説明

脱臭装置

【課題】脱臭フィルタの再生運転を過不足なく行える脱臭装置を提供する。
【解決手段】吸込口12aと吹出口15aとを結ぶ空気流路10を有する筐体内部に、送風機20と、脱臭フィルタ30aと、ヒータ30bと、送風機20やヒータ30bの駆動や通電を制御し、計時手段を有する制御手段とを備えている。また、脱臭装置1の筐体内部における脱臭フィルタ30a近傍には、室内あるいは筐体内部のどちらか一方に含まれる臭気成分を検出するように切り換える検出部切換手段を有する臭気検出装置が備えられている。制御手段は、脱臭フィルタ30aを加熱して再生する際に、臭気検出装置の検出部切換手段を制御して、臭気センサで筐体内部の空気に含まれる臭気成分を検出しこれを臭気値として取り込み、取り込んだ臭気値が所定値以下となれば脱臭フィルタ30aの加熱を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭装置に関わり、より詳細には、脱臭フィルタの脱臭機能を再生できる脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内において使用される脱臭装置は、空気中の塵埃を捕集する集塵フィルタと、空気中の臭気成分を吸着除去する脱臭フィルタと、送風機とを備えている。この脱臭装置では、送風機を駆動することによって室内空気を脱臭装置内部に吸入し、集塵フィルタや脱臭フィルタに室内空気を通して塵埃や臭気成分を室内空気から除去して室内に吹き出すことによって、室内空気を浄化している。
【0003】
集塵フィルタや脱臭フィルタは、脱臭装置を運転することによって経時的に機能が低下する。集塵フィルタは塵埃を捕集することにより目詰まりが生じて、捕集効率が落ちるとともに通風抵抗が増大する。脱臭フィルタは臭気成分の吸着が飽和状態となると、それ以上臭気成分を吸着しなくなる。
【0004】
集塵フィルタは、払い落とす、吸い取る等といった機械的な方法により捕集した塵埃を除去すれば、ある程度は集塵機能が回復して再生利用することができる。しかし、脱臭フィルタは、吸着した臭気成分を機械的に除去することが困難なため、臭気成分の吸着が飽和状態となると新しい脱臭フィルタと交換しなければならなかった。
【0005】
そこで、脱臭フィルタに吸着された臭気成分を除去して脱臭フィルタを再生利用するために、脱臭フィルタの近傍にヒータを配置し、臭気成分の吸着が飽和状態となって脱臭フィルタの脱臭機能が低下してきた際には、ヒータで脱臭フィルタを加熱し、脱臭フィルタに吸着されている臭気成分を脱臭フィルタから分離して放出することのできる脱臭装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上述した脱臭装置では、脱臭運転を行った積算時間が所定時間(例えば、24時間。脱臭フィルタが飽和状態となることを予め試験等で確認した時間)となれば、脱臭運転を停止し、ヒータに通電を開始して脱臭フィルタを所定時間(例えば、1.5時間。脱臭フィルタからの臭気成分の分離が完了することを予め試験等で確認した時間)加熱するフィルタ再生運転を行う。これにより、脱臭フィルタを交換することなく脱臭運転を長時間行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−15332号公報(第2〜3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した脱臭フィルタの再生が行える脱臭装置では、フィルタ再生運転は、脱臭フィルタの再生状態に関わらず予め定められた一定時間行われる。従って、脱臭フィルタの臭気成分の吸着状態によっては、所定時間のフィルタ再生運転ではフィルタ再生が不十分である場合や、フィルタ再生が所定時関より早く終了しているにも関わらずフィルタ再生運転を続けることによって無駄な電力を消費している虞がある、という問題があった。
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、脱臭フィルタの再生運転を過不足なく行える脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筐体内部に、吸込口から吸入した空気を吹出口から放出する送風機と、空気流路に配置され、吸込口から吸入した空気を脱臭し、加熱されることにより脱臭能力が再生できる脱臭フィルタと、脱臭フィルタを加熱するためのヒータと、送風機や前記ヒータの駆動や通電を制御し、計時手段を有する制御手段とを備えている。脱臭装置は、筐体内部の空気に含まれる臭気成分を検出する臭気検出装置を有し、制御手段は、臭気検出装置での検出値に応じてヒータへの通電制御を行う。