説明

脱着装置、表示変更装置、並びに、投薬システム

【課題】 被搬送物に装着されているカードを好適に脱着可能な脱着装置と、当該脱着装置を備えた表示変更装置、並びに、当該脱着装置を備えた投薬システムの提供を目的とする。
【解決手段】 表示変更装置1は、脱着装置2とカード表示変更装置3とを接続して一体化したものである。カード着脱装置1は、背面側に受圧壁23eを有し、これよりもさらに背面側に位置調整機構部100を設けた構成とされている。位置調整機構部100は、座部101と移動部102と駆動部103とを備えた構成とされている。位置調整機構部100は、偏心カム112によりカード着脱装置1を突き動かす構成とされている。位置調整機構部100は、偏心カム112が受ける反作用力Frが、移動部102を受圧壁23e側に引き寄せる力Faよりも大きくなることを条件として偏心カム112が受圧壁23eから遠ざかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物の側面に装着されたカードを脱着する脱着装置、並びに、当該脱着装置を備えた表示変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているように、処方箋の指示に従って患者毎に用意された所定のトレイに薬剤や医療材料等を集めてひとまとめにし、患者に投薬可能な投薬システムが病院や調剤薬局等の医療施設で採用されている。
【0003】
上記したような投薬システムでは、多数の患者に対する処方が一度に行われるため、トレイと患者の対応関係を正確に判別可能としておく必要がある。そのため、下記特許文献1に開示されている投薬システムでは、各トレイに対して割り当てられた患者や、トレイに収容されている薬剤の情報をリライトカードと称されるカードに記し、このカードをトレイの側面に設けられたカード保持部材に取り付ける構成を採用している。
【0004】
下記特許文献1に開示されている投薬システムは、トレイの側面に取り付けられたカードを一旦取り外し、書込装置に送ってカードに記されている情報の表示変更を行った後、このカードをトレイに戻すことが可能な表示変更装置を備えている。この投薬システムは、所定のコンベア上を流れるトレイが表示変更装置に隣接する位置に到来した際に表示変更装置を所定の角度で傾け、当接部分と称される部位に設けられたローラをトレイの側面に近接させると共に、このローラをモータ等の動力を用いて回転させることにより、ローラとカードとの間に発生する摩擦力を利用してカードをカード保持部材に対して脱着し、カードの書換を行う構成とされている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−165865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような投薬システムにおいて使用されているトレイは、樹脂等で成形されることが多く、大きさや成型精度のバラツキが発生することがあった。また、トレイは薬剤を収容するものに過ぎないため、当該投薬システム用に作製されたトレイと大まかな形状は類似するものの、側面の角度等が微妙に異なる規格外のトレイも使用されることがあった。
【0007】
ここで、上記特許文献1に開示されている表示変更装置は、トレイに状態で当接部分に設けられたローラを回動させ、ローラとカードとの間に発生する摩擦力を利用してカードの脱着を行うものである。そのため、カードとローラとの間隔や、カードに対するローラの当たり方がごく僅かに変わってもカードに対してうまく動力が伝わらなかったり、カードに対して過度に大きな外力が作用する可能性がある。従って、上記特許文献1に開示されている表示変更装置を採用した場合は、サイズや形状が所定の規格の範囲から外れたトレイを使用すると、カードの脱着不良が起こったり、カードやローラが摩耗してしまう可能性があった。
【0008】
そこで、上記した問題に鑑み、本発明は、被搬送物に装着されているカードを好適に脱着可能な脱着装置と、当該脱着装置を備えた表示変更装置、並びに、当該脱着装置を備えた投薬システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した問題に鑑みて提供される請求項1に記載の発明は、被搬送物の側面に設けられた装着部に装着されたカードを脱着する脱着手段と、当該脱着手段を被搬送物に対して近接あるいは離反する方向に移動させる移動手段とを有し、前記脱着手段は、被搬送物の側面に対向するヘッド部を有し、当該ヘッド部が被搬送物に対して近接離反可能なように支持されており、前記移動手段は、被搬送物に向けて脱着手段を押圧可能な押圧部材を有し、当該押圧部材が脱着手段を押圧することにより押圧部材に作用する反作用力が所定の大きさを越えることを条件として、押圧手段が脱着手段を押圧した状態を維持しつつ脱着手段から離反する方向に移動することを特徴とする脱着装置である。
【0010】
かかる構成によれば、形状や大きさが想定されているものと多少異なる被搬送物が採用された場合であっても、被搬送物とヘッド部との位置関係を一定の範囲内に納めることができ、ヘッド部によってカードが過度に押圧されるのを防止できる。そのため、本発明の脱着装置は、被搬送物のサイズや形状等のバラツキに対して幅広く対応でき、サイズや形状が多少異なる被搬送物が供給されても、当該被搬送物に対するカードの脱着不良や、カードやヘッド部の摩耗が殆ど起こらない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、移動手段が、所定位置に固定される座部と、当該座部に対して移動自在に装着された移動部と、駆動部とを有し、前記移動部が、脱着手段に対して近接あるいは離反する方向に移動可能であり、脱着手段に対して近接する方向に付勢されたものであり、駆動部が、前記移動部に取り付けられた駆動源と、当該駆動源から動力を受けて偏心回転する押圧部材とを有し、当該押圧部材の外周部が脱着手段に対向するように配されていることを特徴とする請求項1に記載の脱着装置である。
【0012】
本発明の脱着装置は、押圧部材が偏心回転に伴って、脱着手段が被搬送物側に対して近接または離反し、脱着手段が被搬送物に当接した状態となる。そして、押圧手段に対して作用する反作用力が大きくなると、押圧手段が脱着手段を押圧した状態を維持しつつ、移動部に取り付けられた押圧手段が移動部と共に脱着手段から離反する。そのため、本発明の脱着装置によれば、カードヘッド部によってカードが過度に押圧されるのを防止できる。従って、本発明の脱着装置は、適度な押圧力でカードに接触でき、サイズや形状の面において多少バラツキがある被搬送物が供給されても、カードの脱着不良や、カードやヘッド部の摩耗が殆ど起こらない。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ヘッド部がカードに対して面接触することによりカードを所定方向に送るカード移動手段を有するものであり、当該カード移動手段と被搬送物との間隔を調整可能な間隔調整手段を具備していることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱着装置である。
【0014】
本発明の脱着装置は、被搬送物に対してヘッド部を近接させた状態でカードを脱着するものである。そのため、カードを被搬送物から一旦取り外し、再度被搬送物に装着する一連の動作を行う場合、この動作をスムーズに行うためには、脱着装置は、被搬送物からカードを取り外してからカードをするまでの間、被搬送物に近接したままの姿勢を維持して待機しておくことが望ましい。その反面、カードを被搬送物に対して脱着する場合は、カード脱着手段とヘッド部との間隔が極めて狭いため、カードの装着を待つ待機中にヘッド部に設けられたカード移動手段が被搬送物と擦れあい、カード脱着手段や被搬送物が摩耗してしまう可能性がある。
【0015】
しかし、本発明の脱着装置は、間隔調整手段を具備しており、カード移動手段と被搬送物との間隔を調整できる。そのため、本発明の脱着装置は、カードの脱着動作時にカード移動手段と被搬送物との間隔を狭くすることによりカードの脱着に適した間隔に調整でき、カードを的確に脱着できる。さらに、本発明の脱着装置は、カードの脱着に備えて待機している間にカード移動手段と被搬送物との間隔を広くすることによりカード脱着手段や被搬送物を摩耗から保護することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、ヘッド部がカードに対して面接触することによりカードを所定方向に送るカード移動手段を有し、カード移動手段がヘッド部に対して揺動可能に支持されており、被搬送物の側面に沿うように姿勢変形可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の脱着装置である。
【0017】
本発明の脱着装置は、カードに対して面接触してカードを所定方向に送るカード移動手段を有するが、カード移動手段がカードに対してきちんと面接触しないとカードに対して動力がうまく伝わらず、カードをスムーズに送れなかったり、カードの送り方向がずれてしまうことが懸念される。また、カード移動手段がカードに対してきちんと面接触しないとカード移動手段やカードの一部のみに力が偏在して作用し、カード移動手段やカードの一部のみが集中的に摩耗してしまう可能性がある。
【0018】
かかる知見に基づき、本発明の脱着装置では、カード移動手段がヘッド部に対して揺動可能な構成とされている。そのため、本発明の脱着装置では、カード移動手段がカードに対してきちんと面接触する。従って、本発明の脱着装置によれば、カードを所定方向にスムーズに送ることができると共に、カード移動手段やカードの一部が集中的に摩耗するのを防止できる。
【0019】
また、同様の知見に基づいて提供される請求項5に記載の発明は、脱着手段が被搬送物に対して揺動可能に支持されており、被搬送物の側面に沿うように姿勢変形可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の脱着装置である。
【0020】
本発明の脱着装置は、脱着装置自体が被搬送物に対して揺動可能な構成とされている。そのため、本発明の脱着装置では、ヘッド部がカードに対してきちんと面接触し、カードを所定方向にスムーズに送ることができると共に、カード移動手段やカードの一部が集中的に摩耗するのを防止できる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、脱着手段が、ヘッド部との間でカードの送り戻しを行うカード通路を有し、当該カード通路が、カードに対して直接的あるいは間接的に接触することによりカードをカード通路の延伸方向に沿って送り戻し可能なカード送り手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の脱着装置である。
【0022】
かかる構成によれば、カード通路内に送り込まれたカードを確実かつスムーズに所定方向に送ることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、カードを装着する装着部が一又は複数の側面に形成されており、当該側面に沿って所定の脱着方向にカードをスライドさせることにより装着部に対してカードを抜き差し可能な差込口と、当該差込口の一部又は全部を閉止する閉止部材とを備え、常時は閉止部材によって差込口が閉成されており、側面の外側から内側に向けて押圧することにより差込口を開成可能な被搬送物に対してカードを脱着するために使用されるものであり、脱着手段が、脱着側が被搬送物の側面に近接することにより前記閉止部材を押圧し、差込口を開成する解除手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の脱着装置である。
【0024】
かかる構成によれば、脱着手段を被搬送物の側面に近接させて解除手段を被搬送物の閉止部材を押圧するだけで被搬送物の差込口を開き、カードを脱着可能な状態とすることができる。従って、本発明によれば、カードの脱着を容易かつスムーズに行える脱着装置を提供できる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、カードに所定の情報を書き込む書込手段と、請求項1乃至7のいずれかに記載の脱着装置とを有し、当該脱着装置が、書き込み手段との間でカードの受け渡しが可能なように接続されていることを特徴とする表示変更装置である。
【0026】
かかる構成によれば、カードの脱着と当該カードへの所定の情報の書込動作とにより構成される一連の動作をスムーズに行える。
【0027】
請求項9に記載の発明は、被搬送物の側面に設けられた装着部に装着されたカードの表示情報を変更可能な表示変更手段と、当該書込手段を被搬送物に対して近接あるいは離反する方向に移動させる移動手段とを有し、前記表示変更手段が、被搬送物の側面に対向する表示変更ヘッド部を有し、当該表示変更ヘッド部が被搬送物に対して近接離反可能なように支持されており、前記移動手段が、被搬送物に向けて脱着手段を押圧可能な押圧部材を有し、当該押圧部材が脱着手段を押圧することにより押圧部材に作用する反作用力が所定の大きさを越えることを条件として、押圧手段が脱着手段を押圧した状態を維持しつつ脱着手段から離反する方向に移動することを特徴とする表示変更装置である。
【0028】
かかる構成によれば、形状や大きさが想定されているものと多少異なる被搬送物が採用された場合であっても、被搬送物とヘッド部との位置関係を一定の範囲内に納めることができ、表示変更ヘッド部によってカードや被搬送物が過度に押圧されるのを防止できる。そのため、本発明の表示変更装置は、被搬送物のサイズや形状等のバラツキに対して幅広く対応でき、サイズや形状が多少異なる被搬送物が供給されても、当該被搬送物に対するカードの表示情報の変更不良や、カードや表示変更ヘッド部の摩耗が殆ど起こらない。
【0029】
上記請求項9に記載の表示変更装置において、表示変更ヘッド部は、表示変更手段に対してカードを相対移動させることにより当該カードの表示情報を変更可能なものであってもよい。(請求項10)
【0030】
請求項11に記載の発明は、カードがリライトカードであり、書込手段によって情報の消去および書込を行うことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の表示変更装置である。
【0031】
本発明では、カードとしてリライトカードが採用され、書込手段でリライトカードの表示変更を行える。そのため、本発明によれば、カードを繰り返し使用でき、表示変更装置を採用した機器類のランニングコストを抑制することができる。
【0032】
