説明

脳および他の組織への治療化合物の送達

【課題】受容体介在性薬物送達(特に血液脳関門を横切る送達)を行なうための方法および組成物の提供。
【解決手段】治療剤、診断剤、中枢神経系(CNS)疾患のマーカー、CNS障害のマーカーに結合する標識モノクローナル抗体等の薬剤にコンジュゲートされた、トランスサイトーシスによって血液脳関門を横切って送達される受容体関連タンパク質(RAP)等のメガリン結合部分を含む化合物。および、メガリン結合部分にコンジュゲートされた前記薬剤を投与するステップを含む、薬剤の中枢神経系送達方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象の薬剤にコンジュゲートされたメガリン結合部分を含む化合物。
【請求項2】
前記薬剤が、治療剤、診断剤、中枢神経系(CNS)疾患のマーカー、CNS障害のマ
ーカーに結合する標識モノクローナル抗体からなる群より選択される、請求項1に記載の
化合物。
【請求項3】
前記治療剤が、タンパク質、細胞毒性化学療法剤、タンパク質核酸、siRNA分子、
アンチセンス分子、および関心対象の治療タンパク質をコードする核酸を含む発現コンス
トラクトからなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記メガリン結合部分および前記関心対象の薬剤が互いに直接連結されている、請求項
1に記載の化合物。
【請求項5】
前記メガリン結合部分および前記関心対象の薬剤がリンカーを介して連結されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
リンカーがペプチドリンカーである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記メガリン結合部分がインビボでトランスサイトーシスされる部分である、請求項1
に記載の化合物。
【請求項8】
前記メガリン結合部分が、RAP、チログロブリン、リポタンパク質リパーゼ、ラクト
フェリン、アポリポタンパク質J/クラスタリン、アポリポタンパク質B、アポリポタン
パク質E、組織型プラスミノゲン活性化因子、uPA、PAI−1、ビタミンD結合タン
パク質、ビタミンA/レチノール結合タンパク質、β2−ミクログロビン、α1−ミクロ
グロブリン、ビタミンB12/コバラミン血漿担体タンパク質、トランスコバラミン(T
C)−B12、PTH、インスリン、EGF、プロラクチン、アルブミン、apoH、ト
ランスサイレチン、リゾチーム、シトクロム−c、α−アミラーゼ、およびCa2+、お
よびアプロチニンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記メガリン結合部分が受容体関連タンパク質(RAP)である、請求項8に記載の化
合物。
【請求項10】
血液脳関門を横切って脳内に経細胞的に送達するためのキメラ分子であって、トランス
サイトーシスによって血液脳関門を横切って送達されるべき活性剤にコンジュゲートされ
たメガリンリガンドを含み、前記メガリンリガンドが血液脳関門を横切る前記キメラ分子
の輸送を容易にする、キメラ分子。
【請求項11】
血液脳関門を横切るトランスサイトーシスによって脳内に送達するためのキメラ分子で
あって、トランスサイトーシスによって血液脳関門を横切って送達されるべき活性剤にコ
ンジュゲートされたLRPリガンドを含み、前記LRPリガンドが、LRP1と比較して
メガリンに優先的に結合する、キメラ分子。
【請求項12】
前記関心対象の薬剤がメガリン結合部分のC末端に結合されている、請求項1〜8のい
ずれかに記載の化合物、または請求項10もしくは11のいずれかに記載のキメラ分子。
【請求項13】
前記メガリン結合部分および前記関心対象の薬剤がそれぞれタンパク質であり、メガリ
ン結合部分が関心対象の薬剤のN末端に結合されている、請求項1〜8のいずれかに記載
の化合物、または請求項10もしくは11のいずれかに記載のキメラ分子。
【請求項14】
薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤中に、請求項1〜8のいずれかに記載の
化合物、または請求項10もしくは11のいずれかに記載のキメラ分子を含む薬学的組成
物。
【請求項15】
薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤中に、請求項12に記載の化合物を含む
薬学的組成物。
【請求項16】
薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤中に、請求項13に記載の化合物を含む
薬学的組成物。
【請求項17】
薬剤を動物の中枢神経系に送達する方法であって、メガリン結合部分にコンジュゲート
された前記薬剤を前記動物に投与するステップを含み、前記動物の血液脳関門を横切って
起こる前記メガリン結合部分にコンジュゲートされた前記薬剤の輸送が、前記メガリン結
合部分へのコンジュゲーションが存在しない場合の前記薬剤の輸送よりも多い、方法。
【請求項18】
薬剤のトランスサイトーシスを増加させる方法であって、前記薬剤をメガリン結合部分
にコンジュゲートするステップを含み、前記メガリン結合部分にコンジュゲートした場合
に、前記薬剤のトランスサイトーシスが、前記コンジュゲーションが存在しない場合の前
記薬剤のトランスサイトーシスよりも多い、方法。
【請求項19】
哺乳動物における障害を処置する方法であって、前記動物に、メガリン結合部分にコン
ジュゲートされた治療剤を投与するステップを含む方法。
【請求項20】
前記障害がCNSの障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症
、および中枢神経系癌からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記障害が中枢神経系癌であり、前記薬剤が癌化学療法剤である、請求項21に記載の
方法。
