説明

脳梗塞に関連する脳血管障害の治療に有用なピラゾロン化合物

【課題】有効成分としての本発明の化合物、すなわちピラゾロン化合物を医薬品市場の要求に応え、脳梗塞に関連する疾患の治療に有用なように改善された有効成分として提供すること。
【解決手段】薬学的に有効量の構造式(I):
【化1】


で表されるピラゾロン化合物、又はその化合物の薬学的に許容される塩、又は擬似結晶多型を含み、未変化体の血漿中濃度が所定の期間一定に維持され、かつ化合物がより高い効果を示すように制御された投与量で投与される、脳梗塞などの脳循環不全に関連する脳血管障害の治療薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳循環不全に関連する脳血管障害の治療に関する。本発明は、その治療を必要としている患者に、式(I)で表されるピラゾロン化合物、若しくはその化合物の薬学的に許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型(水和物又は溶媒和物)、若しくは擬似結晶多型の混合物の治療上有効な量を、まず負荷量を投与し次いで維持量を投与することを含む。
【化1】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【背景技術】
【0002】
脳血管障害は、脳血液の供給を行う血管が閉塞する脳梗塞及び一過性脳虚血発作(これらは説明のために例示するのであって、これによって本発明の範囲又はその用途が限定されるものではないが)などに由来する脳循環不全によって生じることがある。血行不全によって血流が低下し、患部脳組織で酸素が欠乏して、脳虚血及びそれに伴う神経症状が引き起こされる。
【0003】
説明のために脳梗塞についてさらに言及すると、脳梗塞の治療法は一般に、1)虚血を取り除くこと、及び虚血による細胞障害の発症を阻害することを目的とする急性期における治療法、並びに2)脳梗塞の後遺症の治療を目的とする慢性期における治療法の2つの方法から選択される。本発明は、脳梗塞の急性期における治療法及び慢性期における治療法の両方法を意図したものである。
【0004】
血管の閉塞、脳循環不全及び虚血症候群に関係する疾患は含む。
脳梗塞及びその他の虚血性症候群は、細胞障害を引き起こす可能性がある。細胞障害に起因する疾患の例としては、神経心理症候及び身体的神経症候などの神経症候を伴う疾患が挙げられる。神経心理症候を伴う疾患の具体例としては、
1.意識症状(意識異常;無動無言症などの関連疾患)、
2.注意症状(急性錯乱状態;偏側無視などの関連疾患)、
3.記憶症状(エピソード記憶;健忘性症候群などの関連疾患)、
4.言語症状(失語症、失書症、失読症などの関連疾患)、機能症状(失行症などの関連疾患)、
5.認知症状(失認症などの関連疾患)、
6.知能症状(痴呆などの関連疾患)、並びに
7.例えば、情動、性格変化、幻覚、妄想などのその他の症状を伴う関連疾患
が挙げられる。
【0005】
身体的神経症候と関連疾患の具体例としては以下のものが挙げられる。
1.脳神経症候(例えば、眼症候、顔面痙攣及び関連障害、例えば、感覚障害);及び視神経症候(例えば、同名性半盲);眼症候(瞼裂の左右差(眼瞼下垂));眼位(共同偏視、斜偏視);眼球運動(水平、垂直);異常眼球運動(眼球浮き運動);眼振、瞳孔(大きさ、形);対光反射;
2.運動系症候(麻痺の有無、Barre兆候、Mingazzini試験、落下試験、Hoover兆候、筋トーヌス、顔面麻痺)
3.感覚系症候(例えば、感覚障害を伴うもの;左右差、感覚解離(温痛覚vs触覚、深部覚));
4.協調運動症候(例えば、失調症候(例えば、肢節運動失調、体幹運動失調)、運動転換、指鼻試験、膝踵試験、脛叩き試験);
5.反射症候(例えば、深部反射、病的反射(Babinski徴候及びChaddock徴候));
6.自立神経症候(例えば、尿閉、尿失禁、便秘、発汗障害)
7.起立・歩行症候(脳血管障害の超急性期には積極的には施行しない)(例えば、起立(両足又は片足)、hopping、歩行、継ぎ足歩行、Romberg徴候、しゃがみ試験);
8.髄膜刺激兆候症候(例えば、項部硬直、Kerning徴候)
9.硬直症候(例えば、除脳硬直、除皮質硬直)
【0006】
従って、本発明の式(I)の化合物は、脳血管障害をもたらす脳循環不全の原因の例示としての脳梗塞などに伴う神経症候の改善に有効である。さらに、本有効成分は、脳梗塞及び脳循環不全の他の原因に伴う予後の改善、及び日常生活動作障害及び/又は機能障害の改善に有効である。特に、本発明の式(I)の化合物は、脳梗塞の急性期に伴う神経症状、日常生活動作障害、機能障害、及び虚血性症候群に起因するその他の障害の改善に有効である。
【0007】
NIHストロークスケール(NIHSS)は、神経学的重症度を客観的かつ定量的に判定する目的で知られている。本発明の化合物を投与される可能性のある患者は、好ましくは、NIHストロークスケールによる判定(NIHストロークスケールによる判定に限定されるものではなく、説明のために例示するが)が22以下の患者である。
【0008】
NIHSS以外で、神経学的重症度を客観的かつ定量的に判定する既知の方法としては、カナディアンニューロロジカルスケール(CNS)、グラスゴーコーマスケール(GCS)、大脳半球ストロークスケール(hempispheric stroke scale)、Hunt & Hessスケール、Mathewストロークスケール、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Orgogozoストロークスケール、Oxfordshire Communityストトークプロジェクト分類(Bamford)、Scandinavianストロークスケール、ジャパンコーマスケール(JCS)及びジャパンストロークスケール(JSS)が挙げられる。これらの判定方法を用いて(これらに限定されないが)、患者の重症度を、NIH脳卒中スケールによる22以下の重症度に相当するスケールで判定してもよい。
【0009】
薬学的有効量の構造式(I)のピラゾロン化合物を含む本発明の医薬組成物の患者への投与経路は特に限定されない。本医薬組成物は、好ましくは非経口的に投与されるが、経口投与することもできる。本医薬組成物は、静脈内投与又は経皮投与することができるが、好ましくは静脈内投与である。
【0010】
なお、本発明の医薬組成物の有効成分である式(I)の上記化合物の安全性は高く (マウス腹腔内投与LD50 2012 mg/kg;ラット経口投与LD50 3,500mg/kg: Registry of Toxic Effects of Chemical Substances, 1981−1982) 、発癌性もないことが証明されている(National Cancer Institute Report,89,1978)。
【0011】
式(I)で表されるピラゾロン化合物は、脳機能正常化作用(特公平5−31523号公報)、過酸化脂質生成抑制作用(特公平5−35128号公報、例1の化合物)、抗潰瘍作用(特開平3−215425号公報)、及び血糖上昇抑制作用(特開平3−215426号公報)を有することが知られている。上記化合物は、2001年以来、脳保護剤(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」(登録商標):三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)として上市されている。
【0012】
厚生労働省が承認したエダラボンの効能・効果は「脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善」、用法・用量は、「通常、成人に1回1管(エダラボンとして30mg)を適当量の生理食塩液等で用時希釈し、30分かけて1日朝夕2回の点滴静注を行う。」である。従って、エダラボンは承認された用法・用量に従えば、脳梗塞に対して有効であることは周知の事実である。
【0013】
