説明

脳卒中を処置するため、および脳の血流特性を制御するための装置および方法

【課題】脳卒中の処置のための装置および方法を提供すること。
【解決手段】好ましい実施形態において、本発明は、脳の閉塞の半球に対して、総頸動脈(CCA)、または椎骨動脈(VA)およびCCAの両方のいずれかにおいて、遠位閉塞性部材(42)を有する少なくとも1つのカテーテルを、配置する。対向する頸動脈および/または椎骨動脈における血流は阻害され得る。逆行性、または順行性の流動は、独立していずれかのカテーテル(41)を通って提供されて、脳の血流特性を効率的に制御する。このような制御された流動条件下で、血栓摘出デバイス(200)を、閉塞の処置のために用いることができ、そして生成されたあらゆる塞栓が、このカテーテル中に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳卒中の処置のための改善された装置、および方法に関する。より詳細には、本発明のこの装置、および方法は、脳血流量を制御すること、ならびに血栓および/または塞栓を除去することによって脳卒中を処置することに関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中をもたらす脳の閉塞には、この疾患に関連する罹患率、および死亡率を低下させるための迅速かつ有効な治療が必要である。脳卒中を処置するための多くの現在の技術は、不適切である。なぜなら、この手順の間に生成される塞栓が、もともとの閉塞から下流に移動して虚血を発生させ得るからである。現在、閉塞に迅速かつ有効な処置を提供し、一方で同時に脳の血流特性を制御する、脳卒中処置システムの必要性が存在する。
【0003】
脳卒中の初期段階には、CTスキャン、またはMRIを、通常は中大脳動脈で生じる脳の閉塞の診断のために用いることができる。多くの現在の技術は、閉塞の近位にカテーテルを配置し、次いで、この病変を処置するための血栓溶解薬を送達する。このような技術に関連する欠点は、送達する薬物が、この閉塞を十分に処置するには、6時間におよぶ期間が必要かもしれないということである。溶解剤(すなわち、血栓溶解剤)に関連する別の欠点は、それらがしばしば出血を促進するということである。
【0004】
機械的な塞栓摘出デバイスを用いる血栓の除去の場合、血栓を拘束してそれをできるだけきれいに除去して、遊離される塞栓の量を減少させることが有益である。しかし、血栓の機械的破壊の間に塞栓が生成される現象では、塞栓が脈管から引き続いて除去されることが必須である。
【0005】
多くの現在の薬物送達方法、および機械的処置の方法は、順行性流動条件下で実施される。このような処置方法は、塞栓が除去され得るように、脳の脈管構造、例えば、ウィリス輪、および交通血管における流動の特性を操作することは意図していない。従って、脳の脈管構造からの有効な血栓および塞栓の除去を、その脈管構造内での流動を同時に制御しながら提供する必要性が、依然として存在する。
【0006】
Barbutの米国特許第6,161,547号(Barbut’547)は、急性の脳卒中、または他の脳血管疾患を有する患者の処置において、脳の脈管中の流動を増強するための技術を記載する。この技術は、以下を包含する:(1)順行性血流を受けるために適切な脈管位置に第一の管状部材を配置する工程;(2)この閉塞の側副動脈に第二の管状部材を配置する工程(例えば、左総頸動脈に位置する閉塞については、この第二の管状部材は、右総頸動脈に配置される);ならびにポンプおよびフィルターを用いて、この第二の管状部材に第一の管状部材を連結させる工程。
【0007】
この第一の管状部材は、順行性血流を受けて、血液をポンプおよびフィルターに導き、ついでこの血液がこの第二の管状部材を介して側副動脈に再還流され、これによって脳の対向する半球に対する血流が増大される。この第一および第二の管状部材は、その遠位端に隣接して配置されるバルーンを備えてもよい。
【0008】
前述の特許に記載された技術は、いくつかの欠点を有する。例えば、第一の管状部材の第一のバルーンが、左総頸動脈において展開される場合、図7Cに示すように、このバルーンと閉塞との間の血管からの血液の吸引によって、この血管は圧潰されるかもしれない。他方では、このバルーンが展開されない場合、この遠位先端部を安定にすることができなければ、この血管壁に対する損傷が生じるかもしれない。さらに、この血管を閉塞することができなければ、その第一の管状部材に対して遠位の血液ではなく、順行性血流が、その装置中に迂回することになるかもしれない。
【0009】
Barbut’547特許は、第二の管状部材のバルーンを膨張させる工程が、側副動脈に対する流動を制御することを補助するか、または脳組織に対する薬物療法のさらに有効な投与を提供し得るということをさらに開示している。しかし、バルーンが展開される場合、側副動脈は、十分な流動を欠くかもしれない。なぜなら、その第一の管状部材を通じて吸引されるのは、その動脈の他の流動だけであるからである。一方、第二の管状部材のバルーンが膨張されない場合、流量コントロールは不可能である。
【0010】
脳の閉塞を除去するための方法は、バルバト(Barbut)に対する米国特許第6,165,199号(Barbut’199)に記載されている。この特許は、その近位端において減圧で連絡する、その遠位端で吸引ポートを有するカテーテルを記載している。このカテーテルの外側面に配置された還流ポートは、側副動脈における順行性流動を増強するために用いることができる。使用時に、この吸引ポートは、閉塞に近接して配置されて、この閉塞に対する直接の吸引効果を提供する。側副動脈におけるこの還流は、この閉塞が、圧力を介して押し退けられ、吸引ポートに配向されるように、この閉塞に対して遠位の逆行性流動を増大することを意図している。吸引ポートと組み合わされた、チョッピング機構(chopping mechanism)(例えば、研磨剤研磨表面、または回転式ブレード)は、この吸引ポートが塞がれると認識する。次いで、このチョッピング機構は、この閉塞を分解して、この吸引ポートにそれがより小さい小片で入ることを可能にするように働く。
【0011】
Barbut’199特許に記載されるデバイスは、いくつかの不利な点を有する。第一に、閉塞を吸引するための減圧の使用には、外圧のモニタリングデバイスが必要である。吸引ポートを通じた大きすぎる減圧の適用は血管壁に対して、外傷、すなわち圧潰を生じ得る。また、このシステムは、圧力の差異を用いて閉塞を押し退けることを意図しているので、チョッピング機構は、塊全体が吸引ポートを目詰まりさせないように妨げる必要がある。しかし、チョッピング機構の使用によって、塞栓の全体を取り出すことを困難にし得るような大量の塞栓が生成されるかもしれない。さらに、このチョッピング機構の作用によって生成される塞栓は、この吸引ポートと遠位バルーンとの間のカテーテルのそばに蓄積し得る。一旦、これが生じれば、塞栓がどのように除去されるのかは不明確になる。
【0012】
Barbut’199特許に記載されるデバイスのなお別の欠点は、側副動脈における高圧の灌流が、仮説のとおり、閉塞に対して遠位の逆行性流動を増強し得ないということである。この特許は、このカテーテルにおける側面ポートを介した側副動脈における高圧灌流が、この閉塞に対して遠位の圧力の増大を生じるのに十分であり得るということを示す。罹患していない動脈(例えば、他の椎骨動脈、および/または頸動脈)における心臓からの順行性血流によって、側副動脈において誘導された圧力差のために、逆行性の様式で、閉塞したもとの動脈へ連絡することが困難になるかもしれない。
【0013】
虚血性脳脳卒中を処置するための他の方法は、脳逆行性還流技術(cerebral retroperfusion techniques)に関与している。Frazeeに対する、米国特許第5,794,629号は、第一および第二の横静脈洞を少なくとも部分的に閉塞する工程、ならびに部分的脈管閉塞に対して遠位の位置に患者の動脈血の流動を導入する工程を包含する方法を記載する。その特許に記載のとおり、静脈洞への動脈血の注入によって、逆行性の静脈流動がもたらされ、これが毛細血管床を横切って、虚血組織を酸素化し、そして少なくとも部分的に虚血の脳症状を解決する。
【0014】
Frazeeの特許に記載される技術に関連する1つの欠点は、脳の浮腫を確実に回避するために、横静脈洞における圧力を連続的にモニターしなければならないということである。静脈は、動脈よりもかなり弾力性に劣るので、静脈側に対する持続的な圧力の付与は、脳の膨張を生じるかもしれず、一方、圧力が小さ過ぎれば結果として、動脈側に対して送達される血液が不十分になるかもしれない。
【0015】
脳の還流を増強させるための前述の方法に加えて、脳の閉塞を処置するために機械的に凝血を除去するためのいくつかの方法が公知である。Wenselらの米国特許第5,895,398号は、挿入マンドレルに対して付加された形状記憶コイルを記載している。このコイルは、送達カテーテルの管腔内で小さい輪郭の状態に収縮され、そしてこのカテーテルを用いて凝血を貫く。一旦、このコイルが凝血に対して遠位に配置されれば、このコイルは展開される。次いで、このコイルは、この凝血に係合し、かつ除去するように近位に縮められる。
【0016】
Wenselのデバイスに関連した主な欠点は、この展開されたコイルが、血管の内膜に接触し、そしてこのコイルが閉塞を捕捉するように縮む場合、この血管壁を傷害し得るということである。さらに、このコイルの構成は、このデバイスが一旦展開されれば、容易に回復できないような構成である。例えば、一旦カテーテルが、回収されて、このコイルがこの閉塞に対して遠位に展開されていれば、このコイルを別の異なる寸法に変えることは困難か、不可能になる。
【0017】
Engelsonらに対する米国特許第5,972,019号は、凝血に対して遠位で展開され得る展開可能ケージアセンブリを記載している。Wenselのデバイスと同様、Engelsonのデバイスは、血管の内膜に接触することが説明されており、そしてWenselのデバイスと同じリスクが示される。さらに、このデバイスの遠位端は、比較的大きい輪郭を備えるので、凝血を貫くときの塞栓押し出しのリスクは増大し、蛇行状の脈管構造を通るこのデバイスの遠位端の運動性が低下され得る。
【0018】
以前に公知の凝血除去装置、および方法のこれらの欠点という観点から、脳の脈管構造における選択された位置(例えば、ウィリス輪、および交通血管)で血行動態特性を制御するための装置および方法を提供することが所望される。
【0019】
上記の頸動脈分岐の血栓、および/または塞栓の除去、および回復のための装置、および方法を提供することも所望される。
【0020】
迅速かつ急速に脳の閉塞を処置する装置、および方法を提供することが、なおさらに所望される。
【0021】
脳の脈管構造における所望の領域に対して、逆行性流動、および/または順行性流動を選択的に提供して、塞栓を効率的に除去するための装置、および方法を提供することが、なおさらに所望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前述の見地から、本発明の目的は、脳の脈管構造における選択された位置で血行動態の特性を制御するための装置、および方法を提供することである。
