説明

脱臭装置および脱臭方法

【課題】脱臭効率が良くランニングコストの低い脱臭装置を提供する。
【解決手段】脱臭装置1にスクラバー部3とミスト発生部4とを設ける。そして、ミスト発生部4において、マイクロバブル発生器(37〜40)によって水中にマイクロバブルを発生させ、水面上に発生したマイクロバブル含有ミスト9を給気ダクト5から動物舎2内に供給し、マイクロバブルが有するフリーラジカルによる酸化処理によって、壁面11,天井面12,床面13の除菌と脱臭とを行って動物由来の臭気が付着するのを防止する。一方、スクラバー部3には、フィールド変換器22からのマイクロバブル含有水27を散水する散水配管24を配設し、マイクロバブル含有水27のシャワーリングによって動物舎2内からの気流19中の臭気成分を処理する。その際に、臭気成分を処理するための焼却用燃料や薬液や広い培地を必要とせず、ランニングコストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の動物から発生する臭気や有機溶剤からの臭気や排水処理場の脱水機室等の臭気が問題となる場所に使用するのに最適なランニングコストの低い脱臭装置および脱臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数飼育されている実験用動物から発生する臭気や、使用する有機溶剤からの臭気や、排水処理場の脱水機室の臭気等が問題となっている場所や事業所における従来の脱臭方法として、各種方法が存在している。そのうち、代表的な脱臭方法としては、(1)燃焼法、(2)薬液洗浄法、(3)吸着法、(4)生物脱臭法等がある。
【0003】
上記(1)の燃焼法は、特に臭気濃度が高くて臭気が強く、悪臭原因物質が有機溶媒等の場合に確実な脱臭方法である。但し、焼却の為の燃料等を使用するので、地球温暖化の問題を有している。
【0004】
また、上記(2)の薬液洗浄法は、臭気と洗浄液とを気液接触させて、臭気成分を薬液で吸収・中和・酸化等の反応によって脱臭する方法である。上記薬液としては、硫酸,塩酸,苛性ソーダおよび次亜塩素酸ナトリウム等が使用される。但し、課題として、薬液の廃液処理が必要となる場合が多いことがある。
【0005】
また、上記(3)の吸着法は、臭気を活性炭やゼオライトで吸着する方法である。但し、吸着能力が極端に低下する破過点の検知方法の開発やライフサイクルの延長が求められている。しかしながら、合理的方法が存在しないという問題がある。
【0006】
また、上記(4)の生物脱臭法は、微生物が悪臭物質を分解する作用を利用した脱臭法である。但し、効力を維持するためには、微生物を繁殖させるための培地等の大きなスペースが必要である。また、繁殖条件である培地のpH,温度,栄養物および溶存酸素等を最適な条件に調整する必要があり、常に一定な条件にするには幾つかの課題や問題がある。
【0007】
また、ナノバブルを利用して廃液の無臭化を図る技術として、特開2006‐305555号公報(特許文献1)に開示された排水処理装置がある。この排水処理装置では、廃液中のアンモニアを、ナノバブルによって活性化した微生物によって硝酸性窒素に酸化して無臭化を図るようにしている。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の排水処理装置では、多数の動物から発生する臭気や、使用する有機溶剤にからの臭気や、排水処理場の脱水機室等の臭気を、直接処理することができず、脱臭効率が悪く、ランニングコストの低い脱臭装置を実現することができないという問題がある。
【特許文献1】特開2006‐305555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明の課題は、脱臭効率が良くランニングコストの低い脱臭装置および脱臭方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明の脱臭装置は、
マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを発生させると共に、この発生させたミストを悪臭発生場所に供給して悪臭成分を処理するミスト発生部と、
上記悪臭発生場所に残っている上記悪臭成分が導入されると共に、この導入された上記悪臭成分を処理するスクラバー部と
を備えたことを特徴としている。
【0011】
マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストは、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルを含んでいるために、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルの酸化作用によって、周囲の分子等に対する破壊機能を有している。
【0012】
上記構成によれば、悪臭発生場所に、ミスト発生部で発生させたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを供給するようにしている。したがって、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルの酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が直接破壊されて脱臭が行われる。
【0013】
さらに、上記悪臭発生場所に残っている上記悪臭成分がスクラバー部に導入される。したがって、上記導入された悪臭成分がスクラバー部での洗浄水のシャワーによって水の中に捕集され、処理される。特に、動物舎での悪臭成分の代表であるアンモニアは水溶性であるため、上記洗浄水に溶解して容易に処理される。
【0014】
こうして、上記マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストによる上記悪臭発生場所の悪臭成分に対する酸化処理と、上記スクラバー部での上記悪臭成分の水中捕集との2段階処理によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分を効果的に除去することができる。
【0015】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
導入された水中にマイクロバブルを発生するフィールド変換器と、
上記スクラバー部内の上部に配設されると共に、散水ノズルを有して、上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を上記散水ノズルから上記スクラバー部内に洗浄水として散水する散水配管と
を備えている。
【0016】
