脱線時走行装置
【課題】レール分岐部において脱輪が生じた場合であっても、鉄道車両の転倒を防止するための脱線時走行装置を提案する。
【解決手段】主レールR1と分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において、主レールR1の両側面に沿って配設される脱線時走行装置1であって、脱輪時の車輪Twを走行させるための走行路11を上面に有し、分岐区間の始点における走行路10の高さが脱輪時の車輪Twが乗り上げることが可能な程度に低く、分岐レールと交差する箇所における走行路10の高さが主レールR1の上面の高さと同等となる縦断勾配を有している。
【解決手段】主レールR1と分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において、主レールR1の両側面に沿って配設される脱線時走行装置1であって、脱輪時の車輪Twを走行させるための走行路11を上面に有し、分岐区間の始点における走行路10の高さが脱輪時の車輪Twが乗り上げることが可能な程度に低く、分岐レールと交差する箇所における走行路10の高さが主レールR1の上面の高さと同等となる縦断勾配を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の脱線時走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が走行中に大規模な地震に遭遇することにより、左右方向や上下方向の地震力が作用し、ロッキング等の不安定な運動が生じ、レールから脱輪するおそれがある。
【0003】
走行中の鉄道車両の脱輪は、発生する確率は低いものの、脱輪時の被害を最小限にとどめられる種々の対策が講じられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、脱輪した鉄道車両を反対車線や線路外に逸脱させないための装置として、レールの左右に断面コ字形の走行路を配置した脱線時走行装置が開示されている。この脱線時走行装置によれば、車輪が脱輪しても、走行路内に誘導されて逸脱しないため、被害を最小限に抑えることができる。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の脱線時走行装置は、レール分岐部のように、他のレールと交差する場合には、他のレールの上面と走行路との間に高低差が生じることになるので、脱輪した車輪が他のレールに衝突し、車両が思わぬ方向に逸脱するおそれや、転倒するおそれがある。
【0006】
なお、例えば特許文献2に示すように、踏切において、レールの両側にレールの高さと同じ高さとなるようにブロック等を設置する場合があるが、これらのブロックは、鉄道軌道と直交する方向の交通路の平坦性を確保するために設置するものであって、踏み切りの前後においては段差を有しているから、レール分岐部における問題点を解決することはできない。
【0007】
【特許文献1】特開2008−240473号公報
【特許文献2】特開平11−71704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、レール分岐部において脱輪が生じた場合であっても、鉄道車両の線路外への逸脱や転倒を防止するための脱線時走行装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の脱線時走行装置は、主レールと分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において、前記主レールの両側面に沿って配設される脱線時走行装置であって、脱輪時の車輪を走行させるための走行路を上面に有し、前記分岐区間の始点における前記走行路の高さが、脱輪時の車輪が乗り上げることが可能な程度に低く、前記分岐レールと交差する箇所における前記走行路の高さが当該分岐レールの上面の高さと同等となる縦断勾配を有していることを特徴としている。
【0010】
かかる脱線時走行装置によれば、脱輪した車輪が、スムーズに分岐レールを乗り越えることができるので、鉄道車両が逸脱したり、転倒したりすることを防止できる。
【0011】
また、前記脱線時走行装置は、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートにより構成されていてもよい。
【0012】
かかる脱線時走行装置によれば、高強度な材料により構成されているため、脱輪時の衝撃力等により破損が生じることがない。また、長期的な劣化が少ないため、維持管理費用の低減化も可能となる。
【0013】
また、脱線時走行装置の走行路の外側縁(主レールの反対側の縁)に沿ってストッパーが形成されていれば、脱輪した車輪の脱線時走行装置からの逸脱を防止することができる。
【0014】
また、前記脱線時走行装置は、主レールに沿って連設された複数のブロック体により構成されていてもよい。これにより、装置の構築を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、前記脱線時走行装置は、上下方向に貫通するボルト孔が形成されており、前記ボルト孔を貫通するボルトにより枕木または軌道スラブに固定されていてもよい。
