説明

脱硫設備の石膏脱水装置

【課題】脱水性能を維持すること。
【解決手段】排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置2において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えた場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石灰石膏法を用いた脱硫設備において石膏ケーキの脱水を行う石膏脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガス中のSOを石灰石膏法にて脱硫処理する脱硫設備では、脱硫過程で生成された石膏スラリーを脱水して石膏を得る石膏脱水装置が適用されている。石膏脱水装置の方式の一つにベルトフィルタがあり、該脱水装置は、濾布をベルト状に配置し、該ベルト下部に真空ポンプおよび減圧機構を備え、濾布ベルトを水平方向に進行させつつベルト上に供給した石膏スラリーからベルト下部より真空吸引することにより水分を脱水するものである。しかし、石膏スラリー中には、微細な不純物、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、未燃カーボンなどからなる微粒子ダストが含まれている。このため、石膏スラリーから水分が抜き出されつつ均一な厚みで形成されるベルトフィルタ上の石膏ケーキの表面の最上層に、微粒子ダストの層が形成されると、真空吸引する際の通気性を悪化させ、脱水性能の低下を引き起こす。脱水性能が低下すると、石膏ケーキの付着性が増し搬送過程で周囲に付着する問題が生じることから品質が基準(例えば、10wt%)を満たさず、製品石膏として売却することができなくなるため、産業廃棄物として処理する処理費用を要すことになる。
【0003】
そこで、従来、例えば、特許文献1に記載のベルトフィルタでは、櫛歯状のせきをベルトフィルタの長手方向に複数段設け、該せきの下端が石膏ケーキの上層に掛かるようにして石膏ケーキの表面に形成される微粒子層をかき乱すことで脱水性を向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−128670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した特許文献1に記載のベルトフィルタでは、上記石膏スラリー中の不純物や塩濃度が過多となると、せきによりかき乱した部分に石膏スラリーが流入して、脱水性を再び阻害してしまい、期待する効果が得られないおそれがある。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、脱水性能を維持することのできる脱硫設備の石膏脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキを温水または蒸気により加温する加温手段と、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記加温手段による加温状態を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタにおける脱水後の石膏ケーキ中の水分濃度を水分測定手段を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができる。
【0009】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする。
【0010】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0011】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする。
【0012】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、不純物塩濃度測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0013】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする。
【0014】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、ろ過比抵抗測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0015】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする。
【0016】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0017】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、をさらに備え、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする。
【0018】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段とろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下不足の初期兆候を把握することができる。
【0019】
上述の目的を達成するために、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタにおける脱水後の石膏ケーキ中の水分濃度を水分測定手段を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができる。
【0021】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする。
【0022】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0023】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする。
【0024】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、不純物塩濃度測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0025】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする。
【0026】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、ろ過比抵抗測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0027】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段の少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする。
【0028】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0029】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする。
【0030】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段とろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0031】
上述の目的を達成するために、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキを温水または蒸気により加温する加温手段と、前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタにおける脱水後の石膏ケーキ中の水分濃度を水分測定手段を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができる。
【0033】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0034】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0035】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0036】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、不純物塩濃度測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0037】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0038】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、ろ過比抵抗測定手段からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0039】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0040】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0041】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0042】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段とろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【0043】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記石膏ケーキの表面温度を測定する表面温度測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記表面温度測定手段から入力された表面温度が所定値以下でない場合、前記加温手段による加温を減らす制御をすることを特徴とする。
【0044】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキの表面温度が所定値以下に維持される。これにより、蒸気の凝縮による水分過多を防ぎ、石膏ケーキに水分が増す事態を抑制できる。
