説明

脱臭装置

【課 題】従来の通風路内の励起光源と光触媒フィルターが構成する脱臭装置に、
更に、光触媒フィルターに反射覆いを構成し、接触機能を増大せしめて脱臭効果を高める。
【解決手段】通風路の中央部に酸化チタンを活性化させる励起光源に光触媒フィルターを数枚通し、光触媒フィルターを所定の間隔をもって配列させ、核光触媒フィルターの各辺両側端面に反射板を励起光源より10度から80度の傾向きの範囲にて覆う様に選択配置され得る機能を設けて構成され、これにより反射効率のより高い反射効果を持つ反射板が、今までにない光触媒フィルターの脱臭作用効率を更に高める脱臭装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、主に室内の空気を循環しながら悪臭を除去する事のできる光触媒を用いた脱臭装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の脱臭装置は、通風路中の空気の流れの主方向に沿って水平に置かれた容器内に、直行する面に沿って空気流路を確保してなるハニカム構造とし、励起光源をこの中央を貫通するように配置し、数種の担持体毎に異なる光触媒を担持してなるものである。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
以下、特許文献1(特開平9−135891号)図1により、従来の脱臭装置について説明する。
図において6は空気を吸引する送風ファンで吸気口2、排気口3を有している。ケーシング1の内部には光触媒の円環状の担持体12が所定の間隔をもって多重配置され、脱臭室11を形成し、脱臭室11の内周面に反射フィルム13を貼着し、光触媒を脱臭室11内に反射させている。
【0004】
また、かかる装置では通風路と、上記送風手段と光触媒にて、通風路を平行に通過する空気を、各担持体12毎に異なる種類の担当体にて構成している。
【0005】
従来の光触媒を用いた他の方式の脱臭装置に、複数の吸着板状体を容器内に段階的に配置したものがある。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
以下、特許文献2(特開平11−262340号)図2により、従来の光触媒を用いた他の脱臭装置について説明する。
図において、多孔質の粒状基材に光触媒を担持させてなる吸着材を網目状板間に充填してなる複数の吸着板状体を容器内に間隔をおいて平行に上下方向に配置し、吸着板状間に紫外線ランプを配置して、核処理ガスを上向流又は下向き流として通過させることにより脱臭処理通路を確保している。
【0007】
この場合、紫外線ランプ6光源からの光が照射される光触媒フィルター即ち、吸着板状体5の片面側、網目状板8、9での光触媒による脱臭効果が主に得られ、板状光触媒脱臭エレメント即ち、吸着板状体5の表面に接した被処理ガスのみにしか十分な脱臭処理を行うことが出来ない。そのため、十分な脱臭処理を行うためには、複数の励起光源6と光触媒フィルター5との組合せを通路内に何重にも設置する必要があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−135891号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平11−262340号公報(第2頁、第2図、第3図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら技術文献1に示す装置では、光触媒の担持体12が通風路中の空気の流れの主方向に対して略直行する面に沿って延在すると共に、空気の流れ方向に沿って空気流路を確保し、励起光源が空気の流れに沿って円柱状に構成させたに過ぎない。
【0010】
また技術文献2に示す従来の装置では、被処理ガスを上面流又は下面流として段階的に通過させることにより十分な脱臭処理を行わせるためには、どうしても装置構成が大型化してしまうという問題点があり、また、その割りには、脱臭効率が悪いという欠点があった。また光触媒フィルター1枚に対して2本の励起光源が必要であり、十分な脱臭処理を行うには光触媒フィルターの枚数より1本多い励起光源が必要となり効率が悪い。
【0011】
本発明は技術文献1の単に円柱状に空気の流れ方向に沿って空気流路を構成したに過ぎない脱臭装置。及び技術文献2の光触媒フィルター1枚に対し、2本の励起光源を数段階に必要とする装置とは異なり、反射効果と加熱効果を高め、空気の流路を渦巻き回動させて触媒をより効果的に悪臭成分の分解・脱臭を行うことが可能な脱臭装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、断面方形の通風路に複数の光触媒フィルター6を通風路内断面全面に設け、前記断面方形の通風路の光触媒フィルター6の中央部に酸化チタンを活性化させる励起光源4を貫通させ、複数の光触媒フィルター6の各辺両側端面には前記励起光源4まで風流を制御させる装置、即ち、台形状の反射板5が各辺両面端面に設けられたものである。
【0013】
前記光触媒フィルター6の反射板5は、酸化分解作用の有る酸化チタンを担持させた光触媒フィルター6の効力を、反射板5の内側で空気を渦巻かせる作用をさせることにより、今まで出願されたものより更に脱臭効率を向上させる事が出来る脱臭装置を提供することができた。特に、前記フィルター6の各辺両側端面に装着された前記台形状の反射板5は、前記光触媒フィルター6の各辺両側端面より10度から80度の範囲内にて選択維持され、その効用は角度の傾きで中央の励起光源まで配置されていると更に効果が良い。かつ、前記反射板5の材質はステンレス材若しくは鉄・プラスチック・塩ビ・アクリル板に表面を鍍金被膜させて作成し、更に反射効率を上げて構成したものとする。
【0014】
上記の解決手段による作用はこのように小型化構成させることで、脱臭すべき成分を含む空気が光触媒フィルター6に接する確率が高くなり、しかも反射板5の設定角度を選択設定させることにより、光触媒フィルター6への励起光源4の照射増強効率も種々選択でき、今まで以上に高い脱臭作用を取得することが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明を実施した脱臭装置の構造を示す側断面図であり、図2はそのA−A線について見た断面図である。ケース1の一端には吸気ファン2が設けられ他端側には排気口3が設けられている。またケース1の中心軸に沿って励起光源のブラックライト4が貫通している。なお、ブラックライト4の波長は352nmの近紫外線を効率よく放射するランプを用い、光触媒を励起させる波長は、200nmから400nmで、この波長を発生するランプであれば紫外線ランプやケミカルランプでも良い。
【0017】
図1では光触媒フィルター6の各辺両側端面より反射板5がブラックライト4まで45度の角度で配置されている。
ケース1の内部には、図2に示すような状態に光触媒フィルター6が、図1に示されるように所定の間隔をもって多重配列され、光触媒フィルター6の各辺両側端面より反射板5が前記励起光源まで45度の角度で配置されて、ブラックライト4からの紫外線がこの反射板5で反射して光触媒フィルター6の隅々まで効率的に光触媒を励起させるように構成されている。
【0018】
反射板5は光触媒フィルター6の各辺両側端面より10度から80度の角度の傾き範囲に選定し設定することが可能であるが、反射板5があっても高い脱臭効果を得るため、悪臭を吸引するための適合したファンモーターの吸気ファン2が装着され、吸引効率十分な風量を得ている。
【0019】
また、光触媒フィルター6はケージーパック社製を使用し。特許公開平9−59
892の
【0020】
【発明の効果】
【0021】
【0022】に記載されている通り、脱臭効果が顕著な修飾超微細酸化チタンを用いることにより、脱臭効果は一段と顕著となり、通常の吸着系の脱臭剤では除去しがたい硫化水素やアンモニアのような悪臭成分も効果的に除去できる。
【0023】
従って、かかるケージーパック社製の光触媒フィルターを本発明の脱臭に用いながら励起光を照射すれば脱臭能力が効率的に回復するため、使用すれば本発明では脱臭効果を繰り返し再使用する事ができる。
【0024】
本発明の脱臭装置図1の脱臭効果と、反射板5の無い他社の方式形態である特許文献1の特開平9−135891に記載されている脱臭装置図3の脱臭装置を用いて悪臭物質(アンモニアNH)を吸気口ファンにより装置内部に吸引して脱臭装置内部を3分間通し、そして吸気口ファン側と排気口側で測定した互いの脱臭効果を、その比較結果を表1に示す。
【0025】
表1 悪臭成分除去率比較表



