脱穀装置
【課題】穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒の落下・回収効率が低く、藁屑のシーブ上への落下により選別の負荷を増加させるという課題がある。
【解決手段】扱胴11の下側に扱網18を設けた脱穀室12と、該脱穀室12の下側の移送棚部24と、移送棚部24の後側に配置した選別するシーブ25と、該シーブ25の下方に設けた選別網29とを有する揺動選別棚22を設ける。該揺動選別棚22の下側に唐箕19を設ける。記脱穀室12の後部に、該脱穀室12の後部側方に設けた排塵処理装置30と連通する排塵連通部Hを形成し、排塵連通部Hの下部には、前側漏下体54を有する前側漏下部45と該前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下体58を備える後側漏下部46を設ける。
【解決手段】扱胴11の下側に扱網18を設けた脱穀室12と、該脱穀室12の下側の移送棚部24と、移送棚部24の後側に配置した選別するシーブ25と、該シーブ25の下方に設けた選別網29とを有する揺動選別棚22を設ける。該揺動選別棚22の下側に唐箕19を設ける。記脱穀室12の後部に、該脱穀室12の後部側方に設けた排塵処理装置30と連通する排塵連通部Hを形成し、排塵連通部Hの下部には、前側漏下体54を有する前側漏下部45と該前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下体58を備える後側漏下部46を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈供給搬送装置によって搬送された穀稈を脱穀する扱胴の下側に扱網を設けて脱穀室を形成し、穀稈供給搬送装置の設置側とは反対側の脱穀室の後部側方には、脱穀室と排塵連通口により連通する排塵処理胴を有する排塵処理装置を設け、扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口を形成した排塵連通部に形成し、前記扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部に形成した脱穀装置は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒を落下・回収する刺さり粒回収部を設けているが、多く発生した藁屑がそのまま、シーブ上に落下し、選別の負荷を増加させるという課題がある。
本願は、刺さり粒回収部を設けた構成でありながら、選別の負荷を軽減させ、選別精度および選別効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、扱胴11の下側に扱網18を設けて脱穀室12を形成し、該脱穀室12の下側に、被処理物を受け止めて後方に移送する移送棚部24と、移送棚部24の後側に配置され被処理物中の穀粒を選別するシーブ25と、該シーブ25の下方に設けた選別網29とを有する揺動選別棚22を設け、該揺動選別棚22の下側に唐箕19を設けた脱穀装置において、前記脱穀室12の後部に、該脱穀室12の後部側方に設けた排塵処理装置30と連通する排塵連通部Hを形成し、排塵連通部Hの下部には、前側漏下体54を有する前側漏下部45と該前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下体58を備える後側漏下部46を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通部Hから排塵処理装置30へ円滑に移行(送り込み)し、前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合が大きい後側漏下部46では排出口35の詰まり発生を抑制するように被処理物を揺動選別棚22上に落下させる。
請求項2記載の発明は、前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向下手側に前記前側漏下部45を臨ませた脱穀装置としたものであり、排出口35の前側漏下部45に向けて、揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に唐箕19からの選別風が上側選別風路71を通って吹き抜け、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
請求項3記載の発明は、前記後側漏下部46の後側に四番処理室Sを形成した脱穀装置としたものであり、搬送穀稈中の刺さり粒を回収する。
請求項4記載の発明は、前記前側漏下部45と後側漏下部46との間には第一仕切板51を設け、後側漏下部46の後端部に第二仕切板55を設け、該第二仕切板55よりも前記第一仕切板51を低く形成した脱穀装置としたものであり、第一仕切板51により被処理物の後方移動に抵抗与えて排塵処理装置30へ移行させ、第一仕切板51を乗り越えた被処理物が第二仕切板55の移送抵抗により排塵処理装置30へ送り込まれるか、後側漏下体58より下方へ落下する。
請求項5記載の発明は、前記前側漏下部45の前側漏下体54は、複数の第一軸杆52を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記後側漏下部46の後側漏下体58は、複数の第二軸杆56を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記前側漏下部45の第一軸杆52の配置間隔を後側漏下部46の第二軸杆56の配置間隔よりも狭く構成した脱穀装置としたものであり、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、前側漏下体54の第一軸杆52の狭い配置間隔から落下せずに排塵処理装置30へ移行し、後側漏下部46の第二軸杆56の広い配置間隔から被処理物を落下させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、前側漏下部45の前側漏下体54により排塵処理装置30への移行を円滑にでき、後側漏下部46では被処理物を円滑に落下させて排出口35の詰まり発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明では、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止することができ、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止することができる。
請求項3記載の発明では、搬送穀稈中の刺さり粒を回収できる。
請求項4記載の発明では、第一仕切板51で被処理物に移送抵抗を与えることで、前側漏下体54からの穀粒の漏下と排塵処理装置30への移行を円滑にでき、第一仕切板51よりも高く形成された第二仕切板55によって被処理物物は排塵連通部Hよりも後方へ移送されるのを防止すると共に、排塵処理装置30への送り込みの確実性を向上させることができる。
請求項5記載の発明では、前側漏下部45の前側漏下体54により排塵処理装置30への移行を円滑にでき、後側漏下部46では被処理物を円滑に落下させて排出口35の詰まり発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の縦断側面図。
【図3】唐箕付近の縦断側面図。
【図4】脱穀室の排出口の側面図。
【図5】同平面図。
【図6】同正面図。
【図7】同背面図。
【図8】脱穀室の排出口の他の実施例の側面図。
【図9】同平面図。
【図10】同正面図。
【図11】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図12】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図13】同側面図。
【図14】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図15】同側面図。
【図16】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図17】同側面図。
【図18】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図19】脱穀装置の他の実施例の縦断側面図。
【図20】同斜視図。
【図21】唐箕付近の縦断側面図。
【図22】選別網の斜視図および断面図。
【図23】選別網の他の実施例の斜視図。
【図24】同斜視図。
【図25】選別網の他の実施例の斜視図。
【図26】選別網の他の実施例の斜視図。
【図27】選別網の他の実施例の平面図。
【図28】選別網の他の実施例の平面図。
【図29】選別網の他の実施例の平面図。
【図30】選別網の他の実施例の平面図。
【図31】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記脱穀装置3は、上部に扱歯10を有する扱胴11を略水平に軸装した脱穀室12を設ける。脱穀室12の一側には前記刈取部4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に前後左右等の方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
扱胴11は脱穀装置3の前板16と脱穀室後板17に軸装し、扱胴11の主として下方側は扱網18により包囲している。扱網18の下方には唐箕19の唐箕ケーシング20を設ける。前記脱穀室12の下方には前記唐箕19の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室21を形成し、風選室21内には、唐箕19の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚22により構成した揺動選別装置23を設ける。
【0009】
揺動選別装置23の構成は任意であるが、一例を示すと、前記揺動選別棚22の始端部(前端部)を唐箕ケーシング20の上方に位置させて移送棚部24に形成する。移送棚部24の上面には、図示は省略するが、突起や凹凸を設けて揺動選別棚22の移送方向下手側に扱網18からの落下物を移送するように構成する。
移送棚部24の移送方向下手側にはシーブ25を設ける。シーブ25は前側のグレンシーブ25Aと後側のチャフシーブ25Bにより構成している。
シーブ25は、穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。シーブ25は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高い角度範囲内で傾斜角度調節自在に構成している。
チャフシーブ25Bの移送方向の下手側(後側)にはストローラック26を設ける。揺動選別棚22の下方には一番コンベア27を設け、一番コンベア27の後側には二番コンベア28を設ける。29はシーブ25の下方に設けた選別網である。
【0010】
前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の扱胴11の後部(終端側)側方には、排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴11の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装し、脱穀室12の後部に設けた排塵連通口33(図2)により脱穀室12と連通させて構成する。排塵処理胴31の始端部は中板34に軸装し、中板34と脱穀室後板17との間に扱網18より落下しない藁屑を含む被処理物を排出する排出口35を設ける。
前記排塵処理装置30の前側には、二番コンベア28により回収された二番物を処理する二番処理装置36を設ける。
二番処理装置36の二番処理胴37は、排塵処理胴31と同心状に配置する。二番処理胴37は、穀稈供給搬送装置13の搬送方向と反対に揺動選別棚22の始端部側上方に向けて被処理物を搬送するように構成すると共に、扱網18の側方に位置している。
