)は図2(b)のC−C断面図である。
【図5】同輸送コンテナの前扉及び後扉が開放された状態を示す平面図である。
【図6】(a)は牽引装置の平面図、(b)掛止部材の下部の部分正面図である。
【図7】同輸送用コンテナの前部がコンテナ脱着装置付き自動車に装着される様子を示す説明図である。
【図8】同輸送用コンテナの後部がコンテナ脱着装置付き自動車に吊り上げられて牽引される様子を示す説明図である。
【図9】同輸送用コンテナの牽引装置に掛止部材が掛け止めされる様子を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な一実施形態である輸送用コンテナ1について図面を参照して説明する。
【0012】
脱着式輸送用コンテナ1(以下、コンテナ1という)は、図1〜図8に示す通り、底板2の下面2aに長手方向に設けた一対のガイドレール3a,3bと、この一対のガイドレール3a,3bの後端部にそれぞれ設けられ、リフトバー40,41を設けた左右一対の牽引装置4a,4bを備え、図7に示す通り、牽引装置4a,4bに掛止部材5を掛け止めし、コンテナ脱着装置付き自動車100のアーム101に設けたフック102で掛止部材5を持ち上げ牽引することにより、後退されることを特徴とする。また、図8に示す通り、コンテナ1はコンテナ脱着装置付き自動車100に脱着されるものである。
【0013】
また、コンテナ1は、前部の上部の横方向に設けた前板6に形成され、コンテナ脱着装置付き自動車100のフック102に掛け留めされる掛合部7と、前板6の下部に形成された観音開き構造の前扉8aと、後部に設けた観音開き構造の後扉8bと、コンテナ脱着装置付き自動車100のロック装置(図示略)にロックされる、底板2の下面2aに形成されたピン9と、底板2の前部と後部の下面2aにそれぞれ設けた1対の前輪10a,10bと、一対の後輪10c,10dとを備えている。コンテナ1は、コンテナ脱着装置付き自動車100に前方向から脱着され、ピン9がロック装置103にロックされる脱着式輸送用コンテナ1である。また、コンテナ1は底板2から立設された一対の側壁11a,11bと、を備えており、自動車100からコンテナ1を降ろしたり積載したりする場合に、コンテナ1を円滑にガイドすることができる。なお、図1(a)に示す通り、後扉8bが開いたときに係留する係留装置12が設けてある。以下、詳細に説明する。
【0014】
牽引装置4a(4b)は図3、図6、図9等に示す通り、ガイドレール3a(3b)から延び出し、所定間隙を置いて設けた長手方向に平行に設けた一対の板材40,41と、板材40,40に直交して固定されるリフトバー42と、板材40,41を連結する補強板43と、板材40,41とリフトバー42と、補強板43とに囲まれるようにして形成される貫通穴44と、を備えたものである。ガイドレール3a,3bと一体に設けてあるが一体でなくても良い。
【0015】
掛止部材5は図6(b)、図9等に示す通り、ナイロン製などのスリング50の中間部に取りつけられたリング部材51と、スリングの両端にそれぞれ取り付けられた一対のフック部材52と、を備えたものである。このフック部材52がリフトバー42に掛けとめされ、リング部材51にフック101が掛けとめされることで、コンテナ脱着装置付き自動車100がコンテナ1を牽引することができる。
【0016】
前板6は側壁11a,11bの前端部上部の間に横架され端部同士が固定されているが、一端をヒンジで結合し、開閉可能とし、さらに他端がロックできるようにしてもよい。
【0017】
掛合部7は、吊上フック102を掛け止めできるようなリフトバー7aと、リフトバー7aの両端部を固定する所定間隙を設けた長手方向に延び出す一対の板材7b,7cと、を備えたものであるが、吊上フック102を掛止できるような構造であれば、種々なる態様で実施が可能である。掛合部7を後扉8bの上方に設けてもよい(左右対称形にしてもよい)。後方から脱着できるようにしてもよい。
【0018】
前扉8aと後扉8bは観音開き式構造を備え、図3、図9に示す通り、それぞれ、ロック80,81,82を備えている。観音開き式に限らず片開き式扉でも良い。前扉8aを備えているので、後扉8bが開放できないような場所では前扉8aから内容物を排出できるので、作業効率が高くなる。なお、観音開き式構造に代えて、片開き構造としてもよい。また、前扉8aをなくして前壁に代えてもよい。
【0019】
ピン9は、図2に示す通り、コンテナ1の長手方向と直交する支持板90から長手方向に延び出している。
【0020】
車輪10a,10b,10c,10dは、図2に示す通り、底板2の両端部の板2c,2dの下面に左右対称形に形成されることが好ましい。
