脱穀装置
【課題】脱穀室内での被処理物の扱胴と共回り、搬送穀稈の刺さり粒発生、搬送穀稈の抜けや千切れ、脱穀室内の藁屑の増加という課題。
【解決手段】扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口33を形成した排塵連通部Hに形成し、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前記排塵連通口33よりも後側の部分に刺さり粒回収部Sを形成し、該刺さり粒回収部S内にまで前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周には板状で一部に透孔51を形成したソリッドツース50を設けた脱穀装置。
【解決手段】扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口33を形成した排塵連通部Hに形成し、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前記排塵連通口33よりも後側の部分に刺さり粒回収部Sを形成し、該刺さり粒回収部S内にまで前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周には板状で一部に透孔51を形成したソリッドツース50を設けた脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈供給搬送装置によって搬送された穀稈を脱穀する扱胴の下側に扱網を設けて脱穀室を形成し、穀稈供給搬送装置の設置側とは反対側の脱穀室の後部側方には、脱穀室と排塵連通口により連通する排塵処理胴を有する排塵処理装置を設け、扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口を形成した排塵連通部に形成し、前記扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部に形成した脱穀装置は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、扱胴の外周の扱歯を、刺さり粒回収部の上方では扱網の上方の扱胴の外周部で「密」に設けた構成が開示されている。
しかし、単に、扱歯の間隔を密にしても、穀稈中に深く刺さり込んだ刺さり粒を落下させるのは容易でなく、密に設置した扱歯が穀稈に接触して藁屑が多く発生し、脱穀の負荷を増加させるという課題がある。
即ち、密に設置した扱歯が、搬送中の穀稈に直接接触して刺さり粒を回収する構成のため、搬送穀稈に与える負荷が大きくなって、穀稈が抜けたり、或いは、千切れたりして、脱穀室内の藁屑が増加し、その結果、扱胴と共回りする被処理物が増加して、この被処理物に穀粒が刺さり込んで、刺さり粒が増加するという課題もある。
本願は、刺さり粒回収部の構成を工夫し、藁屑の発生を抑制と刺さり粒の回収効率の向上とを両立させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、穀稈供給搬送装置13によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴11の下側に扱網18を設けて脱穀室12を形成し、前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の脱穀室12の後部側方には、排塵連通口33により前記脱穀室12に連通する排塵処理胴31を有する排塵処理装置30を設け、前記扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は前記排塵連通口33を形成した排塵連通部Hに形成し、前記扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前記排塵連通口33よりも後側の部分に刺さり粒回収部Sを形成し、該刺さり粒回収部S内にまで前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周には板状で一部に透孔51を形成したソリッドツース50を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、穀稈供給搬送装置13により搬送された穀稈は脱穀室12内に供給され、回転する扱胴11により脱穀され、刺さり粒回収部Sで脱穀済みの穀稈にソリッドツース50が当接して、穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させる。この際、ソリッドツース50に設けた透孔51によって扱胴11の回転による起風が抑制され、刺さり粒が後方へ吹き飛ばされにくくなる。
本発明は、前記ソリッドツース50を前記扱胴11の円周方向に複数並設したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、扱胴11の円周方向に複数設けられたソリッドツース50が穀稈に連続して当接するので、穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させる。
本発明は、前記ソリッドツース50の当接面を前記扱胴11の回転方向に対して斜めに設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を一層容易にでき、穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させる。
本発明は、前記ソリッドツース50の回転方向の上手側部分を切り欠いて傾斜部54に形成したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、穀稈束内へのソリッドツース50の接触がソリッドツース50の傾斜部54から開始されるので、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、藁屑の発生を抑制して穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、ソリッドツース50が穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させ、この際、ソリッドツース50に設けた透孔51によって扱胴11の回転による起風が抑制され、刺さり粒が後方へ吹き飛ばされにくくなるので、藁屑の発生を抑制して刺さり粒の回収効率を向上させることができると共に、四番ロスを低減させ、脱穀効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、ソリッドツース50が穀稈に連続して当接するので、刺さり粒の落下を促進させ、刺さり粒の回収効率を向上させることができ、四番ロスを低減させ、脱穀効率を向上させることができる。
請求項3の発明では、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させることができる。
請求項4の発明では、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、藁屑の発生を抑制して穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの側面図。
【図3】脱穀装置の側面図。
【図4】同正面図。
【図5】同平面図。
【図6】ソリッドツースの斜視図。
【図7】回転体の側面図。
【図8】扱歯の正面図。
【図9】同形状説明用正面図。
【図10】扱歯の他の実施例の正面図。
【図11】扱歯の他の実施例の正面図。
【図12】扱歯の他の実施例の正面図。
【図13】扱歯の他の実施例の正面図。
【図14】コンバインの刈刃の平面図。
【図15】コンバインの刈刃の中央部分の正面図。
【図16】コンバインの左右上刃が外側に移動した平面図。
【図17】同刈刃の中央部分の正面図。
【図18】コンバインの左右上刃が最外側に移動した平面図。
【図19】同刈刃の中央部分の正面図。
【図20】コンバインの刈刃の他の実施例の平面図。
【図21】同刈刃の中央部分の正面図。
【図22】同左右上刃が外側に移動した平面図。
【図23】同刈刃の中央部分の正面図。
【図24】同左右上刃が最外側に移動した平面図。
【図25】同刈刃の中央部分の正面図。
【図26】コンバインの刈刃の他の実施例の平面図。
【図27】同刈刃の中央部分の拡大平面図。
【図28】同側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記脱穀装置3は、上部に扱歯10を有する扱胴11を略水平に軸装した脱穀室12を設ける。脱穀室12の一側には前記刈取部4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に前後左右等の方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