また、請求項8乃至10のいずれかに記載の表示変更装置において、カードは所定の情報あるいは当該情報を含むデータを受信して表示するものであり、表示変更手段は、カードに対して所定の情報あるいは当該情報を含むデータを送信可能な送信手段を備えたものであってもよい。(請求項12)
【0033】
請求項13に記載の発明は、薬剤を収容可能な被搬送物を供給する被搬送物供給手段と、当該被搬送物供給手段から供給された被搬送物に対して所定の薬剤を供給する薬剤供給手段と、請求項8乃至12のいずれかに記載の表示変更装置とを備えており、当該表示変更装置により被搬送物に装着されているカードの脱着動作と、当該カードに所定の情報を書き込む書込動作とを行えることを特徴とする投薬システムである。
【0034】
かかる構成によれば、サイズや形状等が多少所定の規格に対してバラツキがある被搬送物に対してもカードの脱着や書込を的確に行える投薬システムを提供できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、サイズや形状が多少異なる被搬送物が供給されても、当該被搬送物に対するカードの脱着不良や、カードやローラの摩耗が殆ど起こさない脱着装置を提供できる。また、本発明によれば、カードの脱着および当該カードへの所定の情報の書込動作等の一連の動作をスムーズに行える表示変更装置を提供できる。さらに、本発明によれば、サイズや形状等が多少所定の規格に対してバラツキがある被搬送物に対してもカードの脱着や、所定の情報の書込を的確に行える投薬システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
続いて、本発明の一実施形態である脱着装置と、これを備えたカード表示変更装置とについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は表示変更装置である。表示変更装置1は、隣接する位置に配されたトレイ10(被搬送物)に装着されているカード13を取り外し、このカード13に記されている情報を書き換えた後、トレイ10側に戻す装置である。
【0037】
ここで、本実施形態において採用されているトレイ10は、樹脂等により成型され、図4に示すように天面側に開口を有する箱形の容器である。トレイ10は、側面11と、これに対向する側面12にカード13を収容する装着部14を有し、側面11側あるいは側面12側のいずれか一方(図4では側面11側)の装着部14にカード13が収容されている。装着部14は、側面11又は側面12に沿ってカード13をスライドさせることによりカード13を抜き差し可能なように溝14aと差込口14bとを設けた構成とされている。溝14aは、図4に示すように側面11,12を正面視した際に装着部14の上下及び右側に隣接する位置を取り囲むように設けられ、側面11,12との間に形成されたカード13が納まる程度のスリット状の隙間である。差込口14bは、図4(a)のように側面11,12を正面視した際に装着部14の左側に隣接する位置に形成されており、上下方向に伸びるスリット状の開口である。
【0038】
差込口14bの外側、すなわち図4(a)に示す姿勢において差込口14bの左方に隣接する位置には、突出部17(閉止部材)が設けられている。突出部17は、図5に示すように差込口14bの上下方向略中央部を頂部としてトレイ10の外側に向けて山形に突出した部分である。突出部17は、常時は突出部分が差込口14bの開口領域に隣接する位置にあり、装着部14に収容されているカード13が差込口14bから脱落するのを防止するためのものである。突出部17は、図5に矢印Fで示すようにトレイ10の外側から内側に向かう方向に押圧することによりトレイ10の内側に向けて撓み、差込口14bを介してカード13が出入りするのを許す。
【0039】
また、カード13には、一般的に「リライトカード」と称されるものが採用されている。ここで、リライトカードとは、所定の書換装置を用いることにより文字情報や図形情報、バーコード等のような所望の情報を記録面に記録でき、数百回にわたって表示変更可能なものである。リライトカードには、一般的にロイコ式と称されるものと白濁式と称されるものとがあり、いずれも特定の温度を加えると文字を書いたり消したりすることができるものである。ロイコ式のリライトカードは、記録面を構成するロイコ染料と顕色剤とが反応することにより所定の情報を表示できるものである。また、白濁式のリライトカードは、記録面が反射層の上に、透明な機能層を設け、さらにその上に保護層を設けた構成のものである。ロイコ式のリライトカードは、機能層が高分子のバインダーとその中に分散された高級脂肪酸等の低分子物質から構成されたものであり、熱の加え方によって機能層を構成するバインダー中における低分子物質の集合状態が変化し、空隙が少ない状態と多い状態に変化するものである。ロイコ式カードは、機能層のうち空隙が多い部分を光が通過すると乱反射を起こして白く濁って見え、透明部分と白濁部分のコントラストで所定の情報(画像)が表示される。本実施形態では、カード13としてロイコ式のリライトカードが採用されている。
【0040】
カード13には、例えば図4に示すようにトレイ10に割り当てられた患者がいる病棟名13aや病室名13b、投薬の実施日13c、患者の氏名13dやふりがな13e、ID番号13fに加えて、カード13の書換回数13g等を記すことができる。また、カード13には、バーコード13hや二次元バーコード等を利用して、前記した各種の情報や、患者の性別、年齢、住所、電話番号、保険証番号、投薬歴、病歴、病状、身長、体重、処方箋、注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等、適宜のデータを記録することができる。
【0041】
表示変更装置1は、図2に示すようにベルトコンベアやローラコンベア等の従来公知の搬送装置15aに沿うように配されている。表示変更装置1は、大別して脱着装置2(着脱手段)と、カード表示変更装置3(書込手段)とに大別される。脱着装置2は、トレイ10(被搬送物)の側面11あるいは側面12に対してカード13を脱着する脱着動作を行う部分である。また、カード表示変更装置3は、脱着装置2に接続されており、脱着装置2から送られてきたカード13の表示面に表示されている情報の消去や、新たな情報の書込を行う表示変更動作を行う装置である。表示変更装置1は、トレイ10の側面11あるいは側面12からカード13を取り外し、このカード13をカード表示変更装置3に送り込んで表示変更動作を行い、表示変更動作が終わったカード13を再度トレイ10の側面11あるいは側面12に戻すという一連の動作を行う。
【0042】
脱着装置2は、図2に示すように箱形で、搬送装置15a側が開口したケース20の内部に脱着装置2と表示変更装置3とを連結した状態で収容されている。脱着装置2は、図1等に示すように本体部25と位置調整機構部100(移動手段)とに大別される。また、本体部25は、ヘッド部21およびカード送り部22と、これらの駆動源として機能する駆動部24とに大別される。ヘッド部21は、トレイ10の側面11,12に設けられた装着部14に対してカード13を抜き差しするためのものである。
【0043】
さらに具体的に説明すると、脱着装置2は、図6に示すように搬送装置15aに沿うように本体部25が配される。脱着装置2は、図1等に示すように本体部25の延伸方向略中央部に駆動部24を有し、この駆動部24よりも搬送装置15a上を流れるトレイ10の搬送方向下流側にヘッド部21を配し、トレイ10の搬送方向上流側にカード送り部22を配した構成とされている。
【0044】
図1〜3に示すように、本体部25は、金属製のフレーム板23a,23bを上下に配し、正面25a側(搬送装置15a側)にヘッド部21を設け、背面25b側(位置調整機構部100側)に受圧壁23eを設けたものである。また、本体部25は、長手方向一端側(以下、必要に応じて境界側方25c側と称す)に配された支持板23cと支持軸23d、並びに、フレーム板23a,23bの他端側(以下、必要に応じて末端側方25d側と称す)に配された受圧壁23eと支持板23fをそれぞれフレーム板23a,23b間に橋渡すように固定することによって形成されたものである。
【0045】
脱着装置2は、ヘッド部21が搬送装置15a側を向き、本体部25の長手方向が搬送装置15aに沿う姿勢となるように設置される。フレーム板23a,23bの間隔は、カード13の高さHよりもわずかに広い程度とされている。本体部25は、境界側方25c側、すなわち図3に示す状態において左方側であって、本体部25の背面25b側の部位に設けられた上下方向に伸びる支軸26を介して搬送装置15aに対して近接、離反する方向に回動自在に支持されている。すなわち、表示変更装置1は、支軸26を中心として搬送装置15aおよびこれにより搬送されるトレイ10の側面11あるいは側面12に対して近接、離反する方向に回動することができる。
【0046】
本体部25は、境界側方25c側の端部に配された支持板23cおよび支持軸23dと、末端側方25d側の端部に配された受圧壁23eおよび支持板23fによってフレーム板23a,23bが支持された構造となっている。
【0047】
受圧壁23eは、脱着装置2の設置状態において、末端側方25d側の位置であって、背面25b側の部位に固定されている。受圧壁23eは、フレーム板23a,23b間に立設された壁面を形成し、位置調整機構部100に対向するものである。
【0048】
位置調整機構部100は、図10に示すように、座部101と、移動部102と、駆動部103とに大別される。座部101は、ケース20や他部材に対して固定される部分である。座部101は、金属板の四辺を同一方向に折り返して形成された側壁101a〜101dによって囲まれ、天面側が開口した領域104を有するバット状の部材である。座部101は、底面に開口部105を有する。座部101は、底部を下方に向けた状態でケース20に対して水平に固定されている。
【0049】
移動部102は、座部101と同様に金属板を台状に屈曲させて形成される台部106と、台部106の両側から外側に張り出した張出部107,107とを有する。張出部107,107には、それぞれ同一方向に延伸した摺動溝108,108が設けられている。移動部102は、座部101の領域104内に収容されており、座部101の底面に設けられた開口部105を跨ぎ、摺動溝108,108は、それぞれ脱着装置2の本体部25に設けられた受圧壁23eに対して近接、離反する方向に延伸するように配されている。移動部102は、張出部107,107に設けられた摺動溝108の上方から差し込まれ、台部106の底面にねじ込まれたネジ110,110により座部101内に取り付けられている。移動部102は、ネジ110,110によって台部106から脱離しない程度であって、台部106に対して自由に摺動可能な程度の強度で装着されている。そのため、移動部102は、受圧壁23eに対して近接、離反する方向に摺動できる。
【0050】
移動部102は、バネ111を介して座部101に接続されている。さらに具体的には、バネ111は、一端側が受圧壁23eに対向している座部101の側壁101aに固定され、他端側が台部106の側面に固定されている。このため、移動部102は、バネ111によって側壁101a側に付勢されており、常時は移動部102の側面が側壁101aに当接している。
【0051】
また、移動部102には、図3に示すように台部106の側方に取り付けられた支持板116を介して2つのセンサ117,118が取り付けられている。センサ117は、図9に示すように後述する駆動部103の偏心カム112(押圧部材)の偏心部115が受圧壁23eに最も近づいた位置に存在する際に検知信号を発信するものであり、センサ118は、図6に示すように偏心カム115が受圧壁23eから最も遠ざかった位置に存在する時に検知信号を発信するものである。センサ117は、偏心部115が本体部25の受圧壁23eに最も近づいた際に偏心部115を検知可能な位置に取り付けられている。また、センサ118は、偏心部115が本体部25の受圧壁23eから最も遠ざかった状態で偏心部115を検知可能な位置に取り付けられている。
【0052】
駆動部103は、主要部が偏心カム112およびモータ113から構成されており、移動部102に対して一体的に取り付けられている。さらに具体的に説明すると、モータ113は、駆動部103の動力源であり、回転軸が移動部102の台部106の裏面側から表面側(下方側から上方側)に向けて突出するように固定されている。
【0053】
モータ113は、通電方向に応じて正方向(図1中矢印A方向)あるいは逆方向(図1中矢印B方向)に回転できる。モータ113の回転軸には、偏心カム112が座部101に対して水平な状態で回動可能なように取り付けられている。偏心カム112は、キノコ形カムや、接線カムや円板カム、キノコ形カム、三角カム等に代表されるいわゆる板カムや周縁カムと称される板カムである。本実施形態では、偏心カム112としてキノコ形カムが採用されている。
【0054】
モータ113の回転軸は、偏心カム112の偏心した位置に接続されており、常時は偏心部115が本体部25の受圧壁23eから離れた位置に存在する。そして、モータ113を動作させると、図6に示すように偏心カム112がモータ113の回転軸を中心として回動して偏心部115側の部位が受圧壁23eに近づき、やがて偏心カム112の輪郭部分が受圧壁23eに当接する。さらにモータ113の回転軸を回転させると、偏心カム112の輪郭部分によって本体部25が押し動かされる。これにより、本体部25が、図7に矢印Bで示すように支軸26を中心として回動し、脱着装置2に隣接する位置に存在するトレイ10にヘッド部21が近接する。
【0055】
脱着装置2は、駆動部24からヘッド部21やカード送り部22に伝達される動力を利用してカード13をトレイ10の装着部14に対して抜き差ししたり、移動させるものである。駆動部24は、本体部25の延伸方向の略中央部に取り付けられたモータ18を動力源とするものであり、ヘッド部21およびカード送り部22にトルクを伝達するものである。ヘッド部21は、カード13をトレイ10の側面11,12に設けられた装着部14に対して脱着するための脱着機構の主要部をなすものである。ヘッド部21は、図2に示すようにモータ18から伝達されてきたトルクを受けて回転する出力軸45と、これに一体的に取り付けられたローラ58(カード移動手段)とを有する。ヘッド部21は、ローラ58をカード13に面接触させた状態で回転させることにより、カード13をトレイ10の装着部14から取り外したり、カード送り部22側から送られてきたカード13を装着部14に差し込むことができる。
【0056】