また、臭気検出装置は、脱臭装置の筐体倍部における脱臭フィルタ近傍に配置されており、臭気センサと、臭気センサで脱臭装置が設置された室内空気あるいは脱臭装置の筐体内部の空気のどちらか一方に含まれる臭気成分を検出するように切り換える検出部切換手段とを有している。そして、制御手段は、脱臭装置が脱臭運転を行う際は、室内空気に含まれる臭気成分を検出できるよう検出部切換手段を制御し、ヒータで脱臭フィルタを加熱する際は、筐体内部の空気に含まれる臭気成分を検出できるよう検出部切換手段を制御する。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明の脱臭装置によれば、制御手段は、脱臭フィルタをヒータで加熱して脱臭フィルタを再生する際に放出される臭気成分を臭気センサで検出して臭気値として取り込み、この臭気値が所定値以下となればフィルタ再生運転を停止している。従って、脱臭フィルタの再生が不十分であったり、必要以上にフィルタ再生運転が行われることを防ぐことができるため、過不足なく脱臭フィルタの再生が行われ、かつ、無駄な消費電力を削減することができる。また、フィルタ再生運転を行う時間を最小限にできるので、脱臭運転の停止時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による脱臭装置の外観斜視図である。
【図2】図1におけるX−Xで切断した要部断面図である。
【図3】図1におけるY−Yで切断した要部断面図である。
【図4】本発明による脱臭装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】図3におけるC部拡大図であり、本発明による脱臭装置に備えられた臭気検出装置の詳細説明図である。
【図6】本発明による脱臭装置における、フィルタ再生運転時の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、空気中の塵埃除去、脱臭および空気の加湿が行える脱臭装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例】
【0014】
図1乃至図3に示すように、本実施例における脱臭装置1は、その筐体が縦長の略直方体形状とされている。脱臭装置1は、前面側に前面パネル11が形成され、前面パネル11と対向する背面側に背面パネル12が形成されている。また、前面パネル11の右側には右側面パネル13が、前面パネル11の左側には左側面パネル14が、それぞれ形成されている。更には、脱臭装置1の上面には、上面パネル15が形成されている。
【0015】
図2に示すように、背面パネル12には、多数の開口部からなり、脱臭装置1内部に室内空気(脱臭装置1外部の空気)を吸入するための吸込口12aが形成されている。また、図1および図3に示すように、右側面パネル13には、後述する臭気検出装置50が設けられている。
【0016】
図1乃至図3に示すように、上面パネル15には、前面パネル11側に操作部24が備えられ、操作部24に隣接して矩形状のルーバ16が備えられている。操作部24には、使用者が脱臭装置1を運転操作するための各種ボタンや表示部等が配置されている。ルーバ16は、手動により開閉可能とされており、図2に示すように、ルーバ16を開くことによって、脱臭装置1内部から空気を放出するための吹出口15aが開口される。
【0017】
図2および図3に示すように、脱臭装置1の内部には、吸込口12aと吹出口15aとを結ぶ空気流路10が設けられており、この空気流路10の一部を構成し樹脂材からなる空気流路形成部17が設けられている。空気流路10には、空気流路10の上流側(吸込口12a側)から下流側(吹出口15a側)に向かって集塵フィルタ31、脱臭ユニット30、気化フィルタ32、送風機20、オゾン発生装置21、イオン発生装置22、の順番でそれぞれが配置されている。また、脱臭装置1の背面パネル12側で集塵フィルタ31の上方には、メイン基板23が配置されている。
【0018】
集塵フィルタ31は、不織布等をプリーツ形状に形成したものであり、脱臭装置1内部に吸入される室内空気に含まれる、塵埃やペットの毛、花粉等を捕集する。
【0019】
脱臭ユニット30は、脱臭フィルタ30aと、ヒータ30bと、温度センサ30cとで構成される。脱臭フィルタ30aは、例えば、油の臭い、タバコやペットの臭い等の高濃度の臭気成分を吸着して分解する触媒フィルタである。ヒータ30bは、脱臭フィルタ30aの面に沿うように配置したシースヒータであり、ヒータ30bで脱臭フィルタ30aを加熱することによって、脱臭フィルタ30aが吸着した臭気成分の脱臭フィルタ30aに含まれる触媒による分解を促進し脱臭性能を再生する。温度センサ30cは、測温抵抗体やサーミスタ等であり、ヒータ30bの配置場所近傍の温度を検出する。
