脳状態サポート装置及びプログラム
【課題】脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはでき、かつ、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できるようにサポートすることができる脳状態サポート装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】脳状態サポート装置1は、刺激付与具2と、光検出具3と、光検出具3によって検出された光情報に基いて総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量とを算出する算出部13と、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、算出部13によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードにあるか否かを判定する判定部14と、判定部14によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、刺激付与具2によって人体のツボの部位に刺激する刺激量を調整する刺激調整部15とを有する。
【解決手段】脳状態サポート装置1は、刺激付与具2と、光検出具3と、光検出具3によって検出された光情報に基いて総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量とを算出する算出部13と、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、算出部13によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードにあるか否かを判定する判定部14と、判定部14によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、刺激付与具2によって人体のツボの部位に刺激する刺激量を調整する刺激調整部15とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の脳状態をサポートするための脳状態サポート装置及びプログラムに関し、特に、近赤外分光法(NIRS, near-infrared spectroscopy)を利用して脳状態をリラックスモード、集中モードに維持したり、他の状態に移行できるようにサポートするための脳状態サポート装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳状態をリラックス状態にしたり、集中力をアップした状態にするために、例えばマッサージやハリを行ったり、睡眠をとること等が行われていた(以下、この技術を従来例1という)。
【0003】
また、特許文献1には、被験者に評価対象となる外的刺激を与える前から外的刺激を与えた後にわたり、近赤外分光法を用いて、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの濃度変化等を測定し、その後、上記外的刺激が与えられている時の主観的な快適度を聴取し、測定値と主観的な快適度とから外的刺激の人体への適正を評価する方法が開示されている。ここで近赤外分光法とは、微弱な近赤外線(例えば680〜1300ナノメートル)を頭皮上から頭蓋骨を隔てて脳に照射し、頭蓋骨のすぐ内側の脳表(大脳皮質)における血液中の酸化型ヘモグロビン(Oxy-Hb;HbO2)の濃度変化量、還元型ヘモグロビン(Deoxy-Hb;Hb)の濃度変化量を計測する方法をいう(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】特開2002−177282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例1では、マッサージ、ハリ、睡眠によって、実際に脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることができないという課題があった。
【0005】
また、マッサージやハリを受けた後、緊張したり、別なことをするとすぐその効果は消えてしまい持続させることができないという課題があった。
【0006】
さらに、ハリでは、体に傷をつけて治療することになるため、初心者にとって抵抗がある場合があった。
【0007】
従来例2では、実際に脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはできるが、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できるようにサポートすることはできないという課題があった。
【0008】
また、脳の酸素消費を判断するための酸素交換指標を用いていないので、脳状態を正確に判定することは困難である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはでき、かつ、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できるようにサポートすることができる脳状態サポート装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の脳状態サポート装置は、
人体のツボの部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与手段と、
人体の所定部位に光を照射する発光部と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部とを備えた光検出手段と、
前記刺激付与手段及び光検出手段を制御する装置本体とを有し、
前記装置本体は、前記光検出手段によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出手段と、前記刺激付与手段によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、前記算出手段によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて前記人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、前記刺激付与手段によって前記人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整手段とを有する、
ことを特徴とするものである。
【0011】
前記刺激付与手段によって刺激される人体のツボの部位は、例えば左拇指対象部である。
【0012】
前記光検出手段によって検出される部位は、例えば脳の前頭葉である。
【0013】
前記判定手段は、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ前記酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ前記酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定してもよい。
【0014】
前記刺激調整手段は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で所定間隔刺激するものでもよい。
【0015】
前記第1の周波数は例えば3Hzであり、前記第2の周波数は例えば10Hzである。
【0016】
前記刺激調整手段は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整してもよい。
【0017】
