説明

腎不全におけるゲルソリンの診断的および治療的使用

本発明は、部分的に、腎不全対象(例えば透析を受けている慢性腎不全対象)を診断、モニタリングおよび処置するための、ゲルソリンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年1月25日に出願された米国仮出願第61/023,789号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、該出願の全内容を本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は、ゲルソリンの診断的および治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
慢性血液透析(HD)は、末期腎疾患(ESRD)の急性死亡率を劇的に低減した。しかし、HDを受ける慢性腎不全患者は、なお著しく早期に死亡する。この有害転帰は早期に現れ、死亡は、年齢が一致する対照集団においてよりもはるかに速く、透析を開始してから1年以内に訪れ、最も多い死因は、心血管イベントおよび急性感染症である1−3。慢性腎不全を有する患者は、びまん性組織損傷、慢性炎症、筋量の減少および低アルブミン血症、ならびに重篤な栄養障害の兆候を示し、この全てが有害転帰に強く関連づけられてきた4−8。これらの基礎症状の集合と早期の死亡との間の関係を媒介する病因は、ほとんど知られていない。したがって、早期死亡のリスクが高いESRDおよび/またはHD患者を容易に同定することができる新規のバイオマーカー、特に、治療の可能性と関連したバイオマーカーの検索は、この、さもなくば不運な集団の転帰を改善する上で、重要な臨床的影響を有し得る。
【発明の概要】
【0003】
発明の要旨
血漿ゲルソリン(pGSN)は、栄養状態、炎症および筋量に対して強い関連性を有し、かつ重要なことに、治療的有用性の可能性を有する、組織損傷の高感度マーカーである9−12。pGSNは、ヒト第9染色体上にコードされるタンパク質の細胞外バリアントであり、選択的mRNAスプライシングにより生じる細胞型(cellular)および分泌型(secreted)のアイソフォームを有する13。細胞型ゲルソリン(cGSN)は、その調節アクチンフィラメント結合機能を介する、広範に発現している細胞の形状変化および運動性のメディエーターである14。血漿ゲルソリンは、健常個体において250mg/Lの平均濃度で循環する豊富な血漿タンパク質である14。cGSNおよびpGSNは、pGSNがそのアミノ末端において25個のさらなるアミノ酸を含み、その分泌の原因となるプロセッシングされたシグナル配列を有することを除いて、一次構造においておよびin vitroでの生化学的機能に関して同一である13。多くの細胞種がpGSNを分泌するが、最も大きな身体器官としての横紋筋が殆どのpGSN産生の原因である。pGSNのアミノ酸配列は種間で高度に保存され、ヒト抗pGSN抗体は報告されていない15
【0004】
急性の組織損傷と関連する多様な状態は、pGSNの循環濃度の低下をもたらし、レベルの低下は損傷の程度に比例し、重度のpGSN低下は、死亡を含む有害転帰と関連している11、14、16−18。組織および内皮の損傷における膜の破壊に起因する細胞質アクチンの細胞外環境への露出は、pGSN枯渇の機構であり得るが19、20、pGSNの枯渇はまた、有害な合併症を媒介する可能性がある多様な循環炎症メディエーター(例えば、血小板活性化因子、リゾフォスファチジン酸、リポ多糖)の緩衝化からも起こり得る12、21
【0005】
本発明は、部分的に、慢性透析対象において基線血漿ゲルソリンレベルが低く、ゲルソリンレベルが、感染性の原因または心臓性の原因などからの死亡リスクに逆相関するという知見に基づく。したがって、本発明は、一側面において、腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるため、および治療の有効性をモニタリングするために、ゲルソリンを用いることを含む。本発明はまた、慢性透析対象において、血漿のアクチンレベルの上昇が死亡リスクと関連するという知見に基づく。したがって、本発明は、一側面において、腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるため、および治療の有効性をモニタリングするために、アクチンを用いることを含む。これらの知見の関連性の一つは、血漿ゲルソリンレベルおよび/またはアクチンレベルのモニタリングが、腎不全の管理戦略の一部となり得ることである。
【0006】
本発明の一側面によれば、腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法が提供される。本方法は、対象からのゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較すること、および、前記予め決定された値と比較したゲルソリンのレベルに基づいて前記対象の死亡リスクを特徴づけることを含む。予め決定された値より低いゲルソリンのレベルは、対象が高い死亡リスクを有することを示す。一部の態様において、予め決定された値は約190ナノグラム/マイクロリットル(ng/μl)血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。一部の態様において、ゲルソリンのより低いレベルは、対象がより高い死亡リスクを有することを示す。本方法は、対象からのゲルソリンのレベルを得ることをさらに含んでもよい。
【0007】
本発明の別の側面によれば、腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法が提供される。本方法は、対象からのアクチンのレベルを予め決定された値と比較すること、および、前記予め決定された値と比較したアクチンのレベルに基づいて前記対象の死亡リスクを特徴づけることを含む。予め決定された値より高いアクチンのレベルは、対象が高い死亡リスクを有することを示す。一部の態様において、予め決定された値は約0.01マイクログラム/ミリリットル(μg/ml)血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約0.1μg/ml血漿である。一部の態様において、アクチンのより高いレベルは、より高い死亡リスクと相関する。本方法は、対象からのアクチンのレベルを得ることをさらに含んでもよい。
【0008】
本発明のなお別の側面によれば、腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法が提供される。本方法は、対象からのゲルソリンのレベルを第1の予め決定された値と比較して第1のリスク値を確立すること、および、前記対象からのアクチンのレベルを第2の予め決定された値と比較して第2のリスク値を確立することを含む。対象の死亡リスクを、第1のリスク値と第2のリスク値との組合せに基づいて特徴づけ、ここで、第1のリスク値と第2のリスク値との組合せは、前記第1および第2のリスク値とは異なる第3のリスク値を確立する。一部の態様において、第1の予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、第1の予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、第1の予め決定された値は約120ng/μl血漿である。一部の態様において、第2の予め決定された値は約0.01μg/ml血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約0.1μg/ml血漿である。
【0009】
本方法は、対象からのゲルソリンのレベルを得ることをさらに含んでもよい。一部の態様において、本方法は、対象からのアクチンのレベルを得ることをさらに含んでもよい。
本発明のなお別の側面によれば、腎不全対象における治療の有効性を評価するための方法が提供される。本方法は、対象からのゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較すること、および前記ゲルソリンのレベルが前記予め決定された値と同じであるかまたはそれより高いかを決定することを含み、前記決定は治療が有効であることを示す。
【0010】
対象のゲルソリンのレベルを経時的にモニタリングするために、本方法の工程を繰り返してもよい。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
【0011】
本発明のなお別の側面によれば、腎不全対象を処置するための方法が提供される。本方法は、かかる処置を必要とする対象に、該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より上に上昇させるために、ゲルソリンの有効量を投与することを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
ゲルソリンは、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン(advillin)、ビリン、capG、フライトレスプロテイン(flightless protein)、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン(protovillin)、および/またはスーパービリン(supervillin)であってもよい。ゲルソリンは、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、または皮下投与してもよい。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、感染症を有するかまたは感染症を発症するリスクがある腎不全対象を処置するための方法が提供される。本方法は、ゲルソリンを、かかる処置を必要とする対象に、感染のリスクを低減するための有効量で投与することを含む。
【0013】
本発明のなお別の側面によれば、腎不全対象においてゲルソリンのレベルを上昇させるための処置の方法が提供される。本方法は、かかる処置を必要とする腎不全対象に、該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より上に上昇させることを目的として、ゲルソリンの有効量の投与を受けるよう指示することを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
ゲルソリンは、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンであってもよい。ゲルソリンは、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、または皮下投与してもよい。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、腎不全対象を、該対象においてゲルソリンのレベルを上昇させるために処置するための方法が提供される。本方法は、対象に、ゲルソリンを含むパッケージを提供すること、および該対象に、ゲルソリンが該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より上に上昇させるためのものであることを示す表示(indicia)を提供することを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
ゲルソリンは、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンであってもよい。ゲルソリンは、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、または皮下投与してもよい。
【0015】
本発明の別の側面によれば、医学的処置製品が提供される。製品は、ゲルソリンを含むパッケージと、前記ゲルソリンが腎不全対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より上に上昇させるためのものであることを示す表示とを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
ゲルソリンは、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンであってもよい。ゲルソリンは、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、または皮下投与してもよい。
【0016】
本発明のなお別の側面によれば、腎不全対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より上に上昇させるための医薬の製造におけるゲルソリンの使用が提供される。ゲルソリンは、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンであってもよい。ゲルソリンは、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、または皮下投与してもよい。
【0017】
本発明はまた、腎不全対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較すること、および、ゲルソリンのレベルが予め決定された値より低い場合に対象を高い死亡リスクを有するものとして同定することを含む方法を提供する。一部の態様において、本方法は、リスクについて対象に助言すること、処置、または医療ケアを含む。一部の態様において、処置はゲルソリンを含む。一部の態様において、本方法は、対象からゲルソリンのレベルを得ることを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
【0018】
別の側面によれば、本発明は、腎不全対象におけるアクチンのレベルを予め決定された値と比較すること、および、アクチンのレベルが予め決定された値より上である場合、対象を高い死亡リスクを有するものとして同定することを含む方法を提供する。一部の態様において、本方法は、リスクについて対象に助言すること、処置、または医療ケアを含む。一部の態様において、処置はゲルソリンを含む。一部の態様において、本方法は、対象からアクチンのレベルを得ることを含む。一部の態様において、予め決定された値は約0.01μg/ml血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約0.1μg/ml血漿である。
【0019】
なお別の側面によれば、本発明は、腎不全対象においてゲルソリンのレベルを検出するためのアッセイを行うことを含む方法を提供し、ここでアッセイは、対象における増大した死亡リスクを予測する予め決定された値を含む。一部の態様において、本方法は、リスクについて対象に助言すること、処置、または医療ケアを含む。一部の態様において、処置はゲルソリンを含む。一部の態様において、予め決定された値は約190ng/μl血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約150ng/μl血漿である。他の態様において、予め決定された値は約120ng/μl血漿である。
【0020】
さらに別の側面によれば、本発明は、腎不全対象においてアクチンのレベルを検出するためのアッセイを行うことを含む方法を提供し、ここでアッセイは、対象における増大した死亡リスクを予測する予め決定された値を含む。一部の態様において、方法は、リスクについて対象に助言すること、処置、または医療ケアを含む。一部の態様において、処置はゲルソリンを含む。一部の態様において、予め決定された値は約0.01μg/ml血漿である。一部の態様において、予め決定された値は約0.1μg/ml血漿である。
【0021】
以下の態様は、他に指示されない限り、本明細書において記載される本発明の多様な側面に適用する。
ゲルソリンまたはアクチンのレベルは、対象の体液中のものであり得る。体液の例として、血液、血漿、血清、尿、滑液、脳脊髄液または肺胞液が挙げられるがこれらに限定されない。一部の重要な態様において、体液は血漿である。
【0022】
一部の態様において、死亡は感染症により引き起こされる。感染症は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、抗酸菌、スピロヘータ、放線菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ウレアプラズマ属種、マイコプラズマ属種、クラミジア属種またはニューモシスチス属種により引き起こされ得る。
グラム陽性細菌の例として、パスツレラ属種、スタフィロコッカス属種、ストレプトコッカス属種、バチルス・アントラシス、コリネバクテリウム属種、ジフテロイド(Diphtheroids)種、リステリア属種、エリシペロスリクス属種およびクロストリジウム属種が挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
グラム陰性細菌の例として、ナイセリア属種、ブランハメラ属種、エシェリキア属種、エンテロバクター属種、プロテウス属種、シュードモナス属種、クレブシエラ属種、サルモネラ属種、シゲラ属種、セラチア属種、アシネトバクター属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、エルシニア属種、フランシセラ属種、パスツレラ属種、ビブリオ・コレラエ種、フラボバクテリウム属種、シュードモナス属種、カンピロバクター属種、バクテロイデス属種、フソバクテリウム属種、カリマトバクテリウム属種、ストレプトバチルス属種およびレジオネラ属種が挙げられるがこれらに限定されない。