【0020】
気化フィルタ32は、通気性と吸水性とを備える材料をプリーツ形状に形成したものであり、図示しない給水タンク等に蓄えられた水を吸収して常時湿った状態となっている。湿った状態の気化フィルタ32に、脱臭装置1内部に吸入した空気を通過させることで、通過した空気を加湿する。
【0021】
送風機20は、ファンモータ20aと、送風ファン20bとで構成される。送風ファン20bは、ファンモータ20aの図示しない回転軸に固定されている。ファンモータ20aを駆動して送風ファン20bを回転させることで、図2に示す白抜き矢印のように、吸込口12aから脱臭装置1内部に室内空気を吸込み、吸込まれた空気は、集塵フィルタ31、脱臭ユニット30、気化フィルタ32の順に通過し、空気流路10内を経て吹出口15aから室内に放出される。
【0022】
オゾン発生装置21は、ケース21aと、UVランプ21bと、オゾン分解触媒21cとで構成される。図3に示すように、ケース21aは脱臭装置1の左右方向に長い略直方体形状に形成されている。ケース21aには、空気流路10に臨む位置に、ケース21a内に空気を流入させる流入口21dを備え、また、吹出口15aに連通する位置に、ケース21a内から空気を流出させる流出口21eを備えている。ケース21a内部には、流入口21dから流出口21eに向かってUVランプ21b、オゾン分解触媒21c、の順番で配置されている。
【0023】
UVランプ21bは直管型のランプであり、ケース21aの左右方向に沿って、かつ、流入口21dから流出口21eに向かってケース21a内を空気が流れる方向に対して直交するように配置されている。UVランプ21aを点灯すると、UVランプ21aから紫外線が照射され、紫外線がケース21a内部を通過する空気に照射されることでオゾンが生成される。この発生したオゾンによって、ケース21a内部を通過する空気の除菌や脱臭が行われる。
【0024】
オゾン分解触媒21cは、酸化チタン等のオゾンを分解する作用を有する金属触媒よりなり、オゾン発生装置21のケース21a内部を通過する空気にUVランプ21aから紫外線が照射されることにより発生したオゾンが、ケース21a内部を通過する空気によって流出口21eへと運ばれて空気とともにケース21a外へ流出する際に、オゾン濃度を低濃度(例えば、0.02ppm以下)とする。
【0025】
イオン発生装置22は、空気流路10内のオゾン発生装置21の流入口21dより下流側で、吹出口15a付近に配置されている。イオン発生装置22は、図示しない放電電極と接地電極とを備えており、放電電極と接地電極との間に高電圧を印加することにより、放電電極と接地電極との間にコロナ放電が発生してマイナスイオンや低濃度(例えば、0.02ppm以下)のオゾンが生成される。
尚、空気流路10内のオゾン発生装置21やイオン発生装置22が配置されている箇所は、その他の空気流路10の箇所(例えば、送風機20が設置されている箇所)に比べて、脱臭装置1の左右方向の幅寸法は同じであるが、図2に示すように、奥行き方向の寸法が長くされており、広い空間とされている。
【0026】
図1または図3に示すように、臭気検出装置50は、脱臭装置1内部の右側面パネル13に備えられており、前後方向については略中央部に、上下方向については中央よりやや上方であって脱臭フィルタ30aやヒータ30bより上方に配置されている。
【0027】
図5に示すように、臭気検出装置50は、室内あるいは脱臭装置1内部の臭気成分を検出する臭気センサ51と、回転軸57aを有するステッピングモータ57と、回転軸57aに一端が固定された板状部材である切換板56と、右側面パネル13に接する面が開口された略直方体形状であり、上述した構成部品を格納する臭気検出装置筐体52とを備えている。
【0028】
臭気センサ51は、臭気検出装置筐体52の背面側(脱臭装置1の背面パネル12側)の内面に配置されている。臭気センサ51は接触燃焼式であり、臭気センサ51に備えられた図示しないヒータに電流を流して温度を上昇させ、このヒータに臭気成分(可燃ガスであることが多い)が触れると燃焼して高温になることによりヒータの温度が上がって電気抵抗が変化する。この時のヒータの電圧を検出することで臭気成分量(臭気センサ51での検出値)を検出する。
【0029】