本発明のプログラムは前記脳状態サポート装置の装置本体の処理を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)マッサージ、ハリ、睡眠等を行うことなく、自分で望む脳の状態を簡単かつ短時間に作り出すことができる。
【0019】
(2)脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはでき、かつ、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できる。例えば、疲れていて、雑念が多いときとか、イライラして雑念が多いときとか、集中ができないときに、本発明を用いて脳状態を集中モードにすると、相対的に集中力が増す脳の状態が実現することができる。
【0020】
また、仕事を行わなければならない時に、本発明によりリラックスモードにあると判定された場合、集中モードに強制的に移行させることができ、逆に、集中モードからリラックスモードに移行させることもできる。
【0021】
さらに、集中力がアップしている状態を引き延ばしたり、リラックス状態を長くしたりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は刺激付与具を示す正面図、(B)は刺激付与具を拇指に取り付けた状態を示す説明図、(C)は刺激付与具の他の例を示す正面図、(D)は刺激付与具の他の例を拇指に取り付けた状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】(A)−(C)は光検出具の設置を説明するための説明図である。
【図5】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図6】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図7】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図8】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図9】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図10】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時及び鍼抜去後での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図11】右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図12】(A)は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図13】本発明の実施形態例に係るプログラムを示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1は、人体のツボの部位(例えば左拇指対象部)に設置され、その部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与具2と、人体の所定部位(例えば脳の前頭葉)に設置され、その所定部位に光を照射する発光部3a(発光素子)と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部3b(受光素子)とを備えた光検出具3と、装置本体4とを有する。
【0025】
図2(A)は刺激付与具2を示す正面図、(B)は刺激付与具具2を拇指に取り付けた状態を示す説明図、(C)は刺激付与具2の他の例を示す正面図、(D)は刺激付与具2の他の例を拇指に取り付けた状態を示す説明図である。
【0026】
図2(A)及び(B)に示すように、刺激付与具2は、人体のツボの部位に当接され、その部位を所定の周波数の電気信号で刺激するための一対の刺激部2aと、刺激部2aを保持し、指等に着脱可能に取り付けられるバンド部2bとを有する。
【0027】
一対の刺激部2aは、例えば指の場合には3−10mm程度の間隔があり、図2(B)に示すように、刺激対象部位Sを挟むように設置される。刺激部2aの間隔は人体のツボの部位に応じて適宜設定される。
バンド部2bの両端部には例えば面ファスナー2c(マジックテープ(登録商標))が取り付けられており、バンド部2bを指等に巻きつけた後、面ファスナー2c同士を接着させることにより、刺激付与具2を指等に固定して設置することができる。
なお、図2(C)及び(D)に示すように、ハンド部2bの縦幅を広くして、一対の刺激部2aを斜め方向に間隔を隔てて配置してもよい。
【0028】
光検出具3は、例えば人体の所定部位に取り付けられる装着帯を備え、その装着帯に1又は2以上の発光部3a及び受光部3bが所定間隔を隔てて配置されている。
【0029】
装置本体4は、刺激付与具2及び光検出具3の動作を制御するとともに、各種データの入出力、演算、記憶を行うものであり、入力部5と、出力部6と、通信部7と、記憶部8と、制御部9とを有する。
【0030】
入力部5は、各種データを入力するものであり、例えばキーボード、テンキー、マウス、マークシート読取機、OCR(光学式文字読取機)等である。
【0031】
出力部6は、各種データを出力するものであり、各種データを表示するモニタ、ディスプレイ等の表示部10、音声データを出力するスピーカー11、各種データを印刷するプリンタ等の印刷部12を有する。
【0032】
通信部7は、インターネット(TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によるデータ転送網)やLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークと接続するための各種データの送受信を行うものであり、例えば、モデム、ターミナルアダプタ、ルータ、DSU(Digital Service Unit)等である。
【0033】
記憶部8は、各種データを記憶するものであり、データベースを備えている。
【0034】
制御部9は、光検出具3によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出部13と、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、算出部13によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定部14と、判定部14によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整部15とを有する。
【0035】
判定部14は、人体のツボの部位に第1の周波数(例えば3Hz)の電気信号で刺激することによって、総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、人体のツボの部位に第2の周波数(例えば10Hz)の電気信号で刺激することによって、総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定する。
【0036】
刺激調整部15は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、人体のツボの部位に第1の周波数(例えば3Hz)の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、人体のツボの部位に第2の周波数(例えば10Hz)の電気信号で所定間隔刺激する。
【0037】
刺激調整部15は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整する。
【0038】