【0045】
また、本発明の脱硫設備の石膏脱水装置では、前記吸収塔における前記硫黄酸化物の吸収量を測定する脱硫量測定手段と、前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの搬送量を可変する搬送量可変手段と、前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えても、前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との各入力値が所定の設定値を逸脱しない場合には、前記脱硫量測定手段から入力された吸収量が所定量を超えた場合に、前記搬送量可変手段による搬送量の増加と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする。
【0046】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、石膏ケーキを脱水する脱水性能を維持することができ、しかも、吸引圧力測定手段と不純物塩濃度測定手段とろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候の把握がし難い場合であっても、脱硫量測定手段からの入力値により脱水性能低下の初期兆候を把握することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、脱水性能を低下させる要因を未然に排除することで、脱水性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、脱硫設備が適用される排ガス処理システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る脱硫設備の石膏脱水装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係る脱硫設備の石膏脱水装置における制御のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2に係る脱硫設備の石膏脱水装置の概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係る脱硫設備の石膏脱水装置における制御のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態3に係る脱硫設備の石膏脱水装置の概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3に係る脱硫設備の石膏脱水装置における制御のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態4に係る脱硫設備の石膏脱水装置の概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態4に係る脱硫設備の石膏脱水装置における制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0050】
[実施の形態1]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態に係る脱硫設備が適用される排ガス処理システムの概略図である。
【0051】
図1に示すように、排ガス処理システム100は、発電プラントや工場などのボイラ101から排出される排ガスGが煙突108から放出される過程で、当該排ガスGに含まれる窒素酸化物(NOx)、煤塵、硫黄酸化物(SOx)および二酸化炭素(CO)を除去するものである。
【0052】
ボイラ101から排出された排ガスGは、触媒が充填された脱硝設備102に導入される。脱硝設備102において、還元剤として注入されるアンモニア(NH)により、排ガスGに含まれる窒素酸化物が水と窒素とに還元され無害化される。
【0053】
脱硝設備102を経た排ガスGは、ガスガスヒータの熱交換器である熱回収設備103に導入され、熱媒体(水など)と熱交換を行うことにより、熱回収される。熱回収設備103を経た排ガスGの温度は、例えば、90〜100℃となり電気集塵機104での集塵能力が向上される。
【0054】
熱回収設備103を経た排ガスGは、電気集塵機104に導入され煤塵が除去される。
【0055】
電気集塵機104を経た排ガスGは、脱硫設備105に導入される。脱硫設備105では、石灰石(CaCO)により、排ガスG中の硫黄酸化物が吸収除去され、副生成物として石膏(CaSO.2HO)が生成される。そして、脱硫設備105を経た排ガスGの温度は、一般に50℃程に低下する。
【0056】
脱硫設備105を経た排ガスGは、ガスガスヒータの熱交換器である再加熱設備106に導入される。再加熱設備106は、上記熱回収設備103との間で熱媒体を循環する過程で、熱回収設備103により回収された回収熱により排ガスGを加熱する。排ガスGは、脱硫設備105を経た50℃程の温度では、低温のため拡散しにくく白煙になるおそれがあるが、再加熱設備106で90℃に再加熱されることで、白煙を生じることなく煙突108から大気開放される。
【0057】
再加熱設備106を経た排ガスGは、脱炭設備107に導入される。脱炭設備107では、排ガスG中の二酸化炭素(CO)を、石灰石を含む吸収液(CaCO)に吸収させることで、排ガスGから二酸化炭素を除去する。
【0058】
上述の脱硫設備105について図を参照して説明する。図2は、本実施の形態の脱硫設備の石膏脱水装置を示す概略図である。図2に示すように、脱硫設備105は、吸収塔1に、石膏脱水装置2が付設されている。
【0059】
吸収塔1は、本実施の形態では、上部から排ガスGを導入する入側液柱塔1aと、上部から脱硫処理済みの排ガスGを排出する出側液柱塔1bとを並設し、これらを底部の貯留タンク1cで連通して構成されている。
【0060】
吸収塔1は、貯留タンク1cに石灰石を含む吸収液(以下、吸収液という)Aが貯留されている。この吸収液Aは、吸収液循環ポンプ1dにより圧送されつつ、液柱塔1a,1bの外部の吸収液ヘッダ1eを経て各液柱塔1a,1b内のノズル1fに供給される。ノズル1fに供給された吸収液Aは、上方に向かって液柱状に噴射された後、流下して貯留タンク1cに再び貯留される。なお、貯留タンク1cには、攪拌機1gが設けられており、当該攪拌機1gにより吸収液Aが攪拌されることにより、吸収液A中の石膏粒子および石灰石粒子の沈降を防止している。
【0061】
一方、排ガスGは、入側液柱塔1aの上部から導入されて下方に向かって流れ、貯留タンク1c上方の空間部を通過してこの出側液柱塔1bに移動する。その後、この出側液柱塔1bを上方に向かって流れる。その際、各液柱塔1a,1b内を流動する排ガスGに、ノズル1fから噴射されつつ下流する吸収液Aが向流接触する。このため、排ガスG中の硫黄酸化物が吸収液Aに吸収され、排ガスGから除去される。硫黄酸化物が除去された排ガスGは、出側液柱塔1bの上部から排出されて次の設備に送られる。
【0062】
なお、吸収塔は、2つの液柱塔1a,1bを並設した構成に限らず、例えば、図には明示しないが、下方部から導入した排ガスGを、上部から排出する間で、吸収液に接触される1つの液柱塔により構成されていてもよい。また、吸収液Aと排ガスGとの接触には、上述した向流接触の他、流下する吸収液Aに対して排ガスGが並行して流される並流接触や、向流接触と並流接触とを組み合わせた向・並流接触がある。
【0063】
石膏脱水装置2は、吸収塔1の貯留タンク1cから、吸収液Aが硫黄酸化物を吸収した石膏スラリーSSを抜き出す抜出部21と、抜出部21から供給される石膏スラリーSSから脱水し均一な厚さの石膏ケーキSCを形成するベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCから水分を吸引する真空吸引機構23とを備えている。
【0064】
抜出部21は、貯留タンク1cに一端が接続され他端がベルトフィルタ22に至る抜出管21aの途中に、抜出ポンプ21bが設けられている。すなわち、貯留タンク1c内の石膏スラリーSSは、抜出ポンプ21bにより圧送されて抜出管21aを経てベルトフィルタ22に供給される。また、抜出管21aは、抜出ポンプ21bの下流側にバルブ21cが設けられている。バルブ21cは、抜出管21aを通過する石膏スラリーSSの流量を増減し、ベルトフィルタ22への石膏スラリーSSの供給量を調整する。また、抜出管21aは、バルブ21cの下流側に、貯留タンク1cに至り分岐して接続された戻管21dが設けられている。戻管21dは、貯留タンク1cから抜出管21aを経て抜き出された石膏スラリーSSの一部を、貯留タンク1cに戻す。さらに、戻管21dは、バルブ21eが設けられている。バルブ21eは、戻管21dを経て貯留タンク1cに戻される石膏スラリーSSの流量を増減し、貯留タンク1cへの石膏スラリーSSの戻り量を調整する。
【0065】
ベルトフィルタ22は、濾布からなるフィルタが無端状のベルト22aと、当該ベルト22aを架け回す少なくとも1対のローラ22bと、ローラ22bを回転駆動することでベルト22aを循環させるモータなどの駆動部22cとで構成されている。ベルト22aの上には、抜出部21により石膏スラリーSSが供給される。このため、石膏スラリーSSがベルト22aの循環方向に搬送される。また、図には明示しないが、ベルトフィルタ22は、石膏スラリーSSが供給されるベルトの上流側で、当該石膏スラリーSSを脱水し均一な厚さの石膏ケーキSCを形成するように構成されている。なお、駆動部22cは、後述する実施の形態2,3,4において、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段として構成されている。
【0066】
真空吸引機構23は、ベルトフィルタ22aにより石膏スラリーSSが石膏ケーキSCとして脱水される範囲にて、ベルトフィルタ22のベルト22aがローラ22bにより架け回された内部に設けられた吸引口部23aと、吸引口部23aに対して管で接続された気液分離部23bと、気液分離部23bに対して管で接続された吸気ポンプ23cおよび吸水ポンプ23dとを備えている。すなわち、吸気ポンプ23cにより、気液分離部23bを介して吸引口部23aに負圧が付与されることで、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCから水分が吸引される。吸引された水分は、吸引口部23aから気液分離部23bのタンク下部に貯留される。吸気ポンプ23cは、気液分離部23bのタンク上部に接続されており、タンク下部に貯留された水分を吸引することはない。一方、気液分離部23bのタンク下部に貯留された水分は、当該タンク下部に接続された吸水ポンプ23dにより吸引されて排水される。