抗酸菌は、マイコバクテリウム属種であり得る。スピロヘータは、トレポネーマ属種、ボレリア属種またはレプトスピラ属種であり得る。
【0024】
ウイルスの例として、レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水胞性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス(variola viruses)、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルスおよび未分類のウイルスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
真菌の例として、クリプトコッカス属種、ヒストプラズマ属種、コクシジオイデス属種、パラコクシジオイデス属種、ブラストミセス属種、クラミジア属種、カンジダ属種、スポロトリクス属種、アスペルギルス属種、およびムコール感染症の真菌が挙げられるがこれらに限定されない。
寄生虫の例として、プラスモジウム属種、トキソプラズマ属種、バベシア属種、リューシュマニア属種およびトリパノソーマ属種が挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
一部の態様において、死亡は、心血管イベントにより引き起こされる。心血管イベントは、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、卒中または突然死であり得る。
一部の態様において、対象は透析を受けている。透析は、血液透析または腹膜透析であり得る。一部の態様において、対象は末期腎疾患(ESRD)を有する。
【0027】
一部の態様において、対象は他に処置を必要とする兆候を有しない。ゲルソリンによる処置を必要とする徴候を有しない対象とは、ゲルソリンによる処置を必要とする兆候または症状を有しない対象である。ゲルソリンは、敗血症性ショックの処置に適用される。ゲルソリンはまた、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、劇症肝壊死、急性腎不全、筋損傷、BUNおよび/またはクレアチニンのレベルの上昇により特徴づけられる障害などの、アクチン関連疾患の処置に適用される。アクチン関連疾患は、当業者に公知である。
【0028】
一部の態様において、第1の予め決定された値は、複数の予め決定されたゲルソリンレベル範囲であってもよく、複数の範囲のうちの一つは、血漿1μl当たり約190ng未満であり、前記範囲の別のものは、血漿1μl当たり約190ngより高く、比較の工程は、前記対象のゲルソリンレベルが前記の複数の予め決定されたゲルソリンレベル範囲のうちのいずれに該当するかを決定することを含む。
【0029】
一部の態様において、第1の予め決定された値は、複数の予め決定されたゲルソリンレベル範囲であってもよく、複数の範囲のうちの一つは、血漿1μl当たり約150ng未満であり、前記範囲の別のものは、血漿1μl当たり約150ngより高く、比較の工程は、前記対象のゲルソリンレベルが前記の複数の予め決定されたゲルソリンレベル範囲のうちのいずれに該当するかを決定することを含む。一部の態様において、第1の予め決定された値は、複数の予め決定されたゲルソリンレベル範囲であってもよく、複数の範囲のうちの一つは、血漿1μl当たり約120ng未満であり、前記範囲の別のものは、血漿1μl当たり約120ngより高い。
【0030】
本発明の限定の各々は、本発明の多様な態様を包含し得る。したがって、任意の1要素または要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々は、本発明の各側面に包含され得ることが理解される。本発明は、他の態様も可能であり、多様な方法において実施されるかまたは実行されることが可能である。また、本明細書において用いられる用語または専門用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではない。本明細書中の「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」およびこれらの変化形の使用は、その後に列記される項目およびその等価物ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
【0031】
本発明のこれらのおよび他の側面ならびに多様な利点および有用性は、本発明の詳細な説明を参照することにより明らかとなる。本発明の各側面は、当然のことながら、多様な態様を包含し得る。
本願において同定される全ての書類は、その全体を本明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、合衆国全体からの150人のESRD対象の無作為抽出における血漿ゲルソリンの分布を示す棒グラフである。破線は、健常対照における250mg/Lの平均pGSNレベルを表わす。
【図2】図2は、慢性透析患者間の1年生存率を、示した血漿ゲルソリンレベルの中央値により(上のパネル)、または示した三分位値に分割した血漿ゲルソリンの基線レベルにより(下のパネル)示す2つのグラフである。
【図3】図3は、示したpGSN三分位値を有する対象からの血漿アクチンを検出するウェスタンブロット像である。
【0033】
【図4】図4は、基線の血漿ゲルソリンおよびアクチンレベルによる1年死亡率のリスクを示す棒グラフである。
【図5】図5は、慢性腎疾患を有する53人の患者における、基線の血漿ゲルソリン(pGSN)レベルと推定される腎糸球体ろ過速度との間の相関を示すグラフである。
【図6】図6は、慢性腎疾患を有する患者におけるpGSNレベルの中央値を示す棒グラフである。ステージ1(n=5)、推定される腎糸球体ろ過速度(eGFR)>90ml/min/1.73m;ステージ2(n=11)、eGFR 60〜89ml/min/1.73m;ステージ3(n=18)、eGFR 30〜59ml/min/1.73m;ステージ4(n=l9)、eGFR 15〜29ml/min/1.73m。エラーバーは四分位範囲を表わす。
【0034】
【図7】図7は、慢性腎不全におけるpGSN枯渇およびその結果についてのいくつかの可能な機構の図である。慢性腎不全は、pGSN合成を阻害し、クリアランスを促進する。筋は、pGSN生合成の主要なソースであり、慢性腎不全と関連する筋量の減少は、正味のpGSN産生量を減少させる。腎不全におけるトキシン除去不全は、広範な組織、特に上皮の破壊を引き起こし、これは、細胞質アクチンの血漿中への露出、および破壊された細胞におけるpGSNの貯留をもたらす。さらに、損傷を受けた細胞からの裏返しとなった膜小胞とそれに付着したアクチンフィラメントの放出は、検出可能な循環アクチンをもたらし、循環アクチンはpGSNのクリアランスを促進する。低pGSNは、血小板活性化因子などの炎症メディエーターの緩衝化の不全をもたらし、これは血管性の合併症を促進し、患者を敗血症の致死性の効果に対して感受性にする。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
本発明は、部分的に、慢性透析対象において、基線の血漿ゲルソリンレベルが低く、ゲルソリンレベルが死亡率(例えば感染性または心臓性の原因からの死亡率)に対して逆相関するという知見に基づく。本発明はまた、部分的に、慢性透析対象において、血漿アクチンレベルの上昇が死亡率に直接的に関連するという知見に基づく。したがって、ゲルソリンの枯渇および/または過剰なアクチンは、腎不全対象(例えば慢性透析対象)における死亡率を予測する。ゲルソリンは、腎不全対象(例えば慢性透析対象)において死亡率を低下させるためにおよび/または感染症のリスクを低減するために用い得ると考えられる。
【0036】
したがって、本発明は、一部の側面において、ゲルソリンを、腎不全対象(例えば慢性透析対象)に、対象におけるゲルソリンのレベルを上昇させるために、および腎不全対象(例えば慢性透析対象)における死亡率を低下させるために、および/または感染症のリスクを低下させるために、投与することを含む。用語「処置する」または「処置」は、状態からの予防、寛解、阻止または治癒を含むことを意図する。
本明細書において用いる場合、用語「ゲルソリン」とは、野生型ゲルソリン(GenBankアクセッション番号:X04412)、ゲルソリンのアイソフォーム、アナログ、バリアント、フラグメントまたは機能的誘導体を包含する。
【0037】
ゲルソリン(GSN)は、他の哺乳動物のタンパク質とは異なり、細胞質型(cGSN)と、血漿ゲルソリン(pGSN)とも称される分泌型または輸出型(exported)アイソフォームとの両方を有し、これらは単一の遺伝子からのメッセージの選択的スプライシングにより誘導される(Sun et al. J. Biol. Chem. 274:33179-33182 (1999))。本明細書において用いる場合、ゲルソリンのアイソフォームは、通常はスプライスバリアントまたはいくつかの翻訳後修飾の結果であるアミノ酸配列中のいくつかの小さな差異を有するゲルソリンのバージョンを含む。
【0038】
ゲルソリンは、ネイティブならびに合成および組み換えゲルソリンを包含する。ゲルソリンは豊富な分泌タンパク質である(Yin, H. L., Kwiatkowski, D. J., Mole, J. E. & Cole, F. S. (1984) J Biol Chem 259, 5271-6)。ゲルソリンの輸出型アイソフォームであるpGSNは、25個のさらなるアミノ酸を有し、単一の遺伝子の選択的スプライシングから生じる(Kwiatkowski, D. J., Stossel, T. P., Orkin, S. H., Mole, J. E., Colten, H. R. & Yin, H. L. (1986) Nature 323, 455-8)。組み換えヒトゲルソリン(rhGSN)(Biogen IDEC, Inc., Cambridge, MA)は、E. coliにおいて産生され、これはネイティブのタンパク質と同一の一次構造を有するが、標準的な精製条件下において、天然のタンパク質においては存在するジスルフィド結合により天然のヒト血漿ゲルソリンと異なる。組み換えタンパク質は、したがって、精製後に適切に酸化され、そしてその構造および機能はヒト血漿ゲルソリンと区別することができない(Wen et. ah, Biochemistry 35:9700-9709 (1996))。本発明の治療的側面および態様の一部において、rhGSNの使用が好ましい。本発明の診断的側面および態様の一部において、pGSNの使用が好ましい。
【0039】
「ゲルソリンアナログ」とは、ネイティブのゲルソリンまたはそのフラグメントのいずれかに機能において実質的に類似する化合物を指す。ゲルソリンアナログは、ゲルソリンの配列と実質的に類似する生物学的に活性なアミノ酸配列を含み、ゲルソリンのものと実質的に類似する生物活性を有する、置換された、欠失した、伸長された、置き換えられたまたは他に修飾された配列を有してもよい。例えば、ゲルソリンのアナログは、ゲルソリンと同一のアミノ酸配列を有しないが、ゲルソリンの生物活性を保持するために十分にゲルソリンと相同であるものである。生物活性は、例えば、ゲルソリンがアクチン核形成を刺激する能力をアッセイすることにより決定することができる。ゲルソリン生物活性アッセイは、当業者に公知である。
【0040】
ゲルソリン「バリアント」は、ネイティブのゲルソリンまたはそのフラグメントのいずれかに構造および生物活性において実質的に類似する化合物を指すものとする。用語バリアントとは、ゲルソリンファミリーのタンパク質を包含する。ゲルソリンファミリーのタンパク質は、類似の折りたたみを有する約15kDaの相同ドメインの反復を共有する、一群のアクチン結合タンパク質である。ゲルソリンファミリーのタンパク質の例として、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリンおよびスーパービリンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
ゲルソリン「フラグメント」とは、ゲルソリンの生物活性を維持するゲルソリンのセグメントを提供するゲルソリン分子の任意の部分を含むことを意味する。この用語は、例えば天然のペプチド配列、合成または化学合成されたペプチド配列、および遺伝子操作されたペプチド配列などの任意のソースから作製されたゲルソリンフラグメントを含むものとする。
【0042】
ゲルソリンの「機能的誘導体」とは、ゲルソリンの生物活性に実質的に類似する生物活性を有する誘導体である。「実質的に類似する」は、量的には異なるが質的に同一の活性を意味する。例えば、ゲルソリンの機能的誘導体は、ゲルソリンと同一のアミノ酸骨格を含み得るが、診断アッセイまたは治療的処置の実施のためのかかる修飾の必要性に依存して、例えば結合したリン脂質または共有結合した炭化水素などの、翻訳後修飾などの他の修飾をも含む。本明細書において用いる場合、この用語はまた、ゲルソリンの化学誘導体を含むことを意味する。かかる誘導体は、ゲルソリンの可溶性、吸収、生物学的半減期などを改善する。誘導体はまた、ゲルソリンの毒性を低減するか、またはゲルソリンのあらゆる望ましくない副作用を除去もしくは減弱するものなどであってよい。かかる効果を可能にする化学部分は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980)において開示される。かかる部分をゲルソリンなどの分子にカップリングするための手順は、当該分野において周知である。用語「機能的誘導体」は、ゲルソリンの「フラグメント」、「バリアント」、「アナログ」または「化学誘導体」を含むことを意図される。
【0043】
本発明は、一部の側面において、腎不全対象(例えば慢性透析対象)を処置するための方法を含む。ゲルソリンは、対象におけるゲルソリンのレベルを上昇させるために、および/またはアクチンのレベルを低下させるために有効な量で投与される。
本発明の処置方法に対する応答は、例えば、血漿もしくは血液中のゲルソリンおよび/または血漿もしくは血液中のアクチンを測定し、処置の結果として血漿もしくは血液中ののゲルソリンレベルが増加したかおよび/または血漿もしくは血液中のアクチンレベルが減少したか否かを決定することにより、決定することができる。血漿または血液中のゲルソリンおよび/またはアクチンを測定するため、およびかかる試験の結果を解釈するための試験および方法は、当業者に公知である。
【0044】
本発明の別の側面において、対象における治療をモニタリングするための方法が提供される。本方法は、治療を受けている対象におけるゲルソリンのレベルおよび/またはアクチンのレベルを得ることを含む。ゲルソリンのレベルは、対照のゲルソリンのレベル(例えば外見上健常な集団におけるもの)に対応する予め決定された値と比較される。アクチンのレベルは、対照のアクチンのレベル(例えば外見上健常な集団におけるもの)に対応する予め決定された値と比較される。ゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルが、予め決定されたレベルと同じであるか、それ未満であるか、またはそれより高いかの決定は、対象が同一の治療による継続治療から利益を受けるか否か、または治療の変更から利益を受けるか否かを示す。例えば、一部の態様において、ゲルソリンのレベルが予め決定されたレベルと同じかもしくはそれより高く、および/またはアクチンのレベルが予め決定されたレベルと同じかもしくはそれより低いという決定は、対象が同一の治療による継続治療から利益を得るであろうことを示す。一部の態様において、ゲルソリンのレベルが予め決定されたレベルと同じかもしくはそれより低く、および/またはアクチンのレベルが予め決定されたレベルと同じかもしくはそれより高いという決定は、対象が治療の変更から利益を得るであろうことを示す。一部の態様において、ゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルを得ることは、対象のゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルを経時的にモニタリングするために繰り返される。
【0045】
ゲルソリンによる治療の変更とは、ゲルソリンの用量の増加、1種のゲルソリンから別のゲルソリンへの変更、ゲルソリンから別の薬剤への変更、ゲルソリン治療レジメンへの別の薬剤の追加、またはこれらの組み合わせを指す。
【0046】
本発明の別の側面によれば、対象における腎不全の治療の有効性を評価するための方法が提供される。本方法は、ゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較すること、および前記ゲルソリンのレベルが予め決定されたレベルと同じかまたはそれより高いか否かを決定することを含み、前記決定は、治療が有効であることを示す。一部の態様において、本方法は、アクチンのレベルを予め決定された値と比較すること、および前記アクチンのレベルが予め決定された値と同じかまたはそれより低いかを決定することを含み、前記決定は、治療が有効であることを示す。
【0047】