扱胴11は脱穀装置3の前板16と脱穀室後板17に軸装し、扱胴11の主として下方側は扱網18により包囲している。扱網18の下方には唐箕19の唐箕ケーシング20を設ける。前記脱穀室12の下方には前記唐箕19の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室21を形成し、風選室21内には、唐箕19の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚22により構成した揺動選別装置23を設ける。
【0009】
揺動選別装置23の構成は任意であるが、一例を示すと、前記揺動選別棚22の始端部(前端部)を唐箕ケーシング20の上方に位置させて移送棚部24に形成する。各移送棚部24の上面には、図示は省略するが、突起や凹凸を設けて揺動選別棚22の移送方向下手側に扱網18からの落下物を移送するように構成する。
移送棚部24の移送方向下手側にはシーブ25を設ける。シーブ25は前側のグレンシーブ25Aと後側のチャフシーブ25Bにより構成している。
シーブ25は、穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。グレンシーブ25Aは、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。チャフシーブ25Bは傾斜角度調節自在に構成している。
チャフシーブ25Bの移送方向の下手側(後側)にはストローラック26を設ける。揺動選別棚22の下方には一番コンベア27を設け、一番コンベア27の後側には二番コンベア28を設ける。
【0010】
前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の扱胴11の後部(終端側)側方には、排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴11の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装し、脱穀室12の後部に設けた排塵連通口33(図5)により脱穀室12と連通させて構成する。排塵処理胴31の始端部は中板34に軸装し、中板34と脱穀室後板17との間に前記排塵連通口33を形成している。
35は、脱穀室12の後部下方に設けた扱網18より落下しない排塵物を排出する排塵排出口であり、排塵物排出口35の前側部分には縦桟36を並設して複数の排出孔37を形成し、排塵物排出口35の後側部分は開放した開放落下口38に形成する。39はガイド体である。
【0011】
前記縦桟36および排出孔37は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設け、縦桟36は、排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物の落下の際の抵抗となって、排塵物排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
即ち、排塵物排出口35を開放構成とすると、排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下し、また、揺動選別装置23の負荷が増加するが、縦桟36を設けたので、扱網18より落下しない排塵物のうちの小さい被処理物だけ排出孔37から揺動選別装置23に落下させて負荷を減少させる。
【0012】
また、扱網18より落下しない排塵物のうちの更に排出孔37から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
前記排塵処理装置30の前側には、二番コンベア28により回収された二番物を処理する二番処理装置42を設ける。
二番処理装置42の二番処理胴44は、排塵処理胴31と同心状に配置する。二番処理胴44は、穀稈供給搬送装置13の搬送方向と反対に揺動選別棚22の始端部側上方に向けて被処理物を搬送するように構成すると共に、扱網18の側方に位置している。
二番処理装置42の二番処理胴44の始端部側上方には二番還元装置45の先端を開口させ、二番還元装置45の基部は二番コンベア28の終端に接続している。
46は吸引排塵ファン、47は吸引排塵ファン46のケーシング、48は脱穀装置3の後側に設けたカッター装置である。
【0013】
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成する。
扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成する。前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内には前記扱胴11の後部を延長して臨ませる。
前記排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭く(密)して設ける。
そのため、排塵連通口33への排塵物の移行を円滑に効率よく行える。
前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周にはソリッドツース50を設ける。ソリッドツース50は板状に形成し、扱胴11の円周方向に複数並設する。ソリッドツース50は穀稈供給搬送装置13により搬送中の穀稈(排藁)中に刺さり込んだ刺さり粒を穀稈から落下させるものである。
【0014】
ソリッドツース50は扱胴11の円周方向に所定間隔をおいて設けるが、実施例では、ソリッドツース50を設ける間隔は広狭に変化させている。
即ち、図4において、第一ソリッドツース50Aと第二ソリッドツース50Bとの間隔Tよりも、第二ソリッドツース50Bと第三ソリッドツース50Cとの間隔Lの方が大となるようにしており、更に、第三ソリッドツース50Cと第四ソリッドツース50Dとの間隔は第一ソリッドツース50Aと第二ソリッドツース50Bとの間隔Tと略同一にしている。
そのため、穀稈に当たるタイミングがずれて刺さり粒の落下を促進させる。
ソリッドツース50は、回転方向に長く所定面積を有する板形状に形成し、ソリッドツース50には板厚方向に貫通する所定形状の透孔51を形成する。
ソリッドツース50は所定面積を有する板形状に形成することにより、穀稈束内への侵入を容易にすると共に、穀稈束を広げて刺さり粒の落下を促進させる。そして、ソリッドツース50に透孔51を設けることによりソリッドツース50の重量を軽量化し、扱胴11の回転バランスを良好にする。
【0015】
また、ソリッドツース50に透孔51を設けることにより、ソリッドツース50が回転する際に発生する起風を抑制し、刺さり粒の落下に悪影響を与えない。
実施例では、ソリッドツース50の回転方向の前後に透孔51を並設し、前後の透孔51の間に所定形状の桟52を形成して、ソリッドツース50の強度を確保している。
53はソリッドツース50の基部の取付部である(図6)。
また、ソリッドツース50は、扱胴11の回転方向に対して僅かに斜めになるように、扱胴11に設け、実施例では回転方向上手側が搬送方向の後側となっている。
そのため、一層、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
また、ソリッドツース50の回転方向の上手側部分は切り欠いて傾斜部54に形成し、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
【0016】
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切り壁55を設ける。
仕切り壁55は、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
しかして、扱胴11の扱胴軸56の後端には中間伝達プーリ57を設け、中間伝達プーリ57の側方に中間出力プーリ58を設ける。中間出力プーリ58は中間出力軸59に固定し、中間出力軸59は排藁入力ギヤケース60に軸装する。排藁入力ギヤケース60には排藁搬送装置61に回転伝達する排藁搬送入力軸62の他端を軸装する。排藁搬送入力軸62は排藁入力ギヤケース60内に設けた傘歯車により中間出力軸59の回転が伝達される。
排藁搬送入力軸62の中間部は排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部を貫通させ、排藁搬送入力軸62の他端には排藁搬送装置61の株元側排藁搬送装置61Bの排藁株元搬送チェン63の排藁搬送チェン駆動歯車を設けて、排藁搬送チェンを駆動させ、排藁搬送チェンの回転を穂先側排藁搬送装置61Aに伝達している。
【0017】