右側面パネル13の一部には、脱臭装置1外部に向けて開口された室内側検出孔53が設けられ、臭気検出装置筐体52はこの室内側検出孔53を覆うように配置されている。また、臭気検出装置筐体52の室内側検出孔53と対向する面には、装置内側検出孔54が設けられている。さらには、臭気検出装置筐体52の上面には、室内側検出孔53あるいは装置内側検出孔54から臭気検出装置筐体52内部に流入した空気を臭気検出装置筐体52外へ流出させる空気流出孔55が設けられている。
【0030】
切換板56は、脱臭装置1の前後方向(奥行方向)に対し臭気センサ51より前側に配置され、ステッピングモータ57を駆動することによって左右に回動するようになっている。切換板56が右に回動した場合は、切換板55の先端部が室内側検出孔53上方の右側面パネル13内面に接触し、切換板56が左に回動した場合は、切換板56の先端部が装置内側検出孔54上方の臭気検出装置筐体52内面に接触する。
【0031】
室内の臭気成分量を臭気センサ51で検出する時は、図5(A)に示すように、ステッピングモータ57を駆動して切換板56を左に回動し、室内側検出孔53と空気流出孔55とを連通させて図5(A)に示す矢印のように臭気検出装置筐体52内部に室内空気を流通させる。また、脱臭装置1内部の臭気成分量を臭気センサ51で検出する時は、図5(B)に示すように、ステッピングモータ57を駆動して切換板56を右に回動し、装置内側検出孔54と空気流出孔55とを連通させて図5(B)に示す矢印のように臭気検出装置筐体52内部に装置内空気を流通させる。
尚、上述した切換板56と、ステッピングモータ57とで検出部切換手段が構成される。
【0032】
次に、図4を用いて脱臭装置1の電気的な構成を説明する。尚、本実施例における脱臭装置1には気化フィルタ32による加湿機能が備えられているが、加湿機能に関わる電気的な構成は、本発明に直接関係しないため、その説明を省略する。
【0033】
図4に示すように、脱臭装置1には、上述したファンモータ20a、UVランプ21b、イオン発生装置22、操作部24、ヒータ30b、温度センサ30c、臭気センサ51およびステッピングモータ57の他に、脱臭装置1を操作するための図示しないリモコンから送信された信号を受信するリモコン受信部42と、スイッチ部43と、インバータ部44と、ファンモータ駆動部45と、ヒータ通電部46と、ステッピングモータ駆動部47と、これらを制御する制御手段40とを備えている。
【0034】
電源部41は、電源コード48を介してコンセントに接続され、コンセントを介して供給される交流電圧から脱臭装置1の運転に必要な直流電圧を生成して、イオン発生装置22、制御手段40、スイッチ部43、ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、およびステッピングモータ駆動部47に供給する。尚、図4では、電源部41から制御手段40およびスイッチ部43への電力供給を矢印で示しているが、これ以外の電力供給の矢印による図示は省略している。
【0035】
スイッチ部43は、電源部41から供給された直流電圧を制御手段40からの信号に基づいて入り切りし、インバータ44はスイッチ部43から受けた直流電圧を、UVランプ21bを点灯できる高周波電圧に変換してUVランプ21bに供給する。イオン発生装置22は、内部に図示しない電源回路を有しており、電源部41から供給された直流電圧を、放電電極と接地電極との間に加えて両極間でコロナ放電が発生する電圧に昇圧する。ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、およびステッピングモータ駆動部47の夫々は、電源部41から供給された直流電圧を受けて、ファンモータ20a、ヒータ30bおよびステッピングモータ57を駆動する。
【0036】
制御手段40は、図示しない記憶部や計時手段、通信インターフェイス等を備えており、脱臭装置1の上面パネル15に配置されたリモコン受信部42や操作部24から使用者による運転指示信号を受信するとともに、温度センサ30cや臭気センサ51から夫々の検出信号を取り込む。また、制御手段40は、上述した運転指示信号や検出信号に基づいて、スイッチ部43にオンオフ信号を送信することでUVランプ21bへの通電を制御するとともに、ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、およびステッピングモータ駆動部47へ夫々に対応する制御信号を送信してファンモータ20a、ヒータ30bおよびステッピングモータ57の駆動制御を行う。また、制御手段40は、イオン発生装置22の駆動制御を行う。
【0037】