【0023】
上記の頸動脈分岐の血栓、および/または塞栓の除去、および回復のための装置、および方法を提供することも、本発明の目的である。
【0024】
迅速かつ急速に脳の閉塞を処置する装置、および方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0025】
脳の脈管構造における所望の領域に対して、逆行性流動、および/または順行性流動を選択的に提供して、塞栓を効率的に除去するための装置、および方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明のこれらの目的、および他の目的は、脳の脈管構造における血流を操作するために適切であって、塞栓除去カテーテルおよび1つ以上の流量制御デバイスを備える、脳卒中処置システムを提供することによって達成される。この脳卒中処置システムは、凝血溶解剤の導入、および引き続く除去を容易にし得、また血栓摘出エレメントをさらに備えてもよい。
【0027】
好ましい実施形態において、この塞栓除去カテーテルは、総頸動脈(CCA)に経腔的に挿入され、かつ配置され、そしてその遠位端に配置された閉塞性部材を有する可塑性カテーテルを備える。この閉塞性部材は、展開されてカテーテルをアンカーし、かつCCAにおける逆行性流動を閉塞するように構成される。別個の閉塞性エレメントは、この塞栓除去カテーテルの管腔を通過するように構成され、そして外頸動脈(ECA)において展開されて、その血管を通じる流動を閉塞し得る。
【0028】
1つ以上の流量制御デバイスであって、各々が急速に展開可能な閉塞性部材を有するデバイスは、次いで、選択された位置に(例えば、鎖骨下動脈に)配置されて、この脳の脈管構造を通じた流動を隔離または再分布させるように展開され得る。好ましくは、この流量制御デバイスは、この閉塞が位置していない半球における、脈管内および頸動脈内の血流を閉塞する。これは、対立する半球における流動に一時的に影響する。好ましくは、この流量制御デバイスは、展開された場合、この流量制御デバイスが、中大脳動脈の血流動態に実質的に影響するのに十分な数で提供される。
【0029】
一旦、前述の部品が展開されれば、溶解剤が、塞栓除去カテーテルの管腔を通じて血管内に導入され得る。適切な期間後、1つ以上の流量制御デバイス上の、この閉塞性部材は、虚脱されて、この溶解剤、および任意の塞栓、または砕片を、この脈管構造からこの塞栓除去カテーテルへフラッシュするのに十分な、脳の脈管構造を通じた逆行性流動を生じさせ得る。この脳卒中処置システム、および流量制御デバイスは、次いで患者の脈管構造から回収され得る。
【0030】
あるいは、血栓摘出エレメントは、流量制御デバイスの配置の後(ただし、展開の前)に、内頸動脈(ICA)を介して、脳の閉塞のすぐ近位の位置へ、例えば、中大脳動脈に、経腔的に前進され得る。次いで、この流量制御デバイスは、脳の脈管構造における流動を、選択的かつ一時的に、再分布、または一時停止させるように、展開される。好ましくは、この血栓摘出エレメントは、塞栓除去カテーテルの管腔を通じて脳閉塞の部位に前進される。
【0031】
ウィリス輪、従って、交通中大脳動脈を通じて制御された流動を用いて、次いで血栓摘出エレメントは、この病変に係合される。血栓除去エレメントの作動は、好ましくは、塞栓または血栓の機械的分裂を生じ、その後、このエレメントは、塞栓除去カテーテル中に縮められる。1つ以上の流量制御デバイスを選択的に作動停止させることによって、塞栓除去カテーテル中に配向されるべき血栓摘出エレメントの作動の間に遊離された塞栓を生じる脈管構造において、逆行性流動、または再分布された流動を生成することができる。次いで、この流量コントロールデバイスを、回収して、順行性血流を回復する。
【0032】
さらなる別の実施形態において、第二の塞栓除去カテーテルを、流量制御デバイスの1つの代わりに椎骨動脈に配置してもよい。この実施形態では、第二の塞栓除去カテーテルの管腔は、脳の脈管構造の他のどこかで(例えば、頸動脈または椎骨動脈において)逆行性流動を誘導する圧力下で、血液または生理食塩水を用いて還流されてもよい。さらに、冷却された血液、および/または薬剤を、第二のカテーテルを介して送達して、選択された脳位置で、軽度の低体温、および/または圧力勾配の変更を誘導してもよい。
【0033】
第二の塞栓除去カテーテルを、ウィリス輪、および交通血管における流量操作を強化するために用いて、第一の塞栓除去カテーテルの使用を、独立して、または同時に行ない、逆行性流動、または順行性流動のいずれかを介した塞栓の除去を容易にすることができる。
【0034】
本発明のさらなる特徴、その性質、および種々の利点は、添付の図面、および以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の装置および方法の使用対象である、脈管構造の一部の模式的概観を提供している。
【図2】図2は、患者の脈管において展開された本発明の装置の概観を提供する。
【図3A】本発明の塞栓除去カテーテルの模式的外観、ならびに遠位端の詳細な側面図および断面図である。
【図3B】本発明の塞栓除去カテーテルの模式的外観、ならびに遠位端の詳細な側面図および断面図である。
【図3C】本発明の塞栓除去カテーテルの模式的外観、ならびに遠位端の詳細な側面図および断面図である。
【図3D】本発明の塞栓除去カテーテルの模式的外観、ならびに遠位端の詳細な側面図および断面図である。
【図4A】収縮状態および拡張状態の、本発明の流量制御デバイスの近位および別の遠位端の詳細な外観を提供する。
【図4B】収縮状態および拡張状態の、本発明の流量制御デバイスの近位および別の遠位端の詳細な外観を提供する。
【図4C】収縮状態および拡張状態の、本発明の流量制御デバイスの近位および別の遠位端の詳細な外観を提供する。
【図4D】収縮状態および拡張状態の、本発明の流量制御デバイスの近位および別の遠位端の詳細な外観を提供する。
【図4E】収縮状態および拡張状態の、本発明の流量制御デバイスの近位および別の遠位端の詳細な外観を提供する。
【図5A】外頸動脈における流動を閉塞するための扁平な輪郭の閉塞性エレメントの別の実施形態の外観である。
【図5B】外頸動脈における流動を閉塞するための扁平な輪郭の閉塞性エレメントの別の実施形態の外観である。
【図6A】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図6B】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図6C】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図6D】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図6E】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図6F】収縮状態および展開状態における、形状記憶特性を有する血栓摘出ワイアを示す。
【図7A】図6の血栓摘出ワイアについての別の構成を例示する。
【図7B】図6の血栓摘出ワイアについての別の構成を例示する。
【図7C】図6の血栓摘出ワイアについての別の構成を例示する。
【図7D】図6の血栓摘出ワイアについての別の構成を例示する。
【図7E】図6の血栓摘出ワイアについての別の構成を例示する。
【図8A】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された血栓摘出ワイアを例示する。
【図8B】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された血栓摘出ワイアを例示する。
【図8C】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された血栓摘出ワイアを例示する。
【図8D】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された血栓摘出ワイアを例示する。
【図9A】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された別の血栓摘出デバイスを記載する。
【図9B】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された別の血栓摘出デバイスを記載する。
【図9C】血栓のフィブリン鎖に係合するように構成された別の血栓摘出デバイスを記載する。
【図10A】図9の装置を用いる閉塞の除去のための方法の工程を例示する。
【図10B】図9の装置を用いる閉塞の除去のための方法の工程を例示する。
【図10C】図9の装置を用いる閉塞の除去のための方法の工程を例示する。
【図10D】図9の装置を用いる閉塞の除去のための方法の工程を例示する。
【図10E】図9の装置を用いる閉塞の除去のための方法の工程を例示する。
【図11】図11は、メインカテーテルを通じて前進するように構成された、入れ子式にはまり込むカテーテルを記載する。
【図12A】メインカテーテルを通じて前進するように構成された、拡張可能遠位セクションを有する、入れ子式にはまり込むカテーテルを記載する。
【図12B】メインカテーテルを通じて前進するように構成された、拡張可能遠位セクションを有する、入れ子式にはまり込むカテーテルを記載する。
【図12C】メインカテーテルを通じて前進するように構成された、拡張可能遠位セクションを有する、入れ子式にはまり込むカテーテルを記載する。
【図12D】メインカテーテルを通じて前進するように構成された、拡張可能遠位セクションを有する、入れ子式にはまり込むカテーテルを記載する。
【図13A】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13B】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13C】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13D】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13E】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13F】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13G】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図13H】本発明に従って、脳血流を制御し、血栓および/または塞栓を除去するための方法の工程を例示する。
【図14A】頸動脈または椎骨動脈のいずれかにおいて、逆行性流動および/または順行性流動を提供するように構成された吸入ポートを有するカテーテルを記載する。
【図14B】頸動脈または椎骨動脈のいずれかにおいて、逆行性流動および/または順行性流動を提供するように構成された吸入ポートを有するカテーテルを記載する。
