脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具、脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具並びに毛髪の脱色又は染色方法
【課題】脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元部分に短時間で容易に塗布することができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供する。
【解決手段】本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具である。塗布具１は、下端に底部２ａを有し、上端に開口部２ｂを有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器２と、容器２の開口部２ｂに取り付けられる蓋３とを備える。蓋３は、ノズル１２を少なくとも２個有する。ノズル１２は、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路１２ａを有する。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態で、ノズル１２は、容器２側に脱色剤又は酸化染毛剤を流路に流入させるための流入口１２ｂと、容器２側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤を流路から流出させるための流出口１２ｃとを有する。
【解決手段】本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具である。塗布具１は、下端に底部２ａを有し、上端に開口部２ｂを有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器２と、容器２の開口部２ｂに取り付けられる蓋３とを備える。蓋３は、ノズル１２を少なくとも２個有する。ノズル１２は、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路１２ａを有する。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態で、ノズル１２は、容器２側に脱色剤又は酸化染毛剤を流路に流入させるための流入口１２ｂと、容器２側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤を流路から流出させるための流出口１２ｃとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられ、容器と該容器に取り付けられる蓋とを備える脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具、並びに該脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具に関する。さらに、本発明は、上記脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた毛髪の脱色又は染色方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
毛髪を脱色又は染色するために、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを含む２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が広く用いられている。
【０００３】
上記第１剤と上記第２剤とを混合するために、一般に、上記第２剤が内部に収容された容器中に、上記第１剤を入れた後、蓋を閉めて、容器を振る作業が行われている。上記第１剤と上記第２剤とを混合した後、ノズルを有する蓋が容器に取り付けられた状態で、蓋のノズルから、容器中の混合剤が吐出され、毛髪に塗布されている。毛髪の脱色又は染色時には、蓋のノズルにより、毛髪がかき分けられることがある。また、ノズルを有する蓋が容器に取り付けられた塗布具には、混合剤を適量ずつ毛髪に塗布可能であることが求められている。
【０００４】
上記第１剤と上記第２剤とが混合された混合剤を毛髪に塗布するための塗布具として、下記の特許文献１には、図８に示す塗布具１０１が開示されている。下記の特許文献２には、図９に示す塗布具１１１が開示されている。
【０００５】
図８，９に示す塗布具１０１，１１１は、上端に開口部を有する有底の容器１０２，１１２と、容器の開口部に取り付けられた蓋１０３，１１３とを備える。蓋１０３，１１３はそれぞれ、上方に延びるノズル１０３ａ，１１３ａを１つ有する。ノズル１０３ａ，１１３ａはそれぞれ、上方にいくにつれ先細りした形状を有する。ノズル１０３ａの先端の吐出口は、円形である。ノズル１１３ａの先端の吐出口は、矩形である。
【０００６】
また、従来の脱色剤又は酸化染毛剤が容器中で混合された混合剤は、クリーム状又は液状であることが多い。クリーム状又は液状の混合剤は、毛髪に塗布された後、クリーム状又は液状のままで毛髪が脱色又は染色されるまで５〜６０分程度放置される。毛髪が脱色又は染色された後、混合剤は洗い流される。
【０００７】
クリーム状の混合剤は、粘度が比較的高いので、毛髪に均一に付着させることは困難である。このため、脱色又は染色後の毛髪に、脱色むら又は染色むらが生じやすい。特に、クリーム状の混合剤を施術者が自身の毛髪に塗布する場合には、すなわちクリーム状の混合剤をセルフで使用する場合には、クリーム状の混合剤を毛髪に均一に付着させることはより一層困難であり、脱色むら又は染色むらが特に生じやすいという問題がある。
【０００８】
一方で、液状の混合剤は、粘度が比較的低いので、毛髪に均一に付着させやすい。しかし、液状の混合剤は、毛髪への塗布時に垂れ落ちやすい。特に、液状の混合剤をセルフで使用する場合には、毛髪への塗布時に、液状の混合剤が垂れ落ちることが多い。さらに、液状の混合剤を毛髪に塗布した後、液状のままで毛髪が脱色又は染色されるまで放置される間にも、液状の混合剤は垂れ落ちやすい。
【０００９】
近年、垂れ落ちを抑制したり、脱色性又は染色性を高めたりするために、様々な脱色剤又は酸化染毛剤の開発が行われている。例えば、下記の特許文献３には、第１剤と第２剤との内の少なくとも一方が界面活性剤を含む２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が開示されている。この２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、容器中で混合され、混合された混合剤はフォーマー容器から泡状の状態で毛髪に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】実開平６−６５２５３４号公報
【特許文献２】特開２００１−１４５５１４号公報
【特許文献３】特開２００４−３３９２１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
特許文献１，２に記載の塗布具１０１，１１１を用いて、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布した場合には、所定量の混合剤を毛髪に塗布するのに長時間を要する。
【００１２】
また、特許文献１，２に記載の塗布具１０１，１１１を用いて、混合剤をセルフで毛髪に塗布する場合には、ノズル１０３ａ，１１３ａにより毛髪を適度にかき分けながら、毛髪の根元（生え際）部分に混合剤をむらなく塗布することは困難である。このため、ノズルだけでなく人の手によっても毛髪を分けながら、毛髪の根元部分に混合剤を塗布しなければならないことがある。
【００１３】
特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染色剤は、特許文献１，２に記載の塗布具で塗布される脱色剤又は酸化染毛剤ではない。特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤は、フォーマー容器から泡状の状態で毛髪に塗布される。特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤では、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するので、液状の混合剤を毛髪に塗布する場合と比べて、混合剤を毛髪に比較的塗布しやすく、塗布時又は塗布後の放置時に混合剤の毛髪からの垂れ落ちをある程度抑えることが可能である。
【００１４】
しかしながら、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するため、泡状の混合剤をむらなく毛髪に塗布することは困難である。特に、毛髪の根元（生え際）部分に、泡状の混合剤は塗布しにくい。このため、脱色むら又は染色むらが生じやすい。
【００１５】
さらに、混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、混合剤の同一体積中に含まれる脱色成分又は染色成分の量が少なくなる。このため、毛髪に塗布される段階で混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、毛髪に付着した混合剤の量が少なくなりやすい。このため、毛髪を十分に脱色又は染色できないことがある。
【００１６】
本発明の目的は、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１７】
本発明の限定的な目的は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に好適に用いられ、塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の毛髪からの垂れ落ちを抑制することができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１８】
本発明のさらに限定的な目的は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられ、毛髪上で脱色剤又は酸化染毛剤を良好に泡立たせることができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１９】
本発明の他の目的は、上記塗布具の上記容器中に脱色剤又は酸化染毛剤が収容されており、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具、並びに毛髪の脱色又は染色方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００２０】
本発明の広い局面によれば、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具であって、下端に底部を有し、上端に開口部を有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器と、上記容器の上記開口部に取り付けられる蓋とを備え、該蓋は、ノズルを少なくとも２個有し、該ノズルは、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルは、上記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤が上記流路に流入する流入口と、上記容器側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤が上記流路から流出する流出口とを有する、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具が提供される。
【００２１】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具のある特定の局面では、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記容器を下側かつ上記蓋を上側となるように配置したときに、上記ノズルに設けられた上記流路は、下方から上方に向かって延びている。
【００２２】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の他の特定の局面では、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルに設けられた上記流路は、上記容器の中心線に対して略平行な方向に延びている。
【００２３】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具のさらに他の特定の局面では、上記ノズルに設けられた上記流路は、直線状に延びている。
【００２４】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の別の特定の局面では、上記ノズルの外形が略円錐台状である。
【００２５】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の別の特定の局面では、上記ノズルに設けられた流路が略円錐台状である。
【００２６】
上記ノズルの上記流出口の開口面積は、０．３ｍｍ２以上、３ｍｍ２以下であることが好ましい。上記ノズルの上記流入口の開口面積は、上記ノズルの上記流出口の開口面積よりも大きいことが好ましい。上記ノズルの上記流入口の開口面積は、上記ノズルの上記流出口の開口面積の１０倍以上、４０倍以下であることが好ましい。隣り合う上記ノズルの先端間の隙間の距離は、４ｍｍ以上、２０ｍｍ以下であることが好ましい。
【００２７】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の他の特定の局面では、上記蓋は、上記ノズルを少なくとも３個有し、少なくとも３個の上記ノズルが、直線状に並んでいる。
【００２８】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に好適に用いられる。また、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で上記ノズルの上記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に好適に用いられる。さらに、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に好適に用いられる。
【００２９】
本発明の他の広い局面によれば、本発明に従って構成された脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、脱色剤又は酸化染毛剤とを備え、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤と酸化剤とを含み、脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤が酸化染料を含む、脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具が提供される。
【００３０】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具のある特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分と、増粘性高分子とをさらに含み、上記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である。
【００３１】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具の他の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分と、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤とをさらに含み、上記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である。この場合に、上記脱色剤又は酸化染毛剤は、増粘性高分子をさらに含むことが好ましい。
【００３２】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具の別の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である。
【００３３】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具のさらに別の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤は、混合された状態で、塗布具の上記容器の内部に収容されている。
【００３４】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法は、本発明に従って構成された脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の上記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程と、上記脱色剤又は酸化染毛剤をジェル状である状態で、上記蓋の上記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てる工程とを備える。
【００３５】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法のある特定の局面では、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤にする工程を含む。
【００３６】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法の他の特定の局面では、上記第１剤として液状又はジェル状の第１剤が用いられ、かつ上記第２剤として液状又はジェル状の第２剤が用いられる。
【発明の効果】
【００３７】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤では、蓋がノズルを少なくとも２個有し、該ノズルは、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、上記蓋が容器の開口部に取り付けられた状態で、上記蓋が上記容器の上端の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルは、上記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤の流入口と、上記容器側とは反対側の先端に流出口とを有するので、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】図１は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【図２】図２は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す正面図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す側面図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す正面断面図である。
【図５】図５（ａ）〜（ｇ）は、ノズルを有する蓋の変形例を示す平面図である。
【図６】図６（ａ）〜（ｃ）は、ノズルを有する蓋の他の変形例を示す側面図である。
【図７】図７（ａ），（ｂ）は、脱色剤又は酸化染毛剤の混合時などに、容器の開口部に取り付ける蓋の一例を示す斜視図及び正面図である。
【図８】図８は、従来の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【図９】図９は、従来の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【００４０】
（脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具）
図１に、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を模式的に斜視図で示す。図２に、図１に示す塗布具１を部分的に正面図で示す。図３に、図１に示す塗布具１を部分的に側面図で示す。図４に、図１に示す塗布具を部分的に正面断面図で示す。
【００４１】
図１〜４に示す塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる。塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である。
【００４２】
塗布具１は、容器２と蓋３とを備える。図１〜４では、蓋３は容器２に取り付けられている。蓋３は、容器２から取り外し可能である。図１〜４では、容器２が下側、蓋３が上側となるように配置されている。
【００４３】
容器２は、脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器である。容器２は、下端に底部２ａを有し、上端に開口部２ｂを有する。容器２は、底部２ａと開口部２ｂとの間に、筒部２ｃを有する。容器２は、有底の筒状容器である。容器２は、可撓性を有する樹脂等を用いて形成される。
【００４４】
容器２は、底部２ａ部分を除いて円筒状である。容器２の筒部２ｃは、円筒状である。容器２は、脱色剤又は酸化染毛剤を収容可能な内部空間を有する。容器は、底部分を除いて角筒状などの他の形状であってもよい。容器の筒部は、角筒状などの他の形状であってもよい。
【００４５】
開口部２ｂの開口面積を小さくし、更に蓋３を容器２の開口部２ｂに容易に取り付けるために、容器２の上端部分である開口部２ｂの径は、開口部２ｂを除く他の部分の径よりも小さい。容器２は、上端部分に小径部と、上端部分を除く他の部分に大径部とを有する。容器２は、開口部２ｂの外周側面に、すなわち上端部分の小径部の外周側面に、雄ねじ部２ｄを有する。
【００４６】
容器２は外周側面に、滑り止め部２ｅを有する。滑り止め部２ｅは、容器２の外周側面に設けられた多数の凸部である。多数の凸部は、容器２の下端と上端とを結ぶ方向すなわち底部２ａと開口部２ｂとを結ぶ方向に並んでいる。滑り止め部２ｅは、凹部であってもよく、凹凸部であってもよい。滑り止め部２ｅは、容器２の外周側面を手等で把持したときに、意図せずに容器が滑るのを抑える役割を果たす。また、滑り止め部２ｅは、容器２を把持したときに、容器２を目視しなくても、容器２の向きを容易に把握する役割も果たす。なお、滑り止め部２ｅは必ずしも設けられていなくてもよい。
【００４７】
容器２の空容積は、好ましくは８０ｍＬ以上、より好ましくは１００ｍＬ以上、好ましくは２５０ｍＬ以下、より好ましくは２３０ｍＬ以下である。
【００４８】
蓋３は、蓋本体１１と、３個のノズル１２とを有する。蓋本体１１は、筒部１１ａと上壁部１１ｂと基端部１１ｃとを有する。筒部１１ａの上端と上壁部１１ｂの外周縁とが接続されている。基端部１１ｃは、上壁部１１ｂの中央の領域に接続されており、上壁部１１ｂから上方に突出している。基端部１１ｃは、上壁部１１ｂから上方に突出した凸部である。基端部１１ｃに、３個のノズル１２の一端が接続されている。筒部１１ａは、円筒状である。蓋本体の筒部は、容器の開口部の形状に対応して、角筒状等の他の形状であってもよい。
【００４９】
蓋本体１１の筒部１１ａの内径は、容器２の開口部２ｂ（小径部）の外径と略等しい。蓋３及び筒部１１ａは内周側面に、雌ねじ部１１ｄを有する。容器２の雄ねじ部２ｄと蓋３の雌ねじ部１１ｄとを嵌合させることにより、蓋３を容器２の開口部２ｂに取り付けること可能である。また、容器２と蓋３との接続部分において密閉性を確保できる。
【００５０】
蓋本体１１は外周側面に、滑り止め部１１ｅを有する。滑り止め部１１ｅは、蓋本体１１の外周側面に設けられた多数の凹凸部である。蓋本体の滑り止め部は、凹部であってもよく、凸部であってもよい。滑り止め部１１ｅは、雄ねじ部２ｄと雌ねじ部１１ｄとを嵌合させながら、蓋３を容器２の開口部２ｂに取り付ける作業を容易にする。なお、滑り止め部１１ｅは必ずしも設けられていなくてもよい。
【００５１】
蓋３は、ノズル１２を３個有する。複数のノズル１２は、一端（図１〜４における下端）が間隔を隔てずに配置されている。複数のノズル１２の一端は互いに接している。３個のノズル１２は、直線状に並んでいる。蓋は、ノズルを少なくとも２個有していればよく、少なくとも３個有することが好ましい。蓋がノズルを１個ではなく少なくとも２個有することによって、複数のノズルにより毛髪を分けながら、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる。また、脱色剤又は酸化染毛剤を、一度に広範囲にわたり、適量で塗布することができる。
【００５２】
蓋がノズルを少なくとも３個有すると、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分により一層精度よく短時間で容易に塗布することができる。ノズルの個数は、好ましくは１０個以下、より好ましくは８個以下、更に好ましくは５個以下、特に好ましくは３個である。
【００５３】
少なくとも３個のノズルは、直線状に並んでいることが好ましい。この場合には、ノズルを櫛のように用いることができ、毛髪を適度に束ねるようにノズルをスライドさせることでき、ノズルにより毛髪をより一層かき分けやすく、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布性をより一層高めることができる。この結果、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元部分により一層精度よく短時間で容易に塗布することができる。特に、塗布具を用いて脱色剤又は酸化染毛剤を施術者が自身の毛髪に塗布する場合にも、すなわち塗布具をセルフで使用する場合にも、毛髪を良好にかき分けながら、毛髪に脱色剤又は酸化染毛剤を容易に塗布することができる。
【００５４】
ノズル１２は筒状であり、流路１２ａを有する。ノズル１２は、円筒状である。ノズル１２の外周側面及び内周側面はそれぞれ、曲面である。ノズル１２は、先細りした形状を有する。ノズル１２の外形は略円錐台状である。ノズルにより毛髪をかき分ける作業をより一層容易にするために、ノズルは円筒状であることが好ましく、ノズルの外周側面は曲面であることが好ましく、ノズルは先細りした形状を有することが好ましく、ノズルの外形は略円錐台状であることが好ましい。