【0067】
このように、石膏脱水装置2は、抜出部21により吸収塔1の貯留タンク1cから石膏スラリーSSを抜き出し、ベルトフィルタ22により石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとし、真空吸引機構23により石膏ケーキSCの水分を吸引することで脱水された石膏Sを得る。また、ベルトフィルタ22の下流には、脱水された石膏Sを受けるホッパ24が設けられており、このホッパ24から石膏Sが排出される。
【0068】
また、本実施の形態の石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを加温する加温手段25を備えている。加温手段25は、石膏ケーキSCに対して温水を噴霧する温水加温式と、石膏ケーキSCに対して蒸気を噴霧する蒸気加温式とがある。
【0069】
温水加温式の加温手段25は、上水道から流量調整バルブを介して供給された水を貯留する水タンク25aと、水タンク25aに一端が接続され、ベルトフィルタ22に至る他端にノズルが設けられた供給管25bと、供給管25bの途中に設けられた給水ポンプ25cと、供給管25bの途中に設けられて蒸気の熱により供給管25bの水を加温する加温部25dとを備えている。供給管25bの他端側は、複数(本実施の形態では2つ)に分岐して形成されている。そして、供給管25bの分岐された各他端は、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの搬送方向に沿って多段(本実施の形態では2段)にノズルが配置されるように設けられている。なお、図には明示しないが、供給管25bのノズルは、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの搬送方向に直交して配置されたノズル管に、石膏ケーキSCの幅方向に対応して噴射口が複数設けられている。また、供給管25bの分岐された各他端側には、流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fが設けられている。流量調整バルブ25eは、供給管25bの分岐された各他端側の少なくとも1つに設けられている。開閉バルブ25fは、その他の他端側に設けられている。
【0070】
この温水加温式の加温手段25は、水タンク25aに貯留された水が、給水ポンプ25cにより供給管25bを介してベルトフィルタ22に至る過程で、加温部25dにより加温された温水となり、ベルトフィルタ22の石膏ケーキSCに対してノズルから噴霧されることで、石膏ケーキSCが加温される。また、加温手段25は、供給管25bの他端側が複数に分岐され、石膏ケーキSCの搬送方向に沿ってノズルが多段に設けられていることで、複数段のノズルから温水を噴射させ石膏ケーキSCを加温する加温温度が高められる(Q2)。また、流量調整バルブ25eによりノズルから噴射される温水の流量を増加調整して石膏ケーキSCを加温する加温温度が高められる(Q1)。さらに、複数段のノズルから温水を噴射させ、かつ流量調整バルブ25eによりノズルから噴射される温水の流量を増加調整して石膏ケーキSCの温度が高められる(Q1+Q2)。
【0071】
蒸気加温式の加温手段25は、上述した加温部25dの蒸気を供給管25bに直接供給する。この蒸気加温式の加温手段25は、加温部25dの蒸気がベルトフィルタ22の石膏ケーキSCに対してノズルから噴霧されることで、石膏ケーキSCが加温される。また、加温手段25は、供給管25bの他端側が複数に分岐され、石膏ケーキSCの搬送方向に沿ってノズルが多段に設けられていることで、複数段のノズルから蒸気を噴射させ石膏ケーキSCを加温する加温温度が高められる(Q2)。また、流量調整バルブ25eによりノズルから噴射される蒸気の流量を増加調整して石膏ケーキSCを加温する加温温度が高められる(Q1)。さらに、複数段のノズルから蒸気を噴射させ、かつ流量調整バルブ25eによりノズルから噴射される蒸気の流量を増加調整して石膏ケーキSCの温度が高められる(Q1+Q2)。
【0072】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1を備えている。水分測定手段H1は、例えば、非接触で水分を計る赤外線式がある。この水分測定手段H1は、ベルトフィルタ22において脱水された石膏Sをホッパ24に供給する直前に配置されている。
【0073】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22の真空圧、すなわち真空吸引機構23における吸気ポンプ23cの吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1を備えている。
【0074】
また、石膏脱水装置2は、吸収塔1の吸収液A中の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1を備えている。不純物としては、例えば、ClやMgなどであり、この塩濃度を測定する。不純物塩濃度測定手段C1は、吸収塔1内の吸収液Aの電導度と塩濃度との相関を予め取得し、電導度を測定することで塩濃度を推定する。
【0075】
また、石膏脱水装置2は、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αを備えている。ろ過比抵抗測定手段αは、抜出部21の抜出管21aの途中に設けられ、抜出管21aに流通する石膏スラリーSSを一部取り出し、公知の式に準じてろ過比抵抗、すなわちろ過し易さの度合いを測定する。
【0076】
また、石膏脱水装置2は、石膏ケーキSCの表面温度を測定する表面温度測定手段T2を備えている。表面温度測定手段T2は、例えば、非接触の表面温度を計る赤外線式がある。この表面温度測定手段T2は、ベルトフィルタ22において脱水された直後の石膏Sを受けるホッパ24に配置されている。
【0077】
上述した水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2の測定データは、制御手段26に入力される。制御手段26は、電算機などで構成されている。制御手段26は、RAMやROMなどから構成されてプログラムやデータが格納される記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部に格納されるデータは、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2で測定される値に対応する設定値がある。水分測定手段H1の設定値は、例えば、10wt%であり、石膏Sの品質基準を示す。吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αの設定値は、石膏Sの品質基準を満たすように石膏脱水装置2を稼動する際に設定されたものである。また、制御手段26は、加温手段25の流量調整バルブ25eおよび開閉バルブ25fが接続されている。この制御手段26は、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2からの入力値に基づき、記憶部に格納されたプログラムやデータに従って、加温手段25の流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fを制御する。
【0078】
制御手段26による制御について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
図3に示すように、まず、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST1)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST3)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力し(ステップST4)、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗を入力する(ステップST5)。次に、真空圧が設定値よりも増加(ステップST6:Yes)、塩濃度が設定値よりも増加(ステップST7:Yes)、ろ過比抵抗が設定値よりも増加(ステップST8:Yes)、のすくなくとも1つである場合、制御手段26は、加温手段25による加温を増す制御をする(ステップST9)。すなわち、制御手段26は、流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fを開方向に制御し、複数段のノズルから温水または蒸気を噴射するか(Q2)、ノズルから噴射される温水または蒸気の流量を増加調整するか(Q1)、複数段のノズルから温水または蒸気を噴射し、かつノズルから噴射される温水または蒸気の流量を増加調整する(Q1+Q2)ことで石膏ケーキSCを加温する加温温度を高める。
【0080】
石膏ケーキSCを加温する加温温度を高めることで、塩が溶解されるので、水粘度が低下され、石膏ケーキSCからの水分の吸引性が高まり、脱水性能が回復する。
【0081】
次に、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST10)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満である場合(ステップST11:Yes)、制御手段26は、表面温度測定手段T2から石膏ケーキSCの表面温度を入力する(ステップST12)。次に、石膏ケーキSCの表面温度が所定値以下である場合(ステップST13:Yes)、制御手段26は、加温手段25を制御初期の状態に戻し(ステップST14)、本制御を終了する。
【0082】
一方、ステップST13において、石膏ケーキSCの表面温度が所定値以下でない場合(ステップST13:No)、制御手段26は、加温手段25による加温を減らす制御をする(ステップST15)。すなわち、制御手段26は、流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fを閉方向に制御し、ノズルの段数を減らすか、ノズルから噴射される温水または蒸気の流量を減少調整するか、ノズルの段数を減らし、かつノズルから噴射される温水または蒸気の流量を減少調整することで石膏ケーキSCを加温する加温温度を下げる。次に、制御手段26は、ステップST10に戻り、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する。
