説明

腎細胞ガンを処置するための方法

【課題】IL−2で腎細胞ガンを処置するための有効な方法を提供する。
【解決手段】低用量のIL−2を使用して腎細胞ガンを処置するための方法が開示される。具体的には、本発明は、腎臓が正常に機能していない、および/または高用量のIL−2療法に寛容ではない患者の転移性腎細胞ガンを処置する方法に関する。本明細書中で開示される治療レジュメによっては、腫瘍の増殖が有意に阻害され、高用量のIL−2療法と比較すると毒性が低く有害な副作用も少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、IL−2で腎細胞ガンを処置するための方法に関する。具体的には、本発明は、腎臓が正常に機能していないか、または高用量のIL−2療法に寛容ではない患者の腎細胞ガンを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インターロイキン−2(IL−2)は、ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞の増殖および機能の強力な刺激因子である(非特許文献1)。この自然界に存在しているリンホカインは、様々な悪性腫瘍に対して、単独で、またはリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞もしくは腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)と組み合わせられた場合に、抗腫瘍活性を有していることが示されている(例えば、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6を参照のこと)。IL−2の抗腫瘍活性は、転移性黒色腫および腎細胞ガンの患者において、Chrion Corporation Emeryville、CAから市販されている。IL−2製剤であるプロリューキン(Proleukin)(登録商標)を使用して記載されている。リンパ腫を含む他の疾患もまた、IL−2での処置に応答するようである(非特許文献7)。しかし、腫瘍の増殖に関してポジティブな治療結果を得るために使用される高用量のIL−2は、頻繁に、深刻な副作用を引き起こし、これには、発熱および悪寒、低血圧および毛細血管漏出(毛細血管漏出症候群すなわちVLS)、ならびに神経学的変化が含まれる(例えば、非特許文献8;非特許文献9;および非特許文献10を参照のこと)。
【0003】
転移性腎細胞ガン(RCC)は、一般的には、単剤または組み合わせられた複合剤のいずれを用いた場合にも、化学療法に対しては抵抗性である。免疫療法を用いて、具体的には、IL−2の使用によっては、より大きな成功が見られている。高用量の静脈内IL−2を用いた治療によっては、およそ15%の患者において目的とする腫瘍応答が生じ、その一部は持続性であった。しかし、高用量のIL−2の投与には毛細管漏出症候群が伴い、これによっては、低血圧や臓器の潅流の低下が生じ、これは重症となり得、時には死に至る。これらの毒性により、一般的には、その投与に関してかなりの経験を持つ医師によって投与される患者の厳選されたグループに対しては、IL−2の使用は制限される。低容量の使用、および単独で、または他の生物剤(例えば、インターフェロン−α)と組み合わせられたIL−2の皮下投与レジュメは、この疾患により広く適用できる治療法を開発するために努力して研究されてきた(例えば、非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;および非特許文献15を参照のこと)。
毒性が低く、そして治療効果が改善された、腎細胞ガンの患者を処置するための改良された治療方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Morganら、(1976)Science 193:1007−1011
【非特許文献2】Rosenbergら、N.Engl.J.Med.(1987)316:889−897
【非特許文献3】Rosenberg,Ann.Surg.(1988)208:121−135
【非特許文献4】Topalianら、J.Clin.Oncol.(1988)6:839−853
【非特許文献5】Rosenbergら、N.Engl.J.Med.(1988)319:1676−1680
【非特許文献6】Weberら、J.Clin.Oncol.(1992)10:33−40
【非特許文献7】Gisselbrechtら、Blood(1994)83:2020−2022
【非特許文献8】Dugganら、J.Immunotherapy(1992)12:115−122
【非特許文献9】Gisselbrechtら、Blood(1994)83:2081−2085
【非特許文献10】Sznol and Parkinson,Blood(1994)83:2020−2022
【非特許文献11】Niekenら、Cancer Biother.Radiopharm.(1996)11:289−295
【非特許文献12】Sleijferら、J.Clin.Oncol.(1992)10:1119−1123
【非特許文献13】Lessoniら、Anticancer Res.(2002)22:1061−1−1064
【非特許文献14】Touraniら、J.Clin.Oncol.(1998)16:2505
【非特許文献15】Schillerら、Cancer Res.(1993)53:1286−1292
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、IL−2で腎細胞ガンを処置するための有効な方法を提供する。この方法は、毒性を低下させるために、高用量のIL−2療法においてこれまでに使用されてきた投与量と比較して比較的低用量のIL−2を利用する。本明細書中の実施例に示すように、この治療レジュメによっては腫瘍の増殖が有意に阻害され、有害な副作用は少ない。そして高用量のIL−2療法を寛容できない患者についての別の処置を提供する。
【0006】
1つの態様においては、本発明は、腎細胞ガンのヒト患者を処置するための方法を提供する。特定の実施形態においては、患者は、腎臓が正常に機能していない。特定の実施形態においては、腎細胞ガンは転移性である。特定の実施形態においては、患者は、高用量のIL−2療法に寛容ではない。
【0007】
1つの実施形態においては、この方法は、a)1日に1〜52MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間のうちに3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;およびb)1〜4週間、IL−2を投与しない工程を含む。
【0008】
別の実施形態においては、この方法は、a)1〜52MIUのIL−2の用量を、5日〜1ヶ月ごとに、1〜24週間繰り返して投与する工程であって、IL−2がポリエチレングリコールまたはポリオキシエチル化ポリオールに共有結合されている工程;およびb)1〜4週間、IL−2を投与しない工程を含む。
【0009】
さらなる実施形態においては、この方法は、a)1日に9〜18MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間のうちに3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;b)1〜4週間、IL−2を投与しない工程;c)1日に9MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間のうちに3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;およびd)1〜4週間、IL−2を投与しない工程を含む。
【0010】
なお別の実施形態においては、この方法は、a)最初に、1日に18MIUのIL−2の用量を、1週間のうちに5日間投与する工程;b)第2に、1週間のうちに、1日に9MIUのIL−2の用量を2日間、続いて、1日に18MIUのIL−2の用量を、3日間投与することを、5週間繰り返す工程;c)第3に、3週間、IL−2を投与しない工程;d)第4に、1日に9MIUのIL−2の用量を、1週間に5日間、6週間繰り返して投与する工程;ならびに、e)第5に、3週間、IL−3を投与しない工程を含む。
【0011】
本明細書中に記載される方法の任意のものにおいては、IL−2は組み換え生成されたIL−2であり得る。IL−2には、ヒトIL−2、あるいは、ヒトIL−2(配列番号1)の配列に対して少なくとも約70〜100%の配列同一性(これには、これらの範囲内の任意のパーセント同一性、例えば、それに対する70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の配列同一性が含まれる)を有している配列を含むその変異体を含み得る。特定の実施形態においては、IL−2はIL−2ムテインであり、例えば、Ala104Ser125IL−2;des−Alades−Prodes−Thrdes−SerAla104Ser125IL−2;およびdes−Alades−Prodes−Thrdes−Serdes−Serdes−SerIL−2であるが、これらに限定はされない。好ましい実施形態においては、IL−2ムテインは、des−アラニル−1、セリン−125ヒトインターロイキン−2(アルデスロイキン)である。
【0012】
特定の実施形態においては、IL−2はポリエチレングリコールに結合している。例示的なポリエチレングリコールとしては、1,000から40,000ダルトンの平均分子量を有しているポリエチレングリコール、2,000から20,000ダルトンの平均分子量を有しているポリエチレングリコール、および3,000から12,000ダルトンの平均分子量を有しているポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0013】
他の実施形態においては、IL−2は、ポリオキシエチル化ポリオールに共有結合している。例示的なポリオキシエチル化ポリオールとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、およびポリオキシエチル化グリセロールが挙げられるが、これらに限定はされない。特定の実施形態においては、ポリオキシエチル化ポリオールは、1,000から40,000の平均分子量を有しているポリオキシエチル化グリセロールである。
【0014】
本明細書中に記載される方法の任意のものにおいては、多サイクルの処置方法を、少なくとも部分的な腫瘍応答を得るために十分な時間、被験体に施行する、ことができる。特定の実施形態においては、時間は少なくとも6ヶ月間である。特定の実施形態においては、時間は少なくとも12ヶ月間である。特定の実施形態においては、時間は、完全な腫瘍応答を得るために十分である。