【図15】図15は、図14の頸動脈および椎骨動脈における逆行性流動および順行性流動を制御するために適切な基部のアセンブリを例示する。
【図16A】各々が順行性流動能および逆行性流動能を有する、頸動脈カテーテルおよび椎骨カテーテルの組合せを用いて、脳の血流を操作する例を提供する。
【図16B】各々が順行性流動能および逆行性流動能を有する、頸動脈カテーテルおよび椎骨カテーテルの組合せを用いて、脳の血流を操作する例を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照すれば、本発明に関連する模式的な適切な脈管構造の模式図が得られる。脳卒中をもたらす多くの脳の障害物は、中大脳動脈MCAに位置している。MCAにおける障害物を処置するため、1つのアプローチは、内頸動脈ICAを介して障害物の部位へ治療用デバイスを経皮的にかつ経腔的に前進させる工程を包含する。
【0037】
例えば、大腿動脈、外腸骨動脈、下行大動脈DA、および大動脈弓AAを介して、冠脈管構造に向かって逆行様式でカテーテルを経皮的にかつ経腔的に前進させることは当該分野で周知である。MCAに存在する障害物を含む、脳の脈管構造に接近するための1つのアプローチは、図1に示されるように、カテーテル、および/または治療用デバイスを、順行様式で、大動脈弓AAから総頸動脈CCAに、ICAを通して上に、そして中大脳動脈MCA中に、さらに前進させることである。
【0038】
MCAにおける閉塞を処置する工程は、閉塞の除去の際に塞栓を生成するかもしれない。正常な血流条件下で、このような塞栓は、もとの閉塞から下流に移動して、虚血を生じるかもしれない。従って、脳の脈管構造において血流特性を操作して、MCA中で生成された塞栓が有効に除去されることを確実にすることが有利である。
【0039】
本発明は、心臓から、椎骨動脈VA、および総頸動脈CCAのいずれかへの流動を阻害することによって、脳血流量を操作する。これは、鎖骨下動脈SA、および/または腕頭動脈BTに、流量制御デバイスを配置して、大動脈弓AAから、椎骨動脈VA、および総頸動脈CCAのいずれかへの流動を一時的に阻害することによって、達成され得る。この順行性流動の妨害によって、本明細書において下記されるように、ウィリス輪における流動を有利に変更することができる。
【0040】
図2は、本発明のシステムの部品の概観を提供しており、その各々は、本明細書において下記に詳細に記載されている。
【0041】
閉塞性エレメント6を有する流動コントロールデバイス8は、例えば、橈骨動脈または上腕動脈を介して、患者の脈管構造中に導入されるように構成される。そのように配置された場合、閉塞性エレメント6は、好ましくは、示したとおり、患者の左鎖骨下動脈SA、および腕頭動脈BTに配置される。閉塞性エレメント6は、任意の多数のデザインを有してもよいが、機械的に自己拡張する扁平な輪郭のデザインが好ましい。
【0042】
塞栓除去カテーテル2は、遠位閉塞性エレメント4を備え、下行大動脈を通じた逆行性の様式で皮下に前進するように構成される。閉塞性エレメント4は、好ましくは、本明細書において参考として援用される、同時係属でかつ同一出願人による米国特許出願第09/418,727号に記載のような、西洋ナシ形状、または漏斗形状のバルーンを備える。閉塞性エレメント4は、好ましくは、頸動脈分岐に対して近位に配置され、次いで、展開されて、カテーテル2の近位端と連絡する、静脈還流カテーテル(示さず)の使用によってICA中に逆行性流動を導入する。バルーン10(これも前述の出願に記載されている)は、ICAからの逆行性流動が、ECA中に逆行様式で運ばれないことを保証するためにECA中で展開される。
【0043】
流量制御デバイス8および塞栓除去カテーテル2を用いて、脳動脈における順行性流動を停止させて、脳の脈管構造における流動を選択的に停止または再分布させる。一旦、このように展開されれば、溶解剤を導入し、凝血を溶解して、続いて1つ以上の流量制御デバイスを選択的に収縮させて、塞栓除去カテーテル2を通じて逆行性流動を誘導してもよい。
【0044】
あるいは、流量制御デバイス8の配置後、ただし、それを展開させる前に、血栓摘出ワイア12を、この病変を含む血管中に導入してもよい。次いで、流量コントロールデバイス8を、図2に示すように、展開して、大動脈弓AAから右総頸動脈RCCA、ならびに左右の椎骨動脈VAへの流動を妨げてもよい。頸動脈、および/または椎骨動脈への流動のこのような選択的操作によって、脳の脈管構造における流動特性が変更され、そして逆行性流動が導入され、塞栓および砕片を除去するためにカテーテル2の管腔内にフラッシュすることが可能になる。
【0045】
図2の実施形態において、血栓摘出ワイア12は、血栓Tに対して遠位で展開されるノット14を備える。次いで、血栓摘出ワイア12、および血栓Tを、塞栓除去カテーテル2の管腔内に基部に縮めさせて、この手順の間に生成される任意の塞栓フラグメントを、局在性の逆行性流動を誘導することによって、カテーテル2中に配向させる。一旦、血栓が除去されれば、流量制御デバイス8を収縮させて、脳の脈管構造に対する流動を再確立する。
【0046】
ここで図3Aを参照すれば、本発明の原理に従って収縮された脳卒中処置装置40が記載される。装置40は、塞栓除去カテーテル41、ワイア45、静脈還流ライン52、配管49、および必要に応じて血液フィルター50を備える。
【0047】
カテーテル41は、遠位閉塞性エレメント42、止血ポート43a、および43b、例えば、トウーイ−ボルスト(Touhy−Borst)コネクタ、インフレーションポート44、および血液アウトレットポート48を供える。ワイア45は、インフレーションポート47を介して膨張されるバルーン46を備える。配管49は、血液アウトレットポート48を、フィルター50、および静脈還流ライン52の血液インレットポート51に連結する。
【0048】
ワイア45は、好ましくは、膨張可能なバルーン46をインフレーションポート47に連結するインフレーション管腔を有する、小径の可塑性シャフトを備える。ワイア45、およびバルーン46は、カテーテル41の止血ポート43aおよび43b、ならびに吸引管腔を通過するように構成され(図3Cおよび3Dを参照のこと)、その結果バルーン46は、交通動脈、例えば、外頸動脈に配置され得る。ポート43aおよび43b、ならびにカテーテル41の吸引管腔は、血栓摘出ワイアのようなさらなる介入デバイスが、ワイア45が配置される場合、吸引管腔を通じて前進することが可能になるようにサイズ決めされる。
【0049】
静脈還流ライン52は、止血ポート53、血液インレットポート51、ならびにポート53、51および先端部54を連絡する管腔を備える。静脈還流ライン52は、静脈導入カテーテルについて、それ自体公知である様式で構築され得る。配管49は、適切な長さの生体適合性材料、例えば、シリコーンを備えてもよい。あるいは、配管49は、省略されてもよく、そしてカテーテル41の血液アウトレットポート48、および静脈還流ライン52の血液インレットポート51は、フィルター50のいずれかの末端か、またはお互いを係合するように延びてもよい。
【0050】
図3Bおよび3Cに関して、遠位閉塞性エレメント42は、拡張可能漏斗形状バルーン55を備える。当該分野で公知の製造技術によれば、バルーン55は、ポリウレタン、ラテックス、またはポリイソプレンのような柔軟な材料を含み、これはその長さに添って可変性の厚みを有し、膨張された場合、漏斗形状を得る。バルーン55は、例えば、接着または溶融結合によって、反転した様式でカテーテル41の遠位端56に付加され、その結果、バルーン55における開口部57は、カテーテル41の吸引管腔58中に導かれる。バルーン55は、好ましくは、製造の間に包装および熱処理され、その結果このバルーンの遠位部分59は、カテーテル41の遠位端を越えて延び、そしてこのカテーテルのための非外傷性の先端部、またはバンパーを提供する。
【0051】
図3Dに示されるとおり、カテーテル41は、好ましくは、ステンレス平鋼ワイアブレイド61、およびポリマーカバー62(例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、またはPEBAX)の層でカバーされた、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)のような、低摩擦材料の内層60を備える。インフレーション管腔63は、ポリマーカバー62の内側に配置されて、インフレーションポート44をバルーン55に連結する。
【0052】
図4を参照すれば、本発明の流量制御デバイスの特徴が記載されている。この流量制御デバイスは、膨張可能なバルーン、または機械的に展開可能な機構のいずれかを備え得る。図4Aにおいて、機械的に展開可能な機構に好ましい実施形態の近位端は、コントローラ70と、例えば、心臓麻痺性の薬剤を送達するための送達ポート78と、スロット74内でスライドするように構成される展開ノブ72と、自己密閉バルブを備えてもよいガイドワイア管腔76とを備える。本体73は、複数の管腔、例えば、機械的展開管腔、治療薬送達管腔、およびガイドワイア管腔を収納する。別の実施形態において、膨張可能なバルーンと連動しての使用のために、ポート78は、インフレーション/吸引ポートとして働いてもよいが、このとき展開ノブ72およびスロット74は省略される。
【0053】
図4B〜4Cは、それぞれ、収縮状態および展開状態で膨張可能なバルーン82を有する、流量制御デバイスの遠位端を例示する。使用時には、本体73は、ガイドワイア管腔86を介してガイドワイア上を前進する。放射線不透過性の先端部マーカー84は、このデバイスを蛍光透視的にガイドすることを補助するために用いることができる。次いで、バルーン82は、ポート78と連絡する本体73内で管腔によって膨張される。ポート78は、予め決定された時間(例えば15秒)後に、バルーン82を自動的にしぼませるタイミング機構(示さず)と連絡して、脳血流量が、脳の弱化を起こすような期間、阻害されないことを確保することができる。
【0054】
図4D〜4Eは、可塑性ワイア95および不浸透性コーティング97を備える、機械的展開可能機構92を、それぞれ収縮状態および展開状態で例示する。不浸透性コーティング97は、エラストマーポリマー、例えば、ラテックス、ポリウレタン、またはポリイソプレンを含む。展開可能機構92の近位端は本体73に付加される。機構92の遠位端は、最遠位セクション99に付加され、次にこれが、本体73の管腔内で長軸方向にスライドするように構成されるスライディング部材93と連絡する。
【0055】
展開ノブ72、すなわち、スロット74内で近位に縮まるノブ72を作動させる際、スライド部材93および最遠位セクション99は、本体73に対して近位に縮み、可塑性ワイア95を圧縮する。不浸透性コーティング97は、図4Eに示されるように、ワイア95の形状に合致して、プラグ形状の閉塞性部材を提供する。展開ノブ72は、あらかじめ決定された時間後に、機構92を自動的に遊離するタイミング機構(示さず)と連絡されてもよい。
【0056】