一部の態様において、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7日間またはそれより長い間にわたり治療を受けている場合がある。一部の態様において、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間またはそれより長い間にわたり治療を受けている場合がある。一部の態様において、対象は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間またはそれより長い間にわたり治療を受けている場合がある。
【0048】
本発明の一側面は、対象における転帰を改善するために処置を導くための、ゲルソリンレベルおよび/またはアクチンレベルの測定に関する。ゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルは、腎不全の対象における死亡のリスクを低減するための処置に対する応答についての予測価値を有する。本発明のこの側面から利益を得るであろう対象は、死亡(例えば感染症または心臓性の原因からのもの)のリスクを低減するための、およびゲルソリンのレベルを上昇させるための治療を受けている腎不全対象である。治療中の対象は、既に腎不全を診断されており(例えば慢性血液透析中の対象)、治療により処置中の対象である。治療は、腎不全の処置において用いられる治療剤のいずれであってもよい。
【0049】
腎不全の処置において用いられる治療剤は、当業者に公知である。治療はまた、非薬物処置であってもよい。重要な態様において、治療は、ゲルソリンのレベルを上昇させる、および/またはアクチンのレベルを低下させるものである。一部の態様において、治療は、ゲルソリンによる治療である。本発明から利益を得る可能性が最も高い対象は、治療中のヒト対象(例えば、腎不全を有する、腎不全のための治療を受けているヒト対象)であって、約190ng/μl(ng/μl)血漿もしくはそれより低いゲルソリンレベルを有するか、または0.01μg/ml血漿もしくはそれより高いアクチンレベルを有するものである。一部の態様において、治療中のヒト対象は、約150ng/μl血漿またはそれより低いゲルソリンレベルを有する。一部の態様において、治療中のヒト対象は、約120ng/μl血漿またはそれより低いゲルソリンレベルを有する。一部の態様において、治療中のヒト対象は、約0.1μg/ml血漿またはそれより高いアクチンレベルを有する。
【0050】
一部の態様において、対象は、既に感染症を有するか、または有していたものである。一次(第1の)細菌、ウイルス、真菌、寄生虫または原虫の感染症を有するかまたは有していた対象は、二次(第2の)感染症のリスクが高い場合がある。一部の態様においては、対象は、一次感染症を有しないが、1または2以上の感染症を有するリスクファクターを有するために、感染症を有するリスクが高い。一次感染症についてのリスクファクターの例として、免疫抑制、免疫無防備状態、年齢、外傷、火傷(例えば熱傷)、外科手術、異物およびがんが挙げられる。感染症のリスクの程度は、対象が有するリスクファクターの多さおよび重篤度または大きさに依存する。リスクチャートおよび予測アルゴリズムが、リスクファクターの存在および重篤度に基づいて対象における感染症のリスクを評価するために利用可能である。
【0051】
一部の態様において、処置はゲルソリンである。ゲルソリンは、単独で、医薬組成物中で、または他の治療レジメンと組み合わせて、投与することができる。ゲルソリンおよび任意に他の治療剤は、同時にまたは連続して投与することができる。他の治療剤が同時に投与される場合、それらは同一の製剤中で投与しても別々の製剤中で投与してもよいが、同時に投与される。他の治療剤は、他の治療剤とゲルソリンとの投与が時間的に分離している場合に、互いに、およびゲルソリンと、連続的に投与することができる。これらの化合物の投与の間の時間的な分離は、数分間のものであっても、それより長くてもよい。
【0052】
本発明のある態様を実施する上で、対象におけるゲルソリンのレベルを得る。このレベルは、次いで、予め決定された値と比較され、ここで、予め決定された値と比較されたゲルソリンのレベルは、対象が継続治療から利益を得るであろう可能性の指標である。対象は、次いで、治療の変更から得られる可能性がある正味の利益により特徴づけることができる。
【0053】
対象についてのゲルソリンのレベルは、当該分野において認められている任意の方法により得ることができる。代表的には、レベルは、体液、例えば血液、血清、血漿、リンパ液、唾液、尿などにおけるゲルソリンのレベルを測定することにより決定される。レベルはELISA、または他の免疫アッセイ、またはゲルソリンの存在を決定するための他の従来の技術により、決定することができる。従来の方法は、対象の体液のサンプルを民間試験所に測定のために送付することを含んでもよい。ゲルソリンを測定するための方法は、本明細書に記載されている。
【0054】
本発明はまた、対象についてのゲルソリンのレベルおよび/またはアクチンのレベルを、予め決定された値と比較することを含む。予め決定された値は、多様な形態をとることができる。これは、中央値または平均値などの単一のカットオフ値であってもよい。これは、例えば1つの定義された群におけるリスクが別の定義された群におけるリスクの2倍であるなどの場合には、比較群に基づいて確立してもよい。これは、例えば、試験された集団が、均等に(または不均等に)、低リスク群、中リスク群および高リスク群などの群に分割されるか、または4分位値に、最も低い4分位値は最も高いリスクを有する対象であり、最も高い4分位値は最も低いリスクを有する対象であるように分割されるか、または3分位値に、最も低い3分位値は最も高いリスクを有する対象であり、最も高い3分位値は最も低いリスクを有する対象であるように分割される場合には、ある範囲であってもよい。予め決定された値は、そのカットオフ値よりも低いゲルソリンレベルを有する群が対照群と比較して統計学的に有意な死亡リスクの増大を示すという事実により予め決定された、カットオフ値であってもよい。一部の態様において、対照群は、より高いレベルのゲルソリンを有する群である。
【0055】
予め決定された値は、選択された対象の特定の集団に依存し得る。したがって、選択された予め決定された値は、対象が該当する分類を考慮に入れたものであってもよい。適切な範囲および分類は、当業者により慣用的な実験のみを用いて選択することができる。好ましい体液は血漿および血液である。一部の態様において、ゲルソリンの予め決定された値は、約190ng/μl血漿である。一部の態様において、ゲルソリンの予め決定された値は、約150ng/μl血漿である。一部の態様において、ゲルソリンの予め決定された値は、約120ng/μl血漿である。予め決定された値は、もちろん、対象が属する対象集団の特徴に依存するであろう。リスクを特徴づける上で、多数の予め決定された値を確立することができる。
【0056】
ゲルソリンについてのアッセイのための試薬を製造する市販のソース。これらは、例えば、Cytoskeleton (Denver, CO)、Sigma (St. Louis, MO)およびCalbiochem (San Diego, CA)を含む。
本発明のある方法を実施する上で、対象のアクチンのレベルを得ることが必要である。このレベルは、次いで、予め決定された値と比較され、ここで、予め決定された値と比較されたアクチンのレベルは、対象が継続治療から利益を得るであろう可能性の指標である。対象は、次いで、治療の変更から得る可能性がある正味の利益により特徴づけることができる。
【0057】
対象についてのアクチンのレベルは、当該分野において認められている任意の方法により得ることができる。代表的には、レベルは、体液、例えば血液、血清、血漿、リンパ液、唾液、尿などにおけるアクチンのレベルを測定することにより決定される。レベルは、以下の例において記載されるように決定しても、または他のアッセイもしくはアクチンの存在を決定するための他の従来の技術により決定してもよい。従来の方法は、対象の体液のサンプルを民間試験所に測定のために送付することを含んでもよい。
【0058】
本発明はまた、対象についてのアクチンのレベルを予め決定された値と比較することを含む。予め決定された値は、多様な形態をとることができる。これは、中央値または平均値などの単一のカットオフ値であってもよい。これは、例えば1つの定義された群におけるリスクが別の定義された群におけるリスクの2倍であるなどの場合には、比較群に基づいて確立してもよい。これは、例えば、試験された集団が、均等に(または不均等に)、低リスク群、中リスク群および高リスク群などの群に分割されるか、または4分位値に、最も低い4分位値は最も低いリスクを有する対象であり、最も高い4分位値は最も高いリスクを有する対象であるように分割されるか、または3分位値に、最も低い3分位値は最も低いリスクを有する対象であり、最も高い3分位値は最も高いリスクを有する対象であるように分割される場合には、ある範囲であってもよい。予め決定された値は、そのカットオフ値よりも高いアクチンレベルを有する群が対照群と比較して統計学的に有意な死亡リスクの増大を示すという事実により予め決定された、カットオフ値であってもよい。
【0059】
予め決定された値は、選択された対象の特定の集団に依存し得る。したがって、選択された予め決定された値は、対象が該当する分類を考慮に入れたものであってもよい。適切な範囲および分類は、当業者により慣用的な実験のみを用いて選択することができる。一部の態様において、アクチンの予め決定された値は、約0.01μg/ml血漿である。一部の態様において、アクチンの予め決定された値は、約0.1μg/ml血漿である。予め決定された値は、もちろん、対象が属する対象集団の特徴に依存するであろう。リスクを特徴づける上で、多数の予め決定された値を確立することができる。
【0060】
本発明は、対象が継続治療から利益を得るか、または治療の変更から利益を得るかを決定するための方法を提供する。利益は、代表的には、腎不全の兆候および症状または合併症(例えば感染症もしくは心血管性の合併症)の減少である。腎不全の兆候、症状、徴候および合併症は、当業者に公知である。
【0061】
これらの方法は、患者の処置のために、また新規の治療の臨床的開発のために、重要な意味を有する。対象が継続治療から利益を得るかまたは治療の変更から利益を得るかを決定することは、臨床的に有用である。本発明の方法の臨床的な有用性の一例として、治療に応答する可能性がより低いまたはより高い対象を同定することが挙げられる。本発明の方法はまた、対象が継続治療から利益を得るかまたは治療の変更から利益を得るかを予測または決定する上で有用である。医師は、対象にとっての期待される正味の利益に基づいて処置のための治療レジメンを選択する。正味の利益は、リスク対利益比から誘導される。本発明は、対象が継続治療から利益を得るかまたは治療の変更から利益を得るかの決定を可能にし、それにより、医師が治療を選択することを補助する。
【0062】
臨床的な有用性の別の例は、例えばヒト対象の場合においては、臨床研究者が、正味の利益を得る可能性が高い臨床治験のための対象を選択することを補助することが挙げられる。臨床研究者は、今や、臨床治験のためのエントリークライテリアを決定するために本発明を用いることが期待される。
【0063】
継続治療から利益を得るであろう対象は、治療中のゲルソリンのレベルがある予め決定された値に達する対象、またはゲルソリンのレベルが上昇している対象である。ゲルソリンの予め決定された値は、上記に記載されている。治療の変更から利益を得るであろう対象は、治療中のゲルソリンのレベルがある予め決定された値に達しなかった対象、または治療中のゲルソリンのレベルが上昇していない対象である。
【0064】
また継続治療から利益を得るであろう対象は、治療中のアクチンのレベルがある予め決定された値に達する対象、またはアクチンのレベルが低下している対象である。アクチンの予め決定された値は、上記に記載されている。治療の変更から利益を得るであろう対象は、治療中のアクチンのレベルがある予め決定された値に達しなかった対象、または治療中のアクチンのレベルが低下していない対象である。
【0065】
本明細書において用いる場合、「治療の変更」とは、現行の治療の用量の増大または減少、一つの治療から別の治療への変更、現行の治療への別の治療の追加、またはこれらの組み合わせを指す。一つの治療から別の治療への変更は、高いリスクプロファイルを有する治療への変更を含むが、ただし期待される利益の可能性が増大する場合である。一部の態様において、好ましい治療は、ゲルソリンのレベルを上昇させ、および/またはアクチンのレベルを低下させる治療である。現行の治療の用量を増大させることによる治療の変更から利益を受けるであろう対象は、例えば、治療中であったが、治療の最大耐用量または最大許容用量を受けておらず、そのゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルがある予め決定された値に達しなかった対象である。かかる例において、現行の治療の用量を、ゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルがある予め決定された値に達するまで増大させる。一部の例において、現行の治療の用量を、現行の用量から、治療の最大耐用量または最大許容用量ではない、より高い用量へと増大させる。他の例において、用量を、治療の最大耐用量または最大許容用量まで増大させる。現行の治療の用量を減少させることによる治療の変更から利益を受けるであろう対象は、例えば、その治療のより低い用量を用いて、治療中のゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルがある予め決定された値に達するかまたは達し得る対象である。
【0066】
一つの治療から別の治療への変更から利益を得るであろう対象は、例えば、治療の最大耐用量または最大許容用量を受けていて、そのゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルがある予め決定された値に達しなかった対象である。別の例は、治療の最大耐用量または最大許容用量は受けていなかったが、医師により、別の治療から利益を得る可能性がより高いと決定された対象である。かかる決定は、例えば、対象における、初期の治療における望ましくない副作用の発症、または初期の治療に対する応答の欠如に基づく。
【0067】
現行の治療への別の治療の追加による治療の変更から利益を受けるであろう対象は、例えば、治療中であったが、そのゲルソリンおよび/またはアクチンのレベルがある予め決定された値に達しなかった対象である。かかる例において、別の治療を現行の治療に追加する。現行の治療に追加される治療は、ゲルソリンのレベルを上昇させることにおいて、および/またはアクチンのレベルを低下させることにおいて、現行の治療と異なる作用機序を有していてもよい。一部の例において、前述の治療の変更の組み合わせを用いてもよい。
【0068】
本発明はまた、治療の有効性を決定するための方法を提供する。有効性とは、代表的には、ゲルソリンのレベルを上昇させることにおける、および/またはアクチンのレベルを低下させることにおける、治療の有効性である。これはときにまた、正の応答または有利な応答と称される。有効性は、治療の結果としてゲルソリンのレベルが上昇したかまたはアクチンのレベルが低下したかを決定するためのゲルソリンの血液検査および/またはアクチンの血液検査により決定することができる。本発明はまた、治療を受けている対象における治療の単位(course of a therapy)を決定するための方法を提供する。かかる治療の単位は、ゲルソリンのレベルおよび/またはアクチンのレベルに基づいて決定される。
【0069】
ゲルソリンまたはアクチンの測定は、代表的には、ng/μl(ナノグラム/マイクロリットル)、μM/L(マイクロモル/リットル)、mg/dl(ミリグラム/デシリットル)、mg/L(ミリグラム/リットル)、またはμg/ml(マイクログラム/ミリリットル)で報告される。
処置の量は、例えば、ゲルソリンまたは薬理作用剤または治療用組成物の量を増大または減少させることにより、投与する治療用組成物を変更することにより、投与の経路を変更することにより、投与のタイミングを変更することなどにより、変化させることができる。有効量は、処置されている状態、処置されている対象の年齢および身体条件、状態の重篤度、処置の期間、併用療法の性質(もしあれば)、具体的な投与の経路により変化し、同様の要因は、医師の知識および専門知識の範囲内である。例えば、有効量は、対象が腎不全を有している期間に依存し得る。
【0070】
有効量は、医学的に望ましい結果を提供するために十分な治療剤の投与量である。有効量はまた、例えば、対象が異常に低下したゲルソリンのレベルおよび/または異常に上昇したアクチンのレベルを有する程度に依存する。本発明の治療剤は、例えば、腎不全対象において合併症(例えば感染性または心臓性のもの)を処置または予防するために用いられることが理解されるべきである。したがって、例えば、有効量とは、腎不全対象における感染症または心臓性の合併症の発症のリスクを低下させるか、発症を遅延させるか、またはおそらくは完全に予防する量である。
【0071】
有効量の決定に関与する要因は、当業者に周知であり、慣用的な実験のみを用いて対応することができる。一部の態様において、本発明の薬理作用剤の(単独でまたは他の治療剤と組み合わせての)最大用量、すなわち、確立した医学的判断に従った最大の安全な用量を用いる。当業者は、しかし、対象が、医学的理由、心理学的理由または事実上任意の他の理由により、より低い用量または耐用量を要求する場合があることを理解する。
