説明

脱臭カートリッジ

【課題】空気流路における空気の通流時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる脱臭カートリッジを提供する。
【解決手段】脱臭カートリッジ10Aは、臭気を吸着する活性炭から作られて空気が通流可能な縦方向へ延びる第1空気流路18を有する複数の筒部17を備えている。それら筒部17には、第1空気流路18と交差して空気が通流可能な前後方向へ延びる所定長さの複数の第2空気流路19が形成されている。それら筒部17では、第1空気流路18と第2空気流路19とがつながり、空気流入口20から進入した空気がそれら第1空気流路18とそれら第2空気流路19とを通流した後に空気流出口から流出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に含まれる臭気を除去する脱臭カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム脱臭基材のセル空間内に、ハニカム脱臭基材とは異なる材質からなる脱臭材が充填され、ハニカム脱臭基材、脱臭材の各構成材料が、無機系脱臭材、有機系脱臭材、活性炭材料から選ばれた一種あるいは二種以上の組み合わせからなるハニカム脱臭材がある(特許文献1参照)。活性炭ハニカムは、粉末活性炭を主原料としてそれにフェノール樹脂、粘土等を加え、60セル/inch2に押出し成形した後、850℃で水蒸気賦活することで作ることができる。このハニカム脱臭材は、ハニカム脱臭基材のセル空間内に、ハニカム脱臭基材とは異なる材質からなる脱臭材を充填してハニカム脱臭材を構成し、ハニカム脱臭基材、脱臭材の各構成材料を、無機系脱臭材、有機系脱臭材、活性炭材料から選ばれた一種あるいは二種以上の組み合わせとしたから、空気とハニカム脱臭基材、脱臭材との接触効率が良くなり、脱臭性能が向上するとともに悪臭の発生する空間の脱臭にも最適に使用することができる。さらに、各種の悪臭に対して広く脱臭範囲をカバーして脱臭性能をより向上させることができるから、複合臭気に対する性能向上と悪臭の再放出防止を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−204442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のハニカム脱臭材は、空気が通流可能な一方向へ延びるハニカム形状の空気流路を有する複数の筒部が形成され、その空気流路を空気が通流することで、空気に含まれる臭気を除去するが、それら空気流路が互いに平行して一方向へ延びているから、空気が一方の空気流路から他方の空気流路に流入することができず、空気がそれら空気流路を素早く通り抜けてしまい、空気流路における空気の通流時間を長くすることができない。したがって、ハニカム脱臭基材に対する空気の接触時間を長くすることができず、ハニカム脱臭基材の脱臭機能を効率的に利用することが難しく、空気に含まれる臭気を確実に除去することができない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、空気流路における空気の通流時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる脱臭カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、空気が通流可能な第1方向へ延びる所定長さの第1空気流路を有する複数の筒部が形成され、第1空気流路がその一端に開口する空気流入口とその他端に開口する空気流出口とを備え、空気流入口から流入して第1空気流路を通流する空気に含まれる臭気を除去する脱臭カートリッジである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴として、それら筒部には、第1空気流路と交差して空気が通流可能な第2方向へ延びる所定長さの複数の第2空気流路が形成され、それら筒部では、第1空気流路と第2空気流路とがつながり、空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とを通流することにある。
【0008】
本発明の一例としては、脱臭カートリッジのそれら筒部が臭気を吸着する活性炭から作られ、第1空気流路の断面形状がハニカム形状を有する。
【0009】
本発明の他の一例としては、第2空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第2空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さい。
【0010】
本発明の他の一例として、第2空気流路は、その開口端が閉塞されて脱臭カートリッジの内部に延びている。
【0011】
本発明の他の一例として、それら筒部には、第1および第2空気流路と交差して空気が通流可能な第3方向へ延びる所定長さの複数の第3空気流路が形成され、それら筒部では、第1空気流路と第3空気流路とがつながり、空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とそれら第3空気流路とを通流する。
【0012】
本発明の他の一例として、それら筒部では、第2空気流路と第3空気流路とがつながっているか、または、第2空気流路と第3空気流路とがつながっていない。
【0013】
本発明の他の一例としては、第3空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第3空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さい。
【0014】
本発明の他の一例として、第3空気流路は、その開口端が閉塞されて脱臭カートリッジの内部に延びている。
【0015】
本発明の他の一例としては、筒部の第1空気流路の第1方向の長さ寸法が3〜30cmの範囲にある。
【0016】
本発明の他の一例としては、第1空気流路の空気流入口側に位置する脱臭カートリッジの一端面の面積が9〜400cmの範囲にあり、第1空気流路の空気流出口側に位置する脱臭カートリッジの他端面の面積が9〜400cmの範囲にある。
【0017】
本発明の他の一例としては、脱臭カートリッジの1cm当たりにおける筒部の第1空気流路の数が30〜60の範囲にある。
【0018】
本発明の他の一例として、脱臭カートリッジでは、それら第1空気流路のうちの一部の第1空気流路の空気流出口が閉塞され、空気流入口の総数よりも空気流出口の総数が少ない。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる脱臭カートリッジによれば、第1空気流路と交差して空気が通流可能な第2方向へ延びる所定長さの複数の第2空気流路がそれら筒部に形成され、それら筒部において第1空気流路と第2空気流路とがつながり、空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とを通流するから、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1空気流路のみならず、第2空気流路を通流するとともに、第2空気流路から他方の第1空気流路に流入し、さらに第2空気流路を通流して他方の第1空気流路に流入する。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1空気流路およびそれら第2空気流路を通流しつつ、第1空気流路と第2空気流路との交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加し、空気流路を通流する空気の流動速度が低下するから、空気流路における空気の通流時間を十分に長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0020】
それら筒部が臭気を吸着する活性炭から作られ、第1空気流路の断面形状がハニカム形状を有する脱臭カートリッジは、活性炭によって空気に含まれる臭気が除去されることはもちろん、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1空気流路のみならず、第2空気流路を通流するとともに、第2空気流路から他方の第1空気流路に流入し、さらに、第2空気流路を通流して他方の第1空気流路に流入するから、空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、活性炭から作られた筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0021】
第2空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第2空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さい脱臭カートリッジは、第2空気流路の数が第1空気流路の数よりも多く、第2空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも大きい場合、1本の第2空気流路によって隣接する多数の第1空気流路どうしがつながってしまう場合があり、脱臭カートリッジに細かい多数の空気流路を張り巡らせることができないが、第2空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第2空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さいから、第2空気流路によって隣接する多数の第1空気流路どうしがつながることはなく、脱臭カートリッジに細かい多数の空気流路を張り巡らせることができる。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1空気流路およびそれら第2空気流路を通流しつつ、第1空気流路と第2空気流路との交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加し、空気流路を通流する空気の流動速度が低下するから、空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0022】