38は吸引排塵ファン、38Aは吸塵口、39は吸引排塵ファン38のケーシングである。
【0011】
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成する。
扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部(四番処理室)Sに形成する。前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内には前記扱胴11の後部を延長して臨ませる。
前記排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭く(密)して設ける。
そのため、排塵連通口33への被処理物の移行を円滑に効率よく行える。
しかして、揺動選別棚20上には、前後二列の前後側ふるい部40、41を並設する。前側ふるい部40および後側ふるい部41は、後方に突出するふるい線42を所定間隔を置いて左右方向に複数並設して構成する。
前記前側ふるい部40と後側ふるい部41は、前側ふるい部40の終端部の下方に、後側ふるい部41の始端部を位置させ、前後にオーバーラップさせる。
そのため、シーブ25上の藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
【0012】
前記前側ふるい部40は、その前端を前記脱穀室12の終端下方に位置させる。
そのため、脱穀室12の排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部40が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部40は、前記排出口35の後側部分の下方に位置させる。
そのため、排塵連通口33から落下する藁屑を前側ふるい部40が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部40は、揺動選別棚22に設けた一番棚先部材43の上方に設ける。
そのため、前側ふるい部40には、一番棚先部材43に案内された唐箕19からの選別風が強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
44Aは取付部、44Bは弾性案内部材である。
また、前記前側ふるい部40の前端は、前記揺動選別棚22のシーブ25の下方に設けた選別網29の後端とと同じか前寄りに位置させる。
そのため、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
【0013】
前記シーブ25は傾斜角度を調節自在とし、シーブ25の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部40と後側ふるい部41の傾斜を変更する構成とする。
即ち、シーブ25を起立させて、シーブ25の間隔を広げると、前側ふるい部40と後側ふるい部41の傾斜は後上がりの急傾斜になる。
そのため、作業状態に応じた最適状態で選別できる。
しかして、排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部45に形成し、前側漏下部45の後側には前記前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下部46に形成し、後側漏下部46の後側に落下部47を形成し、落下部47には落下ガイド48を設けている(図2)。
前記前側漏下部45は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設け、前側漏下部45は排出口35に至った扱網18より落下しない排藁の落下の際の抵抗となって、排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
【0014】
即ち、排出口35を開放構成とすると、排出口35に至った扱網18より落下しない排藁等の被処理物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下するが、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に前側漏下部45から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
前記排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46と落下部47とは、漏下径を相違させる。
前側漏下部45は、その前端部に扱胴11の周方向に縦の前側仕切板50を備え、扱胴11の軸心方向を前後方向の第一軸杆52を左右に並設して構成した落下孔53を有する前側漏下体54を設けている。
前側漏下部45と後側漏下部46の間には、周方向に第一仕切板(中間仕切板)51を設ける。
また、後側漏下部46は、その後端部に扱胴11の周方向を縦の第二仕切板(後側仕切板)55を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第二軸杆56を左右に並設して構成した落下孔57を有する後側漏下体58を設けている。
【0015】
後側漏下部46では後側漏下体58の第二軸杆56の配置間隔を前側漏下体54よりも大きく形成し、後側落下孔57は前側落下孔53よりも大きく形成する。
また、第一仕切板51が最も低く、前側仕切板50よりも第二仕切板55を高く形成している。
即ち、前側漏下部45の前側漏下体54および後側漏下部46の後側漏下体58は仕切板50と第一仕切板51と第二仕切板55および第一軸杆52と第二軸杆56により格子状にし、落下部47には後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設ける。
そのため、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通口33から排塵処理装置30への移行(送り込み)を円滑にし、後側漏下部46では前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合の大きい後側落下孔57により被処理物を揺動選別棚22上に落下させ、排出口35における詰まり発生を防止し、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0016】
また、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦搬送穀稈中から落下した刺さり粒が再び搬送穀稈中に刺さり込むのを抑制し、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の第二仕切板55を設け、第二仕切板55は、前側漏下部45の前側漏下体54と後側漏下部46の後側漏下体58との間に設けた中間仕切板51よりも高く形成する。
第一仕切板(中間仕切板)51よりも高く形成した第二仕切板55は、被処理物の量が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
また、前記前側ふるい部40の前端は、前記排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部46の下方に位置させる。
【0017】
排出口35では穀粒および藁屑が落下し、排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部46では藁屑の落下量が増加する傾向にあるが、後側漏下部46の下方に前側ふるい部40の前端を位置させているので、シーブ25への藁屑の落下を抑制する。
また、前側漏下部45および後側漏下部46は第一軸杆52と第二軸杆56により落下孔53と落下孔57を形成し、扱胴11の回転方向に対して第一軸杆52と第二軸杆56の配置間隔が相違するので、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を相違させることができ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、落下部47の落下ガイド48は後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させているので、落下部47から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
【0018】
図8〜図10は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、プレート60は接線方向に所定角度傾斜させる。
そのため、プレート60の平面部が抵抗となって、被処理物への抵抗を大きくでき、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成しているので、藁の巻き付きが抑制でき、詰まり発生を防止し、しかも、メンテナンスを軽減させられる。
図11は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、このプレート60は扱胴11の軸心方向に対して後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させて構成する。
【0019】
そのため、前側漏下部45および後側漏下部46から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
図12,図13は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46は、扱胴11の軸心方向に対して交差する仕切板50,51,55と扱胴11の軸心方向に対して平行の軸杆61により格子状に前側漏下体54および後側漏下体58を形成する。
そのため、排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46で、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を小さくでき、排塵処理装置30への送り込み作用を抑制し、排塵処理装置30の負荷を軽減を軽減させられる。
図14,図15は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45にはクリンプ網65を設け、このクリンプ網65の目により前記落下孔53を形成し、後側漏下部46には扱胴11の軸心方向と平行な軸杆61を設け、落下部47には落下ガイド48を設けて構成する。
【0020】
そのため、排出口35の前側漏下部45では、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を大きくして、排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では被処理の漏下を優先させられる。
図16,図17は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45は前側クリンプ網65により前側漏下体54を形成し、後側漏下部46は後側クリンプ網66により後側漏下体58を形成し、前側クリンプ網65の落下孔53よりも後側クリンプ網66の落下孔57を大きく形成する。
そのため、排出口35の前側漏下部45では目合の小さい前側クリンプ網65により排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では目合の大きな後側クリンプ網66により被処理の漏下を優先させられる。
【0021】
図18は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46には目合の同じにしたクリンプ網65を設け、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設ける。
そのため、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