図5を参照して、図3Aのガイドワイア45、およびバルーン46について別の実施形態を、交通動脈、例えば、外頸動脈の閉塞の際に使用するものとして記載する。図5Aにおいては、閉塞性デバイス121は、近位ハブ120と、ハイポチューブ127と、シャフト128と、バルーン136と、コイル142とを備える。ハイポチューブ127は、好ましくはステンレス鋼を含むが、シャフト128は、好ましくは放射線不透過性材料を含む。バルーン136は、管状バルーン材料、例えば、クロノプレン(展開された場合、本質的に柔軟であって、自己センタリングバルーンを提供する)を用いて構成される。バルーン136の近位端は、バンド132およびテーパ130によって放射線不透過性シャフト128に固定される。バルーン136の遠位端は、テーパ140を介してコイル142に付加される。
【0057】
コアワイア122は、ハイポチューブ127内にスライドして配置され、その結果その近位端は、そして、近位ハブ120に配置され、そしてその遠位端は、テーパ140に付加される。液体は、輪状包囲コアワイア122中に注入されてもよく、その結果この液体は、インフレーションウインドウ134を介してバルーン136に出て、これによってバルーン136が、半径方向にかつ、長軸方向に拡張することを可能にする。コアワイア122、テーパ140、およびコイル142は、遠位に動いて、このような直線的延長に適合する。コアワイア122の遠位端に配置された、ストロークリミッター123によって、バルーン136が、予め決定された距離「x」よりも長軸方向に延びないことを確実にする。
【0058】
図5Bの別の実施形態において、閉塞性デバイス151は、シャフト152、バルーン158、およびコイル168を備える。シャフト152は、好ましくは、放射線不透過性材料を備え、そして図5Aのと同様のハイポチューブに接続する。デバイス151についての近位の部品(すなわち、シャフト152に対して近位の部品)は、図5Aにおけるシャフト128に近位である部品と同じである。
【0059】
バルーン158は、近位バルーンマーカー157を有するバンド156によって、その近位端で収縮される。テーパ154は、バルーン158の近位端と整列されて、バンド156の近位端に提供される。バルーン158の遠位端は、図5Bに示されるように、外転され、そしてバルーンの遠位境界について蛍光透視的な指標を提供する放射線不透過性バンド160と固定される。テーパ164はさらに、この反転した遠位セクションを固定し、これは一重から二重に挟む。
【0060】
コアワイア150は、放射線不透過性マーカー170を有するコイル168に遠位に付加される。管腔159は、インフレーションポート(示さず)とその近位端で連絡し、またインフレーションウインドウ136とその遠位端で連絡する。管腔159は、液体、例えば、生理食塩水の注入によって、バルーン158を展開することを可能にする。コアワイア150は、図5Aに示されるように、ハイポチューブ中およびシャフト152にスライドして配置され、バルーン158の伸展を距離「x」までに妨げる。
【0061】
図6を参照して、血栓を除去するために適切な装置について記載する。図6Aにおいて、血栓摘出ワイア200(その遠位端に付加されたバルーン202を有する)は、コイル204内に収縮した状態で記される。好ましい実施形態において、血栓摘出ワイア200は、形状記憶保持材料、例えば、ニッケルチタン(Nickel Titanium合金)(通常、ニチノール(Nitinol)として当該分野で公知)を備える。
【0062】
ニチノールの使用は、一般に、例えば、所望の形状のマンドレルまたは固定物上で、ニチノールエレメントを収縮することによって、次いで、適切な心臓処置(それ自体公知である)を適用することによって、一片のニチノールとしてあつらえた形状の設定を、必要とする。
【0063】
コイル204は、ボール202まで、ワイア202を、その長さにそってカバーする。コイル204が、近位に縮められるとき、ワイア200は、図6Bに示されるような、予め決定されたノット構成に自己拡張する。好ましい実施形態において、ワイア200の直径は、約0.002インチであり、ボール202の直径は、約0.014インチであり、そしてコイル204は、白金を用いて製造される。コイル204の代わりに、外側シースが用いられてもよく、これによって外側シースを近位に縮めれば、ワイア200が展開されることが理解されるべきである。
【0064】
図6Cを参照すれば、例えば、中大脳動脈MCAにおいて、血栓Tを捕捉するために、血栓摘出ワイア200を用いるための方法が記載される。血栓摘出ワイア200は、最初に、コイル204内に収縮され、カテーテル2の管腔を通じて前進され、次いで好ましくは、内頸動脈を介して、逆行式に、MCAの脳領域の部位に前進される。制御された流動条件、すなわち、カテーテル2に向かう塞栓の流動を促進させる条件のもとでは、ワイア200およびコイル204は、図6Cに示されるように血栓Tを刺通する。
【0065】
次いで、図6Dに示されるように、コイル204を、ワイア200に対して近位に縮めて、血栓Tに遠位の位置で、形状記憶ワイア200を自己展開させる。次いで、ワイア200は、縮まって血栓Tを捕捉し、ワイア200のボール202は、この病変の除去を容易にする。
【0066】
図6E〜6Fを参照して、別の実施形態で、図6A〜Bの血栓摘出ワイアが記載される。図6Eでは、遠位ボール208を有する血栓摘出ワイア205が、スライド可能シース206内に収縮状態で送達される。血栓除去ワイア205は、シース206の近位収縮の際に、例えば、形状記憶材料の使用を介して、予め決定された形状に自己展開するように構成される。コイル207は、スライド可能シース206にかぶさり、そして例えば、肩部、または溶接部を介して、位置209aおよび209bでボール208に付加される。シース206は、最初に最遠位の位置に提供され、その結果、シース206は、ボール208に接触して、ワイア205をその長さにそって拘束する。シース206は、有利には、詳細には、このデバイスが閉塞を通じて前進される場合、このデバイスの遠位押し出し能力を増強する。
【0067】
閉塞の遠位の位置にワイア205の遠位端を配置する際、図6Fに示されるように、シース206は、近位に縮まってノット形状の構成にワイア205を自己展開させる。ワイア205のボール208に付加されたコイル207は、ワイア205の形状に合致する。次いで、この展開されたノット形状デバイスは、近位に縮められて、上記の方法によって閉塞を捕捉する。
【0068】
図7A〜7Eを参照して、本発明による血栓摘出ワイアの別の実施形態を示す。図7Aにおいては、血栓摘出ワイア210は、コイルまたはシースの収縮の際に展開する複数の横断フープを備える。フープ212および214は、図7Aに示されるように、お互いに直交性である。このフープは、ノット形状を形成して、ボール216との組み合わせで血栓を捕捉するように設計される。さらに、図7Bに示されるように、一連の横断フープが存在してもよい。血栓摘出ワイア220は、距離「y」で隔てられた第一のノット222および第二のノット224を備えるが、ノットの数およびそれらの形状の任意のバラツキは、本発明の範囲内におさまることが意図されることが明白である。
【0069】
図7Cを参照すれば、血栓摘出ワイア230は、らせん形状の遠位セクション232を備える。らせん形状は、一連の平面フープから形成され、そのフープの直径は、各々の連続するフープよりわずかに小さい。示されるとおり、らせん232のフープは、ワイア230の主軸に対して直交性であるように記載される。肘部234は、第一のフープ238にメインのワイアセクション236を接続する屈曲セクションを規定する。示されるとおり、肘部234は、メインのワイアセクション236に対して直交性であるが、任意の角度で提供されてもよい。同様に、図7Dに示されるとおり、ワイア240は、距離「z」によって隔てられた複数のらせん形状のセクション242および244を備えてもよい。
【0070】
図7Eにおいて、血栓摘出ワイア250は、コイル、またはシースの収縮の際に展開する複数の花弁状セクションを供える。示されるとおり、花弁状セクション252、および254は、お互いに直交性であるが、それらは主軸256に対して、およびお互いに対して任意の角度で提供されてもよく、そして任意の数の花弁状セクションが提供されてもよい。
【0071】
図8A〜8Dを参照すれば、さらなる別の血栓摘出デバイスが例示される。デバイス260は、回転運動を用いて、展開可能ワイアの周りの病変のフィブリン鎖をまとめることによってこの病変を除去する。図8A〜8Dに記載される実施形態を用いるために例示的な方法の工程は、本明細書中、以下の図10において記載される。
【0072】
図8Aにおいて、血栓摘出デバイス260は、それぞれ、位置266、および264において、その近位端および遠位端に付加された少なくとも1つの展開可能ワイア262を備える。展開可能ワイア262は、最初にコイル268内に収縮され、そして管状部材268、例えば、コイル、またはシースが、近位に縮められる場合、展開可能ワイア262は、示されるとおり、予め決定された形状に自己拡張する。展開可能ワイア262は、血栓自体の内側で回転するので、血栓のフィブリン鎖は、展開可能ワイア262に係合して、その周囲を包むようになる。
【0073】
図8Bにおいて、別の血栓摘出デバイス270は、位置276においてワイア270に対して遠位に付加される少なくとも1つの展開可能ワイア274を備える。ワイア274の近位端は、ワイア271上を長軸方向にスライドするスライド部材272に固定される。ワイア271およびスライド部材272が、お互いに対して動く場合、展開可能ワイア274は、示されるように半径方向外側に偏向するか、または収縮位置に平らに延びるかのいずれかである。
【0074】
図8Cにおいて、血栓摘出デバイス280は、シャフト283の周りに複数のループ285を形成するように構成された展開可能ワイア282を備える。展開可能ワイア282の遠位端は、284位置でシャフト283に付加され、これが、デバイスをガイドし、血栓を貫くための非外傷性先端部として機能し得る。展開可能ワイア282の近位端は、チューブ281に付加される。チューブ281は、このデバイスの長さに及んでおり、そして内科医によって操作される近位端を有する。シャフト283を越えて遠位に前進するチューブ281は、示されるとおり、ループ285を展開するが、シャフト283に対して近位に縮むチューブ281は、ループ285を収縮する。展開状態で、デバイスをその軸に対して回転させることは、本明細書において以下の図10に記載されるとおり、ワイア282のループ285を血栓に係合させて、このデバイスに対するフィブリン鎖を包む。
【0075】
図8Dにおいて、血栓摘出デバイス290は、複数の形状記憶、位置294でお互いに対して遠位に付加され、そして接合部298に近位に付加される矢印型ワイア292を備える。ワイア292は、最初、管状部材296、例えばコイル、またはシースの内に収縮されており、そして管状部材296の近位収縮の際、ワイア292は、示された構成に自己展開する。
【0076】
