説明

脱臭装置

【課題】触媒フィルタを効率的に加熱であって、かつ、消費電力を低く抑えることができる脱臭装置を提供する。
【解決手段】脱臭ユニット3の触媒フィルタ40とヒータ50の通風面を覆うように通気性を有する第1断熱部材60,60で挟み込んで、加熱再生する際の加熱効率を高めて触媒フィルタ40の脱臭効率を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱再生型触媒フィルタを用いた脱臭装置に関し、さらに詳しく言えば、触媒フィルタの加熱効率を上げて脱臭反応を活性化することができる脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、タバコなどの臭いを除去する脱臭装置は、空気吸込口から筐体内に空気を取り込み、筐体内に設けられた脱臭ユニットにて脱臭したのち、清浄された空気を空気吹出口から室内に向けて排出している。
【0003】
脱臭ユニットには、用途や使用環境に応じて様々なタイプがあり、その1つに触媒フィルタがある。触媒フィルタとは、ハニカム状のプレートに金属酸化物や貴金属などの触媒を付着させたものからなり、触媒フィルタで臭気を吸着して分解することで、脱臭することができるようになっている。
【0004】
通常、この種の触媒フィルタは、光や熱などを印加することにより、触媒が活性化され脱臭機能が回復するようになっている。その中でも触媒フィルタを加熱することで、触媒を活性化して、脱臭性能を回復するタイプを加熱再生型と呼している。
【0005】
しかしながら、酢酸に代表される難分解性の臭気成分を酸化分解するためには、触媒フィルタの温度を100℃以上に加熱することが好ましい。触媒フィルタを100℃以上に加熱するためには、より高出力のヒータを用いればよいが、単にヒータを高出力化しただけでは、以下のような問題が生じる。
【0006】
すなわち、高出力ヒータを用いた場合、脱臭ユニットだけではなく、筐体全体が暖まり、場合によっては、筐体樹脂の耐熱温度を越えてしまうおそれがある。この問題を解決するには、樹脂の耐熱温度を上げればよいが、樹脂のコストが高くなる。また、高出力であるが故に放熱による無駄な消費電力が増えるおそれもある。
【0007】
また、特許文献1のヒータは、シースヒータを触媒フィルタに沿って蛇行させるように設けているため、触媒フィルタの温度差が生じやすく、その結果、触媒フィルタの加熱再生効率にもムラが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−44433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、触媒フィルタを効率的に加熱でき、かつ、消費電力を低く抑えることができる脱臭装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、 空気吸込口から筐体内に吸い込まれた空気を脱臭する脱臭ユニットを有し、上記脱臭ユニットにて清浄された空気を所定の送風手段を介して空気吹出口から筐体外へと排出する脱臭装置において、上記脱臭ユニットは、臭気を吸着して分解する触媒フィルタと、上記触媒フィルタを加熱して活性化させるヒータとを有し、上記脱臭ユニットには、上記脱臭ユニット内の空気流路上で上記触媒フィルタを挟んで対向するように配置される断熱部材が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記断熱部材は、上記触媒フィルタの通風方向に対して平行な方向の通気抵抗をR1、上記通風方向に対して垂直な方向の通気抵抗をR2としたとき、R1<R2であることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記断熱部材は、不織布を蛇腹状に折り畳んでシート状に形成したものからなることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3において、上記断熱部材は、上記不織布の積層方向が床面に対して水平もしくは垂直となるように配置されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1ないし4のいずれか1項において、上記脱臭ユニットにはさらに、上記ヒータからの輻射熱を反射する輻射熱板が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、脱臭ユニットに通風路内に触媒フィルタを挟んで対向するように断熱部材が設けられていることにより、脱臭ユニットを加熱再生する際の加熱効率を高めることができ、触媒フィルタの脱臭効率を高めることができる。