【００５５】
ノズル１２の内周側面は曲面である。脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズルにおける脱色剤又は酸化染毛剤の目詰まりを抑制する観点からは、ノズルの内周側面は曲面であることが好ましい。
【００５６】
ノズル１２は、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路１２ａを有する。流路１２ａは、ノズルの先端に向かって先細りした形状を有する。流路１２ａは円錐台状である。流路１２ａがこのような形状を有することにより、脱色剤又は酸化染毛剤の流路１２ａにおける移動が滑らかになり、ノズル１２の目詰まりが抑えられる。
【００５７】
蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、流路１２ａは、容器２側とは反対側に開口している。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態で、容器２を下側かつ蓋３を上側に配置したときに、流路１２ａは上側に開口している。
【００５８】
ノズル１２は、一端に流入口１２ｂと、他端に流出口１２ｃとを有する。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、ノズル１２は、容器２側に流入口１２ｂと、容器２側とは反対側の先端に流出口１２ｃとを有する。流入口１２ｂは、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流入する部分である。流出口１２ｃは、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流出する部分である。流路１２ａは、流入口１２ｂから流出口１２ｃに延びている。
【００５９】
蓋３が容器２の上端の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、容器２を下側かつ蓋３を上側となるように配置したときに、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、下方から上方に延びている。蓋３が容器２の上端の開口部２ｂに取り付けられた状態で、ノズルに設けられた流路は、容器の中心線に対して略平行な方向に延びている。また、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、容器２の下端と上端とを結ぶ方向と略平行な方向に延びており、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、容器２の底部２ａと開口部２ｂとを結ぶ方向と略平行な方向に延びている。また、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、蓋本体１１の上壁部１１ｂに対して略垂直な方向に延びている。このような方向に流路１２ａが延びていることにより、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤をより一層滑らかにノズル１２の先端から吐出することができ、かつノズル１２の目詰まりをより一層効果的に抑制できる。
【００６０】
ノズル１２に設けられた流路１２ａは直線状に延びている。このため、脱色剤又は酸化染毛剤の流路１２ａの移動が滑らかになり、ノズル１２にける脱色剤又は酸化染毛剤の目詰まりが抑えられる。なお、ノズルに設けられた流路は、曲線状に延びていてもよい。
【００６１】
脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積は、好ましくは０．３ｍｍ２以上、より好ましくは０．４ｍｍ２以上、好ましくは３ｍｍ２以下、より好ましくは２．６ｍｍ２以下である。
【００６２】
脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつ１つのノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流入口１２ｂの開口面積は、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積よりも大きいことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつ１つのノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流入口１２ｂの開口面積は、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積の１０倍以上であることが好ましく、１５倍以上であることがより好ましく、４０倍以下であることが好ましく、３５倍以下であることがより好ましい。
【００６３】
ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分ける観点からは、隣り合うノズル１２，１２の先端間の隙間は、Ｖ字状であることが好ましい。ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分ける観点からは、隣り合うノズル１２，１２の先端間の隙間の距離Ｄは、好ましくは４ｍｍ以上、より好ましくは５ｍｍ以上、好ましくは２０ｍｍ以下、より好ましくは１５ｍｍ以下である。
【００６４】
ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分け、更に毛髪の根元に脱色剤又は酸化染毛剤をより一層容易に塗布する観点からは、ノズル１２及び流路１２ａの長さＬはそれぞれ、好ましくは１０ｍｍ以上、より好ましくは１５ｍｍ以上、好ましくは５０ｍｍ以下、より好ましくは４０ｍｍ以下である。
【００６５】
図５（ａ）〜（ｇ）に蓋の変形例を平面図で示す。図５（ａ）〜（ｇ）に示す蓋２１〜２７は蓋本体２１ａ〜２７ａとノズル２１ｂ〜２７ｂとを有する。蓋本体２１ａ〜２７ａは筒部と上壁部とを有し、基端部を有さない。蓋は、基端部を有していなくてもよい。
【００６６】
図５（ａ）に示す蓋２１は、蓋本体２１ａが基端部を有さないこと以外は、蓋３と同様に構成されている。蓋２１では、ノズル２１ｂが蓋本体２１ａの上壁部に直接接続されている。このように、基端部が必ずしも設けられていなくてもよい。
【００６７】
図５（ｂ）に示す蓋２２は、蓋本体２２ａの上壁部に間隔を隔てて接続されている３個のノズル２２ｂを有する。このように、複数のノズルは、一端が間隔を隔てるように配置されていてもよい。
【００６８】
図５（ｃ）に示す蓋２３は、平面視において、直線状に並んでいる４個のノズル２３ｂを有する。図５（ｄ）に示す蓋２４は、平面視において、三角形状の頂部に配置されている３個のノズル２４ｂを有する。図５（ｅ）に示す蓋２５は、平面視において、四角形状の頂部に配置されている４個のノズル２５ｂと、該４個のノズル２５ｂの中心部に配置されている１つのノズル２５ｂとの合計５個のノズル２５ｂを有する。図５（ｆ）に示す蓋２６は、平面視において、環状に並んで等間隔に配置された７個のノズル２６ｂを有する。図５（ｇ）に示す蓋２７は、ジグザグ状に配置された４個のノズル２７ｂを有する。
【００６９】
図５（ｂ）〜（ｇ）に示す蓋２２〜２７のように、蓋に設けられるノズルの個数及び配置形態は適宜変更することができる。
【００７０】
塗布具１では、蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、ノズル１２及び流路１２ａは、容器２の中心線及び容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して略平行な方向に延びており、蓋本体１１の上壁部１１ｂに対して略垂直な方向に延びている。図６（ａ）に示す蓋３１のように、ノズル３１ａ及びノズル３１ａに設けられた流路３１ｂは、容器２の中心線及び容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して、容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。ノズル３１ａ及びノズル３１ａに設けられた流路３１ｂは、蓋本体の上壁部と略垂直な方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。傾斜角度αは、０度を超え、好ましくは１度以上、より好ましくは５度以上、好ましくは６０度以下、より好ましくは４５度以下である。このように、ノズルの延びる方向は適宜変更可能である。
【００７１】
塗布具１では、ノズル１２の外形及びノズル１２に設けられた流路１２ａは、略円錐台状である。図６（ｂ）に示す蓋３２のように、ノズル３２ａの外形及びの該ノズル３２ａに設けられた流路３２ｂは、円柱状であってもよい。さらに、ノズルの外形及びノズルに設けられた流路は、角柱状及び角錐台状等の他の形状でであってもよい。このようにノズルの外形及び流路の形状は適宜変更可能である。但し、塗布具１のように、ノズル１２の外形及び該ノズル１２に設けられた流路１２ａは、略円錐台状であることが好ましい。
【００７２】
図６（ｃ）に示す蓋３３のように、ノズル３３ａの外周側面、並びにノズル３３ａに設けられた流路３３ｂの外形は、ノズル３３ａの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凹状に湾曲していてもよい。ノズル３３ａの内周側面は、ノズル３３ａの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凸状に湾曲していてもよい。円錐台状の外形を有するノズルの外周側面を凹状又は凸状に湾曲させたノズルも、略円錐台状の外形を有するノズルに含まれることとする。また、ノズルの外周側面、並びにノズルに設けられた流路の外形は、ノズルの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凸状に湾曲していてもよい。ノズルの内周側面は、ノズルの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凹状に湾曲していてもよい。
【００７３】
上述した本実施形態に係る塗布具１の使用により、人の頭の表面近傍をノズル１２をスライドさせながら、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、一度に広範囲に、適量で毛髪に塗布することができる。この結果、脱色剤又は酸化染毛剤の全量を塗布し終えるまでの時間を短くすることができ、更に後述のようにジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を良好に泡立てることができる。さらに、塗布具１をセルフで用いた場合でも、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布が容易である。また、塗布具１の使用により、髪の根元（生え際）に、脱色剤又は酸化染毛剤をむらなく塗布することが容易になる。また、塗布具１では、蓋３のノズル１２により、ノズル１２を櫛のように使いながら、毛髪を束ねたり、毛髪をかき分けたりして、脱色剤又は酸化染毛剤を塗布することができる。
【００７４】
特に、塗布具１の使用により、比較的粘度が低い脱色剤又は酸化染毛剤であっても、例えばジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤であっても、毛髪からの垂れ落ちを抑制しつつ、毛髪に均一に塗布することが可能になる。
【００７５】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。
【００７６】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で上記ノズルの上記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。
【００７７】
脱色むら又は染色むらを抑制し、毛髪を良好に脱色又は染色する観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てることにより、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に均一に付着させることができる。
【００７８】
（容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤の詳細）
容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤は、毛髪に塗布される。容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも備える混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合した混合剤であることが好ましい。混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、上記第１剤は、アルカリ剤に加えて、酸化染料をさらに含む。混合された脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤は、酸化染料を含む。以下、「混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤」を「脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ」と記載し、容器中に収容される「混合後の脱色剤又は酸化染毛剤」又は「毛髪に塗布される直前の脱色剤又は酸化染毛剤」を「脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ」と記載することがある。脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、混合されて混合剤として用いられる。
【００７９】
従来の脱色剤又は酸化染毛剤が混合されたクリーム状の混合剤の粘度は比較的高いので、混合剤を毛髪に均一に付着させにくいことがある。このため、混合剤がクリーム状のままで毛髪が脱色又は染色するまで５〜６０分程度放置された後、洗い流されると、脱色むら又は染色むらが生じやすいという問題がある。
【００８０】
一方で、特開２００４−３３９２１６号公報に記載の脱色剤又は酸化染毛剤では、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するため、泡状の混合剤をむらなく毛髪に塗布することは困難である。特に、毛髪の根元（生え際）部分に、泡状の混合剤は塗布しにくい。このため、脱色むら又は染色むらが生じやすい。
【００８１】
さらに、混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、混合剤の同一体積中に含まれる脱色成分又は染色成分の量が少なくなる。このため、毛髪に塗布される段階で混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、毛髪に付着した混合剤の量が少なくなりやすい。このため、毛髪を十分に脱色又は染色できないことがある。
【００８２】
これに対して、毛髪にジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを塗布し、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に均一に付着させることができる。特に、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを施術者が自身の毛髪に塗布する場合にも、すなわちジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをセルフで使用する場合にも、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪にむらなく付着させることができる。
【００８３】
さらに、毛髪に塗布する段階で脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが泡状ではなくジェル状であると、毛髪の根元（生え際）部分であっても、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを容易にかつ十分な量で塗布することができる。さらに、毛髪への塗布時にジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちを抑制することができ、かつ塗布された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの毛髪からの垂れ落ちも抑制することができ、更に毛髪を良好に脱色又は染色することができる。この結果、脱色又は染色後に、脱色むら又は染色むらを抑制することができる。
【００８４】
従って、脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状、すなわち毛髪に塗布される脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの性状は、ジェル状であることが好ましい。
【００８５】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度は、２００ｍＰａ・ｓ以上である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにおける「ジェル状」とは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度が２００ｍＰａ・ｓ以上であることをいう。ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度は、１００００ｍＰａ・ｓ以下であることが好ましい。ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度は、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、３０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定される。但し、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された粘度が４０００ｍＰａ・ｓ以上である場合には、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度の値として、ロータＮｏ．３、６ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された値が採用される。
【００８６】
上記第１剤は液状又はジェル状であることが好ましい。上記第２剤は液状又はジェル状であることが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤がそれぞれ、液状又はジェル状であることがより好ましい。混合前の段階で、第１剤及び第２剤の内の一方が液状又はジェル状である場合には、混合の初期段階で第１剤又は第２剤の流動性が高く、第１剤及び第２剤の混合性に優れている。混合前の段階で第１剤及び第２剤の双方が液状である場合には、混合の初期段階で第１剤及び第２剤の双方の流動性が高く、第１剤及び第２剤の混合性により一層優れている。第１剤と第２剤とを均一に混合することによって、脱色むら又は染色むらをより一層抑制することができる。
【００８７】
第１剤及び第２剤における「液状」又は「ジェル状」とは、第１剤及び第２剤の２５℃での粘度が３０００ｍＰａ・ｓ未満であることをいう。液状又はジェル状である第１剤及び第２剤の２５℃での粘度はそれぞれ、３０００ｍＰａ・ｓ未満であり、好ましくは２０００ｍＰａ・ｓ未満である。液状又はジェル状である第１剤及び第２剤の２５℃での粘度はそれぞれ、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定される。
【００８８】
以下、第１剤及び第２剤並びに脱色剤又は酸化染毛剤Ｙに含まれる各成分の詳細をより詳細に説明する。
【００８９】
第１の界面活性剤成分（Ａ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤の内の少なくとも一方は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことにより、毛髪上でジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。毛髪上でジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好に泡立てる観点からは、第１剤及び第２剤がそれぞれ、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。第１の界面活性剤成分（Ａ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【００９０】
上記アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸、アシル乳酸塩、Ｎ−アシルサルコシン塩、Ｎ−アシルグルタミン酸塩及びＮ−アシルメチルアラニン塩等が挙げられる。これら以外のアニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【００９１】
上記両性界面活性剤としては、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウム型両性界面活性剤、アミンオキサイド型両性界面活性剤及びホスホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これら以外の両性界面活性剤を用いてもよい。
【００９２】
上記グリシン型両面界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩及びＮ−アシルアミノエチル−Ｎ−２−ヒドロキシエチルグリシン塩等が挙げられる。上記アミノプロピオン酸型両性界面活性剤としては、アルキルアミノプロピオン酸塩及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。上記アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる、上記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−プロピルスルホン酸塩、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩及びＮ−脂肪酸アミドプロピル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩等が挙げられる。上記イミダゾリニウム型両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。上記アミンオキサイド型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。上記ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、２−（ジメチルオクチルアンモニオ）エチルホスフェート、２−（ジメチルドデシルアンモニオ）プロピルホスフェート及び２−（ジメチルドデシルアンモニオ）−２−ヒドロキシプロピルホスフェート等が挙げられる。
【００９３】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちを良好にする観点から、第１の界面活性剤成分（Ａ）として、Ｎ−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイドを用いることが好ましい。第１の界面活性剤成分（Ａ）として、具体的には、Ｎ−ヤシ油脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ミリスチン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、Ｎ−ラウロイルメチルタウリン塩、ラウリルスルホコハク酸塩、ラウリル（２−ヒドロキシスルホプロピル）ジメチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、２−アルキル−Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドを用いることがより好ましい。なお、上記塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【００９４】
第１剤及び第２剤における第１の界面活性剤成分（Ａ）の各含有量は、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際の泡立ちなどを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量及び第２剤１００質量％中の第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは６．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量は、好ましくは０．３質量％以上、より好ましくは１．０質量％以上、好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは６．０質量％以下である。第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量が上記下限以上であると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な第１の界面活性剤成分（Ａ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【００９５】