本発明者らは、健常男性ボランティアにラジカットを静脈内注射で投与したときの血漿中未変化体濃度推移についての報告を知っている(柴田久雄他、臨床薬理、29:863−876、1998)。さらに、ヒト以外の動物を用いてエダラボンの薬理評価を行った報告が多数存在する。しかしながら、本発明者らが知る限り、文献等で報告されているのは、静脈内ボーラス(bolus)投与、静脈内持続投与、経口投与(例えば、特開2004−91441号公報)、皮下ボーラス(bolus)投与、腹腔内ボーラス(bolus)投与を単独で行っている。本発明者らが知る限り、これらの投与形態を組み合わせて使用することを開示する報告はなく、特に、負荷量投与と維持量投与とを組み合わせて使用すること、例えば、静脈内ボーラス投与とそれに続く点滴による静脈内持続投与を組み合わせることを開示している報告はない。また、本発明者らの知る限りでは、このように組み合わせて投与した後の、未変化体の式(I)で表されるピラゾロン化合物の血漿中濃度プロファイルを示す報告はない。例えば、特公平5−31523号公報、特公平5−35128号公報、特開平3−215425号公報、特開平3−215426号公報、非特許文献(柴田久雄他、臨床薬理、29:863−876、1998)、及び特開2004−91441号公報を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特公平5−31523号公報
【特許文献2】特公平5−35128号公報
【特許文献3】特開平3−215425号公報
【特許文献4】特開平3−215426号公報
【特許文献5】特開2004−91441号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Registry of Toxic Effects of Chemical Substances, 1981−1982
【非特許文献2】National Cancer Institute Report,89,1978
【非特許文献3】柴田久雄他、臨床薬理、29:863−876、1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らは、有効成分としての本発明の化合物、すなわちピラゾロン化合物を医薬品市場の要求に応え、脳梗塞に関連する疾患の治療に有用なように改善された有効成分として提供することを見出した。
【0017】
本発明者らは、式(I)のピラゾロン化合物の投与量を調節し、未変化体の血漿中濃度又はその化合物の未変化体血漿中濃度を一定時間所定の濃度で実質的に一定に維持させた場合、本化合物の脳梗塞を伴う疾患の治療効果療を改善できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
即ち、本発明は、以下に記載する脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法に関するものである。
【0019】
1. 脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくはその擬似結晶多型の混合物を投与することを含む方法であり、迅速に前記化合物の未変化体血漿中濃度を治療上有効な濃度に到達させ、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に継続して治療上有効な濃度に維持させるように、その投与量が制御される方法。
【化2】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【0020】
2. 投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内となるように、また、維持量投与開始後最長約120時間の間、血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持されるように、投与量が制御される第1項に記載の方法。
3. 負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内となるように前記化合物が負荷量投与され、さらに維持量投与開始後最長約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持されるように前記化合物が維持量投与される第1項に記載の方法。
【0021】
4. 前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が、最初の投与完了後約3分〜約5分以内に5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように、そして前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が維持量投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように、投与量が制御される第1項に記載の方法。
5. 負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように前記化合物が負荷量投与され、さらに前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が維持量投与開始後約0.5時間〜約120時間、約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように前記化合物が維持量投与される第1項に記載の方法。
【0022】
6. 治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度が、静脈内ボーラス投与によって迅速に到達され、さらに治療上有効な血漿中濃度が、点滴静注によって所望の期間、所望の濃度範囲に実質的に継続して維持される第1項に記載の方法。
7. 脳循環不全が、脳梗塞及び一過性脳虚血発作を含む虚血に関係している第1項に記載の方法。
【0023】
8. 虚血に関係した脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくは擬似結晶多型の混合物の負荷量と維持量を投与することを含む方法であり、さらに
(i) 迅速に、すなわち負荷量の投与完了後約3分〜5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に到達するか、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に到達するように化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、
(ii) 維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に約60ng/ml〜約3200ng/mlに維持するか、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を実質的に約5ng/ml〜約260ng/mlに維持するように化合物の維持量を点滴静注で投与する方法。
【化3】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【0024】
9. 負荷量投与完了後約3分〜約5分以内の未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の未変化体血漿中濃度の範囲が、約180ng/ml〜約430ng/ml、約180ng/ml〜約800ng/ml、約180ng/ml〜約930ng/ml、約180ng/ml〜約1240ng/ml、及び約180ng/ml〜約1600ng/mlからなる群から選択される、第8項に記載の方法。
10. 負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に到達される非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、第8項に記載の方法。
【0025】
11. 負荷量投与完了後約3分〜約5分以内の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、第8項に記載の方法。
12. 維持量投与開始後約120時間の所望の持続時間が、約120時間以内;約72時間以内;約24時間以内、又は約12時間以内;約3時間以内;約1時間以内;及び0.5時間以内からなる群から選択される第8項に記載の方法。
【0026】