さらには、ヒータの省電力化にも繋がる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、断熱部材の触媒フィルタの通風方向に対して平行な方向の通気抵抗をR1、通風方向に対して垂直な方向の通風抵抗をR2としたとき、R1<R2となるように設定することにより、触媒フィルタをヒータで加熱する際に、熱が断熱部材中を下から上に移動しにくいため、触媒フィルタに加熱ムラが生じることを防止できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、不織布シートを蛇腹状に折り畳んでシート状の断熱部材を形成したことにより、通風方向の通気抵抗を小さくすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、上記断熱部材は、上記不織布の積層方向が床面に対して水平もしくは垂直となるように配置されていることにより、熱対流によるエネルギー欠損を防ぐことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、脱臭ユニットにヒータからの熱エネルギーを捕らえる輻射熱板を設けたことにより、ヒータから発生する電磁波などの熱エネルギーを捕らえて、輻射熱として利用することができ、より加熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る脱臭装置の斜視図。
【図2】上記脱臭装置の要部断面図。
【図3】上記脱臭装置の脱臭ユニットの斜視図。
【図4】上記脱臭ユニットの中央縦断面図。
【図5】上記脱臭ユニットの分解斜視図。
【図6】(a1)断熱部材の斜視図,(a2)断熱部材の変形例を示す模式図,(b)〜(d)断熱部材の変形例を示す部分断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの限りではない。図1および図2を参照して、この脱臭装置1は、全体が合成樹脂製のパネルによって形成される縦長の筐体2を有し、筐体2の前面側には、室内の空気を筐体2内に取り込むための空気吸込口21が設けられている。
【0022】
筐体2の上面には、筐体2内で脱臭された空気を再び室内に戻すための空気吹出口22が設けられている。この例において、空気吹出口22は、電動スイング式のフラップによって開閉するようになっている。
【0023】
筐体2の正面上部には、脱臭装置1を操作するための操作パネル23が設けられている。操作パネル23には、電源のオンオフボタンのほか、運転モード選択ボタンやタイマー設定ボタン、フィルタ交換時期を教えるLEDランプなども設けられている。
【0024】
この例において、操作パネル23には、脱臭装置1の運転を制御するための制御部も含まれる。操作パネル23の設置場所やボタン類のレイアウトなどは、仕様に応じて任意に選択されてよい。
【0025】
筐体2内には、空気に含まれるごみを除去する集塵フィルタ3と、空気中の臭気を脱臭する脱臭ユニット4と、オゾン生成ユニット5と、ファン6とを備えている。集塵フィルタ3は、粗粒ゴミを除去するメッシュシートをプリーツ状に折り畳んだプリーツフィルタからなり、筐体2の前面開口部を覆うように着脱自在に設けられている。
【0026】
この例において、集塵フィルタ3は、粗粒ゴミを除去するためのプリーツフィルタのみから構成されているが、より微細なゴミや微粒子などを捕捉するため、HEPAフィルタなどの高性能集塵フィルタを組み合わせてもよい。
【0027】
図3〜図5を参照して、脱臭ユニット4は、臭気を吸着して分解する触媒フィルタ40と、触媒フィルタ40を加熱するヒータ50と、触媒フィルタ40およびヒータ50を挟むように配置される一対の第1断熱部材60,60と、脱臭ユニット4の外周面を覆うように配置される第2断熱部材70と、各断熱部材60,60の他方の側面を覆うように配置される一対の固定パネル80,80とを備えている。
【0028】
なお、上記脱臭ユニット4を構成する触媒フィルタ40、ヒータ50、第1断熱部材60,60および固定パネル80,80には、後述するように通風方向(図4では左右方向)に対して通気性が確保されているので、脱臭ユニット4内には通風方向に沿って空気流路が形成される。
【0029】
触媒フィルタ40は、アルミ合金製の通気性を有するハニカムコアボードの表面に酸化マンガンなどの金属酸化物や、プラチナなどの貴金属の触媒を所定の厚さに形成したものからなる。
【0030】
なお、吸着剤として、活性炭や各種セラミック粉末などをさらに添加してもよい。さらには、抗菌剤や防かび剤などの各種添加物が添加されていてもよい。触媒フィルタ40は、基本的な形態が加熱再生型であればよく、その他の変形例も本発明に含まれる。
【0031】
ヒータ50は、触媒フィルタ40の一方の面(図4では右側面)に沿って配置されるベースフレーム51と、ベースフレーム51に沿って配置されるシースヒータ52と、シースヒータ52を固定する固定フレーム53とを備えている。
【0032】
ベースフレーム51は、1枚の金属板をプレス加工したものからなり、触媒フィルタ40を支持する有底な箱形状に形成されている。ベースフレーム51は、触媒フィルタ40の外形とほぼ同じ大きさを有し、その底面には触媒フィルタ40の通気性を妨げないようにするための通気孔が多数設けられている。