これにより、脱線時走行装置が脱輪時の衝撃や地震時の振動等によりずれることがない。
【0016】
さらに、前記主レールの枕木または軌道スラブへの締結箇所に対応して空間を形成してもよい。これにより主レールのメンテナンス等を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の脱線時走行装置によれば、レール分岐区間において脱輪が生じた場合であっても、鉄道車両の逸脱や転倒の防止が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の脱線時走行装置1は、図1に示すように、主レールR1と分岐レールR2とが交差する交差部B1を含む分岐区間Bにおいて、主レールR1の両側面に沿って配設されるものである。
【0019】
脱線時走行装置1は、複数のブロック体10を主レールR1に沿って連設することにより構成されている(図2参照)。各ブロック体10の長さは限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0020】
ブロック体10(脱線時走行装置1)の上面には、図2(b)に示すように、脱輪時の車輪を走行させるための走行路11が形成されている。
【0021】
脱線時走行装置1は、走行路11(上面)の高さが分岐区間Bの始点Sから分岐レールR2との交差部B1に向かって徐々に高くなる縦断勾配を有しており、各ブロック体10の走行路11が上り勾配を有している。この区間における代表的な断面を図3に示す。また、交差部B1から分岐区間Bの終点Eに対応する走行路11は、徐々に低くなるような縦断勾配を有している。
【0022】
分岐区間Bの始点Sに配置されたブロック体10の走行路11は、端部の高さ(始点Sにおける高さ)が始点Sよりも手前で脱輪した車輪Twが乗り上げることが可能な程度に形成されていて、始点Sから交差部B1に向かって徐々に高くなる縦断勾配を有している。
一方、交差部B1におけるブロック体10の走行路11の高さは、図4に示すように、レール(主レールR1および分岐レールR2)の上面の高さと同等となるように形成されている。
さらに、分岐区間Bの終点Eに配置されたブロック体10の走行路11は、交差部B1から終点Eに向かって徐々に低くなる縦断勾配を有しており、端部の高さ(終点Eにおける高さ)は始点Sと同様に低く形成されている。これにより、走行路11を走行する車輪Twが脱線時走行装置1の先端(分岐区間Bの終点E)を通過する際の衝撃が緩和される。
【0023】
ブロック体10は、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートであって、圧縮強度が150〜200N/mm2、曲げ引張強度が25〜45N/mm2、割裂引張強度が8〜25N/mm2、また、曲げによる破壊エネルギーが10〜40kN・m/m2等の特性を有した材料により構成されている。
なお、ブロック体10を構成する材料は、前記した繊維補強コンクリートに限定されるものではなく、例えば、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート、鋼材、FRP(繊維強化プラスチック)、繊維補強樹脂等により構成してもよい。
【0024】
脱線時走行装置1には、図3および図4に示すように、走行路11の外側縁に沿ってストッパー12が形成されている。本実施形態のストッパー12は、走行路11の外側縁において壁状に立設されている。なお、走行路11を走行する車輪Twが脱線時走行装置1から逸脱することを防止することができれば、ストッパー12の形状は限定されるものではない。また、本実施形態では、ストッパー12をブロック体10に一体に形成しているが、別部材としてもよい。この場合には、ストッパー12となる部材をブロック体10の外側縁に沿って固定すればよい。
【0025】
ブロック体10には、上下方向に貫通するボルト孔13が形成されており、各ブロック体10は、ボルト孔13を貫通するボルト14を介して枕木20または図示せぬ軌道スラブに締結されている。
【0026】
ボルト孔13の上部に拡幅部13aを形成し、ボルト14の頭部を、この拡幅部13aの底部に係止させることで、ブロック体10を締結している。拡幅部13aは、グラウト等の充填材により充填されており、走行路10の平坦性を維持している。
なお、本実施形態では、ブロック体10の断面方向に2本ずつボルト孔13を形成するものとするが、ボルト孔13の数は限定されるものではない。また、ブロック体10の固定方法は、ボルト14による締結に限定されるものではない。
【0027】
主レールR1は、締結装置21を介して枕木20または軌道スラブに締結されている。そのため、ブロック体10には、図2に示すように、主レールR1の締結装置21の配置に対応して、箱抜きによる空間15が形成されている。
【0028】