【0083】
石膏ケーキSCの表面温度を所定値以下に維持することで、特に蒸気の凝縮による水分過多を防ぎ、石膏ケーキSCに水分が増す事態を抑制できる。
【0084】
なお、ステップST11において、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満でない場合(ステップST11:No)、ステップST9に戻る。また、ステップST6において真空圧が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST6:No)、ステップST7において塩濃度が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST7:No)、ステップST8においてろ過比抵抗が設定値よりも増加していない場合(ステップST8:No)には、後述の実施の形態4の制御に移行する。
【0085】
このように、実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0086】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0087】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST2で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧のみを入力し(ステップST3)、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST4)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST5)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力により制御を行う。
【0088】
すなわち、本実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0089】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0090】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST2で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度のみを入力し(ステップST4)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST3)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST5)を行わなくてもよい。すなわち、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0091】
このように、実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、吸収塔1内の不純物しての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ不純物塩濃度測定手段C1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0092】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、不純物塩濃度測定手段C1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0093】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST2で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗のみを入力し(ステップST5)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST3)、および、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST4)を行わなくてもよい。すなわち、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力により制御を行う。
【0094】
このように、実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつろ過比抵抗測定手段αからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0095】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、ろ過比抵抗測定手段αからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0096】
また、上述した制御手段26による制御において、ステップST2で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST3)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力して(ステップST4)、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST5)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力、および不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0097】
このように、実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0098】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0099】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST2で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST2:Yes)、制御手段26は、ステップST9に移行して、加温手段25による加温を増す制御をしてもよい。すなわち、ステップST3〜ステップST8の制御をしなくてもよい。
【0100】
このように、実施の形態1の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えた場合、加温手段25による加温状態を制御する制御手段26とを備える。
【0101】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。
【0102】
[実施の形態2]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図4は、本実施の形態の脱硫設備の石膏脱水装置を示す概略図である。なお、以下に説明する実施の形態2において、上述した実施の形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0103】
図4に示すように、本実施の形態の石膏脱水装置2は、上述した実施の形態1の石膏脱水装置における加温手段25を備えていない。この石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22において、駆動部22cが、ローラ22bの回転速度を可変することで、ベルト22aによるベルト進行速度を可変する速度可変手段として構成されている。速度可変手段は、ローラ22bの回転速度を加速させることで、ベルト進行速度(V1)を速くし、これにより石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させる。逆に、速度可変手段は、ローラ22bの回転速度を減速させることで、ベルト進行速度(V1)を遅くし、これにより石膏ケーキSCの厚み(D1)を増加させる。
【0104】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1を備えている。水分測定手段H1は、例えば、非接触で水分を計る赤外線式がある。この水分測定手段H1は、ベルトフィルタ22において脱水された石膏Sをホッパ24に供給する直前に配置されている。
【0105】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22の真空圧、すなわち真空吸引機構23における吸気ポンプ23cの吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1を備えている。
【0106】
また、石膏脱水装置2は、吸収塔1の吸収液A中の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1を備えている。不純物としては、例えば、ClやMgなどであり、この塩濃度を測定する。不純物塩濃度測定手段C1は、吸収塔1内の吸収液Aの電導度と塩濃度との相関を予め取得し、電導度を測定することで塩濃度を推定する。
【0107】
また、石膏脱水装置2は、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αを備えている。ろ過比抵抗測定手段αは、抜出部21の抜出管21aの途中に設けられ、抜出管21aに流通する石膏スラリーSSを一部取り出し、公知の式に準じてろ過比抵抗、すなわちろ過し易さの度合いを測定する。
【0108】
上述した水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αの測定データは、制御手段26に入力される。制御手段26は、電算機などで構成されている。制御手段26は、RAMやROMなどから構成されてプログラムやデータが格納される記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部に格納されるデータは、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αで測定される値に対応する設定値がある。水分測定手段H1の設定値は、例えば、10wt%であり、石膏Sの品質基準を示す。吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αの設定値は、石膏Sの品質基準を満たすように石膏脱水装置2を稼動する際に設定されたものである。また、制御手段26は、ベルトフィルタ22の駆動部(速度可変手段)22cが接続されている。この制御手段26は、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αからの入力値に基づき、記憶部に格納されたプログラムやデータに従って、ベルトフィルタ22の駆動部22cを制御する。