前記揺動選別棚22の下方に設けた一番棚先部材43と揺動選別棚22の選別網29との上下中間位置には、一番棚先部材43よりも急な後上がりに傾斜するプレート68を設ける(図2)。
そのため、プレート68は、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風をシーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【0022】
この場合、前記プレート68は、該プレート68の傾斜面の後方延長線が、前記揺動選別棚22の終端上方に吸引排塵ファン38の吸塵口38Aに臨ませる。
そのため、プレート68と吸引排塵ファン38の吸塵口38Aにより、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風を、一層、シーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
前記選別網29の下方には、ガイド69を設ける(図19、図20)。ガイド69は、側面視、後側に至るに従い下方に位置させ、選別網29を唐箕19からの選別風が吹けにくくする。
そのため、選別網29での選別風が被処理物を吹き上げる抵抗を抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
【0023】
しかして、前記唐箕ケーシング20および唐箕19は、揺動選別棚22の移送棚部24の下方に位置させる。唐箕ケーシング20には送風口70を設ける(図21)。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向に前記排出口35の前側漏下部45を臨ませる。
そのため、排出口35の前側漏下部45において、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
この上側選別風路71を形成する構成は、任意であるが、一例を示すと、唐箕ケーシング20の送風口70の後側には、上側導風体72を設ける。前記上側導風体72には、前記移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する案内面73を設ける。上側導風体72の上方の前記唐箕ケーシング20には上側導風体72と略平行で移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する縦板部74を位置させ、案内面73と縦板部縦板部74との間に上向き風路73Aを形成し、上向き風路73Aからの送風が揺動選別棚22の移送棚部24の下面に当たって方向変換して上側選別風路71を通り、排出口35の前側漏下部45に向けて送風する。
【0024】
即ち、唐箕ケーシング20の縦板部74の前後位置を、揺動選別棚22の移送棚部24の後端よりも前側に位置させ、送風口70からの送風を上側導風体72と縦板部縦板部74により上向き風路73Aを通して上方に案内し、シーブ25の前側部分に上側風路(後向き風路)上側選別風路71により送風する。
そのため、排塵処理装置30の前端付近からの夾雑物を後方に飛散させると共に、前記排出口35の前端よりも前側にシーブ25を設けることができ、シーブ25による前後方向の選別面積を増加させられる。
前記揺動選別棚22の移送棚部24は、前記扱網18と略同じ長さとする。
そのため、脱穀室12の漏下物を移送棚部24で受け止めて左右方向に均平化させ、シーブ25による選別作用を向上させる。
【0025】
また、揺動選別棚22の移送棚部24を扱網18と略同じ長さとしているので、その分、前記上側導風体72と縦板部74が立ち上げた選別風をシーブ25に向けて送風でき、移送棚部24からシーブ25への被処理物の引継を良好にする作用も期待できる。
この場合、揺動選別棚22の開口部53Aの後側には、略垂直又は前側にいたるに従い高く傾斜する案内プレート(上向き案内面)75を設ける。
そのため、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、揺動選別棚22の移送棚部24の前側に向けて誘導し、その結果、送風は一層上向きになって上側選別風路71に誘導され、唐箕19の送風を効率よく上側選別風路71に誘導する。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の下面には、後上がりの棚側案内面76を設ける。
そのため、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、移送棚部24の下面の棚側案内面76により移送棚部24の下面と平行方向に誘導し、その結果、移送棚部24から落下する被処理物を後方への移送作用を向上させられる。
【0026】
図22は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、揺動選別棚22に対して着脱自在に取付ける。
選別網29には透孔85を前後左右に所定間隔置いて複数形成する。透孔85は略四角形状に形成する。複数の透孔85のうちの、全部または一部には前側周縁には上側に立ち上がる立ち上がり部86を設ける。
そのため、選別網29では、穀粒が透孔85から落下し、透孔85から落下しない被処理物は二番コンベア28により回収される。
また、選別網29の透孔85の前側には立ち上がり部86を設けているので、被処理物の後方移送に抵抗を与え、透孔85を抜けた選別風による選別精度を向上させられる。
また、選別網29は目抜き板により構成しているので、製作コストを安価にする。
また、選別網29は揺動選別棚22に対して着脱自在に取付けているので、メンテナンスを容易にする。
【0027】
図23、図24は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部には横側周縁には上側に立ち上がる横立ち上がり部92を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の横側には横立ち上がり部92を設けているので、被処理物の左右方向の移動を規制して後方移送を安定させられ、漏下効率を向上させて、脱穀処理のスピード化できる。
図25は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部の前側周縁には下側に屈曲させた垂れ下がり部93を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の垂れ下がり部93により、透孔85を吹き抜けを抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
【0028】
図26は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部の後側周縁には下側に屈曲させた後垂れ下がり部94を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の後垂れ下がり部94により、透孔85を吹き抜けを良好にし、選別精度を向上させられる。
図27は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は、中央側の透孔85に比し左右側の透孔85の目合を小さく形成する。
そのため、選別網29の左右側の透孔85の選別風の作用が及びにくい部位からの藁屑の落下を防止し、一番コンベア27への混入を防ぎ、選別精度を向上させられる。
図28は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は平面視六角形状に形成する。
そのため、選別網29の強度を保持しつつ透孔85を効率よく配置でき、漏下効率を向上させられる。
【0029】
図29は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は平面視台形形状に形成する。
そのため、選別網29の強度を保持しつつ透孔85を効率よく配置でき、漏下効率を向上させられる。
図30,31は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29の下面に所定の前後幅を有するガイド部材96を所定間隔をおいて複数設ける。
そのため、唐箕19からの選別風が選別網29を通ってシーブ25を吹き抜け、細かい藁屑の風選を良好にする。
78は導風体である。
【0030】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、刈取部4で刈り取った穀稈は脱穀室12に供給され、脱穀室12の扱胴11で脱穀される。
脱穀された脱穀物は、扱網18より揺動選別棚22上に落下し、揺動選別棚22の揺動と唐箕19からの送風により選別され、穀粒は揺動選別棚22の選別網から一番コンベア28に回収され、一番コンベア28により回収された穀粒はグレンタンク5に貯留される。
また、二番コンベア28に回収された二番物は二番処理装置36に還元され、二番処理装置36の二番処理胴37により再処理されて揺動選別棚22の始端部に拡散排出される。
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は排塵連通口33から排塵処理装置30に入って処理される。
また、揺動選別棚22上の処理物は風選室21で風選され、揺動選別棚22より落下しない処理物のうち藁屑・塵埃は吸引排塵ファン38により機外に吸引排出される。
【0031】
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は、脱穀室12の終端の排出口35に至る。
しかして、排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部45に形成し、前側漏下部45の後側には前記前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下部46に形成し、後側漏下部46の後側に落下部47を形成し、落下部47には落下ガイド48を設けており、前側漏下部45および後側漏下部46は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設けているので、前側漏下部45は排出口35に至った扱網18より落下しない排藁の落下の際の抵抗となって、排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
【0032】
即ち、排出口35を開放構成とすると、排出口35に至った扱網18より落下しない排藁等の被処理物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下するが、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に前側漏下部45および後側漏下部46から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0033】
前記排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46と落下部47とは、網形状を相違させ、前側漏下部45は、扱胴11の周方向に縦の前側仕切板50と第一仕切板51を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第一軸杆52を左右に並設して構成した落下孔53を有する前側漏下体54を設け、後側漏下部46は、扱胴11の周方向を縦の第一仕切板51と第二仕切板55を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第二軸杆56を左右に並設して構成した落下孔57を有する後側漏下体58を設けており、後側漏下部46では後側漏下体58の第二軸杆56の間隔を前側漏下体545よりも大きく形成し、後側落下孔57は前側落下孔53よりも大きく形成しているので、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通口33から排塵処理装置30への移行(送り込み)を円滑にし、後側漏下部46では前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合の大きい後側落下孔57により被処理物を揺動選別棚22上に落下させ、排出口35における詰まり発生を防止し、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0034】
