説明

脱顆粒抑制剤および脱顆粒抑制剤を含有する皮膚外用剤

【課題】好塩基球及びマスト細胞からのケミカルメディエーターの遊離を抑制する作用を有し、炎症に関与するプロスタグランジンE2の生成抑制作用を有することで、紫外線やハウスダストなどの環境中にある刺激物質等による炎症ダメージから皮膚や毛髪を持続的に保護する効果を示すと共に、皮膚刺激が少なく生体安全性にもすぐれ、皮膚外用剤の配合原料として用いて有用な脱顆粒抑制剤を提供すること、並びに該脱顆粒抑制剤を含み、皮膚を酸化反応によるダメージから保護して健常で若々しい状態に保持或いは改善する皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】ノウゼンカズラ科タベブイア属植物の抽出物を有効成分とする脱顆粒抑制剤、並びにノウゼンカズラ科タベブイア属植物の抽出物を有効成分とする脱顆粒抑制剤を含有する皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出液を有効成分とする脱顆粒抑制剤並びにこれを含む皮膚外用剤に関し、更に詳細には、好塩基球やマスト細胞の脱顆粒の抑制を通じて美白或いは抗炎症・抗アレルギー活性成分として機能し、ケミカルメディエーターが引き起こす皮膚の色素沈着、肌荒れ、痒み、痛みなどを抑止或いは改善して、皮膚や毛髪を健常でかつ若々しい状態に保持、改善すると共に、天然物由来であるが故に生体安全性にもすぐれた新規な脱顆粒抑制剤、並びに該脱顆粒抑制剤を含み、すぐれた美白・美肌化作用、抗炎症・抗アレルギー作用と高い生体安全性を具えた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
我々を取り巻く環境は、ハウスダスト、排気ガス、ダニなどの炎症やアレルギーを惹起する抗原となる物質に囲まれている。これらの抗原による炎症やアレルギーの発症には、抗原が好塩基球やマスト細胞のIgE抗体のFab鎖を架橋することでそれらの細胞が刺激を受け、ヒスタミン、セロトニン、好酸球遊走因子などが放出される脱顆粒が関与していることが知られている。さらに、好塩基球やマスト細胞が抗原により刺激を受けると、細胞膜のカルシウムチャンネルが開いてカルシウムイオンが細胞内に流入する結果、ホスホリパーゼA2が活性化されアラキドン酸カスケードが形成され、炎症性のケミカルメディエーターであるプロスタグランジン類が分泌され炎症を惹起することが知られている。
また、脱顆粒により放出されるケミカルメディエーターの一つであるヒスタミンは、皮膚に於いては表皮メラノサイトに存在するH2受容体を介してメラノサイトを刺激し、色素沈着を引き起こすことが知られている(フレグランスジャーナル 臨時増刊 No.18,22〜29頁)。
【0003】
皮膚に於ける色素沈着や炎症の発症には、上述の抗原のほかに特に紫外線曝露が大きく関与しているが、それら紫外線暴露等によって引き起こされるシミ・そばかすなどの色素沈着や炎症、さらには炎症に基づく色素沈着の予防、症状改善を目的として、従来よりアスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン誘導体などのメラニン生成抑制剤やグリチルリチン酸などの抗炎症剤が提案され、これらを配合した皮膚外用剤が上市されている。
しかしながら、上記のメラニン生成抑制剤や抗炎症剤は、十分な効果を得るためにはかなりの高濃度を配合しなければならない。そのため、安全性や製剤安定性の面で問題があったりして、安全性、製剤安定性ならびに作用効果のすべての面で十分に満足できるものが無いのが現状である。
【0004】
【非特許文献1】フレグランスジャーナル 臨時増刊 No.18,22〜29頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したところから明らかな通り、環境を取り巻く外的刺激因子が皮膚内に侵入し、抗原となって脱顆粒を誘導したり、或いは皮膚が紫外線に曝されることによって引き起こされる炎症や痒み、色素沈着に対して、予防乃至は症状改善効果を示す有効成分が求められている。このため、抗炎症作用や抗アレルギー作用、さらには美白作用を有する皮膚外用剤配合成分について種々探索がなされているが、有効性と皮膚安全性の面で十分満足するものは得られておらず、このような素材、原料の提供が課題として残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねたところ、本発明者らはノウゼンカズラ科タベブイア属(Tabebuia sp.)の抽出物が強い脱顆粒抑制作用を有し、又天然物由来であるが故に皮膚刺激等が少なく生体安全性にもすぐれ、脱顆粒抑制剤として有用であることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は第一にノウゼンカズラ科タベブイア属(Tabebuia)植物の抽出液を有効成分とする脱顆粒抑制剤を提供するものである。
本発明は第二にノウゼンカズラ科タベブイア属(Tabebuia)植物の抽出液を有効成分とする脱顆粒抑制剤を含有する皮膚外用剤を提供するものである。
【0007】
ノウゼンカズラ科タベブイア属植物(以下、タブベイア属植物と云う)の皮膚外用剤配合成分としての利用については、特開平5−17340号公報に、該植物の樹皮の抽出物を配合した浴用組成物が、保温効果、美容効果、デオドラント効果を有することが、又特開平11−180819号公報及び特開2001−55318号公報に、タベブイア属植物の抽出物を有効成分とする抗男性ホルモン剤の発明及び歯周疾患の予防及び治療のための口腔用組成物の発明がそれぞれ開示されているが、特開2001−55318号公報に示されているタベブイア属植物抽出物の口腔用組成物としての利用にしても、該抽出物が抗炎症作用を有することを記載しているものの、抗炎症に関する詳細なデータの開示は無く、その作用機序は全く不明な状態にある。
従って、タベブイア属植物抽出物が、環境中の刺激因子によって引き起こされる好塩基球やマスト細胞の脱顆粒を抑制する作用と、さらには紫外線曝露時の細胞に於けるシクロオキシナーゼの活性を阻害する作用とを有し、これによって様々な刺激因子による皮膚の炎症、アレルギーの発症や色素沈着の予防・症状改善が可能となること、又従ってここに、従来類を見ない新たな作用機序の観点からの、そして有効性と安全性の高い美白・美肌化剤或いは抗炎症・抗アレルギー剤が提供されることは、それら公知事実からは全く予想困難であり、本発明を俟って初めて明らかとなったところである。
