説明

脱線復旧用ジャッキ装置

【課題】ジャッキ部のストロークが足りない場合でも、そのストロークの足りない分を簡単に補足することができる脱線復旧用ジャッキ装置を提供する。
【解決手段】車両に取り付けられたシリンダ架台50に設置され、シリンダ架台50を介し車両を上昇させる油圧シリンダジャッキ10、油圧ポンプ20、シリンダブロック40と、シリンダ架台50の上面に形成されたボルト挿通孔に螺合し、その先端がシリンダブロック40の上面に当たる調整ボルト60とを有し、油圧シリンダジャッキ10のストロークが足りない場合、調整ボルト60をネジ回転させることにより、シリンダ架台50をシリンダブロック40から上昇させて、油圧シリンダジャッキ10のストロークが足りない分を補足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨車や保守用車両等の各種車両の脱線を速やかに復旧させることができるようにした脱線復旧用ジヤッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱線復旧用ジヤッキ装置として、例えば、車両の車体の底面にジヤッキ取付部を設けておき、このジヤッキ取付部に脱線復旧用ジヤッキ台をおき、この脱線復旧用ジヤッキ台の上に油圧ジヤッキを下向きにした状態で取付けて、この油圧ジヤッキのヘッドを地上面に置いた(パッキン)等に向けて突出させることにより、車体を押し上げて脱線を復旧させるようにした脱線復旧用ジヤッキ装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−261289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1の脱線復旧用ジャッキ装置では、ジャッキ部のストロークが足りない場合、油圧シリンダジャッキの下に受け板(パッキン)等の枚数を増やして、高さを調整する必要があり、復旧作業に手間がかかる、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ジャッキ部のストロークが足りない場合でも、そのストロークの足りない分を簡単に補足することができる脱線復旧用ジャッキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の脱線復旧用ジャッキ装置は、車両を上昇させ復旧させる脱線復旧用ジャッキ装置であって、車両に取り付けられた架台に設置され、前記架台を介し前記車両を上昇させるジャッキ部と、前記架台の上面に形成されたボルト挿通孔に螺合し、その先端が前記ジャッキ部の上面に当たる調整ボルトと、を有し、前記調整ボルトのネジ回転により前記架台を介し前記車両を上昇させ、前記ジャッキ部の上昇量の不足を補う、ことを特徴とする脱線復旧用ジャッキ装置である。
ここで、本発明では、前記脱線復旧用ジャッキ装置において、前記ジャッキは、油圧シリンダジャッキ部と、前記油圧シリンダジャッキ部と前記架台との間に設けられ、前記調整ボルト先端が当たるシリンダブロックと、を有するようにしても良い。
また、本発明では、前記脱線復旧用ジャッキ装置において、前記シリンダブロックは、前記架台の上昇方向に対し平行な側面に、前記架台の上昇を案内する案内用長孔が貫通して形成されている一方、前記架台は、当該架台の上昇方向に対し平行な側面に、車両に取付けられる部位と、前記シリンダブロックの前記案内用長孔を両側から挟むピン挿通孔と、前記シリンダブロックを前記車両の取付け側とは対向する方向から挿入させるための長手開口部とを有し、前記架台の前記長手開口部から前記シリンダブロックを挿入した当該架台の前記ピン挿通孔を介して前記シリンダブロックの前記案内用長孔を貫通し、前記シリンダブロックに対する前記架台の上昇を案内する案内ピンを有する、ようにしても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の脱線復旧用ジャッキ装置によれば、車両に取り付けられた架台に設置され、架台を介し車両を上昇させるジャッキ部と、架台の上面に形成されたボルト挿通孔に螺合し、その先端が前記ジャッキ部の上面に当たる調整ボルトと、を有し、調整ボルトのネジ回転により架台を介し車両を上昇させ、油圧シリンダジャッキのストロークでは不足する部分を補うように構成したので、ジャッキ部のストロークが足りない場合には、調整ボルトのネジ回転により架台を介し車両を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の構成全体の一例を示す構成図である。
【図2】(a)〜(c)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の油圧シリンダジャッキが収縮した状態の側面図、伸長した状態の側面図、上面図である。
【図3】(a)〜(c)、それぞれ、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置のシリンダブロックの構成例の側面図、正面図、下面図である。
【図4】(a)〜(c)、それぞれ、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置のシリンダ架台50の構成例の正面図、右側面図、上面図である。