なお、刺激するための電気信号の周波数の数値は例示であり、これに限定されるものではない。
【0039】
図3は本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、人体のツボの部位(例えば左拇指対象部)に刺激付与具2を設置する(ステップS1)。
【0041】
次いで、光検出具3を人体の所定部位(例えば脳の前頭葉)に設置する(ステップS2)。
【0042】
次いで、脳状態を判定するための準備を行う(ステップS3)。
【0043】
このステップS3では、3Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚がかすかに感じる最低刺激強度を決め、3Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚が痛みを感じる最高刺激強度を決め、3Hz刺激の中間50%刺激強度を次式で算出する。
3Hz刺激の中間50%刺激強度の算出=(最低刺激強度+最高刺激強度)/2
【0044】
また、10Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚がかすかに感じる最低刺激強度を決め、10Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚が痛みを感じる最高刺激強度を決め、10Hz刺激の中間50%刺激強度を次式で算出する。
10Hz刺激の中間50%刺激強度の算出=(最低刺激強度+最高刺激強度)/2
【0045】
最大刺激強度は、電気刺激の電圧、電流の値を設定して行う。
【0046】
次いで、判定部14により脳状態を判定する(ステップS4)。ここで、左拇指対象部へ3Hzの刺激で得られる脳反応をリラックスモード(Rモード)と定義し、このモードの時には頭脳がリラックスして落ち着いている状態にある。また、10Hzの刺激で得られる脳反応を集中モード(Bモード)と定義し、このモードにある時には頭脳が働いて、集中力や理解力が増し、学習等に適する状態にある。
【0047】
このステップS4では、左拇指対象部へ前述のステップS2で決定された中間刺激強度3Hzの刺激を30秒刺激―30秒休み―30秒刺激―30秒休みのパターンで刺激を付与する。
【0048】
30秒刺激後、反応がなければ、すでに強いRモードにあると判定する。
【0049】
Rモード反応なら、Rモードの低いレベルかBモード、中間モードと判定する。
【0050】
また、左拇指対象部へ前述のステップS2で決定された中間刺激強度10Hzの刺激を30秒刺激―30秒休み―30秒刺激―30秒休みのパターンで刺激を付与する。
【0051】
30秒刺激後、反応がなければ、すでに強いBモードにあると判定する。
【0052】
Bモード反応なら、Bモードの低いレベルかRモード、中間モードと判定する。
【0053】
判定結果は、モニタ、ディスプレイ等の表示部10に表示されたり、スピーカー11により音声出力される。また、判定結果を印刷部12により印刷したり、通信部7によってネットワークを介してデータ送信を行うこともできる。
【0054】
次いで、刺激調整部15におり刺激量の調整が行われる(ステップS5)。
【0055】
このステップS5では、1)判定部14によりBモードと判定された場合に、Rモードに移行するように調整する場合、2)判定部14によりRモードと判定された場合に、Rモードに維持するように調整する場合、3)判定部14によりBモードと判定された場合に、Bモードに維持するように調整する場合、4)判定部14によりRモードと判定された場合に、Bモードに移行するように調整する場合がある。
上記の場合のいずれかの選択は入力部5を介して行うことができ、各場合の調整は例えば以下のように行われる。
【0056】
1)B→R(移行)の場合
ステップS3で決められた3Hz刺激の値の50%の刺激量を60秒加え、30秒休息し、さらに、75%の刺激量を60秒加え、30秒休息する。Rモードに移行しなければさらに、100%の刺激量を60秒加える。
このように刺激量をグレードアップしてRモードへの移行を推進させる。
【0057】
2)R→R(維持)の場合
ステップS3で決められた3Hz刺激の値の25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、さらに、25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、25%の刺激量を30秒加える。
このように同じ刺激を断続的に加えてRモードを維持する。
【0058】
3)B→B(維持)
ステップS3で決められた10Hz刺激の値の25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、さらに、25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、25%の刺激量を30秒加える。
このように同じ刺激を断続的に加えてBモードを維持する
【0059】
4)R→B(移行)
ステップS3で決められた10Hz刺激の値の50%の刺激量を60秒加え、30秒休息、さらに、75%の刺激量を60秒加え、30秒休息する。Bモードに移行しなければさらに、100%の刺激量を60秒加える。
【0060】
このように刺激グレードアップしてBモードへの移行を推進させる。
【0061】
なお、上記の刺激量の調整は一例であり、これに限定されるものではない。
【0062】
次に、本発明に係る脳状態サポート装置1が有用であることを立証するために、本発明者らの行った実験について説明する。
【0063】
この実験において、大脳皮質のHb濃度の検出及び記録は、近赤外分光測定装置(島津製作所製:FOIRE 3000)を用いて行われた。
【0064】
ヘモグロビンのサンプリングは70msであった。
【0065】
記録したヘモグロビンは、酸化型ヘモグロビン(oxy-Hb), 脱酸化(還元型)ヘモグロビン(deoxy-Hb)であった。
【0066】
この値の変化量から、総ヘモグロビン濃度変化量(total-Hb:オキシとデオキシの総和)と酸素濃度変化量(ScO2)を以下の計算式で算出して、脳のCOE反応の指標とした。
総ヘモグロビン(濃度)変化量 [Total hemoglobin]
= [Oxyhemoglobin]+ [Deoxyhemoglobin]
酸素交換(濃度)変化量(本発明者の一人である加藤が発見した脳機能指標)[ScO2]
= [Oxyhemoglobin]- [Deoxyhemoglobin]
特に重要な機能指標は、ScO2の減少=酸素消費であり、低酸素化した部位が特に重要である。
【0067】
総ヘモグロビン変化量は、照射と検出プローブに挟まれた光計測領域のボクセルにおける赤血球の数の変動を表し、増加すれば、赤血球が増え、減少すれば赤血球が減ることを示す。
【0068】
酸素交換変化量は、毛細血管内の酸素濃度変化を示し、増加すれば、血管内に酸素が増え、減少すれば血管内の酸素が減ったことを意味する。血管内に酸素か増える意味は、動脈から酸素を含んだ赤血球が供給されたことを示す。血管内の低酸素の意味は、神経細胞が酸素を消費したために、毛細血管内の酸素が消費されたことを示す。
【0069】
実験結果は、波形表示とマッピング表示の2種類を用いている。波形表示は時系列変化を示し、マッピング表示は、課題時間の積分値プロットしたものである。
【0070】
図4(A)−(C)は光検出具3の設置を説明するための説明図である。光検出具3は、高密度プローブ配列で配置され、図4(A)に示すブロードマンズエリア10番(前頭葉)をカバーするように配置される。
【0071】