【0072】
本発明の薬理作用剤の治療有効量は、ゲルソリンのレベルを上昇させ、および/またはアクチンのレベルを低下させるために、または、腎不全対象において感染症もしくは心臓性の合併症を処置もしくは予防するために有効な量である。例えば、所望の応答は、感染症または心臓性の合併症の進行を阻害することであってもよい。これは、感染症または心臓性の合併症の進行を一時的に遅延させることのみを含んでもよいが、より好ましくは、感染症または心臓性の合併症の進行を停止させることを含む。これは、当業者に公知の慣用的な診断方法によりモニタリングすることができる。処置に対する所望の応答は、血漿ゲルソリンのレベルの上昇、またはアクチンの血漿レベルの低下であってもよい。
【0073】
本発明の方法において用いられる薬理作用剤は、好ましくは無菌であり、対象への投与に好適な重量または容量の単位中に、所望の応答を提供するためのゲルソリンの有効量を含む。対象に投与される薬理作用剤の用量は、種々のパラメーターに従って、特に、用いられる投与の形態および対象の状態に従って、選択することができる。他の要因として、所望の処置の期間が挙げられる。適用された初期の用量での対象における応答が不十分である場合、より高い用量(または、異なる、より局所的な送達経路による、効果的により高い用量)を、患者の耐容性が許容する程度まで使用することができる。薬理作用剤の投与量は、何らかの合併症の場合においては特に、個々の医師または獣医師により調整され得る。治療有効量は、典型的には、0.01mg/kg〜約1000mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜約500mg/kg、および最も好ましくは0.2mg/kg〜約250mg/kgで、1日1回または2回以上の用量の投与において、1日間または2日間以上にわたり、変化する。
ゲルソリンおよび任意の他の治療剤は、それ自体で、または薬学的に許容し得る塩の形態で投与することができる。
【0074】
本発明の薬理作用剤を所望の組織、細胞または体液へ効果的に送達する、多様な投与の形態が当業者に公知である。投与方法は、本願中の別の箇所に記載される。本発明は、本明細書において開示される特定の投与の形態により限定されない。当該分野における標準的な参考文献(例えば、Remington 's Pharmaceutical Sciences、第20版、Lippincott、WilliamsおよびWilkins、Baltimore MD、2001年)は、多様な医薬製剤および薬学的キャリア中の製剤の送達のための投与の形態および処方を提供する。用量、投与のスケジュール、投与の部位、投与の形態などが本明細書において提示されるものと異なる、本発明の薬理作用剤の投与のために有用な他のプロトコルは、当業者に公知であろう。
【0075】
投与される場合、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容し得る量において、および薬学的に許容し得る組成物中で、適用される。用語「薬学的に許容し得る」とは活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しない、非毒性の材料を意味する。かかる製剤は、慣用的に、塩、緩衝化剤、保存剤、適合性のキャリア、および任意に他の治療剤を含んでもよい。医薬において用いる場合、塩は薬学的に許容し得るものであるべきだが、薬学的に許容し得ない塩もまた、その薬学的に許容し得る塩を製造するために有利に用いることができ、本発明の範囲から除外されない。かかる薬理学的におよび薬学的に許容し得る塩として、以下の酸から製造されるものが挙げられるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に許容し得る塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムの塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩として製造してもよい。
【0076】
薬理作用剤または組成物は、所望の場合、薬学的に許容し得るキャリアと組み合わせることができる。用語「薬学的に許容し得るキャリア」とは、本明細書において用いる場合、1または2以上の適合性の固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化用物質であって、ヒトへの投与に好適であるものを意味する。用語「キャリア」とは、適用を容易にするために活性成分が組み合わされる有機または無機の材料であって、天然または合成のものを表わす。医薬組成物の成分はまた、本発明の薬理作用剤と、および互いに、所望の薬学的有効性を実質的に損なう相互作用が存在しない様式で混合することができる。
【0077】
医薬組成物は、上記のとおり、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、グリシン、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物(および他の塩基)ならびに前述の化合物の薬学的に許容し得る塩を含む、好適な緩衝化剤を含んでもよい。医薬組成物はまた、任意に、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサールなどの好適な保存剤を含んでもよい。
【0078】
医薬組成物は、単位投与形態において有利に提示することができ、製薬の当業者に周知の方法のいずれにより製造してもよい。全ての方法は、活性剤を、1または2以上の補助成分を構成するキャリアと組み合わせる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を、液体キャリア、微細化した固体キャリアまたはその両方と、均質かつ親密に組み合わせ、その後必要であれば製品を成形することにより製造される。
【0079】
化合物は、それらを全身送達することが望ましい場合、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による、非経口投与のために製剤化することができる。注射のための製剤は、単位投与形態において、例えばアンプルにおいてまたは複数用量容器において、保存剤を添加して、提示することができる。組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁液、溶液または乳液などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化のための薬剤を含んでもよい。
【0080】
非経口投与のための医薬製剤として、水溶性の形態における活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を、適切な油性注射用懸濁液として製造することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとして、ゴマ油などの油脂、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁液の粘性を増大させる物質を含んでもよい。任意に、懸濁液はまた、好適な安定化剤、または高濃度の溶液の製造を可能にするために化合物の可溶性を増大させる薬剤を含んでもよい。
【0081】
あるいは、活性化合物は、使用前の好適なビヒクル(例えば、食塩水、緩衝液、または無菌のパイロジェンフリー水)による構成(constitution)のための、粉末形態のものであってもよい。
経口投与のために好適な組成物は、各々が予め決定された量の活性化合物(例えばゲルソリン)を含む、カプセル、錠剤、丸剤、ロゼンジなどの別々の単位として提示することができる。他の組成物として、シロップ、エリキシル剤、乳液またはゲルなどの、水性の液体または非水性の液体中の懸濁液が挙げられる。
【0082】
経口での使用のための医薬製剤は、固体の賦形剤として得ることができ、任意に生じた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理し、所望の場合は好適な助剤を添加した後で、錠剤または糖衣錠のコアを得る。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールを含む糖、または、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース製剤、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの充填剤である。所望の場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム等)などの崩壊剤を添加してもよい。任意に、経口製剤はまた、内部の酸性条件を中和するために、食塩水または緩衝液すなわちEDTA中で製剤化してもよく、あるいはいかなるキャリアも用いずに投与してもよい。
【0083】
また具体的に企図されるのは、上記の成分の経口投与形態である。成分は、誘導体の経口送達が効率的であるように、化学修飾されていてもよい。一般に、企図される化学修飾は、成分分子自体への少なくとも1つの部分の結合であり、ここで、前記部分は、(a)タンパク質分解の阻害;および(b)胃または腸からの血流への取り込みを可能にする。また望ましいのは、成分の全体的な安定性の増大、および体内での循環時間の増大である。かかる部分の例として、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリプロリンが挙げられる。AbuchowskiおよびDavis、1981年、「Soluble Polymer-Enzyme Adducts」、「Enzymes as Drugs」中、HocenbergおよびRoberts編、Wiley-Interscience、New York、NY、pp. 367-383;Newmarkら、1982年、J. Appl. Biochem. 4: 185- 189。用いることができる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカンである。上記で示した医薬用途のために好ましいものは、ポリエチレングリコール部分である。
【0084】
成分(または誘導体)について、放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸もしくは回腸)または大腸であってよい。当業者は、胃中で溶解しないが十二指腸または腸の他の場所で材料を放出する利用可能な製剤を有する。好ましくは、放出は、胃環境の有害効果を、ゲルソリンの保護により、または腸内においてなどの胃環境を越えてからの生物学的活性材料の放出により、回避する。
【0085】
完全な胃耐性を確保するために、少なくともpH5.0に対して不透性のコーティングが必須である。腸溶性コーティングとして用いられるより一般的な不活性材料の例は、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、Eudragit L、Eudragit SおよびShellacである。これらのコーティングは、混合フィルムとして用いてもよい。
【0086】
コーティングまたはコーティングの混合物はまた、錠剤において用いてもよく、これは、胃に対する保護を意図しない。これは、糖コーティング、または錠剤を飲み込み易くするコーティングを含む。カプセルは、乾燥治療剤、すなわち粉末の送達のためのハードシェル(ゼラチンなど)からなることができる。液体の形態のために、ソフトゼラチンシェルを用いてもよい。カプセルのシェルの材料は、濃デンプンまたは他の可食紙であり得る。丸剤、ロゼンジ、成形錠剤または粉薬錠剤のために、湿式塊化(moist massing)技術を用いてもよい。
治療剤は、約1mmの粒子サイズの顆粒またはペレットの形態における微細な多数の粒子として、製剤中に含めてもよい。カプセル投与のための材料の製剤はまた、粉末であっても、軽く圧縮されたプラグであっても、または錠剤ですらあってもよい。治療剤は、圧縮により製造することができる。
【0087】
色素および香味剤は、全て含めることができる。例えば、ゲルソリンを(リポソームまたはマイクロスフェアのカプセル化などにより)製剤化し、次いでさらに、色素および香味剤を含む冷蔵飲料などの可食製品中に含めてもよい。
治療剤の容積を、不活性材料で希釈または増大させてもよい。これらの希釈剤として、炭水化物、特にマンニトール、ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよびデンプンを挙げることができる。ある無機塩もまた、充填剤として用いることができ、三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む。幾つかの市販の希釈剤は、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx 1500、EmcompressおよびAvicellである。
【0088】
崩壊剤は、治療剤の固体投与形態への製剤化において含めることができる。崩壊剤として用いられる材料として、市販のデンプンに基づく崩壊剤であるExplotabを含むデンプンが挙げられるがこれに限定されない。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラアミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース(acid carboxymethylcellulose)、天然の海綿およびベントナイトもまた用いられる。崩壊剤の別の形態は、不溶性のカチオン交換樹脂である。粉末ガムは、崩壊剤として、および結合剤として用いることができ、寒天、カラヤまたはトラガカントなどの粉末ガムを挙げることができる。アルギン酸およびそのナトリウム塩もまた、崩壊剤として有用である。
【0089】
結合剤は、治療剤を互いにまとめて硬質な錠剤を形成するために用いることができ、アカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチンなどの天然製品からの材料を含む。他のものは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、いずれも、アルコール溶液中で治療剤を造粒するために用いることができる。
【0090】
抗摩擦剤は、製剤化プロセス中の固着を防止するために治療剤の製剤中に含めることができる。潤滑剤は、治療剤と型壁との間の層として用いることができ、これらは、そのマグネシウムおよびカルシウムの塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびロウを含むがこれらに限定されない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、多様な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000および6000などの可溶性潤滑剤もまた用いることができる。
製剤化の間の薬物の流動特性を改善し得、圧縮の間の再構成を助けるための流動促進剤を添加してもよい。流動促進剤として、デンプン、タルク、発熱性シリカおよび水和シリコアルミナートを挙げることができる。
【0091】
治療剤の水性環境中への溶解を助けるために、湿潤剤として界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ジオクチルナトリウムスルホネートなどのアニオン性洗剤を挙げることができる。カチオン性洗剤を用いてもよく、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを挙げることができる。界面活性剤として製剤中に含めることができる候補の非イオン性洗剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独でまたは種々の比の混合物として、ゲルソリンの製剤中に存在することができる。
【0092】
経口で用いることができる医薬製剤として、ゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とから作製した軟性の密封カプセルが挙げられる。押し込み式カプセルは、活性成分を、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意に安定化剤との混合物中に含むことができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、油脂、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール類などの好適な液体中に溶解または懸濁することができる。さらに安定化剤を添加してもよい。
【0093】
経口投与のために製剤化されたマイクロスフェアもまた用いることができる。かかるマイクロスフェアは、当該分野においてよく定義されている。経口投与のための全ての製剤は、かかる投与のために好適な投与量であるべきである。
口腔内投与のために、組成物は、従来の様式において製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0094】