【0033】
この例において、ベースフレーム51は、通気性を確保するためパンチングメタルが用いられているが、熱伝導性がよく、かつ、通気性が確保された形状であれば、仕様に応じて任意に変更可能である。
【0034】
ベースフレーム51の一方の面(図4では左側面)には、触媒フィルタ40が配置され、他方の面(図4では右側面)には、シースヒータ52が配置されている。シースヒータ52は、金属パイプの中央にスパイラル発熱体を配置し、その周囲の空間に熱伝導の良い高絶縁粉末(ともに図示しない)を充填したヒーターであり、ベースフレーム51に沿って蛇行するように設けられている。なお、ヒータ50の発熱源は、シースヒータ52以外の発熱手段であってもよい。
【0035】
固定フレーム53は、ベースフレーム51の外周面に沿って取り付けられるフレーム本体531と、シースヒータ52の反触媒フィルタ40側の面(図4では右側面)を覆い隠す輻射熱板532とを備えている。フレーム本体531および輻射熱板532はともに金属製である。
【0036】
フレーム本体531は、ベースフレーム51の外周に沿って合致するように形成された長方形状を呈し、そこに輻射熱板532が架け渡されている。輻射熱板532は、シースヒータ52を覆うとともに、シースヒータ52から照射される輻射熱を効率的に反射するため断面C字状に形成されており、シースヒータ52の形状に合わせて蛇行して形成されている。なお、反射された輻射熱は、表面が黒色の触媒で覆われた触媒フィルタ40に吸収されて、触媒フィルタ40を加熱する。
【0037】
輻射熱板532とシースヒータ52との間には、シースヒータ52の熱を逃がさないようにするための断熱シート54が挟まれている。断熱シート54は、難燃樹脂の発泡体からなり、輻射熱板532に沿って蛇行して形成されている。
【0038】
本発明において、ヒータ50は触媒フィルタ40の加熱再生に用いられる目的であればよく、その具体的な形状などは、脱臭ユニット3の仕様に応じて任意であってよい。
【0039】
次に、第1断熱部材60,60について説明するが、第1断熱部材60,60はともに同一材料で、かつ、同一形状であるため、いずれか一方についてのみ説明し、他方についての説明は省略する。
【0040】
第1断熱部材60は、例えば不織布などの通気性を有する所定厚さのシート体からなり、触媒フィルタ40の外形寸法とほぼ同じ大きさに形成されている。第1断熱部材60は、触媒フィルタ40およびヒータ50の各通気面を覆うように配置されている。
【0041】
より好ましい態様として、第1断熱部材60は、触媒フィルタ40およびヒータ50の各通気面に沿って、これらと直に接触するように配置されていることが好ましい。これによれば、第1断熱部材60を触媒フィルタ40もしくはヒータ50に対して直に接触させることで、触媒フィルタ40をより効率的に加熱することができる。
【0042】
第1断熱部材60は、また、触媒フィルタ40の通風方向(図4では左右方向)に対して平行な方向の通気抵抗をR1、通風方向に対して垂直な方向の通気抵抗をR2としたとき、R1<R2となるように設計されている。
【0043】
これによれば、触媒フィルタ40を加熱する際に、触媒フィルタ40の周囲で温められた空気が第1断熱部材60の中を下から上へ移動しにくくなるため、触媒フィルタ40の上部の温度が下部の温度より高くなるような加熱ムラがなく、触媒フィルタ40全体を一様に温めることができ、触媒フィルタ40をさらに効率的に加熱することができる。
【0044】
上述した通気抵抗がR1<R2となるようにするため、図6に示すように、第1断熱部材60の通風方向(図6の左右方向)の厚みlと、この通風方向に垂直な方向(図6の上下方向)の高さlが、l<lとなっている。さらに、第1断熱部材60は、図6(a1)に示すように、1枚の不織布シートを蛇腹状に折り畳んでゆき板状に形成したものからなる。この例において、不織布シート同士の接触面は、熱溶着されている。
【0045】
熱溶着部では、不織布シートの繊維同士が高い密度で密着しているため、この熱溶着部を通過する方向への通気抵抗は高くなる。したがって、本実施例では、通風方向に対して平行な方向に熱溶着部が延在するため、通風方向に対して垂直な方向に熱溶着部が延在する場合(図6(d))と比べて通風方向の通気抵抗R1を小さくできる。さらには、通風方向に対して垂直方向の通気抵抗R2は、熱溶着部を通過する方向となるので図6(d)と比べて通気抵抗R2を大きくできる。
【0046】
この例において、第1断熱部材60は、不織布の積層方向(図6(a1)中の矢印方向)が床面に対して垂直となるように配置されいるが、図6(a2)に示すように、積層方向が床面に対して平行となるように配置されていてもよい。床面に対して平行に配置することにより、第1断熱部材60が上下方向に長い場合でも、自重によって圧縮変形するのを抑えることができる。