【発明の効果】
【0008】
タブベイア属植物の抽出物を有効成分としてなる本発明の脱顆粒抑制剤は、環境を取り巻くハウスダスト、排気ガス、ダニなどの炎症やアレルギーを惹起する抗原となる物質による、好塩基球やマスト細胞よりのヒスタミン、セロトニン、好酸球遊走因子などのケミカルメディエーターの遊離を抑制し、さらにシクロオキシゲナーゼの活性を抑制することにより、アラキドン酸カスケードのサイクリック経路を阻害し、炎症性のケミカルメディエーターであるプロスタグランジンE2の生成を抑制することで、皮膚に起こる炎症、痒み、更には炎症に起因する色素沈着を抑制する効果を有する。このことからこれを紫外線などによる皮膚の炎症ダメージの防御に用いた場合、従来の抗炎症剤による方法とは異なり、炎症を惹起するケミカルメディエーターの遊離を抑制し、さらには炎症性のケミカルメディエーターの産生そのものも抑制して、炎症に起因する肌荒れやツヤの低下、さらには小皺の発生を防ぎ、色素沈着を防ぐ効果を奏する。加えて、本発明の脱顆粒抑制剤は、植物由来の成分からなるが故に皮膚刺激等が少なく、生体安全性に極めてすぐれている。
かかる脱顆粒抑制剤を含有してなる本発明の皮膚外用剤は、これを皮膚に適用したとき、皮膚を炎症反応のダメージから護ることができ、皮膚を健常で若々しい状態にさらには色白に保持或いは改善させる効果を奏する。又、本発明の皮膚外用剤は安全性が高く、長期間の使用によっても皮膚に悪影響を及ぼす恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の脱顆粒抑制剤の調製に用いるタベブイア属の植物としては、例えばタベブイアインペティギノーサ[Tabebuia impetiginosa]、タベブイアロセア[Tabebuia rosea]、タベブイアカライビア[Tabebuia caraicia]、タベブイアクリスアンサ[Tabebuia chrysantha]、タベブイアクリスオトリカ[Tabebuia chrysotricha]などがあり、本発明に於いては、それらタベブイア属植物の全草又は樹皮(内部樹皮)が抽出原料として好適に用いられる。
又、それらタベブイア属植物のうちでも、抽出物の脱顆粒抑制作用の観点からタベブイアインペティギノーサの使用、特に内部樹皮の使用が最も好ましい。
タベブイアインペティギノーサはブラジルにおいてパウダルコ、イペ、イペロッショ、ラパッチョ、タヒボなどと呼ばれ、同意義語としては、タベブイアアヴェラネダエ[T.avellanedae]、タベブイアイペ[T.ipe]などがある。
【0010】
それらタベブアイ属植物の抽出物の調製は、抽出対象部位例えば内部樹皮を、必要に応じて予め水洗、乾燥し、好ましくはさらに細切或いは粉砕した上、浸漬法、向流抽出法など適宜の手段により抽出溶媒と接触せしめることによって行われる。
【0011】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、トリオクタン酸グリセリルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n−ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独でもしくは二種以上混合して用いられる。さらには化粧料への幅広い適用が可能であるという点から、水、低級アルコール類及び多価アルコール類から選ばれた一種の単独溶媒又は二種以上の混合溶媒の使用が好ましく、なかでも水の単独使用が最も好ましい。
【0012】
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば水とエチルアルコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:1〜25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:1〜20:1、又水と1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、1:1〜20:1の範囲とすることが好ましい。
【0013】
本発明の抽出物の調製に際して、抽出液のpHは4〜8の範囲に保持されることが好ましく、かかる意味で、必要ならば上記の抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニンなどのアルカリ性調整剤や、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0014】
被抽出物に対する抽出溶媒の量比は、浸漬法の場合で一般に1:1〜1:200(重量比)の範囲、好ましくは1:15〜1:35の範囲である。
【0015】
又、抽出温度、時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類、植物の抽出部位・細切度等によっても異なるが、例えば浸漬法の場合であれば、抽出温度は、一般に4〜80℃、好ましくは40℃以下の範囲であり、又抽出時間は、1時間〜1週間程度、特に12〜24時間程度が好適である。
【0016】
ここに得られる抽出物溶液は、一般にはpHを4〜8に調整した上、これをそのまま、もしくは希釈或いは減圧濃縮等により適宜の濃度に調整して皮膚外用剤に配合してもよく、又場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化して皮膚外用剤に配合してもよい。
【0017】
以上の如くして調製される本発明のタベブイア属植物の抽出物は、後に試験例に示す通り、好塩基球の脱顆粒を抑制する作用、アラキドン酸カスケードのサイクリック経路の重要酵素であるシクロオキシゲナーゼの活性を抑制する作用、プロスタグランジンE2の生成抑制作用を有し、しかも皮膚刺激性が少ないなど生体安全性にすぐれ、皮膚外用剤配合用の脱顆粒抑制剤として有用なものである。
【0018】
