説明

脱臭剤

【課題】複数の脱臭成分を含む脱臭剤において、使用者が複数の脱臭成分による効果的な脱臭作用を視覚的に認識でき、さらに取替え時期が外観から把握でき、取替え時期が来ているか否かの明確な判別が可能な脱臭剤を提供すること。
【解決手段】悪臭成分に対して効果的な脱臭作用を示す脱臭成分を少なくとも2種類用い、脱臭剤容器における収納形態、脱臭成分の形状等を、明確に区別することにより、使用者にとっての視覚的な認識の程度を向上させるとともに、ゲル化体の縮小を確認するための視認孔を設置する方法、もしくはゲル化体上部に載せた脱臭成分をゲルの縮小に伴って設定レベルより下部に移行させる方法を用いることにより、使用者が取替え時期を明確に認識可能な脱臭剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレ、部屋、冷蔵庫、車内などで発生する悪臭を除去するために好適な脱臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ、部屋、冷蔵庫、車内などで発生する悪臭成分としては、硫化水素やメルカプタン等の酸性臭気成分、硫化ジメチル等の中性臭気成分、アンモニアやトリメチルアミン等の塩基性臭気成分等が挙げられ、従来より、活性炭やゼオライトのような物理吸着能を有する脱臭成分を用いて気体中の悪臭成分を除去する方法が知られている。しかしながら、トイレ、部屋、冷蔵庫、車内などの悪臭成分を脱臭する従来の脱臭剤において、それらの悪臭成分を物性ごとに効果的に脱臭することを目的として複数の脱臭成分を用いている例はあるものの、それらが複数であることを識別する工夫はなされておらず、使用者にとって、複数の脱臭成分が効果的に脱臭していることを視覚的に認識することはできなかった。
【0003】
また、冷蔵庫等の悪臭成分を脱臭する従来の脱臭剤においても、それらの悪臭を効果的に脱臭するために複数の活性炭や備長炭を用いている例があるものの、それらが複数であることを識別する工夫はなされておらず、複数の活性炭や備長炭が効果的に脱臭していることを使用者が視覚的に認識することができない場合があった。
さらに、活性炭や備長炭は、悪臭の吸着量が飽和状態に達したか否かを外観から判別することができず、従って使用者にとっては買い換えるのが早すぎたり遅すぎたりすることが多く、継続して使用するには不便なものであった。
このような問題を解決する方法として、例えば冷蔵庫用の脱臭剤においては、取替え時期を記入して表示する方法が用いられている。しかし、この方法では、記入した日付を確認するまで取替え時期を認識することができず、取替え時期を過ぎても気付かずにいるという場合があった。
【0004】
また、ゲル化体を用いて、ゲル化体の内部からの経時的な水分蒸発に伴い、ゲル化体が縮小することをもって、使用者に取替え時期を認識させる方法も用いられている。ゲル化体に脱臭成分や消臭成分を配合させた例もあり、ゲル化体と脱臭成分が、脱臭剤容器の中で別個に収納されている脱臭剤や、脱臭成分をゲル化体中に分散させた組成物からなる脱臭剤もある。しかし、これらの方法においては、ゲル化体の全体を視認させる形態を用いている例が多く、使用者にとって、取替え時期とゲル化体の縮小の程度との関係が必ずしも明確でなく、ゲル化体の縮小がこれ以上進まないのか、まだ、縮小し続けるのかについての明確な判断ができないため、結果として取替え時期を過ぎて、ようやく取替え時期を認識するという場合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の活性炭等の脱臭成分、もしくは脱臭成分とゲル化体の組み合わせからなる冷蔵庫等の脱臭剤の欠点を解決すべくなされたもので、冷蔵庫等において発生する悪臭に対し、硫化水素やメルカプタン等の酸性臭気成分、硫化ジメチル等の中性臭気成分、アンモニアやトリメチルアミン等の塩基性臭気成分に対して、それぞれ効果的に脱臭作用を有する少なくとも2種類の脱臭成分を用いることにより、悪臭成分を物性ごとに効果的に脱臭し、且つそれら複数の脱臭成分を個別に識別できるような充填形態を用いることにより、使用者が複数の脱臭成分による効果的な脱臭作用を視覚的に認識できる脱臭剤を提供することを目的とする。さらに取替え時期が外観から把握でき、取替え時期が来ているか否かの明確な判別が可能な脱臭剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために
(1)少なくとも2種類の脱臭成分を含有し、かつ、少なくとも2種類含まれていることが識別できることを特徴とする脱臭剤、
(2)脱臭成分がそれぞれ別個の収納部に収納されている(1)記載の脱臭剤、
(3)脱臭成分の形状が互いに異なることを特徴とする(1)または(2)に記載の脱臭剤、
(4)脱臭成分とともに互いに異なる着色物質が収納されている(1)〜(3)のいずれかに記載の脱臭剤、
(5)脱臭成分とゲル化体とからなる(1)〜(4)のいずれかに記載の脱臭剤、
(6)脱臭成分とゲル化体とが別個に存在し、取替え時期を示す指標を有する容器にゲル化体を収納することを特徴とする(5)に記載の脱臭剤、