カード送り部22は、カード13が通過可能な程度の隙間によって構成されるカード通路70と、カード送り機構75とによって主要部が構成されるものである。カード通路70は、フレーム板23a,23bに対して取り付けられた帯状のガイド部材61,61や、フレーム板23a,23b間に渡って取り付けられたガイドフレーム71(脱着側壁面)とガイドフレーム72(受圧側壁面)によって構成されている。カード通路70は、本体部25の正面25a側であってヘッド部21に隣接する位置に形成されたヘッド側カード出入口60と、カード表示変更装置3との境界部に設けられた送り側カード出入口76とを繋ぐ略「S」字型に湾曲したスリット状の通路である。送り側カード出入口76は、本体部25の境界側方25c側の末端部分であって、本体部25の厚み方向略中央部、すなわち正面25a側と背面25b側との中間部分に形成された縦長で、カード13が1枚通過できる程度のスリット状の開口である。
【0057】
カード送り機構75は、カード通路70に対して背面25b側に隣接する位置に所定の間隔を開けて配されたローラ軸81,82,83と、カード通路70に対して背面25b側に隣接した位置に配されたローラ軸85,86とにより主要部が構成されている。ローラ軸81〜83は、それぞれフレーム板23a,23bに対して相対回転可能なように取り付けられている。ローラ軸81〜83の軸方向略中央部分には、ゴム製のローラ87〜89(カード送り手段)が取り付けられている。ローラ87〜89は、ローラ軸81〜83と一体的に回転するものであり、カード通路70内に導入されたカード13に面接触してカード13を所定の方向に送るために使用される。ローラ87〜89は、正面25a側に配されたガイドフレーム71に設けられたローラ露出窓77からカード通路70側に向けて露出し、カード通路70内を流れるカード13に面接触可能な構成とされている。
【0058】
一方、ローラ軸85,86は、それぞれフレーム板23a,23bに対して相対回転不可能なように取り付けられている。ローラ軸85,86の軸方向略中央部分には、補助ローラ91,92がそれぞれローラ軸85,86に対して相対回転可能なように取り付けられている。補助ローラ91,92は、それぞれカード通路70の延伸方向に沿って所定の間隔を開けて配されており、それぞれ上記したローラ87,88間およびローラ88,89間に相当する位置に配されている。補助ローラ91,92は、カード通路70内におけるカード13の流れを補助するためのローラである。
【0059】
続いて、本実施形態の表示変更装置1の動作について図面を参照しながら説明する。表示変更装置1は、図示しない制御装置により動作が制御されている。制御装置は、搬送装置15aにトレイ10の供給が開始されたことを検知すると、搬送装置15aが起動し、トレイ10がさらに下流側に搬送される。制御手段は、トレイ10が表示変更装置1の正面に到来したことを確認すると、搬送装置15aを停止する。その後、制御手段は、トレイ10に装着されているカード13を取り外すべく、位置調整機構部100を動作させ、脱着装置2のヘッド部21をトレイ10の装着部14に近づける。
【0060】
さらに具体的に説明すると、脱着装置2のヘッド部21に隣接する位置にトレイ10が到来すると、制御装置は、位置調整機構部100のモータ113に通電し、図6の矢印Aのようにモータ113の回転軸を正方向に回転させる。これにより、モータ113に接続された偏心カム112が偏心回転を開始し、やがて図7のように偏心カム112の輪郭部分が脱着装置2の受圧壁23eに突き当たる。モータ113がさらに回転すると、脱着装置2とこれにカード表示変更装置3を接続した表示変更装置1が図7に矢印Bで示すように支軸26を中心として回転し始める。
【0061】
モータ113がさらに回転すると、図8のように脱着装置2のヘッド部21がトレイ10の側面11あるいは側面12に当接した状態となり、脱着装置2がこれ以上トレイ10に近づけなくなる。すなわち、脱着装置2のヘッド部21がトレイ10の側面11あるいは側面12に当接すると、本体部25が可動限界まで回動した状態、すなわち本体部25がトレイ10の側面11あるいは側面12に突き当たってこれ以上回動できない状態となる。
【0062】
ここで、駆動部103のモータ113は、センサ117によって偏心カム112の偏心部115が検知されるまで回動する。すなわち、モータ113が正方向(図8において矢印A方向)、すなわち偏心部115が受圧壁23eに近づく方向に回転する場合は、受圧壁23e側に設置されたセンサ117によって偏心部115が検知されるまでモータ113に通電される。そのため、偏心カム112は、本体部25が可動限界に達しても回動し続ける。従って、偏心カム112が本体部25の受圧壁23eを押圧することによって移動部102に対して側壁101aから離反する方向に作用する反作用力Frが、座部101と移動部102とを繋ぐバネ111により移動部102を側壁101a側に引っ張る引っ張り力Faよりも大きくなる。
【0063】
ここで、上記したように、移動部102は、常時はバネ111によって側壁101a側に付勢されている。しかし、移動部102に対してバネ111の引っ張り力Faよりも大きな外力(反作用力Fr)が引っ張り力Faの反対側に向けて作用すると、図8に矢印Cで示すように摺動溝108に沿って側壁101aから離反する。そのため、本体部25が可動限界まで回動した状態で偏心カム112がさらに回動しようとすると、移動部102に作用する反作用力Frが移動部102を側壁101a側に引き付けようとする引っ張り力Faよりも大きくなり、摺動溝108に案内されて移動部102が側壁101b側に押しのけられる。図9のように偏心カム112の偏心部115が本体部25の受圧壁23eに当接した状態となると、脱着装置2は、ヘッド部21を構成する出力軸45のローラ58がトレイ10の装着部14に取り付けられたカード13の表面に適度な圧力で密着した状態となる。換言すれば、移動部102がバネ111による引っ張り力Faに抗って側壁101a側から逃げることによって、偏心カム112によって本体部25に作用する押圧力が緩和され、ローラ58がカード13に適度に密着した状態となる。
【0064】
図9のように偏心カム112の偏心部115が受圧壁23e側に向くと、センサ117によって偏心部115が検知され、モータ113への通電が停止される。その後、制御装置は、脱着装置2の駆動源たるモータ18への通電を開始する。モータ18が電力供給を受け、回転軸が正回転を開始すると、モータ18のトルクがヘッド部21に伝達され、出力軸45が正方向(図9中、矢印F方向)に回転し始める。これにより、トレイ10の装着部14に装着されているカード13が図9に矢印fで示すように側面11あるいは側面12に沿う方向に移動し、差込口14bから抜け出す。差込口14bから抜け出たカード13は、ヘッド部21に隣接する位置にあるヘッド側カード出入口60からカード送り部22内に形成されたカード通路70に送り込まれる。
【0065】
カード13は、モータ18から伝達された動力により回転しているローラ87〜89によってカード通路70内を送り方向(図9中矢印G方向)に流れ、送り側カード出入口76からカード表示変更装置3に送り込まれる。カード表示変更装置3は、脱着装置2から送り込まれたカード13の記録面に記載されていた情報の表示変更を行った後、送り側カード出入口76にカード13を戻す。
【0066】
制御装置は、カード表示変更装置3にカード13が送り込まれた時点、あるいは、カード13の表示変更が行われた時点等のような適宜のタイミングでモータ18への通電状態を変化させ、モータ18の回転軸を先とは逆方向に回転させる。これにより、脱着装置2のカード送り部22のローラ87〜89やヘッド部21のローラ58がカード13の取り外し時の回転方向とは逆方向に回転し始める。そのため、カード表示変更装置3から送り側カード出入口76にカード13が戻されると、カード13は、カード通路70内を戻し方向(図9中矢印R方向)に流れ、ヘッド側カード出入口60に至る。
【0067】
カード13は、ヘッド側カード出入口60に戻って来ると、ヘッド部21のローラ58とトレイ10の側面11あるいは側面12との間に咬み込む。ここで、上記したようにヘッド部21のローラ58は、図9に矢印Sで示すようにカード13を装着部14から取り外した時とは逆方向に回転している。
【0068】
このため、カード13は、ローラ58により差込口14bから矢印sで示すように装着部14に差し込まれる。カード13が装着部14に差し込まれたことが確認されると、制御装置は、偏心部115がセンサ118によって検知されるまで偏心カム112を逆方向(図9中矢印Z方向)に回転させる。これにより、表示変更装置1は、バネ64によって引っ張られ、支軸26を中心としてトレイ10から離れる方向(図9中矢印C方向)に回動し、元の姿勢に戻る。これにより、表示変更装置1は、一連の動作が完了し、次のトレイ10に対するカード13の脱着および表示変更動作に備える。
【0069】
上記したように、本実施形態の表示変更装置1は、偏心カム112を回動させて本体部25を突き動かし、本体部25がトレイ10の側面11や側面12に面接触して回動不可能な状態となると移動部102と共に偏心カム112が受圧壁23eから遠ざかる構成とされている。そのため、本実施形態の表示変更装置1は、トレイ10が所定の規格から多少外れたものであっても、ヘッド部21を側面11や側面12に確実に当接させ、装着部14に装着されているカード13を脱着することができる。さらに具体的には、表示変更装置1は、偏心部115が受圧壁23eに当接するまで偏心カム112を回動させ、本体部25を回動させた時にヘッド部21が到来する位置から表示変更装置1側の領域内にトレイ10の側面11や側面12が到来すれば、装着部14に対してカード13を脱着できる。
【0070】
また、上記したように、表示変更装置1は、ヘッド部21がトレイ10の側面11や側面12に接触すると、偏心カム112が本体部25の受圧壁23eを押圧した状態で移動部102と共に受圧壁23eから遠ざかる。そのため、ヘッド部21は、トレイ10の大小や形状の違いによらず、カード13の脱着に適度な押圧力でトレイ10の側面11,12やカード13を押圧でき、これらを過度に押圧した状態となったり、押圧が不十分な状態となったりしない。従って、表示変更装置1は、カード13に対してヘッド部21のローラ58が滑ったり、カード13やローラ58が過度に摩耗したり傷が付くなどといったような不具合が殆ど起こらない。
【0071】
表示変更装置1は、カード13の脱着を行う脱着装置2と、カード13の表示変更を行うカード表示変更装置3とを一体化したものであるため、一連の動作をスムーズに行うことができる。また、表示変更装置1は、カード13としていわゆるリライトカードを採用したものであるため、カード13を数百回にわたって繰り返し利用できる。さらに、本実施形態の表示変更装置1によればカード13が摩耗したり傷付くことを防止でき、表示変更可能な限りカード13を使用できる。そのため、本実施形態の表示変更装置1は、ランニングコストが安く、使い捨てのカードを採用する場合に比べて廃棄物の量を最小限に抑制することができる。
【0072】
上記実施形態では、カード13としてリライトカードを採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば表示変更不可能なカードを採用した構成とすることも可能である。さらに具体的には、表示変更装置1は、カード表示変更装置3を脱着装置2に対して代わりに、例えば脱着装置2によってトレイ10から取り外した使い捨てのカードを廃棄する廃棄手段や、カードを供給するカード供給手段、当該フィーダから供給されたカードに所定の情報を記すためのカード記録手段等を接続した構成としてもよい。かかる構成とした場合、カードの再利用をすることはできないものの、トレイ10に対して所定の情報を記したカードをスムーズかつ的確に脱着することができる。
【0073】
上記した表示変更装置1は、カード脱着装置2で取り外したカード13をカード書換装置3に送り、表示情報を書き換えた後にカード脱着装置2に戻し、トレイ10の装着部14に戻すものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく図11に示す表示変更装置150のような構成であってもよい。
【0074】
さらに具体的に説明すると、表示変更装置150は、上記した表示変更装置1のカード脱着装置2と同様の骨組み構造あるいは箱形等の適宜の形状に形成された本体部151と位置調整機構部100とを有し、搬送装置15aに沿うように配される。表示変更装置150は、表示変更装置1と同様に支軸26を中心として搬送装置15aに対して近接、離反可能なように支持されている。表示変更装置150は、表示変更装置1のようにカード書換装置3を接続して一体化する代わりに、図11においてハッチングを付したようにヘッド部21に相当する位置に表示変更ヘッド部152を設けた構成とされている。表示変更ヘッド部152は、カード書換装置3内に収容されているものと同様にカード13の表示情報を書換可能なものである。
【0075】
表示変更装置150は、本体部151に隣接する位置に表示変更すべきカード13が取り付けられたトレイ10が到来すると、位置調整機構部100が表示変更装置1の場合と同様の動作をし、表示変更ヘッド部152がトレイ10の側面11や側面12に取り付けられたカード13の記録面に押し当てられる。
【0076】
さらに具体的には、本体部151に隣接する位置にトレイ10が到来すると、表示変更装置150の制御装置(図示せず)は、図12(a)に矢印Aで示すように搬送装置15aを停止させると共に位置調整機構部100のモータ113を起動し、偏心カム112を回動させる。これにより、本体部151が偏心カム112によって突き動かされ、図12(a)のように表示変更ヘッド部152がカード13に突き当てられる。その後、さらに偏心カム112がさらに回転すると、本体部151側から偏心カム112に対して作用する反作用力Frがバネ64によって偏心カム112を本体部151側に引き付ける力Faよりも大きくなる。これにより、偏心カム112は、図12(b)のように本体部151から離れる方向に逃げる。これにより、本体部151の表示変更ヘッド部152がカード13に対して適度な押圧力で突き当てられた状態となる。
【0077】
図12(b)のように偏心カム112の偏心部115が本体部151に最も近づいた状態となると、制御手段はモータ113への通電を停止する。その後、制御手段は、搬送装置15aを起動し、図12(c)に矢印Bで示すようにトレイ10を表示変更ヘッド部152に対して相対移動させる。制御手段は、必要に応じて矢印Bとは逆の矢印C方向にトレイ10を移動させる。すなわち、制御手段は、表示変更ヘッド部152の印字(印刷)能力等に応じてトレイ10を表示変更ヘッド部152に対して相対移動させ、必要であれば表示変更ヘッド部152に沿ってトレイ10を往復動させる。これにより、カード13の表示情報が表示変更ヘッド部152によって順次書換られる。