光検出具3の発光部3a及び受光部3bは図4(B)に示すような間隔で配置され、図4(C)に示すように3つの発光部3aと3つの受光部3bを右脳から左脳に沿って配置し、24ch−28chの計5箇所の測定点における総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を計測した。
【0072】
図5は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与
した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は30秒である。
【0073】
図6(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激 を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0074】
図5及び図6からわかるように、3Hzの電気刺激では、広範囲で総ヘモグロビン変化量の増加及び酸素交換変化量の増加のダイナミックな変化が観察された。特に、前頭葉ではこの変化が顕著に認められた。
【0075】
図7は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は30秒である。
【0076】
図8(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0077】
図7及び図8からわかるように、10Hzの電気刺激では、広範囲で総ヘモグロビン変化量の減少及び酸素交換変化量の減少のダイナミックな変化が観察された。
【0078】
このように左拇指対象部に3Hzと10Hzの電気信号をそれぞれ付与した場合、前頭葉での酸素代謝が正反対の結果となり、10Hzでは低酸素化が起こり、3Hzでは血流増加と高酸素化が起こった。
【0079】
また、電気刺激の周波数に依存して前頭葉が敏感に変化し、認知機能に影響を与えることを示唆している。
【0080】
次に、本発明と比較するための参考として鍼刺激を行った時の実験について説明する。
図9は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は180秒である。
【0081】
図10(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時及び鍼抜去後での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0082】
図9及び図10からわかるように、鍼刺激では、回旋を始めてから30〜45秒は、総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量がともに増加しているが、その後は持続的に減少しており、これが鍼の主効果だと考えられる。
【0083】
また、3Hzよりも10Hzのほうが鍼刺激に近い状態を生ずることについて再現性が認められた。
【0084】
図11は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は180秒である。
【0085】
図12(A)は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0086】
図11及び図12からわかるように、鍼の回旋刺激によって痛みが強くなると前頭葉の一部で、高酸素化、血流低下に転じたが、左拇指への刺激による脳反応とは明らかに違うものであった。
【0087】
図13は本発明の実施形態例に係るプログラムを示すブロック図である。
【0088】
図13に示すように、本発明の実施形態例に係るプログラム16は、本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の装置本体4を制御し、上記説明された装置本体4の行う処理をコンピュータに実行させるものである。
【0089】
このプログラム16は、磁気ディスク、CD−ROM、半導体メモリ等の記録媒体に記録されていてもよく、通信ネットワークを介してダウンロードされるものでもよい。
【0090】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば装置本体4として、専用の装置の代わりにパーソナルコンピュータや情報端末機器等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の脳状態サポート装置1及びプログラム16は、近赤外分光法(NIRS)を利用して脳状態をリラックスモード、集中モードに維持したり、他の状態に移行できるようにサポートするために用いられる。
【符号の説明】
【0092】
1:脳状態サポート装置
2:刺激付与具
2a:刺激部
2b:バンド部
2c:面ファスナー
3:光検出具
3a:発光部
3b:受光部
4:装置本体
5:入力部
6:出力部
7:通信部
8:記憶部
9:制御部
10:表示部
11:スピーカー
12:印刷部
13:算出部
14:判定部
15:刺激調整部
16:プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の脳状態をサポートするための脳状態サポート装置及びプログラムに関し、特に、近赤外分光法(NIRS, near-infrared spectroscopy)を利用して脳状態をリラックスモード、集中モードに維持したり、他の状態に移行できるようにサポートするための脳状態サポート装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳状態をリラックス状態にしたり、集中力をアップした状態にするために、例えばマッサージやハリを行ったり、睡眠をとること等が行われていた(以下、この技術を従来例1という)。
【0003】
また、特許文献1には、被験者に評価対象となる外的刺激を与える前から外的刺激を与えた後にわたり、近赤外分光法を用いて、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの濃度変化等を測定し、その後、上記外的刺激が与えられている時の主観的な快適度を聴取し、測定値と主観的な快適度とから外的刺激の人体への適正を評価する方法が開示されている。ここで近赤外分光法とは、微弱な近赤外線(例えば680〜1300ナノメートル)を頭皮上から頭蓋骨を隔てて脳に照射し、頭蓋骨のすぐ内側の脳表(大脳皮質)における血液中の酸化型ヘモグロビン(Oxy-Hb;HbO2)の濃度変化量、還元型ヘモグロビン(Deoxy-Hb;Hb)の濃度変化量を計測する方法をいう(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】特開2002−177282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例1では、マッサージ、ハリ、睡眠によって、実際に脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることができないという課題があった。
【0005】
また、マッサージやハリを受けた後、緊張したり、別なことをするとすぐその効果は消えてしまい持続させることができないという課題があった。
【0006】
さらに、ハリでは、体に傷をつけて治療することになるため、初心者にとって抵抗がある場合があった。
【0007】
従来例2では、実際に脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはできるが、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できるようにサポートすることはできないという課題があった。
【0008】