(7)脱臭成分とゲル化体とが別個に存在し、脱臭成分がゲル化体の容量の減少とともに移動することを特徴とする(5)に記載の脱臭剤、
(8)脱臭成分が固体である(1)〜(7)のいずれかに記載の脱臭剤、
(9)脱臭成分が活性炭である(1)〜(7)のいずれかに記載の脱臭剤、
(10)脱臭成分が3種類の活性炭を含む(9)の脱臭剤、
(11)冷蔵庫に用いられるものである(1)〜(10)のいずれかに記載の脱臭剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の脱臭剤は、活性炭等に例示される複数の脱臭成分を、脱臭剤容器の中で明確に区分した収納部に別個に充填することにより、さらには脱臭成分の形態を種類ごとに変えること等の方法により、複数の悪臭成分が混在して形成される悪臭の脱臭に際して、複数の脱臭成分が効果的に脱臭に関与していることを使用者に視覚的に認識せしめることができるものである。また、従来より脱臭剤の取替え時期を知らしめる方法として用いられているゲル化体の容量の縮小による判別方法について、取替え時期を示す指標を有する容器にゲル化体を収納する方法を用いることにより、脱臭剤の取替え時期が著しく明確に判別可能な脱臭剤を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いる脱臭成分としては、活性炭、添着活性炭、竹炭、備長炭、ナラ白炭、カシ白炭、岩田炭、佐倉炭などの炭素系吸着脱臭剤、天然および合成ゼオライト、活性アルミナ、酸化鉄などの鉄系化合物および多孔質シリカなどの無機系吸着脱臭剤、有機酸系化合物、キチン、キトサンおよびイオン交換樹脂などの有機系吸着脱臭剤、鉄アスコルビン酸や鉄、コバルトまたはマンガンなどの金属フタロシアニン誘導体などの酵素系脱臭剤、マンガン系酸化物やペロブスカイト型化合物、白金酸化物、パラジウム酸化物またはバナジウム酸化物などの酸化触媒、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウムなどの光触媒、炭化珪素、窒化珪素、珪酸カルシウム、アルミナ・シリカ系、ジルコニア系などの合成セラミックスや麦飯石、フェルソング石などの遠赤外線セラミックス、植物抽出成分に含まれる化合物であるカテキン、タンニン、フラボノイド、リモネンおよびピネンなどが挙げられ、これらの従来汎用の脱臭剤を各々単独で、あるいは複数組み合わせて用いることができる。
【0009】
これらの脱臭成分のうち、活性炭、添着活性炭、竹炭、備長炭、ナラ白炭、カシ白炭、岩田炭、佐倉炭などの炭素系吸着脱臭剤、天然および合成ゼオライト、活性アルミナ、酸化鉄などの鉄系化合物および多孔質シリカなどの無機系吸着脱臭剤、有機酸系化合物、キチン、キトサンおよびイオン交換樹脂などの有機系吸着脱臭剤、鉄アスコルビン酸や鉄、コバルトまたはマンガンなどの金属フタロシアニン誘導体などの酵素系脱臭剤、マンガン系酸化物やペロブスカイト型化合物、白金酸化物、パラジウム酸化物またはバナジウム酸化物などの酸化触媒、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウムなどの光触媒、炭化珪素、窒化珪素、珪酸カルシウム、アルミナ・シリカ系、ジルコニア系などの合成セラミックスや麦飯石、フェルソング石などの遠赤外線セラミックス等、常温で固体の脱臭成分が好ましい例として挙げられ、活性炭もしくは添着活性炭はより好ましい。
【0010】
活性炭としては木炭、コークス、ヤシガラ、樹脂などを原料として公知の方法により賦活されたもので、悪臭成分に対して吸着除去機能を有するものであれば何ら特定されず、例えば粉末状、破砕状、繊維状あるいは円柱状、球状、ハニカム状等に成型されたものであってもよい。添着活性炭は薬品等を活性炭に添着したものであり、例えば、硫化水素やメルカプタン等の酸性臭気成分に対して効果的に脱臭作用を有するものとして、活性炭に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ剤もしくはアルカリ金属塩を担持させた酸性ガス用添着活性炭が挙げられる。また、硫化ジメチル等の中性臭気成分に対しては、活性炭にヨウ素や臭素などハロゲン化合物を添着した中性ガス用添着活性炭が挙げられる。また、中性臭気成分に対しては、薬品等を添着していない通常の活性炭も好適に用いることができる。さらに、アンモニアやトリメチルアミン等の塩基性臭気成分に対しては、活性炭に硫酸、リン酸などの鉱酸を添着した塩基性ガス用添着活性炭が例示される。
【0011】
これら活性炭もしくは添着活性炭の内部比表面積は通常100〜3000m2/g程度、好ましくは800〜1600m2/g程度とされる。また、活性炭もしくは添着活性炭の粒子径は特に限定されるものでなく、例えば、破砕状のものであれば、1〜100メッシュのいずれであっても良く、また、円柱状のものであれば、1〜20メッシュのいずれであっても良く、また、球状のものであれば1〜60メッシュのいずれであっても良い。