【0078】
カード13の書換が完了すると、制御手段は図12(c)に矢印Zで示すように偏心カム112を逆回転させ、本体部151および表示変更ヘッド部152をトレイ10から離す。これにより、表示変更装置150による一連のカード13に対する表示情報の変更動作を完了する。
【0079】
上記した表示変更装置150は、表示変更装置1のヘッド部21に相当する位置にカード書換装置3に相当する機能を有する表示変更ヘッド部152を設けたものであるため、表示変更装置1よりもコンパクトな構成となる。また、表示変更装置150は、カード13の脱着や、カード13の送り戻し等の動作を伴わずにカード13の表示情報を変更できるため、表示情報の変更をスムーズかつ迅速に行うことができる。
【0080】
また、上記した表示変更装置150は、表示変更装置1と同様の位置調整機構部100を備えたものであるため、多少サイズや形状等が所定の規格に対してバラツキを有するトレイ10が供給されても表示変更ヘッド部152をトレイ10に装着されたカード13に対して適度な押圧力で突き当てることができる。そのため、表示変更装置150は、表示変更ヘッド部152とカード13との接触不良や、表示変更ヘッド部152が過度につよくカード13に突き当てられることによる印刷不良や消去不良といったような表示情報の変更不良が起こらない。
【0081】
上記した表示変更装置1,150は、いずれもカード書換装置3に内蔵されている表示変更装置(図示せず)や表示変更ヘッド部152とを密着させて表示情報の変更を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図13に示す表示変更装置170のような構成としてもよい。
【0082】
さらに具体的に説明すると、表示変更装置170は、上記した表示変更装置150とほぼ同様の構造を有するが、表示変更ヘッド部152に代わって情報通信装置171(リーダライタ)が取り付けられている点が異なる。表示変更装置170が採用される場合は、上記したカード13に代わって図13に示すようなカード172が採用される。
【0083】
情報通信装置171は、カード172に表示すべき所定の情報、あるいは当該情報を含む複合情報からなるデータを送信できる装置である。カード172は、図13(a)に示すようにデータ処理部173と表示部175とを有する。カード172は、情報通信装置171に対して非接触の状態でデータ処理部173とでデータの送受信を行うことができ、その結果データ処理部173に蓄積された情報の一部又は全部を表示部175に表示可能なものである。
【0084】
さらに具体的に説明すると、データ処理部173は、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)タグと称されるもの等によって構成されるものである。データ処理部173は、情報通信装置171とデータ通信するためのアンテナ部173a等の通信手段や、IC(集積回路)チップ173bのような記憶手段を備えたものであり、さらに必要に応じてマイクロプロセッサのようなデータ処理手段や電波整流手段等を備えた構成とされている。
【0085】
データ処理部173は、アンテナ部173aが情報通信装置171から電波を受信すると、電磁誘導等の共振作用によって起電力を発生する。この起電力により、ICチップ173bが起動し、情報通信装置171側から送信されてきたデータが記憶される。またこの時、必要に応じてICチップ173bに記憶されているデータが情報通信装置171側に送信される。すなわち、データ処理部173は、情報通信装置171から発信される電波によって発生する起電力を利用してデータの送受信を行うことができる。
【0086】
データ処理部173は、例えばトレイ10に収容されている薬剤の種類や量、この薬剤の調剤日や投薬を受ける患者に関する個人データをICチップ174に保持できる。ここでICチップ174に保持させる個人データとしては、例えばカード172が取り付けられたトレイ10に割り当てられた患者の氏名や性別、年齢、病棟、病室番号、住所、電話番号、ID番号、保険証番号、投薬歴、病歴、病状、身長、体重、処方箋、注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等のような様々なデータから投薬システム5の使用者等が適宜選択したものが採用される。
【0087】
表示部175は、いわゆるコレステリック液晶や電子ペーパーと称されるような表示装置によって構成されるものである。表示部175は、データ処理部173に対して電気的に接続されており、ICチップ174に記憶されているデータの一部又は全部を表示可能なものである。表示部175は、表示面に表示すべき情報の書込や消去の際に電力を必要とするが、ひとたび表示面に情報が表示されると電力を供給しなくても情報の表示を継続可能なものである。そのため、表示部175は、例えば情報通信装置171とデータ処理部173の際に電磁誘導等によって発生する起電力を利用して表示面に表示される表示情報の書込や消去を行うことができる。
【0088】
また、カード172は、図13(b)に示すように、情報通信装置171とは別に用意された情報通信端末180からデータ処理部173に向けて電波を送信することによってもデータの送受信や、データ処理部173のICチップ173bに記憶されているデータの更新、表示部175の表示情報の更新等を行うことができる。情報通信端末180には、例えばPDA(Personal Digital Assistants)のような情報携帯端末や情報管理装置を採用することができる。そのため、例えば医師や看護師等にPDA等の情報通信端末180を携帯させておけば、この情報通信端末180を用いてトレイ10に装着されたカード172のデータ処理部173とデータの送受信を行い、ICチップ173bに記憶されているトレイ10に収容されている薬剤の処方箋や、注射の注射箋を読み出したり、薬剤の処方歴等をICチップ173bに書き込む等のデータ処理を行うことができる。従って、カード172は、ICチップ174の記憶情報を表示部175に対して表示することによりトレイ10内に収容されている薬剤やこの薬剤を受け取る患者の情報を示すラベルとしての機能に加えて、情報記憶媒体としての機能も有する。
【0089】
上記したように、カード172と情報通信装置180とを用いてデータの送受信や更新を行うデータ管理システムを採用すれば、従来技術において必要とされていた処方箋や注射箋といったような紙媒体を削減できる。また、上記したような構成とすれば、紙媒体を削減したり、紙媒体への印刷用のプリンターを設けない構成とすることができる。そのため、上記したデータ管理システムを採用すれば、表示変更装置170を採用した装置をシンプルな構成とすると共に、ランニングコストを抑制することができる。
【0090】
また、上記した処方箋や注射箋等の紙媒体と、カード172と情報通信装置180とを組み合わせて構築されるデータ管理システムとを併用することにより、薬剤を誤って処方するなどのミスの発生をより一層確実に抑制させることができる。なお、上記したようなデータ管理システムを構築する場合は、カード172に保持されている個人情報等について十分なセキュリティーを施すことが望ましく、例えば特に重要な処方箋や注射箋等の情報の読み出しや書込に際してパスワードの入力を促す構成としたり、生体認証システム等を用いて操作者を特定する構成とすることが望ましい。
【0091】
ここで、入院していることを知られたくない患者がいる場合のように、プライバシーや個人情報を十分保護する必要がある場合は、カード172の表示部175に表示されている情報や、ICチップ173bに記憶されている情報は、不要になった時点で消去することが望ましい。そこで、かかる知見に基づき、上記したようにカード172と情報通信装置180とを組み合わせて使用する場合は、必要に応じてカード172の表示部175に表示されている情報や、ICチップ173bに記憶されている情報の一部又は全部を消去可能な構成とすることも可能である。さらに具体的には、例えば投薬完了後のように表示部175に表示されている情報やICチップ173bに記憶されている情報が不要になった時点で、PDA等の情報通信端末180から電波や信号を発信することによってこれらの情報を消去する構成としてもよい。かかる構成によれば、患者のプライバシーや個人情報の保護に十分配慮することができる。
【0092】
上記したように、情報通信装置171は、カード172と非接触状態でデータのやりとりを行えるものであるが、表示変更装置170に対して隣接する位置に到来したトレイ10に装着されたカード172に対して確実に所定のデータを送信でき、他のトレイ10に装着されたカード172に対してデータの誤送信やデータの盗用を防止したり、病院等に設置された他の機器類の動作を妨害する妨害電波となるのを防止すべく、出力が抑制されている。そのため、カード172の表示情報を情報通信装置171から発信されたデータに基づく情報に変更するためには、情報通信装置171とカード172とを近接させる必要がある。
【0093】
そこで、表示変更装置170は、これに隣接する位置にトレイ10が到来すると、上記した表示変更装置1,150と同様に位置調整機構部100を作動させて情報通信装置171とカード172とを近接させた状態で情報通信装置171から所定のデータを発信することにより、カード172の表示情報を変更する構成としている。
【0094】
上記した表示変更装置170は、情報通信装置171とカード172との間におけるデータの送受信により、カード172の表示情報を変更する構成とされているため、表示変更装置1,150よりも表示情報の変更をさらにスムーズかつ迅速に行うことができる。
【0095】
また、上記した表示変更装置170は、カード172の表示情報の変更時に情報通信装置171とカード172とを近接させる必要があるが、上記した表示変更装置1,150のように情報通信装置171とカード172とを密着させる必要がない。そのため、表示変更装置170は、トレイ10のサイズや形状のバラツキに対してさらに幅広く対応できる。
【0096】
表示変更装置170は、情報通信装置171とカード172とを密着させる必要がないため、サイズや形状が規定通りのトレイ10が供給され、偏心カム112の偏心部115が本体部151に最も近接した場合に情報通信装置171とカード172との間にある程度の隙間が形成される構成とされてもよい。かかる構成とした場合、情報通信装置171やカード172の破損や損傷を最小限に抑制できる。
【0097】
なお、上記した表示変更装置170は、情報通信装置171とカード172との間におけるデータの送受信精度の向上や、セキュリティー上の問題等を勘案して表示変更装置170をトレイ10に装着されたカード172側に傾ける構成であったが、例えば情報通信装置171とカード172との間におけるデータの送受信精度が不十分である場合や、高い送受信精度が要求される場合に限って位置調整機構部100を作動させる構成としてもよい。また、情報通信装置171とカード172との間におけるデータの送受信精度上の課題やセキュリティー上の課題等を解消可能な場合は、表示変更装置170を傾けない構成、すなわち図13(c)のように表示変更装置170をフレーム等の他部材に対して固定し、位置調整機構部100を設けない構成とすることも可能である。
【0098】
上記したように、被搬送物たるトレイ10の側面には所定の情報あるいは当該情報を含む所定のデータを受信して当該データの一部又は全部を表示可能なカード172が装着されており、表示変更装置170は、被搬送物の側面に設けられた装着部に装着されたカード172に対して所定の情報あるいは当該情報を含む所定のデータを送信可能な表示変更手段として情報通信装置171を備えたものである。そのため、表示変更装置170によれば、情報通信装置171とカード172とを接触させることなくカード172の表示部175に表示されている表示情報を書き換えることができる。
【0099】
また、上記したように、カード172は、情報通信装置171とデータ通信するための通信手段(アンテナ部173a)と、記憶手段(ICチップ173b)とを備えたデータ処理部173と、当該データ処理部173を介して供給されるデータの一部又は全部を表示する表示部175とを有するものである。かかる構成とした場合、必要な情報をデータ処理部173の記憶手段たるICチップ173bに記憶手段に記憶させることができると共に、ICチップ173bに記憶された情報の全部あるいは一部を表示部175に表示できる。すなわち、上記した構成とすれば、カード172をトレイ10のラベルとして利用すると共に、様々なデータを記憶しておく記憶手段としても利用することができる。
【0100】
上記した構成とした場合、データ処理部173は、RFIDタグを備えたものであることが望ましい。かかる構成によれば、カード172をコンパクト化しつつ、データの送受信精度に優れた構成とすることができる。
【0101】
また、上記したように、表示変更装置170は、情報通信装置171とデータ通信するための通信手段(アンテナ部173a)との間におけるデータのやりとりに伴う共振作用により発生する電力を利用してデータ処理部173が作動するものであることが望ましい。また、カード172は、前記した共振作用により発生する電力を利用して表示部175の表示を更新するものであることが望ましい。かかる構成とすることにより、データ処理部173に記憶されているデータや、表示部175に表示されている表示の更新のために別途電源を設ける必要がなくなる。
【0102】
上記したように、表示部175は、表示面がコレステリック液晶によって構成されていることが望ましい。かかる構成によれば、表示部175に情報の表示を維持するためにカード172に電力を供給する必要がなく、例えば従来公知のネマティック液晶を表示部175用いた場合に比べて消費電力を抑制できる。
【実施例】
【0103】
続いて、上記実施形態で示した表示変更装置1の構成をさらに具体的に示すと共に、表示変更装置1を備えた投薬システムに関する実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0104】
