説明

脳磁計の検査テーブル

【課題】被験者に貼り付けた脳磁計用マーカーの位置と脳波電極の位置を、被験者が寝た状態(仰臥位)で同時にデジタイズできる脳磁計の検査テーブルを実現する。
【解決手段】ヘッドレスト12を具備する脳磁計の検査テーブルにおいて、網目状のヘッドレスト12を具備したことを特徴とする脳磁計の検査テーブルである。網目ヘッドレスト12を使用することにより、後頭部の脳波電極の位置も、網目ヘッドレスト12の間からデジタイズ測定することが可能となるため、同じ状態でマーカーコイルの位置と後頭部の脳波電極の位置を同時にデジタイズ測定をすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳磁計の検査テーブルに関するものである。
更に詳述すれば、脳磁計の検査において、脳波の検査も容易な脳磁計の検査テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
図において、脳磁計の検査テーブル本体1には、人体の頭部Aを載せるヘッドレスト2が配置されている。ヘッドレスト2は、枕の形態をなし、後頭部を覆って塞いでいる。
【0003】
脳磁計を用いた検査(例えば、てんかん検査)では、同時に脳波の計測も行うことが多い。
また、計測された脳磁データ、及び脳波データはさまざまな解析用ソフトウエアに用いられる。この場合、脳磁計のセンサ位置情報、脳磁計用マーカー位置情報、及び脳波電極の位置情報も用いることとなる。
【0004】
その為、脳磁計と脳波計での同時検査時には脳磁計用マーカーの位置だけでなく脳波電極の位置をデジタイズして位置情報として取得する必要がある。
従来技術では、脳磁計用マーカーの位置と脳波電極の位置とを同時にデジタイズする場合には、椅子に座った状態(座位)で同時にデジタイズを行っている。
これは、寝た状態(仰臥位)だと、ヘッドレスト2が被験者の後頭部を覆っていて、被験者の後頭部に貼り付けた脳波電極を脳磁計用マーカーと同時にデジタイズできないためである。
【0005】
図4は、デジタイザ測定方法についての説明図である。
図において、トランスミッタ5は、人体の頭部Aに配置され、微弱な磁場を発生する。
トランスミッタ5は、測定基準となるもので、微弱な磁場を発生させてこのトランスミッタの位置を基準点(x,y,z)=(0,0,0)としている。
【0006】
測定ユニット6は、内臓レシーバにより、トランスミッタ5との相対的な位置情報の測定ができる。
ある測定点の測定は、トランスミッタ5基準での、測定点のx座標、y座標、z座標の値を取得できる。
【0007】
図5は、脳磁計で使用されるマーカーコイルの貼付け位置の説明図である。
マーカーコイル7は、図5のように、人体の頭部Aの額中心1点、額左右2点、及び左右耳の耳介前点2点の計5点の位置に貼り付けられる。
【0008】
図6は、脳波計で使用される脳波電極貼付け位置の説明図である。
脳波電極8は、図6のように、国際法10−20法、及び拡張10−20法で規定された位置に貼り付けられる。
この脳波電極8を貼り付けた状態で、脳磁計の検査ベッドに寝て脳波電極位置とマーカーコイル7を同時にデジタイズしている。
【0009】
しかしながら、図7に示す如く、従来の検査テーブルでは、後頭部を覆うヘッドレスト2があるため、後頭部の脳波電極8については、ヘッドレスト2の裏から測定することは不可能であるため、寝た同じ状態でマーカーコイル7の位置と頭部全ての脳波電極8の位置を同時に測定することは不可能である。
【0010】
また、後頭部の脳波電極8の位置をデジタイズ測定する場合には、被験者の頭部Aを左右に動かしてデジタイズ測定する必要があるが、この場合、固定しているトランスミッタ5が動いてしまう可能性もあり、高精度にデジタイズ同時測定ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−099324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような装置においては、以下の問題点がある。
図3従来技術では、被験者に貼り付けられた脳磁計用マーカーと脳波電極を同時にデジタイズする座位状態と、脳磁計測を行う仰臥位状態とではそれぞれ被験者の皮膚の弛みなどの状態が異なる為、測定誤差が大きくなりやすい。
解析用ソフトウエアで使用する場合の脳磁計用マーカー位置情報、及び脳波電極の位置情報もこの誤差を含んだものとなってしまう。
【0013】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、被験者に貼り付けた脳磁計用マーカーの位置と脳波電極の位置を、被験者が寝た状態(仰臥位)で同時にデジタイズできる脳磁計の検査テーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の脳磁計の検査テーブルにおいては、