【0015】
特定の実施形態においては、処置方法はさらに、a)1日に9MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回で、1週間に3〜6日間、1〜24週間の間繰り返して投与する工程;およびb)1〜4週間、IL−2を投与しない工程を含む、多サイクルの処置を含み、少なくとも部分的な腫瘍応答を得るために十分な時間、被検体に投与する。
【0016】
本明細書中に記載される方法の任意のものにおいては、IL−2は、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、経口、肺、鼻腔、局所、または経皮投与によって、あるいは、注入または坐剤によって投与することができる。好ましい実施形態においては、IL−2は皮下投与される。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
腎細胞ガンのヒト患者を処置するための方法であって、該患者は腎機能が低下しており、以下:
a)1日に1〜52MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間に3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;および
b)1〜4週間IL−2を投与しない工程
を含む方法。
(項目2)
腎細胞ガンのヒト患者を処置するための方法であって、該患者は腎機能が低下しており、以下:
a)1〜52MIUのIL−2の用量を、5日〜1ヶ月ごとに、1〜24週間繰り返して投与する工程であって、該IL−2が、ポリエチレングリコールまたはポリオキシエチル化ポリオールに共有結合している工程;および
b)1〜4週間IL−2を投与しない工程
を含む方法。
(項目3)
腎細胞ガンのヒト患者を処置するための方法であって、以下:
a)1日に9〜18MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間のうちに3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;
b)1〜4週間、IL−2を投与しない工程;
c)1日に9MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間のうちに3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;および
d)1〜4週間、IL−2を投与しない工程
を含む方法。
(項目4)
以下:
a)最初に、1日に18MIUのIL−2の用量を、1週間に5日間投与する工程;
b)第2に、各週の間に、1日に9MIUのIL−2の用量を2日間投与し、続いて、1日に18MIUのIL−2の用量を3日間投与し、これを5週間繰り返す工程;
c)第3に、3週間IL−2を投与しない工程;
d)第4に、1日に9MIUのIL−2の用量を、1週間に5日間、6週間繰り返して投与する工程;ならびに、
e)第5に、3週間IL−2を投与しない工程
を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有しているアミノ酸配列を含む、組み換え生成されたIL−2である、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有しているアミノ酸配列を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有しているアミノ酸配列を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記IL−2が、ヒトIL−2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有しているアミノ酸配列を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記IL−2がIL−2ムテインである、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記IL−2がdes−アラニル−1、セリン−125ヒトインターロイキン−2(アルデスロイキン)である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記IL−2が、Ala104Ser125IL−2;des−Alades−Prodes−Thrdes−SerAla104Ser125IL−2;およびdes−Alades−Prodes−Thrdes−Serdes−Serdes−SerIL−2からなる群より選択される、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記IL−2がポリエチレングリコールに結合されている、項目2に記載の方法。
(項目13)
前記ポリエチレングリコールが、1,000から40,000ダルトンの平均分子量を有している、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ポリエチレングリコールが、2,000から20,000ダルトンの平均分子量を有している、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記ポリエチレングリコールが、3,000から12,000ダルトンの平均分子量を有している、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記IL−2がポリオキシエチル化ポリオールに共有結合されている、項目2に記載の方法。
(項目17)
前記ポリオキシエチル化ポリオールが、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、およびポリオキシエチル化グリセロールからなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ポリオキシエチル化ポリオールがポリオキシエチル化グリセロールである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記ポリオキシエチル化グリセロールが、1,000から40,000の平均分子量を有している、項目18に記載の方法
(項目20)
前記腎細胞ガンが転移性である、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
多サイクルの処置方法が、少なくとも部分的な腫瘍応答を得るために十分な期間、前記被験体に施行される、項目3に記載の方法。
(項目22)
以下:
a)1日に9MIUのIL−2の用量を、1日に1〜3回の投与で、1週間に3〜6日間、1〜24週間繰り返して投与する工程;および
b)1〜4週間、IL−2を投与しない工程
を含む複数回の処置サイクルをさらに含み、少なくとも部分的な腫瘍応答を得るために十分な期間、前記被験体に施行する、項目3に記載の方法。
(項目23)
前記期間が少なくとも6ヶ月間である、項目21または22に記載の方法。
(項目24)
前記期間が少なくとも12ヶ月間である、項目21または22のいずれかに記載の方法。
(項目25)
腫瘍の完全寛解が生じる、項目21または22のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記IL−2を、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、経口、肺、鼻腔、局所、または経皮投与によって、あるいは、注入または坐剤によって投与する、項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記IL−2を皮下投与する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記患者は腎機能が低下している、項目3に記載の方法。
(項目29)
前記患者は高用量のIL−2処置を寛容できない、項目3に記載の方法。
(項目30)
項目1〜29のいずれか1項に記載の腎細胞ガンのヒト患者を処置するための医薬品の製造における、IL−2の使用。
本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書中の開示を参照して当業者であれば容易に思い浮かぶであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例3に記載される投与レジュメの後の、正常な腎機能を有している転移性腎細胞ガンの患者(血清クレアチニン(SCr)≦1.5mg/dL)および腎機能が正常に機能していない転移性腎細胞ガンの患者(SCr>1.5mg/dL)における低用量のIL−2の相対的な効力を比較する。図1は、年数での時間に対する無増悪生存率(PFS)を示す被験体の割合(%)のプロットと、年数での時間に対する生存している被験体の割合(%)のプロットを示す。
【図2】図2は、実施例3に記載される投与レジュメの後の、正常な腎機能を有している転移性腎細胞ガンの患者(SCr≦1.5mg/dL)および腎機能が正常に機能していない転移性腎細胞ガンの患者(SCr>1.5mg/dL)についての、全体的な応答率を示している棒グラフである。完全寛解(CR)を示す被験体の割合(%)を明るい影で示す。部分寛解(PR)を示す被験体の割合(%)を暗い影で示す。
【図3】図3は、ヒストリカル・コントロールグループに対して、本明細書中に記載される低用量のIL−2の第IV相臨床試験において処置した集団の患者特性(PS、腎摘出術前)を比較する。腎細胞ガンの患者の臨床試験によるヒストリカル・コントロールグループの記載については、Pyrhonenら(1999)J.Clin Oncol.17:2859−2867;Molzerら(1999)、J.Clin.Oncol.17:2530−40;Ritchieら(1999)Lancet 353:14−17;Kriegmairら(1995)Urology 45:758−762;およびJonesら(1993)Cancer Biother.8:275−288;Gleaveら(1998)New Engl.J.Med.338:1265−1271;Steineckら(1990)Acta Oncol.29:155−162;およびOsbandら(1990)Lancet 335:994−998を参照のこと。
【図4】図4は、ヒストリカル・コントロールグループに対して、本明細書中に記載される低用量のIL−2の第IV相臨床試験において処置した集団の患者予後(1年でのORR、PFS、OS、2年でのOS)を比較する。