吸入による投与のために、本発明による使用のための化合物は、加圧パックまたはネブライザーから、エアロゾルスプレー状の形態で、好適な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体を用いて、有利に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、一定量を送達するための弁を提供することにより決定することができる。化合物とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含む、吸入器(inhaler)またはインサフレーター(insufflator)において用いるための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化してもよい。
【0095】
本明細書においてまた企図されるのは、ゲルソリンの肺送達である。ゲルソリンは、吸入の間に哺乳動物の肺へ送達され、肺上皮の裏打ち層を横断して血流へ至る。吸入分子の他の報告として、Adjeiら、1990年、Pharmaceutical Research、7:565-569;Adjeiら、1990年、International Journal of Pharmaceutics、63:135-144(酢酸ロイプロリド);Braquetら、1989年、Journal of Cardiovascular Pharmacology、13(suppl. 5):143-146(エンドセリン−1);Hubbardら、1989年、Annals of Internal Medicine、Vol. III、pp. 206-212(a1−アンチトリプシン);Smithら、1989年、J. Clin. Invest. 84:1145-1146(a−1−プロテイナーゼ);Osweinら、1990年、「Aerosolization of Proteins」、 Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II、Keystone、Colorado、3月(組み換えヒト成長ホルモン);Debsら、1988年、J. Immunol. 140:3482-3488(インターフェロン−γおよび腫瘍壊死因子アルファ)、ならびにPlatzら、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)が挙げられる。全身性の効果のための薬物の肺送達のための方法および組成物は、1995年9月19日に発行されたWongらへの米国特許第5,451,569号に記載されている。
【0096】
本発明の実施における使用のために企図されるものは、治療用製品の肺送達のために設計された広範な種類の機械的デバイスであり、ネブライザー、定量吸入器(metered dose inhaler)、粉末吸入器(powder inhaler)を含むがこれらに限定されず、これらの全ては当業者に知られている。
本発明の実施のために好適な市販のデバイスのいくつかの具体例は、Mallinckrodt, Inc.(St. Louis、Missouri)製のUltraventネブライザー;Marquest Medical Products(Englewood、Colorado)製のAcorn IIネブライザー;Glaxo Inc.(Research Triangle Park、North Carolina)製のVentolin定量吸入器;およびFisons Corp.(Bedford、Massachusetts)製のSpinhaler粉末吸入器である。
【0097】
全てのかかるデバイスは、ゲルソリンの分配のための好適な製剤の使用を必要とする。典型的には、各製剤は、使用するデバイスのタイプに特異的であり、治療において有用な通常の希釈剤、アジュバントおよび/またはキャリアに加えて、適切な噴霧材料の使用を含み得る。また、リポソーム、マイクロカプセルまたはマイクロスフェア、封入複合体または他の型のキャリアの使用も企図される。化学修飾されたゲルソリンもまた、化学修飾のタイプまたは使用されるデバイスのタイプに依存して、種々の製剤として製造することができる。
【0098】
ネブライザーによる使用のために好適な製剤は、ジェット式または超音波式のいずれであっても、典型的には、1mLの溶液当たり生物学的に活性なゲルソリン約0.1〜25mgの濃度で水中に溶解したゲルソリンを含む。製剤はまた、緩衝化剤および単純な糖(例えば、ゲルソリンの安定化および浸透圧の調節のため)を含んでもよい。ネブライザー用製剤はまた、エアロゾルを形成する上での溶液の微粒化により引き起こされるゲルソリンの表面誘導凝集を低減または防止するために、界面活性剤を含んでもよい。
【0099】
定量吸入器デバイスによる使用のための製剤は、一般に、界面活性剤の補助により噴霧剤中に懸濁されたゲルソリンを含む微細に分割された粉末を含む。噴霧剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む炭化水素、またはこれらの組み合わせなどの、この目的のために用いられる任意の従来の材料であってよい。好適な界面活性剤として、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが挙げられる。オレイン酸もまた界面活性剤として有用である。
【0100】
粉末吸入器デバイスから分配するための製剤は、ゲルソリンを含む微細に分割された乾燥粉末を含み、また、ラクトース、ソルビトール、スクロースまたはマンニトールなどの増量剤を、デバイスからの粉末の分配を容易にする量、例えば製剤の50〜90重量%で含む。ゲルソリンは、遠位の肺への最も効果的な送達のために、10μm(またはマイクロメートル)未満、より好ましくは0.5〜5μmの平均粒子サイズを有する粒子の形態において、最も有利に製造されるべきである。
【0101】
本発明の医薬組成物の鼻(または鼻内)送達もまた企図される。鼻送達により、肺における製品の堆積を必要とすることなく、治療用製品を鼻へ投与した直後に、本発明の医薬組成物を血流へ通過させる。鼻送達のための製剤として、デキストランまたはシクロデキストランによるものが挙げられる。
【0102】
鼻投与のために有用なデバイスは、定量噴霧器(metered dose sprayer)が取り付けられた小さな硬質ボトルである。一態様において、チャンバー内の液体が圧縮された場合にスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するために設計された開口部を有する既定の容積のチャンバー内へ、本発明の溶液の医薬組成物を引き込むことにより、一定量が送達される。チャンバーは、本発明の医薬組成物を投与するために圧縮される。特定の態様において、チャンバーはピストン装置である。かかるデバイスは市販されている。
【0103】
あるいは、絞られた場合にスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するために設計された開口部または孔を有するプラスチックのスクイーズボトルが用いられる。孔は通常、ボトルの頂部に見出され、頂部は一般に、エアロゾル製剤の効率的な投与のために、鼻腔内に部分的にフィットするように先が細くなっている。好ましくは、鼻用吸入器は、測定された用量の薬物の投与のために、一定量のエアロゾル製剤を提供する。
化合物はまた、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む、坐剤または保持浣腸などの、直腸または膣用組成物に製剤化してもよい。
【0104】
先に記載した製剤に加えて、化合物はまた、デポー製剤として製剤化してもよい。かかる長期作用製剤は、好適なポリマー性または疎水性材料により(例えば許容し得る油中の乳液として)、またはイオン交換樹脂により、または難溶性誘導体として、例えば難溶性の塩として、製剤化することができる。
医薬組成物はまた、好適な固相またはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含んでもよい。かかるキャリアまたは賦形剤の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、多様な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
好適な液体または固体の医薬組成物形態は、例えば、吸入のための水溶液または食塩水溶液、マイクロカプセル化されたもの、渦巻状になったもの(encochleated)、微視的な金粒子上にコーティングされたもの、リポソーム中に含有されたもの、噴霧されるもの、エアロゾル、皮膚中への移植のためのペレット、または皮膚中に掻き入れるための鋭利な物体上に乾燥されたものである。医薬組成物はまた、顆粒、散剤、錠剤、被覆錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、乳液、懸濁液、クリーム、ドロップ、または活性化合物を遅延放出する製剤を含み、これらの製剤において、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、潤滑剤、香味剤、甘味剤または可溶化剤などの賦形剤および添加物および/または助剤は、上記のとおり習慣的に用いられる。医薬組成物は、多様な薬物送達系における使用のために好適である。薬物送達のための方法の簡略な概説については、本明細書に援用するLanger, Science 249:1527-1533, 1990を参照のこと。
【0106】
特にゲルソリンを含むがこれに限定されない治療剤は、粒子状で提供してもよい。粒子は、本明細書において用いる場合、ナノまたはマイクロ粒子(または一部の場合においてはより大きい)を意味し、これは、その全体が、または部分的に、ゲルソリンまたは本明細書において記載される他の治療剤からなることができる。粒子は、腸溶性コーティングを含むがこれに限定されないコーティングにより囲まれたコア中に、治療剤を含有することができる。治療剤はまた、粒子全体に分散していてもよい。治療剤はまた、粒子に吸着していてもよい。粒子は、何次の放出動態のものであってもよく、ゼロ次放出、一次放出、二次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、および任意のこれらの組み合わせなどを含む。粒子は、治療剤に加えて、製薬および医薬の分野において慣用的に用いられる材料のいずれを含んでもよく、これらは、侵食性、非侵食性、生物分解性または非生物分解性の材料またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。粒子はまた、ゲルソリンを溶液中または半固体の状態において含有するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、実質的にいかなる形状のものであってもよい。
【0107】
非生物分解性および生物分解性の両方のポリマー性材料を、治療剤を送達するための粒子の製造に用いることができる。かかるポリマーは、天然のポリマーであっても合成のポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が所望される時間に基づいて選択される。特に重要な生物粘着性ポリマーとして、H.S. Sawhney、CP. PathakおよびJ.A. Hubellにより、その教示が本明細書に組み込まれるMacromolecules, (1993) 26:581-587に記載される、生物侵食性のハイドロゲルが挙げられる。これらは、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギナート、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)およびポリ(オクタデシルアクリレート)を含む。
【0108】
治療剤は、制御放出システム中に含まれていてもよい。用語「制御放出」とは、製剤からの薬物放出の様式およびプロファイルが制御される、あらゆる薬物含有製剤を指すことを意図する。これは、即時放出製剤ならびに非即時放出製剤を指し、非即時放出製剤は、持続放出製剤および遅延放出製剤を含むがこれらに限定されない。用語「持続放出」(また「延長放出」とも称する)は、その従来の意味において、長期間にわたる薬物の漸進的な放出を提供し、好ましくは、必須ではないが、長期間にわたって実質的に一定の薬物の血液レベルをもたらす薬物製剤を指すものとして用いる。用語「遅延放出」は、その従来の意味において、製剤の投与とそこからの薬物の放出との間に時間的遅延が存在する薬物製剤を指すものとして用いる。「遅延放出」は、長期間にわたる薬物の漸進的な放出を含んでも含まなくてもよく、したがって、「持続放出」であってもなくてもよい。
【0109】
長期の持続放出インプラントの使用は、慢性状態の処置のために特に好適である場合がある。「長期」の放出とは、本明細書において用いる場合、インプラントが、少なくとも7日間、好ましくは30〜60日間にわたり、治療レベルの活性成分を送達するように構成および配置されていることを意味する。長期持続放出インプラントは、当業者に周知であり、上記の放出システムの幾つかを含む。
【0110】
眼、鼻の膜、粘膜または皮膚への局所投与のために、ゲルソリンを、軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮貼付剤もしくは眼内インサートもしくはイオン導入として製剤化してもよい。例えば、軟膏およびクリームは、水性または油性の基剤単独により、または好適な濃縮化剤および/またはゲル化剤とともに、製剤化することができる。ローションは、水性または油性の基剤により製剤化することができ、典型的にはさらに1または2以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、濃縮化剤または着色剤を含む(例えば、薬学的に許容し得るゲルベースの局所用キャリアの記載については、Mueller, D.らに発行された米国特許第5,563,153号、表題「Sterile Topical Anesthetic Gel」を参照のこと)。
【0111】
一般に、ゲルソリンまたはアクチン結合分子は、組成物の全重量に基づいて約0.01重量%〜約30.0重量%の範囲の量で局所用製剤中に存在する。好ましくは、ゲルソリンは、約0.5〜約30重量%の範囲の量で存在し、最も好ましくは、ゲルソリンは、約0.5〜約10重量%の範囲の量で存在する。一態様において、本発明の組成物は、局所的疼痛の表面との接触を最大化し、局所的疼痛を緩和するために必要な容積および投与量を最小化するために、ゲル混合物を含む。GELFOAM(R)(Upjohn Corporation製のメチルセルロースベースのゲル)は、好ましい薬学的に許容し得る局所用キャリアである。他の薬学的に許容し得るキャリアとして、経皮薬物送達のためのイオン導入が挙げられる。
【0112】
本発明はまた、キットの使用を企図する。本発明の一部の側面において、キットは、医薬製剤バイアル、医薬製剤希釈剤バイアル、およびゲルソリンを含み得る。医薬製剤のための希釈剤を含むバイアルは任意である。希釈剤バイアルは、ゲルソリンの濃縮溶液または凍結乾燥粉末であり得るものを希釈するための生理食塩水などの希釈剤を含む。説明書は、特定の量の希釈剤を特定の量の濃縮医薬製剤と混合し、それにより注射または注入のための最終的な製剤を調製するための説明書を含むことができる。説明書は、対象をゲルソリンの有効量で処置するための説明書を含んでもよい。また、製剤を含む容器は、その容器がボトルであっても、隔壁を有するバイアルであっても、隔壁を有するアンプルであっても、注入バッグなどであっても、製剤が高圧蒸気滅菌または他の方法により無菌化された場合に色が変化する従来のマークなどの表示を含むことができることが理解される。
【0113】
本発明は、以下の例によりさらに説明され、これは決してさらに限定するものとして解釈されるべきではない。本願全体に引用された全ての参考文献(学術文献、発行された特許、公開された特許出願および同時係属中の特許出願を含む)の全内容は、本明細書に参照として明示的に組み込まれる。
【0114】

概要:
Accelerated Mortality on Renal Replacement(ArMORR)は、北米のFresenius Medical Care(FMC、Lexington、Massachusetts)により実施されている、合衆国の透析センターで慢性血液透析を開始した患者の国内の典型的な前向き(prospective)コホート研究である。前向きに収集された情報は、患者の人口統計、血液透析の開始時における合併症、臨床検査(Spectra East(Rockland、NJ)により実施されたもの)、静脈内治療、および臨床転帰を含んだ。データは、治療の時点において医師および看護師により中央データベースに入力され、FMCにより義務づけられている厳密な品質保証/品質管理の監査を受けた22、23。この研究は、マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)の施設内治験審査委員会(Institutional Review Board)により承認された。
【0115】
研究集団:
2004年7月1日から2005年6月30日の間に、1056の合衆国透析ユニットを代表する10,044人の偶発的な血液透析患者を、ArMORRに前向きに登録した。合衆国をベースとするFreseniusユニットにおいて治療を開始した全ての偶発的な血液透析患者は、ArMORRコホート研究に含めることについて適格であった。血漿のゲルソリンおよびアクチンならびに血清の高感度C反応性タンパク質についての基線(慢性血液透析を開始して14日以内に収集された)血液サンプルが利用可能な150人の患者の無作為サンプルを、研究に含めた。これらの150人の対象のうち、41人(27%)は、透析を開始して365日間以内に死亡し、109人は、少なくとも365日間生存した。