この実施の形態によれば、上記スクラバー部で散水される洗浄水はマイクロバブル含有水である。したがって、上記マイクロバブルが有する界面活性作用によって、上記悪臭成分の水中捕集がより高められる。さらに、上記洗浄水に含有された上記マイクロバブルが有する酸化作用によって、捕集された悪臭成分が処理される。こうして、上記悪臭成分の除去がさらに効果的に行われる。
【0017】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記スクラバー部は、
上部充填材が充填されたスクラバーと、
上記スクラバーの下側に位置すると共に、活性炭で成る下部充填材が充填された下部水槽と
から構成されている。
【0018】
この実施の形態によれば、スクラバー内には上部充填材が充填されている。そのため、上記悪臭成分を含む空気と上記洗浄水との接触が促進され、上記洗浄水に対する上記悪臭成分の捕集効率が高められる。さらに、上記スクラバーにおいて上記悪臭成分を捕集した上記洗浄水が下部水槽に至ると、上記洗浄水に吸収された悪臭成分は、下部充填材である活性炭に吸着され、一部の悪臭成分は上記活性炭に繁殖した微生物によって微生物分解される。こうして、上記洗浄水に捕集された上記悪臭成分が効果的に処理される。
【0019】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記ミスト発生部は、
上記ミスト発生部の下部に設けられてミスト発生用の水が貯留される下部水槽と、
上記下部水槽に設置されたマイクロバブル発生器と
を含んでいる。
【0020】
この実施の形態によれば、ミスト発生用の水が貯留される下部水槽に設置されたマイクロバブル発生器によって水中にマイクロバブルが発生され、このマイクロバブルが水面に到達して上記マイクロバブルを含むミストが発生される。したがって、上記マイクロバブルが有するフリーラジカルの酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が処理される。
【0021】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記ミスト発生部は、
上記ミスト発生部の下部に設けられてミスト発生用の水が貯留される下部水槽と、
上記下部水槽に設置されたナノバブル発生器と
を含んでいる。
【0022】
この実施の形態によれば、ミスト発生用の水が貯留される下部水槽に設置されたナノバブル発生器によって水中にナノバブルが発生され、このナノバブルが水面に到達して上記ナノバブルを含むミストが発生される。したがって、上記ナノバブルが有するフリーラジカルの酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が処理される。
【0023】
その場合、上記フリーラジカルの酸化作用は上記マイクロバブルよりも上記ナノバブルの方が大きく、且つ、消滅するまでの持続時間も上記マイクロバブルよりも上記ナノバブルの方が長く、さらに効果的に悪臭成分を処理できる。
【0024】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記マイクロバブル発生器に接続されて、上記マイクロバブル発生器にオゾンを供給するオゾン発生機
を備えている。
【0025】
この実施の形態によれば、上記マイクロバブル発生器にオゾンが供給されるため、上記ミスト発生部における上記下部水槽の水中にはオゾンマイクロバブルが発生される。そのため、上記悪臭発生場所にはオゾンマイクロバブルを含むミストが供給され、上記オゾンマイクロバブルの強力な酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が空気マイクロバブルの場合よりも効果的に酸化処理される。
【0026】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記ナノバブル発生器に接続されて、上記ナノバブル発生器にオゾンを供給するオゾン発生機
を備えている。
【0027】
この実施の形態によれば、上記ナノバブル発生器にオゾンが供給されるため、上記ミスト発生部における上記下部水槽の水中にはオゾンナノバブルが発生される。そのため、上記悪臭発生場所にはオゾンナノバブルを含むミストが供給され、上記オゾンナノバブルのさらに強力な酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が空気ナノバブルの場合よりも効果的に酸化処理される。
【0028】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
上記スクラバー部には、散水配管の散水ノズルからフィールド変換器で発生されたマイクロバブル含有洗浄水が散水されるようになっており、
上記スクラバー部の上記下部水槽における上記スクラバーとの境界部には、上記スクラバーから上記下部水槽に導入されるマイクロバブル含有洗浄水を一時的に貯留して、上記マイクロバブル含有洗浄水中の上記マイクロバブルの状態を目視で確認可能にするマイクロバブル確認部
を備えている。
【0029】
この実施の形態によれば、上記スクラバー部の上記下部水槽における上記スクラバーとの境界部に設けられたマイクロバブル確認部において、貯留されたマイクロバブル含有洗浄水中のマイクロバブルの発生状態を肉眼で確認することができる。したがって、この確認結果に応じて、マイクロバブル含有洗浄水中のマイクロバブルのサイズや量を制御し、目的とするマイクロバブルを発生させることが可能になる。
【0030】
また、1実施の形態の脱臭装置では、
界面活性剤を貯留すると共に、上記ミスト発生部に接続されて、上記ミスト発生部における下部水槽内の貯留水に上記界面活性剤を供給する界面活性剤タンク
を備えている。
【0031】
この実施の形態によれば、上記ミスト発生部における下部水槽内の貯留水に界面活性剤を添加するので、上記マイクロバブル発生器で発生されるマイクロバブル量を格段に増加させることができる。したがって、多量に発生されたマイクロバブルによる酸化力の増大によって脱臭能力を増加させることができる。さらに、界面活性剤によっては、よりサイズの小さいマイクロバブルを多量に発生させることが可能になる。
【0032】
また、この発明の脱臭方法は、
ミスト発生部で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを悪臭発生場所に導入し、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルによって悪臭成分を酸化処理し、
上記悪臭発生場所に残っている悪臭成分をスクラバー部に導入し、この導入された上記悪臭成分を散水される洗浄水で捕集処理する