第2空気流路の開口端が閉塞されている脱臭カートリッジは、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1および第2空気流路を通流する間に第2空気流路の開口端からカートリッジの外部に流出することはなく、空気を第1空気流路の空気流入口から空気流出口に向かって通流させることができる。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1空気流路およびそれら第2空気流路を通流した後、第1空気流路の空気流出口から流出するから、空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0023】
第1および第2空気流路と交差して空気が通流可能な第3方向へ延びる所定長さの複数の第3空気流路がそれら筒部に形成され、それら筒部において第1空気流路と第3空気流路とがつながり、空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とそれら第3空気流路とを通流する脱臭カートリッジは、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1空気流路や第2空気流路のみならず、第3空気流路を通流するとともに、第3空気流路から他方の第1空気流路や第2空気流路に流入し、さらに第3空気流路を通流して他方の第1空気流路や第2空気流路に流入する。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1〜第3空気流路を通流しつつ、第1〜第3空気流路の交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加し、空気流路を通流する空気の流動速度が低下するから、空気流路における空気の通流時間を十分に長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0024】
それら筒部において第2空気流路と第3空気流路とがつながっているか、または、第2空気流路と第3空気流路とがつながっていない脱臭カートリッジは、それら筒部において第2空気流路と第3空気流路とがつながっている場合、第1〜第3空気流路が交差し、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1空気流路のみならず、第2空気流路や第3空気流路を通流するとともに、第2および第3空気流路から他方の第1空気流路に流入し、さらに第2および第3空気流路を通流して他方の第1空気流路に流入するから、空気がそれら第1〜第3空気流路を通流し、空気流路における空気の通流時間を十分に長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。それら筒部において第2空気流路と第3空気流路とがつながっていない場合、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第2空気流路から他方の第1空気流路に流入し、さらに第2空気流路を通流して他方の第1空気流路に流入するとともに、第3空気流路から他方の第1空気流路に流入し、さらに第3空気流路を通流して他方の第1空気流路に流入するから、空気がそれら第1〜第3空気流路を通流し、空気流路における空気の通流時間を十分に長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0025】
第3空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第3空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さい脱臭カートリッジは、第3空気流路の数が第1空気流路の数よりも多く、第3空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも大きい場合、1本の第3空気流路によって隣接する多数の第1空気流路どうしがつながってしまう場合があり、脱臭カートリッジに細かい多数の空気流路を張り巡らせることができないが、第3空気流路の数が第1空気流路の数よりも少なく、第3空気流路の開口面積が第1空気流路の開口面積よりも小さいから、第2空気流路によって隣接する多数の第1空気流路どうしがつながることはなく、脱臭カートリッジに細かい多数の空気流路を張り巡らせることができる。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1〜第3空気流路を通流しつつ、第1〜第3空気流路の交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加し、空気流路を通流する空気の流動速度が低下するから、空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0026】
第3空気流路の開口端が閉塞されている脱臭カートリッジは、第1空気流路の空気流入口から流入した空気が、第1〜第3空気流路を通流する間に第3空気流路の開口端からカートリッジの外部に流出することはなく、空気を第1空気流路の空気流入口から空気流出口に向かって通流させることができる。脱臭カートリッジは、空気がそれら第1〜第3空気流路を通流した後、第1空気流路の空気流出口から流出するから、空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0027】
筒部の第1空気流路の第1方向の長さ寸法が3〜30cmの範囲にある脱臭カートリッジは、第1空気流路の長さを前記範囲にすることで、各空気流路における空気の通流時間を十分に長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0028】
第1空気流路の空気流入口側に位置する脱臭カートリッジの一端面の面積が9〜400cmの範囲にあり、第1空気流路の空気流出口側に位置する脱臭カートリッジの他端面の面積が9〜400cmの範囲にある脱臭カートリッジは、脱臭カートリッジの一端面や他端面の面積が前記範囲にあるから、所定量の空気を各空気流路に通流させて筒部に接触されることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0029】
脱臭カートリッジの1cm当たりにおける筒部の第1空気流路の数が30〜60の範囲にある脱臭カートリッジは、脱臭カートリッジの1cm当たりにおける第1空気流路の数が前記範囲にあるから、所定量の空気を各空気流路に通流させて筒部に接触されることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0030】
それら第1空気流路のうちの一部の第1空気流路の空気流出口が閉塞され、空気流入口の総数よりも空気流出口の総数が少ない脱臭カートリッジは、空気流出口から流出する空気の量が空気流入口から流入する空気の量よりも少なくなり、その分各空気流路を通流する空気の流動速度が遅くなるから、各空気流路における空気の通流時間を長くすることができるとともに、筒部に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一例として示す脱臭カートリッジの斜視図。
【図2】脱臭カートリッジの下端面の一例を示す図。
【図3】図1の脱臭カートリッジの筒部の一部を拡大して示す部分拡大図。
【図4】第1および第2空気流路における空気の流れの一例を示す図3と同様の部分破断拡大図。
【図5】他の一例として示す脱臭カートリッジの斜視図。
【図6】図5の脱臭カートリッジの筒部の一部を拡大して示す部分拡大図。
【図7】第1〜第3空気流路における空気の流れの一例を示す図6と同様の部分破断拡大図。
【図8】他の一例として示す脱臭カートリッジの斜視図。
【図9】図8の脱臭カートリッジの筒部の一部を拡大して示す部分拡大図。
【図10】第1〜第3空気流路における空気の流れの一例を示す図9と同様の部分破断拡大図。
【図11】脱臭カートリッジの使用の一例を示す図。
【図12】一例として示す脱臭装置の斜視図。
【図13】脱臭カートリッジを取り外した状態で示す脱臭装置の上面図。
【図14】脱臭カートリッジを設置した状態で示す脱臭装置の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一例として示す脱臭カートリッジ10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる脱臭カートリッジの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、脱臭カートリッジ10Aの下端面12の一例を示す図であり、図3は、図1の脱臭カートリッジ10Aの筒部17の一部を拡大して示す部分拡大図である。図4は、第1および第2空気流路18,19における空気の流れの一例を示す図3と同様の部分破断拡大図である。図1,2では、縦方向(第1方向)を矢印A(図2を除く)、前後方向(第2方向)を矢印Bで示し、横方向(第3方向)を矢印Cで示す。図3,4では、3つの筒部17を図示しているが、それら筒部17に隣接する他の筒部(図示せず)が存在する。
【0033】