ブロック体10の肉厚が小さい場合には、空間15の上面を開放し、それ以外では、図2(b)に示すように、空間15の上面を、天板部15aにより遮蔽する。天板部15aを設けると、走行路10の平坦性を維持することができる。
【0029】
図4に示すように、ブロック体10とレール頭部Rtとの隙間(水平離隔距離)wは、車輪Twの幅あるいはレール頭部Rtの幅の半分程度に構成されている。隙間wを車輪Twの幅あるいはレール頭部Rtの幅の半分程度とすることにより、車輪Twがレール(主レールR1または分岐レールR2)とブロック体10との間に落下することを防止することができる。
【0030】
本実施形態の脱線時走行装置1によれば、分岐区間の手前または分岐区間において鉄道車両が脱線した場合であっても、車輪Twが走行路10上を走行することで、鉄道車両の逸脱や転倒が防止される。
また、脱線時走行装置1は、分岐レールR2と交差する箇所において、走行路10の高さがレール(主レールR1および分岐レールR2)の高さと同程度となるように構成されているため、車輪Twがレールにぶつかることで鉄道車両が思わぬ方向に逸脱することや転倒することが防止されている。
【0031】
また、脱線時走行装置1は、セメント系マトリックスに短繊維を容積で1〜4%混入して得られる自己充填性を有する材料により構成されている。補強繊維はセメント系マトリックスに繊維の方向をランダムに混入されているので、補強に方向性が無く、あらゆる方向から作用する力に対して一定の耐力を発現する。また、鉄筋コンクリートのように、コンクリート被りに相当する部分がなく全断面に繊維が混入するので、部材の外側が欠ける等の部分的な破壊(ひび割れ)が発生しにくい。
【0032】
補強繊維は、直径が0.1mm〜0.3mmで長さが10mm〜30mmの微小な形状の繊維を容積で1%〜4%混入されているので、セメント系マトリックスに引張応力によるひび割れが発生しても、補強繊維の架橋効果によりひび割れが分散して、ひび割れ幅が大きくならない。
さらに、引張ひずみが増大しても、耐荷能力が低下することなくひび割れ本数が増大してひび割れ幅は増大しない。
【0033】
また、繊維補強コンクリートにより構成されているため、鉄道車両のロッキング運動による上下の大きな衝撃力に対しても、破壊することなく運動エネルギーを吸収することが可能となる。
【0034】
また、セメント系マトリックスは、水セメント比が22〜24%と非常に小さいく緻密な構成であるため、塩分拡散係数が従来のコンクリートの1/300〜1/500と小さく、中性化することはない。故に、メンテナンスフリーであるため、維持管理費用が発生しない。
また、ブロック体10(脱線時走行装置1)の製造時に熱養生を採用すれば、養生後は乾燥収縮が小さくなるので、乾燥収縮によるひび割れの発生の心配がない。
【0035】
また、鉄筋による補強を省略若しくは簡略化することができるので、薄肉断面でも製作が可能になるとともに、微妙な縦断勾配も精度よく製作することが可能になる。
【0036】
また、脱線時走行装置1は、ブロック体10を主レールR1に沿って配置するのみで、簡易に構成することが可能であるとともに、設置を容易に行うことが可能である。
また、繊維補強コンクリートにより構成することで、耐衝撃性を含め、脱線時走行装置1として求められる機能を満足する。
また、ブロック体10(脱線時走行装置1)は、簡易な形状なため、製作時の手間を省略することができ、搬送も容易である。
【0037】
さらに、繊維補強コンクリートの破壊エネルギーが大きいため、車輪Twが走行路を走行した場合に、短時間に走行を停止させることが可能となる。
【実施例】
【0038】
本発明の脱線時走行装置の特性について行った実証実験結果を以下に示す。
【0039】
(1)破壊エネルギー吸収特性について
まず、繊維補強コンクリートからなる脱線時走行装置の破壊エネルギー吸収特性について行った実証実験の結果を示す。
【0040】
本実証実験では、繊維補強コンクリートについて、4×4×16cmの試験体を形成し、この試験体による3等分曲げ試験を行った。同様に圧縮強度40N/mm2の従来の高強度コンクリートにより構成された同形状の無筋試験体についても3等分曲げ試験を行った。
図5に繊維補強コンクリートAおよび高強度コンクリートA’の各試験体についての供試体下面の曲げ引張応力と載荷点変位の関係を示す。
【0041】
図5に示すように、繊維補強コンクリートAは、試験体の下縁曲げ引張応力が20N/mm2程度に達するまでは弾性挙動する。その後マイクロクラックが発生するもののマトリックス自身の引張応力抵抗の成分と繊維による架橋効果の成分の和により、曲げ引張応力は増大してピークに達する。ポストピークでは主に繊維による架橋効果が主体的であり、物理的には繊維がマトリックスから抜け出すために載荷荷重が低下するが、載荷荷重が急激に低下するようなことはない。つまり、粘り強いじん性挙動を示している。
一方、従来の高強度コンクリートA’の場合は、図5に示すように、曲げ引張応力にはほとんど抵抗することができず、ピークを過ぎると一気に破壊してしまう。
【0042】