また、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
また、前側漏下部45および後側漏下部46は第一軸杆52と第二軸杆56により落下孔53と落下孔57を形成し、扱胴11の回転方向に対して第一軸杆52と第二軸杆56の間隔が相違するので、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を相違させることができ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、落下部47の落下ガイド48は後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させているので、落下部47から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
【0035】
図8〜図10の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、プレート60は接線方向に所定角度傾斜させているので、プレート60が抵抗となって、被処理物への抵抗を大きくでき、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成しているので、藁の巻き付きが抑制でき、詰まり発生を防止し、しかも、メンテナンスを軽減させられる。
【0036】
図11の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、このプレート60は扱胴11の軸心方向に対して後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させて構成しているので、前側漏下部45および後側漏下部46から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
図12,図13の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46は、扱胴11の軸心方向に対して交差する仕切板50,51,55と扱胴11の軸心方向に対して平行の軸杆61により格子状に前側漏下体54および後側漏下体58を形成しているので、排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46で、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を小さくでき、排塵処理装置30への送り込み作用を抑制し、排塵処理装置30の負荷を軽減を軽減させられる。
【0037】
図14,図15の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45にはクリンプ網65を設け、このクリンプ網65の目により前記落下孔53を形成し、後側漏下部46には扱胴11の軸心方向と平行な軸杆61を設け、落下部47には落下ガイド48を設けて構成しているので、排出口35の前側漏下部45では、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を大きくして、排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では被処理の漏下を優先させられる。
図16,図17の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45は前側クリンプ網65により前側漏下体54を形成し、後側漏下部46は後側クリンプ網66により後側漏下体58を形成し、前側クリンプ網65の落下孔53よりも後側クリンプ網66の落下孔57を大きく形成しているので、排出口35の前側漏下部45では目合の小さい前側クリンプ網65により排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では目合の大きな後側クリンプ網66により被処理の漏下を優先させられる。
【0038】
図18の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46には目合の同じにしたクリンプ網65を設け、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
前記揺動選別棚22の下方に設けた一番棚先部材43と揺動選別棚22の選別網29との上下中間位置には、一番棚先部材43よりも急な後上がりに傾斜するプレート68を設けているので(図2)、プレート68は、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風をシーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
この場合、前記プレート68は、該プレート68の傾斜面の後方延長線が、前記揺動選別棚22の終端上方に吸引排塵ファン38の吸塵口38Aに臨ませているので、プレート68と吸引排塵ファン38の吸塵口38Aにより、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風を、一層、シーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【0039】
前記選別網29の下方には、ガイド69を設け(図19、図20)、ガイド69は、側面視、後側に至るに従い下方に位置させているので、選別網29を唐箕19からの選別風が吹けにくくする。
そのため、選別網29での選別風が被処理物を吹き上げる抵抗を抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
しかして、前記唐箕ケーシング20および唐箕19は、揺動選別棚22の移送棚部24の下方に位置させる。唐箕ケーシング20には送風口70を設け(図21)、前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向に前記排出口35の前側漏下部45を臨ませているので、排出口35の前側漏下部45において、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
【0040】
この上側選別風路71は、唐箕ケーシング20の送風口70の後側には、上側導風体72を設け、上側導風体72に前記移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する案内面73を設け、上側導風体72の上方の前記唐箕ケーシング20には上側導風体72と略平行の縦板部74を位置させ、案内面73と縦板部縦板部74との間に上向き風路73Aを形成しているので、上向き風路73Aからの送風が揺動選別棚22の移送棚部24の下面に当たって方向変換して上側選別風路71を通り、排出口35の前側漏下部45に向けて送風する。
そのため、排塵処理装置30の前端付近からの夾雑物を後方に飛散させると共に、前記排出口35の前端よりも前側にシーブ25を設けることができ、シーブ25による前後方向の選別面積を増加させられる。
前記揺動選別棚22の移送棚部24は、前記扱網18と略同じ長さとしているので、脱穀室12の漏下物を移送棚部24で受け止めて左右方向に均平化させ、シーブ25による選別作用を向上させる。
【0041】
また、揺動選別棚22の移送棚部24を扱網18と略同じ長さとしているので、その分、前記上側導風体72と縦板部74が立ち上げた選別風をシーブ25に向けて送風でき、移送棚部24からシーブ25への被処理物の引継を良好にする作用も期待できる。
この場合、揺動選別棚22の開口部53Aの後側には、前側にいたるに従い高く傾斜する案内プレート(上向き案内面)75を設けているので、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、揺動選別棚22の移送棚部24の前側に向けて誘導し、その結果、送風は一層上向きになって上側選別風路71に誘導され、唐箕19の送風を効率よく上側選別風路71に誘導する。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の下面には、後上がりの棚側案内面76を設けているので、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、移送棚部24の下面の棚側案内面76により移送棚部24の下面と平行方向に誘導し、その結果、移送棚部24から落下する被処理物を後方への移送作用を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0042】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…操縦部、11…扱胴、12…脱穀室、13…穀稈供給搬送装置、14…供給搬送チェン、16…前板、17…脱穀室後板、18…扱網、19…唐箕、20…唐箕ケーシング、21…風選室、22…揺動選別棚、23…揺動選別装置、24…移送棚部、25…シーブ、26…ストローラック、27…一番コンベア、28…二番コンベア、29…選別網、30…排塵処理装置、31…排塵処理胴、33…排塵連通口、35…排出口、36…二番処理装置、37…二番処理胴、38…吸引排塵ファン38、40…前側ふるい部、41…後側ふるい部、42…ふるい線、43…一番棚先部材、45…前側漏下部、46…後側漏下部、47…落下部、48…落下ガイド、50,51…仕切板、52…第一軸杆、53…落下孔、53A…開口部、54…前側漏下体、55…仕切板、56…第二軸杆、57…落下孔、58…後側漏下体、60…プレート、61…軸杆、65…クリンプ網、66…後側クリンプ網、68…プレート、69…ガイド、70…送風口、71…上側選別風路、72…上側導風体、73…案内面、73A…上向き風路、74…縦板部、75…案内プレート、76…棚側案内面、85…透孔、86…立ち上がり部、92…横立ち上がり部、93…垂れ下がり部、94…後垂れ下がり部、96…ガイド部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈供給搬送装置によって搬送された穀稈を脱穀する扱胴の下側に扱網を設けて脱穀室を形成し、穀稈供給搬送装置の設置側とは反対側の脱穀室の後部側方には、脱穀室と排塵連通口により連通する排塵処理胴を有する排塵処理装置を設け、扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口を形成した排塵連通部に形成し、前記扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部に形成した脱穀装置は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒を落下・回収する刺さり粒回収部を設けているが、多く発生した藁屑がそのまま、シーブ上に落下し、選別の負荷を増加させるという課題がある。