次に、脱臭装置1で脱臭運転を行う際の、各部の働きや脱臭装置1内部での空気の流れについて説明する。尚、脱臭運転を行う際は、図2および図3に示すように、ルーバ16は開いた状態になっているものとする。
【0038】
使用者が図示しないリモコンの操作や操作部24を操作することによって、リモコン受信部42や操作部24から脱臭装置1の脱臭運転開始を指示する運転指示信号がリモコンや操作部24から制御手段40に送信される。運転指示信号を受信した制御手段40は、ファンモータ駆動部45に、ファンモータ20aの回転数情報を含んだ駆動制御信号を送信する。ファンモータ駆動部45は、受信した駆動制御信号に基づいてファンモータ20aを起動する。これにより送風ファン20bが回転して送風機20が運転を開始する。
【0039】
次に、制御手段40は、室内空気の臭気成分を検出するために、ステッピングモータ駆動部47に駆動制御信号を送信する。ステッピングモータ駆動部47は、受信した駆動制御信号に基づいて、図5(A)に示すように、室内側検出孔53と空気流出孔55とが連通するようにステッピングモータ57を駆動して切換板56を装置内側検出孔54側に回動する。これにより、臭気センサ51は室内空気に含まれる臭気成分を検出できるようになる。
【0040】
次に、制御手段40は、スイッチ部43にオン信号を送信する。オン信号を受信してオンされたスイッチ部43は、インバータ部44を介してUVランプ21bへの通電を開始しUVランプ21bを点灯させる。また、制御手段40は、イオン発生装置22に駆動信号を送信してイオン発生装置22を駆動する。
【0041】
以上説明した状態で、送風機20が運転することによって吸込口12aから脱臭装置1内部に室内空気が吸入される。吸込口12aから吸い込まれた空気は、集塵フィルタ31を通過する際に除塵され、脱臭フィルタ30aを通過する際に脱臭される。次に、集塵フィルタ31および脱臭フィルタ30aを通過した空気は、気化フィルタ32を通過し、その際に加湿される。
【0042】
気化フィルタ32を通過した空気は空気流路10内を上方(空気流路10の下流側)へ流れ、その大部分は吹出口15aから室内へ放出される。その際、イオン発生装置22で生成されたマイナスイオンは、吹出口15aから室内へ放出される空気に乗って室内に放出される。室内に放出されたマイナスイオンは、室内に浮遊するカビやウイルス等の微生物に付着してこれらを不活性化する。また、イオン発生装置22で生成された低濃度のオゾンは、イオン発生装置22近傍を流れて吹出口15aから室内へ放出される空気に含まれる脱臭フィルタ30aで分解しきれなかった臭気成分を酸化反応により分解する。
【0043】
一方、気化フィルタ32を通過した空気の一部は、流入口21dを通ってオゾン発生装置21内部に取り込まれる。取り込まれた空気には、UVランプ21bによって紫外線が照射され、これによりオゾンが生成される。生成されたオゾンは、取り込まれた空気中に浮遊するカビやウイルス等の微生物を除菌するとともに、脱臭フィルタ30aで分解しきれなかった臭気成分を酸化反応により分解する。
【0044】
除菌および脱臭されたオゾン発生装置21内部の空気は、流出口21eを通って吹出口15aから室内に放出される。オゾン発生装置21内部から放出された空気には、オゾン分解触媒21cの働きによって低濃度となったオゾンが含まれており、この低濃度のオゾンが室内のカーペットやカーテン等に付着した臭気成分を分解する。
尚、上述した説明において、吸込口12aから吸入され、空気流路10を通って吹出口15aから放出される空気の流れは、図2において白抜き矢印で示している。
【0045】
以上説明した脱臭装置1の脱臭運転では、制御手段40は、臭気センサ51で検出した室内空気の臭気成分に対応する検出値を定期的に取り込み、取り込んだ検出値に応じて送風機20のファンモータ20bの回転数を制御するとともに、オゾン発生手段21やイオン発生手段22の運転停止あるいは開始の制御を行っている。
【0046】
次に、図1乃至図5を使用して、本実施例の脱臭装置1における、脱臭フィルタ30aをヒータ30bで加熱して脱臭フィルタ30aが吸着した臭気成分の触媒による分解を促進し脱臭性能を再生するフィルタ再生運転について説明する。
【0047】
上述したように、制御手段40は計時手段を備えており、脱臭装置1で脱臭運転を行っている時間を積算して記憶部に記憶している。制御手段40は、脱臭運転中にこの積算時間が所定時間、例えば、24時間となれば、脱臭運転を停止してフィルタ再生運転を行う。この積算時間は、予め試験等によって求められた、脱臭フィルタ30aの脱臭能力が飽和状態となるまでの時間であり、制御手段40の記憶部に記憶されている。