かかる脱顆粒抑制剤を含有する本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬等のいずれとしても使用可能であり、又適用部位としては頭皮を含む皮膚全般が対象となり特に制限はない。その剤形としては、例えば乳液、クリーム、ローション、エッセンス、軟膏、パック、ハップ剤、皮膚清浄料(石けんなど)、洗顔料、ヘアートニック、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアートリートメント、各種メークアップ化粧料(口紅、ファンデーション、メイクアッププレスパウダーなど)、浴剤等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明の皮膚外用剤中の脱顆粒抑制剤の配合量は、皮膚外用剤の用途、適用部位等によっても異なるが、一般にはその有効成分たるタベブイア属植物抽出物の固形分として0.00001〜10重量%の範囲で配合するのがよく、好ましくは0.0001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜1重量%の範囲である。
【0020】
本発明の皮膚外用剤には、必須成分の上記脱顆粒抑制剤のほかに、通常皮膚外用剤に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
又、本発明の脱顆粒抑制剤の有効性や特長を損なわない限り、他の生理活性成分を併せ配合することもできる。
【0021】
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis‐11‐エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2‐エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0022】
界面活性剤としては,例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α‐スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2‐アルキル‐1‐アルキル‐1‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N‐ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N‐ジメチル‐N‐アルキル‐N‐カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N‐トリアルキル‐N‐アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N‐アシルアミドプロピル‐N′,N′‐ジメチル‐N′‐β‐ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
又、乳化剤乃至乳化助剤として、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)、ジュアゼイロ(Zizyphus juazeiro:Rhamnaceae)抽出物等を配合することもできる。
【0023】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、マルトース等の糖類、乳酸菌醗酵米、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、加水分解シルク蛋白質、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、フィトステロール、大豆リン脂質、イソステアリン酸コレステリル、海藻抽出物、魚介類由来コラーゲン及びその誘導体、各種アミノ酸及びそれらの誘導体(例えばトリメチルグリシンなど)が挙げられる。
【0024】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻或いは紅藻由来成分、ビャッキュウ抽出物、ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体等の多糖類、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0025】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2‐ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物等がある。
【0026】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、6‐又は12‐ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビなど)のパウダー、豆類(大豆、小豆など)のパウダー等がある。
【0027】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸アミル及びその誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、パラメトキシ桂皮酸2‐エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン‐5‐スルホン酸塩、4‐ターシャリーブチル‐4‐メトキシベンゾイルメタン、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0028】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体、ユビデカキノン(ユビキノン)、ルチン、ルチングルコシド、白芥子抽出物、イネ抽出物、ムラサキシキブ抽出物、シラカバ抽出物、ハマメリス抽出物、ウーロン茶抽出物等がある。
【0029】