第２の界面活性剤成分（Ｂ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第２の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤の内の少なくとも一方は、第２の界面活性剤成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、毛髪への塗布時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちを抑制することができ、かつ塗布された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの毛髪からの垂れ落ちも抑制することができる。さらに、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが毛髪に塗布された後に、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることができる。このようにジェル状の状態から、シャンプーするような要領で泡立てて泡状の状態にすることで、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に均一に付着させることができる。このため、脱色又は染色後の毛髪に脱色むら又は染色むらを生じ難くすることができる。第２の界面活性剤成分（Ｂ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【００９６】
また、毛髪が、整髪剤を用いて整髪されることがある。該整髪剤として、例えば、ロウ類又は炭化水素類などの油剤を含むヘアワックス等が用いられている。このようなヘアワックスにより整髪された毛髪には、油剤が多く付着している。また、ヘアワックスを用いて整髪された毛髪を洗浄した後にも、毛髪に油剤が残存することが多い。
【００９７】
ヘアワックスなどの油剤が毛髪に付着している場合には、従来の脱色剤又は酸化染毛剤である泡状の混合剤を毛髪に塗布すると、消泡することがある。また、泡が消泡して生じた消泡物の粘度が低下し、塗布時又は塗布後の放置中に消泡物が垂れ落ちることがある。さらに、従来の脱色剤又は酸化染毛剤では、毛髪に塗布された泡状の混合剤をさらに泡立てようとしても、十分に泡立たないことがある。
【００９８】
これに対して、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、毛髪にヘアワックス等に由来する油剤が付着していても、毛髪上で脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立たせることができ、消泡を効果的に抑制することができる。
【００９９】
上記ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド及びポリオキシエチレンラノリン等が挙げられる。これらのアルキレンオキシド付加物を用いてもよい。これら以外のノニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【０１００】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちをより一層良好にする観点から、第２の界面活性剤成分（Ｂ）として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、アルキルポリグルコシドを用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることがより好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。なお、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数は特に限定されない。
【０１０１】
第２の界面活性剤成分（Ｂ）の安定性を高め、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちをより一層良好にする観点からは、第１剤が、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【０１０２】
第１剤及び第２剤における第２の界面活性剤成分（Ｂ）の各含有量は、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際の泡立ちなどを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量及び第２剤１００質量％中の第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは７．０質量％以下、より好ましくは４．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量は、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは５．０質量％以下、より好ましくは３．０質量％以下である。第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量が上記下限以上であると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な第２の界面活性剤成分（Ｂ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【０１０３】
増粘性高分子（Ｃ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合時に粘度を効果的に向上させ、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェルするために、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、増粘性高分子（Ｃ）を含むことが好ましい。第１剤及び第２剤の内の少なくとも一方は、脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合により脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度を上昇させる成分を含むことが好ましく、増粘性高分子（Ｃ）を含むことがより好ましい。増粘性高分子（Ｃ）は、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合により脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度を上昇させる成分である。増粘性高分子（Ｃ）の使用により、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に塗布する際に、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが垂れ落ちにくくなる。増粘性高分子（Ｃ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１０４】
混合時に粘度を効果的に向上させ、更に塗布時にジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制する観点からは、第１剤及び第２剤がそれぞれ、増粘性高分子（Ｃ）を含むことが好ましい。
【０１０５】
増粘性高分子（Ｃ）としては、カチオン化セルロース、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が挙げられ、これらの内の少なくとも１種が好適に用いられる。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、カチオン化セルロース、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群から選択された少なくとも１種を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをさらに一層良好なジェル状にする観点からは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマーの内の少なくとも１種と、アニオン性ポリマーとを含むことがより好ましい。
【０１０６】
上記カチオン化セルロースの具体例としては、塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］ヒドロキシエチルセルロース及び塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【０１０７】
上記カチオン性ポリマーとしては、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル４級アンモニウム塩重合物、ジアリル４級アンモニウム塩／アクリル酸共重合物、ジアリル４級アンモニウム塩／アクリルアミド共重合物及び４級ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。上記カチオン性ポリマーの具体例としては、塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体及びビニルピロリドン・ジメチルアミノメタクリレートの硫酸ジメチルによる４級化誘導体等が挙げられる。なお、カチオン性ポリマーには、上記カチオン化セルロースは含まれないこととする。
【０１０８】
上記アニオン性ポリマーの具体例としては、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体及びアクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマー等が挙げられる。
【０１０９】
第１剤中での増粘性高分子（Ｃ）の安定性を高め、更に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、第１剤は、増粘性高分子（Ｃ）として、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマーの内の少なくとも１種であることが好ましい。
【０１１０】
第２剤中での増粘性高分子（Ｃ）の安定性を高め、更に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、第２剤は、増粘性高分子（Ｃ）として、アニオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【０１１１】
第１剤及び第２剤における増粘性高分子（Ｃ）の各含有量は、第１剤と第２剤とが混合された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度及び性状などを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の増粘性高分子（Ｃ）の含有量及び第２剤１００質量％中の増粘性高分子（Ｃ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは７．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、増粘性高分子（Ｃ）の含有量は、好ましくは０．２質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、好ましくは５．０質量％以下、より好ましくは３．０質量％以下である。増粘性高分子（Ｃ）の含有量が上記下限以上であると、粘度が適度に向上し、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙがより一層良好なジェル状になる。増粘性高分子（Ｃ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な増粘性高分子（Ｃ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【０１１２】
第１剤は、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。第２剤は、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。これらの場合には、塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制することができ、かつ脱色性及び染色性をより一層高めることができる。
【０１１３】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、第１剤が、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含み、かつ第２剤が第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。
【０１１４】
アルカリ剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤を含む。アルカリ剤は特に限定されない。アルカリ剤として、従来公知のアルカリ剤が使用可能である。アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよく、有機アルカリ剤であってもよい。アルカリ剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１１５】
上記アルカリ剤としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等が挙げられる。これら以外のアルカリ剤を用いてもよい。
【０１１６】
第１剤中のアルカリ剤の含有量は、所望とする脱色性又は染色性などを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、更に好ましくは１質量％以上、特に好ましくは３質量％以上、好ましくは２０質量％以下、より好ましくは１５質量％以下、更に好ましくは１０質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、更に好ましくは０．３質量％以上、特に好ましくは１質量％以上、好ましくは１３質量％以下、より好ましくは１０質量％以下、更に好ましくは７質量％以下である。アルカリ剤の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。アルカリ剤の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１１７】
酸化染料：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤に加えて、酸化染料をさらに含む。「酸化染料」は、自身の酸化重合により発色する酸化染料前駆体と、酸化染料前駆体との反応により種々の色に発色させるカップラーとの双方を意味する。酸化染料は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１１８】
上記酸化染料前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類及びジアミノピリジン類、並びにこれらの塩類等が挙げられる。該塩類としては、塩酸塩及び硫酸塩等が挙げられる。
【０１１９】
上記フェニレンジアミン類としては、ｐ−フェニレンジアミン、トルエン−２，５−ジアミン、トルエン−３，４−ジアミン、２，５−ジアミノアニソール、Ｎ−フェニル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ジメチル−ｐ−フェニレンジアミン、６−メトキシ−３−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ジエチル−２−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−エチル−Ｎ−（ヒドロキシエチル）−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）−ｐ−フェニレンジアミン、２−クロル−６−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、２−クロロ−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ビス−（２−ヒドロキシエチル）−ｐ−フェニレンジアミン、２，６−ジクロル−ｐ−フェニレンジアミン及び２−クロル−６−ブロム−ｐ−フェニレンジアミン等が挙げられる。上記アミノフェノール類としては、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、２，４−ジアミノフェノール、５−アミノサリチル酸、２−メチル−４−アミノフェノール、３−メチル−４−アミノフェノール、２，６−ジメチル−４−アミノフェノール、３，５−ジメチル−４−アミノフェノール、２，３−ジメチル−４−アミノフェノール、２，５−ジメチル−４−アミノフェノール、２−クロロ−４−アミノフェノール及び３−クロロ−４−アミノフェノール等が挙げられる。上記ジアミノピリジン類としては、２，５−ジアミノピリジン等が挙げられる。
【０１２０】
上記カップラーとしては、例えば、レゾルシン、ｍ−アミノフェノール、ｍ−フェニレンジアミン、２，４−ジアミノフェノキシエタノール、５−アミノ−ｏ−クレゾール、２−メチル−５−ヒドロキシエチルアミノフェノール、２，６−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、α−ナフトール、没食子酸及びタンニン酸、並びにこれらの塩類等が挙げられる。
【０１２１】
第１剤における酸化染料の含有量は、染色性を考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中、酸化染料の含有量は０質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、更に好ましくは０．２質量％以上、好ましくは２質量％以下、より好ましくは１．５質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、酸化染料の含有量は０質量％以上、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、更に好ましくは０．０６質量％以上、好ましくは１．３質量％以下、より好ましくは１質量％以下である。酸化染料の含有量が上記下限以上であると、毛髪の染色性がより一層高くなる。酸化染料の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１２２】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、色調を調色するために、第１剤は、直接染料を含んでいてもよい。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、２−アミノ−５−ニトロフェノール及びピクラミン酸等が挙げられる。
【０１２３】
還元剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤及び酸化染料に加えて、還元剤をさらに含むことが好ましい。還元剤は、第１剤が大気暴露された際に酸化染料の発色を抑制する。
【０１２４】
上記還元剤は特に限定されない。上記還元剤として従来公知の還元剤が使用可能である。上記還元剤としては、例えば、Ｎ−アセチル−Ｌ−システイン、Ｌ−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム及びチオグリコール酸等が挙げられる。これらの塩を用いてもよい。還元剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１２５】
第１剤１００質量％中、還元剤の含有量は、０質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０５質量％以上、好ましくは２質量％以下、より好ましくは１質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、還元剤の含有量は、０質量％以上、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０２質量％以上、好ましくは１．３質量％以下、より好ましくは０．７質量％以下である。
【０１２６】
酸化剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第２剤はそれぞれ、酸化剤を含む。酸化剤は特に限定されない。酸化剤として、従来公知の酸化剤が使用可能である。酸化剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１２７】
上記酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、臭素酸塩及び過ヨウ素酸塩等が挙げられる。これら以外の酸化剤を用いてもよい。脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、上記酸化剤は、過酸化水素であることが好ましい。
【０１２８】
上記酸化剤の含有量は、脱色性又は染色性を考慮して適宜調整される。第２剤１００質量％中、酸化剤の含有量は好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、好ましくは１２質量％以下、より好ましくは６質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、酸化剤の含有量は、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、好ましくは８質量％以下、より好ましくは４質量％以下である。酸化剤の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。酸化剤の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１２９】
上記第２剤は、酸化剤の安定剤を含んでいてもよい。該酸化剤の安定剤としては、例えば、フェナセチン及びヒドロキシエタンジホスホン酸等が挙げられる。
【０１３０】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤及び第２剤はそれぞれ、上述した成分以外に、低級アルコール、高級脂肪酸、炭化水素、多価アルコール、着色剤及び香料等を含んでいてもよい。
【０１３１】
上記低級アルコールとしては、エタノール及びイソプロパノール等が挙げられる。上記炭化水素としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン及びスクワラン等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、１，３−ブチレングリコール、１，２−ペンタンジオール及び１，２−オクタンジオール等が挙げられる。
【０１３２】
（脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具）
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具は、上述した脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ又は脱色剤又は酸化染毛剤Ｙとを備える。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが備えられる場合には、該脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、混合された状態で、塗布具の上記容器の内部に収容されている。
【０１３３】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙは、アルカリ剤と酸化剤とを含む。脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤は酸化染料を含む。前述のように、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙはジェル状であることが好ましい。
【０１３４】
脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具における脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙは、上述した各成分を上記含有量で含むことが好ましい。
【０１３５】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であることが好ましい。上記塗布具の容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを混合した混合剤であることが好ましい。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤と上記第２剤とを少なくとも備える。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、毛髪処理剤である。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤と上記第２剤とを少なくとも備える毛髪処理剤キットである。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤及び上記第２剤に加えて、第３剤をさらに備えていてもよい。第３剤としては、脱色剤、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤及びヘアコンディショニング剤等が挙げられる。また、脱色剤などの第３剤と、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤又はヘアコンディショニング剤等の第４剤とを用いてもよい。
【０１３６】
多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、混合されて混合剤である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙとして用いられる。
【０１３７】