【図5】本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の調整ボルトの構成例を示す図である。
【図6】(a),(b)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の案内ピンの構成例を示す左側面図、正面図である。
【図7】(a),(b)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の油圧シリンダジャッキにシリンダブロックとシリンダ架台とを取付けた状態の一例を示す正面図、右側面図である。
【図8】(a)〜(c)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の動作の一例を示す図である。
【図9】(a),(b)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の車両取付け状態を示す背面図、側面図である。
【図10】(a),(b)、それぞれ、車両の脱線状態を示す背面図、側面図である。
【図11】(a),(b)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置の油圧シリンダジャッキのみを作動させた状態を示す背面図、側面図である。
【図12】(a),(b)、それぞれ、さらに調整ネジをネジ回転させた状態を示す背面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の構成全体の一例を示す構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1は、油圧シリンダジャッキ10、油圧ポンプ20、油圧ホース30、シリンダブロック40、シリンダ架台50、調整ボルト60、案内ピン70を有する。なお、シリンダ架台50は、後述するように、予め車両の4隅等に取付けられるものである。なお、本実施形態の油圧シリンダジャッキ10、油圧ポンプ20、油圧ホース30、シリンダブロック40が、本発明のジャッキ部を構成する。
【0012】
なお、図1に示す状態は、シリンダ架台50がシリンダブロック40に対し、最大限の例えば、125mmだけ上昇した状態と、油圧ポンプ20が最大限の例えば、200mm伸長した状態とを示している。従って、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、最大限、125+200=325mmだけ車両を上昇させることができる。
【0013】
図2(a)〜(c)、それぞれ、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10が収縮した状態の側面図、伸長した状態の側面図、上面図である。
【0014】
図2(a),(b)に示すように、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10は、油圧シリンダジャッキ本体11と、台座部12と、油圧ホース30を介した油圧ポンプ20からの油圧により伸縮する脚部13とを有する。なお、本実施の形態では、脚部13の最大ストロークは、上述の通り、例えば、200mmとする。
【0015】
なお、油圧シリンダジャッキ本体11の上面11aには、図2(c)に示すように、シリンダブロック40の下面43のネジ部40bが挿入され、ネジ結合する、ネジ溝の形成された凹部11bが形成されている。なお、本実施の形態では、シリンダブロック40の下面43のネジ部40bと凹部11bとには、それぞれ、ネジ山、ネジ溝を形成して説明するが、本発明では、これに限定されず、互いに嵌り合う、ネジ山、ネジ溝が形成されてない、単なる凸部、凹部でも勿論よい。
【0016】
図3(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1のシリンダブロック40の構成例の正面図、側面図、下面図である。
【0017】
図3(a)〜(c)に示すように、シリンダブロック40の長手方向の正面41から裏面42まで貫通して、シリンダ架台50の上昇を案内する案内用長孔40aが形成されている。
【0018】
また、図3(a)〜(c)に示すように、シリンダブロック40の底面43には、油圧シリンダジャッキ本体11の上面11aの凹部11bにネジ結合するネジ部40bが形成されている。
【0019】
図4(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1のシリンダ架台50の構成例の正面図、右側面図、上面図である。
【0020】
図4(a)〜(c)に示すように、実施形態のシリンダ架台50は、その長手方向に、図上左側面51を、車両のフレームFの側面が溶接等して取付けられる部位とすると共に、シリンダ架台50の正面52と裏面53には、シリンダブロック40の案内用長孔40aを2箇所で両側から挟むピン挿通孔50a,50bが形成されている。なお、シリンダ架台50は、左側面51と対向する図上右側面を設けずに、シリンダ40を長手方向とは垂直方向に挿入させるための長手開口部54としている。これにより、シリンダ架台50の長手開口部54を介し横方向からシリンダブロック40をセットすることができ、シリンダ架台50が取り付けられた車両のフレームや荷台が低い場合でも、容易にシリンダ架台50にシリンダブロック40をセットすることができる。なお、シリンダ架台50の左側面51には、より強固に車両のフレームFに取り付けるため、車両のフレームFの上面に溶接等される取付けフランジ51a,51bが設けられている。なお、取付けフランジ51a,51bは、省略しても勿論良いし、車両のフレームFの下面側に溶接等されるようにしても勿論よい。また、ピン挿通孔50a,50bは2箇所でなく、1箇所でも、2箇所以上でも良いが、長手開口部54を設けているので、2箇所以上設けると、シリンダ架台50に対しシリンダブロック40が長手開口部45を介して回転することを確実に防止することができる。