生理活性成分としては、例えば美白成分として、t‐シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、ハイドロキノン誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、システイン、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、米糠抽出物、米糠抽出物加水分解物、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀類)、白芥子加水分解抽出物、ムラサキシキブ抽出物、ハスの実発酵物、党参抽出物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物(商品名:カモミラET)、ジンコウ抽出物、ハマメリス抽出物、イタドリ抽出物、サワヒヨドリ抽出物、甘草抽出物、フキタンポポ抽出物、アルテア抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ユキノシタ抽出物、ナツメ抽出物、シャクヤク抽出物、トウキ抽出物、モモ抽出物、コンブ等の海藻の抽出物、アマモ等の海草の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸など)、2,5‐ジヒドロキシ安息香酸誘導体等が、皮膚老化防止・美肌化成分として、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、セラミドなどの細胞間脂質、胎盤抽出物、ニコチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t‐シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、アラントイン、α‐ヒドロキシ酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ‐アミノ‐β‐ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナエキス、甘草エキス、ハトムギエキス、カミツレエキス、ニンジンエキス、アロエエキス、カッコンエキスなどの生薬抽出エキス、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、米醗酵エキス、ミツイシコンブ抽出物、アナアオサ抽出物、アマモ等の海草の抽出物、ソウハクヒエキス、ジュアゼイロ(Zizyphus juazeiro)抽出物、ブナ抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、イチョウ抽出物、スギナ抽出物、ベニバナ抽出物、オタネニンジン抽出物、ニンジン抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、酵母抽出物、卵殻膜抽出タンパク質、デオキシリボ核酸カリウム塩等が、又抗炎症剤として、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、グアイアズレンスルホン酸エチルなどのアズレン誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリルなどのグリチルリチン酸誘導体、アラントイン、カンゾウ抽出物、クジン抽出物、シャクヤク抽出物、ボタンピ抽出物、レンギョウ抽出物、リュウタン抽出物、トウキンセンカ抽出物、パセリ抽出物、オトギリソウ抽出物、ブクリョウタケ抽出物、カシア抽出物等がある。
【0030】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL‐アスコルビン酸‐2‐リン酸エステルナトリウム、L‐アスコルビン酸‐2‐リン酸エステルマグネシウム、L‐アスコルビン酸‐2‐硫酸エステルナトリウム、L‐アスコルビン酸‐2‐硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド(2‐O‐α‐D‐グルコピラノシル‐L‐アスコルビン酸)、L‐アスコルビン酸‐5‐グルコシド(5‐O‐α‐D‐グルコピラノシル‐L‐アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L‐アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L‐アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL‐アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3‐O‐エチルアスコルビン酸、L‐アスコルビン酸‐2‐リン酸‐6‐O‐パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン‐β‐D‐グルコピラノシド)、α‐アルブチン(ハイドロキノン‐α‐D‐グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば4‐n‐ブチルレゾルシノール、4‐イソアミルレゾルシノール等が、2,5‐ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5‐ジアセトキシ安息香酸、2‐アセトキシ‐5‐ヒドロキシ安息香酸、2‐ヒドロキシ‐5‐プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等が、α‐ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α‐ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0031】
次に、実施例、試験例及び処方例(皮膚外用剤の実施例)を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、部はすべて重量部を、又%はすべて重量%を意味する。
【0032】
実施例1.脱顆粒抑制剤の調製(1)
タベブイアインペティギノーサの内部樹皮の細切物100gに精製水1000gを混合し、4℃で24時間抽出を行った後ろ過し、淡褐色透明の抽出物溶液650gを得た(固形分濃度1.2%)。これを精製水で6倍に希釈して淡黄色透明の脱顆粒抑制剤とした。
【0033】
実施例2.脱顆粒抑制剤の調製(2)
タベブイアインペティギノーサの内部樹皮の細切物100gに精製水とエタノールの9:1(重量比)混液900gを混合し、40℃で3時間抽出を行った後ろ過し、淡褐色透明の脱顆粒抑制剤720gを得た(固形分濃度1.9%)。