なお、縦方向を第1方向、前後方向を第2方向、横方向を第3方向としているが、第1〜第3方向をそれらに限定するものではなく、前後方向を第1方向とし、第1方向と交差する横方向を第2方向とするとともに、第1および第2方向と交差する縦方向を第3方向としてもよい。また、横方向を第1方向とし、第1方向と交差する縦方向を第2方向とするとともに、第1および第2方向と交差する前後方向を第3方向としてもよい。
【0034】
脱臭カートリッジ10Aは、図1に示すように、縦方向へ長い四角柱状に成型されている。なお、カートリッジ10Aの立体形状を四角柱状に限定するものではなく、カートリッジ10Aが正四角柱状に成型されていてもよく、また、カートリッジ10Aが縦方向へ長い円柱状に成型されていてもよい。カートリッジ10Aは、上端面11(一端面)および下端面12(他端面)と、第1〜第4側面13〜16とを有する。カートリッジ10Aの上端面11および下端面12は、略四角形に成形されている。カートリッジ10Aの第1〜第4側面13〜16は、縦方向へ長い略矩形に成形されている。カートリッジ10Aには、正六角形のハニカム形状を有して縦方向へ延びる複数の筒部17が形成されている。カートリッジ10Aのそれら筒部17は、高い臭気吸着機能(ヨウ素やセシウム等の放射性物質吸着機能を含む)を有する活性炭から作られている。
【0035】
それら筒部17は、前後方向と横方向とへ隣接し、互いに並行して縦方向へ延びている。筒部17は、空気が通流可能な所定長さの第1空気流路18を有する。それら筒部17には、第1空気流路18の他に、空気が通流可能な所定長さの複数の第2空気流路19が形成されている。第1空気流路18は、図1,2に示すように、その断面形状が正六角形のハニカム形状を有し、互いに並行して縦方向(第1方向)へ延びている。第1空気流路18は、その一端(カートリッジ10Aの上端面11)に開口する空気流入口20と、その他端(カートリッジ10Aの下端面12)に開口する空気流出口21とを有し、カートリッジ10Aの上下端面11,12間を貫通している。
【0036】
脱臭カートリッジ10Aの下端面12では、図2に示すように、全ての第1空気流路18の空気流出口21が開放されておらず、それら第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され(図2の下端面12の枠状部分)、一部の空気流路18の空気流出口21が開放されている(図2の下端面12の中央の四角部分)。したがって、空気流出口21の総数が空気流入口20の総数よりも少ない。空気流出口21の総数は、空気流入口20の総数の1/2〜1/5の範囲に調節されている。なお、第1空気流路17のうちの一部の空気流路18の空気流出口21を閉塞することなく、空気流出口21の総数と空気流入口20の総数とが同数であってもよい。
【0037】
第2空気流路19は、縦方向および横方向へ離間並行し、第1空気流路18と交差する前後方向(第2方向)へ延びている。第2空気流路19は、その断面形状が円形に成形されている。第2空気流路19は、カートリッジ10Aの第1側面13に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、カートリッジ10Aの第3側面15に開口する開口端(空気流出口)が閉塞されている。第2空気流路18は、カートリッジ10Aの第1および第3側面13,15における開口端が塞がれており、第1側面13と第3側面15とを貫通しておらず、カートリッジ10Aの内部のみに延びている。
【0038】
第1空気流路18と第2空気流路19とは、それらが略直交するように、カートリッジ10Aの内部においてそれら空気流路18,19が互いに交差している。第1空気流路18と第2空気流路19とは、図4に一点鎖線で示すように、カートリッジ10Aの内部において第1空気流路18の中心線L2と第2空気流路19の中心線L3とがそれら空気流路18,19の中心において交差している。
【0039】
第2空気流路19は、その数が第1空気流路18の数よりも少なく、その開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも小さい。第2空気流路19の数が第1空気流路18の数よりも多く、第2空気流路19の開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも大きい場合、1本の第2空気流路19によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながってしまう場合があり、カートリッジ10Aに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができないが、第2空気流路19の数が第1空気流路18のそれよりも少なく、第2空気流路19の開口面積が第1空気流路18のそれよりも小さいから、第2空気流路19によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながることはなく、カートリッジ10Aに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができる。
【0040】
第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1は、3〜30cmの範囲、好ましくは、5〜15cmの範囲にある。第1空気流路18の長さ寸法L1が3cm未満では、空気流路18における空気の通流時間を長くすることができず、筒部17(活性炭)に対する空気の接触時間を長くすることができない。カートリッジ10Aは、第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1が前記範囲にあり、空気流路18,19における空気の通流時間を長くすることができ、筒部17(活性炭)に対する空気の接触時間を長くすることができるから、空気に含まれる臭気を筒部17に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0041】
脱臭カートリッジ10Aの上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数は、30〜50の範囲、好ましくは、35〜45の範囲にある。上下端面11,12の1cm当たりにおける第1空気流路18の数が30未満では、空気流路18の数が少なく、所定量の空気を筒部17(活性炭)に接触させることができず、カートリッジ10Aの臭気除去効率が低下する。なお、上下端面11,12の1cm当たりの第1空気流路の数が50を超えると、カートリッジ10Aの強度を保持することが難しく、カートリッジ10Aが衝撃によって損壊してしまう場合がある。カートリッジ10Aは、その上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数が前記範囲にあるから、所定量の空気を筒部17(活性炭)に接触させることができ、空気に含まれる臭気を筒部17に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。また、カートリッジ10Aがその強度を保持することができるから、多少の衝撃にも耐えることができ、カートリッジ10Aの不用意な損壊を防ぐことができる。
【0042】
第1空気流路18の空気流入口20側に位置するカートリッジ10Aの上端面11(一端面)の面積は、9〜400cmの範囲、好ましくは、16〜100cmの範囲にあり、第1空気流路18の空気流出口21側に位置するカートリッジ10Aの下端面12(他端面)の面積は、9〜400cmの範囲、好ましくは、16〜100cmの範囲にある。上端面11や下端面12の面積が9cm未満では、カートリッジ10Aにおける第1空気流路18の数が少なくなり、カートリッジ10Aの臭気除去効率が低下する。カートリッジ10Aは、その上端面11や下端面12の面積が前記範囲にあり、所定量の空気を十分な数の第1空気流路18に通流させて筒部17(活性炭)に接触されることができるから、所定量の空気に含まれる臭気を筒部17に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0043】
図1の脱臭カートリッジ10Aを作る手順の一例は、以下のとおりである。最初にハニカム状の第1空気流路18を有する筒部17が形成されたカートリッジ10A(活性炭ハニカム)を製造する。筒部17を有するカートリッジ10Aは、活性炭粉末や活性炭繊維を主原料として既存の押し出し成形によって作ることができる。活性炭には、木質系活性炭、椰子系活性炭、石炭系活性炭を使用することができる。筒部17(第1空気流路18)が形成されたカートリッジ10Aを作った後、ドリルを利用してカートリッジ10Aの第1側面13から第3側面15に向かって(または、第3側面15から第1側面13に向かって)直状に延びる第2空気流路19を穿孔する。第2空気流路19は、縦方向と横方向とへ所定の等間隔で一列に形成されているが、縦方向と横方向とへ所定の間隔でランダムに形成されていてもよい。
【0044】
第2空気流路19を穿孔した後、第1側面13に開口する空気流路19の開口端(穿孔した孔)および第3側面15に開口する空気流路19の開口端(穿孔した孔)を閉塞する。それら開口端の閉塞は、第1側面13および第3側面15に溶融した合成樹脂(活性炭粉末を含む場合がある)を塗布し、硬化した合成樹脂によってそれら側面13,15を被覆する場合、または、第1側面13および第3側面15に接着テープを貼付し、接着テープによってそれら側面13,15を被覆する場合、あるいは、あらかじめ成型された筒状のプラスチック外枠材でそれら側面13,15を被覆する場合等がある。
【0045】
それら第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21を閉塞するには、カートリッジ10Aの下端面12の一部に溶融した合成樹脂を塗布し、硬化した合成樹脂によって下端面12を被覆し、一部の第1空気流路18の空気流出口21を閉塞する場合、または、カートリッジ10Aの下端面12の一部に接着テープを貼付し、接着テープによって下端面12を被覆し、一部の第1空気流路18の空気流出口21を閉塞する場合等がある。