【0012】
本発明においては、悪臭成分に対して効果的な脱臭作用を示す脱臭成分を少なくとも2種類用いることを特徴とする。これらの脱臭成分は、脱臭剤容器の中でそれらを収納する収納部を別個に設け、それぞれに別個に収納することにより、少なくとも2種類の脱臭成分が用いられていることを、使用者が視覚的に認識可能であることを特徴とする。脱臭成分が固形物の場合におけるさらに好ましい例として、収納する固形脱臭成分の大きさもしくは粒子径を種類ごとに変えることにより、使用者にとっての視覚的な認識の程度をさらに向上させることが例示される。
【0013】
さらに好ましい態様として、酸性臭気成分、中性臭気成分、塩基性臭気成分のそれぞれに対して効果的な脱臭作用を有する3種類の脱臭成分を脱臭剤容器の中で別個の収納部に収納し、使用者が視覚的に認識可能な形態にすることが例示され、この態様によれば、酸性臭気成分、中性臭気成分及び塩基性臭気成分が混在して形成されている種々の悪臭に対して、効果的な脱臭作用を有する脱臭剤とすることが可能となる。
【0014】
さらに、これら各悪臭成分に対して効果的な脱臭作用を示す活性炭もしくは添着活性炭を少なくとも2種類用いることが好ましい例として示される。具体的にはこれらの活性炭もしくは添着活性炭を、脱臭剤容器の中でそれらを収納する収納部を別個に設けた上で、それぞれに別個に収納することにより、少なくとも2種類の活性炭もしくは添着活性炭が用いられていることを、使用者が視覚的に認識可能であることを特徴とする。さらに好ましくは、収納する活性炭もしくは添着活性炭の粒子径を種類ごとに変えることにより、使用者にとっての視覚的な認識の程度をさらに向上させることも可能である。
【0015】
また別の好ましい例示として、少なくとも2種類の活性炭もしくは添着活性炭を脱臭剤容器の中で別個の収納部に収納し、それぞれの収納部に、活性炭もしくは添着活性炭の種類に応じて任意に着色した樹脂等を混合して、複数の種類の活性炭もしくは添着活性炭が用いられていることを、使用者が視覚的に認識可能な状態にする方法が挙げられる。混合する樹脂等の形状は、特に限定されるものではなく、粉末状、破砕状、繊維状あるいは円柱状、球状等に成型されたものであってもよい。さらに、収納する活性炭もしくは添着活性炭の粒子径を種類ごとに変えるとともに、活性炭もしくは添着活性炭の種類に応じて任意に着色した樹脂等を混合することにより、使用者にとっての視覚的な認識の程度をより向上させることも可能である。収納する活性炭もしくは添着活性炭の粒子径と、混合する樹脂等の大きさを調節することにより、空隙率を上げ、活性炭もしくは添着活性炭による吸着脱臭効率の向上も期待できる。
【0016】
さらに好ましい態様として、酸性臭気成分、中性臭気成分、塩基性臭気成分のそれぞれに対して効果的な脱臭作用を有する、酸性ガス用添着活性炭、中性ガス用添着活性炭、塩基性ガス用添着活性炭に例示される3種類の活性炭を脱臭剤容器の中で別個の収納部に収納し、使用者が視覚的に認識可能な形態にすることが例示され、この態様によれば、酸性臭気成分、中性臭気成分及び塩基性臭気成分が混在して形成されている種々の悪臭に対して、効果的な脱臭作用を有する脱臭剤とすることが可能となる。この態様において用いられる添着活性炭としては、酸性臭気成分、中性臭気成分、塩基性臭気成分に対する脱臭機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、硫化水素やメルカプタン等の酸性臭気成分に対しては、活性炭に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ剤もしくはアルカリ金属塩を担持させた酸性ガス用添着活性炭が好ましい例として挙げられ、また、硫化ジメチル等の中性臭気成分に対しては、活性炭にヨウ素や臭素などハロゲン化合物を添着した中性ガス用添着活性炭が好ましい例として挙げられる。また、中性臭気成分に対しては、薬品等を添着していない通常の活性炭も好適に用いることができる。さらに、アンモニアやトリメチルアミン等の塩基性臭気成分に対しては、活性炭に硫酸、リン酸などの鉱酸を添着した塩基性ガス用添着活性炭が好ましい例として示される。
【0017】
本発明において、脱臭剤の取替え時期を示すために用いられるゲル化体としては、カラギーナン等のゲル化剤を用いた水性ゲル、もしくは高吸水性合成樹脂からなるゲル化体のいずれであっても良く、水性ゲルの場合、ゲル化剤としては、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム等が用いられる。また、これらのゲル化剤と、ローストビーンガム、タラガム、グアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の増粘剤を併用することもでき、これらのゲル化剤や増粘剤の選択や組み合わせは、個々の目的に応じて種々変えることができる。
【0018】