【請求項23】
治療酵素を、メガリンを発現する細胞中のリソソームコンパートメントに送達する方法
であって、前記細胞を、メガリン結合部分にコンジュゲートされた前記治療酵素を含む組
成物と接触させるステップを含み、前記細胞のリソソームコンパートメントへの前記治療
酵素の取り込みが、前記細胞の表面上に存在するメガリンによって媒介される、方法。
【請求項24】
対象のリソソーム蓄積症(LSD)を処置する方法であって、前記LSDの処置に使用
される治療剤にコンジュゲートされたメガリン結合部分を含む組成物を、前記LSDの症
状を改善するのに有効な量で、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項25】
前記メガリン結合部分がRAPである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記治療剤が前記LSDにおいて欠乏している酵素である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記LSDが、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル蓄積症、ウォ
ルマン病、シスチノーシス、ダノン病、ファブリ病、ファーバー脂肪肉芽腫症、ファーバ
ー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシスI/II型、ゴーシェ病I/II/II
I型、ゴーシェ病、グロボイド細胞型白質ジストロフィー、クラッベ病、グリコーゲン蓄
積症II、ポンペ病、GM1−ガングリオシドーシスI/II/III型、GM2−ガン
グリオシドーシスI型、テイ・サックス病、GM2−ガングリオシドーシスII型、サン
ドホフ病、GM2−ガングリオシドーシス、α−マンノシドーシスI/II型、β−マン
ノシドーシス、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスI型、シアリドーシスI/
II型ムコリピドーシスII/III型I細胞病、ムコリピドーシスIIIC型偽ハーラ
ーポリジストロフィー、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症II型、ハンター症候群、ムコ多糖
症IIIA型、サンフィリポ症候群、ムコ多糖症IIIB型、ムコ多糖症IIIC型、ム
コ多糖症IIID型、ムコ多糖症IVA型、モルキオ症候群、ムコ多糖症IVB型モルキ
オ症候群、ムコ多糖症VI型、ムコ多糖症VII型、スライ症侯群、ムコ多糖症IX型、
多発性スルファターゼ欠損症、神経性セロイドリポフスチノーシス、CLN1バッテン病
、ニーマン・ピック病A/B型、ニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病C1型、ニー
マン・ピック病C2型、ピクノディスオストーシス、シンドラー病I/II型、シンドラ
ー病、およびシアル酸蓄積症からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤が、アルパルチルグルコサミニダーゼ、酸性リパーゼ、システイン輸送体、L
amp−2、α−ガラクトシダーゼA、酸性セラミダーゼ、α−L−フコシダーゼ、β−
ヘキソサミニダーゼA、GM2−活性化因子欠乏症、α−D−マンノシダーゼ、β−D−
マンノシダーゼ、アリールスルファターゼA、サポシンB、ノイラミニダーゼ、α−N−
アセチルグルコサミニダーゼホスホトランスフェラーゼ、ホスホトランスフェラーゼγサ
ブユニット、L−イズロニダーゼ、イズロン酸−2−スルファターゼ、ヘパラン−N−ス
ルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチルCoA:N−アセチルト
ランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン6−スルファターゼ、ガラクトース6−ス
ルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、N−アセチルガラクトサミン4−スルファターゼ
、ヒアルロノグルコサミニダーゼ、複数のスルファターゼ、パルミトイルタンパク質チオ
エステラーゼ、トリペプチジルペプチダーゼI、酸性スフィンゴミエリナーゼ、コレステ
ロール輸送、カテプシンK、α−ガラクトシダーゼB、およびシアル酸輸送体からなる群
より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が薬学的組成物であり、前記哺乳動物の脳組織中に存在する蓄積顆粒の量を
減少させるのに有効な量で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が、哺乳動物の中枢神経系への髄腔内投与を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、前記哺乳動物の髄膜組織中に存在する蓄積顆粒の量を減少させるのに有
効な量で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記症状が、病歴、理学的検査、心エコー法、心電図検査、磁気共鳴画像、睡眠ポリグ
ラフ、骨格調査、一連の運動計測、角膜写真、および皮膚生検の定型的評価によって監視
される、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
疾患がムコ多糖症である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
疾患がムコ多糖症Iである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
リソソーム蓄積症を持つ前記哺乳動物が、正常α−L−イズロニダーゼの約50%以下
の活性を示す、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記薬学的組成物が、ヒトα−L−イズロニダーゼとして週に約0.001mg/kg