本願は、刺さり粒回収部を設けた構成でありながら、選別の負荷を軽減させ、選別精度および選別効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、扱胴11の下側に扱網18を設けて脱穀室12を形成し、該脱穀室12の下側に、被処理物を受け止めて後方に移送する移送棚部24と、移送棚部24の後側に配置され被処理物中の穀粒を選別するシーブ25と、該シーブ25の下方に設けた選別網29とを有する揺動選別棚22を設け、該揺動選別棚22の下側に唐箕19を設けた脱穀装置において、前記脱穀室12の後部に、該脱穀室12の後部側方に設けた排塵処理装置30と連通する排塵連通部Hを形成し、排塵連通部Hの下部には、前側漏下体54を有する前側漏下部45と該前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下体58を備える後側漏下部46を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通部Hから排塵処理装置30へ円滑に移行(送り込み)し、前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合が大きい後側漏下部46では排出口35の詰まり発生を抑制するように被処理物を揺動選別棚22上に落下させる。
請求項2記載の発明は、前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向下手側に前記前側漏下部45を臨ませた脱穀装置としたものであり、排出口35の前側漏下部45に向けて、揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に唐箕19からの選別風が上側選別風路71を通って吹き抜け、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
請求項3記載の発明は、前記後側漏下部46の後側に四番処理室Sを形成した脱穀装置としたものであり、搬送穀稈中の刺さり粒を回収する。
請求項4記載の発明は、前記前側漏下部45と後側漏下部46との間には第一仕切板51を設け、後側漏下部46の後端部に第二仕切板55を設け、該第二仕切板55よりも前記第一仕切板51を低く形成した脱穀装置としたものであり、第一仕切板51により被処理物の後方移動に抵抗与えて排塵処理装置30へ移行させ、第一仕切板51を乗り越えた被処理物が第二仕切板55の移送抵抗により排塵処理装置30へ送り込まれるか、後側漏下体58より下方へ落下する。
請求項5記載の発明は、前記前側漏下部45の前側漏下体54は、複数の第一軸杆52を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記後側漏下部46の後側漏下体58は、複数の第二軸杆56を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記前側漏下部45の第一軸杆52の配置間隔を後側漏下部46の第二軸杆56の配置間隔よりも狭く構成した脱穀装置としたものであり、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、前側漏下体54の第一軸杆52の狭い配置間隔から落下せずに排塵処理装置30へ移行し、後側漏下部46の第二軸杆56の広い配置間隔から被処理物を落下させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、前側漏下部45の前側漏下体54により排塵処理装置30への移行を円滑にでき、後側漏下部46では被処理物を円滑に落下させて排出口35の詰まり発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明では、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止することができ、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止することができる。
請求項3記載の発明では、搬送穀稈中の刺さり粒を回収できる。
請求項4記載の発明では、第一仕切板51で被処理物に移送抵抗を与えることで、前側漏下体54からの穀粒の漏下と排塵処理装置30への移行を円滑にでき、第一仕切板51よりも高く形成された第二仕切板55によって被処理物物は排塵連通部Hよりも後方へ移送されるのを防止すると共に、排塵処理装置30への送り込みの確実性を向上させることができる。
請求項5記載の発明では、前側漏下部45の前側漏下体54により排塵処理装置30への移行を円滑にでき、後側漏下部46では被処理物を円滑に落下させて排出口35の詰まり発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の縦断側面図。
【図3】唐箕付近の縦断側面図。
【図4】脱穀室の排出口の側面図。
【図5】同平面図。
【図6】同正面図。
【図7】同背面図。
【図8】脱穀室の排出口の他の実施例の側面図。
【図9】同平面図。
【図10】同正面図。
【図11】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図12】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図13】同側面図。
【図14】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図15】同側面図。
【図16】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図17】同側面図。
【図18】脱穀室の排出口の他の実施例の平面図。
【図19】脱穀装置の他の実施例の縦断側面図。
【図20】同斜視図。
【図21】唐箕付近の縦断側面図。
【図22】選別網の斜視図および断面図。
【図23】選別網の他の実施例の斜視図。
【図24】同斜視図。
【図25】選別網の他の実施例の斜視図。
【図26】選別網の他の実施例の斜視図。
【図27】選別網の他の実施例の平面図。
【図28】選別網の他の実施例の平面図。
【図29】選別網の他の実施例の平面図。
【図30】選別網の他の実施例の平面図。
【図31】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記脱穀装置3は、上部に扱歯10を有する扱胴11を略水平に軸装した脱穀室12を設ける。脱穀室12の一側には前記刈取部4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に前後左右等の方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
扱胴11は脱穀装置3の前板16と脱穀室後板17に軸装し、扱胴11の主として下方側は扱網18により包囲している。扱網18の下方には唐箕19の唐箕ケーシング20を設ける。前記脱穀室12の下方には前記唐箕19の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室21を形成し、風選室21内には、唐箕19の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚22により構成した揺動選別装置23を設ける。
【0009】
揺動選別装置23の構成は任意であるが、一例を示すと、前記揺動選別棚22の始端部(前端部)を唐箕ケーシング20の上方に位置させて移送棚部24に形成する。移送棚部24の上面には、図示は省略するが、突起や凹凸を設けて揺動選別棚22の移送方向下手側に扱網18からの落下物を移送するように構成する。
移送棚部24の移送方向下手側にはシーブ25を設ける。シーブ25は前側のグレンシーブ25Aと後側のチャフシーブ25Bにより構成している。
シーブ25は、穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。シーブ25は、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高い角度範囲内で傾斜角度調節自在に構成している。
チャフシーブ25Bの移送方向の下手側(後側)にはストローラック26を設ける。揺動選別棚22の下方には一番コンベア27を設け、一番コンベア27の後側には二番コンベア28を設ける。29はシーブ25の下方に設けた選別網である。
【0010】
前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の扱胴11の後部(終端側)側方には、排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴11の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装し、脱穀室12の後部に設けた排塵連通口33(図2)により脱穀室12と連通させて構成する。排塵処理胴31の始端部は中板34に軸装し、中板34と脱穀室後板17との間に扱網18より落下しない藁屑を含む被処理物を排出する排出口35を設ける。
前記排塵処理装置30の前側には、二番コンベア28により回収された二番物を処理する二番処理装置36を設ける。
二番処理装置36の二番処理胴37は、排塵処理胴31と同心状に配置する。二番処理胴37は、穀稈供給搬送装置13の搬送方向と反対に揺動選別棚22の始端部側上方に向けて被処理物を搬送するように構成すると共に、扱網18の側方に位置している。
38は吸引排塵ファン、38Aは吸塵口、39は吸引排塵ファン38のケーシングである。
【0011】
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成する。
扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部(四番処理室)Sに形成する。前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内には前記扱胴11の後部を延長して臨ませる。
前記排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭く(密)して設ける。
そのため、排塵連通口33への被処理物の移行を円滑に効率よく行える。
しかして、揺動選別棚20上には、前後二列の前後側ふるい部40、41を並設する。前側ふるい部40および後側ふるい部41は、後方に突出するふるい線42を所定間隔を置いて左右方向に複数並設して構成する。
前記前側ふるい部40と後側ふるい部41は、前側ふるい部40の終端部の下方に、後側ふるい部41の始端部を位置させ、前後にオーバーラップさせる。
そのため、シーブ25上の藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
【0012】
前記前側ふるい部40は、その前端を前記脱穀室12の終端下方に位置させる。
そのため、脱穀室12の排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部40が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部40は、前記排出口35の後側部分の下方に位置させる。
そのため、排塵連通口33から落下する藁屑を前側ふるい部40が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部40は、揺動選別棚22に設けた一番棚先部材43の上方に設ける。
そのため、前側ふるい部40には、一番棚先部材43に案内された唐箕19からの選別風が強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
44Aは取付部、44Bは弾性案内部材である。
また、前記前側ふるい部40の前端は、前記揺動選別棚22のシーブ25の下方に設けた選別網29の後端とと同じか前寄りに位置させる。
そのため、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
【0013】
前記シーブ25は傾斜角度を調節自在とし、シーブ25の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部40と後側ふるい部41の傾斜を変更する構成とする。
即ち、シーブ25を起立させて、シーブ25の間隔を広げると、前側ふるい部40と後側ふるい部41の傾斜は後上がりの急傾斜になる。
そのため、作業状態に応じた最適状態で選別できる。