【0034】
実施例3.脱顆粒抑制剤の調製(3)
タベブイアインペティギノーサの内部樹皮の細切物100gに精製水と1,3‐ブチレングリコールの8:2(重量比)混液900gを混合し、80℃で6時間抽出を行った後ろ過し、淡褐色透明の脱顆粒抑制剤460gを得た(固形分濃度2.0%)。
【0035】
実施例4.脱顆粒抑制剤の調製(4)
タベブイアインペティギノーサに代えて、タベブイアロセアの樹皮を用いるほかは実施例1と同様にして、淡黄色透明のタベブイアロセア樹皮の抽出物溶液500gを得た(固形分濃度2.3%)。これを10倍の精製水で希釈して淡黄色透明の脱顆粒抑制剤とした。
【0036】
実施例5.脱顆粒抑制剤の調製(5)
タベブイアインペティギノーサの樹皮に代えて、葉を用いるほかは実施例1と同様にして、淡黄色透明の抽出物溶液520gを得た(固形分濃度1.0%)。
【0037】
実施例6.脱顆粒抑制剤の調製(6)
実施例1と同様にして調製したタベブイアインペティギノーサ抽出物溶液500gを凍結乾燥した後粉砕し、黄褐色のタベブイアインペティギノーサ抽出物粉末12.0gを得た。
【0038】
試験例1.脱顆粒抑制試験
実施例1で得られた抽出物溶液(脱顆粒抑制剤)について、好塩基球における脱顆粒抑制作用を調べた。
[試験方法]
(イ)細胞培養上清への脱顆粒誘導
ラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3:Lot.040827(7))を、10%(NCS)含有イーグル最少必須培地に懸濁して96穴プレートに1×10個ずつ播種し、37℃で24時間培養した。コンフルエントになった細胞をリリーシング緩衝液(releasing buffer) [117mM NaCl,5.4mM KCl,2.0mM CaCl,0.8mM MgSO,5.6mM D-グルコース,25mM HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸),1mg/mL BSA/pH7.7]200μL/ウェル(well)で洗浄した後、リリーシング緩衝液に実施例1の抽出物溶液を2.5%又は5.0%の濃度(溶液として)となるように混和した液をそれぞれウェルに添加し、さらに脱顆粒を誘導するため、200μg/mLの化合物48/80(compound48/80)/リリーシング緩衝液溶液100μLを添加して、37℃で1時間インキュベートした。
また比較のため、実施例1の抽出物溶液を含むリリーシング緩衝液に代えて該緩衝液のみを添加したウェルを二つ設け、一方のウェル(コントロール)には上記と同様の脱顆粒用の化合物48/80/リリーシング緩衝液溶液を、また他方のウェル(対照)にはリリーシング緩衝液のみをそれぞれ200μL添加して、同じく37℃で1時間インキュベートした。
(ロ)ベータヘキソサミニダーゼ(β-Hexosaminidase)活性測定による、脱顆粒率の判定
脱顆粒誘導後、細胞外に遊離したベータヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定するために細胞上清50μLを別の96穴マイクロプレートに分取した。
ベータヘキソサミニダーゼ活性の測定は次のように行った。
別プレートに取った各細胞上清50μLに基質として5mM パラニトロフェニル−2−アセタミド−2−デオキシ−ベータグルコピラノシド(p-Nitrophenyl-2-acetamide-2-deoxy-s-D-glucopyranoside)を50μL加え、37℃のCOインキュベーター内で30分反応させた。その後100μLの0.2M グリシン緩衝液(glycine buffer)(pH10.7)を加えて反応を停止し、吸光プレートリーダーで415nmの吸光度を測定、ベータヘキソサミニダーゼ活性の指標とした。
【0039】
[結果]を図1に示す。図1に示す通り、ノウゼンカズラ科タベブイア属植物のタベブイアインペティギノーサ抽出物(実施例1の抽出物溶液)は好塩基球よりのケミカルメディエーターの遊離(脱顆粒)を顕著に抑制していることが認められる。
【0040】
試験例2.シクロオキシゲナーゼ活性抑制試験
実施例1で得られた抽出物溶液(脱顆粒抑制剤)について、アラキドン酸カスケードのサイクリック経路に関わる酵素であるシクロオキシゲナーゼの活性抑制作用について調べた。
[試験方法]
20mMトリプトファン/0.2Mトリス塩酸(Tris-HCl)緩衝液(pH8.0)2.52mlに、40mMヘモグロビン/0.2Mトリス塩酸(Tris-HCL)緩衝液(pH8.0)0.03ml及び実施例1の抽出物溶液を精製水で2.5%又は5.0%の濃度(溶液として)に希釈した液0.15mlを混和した。これを37℃に加温した後、2mMアラキドン酸/0.2mMトリス塩酸(Tris-HCL)緩衝液(pH8.0)0.1ml及び250unit/mlシクロオキシゲナーゼ0.2mlを混和し、密閉状態で攪拌しながら10分間アラキドン酸を基質とするシクロオキシゲナーゼ酵素反応を行った。
反応経過中、生物酸素モニター(YSI MODEL 5300)を用いて規定時間毎の溶存酸素濃度を計測し、反応直前の溶存酸素濃度を100%として経時的な酸素消費率を算出した。
各時間に於ける酸素消費率をχ%としたとき、試料溶液3ml中の酸素消費量は次式によって求められる。
試料溶液中の酸素消費量(μl)=χ/100×5.02×3
なお比較のため、実施例1の抽出物溶液に代えて精製水0.15mLを混和した場合、及び既知の抗炎症薬であるインドメタシンの1mM水溶液0.15mLを混和した場合(ポジティブコントロール)についても同様の試験を実施した。
【0041】
[結果]
経時的な酸素消費量の変化を図2に示す。
図2の結果から明らかな通り、本発明のノウゼンカズラ科タベブイア属植物抽出物は顕著なシクロオキシゲナーゼ活性抑制効果を有しており、抗炎症剤として有用である。
又、このノウゼンカズラ科タベブイア属植物抽出物を配合してなる本発明の化粧料は、該抽出物の有する抗炎症作用により皮膚の老化防止にすぐれた効果を示す。
【0042】
試験例3.プロスタグランジンE2生成抑制試験