体重〜0.5mg/kg体重の用量で、その欠乏症を患っている対象に投与される、請求
項29に記載の方法。
【請求項37】
前記薬学的組成物が、ヒトα−L−イズロニダーゼとして週に約0.01mg/当該哺
乳動物のCSF 15cc〜約5.0mg/当該哺乳動物のCSF 15ccの用量で、
その欠乏症を患っている対象に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
治療剤にコンジュゲートされたメガリン結合部分の前記投与が、前記対象における発育
遅延および退行の正常化、高圧水頭症の軽減、前記対象における脊髄圧迫の軽減、ならび
に、前記対象の脳血管周辺の血管周囲嚢胞の数および/または大きさの減少をもたらす、
請求項24に記載の方法。
【請求項39】
前記髄腔内投与が、脳室内に前記薬学的組成物を導入することを含む、請求項30に記
載の方法。
【請求項40】
前記髄腔内投与が、腰部または大槽内に前記薬学的組成物を導入することを含む、請求
項39に記載の方法。
【請求項41】
前記髄腔内投与が、注入ポンプを使って達成される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記薬学的組成物が、少なくとも数日間にわたって持続的に髄腔内投与される、請求項
24に記載の方法。
【請求項43】
前記哺乳動物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
酵素補充療法に先だって抗原特異的寛容を誘導するステップをさらに含む、請求項26
に記載の方法。
【請求項45】
前記抗原特異的寛容が、免疫抑制剤の投与を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記免疫抑制剤がシクロスポリンAである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗原特異的寛容が、抗増殖剤の投与をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
抗増殖剤が、ヌクレオチド類似体または代謝拮抗物質からなる群より選択される、請求
項47に記載の方法。
【請求項49】
抗増殖剤がアザチオプリンである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
リソソーム蓄積症を有する対象の脳細胞におけるグリコサミノグリカン(GAG)の分
解を促進する方法であって、メガリン結合部分にコンジュゲートされた前記リソソーム蓄
積症で欠乏している酵素を含む薬学的組成物を、前記脳細胞中に存在するGAGの量を投
与前に前記細胞中に存在するGAGの量と比較して減少させるのに有効な量で、前記対象
に投与するステップを含む方法。
【請求項51】
前記脳細胞がニューロンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記脳細胞が神経膠細胞である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記脳細胞が上衣細胞である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記脳細胞が、ニューロン、膠細胞、小膠細胞、アストロサイト、乏突起膠細胞、血管
周囲細胞、血管外皮細胞、髄膜細胞、上衣細胞、くも膜顆粒細胞、くも膜、硬膜、軟膜お
よび脈絡叢細胞からなる群の少なくとも一つから選択される脳細胞である、請求項50に
記載の方法。
【請求項55】
前記細胞が髄膜細胞である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が高圧水頭症を有し、前記投与が前記対象の髄膜組織中のCSF液の量を減少
させる、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞中のリソソーム蓄積顆粒の数が、前記コンジュゲートの投与を行なわない場合
の同様の細胞中に存在するリソソーム蓄積顆粒の数と比べて減少する、請求項50に記載
の方法。
【請求項58】
前記細胞中のリソソーム蓄積顆粒の数が、前記メガリン結合部分にコンジュゲートされ
ていない酵素のみで処置された同様の細胞中に存在するリソソーム蓄積顆粒の数と比べて
減少する、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
治療酵素を対象の細胞中のリソソームに送達する方法であって、
(i)治療剤または診断剤にコンジュゲートされたRAPまたはRAPポリペプチドを含
む化合物を前記対象に投与するステップと、
(ii)細胞膜を横切って前記化合物を輸送するステップと、
(iii)前記化合物と、前記細胞上のLRP受容体とを接触させるステップと、
(iv)前記細胞への前記化合物の進入を容易にするステップと、
(v)前記細胞中の前記リソソームに前記化合物を送達するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図22F】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−207889(P2011−207889A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106237(P2011−106237)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【分割の表示】特願2006−517307(P2006−517307)の分割
【原出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(502170153)バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】