材料のじん性は、図5の面積で定義される破壊エネルギーで示されるが、繊維補強コンクリートAの破壊エネルギーは36kN・m/m2であり通常の高強度コンクリートA’の300〜400倍である。
【0043】
以上のように、繊維補強コンクリートを脱線時走行装置1に採用することにより、エネルギーの吸収性能が向上する。そのため、鉄道車両が脱線走行した場合でも、脱線時走行装置に作用する衝撃力を低減することができ、また車輪走行の転がり抵抗を増大させ短時間に鉄道車両を停止させることが可能となる。
【0044】
(2)耐衝撃性について
次に、繊維補強コンクリートからなる脱線時走行装置の耐衝撃性能について行った実証実験の結果について説明する。
【0045】
繊維補強コンクリートを適用した脱線時走行装置の実物モデルにより、実物車輪の接触部分の形状を模擬した模擬車輪を用いて、静的載荷実験と落下による衝撃実験を実施した(図7(a)参照)。
【0046】
衝撃実験は、図6に示すように、重錘Wに模擬車輪(接触子)Tw’をつけてガイドレールR0に沿って落下させて供試体10’に衝撃力を与える方法とした。
供試体10’は、繊維補強コンクリートにより形成されている。供試体10’には、空間15の天板部15aの厚さDを80mmとしたものと150mmとしたものがある。衝撃力の大きさは重錘Wに設けた加速度計より求めた。
【0047】
静的載荷実験は、載荷フレームを介してジャッキにより載荷して、載荷荷重はロードセルにより行った。
【0048】
図7(b)に実験結果を示す。図7(b)において、A1とA2は衝撃実験の結果を示しており、A3とA4は静的実験の結果を示している。なお、A1,A3は天板部15aの厚さDが150mmの場合の実験結果であり、A2とA4はそれぞれ厚さDが80mmの場合の実験結果である。
【0049】
図7(b)に示すように、衝撃力(動的載荷)に対する耐力(A1,A2)は、静的載荷の耐力(A3,A4)の2.5倍となり、耐力の向上が示された。また、天板部15aの厚さが薄い(D=80mm)場合の破壊モードは、押し抜きせん断破壊であるのに対し、天板部15aが厚い(D=150mm)場合の破壊モードは縁端部のせん断破壊であった。
【0050】
これらの実験結果から、衝撃力に対する耐荷抵抗が優れていることがわかる。そのため、大規模地震時に想定されるロッキング運動により発生する衝撃力に対して、本発明の脱線時走行装置が安全であることが明らかになった。
【0051】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、走行路の端部にストッパーを形成するものとしたが、ストッパーは必要に応じて形成すればよい。
【0052】
また、前記実施形態では、終点のブロック体(走行路)の高さを始点と同様に低くするものとしたが、終点におけるブロック体の高さは必ずしも低くする必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る脱線時走行装置を示す平面図である。
【図2】図1の脱線時走行装置の一部を示す図であって、(a)は平面図、(b)はc−c断面図である。
【図3】図1のa−a断面図である。
【図4】図1のb−b断面図である。
【図5】破壊エネルギー吸収特性について行った実証実験結果を示すグラフである。
【図6】衝撃実験で使用した装置を示す概略図である。
【図7】(a)は衝撃実験の実験モデルを示す概略図、(b)は同実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 脱線時走行装置
10 ブロック体
11 走行路
12 ストッパー
13 ボルト孔
14 ボルト
15 空間
20 枕木
B 分岐区間
R1 主レール
R2 分岐レール
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の脱線時走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が走行中に大規模な地震に遭遇することにより、左右方向や上下方向の地震力が作用し、ロッキング等の不安定な運動が生じ、レールから脱輪するおそれがある。
【0003】
走行中の鉄道車両の脱輪は、発生する確率は低いものの、脱輪時の被害を最小限にとどめられる種々の対策が講じられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、脱輪した鉄道車両を反対車線や線路外に逸脱させないための装置として、レールの左右に断面コ字形の走行路を配置した脱線時走行装置が開示されている。この脱線時走行装置によれば、車輪が脱輪しても、走行路内に誘導されて逸脱しないため、被害を最小限に抑えることができる。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の脱線時走行装置は、レール分岐部のように、他のレールと交差する場合には、他のレールの上面と走行路との間に高低差が生じることになるので、脱輪した車輪が他のレールに衝突し、車両が思わぬ方向に逸脱するおそれや、転倒するおそれがある。
【0006】