【0046】
脱臭カートリッジ10Aでは、図3に示すように、それら筒部17において第1空気流路18と第2空気流路19とがつながり、隣接する第1空気流路18どうしが第2空気流路19を介して連結される。空気流入口20から流入した空気は、図4に矢印L4で示すように、それら第1空気流路18を通流するとともに、空気流路18からそれら第2空気流路19に流入して空気流路19を通流し、第2空気流路19から他の第1空気流路18に再び流入した後、空気流路18を通流する。
【0047】
第1および第2空気流路18,19を通流する空気は、第1空気流路18と第2空気流路19との交差箇所においてその流れが乱れ、渦流や乱流となり、渦流や乱流が空気抵抗となってその流動が鈍化し、カートリッジ10Aにおける空気の流動速度が低下する。さらに、カートリッジ10Aの下端面12において第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され、それら第1空気流路18の空気流出口21の総面積(総数)が空気流入口20の総面積(総数)よりも小さく(少なく)、空気流出口21から流出し得る空気の量が空気流入口20から流入し得る空気の量よりも少ないから、それら空気流路18,19を通流する空気の流動が鈍化し、カートリッジ10Aにおける空気の流動速度が低下する。
【0048】
空気は、空気流入口20から空気流出口21に向かってその流動速度が低下しつつ、それら空気流路18,19を通って次第に空気流出口21に近づき、空気流出口21から外部に流出する。カートリッジ10Aでは、空気が第1および第2空気流路18,19を通流する過程において筒部17(活性炭)に接触し、空気に含まれる臭気(ヨウ素やセシウム等の放射性物質を含む)が活性炭に吸着される。第1空気流路18および第2空気流路19を通流して空気流出口21から流出した空気は、それに含まれる臭気(放射性物質吸着機能を含む)が除去されている。
【0049】
脱臭カートリッジ10Aは、第1空気流路18と交差して空気が通流可能な前後方向(第2方向)へ延びる所定長さの複数の第2空気流路19がそれら筒部17に形成され、それら筒部17において第1空気流路18と第2空気流路19とがつながり、空気流入口20から流入した空気がそれら第1空気流路18とそれら第2空気流路19とを通流するから、第1空気流路18の空気流入口20から流入した空気が、第1空気流路18のみならず、第2空気流路19を通流するとともに、第2空気流路19から他方の第1空気流路18に流入し、さらに第2空気流路19を通流して他方の第1空気流路18に流入する。
【0050】
脱臭カートリッジ10Aは、空気がそれら第1空気流路18およびそれら第2空気流路19を通流しつつ、第1空気流路18と第2空気流路19との交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加するから、空気流路18,19における空気の通流時間を十分に長くすることができ、さらに、空気流出口21から流出する空気の量が空気流入口20から流入する空気の量よりも少なく、その分空気流路18,19を通流する空気の流動速度が遅くなるから、空気流路18,19における空気の通流時間を長くすることができる。カートリッジ10Aは、筒部17(活性炭)に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)を確実に除去することができる。
【0051】
図5は、他の一例として示す脱臭カートリッジ10Bの斜視図であり、図6は、図5の脱臭カートリッジ10Bの筒部17の一部を拡大して示す部分拡大図である。図7は、第1〜第3空気流路18,19,22における空気の流れの一例を示す図6と同様の部分破断拡大図である。図5では、縦方向(第1方向)を矢印A、前後方向(第2方向)を矢印Bで示し、横方向(第3方向)を矢印Cで示す。図6,7では、3つの筒部17を図示しているが、それら筒部17に隣接する他の筒部(図示せず)が存在する。
【0052】
脱臭カートリッジ10Bは、図5に示すように、縦方向へ長い四角柱状に成型されている。カートリッジ10Bは、上端面11(一端面)および下端面12(他端面)と、第1〜第4側面13〜16とを有する。カートリッジ10Bには、正六角形のハニカム形状を有して縦方向へ延びる複数の筒部17が形成されている。それら筒部17は、活性炭から作られている。
【0053】
脱臭カートリッジ10Bのそれら筒部17は、前後方向と横方向とへ隣接し、互いに並行して縦方向へ延びている。筒部17は、空気が通流可能な所定長さの第1空気流路18を有する。それら筒部17には、第1空気流路18の他に、空気が通流可能な所定長さの複数の第2空気流路18および第3空気流路22が形成されている。第1空気流路18は、その断面形状が正六角形のハニカム形状を有し、互いに並行して縦方向(第1方向)へ延びている。第1空気流路18は、その一端(カートリッジ10Bの上端面11)に開口する空気流入口20と、その他端(カートリッジ10Bの下端面12)に開口する空気流出口21とを有し、カートリッジ10Bの上下端面11,12間を貫通している。
【0054】
脱臭カートリッジ10Bの下端面12では、図1のそれと同様に、それら第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され、一部の空気流路18の空気流出口21が開放されている(図2援用)。したがって、空気流出口21の総数が空気流入口20の総数よりも少ない。空気流出口21の総数は、空気流入口20の総数の1/2〜1/5の範囲に調節されている。
【0055】
第2空気流路19は、縦方向および横方向へ離間並行し、第1空気流路18と交差する前後方向(第2方向)へ延びている。第2空気流路19は、その断面形状が円形に成形されている。第2空気流路19は、第1側面13に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、第3側面15に開口する開口端(空気流出口)が閉塞されている。第2空気流路19は、カートリッジ10Bの第1および第3側面13,15における開口端が塞がれており、第1側面13と第3側面15とを貫通しておらず、カートリッジ10Bの内部のみに延びている。第2空気流路19は、その数が第1空気流路18の数よりも少なく、その開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも小さい。
【0056】
第3空気流路22は、縦方向および前後方向へ離間並行し、第1および第2空気流路18,19と交差する横方向(第3方向)へ延びている。第3空気流路22は、その断面形状が円形に成形されている。第3空気流路22は、カートリッジ10Bの第2側面14に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、カートリッジ10Bの第4側面16に開口する開口端(空気流出口)が閉塞されている。第3空気流路22は、カートリッジ10Bの第2側面14および第4側面16における開口端が塞がれており、第2側面14と第4側面16とを貫通しておらず、カートリッジ10Bの内部のみに延びている。第3空気流路22は、その数が第1空気流路18の数よりも少なく、その開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも小さい。また、第3空気流路22は、その数が第2空気流路19の数と略同一であり、その開口面積が第2空気流路19の開口面積と略同一である。
【0057】
第1〜第3空気流路18,19,22は、それらが略直交するように、それら空気流路18,19,22が互いに交差している。第1〜第3空気流路18,19,22は、図7に一点鎖線で示すように、カートリッジ10Bの内部において第1空気流路18の中心線L2と第2空気流路19の中心線L3と第3空気流路22の中心線L5とがそれら空気流路18,19,22の中心において交差している。したがって、それら第1〜第3空気流路18,19,22では、第1空気流路18と第2空気流路19とが略直交するように交差し、第2空気流路19と第3空気流路22とが略直交するように交差しているとともに、第3空気流路22と第1空気流路18とが略直交するように交差している。
【0058】
第2空気流路19の数が第1空気流路18の数よりも多く、第2空気流路19の開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも大きい場合、1本の第2空気流路19によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながってしまう場合があり、カートリッジ10Bに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができないが、第2空気流路19の数が第1空気流路18のそれよりも少なく、第2空気流路19の開口面積が第1空気流路18のそれよりも小さいから、第2空気流路19によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながることはなく、カートリッジ10Bに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができる。
【0059】