第１剤と第２剤とを備える２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１剤と第２剤とを混合することにより得られ、第１剤と第２剤との混合物である。第１剤と第２剤と第３剤とを備える３剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第１剤と第２剤と第３剤とが混合される場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１〜第３剤とを混合することにより得られ、第１〜第３剤を含む混合物である。第１剤と第２剤と第３剤とを備える３剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第１剤と第２剤とが混合され、毛髪への塗布前に第３剤が混合されない場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１剤と第２剤とを混合することにより得られ、第１剤と第２剤との混合物である。
【０１３８】
第１剤と第２剤とを混合する際の質量比は特に限定されない。第１剤と第２剤とを混合する際の質量比（第１剤：第２剤）は、好ましくは１：１０〜１０：１、より好ましくは１：５〜５：１、更に好ましくは１：４〜３：１、特に好ましくは１：３〜２：１である。
【０１３９】
（脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた毛髪の脱色又は染色方法）
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法では、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の上記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを収容した状態にする工程と、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で、上記蓋の上記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる工程とを備えることが好ましい。
【０１４０】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを収容した状態にする工程は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを上記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにする工程を含むことが好ましい。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを容器中で混合し、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにすることが好ましい。この場合には、混合が容易である。
【０１４１】
第１剤と第２剤とを少なくとも備える多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを混合すると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが得られる。該脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で毛髪に塗布することにより、塗布時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが毛髪から垂れ落ち難くなる。次に、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪上で泡立てることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪にむらなく付着させることができる。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第２の界面活性剤成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含む場合には、毛髪に整髪剤等に由来する油剤が付着していても、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪上で良好に泡立てることができる。ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際には、ジャンプーする要領で泡立てて、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に充分に馴染ませればよい。
【０１４２】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に塗布してから泡立てるまでの時間は、好ましくは１０分以下、より好ましくは５分以下、更に好ましくは３分以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立ててから毛髪を脱色又は染色するための放置時間は、好ましくは５分以上、より好ましくは１０分以上、好ましくは１２０分以下、より好ましくは６０分以下である。毛髪の脱色又は染色が充分に進行した後、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは毛髪から洗い流され、除去される。
【０１４３】
また、混合に用いる容器は、第１剤を含む容器又は第２剤を含む容器であることが好ましい。混合に用いる容器は、上述した脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具に用いられる容器であることが好ましい。この場合には、新たに容器を用意する必要がなく、第１剤を含む容器に第２剤を入れるか又は第２剤を含む容器に第１剤を入れることにより、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを容易に混合できる。混合に用いる容器は、第２剤を含む容器であることがより好ましい。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの塗布性をより一層高めるために、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で容器から吐出して、毛髪に塗布することが好ましい。
【０１４４】
混合時には、図１〜４に示す蓋３にかえて、図７（ａ），（ｂ）に示すノズルを有さない蓋５１を用いてもよい。蓋５１は、筒部５１ａと、上壁部５１ｂとを有する。筒部５１ａの上端と上壁部５１ｂの外周縁とが接続されている。上壁部５１ｂの表面は平坦である。上壁部５１ｂは、開口部を有さない。
【０１４５】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【０１４６】
実施例及び比較例では、下記の第１の界面活性剤成分（Ａ）、第２の界面活性剤成分（Ｂ）及び増粘性高分子（Ｃ）を用いた。
【０１４７】
（第１の界面活性剤成分（Ａ））
Ｎ−ヤシ油脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸トリエタノールアミン（３０質量％）（旭化成ケミカルズ社製「アミノサーファクト ＡＣＭＴ−Ｌ」）
ラウリル（２−ヒドロキシスルホプロピル）ジメチルベタイン（３０質量％）（花王社製「アンヒトール ２０ＨＤ」）
ラウリン酸アミドプロピルベタイン（３０質量％）（新日本理化社製「リカビオン Ｂ−３００」）
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム（２５質量％）（花王社製「エマール １２５ＨＰ」）
【０１４８】
（第２の界面活性剤成分（Ｂ））
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル（２５Ｅ．Ｏ．）（花王社製「エマルゲン ２０２５Ｇ」）
ポリオキシエチレンステアリルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）（日光ケミカル社製「ＮＩＫＫＯＬ ＢＳ−２０」）
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）（日光ケミカル社製「ＮＩＫＫＯＬ ＢＢ−２０」）
【０１４９】
（増粘性高分子（Ｃ））
塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］ヒドロキシエチルセルロース（東邦化学工業社製「カチナール ＨＣ−２００」）
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体（４０質量％）（オンデオナルコ社製「マーコート２８０」）
アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン（２０）ステアリルエーテル（３０質量％）（ローム・アンド・ハース社製「アキュリン２２」）
【０１５０】
（実施例１〜８及び参考例１〜５）
下記の表１，２に示す各成分を下記の表１，２に示す含有量で配合し、混合して、第１剤を得た。また、下記の表１，２に示す各成分を下記の表１，２に示す含有量で配合し、混合して、第２剤を得た。得られた第２剤は、図１に示す容器２（混合容器）に収容した。実施例１〜８及び参考例１〜５で得られた第１剤及び第２剤はいずれも、液状又はジェル状であった。
【０１５１】
（実施例１〜８及び参考例１〜５の評価）
（評価）
（１）混合剤の性状（混合剤の粘度）
第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。
【０１５２】
得られた混合剤の粘度を、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、３０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定した。但し、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された粘度が４０００ｍＰａ・ｓ以上である場合には、得られた混合剤の２５℃での粘度の値として、ロータＮｏ．３、６ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された値を採用した。
【０１５３】
混合剤の粘度が２００ｍＰａ・ｓ以上、１００００ｍＰａ・ｓ以下である場合を「ジェル状」、混合剤の粘度が２００ｍＰａ・ｓ未満である場合を「液状」と判定した。
【０１５４】
（２）塗布時の垂れ落ちの官能評価
官能評価パネル２０名がそれぞれ、第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。官能評価パネル２０名がそれぞれ、蓋５１を図１に示す蓋３に取り換えて、混合剤を蓋３のノズル１２から吐出し、健常毛を有するウィッグ（レッスンマネキン：ユーカリジャパン社製）の毛の根元付近に混合剤を塗布した。
【０１５５】
官能評価パネル２０名が、塗布時の垂れ落ちについて、下記の判定基準で判定した。
【０１５６】
［塗布時の垂れ落ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
○：２０名中１１〜１５名が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
△：２０名中６〜１０名が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
×：２０名中５名以下が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
【０１５７】
（３）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価
上記（２）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、毛の根元付近に塗布された混合剤を、シャンプーをする要領で泡立てようと試みた。
【０１５８】
官能評価パネル２０名が、泡立て時の泡立ち（起泡性）について、下記の判定基準で判定した。
【０１５９】
［泡立ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
○：２０名中１１〜１５名が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
△：２０名中６〜１０名が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
×：２０名中５名以下が、容易に泡立ち、起泡性に優れるか回答（全く泡立たない場合も含む）
【０１６０】
（４）放置中の垂れ落ちの官能評価
上記（３）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、泡立ててから又は全く泡立たなかった場合には泡立てようとする作業をしてから３０分間放置した。
【０１６１】
官能評価パネル２０名が、３０分間放置している間の垂れ落ちについて、下記の判定基準で判定した。
【０１６２】
［放置中の垂れ落ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
○：２０名中１１〜１５名が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
△：２０名中６〜１０名が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
×：２０名中５名以下が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
【０１６３】
（５）脱色又は染色後の仕上がり感の評価
上記（４）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、３０分間放置後の混合剤を温水で洗い流した。次に、タオルドライ及びドライヤーによる温風乾燥を行った。
【０１６４】
官能評価パネル２０名が、脱色又は染色されたウィッグの毛髪の仕上がり感について、下記の判定基準で判定した。
【０１６５】
［仕上がり感の判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
○：２０名中１１〜１５名が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
△：２０名中６〜１０名が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
×：２０名中５名以下が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
【０１６６】
第１剤及び第２剤の組成及び評価結果を下記の表１，２に示す。下記の表１，２における各成分の含有量の配合単位は「質量部」である。下記の表１，２における各成分の含有量は全て、原料として配合した配合量を示す。
【０１６７】
【表１】
【０１６８】
【表２】
【０１６９】
（実施例９〜１５及び参考例６〜１０）
下記の表３，４に示す各成分を下記の表３，４に示す含有量で配合し、混合して、第１剤を得た。また、下記の表３，４に示す各成分を下記の表３，４に示す含有量で配合し、混合して、第２剤を得た。得られた第２剤は、図１に示す容器２（混合容器）に収容した。実施例９〜１５及び参考例６〜１０で得られた第１剤及び第２剤はいずれも、液状又はジェル状であった。
【０１７０】
（実施例９〜１５及び参考例６〜１０の評価）
実施例１〜８及び参考例１〜５と同様にして、（１）混合剤の性状（混合剤の粘度）を評価した。
【０１７１】
（２Ａ）塗布時の垂れ落ちの官能評価
キャンデリラロウ１５．０質量％と、ミツロウ５．０質量％と、高融点マイクロクリスタリンワックス５．０質量％と、モノステアリン酸ソルビタン３．０質量％と、ポリオキシエチレンセチルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）３．０質量％と、流動パラフィン１０．０質量％と、２−エチルヘキサン酸セチル５．０質量％と、ステアリン酸１．０質量％と、ステアリルアルコール１．０質量％と、カルボキシビニルポリマー０．１質量％と、水酸化ナトリウム０．３質量％と、精製４６．６質量％とを含む組成物より形成されたヘアワックスを用意した。
【０１７２】
また、健常毛を有するウィッグ（レッスンマネキン：ユーカリジャパン社製）を用意した。このウィッグの毛髪を、得られたヘアワックスで整髪した。
【０１７３】
官能評価パネル２０名がそれぞれ、第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む図１に示す容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。官能評価パネル２０名がそれぞれ、蓋５１を図１に示す蓋３に取り換えて、混合剤を蓋３のノズル１２から吐出し、ヘアワックスで整髪されたウィッグの毛の根元付近に混合剤を塗布した。
【０１７４】
官能評価パネル２０名が、塗布時の垂れ落ちについて、上記（２）塗布時の垂れ落ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１７５】
混合剤が液状であり、塗布時の垂れ落ちの判定が「×」であった場合には、後述の（３Ａ）〜（５Ａ）の評価は行わなかった。
【０１７６】
（３Ａ）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価
上記（２Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、毛の根元付近に塗布された混合剤を、シャンプーをする要領で泡立てようと試みた。
【０１７７】
官能評価パネル２０名が、泡立て時の泡立ち（起泡性）について、上記（３）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１７８】
（４Ａ）放置中の垂れ落ちの官能評価
上記（３Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、泡立ててから又は全く泡立たなかった場合には泡立てようとする作業をしてから３０分間放置した。
【０１７９】
官能評価パネル２０名が、３０分間放置している間の垂れ落ちについて、上記（４）放置中の垂れ落ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１８０】
（５Ａ）脱色又は染色後の仕上がり感の評価
上記（４Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、３０分間放置後の混合剤を温水で洗い流した。次に、タオルドライ及びドライヤーによる温風乾燥を行った。
【０１８１】
官能評価パネル２０名が、脱色又は染色されたウィッグの毛髪の仕上がり感について、上記（５）脱色又は染色後の仕上がり感の評価と同様の判定基準で判定した。
【０１８２】
第１剤及び第２剤の組成及び評価結果を下記の表３，４に示す。下記の表３，４における各成分の含有量の配合単位は「質量部」である。下記の表３，４における各成分の含有量は全て、原料として配合した配合量を示す。
【０１８３】
【表３】
【０１８４】
【表４】
【符号の説明】
【０１８５】
１…塗布具
２…容器
２ａ…底部
２ｂ…開口部
２ｃ…筒部
２ｄ…雄ねじ部
２ｅ…滑り止め部
３…蓋
１１…蓋本体
１１ａ…筒部
１１ｂ…上壁部
１１ｃ…基端部
１１ｄ…雌ねじ部
１１ｅ…滑り止め部
１２…ノズル
１２ａ…流路
１２ｂ…流入口
１２ｃ…流出口
２１〜２７…蓋
２１ａ〜２７ａ…蓋本体
２１ｂ〜２７ｂ…ノズル
３１〜３３…蓋
３１ａ〜３３ａ…ノズル
３１ｂ〜３３ｂ…流路
５１…蓋
５１ａ…筒部
５１ｂ…上壁部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられ、容器と該容器に取り付けられる蓋とを備える脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具、並びに該脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具に関する。さらに、本発明は、上記脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた毛髪の脱色又は染色方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
毛髪を脱色又は染色するために、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを含む２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が広く用いられている。
【０００３】
上記第１剤と上記第２剤とを混合するために、一般に、上記第２剤が内部に収容された容器中に、上記第１剤を入れた後、蓋を閉めて、容器を振る作業が行われている。上記第１剤と上記第２剤とを混合した後、ノズルを有する蓋が容器に取り付けられた状態で、蓋のノズルから、容器中の混合剤が吐出され、毛髪に塗布されている。毛髪の脱色又は染色時には、蓋のノズルにより、毛髪がかき分けられることがある。また、ノズルを有する蓋が容器に取り付けられた塗布具には、混合剤を適量ずつ毛髪に塗布可能であることが求められている。
【０００４】
上記第１剤と上記第２剤とが混合された混合剤を毛髪に塗布するための塗布具として、下記の特許文献１には、図８に示す塗布具１０１が開示されている。下記の特許文献２には、図９に示す塗布具１１１が開示されている。
【０００５】
図８，９に示す塗布具１０１，１１１は、上端に開口部を有する有底の容器１０２，１１２と、容器の開口部に取り付けられた蓋１０３，１１３とを備える。蓋１０３，１１３はそれぞれ、上方に延びるノズル１０３ａ，１１３ａを１つ有する。ノズル１０３ａ，１１３ａはそれぞれ、上方にいくにつれ先細りした形状を有する。ノズル１０３ａの先端の吐出口は、円形である。ノズル１１３ａの先端の吐出口は、矩形である。
【０００６】
また、従来の脱色剤又は酸化染毛剤が容器中で混合された混合剤は、クリーム状又は液状であることが多い。クリーム状又は液状の混合剤は、毛髪に塗布された後、クリーム状又は液状のままで毛髪が脱色又は染色されるまで５〜６０分程度放置される。毛髪が脱色又は染色された後、混合剤は洗い流される。
【０００７】
クリーム状の混合剤は、粘度が比較的高いので、毛髪に均一に付着させることは困難である。このため、脱色又は染色後の毛髪に、脱色むら又は染色むらが生じやすい。特に、クリーム状の混合剤を施術者が自身の毛髪に塗布する場合には、すなわちクリーム状の混合剤をセルフで使用する場合には、クリーム状の混合剤を毛髪に均一に付着させることはより一層困難であり、脱色むら又は染色むらが特に生じやすいという問題がある。
【０００８】
一方で、液状の混合剤は、粘度が比較的低いので、毛髪に均一に付着させやすい。しかし、液状の混合剤は、毛髪への塗布時に垂れ落ちやすい。特に、液状の混合剤をセルフで使用する場合には、毛髪への塗布時に、液状の混合剤が垂れ落ちることが多い。さらに、液状の混合剤を毛髪に塗布した後、液状のままで毛髪が脱色又は染色されるまで放置される間にも、液状の混合剤は垂れ落ちやすい。
【０００９】
近年、垂れ落ちを抑制したり、脱色性又は染色性を高めたりするために、様々な脱色剤又は酸化染毛剤の開発が行われている。例えば、下記の特許文献３には、第１剤と第２剤との内の少なくとも一方が界面活性剤を含む２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が開示されている。この２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、容器中で混合され、混合された混合剤はフォーマー容器から泡状の状態で毛髪に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】実開平６−６５２５３４号公報
【特許文献２】特開２００１−１４５５１４号公報
【特許文献３】特開２００４−３３９２１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
特許文献１，２に記載の塗布具１０１，１１１を用いて、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布した場合には、所定量の混合剤を毛髪に塗布するのに長時間を要する。
【００１２】
また、特許文献１，２に記載の塗布具１０１，１１１を用いて、混合剤をセルフで毛髪に塗布する場合には、ノズル１０３ａ，１１３ａにより毛髪を適度にかき分けながら、毛髪の根元（生え際）部分に混合剤をむらなく塗布することは困難である。このため、ノズルだけでなく人の手によっても毛髪を分けながら、毛髪の根元部分に混合剤を塗布しなければならないことがある。
【００１３】
特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染色剤は、特許文献１，２に記載の塗布具で塗布される脱色剤又は酸化染毛剤ではない。特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤は、フォーマー容器から泡状の状態で毛髪に塗布される。特許文献３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤では、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するので、液状の混合剤を毛髪に塗布する場合と比べて、混合剤を毛髪に比較的塗布しやすく、塗布時又は塗布後の放置時に混合剤の毛髪からの垂れ落ちをある程度抑えることが可能である。
【００１４】
しかしながら、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するため、泡状の混合剤をむらなく毛髪に塗布することは困難である。特に、毛髪の根元（生え際）部分に、泡状の混合剤は塗布しにくい。このため、脱色むら又は染色むらが生じやすい。
【００１５】
さらに、混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、混合剤の同一体積中に含まれる脱色成分又は染色成分の量が少なくなる。このため、毛髪に塗布される段階で混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、毛髪に付着した混合剤の量が少なくなりやすい。このため、毛髪を十分に脱色又は染色できないことがある。
【００１６】
本発明の目的は、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１７】