【0021】
また、図4(a)〜(c)に示すように、シリンダ架台50の上面55には、調整ボルト60が挿入されネジ回転するボルト挿通孔55aが形成されている。これにより、このボルト挿通孔55aに調整ボルト60を挿入しネジ回転させると、調整ボルト60の先端がシリンダブロック40の上面に当たり、シリンダ架台50を相対的にシリンダブロック40に対し上下方向に上昇させることができ、油圧シリンダダジャッキ10のストローク(上昇量)の不足を補うことができる。
【0022】
図5は、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の調整ボルト60の構成例を示す図である。
【0023】
図5に示すように、調整ボルト60は、ボルト部60aと、ネジ部60bとから構成されており、上述のように、シリンダ架台50の上面55のボルト挿通孔55aに挿入されてネジ回転することにより、シリンダ架台50を相対的にシリンダブロック40に対し上下方向に上昇させる。なお、図5に示す例では、ネジ部60bの長さが、例えば、160mmであり、シリンダ架台50の上面55の厚さが35mmとする。すると、調整ボルト60の最大ストローク、最大上昇量は、約160mm−35mm=125mmとなる。
【0024】
図6(a),(b)は、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の案内ピン70の構成例を示す左側面図、正面図である。
【0025】
図6(a),(b)に示すように、本実施の形態の案内ピン70は、把持部71と、2本のピン72a,72bとを有する。案内ピン70のピン72a,72bを、シリンダ架台50のピン挿通孔50a,50bと、シリンダブロック40の案内用長孔40aとへ挿入することにより、シリンダブロック40がシリンダ架台50から外れないようにすると共に、ピン72a,72bが2本あることにより、長手開口部54が形成されていても、シリンダブロック40に対するシリンダ架台50の回転等を防止することができる。
【0026】
図7(a),(b)は、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10にシリンダブロック40とシリンダ架台50とを取付けた状態の一例を示す正面図、右側面図である。
【0027】
なお、図7(a),(b)は、図1に示す状態と異なり、油圧シリンダジャッキ10は、脚部13を収縮させた状態である一方、調整ネジ60による高さ調整も行ってなく、シリンダブロック40に対しシリンダ架台50の上面55を接触させた状態にある。
【0028】
図8(a)〜(c)、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の動作の一例を示す図である。
【0029】
具体的には、図8(a)は、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10の脚部13が伸張されてなく、かつ、調整ボルト60による調整もされていない図7に示す状態と同じ状態である。つまり、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1が最も短い状態である。
【0030】
図8(b)は、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10の脚部13を、例えば、その最大ストロークの200mm伸張した状態を示している。調整ボルト60によるシリンダ架台50の上昇は行っていない。
【0031】
図8(c)は、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10の脚部13を最大限伸張し、かつ、調整ボルト60のネジ回転による上昇も最大限行った状態を示している。このように、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、油圧ジャッキ10の脚部13によりその最大ストロークの200mm車両を上昇させることができ、それでも足りない場合には、調整ボルト60により、さらに、の最大ストロークの125mmだけ車両を上昇させることができ、合わせて325mm車両を上昇させることが可能となる。
【0032】
次に、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置11の使用例について説明する。
【0033】
図9(a),(b)は、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の車両取付け状態を示す背面図、側面図である。