ことを特徴としている。
【0033】
上記構成によれば、悪臭発生場所に、ミスト発生部で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを供給するようにしている。したがって、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルの酸化作用によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分が直接破壊されて脱臭が行われる。
【0034】
さらに、上記悪臭発生場所に残っている上記悪臭成分がスクラバー部に導入される。したがって、上記導入された悪臭成分がスクラバー部での洗浄水のシャワーによって水の中に捕集され、処理される。特に、動物舎での悪臭成分の代表であるアンモニアは水溶性であるため、上記洗浄水に溶解して容易に処理される。
【0035】
こうして、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルを含むミストによる上記悪臭発生場所の悪臭成分に対する酸化処理と、上記スクラバー部での上記悪臭成分の水中捕集との2段階処理によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分を効果的に除去することができる。
【0036】
また、1実施の形態の脱臭方法では、
フィールド変換器によって、導入された水中にマイクロバブルを含有させ、
上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を散水配管の散水ノズルから上記スクラバー部内に上記洗浄水として散水して、
上記マイクロバブルが有する界面活性作用によって、上記洗浄水による上記悪臭成分の捕集能力を高める。
【0037】
この実施の形態によれば、上記スクラバー部で散水されるマイクロバブル含有水中の上記マイクロバブルの界面活性作用によって、上記悪臭成分が水中により効率よく捕集される。さらに、上記マイクロバブルが有する酸化作用によって、捕集された悪臭成分が処理される。こうして、上記悪臭成分の除去がさらに効果的に行われる。
【0038】
また、1実施の形態の脱臭方法では、
上記悪臭発生場所に導入される上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルを含むミストは、
上記スクラバー部において、上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を散水した際に発生するミストと、
上記ミスト発生部において、マイクロバブル発生器あるいはナノバブル発生器で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストと
を合わせたミストである。
【0039】
この実施の形態によれば、マイクロバブル発生器あるいはナノバブル発生器と、フィールド変換器との、発生方式が異なる2種類のバブル発生器によってバブルを発生させることができる。したがって、マイクロバブルあるいはナノバブルの量が多くなることと、サイズがより多種類になることによって、上記悪臭成分の処理を効率的に行うことができ、脱臭効率が向上する。
【発明の効果】
【0040】
以上より明らかなように、この発明の脱臭装置および脱臭方法は、ミスト発生部で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを悪臭発生場所に供給するので、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルの酸化作用により、上記悪臭発生場所の悪臭成分を直接破壊して脱臭を行うことができる。その際に、上記マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストは、上記悪臭発生場所の壁面,天井面および床面に付着して常時酸化処理を行うので、仮に悪臭発生源が存在しても悪臭成分が上記壁面,天井面および床面に付着するのを防止できる。
【0041】
さらに、上記悪臭発生場所に残っている上記悪臭成分をスクラバー部に導入するので、上記導入された悪臭成分をスクラバー部で散水される洗浄水によって捕集処理できる。特に、動物舎での悪臭成分の代表であるアンモニアは水溶性であるため、上記洗浄水に溶解して容易に処理される。
【0042】
こうして、上記マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストによる上記悪臭発生場所の悪臭成分に対する酸化処理と、上記スクラバー部での上記悪臭成分の水中捕集との2段階処理によって、上記悪臭発生場所の悪臭成分を効果的に除去することができる。
【0043】
その際に、上記悪臭成分を処理するための焼却用燃料や薬液や広い培地を必要とはしない。したがって、脱臭処理時におけるランニングコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0045】
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の脱臭装置を動物舎に適用した場合における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。図1において、1は脱臭装置であり、2は動物舎である。また、脱臭装置1は、スクラバー部3とミスト発生部4とを含んでいる。
【0046】
先ず、上記動物舎2について説明する。動物舎2には、空気を供給する給気ダクト5と悪臭を含む空気を排気する排気ダクト6とが設置されている。また、動物舎2の下部には窓用エアコン7が設置されており、動物舎2内の温度と湿度とを調整するようになっている。尚、本実施の形態においては、窓用エアコン7を動物舎2の下部に設置しているが、特に動物舎2の下部に限定する必要はなく、例えば、下部と上部との中間あたりで、温度と湿度とを調整するに最適な箇所に設置すればよい。
【0047】
上記給気ダクト5からは、気流8を形成すると共に、マイクロバブル含有ミスト9を含む空気が供給される。このマイクロバブル含有ミスト9を含む空気が、動物舎2内に万遍なく行き渡るようにするために、動物舎2内への噴出し口10が必要数設置されている。
【0048】
ここで、上記マイクロバブル含有ミスト9を含む空気は、上記マイクロバブルが有するフリーラジカルによってマイナスの電荷を有しており、酸化機能,除菌機能および脱臭機能を有している。したがって、無数のマイクロバブルを含んだマイクロバブル含有ミスト9が、壁面11,天井面12および床面13に付着して上記フリーラジカルによる酸化処理を行って、壁面11,天井面12および床面13に対して除菌作用と脱臭作用とを及ぼす。その結果、動物舎2内の壁面11,天井面12および床面13に、動物由来の臭気が付着することがなくなるのである。