排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aより搬送中の排藁の穂先側には、回転体65を設ける。回転体65は、その軸心を穂先側排藁搬送装置61Aの搬送方向に対して交叉方向に設け、穂先側排藁搬送装置61Aにより搬送中の排藁の穂先の搬送を補助する。
従来、特開2008ー237194号公報に開示されているように、排藁搬送入力軸62の中間部は排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部を貫通させ、排藁搬送入力軸62の他端には排藁搬送装置61の株元側排藁搬送装置61Bの排藁株元搬送チェン61の排藁搬送チェン駆動歯車を設けて、排藁搬送チェンを駆動させ、排藁搬送チェンの回転を穂先側排藁搬送装置61Aに伝達する構成は公知であるが、従来では排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付く課題がある。
本願は、排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aより搬送中の排藁の穂先側に回転体65を設けているので、排藁搬送装置61の搬送中の排藁の穂先の搬送姿勢を良好にしつつ、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くのを防止でき、排藁が詰まるのを防止する。
【0018】
回転体65は、前記排藁搬送入力軸62に設ける(図5)。
そのため、回転体65への回転伝動機構を特別に設けなくて済み、構成を簡素にできると共に、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くのを合理的構成で防止できる。
即ち、排藁搬送入力軸62の中間部を排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aを貫通させることにより、排藁搬送入力軸62は排藁入力ギヤケース60と穂先側排藁搬送装置61Aとの間の空間内を有効に利用して設けることができるだけでなく、排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部に貫通する排藁搬送入力軸62に回転体65を設けられるので、回転体65よりも搬送上手側の穂先側排藁搬送装置61Aから搬送される排藁の穂先を回転体65が送ることができ、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くの防止しつつ排藁の特に穂先の搬送姿勢を良好にできる。
【0019】
回転体65は、先端を円弧形状に形成した突起66を放射状に突出させて形成する(図7)。
そのため、駆動回転する回転体65の突起66が搬送中の排藁束の上方から侵入して側面から排藁束を押して搬送する。
突起66が下方を移動するときの移動軌跡は、穂先側排藁搬送装置61Aの搬送ラグ67の下端の移動軌跡と略同じか、搬送ラグ67の下端の移動軌跡よりも下方に位置するようにする。
そのため、回転体65の突起66は、搬送中の垂れ下がる傾向の排藁の穂先側に有効に作用する。
図8は、扱胴11の扱歯10の実施例に関し、扱歯10は、軸部材を主として三角形状に扱胴11の外周から突出させると共に、三角形の「辺」の部分である辺部70を円弧状に蛇行させ、辺部70の一部に凹部71を形成する。
【0020】
そのため、扱歯10は、辺部70に穀稈に当接したとき、凹部71と穀稈との接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
即ち、扱歯10の辺部70は、先ず、扱歯10の頂部72に対して辺部70の外形ラインLを連続した円弧状に形成し(図9)、この外形ラインLに対して頂部72より基部側の辺部70の所定箇所に凹部71を外形ラインLより内側に凹ませて複数形成する。
したがって、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、扱歯10の中間部では凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図10は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は辺部70にのこぎりの歯のように細かな凹部71と凸部73とを隙間なく交互に並設して構成する。
【0021】
即ち、凹部71と凸部73は所謂でこぼこ状(ぎざぎざ状)に配置する。
そのため、凹部71および凸部73により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図11は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10の辺部70の表面にV形状の凹部71を所定間隔おいて複数並設して構成している。
そのため、複数の凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図12は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は頂部72に対して辺部70の外形ラインLを全体としては連続状の円弧形状に形成し、辺部70の表面にV形状の細かな凹部71と凸部73を隙間なく複数並設し、所謂でこぼこ状(ぎざぎざ状)に構成する。
【0022】
そのため、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、複数の凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70の中央部分で滑っていた穀稈が滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図13は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は頂部72に対して辺部70の外形ラインLを全体としては連続状の円弧形状に形成し、辺部70の表面にV形状の細かな凹部71を約10ミリ間隔で複数並設して構成する。
そのため、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が、約10ミリ間隔で複数並設した複数の凹部71により接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
【0023】
図14〜図19は、刈取部4の刈刃75の実施例を示し、刈刃75は、固定状態の下刃76と左右に往復摺動する上刃77により構成する。上刃77は、中央より左側に位置する左側上刃78と右側に位置する右側上刃79とを夫々別体に形成し、左側上刃78と右側上刃79は互いに反対に移動させる。
即ち、左側上刃78と右側上刃79は、互いに接近し、互いに離れるように移動する。
前記下刃76のうち中央の中央下刃76の上方の左側上刃78と右側上刃79には、中央下刃76の基部上方で中央下刃76の基部部分と上下に重なる中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aを、左側上刃78と右側上刃79と一体状に設ける。
【0024】
したがって、中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aは、それぞれ正面視で「Z」型形状に形成し、左側上刃78と右側上刃79が互いに接近したとき、中央下刃76の上方で中央下刃76と中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aとが重なり三層となる。
そのため、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができる。
この場合、中央左側重り合い部78Aは刈刃75の上刃77を押さえる刈刃プレート80上にまで移動し、中央右側重り合い部79Aは中央左側重り合い部78Aの下方に位置させ、常時中央下刃76上を包囲するように構成すると、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを防止でき、好適である。
【0025】
図20〜図25は、刈取部4の刈刃75の他の実施例を示し、左側の左側上刃78の中央側端縁と右側の右側上刃79の中央側端縁の夫々の上面に、左側上刃78と右側上刃79とは別体に形成した包囲体82を夫々取付け、左右の包囲体82は左側上刃78と右側上刃79が互いに接近したとき、中央下刃76の上方で中央下刃76と三層に重なるように構成する。
そのため、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができ、また、包囲体82は左側上刃78と右側上刃79とは別体に形成しているので、容易に製造組立ができる。