【0048】
制御手段40は、脱臭装置1内部の臭気成分を検出するために、ステッピングモータ駆動部47に駆動制御信号を送信して、ステッピングモータ駆動部47が、図5(B)に示すように、装置内側検出孔54と空気流出孔55とが連通するようにステッピングモータ57を駆動して切換板56を室内側検出孔53側に回動する。これにより、臭気センサ51は脱臭装置1内部の空気に含まれる臭気成分を検出できるようになる。
【0049】
次に、制御手段40は、オゾン発生装置21とイオン発生装置22とが稼働中であるか否かを判断し、停止中であれば、オゾン発生装置21とイオン発生装置22とを稼働する。これにより、オゾン発生装置21で生成されたオゾンがオゾン発生装置21内部の空気、および、流入口21dを通って空気流路10に拡散しオゾン発生装置21下方に滞留する空気に浮遊する。また、イオン発生装置22で生成されたオゾンも同様に空気流路10のイオン発生装置22下方およびオゾン発生装置21下方に滞留する空気に浮遊する。
【0050】
次に、制御手段40は、ヒータ通電部46に通電信号を送信する。通電信号を受けたヒータ通電部46は、ヒータ30bへの通電を開始する。制御手段40は、ヒータ30bに備えられた温度センサ30cで検出したヒータ30bの温度を定期的に取り込み、ヒータ30bの温度が所定温度、例えば200℃となるように、ヒータ通電部46を介してヒータ30bを制御する。
【0051】
フィルタ再生運転を行っている際は、加熱されている脱臭フィルタ30aで分解し切れない臭気成分が、脱臭装置1内部の空気に放出される。脱臭フィルタ30aは空気流路10の上流側(吸込口12a側)に配置されているため、脱臭フィルタ30aから放出された臭気成分が、吸込口12aを通って室内に漏れ出す虞がある。これを防ぐため、制御手段40は、フィルタ再生運転中は送風機20を所定の低回転数、例えば、ファンモータ20aを330rpmで回転させるようファンモータ駆動部45を介して制御する。
【0052】
送風機20を回転させることにより、吸込口12aから脱臭装置1内部に室内空気が吸入されるため、ヒータ30bが冷却されて、ヒータ30bの温度が所定温度より低下して、脱臭フィルタ30aが吸着した臭気成分の分解に時間がかかったり、分解が不十分となる虞がある。このため、制御手段40は、温度センサ30cから取り込んだヒータ30bの温度が所定温度以下、例えば、190℃以下となれば、送風機20の運転を停止し、ヒータ30bの温度が200℃に回復すれば、再び送風機20を起動する制御を行う。
【0053】
脱臭フィルタ30aから放出された臭気成分は、送風機20の回転によって、空気流路10の上方、つまり、オゾン発生装置21側やイオン発生装置22側に運ばれる。この場所には、上述したようにオゾン発生装置21やイオン発生装置22で生成されたオゾンが浮遊しており、このオゾンによって臭気成分が分解される。上述したように、空気流路10内のオゾン発生装置21やイオン発生装置22の下方は、その他の空気流路10の箇所に比べて広い空間とされているため、臭気成分が滞留する時間が長くなり、より効率的にオゾンによる脱臭成分の分解が行える。
【0054】
空気流路10のオゾン発生装置21やイオン発生装置22の下方で分解されなかった臭気成分は、流入口21dを通ってオゾン発生装置21内部に流入し、また、イオン発生装置22の近傍に移動する。オゾン発生装置21内部に流入した臭気成分は、オゾン発生装置21内部に滞留するオゾンによって分解される。イオン発生装置22の近傍に移動した臭気成分は、イオン発生装置22で生成されたマイナスイオンを吸着して空気流路10のオゾン発生装置21やイオン発生装置22の下方に落下し、そこに浮遊するオゾンによって分解される。
【0055】
制御手段40は、フィルタ再生運転を行っている間は、臭気センサ51での検出値を定期的に取り込んでいる。脱臭フィルタ30aの再生が進むと、脱臭フィルタ30aから放出される臭気成分が少なくなる。制御手段40は、取り込んだ検出値が所定値以上、例えば、1.5V以上であれば、フィルタ再生が完了していないと判断しフィルタ再生運転を継続する。取り込んだ検出値が1.5Vより小さければ、制御手段40は、フィルタ再生が完了したと判断し、フィルタ再生運転を停止、つまり、ヒータ30bへの通電をヒータ通電部46を介して停止する。そして、制御手段40は、ステッピングモータ駆動部47に駆動制御信号を送信し、図5(A)に示すように、室内側検出孔53と空気流出孔55とが連通するようにステッピングモータ57を駆動して切換板56を左に回動し、臭気センサ51で室内の臭気成分が検出できるようにする。その後、制御手段40は、脱臭運転を開始あるいは再開する。