血栓摘出デバイスの回りの血栓のフィブリン鎖を組織化するための装置、および方法は、図9および10に関してさらに記載される。図9Aにおいて、デバイス300は、近位セグメント306と、カテーテル302と、遠位セグメント304とを備える。遠位セグメント306は、親指受け308と、近位本体310と、スロット314内に長軸方向にスライドする展開ノブ312とを備える。遠位セグメント304は、少なくとも1つの展開可能ワイア316、および非外傷性先端部318を備える。
【0077】
図9Bは、遠位セグメント304の模式図を提供する。展開可能ワイア316は好ましくは、本明細書中において以下で図9Cにおいて記載されるように、その近位端で、展開ノブ312と連絡する形状記憶材料を備える。展開可能ワイア316の遠位端は、例えば、肩部または溶接部を用いて、非外傷性先端部318に対して付加される。展開可能ワイア316は、収縮状態で送達され、すなわち、この結果、この展開可能ワイア316は、カテーテル302を越えて半径方向に実質的に延びることはない。展開ノブ312の作動の際、ワイア316は、ホール317を介して自己拡張し、示されたような、泡だて器型のエレメントを形成する。カテーテル302には、液体、例えば、生理食塩水、または凝血の除去を促進する他の薬物の送達を可能にするように送達ポート305と連絡する1つ以上の作業管腔を設けてもよい。
【0078】
図9Cは、近位セグメント306の概略図を提供する。展開可能ワイア316の遠位端は、カテーテル302から展開するように構成される。カテーテル302の近位端は、外側シャフト322(好ましくは正方形の断面を有する)に付加される。外側シャフト322は、内側シャフト320に適合される。内側シャフト320は、アクチュエータ323に対してよりスライド可能に適合され、その結果1つのエレメントの回転運動が、他の回転を生じる。カテーテル302はさらに、保持具315に付加され、これによってカテーテル302が、近位本体310に対して自由に回転することが可能になる。
【0079】
親指受け308は、接続部321を介してアクチュエータ323と連絡する。接続部321は、親指受け308に対して、アクチュエータ323の回転運動を可能にする。
【0080】
アクチュエータ323は、回転部材326の末端に付加され、これが次に、内側シャフトに付加される。回転部材326は、本体310の壁において溝328内でスライドして回転するように構成されるノブ327を備える。
【0081】
展開可能ワイア316は、スロット314内のスライドする展開ノブ312によって展開される。展開ノブ312は、リング324の溝と係合する丸型ピンを備える。この係合は、カテーテル302のスロット325内のリング324を遠位に前進する。展開可能ワイア316は、リング324に付加され、その結果、展開ノブ312を介して遠位に前進するリング324は、ワイア316が自己展開することを可能にする。ノブ312と、リング324の溝との間の丸型ピン係合によってさらに、ノブ312が静止したままで、リング324の自由な軸回転が可能になる。
【0082】
ワイア316が展開されるには、親指受け308は、バネ330によって提供される抵抗力に打ち勝つ力で押圧される。次に、親指受け308を押圧することによって、回転部材326が、溝328を介して遠位に前進させられる。親指の力を加えなくなると、次いで、バネ330の抵抗性が、溝328を介して近位方向に回転部材326を押す。これが次に回転部材326、内側シャフト320、外側シャフト322、およびカテーテル302の回転を生じる。カテーテル302の回転は、血栓摘出ワイア316の回転を生じる。
【0083】
血栓摘出ワイア316の回転は、溝328の輪郭を操作することによって、時計回りであっても、反時計回りであっても、それらの組み合わせであってもよい。回転速度は、バネ330の種々の抵抗性によって制御することができ、そして回転の期間は、回転部材326が、長軸方向に動くことのできる種々の長さによって制御できる。あるいは、別の力伝達手段、例えば、モーターが、カテーテル302の軸回転を制御するために、この近位端に結合されてもよい。
【0084】
図10は、図8〜9に記載のいずれかの血栓摘出デバイスを用いて血栓を除去するための方法の工程を例示する。第一の工程において、カテーテル302は、図2のカテーテル2を通して前進され、次いで、この閉塞へ向かって逆行式に前進される。カテーテル302は、脳の血管、例えば、中大脳動脈に位置する病変Tを処置するために内頸動脈を介して前進され得る。カテーテル302が、蛇行性の解剖学上の構造を通じて前進すると、非外傷性の先端部318は血管壁を保護するように働く。この時点で、図2の流量制御デバイス8は、逆行性の血液が、示された方向に流されるように展開される。
【0085】
次いで、カテーテル302の先端部318が、図10Bに示されるように、前進させられて、塞栓Tを貫く。次いで、図9の展開ノブ312が、血栓T内で、少なくとも1つの展開可能ワイア316を展開するように作動される。次いで、親指受け308は、圧されて、結果として、展開可能ワイア316の回転制御が得られ、その結果、このワイアは、血栓Tのフィブリン鎖に係合する。フィブリン鎖が、展開可能ワイア316によって傷つけられれば、血栓Tの直径は、図10Dに示されるように減少する。逆行式での血流、すなわち、総頸動脈に位置するカテーテル2に向かう血流、およびこの手順の間に生成されたあらゆる塞栓Eは、この手順においてカテーテルによって除去される。展開可能ワイア316は、血管Vの内壁に接触しないように設計されていることに注目すべきである。一旦、血栓Tが、図10Eに示されるように、展開可能ワイア316によって十分に傷つけられれば、カテーテル302は、カテーテル2内に縮めてもよい。
【0086】
図11を参照すれば、本発明の別の実施形態が記載されており、ここでは、第二のカテーテルが、閉塞病変に対してごく近位の位置に前進させられる。遠位閉塞性エレメント342を有するメインカテーテル340は、図2に記載されるように、例えば、総頸動脈に配置される。遠位閉塞性エレメント346、および放射線不透過性マーカー347を有する回収カテーテル344は、メインカテーテル340の管腔内に入れ子式にはまり込むように構成される。
【0087】
好ましい方法において、メインカテーテル340は総頸動脈に配置される。次いで、本明細書において上記される方法に従って、図3Aの静脈還流ライン52を用いて、逆行性流動を確立する。次いで、0.014インチのニューロガイドワイア350を、脳閉塞の部位へ、メインカテーテル340の管腔を介して前進させ、そしてニューロガイドワイア350を、この病変に対して遠位に配置する。この例示において、閉塞(示さず)は、例えば、中大脳動脈において、ほぼ「L」の間隔内に配置される。次いで、回収カテーテル344が、ニューロガイドワイア350上を遠位に前進され、そして閉塞「L」に対して近位に位置される。回収カテーテル344を配置する際、閉塞性遠位エレメント346が展開される。
【0088】
次いで、ニューロカテーテル348を、ニューロガイドワイア350上を前進させ、そしてニューロカテーテル348の遠位端を、図示のように、閉塞「L」に対して遠位の位置に配置する。次いで、ニューロガイドワイア350を、近位に縮め、そして比較的小さい管腔を含むニューロカテーテル348内から取り除く。ニューロガイドワイア350を取り出せば、血栓摘出ワイアは、ニューロカテーテル348の管腔を通じて遠位に前進され、図11では血栓摘出ワイアはガイドワイア350に取って代わる。次いで、ニューロカテーテル348は、近位に縮まって、血栓摘出ワイア350が、展開され、本明細書において上記された方法に従って閉塞を処置する。
【0089】
回収カテーテル344は、少なくとも1つの血液流通孔345を備える。静脈還流ライン52を用いてカテーテル344を通じて確立された逆行性流動によって、血液流通孔345を介して少なくとも内頸動脈に逆行性流動が誘導される。流通孔345への流量は、内側シース349を作動することによって、例えば、カテーテル344内で内側シース349を長軸方向にスライドすることによって、または、その長軸に対して内側シース349を回転させることによって操作されてもよい。
【0090】
有利なことに、回収カテーテル344の遠位端は、病変に対してごく近位に配置され、その結果ワイア348、および生成されたあらゆる塞栓は、回収カテーテル344内で直ちに拘束される。さらに、内頸動脈を介した回収カテーテル344の前進によって、外頸動脈においては、図2のバルーン10を展開する必要性がなくなる。
【0091】
図12を参照すれば、本発明のさらなる別の実施形態が記載されており、ここでは第二のカテーテルが、閉塞性病変にごく近位の位置に前進される。遠位閉塞性エレメント362を有するメインカテーテル360は、例えば、図2に記載されるように、総頸動脈に配置される。回収カテーテル364は、ワイア織り構成を備え、そして本明細書において上記されるように、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol)を用いて製造されてもよい。
【0092】
回収カテーテル364はさらに、回収カテーテル364のワイア織りを囲む、ラテックス、ポリウレタン、またはポリイソプレンのような、血液不浸透性膜365をさらに備える。血液不浸透性膜365の弾性特性によって、この膜は、回収カテーテル364の収縮状態および拡張状態に対して適合することが可能になる。
【0093】
回収カテーテル364は、外側シース366内に収縮状態で前進させられる。本明細書において参考として援用される、出願人らの、同一譲受人に譲渡された、同時係属の出願番号第09/916,349号に記載されるとおり、外側シース366は、近位に縮められて、閉塞性遠位セクション368を、図12Aに示されるように、予め決定された展開された構成に自己拡張させる。閉塞性遠位セクション368は、異なる血管、例えば、中大脳動脈についてサイズ決めされてもよく、その結果、回収カテーテル364の遠位端は、例えば位置「L」に示されるように、閉塞に対して近位に配置される。口部369は、比較的大きい遠位開口部を提供し、すなわち、標的された血管の内壁をフラッシュする。
【0094】
次いで、図11について上記のように、ニューロカテーテル370をニューロガイドワイア372に前進させ、そして血栓摘出ワイアをニューロガイドワイア372と交換する。ニューロカテーテル370を、近位に縮め、そして血栓摘出ワイア372は、本明細書において上記される方法に従って、位置「L」で閉塞を除去する。閉塞を除去する際、この手順の間に生成された任意の塞栓にそって、血栓摘出ワイア372を、マウス369中に縮める。
【0095】
既存のカテーテル364による、血栓、および/または塞栓を防ぐためには、この手順の完了の際に、口部369を虚脱させることが有利である。図12B〜12Dは、図示のように、口部369を近位から遠位に効果的に虚脱させるための方法を例示する。図12Bは、閉塞性遠位セクション368が展開することを可能にし、近位に縮んだ位置で放射線不透過性マーカー367を有する外側シース366を示す。口部369へ血栓および/または塞栓を配向した後、図12C〜Dに連続して示されるように、外側シース366を遠位に前進させて、口部369を虚脱させる。これによって、口部369内に血栓、および/または塞栓が効率的に拘束される。