包囲体82の取付手段は任意であるが、実施例ではリベット83により固定している。
【0026】
図26〜図28は、刈取部4の刈刃75の他の実施例を示し、前記中央下刃76の上方に、左右の左側上刃78と右側上刃79の中央側を押さえる長さの一枚板状の刈刃プレート80を設け、中央下刃76には上下に貫通する透孔84を設ける。
そのため、刈刃プレート80により中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができ、また、中央下刃76の透孔84によっても中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制でき、更に、刈刃プレート80を設け、中央下刃76に透孔84を形成すればよいので、容易に製造組立ができる。
【0027】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、刈取部4で刈り取った穀稈は穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14により搬送されて、脱穀室12に供給され、脱穀室12の扱胴11で脱穀される。
脱穀された脱穀物は、扱網18より揺動選別棚22上に落下し、揺動選別棚22の揺動と唐箕19からの送風により選別され、穀粒は揺動選別棚22の選別網から一番コンベア28に回収され、一番コンベア28により回収された穀粒はグレンタンク5に貯留される。
また、二番コンベア28に回収された二番物は二番還元装置45により二番処理装置42に還元され、二番処理装置42の二番処理胴44により再処理されて揺動選別棚22の始端部に拡散排出される。
【0028】
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は排塵連通口33から排塵処理装置30に入って処理される。
また、揺動選別棚22上の処理物は風選室21で風選され、揺動選別棚22より落下しない処理物のうち藁屑・塵埃は吸引排塵ファン42により機外に吸引排出される。
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は、脱穀室12の終端の排塵物排出口35に至る。排塵物排出口35の前側部分には縦桟36を並設して複数の排出孔37を形成しているので、縦桟36により排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物の全てがそのまま下方に落下せず、扱網18より落下しない排塵物のうちの小さい被処理物だけを排出孔37から揺動選別装置23に落下させ、揺動選別装置23の負荷を減少させる。
【0029】
また、扱網18より落下しない排塵物のうちの更に排出孔37から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成し、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成し、前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内に前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭くして設けているので、排塵連通口33への排塵物の移行を円滑に効率よく行うことができる。
【0030】
刺さり粒回収部S内の扱胴11の外周には、板状に形成したソリッドツース50を、扱胴11の円周方向に複数設けているので、板状のソリッドツース50が穀稈供給搬送装置13により搬送中の穀稈(排藁)に当たると、穀稈を広げつつ衝撃を与え、穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒の落下を促進し、回収効率を向上させる。
ソリッドツース50には所定形状の透孔51を形成しているので、ソリッドツース50に透孔51を設けることによりソリッドツース50の重量を軽量化し、扱胴11の回転バランスを良好にする。
即ち、軸形状の扱歯10に比しソリッドツース50は穀稈との接触面積が大きくなるので、軸形状の扱歯10に比しソリッドツース50は穀稈を広げながら穀稈中の刺さり粒を落下させることができる。
【0031】
そのため、扱歯10に比し扱胴11の軸心方向において密に設ける必要が無く、扱歯10に比しソリッドツース50は藁屑の発生を抑制し、脱穀負荷を軽減し、この点でも、回収効率を向上させる。
また、ソリッドツース50に透孔51を形成しているので、ソリッドツース50が回転する際に発生する起風を抑制し、刺さり粒が落下中に後方へ飛ばされにくくなる。
即ち、扱歯10では起風作用が殆ど生じないが、ソリッドツース50では回転する際に起風が発生してしまうが、透孔51を形成することにより、起風発生を抑制して落下中の刺さり粒の後方飛散を抑制し、穀稈を広げることによる穀稈中の刺さり粒の落下効率を向上させ、全体として、刺さり粒の回収効率を向上させられる。
透孔51はソリッドツース50の回転方向の前後に並設し、前後の透孔51の間に桟52を形成しているので、ソリッドツース50の強度を確保しつつ、ソリッドツース50の回転する際の起風の発生を抑制し、刺さり粒の飛散を防止して、脱穀ロスの発生を抑制する。
【0032】
ソリッドツース50を扱胴11の円周方向に所定間隔をおいて設けるが、ソリッドツース50を設ける間隔は広狭に変化させて設けているので、穀稈にソリッドツース50が当たるタイミングがずれて刺さり粒の落下を促進させる。
ソリッドツース50は回転方向に長く所定面積を有する板形状に形成しているので、穀稈束内への侵入を容易にすると共に、穀稈束を広げて刺さり粒の落下を促進させることができる。
また、ソリッドツース50は、扱胴11の回転方向に対して僅かに斜めになるように扱胴11の外周に設け、回転方向上手側が搬送方向の後側となっているので、一層、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
また、ソリッドツース50の回転方向の上手側部分は切り欠いて傾斜部54に形成しているので、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
【0033】
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切り壁55を設けているので、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0034】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…操縦部、11…扱胴、12…脱穀室、13…穀稈供給搬送装置、14…供給搬送チェン、16…前板、17…脱穀室後板、18…扱網、19…唐箕、20…唐箕ケーシング、21…風選室、22…揺動選別棚、23…揺動選別装置、24…移送棚部、25…グレンシーブ、26…ストローラック、27…一番コンベア、28…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…排塵処理胴、33…排塵連通口、35…排塵物排出口、37…排出孔、36…縦桟、38…開放落下口、42…二番処理装置、44…二番処理胴、50…ソリッドツース、51…透孔、52…桟、53…取付部、54…傾斜部、55…仕切り壁、56…扱胴軸、57…中間伝達プーリ、58…中間出力プーリ、59…中間出力軸、60…排藁入力ギヤケース、61…排藁搬送装置、62…排藁搬送入力軸、63…排藁株元搬送チェン、65…回転体、66…突起、67…搬送ラグ、70…辺部、71…凹部、72…頂部、73…凸部、75…刈刃、76…下刃、77…上刃、78…左側上刃、79…右側上刃、80…刈刃プレート、82…包囲体、83…リベット、84…透孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈供給搬送装置によって搬送された穀稈を脱穀する扱胴の下側に扱網を設けて脱穀室を形成し、穀稈供給搬送装置の設置側とは反対側の脱穀室の後部側方には、脱穀室と排塵連通口により連通する排塵処理胴を有する排塵処理装置を設け、扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口を形成した排塵連通部に形成し、前記扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部に形成した脱穀装置は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、扱胴の外周の扱歯を、刺さり粒回収部の上方では扱網の上方の扱胴の外周部で「密」に設けた構成が開示されている。
しかし、単に、扱歯の間隔を密にしても、穀稈中に深く刺さり込んだ刺さり粒を落下させるのは容易でなく、密に設置した扱歯が穀稈に接触して藁屑が多く発生し、脱穀の負荷を増加させるという課題がある。