【0109】
制御手段26による制御について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0110】
図5に示すように、まず、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST21)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST23)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力し(ステップST24)、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗を入力する(ステップST25)。次に、真空圧が設定値よりも増加(ステップST26:Yes)、塩濃度が設定値よりも増加(ステップST27:Yes)、ろ過比抵抗が設定値よりも増加(ステップST28:Yes)、のすくなくとも1つである場合、制御手段26は、速度可変手段によるベルト進行速度の制御をする(ステップST29)。すなわち、制御手段26は、ベルトフィルタ22の駆動部22cを制御してローラ22bの回転速度を加速させることで、ベルト進行速度(V1)を速くし、これにより石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させる。
【0111】
石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させると、ろ過比抵抗が低下することから、脱水性能が回復する。
【0112】
次に、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST30)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満である場合(ステップST31:Yes)、制御手段26は、速度可変手段を制御初期の状態に戻し(ステップST32)、本制御を終了する。
【0113】
なお、ステップST31において、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満でない場合(ステップST31:No)、ステップST29に戻る。また、ステップST26において真空圧が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST26:No)、ステップST27において塩濃度が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST27:No)、ステップST28においてろ過比抵抗が設定値よりも増加していない場合(ステップST28:No)には、後述の実施の形態4の制御に移行する。
【0114】
このように、実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0115】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0116】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST22で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧のみを入力し(ステップST23)、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST24)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST25)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力により制御を行う。
【0117】
すなわち、本実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0118】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0119】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST22で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度のみを入力し(ステップST24)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST23)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST25)を行わなくてもよい。すなわち、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0120】
このように、実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ不純物塩濃度測定手段C1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0121】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、不純物塩濃度測定手段C1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0122】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST22で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗のみを入力し(ステップST25)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST23)、および、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST24)を行わなくてもよい。すなわち、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力により制御を行う。
【0123】
このように、実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつろ過比抵抗測定手段αからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0124】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、ろ過比抵抗測定手段αからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0125】
また、上述した制御手段26による制御において、ステップST22で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST23)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力して(ステップST24)、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST25)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力、および不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0126】
このように、実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物しての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0127】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0128】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST22で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST22:Yes)、制御手段26は、ステップST29に移行して、速度可変手段によるベルト進行速度の制御をしてもよい。すなわち、ステップST23〜ステップST28の制御をしなくてもよい。
【0129】
このように、実施の形態2の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えた場合、速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段26とを備える。
【0130】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。
【0131】
[実施の形態3]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図6は、本実施の形態の脱硫設備の石膏脱水装置を示す概略図である。なお、以下に説明する実施の形態3において、上述した実施の形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0132】
図6に示すように、本実施の形態の石膏脱水装置2は、上述した実施の形態1の石膏脱水装置における加温手段25と、上述した実施の形態2の速度可変手段(駆動部22c)とを備えている。
【0133】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1を備えている。水分測定手段H1は、例えば、非接触で水分を計る赤外線式がある。この水分測定手段H1は、ベルトフィルタ22において脱水された石膏Sをホッパ24に供給する直前に配置されている。
【0134】
また、石膏脱水装置2は、ベルトフィルタ22の真空圧、すなわち真空吸引機構23における吸気ポンプ23cの吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1を備えている。