【0116】
生存に対するpGSNレベルの効果を効率的に研究するために、本発明者らはまた、透析を開始して365日間以内に死亡した症例をESRD対象として、少なくとも365日間生存したものを対照として同定する、コホート内症例対照研究を行った。検出力を増大するために、本発明者らは、透析を開始して365日間以内に死亡した次の75人の連続したArMORR参加者(n=116全症例)を、オリジナルのサンプルに追加して、合計225人の対象による約1:1の比の症例−対照サンプルを作製した。本発明者らは、類似する数のCVDによる死亡および感染性の死亡(以下に定義される)を含めることを目標とした。その後、2人の患者が十分な血液サンプルを有していないことが見出され、したがって彼らは除外されたので、合計223人の対象が研究のために残された。223人の約1:1の比の症例−対照サンプルにより、本発明者らは、より高いpGSNレベルを有するものと比較してのpGSN欠乏を有する患者の間での少なくとも2のオッズ比(例えば、三分位値において試験した場合に最も低い分類)を検出するために、>80%の検出力を有した。
【0117】
暴露および転帰の確認:
一次暴露は基線pGSNレベルであり、一次転帰は全体的な1年死亡率である。pGSNを、連続型および二項式の(無作為な中央値レベルに基づく)変量として試験し、本発明者らは、pGSNを三分位分析において試験した。全体的な死亡率に加えて、本発明者らはまた、慢性HDを開始して1年以内の、心血管性(例えば、循環器系の疾患、ICD-9 390-459.9;高血圧疾患、401-405;虚血性心疾患、410-414;急性心筋梗塞、410;および脳血管性疾患、430-438による死亡)、ならびに感染性の死因(例えば、細菌性、真菌性およびウイルス性肺炎、ICD-9 480.0-487.8;膿胸、510.0;肺膿瘍、513.0;敗血症、重症敗血症および敗血症性ショック、038、995-996、785)による転帰を定義した。死亡は、個々の透析センターからの退院時診断報告により確認した。
【0118】
重要な共変量は血漿アクチンレベルであり、これは半定量的であった(以下を参照)。他の共変量として、本発明者らが先の分析において行った、年齢、人種、性別、肥満度指数、腎不全の指定された原因(例えば、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎疾患またはその他)、血圧、肥満度指数、開始時の血管アクセス(動静脈フィステル、グラフトまたは静脈静脈カテーテル)、および透析量(Kt/V)が挙げられる22、23。アルブミン、クレアチニン、カルシウム、リンの基線血液レベル、ならびに血小板および白血球数を分析した。基線の高感度CRP(hsCRP)の血清レベルもまた標準的な技術(N Latex CRPアッセイ、Dade Behring)を用いて測定した。
【0119】
血漿ゲルソリン(pGSN):
pGSNを、先に記載したように24、そのアクチン核形成を刺激する能力により測定した。この機能的アッセイは、再現性が高く、pGSNの合計レベルを、pGSNがアクチンまたは他のpGSNリガンドと複合体化しているか否かに拘わらず検出する。簡単に述べると、基線の血漿を、0.1M KCl、0.2mM MgCl、1mM EGTA、0.5mM ATP、0.5mM β−メルカプトエタノール、および10mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液B)中で1:5倍に希釈した。希釈した血漿サンプルのうち5μlを、6×50mmのホウケイ酸培養チューブ中の、1.5mM CaClおよび0.4μMファラシジン(Phallacidin)を添加した280μlの緩衝液Bに添加した。0.5mM ATP、5mM β−メルカプトエタノール、0.2mM CaCl、0.2mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液A)中、15μlの20μMのピレンアクチン25を添加することにより、アクチン重合反応を開始させた。分光蛍光光度計においてそれぞれ366および386nmの励起および発光波長で、重合を200秒間モニタリングした。pGSNの濃度を、E. coliにおいて合成された精製組み換えヒトpGSNを用いて標準曲線から推定した。全ての測定は、転帰について知らされていない検査技師により行った。
【0120】
循環アクチンを検出する:
血漿を、リン酸緩衝化食塩水(PBS)中で1:10倍に希釈し、次いで、E-PAGE 48 8%ゲルシステムにより、製造者の説明書(Invitrogen, Carlsbad, CA)に従って分析した。各サンプルを、70℃で10分間、サンプル緩衝液を含むβ−メルカプトエタノール中で加熱し、その後E-PAGE 48ゲルにロードし、次いでニトロセルロース膜へトランスファーした。0.05%のTween 20を加えたTris緩衝化食塩水(TBS)中5%の無脂粉乳中で膜をブロッキングした後、一次抗βアクチン抗体(AC-15、Sigma, St. Louis, MO)を1:2000倍希釈で添加し、室温で1時間インキュベートした。結合した一次抗体を、1:2000倍希釈のHRP結合抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)でプローブした。HRPの化学発光を、Super Signal West Pico Kit(Pierce, Rockford, IL)で現像した。アクチンの存在を、ブロット上の、精製ウサギ骨格筋アクチン(Cytoskeleton, Denver, CO)と共に移動する分離したバンドの出現として定義した。ウェスタンブロット上のアクチンの特異性を、10個の無作為に選択したサンプルを質量分析(Beth Israel Deaconess Medical Center Mass Spectrometry Core Facility)に供することにより確認した。全ての測定は、転帰について知らされていない検査技師により行われた。
【0121】
統計学的分析:
本発明者らは、死亡した患者と死亡しなかった患者の間での、人口学的および実験的特徴ならびに透析開始時のpGSNおよびアクチンのレベルおよび存在を比較するために、2標本t検定およびフィッシャーの直接確率検定を用いた。慣用的な臨床検査がpGSNレベルと関連しているか否かを試験するために、本発明者らは、Spearman相関係数を用いた。本発明者らは、線形回帰モデルを用いて、pGSNと他の共変量との間の独立した関係を試験した。生存率の一変量分析を、最初の150人の無作為抽出において、Kaplan-Meier曲線と、pGSNの基線値を二分位または三分位値に分割した後でのログランク試験とを用いて行った。腎機能の回復、腎臓移植、またはFMCでないセンターに治療が移されたことによる追跡の喪失により打ち切られた対象の合計数は、8%未満であった。
【0122】
多変量ロジスティック回帰モデルを、基線のpGSNと、1年死亡率の全ての原因、心血管性、および感染性の原因との間の独立した関係を試験するために用いた。本発明者らは、先の研究において透析における死亡率と関連していた22、23、および今回の研究において症例と対照との間で著しく異なっていた共変量を、多変量モデル中に含めた。本発明者らはまた、C反応性タンパク質レベルについての全てのモデルを、その血液透析患者の間における血管系疾患および死亡率との関連性を考慮して調節した。個々の共変量におけるデータポイントは、<5%の対象において失われていた。多変量分析のために、これらの共変量を、失われた値についてのさらなる分類を加えた分類別変量として扱った。他の場合は、連続型変数を、連続的なスケールにおいて分析した。本発明者らは、アクチンの血漿レベルにより層別化したpGSNと転帰との間の関係を、これら2つの尺度の生物学的関連を考慮して試験した。最後に、一変量および多変量モデルにおけるpGSNと共変量との間の(pGSN×共変量)一次相互作用を試験し、有意(p<0.1)な相互作用が検出された場合、層別化モデルを提示した。最後に、分析はSAS 9.1(Cary, NC)を用いて行い、両側p値<0.05を統計学的に有意とみなした。
【0123】
結果:
基線の特徴:最初の150人のESRD対象は、合衆国全体の148の別々の透析センターを代表した。これらの対象の基線の特徴は表1に示され、これは慢性血液透析の開始時におけるESRD対象のより大きな集団の基線の特徴に類似する26。基線のpGSNレベルの分布を表1に示す。平均pGSNレベルは、140±42mg/Lであり、2人(1%)の対象のみが、健常志願者において報告された平均レベルである250mg/L(表1および表5における破線)またはそれより高い基線レベルを示した14、27。血漿ゲルソリンレベルは、年齢(r=−0.18、p<0.01)、ならびに筋量および栄養の基線の測定値、例えば血清クレアチニン(r=0.26、p<0.01)およびアルブミンレベル(r=0.34、p<0.01)と逆相関していた。pGSNと肥満度指数との間の相関は、0.02(p>0.05)であった。基線hs−CRPレベルを三分位値において試験した場合、hs−CRPの最低レベルを有するものは、pGSNの最高レベルを示した:三分位値1、hs−CRP<12mg/L、pGSN 145±39mg/L;三分位値2&3、hs−CRP>12mg/L、pGSN 131±53mg/L、P=0.048)。線形回帰分析により、p値が0.1の閾値に達する表1中の連続型変数の間で、血清アルブミンのみがpGSNレベルと独立して相関したことを確認した(p<0.01)。
【0124】
血漿ゲルソリンおよび1年生存率:150人の対象の間のpGSNレベルの中央値は、141mg/L(IQR 116〜161mg/L)であった。二項式のpGSNレベル(<または≧141mg/L)による一年生存率のKaplan-Meier分析は,基線のpGSNレベルによる有意な生存率の差異を示した(図2、上のパネル)。同様に、pGSNを三分位値に分割することにより、基線のpGSNレベルと1年死亡率との段階的関係が明らかとなった(図2、下のパネル)。1年以内に死亡した者の死亡日の中央値は、188日(IQR 89〜297日)であった。
【0125】
223人の患者の症例−対照サンプルを、その後、1年生存率を試験するために利用した。1年後の転帰による基線の特徴を表2に表わす。1年以内に死亡した者は、少々年長であり、その最初の血管アクセスとして静脈内カテーテルを有する可能性が高く(動静脈フィステルまたはグラフトと比較して)、基線においてより低い血清アルブミンおよびより高い白血球数を有した。これらの基線の差異は、血液透析死亡率の先の研究において報告されている26。平均pGSNレベルは、死亡した患者において(117±38mg/L)、生存者(147±42mg/L、p<0.001)と比較して、有意により低い。基線のpGSNレベルは、心血管性の死亡(n=59、116±41mg/L)と感染性の死亡(n=55、117±34mg/L、p=0.91)との間で相違しなかった。
【0126】
死亡率の多変量分析:本発明者らは、次いで、重要な共変量および交絡因子の候補について調整した後で(表3)、pGSNレベルと1年死亡率との関係を試験した。基線のpGSNの10mg/Lの減少毎に、その後の死亡率のリスクは15%ずつ増大した(95%CI、7〜23%)。最も低い基線レベル(三分位値1、<130mg/L)を有する者のリスクは、1年の死亡の全ての原因および感染性の原因について最も高いリスクを示した。両方の知見は有意であり、強力な線形の傾向を示した。心血管系の死因についての結果は、より有意度が低かった。これらの分析において、hs−CRPは1年死亡率と有意に関連していなかった。さらに、一変量分析において有意であった血清クレアチニンは、モデルをpGSNについて調整した後ではもはや有意ではなかった。
【0127】
栄養および筋量の尺度である血清アルブミンは、ESRD死亡率と強力に関連していた28。本発明者らは、次いで、血清アルブミンの多変量モデルに対する影響を試験し、pGSNの各三分位値について推定されたポイントは血清アルブミンがない場合に中程度により大きいが、有意度のレベルおよび方向は血清アルブミンの添加により変化しなかったことに注目した。あるいは、pGSNを含めること、または除くことにより、血清アルブミンについて以下の結果が得られた:pGSNを除いたもの、三分位値1(血清アルブミン<3.2mg/dl)、OR 3.0、95%CI 1.1〜6.4;三分位値2(3.2〜3.6mg/dl)、OR 1.1、0.5〜2.4;三分位値3(>3.6mg/dl)、OR 1.0(ref);pGSNを含めたもの、三分位値1、OR 2.0、95%CI 0.8〜4.9;三分位値2、OR 1.0、0.5〜2.4;三分位値3、OR 1.0(ref)。血清アルブミンを連続型変量としてモデル化した場合、それは、pGSNについて調整した後であっても有意であり続けた(pGSNを除いたもの、血清アルブミンの増加1mg/dl毎にOR 0.32、95%CI 0.15〜0.67;pGSNを含めたもの、OR 0.39、95%CI 0.18〜0.83)。したがって、モデルへのpGSNの追加は、血清アルブミンと死亡率との間の関係を減弱するが、失わせるものではなかった。
【0128】
循環アクチン、pGSNおよび死亡率:ウェスタンブロットを用いて血漿アクチンを検出した。アクチンポリペプチドはブロット上の分離したバンドとして明確に視認し得、質量分析によりこれらのバンドを真正のアクチンとして確認したが、高い血漿タンパク質濃度および相対的に低い抗アクチン抗体のアフィニティーに起因する非特異的なバックグラウンド染色の存在が、サンプル中のアクチンタンパク質の詳細な定量を妨げた。患者の69%が、基線において循環アクチンを有し、糖尿病性腎不全患者(85%)は、他の腎不全の原因を有する患者(59%、P<0.001)より、循環アクチンを有する可能性がより高かった。アクチンを有さないものと比較して、アクチンを有する患者においてpGSNのレベルはより低く(それぞれ141±36mg/L対127±45mg/L、P=0.02)(図3)、これは、敗血症サンプルにおける先の結果と一致した10
【0129】
本発明者らは、したがって、基線の血漿アクチン(存在対不在)と1年死亡率との関係を試験した。一変量分析において、アクチンの存在は、1年での死亡についてのリスクの3.5倍の増大(95%CI 1.9〜6.4)をもたらした。この関係は、多変量分析において持続した(OR 4.6、95%CI 2.0〜10.5)。一変量分析において早期の死亡と有意に関連する(OR 1.8、95%CI 1.1〜3.0)糖尿病性腎不全の存在は、循環アクチンについて調整した後では有意ではなくなった(OR 1.3、95%CI 0.7〜2.3)。pGSNが組織損傷により放出されたアクチンに結合し、アクチン誘導性の傷害を抑止し得ることを考慮し14、20、27、42、本発明者らは、低pGSNおよび高アクチンが有害転帰のリスクを増大させるであろうとの仮説を立てた。
【0130】
本発明者らは、次いで、pGSNレベルおよびアクチンの存在または不在による1年死亡率についてのリスクを試験した(図4)。これらの分析において、pGSNを、上記のとおり二項式変量へと分割した。これらの結果から、低pGSNと検出可能なアクチンとの組み合わせパラメーターのは、相加的というよりは相乗的に、死亡のリスクに関連している可能性があることが示唆された。
【0131】
静脈静脈カテーテルと死亡率:本発明者らは、相互作用項(例えばpGSN×共変量)を重要な共変数による多変量モデルに含めることにより、さらなる効果改善を探索した。示唆された唯一のさらなる相互作用は、血管アクセスの型(P=0.04)であった。静脈静脈カテーテルの血管アクセスは早期死亡についてのリスクの増大と関連するが29、死亡に対して最も鋭敏なものを解明することは困難であった。カテーテル(129±49mg/L)または動静脈フィステルもしくはグラフト(136±32mg/L、P=0.24)を用いて血液透析を開始している患者は、基線において、pGSNのレベルによっても循環アクチンの頻度によっても(それぞれ71%対68%、P=0.67)相違しなかった。しかし、静脈静脈カテーテルは、1年死亡率リスクに影響を及ぼすと考えられる(表4)。静脈静脈カテーテルを有する患者の間で、低いpGSNおよび検出可能な循環アクチンを有するものは、高いpGSNを有し検出可能なアクチンを有しないものと比較して、全体的な死亡率が著しく高かった(OR 25.9、95%CI 4.3〜157.0)。
【0132】
pGSN、循環アクチンおよび慢性腎疾患:
pGSNは、慢性腎疾患を有する透析を受けていない対象における推定腎糸球体ろ過速度と直接相関する(r=0.39、P=0.003)(表5)。男性(153±43mg/L)は、女性(136±52mg/L、p=0.09)より高いレベルのpGSNを有する傾向があった。腎疾患の末期におけるレベル(例えばステージ3および4)は、慢性血液透析の開始時に見出されるものに匹敵した。しかし、これらのレベルは、ステージ1および2から得られたサンプルにおけるものよりも有意により低かった(P=0.002)(図6)。循環アクチンの頻度は、透析コホートにおける69%と比較して、この透析前コホートにおいて11%であった(P<0.001)。
【0133】
考察:
血液透析を開始している患者は、健常対照において見出されるより平均30〜50%低くまで低下したpGSNレベルを有する。pGSNは、進行性の腎疾患と共に低下し、このことは、pGSNの低下が慢性透析開始の上流の機序に起因することを示唆する。慢性血液透析の開始の後で、pGSNは、有害転帰を伴う段階的な逆方向の関係を示す−レベルが低いほど、1年死亡率についてのリスクは高い。
【0134】
損傷の部位におけるpGSNの貯留または循環アクチンによるクリアランスは、急性の発作に続くpGSNの濃度の低下の主要な原因であり得ると考えられる。これらの要因はまた、ESRDにおけるpGSNの減少に起因し得るが、さらに、合成の障害が重要であり得る。例えば、尿毒症はユビキチン―プロテアソーム経路の活性の増大により特徴づけられ43、最近では、この経路の活性の増大は、pGSNの細胞内アイソフォームであるcGSNの分解の増大に関連付けられている44。さらに、pGSNの分子量は約93kDaであるので、pGSNが血液透析により除去される可能性は低い。図7において強調するように、透析患者における産生の低下と進行中の組織損傷に起因する消費の増大との組合せは、末期腎不全対象におけるpGSNの循環レベルの低下の幾つかの病因の候補である。pGSN合成は、構成的であり、炎症における急性期反応物のようには増加しない35。筋肉はpGSNの主要なソースであるため、血清アルブミンおよびクレアチニンとの相関は、タンパク質−エネルギーを消耗するESRDの特徴がpGSN低下に寄与し得ることを示唆する4、8、28、36、37、38、43、45、46。pGSNは、血清クレアチニンおよびアルブミンと血液透析の死亡率との間のさもなくば強力な関係を減弱し、このことは、死亡率を説明する上でのこれらのパラメーターの間の少なくとも部分的なオーバーラップを示唆する。
【0135】
pGSNレベルが最も低く、死亡についてのリスクが最も高い患者は、検出可能な循環アクチンを有する者であった。アクチンは、急性の肺または肝臓の損傷を有する患者14、重篤な外傷を有する患者の血漿において、および健常血液ドナーにおいてすら47検出可能であった。3分の2より多くの血液透析患者における循環アクチンは、ESRDを有する患者において報告される広範な組織損傷および過剰な筋タンパク質異化反応と整合する43、48、49、50。広範囲の内皮細胞損傷および著しく高い死亡率を有する群である1、51、52、糖尿病性腎不全を有する殆ど(85%)の患者は、循環アクチンを有し、循環アクチンの調節が、先に報告されていた41糖尿病の状態と死亡率との間の関係を解消するという知見は興味深いものであった。循環アクチンは、急性呼吸促迫症候群を有する患者において20、および敗血症の動物モデルにおいて記述されている(表5)11。pGSN枯渇と対照的に、検出可能な循環アクチンは、透析の前の進行性腎疾患においてはより頻度が低く、このことは、透析自体が、おそらくは急性の血行動態的フラックスまたは透析膜生物適合性に起因して53、組織の損傷に寄与し、アクチンを循環中に放出する可能性があることを示唆する。
【0136】
pGSN枯渇は、ESRDにおける心血管イベントおよび敗血症に起因する筋消耗、組織損傷、炎症および死亡と関連し得る。pGSN枯渇は、実際に、他の慢性的な消耗状態を特徴づける場合がある。pGSNは、血小板活性化因子、リゾホスファチジン酸、リポテイコ酸、aβペプチドおよびリポ多糖エンドドキシンを含む炎症メディエーターに貪欲に結合し、これらのアゴニストの標的細胞に対する効果を低下させる12、30、31、32、33。pGSN枯渇に起因するこれらのメディエーターの緩衝化の喪失は、血管性疾患およびその死亡率への寄与を悪化させ得る。脈管構造に対する循環アクチンの毒性の効果もまた重要であり得る20、54。pGSNの欠乏はまた、重複する感染症の転帰を悪化させ得る10、11、34。低いpGSNおよび循環アクチンは、グラフトまたはフィステルにより管理された患者と比較として、カテーテルにおける早期の死亡についてのリスクを著しく増大させた。pGSNがアクチン含有生物膜を破壊する能力の減弱化は、低いpGSNおよび高いアクチンがカテーテルを装着した患者における有害転帰の素因となりやすいことの一機序であり得る55、56。さらに、アクチンは、デフェンシンとして知られる白血球により誘導されるカチオン性抗菌ポリペプチドの活性を損なう42
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【0141】
【表5】

【0142】
参考文献:
【表6】

【0143】
【表7】

【0144】
【表8】

【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
等価物
前述の書面による明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分であるものとみなされる。本発明は、提供される例によりその範囲において限定されるべきものではない。なぜならば、例は、本発明の1または2以上の側面の単なる説明として意図されるものであるからである。他の機能的に等価な態様は、本発明の範囲内としてみなされる。本明細書において示され記載されるものに加えて、本発明の多様な改変が、前述の記載から当業者に明らかとなるであろう。本発明の限定の各々は、本発明の多様な態様を包含することができる。したがって、任意の1要素または要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々が本発明の各側面において含まれ得ることが理解される。本発明は、その出願において、図面において記載または説明された構造および成分の配置の詳細に限定されない。本発明は、他の態様が可能であり、多様な方法により実施され、実行されることができる。
【0148】
また、本明細書において用いられる用語または専門用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとしてみなされるべきではない。本明細書中の「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」およびこれらの変化形の使用は、その後に列記される項目およびその等価物ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
本願において引用される全ての参考文献、特許および特許出願は、本明細書においてその全体が援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法であって、
前記対象からのゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較すること、および
前記予め決定された値と比較したゲルソリンのレベルに基づいて前記対象の死亡リスクを特徴づけること(ここで、前記予め決定された値より低いゲルソリンのレベルは、前記対象が増加した死亡リスクを有することを示す)
を含む、前記方法。
【請求項2】
予め決定された値が約190ナノグラム/マイクロリットル(ng/μl)血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象からのゲルソリンのレベルを得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ゲルソリンのレベルが対象の体液中のものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
体液が、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)または尿である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
死亡が感染症により引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
感染症が、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、抗酸菌、スピロヘータ、放線菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ウレアプラズマ属種、マイコプラズマ属種、クラミジア属種またはニューモシスチス属種により引き起こされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グラム陽性細菌が、パスツレラ属種、スタフィロコッカス属種、ストレプトコッカス属種、バチルス・アントラシス、コリネバクテリウム属種、ジフテロイド種、リステリア属種、エリシペロスリクス属種およびクロストリジウム属種である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
グラム陰性細菌が、ナイセリア属種、ブランハメラ属種、エシェリキア属種、エンテロバクター属種、プロテウス属種、シュードモナス属種、クレブシエラ属種、サルモネラ属種、シゲラ属種、セラチア属種、アシネトバクター属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、エルシニア属種、フランシセラ属種、パスツレラ属種、ビブリオ・コレラエ種、フラボバクテリウム属種、シュードモナス属種、カンピロバクター属種、バクテロイデス属種、フソバクテリウム属種、カリマトバクテリウム属種、ストレプトバチルス属種またはレジオネラ属種である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
抗酸菌がマイコバクテリウム属種である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
スピロヘータが、トレポネーマ属種、ボレリア属種またはレプトスピラ属種である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ウイルスが、レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水胞性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルスまたは未分類のウイルスである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
真菌が、クリプトコッカス属種、ヒストプラズマ属種、コクシジオイデス属種、パラコクシジオイデス属種、ブラストミセス属種、クラミジア属種、カンジダ属種、スポロトリクス属種、アスペルギルス属種またはムコール感染症の真菌である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
寄生虫が、プラスモジウム属種、トキソプラズマ属種、バベシア属種、リューシュマニア属種またはトリパノソーマ属種である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
死亡が心血管イベントにより引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
心血管イベントが、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、卒中または突然死である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象が透析を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象が末期腎疾患を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法であって、
前記対象からのアクチンのレベルを予め決定された値と比較すること、および
前記予め決定された値と比較したアクチンのレベルに基づいて前記対象の死亡リスクを特徴づけること(ここで、前記予め決定された値よりも高いアクチンのレベルは、前記対象が増大した死亡リスクを有することを示す)
を含む、前記方法。
【請求項23】
予め決定された値が約0.01μg/ml血漿である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
予め決定された値が約0.1μg/ml血漿である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
対象からのアクチンのレベルを得ることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
アクチンのレベルが対象の体液中のものである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
体液が、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)または尿である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
死亡が感染症により引き起こされる、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
感染症が、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、抗酸菌、スピロヘータ、放線菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ウレアプラズマ属種、マイコプラズマ属種、クラミジア属種またはニューモシスチス属種により引き起こされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
グラム陽性細菌が、パスツレラ属種、スタフィロコッカス属種、ストレプトコッカス属種、バチルス・アントラシス、コリネバクテリウム属種、ジフテロイド種、リステリア属種、エリシペロスリクス属種およびクロストリジウム属種である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
グラム陰性細菌が、ナイセリア属種、ブランハメラ属種、エシェリキア属種、エンテロバクター属種、プロテウス属種、シュードモナス属種、クレブシエラ属種、サルモネラ属種、シゲラ属種、セラチア属種、アシネトバクター属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、エルシニア属種、フランシセラ属種、パスツレラ属種、ビブリオ・コレラエ種、フラボバクテリウム属種、シュードモナス属種、カンピロバクター属種、バクテロイデス属種、フソバクテリウム属種、カリマトバクテリウム属種、ストレプトバチルス属種またはレジオネラ属種である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
抗酸菌がマイコバクテリウム属種である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
スピロヘータが、トレポネーマ属種、ボレリア属種またはレプトスピラ属種である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
ウイルスが、レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水胞性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルスまたは未分類のウイルスである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
真菌が、クリプトコッカス属種、ヒストプラズマ属種、コクシジオイデス属種、パラコクシジオイデス属種、ブラストミセス属種、クラミジア属種、カンジダ属種、スポロトリクス属種、アスペルギルス属種またはムコール感染症の真菌である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
寄生虫が、プラスモジウム属種、トキソプラズマ属種、バベシア属種、リューシュマニア属種またはトリパノソーマ属種である、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
死亡が心血管イベントにより引き起こされる、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
心血管イベントが、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、卒中または突然死である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象が透析を受けている、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
対象が末期腎疾患を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
腎不全対象の死亡リスクを特徴づけるための方法であって、
前記対象からのゲルソリンのレベルを第1の予め決定された値と比較して、第1のリスク値を確立すること、
前記対象からのアクチンのレベルを第2の予め決定された値と比較して、第2のリスク値を確立すること、および
前記第1のリスク値と第2のリスク値との組合せに基づいて前記対象の死亡リスクを特徴づけること(ここで、前記第1のリスク値と第2のリスク値との組合せは、前記第1および第2のリスク値とは異なる第3のリスク値を確立する)、
を含む、前記方法。
【請求項43】