本発明の限定的な目的は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に好適に用いられ、塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の毛髪からの垂れ落ちを抑制することができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１８】
本発明のさらに限定的な目的は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられ、毛髪上で脱色剤又は酸化染毛剤を良好に泡立たせることができる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を提供することである。
【００１９】
本発明の他の目的は、上記塗布具の上記容器中に脱色剤又は酸化染毛剤が収容されており、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具、並びに毛髪の脱色又は染色方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００２０】
本発明の広い局面によれば、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具であって、下端に底部を有し、上端に開口部を有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器と、上記容器の上記開口部に取り付けられる蓋とを備え、該蓋は、ノズルを少なくとも２個有し、該ノズルは、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルは、上記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤が上記流路に流入する流入口と、上記容器側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤が上記流路から流出する流出口とを有する、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具が提供される。
【００２１】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具のある特定の局面では、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記容器を下側かつ上記蓋を上側となるように配置したときに、上記ノズルに設けられた上記流路は、下方から上方に向かって延びている。
【００２２】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の他の特定の局面では、上記蓋が上記容器の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルに設けられた上記流路は、上記容器の中心線に対して略平行な方向に延びている。
【００２３】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具のさらに他の特定の局面では、上記ノズルに設けられた上記流路は、直線状に延びている。
【００２４】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の別の特定の局面では、上記ノズルの外形が略円錐台状である。
【００２５】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の別の特定の局面では、上記ノズルに設けられた流路が略円錐台状である。
【００２６】
上記ノズルの上記流出口の開口面積は、０．３ｍｍ２以上、３ｍｍ２以下であることが好ましい。上記ノズルの上記流入口の開口面積は、上記ノズルの上記流出口の開口面積よりも大きいことが好ましい。上記ノズルの上記流入口の開口面積は、上記ノズルの上記流出口の開口面積の１０倍以上、４０倍以下であることが好ましい。隣り合う上記ノズルの先端間の隙間の距離は、４ｍｍ以上、２０ｍｍ以下であることが好ましい。
【００２７】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の他の特定の局面では、上記蓋は、上記ノズルを少なくとも３個有し、少なくとも３個の上記ノズルが、直線状に並んでいる。
【００２８】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に好適に用いられる。また、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で上記ノズルの上記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に好適に用いられる。さらに、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に好適に用いられる。
【００２９】
本発明の他の広い局面によれば、本発明に従って構成された脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、脱色剤又は酸化染毛剤とを備え、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤と酸化剤とを含み、脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤が酸化染料を含む、脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具が提供される。
【００３０】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具のある特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分と、増粘性高分子とをさらに含み、上記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である。
【００３１】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具の他の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分と、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤とをさらに含み、上記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である。この場合に、上記脱色剤又は酸化染毛剤は、増粘性高分子をさらに含むことが好ましい。
【００３２】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具の別の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である。
【００３３】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具のさらに別の特定の局面では、上記脱色剤又は酸化染毛剤は、混合された状態で、塗布具の上記容器の内部に収容されている。
【００３４】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法は、本発明に従って構成された脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の上記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程と、上記脱色剤又は酸化染毛剤をジェル状である状態で、上記蓋の上記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てる工程とを備える。
【００３５】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法のある特定の局面では、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤にする工程を含む。
【００３６】
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法の他の特定の局面では、上記第１剤として液状又はジェル状の第１剤が用いられ、かつ上記第２剤として液状又はジェル状の第２剤が用いられる。
【発明の効果】
【００３７】
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤では、蓋がノズルを少なくとも２個有し、該ノズルは、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、上記蓋が容器の開口部に取り付けられた状態で、上記蓋が上記容器の上端の上記開口部に取り付けられた状態で、上記ノズルは、上記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤の流入口と、上記容器側とは反対側の先端に流出口とを有するので、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】図１は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【図２】図２は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す正面図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す側面図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を部分的に示す正面断面図である。
【図５】図５（ａ）〜（ｇ）は、ノズルを有する蓋の変形例を示す平面図である。
【図６】図６（ａ）〜（ｃ）は、ノズルを有する蓋の他の変形例を示す側面図である。
【図７】図７（ａ），（ｂ）は、脱色剤又は酸化染毛剤の混合時などに、容器の開口部に取り付ける蓋の一例を示す斜視図及び正面図である。
【図８】図８は、従来の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【図９】図９は、従来の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【００４０】
（脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具）
図１に、本発明の一実施形態に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を模式的に斜視図で示す。図２に、図１に示す塗布具１を部分的に正面図で示す。図３に、図１に示す塗布具１を部分的に側面図で示す。図４に、図１に示す塗布具を部分的に正面断面図で示す。
【００４１】
図１〜４に示す塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる。塗布具１は、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である。
【００４２】
塗布具１は、容器２と蓋３とを備える。図１〜４では、蓋３は容器２に取り付けられている。蓋３は、容器２から取り外し可能である。図１〜４では、容器２が下側、蓋３が上側となるように配置されている。
【００４３】
容器２は、脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器である。容器２は、下端に底部２ａを有し、上端に開口部２ｂを有する。容器２は、底部２ａと開口部２ｂとの間に、筒部２ｃを有する。容器２は、有底の筒状容器である。容器２は、可撓性を有する樹脂等を用いて形成される。
【００４４】
容器２は、底部２ａ部分を除いて円筒状である。容器２の筒部２ｃは、円筒状である。容器２は、脱色剤又は酸化染毛剤を収容可能な内部空間を有する。容器は、底部分を除いて角筒状などの他の形状であってもよい。容器の筒部は、角筒状などの他の形状であってもよい。
【００４５】
開口部２ｂの開口面積を小さくし、更に蓋３を容器２の開口部２ｂに容易に取り付けるために、容器２の上端部分である開口部２ｂの径は、開口部２ｂを除く他の部分の径よりも小さい。容器２は、上端部分に小径部と、上端部分を除く他の部分に大径部とを有する。容器２は、開口部２ｂの外周側面に、すなわち上端部分の小径部の外周側面に、雄ねじ部２ｄを有する。
【００４６】
容器２は外周側面に、滑り止め部２ｅを有する。滑り止め部２ｅは、容器２の外周側面に設けられた多数の凸部である。多数の凸部は、容器２の下端と上端とを結ぶ方向すなわち底部２ａと開口部２ｂとを結ぶ方向に並んでいる。滑り止め部２ｅは、凹部であってもよく、凹凸部であってもよい。滑り止め部２ｅは、容器２の外周側面を手等で把持したときに、意図せずに容器が滑るのを抑える役割を果たす。また、滑り止め部２ｅは、容器２を把持したときに、容器２を目視しなくても、容器２の向きを容易に把握する役割も果たす。なお、滑り止め部２ｅは必ずしも設けられていなくてもよい。
【００４７】
容器２の空容積は、好ましくは８０ｍＬ以上、より好ましくは１００ｍＬ以上、好ましくは２５０ｍＬ以下、より好ましくは２３０ｍＬ以下である。
【００４８】
蓋３は、蓋本体１１と、３個のノズル１２とを有する。蓋本体１１は、筒部１１ａと上壁部１１ｂと基端部１１ｃとを有する。筒部１１ａの上端と上壁部１１ｂの外周縁とが接続されている。基端部１１ｃは、上壁部１１ｂの中央の領域に接続されており、上壁部１１ｂから上方に突出している。基端部１１ｃは、上壁部１１ｂから上方に突出した凸部である。基端部１１ｃに、３個のノズル１２の一端が接続されている。筒部１１ａは、円筒状である。蓋本体の筒部は、容器の開口部の形状に対応して、角筒状等の他の形状であってもよい。
【００４９】
蓋本体１１の筒部１１ａの内径は、容器２の開口部２ｂ（小径部）の外径と略等しい。蓋３及び筒部１１ａは内周側面に、雌ねじ部１１ｄを有する。容器２の雄ねじ部２ｄと蓋３の雌ねじ部１１ｄとを嵌合させることにより、蓋３を容器２の開口部２ｂに取り付けること可能である。また、容器２と蓋３との接続部分において密閉性を確保できる。
【００５０】
蓋本体１１は外周側面に、滑り止め部１１ｅを有する。滑り止め部１１ｅは、蓋本体１１の外周側面に設けられた多数の凹凸部である。蓋本体の滑り止め部は、凹部であってもよく、凸部であってもよい。滑り止め部１１ｅは、雄ねじ部２ｄと雌ねじ部１１ｄとを嵌合させながら、蓋３を容器２の開口部２ｂに取り付ける作業を容易にする。なお、滑り止め部１１ｅは必ずしも設けられていなくてもよい。
【００５１】
蓋３は、ノズル１２を３個有する。複数のノズル１２は、一端（図１〜４における下端）が間隔を隔てずに配置されている。複数のノズル１２の一端は互いに接している。３個のノズル１２は、直線状に並んでいる。蓋は、ノズルを少なくとも２個有していればよく、少なくとも３個有することが好ましい。蓋がノズルを１個ではなく少なくとも２個有することによって、複数のノズルにより毛髪を分けながら、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分に短時間で容易に塗布することができる。また、脱色剤又は酸化染毛剤を、一度に広範囲にわたり、適量で塗布することができる。
【００５２】
蓋がノズルを少なくとも３個有すると、容器中の脱色剤又は酸化染毛剤を蓋のノズルから吐出して、毛髪の根元（生え際）部分により一層精度よく短時間で容易に塗布することができる。ノズルの個数は、好ましくは１０個以下、より好ましくは８個以下、更に好ましくは５個以下、特に好ましくは３個である。
【００５３】
少なくとも３個のノズルは、直線状に並んでいることが好ましい。この場合には、ノズルを櫛のように用いることができ、毛髪を適度に束ねるようにノズルをスライドさせることでき、ノズルにより毛髪をより一層かき分けやすく、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布性をより一層高めることができる。この結果、脱色剤又は酸化染毛剤を、毛髪の根元部分により一層精度よく短時間で容易に塗布することができる。特に、塗布具を用いて脱色剤又は酸化染毛剤を施術者が自身の毛髪に塗布する場合にも、すなわち塗布具をセルフで使用する場合にも、毛髪を良好にかき分けながら、毛髪に脱色剤又は酸化染毛剤を容易に塗布することができる。
【００５４】
ノズル１２は筒状であり、流路１２ａを有する。ノズル１２は、円筒状である。ノズル１２の外周側面及び内周側面はそれぞれ、曲面である。ノズル１２は、先細りした形状を有する。ノズル１２の外形は略円錐台状である。ノズルにより毛髪をかき分ける作業をより一層容易にするために、ノズルは円筒状であることが好ましく、ノズルの外周側面は曲面であることが好ましく、ノズルは先細りした形状を有することが好ましく、ノズルの外形は略円錐台状であることが好ましい。
【００５５】
ノズル１２の内周側面は曲面である。脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズルにおける脱色剤又は酸化染毛剤の目詰まりを抑制する観点からは、ノズルの内周側面は曲面であることが好ましい。
【００５６】
ノズル１２は、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路１２ａを有する。流路１２ａは、ノズルの先端に向かって先細りした形状を有する。流路１２ａは円錐台状である。流路１２ａがこのような形状を有することにより、脱色剤又は酸化染毛剤の流路１２ａにおける移動が滑らかになり、ノズル１２の目詰まりが抑えられる。
【００５７】
蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、流路１２ａは、容器２側とは反対側に開口している。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態で、容器２を下側かつ蓋３を上側に配置したときに、流路１２ａは上側に開口している。
【００５８】
ノズル１２は、一端に流入口１２ｂと、他端に流出口１２ｃとを有する。蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、ノズル１２は、容器２側に流入口１２ｂと、容器２側とは反対側の先端に流出口１２ｃとを有する。流入口１２ｂは、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流入する部分である。流出口１２ｃは、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流出する部分である。流路１２ａは、流入口１２ｂから流出口１２ｃに延びている。
【００５９】
蓋３が容器２の上端の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、容器２を下側かつ蓋３を上側となるように配置したときに、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、下方から上方に延びている。蓋３が容器２の上端の開口部２ｂに取り付けられた状態で、ノズルに設けられた流路は、容器の中心線に対して略平行な方向に延びている。また、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、容器２の下端と上端とを結ぶ方向と略平行な方向に延びており、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、容器２の底部２ａと開口部２ｂとを結ぶ方向と略平行な方向に延びている。また、ノズル１２に設けられた流路１２ａは、蓋本体１１の上壁部１１ｂに対して略垂直な方向に延びている。このような方向に流路１２ａが延びていることにより、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤をより一層滑らかにノズル１２の先端から吐出することができ、かつノズル１２の目詰まりをより一層効果的に抑制できる。
【００６０】
ノズル１２に設けられた流路１２ａは直線状に延びている。このため、脱色剤又は酸化染毛剤の流路１２ａの移動が滑らかになり、ノズル１２にける脱色剤又は酸化染毛剤の目詰まりが抑えられる。なお、ノズルに設けられた流路は、曲線状に延びていてもよい。
【００６１】
脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積は、好ましくは０．３ｍｍ２以上、より好ましくは０．４ｍｍ２以上、好ましくは３ｍｍ２以下、より好ましくは２．６ｍｍ２以下である。
【００６２】
脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつ１つのノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流入口１２ｂの開口面積は、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積よりも大きいことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤の流路の移動を滑らかにし、ノズル１２の目詰まりを抑制し、かつ１つのノズル１２当たりの吐出量を好適な範囲に制御する観点からは、ノズル１２の流入口１２ｂの開口面積は、ノズル１２の流出口１２ｃの開口面積の１０倍以上であることが好ましく、１５倍以上であることがより好ましく、４０倍以下であることが好ましく、３５倍以下であることがより好ましい。
【００６３】
ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分ける観点からは、隣り合うノズル１２，１２の先端間の隙間は、Ｖ字状であることが好ましい。ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分ける観点からは、隣り合うノズル１２，１２の先端間の隙間の距離Ｄは、好ましくは４ｍｍ以上、より好ましくは５ｍｍ以上、好ましくは２０ｍｍ以下、より好ましくは１５ｍｍ以下である。
【００６４】
ノズル１２を櫛のように使用して、ノズル１２により毛髪を良好に分け、更に毛髪の根元に脱色剤又は酸化染毛剤をより一層容易に塗布する観点からは、ノズル１２及び流路１２ａの長さＬはそれぞれ、好ましくは１０ｍｍ以上、より好ましくは１５ｍｍ以上、好ましくは５０ｍｍ以下、より好ましくは４０ｍｍ以下である。
【００６５】
図５（ａ）〜（ｇ）に蓋の変形例を平面図で示す。図５（ａ）〜（ｇ）に示す蓋２１〜２７は蓋本体２１ａ〜２７ａとノズル２１ｂ〜２７ｂとを有する。蓋本体２１ａ〜２７ａは筒部と上壁部とを有し、基端部を有さない。蓋は、基端部を有していなくてもよい。
【００６６】
図５（ａ）に示す蓋２１は、蓋本体２１ａが基端部を有さないこと以外は、蓋３と同様に構成されている。蓋２１では、ノズル２１ｂが蓋本体２１ａの上壁部に直接接続されている。このように、基端部が必ずしも設けられていなくてもよい。
【００６７】
図５（ｂ）に示す蓋２２は、蓋本体２２ａの上壁部に間隔を隔てて接続されている３個のノズル２２ｂを有する。このように、複数のノズルは、一端が間隔を隔てるように配置されていてもよい。
【００６８】
図５（ｃ）に示す蓋２３は、平面視において、直線状に並んでいる４個のノズル２３ｂを有する。図５（ｄ）に示す蓋２４は、平面視において、三角形状の頂部に配置されている３個のノズル２４ｂを有する。図５（ｅ）に示す蓋２５は、平面視において、四角形状の頂部に配置されている４個のノズル２５ｂと、該４個のノズル２５ｂの中心部に配置されている１つのノズル２５ｂとの合計５個のノズル２５ｂを有する。図５（ｆ）に示す蓋２６は、平面視において、環状に並んで等間隔に配置された７個のノズル２６ｂを有する。図５（ｇ）に示す蓋２７は、ジグザグ状に配置された４個のノズル２７ｂを有する。
【００６９】
図５（ｂ）〜（ｇ）に示す蓋２２〜２７のように、蓋に設けられるノズルの個数及び配置形態は適宜変更することができる。
【００７０】
塗布具１では、蓋３が容器２の開口部２ｂに取り付けられた状態（図１〜４に示す状態）で、ノズル１２及び流路１２ａは、容器２の中心線及び容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して略平行な方向に延びており、蓋本体１１の上壁部１１ｂに対して略垂直な方向に延びている。図６（ａ）に示す蓋３１のように、ノズル３１ａ及びノズル３１ａに設けられた流路３１ｂは、容器２の中心線及び容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して、容器２の下端と上端とを結ぶ方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。ノズル３１ａ及びノズル３１ａに設けられた流路３１ｂは、蓋本体の上壁部と略垂直な方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。傾斜角度αは、０度を超え、好ましくは１度以上、より好ましくは５度以上、好ましくは６０度以下、より好ましくは４５度以下である。このように、ノズルの延びる方向は適宜変更可能である。
【００７１】
塗布具１では、ノズル１２の外形及びノズル１２に設けられた流路１２ａは、略円錐台状である。図６（ｂ）に示す蓋３２のように、ノズル３２ａの外形及びの該ノズル３２ａに設けられた流路３２ｂは、円柱状であってもよい。さらに、ノズルの外形及びノズルに設けられた流路は、角柱状及び角錐台状等の他の形状でであってもよい。このようにノズルの外形及び流路の形状は適宜変更可能である。但し、塗布具１のように、ノズル１２の外形及び該ノズル１２に設けられた流路１２ａは、略円錐台状であることが好ましい。
【００７２】
図６（ｃ）に示す蓋３３のように、ノズル３３ａの外周側面、並びにノズル３３ａに設けられた流路３３ｂの外形は、ノズル３３ａの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凹状に湾曲していてもよい。ノズル３３ａの内周側面は、ノズル３３ａの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凸状に湾曲していてもよい。円錐台状の外形を有するノズルの外周側面を凹状又は凸状に湾曲させたノズルも、略円錐台状の外形を有するノズルに含まれることとする。また、ノズルの外周側面、並びにノズルに設けられた流路の外形は、ノズルの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凸状に湾曲していてもよい。ノズルの内周側面は、ノズルの長さ方向の一端と他端とを結ぶ方向において、凹状に湾曲していてもよい。