実施例1で得られた抽出物溶液(脱顆粒抑制剤)について、ウサギ角膜由来細胞を用いてプロスタグランジンE2(PGE2)の生成抑制作用を調べた。
[試験方法]
ウサギ角膜由来細胞(SIRC:Lot.040916(7))を、10%(FBS)含有イーグル最少必須培地に懸濁して96穴プレートに5.0×10個ずつ播種し、37℃で3日間培養した後、培地に実施例1の抽出物溶液を5.0%又は10.0%の濃度(溶液として)となるように添加し、さらに24時間培養した。コントロールとしては、実施例1の抽出物溶液の代わりに精製水を添加し24時間培養した。次に培養器の底面から0.5mW/cmの紫外線B波を照射し、さらに2日間培養後、培養上清に分泌されたPGE2の量をPGE2測定キット(カイマンケイミカル社製)を用いて測定した。ポジティブコントロールとしてはインドメタシンを用い、培地に10μMの濃度となるように添加した。
また、実施例1の抽出物溶液に代えて精製水を添加し24時間培養後、紫外線を照射しない場合(対照)についてもPGE2量の測定を行った。
【0043】
[結果]結果を図3に示した。図3に示すようにノウゼンカズラ科タベブイア属タベブイアインペティギノーサ樹皮抽出物は、強い酸性抗炎症薬であるインドメタシンと同等のPGE2生成抑制が認められ、強い抗炎症作用を有することが分かった。
【0044】
実施例1で得られた抽出物溶液について安全性を確認するために皮膚一次刺激性試験を実施した。
[試験方法]
年齢20〜50歳の成人男子5名を被験者とし、各々の上腕部内側をエタノールで拭って皮脂を除去し、該部位に、フィンチャンバーのアルミ板に実施例1の抽出物溶液及び対照の日局親水ワセリンをそれぞれ0.2g宛塗布したものを貼付した。24時間後にフィンチャンバーを除去し、皮膚刺激の程度をつぎに述べる方法並びに基準により判定した。
[判定]
パッチ除去後1時間後、24時間後及び48時間後に、貼付部位の紅斑及び浮腫の状況を、以下の「ドレイズ法による皮膚刺激性判定基準」に基づき目視判定し、被験者5名の平均値を求めた。
(紅斑)
スコア 皮膚の状態
0 : 紅斑なし
1 : 極軽度の紅斑
2 : 明らかな紅斑
3 : 中程度から強い紅斑
4 : 深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成
(浮腫)
スコア 皮膚の状態
0 : 浮腫なし
1 : 極軽度の浮腫
2 : 明らかな浮腫(周囲と明らかに区別可能)
3 : 中程度の浮腫(1mm以上の盛り上がり)
4 : 強い浮腫(さらに周囲にも広がり)
【0045】
[結果]
結果を表1に示す。
【表1】

表1の結果から明らかな通り、ノウゼンカズラ科タベブイア属植物の抽出物を有効成分としてなる本発明の脱顆粒抑制剤は皮膚刺激が殆どなく、安全性に極めてすぐれている。
【0046】
処方例1.クリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 5.0
ヘキサラン (注1) 4.0
パラフィン 5.0
グリセリルモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 6.0
ブチルパラベン 0.1
(注1)株式会社テクノーブル製 トリオクタン酸グリセリル
[B成分]
実施例1の脱顆粒抑制剤 10.0
グリセリン 5.0
メチルパラベン 0.1
モイストン・C (注2) 1.0
精製水 全量が100部となる量
(注2)株式会社テクノーブル製 NMF成分
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合してクリームを得た。
【0047】
処方例2.クリーム
処方例1のB成分中実施例1の脱顆粒抑制剤に代えて実施例2の脱顆粒抑制剤を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
【0048】
処方例3.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例1の脱顆粒抑制剤 10.0
グリセリン 3.0
1、3‐ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。こ
れを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
【0049】
処方例4.ローション
[成分] 部
実施例3の脱顆粒抑制剤 10.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3‐ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
【0050】
処方例5.化粧水
[A成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルエーテル 0.5
ブチルパラベン 0.1
[B成分]
実施例4の脱顆粒抑制剤 10.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3‐ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃以上に加温後、A成分にB成分を加えて攪拌し、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。
これを50℃まで冷却した後、C成分を加えて攪拌混合し、さらに30℃以下まで冷却して化粧水を得た。
【0051】
処方例6.乳液
処方例3のB成分中、実施例1の脱顆粒抑制剤に代えて実施例2の脱顆粒抑制剤を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0052】
処方例7.乳液
処方例3のB成分中、実施例1の脱顆粒抑制剤に代えて実施例3の脱顆粒抑制剤を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0053】
処方例8.乳液
処方例3のB成分中、実施例1の脱顆粒抑制剤に代えて実施例5の脱顆粒抑制剤を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0054】
処方例9.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例1の脱顆粒抑制剤 10.0