また、脳の酸素消費を判断するための酸素交換指標を用いていないので、脳状態を正確に判定することは困難である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはでき、かつ、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できるようにサポートすることができる脳状態サポート装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の脳状態サポート装置は、
人体のツボの部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与手段と、
人体の所定部位に光を照射する発光部と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部とを備えた光検出手段と、
前記刺激付与手段及び光検出手段を制御する装置本体とを有し、
前記装置本体は、前記光検出手段によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出手段と、前記刺激付与手段によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、前記算出手段によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて前記人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、前記刺激付与手段によって前記人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整手段とを有する、
ことを特徴とするものである。
【0011】
前記刺激付与手段によって刺激される人体のツボの部位は、例えば左拇指対象部である。
【0012】
前記光検出手段によって検出される部位は、例えば脳の前頭葉である。
【0013】
前記判定手段は、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ前記酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ前記酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定してもよい。
【0014】
前記刺激調整手段は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で所定間隔刺激するものでもよい。
【0015】
前記第1の周波数は例えば3Hzであり、前記第2の周波数は例えば10Hzである。
【0016】
前記刺激調整手段は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整してもよい。
【0017】
本発明のプログラムは前記脳状態サポート装置の装置本体の処理を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)マッサージ、ハリ、睡眠等を行うことなく、自分で望む脳の状態を簡単かつ短時間に作り出すことができる。
【0019】
(2)脳状態がどのような状態にあるのかを客観的に知ることはでき、かつ、脳状態をそのままの状態に維持したり、他の状態に移行できる。例えば、疲れていて、雑念が多いときとか、イライラして雑念が多いときとか、集中ができないときに、本発明を用いて脳状態を集中モードにすると、相対的に集中力が増す脳の状態が実現することができる。
【0020】
また、仕事を行わなければならない時に、本発明によりリラックスモードにあると判定された場合、集中モードに強制的に移行させることができ、逆に、集中モードからリラックスモードに移行させることもできる。
【0021】
さらに、集中力がアップしている状態を引き延ばしたり、リラックス状態を長くしたりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は刺激付与具を示す正面図、(B)は刺激付与具を拇指に取り付けた状態を示す説明図、(C)は刺激付与具の他の例を示す正面図、(D)は刺激付与具の他の例を拇指に取り付けた状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】(A)−(C)は光検出具の設置を説明するための説明図である。
【図5】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図6】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図7】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図8】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図9】左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図10】(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時及び鍼抜去後での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図11】右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
【図12】(A)は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【図13】本発明の実施形態例に係るプログラムを示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1は、人体のツボの部位(例えば左拇指対象部)に設置され、その部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与具2と、人体の所定部位(例えば脳の前頭葉)に設置され、その所定部位に光を照射する発光部3a(発光素子)と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部3b(受光素子)とを備えた光検出具3と、装置本体4とを有する。
【0025】
図2(A)は刺激付与具2を示す正面図、(B)は刺激付与具具2を拇指に取り付けた状態を示す説明図、(C)は刺激付与具2の他の例を示す正面図、(D)は刺激付与具2の他の例を拇指に取り付けた状態を示す説明図である。
【0026】
図2(A)及び(B)に示すように、刺激付与具2は、人体のツボの部位に当接され、その部位を所定の周波数の電気信号で刺激するための一対の刺激部2aと、刺激部2aを保持し、指等に着脱可能に取り付けられるバンド部2bとを有する。
【0027】
一対の刺激部2aは、例えば指の場合には3−10mm程度の間隔があり、図2(B)に示すように、刺激対象部位Sを挟むように設置される。刺激部2aの間隔は人体のツボの部位に応じて適宜設定される。
バンド部2bの両端部には例えば面ファスナー2c(マジックテープ(登録商標))が取り付けられており、バンド部2bを指等に巻きつけた後、面ファスナー2c同士を接着させることにより、刺激付与具2を指等に固定して設置することができる。
なお、図2(C)及び(D)に示すように、ハンド部2bの縦幅を広くして、一対の刺激部2aを斜め方向に間隔を隔てて配置してもよい。
【0028】
光検出具3は、例えば人体の所定部位に取り付けられる装着帯を備え、その装着帯に1又は2以上の発光部3a及び受光部3bが所定間隔を隔てて配置されている。
【0029】
装置本体4は、刺激付与具2及び光検出具3の動作を制御するとともに、各種データの入出力、演算、記憶を行うものであり、入力部5と、出力部6と、通信部7と、記憶部8と、制御部9とを有する。
【0030】