図14において、1は本実施例の表示変更装置1である。本実施形態の投薬システム5では、図14に示すようにトレイ排出装置8に表示変更装置1が設置されている。投薬システム5は、図15のようにトレイ供給装置6と、薬剤払出装置7と、トレイ排出装置8とを有する。投薬システム5は、病院等において行われる「定時処方」と称される薬剤や医療材料(以下、単に薬剤と称す)の処方や、「臨時処方」と称されるような薬剤の処方に好適に使用できるシステムである。ここで、定時処方とは、入院患者のような投薬を受ける者(受取人)に予め決められた薬剤を投薬するために行われる処方である。定時処方は、例えば薬剤の処方を行うべき日の前日の晩のような予め決まった時に、受取人毎に決められたトレイ10に、受取人に見合った薬剤を収容すると共に、トレイ10を病棟毎のような所定のブロック毎に決められた載置棚等に分類しておき、各病棟(ブロック)毎に投薬する方法で行われる。また、臨時処方とは、例えば容態が急変するなどして処方内容の変更を行うべき患者(受取人)に対する処方である。臨時処方では、多くの場合、投薬する当日に各患者毎に薬剤が処方される。
【0105】
トレイ供給装置6は、薬剤を収容するトレイ10を隣接する位置に設けられた搬送経路9に向けて払い出す装置である。トレイ10は、上記した定時処方や臨時処方において投薬を受ける受取人毎に割り当てられるものである。トレイ10は、側面11,12のいずれか一方の装着部14に薬剤やこの薬剤の受取人に関する情報を文字や記号、バーコード等のような適宜の形態で書き込んだカード13が装着されている。上記したように、カード13には、トレイ10に割り当てられた患者の病棟名13aや病室名13b、投薬実施日13c、患者名13d、ふりがな13e、ID番号13fや、カード13の書換回数13g等を記されている。そのため、カード13を参照すれば、トレイ10に割り当てられた患者を特定することができる。また、書換回数13gを参照すれば、カード13が耐用限度に達しているか否かを容易に確認することができる。さらに、バーコード13hを特定のリーダー等で読み込めば、バーコード13hを介して記録されている患者の性別、年齢、住所、電話番号、保険証番号、投薬歴、病歴、病状、身長、体重、処方箋、注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等、適宜のデータを読み出すことができる。
【0106】
トレイ10は、処方の完了後にカード13を装着したままの状態で収集され、トレイ供給装置6に戻される。また、回収されたトレイ10に装着されていたカード13が耐用限度に達している場合や、新たなトレイ10を使用する場合には、情報が記載されていない新品のカード13を側面11,12のいずれか一方の装着部14に差し込んだ後、トレイ供給装置6にセットされる。
【0107】
トレイ供給装置6から払い出されたトレイ10は、トレイ供給装置6に隣接する位置に配された搬送経路9に移載され、薬剤払出装置7側に向けて移動する。ここで、搬送経路9は、ベルトコンベアやローラコンベア等のような従来公知の搬送装置で構成されたものであり、トレイ供給装置6に隣接する位置から、投薬システム5におけるトレイ10の流れ方向最下流に配されたトレイ排出装置8に繋がる一連の流路を形成している。
【0108】
薬剤払出装置7は、トレイ供給装置6側から供給されてきたトレイ10に対して、当該トレイ10に割り当てられた薬剤の受取人に対応した処方箋等の指示に基づいて所定の薬剤を所定量だけ払い出す装置である。トレイ10は、薬剤払出装置7において所定の薬剤が収容された後、搬送経路9を構成するコンベアに乗ってトレイ排出装置8に向けて搬送される。
【0109】
ここで、上記したように、トレイ10は、先の投薬後に収集され、適当な順番で重ね合わせるなどした後にトレイ供給装置6にセットされたものである。そのため、薬剤払出装置7に供給された時点でトレイ10に装着されているカード13に記されている情報は、過去(先の投薬時)にこのトレイ10を用いて投薬された受取人や、この受取人が受け取った薬剤に関する情報であり、現在このトレイ10内に収容されている薬剤やこの薬剤を受け取る予定の受取人の情報とは異なる。そのため、薬剤払出装置7において薬剤の払出が完了した後は、必ずトレイ10の側面11あるいは側面12に装着されているカード13に記されている情報を書き換える必要がある。
【0110】
そこで、投薬システム5では、薬剤払出装置7の下流側に配されたトレイ排出装置8に表示変更装置1を取り付け、この表示変更装置1でカード13に記されている情報の表示変更を行う構成とされている。
【0111】
さらに具体的に説明すると、トレイ排出装置8は、投薬システム5の最下流に配された装置であり、表示変更装置1によってトレイ10の装着部14に装着されているカード13を抜き取って書き換え、装着部14に戻した後、このトレイ10を前方に配された載置棚54に移載する装置である。トレイ排出装置8は、図15に示すように搬送経路9から移載されてきたトレイ10を搬送する搬送装置15aと、搬送装置15a上に存在するトレイ10をつかんで載置棚54に移載するためのハンドリング装置15b(移載装置)に加えて、搬送装置15aにより搬送されてきたトレイ10に装着されているカード13の脱着および表示変更を行うための表示変更装置1を設けた構成とされている。
【0112】
表示変更装置1は、トレイ10の側面11あるいは側面12の装着部14に取り付けられたカード13を一時的に取り外し、カード13に記されている情報を書き換えた後、カード13を装着部14に戻す装置である。表示変更装置1は、上記実施形態に示したように脱着装置2と表示変更装置3とを連結したものであり、箱形のケース20の内部に状態で収容されている。カード脱着ユニット1は、脱着装置2のヘッド部21側が搬送装置15a側を向く姿勢とされ、トレイ排出装置8の下端部に取り付けられている。
【0113】
上記したように、脱着装置2は、境界側方25c側(図16において左方側)であって、本体部25の背面25b側の部位に設けられた支軸26を中心として所定の動作範囲内で回動可能に支持されている。本体部25は、金属製のフレーム板23a,23bを上下に配し、これらを橋渡すように支持板23c、支持軸23d、受圧壁23e、並びに、支持板23fを固定することによって外形が形成されたものである。
【0114】
脱着装置2は、本体部25の境界側方25c側、すなわち図16に示す状態において左方側であって、本体部25の背面25b側の部位に設けられた上下方向に伸びる支軸26を介して搬送装置15aに対して近接、離反する方向に回動自在に支持されている。すなわち、表示変更装置1は、支軸26を中心として搬送装置15aおよびこれにより搬送されるトレイ10の側面11あるいは側面12に対して近接、離反する方向に回動することができる。
【0115】
支持板23cは、図17に示すように脱着装置2を設置した状態で境界側方25c側に相当する位置、すなわち表示変更装置3との境界部分近傍であって、本体部25の正面25a側の位置に、フレーム板23a,23bに渡って固定された金属板である。支持板23cは、フレーム板23a,23bを連結する部材であり、この中間部分、すなわちフレーム板23a,23b間の部位に脱着装置2内を流れるカード13を検知するための書込側センサ27が取り付けられている。支持軸23dは、支持板23aに隣接する位置に配された金属製の軸体であり、支持板23cと同様にフレーム板23a,23bを連結する部材である。
【0116】
受圧壁23eは、図18に示すように脱着装置2の設置状態において、末端側方25d側に相当する位置であって、背面25b側の部位に固定されたものであり、フレーム板23a,23b間に立設された壁面を形成するものである。上記実施形態において説明したように、受圧壁23eは、本体部25の背面25b側に配された位置調整機構部100の偏心カム112の外周部分が当接して押圧される部分である。
【0117】
受圧壁23eは、フレーム板23a側の位置に、切り欠き30を有する。切り欠き30に相当する位置には、ヘッド部21を通過するカード13を検知するためのヘッド側カード位置検出センサ28が切り欠き30に露出するように取り付けられる。
【0118】
受圧壁23eのうち、背面25d側にはアクチュエーター29(間隔調整手段)が取り付けられている。アクチュエーター29は、通電状態を変えることにより伸縮する伸縮軸29aを有する。伸縮軸29aは、フレーム板23aよりも上方の位置に配されており、この先端には、フレーム板23aを横断するように配された連結杆29bの一端側がピン留めされている。連結杆29bの他端側は、後述するヘッド部21を構成する枠部材35の天面部37に対して連結されている。
【0119】
また、受圧壁23eのうち、境界側方25c側の側面には図16や図17に示すように金属製の鈎状部材34が取り付けられている。鈎状部材34は、後述するヘッド部21の枠部材35が本体部25に対して所定の角度以上に回動するのを防止するための当て止めとして機能するものである。
【0120】
支持板23fは、図16に示すように受圧壁23eに対して略平行に配され、フレーム板23a,23bに渡って橋渡すように固定された金属板である。支持板23fは、フレーム板23a,23bに固定した際にフレーム板23a,23bに沿って正面25a側に向けて突出する天面部31および底面部32と、フレーム板23a,23b間において正面25a側に向けて突出し、上下方向に延伸した側面部33とを有する。側面部33には、台座部33a,33bが設けられている。台座部33aには、後述するヘッド部21の枠部材35に装着され、ヘッド部21を本体部25側に付勢するバネ42の端部が取り付けられている。また、台座部33aには、カード有無検出センサ49が取り付けられている。台座部33bには、後述する位置調整機構部100の座部101と本体部25とを繋ぎ、本体部25を位置調整機構部100側に付勢するバネ64が取り付けられている。
【0121】
駆動部24は、本体部25の延伸方向の略中央部に取り付けられたモータ18を動力源とするものであり、モータ18に隣接する位置に配された中継軸19を介してヘッド部21側およびカード送り部22側にトルクを伝達するものである。
【0122】
モータ18は、出力軸18aがフレーム板23aの上方に突出するように取り付けられている。出力軸18aの先端には、出力ギア18bが固定されている。中継軸19は、出力軸18aに対して平行に配された軸体であり、フレーム板23a,23bの双方に対して相対回転可能なように取り付けられている。中継軸19は、フレーム板23a,23bの双方から突出している。そして、中継軸19の下端部、すなわち中継軸19のうちフレーム板23bよりも下方に突出した部位には、金属製のヘッド側中継ギア19aが固定されている。また、中継軸19の上端部、すなわち中継軸19のうちフレーム板23aよりも上方に突出した部位には、樹脂製で、ヘッド側中継ギア19aよりも大径の送り側中継ギア19bが固定されている。ヘッド側中継ギア19aおよび送り側中継ギア19bは、それぞれ後述するヘッド部21の入力側ギア46およびカード送り部22側の従動ギア81aに接続されており、モータ18のトルクをヘッド部21側およびカード送り部22側に伝達可能な構成とされている。
【0123】
ヘッド部21は、カード13をトレイ10の側面11,12に設けられた装着部14に対して脱着するための脱着機構の主要部をなすものである。ヘッド部21は、後述する出力軸45に取り付けられたローラ58をカード13の表面に密接させた状態で出力軸45を回動させることによりカード13を摺動させるものである。
【0124】
さらに具体的に説明すると、ヘッド部21は、図19に示すように金属製の枠部材35に入力軸43と、出力軸45とを取り付けた構造とされている。入力軸43は、図17に示すように枠部材35を貫通してフレーム板23a,23bに対して回転自在に装着されている。また、枠部材35は、入力軸43によって本体部25に対して片持ち状に支持されており、入力軸43を中心として回動して所定の範囲で姿勢を傾けることができる。枠部材35は、図19に示すように背板部36と、この背板部36に対して正面25a側に向けて垂直に折れ曲がった天面部37、底面部38および側面部39によって三辺が囲まれた領域を有し、残りの一辺側が開放された形状とされている。上記した鈎状部材34は、ヘッド部21が所定の角度を超えて本体部25に対して傾斜すると鈎状に折れ曲がった部分が前記開放部分に引っかかる。そのため、ヘッド部21の枠部材35は、鈎状部材34に枠部材35の開放部分が引っかかる程度の角度まで本体部25に対して傾斜できる。
【0125】
側面部39には、天面部37、底面部38および側面部39によって囲まれた領域から外側に向けて突出したバネ取り付け部39bが設けられている。バネ取り付け部39bは、図16に示すようにヘッド部21の入力軸43側の端部を背面25b側に向けて引っ張り、ヘッド部21の姿勢を維持するためのバネ42を取り付けるために設けられた部位である。
【0126】
枠部材35は、背板部36の境界側方25c寄りの位置であって、フレーム板23a,23bの中間に相当する位置に、正面25a側に向けて突出したブロック状の凸部40が形成されている。また、天面部37および底面部38は、ヘッド部21を本体部25に取り付けた際に境界側方25c寄りであって、正面25a側に相当する部分が、矩形状に切り欠かれている。この矩形状の切り欠き部位は、後述する出力軸45用の台座44を取り付けるために設けられたものである。
【0127】
枠部材35は、背板部36に切り欠き部41を有する。切り欠き部41は、本体部25に対して枠部材35を取り付けた状態とした際に受圧壁23eの切り欠き30に相当する位置に設けられている。そのため、脱着装置2は、ヘッド部21を通過するカード13をヘッド側カード位置検出センサ28によって検知可能な構成とされている。
【0128】
枠部材35は、図16や図17に示すように正面25a側から観察した状態で背板部36が受圧壁23eに対向する姿勢で取り付けられている。また、枠部材35は、天面部37がフレーム板23a側を向き、底面部38がフレーム板23bを向く姿勢で取り付けられている。さらに、枠部材35は、バネ取り付け部39bがフレーム板23a,23bの末端側方25dの端部から外側にはみ出すように入力軸43によって軸支されている。
【0129】
枠部材35の天面部37であって出力軸45近傍の位置には、図16に示すようにアクチュエーター29の伸縮軸29aに接続された連結杆29bの先端部分がピン留めされている。また、上記したように、枠部材35は、枠部材35の側面部39側の位置に配された入力軸43を介して回動自在に軸支されている。そのため、アクチュエーター29の伸縮軸29aを伸縮させると、ヘッド部21が、入力軸43を中心として回動し、出力軸45側の部位が支持板23cに対して近接、離反する。すなわち、ヘッド部21は、アクチュエーター29の動作に伴って本体部25に対する枠部材35の傾斜が入力軸43側を中心として変化し、枠部材35の背板部36が受圧壁23eに突き当たる姿勢から、枠部材35の前方において折れ曲がった鈎状部材34に突き当たる姿勢の範囲内で傾きを変えることができる。そのため、出力軸45に取り付けられたローラ58,58は、フレーム板23a,23bの正面25a側の端部から僅かに突出した状態や引っ込んだ状態となる。