【0047】
この例において、第1断熱部材60は、不織布シートを蛇腹状に折り曲げることにより、通気抵抗R1を小さくしつつ、通気抵抗R2を大きくするように設計されているが、これ以外の方法として、図6(b)に示すように、段ボールやハニカムなどのコルゲート状シートを用いてもよい。図6(b)に示すように、この段ボールシート60は、通風方向の両端面に開口部を有し、この開口部を繋ぐ通風路を備えるセルが通風方向と垂直な面上に連続するように形成されている。
【0048】
さらには、図6(c)に示すように、通風方向(図6の左右方向)に対して、通風路の一部を傾斜させてもよい。この場合は、第1断熱部材60の高さ方向に対して開口部が上側となる面(図6(c)の左側面)を触媒フィルタ40に向けて配置することで、触媒フィルタ40の周囲で温められた空気が通風方向にも移動しにくくなる。なお、これ以外にも、例えば通気抵抗の異なる断熱部材を貼り合わせて通気抵抗を調整してもよいし、部分的に粗密を設けて空隙密度を変えることで、空気抵抗を変えてもよい。
【0049】
また、より加熱効率を高めるために、第1断熱部材60の通風面に金属メッシュシートなどを貼り合わせてもよい。これによれば、金属メッシュシートがヒータ50からの輻射熱を反射させることができる。
【0050】
再び図3〜図5を参照して、第2断熱部材70は、1本の帯状に形成された合成樹脂の発泡体を脱臭ユニット4の外周面に巻き付けるようにして配置されている。この例において、第2断熱部材70は、高密度ウレタンなどの断熱性が高い発泡材が用いられているが、これ以外の断熱部材であってもよい。これによれば、脱臭ユニット4の外周から外部に逃げる熱をより確実に断熱することができる。
【0051】
次に、固定パネル80,80について説明するが、固定パネル80,80も互いに同一形状であるため、いずれか一方についてのみ説明し、他方についての説明は省略する。固定パネル80は、各第1断熱部材60,60の外側面を覆うように取り付けられる金属板からなり、脱臭ユニット4に組み込まれた際に通風方向に通気性を確保するため多数の通気孔が設けられている。
【0052】
この例において、固定パネル80は、金属板によって形成されていることで、ヒータ50から照射される輻射熱を反射する第2の輻射熱板も兼務している。これによれば、固定パネル80にて反射された輻射熱は、触媒フィルタ40によって吸収さるため、触媒フィルタ40をさらに加熱することができる。
【0053】
固定パネル80,80同士は、図示しないネジによって互いにネジ止めされることにより、触媒フィルタ40およびヒータ50を両面から第1断熱部材60,60で挟み、さらにその外周を第2断熱部材70で囲った状態で一体的に固定される。
【0054】
図2を再び参照し、オゾン生成ユニット5は、空気吸込口21から空気吹出口22に至るまでの筐体2内での空気流路上、この例では、脱臭ユニット4と空気吹出口22との間に設置されている。オゾン生成ユニット5は、ユニットケース5aを有し、ユニットケース5aの内部にはオゾン生成手段としての紫外線ランプ5bが設けられている。オゾン生成ユニット5aは、図示しない制御部によって制御される。
【0055】
ユニットケース5aは、金属などの紫外線非透過材料からなり、下面側と上面側とがそれぞれ開放されている。紫外線ランプ5bは、ユニットケース5aの下面側の開口部に隣接して配置されており、電圧が印加されることで、紫外線ランプ5bの周囲の雰囲気に低濃度のオゾンガスが生成される。
【0056】
この例において、オゾン生成手段は紫外線ランプ5bが用いられているが、これ以外のオゾン生成手段であってもよい。本発明において、オゾン生成ユニット5は任意的事項であり、上述した脱臭ユニット3を備えていることが前提条件となる。
【0057】
ファン6は、ファン本体6aと、ファン本体6aを駆動するファンモータ6bとを有し、図示しない制御部によって駆動が制御されている。ファン本体6aは、この例において、ラジアルファン(シロッコファン)からなり、負圧側が脱臭ユニット3の背面側に隣接して配置されている。
【0058】
ファン6には、吸引効率を高めるためのベルマウス6cが設けられているが、ベルマウス6cの具体的な構成は、本発明において任意であってよい。この例において、ファン本体6aは、ラジアルファンが用いられているが、空気吸込口21から空気を吸い込み、筐体2内を通って空気吹出口22から吹き出し可能なファン性能を備えていれば、そのファンの構成は任意であってよい。
【0059】
次に、図2を参照しながら、脱臭装置1の使用手順の一例について説明する。図示しない電源スイッチが押されると、制御部は、ファン6を駆動する。これにより、空気吸込口21から筐体2内に空気が吸い込まれる。
【0060】
筐体2内に吸い込まれた空気は、まず、集塵フィルタ3を通過し、粗粒なゴミが除去される。次に、前面側(図2では左側)の第1断熱部材60を通過したのち、触媒フィルタ40を通過することにより、臭気が触媒フィルタ40によって吸着除去される。