即ち、密に設置した扱歯が、搬送中の穀稈に直接接触して刺さり粒を回収する構成のため、搬送穀稈に与える負荷が大きくなって、穀稈が抜けたり、或いは、千切れたりして、脱穀室内の藁屑が増加し、その結果、扱胴と共回りする被処理物が増加して、この被処理物に穀粒が刺さり込んで、刺さり粒が増加するという課題もある。
本願は、刺さり粒回収部の構成を工夫し、藁屑の発生を抑制と刺さり粒の回収効率の向上とを両立させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、穀稈供給搬送装置13によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴11の下側に扱網18を設けて脱穀室12を形成し、前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の脱穀室12の後部側方には、排塵連通口33により前記脱穀室12に連通する排塵処理胴31を有する排塵処理装置30を設け、前記扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は前記排塵連通口33を形成した排塵連通部Hに形成し、前記扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前記排塵連通口33よりも後側の部分に刺さり粒回収部Sを形成し、該刺さり粒回収部S内にまで前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周には板状で一部に透孔51を形成したソリッドツース50を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、穀稈供給搬送装置13により搬送された穀稈は脱穀室12内に供給され、回転する扱胴11により脱穀され、刺さり粒回収部Sで脱穀済みの穀稈にソリッドツース50が当接して、穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させる。この際、ソリッドツース50に設けた透孔51によって扱胴11の回転による起風が抑制され、刺さり粒が後方へ吹き飛ばされにくくなる。
本発明は、前記ソリッドツース50を前記扱胴11の円周方向に複数並設したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、扱胴11の円周方向に複数設けられたソリッドツース50が穀稈に連続して当接するので、穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させる。
本発明は、前記ソリッドツース50の当接面を前記扱胴11の回転方向に対して斜めに設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を一層容易にでき、穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させる。
本発明は、前記ソリッドツース50の回転方向の上手側部分を切り欠いて傾斜部54に形成したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、穀稈束内へのソリッドツース50の接触がソリッドツース50の傾斜部54から開始されるので、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、藁屑の発生を抑制して穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、ソリッドツース50が穀稈を広げて穀稈に入り込んでいる刺さり粒を落下させ、この際、ソリッドツース50に設けた透孔51によって扱胴11の回転による起風が抑制され、刺さり粒が後方へ吹き飛ばされにくくなるので、藁屑の発生を抑制して刺さり粒の回収効率を向上させることができると共に、四番ロスを低減させ、脱穀効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、ソリッドツース50が穀稈に連続して当接するので、刺さり粒の落下を促進させ、刺さり粒の回収効率を向上させることができ、四番ロスを低減させ、脱穀効率を向上させることができる。
請求項3の発明では、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させることができる。
請求項4の発明では、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、藁屑の発生を抑制して穀稈を広げて、刺さり粒の落下を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの側面図。
【図3】脱穀装置の側面図。
【図4】同正面図。
【図5】同平面図。
【図6】ソリッドツースの斜視図。
【図7】回転体の側面図。
【図8】扱歯の正面図。
【図9】同形状説明用正面図。
【図10】扱歯の他の実施例の正面図。
【図11】扱歯の他の実施例の正面図。
【図12】扱歯の他の実施例の正面図。
【図13】扱歯の他の実施例の正面図。
【図14】コンバインの刈刃の平面図。
【図15】コンバインの刈刃の中央部分の正面図。
【図16】コンバインの左右上刃が外側に移動した平面図。
【図17】同刈刃の中央部分の正面図。
【図18】コンバインの左右上刃が最外側に移動した平面図。
【図19】同刈刃の中央部分の正面図。
【図20】コンバインの刈刃の他の実施例の平面図。
【図21】同刈刃の中央部分の正面図。
【図22】同左右上刃が外側に移動した平面図。
【図23】同刈刃の中央部分の正面図。
【図24】同左右上刃が最外側に移動した平面図。
【図25】同刈刃の中央部分の正面図。
【図26】コンバインの刈刃の他の実施例の平面図。
【図27】同刈刃の中央部分の拡大平面図。
【図28】同側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記脱穀装置3は、上部に扱歯10を有する扱胴11を略水平に軸装した脱穀室12を設ける。脱穀室12の一側には前記刈取部4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に前後左右等の方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
扱胴11は脱穀装置3の前板16と脱穀室後板17に軸装し、扱胴11の主として下方側は扱網18により包囲している。扱網18の下方には唐箕19の唐箕ケーシング20を設ける。前記脱穀室12の下方には前記唐箕19の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室21を形成し、風選室21内には、唐箕19の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚22により構成した揺動選別装置23を設ける。
【0009】
揺動選別装置23の構成は任意であるが、一例を示すと、前記揺動選別棚22の始端部(前端部)を唐箕ケーシング20の上方に位置させて移送棚部24に形成する。各移送棚部24の上面には、図示は省略するが、突起や凹凸を設けて揺動選別棚22の移送方向下手側に扱網18からの落下物を移送するように構成する。
移送棚部24の移送方向下手側にはシーブ25を設ける。シーブ25は前側のグレンシーブ25Aと後側のチャフシーブ25Bにより構成している。
シーブ25は、穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。グレンシーブ25Aは、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。チャフシーブ25Bは傾斜角度調節自在に構成している。
チャフシーブ25Bの移送方向の下手側(後側)にはストローラック26を設ける。揺動選別棚22の下方には一番コンベア27を設け、一番コンベア27の後側には二番コンベア28を設ける。
【0010】
前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の扱胴11の後部(終端側)側方には、排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴11の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装し、脱穀室12の後部に設けた排塵連通口33(図5)により脱穀室12と連通させて構成する。排塵処理胴31の始端部は中板34に軸装し、中板34と脱穀室後板17との間に前記排塵連通口33を形成している。