【0130】
入力軸43は、図17に示す姿勢で上下方向に延伸しており、その下端部が下方側のフレーム板23bを貫通して下方に突出している。入力軸43のうち、フレーム板23bよりも下方に突出した部位には、入力側ギア46が入力軸43に対して相対回転不能なように取り付けられている。入力側ギア46は、上記した中継軸19のヘッド側中継ギア19aと略同一の大きさで金属製のギアである。入力側ギア46は、歯付きベルト59を介してヘッド側中継ギア19aに接続されている。また、歯付きベルト59は、入力側ギア46とヘッド側中継ギア19aとの中間に配されたテンションローラ63によって張力が調整されている。そのため、モータ18が起動すると、この動力が中継軸19および歯付きベルト59を介して入力軸43に伝わり、入力軸43が回動する。
【0131】
入力軸43の中間部分、すなわちヘッド部21を本体部25に取り付けた状態においてフレーム板23a,23bの間に相当する位置には、金属製で中継ギア19aと略同一径の中継ギア47が入力軸43に対して相対回転不能なように取り付けられている。
【0132】
出力軸45は、台座44を介して枠部材35の背板部36に対して揺動可能なように取り付けられている。さらに具体的には、台座44は、図19に示すように金属板を折り曲げ加工して成形されたものであり、出力軸45が取り付けられる台座本体48と、脚部50,50とから構成されている。台座本体48は、ヘッド部21を構成する枠部材35の天面部37と底面部38との間隔と略同一の長さ(高さ)とされており、図19に示すように上端部51および下端部52が背面25b側に向けて折り返されて外形が略「コ」字形となっている。出力軸45は、台座本体48の上端部51および下端部52に対して自由に相対回転できる状態で支持されている。
【0133】
また、脚部50,50は、台座44の長さ(高さ)方向の略中央部において上端部51や下端部52とは逆方向、すなわち枠部材35の背板部36側に向くように折り返して形成されたものである。脚部50,50を構成する面は、上端部51や下端部52を構成する面に対して略直交する関係にある。台座44は、脚部50,50によって枠部材35に設けられた凸部40を挟むように配されている。台座44は、脚部50,50および凸部40を横断する揺動軸53によって凸部40に対して軸支されている。さらに、台座本体48の裏面側、すなわち枠部材35の背板部36側を向く面と、背板部36との間であって、脚部50,50の上下に隣接する位置にはバネ55,55が介在している。そのため、台座44は、出力軸45に対して外力が作用すると、揺動軸53を中心として揺動し、台座44が背板部36に対して傾く。さらに具体的には、出力軸45の上端側に偏った位置に外力が作用すると、台座44の上端部が背板部36に近接し、台座44の下端部が背板部36から離れた状態で傾き、出力軸45の下端側に偏った位置に外力が作用すると逆方向に傾く。
【0134】
出力軸45の軸方向略中央部には、出力側ギア56が出力軸45に対して相対回転できないように取り付けられている。出力側ギア56は、歯付きベルト57を介して入力軸43の中間位置に設けられた中継ギア47に接続されている。歯付きベルト57は、入力軸43と出力軸45との中間位置において枠部材35に取り付けられたテンションローラ63により張力が調整されている。また、出力側ギア56の上方および下方には、ゴム製のローラ58,58が出力軸45に対して相対回転不能なように取り付けられている。そのため、出力軸45に取り付けられたローラ58は、入力軸43の回転に連動して回転する。
【0135】
図16に示すようにヘッド部21に隣接する位置であって、本体部25の正面25a側に相当する位置には、ヘッド側カード出入口60が設けられている。ヘッド側カード出入口60は、境界側方25c方向に向けて延伸する帯状のガイド部材61,61とトレイ押圧片62(解除手段)との間に形成されたスリット状の部位である。図16や図17に示すように、フレーム板23a,23bのうち、ヘッド側カード出入口60に相当する部位には、導入片65,65が形成されている。導入片65,65は、それぞれガイド部材61,61の延伸方向に沿って切り込みを入れ、上方および下方に傾斜するように折り曲げることにより形成されたものであり、これによりヘッド側カード出入口60の間口が広がっている。すなわち、ヘッド側カード出入口60は、後述するカード通路70よりも高さ方向にやや広く開口している。
【0136】
ガイド部材61,61は、フレーム板23a,23bに対して下方あるいは上方に向けて突出するように固定された帯状の部材であり、ヘッド部21に隣接する位置から本体部25の境界側方25cに向けて延伸している。ガイド部材61,61は、ヘッド側カード出入口60が形成された部位からカード送り部22の入口付近まで延伸する部材であり、略「S」字形に湾曲している。ガイド部材61,61は、上下に平行に配されており、カード送り部22内に形成されるカード通路70の一部を構成するものである。
【0137】
トレイ押圧片62は、図16や図17に示すように、金属板を所定の角度で折り曲げることによって取り付け部62aと押圧部62bとを形成した部材である。トレイ押圧片62は、取り付け部62aと押圧部62bとの境界部分近傍に設けられたローラ露出口66を有する。トレイ押圧片62には、ヘッド側カード出入口60を通過するカード13を案内するための補助ローラ67がローラ露出口66からカード通路70側に露出するように取り付けられている。トレイ押圧片62は、取り付け部62aと押圧部62bとの境界部分が導入片65,65の基端部近傍に位置するようにフレーム板23a,23bの正面25a側に固定されている。トレイ押圧片62は、取り付け部62aがフレーム板23a,23bの正面25a側の縁端部に沿い、押圧部62bが前記縁端部から離れる方向に傾斜するように取り付けられている。押圧部62bは、脱着装置2を支軸26を中心として回動させ、ヘッド部21をトレイ10の装着部14に装着されているカード13に当接させた際に、差込口14bを塞いでいる突出部17に当接する位置に設けられている。そのため、カード13の脱着のために脱着装置2をトレイ10の側面11,12側に密接させた状態とすると、押圧部62bによって突出部17がトレイ10の外側から内側に向けて押し込まれ、差込口14bから装着部14にカード13を出し入れ可能な状態となる。
【0138】
カード送り部22は、図16に示すように上述したガイド部材61,61や、ガイドフレーム71,72によって形成されるスリット状のカード通路70と、カード送り機構75とによって主要部が構成されるものである。
【0139】
カード通路70は、本体部25の正面25a側であってヘッド部21に隣接する位置に形成されたヘッド側カード出入口60と、カード表示変更装置3との境界部に設けられた送り側カード出入口76とを繋ぐ湾曲したスリット状の通路である。送り側カード出入口76は、本体部25の境界側方25c側の末端部分であって、本体部25の厚み方向略中央部、すなわち正面25a側と背面25b側との中間部分に形成された縦長で、カード13が1枚通過できる程度のスリット状の開口である。
【0140】
ガイドフレーム71は、カード通路70の正面25a側の壁面を構成する金属製のフレームであり、カード通路70に沿う形状に湾曲している。ガイドフレーム71は、本体部25の天面を構成するフレーム板23aと、底面を構成するフレーム板23bの双方に対して略垂直な姿勢で固定されている。
【0141】
ガイドフレーム71には、後述するローラ87〜89が露出可能なローラ露出窓77が形成されている。また、ローラ露出窓77に対して送り側カード出入り口76側に隣接する位置には、センサ露出窓80が形成されている。センサ露出窓80は、カード通路70に対して出入りするカード13を検知するために支持板23eに取り付けられたセンサ78を露出させるための開口である。
【0142】
ガイドフレーム71に対して背面25b側に隣接した位置には、図17に示すようにローラ87〜89を支持するローラ軸81〜83が配されている。ローラ軸81〜83は、それぞれフレーム板23a,23bに対して相対回転可能なように取り付けられており、カード通路70に沿って所定の間隔を開けて配されている。ローラ軸81は、上端部いおよび下端部がそれぞれフレーム板23a,23bから突き出ており、当該部位に従動ギア81a,81bが取り付けられている。また、ローラ軸82,83は、下端部がそれぞれフレーム板23bよりも下方に突き出ており、図17や図18に示すように当該部位に従動ギア82a,83aが取り付けられている。
【0143】
従動ギア81aは、モータ18に隣接する位置に配された中継軸19の上端部に取り付けられた送り側中継ギア19bに接続されている。また、従動ギア81bと従動ギア82aとが中継ギア84aを介して接続されており、従動ギア82aと従動ギア83aとが中継ギア84bを介して接続されている。そのため、モータ18が起動すると、モータ18の動力が中継軸19の送り側中継ギア19bから従動ギア81aに伝達され、ローラ軸81とこれに取り付けられたローラ87が回動する。これと共に、ローラ軸81bに伝達された動力が従動ギア82a,83aおよび中継ギア84a,84bを介してローラ軸82,83に伝達され、ローラ軸82,83とこれに取り付けられたローラ88,89が回動する。ローラ87〜89は、それぞれカード通路70内に向けて露出するように取り付けられているため、カード通路70内にカード13が導入されると、ローラ87〜89からカード13に動力が伝達され、カード13がカード通路70内を進む。
【0144】
ガイドフレーム72は、図18に示すようにカード通路70の背面25b側の壁面を構成する金属製のフレームである。ガイドフレーム72は、カード通路70やガイドフレーム71に沿う形状に湾曲した通路構成部72aと、ガイドフレーム72を本体部25に装着した状態で通路構成部72aの上端部および下端部からフレーム板23a,23bに沿って背面25b側に延伸する天部72bと底部72cとを有する。ガイドフレーム72は、モータ18に隣接する位置にフレーム板23a,23bに対して固定された軸体93を支軸として本体部25に対して相対回転可能なように支持されている。
【0145】
ガイドフレーム72には、天面72bおよび底面72c間を橋渡すようにローラ軸85,86が取り付けられている。ローラ軸85,86の中間部分には、樹脂製の補助ローラ91,92がローラ軸85,86に対して自由に回動できるように取り付けられている。通路構成部72aには、カード通路70に対して補助ローラ91,92を露出するためのローラ露出窓95a,95bが設けられている。
【0146】
ローラ軸85,86は、天部72bおよび底部72cに設けられた軸孔85a,85aおよび軸孔86a,86aに挿入され、この軸孔85a,85aおよび軸孔86a,86aから脱落不能なように支持されている。天部72bおよび底部72cに設けられた長穴は、ガイドフレーム72を本体部25に装着した状態でカード通路70から背面25b側に向けて延伸するものである。ローラ軸85,86は、通路構成部72aの上端側および下端側の部位にローラ軸85,86に覆い被さるように取り付けられた付勢バネ94a〜94dによって通路構成部72a側(図20において矢印F1側)に付勢されている。そのため、補助ローラ91,92は、カード通路70内を通過するカード13の厚み等の条件にかかわらず、カード13とカード通路70の正面25a側に配されたローラ87〜89との間に発生する摩擦力がカード13の摺動に適した状態となるようにカード13を付勢することができる。
【0147】
ガイドフレーム72には、ローラ軸85,86よりも背面25b側(図20において手前側)であって、ローラ軸85,86の中間に相当する位置に係止軸96が設けられている。係止軸96は、ガイドフレーム72の天部72bおよび底部72cに設けられたガイドフレーム72の長手方向に伸びる長穴90,90に挿入されガイドフレーム72の外側に向けて突出しており、長穴90,90から脱落不能なように支持されている。係止軸96は、ガイドフレーム72と係止軸96とに渡って装着されたバネ94e,94fによって本体部25に対して境界側方25c側に付勢されている。フレーム板23a,23bには、係止軸96が係止可能な鈎状の係止部97が設けられている。ガイドフレーム72は、図16等に示すように係止部97に係止軸96を係止させることにより本体部25に対して固定され、カード13が通過可能な程度の幅のカード通路70を形成する。
【0148】
表示変更装置1は、上記したような構造の脱着装置2のカード送り部22に隣接する位置にカード表示変更装置3を接続した構造となっている。カード表示変更装置3は、一般的に「リライトカード」と称されるもので構成されているカード13の表示面に記されている文字情報や図形情報、バーコード等の情報を消去して表示変更可能な装置である。カード表示変更装置3には、従来公知のリライトカード用の書込装置が採用できる。カード表示変更装置3は、カード13の出入口(図示せず)をカード通路70の送り側カード出入口76に隣接した位置に来るように脱着装置2に接続されている。そのため、カード表示変更装置3は、カード通路70から送られてきたカード13を前記出入口から取り込み、内部でカード13の表示情報を書き換えた後、脱着装置2の送り側カード出入口76からカード通路70に戻すことができる。
【0149】
続いて、本実施例の表示変更装置1の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施例の表示変更装置1は、上記実施形態において説明したように位置調整機構部100を動作させると共に、アクチュエーター29を動作させることにより脱着装置2に隣接する位置に到来したトレイ10に対してヘッド部21を近接させ、カード13の脱着と表示変更を行う。
【0150】
さらに具体的に説明すると、表示変更装置1の制御装置(図示せず)は、図6(a)に示すようカード有無検出センサ49によって表示変更装置1のヘッド部21に隣接する位置にカード13が到来したことを検知すると、上記実施形態において説明したように位置調整機構部100のモータ113を起動して偏心カム112を矢印A方向に回転させる。これにより、図7に示すように偏心カム112の輪郭部分によって本体部25の受圧壁23eが押圧され、表示変更装置1がトレイ10側に傾く。