第3空気流路22の数が第1空気流路18の数よりも多く、第3空気流路22の開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも大きい場合、1本の第3空気流路22によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながってしまう場合があり、カートリッジ10Bに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができないが、第3空気流路22の数が第1空気流路18のそれよりも少なく、第3空気流路22の開口面積が第1空気流路18のそれよりも小さいから、第3空気流路22によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながることはなく、カートリッジ10Bに細かい多数の空気流路18,19を張り巡らせることができる。
【0060】
脱臭カートリッジ10Bにおける第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1、カートリッジ10Bの上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数、第1空気流路18の空気流入口20側に位置するカートリッジ10Bの上端面11(一端部)の面積、第1空気流路18の空気流出口21側に位置するカートリッジ10Bの下端面12(他端面)の面積は、図1のカートリッジ10Aのそれらと同一である。
【0061】
脱臭カートリッジ10Bは、第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1が前記範囲にあり、カートリッジ10Bの上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数が前記範囲にあるとともに、カートリッジ10Bの上端面11や下端面12の面積が前記範囲にあり、所定量の空気を十分な数の第1空気流路18や第2および第3空気流路19,22に通流させて筒部17(活性炭)に接触されることができるから、空気に含まれる臭気を筒部17(活性炭)に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0062】
図5の脱臭カートリッジ10Bを作る手順の一例は、以下のとおりである。最初にハニカム状の第1空気流路17を有する筒部17が形成されたカートリッジ10B(活性炭ハニカム)を製造する。筒部17を有するカートリッジ10Bは、図1のそれと同様に、活性炭粉末や活性炭繊維を主原料として既存の押し出し成形によって作ることができる。筒部17(第1空気流路18)が形成されたカートリッジ10Bを作った後、ドリルを利用してカートリッジ10Bの第1側面13から第3側面15に向かって(または、第3側面15から第1側面13に向かって)直状に延びる第2空気流路19を穿孔するとともに、ドリルを利用してカートリッジ10Bの第2側面14から第4側面16に向かって(または、第4側面16から第2側面14に向かって)直状に延びる第3空気流路22を穿孔する。
【0063】
第2空気流路19と第3空気流路22との穿孔時では、それら空気流路19,22が互いにつながる(交差)するように穿孔する。第2空気流路18は、縦方向と横方向とへ所定の等間隔で一列に形成されているが、縦方向と横方向とへ所定の間隔でランダムに形成されていてもよい。第3空気流路22は、縦方向と前後方向とへ所定の等間隔で一列に形成されているが、縦方向と前後方向とへ所定の間隔でランダムに形成されていてもよい。
【0064】
第2空気流路19および第3空気流路22を穿孔した後、第1側面13に開口する空気流路19の開口端(穿孔した孔)および第3側面15に開口する空気流路19の開口端(穿孔した孔)を閉塞するとともに、第2側面14に開口する第3空気流路22の開口端(穿孔した孔)および第4側面16に開口する第3空気流路22の開口端(穿孔した孔)を閉塞する。それら開口端の閉塞は、第1〜第4側面13〜16に溶融した合成樹脂(活性炭粉末を含む場合がある)を塗布し、硬化した合成樹脂によって第1〜第4側面13〜16を被覆する場合、または、第1〜第4側面13〜16に接着テープを貼付し、接着テープによって第1〜第4側面13〜16を被覆する場合、あるいは、あらかじめ成型された筒状のプラスチック外枠材で第1〜第4側面13〜16を被覆する場合等がある。それら第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21を閉塞する手順は、図1の脱臭カートリッジ10Aのそれと同一である。
【0065】
脱臭カートリッジ10Bでは、図6に示すように、それら筒部17において第1空気流路18と第2空気流路19とがつながり、第2空気流路19と第3空気流路22とがつながるとともに、第3空気流路22と第1空気流路18とがつながり、隣接する第1空気流路18どうしが第2および第3空気流路19,22を介して連結される。
【0066】
空気流入口20から流入した空気は、図7に矢印L4で示すように、それら第1空気流路18を通流するとともに、空気流路18からそれら第2空気流路19やそれら第3空気流路22に流入して空気流路19,22を通流し、第2空気流路19や第3空気流路22から他の第1空気流路18に再び流入した後、空気流路18を通流する。
【0067】
第1〜第3空気流路18,19,22を通流する空気は、第1〜第3空気流路18,19,22の交差箇所においてその流れが乱れ、渦流や乱流となり、渦流や乱流が空気抵抗となってその流動が鈍化し、カートリッジ10Bにおける空気の流動速度が低下する。さらに、カートリッジ10Bの下端面12において第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され、それら第1空気流路18の空気流出口21の総面積(総数)が空気流入口20の総面積(総数)よりも小さく(少なく)、空気流出口21から流出し得る空気の量が空気流入口20から流入し得る空気の量よりも少ないから、それら空気流路18,19,22を通流する空気の流動が鈍化し、カートリッジ10Bにおける空気の流動速度が低下する。
【0068】
空気は、空気流入口20から空気流出口21に向かってその流動速度が低下しつつ、それら空気流路18,19,22を通って次第に空気流出口21に近づき、空気流出口21から外部に流出する。カートリッジ10Bでは、空気が第1〜第3空気流路18,19,22を通流する過程において筒部17(活性炭)に接触し、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)が活性炭に吸着される。第1〜第3空気流路18,19,22を通流して空気流出口21から流出した空気は、それに含まれる臭気(放射性物質を含む)が除去されている。
【0069】
脱臭カートリッジ10Bは、第1空気流路18と交差して空気が通流可能な前後方向(第2方向)へ延びる所定長さの複数の第2空気流路19がそれら筒部17に形成されているとともに、第1および第2空気流路18,19と交差して空気が通流可能な横方向(第3方向)へ延びる所定長さの複数の第3空気流路22がそれら筒部17に形成され、それら筒部17において第1空気流路18と第2空気流路19と第3空気流路22とがつながり、空気流入口20から流入した空気がそれら第1〜第3空気流路18,19,22を通流するから、第1空気流路18の空気流入口20から流入した空気が、第1空気流路18のみならず、第2空気流路19や第3空気流路22を通流するとともに、第2空気流路19や第3空気流路22から他方の第1空気流路18に流入し、さらに第2空気流路19や第3空気流路22を通流して他方の第1空気流路18に流入する。
【0070】
脱臭カートリッジ10Bは、空気がそれら第1〜第3空気流路18,19,22を通流しつつ、第1〜第3空気流路18,19,22の交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加するから、空気流路18,19,22における空気の通流時間を十分に長くすることができ、さらに、空気流出口21から流出する空気の量が空気流入口20から流入する空気の量よりも少なく、その分空気流路18,19,22を通流する空気の速度が遅くなるから、空気流路18,19,22における空気の通流時間を長くすることができる。カートリッジ10Bは、筒部17(活性炭)に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)を確実に除去することができる。
【0071】
図8は、他の一例として示す脱臭カートリッジ10Cの斜視図であり、図9は、図8の脱臭カートリッジ10Cの筒部17の一部を拡大して示す部分拡大図である。図10は、第1〜第3空気流路18,19,22における空気の流れの一例を示す図9と同様の部分破断拡大図である。図8では、縦方向(第1方向)を矢印A、前後方向(第2方向)を矢印Bで示し、横方向(第3方向)を矢印Cで示す。図9,10では、3つの筒部17を図示しているが、それら筒部17に隣接する他の筒部(ずしせず)が存在する。
【0072】
この脱臭カートリッジ10Cが図5のそれと異なるところは、第2空気流路19と第3空気流路22とが直接つながっておらず、第1空気流路18を介してつながっている点にあり、その他の構成は図5のカートリッジ10Bと同一であるから、図5と同様の符号を付すとともに、図5の説明を援用することで、このカートリッジ10Cにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0073】
脱臭カートリッジ10Cは、図8に示すように、縦方向へ長い四角柱状に成型されている。カートリッジ10Cは、上端面11(一端面)および下端面12(他端面)と、第1〜第4側面13〜16とを有する。カートリッジ10Cには、正六角形のハニカム形状を有して縦方向へ延びる複数の筒部17が形成されている。それら筒部17は、活性炭から作られている。カートリッジ10Cのそれら筒部17には、カートリッジ10Cの上下端面11,12間を貫通する第1空気流路18の他に、空気が通流可能な所定長さの複数の第2空気流路19および第3空気流路22が形成されている。カートリッジ10Cの下端面12では、図1のそれと同様に、それら第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され、一部の空気流路18の空気流出口21が開放されている(図2援用)。空気流出口21の総数は、空気流入口20の総数よりも少なく、空気流入口20の数の1/2〜1/5の範囲に調節されている。