13. 脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に対し、治療上有効量の式(I)で表される化合物又はその化合物の製薬上許容される塩を投与することを含む方法であり、さらに、迅速に前記化合物の未変化体血漿中濃度を治療上有効な濃度に到達させ、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に継続して治療上有効な濃度に維持させるようにその投与量を制御し、さらに、迅速に治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度に到達させるための投与量が、患者の体重1kg当たり約0.025〜約1.3mg、患者の体重1kg当たり約0.075〜約0.5mg、患者の体重1kg当たり約0.1〜約0.3mg、患者の体重1kg当たり約0.15〜約1.0mg及び患者の体重1kg当たり約0.25〜約0.75mgからなる群から選択され、治療上有効な血漿中濃度を維持させるための投与量が、約0.5時間、約1時間、約2.75時間及び約72時間からなる群から選択される期間、患者の体重1kg当たり約0.05〜約2.5mg/時を投与する方法。
【化4】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【0027】
14. 脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に、治療上有効量の式(I)で表される化合物又はその化合物の製薬上許容される塩を投与することを含む方法であり、
(i) 迅速に、すなわち負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度を約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に到達させるために静脈内ボーラス投与により前記化合物の負荷量を投与し、
(ii) 維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を実質的に約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に維持させるために点滴静注により、前記化合物の維持量を投与し、
さらに、迅速に治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度を達成させるための投与量が、患者の体重1kg当たり約0.025〜約1.3mg、患者の体重1kg当たり約0.075〜約0.5mg、患者の体重1kg当たり約0.1〜約0.3mg、患者の体重1kg当たり約0.15〜約1.0mg及び患者の体重1kg当たり約0.25〜約0.75mgからなる群から選択され、約0.5時間、約1時間、約2.75時間及び約72時間からなる群から選択される期間、治療上有効な血漿中濃度を維持するために患者の体重1kg当たり約0.05〜約2.5mg/時を投与する方法。
【化5】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【0028】
15. 式(I)で表される化合物が3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンである、第1、8、13又は14項に記載の方法。
16. 脳血管障害の治療が急性脳梗塞に関連している、第1、8、13又は14項に記載の方法。
【0029】
17. 急性脳梗塞に関連する脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に、治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくは擬似結晶多型の混合物を負荷量投与し、次いで維持量投与することを含む方法であり、式(I)で表される化合物が3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンであり、
(i)前記化合物の未変化体血漿中濃度を負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に到達させるために前記化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、前記化合物の未変化体血漿中濃度を維持量投与開始後最長約120時間の間約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持するために、前記化合物の維持量を点滴静注投与するか、又は
(ii)前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内になるように前記化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内になるように前記化合物の維持量を点滴静注投与する方法。
【化6】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【0030】
18. 負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内の前記化合物の未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の未変化体血漿中濃度の範囲が約180ng/ml〜約430ng/ml、約180ng/ml〜約800ng/ml、約180ng/ml〜約930ng/ml、約180ng/ml〜約1240ng/ml、及び約180ng/ml〜約1600ng/mlからなる群から選択される、第17項に記載の方法。
19. 負荷量の投与完了後約3分〜5分以内に到達される前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、第17項に記載の方法。
20. 負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内の前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、第17項に記載の方法。
【0031】
21. 維持量投与開始後最長で約120時間という所望の持続時間が、約120時間以内;約72時間以内;約24時間以内、又は約12時間以内;約3時間以内;約1時間以内;及び0.5時間以内からなる群から選択される第17項に記載の方法。
22. 脳血管障害の治療が、神経症候の改善、又は予後の改善、又は日常生活動作障害の改善及び/若しくは作業不能状態の改善、又はそれらの改善の組み合わせである第1、8、13、14又は17項に記載の方法。
23. 治療を必要としている患者が、NIHストロークスケールによる判定で22以下とされた患者であるか、又は他の方法でNIHストロークスケールによる判定で22以下とされる重症度に相当する神経学的重症度と判定された患者である第1、8、13、14又は17項に記載の方法。
【0032】
24. 第1、8、13、14又は17項に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
25. 第1、8、13、14又は17項に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を組み合わせることによって調製される医薬組成物。
26. 第1、8、13、14又は17項に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を組み合わせることを含む、医薬組成物の調製方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、ラット中大脳動脈閉塞再灌流モデルにおける抗脳浮腫作用の検討(実施例1)の結果を示す。
【図2】図2−aは、ラットの未変化体血漿中濃度の測定結果(実施例2)を示す。図2−bは、図2−aの注射持続投与群及びボーラス投与+注射持続投与群から得た、ラットの未変化体血漿中濃度を示す。(縦軸の目盛が図2−aの場合と異なっていることに注意)
【図3】図3−aは、ラットの未変化体血漿中濃度の測定結果から算出した、ヒトの未変化体血漿中濃度を示す。図3−bは、図3−aの注射持続投与群及びボーラス投与+注射持続群から得た、ヒトの未変化体血漿中濃度を示す。(縦軸の目盛が図3−aの場合と異なっていることに注意)