【0049】
但し、上記マイクロバブル含有ミスト9による除菌能力および脱臭能力を上回る臭気を発生する動物を飼育する場合には、マイクロバブル含有ミスト9によって処理できない臭気が、数箇所の排気口14からスクラバー用排気ファン15によって脱臭装置1のスクラバー部3に送出される。そして、スクラバー部3で、洗浄水によって臭気が処理されることになる。
【0050】
また、上記動物舎2には、開口を有する開口床16が目的に応じた必要段だけ設置されている。その場合における上記開口のサイズは、気流8が動物舎2全体を通過できるように選定されている。一例として、30mm×30mm以上のサイズを有する開口を多数形成して開口床16とする。尚、開口床16の必要段数は、動物舎2で飼育する動物の大きさで決定される。マウスの様な小さな動物であれば、図1の3段よりも多い段数に設定することができる。また、開口床16の材質は特に限定されるものではなく、開口床16の上部に設置される飼育ケージ受け17と動物が飼育されている飼育ケージ18との合計重量に対して、余裕を持って耐え得る材質であれば特に限定するものではない。一例として、プラスチック製やステンレス製等がある。
【0051】
上記スクラバー部3は、その上部に位置して上記洗浄水によって臭気を処理するスクラバー20と、下部に位置して上記洗浄水の脱臭処理を行う下部水槽30と、から概略構成されている。そして、上述したように、スクラバー用排気ファン15の回転によって排気口14から吸引された動物舎2内の臭気を含む気流19は、スクラバー部3のスクラバー20に導入される。
【0052】
また、スクラバー部3には、スクラバー20の上部に洗浄水を散水するために、フィールド変換器用循環ポンプ21およびフィールド変換器22が介設されると共に、洗浄水を散水するための散水ノズル23が設けられた散水配管24が設置されている。そして、フィールド変換器22によって発生した無数のマイクロバブルを含むマイクロバブル含有洗浄水が散水ノズル23から散水されるのである。尚、25はバルブであり、26は水配管である。
【0053】
こうして、上記散水ノズル23から散水されることによって、マイクロバブル含有水27によるシャワーリングとなり、マイクロバブルが有する界面活性作用によって臭気成分が洗浄水側に移行する気液の接触の原理がより高められて、微量の臭気成分も洗浄水側に移行することになる。こうして、動物舎2内からの気流19に含まれる臭気成分が上記洗浄水に捕集処理されるのである。
【0054】
ここで、上記フィールド変換器22とは、六角柱状を成す複数のフィールド変換本体が密着して互いの中心軸が平行になるように配列されると共に、円柱状の容器に収納されて成る機器である。このフィールド変換器22は、磁気活水器やマイクロバブル発生機と同様の効果を奏することができる。すなわち、フィールド変換器22に水を通すと、マイクロバブルが多量に発生するので、発生したマイクロバブルによって水の性状を変化させることができるのである。
【0055】
より詳しくは、上記フィールド変換器22における上記六角柱状を成すフィールド変換本体は、当該フィールド変換本体の底面から天面まで貫通する断面円形の穴が複数設けられており、且つ、上記穴の内周面には溝が形成されている。尚、上記フィールド変換本体は、ステンレスあるいはチタン等の材質から構成されている。
【0056】
上記フィールド変換器22の効果としては、フィールド変換器22の近傍を流体が通過することにより、流体の性状が変化されることがある。
【0057】
尚、上記フィールド変換器を使用した効果として、以下のような例がある。
(a)養豚場において、上記フィールド変換器によって処理した飲料水を豚に飲ませた場合、一般には15%程度である死亡率を0.5%以下に改善することができ、豚の生育に関して効果があった。
(b)養豚場において、飲料水と豚舎の清掃とに上記フィールド変換器で処理した水を使用した場合、養豚排水の水質の改善や、生物学的酸素要求量の約30%の改善や、化学的酸素要求量の約30%の改善や、浮遊物質の約40%の除去等の効果があった。
(c)養豚場の給水管に上記フィールド変換器を取り付けた場合、養豚場で発生する臭気濃度が、約20%改善された。
【0058】
上記スクラバー部3において、上記臭気成分を含む空気と上記散水されるマイクロバブル含有洗浄水との接触を促進して臭気成分を効率よく処理するため、スクラバー20内の下部に、上部充填材28として、プラスチック製のテラレット(月島環境エンジニアリング社の商品名)を充填している。尚、上記「テラレット」は、製造メーカーから容易に購入することができる。
【0059】
上記上部充填材28の下部は、スクラバー用排気ファン15からの排気を効率よくスクラバー20内に導入するために、網29によって支持されている。尚、網29は、上記テラレットを何段に積み上げても問題とならない程度の強度を有している。
【0060】
そして、上述したように、上記散水ノズル23からマイクロバブルを含有している洗浄水を散水することによって、スクラバー20内にマイクロバブル含有ミスト9が浮遊することになる。その結果、このマイクロバブル含有ミスト9が、スクラバー20の上端に接続された給気ダクト5を通る気流8の流れによって動物舎2内に導入されるのである。
【0061】
一方、上記散水ノズル23から散水された洗浄水は、下部水槽30を構成するマイクロバブル確認部31に落下して、一時的に貯留される。こうして、マイクロバブル確認部31において、貯留されたマイクロバブルの発生状態を肉眼で確認することができる。そして、確認結果に基づいて、バルブ25の開度を調整することによって、マイクロバブルのサイズや量を制御することができるのである。
【0062】
オーバーフロー管32からオーバーフローして上記マイクロバブル確認部31を出た洗浄水は、下部充填材33が充填された下部水槽30の本体に導入される。尚、下部充填材33は、具体的には活性炭であり、充填材投入袋34に収納されている。上記活性炭としては、市販のヤシガラ活性炭を採用している。
【0063】
ここで、上記下部充填材33として活性炭を用いることによって、悪臭成分や臭気成分を効率よく吸着することができる。また、上記活性炭には微生物が繁殖するので、上記活性炭に吸着された悪臭成分や臭気成分を上記微生物によって分解することができる。さらに、上記洗浄水中に上記マイクロバブルが存在するため、このマイクロバブルによる上記活性炭に繁殖した微生物の活性化と、上記マイクロバブルがフリーラジカルを発生することによる酸化作用とによって、悪臭成分を含む臭気成分を効率よく酸化分解することができるのである。