なお、例えば特許文献2に示すように、踏切において、レールの両側にレールの高さと同じ高さとなるようにブロック等を設置する場合があるが、これらのブロックは、鉄道軌道と直交する方向の交通路の平坦性を確保するために設置するものであって、踏み切りの前後においては段差を有しているから、レール分岐部における問題点を解決することはできない。
【0007】
【特許文献1】特開2008−240473号公報
【特許文献2】特開平11−71704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、レール分岐部において脱輪が生じた場合であっても、鉄道車両の線路外への逸脱や転倒を防止するための脱線時走行装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の脱線時走行装置は、主レールと分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において、前記主レールの両側面に沿って配設される脱線時走行装置であって、脱輪時の車輪を走行させるための走行路を上面に有し、前記分岐区間の始点における前記走行路の高さが、脱輪時の車輪が乗り上げることが可能な程度に低く、前記分岐レールと交差する箇所における前記走行路の高さが当該分岐レールの上面の高さと同等となる縦断勾配を有していることを特徴としている。
【0010】
かかる脱線時走行装置によれば、脱輪した車輪が、スムーズに分岐レールを乗り越えることができるので、鉄道車両が逸脱したり、転倒したりすることを防止できる。
【0011】
また、前記脱線時走行装置は、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートにより構成されていてもよい。
【0012】
かかる脱線時走行装置によれば、高強度な材料により構成されているため、脱輪時の衝撃力等により破損が生じることがない。また、長期的な劣化が少ないため、維持管理費用の低減化も可能となる。
【0013】
また、脱線時走行装置の走行路の外側縁(主レールの反対側の縁)に沿ってストッパーが形成されていれば、脱輪した車輪の脱線時走行装置からの逸脱を防止することができる。
【0014】
また、前記脱線時走行装置は、主レールに沿って連設された複数のブロック体により構成されていてもよい。これにより、装置の構築を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、前記脱線時走行装置は、上下方向に貫通するボルト孔が形成されており、前記ボルト孔を貫通するボルトにより枕木または軌道スラブに固定されていてもよい。
これにより、脱線時走行装置が脱輪時の衝撃や地震時の振動等によりずれることがない。
【0016】
さらに、前記主レールの枕木または軌道スラブへの締結箇所に対応して空間を形成してもよい。これにより主レールのメンテナンス等を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の脱線時走行装置によれば、レール分岐区間において脱輪が生じた場合であっても、鉄道車両の逸脱や転倒の防止が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の脱線時走行装置1は、図1に示すように、主レールR1と分岐レールR2とが交差する交差部B1を含む分岐区間Bにおいて、主レールR1の両側面に沿って配設されるものである。
【0019】
脱線時走行装置1は、複数のブロック体10を主レールR1に沿って連設することにより構成されている(図2参照)。各ブロック体10の長さは限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0020】
ブロック体10(脱線時走行装置1)の上面には、図2(b)に示すように、脱輪時の車輪を走行させるための走行路11が形成されている。
【0021】
脱線時走行装置1は、走行路11(上面)の高さが分岐区間Bの始点Sから分岐レールR2との交差部B1に向かって徐々に高くなる縦断勾配を有しており、各ブロック体10の走行路11が上り勾配を有している。この区間における代表的な断面を図3に示す。また、交差部B1から分岐区間Bの終点Eに対応する走行路11は、徐々に低くなるような縦断勾配を有している。
【0022】
分岐区間Bの始点Sに配置されたブロック体10の走行路11は、端部の高さ(始点Sにおける高さ)が始点Sよりも手前で脱輪した車輪Twが乗り上げることが可能な程度に形成されていて、始点Sから交差部B1に向かって徐々に高くなる縦断勾配を有している。
一方、交差部B1におけるブロック体10の走行路11の高さは、図4に示すように、レール(主レールR1および分岐レールR2)の上面の高さと同等となるように形成されている。
さらに、分岐区間Bの終点Eに配置されたブロック体10の走行路11は、交差部B1から終点Eに向かって徐々に低くなる縦断勾配を有しており、端部の高さ(終点Eにおける高さ)は始点Sと同様に低く形成されている。これにより、走行路11を走行する車輪Twが脱線時走行装置1の先端(分岐区間Bの終点E)を通過する際の衝撃が緩和される。