【図4】図4は、実施例3−1におけるラットの用量反応性試験結果を示す。
【図5】図5は、実施例3−2におけるサルの用量反応性試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一般に、薬剤は、患者に投与されると代謝されて種々の代謝物となる。本発明者らが言う「未変化体」とは、化合物が実質的に代謝されていない(すなわち、投与された化合物と同じ物である)ことを意味する。本発明者らが言う「非結合型未変化体血漿中濃度」とは、タンパクと結合していない未変化体の化合物の血漿中濃度を意味している。以下に示すように、本発明に従って患者に投与される本発明の化合物は、血漿中に未変化体か代謝物として存在し得る。
【0035】
【表1】

【0036】
未変化体では、化合物は非結合型又はタンパク結合型で存在し得る。一般に、未変化体の血漿中濃度とは、非結合型血漿中濃度とタンパク結合型血漿中濃度の合計濃度である。薬学的に活性があるのは非結合型(結合していない状態)である。タンパク結合率は化合物によって異なるため、本発明者らは、本発明化合物の非結合型未変化体血漿中濃度に基づき、投与量と血漿中濃度の相関を表現することとした。他の公表されているデータは、総血漿中濃度が使用されている。
【0037】
本発明によれば、本発明の式(I)で表される化合物を含む有効成分は、負荷量及び続いて維持量が投与される。本発明者らが言う「負荷量」とは、迅速に血漿中の有効濃度に到達するために最初に投与される量のことを言う。本発明者らが言う「維持量」とは、治療上有効量の化合物の血漿中の有効濃度を所望の期間実質的に維持するのに十分な、実質的に継続して投与される量のことを言う。負荷量投与の1つの例はボーラス投与であり、好ましくは静脈内ボーラス投与である。本発明者らが言う「ボーラス投与」とは、迅速に所望の血漿中濃度に達成することが可能な投与経路を意味する。好ましくは、負荷量の投与は約5分以内に、より好ましくは約3分以内に終了する。維持量投与の例としては、点滴、経口投与、皮下投与及び経皮投与が挙げられるが、これに限定されるものではない。維持量投与の好ましい実施形態は、点滴静注である。
【0038】
脳梗塞及びその他の脳循環不全に関連する疾患の治療用薬剤の本発明における好ましい形態を以下に述べる。有効成分として使われる本発明の化合物は、その未変化体の血漿中濃度が負荷量投与完了後約3分以内に約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内となるように、またその後、その範囲の濃度が所望の期間維持されるように投与されることが望ましい。最も好ましい実施形態においては、負荷量投与完了後約3分以内の未変化体の血漿中濃度、及びその後実質的に維持される血漿中濃度が約180ng/ml〜約430ng/mlの範囲である。本発明のその他の実施形態においては、負荷量投与完了後約3分以内の望ましい濃度範囲は、例えば約180ng/ml〜約800ng/ml、約180ng/ml〜約930ng/ml、約180ng/ml〜約1240ng/ml、又は約180ng/ml〜約1600ng/mlである。
【0039】
未変化体血漿中濃度を、非結合型未変化体血漿中濃度で表す場合は、その有効成分は、未変化体のその血漿中濃度が負荷量投与完了後約3分以内に約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように投与されることが望ましい。最も好ましい実施形態では、約15ng/ml〜約35ng/mlの範囲内である。その他の実施形態では、その範囲は、例えば約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、又は約15ng/ml〜約130ng/mlである。
【0040】
本発明の別の実施形態では、負荷量投与完了後約3分以内の維持量投与において、未変化体血漿中濃度又は非結合型未変化体血漿中濃度が、好ましい実施形態及びその他の実施形態に関して先に述べた負荷量投与時の濃度範囲内に実質的に維持される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態においては、負荷量投与完了後約3分以内に、未変化体血漿中濃度又は非結合型未変化体血漿中濃度が、負荷量投与開始後約120時間の時間内、先に述べた濃度範囲内に実質的に維持される。その他の実施形態においては、望ましい維持期間は、約72時間以内、約24時間以内、約12時間以内、約3時間以内、好ましくは約1時間以内、又は0.5時間以内である。
【0042】
本発明者らは、非結合型未変化体血漿中濃度を、約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲に収まるように定義した。5ng/ml未満の濃度でラットの脳梗塞モデルにおいて有効成分としての効果が発揮される、という十分なデータを本発明者らは得ていないが、本発明は5ng/ml未満の濃度でも有効である可能性がある。
【0043】
非結合型未変化体の血漿中濃度が約260ng/mlを上回ると、その有効成分がサルにとって有毒となる可能性がある。しかし、約260ng/mlを上回っても、本発明は、その他の実施形態において、例えば(本発明の範囲をこれに限定するものではないが)、本発明の化合物と別の成分との組合せを含む医薬組成物などにおいて有効である可能性、また有用である可能性がある。
【0044】
脳梗塞の治療及び関連する脳循環不全の原因を治療するための本発明のその他の実施形態を、前記したように投与することができる。
【0045】
脳梗塞などの症候群に関連する疾患を治療するための本発明による医薬組成物のその他の実施形態を以下に述べる。有効成分は、初期量として患者の体重1kg当たり約0.025〜約1.3mg、好ましくは患者の体重1kg当たり約0.05〜約0.8mg、より好ましくは患者の体重1kg当たり約0.075〜約0.5mg、さらに好ましくは患者の体重1kg当たり約0.1〜約0.3mgを投与することができる。このときの投与は、静脈内ボーラス投与が好ましい。静脈内ボーラス投与の開始後は、有効成分を、患者の体重1kg当たり約0.05〜約2.5mg/時間、好ましくは患者の体重1kg当たり約0.125〜約2.0mg/時間、より好ましくは患者の体重1kg当たり約0.15〜約1.0mg/時間、さらに好ましくは患者の体重1kg当たり約0.25〜約0.75mg/時間の用量で投与することが望ましい。
【0046】
また好ましくは、このときの投与は静脈内持続投与であることが好ましい。静脈内持続投与による投与の持続時間は、約0.5時間、好ましくは約1時間、より好ましくは約2.75時間、さらに好ましくは約3時間、さらに好ましくは約12時間、さらに好ましくは約24時間、さらに好ましくは約72時間、さらに好ましくは約120時間投与を持続すればよい。
【0047】
本発明において有効成分である本発明の式(I)のピラゾロン化合物は、所望の方法により製造することができる。好ましい製造方法の例としては特公平5−35128号公報に記載されている。
【0048】
フリー体の式(I)のピラゾロン誘導体が本発明における有効成分として用いられる。あるいは、水和物若しくは溶媒和物などの所望の擬似結晶多型、若しくはそれらの組み合わせ、又は式(I)のピラゾロン誘導体若しくはその擬似結晶多型の生理的に許容される塩、若しくはそれらの組み合わせを用いることもできる。
【0049】
ピラゾロン誘導体は、特公平5−31523号公報第5欄上段の化学構造式に示されるような互変異性体(下式(I')又は(I''))を包含する。
【0050】
【化7】

【0051】
本発明による有効成分はこれら全ての異性体を包含する。前記式(I)において、R1の定義におけるアリールとしては、フェニル、並びにメチル、ブチル、メトキシ、ブトキシ、塩素原子及び水酸基等の置換基で置換されたフェニル等が挙げられる。
【0052】
1、R2及びR3の定義における炭素数1〜5のアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル等が挙げられる。
【0053】
1の定義における総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルとしては、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルプロピル等が挙げられる。