高吸水性合成樹脂からなるゲル化体に用いられる水不溶性の吸水性高分子としては、ポリアクリル酸系の架橋高分子、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合物ケン化物、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸反応物、イソブチレン−マレイン酸共重合体の架橋高分子、ポリアクリロニトリル系ケン化物、ポリエチレンオキシド系及びデンプン系高吸水性高分子、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体ケン化物、デンプン−アクリル酸グラフト重合物、カルボキシメチルセルロースの架橋高分子などが挙げられる。また、吸水性高分子の形状は、特に限定されず、ブロック状、多角形状、ビーズ状など、種々の形状とすることが可能である。吸水性高分子の大きさについては、吸水後の状態で1〜20mm程度のものであれば好適に使用することができる。
【0019】
本発明においては、取替え時期が外観から把握でき、取替え時期が来ているか否かの明確な判別が可能であることを特徴とする。
その手段としての好ましい例は、脱臭剤の容器の中で、活性炭等の脱臭成分とゲル化体を別個に独立した透視性のある収納部に充填した上で、ゲル化体を充填する収納部の下部に境界線や取替え時期を明記した文字等の指標を明示し、経時的なゲル化体の縮小によって、ゲル化体が境界線よりも下部になったことをもって、取替え時期とするものが挙げられる。この場合において、活性炭等の脱臭成分の収納部とゲル化体の収納部の位置関係については特に限定されないが、使用者にとってゲル化体が容易に視認できる位置にあることが好ましく、複数の収納部がある場合には、脱臭剤容器の上方、もしくは側面に位置していることが好ましい。
【0020】
また、別の好ましい例としては、脱臭剤の容器の中で、活性炭等の脱臭成分とゲル化体を別個に、独立した透視性のある収納部に充填した上で、ゲル化体の収納部に外部からゲル化体を視認できるような透明な小窓を縦方向に複数個設け、経時的なゲル化体の縮小に伴って、外部から視認されるゲル化体が上部の小窓から下部の小窓へ段階的に変化し、ゲル化体の上端が最下部の小窓よりも低下し、ゲル化体が見えなくなることをもって、取替え時期とするものが挙げられる。ゲル化体を視認するための小窓の設け方は特に限定されないが、例えば、ゲル化体の収納部の外側から複数の小窓を開けた不透明な樹脂等で覆う方法や、複数の小窓を開けた不透明な容器の中にゲル化体収納部を収納する方法、小窓に相当する部分を除いてゲル化体収納部の外面を不透明な顔料や色素でコーティングする方法などが挙げられる。これらの場合において、活性炭等の脱臭成分の収納部とゲル化体の収納部の位置関係については特に限定されないが、使用者にとってゲル化体が容易に視認できる位置にあることが好ましく、複数の収納部がある場合には、脱臭剤容器の上方、もしくは側面に位置していることが好ましい。
【0021】
また、別の好ましい例としては、脱臭剤の容器の中で、ゲル化体の上に活性炭等の脱臭成分を載せ、経時的なゲル化体の縮小に伴って脱臭成分がゲル化体とともに下部に移動し、あらかじめ設定したレベルより下になることをもって取替え時期を認識させるものが挙げられる。ゲル化体の上に載せる活性炭等の脱臭成分は小さな容器等に入れてもよいし、そのまま載せても良い。また、小さな容器等に入れた場合、それが複数の容器の場合には、全ての容器があらかじめ設定したレベルより下になることをもって取替え時期としても良いし、一部の容器がレベルより下になることをもって取替え時期としても良い。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
透明なポリプロピレン樹脂を用いて、図2に示す容器を作成し、薬剤収納部1には8〜32メッシュの破砕状酸性ガス用添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)、薬剤収納部2には4〜6メッシュの円柱状活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)、薬剤収納部3には32〜60メッシュの破砕状塩基性ガス用添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)を充填し、揮散口4を開けた蓋5を装着した。また、透明なポリプロピレン樹脂を用いて、図4に示す薬剤収納部を作成し、着色したゲル化体を充填したのち、顔料を混合して不透明にしたポリプロピレン樹脂を用いて作成した図3に示す視認孔を有する容器の内部に装着し、揮散口7を開けた蓋9を装着した。その後、図2に示す容器と図3に示す容器の側面を粘着剤で接着し、図1に示す容器形状をもつ脱臭剤とした。
【0024】
[実施例2]