【0074】
第2空気流路19は、縦方向および横方向へ離間並行し、第1空気流路18と交差する前後方向(第2方向)へ延びている。第2空気流路19は、その断面形状が円形に成形されている。第2空気流路19は、第1側面13に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、第3側面15に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、カートリッジ10Cの内部のみに延びている。第2空気流路19は、その数が第1空気流路18の数よりも少なく、その開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも小さい。
【0075】
第3空気流路22は、縦方向および前後方向へ離間並行し、第1および第2空気流路18,19と交差する横方向(第3方向)へ延びている。第3空気流路22は、その断面形状が円形に成形されている。第3空気流路22は、第2側面14に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、第4側面16に開口する開口端(空気流出口)が閉塞され、カートリッジ10Cの内部のみに延びている。第3空気流路22は、その数が第1空気流路18の数よりも少なく、その開口面積が第1空気流路18の開口面積よりも小さい。また、第3空気流路22は、その数が第2空気流路19の数と略同一であり、その開口面積が第2空気流路19の開口面積と略同一である。
【0076】
第1空気流路18と第2空気流路19とは、それらが略直交するように、それら空気流路18,19が互いに交差している。第1空気流路18と第2空気流路19とは、図9に一点鎖線で示すように、カートリッジ10Cの内部において第1空気流路18の中心線L2と第2空気流路19の中心線L3とがそれら空気流路18,19の中心において交差している。第1空気流路18と第3空気流路22とは、それらが略直交するように、それら空気流路18,22が互いに交差している。第1空気流路18と第3空気流路22とは、図9に一点鎖線で示すように、カートリッジ10Cの内部において第1空気流路18の中心線L2と第3空気流路22の中心線L5とがそれら空気流路18,22の中心において交差している。第2空気流路19と第3空気流路22とは、それら空気流路19,22が直接つながっておらず、第1空気流路18を介してつながっている。
【0077】
脱臭カートリッジ10Cは、第2空気流路19の数が第1空気流路18のそれよりも少なく、第2空気流路19の開口面積が第1空気流路18のそれよりも小さいから、1本の第2空気流路19によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながることはなく、カートリッジ10Cに細かい多数の空気流路18,19,22を張り巡らせることができる。また、第3空気流路22の数が第1空気流路18のそれよりも少なく、第3空気流路22の開口面積が第1空気流路18のそれよりも小さいから、1本の第3空気流路22によって隣接する多数の第1空気流路18どうしがつながることはなく、カートリッジ10Cに細かい多数の空気流路18,19,22を張り巡らせることができる。
【0078】
脱臭カートリッジ10Cにおける第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1、カートリッジ10Cの上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数、第1空気流路18の空気流入口20側に位置するカートリッジ10Cの上端面11(一端部)の面積、第1空気流路18の空気流出口21側に位置するカートリッジ10Cの下端面12(他端面)の面積は、図1のカートリッジ10Aのそれらと同一である。
【0079】
脱臭カートリッジ10Cは、第1空気流路18の縦方向の長さ寸法L1が前記範囲にあり、カートリッジ10Cの上下端面11,12における1cm当たりの第1空気流路18の数が前記範囲にあるとともに、カートリッジ10Cの上端面11や下端面12の面積が前記範囲にあり、所定量の空気を十分な数の第1空気流路18に通流させて筒部17(活性炭)に接触されることができるから、空気に含まれる臭気を筒部17(活性炭)に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に除去することができる。
【0080】
図8の脱臭カートリッジ10Cを作る手順の一例は、図5のそれを作る手順と同一であるが、第2空気流路19と第3空気流路22との穿孔時において、それら空気流路19,22が互いにつながらない(交差しない)ように互い違いに穿孔する。カートリッジ10Cでは、図9に示すように、それら筒部17において第1空気流路18と第2空気流路19とがつながり、隣接する第1空気流路18どうしが第2空気流路19を介して連結され、第1空気流路18と第3空気流路22とがつながり、隣接する第1空気流路18どうしが第3空気流路22を介して連結される。
【0081】
空気流入口20から流入した空気は、図10に矢印L4で示すように、それら第1空気流路18を通流するとともに、第1空気流路18からそれら第2空気流路19に流入して空気流路19を通流し、第2空気流路19から他の第1空気流路18に再び流入した後、第1空気流路18を通流する。また、第1空気流路18からそれら第3空気流路22に流入して空気流路22を通流し、第3空気流路22から他の第1空気流路18に再び流入した後、第1空気流路18を通流する。
【0082】
第1および第2空気流路18,19を通流する空気は、第1空気流路18と第2空気流路19の交差箇所においてその流れが乱れ、渦流や乱流となり、渦流や乱流が空気抵抗となってその流動が鈍化し、脱臭カートリッジ10Cにおける空気の流動速度が低下する。第1および第3空気流路18,22を通流する空気は、第1空気流路18と第3空気流路22の交差箇所においてその流れが乱れ、渦流や乱流となり、渦流や乱流が空気抵抗となってその流動が鈍化し、カートリッジ10Cにおける空気の流動速度が低下する。さらに、カートリッジ10Cの下端面12において第1空気流路18のうちの一部の空気流路18の空気流出口21が閉塞され、それら第1空気流路18の空気流出口21の総面積(総数)が空気流入口20の総面積(総数)よりも小さく(少なく)、空気流出口21から流出し得る空気の量が空気流入口20から流入し得る空気の量よりも少ないから、それら空気流路18,19,22を通流する空気の流動が鈍化し、カートリッジ10Cにおける空気の流動速度が低下する。
【0083】
空気は、空気流入口20から空気流出口21に向かってその流動速度が低下しつつ、それら空気流路18,19,22を通って次第に空気流出口21に近づき、空気流出口21から外部に流出する。カートリッジ10Cでは、空気が第1〜第3空気流路18,19,22を通流する過程において筒部17(活性炭)に接触し、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)が活性炭に吸着される。第1〜第3空気流路18,19,22を通流して空気流出口21から流出した空気は、それに含まれる臭気(放射性物質を含む)が除去されている。
【0084】
脱臭カートリッジ10Cは、空気がそれら第1〜第3空気流路18,19,22を通流しつつ、第1空気流路18と第2空気流路19との交差箇所や第1空気流路18と第3空気流路22との交差箇所において空気が渦流や乱流となり、その分空気抵抗が増加するから、空気流路18,19,22における空気の通流時間を十分に長くすることができ、さらに、空気流出口21から流出する空気の量が空気流入口20から流入する空気の量よりも少なく、その分空気流路18,19,22を通流する空気の速度が遅くなるから、空気流路18,19,22における空気の通流時間を長くすることができる。カートリッジ10Cは、筒部17(活性炭)に対する空気の接触時間を十分に長くすることができ、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)を確実に除去することができる。
【0085】
図11は、脱臭カートリッジ10A,10B,10Cの使用の一例を示す図である。それら脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、例えば多数の部屋24A〜24Fが施設された建造物23(特に、老人ホームや病院)に設置されることで、部屋24A〜24Fに流入する空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)や部屋24A〜24Fから流出する空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)の除去に利用される。なお、それら脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、自然対流が発生する例えば冷蔵庫や書庫、食器棚、押入、靴箱、トイレ等の中にそのまま設置することで、パッシブ法によって空気に含まれる臭気の除去に利用することもできる。
【0086】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、その一例として部屋の換気扇25の近傍に設置することができる。カートリッジ10A,10B,10Cを換気扇25の近傍に設置する場合、空気流入口20を空気の流入側に向け、空気流出口21を空気の流出側に向ける。換気扇25を作動させて室内の空気を室外に排気する場合、換気扇25によって生じる空気の流れにより、空気がカートリッジ10A,10B,10Cの第1〜第3空気流路18,19,22(カートリッジ10Aの場合は第1および第2空気流路18,19)を通流し、空気に含まれる臭気が除去され、清浄空気が室外に放出される。