【0023】
ブロック体10は、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートであって、圧縮強度が150〜200N/mm2、曲げ引張強度が25〜45N/mm2、割裂引張強度が8〜25N/mm2、また、曲げによる破壊エネルギーが10〜40kN・m/m2等の特性を有した材料により構成されている。
なお、ブロック体10を構成する材料は、前記した繊維補強コンクリートに限定されるものではなく、例えば、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート、鋼材、FRP(繊維強化プラスチック)、繊維補強樹脂等により構成してもよい。
【0024】
脱線時走行装置1には、図3および図4に示すように、走行路11の外側縁に沿ってストッパー12が形成されている。本実施形態のストッパー12は、走行路11の外側縁において壁状に立設されている。なお、走行路11を走行する車輪Twが脱線時走行装置1から逸脱することを防止することができれば、ストッパー12の形状は限定されるものではない。また、本実施形態では、ストッパー12をブロック体10に一体に形成しているが、別部材としてもよい。この場合には、ストッパー12となる部材をブロック体10の外側縁に沿って固定すればよい。
【0025】
ブロック体10には、上下方向に貫通するボルト孔13が形成されており、各ブロック体10は、ボルト孔13を貫通するボルト14を介して枕木20または図示せぬ軌道スラブに締結されている。
【0026】
ボルト孔13の上部に拡幅部13aを形成し、ボルト14の頭部を、この拡幅部13aの底部に係止させることで、ブロック体10を締結している。拡幅部13aは、グラウト等の充填材により充填されており、走行路10の平坦性を維持している。
なお、本実施形態では、ブロック体10の断面方向に2本ずつボルト孔13を形成するものとするが、ボルト孔13の数は限定されるものではない。また、ブロック体10の固定方法は、ボルト14による締結に限定されるものではない。
【0027】
主レールR1は、締結装置21を介して枕木20または軌道スラブに締結されている。そのため、ブロック体10には、図2に示すように、主レールR1の締結装置21の配置に対応して、箱抜きによる空間15が形成されている。
【0028】
ブロック体10の肉厚が小さい場合には、空間15の上面を開放し、それ以外では、図2(b)に示すように、空間15の上面を、天板部15aにより遮蔽する。天板部15aを設けると、走行路10の平坦性を維持することができる。
【0029】
図4に示すように、ブロック体10とレール頭部Rtとの隙間(水平離隔距離)wは、車輪Twの幅あるいはレール頭部Rtの幅の半分程度に構成されている。隙間wを車輪Twの幅あるいはレール頭部Rtの幅の半分程度とすることにより、車輪Twがレール(主レールR1または分岐レールR2)とブロック体10との間に落下することを防止することができる。
【0030】
本実施形態の脱線時走行装置1によれば、分岐区間の手前または分岐区間において鉄道車両が脱線した場合であっても、車輪Twが走行路10上を走行することで、鉄道車両の逸脱や転倒が防止される。
また、脱線時走行装置1は、分岐レールR2と交差する箇所において、走行路10の高さがレール(主レールR1および分岐レールR2)の高さと同程度となるように構成されているため、車輪Twがレールにぶつかることで鉄道車両が思わぬ方向に逸脱することや転倒することが防止されている。
【0031】
また、脱線時走行装置1は、セメント系マトリックスに短繊維を容積で1〜4%混入して得られる自己充填性を有する材料により構成されている。補強繊維はセメント系マトリックスに繊維の方向をランダムに混入されているので、補強に方向性が無く、あらゆる方向から作用する力に対して一定の耐力を発現する。また、鉄筋コンクリートのように、コンクリート被りに相当する部分がなく全断面に繊維が混入するので、部材の外側が欠ける等の部分的な破壊(ひび割れ)が発生しにくい。
【0032】
補強繊維は、直径が0.1mm〜0.3mmで長さが10mm〜30mmの微小な形状の繊維を容積で1%〜4%混入されているので、セメント系マトリックスに引張応力によるひび割れが発生しても、補強繊維の架橋効果によりひび割れが分散して、ひび割れ幅が大きくならない。
さらに、引張ひずみが増大しても、耐荷能力が低下することなくひび割れ本数が増大してひび割れ幅は増大しない。
【0033】
また、繊維補強コンクリートにより構成されているため、鉄道車両のロッキング運動による上下の大きな衝撃力に対しても、破壊することなく運動エネルギーを吸収することが可能となる。
【0034】
また、セメント系マトリックスは、水セメント比が22〜24%と非常に小さいく緻密な構成であるため、塩分拡散係数が従来のコンクリートの1/300〜1/500と小さく、中性化することはない。故に、メンテナンスフリーであるため、維持管理費用が発生しない。
また、ブロック体10(脱線時走行装置1)の製造時に熱養生を採用すれば、養生後は乾燥収縮が小さくなるので、乾燥収縮によるひび割れの発生の心配がない。