【0034】
図9(a),(b)に示すように、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1のシリンダ架台50は、例えば、車両の前後左右の4隅に取り付けられ、車両または荷台の低い運搬台車等の場合、車両または荷台のフレームFの側面に取り付けるようにする。なお、車両の例えば前後左右の4隅だけでなく、4隅以上でも良いし、4隅はあくまで一例である。
【0035】
図10(a),(b)は、それぞれ、車両の脱線状態を示す背面図、側面図である。
【0036】
図10に示すように車両が脱線した場合、脱線した前後いずれか一方側の左右のシリンダ架台50に、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1をセットする。なお、図10では、車両の後側の車輪が脱線した状態を示しているので、後側の左右2つのシリンダ架台50に脱線復旧用ジャッキ装置1をセットしている。具体的には、例えば、まず、脱線した後側の左右2つのシリンダ架台50にその長手開口部54を介してシリンダブロック40をセットし、案内ピン70のピン72a,72bを、シリンダ架台50のピン挿通孔50a,50bと、シリンダブロック40の案内用長孔40aとへ挿入することにより、シリンダブロック40がシリンダ架台50から外れないようにする。
【0037】
次に、そのシリンダブロック40のネジ部40bを、油圧シリンダジャッキ10の凹部11bに挿入し回転させてネジ結合により固定し、油圧シリンダジャッキ10の下方の線路の枕木や砂利等の上に、公知の横送り台2を敷く。この状態が図10(a),(b)に示す状態である。ここで、例えば、レールの踏み面から脱線した車輪の落ち込み量が280mmとする。
【0038】
図11(a),(b)は、それぞれ、本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1の油圧シリンダジャッキ10のみを作動させた状態を示す背面図、側面図、図12(a),(b)は、それぞれ、さらに調整ネジ60をネジ回転させた状態を示す背面図、側面図である。
【0039】
図11(a),(b)に示すように、脱線した後側の左右2つのシリンダ架台50に本実施形態の脱線復旧用ジャッキ装置1をセットし、油圧ポンプ20により油圧シリンダジャッキ10を作動させて、脱線した車両を上昇させる。その際、油圧シリンダジャッキ10の最大ストロークは、本実施の形態では、200mmであり、レールの踏み面から脱線した車輪の落ち込み量が220mmであるので、油圧シリンダジャッキ10を最大200mm伸ばしても、まだ、80mm足りない。
【0040】
そのため、図11(a),(b)に示すように、本実施形態の油圧シリンダジャッキ10により200mmだけ車両を上昇させた後、図12(a),(b)に示すように、調整ボルト60をネジ回転させて、シリンダ架台50をシリンダブロック40に対し80mm以上上昇させることにより、車輪のフランジ部分がレール踏面をかわすまで上昇させ、上昇後、横送り台2によりレールに戻す。これにより、従来のように、油圧シリンダジャッキ10のストロークが足りない場合には、油圧シリンダジャッキ1の下に受け板(パッキン)等の枚数を増やして、高さを調整する手間が不要になる。
【0041】
従って、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置によれば、車両に取り付けられたシリンダ架台50の下方に設置され、シリンダ架台50を介し車両を上昇させるシリンダブロック40および油圧シリンダジャッキ10等のシリンダ部と、シリンダ架台50の上面55に形成されたボルト挿通孔55aにネジ結合し、その先端がシリンダブロック40の上面に当たる調整ボルト60を有し、調整ボルト60をネジ回転させることにより、油圧シリンダジャッキ10の上昇量の不足を補うようにしたので、油圧シリンダジャッキ10のストローク(上昇量)が足りない場合でも、そのストローク(上昇量)の足りない分を簡単に補足することができる。
【0042】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置では、ジャッキ部を、シリンダブロック40と、油圧シリンダジャッキ10とに分割して構成したので、本装置の未使用時にはシリンダブロック40と油圧シリンダジャッキ10とに分割して保管等できるので、場所を取らないと共に、本装置の使用時には、シリンダブロック40と油圧シリンダジャッキ10とを分割した状態でセットすることができるので、復旧作業の際、車両または荷台の低い運搬台車等の場合でも、ジャッキ部のセットを容易に行うことができる。