【0054】
2の定義におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−メトキシフェノキシ、p−クロロフェノキシ、p−ヒドロキシフェノキシ等が挙げられ、アリールメルカプトとしては、フェニルメルカプト、p−メチルフェニルメルカプト、p−メトキシフェニルメルカプト、p−クロロフェニルメルカプト、p−ヒドロキシフェニルメルカプト等が挙げられる。
【0055】
1及びR2の定義における炭素数3〜5のアルキレンとしては、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチルトリメチレン、エチルトリメチレン、ジメチルトリメチレン、メチルテトラメチレン等が挙げられる。
【0056】
2及びR3の定義における炭素数1〜3のヒドロキシアルキルとしては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。R3の定義における炭素数5〜7のシクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0057】
3の定義において、フェニルの置換基における炭素数1〜5のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等が挙げられ、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニルとしては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキルメルカプトとしては、メチルメルカプト、エチルメルカプト、プロピルメルカプト等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルアミノとしては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ等が挙げられ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノとしては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ等が挙げられる。
【0058】
本発明で用いる一般式(I)の化合物の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(4−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(4−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)安息香酸、
1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ニトロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−フェニル−3−プロピル−2−ピラゾリン−5−オン、
1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−フェニル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
4−イソブチル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
4−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オ
ン、
3−メチル−4−フェノキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−4−フェニルメルカプト−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
2,3a,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−2−フェニルインダゾール−3−オン、
3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−エチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(2−ヒドロキエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(α−ナフチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(3,4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−アミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−メチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(アセトアミドフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、
1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン
【0060】
式(I)のピラゾロン化合物の製薬上許容される塩としては、酸付加塩又は塩基付加塩を用いることができる。例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、若しくはリン酸塩などの鉱酸塩;メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、若しくはフマル酸塩などの有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、若しくはマグネシウム塩などの金属塩;アンモニウム塩;又は、エタノールアミン若しくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどの有機アミン塩などを用いることができる。本発明の式(I)のピラゾロン化合物を使用するために薬学的に許容される塩であれば全て、特に限定されることなく、本発明の範囲内において使用することができる。
【0061】
本発明医薬の有効成分として、上記したような式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩、又は擬似結晶多型又は他の物理的形態の1種又は2種以上をそのまま患者に投与してもよいが、好ましくは、有効成分と薬理学的及び製薬上許容しうる添加物を加え、当業者に周知な形態の製剤とすることができる。
【0062】
薬理学的及び製薬上許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等を挙げることができる。非経口投与に適する製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、貼付剤又は坐剤などを挙げることができる。好ましい例としては貼付剤又は注射剤を挙げることができる。さらに好ましい例として注射剤を挙げることができる。
【0063】
経口投与に適する製剤には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
【0064】
注射あるいは点滴用に適する製剤には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の各種の製剤用添加物を用いることができる。
【実施例】
【0065】
本発明の具体例を以下の実施例及び試験例において記載するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0066】
合成例1:1−フェニル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン(エダラボン)の合成
エタノール50ml中にアセト酢酸エチル13.0g及びフェニルヒドラジン10.8gを加え、3時間還流攪拌した。反応液を放冷後、析出した結晶をろ取し、エタノールより再結晶して、表題の化合物11.3gを無色結晶として得た。
収率 67%
融点 127.5〜128.5℃。
【0067】
実施例1:投与:ラット中大脳動脈閉塞再灌流モデルにおける抗脳浮腫作用