【0035】
また、鉄筋による補強を省略若しくは簡略化することができるので、薄肉断面でも製作が可能になるとともに、微妙な縦断勾配も精度よく製作することが可能になる。
【0036】
また、脱線時走行装置1は、ブロック体10を主レールR1に沿って配置するのみで、簡易に構成することが可能であるとともに、設置を容易に行うことが可能である。
また、繊維補強コンクリートにより構成することで、耐衝撃性を含め、脱線時走行装置1として求められる機能を満足する。
また、ブロック体10(脱線時走行装置1)は、簡易な形状なため、製作時の手間を省略することができ、搬送も容易である。
【0037】
さらに、繊維補強コンクリートの破壊エネルギーが大きいため、車輪Twが走行路を走行した場合に、短時間に走行を停止させることが可能となる。
【実施例】
【0038】
本発明の脱線時走行装置の特性について行った実証実験結果を以下に示す。
【0039】
(1)破壊エネルギー吸収特性について
まず、繊維補強コンクリートからなる脱線時走行装置の破壊エネルギー吸収特性について行った実証実験の結果を示す。
【0040】
本実証実験では、繊維補強コンクリートについて、4×4×16cmの試験体を形成し、この試験体による3等分曲げ試験を行った。同様に圧縮強度40N/mm2の従来の高強度コンクリートにより構成された同形状の無筋試験体についても3等分曲げ試験を行った。
図5に繊維補強コンクリートAおよび高強度コンクリートA’の各試験体についての供試体下面の曲げ引張応力と載荷点変位の関係を示す。
【0041】
図5に示すように、繊維補強コンクリートAは、試験体の下縁曲げ引張応力が20N/mm2程度に達するまでは弾性挙動する。その後マイクロクラックが発生するもののマトリックス自身の引張応力抵抗の成分と繊維による架橋効果の成分の和により、曲げ引張応力は増大してピークに達する。ポストピークでは主に繊維による架橋効果が主体的であり、物理的には繊維がマトリックスから抜け出すために載荷荷重が低下するが、載荷荷重が急激に低下するようなことはない。つまり、粘り強いじん性挙動を示している。
一方、従来の高強度コンクリートA’の場合は、図5に示すように、曲げ引張応力にはほとんど抵抗することができず、ピークを過ぎると一気に破壊してしまう。
【0042】
材料のじん性は、図5の面積で定義される破壊エネルギーで示されるが、繊維補強コンクリートAの破壊エネルギーは36kN・m/m2であり通常の高強度コンクリートA’の300〜400倍である。
【0043】
以上のように、繊維補強コンクリートを脱線時走行装置1に採用することにより、エネルギーの吸収性能が向上する。そのため、鉄道車両が脱線走行した場合でも、脱線時走行装置に作用する衝撃力を低減することができ、また車輪走行の転がり抵抗を増大させ短時間に鉄道車両を停止させることが可能となる。
【0044】
(2)耐衝撃性について
次に、繊維補強コンクリートからなる脱線時走行装置の耐衝撃性能について行った実証実験の結果について説明する。
【0045】
繊維補強コンクリートを適用した脱線時走行装置の実物モデルにより、実物車輪の接触部分の形状を模擬した模擬車輪を用いて、静的載荷実験と落下による衝撃実験を実施した(図7(a)参照)。
【0046】
衝撃実験は、図6に示すように、重錘Wに模擬車輪(接触子)Tw’をつけてガイドレールR0に沿って落下させて供試体10’に衝撃力を与える方法とした。
供試体10’は、繊維補強コンクリートにより形成されている。供試体10’には、空間15の天板部15aの厚さDを80mmとしたものと150mmとしたものがある。衝撃力の大きさは重錘Wに設けた加速度計より求めた。
【0047】
静的載荷実験は、載荷フレームを介してジャッキにより載荷して、載荷荷重はロードセルにより行った。
【0048】
図7(b)に実験結果を示す。図7(b)において、A1とA2は衝撃実験の結果を示しており、A3とA4は静的実験の結果を示している。なお、A1,A3は天板部15aの厚さDが150mmの場合の実験結果であり、A2とA4はそれぞれ厚さDが80mmの場合の実験結果である。
【0049】
図7(b)に示すように、衝撃力(動的載荷)に対する耐力(A1,A2)は、静的載荷の耐力(A3,A4)の2.5倍となり、耐力の向上が示された。また、天板部15aの厚さが薄い(D=80mm)場合の破壊モードは、押し抜きせん断破壊であるのに対し、天板部15aが厚い(D=150mm)場合の破壊モードは縁端部のせん断破壊であった。
【0050】
これらの実験結果から、衝撃力に対する耐荷抵抗が優れていることがわかる。そのため、大規模地震時に想定されるロッキング運動により発生する衝撃力に対して、本発明の脱線時走行装置が安全であることが明らかになった。
【0051】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、走行路の端部にストッパーを形成するものとしたが、ストッパーは必要に応じて形成すればよい。
【0052】