【0064】
尚、上記充填材投入袋34に収納されている上記活性炭は、上記洗浄水中の悪臭成分を含む臭気成分を効率よく物理学的に吸着処理し、上記活性炭に繁殖して活性化された微生物によって上記臭気成分を効率よく生物学的に分解処理できるように、開口床35上に載置されている。そして、スクラバー部3の最下部とミスト発生部4の最下部とは連通している。したがって、上述したようにスクラバー部3で処理された洗浄水は、開口床35を通過して、自然にミスト発生部4の下部水槽36に導入されることになる。
【0065】
上記下部水槽36内には、マイクロバブル発生器ノズル37が先端に接続された水配管38が設置されている。一方、下部水槽36の外部には、水配管38に接続されたマイクロバブル用循環ポンプ39と、マイクロバブル発生器ノズル37に先端が接続された空気配管40に介設されて空気量を正確に制御可能なニードルバルブ41とが、配置されている。そして、マイクロバブル発生器ノズル37からマイクロバブルが吐出されて、バブル流42を形成するようになっている。
【0066】
すなわち、上記マイクロバブル発生器ノズル37とマイクロバブル用循環ポンプ39とそれらを連結する配管38,40とで、マイクロバブル発生器が構成されてしているのである。
【0067】
上記マイクロバブル発生器ノズル37から水中に吐出されたマイクロバブルは、時間の経過と共に浮上して水面に達する。その際に、水面上にマイクロバブル含有ミスト9が多量に発生されるのである。そして、水面上に多量に発生したマイクロバブル含有ミスト9は、ミスト浮遊部43の上端とスクラバー20の上端とを接続するダクト44に設けられたミスト用排気ファン45によってスクラバー20の上端部を介して給気ダクト5に送出され、給気ダクト5を通過して幾つかの噴出し口10から動物舎2内に供給される。そして、上述したように壁面11,天井面12および床面13に付着し、マイクロバブル含有ミスト9のマイクロバブルフリーラジカルによる酸化作用、すなわち除菌作用と脱臭作用とによって、動物舎2内の臭気除去と除菌とが行われるのである。
【0068】
以上のごとく、本実施の形態においては、脱臭装置1にスクラバー部3とミスト発生部4とを設けている。そして、ミスト発生部4において、マイクロバブル発生器ノズル37とマイクロバブル用循環ポンプ39とそれらを連結する配管38,40とから構成されたマイクロバブル発生器によって、水中にマイクロバブルを発生させる。そして、水面上に多量に発生したマイクロバブル含有ミスト9を、ミスト用排気ファン45によって給気ダクト5に送出し、給気ダクト5を介して動物舎2内に供給している。
【0069】
そして、上記マイクロバブル含有ミスト9が、動物舎2の壁面11,天井面12および床面13に付着して、上記マイクロバブルが有するフリーラジカルによる酸化処理によって、壁面11,天井面12および床面13に対して除菌と脱臭とが行われる。こうして、動物舎2内の壁面11,天井面12および床面13に、動物由来の臭気が付着することが防止される。
【0070】
一方、上記スクラバー部3には、動物舎2から臭気を含む気流19が導入され、スクラバー20を通過して上端から給気ダクト5に供給され、気流8の流れによって動物舎2内に導入される。その際に、スクラバー20の上部に設置された散水配管24の散水ノズル23から、フィールド変換器22によって発生された無数のマイクロバブルを含むマイクロバブル含有水27が散水される。こうして、マイクロバブル含有水27によるシャワーリングによって動物舎2内からの気流19に含まれる臭気成分が処理される。さらに、上記シャワーリングによってスクラバー20内に浮遊するマイクロバブル含有ミスト9が、給気ダクト5を介して動物舎2内に供給されるのである。
【0071】
また、上記フィールド変換器22によって無数のマイクロバブルが供給される上記洗浄水は、ミスト発生部4において上記マイクロバブル発生器で発生されたマイクロバブルを含有する水である。したがって、散水ノズル23から散水されるマイクロバブル含有水27には、フィールド変換器22から発生されるマイクロバブルよりも多量のマイクロバブルが含有されるのである。
【0072】
こうして、上記マイクロバブル発生器で発生したマイクロバブルとフィールド変換器22で発生したマイクロバブルとの量的な相乗作用によって、動物舎2内には多量のマイクロバブル由来の多量の上記フリーラジカルが発生する。したがって、本実施の形態によれば、多量の上記フリーラジカルによる強力な酸化作用によって、動物舎2に対して強力な除菌作用と脱臭作用とを及ぼすことができるのである。
【0073】
また、本実施の形態においては、臭気成分を処理するための焼却用燃料や薬液や広い培地を必要とせず。ランニングコストの低減を図ることができる。
【0074】
尚、上記バブル発生器は、市販されているものを用いることが可能である。その場合には、メーカーを限定するものではない。本実施の形態においては、株式会社オーラテックの商品(商品名:タイプ1ノズル)を使用している。
【0075】
また、上記フィールド変換器22は、株式会社ウエルネスの商品(商品名:ニュージーセブン)を使用している。
【0076】
また、上記「マイクロバブル」とは、直径が50ミクロン(μm)以下の微細気泡であって、水中で縮小し、ついには消滅(完全溶解)してしまう気泡を指す。これに対して、通常の「バブル(気泡)」は、水中を上昇して行き、ついには表面でパンとはじけて消滅する気泡である。
【0077】
・第2実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態におけるマイクロバブル発生器ノズル37に供給すべき気体を、オゾンとしたものに関する。
【0078】
図2は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図2において、上記第1実施の形態における図1と同じ部材には図1と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施の形態は、上記第1実施の形態と比較して、一端がマイクロバブル発生器ノズル37に接続された空気配管40の他端には、オゾン発生機51を設置した点において異なっている。こうして、マイクロバブル発生器ノズル37には、オゾンが供給されるのである。
【0080】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記マイクロバブル発生器ノズル37にはオゾンが供給される。したがって、上記マイクロバブル発生器で発生されるマイクロバブルは、上記第1実施の形態における空気マイクロバブルよりも、酸化力が強力に強いオゾンマイクロバブルとなる。そして、このオゾンマイクロバブルは数時間持続する。そのために、動物舎2に対してさらに強力な除菌作用と脱臭作用とを及ぼすことができ、動物舎2内で多数の臭気を発生する大型動物を飼育する場合にも対処可能となる。