ヘッドレストを具備する脳磁計の検査テーブルにおいて、網目状のヘッドレストを具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2の脳磁計の検査テーブルにおいては、請求項1記載の脳磁計の検査テーブルにおいて、
前記ヘッドレストは、平面状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
本発明の検査テーブルでは、網目ヘッドレストを使用することにより後頭部の脳波電極位置も網目ヘッドレストの間からデジタイズ測定することが可能となるため、同じ状態でマーカーコイル位置と後頭部の脳波電極位置を同時にデジタイズ測定をすることが可能となる。
【0017】
この場合、被験者の後頭部の脳波電極を測定するときに被験者の頭部を左右に動かす必要がなくなるので、固定しているトランスミッタが動いてしまうこともなく、高精度なデジタイズ測定が出来る脳磁計の検査テーブルが得られる。
【0018】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
ヘッドレストは、網目状で且つ平面状であるので、被験者の頭部にストレスをかけることなく寝た状態を長時間保つことができ、また、脳波電極位置を容易に確認出来、脳波電極位置を確実に安定して測定することができる脳磁計の検査テーブルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の動作説明図である。
【図3】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【図4】デジタイザ測定方法についての説明図である。
【図5】脳磁計で使用されるマーカーコイルの貼付け位置の説明図である。
【図6】脳波計で使用される脳波電極貼付け位置の説明図である。
【図7】図3の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
図2は図1の動作説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図において、図3と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図3との相違部分のみ説明する。
【0021】
図1において、脳磁計の検査テーブル本体11には、人体の頭部Aを載せる網目状のヘッドレスト12が配置されている。
この場合は、ヘッドレスト12は平面状で布状をなしている。
【0022】
以上の構成において、図2に示す如く、トランスミッタ5が人体の頭部Aに配置される。
測定ユニット6により、マーカーコイル7の位置、及び被験者頭部の脳波電極8の位置をデジタイズ測定する。
【0023】
この結果、本発明の脳磁計の検査テーブル本体11では、網目ヘッドレスト12を使用することにより、後頭部の脳波電極8の位置も、網目ヘッドレスト12の間からデジタイズ測定することが可能となるため、同じ状態でマーカーコイル7の位置と後頭部の脳波電極8の位置を同時にデジタイズ測定をすることが可能となる。
【0024】
この場合、被験者の後頭部の脳波電極8を測定するときに、被験者の頭部Aを左右に動かす必要がなくなるので、固定されているトランスミッタ5が動いてしまうこともなく、高精度なデジタイズ測定が出来る脳磁計の検査テーブルが得られる。
【0025】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0026】
1 脳磁計の検査テーブル本体
2 ヘッドレスト
5 トランスミッタ
6 測定ユニット
7 マーカーコイル
8 脳波電極
11 脳磁計の検査テーブル本体
12 ヘッドレスト
A 人体の頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストを具備する脳磁計の検査テーブルにおいて、
網目状のヘッドレスト
を具備したことを特徴とする脳磁計の検査テーブル。
【請求項2】
前記ヘッドレストは、平面状であること
を特徴とする請求項1記載の脳磁計の検査テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55514(P2012−55514A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202052(P2010−202052)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】