35は、脱穀室12の後部下方に設けた扱網18より落下しない排塵物を排出する排塵排出口であり、排塵物排出口35の前側部分には縦桟36を並設して複数の排出孔37を形成し、排塵物排出口35の後側部分は開放した開放落下口38に形成する。39はガイド体である。
【0011】
前記縦桟36および排出孔37は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設け、縦桟36は、排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物の落下の際の抵抗となって、排塵物排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
即ち、排塵物排出口35を開放構成とすると、排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下し、また、揺動選別装置23の負荷が増加するが、縦桟36を設けたので、扱網18より落下しない排塵物のうちの小さい被処理物だけ排出孔37から揺動選別装置23に落下させて負荷を減少させる。
【0012】
また、扱網18より落下しない排塵物のうちの更に排出孔37から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
前記排塵処理装置30の前側には、二番コンベア28により回収された二番物を処理する二番処理装置42を設ける。
二番処理装置42の二番処理胴44は、排塵処理胴31と同心状に配置する。二番処理胴44は、穀稈供給搬送装置13の搬送方向と反対に揺動選別棚22の始端部側上方に向けて被処理物を搬送するように構成すると共に、扱網18の側方に位置している。
二番処理装置42の二番処理胴44の始端部側上方には二番還元装置45の先端を開口させ、二番還元装置45の基部は二番コンベア28の終端に接続している。
46は吸引排塵ファン、47は吸引排塵ファン46のケーシング、48は脱穀装置3の後側に設けたカッター装置である。
【0013】
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成する。
扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成する。前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内には前記扱胴11の後部を延長して臨ませる。
前記排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭く(密)して設ける。
そのため、排塵連通口33への排塵物の移行を円滑に効率よく行える。
前記刺さり粒回収部S内の前記扱胴11の外周にはソリッドツース50を設ける。ソリッドツース50は板状に形成し、扱胴11の円周方向に複数並設する。ソリッドツース50は穀稈供給搬送装置13により搬送中の穀稈(排藁)中に刺さり込んだ刺さり粒を穀稈から落下させるものである。
【0014】
ソリッドツース50は扱胴11の円周方向に所定間隔をおいて設けるが、実施例では、ソリッドツース50を設ける間隔は広狭に変化させている。
即ち、図4において、第一ソリッドツース50Aと第二ソリッドツース50Bとの間隔Tよりも、第二ソリッドツース50Bと第三ソリッドツース50Cとの間隔Lの方が大となるようにしており、更に、第三ソリッドツース50Cと第四ソリッドツース50Dとの間隔は第一ソリッドツース50Aと第二ソリッドツース50Bとの間隔Tと略同一にしている。
そのため、穀稈に当たるタイミングがずれて刺さり粒の落下を促進させる。
ソリッドツース50は、回転方向に長く所定面積を有する板形状に形成し、ソリッドツース50には板厚方向に貫通する所定形状の透孔51を形成する。
ソリッドツース50は所定面積を有する板形状に形成することにより、穀稈束内への侵入を容易にすると共に、穀稈束を広げて刺さり粒の落下を促進させる。そして、ソリッドツース50に透孔51を設けることによりソリッドツース50の重量を軽量化し、扱胴11の回転バランスを良好にする。
【0015】
また、ソリッドツース50に透孔51を設けることにより、ソリッドツース50が回転する際に発生する起風を抑制し、刺さり粒の落下に悪影響を与えない。
実施例では、ソリッドツース50の回転方向の前後に透孔51を並設し、前後の透孔51の間に所定形状の桟52を形成して、ソリッドツース50の強度を確保している。
53はソリッドツース50の基部の取付部である(図6)。
また、ソリッドツース50は、扱胴11の回転方向に対して僅かに斜めになるように、扱胴11に設け、実施例では回転方向上手側が搬送方向の後側となっている。
そのため、一層、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
また、ソリッドツース50の回転方向の上手側部分は切り欠いて傾斜部54に形成し、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
【0016】
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切り壁55を設ける。
仕切り壁55は、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
しかして、扱胴11の扱胴軸56の後端には中間伝達プーリ57を設け、中間伝達プーリ57の側方に中間出力プーリ58を設ける。中間出力プーリ58は中間出力軸59に固定し、中間出力軸59は排藁入力ギヤケース60に軸装する。排藁入力ギヤケース60には排藁搬送装置61に回転伝達する排藁搬送入力軸62の他端を軸装する。排藁搬送入力軸62は排藁入力ギヤケース60内に設けた傘歯車により中間出力軸59の回転が伝達される。
排藁搬送入力軸62の中間部は排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部を貫通させ、排藁搬送入力軸62の他端には排藁搬送装置61の株元側排藁搬送装置61Bの排藁株元搬送チェン63の排藁搬送チェン駆動歯車を設けて、排藁搬送チェンを駆動させ、排藁搬送チェンの回転を穂先側排藁搬送装置61Aに伝達している。
【0017】
排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aより搬送中の排藁の穂先側には、回転体65を設ける。回転体65は、その軸心を穂先側排藁搬送装置61Aの搬送方向に対して交叉方向に設け、穂先側排藁搬送装置61Aにより搬送中の排藁の穂先の搬送を補助する。
従来、特開2008ー237194号公報に開示されているように、排藁搬送入力軸62の中間部は排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部を貫通させ、排藁搬送入力軸62の他端には排藁搬送装置61の株元側排藁搬送装置61Bの排藁株元搬送チェン61の排藁搬送チェン駆動歯車を設けて、排藁搬送チェンを駆動させ、排藁搬送チェンの回転を穂先側排藁搬送装置61Aに伝達する構成は公知であるが、従来では排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付く課題がある。
本願は、排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aより搬送中の排藁の穂先側に回転体65を設けているので、排藁搬送装置61の搬送中の排藁の穂先の搬送姿勢を良好にしつつ、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くのを防止でき、排藁が詰まるのを防止する。
【0018】
回転体65は、前記排藁搬送入力軸62に設ける(図5)。
そのため、回転体65への回転伝動機構を特別に設けなくて済み、構成を簡素にできると共に、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くのを合理的構成で防止できる。
即ち、排藁搬送入力軸62の中間部を排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aを貫通させることにより、排藁搬送入力軸62は排藁入力ギヤケース60と穂先側排藁搬送装置61Aとの間の空間内を有効に利用して設けることができるだけでなく、排藁搬送装置61の穂先側排藁搬送装置61Aの前後中間部に貫通する排藁搬送入力軸62に回転体65を設けられるので、回転体65よりも搬送上手側の穂先側排藁搬送装置61Aから搬送される排藁の穂先を回転体65が送ることができ、排藁搬送入力軸62に排藁が巻き付くの防止しつつ排藁の特に穂先の搬送姿勢を良好にできる。
【0019】
回転体65は、先端を円弧形状に形成した突起66を放射状に突出させて形成する(図7)。