8〜9週齢のウィスター(Wistar)ラット(220〜260g)をハロタン吸入にて麻酔導入後、仰臥位に固定し、体温を37℃付近に維持しつつ、1%ハロタン(麻酔背景;笑気:酸素=7:3)吸入にて麻酔を継続した。持続(infusion)投与群、及びボーラス+持続投与群には、カテーテルを鼠頸部静脈内に留置した。 右総頸動脈、外頸動脈及び内頸動脈を露出し、中大脳動脈を閉塞するため総頸動脈及び外頸動脈を結紮し、4号のナイロン糸(栓子)を総頸動脈より挿入し、中大脳動脈を閉塞した。中大脳動脈閉塞3時間後に栓子を総頸動脈から抜き、中大脳動脈の血流を再開させ、投与を表3に示す通り開始した。再灌流3時間後に断頭・脳摘した。左右の大脳皮質を分離した後、湿重量を測定した。130℃で24時間乾燥させた後、乾燥重量を測定した。水分含量比率を(湿重量(g)−乾燥重量(g))/湿重量(g)×100に従い算出した。群構成とそれぞれの投与量を以下の表3に示した。なお、対照群以外の薬物投与群には、薬物としてエダラボンを用いて、表3に従って投与した。
【0068】
【表2】

【0069】
図1に結果を示した。図1から明らかなように、全ての投与群において虚血負荷したラット大脳皮質の水分含量比率が増えていた。水分含有比率は対照群が最も上昇していた。次いでボーラス(bolus)投与群、持続投与群がほぼ同じ程度で、ボーラス(bolus)+持続投与群の上昇率が最も低かった。対照群以外の薬物投与群における薬物の総投与量は、ボーラス(bolus)投与群が3mg/kg、持続投与群も同じく3mg/kg(1mg/kg/hr×3hr)なのに対し、ボーラス(bolus)+持続投与群は2.95mg/kg(0.2mg/kg+1mg/kg/hr×2.75hr)である。このことから、ボーラス(bolus)+持続投与群は、薬物の投与量が全ての群の中で一番少ないにも関わらず、水分含有率が最も低いことが明らかとなった。
【0070】
実施例2:ラットにおける未変化体の化合物の血漿中濃度の測定
8〜9週齢のウィスター(Wistar)ラット(230〜250g)をボーラス投与群、持続投与群、及びボーラス+持続投与群の3群に分けた。市販されているラジカット(登録商標)注30mg(エダラボン30mg/20ml)を用いて、30mgを実施例1の表3に従い静脈内投与した。各群について、投与開始後3分、30分、1時間及び2.75時間の時点でエーテル麻酔下採血した。採血したサンプル中の未変化体の化合物の血漿中濃度をLC−MS/MS法で測定した。測定条件を表4に示し、測定結果を図2−a及び図2−bに示した。
【0071】
【表3】

【0072】
さらに、エダラボンの活性本体が未変化体であること(薬理と治療 Vol.25 supplement 1997, pp209-211)、一般に活性本体であっても血中に存在するタンパクと結合すると薬効を発現しないことから、ラットにおける未変化体の血漿中濃度の測定結果から、非結合型未変化体の血漿中濃度を算出し、この値から、ヒトの未変化体の血漿中濃度を算出した。この結果を図3−a及び図3−bに示す。なお、ラット及びヒトの血清蛋白とエダラボンとの結合率は、薬理と治療 Vol.25 supplement 1997, pp245-254に従って、ラット85.8%、ヒト91.9%を用いた。すなわち、ヒトの未変化体の血漿中濃度は、以下の式に従って求めた。
ヒトの未変化体の血漿中濃度=ラットの未変化体の血漿中濃度×(1−0.858)/(1−0.919)
【0073】
実施例3−1:ラットを用いた用量反応性試験
7〜8週齢のCrj:CD(SD)系雄ラット(190〜250g)をイソフルランで麻酔し、体温を37℃前後に保った状態で仰臥位に固定した。薬剤投与用のカテーテルを頚静脈に設置した。右総頚動脈、外頚動脈及び内頚動脈を露出し、中大脳動脈を閉塞するために総頚動脈と外頚動脈を結さくした。外頚動脈及び内頚動脈の枝から、シリコーン被覆ナイロン4縫合材(栓子)を挿入して中大脳動脈を閉塞した。中大脳動脈閉塞から2時間後に、栓子を取り出して中大脳動脈の潅流を再開し、次いで表5に示すように投与を開始した。再潅流から24時間後に断頭及び脳の外科的除去を実施した。厚さ2mmの脳切片5枚(ブレグマ部、ブレグマ部の前後2mm、及びブレグマ部の前後4mmから)を用意した。各脳切片を1w/v%塩化2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムで染色し、梗塞域を測定して梗塞体積を算出した。
【0074】
群構成及び用量を下記表5に示す。生理食塩水のみを投与した対照群以外の薬剤投与群では、薬剤としてエダラボンを使用し、表5に示すように投与した。
【0075】
【表4】

【0076】
結果を図4に示す。生理食塩水のみを投与した対照群と比較すると、エダラボン投与群における梗塞体積は小さく、エダラボン0.1mg/kg + 0.5mg/kg/hr投与群においては、梗塞域が著しく減少した(p<0.05)。
【0077】
実施例3−2:サルを用いた用量反応性試験
カニクイザル(croo monkey)(3〜5年齢)にペントバルビタールによる吸入麻酔をし、体温を37℃前後に維持した。左内頚動脈の枝周囲の中大脳動脈を露出し、電気凝固法により閉塞した。次いで、表6に示すように投与を開始した。閉塞から28時間後(投与直後)に、過剰量のペントバルビタール投与による強度の麻酔下全脳を摘出し、前頭から厚さ4mmの冠状脳切片10枚を切り出した。各脳切片を1w/v%塩化2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムで染色し、梗塞域を測定して梗塞体積を算出した。
【0078】
群構成及び用量を下記表6に示す。溶媒群以外の薬剤投与群では、薬剤としてエダラボンを使用し、表6に示すように投与した。
【0079】
【表5】

【0080】
結果を図5に示す。溶媒のみを投与した対照群と比較すると、エダラボン投与群における梗塞体積は小さかった。
【0081】
実施例4:用量シミュレーション
実施例2のボーラス投与+注射持続投与群の結果から、ラジカット(登録商標)を使用したこの用量での未変化体血漿中濃度は163.7〜174.7ng/mlである。ラットにおけるタンパク結合率(85.8%)を考慮すると、非結合型未変化体血漿中濃度は23.3〜24.8ng/mlと算出される。ラットの非結合型未変化体血漿中濃度と同じレベルにあると思われるヒトの未変化体血漿中濃度(タンパク結合率91.9%)は287.7〜306.2ng/mlであり、サルの未変化体血漿中濃度(タンパク結合率87.4%)は184.9〜196.8ng/mlである。このようなヒト及びサルの血漿中未変化体血漿中濃度となるような負荷量(負荷量投与に要する時間は0分とする)及び維持量は、薬物動態パラメータ(分布容積、速度定数)から推定される。薬物動態パラメータ計算、及び負荷量投与後の維持量投与における未変化体血漿中濃度のシミュレーションは薬物動態解析ソフトWinNonlin ver.4.0(Pharsight Corporation)を使って実施した。
【0082】
サルのデータに関しては、健常なサルに対してエダラボンを2mg/kgボーラス投与し、2mg/kg/2hr注射投与した場合における未変化体血漿中濃度から、薬物動態パラメータを得た。2mg/kgボーラス投与した場合の薬物動態パラメータを使って、負荷量0.1mg/kg投与時の未変化体血漿中濃度をシミュレーションした(A)。次に、2mg/kg/2hr注射持続投与した場合の薬物動態パラメータを使って、維持量0.5mg/kg/hr投与時の未変化体血漿中濃度をシミュレーションした(B)。(A)と(B)を合計し、未変化体の前記化合物の血漿中濃度は、約220ng/mlと推定される。
【0083】
ヒトに関しては、健常な成人に対してエダラボンを1.5mg/kg/40min及び1.8mg/kg/6hr注射持続投与した場合の未変化体血漿中濃度から、薬物動態パラメータを得た。1.5mg/kg/40min注射持続投与した場合の薬物動態パラメータを使って、負荷量0.1mg/kg投与時の未変化体血漿中濃度をシミュレーションした(C)。次に、1.8mg/kg/6hr注射持続投与した場合の薬物動態パラメータを使って、維持量0.25mg/kg投与時の未変化体の前記化合物の血漿中濃度をシミュレーションした(D)。(C)と(D)を合計し、未変化体の前記化合物の血漿中濃度は約318ng/mlと推定される。