【0096】
ここで、図13を参照すれば、本発明の原理に従って、脳卒中を処置するために上記で記載された装置を用いるための方法が記載される。図13Aにおいて、コントローラ402を有する流量制御デバイス400が、収縮状態で患者の脈管構造中に、例えば橈骨動脈または上腕動脈を介して導入され、好ましくは、図示のように、患者の左鎖骨下動脈および腕頭動脈に配置される。種々の数の流量制御デバイス、およびその種々の配置が、本発明の範囲内の対象であるということが、当業者に理解される。血流は示された方向で生じる。
【0097】
図13Bを参照すると、図3Aのカテーテル404は、ガイドワイア406を用いて、総頸動脈CCAに配置される。カテーテル404は、示されるように、好ましくは、脳閉塞が位置する半球に、頸動脈分岐に対して近位に配置される。次いで、例えば、図5に記載されるように、バルーン408は、図13Cに示されるように、外頸動脈に配置されて、展開される。
【0098】
図13Dを参照すると、カテーテル404の遠位閉塞性エレメント412は、選択されたCCAにおいて逆行性流動を閉塞するように展開される。次いで、図3Aの静脈還流カテーテル52は、離れた静脈に配置され、その結果、心臓拡張期の間の静脈還流カテーテル52における陰圧が、カテーテル404の管腔を通じた連続的流動を確立する。これによって、図13Dに示されたように、ICAにおいて逆行性流動が誘導される。例えば、図6〜10に記載されるような、血栓摘出ワイア414が、カテーテル404を通じて、ICAを介して、脳の脈管構造内に前進させられる。
【0099】
図13Eを参照すると、図13Dに記載された条件下での脳の脈管構造の概略が示される。血栓摘出ワイア414は、例えば、中大脳動脈MCAにおいて、血栓Tに対して直ぐ近位の位置に前進させられている。
【0100】
この時点で、流量制御デバイス400は、次に、図13Fに示されるように、コントローラ402を用いて展開されて、閉塞性エレメント420を形成する。描写されたとおり、大動脈弓AAからの腕頭動脈BT、および左鎖骨下動脈SAへの流動が阻害され、これが、次に、示されたように、椎骨動脈VAおよび右CCAへの流動を阻害する。脳の脈管構造の選択された位置への流動を可能にするか、および/または阻害するために、閉塞性エレメント420が、他の位置に選択的に配置されてもよいことが当業者には明白である。
【0101】
図13Gに示されるように、閉塞性エレメント420の展開は、ウィリス輪における流動を制御する。この例では、椎骨動脈VA、および右内頸動脈への動脈流が阻害されているので、生成される塞栓は、左内頸動脈を介して、カテーテル404に向かって逆行式に配向される。次いで、図13Gに示されるように、血栓摘出ワイア414の遠位端は、血栓Tを貫き、そして展開可能ノット416は、血栓に対して遠位に展開される。あるいは、図6〜10に記載されるように、他の血栓摘出ワイア構成を用いて、病変を処置してもよい。
【0102】
血栓摘出ワイア414の展開可能ノット416は、図13Hに示されるように血栓Tを捕捉し、引き続きカテーテル404中に縮められる。この手順の間に生成された任意の塞栓は、確立された逆行性流動を介してカテーテル404中に配向される。閉塞性エレメント420、遠位閉塞性エレメント412、および外頸動脈閉塞性デバイス408が次に収縮され、そしてカテーテル404が、患者から取り出され得る。
【0103】
図13に記載された方法の工程が、本明細書において上記された装置のいずれかと組み合わせて用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、図11および12の回収カテーテル344および364はそれぞれ、図13のカテーテル404を通じて前進させられ得る。さらに、図7の捕捉血栓摘出デバイス、または図8の回転血栓摘出デバイスのいずれかを、示されるように、血栓摘出ワイア414の代わりに用いてもよい。同様に、図4B〜4E、および図5A〜5Bに記載される閉塞性デバイスのいずれかを、それぞれ、閉塞性エレメント420、および408の代わりに用いてもよい。
【0104】
図14〜16を参照のこと、本発明の原理に従うさらなる装置および方法が記載される。図14Aにおいて、カテーテル430は、頸動脈および椎骨動脈のいずれかにおける使用のために構成され得る。カテーテル430は、血液吸入ポート432、遠位閉塞性エレメント436、および放射線不透過性先端部マーカー435を備える。閉塞性エレメント436は、それぞれ、近位テーパ、および遠位テーパ438および440を備える。内側シース434は、カテーテル430内で長軸方向にスライドして動くように構成される。
【0105】
内側シース434は、図14Aに示されるように、閉鎖状態で血液吸入ポート432をカバーする最遠位位置に最初に提供される。閉塞性エレメント436の展開によって、血管Vにおける順行性血流が阻害され、この時点で、治療剤、および/またはデバイスが、管腔437を介して閉塞の部位に送達され得る。
【0106】
血管Vにおける逆行性血流は、本明細書において上記された方法に従って、図3Aの静脈還流カテーテル52を、遠隔の静脈中に配置することによって、誘導される。管腔437を通る逆行性流動が、閉塞性エレメント436に対して遠位の逆行性流動を誘導する。遠位テーパ440は、管腔437への逆行性血流を促進する。
【0107】
順行性流動が所望される場合、内側シース434は、図14Bに示されるように、血液吸入ポート432に対して近位に縮められてもよい。これによって、順行性流動が、吸入ポート432に入ることが可能になり、閉塞性エレメント436に対して遠位の順行性の方向の流動が継続される。近位テーパ438は、吸入ポート432への順行性血流を増強するように構成される。
【0108】
脳血流操作は、各々閉塞の半球上で、図14による第一のカテーテルを、総頸動脈に、そして第二のカテーテルを椎骨動脈に配置することによって強化され得る。図15は、1つの頸動脈カテーテル、および1つの椎骨動脈カテーテルの組み合わせを利用する場合の、脳の血流の制御に適切な装置を示す。図15においては、カテーテル450および470は、それぞれ、総頸動脈、および椎骨動脈に配置されるように構成される。しかし、2つの椎骨カテーテル、すなわち、各々の椎骨動脈に1つが、頸動脈カテーテルと組み合わせて用いられてもよいということが、当業者に理解されるべきである。
【0109】
カテーテル450および470は各々が、複数の管腔を備える。内側シース456および476は、それらの各々のカテーテルの再外部で管腔内で長軸方向にスライドするように構成される。内側シース456および476は、展開ノブ452および472と連絡する。スロット454および474内のスライドする展開ノブ452は、それぞれ、内側シース456および476の動きをコントロールする。
【0110】
インフレーションポート462および482は、それらの各々のカテーテルの管腔と連絡する。作業管腔458、460、478および480は、例えば、ガイドワイアおよび血栓摘出ワイアを前進させるため、2つの作業管腔を有する各々のカテーテルを設け、そして止血バルブ、例えばトウーイ−ボルストコネクタを設けられてもよい。
【0111】
生体適合性配管459および461は、それぞれ、逆行性流動コントローラ465と、カテーテル450および470の管腔との間の液体連絡を可能にする。逆行性流動コントローラ465はさらに、配管463を介して、図3Aの静脈還流ライン52と連絡する。逆行性流動コントローラ465のスイッチ467によって、配管459および461が、配管463の逆行性流動と単独で、もしくは組み合わせて連絡することが可能になるか、またはスイッチ467は、逆行性流動を全部阻害し得る。例えば、逆行性流動が、静脈還流ライン52を介して配管463に導入される場合、配管459および461のいずれか一方、両方、またはいずれもが、スイッチ467の位置に基づく逆行性流動を受けないかもしれない。
【0112】
図15に記載される装置によって、医師は、2つの対立する脳位置(すなわち、頸動脈および椎骨動脈)から、逆行性流動、順行性流動、または止血性流動のいずれかを提供することが可能になる。椎骨カテーテルおよび/または頸動脈カテーテルの管腔を、選択された脳位置で流動を操作する圧力下で血液または生理食塩水によって灌流してもよい。この装置はさらに、治療薬および/または血栓摘出デバイスの注射を可能にする。冷却された血液、または生理食塩水を、頸動脈カテーテルおよび椎骨カテーテルのいずれかを介して送達して、選択された脳の位置で軽度の低体温を誘導してもよく、このとき、薬剤を用いて、圧力勾配を選択的に変更してもよい。
【0113】
さらに、閉塞の崩壊を補助するため、頸動脈カテーテルまたは椎骨カテーテルのいずれかを介して、溶解剤を送達してもよい。このような溶解剤は好ましくは、本発明による流量操作技術と組み合わせて用いられ、溶解プロセスから生じる塞栓を除去カテーテル中に配向する。
【0114】
図16を参照すると、頸動脈カテーテルおよび椎骨カテーテルの組み合わせを用いる種々の方法で脳流量を操作する方法の工程が記載される。図16Aにおいて、閉塞性エレメント502および血液吸入ポート504を備える第一のカテーテル500が、左総頸動脈CCAに配置される。内側シース506は、液体が吸入ポート504に入ることを防ぐように、最遠位に提供されており、そして閉塞性エレメント502は、展開されて、順行性流動を閉塞している。バルーン508は、例えば、図5に記載のように、次いで、ECAにおいて展開される。
【0115】
同様に、閉塞性エレメント522および血液吸入ポート524を備える第二のカテーテル520が、左および/または右の椎骨動脈VAに配置される。この例では1つのカテーテルを示す。内側シース526は、液体が吸入ポート544に入ることを防ぐように、最遠位に提供されており、そして閉塞性エレメント522は、展開されて、順行性流動を閉塞している。
【0116】
次いで、図3Aの静脈還流ライン52が、本明細書において上記された方法に従って、遠隔の静脈に配置され、逆行性流動が、図15のスイッチ467に基づいて、ICA、VA、または両方の動脈のいずれかに誘導され得る。図16Aに記載されるように、スイッチ467は、頸動脈カテーテルおよび椎骨動脈カテーテルの両方において、逆行性流動が誘導されることを可能にする位置に設定される。
【0117】
この時点で、図4に記載される流量制御デバイスのいずれかは必要に応じて、本明細書において上記される方法に従って、対向する頸動脈および椎骨動脈における流動を閉塞するように展開され得る。この例では、これによって、左半球で血流が制御されることを確実にする。
【0118】