【００７３】
上述した本実施形態に係る塗布具１の使用により、人の頭の表面近傍をノズル１２をスライドさせながら、容器２中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、一度に広範囲に、適量で毛髪に塗布することができる。この結果、脱色剤又は酸化染毛剤の全量を塗布し終えるまでの時間を短くすることができ、更に後述のようにジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を良好に泡立てることができる。さらに、塗布具１をセルフで用いた場合でも、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布が容易である。また、塗布具１の使用により、髪の根元（生え際）に、脱色剤又は酸化染毛剤をむらなく塗布することが容易になる。また、塗布具１では、蓋３のノズル１２により、ノズル１２を櫛のように使いながら、毛髪を束ねたり、毛髪をかき分けたりして、脱色剤又は酸化染毛剤を塗布することができる。
【００７４】
特に、塗布具１の使用により、比較的粘度が低い脱色剤又は酸化染毛剤であっても、例えばジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤であっても、毛髪からの垂れ落ちを抑制しつつ、毛髪に均一に塗布することが可能になる。
【００７５】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。
【００７６】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を上記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で上記ノズルの上記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。
【００７７】
脱色むら又は染色むらを抑制し、毛髪を良好に脱色又は染色する観点からは、本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具は、上記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具であることが好ましい。ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てることにより、脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に均一に付着させることができる。
【００７８】
（容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤の詳細）
容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤は、毛髪に塗布される。容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも備える混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合した混合剤であることが好ましい。混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、上記第１剤は、アルカリ剤に加えて、酸化染料をさらに含む。混合された脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤は、酸化染料を含む。以下、「混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤」を「脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ」と記載し、容器中に収容される「混合後の脱色剤又は酸化染毛剤」又は「毛髪に塗布される直前の脱色剤又は酸化染毛剤」を「脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ」と記載することがある。脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、混合されて混合剤として用いられる。
【００７９】
従来の脱色剤又は酸化染毛剤が混合されたクリーム状の混合剤の粘度は比較的高いので、混合剤を毛髪に均一に付着させにくいことがある。このため、混合剤がクリーム状のままで毛髪が脱色又は染色するまで５〜６０分程度放置された後、洗い流されると、脱色むら又は染色むらが生じやすいという問題がある。
【００８０】
一方で、特開２００４−３３９２１６号公報に記載の脱色剤又は酸化染毛剤では、混合剤を泡状の状態で毛髪に塗布するため、泡状の混合剤をむらなく毛髪に塗布することは困難である。特に、毛髪の根元（生え際）部分に、泡状の混合剤は塗布しにくい。このため、脱色むら又は染色むらが生じやすい。
【００８１】
さらに、混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、混合剤の同一体積中に含まれる脱色成分又は染色成分の量が少なくなる。このため、毛髪に塗布される段階で混合剤が泡状であると、クリーム状である場合と比べて、毛髪に付着した混合剤の量が少なくなりやすい。このため、毛髪を十分に脱色又は染色できないことがある。
【００８２】
これに対して、毛髪にジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを塗布し、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に均一に付着させることができる。特に、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを施術者が自身の毛髪に塗布する場合にも、すなわちジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをセルフで使用する場合にも、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪にむらなく付着させることができる。
【００８３】
さらに、毛髪に塗布する段階で脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが泡状ではなくジェル状であると、毛髪の根元（生え際）部分であっても、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを容易にかつ十分な量で塗布することができる。さらに、毛髪への塗布時にジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちを抑制することができ、かつ塗布された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの毛髪からの垂れ落ちも抑制することができ、更に毛髪を良好に脱色又は染色することができる。この結果、脱色又は染色後に、脱色むら又は染色むらを抑制することができる。
【００８４】
従って、脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状、すなわち毛髪に塗布される脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの性状は、ジェル状であることが好ましい。
【００８５】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度は、２００ｍＰａ・ｓ以上である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにおける「ジェル状」とは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度が２００ｍＰａ・ｓ以上であることをいう。ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度は、１００００ｍＰａ・ｓ以下であることが好ましい。ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度は、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、３０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定される。但し、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された粘度が４０００ｍＰａ・ｓ以上である場合には、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの２５℃での粘度の値として、ロータＮｏ．３、６ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された値が採用される。
【００８６】
上記第１剤は液状又はジェル状であることが好ましい。上記第２剤は液状又はジェル状であることが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤がそれぞれ、液状又はジェル状であることがより好ましい。混合前の段階で、第１剤及び第２剤の内の一方が液状又はジェル状である場合には、混合の初期段階で第１剤又は第２剤の流動性が高く、第１剤及び第２剤の混合性に優れている。混合前の段階で第１剤及び第２剤の双方が液状である場合には、混合の初期段階で第１剤及び第２剤の双方の流動性が高く、第１剤及び第２剤の混合性により一層優れている。第１剤と第２剤とを均一に混合することによって、脱色むら又は染色むらをより一層抑制することができる。
【００８７】
第１剤及び第２剤における「液状」又は「ジェル状」とは、第１剤及び第２剤の２５℃での粘度が３０００ｍＰａ・ｓ未満であることをいう。液状又はジェル状である第１剤及び第２剤の２５℃での粘度はそれぞれ、３０００ｍＰａ・ｓ未満であり、好ましくは２０００ｍＰａ・ｓ未満である。液状又はジェル状である第１剤及び第２剤の２５℃での粘度はそれぞれ、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定される。
【００８８】
以下、第１剤及び第２剤並びに脱色剤又は酸化染毛剤Ｙに含まれる各成分の詳細をより詳細に説明する。
【００８９】
第１の界面活性剤成分（Ａ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤の内の少なくとも一方は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性剤成分（Ａ）を含むことにより、毛髪上でジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。毛髪上でジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好に泡立てる観点からは、第１剤及び第２剤がそれぞれ、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分（Ａ）を含むことが好ましい。第１の界面活性剤成分（Ａ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【００９０】
上記アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸、アシル乳酸塩、Ｎ−アシルサルコシン塩、Ｎ−アシルグルタミン酸塩及びＮ−アシルメチルアラニン塩等が挙げられる。これら以外のアニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【００９１】
上記両性界面活性剤としては、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウム型両性界面活性剤、アミンオキサイド型両性界面活性剤及びホスホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これら以外の両性界面活性剤を用いてもよい。
【００９２】
上記グリシン型両面界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩及びＮ−アシルアミノエチル−Ｎ−２−ヒドロキシエチルグリシン塩等が挙げられる。上記アミノプロピオン酸型両性界面活性剤としては、アルキルアミノプロピオン酸塩及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。上記アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる、上記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−プロピルスルホン酸塩、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩及びＮ−脂肪酸アミドプロピル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩等が挙げられる。上記イミダゾリニウム型両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。上記アミンオキサイド型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。上記ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、２−（ジメチルオクチルアンモニオ）エチルホスフェート、２−（ジメチルドデシルアンモニオ）プロピルホスフェート及び２−（ジメチルドデシルアンモニオ）−２−ヒドロキシプロピルホスフェート等が挙げられる。
【００９３】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちを良好にする観点から、第１の界面活性剤成分（Ａ）として、Ｎ−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム−Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）スルホン酸塩、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイドを用いることが好ましい。第１の界面活性剤成分（Ａ）として、具体的には、Ｎ−ヤシ油脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ミリスチン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、Ｎ−ラウロイルメチルタウリン塩、ラウリルスルホコハク酸塩、ラウリル（２−ヒドロキシスルホプロピル）ジメチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、２−アルキル−Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドを用いることがより好ましい。なお、上記塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【００９４】
第１剤及び第２剤における第１の界面活性剤成分（Ａ）の各含有量は、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際の泡立ちなどを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量及び第２剤１００質量％中の第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは６．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量は、好ましくは０．３質量％以上、より好ましくは１．０質量％以上、好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは６．０質量％以下である。第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量が上記下限以上であると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。第１の界面活性剤成分（Ａ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な第１の界面活性剤成分（Ａ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【００９５】
第２の界面活性剤成分（Ｂ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第２の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。上記第１剤及び上記第２剤の内の少なくとも一方は、第２の界面活性剤成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、毛髪への塗布時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちを抑制することができ、かつ塗布された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの毛髪からの垂れ落ちも抑制することができる。さらに、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが毛髪に塗布された後に、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てて泡状にすることができる。このようにジェル状の状態から、シャンプーするような要領で泡立てて泡状の状態にすることで、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に均一に付着させることができる。このため、脱色又は染色後の毛髪に脱色むら又は染色むらを生じ難くすることができる。第２の界面活性剤成分（Ｂ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【００９６】
また、毛髪が、整髪剤を用いて整髪されることがある。該整髪剤として、例えば、ロウ類又は炭化水素類などの油剤を含むヘアワックス等が用いられている。このようなヘアワックスにより整髪された毛髪には、油剤が多く付着している。また、ヘアワックスを用いて整髪された毛髪を洗浄した後にも、毛髪に油剤が残存することが多い。
【００９７】
ヘアワックスなどの油剤が毛髪に付着している場合には、従来の脱色剤又は酸化染毛剤である泡状の混合剤を毛髪に塗布すると、消泡することがある。また、泡が消泡して生じた消泡物の粘度が低下し、塗布時又は塗布後の放置中に消泡物が垂れ落ちることがある。さらに、従来の脱色剤又は酸化染毛剤では、毛髪に塗布された泡状の混合剤をさらに泡立てようとしても、十分に泡立たないことがある。
【００９８】
これに対して、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第１の界面活性成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含むことにより、毛髪にヘアワックス等に由来する油剤が付着していても、毛髪上で脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立たせることができ、消泡を効果的に抑制することができる。
【００９９】
上記ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド及びポリオキシエチレンラノリン等が挙げられる。これらのアルキレンオキシド付加物を用いてもよい。これら以外のノニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【０１００】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちをより一層良好にする観点から、第２の界面活性剤成分（Ｂ）として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、アルキルポリグルコシドを用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることがより好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。なお、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数は特に限定されない。
【０１０１】
第２の界面活性剤成分（Ｂ）の安定性を高め、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの泡立ちをより一層良好にする観点からは、第１剤が、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【０１０２】
第１剤及び第２剤における第２の界面活性剤成分（Ｂ）の各含有量は、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際の泡立ちなどを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量及び第２剤１００質量％中の第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは７．０質量％以下、より好ましくは４．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量は、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは５．０質量％以下、より好ましくは３．０質量％以下である。第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量が上記下限以上であると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを良好に泡立てることができる。第２の界面活性剤成分（Ｂ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な第２の界面活性剤成分（Ｂ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【０１０３】
増粘性高分子（Ｃ）：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合時に粘度を効果的に向上させ、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェルするために、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、増粘性高分子（Ｃ）を含むことが好ましい。第１剤及び第２剤の内の少なくとも一方は、脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合により脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度を上昇させる成分を含むことが好ましく、増粘性高分子（Ｃ）を含むことがより好ましい。増粘性高分子（Ｃ）は、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘの混合により脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度を上昇させる成分である。増粘性高分子（Ｃ）の使用により、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に塗布する際に、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが垂れ落ちにくくなる。増粘性高分子（Ｃ）は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１０４】
混合時に粘度を効果的に向上させ、更に塗布時にジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制する観点からは、第１剤及び第２剤がそれぞれ、増粘性高分子（Ｃ）を含むことが好ましい。
【０１０５】
増粘性高分子（Ｃ）としては、カチオン化セルロース、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が挙げられ、これらの内の少なくとも１種が好適に用いられる。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、カチオン化セルロース、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群から選択された少なくとも１種を含むことが好ましい。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをさらに一層良好なジェル状にする観点からは、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマーの内の少なくとも１種と、アニオン性ポリマーとを含むことがより好ましい。
【０１０６】
上記カチオン化セルロースの具体例としては、塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］ヒドロキシエチルセルロース及び塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【０１０７】
上記カチオン性ポリマーとしては、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル４級アンモニウム塩重合物、ジアリル４級アンモニウム塩／アクリル酸共重合物、ジアリル４級アンモニウム塩／アクリルアミド共重合物及び４級ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。上記カチオン性ポリマーの具体例としては、塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体及びビニルピロリドン・ジメチルアミノメタクリレートの硫酸ジメチルによる４級化誘導体等が挙げられる。なお、カチオン性ポリマーには、上記カチオン化セルロースは含まれないこととする。