第1の予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1の予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
第1の予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
第2の予め決定された値が約0.01μg/ml血漿である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
第2の予め決定された値が約0.1μg/ml血漿である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
対象からのゲルソリンのレベルを得ることをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
ゲルソリンのレベルが対象の体液中のものである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
対象からのアクチンのレベルを得ることをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
アクチンのレベルが対象の体液中のものである、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
体液が、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)または尿である、請求項49または51に記載の方法。
【請求項53】
死亡が感染症により引き起こされる、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
感染症が、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、抗酸菌、スピロヘータ、放線菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ウレアプラズマ属種、マイコプラズマ属種、クラミジア属種またはニューモシスチス属種により引き起こされる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
グラム陽性細菌が、パスツレラ属種、スタフィロコッカス属種、ストレプトコッカス属種、バチルス・アントラシス、コリネバクテリウム属種、ジフテロイド種、リステリア属種、エリシペロスリクス属種およびクロストリジウム属種である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
グラム陰性細菌が、ナイセリア属種、ブランハメラ属種、エシェリキア属種、エンテロバクター属種、プロテウス属種、シュードモナス属種、クレブシエラ属種、サルモネラ属種、シゲラ属種、セラチア属種、アシネトバクター属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、エルシニア属種、フランシセラ属種、パスツレラ属種、ビブリオ・コレラエ種、フラボバクテリウム属種、シュードモナス属種、カンピロバクター属種、バクテロイデス属種、フソバクテリウム属種、カリマトバクテリウム属種、ストレプトバチルス属種またはレジオネラ属種である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
抗酸菌がマイコバクテリウム属種である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
スピロヘータが、トレポネーマ属種、ボレリア属種またはレプトスピラ属種である、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
ウイルスが、レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水胞性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルスまたは未分類のウイルスである、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
真菌が、クリプトコッカス属種、ヒストプラズマ属種、コクシジオイデス属種、パラコクシジオイデス属種、ブラストミセス属種、クラミジア属種、カンジダ属種、スポロトリクス属種、アスペルギルス属種またはムコール感染症の真菌である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
寄生虫が、プラスモジウム属種、トキソプラズマ属種、バベシア属種、リューシュマニア属種またはトリパノソーマ属種である、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
死亡が心血管イベントにより引き起こされる、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
心血管イベントが、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、卒中または突然死である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
対象が透析を受けている、請求項42に記載の方法。
【請求項65】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
対象が末期腎疾患を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項67】
腎不全対象における治療の有効性を評価するための方法であって、
(i)前記対象からのゲルソリンのレベルを予め決定された値と比較する工程、および
(ii)前記ゲルソリンのレベルが前記予め決定された値と同じであるかまたはそれより高いかを決定する工程(ここで、前記決定は、治療が有効であるか否かの指標である)、
を含む、前記方法。
【請求項68】
対象のゲルソリンのレベルを経時的にモニタリングするために工程(i)および(ii)を繰り返す、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
対象が透析を受けている、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
対象が末期腎疾患を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
治療が感染症のリスクを低下させるためのものである、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
腎不全対象を処置するための方法であって、
かかる処置を必要とする腎不全対象に、該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より高く上昇させるために、ゲルソリンの有効量を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項77】
対象がゲルソリンによる処置を必要とする徴候を他に有さない、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
ゲルソリンを、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内または皮下投与する、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
対象が透析を受けている、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
対象が末期腎疾患を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
感染症を有するかまたは感染症を発症するリスクを有する腎不全対象を処置するための方法であって、
ゲルソリンを、かかる処置を必要とする腎不全対象に、感染症のリスクを低減する有効量で投与すること
を含む、前記方法。
【請求項87】
感染症が、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、抗酸菌、スピロヘータ、放線菌、ウイルス、真菌、寄生虫、ウレアプラズマ属種、マイコプラズマ属種、クラミジア属種またはニューモシスチス属種により引き起こされる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
対象がゲルソリンによる処置を必要とする徴候を他に有さない、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
グラム陽性細菌が、パスツレラ属種、スタフィロコッカス属種、ストレプトコッカス属種、バチルス・アントラシス、コリネバクテリウム属種、ジフテロイド種、リステリア属種、エリシペロスリクス属種またはクロストリジウム属種である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
グラム陰性細菌が、ナイセリア属種、ブランハメラ属種、エシェリキア属種、エンテロバクター属種、プロテウス属種、シュードモナス属種、クレブシエラ属種、サルモネラ属種、シゲラ属種、セラチア属種、アシネトバクター属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、エルシニア属種、フランシセラ属種、パスツレラ属種、ビブリオ・コレラエ種、フラボバクテリウム属種、シュードモナス属種、カンピロバクター属種、バクテロイデス属種、フソバクテリウム属種、カリマトバクテリウム属種、ストレプトバチルス属種またはレジオネラ属種である、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
抗酸菌がマイコバクテリウム属種である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
スピロヘータが、トレポネーマ属種、ボレリア属種またはレプトスピラ属種である、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
ウイルスが、レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水胞性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルスまたは未分類のウイルスである、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
真菌が、クリプトコッカス属種、ヒストプラズマ属種、コクシジオイデス属種、パラコクシジオイデス属種、ブラストミセス属種、クラミジア属種、カンジダ属種、スポロトリクス属種、アスペルギルス属種またはムコール感染症の真菌である、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
寄生虫が、プラスモジウム属種、トキソプラズマ属種、バベシア属種、リューシュマニア属種またはトリパノソーマ属種である、請求項86に記載の方法。
【請求項96】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項86に記載の方法。
【請求項97】
ゲルソリンを、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内または皮下投与する、請求項86に記載の方法。
【請求項98】
第2の薬剤を投与することをさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項99】
対象が透析を受けている、請求項86に記載の方法。
【請求項100】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
対象が末期腎疾患を有する、請求項86に記載の方法。
【請求項102】
腎不全対象においてゲルソリンのレベルを上昇させるための処置の方法であって、
かかる処置を必要とする腎不全対象に、該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値より高く上昇させることを目的として、ゲルソリンの有効量の投与を受けることを指示すること
を含む、前記方法。
【請求項103】
対象がゲルソリンによる処置を必要とする徴候を他に有さない、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項102に記載の方法。
【請求項108】
対象が、ゲルソリンの、経口、舌下、口腔内、鼻内、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内または皮下投与を受けることを指示される、請求項102に記載の方法。
【請求項109】
対象が透析を受けている、請求項102に記載の方法。
【請求項110】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
対象が末期腎疾患を有する、請求項102に記載の方法。
【請求項112】
腎不全対象を、該対象におけるゲルソリンのレベルを上昇させるために処置するための方法であって、
前記対象にゲルソリンを含むパッケージを提供すること、および
前記対象に、前記ゲルソリンが該対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値よりも高く上昇させるためのものであることを示す表示を提供すること、
を含む、前記方法。
【請求項113】
対象がゲルソリンによる処置を必要とする徴候を他に有さない、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
対象が透析を受けている、請求項112に記載の方法。
【請求項119】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
対象が末期腎疾患を有する、請求項112に記載の方法。
【請求項121】
ゲルソリンを含むパッケージを含み、および前記ゲルソリンが腎不全対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値よりも高く上昇させるためのものであることを示す表示を含む、医学的処置製品。
【請求項122】
対象がゲルソリンによる処置を必要とする徴候を他に有さない、請求項121に記載の製品。
【請求項123】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項121に記載の製品。
【請求項124】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項121に記載の製品。
【請求項125】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項121に記載の製品。
【請求項126】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項121に記載の製品。
【請求項127】
対象が透析を受けている、請求項127に記載の製品。
【請求項128】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項127に記載の製品。
【請求項129】
対象が末期腎疾患を有する、請求項121に記載の製品。
【請求項130】
腎不全対象におけるゲルソリンのレベルを予め決定された値よりも高く上昇させるための医薬の製造における、ゲルソリンの使用。
【請求項131】
予め決定された値が約190ng/μl血漿である、請求項130に記載の使用。
【請求項132】
予め決定された値が約150ng/μl血漿である、請求項130に記載の使用。
【請求項133】
予め決定された値が約120ng/μl血漿である、請求項130に記載の使用。
【請求項134】
ゲルソリンが、血漿ゲルソリン(pGSN)、細胞質ゲルソリン(cGSN)、アドビリン、ビリン、capG、フライトレスプロテイン、フラグミン、セベリン、アドセベリン、プロトビリン、および/またはスーパービリンである、請求項130に記載の使用。
【請求項135】
対象が透析を受けている、請求項130に記載の使用。
【請求項136】
透析が血液透析または腹膜透析である、請求項135に記載の使用。
【請求項137】
対象が末期腎疾患を有する、請求項130に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−510327(P2011−510327A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544349(P2010−544349)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/000452
【国際公開番号】WO2009/094194
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【出願人】(501368643)ザ・ブリガーム・アンド・ウーメンズ・ホスピタル・インコーポレーテッド (10)
【出願人】(301033259)ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センター,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】