透明なポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて、図5に示す容器を作成し、薬剤収納部12にゲル化体を容器の約半分の高さまで充填した。次いで、薬剤収納部11には8〜32メッシュの破砕状酸性ガス用添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)、薬剤収納部14には32〜60メッシュの破砕状活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)、薬剤収納部13には4〜6メッシュの円柱状塩基性ガス用添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製、粒状白鷺)を充填し、揮散口15を有する蓋16を装着し、脱臭剤とした。
【0025】
実施例1及び実施例2の脱臭剤について、30名のパネラーにより約6ヶ月間、冷蔵庫の冷蔵室に載置して、下記の基準にて評価した。その結果を表1に示す。
(活性炭の種類の識別性に関する評価基準)
内容 評価
3種類の活性炭を用いていることが視覚的に良くわかる : ○
3種類の活性炭を用いていることが視覚的にあまりわからない : △
3種類の活性炭を用いていることが視覚的に全くわからない : ×
(取替え時期の判別性に関する評価基準)
内容 評価
取替え時期が良くわかる : ○
取替え時期があまりわからない : △
取替え時期が全くわからない : ×
【0026】
【表1】

【0027】
この結果から明らかなように、本発明の脱臭剤は、複数種類の活性炭を用いていることの識別性、取替え時期の判別性に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の脱臭剤によれば、複数の種類の活性炭を用いていることが使用者にとって視覚的に識別することが容易に可能となるため、使用に際して高い脱臭効果を実感することができる。また、取替え時期を判別させる機能としてゲル化体を利用するに際し、判断基準を明確に示す指標を有する容器にゲル化体を収納することにより、脱臭剤の取替え時期が著しく明確に判断可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による第1の実施の形態の全体を示した斜視図である。
【図2】本発明による第1の実施の形態を示した説明図であって、薬剤収納部1,2,3からなる容器を示した斜視図である。
【図3】本発明による第1の実施の形態を示した説明図であって、薬剤収納容器を示した斜視図である。
【図4】本発明による第1の実施の形態を示した説明図であって、薬剤収納部6を示した斜視図である。
【図5】本発明による第2の実施の形態の全体を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1,2,3,6・・・薬剤収納部
4,7・・・揮散口
5,9・・・蓋
8・・・視認孔
10・・・薬剤収納容器
11、12、13、14・・・薬剤収納部
15・・・揮散口
16・・・蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の脱臭成分を含有し、かつ、少なくとも2種類含まれていることが識別できることを特徴とする脱臭剤。
【請求項2】
脱臭成分がそれぞれ別個の収納部に収納されている請求項1記載の脱臭剤。
【請求項3】
脱臭成分の形状が互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の脱臭剤。
【請求項4】
脱臭成分とともに互いに異なる着色物質が収納されている請求項1〜3のいずれかに記載の脱臭剤。
【請求項5】
脱臭成分とゲル化体とからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項6】
脱臭成分とゲル化体とが別個に存在し、取替え時期を示す指標を有する容器にゲル化体を収納することを特徴とする請求項5に記載の脱臭剤。
【請求項7】
脱臭成分とゲル化体とが別個に存在し、脱臭成分がゲル化体の容量の減少とともに移動することを特徴とする請求項5に記載の脱臭剤。
【請求項8】
脱臭成分が固体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項9】
脱臭成分が活性炭である請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項10】
脱臭成分が3種類の活性炭を含む請求項9の脱臭剤。
【請求項11】
冷蔵庫に用いられるものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の脱臭剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−125846(P2008−125846A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314758(P2006−314758)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390017949)旭化成ホームプロダクツ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】