【0135】
また、石膏脱水装置2は、吸収塔1の吸収液A中の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1を備えている。不純物としては、例えば、ClやMgなどであり、この塩濃度を測定する。不純物塩濃度測定手段C1は、吸収塔1内の吸収液Aの電導度と塩濃度との相関を予め取得し、電導度を測定することで塩濃度を推定する。
【0136】
また、石膏脱水装置2は、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αを備えている。ろ過比抵抗測定手段αは、抜出部21の抜出管21aの途中に設けられ、抜出管21aに流通する石膏スラリーSSを一部取り出し、公知の式に準じてろ過比抵抗、すなわちろ過し易さの度合いを測定する。
【0137】
また、石膏脱水装置2は、石膏ケーキSCの表面温度を測定する表面温度測定手段T2を備えている。表面温度測定手段T2は、例えば、非接触の表面温度を計る赤外線式がある。この表面温度測定手段T2は、ベルトフィルタ22において脱水された直後の石膏Sを受けるホッパ24に配置されている。
【0138】
上述した水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2の測定データは、制御手段26に入力される。制御手段26は、電算機などで構成されている。制御手段26は、RAMやROMなどから構成されてプログラムやデータが格納される記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部に格納されるデータは、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2で測定される値に対応する設定値がある。水分測定手段H1の設定値は、例えば、10wt%であり、石膏Sの品質基準を示す。吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、および、ろ過比抵抗測定手段αの設定値は、石膏Sの品質基準を満たすように石膏脱水装置2を稼動する際に設定されたものである。また、制御手段26は、加温手段25の流量調整バルブ25eおよび開閉バルブ25fと、ベルトフィルタ22の駆動部(速度可変手段)22cとが接続されている。この制御手段26は、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および表面温度測定手段T2からの入力値に基づき、記憶部に格納されたプログラムやデータに従って、加温手段25の流量調整バルブ25eや開閉バルブ25f、およびベルトフィルタ22の駆動部22cを制御する。
【0139】
制御手段26による制御について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0140】
図7に示すように、まず、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST41)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST43)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力し(ステップST44)、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗を入力する(ステップST45)。次に、真空圧が設定値よりも増加(ステップST46:Yes)、塩濃度が設定値よりも増加(ステップST47:Yes)、ろ過比抵抗が設定値よりも増加(ステップST48:Yes)、のすくなくとも1つである場合、制御手段26は、加温手段25による加温を増す制御をする(ステップST49)。すなわち、制御手段26は、流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fを開方向に制御し、複数段のノズルから温水または蒸気を噴射するか(Q2)、ノズルから噴射される温水または蒸気の流量を増加調整するか(Q1)、複数段のノズルから温水または蒸気を噴射し、かつノズルから噴射される温水または蒸気の流量を増加調整する(Q1+Q2)ことで石膏ケーキSCを加温する加温温度を高める。さらに、制御手段26は、速度可変手段によるベルト進行速度の制御をする(ステップST50)。すなわち、制御手段26は、ベルトフィルタ22の駆動部22cを制御してローラ22bの回転速度を加速させることで、ベルト進行速度(V1)を速くし、これにより石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させる。
【0141】
石膏ケーキSCを加温する加温温度を高めることで、塩が溶解されるので、水粘度が低下され、石膏ケーキSCからの水分の吸引性が高まり、脱水性能が回復する。また、石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させると、ろ過比抵抗が低下することから、脱水性能が回復する。
【0142】
次に、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST51)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満である場合(ステップST52:Yes)、制御手段26は、表面温度測定手段T2から石膏ケーキSCの表面温度を入力する(ステップST53)。次に、石膏ケーキSCの表面温度が所定値以下である場合(ステップST54:Yes)、制御手段26は、加温手段25および速度可変手段を制御初期の状態に戻し(ステップST55)、本制御を終了する。
【0143】
一方、ステップST54において、石膏ケーキSCの表面温度が所定値以下でない場合(ステップST54:No)、制御手段26は、加温手段25による加温を減らす制御をする(ステップST56)。すなわち、制御手段26は、流量調整バルブ25eや開閉バルブ25fを閉方向に制御し、ノズルの段数を減らすか、ノズルから噴射される温水または蒸気の流量を減少調整するか、ノズルの段数を減らし、かつノズルから噴射される温水または蒸気の流量を減少調整することで石膏ケーキSCを加温する加温温度を下げる。次に、制御手段26は、ステップST51に戻り、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する。
【0144】
石膏ケーキSCの表面温度を所定値以下に維持することで、特に蒸気の凝縮による水分過多を防ぎ、石膏ケーキSCに水分が増す事態を抑制できる。
【0145】
なお、ステップST52において、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満でない場合(ステップST52:No)、ステップST49に戻る。また、ステップST46において真空圧が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST46:No)、ステップST47において塩濃度が設定値よりも増加していない場合であり(ステップST47:No)、ステップST48においてろ過比抵抗が設定値よりも増加していない場合(ステップST48:No)には、後述の実施の形態4の制御に移行する。
【0146】
このように、実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0147】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0148】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST42で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧のみを入力し(ステップST43)、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST44)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST45)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力により制御を行う。
【0149】
すなわち、本実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0150】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0151】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST42で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度のみを入力し(ステップST44)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST43)、および、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST45)を行わなくてもよい。すなわち、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0152】
このように、実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ不純物塩濃度測定手段C1からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0153】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、不純物塩濃度測定手段C1からの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0154】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST42で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、ろ過比抵抗測定手段αから石膏ケーキSCのろ過比抵抗のみを入力し(ステップST45)、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力(ステップST43)、および、不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力(ステップST44)を行わなくてもよい。すなわち、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力により制御を行う。