しかして、排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部45に形成し、前側漏下部45の後側には前記前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下部46に形成し、後側漏下部46の後側に落下部47を形成し、落下部47には落下ガイド48を設けている(図2)。
前記前側漏下部45は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設け、前側漏下部45は排出口35に至った扱網18より落下しない排藁の落下の際の抵抗となって、排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
【0014】
即ち、排出口35を開放構成とすると、排出口35に至った扱網18より落下しない排藁等の被処理物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下するが、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に前側漏下部45から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
前記排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46と落下部47とは、漏下径を相違させる。
前側漏下部45は、その前端部に扱胴11の周方向に縦の前側仕切板50を備え、扱胴11の軸心方向を前後方向の第一軸杆52を左右に並設して構成した落下孔53を有する前側漏下体54を設けている。
前側漏下部45と後側漏下部46の間には、周方向に第一仕切板(中間仕切板)51を設ける。
また、後側漏下部46は、その後端部に扱胴11の周方向を縦の第二仕切板(後側仕切板)55を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第二軸杆56を左右に並設して構成した落下孔57を有する後側漏下体58を設けている。
【0015】
後側漏下部46では後側漏下体58の第二軸杆56の配置間隔を前側漏下体54よりも大きく形成し、後側落下孔57は前側落下孔53よりも大きく形成する。
また、第一仕切板51が最も低く、前側仕切板50よりも第二仕切板55を高く形成している。
即ち、前側漏下部45の前側漏下体54および後側漏下部46の後側漏下体58は仕切板50と第一仕切板51と第二仕切板55および第一軸杆52と第二軸杆56により格子状にし、落下部47には後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設ける。
そのため、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通口33から排塵処理装置30への移行(送り込み)を円滑にし、後側漏下部46では前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合の大きい後側落下孔57により被処理物を揺動選別棚22上に落下させ、排出口35における詰まり発生を防止し、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0016】
また、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦搬送穀稈中から落下した刺さり粒が再び搬送穀稈中に刺さり込むのを抑制し、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の第二仕切板55を設け、第二仕切板55は、前側漏下部45の前側漏下体54と後側漏下部46の後側漏下体58との間に設けた中間仕切板51よりも高く形成する。
第一仕切板(中間仕切板)51よりも高く形成した第二仕切板55は、被処理物の量が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
また、前記前側ふるい部40の前端は、前記排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部46の下方に位置させる。
【0017】
排出口35では穀粒および藁屑が落下し、排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部46では藁屑の落下量が増加する傾向にあるが、後側漏下部46の下方に前側ふるい部40の前端を位置させているので、シーブ25への藁屑の落下を抑制する。
また、前側漏下部45および後側漏下部46は第一軸杆52と第二軸杆56により落下孔53と落下孔57を形成し、扱胴11の回転方向に対して第一軸杆52と第二軸杆56の配置間隔が相違するので、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を相違させることができ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、落下部47の落下ガイド48は後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させているので、落下部47から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
【0018】
図8〜図10は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、プレート60は接線方向に所定角度傾斜させる。
そのため、プレート60の平面部が抵抗となって、被処理物への抵抗を大きくでき、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成しているので、藁の巻き付きが抑制でき、詰まり発生を防止し、しかも、メンテナンスを軽減させられる。
図11は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、このプレート60は扱胴11の軸心方向に対して後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させて構成する。
【0019】
そのため、前側漏下部45および後側漏下部46から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
図12,図13は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46は、扱胴11の軸心方向に対して交差する仕切板50,51,55と扱胴11の軸心方向に対して平行の軸杆61により格子状に前側漏下体54および後側漏下体58を形成する。
そのため、排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46で、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を小さくでき、排塵処理装置30への送り込み作用を抑制し、排塵処理装置30の負荷を軽減を軽減させられる。
図14,図15は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45にはクリンプ網65を設け、このクリンプ網65の目により前記落下孔53を形成し、後側漏下部46には扱胴11の軸心方向と平行な軸杆61を設け、落下部47には落下ガイド48を設けて構成する。
【0020】
そのため、排出口35の前側漏下部45では、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を大きくして、排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では被処理の漏下を優先させられる。
図16,図17は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45は前側クリンプ網65により前側漏下体54を形成し、後側漏下部46は後側クリンプ網66により後側漏下体58を形成し、前側クリンプ網65の落下孔53よりも後側クリンプ網66の落下孔57を大きく形成する。
そのため、排出口35の前側漏下部45では目合の小さい前側クリンプ網65により排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では目合の大きな後側クリンプ網66により被処理の漏下を優先させられる。
【0021】
図18は、排出口35の他の実施例を示し、前側漏下部45および後側漏下部46には目合の同じにしたクリンプ網65を設け、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設ける。
そのため、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
前記揺動選別棚22の下方に設けた一番棚先部材43と揺動選別棚22の選別網29との上下中間位置には、一番棚先部材43よりも急な後上がりに傾斜するプレート68を設ける(図2)。
そのため、プレート68は、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風をシーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【0022】
この場合、前記プレート68は、該プレート68の傾斜面の後方延長線が、前記揺動選別棚22の終端上方に吸引排塵ファン38の吸塵口38Aに臨ませる。
そのため、プレート68と吸引排塵ファン38の吸塵口38Aにより、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風を、一層、シーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
前記選別網29の下方には、ガイド69を設ける(図19、図20)。ガイド69は、側面視、後側に至るに従い下方に位置させ、選別網29を唐箕19からの選別風が吹けにくくする。
そのため、選別網29での選別風が被処理物を吹き上げる抵抗を抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
【0023】
しかして、前記唐箕ケーシング20および唐箕19は、揺動選別棚22の移送棚部24の下方に位置させる。唐箕ケーシング20には送風口70を設ける(図21)。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向に前記排出口35の前側漏下部45を臨ませる。
そのため、排出口35の前側漏下部45において、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
この上側選別風路71を形成する構成は、任意であるが、一例を示すと、唐箕ケーシング20の送風口70の後側には、上側導風体72を設ける。前記上側導風体72には、前記移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する案内面73を設ける。上側導風体72の上方の前記唐箕ケーシング20には上側導風体72と略平行で移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する縦板部74を位置させ、案内面73と縦板部縦板部74との間に上向き風路73Aを形成し、上向き風路73Aからの送風が揺動選別棚22の移送棚部24の下面に当たって方向変換して上側選別風路71を通り、排出口35の前側漏下部45に向けて送風する。
【0024】
即ち、唐箕ケーシング20の縦板部74の前後位置を、揺動選別棚22の移送棚部24の後端よりも前側に位置させ、送風口70からの送風を上側導風体72と縦板部縦板部74により上向き風路73Aを通して上方に案内し、シーブ25の前側部分に上側風路(後向き風路)上側選別風路71により送風する。
そのため、排塵処理装置30の前端付近からの夾雑物を後方に飛散させると共に、前記排出口35の前端よりも前側にシーブ25を設けることができ、シーブ25による前後方向の選別面積を増加させられる。