【0087】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを老人ホームの各個室の換気扇25の近傍に設置した場合は、各個室の室内に充満する加齢臭(その他の臭気を含む)を除去した空気を室外に放出することで、他の個室への加齢臭の流入を防ぐことができる。また、カートリッジ10A,10B,10Cを病院の各病室の換気扇の近傍に設置した場合は、各病室の室内に充満する薬品臭(その他の臭気を含む)を除去した空気を室外に放出することで、他の病室への薬品臭の流入を防ぐことができる。
【0088】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、他の一例として部屋24A〜24Fの窓26の近傍に設置することができる。カートリッジ10A,10B,10Cを窓26の近傍に設置する場合、空気流入口20を空気の流入側に向け、空気流出口21を空気の流出側に向ける。換気扇25を作動させて室内の空気を室外に排気する場合や窓26を開けて換気をする場合、窓26の開放空間から室内に空気が流入する。このとき、空気がカートリッジ10A,10B,10Cの第1〜第3空気流路18,19,22(カートリッジ10Aの場合は第1および第2空気流路18,19)を通流し、空気に含まれる臭気が除去され、清浄空気が室内に流入する。
【0089】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを老人ホームの各個室の窓26の近傍に設置した場合は、室外の空気に含まれる臭気(その他の臭気、放射性物質を含む)を除去した空気を各個室の室内に流入させることで、臭気の各個室への流入を防ぐことができる。また、カートリッジ10A,10B,10Cを病院の各病室の窓26の近傍に設置した場合は、室外の空気に含まれる臭気(その他の臭気、放射性物質を含む)を除去した空気を各病室の室内に流入させることで、他の病室への薬品臭の流入を防ぐことができる。臭気の各病室への流入を防ぐことができる。
【0090】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、他の一例として部屋24A〜24Fのドア27の近傍に設置することができる。カートリッジ10A,10B,10Cをドア27の近傍に設置する場合、空気流入口20を空気の流入側に向け、空気流出口21を空気の流出側に向ける。ドア27の開閉を行う場合、ドア27の開放空間を通って空気が室内に流入したり、室外に流出する。このとき、空気がカートリッジ10A,10B,10Cの第1〜第3空気流路18,19,22(カートリッジ10Aの場合は第1および第2空気流路18,19)を通流し、空気に含まれる臭気が除去され、清浄空気が室内に流入し、または、清浄空気が室外に流出する。
【0091】
脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを老人ホームの各個室のドア27の近傍に設置した場合は、室外の空気に含まれる臭気(その他の臭気を含む)を除去した空気を各個室の室内に流入させることで、臭気の各個室への流入を防ぐことができ、各個室の室内に充満する加齢臭(その他の臭気を含む)を除去した空気を室外に放出することで、他の個室への加齢臭の流入を防ぐことができる。また、カートリッジ10A,10B,10Cを病院の各病室のドア27の近傍に設置した場合は、室外の空気に含まれる薬品臭(その他の臭気を含む)を除去した空気を各病室の室内に流入させることで、他の病室への薬品臭の流入を防ぐことができる。臭気の各病室への流入を防ぐことができ、各病室の室内に充満する薬品臭(その他の臭気を含む)を除去した空気を室外に放出することで、他の病室への薬品臭の流入を防ぐことができる。
【0092】
図12は、一例として示す脱臭装置30の斜視図であり、図13は、脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを取り外した状態で示す脱臭装置30の上面図である。図14は、脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを収納した状態で示す脱臭装置30の上面図である。それら脱臭カートリッジ10A,10B,10Cは、脱臭装置30の脱臭材として使用することができる。脱臭カートリッジ10A,10B,10Cを収納した脱臭装置30を所定の箇所に設置することで、その箇所の空気に含まれる臭気を除去する。
【0093】
脱臭装置30は、ケース31および台座32と、送風ファン33(DCモータ付きプロペラファン)とから形成されている。脱臭装置30には、脱臭カートリッジ10A,10B,10Cのうちのいずれかを使用することができる。脱臭装置30は、テーブルや机、床、廊下、トイレ等に載置して使用する卓上型である。ケース31は、透明な合成樹脂から作られ、円筒型に成型されている。ケース31は、上下方向へ延びる断面円形の周壁35と、周壁35の上端縁36に囲繞された円形の頂部開口37とを有する。なお、ケース31の形状を円筒型に限定するものではなく、ケース31が角筒型に成型されていてもよい。
【0094】
周壁35は、所定の厚みを有し、上下方向へ長い円筒型に成形されている。周壁35は、台座32の側に位置する下端部38と、その反対側に位置する上端部40と、上下端部38,40の間に位置する中間部39とを有する。周壁35の下端部38と中間部39との境界近傍には、ケース31の径方向内方へ張り出す円形のフランジ41が形成されている。フランジ41は、脱臭カートリッジ10A,10B,10Cの上端面11(一端面)を支持する。フランジ41の下方であって周壁35の下端部38には、周壁35を貫通する複数個の円形の貫通孔42(空気流入孔)が形成されている。それら貫通孔42は、周壁35の周り方向へ略等間隔で並んでいる。
【0095】
台座32は、合成樹脂から作られ、末広がりの円筒型に成型されている。台座32は、頂部43および底部45と、頂底部43,45の間に延びる中間部44とを有する。台座32は、その頂部43が連結手段(周壁35の下端部38および台座32の頂部43に形成された螺子による螺着、接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介してケース31の下部(周壁35の下端部38)に連結され、その底部45が脱臭装置30を載置する箇所の上面に当接する。台座32の中間部44における外周面には、周り方向へ延びる可撓性のフレキシブルソーラーパネル46が固定手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介して設置(固定)されている。
【0096】
フレキシブルソーラーパネル46は、光エネルギーを電気に変換し、その電気を送風ファン33に送る。台座32の中間部44における外周面には、ON/OFFスイッチ47と回転数可変ダイヤル48とが取り付けられている。ON/OFFスイッチ47をONにすることで、送風ファン33が起動し、ON/OFFスイッチ47をOFFにすることで、送風ファン33が停止する。
【0097】
台座32の内部には、送風ファン33の回転数を可変する回転数可変回路(図示せず)が設置されている。回転数可変回路の一例としては、DCモータの回転中に発生する起電力(BackEMF)を使ってフィードバックし、PWM制御のデューティ比を変えて回転数一定制御を行う。なお、回転数可変のその他の手段として、直列に可変抵抗を設置する場合、オートトランスを設置する場合、サイリスタによるチョッパ回路を使用する場合等がある。
【0098】
送風ファン33の稼動中では、図12に矢印N1,N2で示すように、回転数可変ダイヤル48を時計回り方向または反時計回り方向とのいずれかに回転させることで、回転数可変回路が作動し、ファン33の回転数が変更される。たとえば、ダイヤル48を矢印N1で示す時計回り方向へ回転させることで、ファン33の回転数が上がり、ダイヤル48を矢印N2で示す反時計回り方向へ回転させることで、ファン33の回転数が下がる。なお、台座32の外周面に設置されたフレキシブルソーラーパネル46に代えて、電気を送風ファン33(DCモータ)に送る電池(図示せず)を利用することもできる。電池は、台座32の内部に取り付けられた電池ボックス(図示せず)に着脱可能に設置される。
【0099】
送風ファン33は、DCモータ49と、モータ49の軸に取り付けられたプロペラ50とから形成されている。送風ファン33のうちのDCモータ49は、台座32の頂部43の中央に開口するモータ固定孔に嵌め込まれ、固定手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介してモータ固定孔に固定されている。DCモータ49は、配線(図示せず)を介してON/OFFスイッチ47や回転数可変ダイヤル48、フレキシブルソーラーパネル46(または電池)に接続されている。送風ファン33のうちのプロペラ50は、周壁35の下端部38の中央に配置されている。
【0100】
この脱臭装置30の使用手順を説明すると、以下のとおりである。最初に収納ケース31の内側に脱臭カートリッジ10A,10B,10Cのいずれかを収納する。カートリッジ10A,10B,10Cを頂部開口37からケース31の内部に入れる。カートリッジ10A,10B,10Cは、その上端面11を下に向け、その下端面12を上に向けた状態でケース31の内部へ収納する。カートリッジ10A,10B,10Cをケース31内部に入れると、カートリッジ10A,10B,10Cが送風ファン33の直上に位置し、カートリッジ10A,10B,10Cの上端面12がフランジ41に当接し、カートリッジ10A,10B,10Cがフランジ41に支持される。