【0155】
このように、実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、石膏ケーキSCのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段αと、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつろ過比抵抗測定手段αからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0156】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、ろ過比抵抗測定手段αからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0157】
また、上述した制御手段26による制御において、ステップST42で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、吸引圧力測定手段P1からベルトフィルタ22の真空圧を入力し(ステップST43)、不純物塩濃度測定手段C1から吸収塔1内の塩濃度を入力して(ステップST44)、ろ過比抵抗測定手段αからの石膏ケーキSCのろ過比抵抗の入力(ステップST45)を行わなくてもよい。すなわち、吸引圧力測定手段P1からのベルトフィルタ22の真空圧の入力、および不純物塩濃度測定手段C1からの吸収塔1内の塩濃度の入力により制御を行う。
【0158】
このように、実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、真空吸引機構23による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段P1と、吸収塔1内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段C1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超え、かつ吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0159】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1との少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【0160】
なお、上述した制御手段26による制御において、ステップST42で、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%以上である場合(ステップST42:Yes)、制御手段26は、ステップST49に移行して、加温手段25による加温状態の制御と速度可変手段によるベルト進行速度の制御とを共にしてもよい。すなわち、ステップST43〜ステップST48の制御をしなくてもよい。
【0161】
このように、実施の形態3の脱硫設備の石膏脱水装置は、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収塔1内にて吸収液A中の石灰石に吸収させる脱硫設備105に設置されており、硫黄酸化物を吸収して吸収塔1から供給される石膏スラリーSSを脱水して石膏ケーキSCとするベルトフィルタ22と、ベルトフィルタ22を介して石膏ケーキSCの水分を吸引する真空吸引機構23とを備えた石膏脱水装置において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの水分濃度を測定する水分測定手段H1と、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCを温水または蒸気により加温する加温手段25と、ベルトフィルタ22によるベルト進行速度を可変する速度可変手段(駆動部22c)と、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えた場合、加温手段25による加温状態と速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26とを備える。
【0162】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。
【0163】
[実施の形態4]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図8は、本実施の形態の脱硫設備の石膏脱水装置を示す概略図である。なお、以下に説明する実施の形態4において、上述した実施の形態1〜3と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0164】
図8に示すように、本実施の形態の石膏脱水装置2は、上述した実施の形態1、2,3において、吸収塔1における硫黄酸化物の吸収量を測定する脱硫量測定手段ΔSOを備えている。脱硫量測定手段ΔSOは、吸収塔1において排ガスGの入口である入側液柱塔1aの上部入口と、吸収塔1において排ガスGの出口である出側液柱塔1bの上部出口とでのガス濃度(SO濃度)の計測により脱硫量を算出する。
【0165】
また、本実施の形態の石膏脱水装置2は、上述した実施の形態1、2,3において、ベルトフィルタ22により脱水される石膏ケーキSCの搬送量を可変する搬送量可変手段を備えている。搬送量可変手段は、上述した抜出部21であり、具体的にはバルブ21cで構成される。すなわち、バルブ21cにより、抜出管21aを通過する石膏スラリーSSの流量を増減し、ベルトフィルタ22への石膏スラリーSSの供給量を調整して、ベルトフィルタ22での石膏ケーキSCの搬送量を調整する。
【0166】
上述した水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および脱硫量測定手段ΔSOの測定データは、制御手段26に入力される。制御手段26は、電算機などで構成されている。制御手段26は、RAMやROMなどから構成されてプログラムやデータが格納される記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部に格納されるデータは、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および脱硫量測定手段ΔSOで測定される値に対応する設定値がある。水分測定手段H1の設定値は、例えば、10wt%であり、石膏Sの品質基準を示す。吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および脱硫量測定手段ΔSOの設定値は、石膏Sの品質基準を満たすように石膏脱水装置2を稼動する際に設定されたものである。また、制御手段26は、ベルトフィルタ22の駆動部(速度可変手段)22cと、抜出部21のバルブ(搬送量可変手段)21cとが接続されている。この制御手段26は、水分測定手段H1、吸引圧力測定手段P1、不純物塩濃度測定手段C1、ろ過比抵抗測定手段α、および脱硫量測定手段ΔSOからの入力値に基づき、記憶部に格納されたプログラムやデータに従って、ベルトフィルタ22の駆動部22c、および抜出部21のバルブ21cを制御する。
【0167】
制御手段26による制御について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0168】
この制御は、まず、図3、図5および図7に示す制御において、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えても、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの各入力値が所定の設定値を逸脱しない場合に始まる。すなわち、図3においては、ステップST6、ステップST7、およびステップST8が「No」の場合であり、図5においては、ステップST26、ステップST27、およびステップST28が「No」の場合であり、図7においては、ステップST46、ステップST47、およびステップST48が「No」の場合である。
【0169】
この場合、図9に示すように、制御手段26は、脱硫量測定手段ΔSOから吸収塔1の脱硫量を入力する(ステップST61)。次に、脱硫量が所定値よりも増加している場合(ステップST62:Yes)、制御手段26は、搬送量可変手段による搬送量の増加の制御をする(ステップST63)。すなわち、制御手段26は、抜出部21のバルブ21cを開方向に制御し、ベルトフィルタ22に供給される石膏スラリーSSの供給量を増すことで、ベルトフィルタ22で脱水される石膏ケーキSCの搬送量を増加させる。さらに、制御手段26は、速度可変手段によるベルト進行速度の制御をする(ステップST64)。すなわち、制御手段26は、ベルトフィルタ22の駆動部22cを制御してローラ22bの回転速度を加速させることで、ベルト進行速度(V1)を速くし、これにより石膏ケーキSCの厚み(D1)の増加を抑えつつ石膏ケーキSCのフィード量(CV1)を増加させる。
【0170】
脱硫量が所定値よりも増加している場合、すなわち、生成される石膏スラリーSSが増加することが見込まれるので、ベルトフィルタ22で脱水される石膏ケーキSCの搬送量を増加させると共に、ろ過比抵抗が低下しないように、石膏ケーキSCの厚み(D1)を減少させることで、脱水性能が回復する。
【0171】
次に、制御手段26は、水分測定手段H1から石膏ケーキSCの水分濃度を入力する(ステップST65)。次に、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満である場合(ステップST66:Yes)、制御手段26は、搬送量可変手段および速度可変手段を制御初期の状態に戻し(ステップST67)、本制御を終了する。
【0172】
なお、ステップST66において、入力した石膏ケーキSCの水分濃度が設定値とした10wt%未満でない場合(ステップST66:No)、ステップST63に戻る。また、ステップST62において、脱硫量が設定値よりも増加していない場合(ステップST62:No)には、石膏脱水装置2の各機器および各測定手段の点検・修理をオペレータに促す(ステップST68)。
【0173】