図1は本発明脱臭装置・図3は反射板の無い場合の脱臭装置
(北川式ガス検知管にて測定)
【0026】
その結果、表1により、本発明の脱臭装置は悪臭物質(アンモニアNH)の除去率は100%で、反射板5を装備していない脱臭装置は悪臭物質(アンモニアNH)の除去率71%の結果が得られた。数値で明らかな様に、本発明の反射板5を装備している脱臭装置の方が良好な除去率を取得するとの結果が証明出来た。
【0027】
【発明の効果】
上記説明の脱臭装置によれば断面方形の通風路に複数の光触媒フィルターが通風路全面に設けられ、前記断面方形の通風路の光触媒フィルター中央部に励起光源が貫通している、前記複数の光触媒フィルターの各辺両側端面には前記励起光源まで台形状の反射板が設けられ、この光触媒フィルター各辺両側端面より励起光源まで反射板があることにより、光触媒フィルターへの励起光源からの照射効率が向上でき、それと共に反射板と反射板の間を空気が通る時発生する渦巻き流の作用により、悪臭成分を含む空気とフィルターとの接触効率が向上し、触媒反応が促進され、脱臭効率が向上する今までに無かった脱臭装置を得ることができた。
【0028】
しかも脱臭装置が小型化し、励起光源が1本で複数の光触媒フィルターの触媒反応を益々促進させるので脱臭効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭装置の構成を示す側断面図。
【図2】本発明の脱臭装置のA−A線の断面図。
【図3】反射板の無い他社脱臭装置の構成を示す側断面図。
【符号の説明】
1 ケース
2 吸気口ファン
3 排気口
4 励起光源
5 反射板
6 光触媒フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面方形の通風路に複数の光触媒フィルターが通風路内断面全面に設けられ、前記断面方形の通風路の光触媒フィルター中央部に酸化チタンを活性化させる励起光源が貫通している。酸化チタンを含有した複数の光触媒フィルターの各辺両側端面には、前記励起光源まで台形状の反射板が同一角度にて設けられ、前記光触媒フィルターには酸化分解作用が有る酸化チタンを持たしめて、反射板と反射板の間で発生する渦巻き流と反射効率の高い反射板が、更に光触媒フィルターの脱臭作用効率を向上させる事を特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記フィルター各辺両側端面の前記台形状の反射板は前記光触媒フィルターの各辺両側端面より10度から80度の範囲にて選択した角度の傾きの範囲で中央の励起光源まで配置されている事を特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記反射板の材質はステンレス材若しくは鉄・プラスチック・塩ビ・アクリル板等を使用し、その表面を鍍金被膜させ、反射効率を高度化構成している事を特徴とする請求項1及び請求項2記載の脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−283185(P2004−283185A)
【公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−75179(P2003−75179)
【出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(301010065)アトム環境サイエンス有限会社 (2)
【Fターム(参考)】