【図5】図5は、IL−2の代わりに化学療法で処置したヒストリカル・コントロールグループの患者の生存率に対して、実施例3に記載される投与レジュメの後に低用量のIL−2で処置した患者の生存率を比較する(Jonesら(1993)J.Clin.Oncol.12:2714−2722)。患者を、以下のようにリスクファクターの層化についてのJonesシステムにしたがって、リスクグループに分けた:低リスク(Good Risk)(0〜1のリスクファクター)、中程度のリスク(Moderate Risk)(2のリスクファクター)、および予後不良(3つのリスクファクターの全て)。図5は、個々のリスクグループについての、年数での時間に対する生存している被験体の割合(%)の別々のプロットを示す。低用量のIL−2で処置した被験体についてのデータは実線で示す。化学療法で処置した被験体についてのデータは点線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施には、別段の記載がなければ、当業者の能力の範囲内である薬理学的、化学的、生化学的、組み換えDNA技術、および免疫学の従来法が使用されるであろう。このような技術は、文献の中で十分に説明されている。例えば、Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜IV巻(D.M.Weir and C.C.Blackwell編,Blackwell Scientific Publications);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,現行版);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manucal(第2版,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplam編.,Academic Press.Inc.)を参照のこと。
【0019】
本明細書中で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、上記または下記を問わず、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0020】
I.定義
本発明を記載する際には以下の用語を使用し、以下の用語は、以下に示されるように定義されることを意図する。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合は、単数形「a」、「an」、および「the」には、その状況について他に明確に示されていない限りは、複数についての言及も含まれる。したがって、例えば、「化学療法薬(a chemotherapeutic agent)」との言及には、2つ以上のそのような薬剤の混合物なども含まれる。
【0022】
用語「IL−2」は、本明細書中で使用される場合は、正常な末梢血リンパ球によって生産され、低濃度で体内に存在する、リンパ球に由来するタンパク質である。IL−2は、Morganら(1976)Science 193:1007−1008によって最初に記載され、これは、刺激されたTリンパ球の増殖を誘導するその能力の理由から、もともとはT細胞増殖因子と呼ばれていた。これは、13,000から17,000の範囲の分子量であることが報告されており(Gillis and Watson(1980)J.Exp.Med.159:1709)、そして6〜8.5の範囲に等電点を有しているタンパク質である。全長のIL−2タンパク質および生物学的活性のその断片のいずれもが、この定義に含まれる。この用語にはまた、IL−2の発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)も含まれる。さらに、本発明の目的については、用語「IL−2」は、タンパク質が生物学的活性(すなわち、抗腫瘍活性)を維持している限りにおいて、天然配列に対して欠失、付加、および置換(通常は、性質に関して保存的である)等の修飾が含まれているタンパク質も意味する。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるように意図的である場合も、また、例えば、タンパク質を生産する宿主の変異、もしくはPCR増幅が原因である誤りのような、偶然である場合もある。
【0023】
用語「〜に由来する」は、分子のもともとの供給源を特定するために本明細書中で使用されるが、それによって分子が作製される方法(例えば、化学合成または組み換え手段であり得る)を限定するようには意味されない。
【0024】
用語「変異体」、「アナログ」、および「ムテイン」は、所望される活性(例えば、本明細書中に記載される腎細胞ガンの処置における抗腫瘍活性)を保持している、参照分子の生物学的活性の誘導体を意味する。一般的には、用語「変異体」および「アナログ」は、修飾によって生物学的活性が破壊されない限りにおいて、天然分子と比較すると1つ以上のアミノ酸の付加、置換(通常は、性質に関して保存的である)、および/または欠失を有している天然ポリペプチド配列および構造を有している化合物を意味する。これは、以下に定義されるように、参照分子と「実質的に相同」である。一般的には、このようなアナログのアミノ酸配列は、参照配列に対して高い程度の配列相同性を有する。例えば、2つの配列がアラインメントされた場合には、アミノ酸配列相同性は50%を上回る、通常は、60〜70%を上回る、なおさらに具体的には、80〜85%またはそれ以上、例えば、少なくとも90〜95%またはそれ以上である。多くの場合は、アナログには、同じ数のアミノ酸が含まれるが、本明細書中で説明されるように、置換が含まれる。用語「ムテイン」には、さらに、1つ以上のアミノ酸様分子を有しているポリペプチドが含まれる。これには、アミノ酸および/またはイミノ分子だけを含む化合物、アミノ酸のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を1つ以上含むポリペプチド、置換された連結ならびに当該分野で公知の他の修飾を含むポリペプチド(自然界に存在しているものおよび自然界には存在しないもの(例えば、合成のもの)の両方、環化させられた分子、または分岐している分子)などが含まれるが、これらに限定はされない。この用語にはまた、1つ以上のN置換されたグリシン残基(「ペプトイド」)および他の合成のアミノ酸またはペプチドを含む分子も含まれる(ペプトイドの記載については、例えば、米国特許第5,831,005号;同第5,877,278号;および同第5,977,301号;Nguyenら、Chem Biol.(2000)7:463−473;およびSimonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1992)89:9367−9371を参照のこと)。好ましくは、アナログまたはムテインは、少なくとも、天然分子と同じ抗腫瘍活性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインを作製するための方法は当該分野で公知であり、以下にさらに記載される。
【0025】
上記に説明されるように、アナログには、一般的には、その性質に関して保存的である置換、すなわち、それらの側鎖に関係しているアミノ酸のファミリーの中で行われる置換が含まれる。具体的には、アミノ酸は、一般的には、以下の4つのファミリーに分けられる:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)電荷を有していない極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸として分類される場合もある。例えば、イソロイシンまたはバリンでのロイシンの単独の置換、グルタミンでのアスパラギン酸の単独の置換、セリンでのスレオニンの単独の置換、または構造的に関係しているアミノ酸でのアミノ酸の同様の保存的置換は、生物学的活性に対して主要な効果がないことは、合理的に推測できる。例えば、目的のポリペプチドには、約5個から10個までの保存的または非保存的アミノ酸置換を、なおさらには、約15個から25個までの保存的または非保存的アミノ酸置換を、または、5〜25の間の任意の整数個の置換が、分子の所望される機能が完全なまま保たれる限りは、含まれ得る。当業者は、当該分野で周知のHopp/WoodsプロットおよびKyte−Doolittleプロットを参照することにより、変化を容認することができる目的の分子の領域を容易に決定することができる。
【0026】
「誘導」により、天然ポリペプチドの所望される生物学的活性が保持される限り、目的の天然ポリペプチド、または天然ポリペプチドの断片、またはそれらのそれぞれのアナログの任意の適切な修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、ポリマーの結合(例えば、ポリエチレングリコールとの結合)、または他の外来部分の付加)が意図される。ポリペプチド断片、アナログ、および誘導体を作製する方法は、当該分野において一般的に利用することができる。
【0027】
「断片」により、完全な全長の配列および構造の一部だけから構成される分子が意図される。断片には、天然ポリペプチドのC末端欠失、N末端欠失、および/または内部欠失が含まれ得る。特定のタンパク質の活性断片には、通常、全長の分子の少なくとも約5〜10個の連続しているアミノ酸残基、好ましくは、全長の分子の少なくとも約15〜25個の連続しているアミノ酸残基、そして最も好ましくは、全長の分子の少なくとも約20〜50個またはそれ以上の連続しているアミノ酸残基、または、5個のアミノ酸から全長までの間の任意の整数個の配列が、問題となっている断片が生物学的活性(例えば、本明細書中で定義されるような抗腫瘍活性)を保持している限り、含まれる。
【0028】
「実質的に精製された」は、一般的には、存在している試料の大部分の割合(%)を占めるような物質(化合物、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド組成物)の単離を意味する。通常、試料中には、実質的に精製された成分が試料のうちの50%、好ましくは、80〜85%、より好ましくは90〜95%を占める。目的のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを精製するための技術は当該分野で周知であり、これには、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、および密度による沈殿が含まれる。
【0029】