【0061】
触媒フィルタ40を通過した空気は、背面側(図2では右側)の第1断熱部材60を通過したのち、ファン6を経由してオゾン生成ユニット5に運ばれる。オゾン生成ユニット5の下面側から取り込まれた空気は、オゾンガスによって生成されるOラジカルと混ざることで酸化分解され清浄される。
【0062】
しかるのち、清浄された空気はオゾン生成ユニット5の上面側を通り筐体2の上部に持ち上げられた空気は、空気吹出口22を経て室内に戻される。以上が、一連の脱臭工程である。
【0063】
制御部は、図示しないタイマーを有し、触媒フィルタ40の駆動時間を計ることで、所定の駆動時間が経過すると、自動的に触媒フィルタ40の加熱再生工程を行う。加熱再生工程において、制御部は、まず、駆動中のファン6を停止してから、ヒータ50に通電してヒータ50を加熱する。
【0064】
ヒータ50が加熱されることで、隣接する触媒フィルタ40が徐々に加熱される。その際、触媒フィルタ40の両面には、第1断熱部材60,60によって覆われているため、熱が外に放熱されることなく、触媒フィルタ40を効率的に加熱、保温することができる。
【0065】
さらには、ヒータ50から電磁波などとして輻射された熱エネルギーは、固定パネル80によって反射されたのち、表面が黒色の触媒で覆われた触媒フィルタ40に吸収されるため、無駄なく、触媒フィルタ40を加熱することができる。
【0066】
制御部は、図示しない温度センサにて触媒フィルタ40の温度を監視し続け、設定温度になると、タイマーで所定の保持時間に基づき触媒フィルタ40を加熱保持する。
【0067】
タイマーが設定時間経過すると、制御部は、ヒータ50への通電を止めるとともに、触媒フィルタ40の駆動時間タイマーを「0」にリセットしたのち、一連の加熱再生工程を終える。その後、ファン6が駆動される。
【0068】
この例において、加熱再生工程は、脱臭工程中とは別工程で行われているが、脱臭工程中に行ってもよい。その場合、第1断熱部材60,60には、空気が流れるため、触媒ユニット40は比較的低温で制御される。また、排出される空気も暖められるため、排気温度を管理することが好ましい。
【0069】
この例において、脱臭装置1は、あくまで脱臭を専用に行う装置を例にとって説明したが、本発明の脱臭装置1は、例えばエアコンや冷蔵庫、加湿器などの一部として組み込まれていてもよい。上述した脱臭ユニット3を備えていれば、その用途は仕様に応じて任意に設定できる。
【符号の説明】
【0070】
1 脱臭装置
2 筐体
21 空気吸込口
22 空気吹出口
23 操作パネル
3 集塵フィルタ
4 脱臭ユニット
40 触媒フィルタ
50 ヒータ
60 第1断熱部材
70 第2断熱部材
80 固定パネル
5 オゾン生成ユニット
6 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口から筐体内に吸い込まれた空気を脱臭する脱臭ユニットを有し、上記脱臭ユニットにて清浄された空気を所定の送風手段を介して空気吹出口から筐体外へと排出する脱臭装置において、
上記脱臭ユニットは、臭気を吸着して分解する触媒フィルタと、上記触媒フィルタを加熱して活性化させるヒータとを有し、上記脱臭ユニットには、脱臭ユニット内の空気流路上で上記触媒フィルタを挟んで対向するように配置される断熱部材が設けられていることを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
上記断熱部材は、上記触媒フィルタの通風方向に対して平行な方向の通気抵抗をR1、上記通風方向に対して垂直な方向の通気抵抗をR2としたとき、R1<R2であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
上記断熱部材は、不織布を蛇腹状に折り畳んでシート状に形成したものからなることを特徴とする請求項1または2に記載の脱臭装置。
【請求項4】
上記断熱部材は、上記不織布の積層方向が床面に対して水平もしくは垂直となるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の脱臭装置。
【請求項5】
上記脱臭ユニットにはさらに、上記ヒータからの輻射熱を反射する輻射熱板が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の脱臭装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−24896(P2011−24896A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175663(P2009−175663)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】