L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド 2.0
グリセリン 3.0
1、3‐ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
【0055】
処方例10.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてL‐アスコルビン酸‐2‐リン酸エステルマグネシウム2.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0056】
処方例11.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてL‐アスコルビン酸‐2‐リン酸エステルナトリウム2.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0057】
処方例12.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてアルブチン2.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0058】
処方例13.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えて米糠抽出物加水分解物(株式会社テクノーブル製、商品名「グレイスノウ*雪*HP」、固形分濃度3.5%)5.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0059】
処方例14.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えて白芥子(Brassica Alba)種子抽出物(株式会社テクノーブル製、商品名「シナブランカ‐WH」、固形分濃度1.0%)5.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0060】
処方例15.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてγ‐アミノ‐β‐ヒドロキシ酪酸1.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0061】
処方例16.乳液
処方例9のB成分中、L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えて米抽出物加水分解物(株式会社テクノーブル製、商品名「オリゼノーブル」、固形分濃度1.5%)5.0部を用いるほかは処方例9と同様にして乳液を得た。
【0062】
処方例17.ローション
[成分] 部
実施例1の脱顆粒抑制剤 10.0
L‐アスコルビン酸‐2‐グルコシド 2.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3‐ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.1
水酸化カリウム 適量
香料 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
【0063】
処方例18.プレストパウダー
[A成分] 部
ベンガラ 0.5
黄酸化鉄 1.5
黒酸化鉄 0.1
酸化チタン 10.0
6‐ナイロンパウダー 4.0
セリサイト 全量が100部となる量
マイカ 23.0
タルク 25.0
実施例6の脱顆粒抑制剤 0.1
[B成分]
スクワラン 1.0
メチルポリシロキサン 4.0
プロピルパラベン 0.1
デヒドロ酢酸 0.1
流動パラフィン 2.0
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ混合攪拌し混合した後、200メッシュのタイラーメッシュの篩にかけ、得られた混合粉末を金型に打型してプレストパウダーを得た。
【0064】
処方例19.リキッドファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
プロピルパラベン 0.05
[B成分]
実施例2の脱顆粒抑制剤 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 4.0
トリエタノールアミン 1.1
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色顔料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ加温した後混合攪拌した。これを再加温し、上記のC成分を添加して型に流し込み、室温になるまで攪拌してリキッドファンデーションを得た。
【0065】
実施例20.クリームファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 5.0
セタノール 2.0
モノステアリン酸グリセリル 3.0
流動パラフィン 5.0
スクワラン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.0
ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸グリセリル 2.0
プロピルパラベン 0.1
[B成分]
実施例1の脱顆粒抑制剤 5.0
ソルビトール 3.0
1,3‐ブチレングリコール 5.0
トリエタノールアミン 1.5
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
酸化チタン 8.0
タルク 2.0
カオリン 5.0
ベントナイト 1.0
着色顔料 適 量
[D成分]
香料 0.3
C成分を混合し、粉砕機で粉砕した。B成分を混合し、これに粉砕したC成分を加え、コロイドミルで均一分散させた。A成分及び均一分散させたB、C成分をそれぞれ80℃に加温後、B、C成分にA成分を攪拌しながら加え、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。これを50℃まで冷却した後、D成分を加えて攪拌混合し、さらに攪拌しながら30℃以下まで冷却してクリームファンデーションを得た。