前記揺動選別棚22の移送棚部24は、前記扱網18と略同じ長さとする。
そのため、脱穀室12の漏下物を移送棚部24で受け止めて左右方向に均平化させ、シーブ25による選別作用を向上させる。
【0025】
また、揺動選別棚22の移送棚部24を扱網18と略同じ長さとしているので、その分、前記上側導風体72と縦板部74が立ち上げた選別風をシーブ25に向けて送風でき、移送棚部24からシーブ25への被処理物の引継を良好にする作用も期待できる。
この場合、揺動選別棚22の開口部53Aの後側には、略垂直又は前側にいたるに従い高く傾斜する案内プレート(上向き案内面)75を設ける。
そのため、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、揺動選別棚22の移送棚部24の前側に向けて誘導し、その結果、送風は一層上向きになって上側選別風路71に誘導され、唐箕19の送風を効率よく上側選別風路71に誘導する。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の下面には、後上がりの棚側案内面76を設ける。
そのため、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、移送棚部24の下面の棚側案内面76により移送棚部24の下面と平行方向に誘導し、その結果、移送棚部24から落下する被処理物を後方への移送作用を向上させられる。
【0026】
図22は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、揺動選別棚22に対して着脱自在に取付ける。
選別網29には透孔85を前後左右に所定間隔置いて複数形成する。透孔85は略四角形状に形成する。複数の透孔85のうちの、全部または一部には前側周縁には上側に立ち上がる立ち上がり部86を設ける。
そのため、選別網29では、穀粒が透孔85から落下し、透孔85から落下しない被処理物は二番コンベア28により回収される。
また、選別網29の透孔85の前側には立ち上がり部86を設けているので、被処理物の後方移送に抵抗を与え、透孔85を抜けた選別風による選別精度を向上させられる。
また、選別網29は目抜き板により構成しているので、製作コストを安価にする。
また、選別網29は揺動選別棚22に対して着脱自在に取付けているので、メンテナンスを容易にする。
【0027】
図23、図24は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部には横側周縁には上側に立ち上がる横立ち上がり部92を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の横側には横立ち上がり部92を設けているので、被処理物の左右方向の移動を規制して後方移送を安定させられ、漏下効率を向上させて、脱穀処理のスピード化できる。
図25は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部の前側周縁には下側に屈曲させた垂れ下がり部93を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の垂れ下がり部93により、透孔85を吹き抜けを抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
【0028】
図26は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85のうちの、全部または一部の後側周縁には下側に屈曲させた後垂れ下がり部94を設ける。
そのため、選別網29の透孔85の後垂れ下がり部94により、透孔85を吹き抜けを良好にし、選別精度を向上させられる。
図27は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は、中央側の透孔85に比し左右側の透孔85の目合を小さく形成する。
そのため、選別網29の左右側の透孔85の選別風の作用が及びにくい部位からの藁屑の落下を防止し、一番コンベア27への混入を防ぎ、選別精度を向上させられる。
図28は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は平面視六角形状に形成する。
そのため、選別網29の強度を保持しつつ透孔85を効率よく配置でき、漏下効率を向上させられる。
【0029】
図29は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29は目抜き板により構成し、選別網29の複数の透孔85は平面視台形形状に形成する。
そのため、選別網29の強度を保持しつつ透孔85を効率よく配置でき、漏下効率を向上させられる。
図30,31は、選別網29の他の実施例を示し、前記選別網29の下面に所定の前後幅を有するガイド部材96を所定間隔をおいて複数設ける。
そのため、唐箕19からの選別風が選別網29を通ってシーブ25を吹き抜け、細かい藁屑の風選を良好にする。
78は導風体である。
【0030】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、刈取部4で刈り取った穀稈は脱穀室12に供給され、脱穀室12の扱胴11で脱穀される。
脱穀された脱穀物は、扱網18より揺動選別棚22上に落下し、揺動選別棚22の揺動と唐箕19からの送風により選別され、穀粒は揺動選別棚22の選別網から一番コンベア28に回収され、一番コンベア28により回収された穀粒はグレンタンク5に貯留される。
また、二番コンベア28に回収された二番物は二番処理装置36に還元され、二番処理装置36の二番処理胴37により再処理されて揺動選別棚22の始端部に拡散排出される。
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は排塵連通口33から排塵処理装置30に入って処理される。
また、揺動選別棚22上の処理物は風選室21で風選され、揺動選別棚22より落下しない処理物のうち藁屑・塵埃は吸引排塵ファン38により機外に吸引排出される。
【0031】
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は、脱穀室12の終端の排出口35に至る。
しかして、排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部45に形成し、前側漏下部45の後側には前記前側漏下部45よりも目合の大きい後側漏下部46に形成し、後側漏下部46の後側に落下部47を形成し、落下部47には落下ガイド48を設けており、前側漏下部45および後側漏下部46は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設けているので、前側漏下部45は排出口35に至った扱網18より落下しない排藁の落下の際の抵抗となって、排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
【0032】
即ち、排出口35を開放構成とすると、排出口35に至った扱網18より落下しない排藁等の被処理物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下するが、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に前側漏下部45および後側漏下部46から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0033】
前記排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46と落下部47とは、網形状を相違させ、前側漏下部45は、扱胴11の周方向に縦の前側仕切板50と第一仕切板51を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第一軸杆52を左右に並設して構成した落下孔53を有する前側漏下体54を設け、後側漏下部46は、扱胴11の周方向を縦の第一仕切板51と第二仕切板55を並設し、扱胴11の軸心方向を前後方向の第二軸杆56を左右に並設して構成した落下孔57を有する後側漏下体58を設けており、後側漏下部46では後側漏下体58の第二軸杆56の間隔を前側漏下体545よりも大きく形成し、後側落下孔57は前側落下孔53よりも大きく形成しているので、扱網18より落下しない被処理物うち大きな被処理物は、小さい目合となる前側漏下部45の前側漏下体54の抵抗を受けて排塵連通口33から排塵処理装置30への移行(送り込み)を円滑にし、後側漏下部46では前側漏下部45の前側漏下体54よりも目合の大きい後側落下孔57により被処理物を揺動選別棚22上に落下させ、排出口35における詰まり発生を防止し、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
【0034】
また、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
また、前側漏下部45および後側漏下部46は第一軸杆52と第二軸杆56により落下孔53と落下孔57を形成し、扱胴11の回転方向に対して第一軸杆52と第二軸杆56の間隔が相違するので、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を相違させることができ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、落下部47の落下ガイド48は後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させているので、落下部47から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
【0035】
図8〜図10の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、プレート60は接線方向に所定角度傾斜させているので、プレート60が抵抗となって、被処理物への抵抗を大きくでき、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、揺動選別棚22への負荷を軽減させられる。
また、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成しているので、藁の巻き付きが抑制でき、詰まり発生を防止し、しかも、メンテナンスを軽減させられる。
【0036】
図11の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46はプレート60と仕切板50,51,55とにより落下孔53、57を形成し、このプレート60は扱胴11の軸心方向に対して後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜させて構成しているので、前側漏下部45および後側漏下部46から落下する被処理物を排塵処理装置30側へ誘導し、揺動選別棚22上の被処理物を均平化する。
図12,図13の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46は、扱胴11の軸心方向に対して交差する仕切板50,51,55と扱胴11の軸心方向に対して平行の軸杆61により格子状に前側漏下体54および後側漏下体58を形成しているので、排出口35の前側漏下部45と後側漏下部46で、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を小さくでき、排塵処理装置30への送り込み作用を抑制し、排塵処理装置30の負荷を軽減を軽減させられる。
【0037】