【0081】
・第3実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態のスクラバー20における上部充填材28上に、もう一つの上部充填材を設置したものに関する。
【0082】
図3は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図3において、上記第1実施の形態における図1と同じ部材には図1と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0083】
本実施の形態は、上記第1実施の形態と比較して、スクラバー20における上記テラレットで成る上部充填材28(以下、第1上部充填材と言う)の上に、活性炭繊維で成る第2上部充填材52を設置した点において異なっている。こうして、スクラバー20に設置される上部充填材を、第1上部充填材28と第2上部充填材52との2種類の上部充填材にするのである。
【0084】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記テラレットで成る第1上部充填材28の上に活性炭繊維で成る第2上部充填材52を設置している。この場合、第2上部充填材52は、第1上部充填材28と比較して穴が相当細かいので、臭気を上記穴に吸着処理することができる。さらに、上記穴に吸着された臭気を、その後上記穴内に繁殖している微生物によって分解処理することができる。したがって、本実施の形態によれば、動物舎2からスクラバー20内に導入された気流19中の悪臭を、高度に処理することができるのである。
【0085】
尚、上記第2上部充填材52としては、クラレケミカル株式会社のクラレコール活性炭繊維を使用している。
【0086】
また、本実施の形態においては、上記第2上部充填材52を水平方向に設置している。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、複数枚の活性炭シートを縦方向に設置して、脱臭性能や除菌性能のさらなる向上を図ることも可能である。
【0087】
・第4実施の形態
本実施の形態は、上記第2実施の形態のスクラバー20における上部充填材28上に、もう一つの上部充填材を設置したものに関する。
【0088】
図4は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図4において、上記第2実施の形態における図2と同じ部材には図2と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0089】
本実施の形態は、上記第2実施の形態と比較して、スクラバー20における上記テラレットで成る上部充填材28(以下、第1上部充填材と言う)の上に、活性炭繊維で成る第2上部充填材53を設置した点において異なっている。こうして、スクラバー20に設置される上部充填材を、第1上部充填材28と第2上部充填材53との2種類の上部充填材とするのである。
【0090】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記テラレットで成る第1上部充填材28の上に活性炭繊維で成る第2上部充填材52を設置している。この場合、第2上部充填材52は、第1上部充填材28と比較して穴が相当細かいので、臭気を上記穴に吸着処理することができる。さらに、上記穴に吸着された臭気を、その後上記穴内に繁殖している微生物によって分解処理することができる。したがって、本実施の形態によれば、動物舎2からスクラバー20内に導入された気流19中の悪臭を、高度に処理することができるのである。
【0091】
尚、上記第2上部充填材52としては、クラレケミカル株式会社のクラレコール活性炭繊維を使用している。
【0092】
また、本実施の形態においても、上記第2上部充填材52を、複数枚の活性炭シートを縦方向に設置して構成し、脱臭性能や除菌性能のさらなる向上を図ることも可能である。
【0093】
・第5実施の形態
本実施の形態は、上記第2実施の形態のミスト発生部4における下部水槽36に、界面活性剤を添加するものに関する。
【0094】
図5は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図5において、上記第2実施の形態における図2と同じ部材には図2と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0095】
本実施の形態は、上記第2実施の形態と比較して、新たに界面活性剤タンク54を設置し、この界面活性剤タンク54とミスト発生部4の下部水槽36とを、定量ポンプ55が介設された薬品配管56で接続した点において異なっている。こうして、定量ポンプ55によって、薬品配管56を介して、界面活性剤タンク54内の界面活性剤をミスト発生部4の下部水槽36に添加するのである。
【0096】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記ミスト発生部4の下部水槽36に、界面活性剤を添加するようにしている。したがって、マイクロバブル発生器ノズル37からのマイクロバブル量が増加するのみならず、界面活性剤の種類によってはナノバブルを発生させることができ、多量のマイクロバブルとナノバブルとによって、マイクロバブル含有ミスト9の増加、および、マイクロバブル及びナノバブル含有ミストによる酸化作用の増加を図ることができる。
【0097】
したがって、本実施の形態によれば、臭気処理能力と除菌能力とのさらなる増加を図ることができるのである。
【0098】
尚、上記界面活性剤として、微生物分解性の良い界面活性剤から微生物分解性の悪い界面活性剤まで各種存在している。本実施の形態においては、目的に応じて適宜に選定すればよい。
【0099】
ここで、上記「ナノバブル」とは、上記マイクロバブルよりもさらに小さい微細気泡を指し、直径が1ミクロン以下(100nm〜200nm)の微細気泡であって、何時までも水中に存在することが可能な気泡を指す。
【0100】
・第6実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態におけるマイクロバブル発生器を、気液混合循環ポンプと気体剪断部とで構成されたナノバブル発生器に代えたものに関する。
【0101】