「単離された」により、ポリペプチドについて言及される場合、示された分子が、その分子が自然界において見出される生物体全体とは分けられ、そして分離されているか、または、同じタイプの他の生物学的巨大分子が実質的に存在していない条件下で存在していることが意味される。用語「単離された」は、ポリヌクレオチドに関しては、自然界において通常それに伴われる配列が、完全に、または一部含まれない核酸分子であるか;または、それが自然界において存在しているのと同様に存在しているが、それとともに異種配列を有している配列であるか;あるいは、染色体から解離した分子である。
【0030】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド部分の間での同一性の割合(%)を意味する。2つの核酸、または2つのポリペプチドの配列は、これらの配列が、定義された分子の長さにわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示す場合に、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合は、実質的に相同とは、特定の配列に対して完全な同一性を示す配列も意味する。
【0031】
一般的には、「同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の、それぞれ、正確なヌクレオチド−対−ヌクレオチド、またはアミノ酸−対−アミノ酸の対応を意味する。同一性の割合(%)は、2つの分子(参照配列と、参照分子に対する%同一性がわかっていない配列)の間で配列情報を、配列をアラインメントし、2つのアラインメントされた配列の間での正確な適合の数をカウントし、参照配列の長さで割り算し、そして結果に100を掛け算することにより直接比較することによって決定することができる。ALIGN、Dayhoff,M.O.(Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff.編.,5 Suppl.3:353−358,National biomedical Research Foundation,Washington,DC)等の、容易に利用できるコンピュータープログラムを、分析の補助のために使用することができる。ここでは、ペプチドの分析のためには、Smith and Watermanの局所相同性アルゴリズムが採用されている(Advances in Appl.Math.2:482−489,1981)。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手できる)において、例えば、BESTFIT、FASTA、およびGAPプログラムを利用することができる。これらもまた、Smith and Watermanアルゴリズムによる。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、そして上記のWisconsin Sequence Analysis Packageにおいて記載されているデフォルトパラメーターを用いて、容易に利用できる。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性の割合(%)は、Smith and Watermanの相同性アルゴリズムを、デフォルトスコア表と、6ヌクレオチド位置のギャップペナルティーと共に使用して決定することができる。
【0032】
本発明の状況において同一性の割合(%)を確立するための別の方法は、John F.Collins and Shane S.Sturrokによって開発され、IntelliGenetics,Inc(Mountain View,CA)によって流通されている、University of Edinburghが著作権を有しているプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この一式のパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムが使用され得、ここでは、スコア表のデフォルトパラメーターが使用される(例えば、12のギャップ開放ペナルティー、1のギャップ伸張ペナルティー、および6のギャップ)。データから生じた「適合(Match)」値は、「配列同一性」を反映する。配列間の同一性または類似性の割合(%)を計算するための他の適しているプログラムは当該分野で一般的に公知である。例えば、別のアラインメントプログラムは、デフォルトパラメーターと共に使用されるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPを、以下のデフォルトパラメーターを使用して使用することができる:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス(Matrix)=BLOSUM62;記述(descriptions)=50の配列;選別=HIGH SCORE;データベース=余剰なし、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+Swissタンパク質+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は容易に入手できる。
【0033】
あるいは、相同性は、相同領域間で安定な二本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、その後の、一本鎖特異的ヌクレアーゼ(単数または複数)での消化、および消化された断片のサイズ決定によって決定することができる。実質的に相同であるDNA配列は、例えば、その特定のシステムについて定義されるストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を決めることは、当業者の能力の範囲内である。例えば、Sambrookら、前出;DNA Cloning,(前出);Nucleic Acid Hybridization,(前出)を参照のこと。
【0034】
「組み換え体」は、核酸分子を記載するように本明細書中で使用される場合は、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。これには、その起源または操作の理由によって、自然界においてそれに付随しているポリヌクレオチドの全てまたは一部が伴われていない。用語「組み換え体」は、タンパク質またはポリペプチドに関して使用される場合には、組み換え体ポリヌクレオチドの発現によって生産されるポリペプチドを意味する。一般的には、以下にさらに記載されるように、目的の遺伝子がクローニングされ、その後、形質転換された生物中で発現させられる。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現して、タンパク質を生じる。
【0035】
「腎臓が正常に機能していない」は、本明細書中で使用される場合は、糸球体濾過率が不足している患者を意味する。このような患者は、本明細書中では、1.5mg/dLより高い血清クレアチニンレベル(SCr)によって特性決定される。
【0036】
「抗腫瘍活性」により、細胞増殖速度の低下、したがって、既存の腫瘍もしくは治療の間に生じる腫瘍の増殖速度の低下、および/または既存の新生物(腫瘍)細胞もしくは新しく形成された新生物細胞の崩壊、したがって、治療の間の腫瘍の大きさの全面的な減少が意図される。このような活性は、動物モデル(例えば、ヒト腎細胞ガンの異種移植モデル)を使用して評価することができる。例えば、動物モデルの記載については、Pulkkanenら、In Vivo(2000)14:393−400およびEverittら、Toxicol.Lett.(1995)82−83:621−625を参照のこと。
【0037】
IL−2またはその変異体の「治療有効用量または量」により、本明細書中に記載されるように投与された場合に、ポジティブな治療応答(例えば、抗腫瘍活性)をもたらす量が意図される。
【0038】
用語「腫瘍応答」は、本明細書中で使用される場合は、全ての測定可能な病変の縮小または排除を意味する。腫瘍応答の基準は、WHO Reporting Criteria[WHO Offset Publication,48−World Health Organization,Geneva,Switzerland,(1979)]に基づく。理想的には、一次元的に測定することができる病変または二次元的に測定することができる病変の全てが、それぞれの評価の時点で測定されるべきである。複数の病変が任意の臓器に存在している場合には、このような測定が不可能である場合があり、そのような状況では、可能な場合は、6個までの代表的な病変が選択されるべきである。
【0039】
用語「完全寛解」(CR)は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも4週間の間隔をあけた2回の評価によって決定される、全ての臨床的に検出可能な悪性疾患の完全な消滅を意味する。
【0040】
用語「部分寛解」(PR)は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも4週間の間隔をあけた少なくとも2回の連続する測定によって決定される場合に、評価できるほどの疾患の進行を伴わず、そして新しい病変の証拠が全くない、全ての測定可能な疾患の最も長い垂直直径の積の和のベースラインからの50%以上の減少を意味する。評価は、渙散性病変の大きさの部分的な減少、渙散性病変のカルシウム再沈着、または芽球性病変の密度の低下を示すはずである。IL−2については、転移性疾患の部位で一時的な炎症を引き起こすことは一般的ではない。大きさが増加するように見える個々の病変は、その増加が少なくとも28日の間隔をあけて行われる2回の連続する測定において報告される限りは、必ずしもPRに不適格とみなされるわけではない。
【0041】
用語「進行性疾患」(PD)は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも28日の間隔をあけた少なくとも2回の連続する評価によって決定される、少なくとも1つの二次元的に(最大垂直直径の積)または一次元的に測定することができる病変の大きさの25%以上の増加;任意の評価可能な病変の明確な悪化;消滅した任意の病変の再発;または新しい病変の出現を意味する。
【0042】
用語「安定な疾患」(SD)または「変化なし」は、(a)二次元的に測定できる疾患についての言及において本明細書中で使用される場合は、全ての測定可能な病変の最大垂直直径の積の和の約50%未満の減少または約25%未満の増加を意味し、そして、(b)一次元的に測定できる疾患についての言及において本明細書中で使用される場合には、全ての病変の直径の和における、約50%未満の減少または約25%未満の増加を意味する。新しい病変は出現してはならない。完全寛解、部分寛解、または進行もない。処置に対する骨病変のゆっくりとした応答の理由から、記号表示「変化なし」は、治療の開始から少なくとも8週間経過するまでは、適用されるべきではない。