【０１０８】
上記アニオン性ポリマーの具体例としては、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体及びアクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマー等が挙げられる。
【０１０９】
第１剤中での増粘性高分子（Ｃ）の安定性を高め、更に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、第１剤は、増粘性高分子（Ｃ）として、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマーの内の少なくとも１種であることが好ましい。
【０１１０】
第２剤中での増粘性高分子（Ｃ）の安定性を高め、更に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをより一層良好なジェル状にする観点からは、第２剤は、増粘性高分子（Ｃ）として、アニオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【０１１１】
第１剤及び第２剤における増粘性高分子（Ｃ）の各含有量は、第１剤と第２剤とが混合された脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの粘度及び性状などを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中の増粘性高分子（Ｃ）の含有量及び第２剤１００質量％中の増粘性高分子（Ｃ）の含有量はそれぞれ、０質量％以上、好ましくは０．１質量％以上、より好ましくは０．３質量％以上、好ましくは７．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下である。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、増粘性高分子（Ｃ）の含有量は、好ましくは０．２質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、好ましくは５．０質量％以下、より好ましくは３．０質量％以下である。増粘性高分子（Ｃ）の含有量が上記下限以上であると、粘度が適度に向上し、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙがより一層良好なジェル状になる。増粘性高分子（Ｃ）の含有量が上記上限以下であると、過剰な増粘性高分子（Ｃ）による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【０１１２】
第１剤は、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。第２剤は、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。これらの場合には、塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制することができ、かつ脱色性及び染色性をより一層高めることができる。
【０１１３】
塗布時及び塗布後の放置時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、第１剤が、第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含み、かつ第２剤が第１の界面活性剤成分（Ａ）と増粘性高分子（Ｃ）とを含むことが好ましい。
【０１１４】
アルカリ剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤を含む。アルカリ剤は特に限定されない。アルカリ剤として、従来公知のアルカリ剤が使用可能である。アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよく、有機アルカリ剤であってもよい。アルカリ剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１１５】
上記アルカリ剤としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等が挙げられる。これら以外のアルカリ剤を用いてもよい。
【０１１６】
第１剤中のアルカリ剤の含有量は、所望とする脱色性又は染色性などを考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、更に好ましくは１質量％以上、特に好ましくは３質量％以上、好ましくは２０質量％以下、より好ましくは１５質量％以下、更に好ましくは１０質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、更に好ましくは０．３質量％以上、特に好ましくは１質量％以上、好ましくは１３質量％以下、より好ましくは１０質量％以下、更に好ましくは７質量％以下である。アルカリ剤の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。アルカリ剤の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１１７】
酸化染料：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤に加えて、酸化染料をさらに含む。「酸化染料」は、自身の酸化重合により発色する酸化染料前駆体と、酸化染料前駆体との反応により種々の色に発色させるカップラーとの双方を意味する。酸化染料は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１１８】
上記酸化染料前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類及びジアミノピリジン類、並びにこれらの塩類等が挙げられる。該塩類としては、塩酸塩及び硫酸塩等が挙げられる。
【０１１９】
上記フェニレンジアミン類としては、ｐ−フェニレンジアミン、トルエン−２，５−ジアミン、トルエン−３，４−ジアミン、２，５−ジアミノアニソール、Ｎ−フェニル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ジメチル−ｐ−フェニレンジアミン、６−メトキシ−３−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ジエチル−２−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−エチル−Ｎ−（ヒドロキシエチル）−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）−ｐ−フェニレンジアミン、２−クロル−６−メチル−ｐ−フェニレンジアミン、２−クロロ−ｐ−フェニレンジアミン、Ｎ，Ｎ−ビス−（２−ヒドロキシエチル）−ｐ−フェニレンジアミン、２，６−ジクロル−ｐ−フェニレンジアミン及び２−クロル−６−ブロム−ｐ−フェニレンジアミン等が挙げられる。上記アミノフェノール類としては、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、２，４−ジアミノフェノール、５−アミノサリチル酸、２−メチル−４−アミノフェノール、３−メチル−４−アミノフェノール、２，６−ジメチル−４−アミノフェノール、３，５−ジメチル−４−アミノフェノール、２，３−ジメチル−４−アミノフェノール、２，５−ジメチル−４−アミノフェノール、２−クロロ−４−アミノフェノール及び３−クロロ−４−アミノフェノール等が挙げられる。上記ジアミノピリジン類としては、２，５−ジアミノピリジン等が挙げられる。
【０１２０】
上記カップラーとしては、例えば、レゾルシン、ｍ−アミノフェノール、ｍ−フェニレンジアミン、２，４−ジアミノフェノキシエタノール、５−アミノ−ｏ−クレゾール、２−メチル−５−ヒドロキシエチルアミノフェノール、２，６−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、α−ナフトール、没食子酸及びタンニン酸、並びにこれらの塩類等が挙げられる。
【０１２１】
第１剤における酸化染料の含有量は、染色性を考慮して適宜調整される。第１剤１００質量％中、酸化染料の含有量は０質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、更に好ましくは０．２質量％以上、好ましくは２質量％以下、より好ましくは１．５質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、酸化染料の含有量は０質量％以上、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、更に好ましくは０．０６質量％以上、好ましくは１．３質量％以下、より好ましくは１質量％以下である。酸化染料の含有量が上記下限以上であると、毛髪の染色性がより一層高くなる。酸化染料の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１２２】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、色調を調色するために、第１剤は、直接染料を含んでいてもよい。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、２−アミノ−５−ニトロフェノール及びピクラミン酸等が挙げられる。
【０１２３】
還元剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤はそれぞれ、アルカリ剤及び酸化染料に加えて、還元剤をさらに含むことが好ましい。還元剤は、第１剤が大気暴露された際に酸化染料の発色を抑制する。
【０１２４】
上記還元剤は特に限定されない。上記還元剤として従来公知の還元剤が使用可能である。上記還元剤としては、例えば、Ｎ−アセチル−Ｌ−システイン、Ｌ−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム及びチオグリコール酸等が挙げられる。これらの塩を用いてもよい。還元剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１２５】
第１剤１００質量％中、還元剤の含有量は、０質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０５質量％以上、好ましくは２質量％以下、より好ましくは１質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、還元剤の含有量は、０質量％以上、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０２質量％以上、好ましくは１．３質量％以下、より好ましくは０．７質量％以下である。
【０１２６】
酸化剤：
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第２剤はそれぞれ、酸化剤を含む。酸化剤は特に限定されない。酸化剤として、従来公知の酸化剤が使用可能である。酸化剤は、１種のみが用いられてもよく、２種以上が併用されてもよい。
【０１２７】
上記酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、臭素酸塩及び過ヨウ素酸塩等が挙げられる。これら以外の酸化剤を用いてもよい。脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、上記酸化剤は、過酸化水素であることが好ましい。
【０１２８】
上記酸化剤の含有量は、脱色性又は染色性を考慮して適宜調整される。第２剤１００質量％中、酸化剤の含有量は好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．１質量％以上、好ましくは１２質量％以下、より好ましくは６質量％以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ１００質量％中、酸化剤の含有量は、好ましくは０．００３質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上、好ましくは８質量％以下、より好ましくは４質量％以下である。酸化剤の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。酸化剤の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【０１２９】
上記第２剤は、酸化剤の安定剤を含んでいてもよい。該酸化剤の安定剤としては、例えば、フェナセチン及びヒドロキシエタンジホスホン酸等が挙げられる。
【０１３０】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙ並びに第１剤及び第２剤はそれぞれ、上述した成分以外に、低級アルコール、高級脂肪酸、炭化水素、多価アルコール、着色剤及び香料等を含んでいてもよい。
【０１３１】
上記低級アルコールとしては、エタノール及びイソプロパノール等が挙げられる。上記炭化水素としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン及びスクワラン等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、１，３−ブチレングリコール、１，２−ペンタンジオール及び１，２−オクタンジオール等が挙げられる。
【０１３２】
（脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具）
本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具は、上述した脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ又は脱色剤又は酸化染毛剤Ｙとを備える。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが備えられる場合には、該脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、混合された状態で、塗布具の上記容器の内部に収容されている。
【０１３３】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙは、アルカリ剤と酸化剤とを含む。脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙが酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤は酸化染料を含む。前述のように、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙはジェル状であることが好ましい。
【０１３４】
脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具における脱色剤又は酸化染毛剤Ｘ，Ｙは、上述した各成分を上記含有量で含むことが好ましい。
【０１３５】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であることが好ましい。上記塗布具の容器中に収容される脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを混合した混合剤であることが好ましい。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤と上記第２剤とを少なくとも備える。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、毛髪処理剤である。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤と上記第２剤とを少なくとも備える毛髪処理剤キットである。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、上記第１剤及び上記第２剤に加えて、第３剤をさらに備えていてもよい。第３剤としては、脱色剤、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤及びヘアコンディショニング剤等が挙げられる。また、脱色剤などの第３剤と、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤又はヘアコンディショニング剤等の第４剤とを用いてもよい。
【０１３６】
多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘは、混合されて混合剤である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙとして用いられる。
【０１３７】
第１剤と第２剤とを備える２剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１剤と第２剤とを混合することにより得られ、第１剤と第２剤との混合物である。第１剤と第２剤と第３剤とを備える３剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第１剤と第２剤と第３剤とが混合される場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１〜第３剤とを混合することにより得られ、第１〜第３剤を含む混合物である。第１剤と第２剤と第３剤とを備える３剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第１剤と第２剤とが混合され、毛髪への塗布前に第３剤が混合されない場合には、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは、第１剤と第２剤とを混合することにより得られ、第１剤と第２剤との混合物である。
【０１３８】
第１剤と第２剤とを混合する際の質量比は特に限定されない。第１剤と第２剤とを混合する際の質量比（第１剤：第２剤）は、好ましくは１：１０〜１０：１、より好ましくは１：５〜５：１、更に好ましくは１：４〜３：１、特に好ましくは１：３〜２：１である。
【０１３９】
（脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具を用いた毛髪の脱色又は染色方法）
本発明に係る毛髪の脱色又は染色方法では、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の上記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを収容した状態にする工程と、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で、上記蓋の上記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる工程とを備えることが好ましい。
【０１４０】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを収容した状態にする工程は、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを上記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにする工程を含むことが好ましい。多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを容器中で混合し、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙにすることが好ましい。この場合には、混合が容易である。
【０１４１】
第１剤と第２剤とを少なくとも備える多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを混合すると、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが得られる。該脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で毛髪に塗布することにより、塗布時に脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが毛髪から垂れ落ち難くなる。次に、毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪上で泡立てることにより、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪にむらなく付着させることができる。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙが第２の界面活性剤成分（Ｂ）としてノニオン性界面活性剤を含む場合には、毛髪に整髪剤等に由来する油剤が付着していても、ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪上で良好に泡立てることができる。ジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立てる際には、ジャンプーする要領で泡立てて、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に充分に馴染ませればよい。
【０１４２】
脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを毛髪に塗布してから泡立てるまでの時間は、好ましくは１０分以下、より好ましくは５分以下、更に好ましくは３分以下である。脱色剤又は酸化染毛剤Ｙを泡立ててから毛髪を脱色又は染色するための放置時間は、好ましくは５分以上、より好ましくは１０分以上、好ましくは１２０分以下、より好ましくは６０分以下である。毛髪の脱色又は染色が充分に進行した後、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙは毛髪から洗い流され、除去される。
【０１４３】
また、混合に用いる容器は、第１剤を含む容器又は第２剤を含む容器であることが好ましい。混合に用いる容器は、上述した脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具に用いられる容器であることが好ましい。この場合には、新たに容器を用意する必要がなく、第１剤を含む容器に第２剤を入れるか又は第２剤を含む容器に第１剤を入れることにより、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤Ｘを容易に混合できる。混合に用いる容器は、第２剤を含む容器であることがより好ましい。また、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙの塗布性をより一層高めるために、脱色剤又は酸化染毛剤Ｙをジェル状である状態で容器から吐出して、毛髪に塗布することが好ましい。
【０１４４】
混合時には、図１〜４に示す蓋３にかえて、図７（ａ），（ｂ）に示すノズルを有さない蓋５１を用いてもよい。蓋５１は、筒部５１ａと、上壁部５１ｂとを有する。筒部５１ａの上端と上壁部５１ｂの外周縁とが接続されている。上壁部５１ｂの表面は平坦である。上壁部５１ｂは、開口部を有さない。
【０１４５】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【０１４６】
実施例及び比較例では、下記の第１の界面活性剤成分（Ａ）、第２の界面活性剤成分（Ｂ）及び増粘性高分子（Ｃ）を用いた。
【０１４７】
（第１の界面活性剤成分（Ａ））
Ｎ−ヤシ油脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸トリエタノールアミン（３０質量％）（旭化成ケミカルズ社製「アミノサーファクト ＡＣＭＴ−Ｌ」）
ラウリル（２−ヒドロキシスルホプロピル）ジメチルベタイン（３０質量％）（花王社製「アンヒトール ２０ＨＤ」）
ラウリン酸アミドプロピルベタイン（３０質量％）（新日本理化社製「リカビオン Ｂ−３００」）
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム（２５質量％）（花王社製「エマール １２５ＨＰ」）
【０１４８】
（第２の界面活性剤成分（Ｂ））
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル（２５Ｅ．Ｏ．）（花王社製「エマルゲン ２０２５Ｇ」）
ポリオキシエチレンステアリルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）（日光ケミカル社製「ＮＩＫＫＯＬ ＢＳ−２０」）
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）（日光ケミカル社製「ＮＩＫＫＯＬ ＢＢ−２０」）
【０１４９】
（増粘性高分子（Ｃ））
塩化−Ｏ−［２−ヒドロキシ−３−（トリメチルアンモニオ）プロピル］ヒドロキシエチルセルロース（東邦化学工業社製「カチナール ＨＣ−２００」）
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体（４０質量％）（オンデオナルコ社製「マーコート２８０」）
アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン（２０）ステアリルエーテル（３０質量％）（ローム・アンド・ハース社製「アキュリン２２」）
【０１５０】
（実施例１〜８及び参考例１〜５）
下記の表１，２に示す各成分を下記の表１，２に示す含有量で配合し、混合して、第１剤を得た。また、下記の表１，２に示す各成分を下記の表１，２に示す含有量で配合し、混合して、第２剤を得た。得られた第２剤は、図１に示す容器２（混合容器）に収容した。実施例１〜８及び参考例１〜５で得られた第１剤及び第２剤はいずれも、液状又はジェル状であった。
【０１５１】
（実施例１〜８及び参考例１〜５の評価）
（評価）
（１）混合剤の性状（混合剤の粘度）