【0043】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、さらに、シリンダブロック40の側面には、シリンダ架台50の長手方向の上昇を案内する案内用長孔41aが形成されている一方、シリンダ架台50の側面には、ピンボルト挿通孔50a,50bが設けられており、シリンダ架台50側面のピンボルト挿通孔50a,50bを介して、その先端がシリンダブロック40側面の案内用長孔41aに挿入され、シリンダブロック40に対するシリンダ架台50の長手方向の上昇を案内する案内ピン70を有するので、シリンダブロック40からシリンダ架台50が外れることを防止でき、シリンダ架台50を安定して上昇させることができる。特に、本実施の形態では、ピン挿通孔50a,50bを2箇所設けているので、シリンダブロック40に対しシリンダ架台50が回転等することを防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、シリンダ架台50の左側面51に対向する右側面は設けずに、シリンダブロック40を左側面51と対向する横方向から挿入させるための長手開口部54を有するので、車両が低い場合でも、車両のフレームFに取り付けられたシリンダ架台50に対しその長手開口部54を介して横方向からシリンダブロック40をセットすることができ、セット作業が非常に簡単になる。
【0045】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、シリンダ架台50は、車両のフレーム側面に取り付けられるため、車両の下部に設ける場合と比較して、車両が低い場合でも、容易に脱線復旧用ジャッキ装置を設置することができる。
【0046】
なお、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、油圧シリンダジャッキ10のストロークが足りない分を、シリンダ架台50の上面55に形成されたボルト挿通孔55aに螺合する調整ボルト60を直接ネジ回転させて補うように説明したが、本発明では、これに限らず、調整ボルト60をネジ回転させることにより油圧シリンダジャッキ10のストロークを補うことができれば十分であり、例えば、調整ボルト60を間接的にネジ回転させるようにスクリュージャッキ(ウオームギヤジャッキ)等により構成して、油圧シリンダジャッキ10のストロークが足りない分を補うようにしても勿論よい。
【0047】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、ジャッキ部を、油圧シリンダジャッキ本体11と、油圧シリンダジャッキ本体11と架台50との間に設けられ、調整ボルト60先端が当たるシリンダブロック40とにより構成したが、本発明では、これに限らず、シリンダブロック40を省略するようにしても勿論よい。また、シリンダブロック40やシリンダ架台50の形状も、上記実施の形態のものに限定する必要はなく、断面正方形状でなく、断面円筒状等でも良く、要は、調整ボルト60のネジ回転により架台を介し車両を上昇させ、ジャッキ部の上昇量の不足を補うような構成であれば良い。
【0048】
また、本実施の形態の脱線復旧用ジャッキ装置1では、ジャッキ部を、油圧シリンダジャッキ10等の油圧を利用して脱線した車両を上昇させるように説明したが、本発明では、これに限らず、機械式ジャッキや、エアー式ジャッキ等を使用するようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0049】
1 脱線復旧用ジャッキ装置
10 油圧シリンダジャッキ(ジャッキ部)
20 油圧ポンプ(ジャッキ部)
30 油圧ホース(ジャッキ部)
40 シリンダブロック(ジャッキ部)
40a 案内用長孔
50 シリンダ架台
50a,50b ピン挿通孔
51 左側面(車両に取付けられる部位)
51a,51b 取付けフランジ(車両に取付けられる部位)
54 長手開口部
55a ボルト挿通孔
60 調整ボルト
70 案内ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を上昇させ復旧させる脱線復旧用ジャッキ装置であって、
車両に取り付けられた架台に設置され、前記架台を介し前記車両を上昇させるジャッキ部と、
前記架台の上面に形成されたボルト挿通孔に螺合し、その先端が前記ジャッキ部の上面に当たる調整ボルトと、を有し、
前記調整ボルトのネジ回転により前記架台を介し前記車両を上昇させ、前記ジャッキ部の上昇量の不足を補う、
ことを特徴とする脱線復旧用ジャッキ装置。
【請求項2】
請求項1記載の脱線復旧用ジャッキ装置において、
前記ジャッキ部は、
油圧シリンダジャッキ本体と、
前記油圧シリンダジャッキ本体の上部に取り付けられ、前記調整ボルト先端が当たるシリンダブロックと、
を有することを特徴とする脱線復旧用ジャッキ装置。
【請求項3】
請求項2記載の脱線復旧用ジャッキ装置において、
前記シリンダブロックは、
前記架台の上昇方向に対し平行な側面に、前記架台の上昇を案内する案内用長孔が貫通して形成されている一方、
前記架台は、
当該架台の上昇方向に対し平行な側面に、車両に取付けられる部位と、前記シリンダブロックの前記案内用長孔を両側から挟むピン挿通孔と、前記シリンダブロックを前記車両の取付け側とは対向する方向から挿入させるための長手開口部とを有し、
前記架台の前記長手開口部から前記シリンダブロックを挿入した当該架台の前記ピン挿通孔を介して前記シリンダブロックの前記案内用長孔を貫通し、前記シリンダブロックに対する前記架台の上昇を案内する案内ピンを有する、
ことを特徴とする脱線復旧用ジャッキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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