【0043】
用語「応答なし」は、本明細書中で使用される場合は、安定な疾患または軽微な応答(全身腫瘍組織量の25%を超えるが50%未満である減少)を有している患者を意味する。
【0044】
用語「進行」は、本明細書中で使用される場合は、観察された最少の和を上回る、またはベースラインからの減少がない場合には、ベースラインを上回る全ての測定可能な病変の積の和の25%の増加;任意の評価することができる病変の明確な悪化;消滅していた任意の病変の再発;任意の新しい病変または部位(評価できない疾患の新しい部位を含む)の出現を意味し;そして/または、最初の腫瘍再燃が起こり得る(高カルシウム血症、骨痛、皮膚病変の紅斑)場合には、症状は4週間を超えて持続するか、または進行のさらなる証拠が存在するかのいずれかでなければならない。
【0045】
用語「全体的な応答(overall response)」は、本明細書中で使用される場合は、悪性疾患の全ての部位を考慮することによって決定される応答を意味する。測定可能な疾患を有している被験体においては、最も乏しい応答が全体的な応答に該当する。測定することができない病変において変化がないことは、測定可能な病変における部分寛解によって損なわれることはない;すなわち、全体的な応答は、部分寛解である。測定することができない病変に変化がないことは、測定可能な病変の完全寛解を損なう;すなわち、全体的な応答は部分寛解である。
【0046】
用語「応答期間」は、本明細書中で使用される場合は、最良の目的とする腫瘍応答の最初の記録から、進行時までの時間を意味する。
【0047】
用語「生存」は、本明細書中で使用される場合は、IL−2の最初の用量から死亡時までの時間を意味する。
【0048】
用語「無増悪生存率」(PFS)は、本明細書中で使用される場合は、レスポンダーについての、IL−2の最初の用量から腫瘍の進行時、死亡時、または応答がなおも持続している場合には、患者が最後に病院に訪れるまでの時間を意味する。
【0049】
II.発明の実施形態
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の処方物またはプロセスのパラメーターに限定はされず、それ自体がもちろん変化し得ることが理解される。本明細書中で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載する目的のためのものにすぎず、限定とは意図されないことも理解される。
【0050】
本明細書中に記載されるものと類似するかまたは同等である多数の方法および材料を本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書中に記載される。
【0051】
本発明は、低用量のIL−2の投与により腎細胞ガンを安全にそして効率的に処置するための新規の治療方法の発見に基づく。本明細書中に記載される処置レジュメによって腫瘍の増殖が有意に阻害され、これには、高用量のIL−2処置と比較して低い毒性および減少した有害な副作用が伴う。
【0052】
本発明の方法は既存の腫瘍の処置を対象としているが、この方法が、治療の間に生じるさらなる腫瘍の増殖を防ぐことにおいて有用であり得ることが理解される。本発明の方法は、腎臓が正常に機能していない、および/または高用量のIL−2での処置を寛容できない、転移性の腎細胞ガンを有している被験体の処置に特に有用である。
【0053】
本発明の方法で使用されるIL−2は、天然である場合も、また、組み換え技術によって得られる場合もあり、そして哺乳動物供給源(例えば、マウス、ラット、ウサギ、霊長類、ブタ、およびヒト)を含む任意の供給源に由来し得る。多数の種に由来するIL−2配列が当該分野で周知であり、これには、以下が含まれるがこれらに限定はされない:ヒトIL−2(ヒト(Homo sapiens);前駆体配列、GenBank登録番号AAH66254;GenBank登録番号AAH66254の残基21〜153によって示される成熟配列);アカゲザルIL−2(アカゲザル(Macaca mulatto);前駆体配列、GenBank登録番号P51498;GenBank登録番号P51498配列の残基21〜154によって示される成熟配列);ヒヒIL−2(ヒヒ(Papio anubis);前駆体配列、GenBank登録番号Q875Y1;GenBank登録番号Q865Y1配列の残基21〜154によって示される成熟配列);シロエリマンガベイIL−2(シロエリマンガベイ(Cercocebus torquatus atys);前駆体配列、GenBank登録番号P46649;GenBank登録番号P46649配列の残基21〜154によって示される成熟配列);カニクイザルIL−2(カニクイザル(Macaca fascicularis);前駆体配列、GenBank登録番号Q29615;GenBank登録番号Q29615配列の残基21〜154によって示される成熟配列);シロテナガザルIL−2(シロテナガザル(Hylobates lar);前駆体配列、GenBank登録番号ICGI2;GenBank登録番号ICGI2配列の残基21〜153によって示される成熟配列);コモンリスザルIL−2(コモンリスザル(Saimiri sciureus);前駆体配列、GenBank登録番号Q8MKH2;GenBank登録番号Q8MKH2配列の残基21〜154によって示される成熟配列);ウシIL−2(ウシ(Bos taurus);前駆体配列、GenBank登録番号P05016;GenBank登録番号P05016配列の残基21〜155によって示される成熟配列;GenBank登録番号NP−851340に報告されている変異体前駆体配列;GenBank登録番号NP−851340配列の残基24〜158によって示される成熟配列もまた参照のこと);スイギュウIL−2(スイギュウ(Bubalus bubalis);前駆体配列、GenBank登録番号Q95KP3;GenBank登録番号Q95KP3配列の残基21〜155によって示される成熟配列);ウマIL−2(ウマ(Equus caballus);前駆体配列、GenBank登録番号P37997;GenBank登録番号P37997配列の残基21〜149によって示される成熟配列);ヤギIL−2(ヤギ(Capra hircus);前駆体配列、GenBank登録番号P36835;GenBank登録番号P36835配列の残基21〜155によって示される成熟配列);ヒツジIL−2(ヒツジ(Ovis aries);前駆体配列、GenBank登録番号P19114;GenBank登録番号P19114配列の残基21〜155によって示される成熟配列);ブタIL−2(ブタ(Sus scrofa);前駆体配列、GenBank登録番号P26891;GenBank登録番号P26891の残基21〜154によって示される成熟配列);アカシカIL−2(アカシカ(Cervus elaphus);前駆体配列、GenBank登録番号P51747;GenBank登録番号P51747配列の残基21〜162によって示される成熟配列);イヌIL−2(イヌ(Canis familiaris);前駆体配列、GenBank登録番号Q29416;GenBank登録番号Q29416配列の残基21〜155によって示される成熟配列);ネコIL−2(ネコ(Feris catus);前駆体配列、GenBank登録番号Q07885;GenBank登録番号Q07885配列の残基21〜154によって示される成熟配列);ウサギIL−2(ウサギ(Oryctolagus cuniculus);前駆体配列、GenBank登録番号O77620;GenBank登録番号O77620配列の残基21〜153によって示される成熟配列);シャチIL−2(シャチ(Orcinus orca);前駆体配列、GenBank登録番号O97513;GenBank登録番号O97513配列の残基21〜152によって示される成熟配列);キタゾウアザラシIL−2(キタゾウアザラシ(Mirounga angustirostris);前駆体配列、GenBank登録番号O62641;GenBank登録番号O62641配列の残基21〜154によって示される成熟配列);ハツカネズミIL−2(ハツカネズミ(Mus musculus);前駆体配列、GenBank登録番号NP_032392;GenBank登録番号NP_032392配列の残基21〜169によって示される成熟配列);アルジェリアハツカネズミIL−2(アルジェリアハツカネズミ(Mus spretus);前駆体配列、GenBank登録番号Q08867;GenBank登録番号Q08867配列の残基21〜166によって示される成熟配列);ドブネズミIL−2(ドブネズミ(Rattus norvegicus);前駆体配列、GenBank登録番号P17108;GenBank登録番号P17108の残基21〜155によって示される成熟配列);スナネズミIL−2(スナネズミ(Meriones unguiculatus);前駆体配列、GenBank登録番号Q08081;GenBank登録番号Q08081の残基21〜155によって示される成熟配列);これらの上記GenBank登録番号に開示されている変異体IL−2ポリペプチドの任意のもの;GenBankレポートのそれぞれは、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。IL−2の任意の供給源を、本発明を実施するために利用することができるが、特に、治療を受けている被験体がヒトである場合には、IL−2はヒト供給源に由来することが好ましい。いくつかの実施形態においては、本発明の方法で使用されるIL−2は組み換えによって生産され、例えば、組み換え体ヒトIL−2タンパク質であり、これには、微生物宿主から得られたものが含まれるが、これらに限定はされない。
【0054】
本発明の方法において有用な組成物には、任意の種に由来するIL−2の変異体を含む、生物学的活性のIL−2変異体が含まれ得る。このような変異体は、天然ポリペプチドの所望される生物学的活性を保持していなければならず、その結果、変異体ポリペプチドを含む薬学的組成物は、被験体に投与された場合に、天然ポリペプチドを含む薬学的組成物と同じ治療効果を有する。すなわち、変異体ポリペプチドは天然ポリペプチドについて観察される様式と同様の様式で、薬学的組成物において治療上有効な成分として作用するであろう。変異体ポリペプチドが所望される生物学的活性を保持しており、それにより、薬学的組成物中の治療有効成分として作用するかどうかを決定するためには、複数の方法を当該分野で利用することができる。生物学的活性は、天然ポリペプチドまたはタンパク質の活性を測定するために特異的に設計されたアッセイを使用して測定することができる。これには、本発明に記載されるアッセイが含まれる。加えて、生物学的活性の天然ポリペプチドに対して惹起させられた抗体を、変異体ポリペプチドに結合するそれらの能力について試験することができる。この場合、有効な結合は、天然ポリペプチドの立体構造と類似の立体構造を有しているポリペプチドの指標である。