図6は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図6において、上記第1実施の形態における図1と同じ部材には図1と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0102】
本実施の形態は、上記第1実施の形態と比較して、ミスト発生部4の下部水槽36内には、第1気体剪断部57が先端に接続された水配管58が設置されている。一方、下部水槽36の外部には、水配管58に介設された気体剪断部59が付属した気液混合循環ポンプ60および第2気体剪断部61と、気液混合循環ポンプ60の気体剪断部59に接続された空気配管62に介設されたニードルバルブ63とが、配置されている点において異なっている。こうして、第1気体剪断部57,気体剪断部59が付属した気液混合循環ポンプ60,第2気体剪断部61,ニードルバルブ63およびそれらを連結する配管58,62で、ナノバブル発生器を構成しているのである。
【0103】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記第1気体剪断部57,気体剪断部59が付属した気液混合循環ポンプ60,第2気体剪断部61,ニードルバルブ63および配管58,62で構成されたナノバブル発生器を用いている。したがって、ミスト発生部4の下部水槽36で多量のナノバブルを製造することができ、給気ダクト5には、ナノバブル含有ミスト64を含む空気を供給することができる。
【0104】
すなわち、本実施の形態によれば、バブル含有ミストの増加、および、ナノバブル含有ミスト64による酸化作用の増加を図ることができる。
【0105】
したがって、本実施の形態によれば、上記第1実施の形態と比較して、臭気処理能力と除菌能力とのさらなる増加を図ることができるのである。
【0106】
・第7実施の形態
本実施の形態は、上記第6実施の形態における気液混合循環ポンプ60の気体剪断部59に供給すべき気体を、オゾンとしたものに関する。
【0107】
図7は、本実施の形態における脱臭装置と動物舎との概略構成を示す。図7において、上記第6実施の形態における図6と同じ部材には図6と同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0108】
本実施の形態は、上記第6実施の形態と比較して、一端が気液混合循環ポンプ60の気体剪断部59に接続された空気配管62の他端には、オゾン発生機65を設置した点において異なっている。こうして、気液混合循環ポンプ60の気体剪断部59には、オゾンが供給されるのである。
【0109】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記気液混合循環ポンプ60の気体剪断部59にはオゾンが供給される。したがって、上記ナノバブル発生器で発生されるナノバブルは、上記第6実施の形態における空気ナノバブルよりも、酸化力が強力に強いオゾンナノバブルとなる。そのため、脱臭能力のみならず、除菌能力および殺菌能力を向上させることができる。
【0110】
その場合、上記オゾンナノバブルは、オゾンマイクロバブルに比較して格段に長時間維持させることができる。したがって、酸化力が強力に強いオゾンナノバブルを含有したミスト64を長時間維持させることよって、動物舎2に対してさらに強力な除菌作用と脱臭作用とを及ぼすことができ、動物舎2内で多数の臭気を発生する大型動物を飼育する場合にも対処可能となる。
【0111】
・実験例
図1に示す上記第1実施の形態における脱臭装置1と動物舎2とを再現した実験装置を作成し、脱臭装置1の性能を確認する実験を行った。上記実験装置は、動物舎2の容積が6.0m3であり、脱臭装置1における下部水槽30を含むスクラバー部3の容積が1.2m3であり、下部水槽36を含むミスト発生部4の容積が1.0m3である。
【0112】
また、上記スクラバー部3の下部水槽30には、下部水槽30の容量の約60%の容積を有する下部充填材33を設置した。下部充填材33は、ヤシガラ活性炭を充填材投入袋34に投入して構成されている。尚、上記ヤシガラ活性炭は、クラレケミカル株式会社の商品を使用している。
【0113】
また、上記ミスト発生部4の下部水槽36には、上記マイクロバブル発生器を設置している。その際に、上記マイクロバブル発生器を構成するマイクロバブル発生器ノズル37には、株式会社オーラテックのタイプ1ノズル(商品名)を使用し、マイクロバブル用循環ポンプ39には、株式会社イワキのマグネットポンプMD型0.1kwを使用した。
【0114】
また、上記フィールド変換器22には、株式会社ウエルネスのニュージーセブン(商品名)を使用し、フィールド変換器用循環ポンプ21には、株式会社イワキのマグネットポンプMD型0.1kwを使用した。
【0115】
本実験においては、臭気発生源として、動物舎2にアンモニア水の入った容器を開放して配置した。その場合、アンモニア容器から0.5mの位置における空気中のアンモニア濃度は、72.2ppmであった。そして、脱臭装置1の機器を全て稼働させて2時間運転した後、スクラバー20の出口においてアンモニア濃度を測定したところ、0.8ppmであった。この実験結果は、悪臭防止法における敷地境界線における上限値1ppmを下回っており、十分に満足できるものであった。
【0116】
尚、上記各実施の形態においては、この発明の脱臭装置を動物舎、つまり多数の動物から発生する臭気に適用した場合を例に挙げて説明している。しかしながら、使用する有機溶剤にからの臭気や、排水処理場の脱水機室等の臭気に適用することも可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】この発明の脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図2】図1とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図3】図1および図2とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図4】図1〜図3とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図5】図1〜図4とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図6】図1〜図5とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【図7】図1〜図6とは異なる脱臭装置と動物舎との概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1…脱臭装置、
2…動物舎、
3…スクラバー部、