図14,図15の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45にはクリンプ網65を設け、このクリンプ網65の目により前記落下孔53を形成し、後側漏下部46には扱胴11の軸心方向と平行な軸杆61を設け、落下部47には落下ガイド48を設けて構成しているので、排出口35の前側漏下部45では、扱胴11の回転方向の被処理物の抵抗を大きくして、排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では被処理の漏下を優先させられる。
図16,図17の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45は前側クリンプ網65により前側漏下体54を形成し、後側漏下部46は後側クリンプ網66により後側漏下体58を形成し、前側クリンプ網65の落下孔53よりも後側クリンプ網66の落下孔57を大きく形成しているので、排出口35の前側漏下部45では目合の小さい前側クリンプ網65により排塵処理装置30への送り込み作用を優先させ、後側漏下部46では目合の大きな後側クリンプ網66により被処理の漏下を優先させられる。
【0038】
図18の排出口35の他の実施例では、前側漏下部45および後側漏下部46には目合の同じにしたクリンプ網65を設け、落下部47では後側に至るに従い排塵処理装置30側に傾斜する落下ガイド48を設けているので、搬送穀稈中の刺さり粒の回収を良好にすると共に、一旦開放された穀粒が再度刺さり粒にせずに、揺動選別棚22上に落下させて回収する。
前記揺動選別棚22の下方に設けた一番棚先部材43と揺動選別棚22の選別網29との上下中間位置には、一番棚先部材43よりも急な後上がりに傾斜するプレート68を設けているので(図2)、プレート68は、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風をシーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
この場合、前記プレート68は、該プレート68の傾斜面の後方延長線が、前記揺動選別棚22の終端上方に吸引排塵ファン38の吸塵口38Aに臨ませているので、プレート68と吸引排塵ファン38の吸塵口38Aにより、一番棚先部材43の上方を通る唐箕19からの選別風を、一層、シーブ25に向けて吹き上がるように案内し、唐箕19からの選別風がシーブ25間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【0039】
前記選別網29の下方には、ガイド69を設け(図19、図20)、ガイド69は、側面視、後側に至るに従い下方に位置させているので、選別網29を唐箕19からの選別風が吹けにくくする。
そのため、選別網29での選別風が被処理物を吹き上げる抵抗を抑制し、被処理物の漏下を促進させる。
しかして、前記唐箕ケーシング20および唐箕19は、揺動選別棚22の移送棚部24の下方に位置させる。唐箕ケーシング20には送風口70を設け(図21)、前記揺動選別棚22の移送棚部24の終端とシーブ25の始端部との間から上方に前記唐箕19からの選別風が吹き抜ける上側選別風路71を形成し、この上側選別風路71の送風方向に前記排出口35の前側漏下部45を臨ませているので、排出口35の前側漏下部45において、排塵処理装置30の前端付近から落下した夾雑物が始端側のシーブ25に落下するのを防止し、穀粒と夾雑物が混ざるのを防止する。
【0040】
この上側選別風路71は、唐箕ケーシング20の送風口70の後側には、上側導風体72を設け、上側導風体72に前記移送棚部24の下面に向けて送風口70からの送風を案内する案内面73を設け、上側導風体72の上方の前記唐箕ケーシング20には上側導風体72と略平行の縦板部74を位置させ、案内面73と縦板部縦板部74との間に上向き風路73Aを形成しているので、上向き風路73Aからの送風が揺動選別棚22の移送棚部24の下面に当たって方向変換して上側選別風路71を通り、排出口35の前側漏下部45に向けて送風する。
そのため、排塵処理装置30の前端付近からの夾雑物を後方に飛散させると共に、前記排出口35の前端よりも前側にシーブ25を設けることができ、シーブ25による前後方向の選別面積を増加させられる。
前記揺動選別棚22の移送棚部24は、前記扱網18と略同じ長さとしているので、脱穀室12の漏下物を移送棚部24で受け止めて左右方向に均平化させ、シーブ25による選別作用を向上させる。
【0041】
また、揺動選別棚22の移送棚部24を扱網18と略同じ長さとしているので、その分、前記上側導風体72と縦板部74が立ち上げた選別風をシーブ25に向けて送風でき、移送棚部24からシーブ25への被処理物の引継を良好にする作用も期待できる。
この場合、揺動選別棚22の開口部53Aの後側には、前側にいたるに従い高く傾斜する案内プレート(上向き案内面)75を設けているので、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、揺動選別棚22の移送棚部24の前側に向けて誘導し、その結果、送風は一層上向きになって上側選別風路71に誘導され、唐箕19の送風を効率よく上側選別風路71に誘導する。
前記揺動選別棚22の移送棚部24の下面には、後上がりの棚側案内面76を設けているので、唐箕ケーシング20の上側導風体72と縦板部74による上向きに誘導された送風を、移送棚部24の下面の棚側案内面76により移送棚部24の下面と平行方向に誘導し、その結果、移送棚部24から落下する被処理物を後方への移送作用を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0042】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…操縦部、11…扱胴、12…脱穀室、13…穀稈供給搬送装置、14…供給搬送チェン、16…前板、17…脱穀室後板、18…扱網、19…唐箕、20…唐箕ケーシング、21…風選室、22…揺動選別棚、23…揺動選別装置、24…移送棚部、25…シーブ、26…ストローラック、27…一番コンベア、28…二番コンベア、29…選別網、30…排塵処理装置、31…排塵処理胴、33…排塵連通口、35…排出口、36…二番処理装置、37…二番処理胴、38…吸引排塵ファン38、40…前側ふるい部、41…後側ふるい部、42…ふるい線、43…一番棚先部材、45…前側漏下部、46…後側漏下部、47…落下部、48…落下ガイド、50,51…仕切板、52…第一軸杆、53…落下孔、53A…開口部、54…前側漏下体、55…仕切板、56…第二軸杆、57…落下孔、58…後側漏下体、60…プレート、61…軸杆、65…クリンプ網、66…後側クリンプ網、68…プレート、69…ガイド、70…送風口、71…上側選別風路、72…上側導風体、73…案内面、73A…上向き風路、74…縦板部、75…案内プレート、76…棚側案内面、85…透孔、86…立ち上がり部、92…横立ち上がり部、93…垂れ下がり部、94…後垂れ下がり部、96…ガイド部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(11)の下側に扱網(18)を設けて脱穀室(12)を形成し、該脱穀室(12)の下側に、被処理物を受け止めて後方に移送する移送棚部(24)と、移送棚部(24)の後側に配置され被処理物中の穀粒を選別するシーブ(25)と、該シーブ(25)の下方に設けた選別網(29)とを有する揺動選別棚(22)を設け、該揺動選別棚(22)の下側に唐箕(19)を設けた脱穀装置において、前記脱穀室(12)の後部に、該脱穀室(12)の後部側方に設けた排塵処理装置(30)と連通する排塵連通部(H)を形成し、排塵連通部(H)の下部には、前側漏下体(54)を有する前側漏下部(45)と該前側漏下部(45)よりも目合の大きい後側漏下体(58)を備える後側漏下部(46)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動選別棚(22)の移送棚部(24)の終端とシーブ(25)の始端部との間から上方に前記唐箕(19)からの選別風が吹き抜ける上側選別風路(71)を形成し、この上側選別風路(71)の送風方向下手側に前記前側漏下部(45)を臨ませた脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記後側漏下部(46)の後側に四番処理室(S)を形成した脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記前側漏下部(45)と後側漏下部(46)との間には第一仕切板(51)を設け、後側漏下部(46)の後端部に第二仕切板(55)を設け、該第二仕切板(55)よりも前記第一仕切板(51)を低く形成した脱穀装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記前側漏下部(45)の前側漏下体(54)は、複数の第一軸杆(52)を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記後側漏下部(46)の後側漏下体(58)は、複数の第二軸杆(56)を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記前側漏下部(45)の第一軸杆(52)の配置間隔を後側漏下部(46)の第二軸杆(56)の配置間隔よりも狭く構成した脱穀装置。
【請求項1】
扱胴(11)の下側に扱網(18)を設けて脱穀室(12)を形成し、該脱穀室(12)の下側に、被処理物を受け止めて後方に移送する移送棚部(24)と、移送棚部(24)の後側に配置され被処理物中の穀粒を選別するシーブ(25)と、該シーブ(25)の下方に設けた選別網(29)とを有する揺動選別棚(22)を設け、該揺動選別棚(22)の下側に唐箕(19)を設けた脱穀装置において、前記脱穀室(12)の後部に、該脱穀室(12)の後部側方に設けた排塵処理装置(30)と連通する排塵連通部(H)を形成し、排塵連通部(H)の下部には、前側漏下体(54)を有する前側漏下部(45)と該前側漏下部(45)よりも目合の大きい後側漏下体(58)を備える後側漏下部(46)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動選別棚(22)の移送棚部(24)の終端とシーブ(25)の始端部との間から上方に前記唐箕(19)からの選別風が吹き抜ける上側選別風路(71)を形成し、この上側選別風路(71)の送風方向下手側に前記前側漏下部(45)を臨ませた脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記後側漏下部(46)の後側に四番処理室(S)を形成した脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記前側漏下部(45)と後側漏下部(46)との間には第一仕切板(51)を設け、後側漏下部(46)の後端部に第二仕切板(55)を設け、該第二仕切板(55)よりも前記第一仕切板(51)を低く形成した脱穀装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記前側漏下部(45)の前側漏下体(54)は、複数の第一軸杆(52)を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記後側漏下部(46)の後側漏下体(58)は、複数の第二軸杆(56)を円周方向に間隔をおいて配置して構成し、前記前側漏下部(45)の第一軸杆(52)の配置間隔を後側漏下部(46)の第二軸杆(56)の配置間隔よりも狭く構成した脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−70647(P2013−70647A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210889(P2011−210889)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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