そのため、駆動回転する回転体65の突起66が搬送中の排藁束の上方から侵入して側面から排藁束を押して搬送する。
突起66が下方を移動するときの移動軌跡は、穂先側排藁搬送装置61Aの搬送ラグ67の下端の移動軌跡と略同じか、搬送ラグ67の下端の移動軌跡よりも下方に位置するようにする。
そのため、回転体65の突起66は、搬送中の垂れ下がる傾向の排藁の穂先側に有効に作用する。
図8は、扱胴11の扱歯10の実施例に関し、扱歯10は、軸部材を主として三角形状に扱胴11の外周から突出させると共に、三角形の「辺」の部分である辺部70を円弧状に蛇行させ、辺部70の一部に凹部71を形成する。
【0020】
そのため、扱歯10は、辺部70に穀稈に当接したとき、凹部71と穀稈との接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
即ち、扱歯10の辺部70は、先ず、扱歯10の頂部72に対して辺部70の外形ラインLを連続した円弧状に形成し(図9)、この外形ラインLに対して頂部72より基部側の辺部70の所定箇所に凹部71を外形ラインLより内側に凹ませて複数形成する。
したがって、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、扱歯10の中間部では凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図10は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は辺部70にのこぎりの歯のように細かな凹部71と凸部73とを隙間なく交互に並設して構成する。
【0021】
即ち、凹部71と凸部73は所謂でこぼこ状(ぎざぎざ状)に配置する。
そのため、凹部71および凸部73により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図11は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10の辺部70の表面にV形状の凹部71を所定間隔おいて複数並設して構成している。
そのため、複数の凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図12は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は頂部72に対して辺部70の外形ラインLを全体としては連続状の円弧形状に形成し、辺部70の表面にV形状の細かな凹部71と凸部73を隙間なく複数並設し、所謂でこぼこ状(ぎざぎざ状)に構成する。
【0022】
そのため、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、複数の凹部71により穀稈との接触抵抗を増加させ、扱歯10の辺部70の中央部分で滑っていた穀稈が滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
図13は、扱胴11の扱歯10の他の実施例に関し、扱歯10は頂部72に対して辺部70の外形ラインLを全体としては連続状の円弧形状に形成し、辺部70の表面にV形状の細かな凹部71を約10ミリ間隔で複数並設して構成する。
そのため、扱歯10の先端部では穀稈の穂先が逃げやすくなって、扱胴11の回転の負荷を必要以上に増加させず、扱歯10の辺部70で滑っていた穀稈が、約10ミリ間隔で複数並設した複数の凹部71により接触抵抗を増加させ、穀稈が辺部70に対して滑るのを抑制し、脱粒効果を増加させる。
【0023】
図14〜図19は、刈取部4の刈刃75の実施例を示し、刈刃75は、固定状態の下刃76と左右に往復摺動する上刃77により構成する。上刃77は、中央より左側に位置する左側上刃78と右側に位置する右側上刃79とを夫々別体に形成し、左側上刃78と右側上刃79は互いに反対に移動させる。
即ち、左側上刃78と右側上刃79は、互いに接近し、互いに離れるように移動する。
前記下刃76のうち中央の中央下刃76の上方の左側上刃78と右側上刃79には、中央下刃76の基部上方で中央下刃76の基部部分と上下に重なる中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aを、左側上刃78と右側上刃79と一体状に設ける。
【0024】
したがって、中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aは、それぞれ正面視で「Z」型形状に形成し、左側上刃78と右側上刃79が互いに接近したとき、中央下刃76の上方で中央下刃76と中央左側重り合い部78Aと中央右側重り合い部79Aとが重なり三層となる。
そのため、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができる。
この場合、中央左側重り合い部78Aは刈刃75の上刃77を押さえる刈刃プレート80上にまで移動し、中央右側重り合い部79Aは中央左側重り合い部78Aの下方に位置させ、常時中央下刃76上を包囲するように構成すると、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを防止でき、好適である。
【0025】
図20〜図25は、刈取部4の刈刃75の他の実施例を示し、左側の左側上刃78の中央側端縁と右側の右側上刃79の中央側端縁の夫々の上面に、左側上刃78と右側上刃79とは別体に形成した包囲体82を夫々取付け、左右の包囲体82は左側上刃78と右側上刃79が互いに接近したとき、中央下刃76の上方で中央下刃76と三層に重なるように構成する。
そのため、中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができ、また、包囲体82は左側上刃78と右側上刃79とは別体に形成しているので、容易に製造組立ができる。
包囲体82の取付手段は任意であるが、実施例ではリベット83により固定している。
【0026】
図26〜図28は、刈取部4の刈刃75の他の実施例を示し、前記中央下刃76の上方に、左右の左側上刃78と右側上刃79の中央側を押さえる長さの一枚板状の刈刃プレート80を設け、中央下刃76には上下に貫通する透孔84を設ける。
そのため、刈刃プレート80により中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制することができ、また、中央下刃76の透孔84によっても中央下刃76の上方に藁屑等が堆積するのを抑制でき、更に、刈刃プレート80を設け、中央下刃76に透孔84を形成すればよいので、容易に製造組立ができる。
【0027】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、刈取部4で刈り取った穀稈は穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14により搬送されて、脱穀室12に供給され、脱穀室12の扱胴11で脱穀される。
脱穀された脱穀物は、扱網18より揺動選別棚22上に落下し、揺動選別棚22の揺動と唐箕19からの送風により選別され、穀粒は揺動選別棚22の選別網から一番コンベア28に回収され、一番コンベア28により回収された穀粒はグレンタンク5に貯留される。
また、二番コンベア28に回収された二番物は二番還元装置45により二番処理装置42に還元され、二番処理装置42の二番処理胴44により再処理されて揺動選別棚22の始端部に拡散排出される。
【0028】
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は排塵連通口33から排塵処理装置30に入って処理される。
また、揺動選別棚22上の処理物は風選室21で風選され、揺動選別棚22より落下しない処理物のうち藁屑・塵埃は吸引排塵ファン42により機外に吸引排出される。
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は、脱穀室12の終端の排塵物排出口35に至る。排塵物排出口35の前側部分には縦桟36を並設して複数の排出孔37を形成しているので、縦桟36により排塵物排出口35に至った扱網18より落下しない排塵物の全てがそのまま下方に落下せず、扱網18より落下しない排塵物のうちの小さい被処理物だけを排出孔37から揺動選別装置23に落下させ、揺動選別装置23の負荷を減少させる。
【0029】