第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。
【０１５２】
得られた混合剤の粘度を、Ｂ型粘度計（トキメック社製）を用いて、ロータＮｏ．３、３０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定した。但し、ロータＮｏ．３、６０ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された粘度が４０００ｍＰａ・ｓ以上である場合には、得られた混合剤の２５℃での粘度の値として、ロータＮｏ．３、６ｒｐｍ及び１分の各条件で測定された値を採用した。
【０１５３】
混合剤の粘度が２００ｍＰａ・ｓ以上、１００００ｍＰａ・ｓ以下である場合を「ジェル状」、混合剤の粘度が２００ｍＰａ・ｓ未満である場合を「液状」と判定した。
【０１５４】
（２）塗布時の垂れ落ちの官能評価
官能評価パネル２０名がそれぞれ、第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。官能評価パネル２０名がそれぞれ、蓋５１を図１に示す蓋３に取り換えて、混合剤を蓋３のノズル１２から吐出し、健常毛を有するウィッグ（レッスンマネキン：ユーカリジャパン社製）の毛の根元付近に混合剤を塗布した。
【０１５５】
官能評価パネル２０名が、塗布時の垂れ落ちについて、下記の判定基準で判定した。
【０１５６】
［塗布時の垂れ落ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
○：２０名中１１〜１５名が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
△：２０名中６〜１０名が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
×：２０名中５名以下が、塗布時に混合剤の垂れ落ちがないと回答
【０１５７】
（３）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価
上記（２）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、毛の根元付近に塗布された混合剤を、シャンプーをする要領で泡立てようと試みた。
【０１５８】
官能評価パネル２０名が、泡立て時の泡立ち（起泡性）について、下記の判定基準で判定した。
【０１５９】
［泡立ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
○：２０名中１１〜１５名が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
△：２０名中６〜１０名が、容易に泡立ち、起泡性に優れると回答
×：２０名中５名以下が、容易に泡立ち、起泡性に優れるか回答（全く泡立たない場合も含む）
【０１６０】
（４）放置中の垂れ落ちの官能評価
上記（３）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、泡立ててから又は全く泡立たなかった場合には泡立てようとする作業をしてから３０分間放置した。
【０１６１】
官能評価パネル２０名が、３０分間放置している間の垂れ落ちについて、下記の判定基準で判定した。
【０１６２】
［放置中の垂れ落ちの判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
○：２０名中１１〜１５名が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
△：２０名中６〜１０名が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
×：２０名中５名以下が、放置中に毛髪からの混合剤の垂れ落ちがないと回答
【０１６３】
（５）脱色又は染色後の仕上がり感の評価
上記（４）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、３０分間放置後の混合剤を温水で洗い流した。次に、タオルドライ及びドライヤーによる温風乾燥を行った。
【０１６４】
官能評価パネル２０名が、脱色又は染色されたウィッグの毛髪の仕上がり感について、下記の判定基準で判定した。
【０１６５】
［仕上がり感の判定基準］
○○：２０名中１６名以上が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
○：２０名中１１〜１５名が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
△：２０名中６〜１０名が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
×：２０名中５名以下が、むらがなく、毛の根元まで均一に脱色又は染色されていると回答
【０１６６】
第１剤及び第２剤の組成及び評価結果を下記の表１，２に示す。下記の表１，２における各成分の含有量の配合単位は「質量部」である。下記の表１，２における各成分の含有量は全て、原料として配合した配合量を示す。
【０１６７】
【表１】
【０１６８】
【表２】
【０１６９】
（実施例９〜１５及び参考例６〜１０）
下記の表３，４に示す各成分を下記の表３，４に示す含有量で配合し、混合して、第１剤を得た。また、下記の表３，４に示す各成分を下記の表３，４に示す含有量で配合し、混合して、第２剤を得た。得られた第２剤は、図１に示す容器２（混合容器）に収容した。実施例９〜１５及び参考例６〜１０で得られた第１剤及び第２剤はいずれも、液状又はジェル状であった。
【０１７０】
（実施例９〜１５及び参考例６〜１０の評価）
実施例１〜８及び参考例１〜５と同様にして、（１）混合剤の性状（混合剤の粘度）を評価した。
【０１７１】
（２Ａ）塗布時の垂れ落ちの官能評価
キャンデリラロウ１５．０質量％と、ミツロウ５．０質量％と、高融点マイクロクリスタリンワックス５．０質量％と、モノステアリン酸ソルビタン３．０質量％と、ポリオキシエチレンセチルエーテル（２０Ｅ．Ｏ．）３．０質量％と、流動パラフィン１０．０質量％と、２−エチルヘキサン酸セチル５．０質量％と、ステアリン酸１．０質量％と、ステアリルアルコール１．０質量％と、カルボキシビニルポリマー０．１質量％と、水酸化ナトリウム０．３質量％と、精製４６．６質量％とを含む組成物より形成されたヘアワックスを用意した。
【０１７２】
また、健常毛を有するウィッグ（レッスンマネキン：ユーカリジャパン社製）を用意した。このウィッグの毛髪を、得られたヘアワックスで整髪した。
【０１７３】
官能評価パネル２０名がそれぞれ、第１剤と第２剤との質量比（第１剤：第２剤）が１：２となるように、第２剤を含む図１に示す容器２中に第１剤を入れ、図７に示す蓋５１を取り付けて、均一になるまで混合し、混合剤を得た。官能評価パネル２０名がそれぞれ、蓋５１を図１に示す蓋３に取り換えて、混合剤を蓋３のノズル１２から吐出し、ヘアワックスで整髪されたウィッグの毛の根元付近に混合剤を塗布した。
【０１７４】
官能評価パネル２０名が、塗布時の垂れ落ちについて、上記（２）塗布時の垂れ落ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１７５】
混合剤が液状であり、塗布時の垂れ落ちの判定が「×」であった場合には、後述の（３Ａ）〜（５Ａ）の評価は行わなかった。
【０１７６】
（３Ａ）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価
上記（２Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、毛の根元付近に塗布された混合剤を、シャンプーをする要領で泡立てようと試みた。
【０１７７】
官能評価パネル２０名が、泡立て時の泡立ち（起泡性）について、上記（３）脱色又は染色時の泡立ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１７８】
（４Ａ）放置中の垂れ落ちの官能評価
上記（３Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、泡立ててから又は全く泡立たなかった場合には泡立てようとする作業をしてから３０分間放置した。
【０１７９】
官能評価パネル２０名が、３０分間放置している間の垂れ落ちについて、上記（４）放置中の垂れ落ちの官能評価と同様の判定基準で判定した。
【０１８０】
（５Ａ）脱色又は染色後の仕上がり感の評価
上記（４Ａ）の評価の後、官能評価パネル２０名がそれぞれ、３０分間放置後の混合剤を温水で洗い流した。次に、タオルドライ及びドライヤーによる温風乾燥を行った。
【０１８１】
官能評価パネル２０名が、脱色又は染色されたウィッグの毛髪の仕上がり感について、上記（５）脱色又は染色後の仕上がり感の評価と同様の判定基準で判定した。
【０１８２】
第１剤及び第２剤の組成及び評価結果を下記の表３，４に示す。下記の表３，４における各成分の含有量の配合単位は「質量部」である。下記の表３，４における各成分の含有量は全て、原料として配合した配合量を示す。
【０１８３】
【表３】
【０１８４】
【表４】
【符号の説明】
【０１８５】
１…塗布具
２…容器
２ａ…底部
２ｂ…開口部
２ｃ…筒部
２ｄ…雄ねじ部
２ｅ…滑り止め部
３…蓋
１１…蓋本体
１１ａ…筒部
１１ｂ…上壁部
１１ｃ…基端部
１１ｄ…雌ねじ部
１１ｅ…滑り止め部
１２…ノズル
１２ａ…流路
１２ｂ…流入口
１２ｃ…流出口
２１〜２７…蓋
２１ａ〜２７ａ…蓋本体
２１ｂ〜２７ｂ…ノズル
３１〜３３…蓋
３１ａ〜３３ａ…ノズル
３１ｂ〜３３ｂ…流路
５１…蓋
５１ａ…筒部
５１ｂ…上壁部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具であって、
下端に底部を有し、上端に開口部を有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器と、
前記容器の前記開口部に取り付けられる蓋とを備え、
前記蓋は、ノズルを少なくとも２個有し、
前記ノズルは、前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記ノズルは、前記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤が前記流路に流入する流入口と、前記容器側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤が前記流路から流出する流出口とを有する、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項２】
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記容器を下側かつ前記蓋を上側となるように配置したときに、前記ノズルに設けられた前記流路は、下方から上方に向かってに延びている、請求項１に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項３】
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記ノズルに設けられた前記流路は、前記容器の中心線に対して略平行な方向に延びている、請求項１又は２に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項４】
前記ノズルに設けられた前記流路が直線状に延びている、請求項１〜３のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項５】
前記ノズルの外形が略円錐台状である、請求項１〜４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項６】
前記ノズルに設けられた前記流路が略円錐台状である、請求項１〜５のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項７】
前記ノズルの前記流出口の開口面積が、０．３ｍｍ２以上、３ｍｍ２以下である、請求項１〜６のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項８】
前記ノズルの前記流入口の開口面積が、前記ノズルの前記流出口の開口面積よりも大きい、請求項１〜７のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項９】
前記ノズルの前記流入口の開口面積が、前記ノズルの前記流出口の開口面積の１０倍以上、４０倍以下である、請求項８に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１０】
隣り合う前記ノズルの先端間の隙間の距離が、４ｍｍ以上、２０ｍｍ以下である、請求項１〜９のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１１】
前記蓋が、前記ノズルを少なくとも３個有し、
少なくとも３個の前記ノズルが、直線状に並んでいる、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１２】
前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１３】
混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を前記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で前記ノズルの前記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１２に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１４】
前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１２又は１３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１５】
請求項１〜１４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、
脱色剤又は酸化染毛剤とを備え、
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤と酸化剤とを含み、
脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤が酸化染料を含む、脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１６】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分と、増粘性高分子とをさらに含み、
前記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である、請求項１５に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１７】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分と、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤とをさらに含み、
前記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である、請求項１５に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１８】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、増粘性高分子をさらに含む、請求項１７に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１９】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である、請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項２０】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が混合された状態で、塗布具の前記容器の内部に収容されている、請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項２１】
請求項１〜１４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の前記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程と、
前記脱色剤又は酸化染毛剤をジェル状である状態で、前記蓋の前記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、
毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てる工程とを備える、毛髪の脱色又は染色方法。
【請求項２２】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を前記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤にする工程を含む、請求項２１に記載の毛髪の脱色又は染色方法。
【請求項２３】
前記第１剤として液状又はジェル状の第１剤を用い、かつ前記第２剤として液状又はジェル状の第２剤を用いる、請求項２２に記載の毛髪の脱色又は染色方法。
【請求項１】
脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪に塗布するために用いられる塗布具であって、
下端に底部を有し、上端に開口部を有し、かつ脱色剤又は酸化染毛剤を内部に収容するための容器と、
前記容器の前記開口部に取り付けられる蓋とを備え、
前記蓋は、ノズルを少なくとも２個有し、
前記ノズルは、前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤が流れる流路を有し、
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記ノズルは、前記容器側に脱色剤又は酸化染毛剤が前記流路に流入する流入口と、前記容器側とは反対側の先端に脱色剤又は酸化染毛剤が前記流路から流出する流出口とを有する、脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項２】
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記容器を下側かつ前記蓋を上側となるように配置したときに、前記ノズルに設けられた前記流路は、下方から上方に向かってに延びている、請求項１に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項３】
前記蓋が前記容器の前記開口部に取り付けられた状態で、前記ノズルに設けられた前記流路は、前記容器の中心線に対して略平行な方向に延びている、請求項１又は２に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項４】
前記ノズルに設けられた前記流路が直線状に延びている、請求項１〜３のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項５】
前記ノズルの外形が略円錐台状である、請求項１〜４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項６】
前記ノズルに設けられた前記流路が略円錐台状である、請求項１〜５のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項７】
前記ノズルの前記流出口の開口面積が、０．３ｍｍ２以上、３ｍｍ２以下である、請求項１〜６のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項８】
前記ノズルの前記流入口の開口面積が、前記ノズルの前記流出口の開口面積よりも大きい、請求項１〜７のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項９】
前記ノズルの前記流入口の開口面積が、前記ノズルの前記流出口の開口面積の１０倍以上、４０倍以下である、請求項８に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１０】
隣り合う前記ノズルの先端間の隙間の距離が、４ｍｍ以上、２０ｍｍ以下である、請求項１〜９のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１１】
前記蓋が、前記ノズルを少なくとも３個有し、
少なくとも３個の前記ノズルが、直線状に並んでいる、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１２】
前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１３】
混合前の脱色剤又は酸化染毛剤を前記容器中で混合した後、混合された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で前記ノズルの前記流出口から吐出し、毛髪に塗布する用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１２に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１４】
前記容器中に収容された脱色剤又は酸化染毛剤を、ジェル状である状態で毛髪に塗布し、毛髪に塗布された脱色剤又は酸化染毛剤を毛髪上で泡立てる用途に用いられる脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具である、請求項１２又は１３に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具。
【請求項１５】
請求項１〜１４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具と、
脱色剤又は酸化染毛剤とを備え、
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤と酸化剤とを含み、
脱色剤又は酸化染毛剤が酸化染毛剤である場合には、該酸化染毛剤が酸化染料を含む、脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１６】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の界面活性剤成分と、増粘性高分子とをさらに含み、
前記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である、請求項１５に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１７】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも１種の第１の界面活性剤成分と、第２の界面活性剤成分としてノニオン性界面活性剤とをさらに含み、
前記脱色剤又は酸化染毛剤の混合時の性状がジェル状である、請求項１５に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１８】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、増粘性高分子をさらに含む、請求項１７に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項１９】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である、請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項２０】
前記脱色剤又は酸化染毛剤が混合された状態で、塗布具の前記容器の内部に収容されている、請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を備えた塗布具。
【請求項２１】
請求項１〜１４のいずれか１項に記載の脱色剤又は酸化染毛剤の塗布具の前記容器中に、ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程と、
前記脱色剤又は酸化染毛剤をジェル状である状態で、前記蓋の前記ノズルから吐出して、毛髪に塗布する工程と、
毛髪に塗布されたジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤を泡立てる工程とを備える、毛髪の脱色又は染色方法。
【請求項２２】
ジェル状である脱色剤又は酸化染毛剤を収容した状態にする工程が、アルカリ剤を含む第１剤と、酸化剤を含む第２剤とを少なくとも有する混合前の多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を前記容器中で混合し、混合剤であるジェル状の脱色剤又は酸化染毛剤にする工程を含む、請求項２１に記載の毛髪の脱色又は染色方法。
【請求項２３】
前記第１剤として液状又はジェル状の第１剤を用い、かつ前記第２剤として液状又はジェル状の第２剤を用いる、請求項２２に記載の毛髪の脱色又は染色方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１２−１０５８４２（Ｐ２０１２−１０５８４２Ａ）
【公開日】平成２４年６月７日（２０１２．６．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２５７５０７（Ｐ２０１０−２５７５０７）
【出願日】平成２２年１１月１８日（２０１０．１１．１８）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年６月７日（２０１２．６．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月１８日（２０１０．１１．１８）
【出願人】（３９００１１４４２）株式会社マンダム (305)
【Ｆターム（参考）】
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