【0056】
以上説明したように、本実施例における脱臭装置1のフィルタ再生運転では、脱臭フィルタ30aの再生時に脱臭フィルタ30aから放出される臭気成分を、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22の働きによって分解するので、フィルタ再生運転時に臭気成分が脱臭装置1内部から漏れ出す量を低減することができる。
【0057】
また、臭気センサ51での検出値が所定値より小さくなれば、フィルタ再生運転を停止して脱臭運転を再開するので、過不足のないフィルタ再生運転が行え、フィルタ再生運転時の消費電力を低減することができる。
【0058】
尚、以上説明した実施例では、フィルタ再生運転を行っている際に、吸込口12aから室内への臭気成分放出を防ぐために、低回転数で送風機20を運転しているが、脱臭装置1内部の構造や脱臭フィルタ30aの配置によって吸込口12aから室内への臭気成分放出の心配がない場合は、フィルタ再生運転中は送風機を20を停止してもよい。
【0059】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施例の脱臭装置1の制御手段40における、フィルタ再生運転時の処理の流れについて説明する。尚、図6のフローチャートでは、STはステップを表しこれに続く数字はステップの番号を表している。尚、図6では本発明に関わる処理を中心に説明しており、通常の脱臭運転時における、使用者の指示や各センサでの検出値に基づいた運転制御等のその他の処理の説明は省略している。
【0060】
制御手段40は、リモコン受信部42や操作部24から脱臭装置1の運転開始指示を受信すると、記憶部に記憶している脱臭運転の積算時間が所定時間以上であるか否かを判断する(ST1)。積算時間が所定時間以上でなければ(ST1−No)、制御手段40は、脱臭運転を再開し(ST12)、ST1に処理を戻す。
【0061】
積算時間が所定時間以上であれば(ST1−Yes)、制御手段40は、ステッピングモータ駆動部47を介してステッピングモータ57を駆動して、装置内側検出孔54と空気流出孔55とが連通するように切換板56を室内側検出孔53側に回動する。(ST2)。
【0062】
次に、制御手段40は、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22が稼働中であるか否かを判断する(ST3)。オゾン発生装置21およびイオン発生装置22が稼働中であれば(ST3−Yes)、制御手段40はST4に処理を進める。オゾン発生装置21およびイオン発生装置22が停止していれば(ST3−No)、制御手段40は、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22を稼働させ(ST13)、ST4に処理を進める。
【0063】
次に、制御手段40は、ヒータ通電部46を介してヒータ30bに通電を開始してフィルタ再生運転を開始する(ST4)。
【0064】
次に、制御手段40は、温度センサ30cで検出したヒータ30bの温度を取り込む(ST5)。そして、制御手段40は、取り込んだヒータ30bの温度が所定値以上であるか否かを判断する(ST6)。
【0065】
取り込んだヒータ30bの温度が所定値以上でなければ(ST6―No)、制御手段40は、ファンモータ駆動部45を介してファンモータ20aを停止し、送風ファン20aを停止する(ST14)。尚、ST6の処理時において、ファンモータ20aが停止している場合は、制御手段40はファンモータ20aの停止状態を継続する。取り込んだヒータ30bの温度が所定値以上であれば(ST6−Yes)、制御手段40は、ファンモータ駆動部45を介してファンモータ20aを駆動し、送風ファン20aを所定の低回転数で回転する(ST7)。尚、ST6の処理時において、ファンモータ20aが駆動している場合は、制御手段40はファンモータ20aの回転数を所定の低回転数とする。
【0066】
次に、制御手段40は、臭気センサ51での検出値を取り込む(ST8)。そして、制御手段40は、取り込んだ検出値が所定値以上であるか否かを判断する(ST9)。
【0067】
取り込んだ検出値が所定値以上であれば(ST9−Yes)、制御手段40は、ST5に処理を戻す。取り込んだ検出値が所定値以上でなければ(ST9−No)、制御手段40は、ヒータ通電部46を介してヒータ30bへの通電を停止してフィルタ再生運転を停止する(ST10)。