【0084】
試験例1:ヒトでの臨床試験
まず、健常人に対してエダラボンを投与し、エダラボンとその主要代謝物のエンドキネティックス及び安全性を解析する。この段階で、用量を適宜コントロールして、意図する未変化体血漿中濃度を得る。この段階で得られるデータを参考にして、次の段階で採用すべき用量を検討する(ステップ1)。次いで、急性期の脳梗塞患者に対するエダラボンの安全性を調べる(ステップ2)。ステップ1及びステップ2において、用量及び投与期間を段階的に増大する。ステップ1及びステップ2の試験で得られる情報データを参考にして、幾つかの用量を選択し、それぞれの有効性及び安全性について比較試験を行う。これに基づき、次のステップで検討すべき用量が明確に確定される(ステップ3)。最後に、前ステップで明確に確定された用量の有効性を検討する(ステップ4)。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法として有用である。
本発明を具体的な実施形態に関して詳細に述べてきたが、それらに対して、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更及び修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本願は、2004年8月10日に出願された日本国特許願2004-233635号に基づくものであり、その全内容を参照によって本明細書の一部として援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくは擬似結晶多形の混合物を投与することを含む方法であり、迅速に前記化合物の未変化体血漿中濃度を治療上有効な濃度に到達させ、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に継続して治療上有効な濃度に維持させるようにその投与量が制御される方法。
【化1】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【請求項2】
投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内となるように、また、維持量投与開始後最長約120時間の間、血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持されるように、投与量が制御される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内となるように前記化合物が負荷量投与され、さらに維持量投与開始後最長約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持されるように前記化合物が維持量投与される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が、最初の投与完了後約3分〜約5分以内に5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように、そして前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が維持量投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように、投与量が制御される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように前記化合物が負荷量投与され、さらに前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が維持量投与開始後約0.5時間〜約120時間、約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内となるように前記化合物が維持量投与される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度が、静脈内ボーラス投与によって迅速に到達され、さらに治療上有効な血漿中濃度が、点滴静注によって所望の期間、所望の濃度範囲に実質的に継続して維持される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脳循環不全が脳梗塞及び一過性脳虚血発作を含む虚血に関係している請求項1に記載の方法。
【請求項8】
虚血に関係した脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくは擬似結晶多型の混合物の負荷量と維持量を投与することを含む方法であり、さらに
(i) 迅速に、すなわち負荷量の投与完了後約3分〜5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度が約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に到達するか、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に到達するように化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、
(ii) 維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に約60ng/ml〜約3200ng/mlに維持するか、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を実質的に約5ng/ml〜約260ng/mlに維持するように化合物の維持量を点滴静注で投与する方法。
【化2】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル又はフェニル、若しくは炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【請求項9】
負荷量投与完了後約3分〜約5分以内の未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の未変化体血漿中濃度の範囲が、約180ng/ml〜約430ng/ml、約180ng/ml〜約800ng/ml、約180ng/ml〜約930ng/ml、約180ng/ml〜約1240ng/ml、及び約180ng/ml〜約1600ng/mlからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
負荷量投与完了後約3分〜約5分以内に到達される非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
負荷量投与完了後約3分〜約5分以内の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び維持される所望の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
維持量投与開始後約120時間の所望の持続時間が、約120時間以内;約72時間以内;約24時間以内、又は約12時間以内;約3時間以内;約1時間以内;及び0.5時間以内からなる群から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項13】
脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に対し、治療上有効量の式(I)で表される化合物又はその化合物の製薬上許容される塩を投与することを含む方法であり、さらに、迅速に前記化合物の未変化体血漿中濃度を治療上有効な濃度に到達させ、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に継続して治療上有効な濃度に維持させるようにその投与量を制御し、さらに、迅速に治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度に到達させるための投与量が、患者の体重1kg当たり約0.025〜約1.3mg、患者の体重1kg当たり約0.075〜約0.5mg、患者の体重1kg当たり約0.1〜約0.3mg、患者の体重1kg当たり約0.15〜約1.0mg及び患者の体重1kg当たり約0.25〜約0.75mgからなる群から選択され、治療上有効な血漿中濃度を維持させるための投与量が、約0.5時間、約1時間、約2.75時間及び約72時間からなる群から選択される期間、患者の体重1kg当たり約0.05〜約2.5mg/時を投与する方法。