このように、実施の形態4の脱硫設備の石膏脱水装置は、上述した実施の形態1〜3において、水分測定手段H1から入力された石膏ケーキSCの水分濃度が所定量を超えても、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの各入力値が所定の設定値を逸脱しない場合、脱硫量測定手段ΔSOから入力された吸収量が所定量を超えた場合に、搬送量可変手段(バルブ21c)による搬送量の増加と速度可変手段(駆動部22c)によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段26を備える。
【0174】
この脱硫設備の石膏脱水装置によれば、ベルトフィルタ22における脱水後の石膏ケーキSC中の水分濃度を水分測定手段H1を用いて測定し常に監視することで、脱水不足をいち早く把握し、脱水不足を早期に回復させるので、石膏ケーキSCを脱水する脱水性能を維持することが可能になる。しかも、吸引圧力測定手段P1と不純物塩濃度測定手段C1とろ過比抵抗測定手段αとの少なくとも1つからの入力値により、脱水性能低下の初期兆候の把握がし難い場合であっても、脱硫量測定手段ΔSOからの入力値により脱水性能低下の初期兆候を把握することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上のように、本発明に係る脱硫設備の石膏脱水装置は、脱水性能を維持することに適している。
【符号の説明】
【0176】
1 吸収塔
2 石膏脱水装置
21 抜出部
21c バルブ(搬送量可変手段)
22 ベルトフィルタ
22c 駆動部(速度可変手段)
23 真空吸引機構
24 ホッパ
25 加温手段
25e 流量調整バルブ
25f 開閉バルブ
26 制御手段
105 脱硫設備
G 排ガス
A 吸収液
SS 石膏スラリー
SC 石膏ケーキ
S 石膏
H1 水分測定手段
P1 吸引圧力測定手段
C1 不純物塩濃度測定手段
α ろ過比抵抗測定手段
T2 表面温度測定手段
ΔSO 脱硫量測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキを温水または蒸気により加温する加温手段と、
前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記加温手段による加温状態を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項2】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項3】
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項4】
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項5】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項6】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、
をさらに備え、
前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項7】
前記石膏ケーキの表面温度を測定する表面温度測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記表面温度測定手段から入力された表面温度が所定値以下でない場合、前記加温手段による加温を減らす制御をすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項8】
排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、
前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、
前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項9】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする請求項8に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項10】
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする請求項8に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項11】
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする請求項8に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項12】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段の少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする請求項8に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項13】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記速度可変手段によるベルト進行速度を制御することを特徴とする請求項8に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項14】
排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔内にて吸収液中の石灰石に吸収させる脱硫設備に設置されており、前記硫黄酸化物を吸収して前記吸収塔から供給される石膏スラリーを脱水して石膏ケーキとするベルトフィルタと、前記ベルトフィルタを介して前記石膏ケーキの水分を吸引する真空吸引機構とを備えた石膏脱水装置において、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの水分濃度を測定する水分測定手段と、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキを温水または蒸気により加温する加温手段と、
前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、
前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えた場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項15】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項14に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項16】
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記不純物塩濃度測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項14に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項17】
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記ろ過比抵抗測定手段からの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項14に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項18】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項14に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項19】
前記真空吸引機構による吸引圧力を測定する吸引圧力測定手段と、
前記吸収塔内の不純物としての塩濃度を測定する不純物塩濃度測定手段と、
前記石膏ケーキのろ過比抵抗を測定するろ過比抵抗測定手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超え、かつ前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との少なくとも1つからの入力値が所定の設定値を逸脱した場合、前記加温手段による加温状態と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項14に記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項20】
前記石膏ケーキの表面温度を測定する表面温度測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記表面温度測定手段から入力された表面温度が所定値以下でない場合、前記加温手段による加温を減らす制御をすることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一つに記載の脱硫設備の石膏脱水装置。
【請求項21】
前記吸収塔における前記硫黄酸化物の吸収量を測定する脱硫量測定手段と、
前記ベルトフィルタにより脱水される前記石膏ケーキの搬送量を可変する搬送量可変手段と、
前記ベルトフィルタによるベルト進行速度を可変する速度可変手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記水分測定手段から入力された前記石膏ケーキの水分濃度が所定量を超えても、前記吸引圧力測定手段と前記不純物塩濃度測定手段と前記ろ過比抵抗測定手段との各入力値が所定の設定値を逸脱しない場合には、前記脱硫量測定手段から入力された吸収量が所定量を超えた場合に、前記搬送量可変手段による搬送量の増加と前記速度可変手段によるベルト進行速度とを共に制御することを特徴とする請求項6、13または19のいずれか一つに記載の脱硫設備の石膏脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−177615(P2011−177615A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42051(P2010−42051)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】