【0101】
なお、収納ケース31の上下方向の長さ寸法は、カートリッジ10A,10B,10Cの長さ寸法L1よりも大きく、ケース31の容積は、カートリッジ10A,10B,10Cの全体を収容可能な大きさに調節されており、カートリッジ10A,10B,10Cの全体がケース31の内部に納まる。カートリッジ10A,10B,10Cのそれら筒材17の第1空気流路18はケース31の下端部38と上端部40との間において上下方向へ延びる。第1空気流路18の空気流入口20はファン33の直上に位置してファン33に対向し、第1空気流路18の空気流出口21は頂部開口37の側に位置する。ケース31の内側にカートリッジ10A,10B,10Cを収納した後、脱臭装置30をテーブルや机、床、廊下、トイレ等に置き、ON/OFFスイッチ47をONにする。
【0102】
スイッチ47をONにすると、ソーラーパネル46(または電池)からDCモータ49に電気が送られ、DCモータ49の軸の回転によってプロペラ50が回転する。プロペラ50が回転すると、図1に矢印N3で示すように、ケース31の下端部38から上端部40に向かって空気の流れが生じ、それら貫通孔42からケース31の内側に空気が流入し、その空気がそれら筒材17の第1空気流路16の空気流入口20から空気流路18に流入する。
【0103】
脱臭カートリッジ10Aを使用した場合、空気流入口20から流入した空気は、第1空気流路18を通流するとともに、空気流路18から第2空気流路19に流入して空気流路19を通流し、第2空気流路19から第1空気流路18に再び流入した後、空気流路18を通流する。空気が第1および第2空気流路18,19を通流する過程において筒部17(活性炭)に接触し、空気に含まれる臭気(ヨウ素やセシウム等の放射性物質を含む)が活性炭に吸着される。清浄化された空気は、第1空気流路18の空気流出口21からカートリッジ10Aの外部に流出する。カートリッジ10Aから流出した清浄空気は、ケース31の頂部開口37からケース31の外側に送気される。カートリッジ10Aを所定期間使用した後は、そのカートリッジ10Aをケース31から取り出し、新しいカートリッジ10Aをケース31に収納する。
【0104】
脱臭カートリッジ10Bまたは脱臭カートリッジ10Cを使用した場合、空気流入口20から流入した空気は、第1空気流路18を通流するとともに、空気流路18から第2空気流路19や第3空気流路22に流入して空気流路19,22を通流し、第2空気流路19や第3空気流路22から第1空気流路18に再び流入した後、空気流路18を通流する。空気が第1〜第3空気流路18,19,22を通流する過程において筒部17(活性炭)に接触し、空気に含まれる臭気(放射性物質を含む)が活性炭に吸着される。清浄化された空気は、第1空気流路18の空気流出口21からカートリッジ10B,10Cの外部に流出する。カートリッジ10B,10Cから流出した清浄空気は、ケース31の頂部開口37からケース31の外側に送気される。カートリッジ10B,10Cを所定期間使用した後は、そのカートリッジ10B,10Cをケース31から取り出し、新しいカートリッジ10B,10Cをケース31に収納する。
【0105】
脱臭装置30では、送風ファン33(プロペラ50)の回転速度が60〜480r/minの範囲にあり、カートリッジ10A,10B,10Cの第1空気流路18を流れる空気の流速が0.01〜0.1m/secの範囲に調節されている。ファン33の回転速度が480r/minを超過し、第1空気流路18を流れる空気の流速が0.1m/secを超過すると、空気流路18における空気の流動速度が速く、空気が空気流路18,19,22を短時間に通過してしまうから、筒材17(活性炭)に対する空気の接触時間が短くなり、空気に含まれる臭気を活性炭に十分に吸着させることができない。脱臭装置30は、送風ファン33の回転速度が前記範囲にあるとともに、第1空気流路18を流れる空気の流速が前記範囲にあり、空気が空気流路18,19,22をゆっくりと流れるから、筒材17(活性炭)に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を活性炭に十分に吸着させることができる。
【0106】
脱臭装置30は、送風ファン33によって貫通孔42からケース31の内側に取り入れられた空気を脱臭カートリッジ10A,10B,10Cの上端面11から下端面12に向かって上下方向へ延びる第1空気流路18に流入させ、活性炭から作られた筒材17の空気流路18,19,22に空気を通流させることで、空気を筒材17(活性炭)に確実に接触させることができ、空気に含まれる臭気を活性炭に十分に吸着させることができる。
【0107】
脱臭装置30は、空気に含まれる臭気が筒部17(活性炭)によって確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケース31の頂部開口37から外側に送気することができる。脱臭装置30は、カートリッジ10A,10B,10Cが送風ファン33の直上に位置することで、貫通孔42からケース31の内側に取り入れられた空気をそれら筒材17の空気流路18,19,22全てに満遍なく通流させることができるから、カートリッジ10A,10B,10Cの脱臭機能を最大限に利用することができ、装置30における脱臭効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0108】
10A 脱臭カートリッジ
10B 脱臭カートリッジ
10C 脱臭カートリッジ
11 上端面(一端面)
12 下端面(他端面)
13 第1側面
14 第2側面
15 第3側面
16 第4側面
17 筒部
18 第1空気流路
19 第2空気流路
20 空気流入口
21 空気流出口
22 第3空気流路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が通流可能な第1方向へ延びる所定長さの第1空気流路を有する複数の筒部が形成され、前記第1空気流路がその一端に開口する空気流入口とその他端に開口する空気流出口とを備え、前記空気流入口から流入して第1空気流路を通流する空気に含まれる臭気を除去する脱臭カートリッジにおいて、
それら筒部には、前記第1空気流路と交差して空気が通流可能な第2方向へ延びる所定長さの複数の第2空気流路が形成され、それら筒部では、前記第1空気流路と前記第2空気流路とがつながり、前記空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とを通流することを特徴とする脱臭カートリッジ。
【請求項2】
前記脱臭カートリッジのそれら筒部が、臭気を吸着する活性炭から作られ、前記第1空気流路の断面形状が、ハニカム形状を有する請求項1に記載の脱臭カートリッジ。
【請求項3】
前記第2空気流路の数が、前記第1空気流路の数よりも少なく、前記第2空気流路の開口面積が、前記第1空気流路の開口面積よりも小さい請求項1または請求項2に記載の脱臭カートリッジ。
【請求項4】
前記第2空気流路は、その開口端が閉塞されて前記脱臭カートリッジの内部に延びている請求項1ないし請求項3いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項5】
それら筒部には、前記第1および第2空気流路と交差して空気が通流可能な第3方向へ延びる所定長さの複数の第3空気流路が形成され、それら筒部では、前記第1空気流路と前記第3空気流路とがつながり、前記空気流入口から流入した空気がそれら第1空気流路とそれら第2空気流路とそれら第3空気流路とを通流する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項6】
それら筒部では、前記第2空気流路と前記第3空気流路とがつながっているか、または、前記第2空気流路と前記第3空気流路とがつながっていない請求項5に記載の脱臭カートリッジ。
【請求項7】
前記第3空気流路の数が、前記第1空気流路の数よりも少なく、前記第3空気流路の開口面積が、前記第1空気流路の開口面積よりも小さい請求項4ないし請求項6いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項8】
前記第3空気流路は、その開口端が閉塞されて前記脱臭カートリッジの内部に延びている請求項4ないし請求項7いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項9】
前記筒部の第1空気流路の前記第1方向の長さ寸法が、3〜30cmの範囲にある請求項1ないし請求項8いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項10】
前記第1空気流路の空気流入口側に位置する脱臭カートリッジの一端面の面積が、9〜400cmの範囲にあり、前記第1空気流路の空気流出口側に位置する脱臭カートリッジの他端面の面積が、9〜400cmの範囲にある請求項1ないし請求項9いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項11】
前記脱臭カートリッジの1cm当たりにおける前記筒部の第1空気流路の数が、30〜60の範囲にある請求項1ないし請求項10いずれかに記載の脱臭カートリッジ。
【請求項12】
前記脱臭カートリッジでは、それら第1空気流路のうちの一部の第1空気流路の空気流出口が閉塞され、前記空気流入口の総数よりも前記空気流出口の総数が少ない請求項1ないし請求項11いずれかに記載の脱臭カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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