【化3】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【請求項14】
脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に、治療上有効量の式(I)で表される化合物又はその化合物の製薬上許容される塩を投与することを含む方法であり、
(i) 迅速に、すなわち負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に、前記化合物の未変化体血漿中濃度を約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に到達させるために静脈内ボーラス投与により前記化合物の負荷量を投与し、
(ii) 維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の未変化体血漿中濃度を実質的に約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内、又は前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度を実質的に約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内に維持させるために点滴静注により、前記化合物の維持量を投与し、
さらに、迅速に治療上有効な前記化合物の未変化体血漿中濃度を達成させるための投与量が、患者の体重1kg当たり約0.025〜約1.3mg、患者の体重1kg当たり約0.075〜約0.5mg、患者の体重1kg当たり約0.1〜約0.3mg、患者の体重1kg当たり約0.15〜約1.0mg及び患者の体重1kg当たり約0.25〜約0.75mgからなる群から選択され、約0.5時間、約1時間、約2.75時間及び約72時間からなる群から選択される期間、治療上有効な血漿中濃度を維持するために患者の体重1kg当たり約0.05〜約2.5mg/時を投与する方法。
【化4】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【請求項15】
式(I)で表される化合物が3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンである、請求項1、8、13又は14に記載の方法。
【請求項16】
脳血管障害の治療が急性脳梗塞に関連している、請求項1、8、13又は14に記載の方法。
【請求項17】
急性脳梗塞に関連する脳循環不全に関連する脳血管障害の治療方法であって、その治療を必要としている患者に、治療上有効量の式(I)で表される化合物、若しくはその化合物の製薬上許容される塩、又はそれらの擬似結晶多型、若しくは擬似結晶多型の混合物を負荷量投与し、次いで維持量投与することを含む方法であり、式(I)で表される化合物が3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンであり、
(i)前記化合物の未変化体血漿中濃度を負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に到達させるために前記化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、前記化合物の未変化体血漿中濃度を維持量投与開始後最長約120時間の間約60ng/ml〜約3200ng/mlの範囲内に維持するために、前記化合物の維持量を点滴静注投与するか、又は
(ii)前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内に約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内になるように前記化合物の負荷量を静脈内ボーラス投与し、維持量の投与開始後約0.5時間〜約120時間の間、前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度が約5ng/ml〜約260ng/mlの範囲内になるように前記化合物の維持量を点滴静注投与する方法。
【化5】

(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル若しくはフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)
【請求項18】
負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内の前記化合物の未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の未変化体血漿中濃度の範囲が約180ng/ml〜約430ng/ml、約180ng/ml〜約800ng/ml、約180ng/ml〜約930ng/ml、約180ng/ml〜約1240ng/ml、及び約180ng/ml〜約1600ng/mlからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
負荷量の投与完了後約3分〜5分以内に到達される前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
負荷量の投与完了後約3分〜約5分以内の前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲、及び所望の維持すべき前記化合物の非結合型未変化体血漿中濃度の範囲が、約15ng/ml〜約35ng/ml、約15ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約65ng/ml、約15ng/ml〜約75ng/ml、約15ng/ml〜約100ng/ml、及び約15ng/ml〜約130ng/mlからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
維持量投与開始後最長で約120時間という所望の持続時間が、約120時間以内;約72時間以内;約24時間以内、又は約12時間以内;約3時間以内;約1時間以内;及び0.5時間以内からなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項22】
脳血管障害の治療が、神経症候の改善、又は予後の改善、又は日常生活動作障害の改善及び/若しくは作業不能状態の改善、又はそれらの改善の組み合わせである請求項1、8、13、14又は17に記載の方法。
【請求項23】
治療を必要としている患者が、NIHストロークスケールによる判定で22以下とされた患者であるか、又は他の方法でNIHストロークスケールによる判定で22以下とされる重症度に相当する神経学的重症度と判定された患者である請求項1、8、13、14又は17に記載の方法。
【請求項24】
請求項1、8、13、14又は17に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項25】
請求項1、8、13、14又は17に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を組み合わせることによって調製される医薬組成物。
【請求項26】
請求項1、8、13、14又は17に記載した化合物、及び製薬上許容される担体を組み合わせることを含む、医薬組成物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−184263(P2012−184263A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148294(P2012−148294)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2007−508663(P2007−508663)の分割
【原出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】