カテーテル500および520からの逆行性流動は、図16Aにおいて矢印で示されるように、中大脳動脈MCAにおいて流れる血液を、両方のカテーテルに向かって流れるように増強する。次いで、本明細書において上記された方法に従って、展開可能ノット512を有する血栓摘出ワイア510を、ICAを介してMCA中に前進させ、血栓Tを捕捉する。この手順の間に生成された塞栓Eは、除去のためにカテーテル500および520のいずれか1つに向かって配向される。有利には、2つのカテーテルの組み合わせた使用によって、標的の血管、この場合、MCAの吸引の改善が提供される。
【0119】
図16Bを参照のこと、図15の展開可能ノブ472が近位に縮められて、内側シース526を縮め、カテーテル520の吸入ポート524を露出する。逆行性流動コントローラ465のスイッチ467は、カテーテル500のみを通じる逆行性流動のために配置される。これによって、椎骨動脈VAにおける逆行性流動が、吸入ポート524に入ることが可能になり、示した経路を介し、MCAに向かって脳底動脈BAへ流れる逆行性方向の流れが継続することが可能になる。左VAからの順行性流動および左ICAからの順行性流動または逆行性流動のいずれかの組み合わせによって、MCA中で生成された塞栓Eが、カテーテル500中に近位に流れるように指向される。
【0120】
脳の脈管構造における流動を操作して、より効率的に治療剤を送達するために、および/または塞栓を除去カテーテル中に配向させるために可能な、いくつかの他のバリエーションが存在する。例えば、図15のスイッチ467が、カテーテル500および520の両方へ流れる静脈血流を阻害して、各々の血液吸入ポート504および524が閉鎖されている場合、治療薬物はMCAに対して送達され得る。治療薬物は、ポート458、または478のいずれかを介してMCAに送達されてもよいし、また冷却した血液、もしくは生理食塩水を導入することによって、軽度の低体温が誘導されてもよい。
【0121】
逆行性流動コントローラ465、ならびに展開可能ノブ452および472の種々の設定によって、頸動脈および椎骨動脈において、順行性流動、逆行性流動、または止血性流動の任意の組み合わせを得ることができるということが理解されるべきである。例示する流動の組み合わせは多すぎるが、治療薬、血栓摘出デバイス、心臓麻痺性の薬物および/または脳冷却剤が、多様な制御された脳流動条件下で送達されてもよいことを意図する。さらに、ニューロガイドワイアおよびニューロカテーテルは、本明細書において上記の図11および12Aに記載されるように、図16の血栓摘出ワイア510と組み合わせて用いられてもよい。
【0122】
本発明の好ましい例示的な実施形態を上記したが、種々の変化および改変が、本発明から逸脱することなく、本明細書においてなされ得ることが当業者には明白である。添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨および範囲内におさまる、このような変化および改変の全てを包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳の血流特性を操作するために適切な装置であって、該装置は:
近位端および遠位端と、その間に延びる管腔と、該遠位端に付加された閉塞性エレメントとを備えるカテーテルであって、該閉塞性エレメントは、該管腔と連絡する開口部を有し、該閉塞性エレメントは、経腔的挿入に適切な収縮位置、および拡張位置を有し、ここで該閉塞性エレメントが、血管における順行性流動を閉塞させる、カテーテル;ならびに
近位端および遠位端と、該遠位端に配置された流量制御エレメントとを有する、少なくとも1つの流量制御デバイスであって、該流量制御デバイスは、展開された場合に、中大脳動脈における流量を制御する、流量制御デバイス、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記閉塞性エレメントが、膨張可能なバルーンを備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記膨張可能なバルーンが、遠位テーパをさらに備える、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記膨張可能なバルーンが、近位テーパをさらに備える、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記流量制御エレメントが、膨張可能である、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記流量制御エレメントが、血液不浸透性層によってコーティングされた複数の展開可能ワイアを備える、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記カテーテルに付加された閉塞性エレメントが、動脈中の順行性流動を閉塞するように構成される、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、さらに:
近位端および遠位端を有するシャフトと;
近位端および遠位端を有するバルーンと、
を備え、
該バルーンは、該シャフトの該遠位端付近に配置されている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記バルーンが、連絡している動脈に配置されるように適合されている、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記バルーンの前記遠位端が、外転されている、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記バルーンの前記近位端が、外転されている、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、近位端および遠位端を有する回収カテーテルをさらに備え、該回収カテーテルは、該カテーテルの内外で入れ子式にはまり込むように構成されている、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記回収カテーテルが、遠位端に付加されたバルーンを備える、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、前記回収カテーテルの外側面に配置された少なくとも1つの流通孔をさらに備える、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記流通孔中に流動を操作するように構成された内側シースをさらに含む、装置。
【請求項16】
請求項12に記載の装置であって、前記回収カテーテルが、容易に拡張可能な遠位セクションを備える、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記半径方向に拡張可能な遠位セクションが、不浸透性の膜によってカバーされたワイア織り構成を備える、装置。
【請求項18】
脳の血流特性を操作するための方法であって、該方法は:
近位端および遠位端と、その間に延びる管腔と、該遠位端に付加された閉塞性エレメントとを有するカテーテルを備える装置を提供し、ならびに近位端および遠位端と、該遠位端に配置された流量制御エレメントとを有する少なくとも1つの流量制御デバイスをさらに提供する工程;
該流量制御デバイスの該遠位端を、選択された血管中に収縮状態で配置する工程;
該カテーテルの該遠位端を、選択された血管中に収縮状態で配置する工程;
該カテーテルに付加された該閉塞性エレメントを展開させて、該選択された血管における順行性流動を閉塞する工程;ならびに
該流量制御エレメントを展開させて、中大脳動脈における灌流を制御する工程、
を包含する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記流量制御エレメントを展開する工程が、少なくとも椎骨動脈における順行性流動を閉塞させる、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記流量制御エレメントを展開する工程が、少なくとも内頸動脈における順行性流動を閉塞させる、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、前記カテーテルの閉塞性エレメントを展開する工程が、少なくとも総頸動脈における順行性流動を閉塞させる、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、外頸動脈における流動を閉塞させるように構成されたバルーンを展開させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、前記カテーテルの前記管腔を通じて逆行性流動を提供する工程をさらに包含する、方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって、近位端および遠位端を有する回収カテーテルを、前記カテーテルの内外に入れ子式にはまり込む動きで、スライドさせる工程をさらに包含する、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記回収カテーテルの遠位端に付加された閉塞性エレメントを展開させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項26】
脳の血流特性を操作するために適切な装置であって、該装置は:
近位端および遠位端、外側面、ならびにその間に延びる管腔を有する第一のカテーテルと;
該第一のカテーテルの該遠位端に付加された閉塞性エレメントと;
該第一のカテーテルの外側面に配置された少なくとも1つの吸入ポートと;
該第一のカテーテル内で長軸方向にスライド動作をするように構成された内側シースであって、該内側シースは、該吸入ポートを最遠位の位置でカバーするように構成される内側シースと、
を備える、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、前記第一のカテーテルの前記遠位端が、総頸動脈に配置されるように適合される、装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置であって、前記第一のカテーテルの前記管腔を通じた逆行性流動を誘導するように構成された静脈還流カテーテルをさらに備える、装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、流量コントローラをさらに備え、該流量コントローラは、前記静脈還流カテーテルと、前記第一のカテーテルの前記管腔との間の連絡を選択的に許容するか、または阻害するように構成された装置。
【請求項30】
請求項26に記載の装置であって、さらに:
近位端および遠位端、外側面、ならびにその間に延びる管腔を有する第二のカテーテルと;
該第二のカテーテルの該遠位端に付加された閉塞性エレメントと;
該第二のカテーテルの外側面に配置された少なくとも1つの吸入ポートと;
該第二のカテーテル内で長軸方向にスライド動作をするように構成された内側シースであって、該内側シースは、該吸入ポートを最遠位の位置でカバーするように構成される内側シースと、