4…ミスト発生部、
5…給気ダクト、
6…排気ダクト、
7…窓用エアコン、
8,19…気流、
9…マイクロバブル含有ミスト、
10…噴出し口、
11…壁面、
12…天井面、
13…床面、
14…排気口、
15…スクラバー用排気ファン、
16…開口床、
17…飼育ケージ受け、
18…飼育ケージ、
20…スクラバー、
21…フィールド変換器用循環ポンプ、
22…フィールド変換器、
23…散水ノズル、
24…散水配管、
25…バルブ、
26…水配管、
27…マイクロバブル含有水、
28…(第1)上部充填材、
29…網、
30,36…下部水槽、
31…マイクロバブル確認部、
32…オーバーフロー管、
33…下部充填材、
34…充填材投入袋、
35…開口床、
37…マイクロバブル発生器ノズル、
38,58…水配管、
39…マイクロバブル用循環ポンプ、
40,62…空気配管、
41,63…ニードルバルブ、
42…バブル流、
43…ミスト浮遊部、
44…ダクト、
45…ミスト用排気ファン、
51,65…オゾン発生機、
52,53…第2上部充填材、
54…界面活性剤タンク、
55…定量ポンプ、
56…薬品配管、
57…第1気体剪断部、
59…(気液混合循環ポンプの)気体剪断部、
60…気液混合循環ポンプ、
61…第2気体剪断部、
64…ナノバブル含有ミスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを発生させると共に、この発生させたミストを悪臭発生場所に供給して悪臭成分を処理するミスト発生部と、
上記悪臭発生場所に残っている上記悪臭成分が導入されると共に、この導入された上記悪臭成分を処理するスクラバー部と
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脱臭装置において、
導入された水中にマイクロバブルを発生するフィールド変換器と、
上記スクラバー部内の上部に配設されると共に、散水ノズルを有して、上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を上記散水ノズルから上記スクラバー部内に洗浄水として散水する散水配管と
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の脱臭装置において、
上記スクラバー部は、
上部充填材が充填されたスクラバーと、
上記スクラバーの下側に位置すると共に、活性炭で成る下部充填材が充填された下部水槽と
から構成されていることを特徴とする脱臭装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の脱臭装置において、
上記ミスト発生部は、
上記ミスト発生部の下部に設けられてミスト発生用の水が貯留される下部水槽と、
上記下部水槽に設置されたマイクロバブル発生器と
を含んでいる
ことを特徴とする脱臭装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の脱臭装置において、
上記ミスト発生部は、
上記ミスト発生部の下部に設けられてミスト発生用の水が貯留される下部水槽と、
上記下部水槽に設置されたナノバブル発生器と
を含んでいる
ことを特徴とする脱臭装置。
【請求項6】
請求項4に記載の脱臭装置において、
上記マイクロバブル発生器に接続されて、上記マイクロバブル発生器にオゾンを供給するオゾン発生機
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項7】
請求項5に記載の脱臭装置において、
上記ナノバブル発生器に接続されて、上記ナノバブル発生器にオゾンを供給するオゾン発生機
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項8】
請求項3に記載の脱臭装置において、
上記スクラバー部には、散水配管の散水ノズルからフィールド変換器で発生されたマイクロバブル含有洗浄水が散水されるようになっており、
上記スクラバー部の上記下部水槽における上記スクラバーとの境界部には、上記スクラバーから上記下部水槽に導入されるマイクロバブル含有洗浄水を一時的に貯留して、上記マイクロバブル含有洗浄水中の上記マイクロバブルの状態を目視で確認可能にするマイクロバブル確認部
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項9】
請求項4あるいは請求項5に記載の脱臭装置において、
界面活性剤を貯留すると共に、上記ミスト発生部に接続されて、上記ミスト発生部における下部水槽内の貯留水に上記界面活性剤を供給する界面活性剤タンク
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項10】
ミスト発生部で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストを悪臭発生場所に導入し、上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルが有するフリーラジカルによって悪臭成分を酸化処理し、
上記悪臭発生場所に残っている悪臭成分をスクラバー部に導入し、この導入された上記悪臭成分を散水される洗浄水で捕集処理する
ことを特徴とする脱臭方法。
【請求項11】
請求項10に記載の脱臭方法において、
フィールド変換器によって、導入された水中にマイクロバブルを含有させ、
上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を散水配管の散水ノズルから上記スクラバー部内に上記洗浄水として散水して、
上記マイクロバブルが有する界面活性作用によって、上記洗浄水による上記悪臭成分の捕集能力を高めた
ことを特徴とする脱臭方法。
【請求項12】
請求項11に記載の脱臭方法において、
上記悪臭発生場所に導入される上記マイクロバブルあるいは上記ナノバブルを含むミストは、
上記スクラバー部において、上記フィールド変換器からのマイクロバブル含有水を散水した際に発生するミストと、
上記ミスト発生部において、マイクロバブル発生器あるいはナノバブル発生器で発生されたマイクロバブルあるいはナノバブルを含むミストと
を合わせたミストである
ことを特徴とする脱臭方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−136748(P2009−136748A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314660(P2007−314660)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】