入力部5は、各種データを入力するものであり、例えばキーボード、テンキー、マウス、マークシート読取機、OCR(光学式文字読取機)等である。
【0031】
出力部6は、各種データを出力するものであり、各種データを表示するモニタ、ディスプレイ等の表示部10、音声データを出力するスピーカー11、各種データを印刷するプリンタ等の印刷部12を有する。
【0032】
通信部7は、インターネット(TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によるデータ転送網)やLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークと接続するための各種データの送受信を行うものであり、例えば、モデム、ターミナルアダプタ、ルータ、DSU(Digital Service Unit)等である。
【0033】
記憶部8は、各種データを記憶するものであり、データベースを備えている。
【0034】
制御部9は、光検出具3によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出部13と、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、算出部13によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定部14と、判定部14によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、刺激付与具2によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整部15とを有する。
【0035】
判定部14は、人体のツボの部位に第1の周波数(例えば3Hz)の電気信号で刺激することによって、総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、人体のツボの部位に第2の周波数(例えば10Hz)の電気信号で刺激することによって、総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定する。
【0036】
刺激調整部15は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、人体のツボの部位に第1の周波数(例えば3Hz)の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、人体のツボの部位に第2の周波数(例えば10Hz)の電気信号で所定間隔刺激する。
【0037】
刺激調整部15は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整する。
【0038】
なお、刺激するための電気信号の周波数の数値は例示であり、これに限定されるものではない。
【0039】
図3は本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、人体のツボの部位(例えば左拇指対象部)に刺激付与具2を設置する(ステップS1)。
【0041】
次いで、光検出具3を人体の所定部位(例えば脳の前頭葉)に設置する(ステップS2)。
【0042】
次いで、脳状態を判定するための準備を行う(ステップS3)。
【0043】
このステップS3では、3Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚がかすかに感じる最低刺激強度を決め、3Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚が痛みを感じる最高刺激強度を決め、3Hz刺激の中間50%刺激強度を次式で算出する。
3Hz刺激の中間50%刺激強度の算出=(最低刺激強度+最高刺激強度)/2
【0044】
また、10Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚がかすかに感じる最低刺激強度を決め、10Hz刺激を5−10秒加えて、左拇指対象部の皮膚が痛みを感じる最高刺激強度を決め、10Hz刺激の中間50%刺激強度を次式で算出する。
10Hz刺激の中間50%刺激強度の算出=(最低刺激強度+最高刺激強度)/2
【0045】
最大刺激強度は、電気刺激の電圧、電流の値を設定して行う。
【0046】
次いで、判定部14により脳状態を判定する(ステップS4)。ここで、左拇指対象部へ3Hzの刺激で得られる脳反応をリラックスモード(Rモード)と定義し、このモードの時には頭脳がリラックスして落ち着いている状態にある。また、10Hzの刺激で得られる脳反応を集中モード(Bモード)と定義し、このモードにある時には頭脳が働いて、集中力や理解力が増し、学習等に適する状態にある。
【0047】
このステップS4では、左拇指対象部へ前述のステップS2で決定された中間刺激強度3Hzの刺激を30秒刺激―30秒休み―30秒刺激―30秒休みのパターンで刺激を付与する。
【0048】
30秒刺激後、反応がなければ、すでに強いRモードにあると判定する。
【0049】
Rモード反応なら、Rモードの低いレベルかBモード、中間モードと判定する。
【0050】
また、左拇指対象部へ前述のステップS2で決定された中間刺激強度10Hzの刺激を30秒刺激―30秒休み―30秒刺激―30秒休みのパターンで刺激を付与する。
【0051】
30秒刺激後、反応がなければ、すでに強いBモードにあると判定する。
【0052】
Bモード反応なら、Bモードの低いレベルかRモード、中間モードと判定する。
【0053】
判定結果は、モニタ、ディスプレイ等の表示部10に表示されたり、スピーカー11により音声出力される。また、判定結果を印刷部12により印刷したり、通信部7によってネットワークを介してデータ送信を行うこともできる。
【0054】
次いで、刺激調整部15におり刺激量の調整が行われる(ステップS5)。
【0055】
このステップS5では、1)判定部14によりBモードと判定された場合に、Rモードに移行するように調整する場合、2)判定部14によりRモードと判定された場合に、Rモードに維持するように調整する場合、3)判定部14によりBモードと判定された場合に、Bモードに維持するように調整する場合、4)判定部14によりRモードと判定された場合に、Bモードに移行するように調整する場合がある。
上記の場合のいずれかの選択は入力部5を介して行うことができ、各場合の調整は例えば以下のように行われる。
【0056】
1)B→R(移行)の場合
ステップS3で決められた3Hz刺激の値の50%の刺激量を60秒加え、30秒休息し、さらに、75%の刺激量を60秒加え、30秒休息する。Rモードに移行しなければさらに、100%の刺激量を60秒加える。
このように刺激量をグレードアップしてRモードへの移行を推進させる。
【0057】
2)R→R(維持)の場合
ステップS3で決められた3Hz刺激の値の25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、さらに、25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、25%の刺激量を30秒加える。
このように同じ刺激を断続的に加えてRモードを維持する。
【0058】
3)B→B(維持)
ステップS3で決められた10Hz刺激の値の25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、さらに、25%の刺激量を30秒加え、30秒休息、25%の刺激量を30秒加える。
このように同じ刺激を断続的に加えてBモードを維持する
【0059】
4)R→B(移行)