【0055】
天然のまたは自然界に存在しているIL−2の適切な生物学的活性の変異体は、上記で定義されるように、ポリペプチドの断片、アナログ、および誘導体であり得る。
【0056】
例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、目的の天然ポリペプチドをコードするクローニングされたDNA配列中の変異によって調製することができる。突然変異誘発およびヌクレオチド配列の変更のための方法は、当該分野で周知である。例えば、引用により本明細書中に組み入れられる、Walker and Gaastra,編(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company,New York);Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488−492;Kunkelら(1987)Methods Enzymol.154:367−382;Sambrookら(1989)Molecula Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York);米国特許第4,873,192号;ならびにその中で引用されている参考文献を参照のこと。目的のポリペプチドの生物学的活性には影響を与えない適切なアミノ酸置換に関する指針は、引用により本明細書中に組み入れられる、Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)のDayhoffら(1987)のモデルに見ることができる。類似の特性を有している別のアミノ酸での1つのアミノ酸の交換等の保存的置換が好ましい場合がある。保存的置換の例としては、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0057】
残基の置換、欠失、または挿入のいずれかによって変更することができるIL−2タンパク質の領域に関する指針は、当該分野において見ることができる。例えば、Bazan(1992)Science 257:410−412;McKay(1992)Science 257:412;Thezeら(1996)Immunol.Today 17:481−486;Buchli and Ciardelli(1993)Arch.Biochem.Biophys.307:411−415;Collinsら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:7709−7713;Kuzielら(1993)J.Immunol.150:5731;Eckenbergら(1997)Cytokine 9:488−498(それらの内容は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)で議論されている構造/機能の関係、および/または結合実験を参照のこと。
【0058】
目的のIL−2ポリペプチドの変異体の構築においては、修飾は、そのような変異体が所望される活性を持ち続けるように行われる。明らかに、変異体ポリペプチドをコードするDNAの中に作成される任意の変異は、必ずリーディングフレームの外側の配列で行われなければならないわけではなく、二次的なmRNA構造を生じることができる相補的な領域を生じないことが好ましい。欧州特許出願公開第75,444号を参照のこと。
【0059】
IL−2の生物学的活性のある変異体は、通常、比較のための基準とされる参照IL−2ポリペプチド分子(例えば、天然のヒトIL−2)のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%〜95%またはそれ以上、そして最も好ましくは少なくとも約98%、99%、またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。配列同一性の割合(%)は、12のギャップ開放ペナルティーおよび2のギャップ伸張ペナルティー、62のBLOSUMマトリックスを用いるアフィンギャップ検索を使用する、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Meth.(1981)2:482−489に教示されている。例えば、変異体は、わずかに1個から15個のアミノ酸残基、わずかに1個から10個の残基、例えば、6個〜10個、わずかに5個、わずかに4個、3個、2個、またはさらには1個のアミノ酸残基が異なる。
【0060】
2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントに関して、変異体アミノ酸配列の連続するセグメントは、参照アミノ酸配列と同じ数のアミノ酸を有している場合も、さらなるアミノ酸残基を有している場合も、また、アミノ酸残基が欠失している場合もある。参照アミノ酸配列との比較に使用される連続するセグメントには、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基が含まれ、30個、40個、50個、またはそれ以上のアミノ酸残基であり得る。保存的な残基の置換またはギャップを伴う配列同一性の補正を行うことができる(Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを参照のこと)。目的の天然IL−2ポリペプチドの生物学的活性変異体は、わずかに1個から15個のアミノ酸残基、わずかに1個から10個の残基、例えば、6個〜10個、わずかに5個、わずかに4個、3個、2個、またはさらには1個のアミノ酸残基が、天然ポリペプチドとは異なる。
【0061】
IL−2活性を有しているポリペプチドの正確な化学構造は、多数の要因に依存する。イオン化できるアミノ基およびカルボキシル基が分子の中に存在しているので、特定のポリペプチドを、酸性の塩または塩基性の塩、あるいは中性の形態として得ることができる。それらの生物学的活性を保持している全てのこのような調製物は、適切な環境条件に置かれている場合には、本明細書中で使用される、IL−2活性を有しているポリペプチドの定義に含まれる。さらに、ポリペプチドの一次アミノ酸配列は、糖部分を使用する誘導によって(グリコシル化)、または脂質、リン酸塩、アセチル基などの他の補助的な分子によって補強することができる。これはまた、糖との結合によっても補強することができる。このような補強の特定の態様は、生産宿主の翻訳後プロセシングシステムによって行うことができる;他のこのような修飾はインビトロで導入することができる。いずれにしても、このような修飾は、ポリペプチドのIL−2活性が破壊されない限りは、本明細書中で使用されるIL−2ポリペプチドの定義に含まれる。このような修飾は、ポリペプチドの活性を高めるかまたは低下させるかのいずれかによって、種々のアッセイにおいて、活性に定量的または定性的な影響を与える可能性があると予想される。さらに、鎖の中の個々のアミノ酸残基は、酸化、還元、または他の誘導によって修飾することができ、ポリペプチドは、活性を保持している断片が得られるように切断することができる。活性を破壊してしまうことのないこのような変更によっては、本明細書中で使用される目的のIL−2ポリペプチドの定義からこのポリペプチド配列が除外されることはない。
【0062】
当該分野では、ポリペプチド変異体の調製および使用に関する実質的な指針が提供されている。IL−2変異体の調製においては、当業者は、天然タンパク質ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対するどの修飾によって本発明の方法で使用される薬学的組成物の治療活性のある成分としての使用に適している変異体が生じるかを容易に決定することができる。
【0063】
本発明の方法で使用されるIL−2またはその変異体は任意の供給源に由来するものであり得るが、組み換えによって生産されることが好ましい。「組み換え体IL−2」または「組み換え体IL−2変異体」は、意図されるインターロイキン−2、あるいは、天然配列IL−2と匹敵する生物学的活性を有しており、そして例えば、Taniguchiら(1983)Nature 302:305−310およびDevos(1983)Nucleic Acids Research 11:4307−4323によって記載されるような組み換えDNA技術によって調製されたその変異体、あるいは、Wangら(1984)Science 224:1431−1433に記載されているような突然変異によって変化したIL−2である。一般的には、IL−2をコードする遺伝子がクローニングされ、その後、形質転換された生物体(好ましくは、微生物、そして最も好ましくは、本明細書中に記載されるように、大腸菌(E.coli))の中で発現させられる。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現してIL−2を生産する。合成の組み換え体IL−2はまた、真核生物(例えば、酵母またはヒト細胞)でも生産させることができる。IL−2を増殖させる、回収する、破壊する、または細胞から抽出するためのプロセスは、例えば、米国特許第4,604,377号;同第4,738,927号;同第4,656,132号;同第4,569,790号;同第4,748,234号;同第4,530,787号;同第4,572,798号;同第4,748,234号;および同第4,931,543号(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に実質的に記載されている。
【0064】