を備える、装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって、前記第二のカテーテルの前記遠位端が、椎骨動脈に配置されるように適合される、装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、前記第一のカテーテル、および第二のカテーテルの前記管腔の各々を通じて逆行性流動を誘導するように構成された静脈還流カテーテルをさらに備える、装置。
【請求項33】
請求項32に記載の装置であって、流量コントローラをさらに備え、該流量コントローラは、前記静脈還流カテーテルと、前記第一のカテーテルおよび第二のカテーテルの前記管腔の各々との間の連絡を選択的に許容するか、または阻害するように構成された、装置。
【請求項34】
請求項26に記載の装置であって、前記閉塞性エレメントが、バルーンである、装置。
【請求項35】
請求項34に記載の装置であって、前記バルーンが、前記吸入ポート中に順行性流動を導くように構成された近位テーパを備える、装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置であって、前記バルーンが、前記カテーテルの前記管腔中に逆行性流動を導くように構成された遠位テーパを備える、装置。
【請求項37】
請求項26に記載の装置であって、前記内側シースを近位に収容することによって、前記吸入ポートを露出させて、順行性血流が、該吸入ポートに流入するようにさせる、装置。
【請求項38】
脳の血流特性を操作するための方法であって、該方法は:
装置であって、近位端および遠位端と、外側面と、その間に延びる管腔とを有する第一のカテーテル、該第一のカテーテルの該遠位端に付加された閉塞性エレメント、該第一のカテーテルの該外側面に配置された少なくとも1つの吸入ポート、ならびに該第一のカテーテル内で長軸方向にスライド動作をするように構成された内側シースを備える装置を提供する工程;
該第一のカテーテルの該遠位端を、選択された血管中に収縮状態で配置する工程;および該閉塞性エレメントを展開させて、該選択された血管中の順行性流動を閉塞させる工程、を包含する、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、前記選択された血管が、総頸動脈である、方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、さらに:
近位端および遠位端と、外側面と、その間に延びる管腔とを有する第二のカテーテル、該第二のカテーテルの該遠位端に付加された閉塞性エレメント、該第二のカテーテルの外側面に配置された少なくとも1つの吸入ポート、ならびに該第二のカテーテル内で長軸方向にスライド動作をするように構成された内側シースを備える装置を提供する工程;
該第二のカテーテルの該遠位端を、選択された血管中に収縮位置で配置する工程;ならびに
該閉塞性エレメントを展開させて、該選択された血管中の順行性流動を閉塞させる工程、を包含する、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記選択された血管が、椎骨動脈である、方法。
【請求項42】
請求項38に記載の方法であって、前記内側シースを近位に収容することによって、前記吸入ポートを露出させて、順行性流動が、前記第一のカテーテルの前記管腔に入ることを可能にさせる、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記吸入ポートを露出させることによって、脳の脈管構造の選択された領域に順行性流動を提供する、方法。
【請求項44】
請求項38に記載の方法であって、さらに:
前記第一のカテーテルの前記管腔と連絡する静脈還流カテーテルを提供する工程;および該第一のカテーテルの該管腔を通じた逆行性流動を誘導する工程、
を包含する、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記第一のカテーテルの前記管腔を通じて逆行性流動を誘導する工程が、脳の脈管構造において選択された位置で、逆行性流動を誘導する、方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法であって、さらに:
逆行性流動コントローラを提供する工程;ならびに
該逆行性流動コントローラを利用して、前記静脈還流カテーテルと、前記第一のカテーテルの管腔との間の連絡を、選択的に可能にするか、または阻害する工程、
を包含する、方法。
【請求項47】
該閉塞との回転性の係合を用いて脈管閉塞を処置するために適切な装置であって、該装置は:
近位端および遠位端を有する血栓摘出ワイアと;
近位端および遠位端を有する少なくとも1つの展開可能ワイアであって、該展開可能ワイアは、該血栓摘出ワイアで実質的にフラッシュされる収縮状態、および該展開可能ワイアが、該血栓摘出ワイアから半径方向に外側に延びている展開状態を有する、展開可能ワイアと、
を備える、装置。
【請求項48】
請求項47に記載の装置であって、前記展開可能ワイアが、形状記憶材料を含む、装置。
【請求項49】
請求項47に記載の装置であって、前記展開可能ワイアの前記近位端および遠位端が、前記血栓摘出ワイアに付加されている、装置。
【請求項50】
請求項49に記載の装置であって、管状部材をさらに備え、該管状部材は、前記血栓摘出ワイア上を長軸方向にスライドするように構成され、かつ最遠位の位置に配置された場合、前記展開可能ワイアを収縮するように適合されている、装置。
【請求項51】
請求項47に記載の装置であって、前記展開可能ワイアの前記遠位端が、前記血栓摘出ワイアに付加され、かつ前記展開可能ワイアの前記近位端が、スライドする部材に付加されており、該スライドする部材が、該血栓摘出ワイアに対して長軸方向にスライドするように構成されている、装置。
【請求項52】
請求項51に記載の装置であって、前記展開可能ワイアが、前記展開状態で前記血栓摘出ワイアを囲む、少なくとも1つのループを備える、装置。
【請求項53】
請求項47に記載の装置であって、前記展開可能ワイアが、前記展開状態で近位端および遠位端を有する複数の矢印型ワイアを備える、装置。
【請求項54】
請求項53に記載の装置であって、前記矢印型ワイアの前記遠位端が、遠位端で互いに付加されており、かつ該矢印型ワイアの該近位端が、前記血栓摘出ワイアに接続する、装置。
【請求項55】
請求項54に記載の装置であって、管状部材に対して長軸方向にスライドするように構成され、かつ最遠位の位置に配置された場合、前記複数の矢印型ワイアを収縮するように適合されている該管状部材をさらに備える、装置。
【請求項56】
該閉塞との回転性の係合を用いて、脈管閉塞を処置するために適切な装置であって、該装置は:
近位端および遠位端、ならびにその間に延びる第一の管腔を有するカテーテルと;
近位端および遠位端を有する少なくとも1つの展開可能ワイアであって、該展開可能ワイアは、該カテーテルで実質的にフラッシュされる収縮状態、ならびに該展開可能ワイアが、該カテーテルから半径方向に外側に延びている展開状態を有する、展開可能ワイアと、を備える、装置。
【請求項57】
請求項56に記載の装置であって、前記展開可能ワイアが、形状記憶材料を含む、装置。
【請求項58】
請求項56に記載の装置であって、前記カテーテルがさらに:
第二の管腔と;
該カテーテルの外側面に配置された少なくとも1つの液体送達ポートと、
をさらに備える、装置。
【請求項59】
請求項56に記載の装置であって、さらに:
ネジ切り溝を有する近位本体と;
該溝内で回転するように構成された回転性部材であって、該回転性部材は、前記カテーテルの前記近位端と連絡されている回転性部材と、
を備える、装置。
【請求項60】
請求項59に記載の装置であって、前記回転性部材と連絡する親指受けをさらに備え、該親指受けは、前記溝内の該回転性部材を遠位に進めるために、該回転性部材に力を変換するように構成されている、装置。
【請求項61】
請求項60に記載の装置であって、前記近位本体に配置されたバネをさらに備え、該バネは、前記回転性部材を、近位位置に戻す抵抗力、を提供するように構成されている、装置。
【請求項62】
請求項56に記載の装置であって、さらに:
前記近位本体の外側面に配置された展開スロットと;
丸型ピンを備える展開ノブであって、該展開ノブは、該展開スロット内で長軸方向に動くように構成された、展開ノブと;
前記展開可能ワイアの前記近位端に付加されたリングであって、該リングは、該展開可能ワイアを作動するために、該展開ノブの該丸型ピンを係合するように構成された溝を備えるリングと、
を備える、装置。
【請求項63】
脈管閉塞を取り除くための方法であって、該方法は:
近位端および遠位端を有する血栓摘出ワイアと、近位端および遠位端を有する少なくとも1つの展開可能ワイアとを備える装置を提供する工程であって、該展開可能ワイアは、該血栓摘出ワイアで実質的にフラッシュされる収縮状態で提供されている工程;
該血栓摘出ワイアの該遠位端を用いて、該閉塞を刺通する工程;
該展開可能ワイアを収縮状態で該閉塞内に配置する工程;
該展開可能ワイアを該閉塞内で展開させる工程;ならびに
該展開可能ワイアを回転させて、該展開可能ワイアの周囲の閉塞を係合し、かつ包み込む工程;
を包含する、方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法であって、ここで前記展開可能ワイアを展開する工程が、管状部材を近位に収縮させる工程を包含する、方法。
【請求項65】
脈管閉塞を取り除くための方法であって、該方法は:
装置であって、近位端および遠位端、ならびにその間に延びる第一の管腔を有するカテーテルと、近位端および遠位端を有する少なくとも1つの展開可能ワイアとを備える装置を提供する工程であって、該展開可能ワイアは、該カテーテルで実質的にフラッシュされる収縮状態で提供されている工程;
該カテーテルの該遠位端に配置された非外傷性先端部を用いて、該閉塞を刺通する工程;該展開可能ワイアの該遠位端を収縮状態で該閉塞内に配置する工程;
該展開可能ワイアを該閉塞内で展開させる工程;ならびに
該展開可能ワイアを回転させて、該展開可能ワイアの周囲の閉塞を係合し、かつ包み込む工程;
を包含する、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、前記展開可能ワイアを回転させる工程が、該カテーテルを回転させる工程を包含し、該カテーテルは、該展開可能ワイアと連絡されている、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2013−17833(P2013−17833A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−229471(P2012−229471)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2009−55526(P2009−55526)の分割
【原出願日】平成14年8月22日(2002.8.22)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】