また、扱網18より落下しない排塵物のうちの更に排出孔37から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成し、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成し、前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内に前記扱胴11の後部を延長して臨ませ、排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭くして設けているので、排塵連通口33への排塵物の移行を円滑に効率よく行うことができる。
【0030】
刺さり粒回収部S内の扱胴11の外周には、板状に形成したソリッドツース50を、扱胴11の円周方向に複数設けているので、板状のソリッドツース50が穀稈供給搬送装置13により搬送中の穀稈(排藁)に当たると、穀稈を広げつつ衝撃を与え、穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒の落下を促進し、回収効率を向上させる。
ソリッドツース50には所定形状の透孔51を形成しているので、ソリッドツース50に透孔51を設けることによりソリッドツース50の重量を軽量化し、扱胴11の回転バランスを良好にする。
即ち、軸形状の扱歯10に比しソリッドツース50は穀稈との接触面積が大きくなるので、軸形状の扱歯10に比しソリッドツース50は穀稈を広げながら穀稈中の刺さり粒を落下させることができる。
【0031】
そのため、扱歯10に比し扱胴11の軸心方向において密に設ける必要が無く、扱歯10に比しソリッドツース50は藁屑の発生を抑制し、脱穀負荷を軽減し、この点でも、回収効率を向上させる。
また、ソリッドツース50に透孔51を形成しているので、ソリッドツース50が回転する際に発生する起風を抑制し、刺さり粒が落下中に後方へ飛ばされにくくなる。
即ち、扱歯10では起風作用が殆ど生じないが、ソリッドツース50では回転する際に起風が発生してしまうが、透孔51を形成することにより、起風発生を抑制して落下中の刺さり粒の後方飛散を抑制し、穀稈を広げることによる穀稈中の刺さり粒の落下効率を向上させ、全体として、刺さり粒の回収効率を向上させられる。
透孔51はソリッドツース50の回転方向の前後に並設し、前後の透孔51の間に桟52を形成しているので、ソリッドツース50の強度を確保しつつ、ソリッドツース50の回転する際の起風の発生を抑制し、刺さり粒の飛散を防止して、脱穀ロスの発生を抑制する。
【0032】
ソリッドツース50を扱胴11の円周方向に所定間隔をおいて設けるが、ソリッドツース50を設ける間隔は広狭に変化させて設けているので、穀稈にソリッドツース50が当たるタイミングがずれて刺さり粒の落下を促進させる。
ソリッドツース50は回転方向に長く所定面積を有する板形状に形成しているので、穀稈束内への侵入を容易にすると共に、穀稈束を広げて刺さり粒の落下を促進させることができる。
また、ソリッドツース50は、扱胴11の回転方向に対して僅かに斜めになるように扱胴11の外周に設け、回転方向上手側が搬送方向の後側となっているので、一層、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
また、ソリッドツース50の回転方向の上手側部分は切り欠いて傾斜部54に形成しているので、ソリッドツース50の穀稈束内への侵入を容易にでき、刺さり粒の落下を促進させる。
【0033】
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切り壁55を設けているので、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0034】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…操縦部、11…扱胴、12…脱穀室、13…穀稈供給搬送装置、14…供給搬送チェン、16…前板、17…脱穀室後板、18…扱網、19…唐箕、20…唐箕ケーシング、21…風選室、22…揺動選別棚、23…揺動選別装置、24…移送棚部、25…グレンシーブ、26…ストローラック、27…一番コンベア、28…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…排塵処理胴、33…排塵連通口、35…排塵物排出口、37…排出孔、36…縦桟、38…開放落下口、42…二番処理装置、44…二番処理胴、50…ソリッドツース、51…透孔、52…桟、53…取付部、54…傾斜部、55…仕切り壁、56…扱胴軸、57…中間伝達プーリ、58…中間出力プーリ、59…中間出力軸、60…排藁入力ギヤケース、61…排藁搬送装置、62…排藁搬送入力軸、63…排藁株元搬送チェン、65…回転体、66…突起、67…搬送ラグ、70…辺部、71…凹部、72…頂部、73…凸部、75…刈刃、76…下刃、77…上刃、78…左側上刃、79…右側上刃、80…刈刃プレート、82…包囲体、83…リベット、84…透孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈供給搬送装置(13)によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴(11)の下側に扱網(18)を設けて脱穀室(12)を形成し、前記穀稈供給搬送装置(13)の設置側とは反対側の脱穀室(12)の後部側方には、排塵連通口(33)により前記脱穀室(12)に連通する排塵処理胴(31)を有する排塵処理装置(30)を設け、前記扱網(18)の存在しない脱穀室(12)の終端側の部分のうちの前側部分は前記排塵連通口(33)を形成した排塵連通部(H)に形成し、前記扱網(18)の存在しない脱穀室(12)の終端側の部分のうちの前記排塵連通口(33)よりも後側の部分に刺さり粒回収部(S)を形成し、該刺さり粒回収部(S)内にまで前記扱胴(11)の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部(S)内の前記扱胴(11)の外周には板状で一部に透孔(51)を形成したソリッドツース(50)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ソリッドツース(50)を前記扱胴(11)の円周方向に複数並設したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ソリッドツース(50)の当接面を前記扱胴(11)の回転方向に対して斜めに設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記ソリッドツース(50)の回転方向の上手側部分を切り欠いて傾斜部(54)に形成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項1】
穀稈供給搬送装置(13)によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴(11)の下側に扱網(18)を設けて脱穀室(12)を形成し、前記穀稈供給搬送装置(13)の設置側とは反対側の脱穀室(12)の後部側方には、排塵連通口(33)により前記脱穀室(12)に連通する排塵処理胴(31)を有する排塵処理装置(30)を設け、前記扱網(18)の存在しない脱穀室(12)の終端側の部分のうちの前側部分は前記排塵連通口(33)を形成した排塵連通部(H)に形成し、前記扱網(18)の存在しない脱穀室(12)の終端側の部分のうちの前記排塵連通口(33)よりも後側の部分に刺さり粒回収部(S)を形成し、該刺さり粒回収部(S)内にまで前記扱胴(11)の後部を延長して臨ませ、前記刺さり粒回収部(S)内の前記扱胴(11)の外周には板状で一部に透孔(51)を形成したソリッドツース(50)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ソリッドツース(50)を前記扱胴(11)の円周方向に複数並設したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ソリッドツース(50)の当接面を前記扱胴(11)の回転方向に対して斜めに設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記ソリッドツース(50)の回転方向の上手側部分を切り欠いて傾斜部(54)に形成したことを特徴とする脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−268767(P2010−268767A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125392(P2009−125392)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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