【0066】
処方例21.ヘアートニック
[A成分] 部
エタノール 60.0
l‐メントール 0.5
香料 0.1
メチルパラベン 0.1
[B成分]
グリセリン 2.0
1,3‐ブチレングリコール 2.0
実施例3の脱顆粒抑制剤 10.0
精製水 全量が100部となる量
上記のA成分とB成分をそれぞれ常温で溶解した後、A成分にB成分を攪拌しながら加え溶解させてヘアートニックを得た。
【0067】
処方例22.ヘアートリートメント
[成分] 部
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 6.0
ポリビニルピロリドン 4.0
グリセリン 1.0
エチルパラベン 0.1
実施例2の脱顆粒抑制剤 5.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を80℃に加温した後混合攪拌してヘアートリートメントを得た。
本品はヘアーパックとしても好適なものであった。
【0068】
処方例23.ヘアーシャンプー
[A成分] 部
N‐ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
クエン酸 0.1
実施例2の脱顆粒抑制剤 5.0
1,3‐ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアーシャンプーを得た。
【0069】
処方例24.ヘアーリンス
[A成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2‐エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.2
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
実施例2の脱顆粒抑制剤 5.0
1,3‐ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してヘアーリンスを得た。
【0070】
処方例25.ボディーシャンプー
[A成分] 部
N‐ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
実施例2の脱顆粒抑制剤 10.0
1,3‐ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してボディシャンプーを得た。
【0071】
処方例26.石けん
[A成分] 部
硬化ヒマシ油 26.0
ヤシ油 10.0
オリーブ油 4.0
[B成分]
水酸化ナトリウム 6.0
砂糖 10.0
グリセリン 5.0
実施例6の脱顆粒抑制剤 0.5
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
エタノール 20.0
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加えてケン化した。これを攪拌しながら50℃まで冷却し、C成分を加えた。これを型に流し込み冷却した後、室温下で数日間乾燥させ、充分に乾燥したものを型から取りだして石けんを得た。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、試験例1に於ける脱顆粒抑制効果を示すグラフである(縦軸:ベータヘキソサミニダーゼ活性(ΔABS415))。
【0073】
【図2】図2は、試験例2に於けるシクロオキシゲナーゼ活性抑制効果を示すグラフである。縦軸は酸素消費率(%)を表し、横軸は反応時間(min.)を表す。
【0074】
【図3】図3は試験例3に於けるプロスタグランジン(PGE2)の生成抑制効果を示すグラフである。縦軸はPGE2の生成量(pg/mL)。
【符号の説明】
【0075】
図1
A 対照
B コントロール
C 実施例1の抽出物溶液を2.5%添加
D 実施例1の抽出物溶液を5.0%添加
【0076】
図2
E コントロール
F 実施例1の抽出物溶液の2.5%溶液を添加
G 実施例1の抽出物溶液の5.0%溶液を添加
H インドメタシンの1mM溶液を添加(ポジティブコントロール)
【0077】
図3
I 対照
J コントロール
K 実施例1の抽出物溶液を5.0%添加
L 実施例1の抽出物溶液を10.0%添加
M インドメタシンを10μM添加(ポジティブコントロール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノウゼンカズラ科タベブイア属(Tabebuia sp.)植物の抽出物を有効成分とする脱顆粒抑制剤。
【請求項2】
タベブイア属(Tabebuia sp.)植物の樹皮の抽出物を有効成分とする請求項1記載の脱顆粒抑制剤。
【請求項3】
タベブイア属(Tabebuia sp.)植物がタベブイアインペティギノーサ(Tabebuia Impetiginosa)である請求項1又は2記載の脱顆粒抑制剤。
【請求項4】
シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する請求項1乃至3記載の脱顆粒抑制。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の脱顆粒抑制剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項6】
美白用である請求項5記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
抗炎症または抗アレルギー用である請求項5記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−143676(P2006−143676A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337814(P2004−337814)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000162021)共栄化学工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】