ステップS3で決められた10Hz刺激の値の50%の刺激量を60秒加え、30秒休息、さらに、75%の刺激量を60秒加え、30秒休息する。Bモードに移行しなければさらに、100%の刺激量を60秒加える。
【0060】
このように刺激グレードアップしてBモードへの移行を推進させる。
【0061】
なお、上記の刺激量の調整は一例であり、これに限定されるものではない。
【0062】
次に、本発明に係る脳状態サポート装置1が有用であることを立証するために、本発明者らの行った実験について説明する。
【0063】
この実験において、大脳皮質のHb濃度の検出及び記録は、近赤外分光測定装置(島津製作所製:FOIRE 3000)を用いて行われた。
【0064】
ヘモグロビンのサンプリングは70msであった。
【0065】
記録したヘモグロビンは、酸化型ヘモグロビン(oxy-Hb), 脱酸化(還元型)ヘモグロビン(deoxy-Hb)であった。
【0066】
この値の変化量から、総ヘモグロビン濃度変化量(total-Hb:オキシとデオキシの総和)と酸素濃度変化量(ScO2)を以下の計算式で算出して、脳のCOE反応の指標とした。
総ヘモグロビン(濃度)変化量 [Total hemoglobin]
= [Oxyhemoglobin]+ [Deoxyhemoglobin]
酸素交換(濃度)変化量(本発明者の一人である加藤が発見した脳機能指標)[ScO2]
= [Oxyhemoglobin]- [Deoxyhemoglobin]
特に重要な機能指標は、ScO2の減少=酸素消費であり、低酸素化した部位が特に重要である。
【0067】
総ヘモグロビン変化量は、照射と検出プローブに挟まれた光計測領域のボクセルにおける赤血球の数の変動を表し、増加すれば、赤血球が増え、減少すれば赤血球が減ることを示す。
【0068】
酸素交換変化量は、毛細血管内の酸素濃度変化を示し、増加すれば、血管内に酸素が増え、減少すれば血管内の酸素が減ったことを意味する。血管内に酸素か増える意味は、動脈から酸素を含んだ赤血球が供給されたことを示す。血管内の低酸素の意味は、神経細胞が酸素を消費したために、毛細血管内の酸素が消費されたことを示す。
【0069】
実験結果は、波形表示とマッピング表示の2種類を用いている。波形表示は時系列変化を示し、マッピング表示は、課題時間の積分値プロットしたものである。
【0070】
図4(A)−(C)は光検出具3の設置を説明するための説明図である。光検出具3は、高密度プローブ配列で配置され、図4(A)に示すブロードマンズエリア10番(前頭葉)をカバーするように配置される。
【0071】
光検出具3の発光部3a及び受光部3bは図4(B)に示すような間隔で配置され、図4(C)に示すように3つの発光部3aと3つの受光部3bを右脳から左脳に沿って配置し、24ch−28chの計5箇所の測定点における総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を計測した。
【0072】
図5は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激を付与
した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は30秒である。
【0073】
図6(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に3Hzの電気刺激 を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0074】
図5及び図6からわかるように、3Hzの電気刺激では、広範囲で総ヘモグロビン変化量の増加及び酸素交換変化量の増加のダイナミックな変化が観察された。特に、前頭葉ではこの変化が顕著に認められた。
【0075】
図7は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は30秒である。
【0076】
図8(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に10Hzの電気刺激を付与する前の安静時と付与した後の電気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0077】
図7及び図8からわかるように、10Hzの電気刺激では、広範囲で総ヘモグロビン変化量の減少及び酸素交換変化量の減少のダイナミックな変化が観察された。
【0078】
このように左拇指対象部に3Hzと10Hzの電気信号をそれぞれ付与した場合、前頭葉での酸素代謝が正反対の結果となり、10Hzでは低酸素化が起こり、3Hzでは血流増加と高酸素化が起こった。
【0079】
また、電気刺激の周波数に依存して前頭葉が敏感に変化し、認知機能に影響を与えることを示唆している。
【0080】
次に、本発明と比較するための参考として鍼刺激を行った時の実験について説明する。
図9は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。
ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は180秒である。
【0081】
図10(A)は左拇指第一関節と第二関節の間の手掌側の中心部付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時及び鍼抜去後での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0082】
図9及び図10からわかるように、鍼刺激では、回旋を始めてから30〜45秒は、総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量がともに増加しているが、その後は持続的に減少しており、これが鍼の主効果だと考えられる。
【0083】
また、3Hzよりも10Hzのほうが鍼刺激に近い状態を生ずることについて再現性が認められた。
【0084】
図11は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与した場合における前頭葉での総ヘモグロビン変化量と酸素交換変化量の変化を示すグラフである。ここで、横軸は時間(s)、縦軸は変化量(mol/l)であり、刺激時間は180秒である。
【0085】
図12(A)は右第4指第一関節から先端外側付近に鍼刺激を付与する前の安静時、針灸気刺激時での前頭葉での総ヘモグロビン変化量の変化を視覚的に表示した説明図、(B)は酸素交換変化量の変化を視覚的に表示した説明図である。
【0086】
図11及び図12からわかるように、鍼の回旋刺激によって痛みが強くなると前頭葉の一部で、高酸素化、血流低下に転じたが、左拇指への刺激による脳反応とは明らかに違うものであった。
【0087】
図13は本発明の実施形態例に係るプログラムを示すブロック図である。
【0088】
図13に示すように、本発明の実施形態例に係るプログラム16は、本発明の実施形態例に係る脳状態サポート装置1の装置本体4を制御し、上記説明された装置本体4の行う処理をコンピュータに実行させるものである。
【0089】
このプログラム16は、磁気ディスク、CD−ROM、半導体メモリ等の記録媒体に記録されていてもよく、通信ネットワークを介してダウンロードされるものでもよい。
【0090】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば装置本体4として、専用の装置の代わりにパーソナルコンピュータや情報端末機器等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の脳状態サポート装置1及びプログラム16は、近赤外分光法(NIRS)を利用して脳状態をリラックスモード、集中モードに維持したり、他の状態に移行できるようにサポートするために用いられる。