【0151】
図7に示す状態から偏心カム112がさらに回転すると、図8に示すように表示変更装置1がさらにトレイ10側に傾き、ヘッド部21のローラ58がトレイ10の側面11あるいは側面12に装着されているカード13に押しつけられた状態となる。ここで、ヘッド部21は、図19に示すようにローラ58を支持する出力軸45が取り付けられた台座44が揺動軸53を中心として揺動可能とされており、台座本体48の裏面側からバネ55によって付勢された状態となっている。そのため、ヘッド部21がトレイ10の側面11あるいは側面12に押しつけられると、台座44と共に出力軸45が側面11や側面12に沿うように傾き、ローラ58がカード13の表面にしっかりと面接触した状態となる。
【0152】
また、ヘッド部21がトレイ10の側面11や側面12に面接触した状態となると、本体部21の正面25a側に取り付けられているトレイ押圧片62の押圧部62bがトレイ10の装着部14の左方側に設けられた突出部17に突き当たる。突出部17は、トレイ押圧片62によってトレイ10の外側から内側に向かう方向に押圧された状態となる。そのため、ヘッド部21をトレイ10に突き当てると差込口14bが開放された状態となり、側面11や側面12に対してカード13を摺動させることにより、カード13を装着部14に自由に脱着できる状態となる。
【0153】
ここで、上記したように、モータ113は、センサ117によって偏心部115が受圧壁23e側に到来したことを検知するまで動作を継続する。そのため、図8のようにヘッド部21のローラ58がカード13に当接した状態となってもモータ113は動作を継続する。図8に示す状態でモータ113の動作が継続されると、偏心カム112によって受圧壁23eを押圧することにより偏心カム112側に作用する反作用力Frが次第に大きくなる。そして、この反作用力Frが偏心カム112が取り付けられた移動部102を受圧壁23e側に引っ張る引っ張り力Faよりも大きくなると、図9のように偏心カム112が移動部102と共に受圧壁23eから離れる方向に逃げる。これにより、ローラ58がカード13に対して適度な押圧力で押圧され、ローラ58とカード13とがぴったりと面接触した状態となると共に、偏心カム112が回転を続けてもカード13に対して過度な負荷が作用しない。
【0154】
図9に示すように偏心カム112の偏心部115が受圧壁23e側に到来したことがセンサ117によって検知されると、制御手段は、位置調整機構部100のモータ113への通電を停止し、本体部25側のモータ18への通電を開始する。これにより、モータ18の動力がヘッド21側に伝達され、ヘッド部21の出力軸45およびこれに取り付けられたローラ58が回転しはじめる。
【0155】
ローラ58が回転すると、ローラ58に面接触しているカード13が側面11あるいは側面12に沿う方向に摺動し、差込口14bから抜け出る。差込口14bから抜け出たカード13は、ヘッド部21に隣接する位置に開口しているヘッド側カード出入口60を介してカード通路70に送り込まれる。
【0156】
図1のようにカード13がカード通路70側に送り込まれ、ヘッド部21の背面側に設けられたカード位置検出センサ28によるカード13の検知信号が途絶えた時点、すなわちカード13の末端部分がカード位置検出センサ28の設置位置を通過した時点で、制御手段はアクチュエーター29を作動させる。これにより、図21(b)に矢印Xで示すようにヘッド部21が本体部25側に引っ込み、図21(c)のようにトレイ10の側面11や側面12から完全に離れた状態となる。そのため、カード通路70内においてカード13を送る間、モータ18を動作させることによりヘッド部21のローラ58が回転を継続してもローラ58とトレイ10との間で摩擦が起こらず、ローラ58が摩耗しない。
【0157】
上記したようにしてカード通路70内にカード13が送り込まれると、カード13は、カード通路70に沿って配置されたローラ87〜89から動力を受けて送り側出入口76側に送られ、カード表示変更装置3に送り込まれる。カード13がカード表示変更装置3に送り込まれると、制御手段は、カード表示変更装置3を動作させ、カード13に記されている情報の表示変更を行う。
【0158】
カード表示変更装置3においてカード13の表示変更が完了すると、カード13が脱着装置2の本体部25に設けられた送り側出入口76に戻される。これと同時、あるいは、カード表示変更装置3にカード13が送り込まれた時点で、制御手段は、モータ18への通電状態を切り替え、モータ18の出力軸18aの回転を逆転させる。これにより、カード送り部22のローラ87〜89やヘッド部21のローラ58,58がカード13をトレイ10から取り外した際の回転方向に対して逆方向に回転する。そのため、カード表示変更装置3から戻されたカード13は、カード通路70内をヘッド部21側に向けて流れ、図21(c)のようにヘッド側カード出入口60から本体部25の外側に突出する。
【0159】
カード13がヘッド側カード出入口60から突出し、カード位置検出センサ28により検知されると、制御手段は、アクチュエーター29への通電を停止し、伸縮軸29aを元の状態、すなわち正面25a側に伸びた状態に戻す。これにより、図21(b)のようにカード13がヘッド部21のローラ58,58とトレイ10の側面11あるいは側面12との間に挟まった状態となる。これにより、ローラ58,58の動力がカード13に伝わり、カード13がトレイ10の装着部14に挿入される。
【0160】
カード有無検出センサ49によってカード13が装着部14に収容されたことが検知されると、制御手段は、本体部25に設けられたモータ18への通電を停止する。その後、制御手段は、位置調整機構部100のモータ113への通電を開始し、偏心カム112を図9の矢印Z方向に回転させる。これにより、偏心カム112の偏心部115が次第に受圧壁23eから遠ざかり、本体部25が台座部33bに取り付けられたバネ64によってトレイ10から引き離される。
【0161】
上記したようにしてカード13の脱着および表示変更が完了すると、制御手段は、搬送装置15aの上方に配されたハンドリング装置15bを作動させ、トレイ10を搬送装置15aからトレイ排出装置8の前方に配された載置棚54に移載される。これにより、表示変更装置1は、トレイ10に対する一連の処方動作を完了する。
【0162】
続いて、本実施形態の投薬システム5の運用について図23に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。投薬システム5が起動されると、投薬システム5の制御装置は、医師等の指示に基づく処方オーダーデータが入力されるのを待つ(ステップ1)。ここで、処方オーダーデータとは、処方対象である患者の氏名や性別、年齢、病棟、病室番号、住所、電話番号、ID番号、保険証番号、投薬歴、病歴、病状、身長、体重、処方箋、注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等、医師等によって適宜選択されたデータを指す。
【0163】
ステップ1において処方オーダーデータが入力されると、トレイ供給装置6から搬送装置15に対してトレイ10が払い出され、搬送装置15によって下流側に搬送される。一方、制御装置は、予め入力された処方オーダーデータに基づいて薬剤払出装置7を動作させ、薬剤を準備する。薬剤払出装置7において薬剤の準備が完了し、トレイ10が薬剤払出装置7に到達すると、トレイ10に対して薬剤を投入可能な状態となる。
【0164】
薬剤払出装置7において薬剤の投入準備が完了すると、薬剤がトレイ10に投入される。これと共に、制御手段は、薬剤払出装置7あるいはこれよりも下流側に存在する図示しないプリンタを作動させ、トレイ10に投入された薬剤に関する処方箋や注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等のデータを印刷し、この印刷物を薬剤と共にトレイ10に投入させる。これにより、トレイ10への薬剤の投入動作が完了する(ステップ2)。
【0165】
ステップ2において薬剤の投入動作が完了すると、トレイ10が薬剤払出装置7からトレイ排出装置8に向けて送り出される。トレイ10がトレイ排出装置8に到達すると、表示変更装置1が上記した手順で動作し、トレイ10の側面11あるいは側面12に装着されているカード13が書き換えられる(ステップ3)。ステップ3においてカード13の書き換えが完了すると、トレイ排出装置8のハンドリング装置15bが作動し、トレイ10がトレイ排出装置8の前方に準備された載置棚54に移載される。これにより、トレイ10の払出動作が完了する(ステップ4)。
【0166】
ステップ4において載置棚54へのトレイ10の搭載が完了すると、ステップ5においてトレイ10に収容されている薬剤と、トレイ10に収容されている上記した印刷物とが照合され、トレイ10内に薬剤が正しく払い出されているかを確認する薬剤監査動作が行われる。ここで、薬剤監査動作は、医師や薬剤師、看護師等による目視による確認方法や、薬剤に付されたタグやバーコード等を利用した機械的な確認方法等から適宜選択された一又は複数の方法により行われる。
【0167】
ステップ5において薬剤が正しく払い出されていない場合は、トレイ10が載置棚54から除去され、上記した一連の制御による薬剤の払出動作が再度行われる。一方、ステップ5においてトレイ10に薬剤が正しく払い出されている場合は、トレイ10が載置棚54に搭載された状態で病棟等に搬送さる。載置棚54によって搬送されたトレイ10は、これに添付されているカード13に基づき、カード13に記載されている患者を担当する医師や看護師のもとに届けられる。医師や看護師は、トレイ10に収容されて処方箋や注射箋等の印刷物に基づき、トレイ10に収容されている薬剤の投薬や注射を行う。
【0168】
上記したように、本実施例において採用されている表示変更装置1は、偏心カム112を回動させることによって本体部25を回動させ、ヘッド部21をカード13やトレイ10に対し接触させるものである。そして、表示変更装置1は、ヘッド部21がカード13やトレイ10に突き当たり、偏心カム112が受圧壁23eを押圧することにより作用する反作用力Frが偏心カム112が取り付けられた移動部102を受圧壁23e側に引き寄せる引っ張り力Faよりも大きくなることを条件として、偏心カム112が移動部102と共に受圧壁23dから遠ざかる構成とされている。そのため、本実施例では、サイズや規格が異なるトレイ10が混在して供給されてきても、各トレイ10の側面11,12やカード13に対してヘッド部21のローラ58,58を適度な押圧力で面接触させることが可能である。
【0169】
さらに、本実施例の表示変更装置1では、ヘッド部21の出力軸45を支持している台座44が揺動可能に支持されている。そのため、表示変更装置1は、ヘッド部21がカード13やトレイ10に対して突き当てられると出力軸45がトレイ10の側面11,12に沿うように傾き、ローラ58,58の外周面がカード13に対して確実に面接触した状態となる。よって、表示変更装置1は、サイズや形状が多少異なるトレイ10が混在した状況下で使用されてもヘッド部21のローラ58を適度な押圧力で突き当てた状態とすることができ、カード13の脱着時にローラ58が滑ったり、ローラ58が過度な押圧力で押しつけられた状態とならない。従って、本実施例のカード表示変更装置1は、カード13を確実に脱着でき、ローラ58、58やカード13の摩耗が起こりにくい。
【0170】
上記実施形態や実施例で示した表示変更装置1は、設置状態において脱着装置2やカード表示変更装置3が水平となるように配されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図22に示すように、表示変更装置1の長手方向に延伸する軸体99によって揺動自在に支持された構成としてもよい。かかる構成とすれば、側面11,12の傾斜が異なるトレイ10が順次供給されても表示変更装置1全体が各トレイ10の側面11,12に沿うように傾斜し、ローラ58,58をカード13や側面11,12に対して確実に面接触させることができる。
【0171】
また、本実施例の表示変更装置1は、ヘッド部21を構成する枠部材35に対して連結杆29bを介してアクチュエーター29を接続した構成とし、アクチュエーター29はを動作させることにより枠部材35を入力軸43を中心として回動させ、ヘッド部21のローラ58,58をトレイ10の側面11,12やカード13に対して近接、離反させることができる。すなわち、表示変更装置1は、アクチュエーター29の作動状態に応じて、ローラ58,58と、側面11,12やカード13との間隔を調整できる。そのため、表示変更装置1は、図21(c)に示すようにカード13の脱着動作の待機中にヘッド部21を側面11,12やカード13から遠ざけておき、ローラ58やカード13、トレイ10等が摩耗したり傷ついたりするのを防止できる。
【0172】
上記したように、本実施例の表示変更装置1によればカード13等の摩耗や破損が殆ど起こらない。そのため、本実施例の投薬システム5では、表示変更可能な限りカード13を使用できる。従って、本実施例の投薬システム5によれば、摩耗や破損を起こしたカード13の交換等のメンテナンス頻度を最小限にすると共に、ランニングコストを抑制することができる。
【0173】
本実施例の表示変更装置1は、ヘッド部21をトレイ10の側面11,12に突き当てると本体部25の正面25a側であって、ヘッド部21に隣接する位置に取り付けられたトレイ押圧片62の押圧部62bがトレイ10の差込口14bを閉塞している突出部17を押し、差込口14bが開いた状態になる。そのため、表示変更装置1は、ヘッド部21をトレイ10の側面11,12に面接触させるだけで差込口14bを開状態とすることができ、カード13の脱着をスムーズに行うことができる。
【0174】
上記実施形態や実施例に示した表示変更装置1は、いずれも位置調整機構部100が偏心カム112によって脱着装置2の受圧壁23eを押圧するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば偏心カム112やモータ113を設ける代わりにヘッド部21の位置調整用に設けられたアクチュエーター29と同様のものを移動部102に取り付けた構成としてもよい。
【0175】
また、上記実施例では、投薬システム5の最下流側に配されたトレイ排出装置8に表示変更装置1を配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これよりも上流側に配されているトレイ供給装置6や薬剤払出装置7に対して設置されていてもよく、トレイ供給装置6や薬剤払出装置7、トレイ排出装置8を繋ぐ搬送経路9の中途に別途独立して配した構成としてもよい。