また、前記実施形態では、終点のブロック体(走行路)の高さを始点と同様に低くするものとしたが、終点におけるブロック体の高さは必ずしも低くする必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る脱線時走行装置を示す平面図である。
【図2】図1の脱線時走行装置の一部を示す図であって、(a)は平面図、(b)はc−c断面図である。
【図3】図1のa−a断面図である。
【図4】図1のb−b断面図である。
【図5】破壊エネルギー吸収特性について行った実証実験結果を示すグラフである。
【図6】衝撃実験で使用した装置を示す概略図である。
【図7】(a)は衝撃実験の実験モデルを示す概略図、(b)は同実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 脱線時走行装置
10 ブロック体
11 走行路
12 ストッパー
13 ボルト孔
14 ボルト
15 空間
20 枕木
B 分岐区間
R1 主レール
R2 分岐レール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主レールと分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において前記主レールの両側面に沿って配設される脱線時走行装置であって、
脱輪時の車輪を走行させるための走行路を上面に有し、
前記分岐区間の始点における前記走行路の高さが脱輪時の車輪が乗り上げることが可能な程度に低く、前記分岐レールと交差する箇所における前記走行路の高さが当該分岐レールの上面の高さと同等となる縦断勾配を有していることを特徴とする脱線時走行装置。
【請求項2】
セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートにより構成されることを特徴とする、請求項1に記載の脱線時走行装置。
【請求項3】
前記走行路の外側縁に沿ってストッパーが形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の脱線時走行装置。
【請求項4】
主レールに沿って連設された複数のブロック体により構成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【請求項5】
上下方向に貫通するボルト孔が形成されており、当該ボルト孔を貫通するボルトにより枕木または軌道スラブに固定されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【請求項6】
前記主レールの枕木または軌道スラブへの締結箇所に対応して、空間が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【請求項1】
主レールと分岐レールとが交差する部分を含む分岐区間において前記主レールの両側面に沿って配設される脱線時走行装置であって、
脱輪時の車輪を走行させるための走行路を上面に有し、
前記分岐区間の始点における前記走行路の高さが脱輪時の車輪が乗り上げることが可能な程度に低く、前記分岐レールと交差する箇所における前記走行路の高さが当該分岐レールの上面の高さと同等となる縦断勾配を有していることを特徴とする脱線時走行装置。
【請求項2】
セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む粉体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を容積で1〜4%混入して得られる繊維補強コンクリートにより構成されることを特徴とする、請求項1に記載の脱線時走行装置。
【請求項3】
前記走行路の外側縁に沿ってストッパーが形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の脱線時走行装置。
【請求項4】
主レールに沿って連設された複数のブロック体により構成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【請求項5】
上下方向に貫通するボルト孔が形成されており、当該ボルト孔を貫通するボルトにより枕木または軌道スラブに固定されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【請求項6】
前記主レールの枕木または軌道スラブへの締結箇所に対応して、空間が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の脱線時走行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−138670(P2010−138670A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318470(P2008−318470)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
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