変異体IL−2タンパク質の例については、欧州特許(EP)公開番号EP136,489(自然界に存在しているIL−2のアミノ酸配列の中の以下の変更の1つ以上を開示している:Asn26からGln26;Trp121からPhe121;Cys58からSer58またはAla58,Cys105からSer105またはAla105;Cys125からSer125またはAla125;Arg120以降の全ての残基の欠失;およびそのMet−1形態);および1983年10月13日に提出された欧州特許出願番号83306221.9(公開番号EP109,748として1984年5月30日に公開された)(これは、ベルギー特許第893,016号および共有にかかる米国特許第4,518,584号に記載されている組み換え体IL−2ムテイン(ここでは、天然ヒトIL−2にしたがって番号付けされた125位のシステインが欠失させられているか、または中性アミノ酸で置き換えられている組み換え体ヒトIL−2ムテイン;アラニル−ser125−IL−2;およびdes−アラニル−ser125−IL−2が開示されている)を参照のこと。米国特許第4,752,585号(ここでは、以下の変異体IL−2タンパク質が開示されている:ala104 ser125 IL−2、ala104 IL−2、ala104 ala125 IL−2、val104 ser125 IL−2、val104 IL−2、val104 ala125 IL−2、des−ala1 ala104 ser125 IL−2、des−ala1 ala104 IL−2、des−ala1 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 val104 ser125 IL−2、des−ala1 val104 IL−2、des−ala1 val104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 ala104 IL−2、des−ala1 des−pro2 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 val104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 val104 IL−2、des−ala1 des−pro2 val104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 ala104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 val104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 val104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 val104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 ala104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 ala104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 val104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 val104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 val104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 ala104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 ala104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 val104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 val104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 val104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 ala125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 val104 ser125 IL−2、des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 val104 IL−2、およびdes−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 val104 ala125 IL−2)、ならびに、米国特許第4,931,543号(ここでは、本明細書中の実施例で使用されるIL−2ムテインdes−アラニル−1、セリン−125ヒトIL−2、ならびに、他のIL−2ムテインが開示されている)もまた参照のこと。
【0065】
欧州特許公開番号EP200,280(1986年12月10日に公開)(ここでは、104位のメチオニンが保存的アミノ酸で置き換えられている組み換え体IL−2ムテインが開示されている)もまた参照のこと。例として、以下のムテインが挙げられる:ser4 des−ser5 ala104 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 ala104 ala125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 glu104 ser125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 glu104 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 glu104 ala125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 ala125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 ala104 ser125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 glu104 ser125 IL−2;des−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 glu104 IL−2;およびdes−ala1 des−pro2 des−thr3 des−ser4 des−ser5 des−ser6 glu104 ala125 IL−2。欧州特許公開番号EP118,617および米国特許第5,700,913号もまた参照のこと。ここでは、天然分子で見られるN末端アミノ酸としてのメチオニンの代わりにアラニンを有している非グリコシル化ヒトIL−2変異体;開始メチオニンが欠失しており、その結果、プロリンがN末端アミノ酸である非グリコシル化ヒトIL−2;およびN末端メチオニンとプロリンアミノ酸との間にアラニンが挿入されている非グリコシル化ヒトIL−2が開示されている。
【0066】
他のIL−2ムテインとしては、WO99/60128に開示されているムテイン(ヒスチジンまたはイソロイシンでの20位のアスパラギン酸(aspartate)の置換、アルギニン、グリシン、またはイソロイシンでの88位のアスパラギンの置換、あるいは、ロイシンまたはグルタミン酸での126位のグルタミンの置換)(これは、NK細胞に対して優先して、T細胞受容体を発現している細胞によって発現される高親和性IL−2受容体の選択的活性を有しており、そしてIL−2毒性が低いことが報告されている);米国特許第5,229,109号に開示されているムテイン(アラニンでの38位のアルギニンの置換、またはリジンでの42位のフェニルアラニンの置換)(これは、LAK細胞を刺激する能力を維持したまま、天然IL−2と比較すると、高親和性IL−2受容体に対しては少ない結合を示す);国際特許公開番号WO00/58456に開示されているムテイン(天然IL−2の中の自然界に存在している(x)D(y)配列の変更または欠失、ここでは、Dはアスパラギン酸であり、(x)はロイシン、イソロイシン、グリシン、またはバリンであり、そして(y)はバリン、ロイシン、またはセリンである)(これは、毛細血管漏出症候群を軽減すると主張されている);国際公開番号WO00/04048に開示されているIL−2 p1−30ペプチド(IL−2のα−ヘリックスAの全体が含まれており、IL−2受容体のb鎖と相互作用する、IL−2の最初の30個のアミノ酸に対応する)(これは、NK細胞とLAK細胞の誘導とを刺激することが報告されている);および、WO00/04048においても開示されているIL−2 p1−30ペプチドの変異体形態(リジンでの20位のアスパラギン酸の置換)(これは、血管出血を誘導することはできないが、なおもLAK細胞を生じることができると報告されている)が挙げられる。さらに、IL−2は、高い溶解度を提供し、そして変化した薬物動態プロフィールを提供するように、ポリエチレングリコールで修飾することができる(米国特許第4,766,106号を参照のこと)。
【0067】
毒性が低いと予想されるIL−2ムテインのさらなる例は、2004年3月5日に提出された米国仮特許出願番号60/550,868(その全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。これらのムテインには、成熟ヒトIL−2配列の125位のシステインに置き換わったセリン、および成熟ヒトIL−2配列の中に少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を有している、成熟ヒトIL−2のアミノ酸配列が含まれる。その結果、このムテインは、以下の機能特性を有する:同等のアッセイ条件下で、類似量のdes−アラニル−1、C125SヒトIL−2またはC125SヒトIL−2と比較すると、1)ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を維持または促進し、そして2)NK細胞によるプロ炎症性サイトカインの生産のレベルの低下を誘導する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は以下からなる群より選択される:T7A、T7D、T7R、K8L、K9A、K9D、K9R、K9S、K9V、K9W、T10K、T10N、Q11A、Q11R、Q11T、E15A、H16D、H16E、L19D、L19E、D20E、I24L、K32A、K32W、N33E、P34E、P34R、P34S、P34T、P34V、K35D、K35I、K35L、K35M、K35N、K35P、K35Q、K35T、L36A、L36D、L36E、L36F、L36G、L36H、L36I、L36K、L36M、L36N、L36P、L36R、L36S、L36W、L36Y、R38D、R38G、R38N、R38P、R38S、L40D、L40G、L40N、L40S、T41E、T41G、F42A、F42E、F42R、F42T、F42V、K43H、F44K、M46I、E61K、E61M、E61R、E62T、E62Y、K64D、K64E、K64G、K64L、K64Q、K64R、P65D、P65E、P65F、P65G、P65H、P65I、P65K、P65L、P65N、P65Q、P65R、P65S、P65T、P65V、P65W、P65Y、L66A、L66F、E67A、L72G、L72N、L72T、F78S、F78W、H79F、H79M、H79N、H79P、H79Q、H79S、H79V、L80E、L80F、L80G、L80K、L80N、L80R、L80T、L80V、L80W、L80Y、R81E、R81K、R81L、R81M、R81N、R81P、R81T、D84R、S87T、N88D、N88H、N88T、V91A、V91D、V91E、V91F、V91G、V91N、V91Q、V91W、L94A、L94I、L94T、L94V、L94Y、E95D、E95G、E95M、T102S、T102V、M104G、E106K、Y107H、Y107K、Y107L、Y107Q、Y107R、Y107T、E116G、N119Q、T123S、T123C、Q126I、およびQ126V;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列の番号付けと比較している。