【0176】
また、上記実施例の投薬システム5は、上記実施形態に示した表示変更装置1を具備したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示変更装置1に代わって上記した表示変更装置150や表示変更装置170を採用した構成であってもよい。
【0177】
さらに具体的には、上記した表示変更装置1に代わって表示変更装置150を採用する場合は、表示変更装置1を採用した場合と同様に、表示ヘッド部152に対向する位置にトレイ10が到来した時点でトレイ10を一時停止させる。そして、位置調整機構部100を作動させ、図12(a),(b)に示すようにトレイ10に装着されているカード13に対してヘッド部152を押しつける。その後、搬送装置15aを動作させ、図12(c)に矢印BやCで示すようにトレイ10を表示ヘッド部152に対して相対移動させ、カード13の表示面に表示されている情報の消去や、表示面への情報の書込を行う。
【0178】
また、上記した表示変更装置1に代わって表示変更装置170を採用する場合についても、表示変更装置1,150を採用した場合と同様にしてカード172の表示部175の表示を変更することができる。さらに具体的には、表示変更装置170を採用した場合についても、表示変更装置1を採用した場合と同様に本体部151に装着されている情報通信装置171に対向する位置にトレイ10が到来するとトレイ10を一時停止させる。そして、位置調整機構部100を作動させ、トレイ10に装着されているカード172と情報通信装置171と近づける。その後、制御装置は、情報通信装置171を作動させ、患者の氏名や性別、年齢、病棟、病室番号、住所、電話番号、ID番号、保険証番号、投薬歴、病歴、病状、身長、体重、処方箋、注射箋、医師や薬剤師の所見、投薬時の注意事項等のようなトレイ10に割り当てられた患者の個人データを送受信する。これにより、カード172のデータ処理部173に個人データが記憶されると共に、この個人データの全部あるいは一部が文字や図形、バーコード等のような適宜の形態で表示部175に表示される。
【0179】
上記したように、表示変更装置170を採用した場合は、表示部175に所定のデータを表示可能であると共に、データ処理部173に様々なデータを記憶することができる。そのため、上記したように、表示変更装置170を採用する場合は、情報通信装置171とは別に用意された情報通信端末180からカード172のデータ処理部173に向けて電波を送信することにより、データ処理部173に記憶された個人データを呼び出したり、個人データを更新することができる。
【0180】
さらに具体的には、表示変更装置170を採用した場合は、例えばカード172に蓄積されている個人データを図24に示すような形態で情報通信端末180に表示させることが可能である。また、情報通信端末180に適宜のプログラム等を組み込んでおけば、例えば処方箋や注射箋と同様の監査システムを構築することができる。従って、投薬システム5において表示変更装置170を採用した場合、カード172や情報通信端末180によって構築される監査システムと図23に示す運用手順においてトレイ10に収容される処方箋や注射箋等の印刷物とを併用して投薬システム5の信頼性を向上させることが可能である。また、処方箋や注射箋等の印刷物に代わってカード172や情報通信端末180によって構築される監査システムを採用すれば、投薬システム5における紙媒体の使用量を削減したり、プリンター等の装置類を省略することができる。従って、表示変更装置170を採用すれば、投薬システム5のランニングコストや製造コストを低減することができる。
【0181】
また、表示変更装置170を採用した場合は、情報通信端末180との通信により、カード172のICチップ173bに記憶されている患者の情報や、表示部175に表示されている情報の一部又は全部を所望のタイミングで消去することも可能である。さらに具体的には、患者のプライバシーや個人情報の保護の観点からすると、トレイ10に収容された薬剤を投薬した後に、カード172の表示情報やICチップ173bに記憶されている情報を消去することが望ましい。そこで、かかる知見に基づき、表示変更装置170は、投薬が完了した時点で情報通信端末180を操作することによりカード172に向けて電波や信号を発信し、カード172の表示情報やICチップ173bに記憶情報を消去する構成としてもよい。
【0182】
さらに具体的には、表示変更装置170は、例えばカード172と情報通信端末180との通信により情報情報通信端末180に読み込まれた情報に基づき、投薬状態をモニタリングする機能を設け(図25(a)参照)、投薬が完了したことが確認された時点で図25(b)のようにカード172の表示情報や記憶情報を消去するか否かの選択を促す表示等を行い、ここでの選択に基づいてカード172の表示情報や記憶情報を消去可能な構成とすることも可能である。かかる構成によれば、患者の個人情報や記憶情報の保護に十分な配慮を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の一実施形態である表示変更装置を模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示す表示変更装置の正面図である。
【図3】図1に示す表示変更装置の背面図である。
【図4】(a)はトレイを示す正面図であり、(b)は(a)に示すトレイの側面図、(c)は(a)に示すトレイに装着されるカードを示す正面図である。
【図5】図4(b)のA部拡大図である。
【図6】図1に示す表示変更装置の第一の動作状態を示す概念図である。
【図7】図1に示す表示変更装置の第二の動作状態を示す概念図である。
【図8】図1に示す表示変更装置の第三の動作状態を示す概念図である。
【図9】図1に示す表示変更装置の第四の動作状態を示す概念図である。
【図10】(a)は図1に示す表示変更装置において採用されている位置調整機構部の正面図であり、(b)は(a)の斜視図である。
【図11】図1に示す表示変更装置の変形例を模式的に示す平面図である。
【図12】(a)は図14に示す表示変更装置の第一の動作状態を示す概念図であり、(b)は第二の動作状態を示す概念図であり、(c)は第三の動作状態を示す概念図である。
【図13】(a)はカードの変形例を示す正面図であり、(b)は(a)に示すカードの一使用例を概念的に示す模式図であり、(c)は(a)に示すカードを採用した場合の変形実施例を概念的に示す模式図である。
【図14】本発明の一実施例である投薬システムにおいて採用されているトレイ排出装置を示す斜視図である。
【図15】本発明の一実施例である投薬システムを模式的に示す斜視図である。
【図16】図14に示すトレイ排出装置において採用されている表示変更装置を模式的に示す平面図である。
【図17】図16に示す表示変更装置の正面図である。
【図18】図16に示す表示変更装置の背面図である。
【図19】(a)は図16に示すカード表示変更装置を構成するヘッド部を示す斜視図であり、(b)は(a)の分解斜視図であり、(c)はヘッド部の可動範囲を模式的に示す概念図である。
【図20】図16に示す表示変更装置において採用されているガイドフレームを示す斜視図である。
【図21】(a),(b),(c)はそれぞれ図16に示す表示変更装置の第一、第二および第三の動作状態を模式的に示す概念図である。
【図22】図16に示す表示変更装置の変形例を示す斜視図である。
【図23】図15に示す投薬システムの運用例を示すフローチャートである。
【図24】情報通信端末の表示画面の一例を概念的に示す模式図である。
【図25】(a)は投薬が完了した時点における情報通信端末の表示画面の一例を概念的に示す模式図であり、(b)はカードの表示情報や記憶情報を消去するか否かの選択を促す際の画面表示の一例を概念的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0184】
1,150,170 表示変更装置
2 脱着装置(脱着手段)
3 カード表示変更装置(表示変更手段)
5 投薬システム
10 トレイ(被搬送物)
13 カード
14 装着部
14b 差込口
17 突出部(閉止部材)
21 ヘッド部
23e 受圧壁
29 アクチュエーター(間隔調整手段)
44 台座
53 揺動軸
58 ローラ(カード移動手段)
62 トレイ押圧片(解除手段)
70 カード通路
71 ガイドフレーム(脱着側壁面)
72 ガイドフレーム(受圧側壁面)
87,88,89 ローラ(カード送り手段)
99 軸体
100 位置調整機構部(移動手段)
101 座部
102 移動部
103 駆動部
112 偏心カム(押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の側面に設けられた装着部に装着されたカードを脱着する脱着手段と、当該脱着手段を被搬送物に対して近接あるいは離反する方向に移動させる移動手段とを有し、
前記脱着手段は、被搬送物の側面に対向するヘッド部を有し、当該ヘッド部が被搬送物に対して近接離反可能なように支持されており、
前記移動手段は、被搬送物に向けて脱着手段を押圧可能な押圧部材を有し、
当該押圧部材が脱着手段を押圧することにより押圧部材に作用する反作用力が所定の大きさを越えることを条件として、押圧手段が脱着手段を押圧した状態を維持しつつ脱着手段から離反する方向に移動することを特徴とする脱着装置。
【請求項2】
移動手段は、所定位置に固定される座部と、当該座部に対して移動自在に装着された移動部と、駆動部とを有し、
前記移動部は、脱着手段に対して近接あるいは離反する方向に移動可能であり、脱着手段に対して近接する方向に付勢されたものであり、
駆動部は、前記移動部に取り付けられた駆動源と、当該駆動源から動力を受けて偏心回転する押圧部材とを有し、当該押圧部材の外周部が脱着手段に対向するように配されていることを特徴とする請求項1に記載の脱着装置。
【請求項3】
ヘッド部は、カードに対して面接触することによりカードを所定方向に送るカード移動手段を有するものであり、
当該カード移動手段と被搬送物との間隔を調整可能な間隔調整手段を具備していることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱着装置。
【請求項4】
ヘッド部は、カードに対して面接触することによりカードを所定方向に送るカード移動手段を有し、カード移動手段は、ヘッド部に対して揺動可能に支持されており、被搬送物の側面に沿うように姿勢変形可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の脱着装置。
【請求項5】
脱着手段は、被搬送物に対して揺動可能に支持されており、被搬送物の側面に沿うように姿勢変形可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の脱着装置。
【請求項6】
脱着手段は、ヘッド部との間でカードの送り戻しを行うカード通路を有し、
当該カード通路は、カードに対して直接的あるいは間接的に接触することによりカードをカード通路の延伸方向に沿って送り戻し可能なカード送り手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の脱着装置。
【請求項7】
カードを装着する装着部が一又は複数の側面に形成されており、当該側面に沿って所定の脱着方向にカードをスライドさせることにより装着部に対してカードを抜き差し可能な差込口と、当該差込口の一部又は全部を閉止する閉止部材とを備え、常時は閉止部材によって差込口が閉成されており、側面の外側から内側に向けて押圧することにより差込口を開成可能な被搬送物に対してカードを脱着するために使用されるものであり、
脱着手段は、脱着側が被搬送物の側面に近接することにより前記閉止部材を押圧し、差込口を開成する解除手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の脱着装置。
【請求項8】
カードの表示変更を行う表示変更手段と、請求項1乃至7のいずれかに記載の脱着装置とを有し、当該脱着装置は、表示変更手段との間でカードの受け渡しが可能なように接続されていることを特徴とする表示変更装置。
【請求項9】
被搬送物の側面に設けられた装着部に装着されたカードの表示情報を変更可能な表示変更手段と、当該書込手段を被搬送物に対して近接あるいは離反する方向に移動させる移動手段とを有し、
前記表示変更手段は、被搬送物の側面に対向する表示変更ヘッド部を有し、当該表示変更ヘッド部が被搬送物に対して近接離反可能なように支持されており、
前記移動手段は、被搬送物に向けて脱着手段を押圧可能な押圧部材を有し、
当該押圧部材が脱着手段を押圧することにより押圧部材に作用する反作用力が所定の大きさを越えることを条件として、押圧手段が脱着手段を押圧した状態を維持しつつ脱着手段から離反する方向に移動することを特徴とする表示変更装置。
【請求項10】
表示変更ヘッド部は、表示変更手段に対してカードを相対移動させることにより当該カードの表示情報を変更可能なものであることを特徴とする請求項9に記載の表示変更装置。
【請求項11】
カードはリライトカードであり、表示変更手段によってカードの表示情報の消去および書込を行うものであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の表示変更装置。
【請求項12】
カードは所定の情報あるいは当該情報を含むデータを受信して表示するものであり、表示変更手段は、カードに対して所定の情報あるいは当該情報を含むデータを送信可能な送信手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の表示変更装置。
【請求項13】
薬剤を収容可能な被搬送物を供給する被搬送物供給手段と、当該被搬送物供給手段から供給された被搬送物に対して所定の薬剤を供給する薬剤供給手段と、請求項8乃至12のいずれかに記載の表示変更装置とを備えており、
当該表示変更装置により被搬送物に装着されているカードの脱着動作と、当該カードの表示情報を変更する表示変更動作とを行えることを特徴とする投薬システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−150036(P2006−150036A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35521(P2005−35521)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】