【0021】
コンテナ脱着装置付き自動車100のロック装置(図示略)はコンテナ1のピン9を固定及び固定解除するものであり、その詳細は、たとえば、特開2007−223367号公報等を参照されたい。
【0022】
図7のコンテナ脱着装置付き自動車100の詳細構造は公知であり、たとえば特開2007−223367号公報等を参照されたい。
【0023】
コンテナ1の使用方法を説明する。建物200にコンテナ1を近接して駐車してある場合で、コンテナ1をコンテナ脱着装置付き自動車100に積み込みたい場合は、図9に示す通り、吊上フック102の先端を、牽引装置4a,4bに取付けた掛止部材5に掛け止めし、図8に示す通り、後輪10bを地面から浮き上がらせ、その状態から、コンテナ脱着装置付き自動車100を前進させることにより、コンテナ1を後退させる。この掛止部材5は、例えば、ナイロンスリング5aの中央部にマスターリング5bを形成したものが上げられる。そして、建物200からコンテナ100が充分離れたところで、掛止部材5をフック102から解除して離脱させ、このフック102を掛合部7に引っ掛け、図7に示す通り、コンテナ脱着装置付き自動車100へのコンテナ1の積み下ろしを実行する。コンテナ脱着装置付き自動車100からのコンテナ1の積み降ろしを実行するときにも、前述と逆の手順で、建物200の近傍にコンテナ1を駐車できる。このとき、車輪10a〜10dの働きで、コンテナ1の円滑な運動を確保し、作業効率を高める。なお、コンテナ1をコンテナ脱着装置付き自動車100に装着する場合、ピン9を前記自動車100のロック装置(図示略)にロックする。
【0024】
以上の通り、本実施形態によれば、輸送用コンテナ1の牽引装置4a,4bに掛止部材5を引っ掛けて、掛止部材5をコンテナ脱着装置付き自動車100のフック102で引っ掛けて、掛合部7にフック102を引っ掛けられる位置まで、後退させることにより、狭小な場所でもリフトを要せずに、コンテナ脱着装置付き自動車100に装着できる。したがって、輸送用コンテナ1の脱着効率が高まり作業性が格段に向上する。また前後のいずれの方向からでも前扉8a又は後扉8bから内容物を排出することができる。さらにガイドレール3a,3bの後端部に牽引装置4a、4bを固設し一体に設けると、強度も十分となる。
【0025】
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定するものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができ、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得る。例えば、前扉8aを片開きとして、前板6とそれぞれ一体化させ、1枚扉構造として、掛合部7とともに開閉できるようにしてもよい。前扉8a及び/又は後扉8bが上下に分割されたものでもよい。なお、前扉8aがないものでも適用できる。後扉8bの高さを短縮し、上部に後板を設け、後板に掛合部7を設けても良い。すなわち、コンテナ1を前後いずれの方向からもコンテナ脱着装置付き自動車1に脱着できるようにしてもよい。掛止部材5はスリングを備えたものとしたが、チェーンなどでもよい。
【符号の説明】
【0026】
1・・・脱着式輸送用コンテナ
2・・・底板
2a・・・下面
100・・・脱着装置付き自動車
101・・・アーム
102・・・フック
4a,4b・・・牽引装置
5・・・掛止部材
6・・・前板
7・・・掛合部
8a,8b・・・前扉,後扉
9・・・ピン
10a,10b,10c,10d・・・車輪
11a,11b・・・側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ脱着装置付き自動車に脱着される脱着式輸送用コンテナにおいて、
底板の下面に長手方向に設けた一対のガイドレールと、
後端下部に設けられ、リフトバーを設けた左右一対の牽引装置を備え、
該牽引装置に掛止部材を掛け止めし、コンテナ脱着装置付き自動車のアームに設けたフックで前記掛止部材を持ち上げ牽引することにより、後退されることを特徴とする脱着式輸送用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−20661(P2011−20661A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181126(P2009−181126)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(399016695)株式会社瑞穂 (13)
【Fターム(参考)】