【0068】
次に、制御手段40は、ステッピングモータ駆動部47を介してステッピングモータ57を駆動して室内側検出孔53と空気流出孔55とが連通するように切換板56を装置内側検出孔54側に回動する。(ST11)。そして、制御手段40は、ST1に処理を戻す。
【0069】
以上説明したように、本発明の脱臭装置によれば、制御手段は、脱臭フィルタをヒータで加熱して脱臭フィルタを再生する際に放出される臭気成分を臭気センサで検出して臭気値として取り込み、この臭気値が所定値以下となればフィルタ再生運転を停止している。従って、脱臭フィルタの再生が不十分であったり、必要以上にフィルタ再生運転が行われることを防ぐことができるため、過不足なく脱臭フィルタの再生が行われ、かつ、無駄な消費電力を削減することができる。また、フィルタ再生運転を行う時間を最小限にできるので、脱臭運転の停止時間を削減することができる。
【0070】
尚、本実施例におけるフィルタ再生運転では、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22を連続して運転させる場合について説明したが、フィルタ再生運転時の臭気センサ51での検出値が低い場合は、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22を断続的に運転させるようにしてもよい。これにより、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22での消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 脱臭装置
10 空気流路
11 前面パネル
12 背面パネル
12a 吸込口
13 右側面パネル
14 左側面パネル
15 上面パネル
15a 吹出口
16 ルーバ
17 空気流路形成部
20 送風部
20a ファンモータ
20b 送風ファン
21 オゾン発生装置
21a ケース
21b UVランプ
21c オゾン分解触媒
21d 流入口
21e 流出口
22 イオン発生装置
23 メイン基板
24 操作部
30 脱臭ユニット
30a 脱臭フィルタ
30b ヒータ
30c 温度センサ
31 集塵フィルタ
32 気化フィルタ
40 制御手段
41 電源部
42 リモコン受信部
43 スイッチ部
44 インバータ部
45 ファンモータ駆動部
46 ヒータ通電部
47 ステッピングモータ駆動部
48 電源コード
50 臭気検出装置
51 臭気センサ
52 臭気検出装置筐体
53 室内側検出孔
54 装置内側検出孔
55 空気流出孔
56 切換板
57 ステッピングモータ
57a 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筐体内部に、
前記空気流路に配置され、前記吸込口から吸入した空気を脱臭し、加熱されることにより脱臭能力が再生できる脱臭フィルタと、
前記脱臭フィルタを加熱するためのヒータと、前記ヒータの通電制御を行う制御手段とを備えた脱臭装置であって、
前記脱臭装置は、同脱臭装置の筐体内部の空気に含まれる臭気成分を検出する臭気検出装置を有し、
前記制御手段は、前記臭気検出装置での検出値に応じて前記ヒータへの通電制御を行うことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筐体内部に、
前記空気流路に配置され、前記吸込口から吸入した空気を脱臭し、加熱されることにより脱臭能力が再生できる脱臭フィルタと、
前記脱臭フィルタを加熱するためのヒータと、前記ヒータの通電制御を行う制御手段とを備えた脱臭装置であって、
前記脱臭装置は、臭気センサと、同臭気センサで前記脱臭装置が設置された室内空気あるいは同脱臭装置の筐体内部の空気のどちらか一方に含まれる臭気成分を検出するように切り換える検出部切換手段とを備えた臭気検出装置を有し、
前記臭気検出装置は、前記脱臭装置の筐体内部における前記脱臭フィルタ近傍に配置され、
前記制御手段は、前記筐体内部の空気に含まれる臭気成分を検出できるよう検出部切換手段を切り換えて、前記臭気検出装置での検出値に応じて前記ヒータへの通電制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−183087(P2012−183087A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46275(P2011−46275)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】