【符号の説明】
【0092】
1:脳状態サポート装置
2:刺激付与具
2a:刺激部
2b:バンド部
2c:面ファスナー
3:光検出具
3a:発光部
3b:受光部
4:装置本体
5:入力部
6:出力部
7:通信部
8:記憶部
9:制御部
10:表示部
11:スピーカー
12:印刷部
13:算出部
14:判定部
15:刺激調整部
16:プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体のツボの部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与手段と、
人体の所定部位に光を照射する発光部と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部とを備えた光検出手段と、
前記刺激付与手段及び光検出手段を制御する装置本体とを有し、
前記装置本体は、前記光検出手段によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出手段と、前記刺激付与手段によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、前記算出手段によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて前記人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、前記刺激付与手段によって前記人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整手段とを有する、
ことを特徴とする脳状態サポート装置。
【請求項2】
前記刺激付与手段によって刺激される人体のツボの部位は、左拇指対象部であることを特徴とする請求項1に記載の脳状態サポート装置。
【請求項3】
前記光検出手段によって検出される部位は、脳の前頭葉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳状態サポート装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ前記酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ前記酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項5】
前記刺激調整手段は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で所定間隔刺激することを特長とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項6】
前記第1の周波数は3Hzであり、前記第2の周波数は10Hzであることを特徴とする請求項4又は5に記載の脳状態サポート装置。
【請求項7】
前記刺激調整手段は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置の装置本体の処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
人体のツボの部位を所定の周波数の電気信号で刺激する刺激付与手段と、
人体の所定部位に光を照射する発光部と、人体内から出射する光を受光し検出する受光部とを備えた光検出手段と、
前記刺激付与手段及び光検出手段を制御する装置本体とを有し、
前記装置本体は、前記光検出手段によって検出された光情報に基いて、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量との和である総ヘモグロビン変化量と、酸化型ヘモグロビンの変化量と還元型ヘモグロビンの変化量の差である酸素交換変化量とを算出する算出手段と、前記刺激付与手段によって人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与することにより、前記算出手段によって算出された総ヘモグロビン変化量及び酸素交換変化量に基いて前記人体の脳状態がリラックスモード、集中モード及び中間モードのうちの少なくとも1つのモードにあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された脳状態のモードを維持し、又は他の脳状態のモードに移行するように、前記刺激付与手段によって前記人体のツボの部位に所定の周波数の電気信号で刺激を付与する刺激量を調整する刺激調整手段とを有する、
ことを特徴とする脳状態サポート装置。
【請求項2】
前記刺激付与手段によって刺激される人体のツボの部位は、左拇指対象部であることを特徴とする請求項1に記載の脳状態サポート装置。
【請求項3】
前記光検出手段によって検出される部位は、脳の前頭葉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳状態サポート装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が増加し、かつ前記酸素交換変化量が増加する場合には、脳状態がリラックスモードであると判定し、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で刺激することによって、前記総ヘモグロビン変化量が低下し、かつ前記酸素交換変化量が低下する場合には、脳状態が集中モードであると判定し、それ以外の場合には、中間モードであると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項5】
前記刺激調整手段は、脳状態をリラックスモードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第1の周波数の電気信号で所定間隔刺激し、脳状態を集中モードに維持し、又は移行する場合には、前記人体のツボの部位に第2の周波数の電気信号で所定間隔刺激することを特長とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項6】
前記第1の周波数は3Hzであり、前記第2の周波数は10Hzであることを特徴とする請求項4又は5に記載の脳状態サポート装置。
【請求項7】
前記刺激調整手段は、脳状態をそのままのモードに維持する場合よりも、他のモードに移行する場合の方が刺激量が多くなるように調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか1つの項に記載の脳状態サポート装置の装置本体の処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−75727(P2012−75727A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224421(P2010−224421)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【特許番号】特許第4897915号(P4897915)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(510263607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【特許番号】特許第4897915号(P4897915)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(510263607)
【Fターム(参考)】
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