他の実施形態においては、これらのムテインには、成熟ヒトIL−2配列の125位のシステインに置き換わったアラニン、および成熟ヒトIL−2配列の中の少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を有している、成熟ヒトIL−2のアミノ酸配列が含まれる。その結果、ムテインは、これらの同じ機能特性を有する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は、以下からなる群より選択される:T7A、T7D、T7R、K8L、K9A、K9D、K9R、K9S、K9V、K9W、T10K、T10N、Q11A、Q11R、Q11T、E15A、H16D、H16E、L19D、L19E、D20E、I24L、K32A、K32W、N33E、P34E、P34R、P34S、P34T、P34V、K35D、K35I、K35L、K35M、K35N、K35P、K35Q、K35T、L36A、L36D、L36E、L36F、L36G、L36H、L36I、L36K、L36M、L36N、L36P、L36R、L36S、L36W、L36Y、R38D、R38G、R38N、R38P、R38S、L40D、L40G、L40N、L40S、T41E、T41G、F42A、F42E、F42R、F42T、F42V、K43H、F44K、M46I、E61K、E61M、E61R、E62T、E62Y、K64D、K64E、K64G、K64L、K64Q、K64R、P65D、P65E、P65F、P65G、P65H、P65I、P65K、P65L、P65N、P65Q、P65R、P65S、P65T、P65V、P65W、P65Y、L66A、L66F、E67A、L72G、L72N、L72T、F78S、F78W、H79F、H79M、H79N、H79P、H79Q、H79S、H79V、L80E、L80F、L80G、L80K、L80N、L80R、L80T、L80V、L80W、L80Y、R81E、R81K、R81L、R81M、R81N、R81P、R81T、D84R、S87T、N88D、N88H、N88T、V91A、V91D、V91E、V91F、V91G、V91N、V91Q、V91W、L94A、L94I、L94T、L94V、L94Y、E95D、E95G、E95M、T102S、T102V、M104G、E106K、Y107H、Y107K、Y107L、Y107Q、Y107R、Y107T、E116G、N119Q、T123S、T123C、Q126I、およびQ126V;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列の番号付けと比較している。別の実施形態においては、これらのムテインには、成熟ヒトIL−2配列の中に少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を有している成熟ヒトIL−2のアミノ酸配列が含まれる。その結果、このムテインは、これらの同じ機能特性を有する。いくつかの実施形態においては、さらなる置換は以下からなる群より選択される:T7A、T7D、T7R、K8L、K9A、K9D、K9R、K9S、K9V、K9W、T10K、T10N、Q11A、Q11R、Q11T、E15A、H16D、H16E、L19D、L19E、D20E、I24L、K32A、K32W、N33E、P34E、P34R、P34S、P34T、P34V、K35D、K35I、K35L、K35M、K35N、K35P、K35Q、K35T、L36A、L36D、L36E、L36F、L36G、L36H、L36I、L36K、L36M、L36N、L36P、L36R、L36S、L36W、L36Y、R38D、R38G、R38N、R38P、R38S、L40D、L40G、L40N、L40S、T41E、T41G、F42A、F42E、F42R、F42T、F42V、K43H、F44K、M46I、E61K、E61M、E61R、E62T、E62Y、K64D、K64E、K64G、K64L、K64Q、K64R、P65D、P65E、P65F、P65G、P65H、P65I、P65K、P65L、P65N、P65Q、P65R、P65S、P65T、P65V、P65W、P65Y、L66A、L66F、E67A、L72G、L72N、L72T、F78S、F78W、H79F、H79M、H79N、H79P、H79Q、H79S、H79V、L80E、L80F、L80G、L80K、L80N、L80R、L80T、L80V、L80W、L80Y、R81E、R81K、R81L、R81M、R81N、R81P、R81T、D84R、S87T、N88D、N88H、N88T、V91A、V91D、V91E、V91F、V91G、V91N、V91Q、V91W、L94A、L94I、L94T、L94V、L94Y、E95D、E95G、E95M、T102S、T102V、M104G、E106K、Y107H、Y107K、Y107L、Y107Q、Y107R、Y107T、E116G、N119Q、T123S、T123C、Q126I、およびQ126V;ここでは、アミノ酸残基の位置は、成熟ヒトIL−2アミノ酸配列の番号付けと比較している。米国仮特許出願番号60/550,868に開示されているさらなるムテインには、成熟ヒトIL−2配列の1位の最初のアラニン残基が欠失していることを除く、上記のムテインが含まれる。
【0068】
用語IL−2は、本明細書中で使用される場合には、投与頻度を少なくするか、またはIL−2寛容性を改善するために、第2のタンパク質に融合されたか、またはポリプロリンもしくは水溶性ポリマーに対して共有結合されたIL−2を含む、IL−2融合体または結合体を含むことも意図される。例えば、IL−2(または本明細書中で定義されるその変異体)は、当該分野で公知の方法を使用してヒトアルブミンまたはアルブミン断片に融合させることができる(WO01/79258を参照のこと)。
あるいは、IL−2は、ポリプロリンまたはポリエチレングリコールホモポリマー、およびポリオキシエチル化ポリオールに共有結合させることができる。この場合、当該分野で公知の方法を使用することにより、ホモポリマーは未置換であるか、またはアルキル基で一方の末端が置換されており、そしてポリオールは未置換である(例えば、米国特許第4,766,106号、同第5,206,344号、同第4,894,226号、および同第5,830,452号を参照のこと)。
【0069】
治療有効成分としてIL−2を含む任意の薬学的組成物を本発明の方法において使用することができる。このような薬学的組成物は当該分野で公知であり、これには、米国特許第4,745,180号;同第4,766,106号;同第4,816,440号;同第4,894,226号;同第4,931,544号;および同第5,078,997号(引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されているものが含まれるが、これらに限定はされない。したがって、IL−2または当該分野で公知であるその変異体を含む、液体の、凍結乾燥させられた、または噴霧乾燥させられた組成物は、続いて本発明の方法にしたがって被験体に投与される水性または非水性の溶液または懸濁液として調製することができる。これらの組成物のそれぞれには、治療有効成分または予防有効成分としてIL−2またはその変異体が含まれる。「治療有効成分または予防有効成分」により、IL−2またはその変異体が、薬学的組成物が被験体に投与された場合に、その被験体の疾患または症状の処置または予防に関して、所望される治療応答または予防応答をもたらす組成物に具体的に配合されることが意図される。好ましくは、薬学的組成物には、調製または保存の間のタンパク質の安定性および生物学的活性の消失に関係する問題を最少にするために、適切な安定化剤、充填剤、またはそれらの両方が含まれる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の方法において有用であるIL−2を含む薬学的組成物は、安定化された単量体IL−2またはその変異体を含む組成物、多量体IL−2またはその変異体を含む組成物、および安定化された、凍結乾燥された、もしくは噴霧乾燥されたIL−2またはその変異体を含む組成物である。
【0071】
安定化された単量体IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、2000年10月3日に提出されたPCT出願番号PCT/US00/27156に開示されている(その開示は引用により本明細書中に組み入れられる)。「単量体」IL−2により、タンパク質分子が、本明細書中に記載される薬学的組成物中で、それらの単量体形態で実質的に存在し、凝集した形体ではないことが意図される。したがって、IL−2の共有結合によるオリゴマーもしくは疎水性オリゴマーまたは凝集物は存在しない。簡単に説明すると、これらの液体組成物中のIL−2またはその変異体は、保存の間のIL−2またはその変異体の凝集物の形成を減少させるために十分な量のアミノ酸塩基と共に処方される。アミノ酸塩基は、アミノ酸またはアミノ酸の組み合わせであり、ここでは、任意の所定のアミノ酸は、遊離の塩基の形態、またはその塩の形態のいずれかで存在する。好ましいアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選択される。これらの組成物には、さらに、IL−2またはその変異体の安定性について許容される範囲の間に、液体組成物のpHを維持するために緩衝化剤がさらに含まれる。この場合、緩衝化剤は、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態の酸、または酸とその塩の形態との混合物である。好ましくは、酸は、コハク酸、クエン酸、リン酸、およびグルタミン酸からなる群より選択される。このような組成物は、本明細書中では、安定化された単量体IL−2薬学的組成物と呼ばれる。
【0072】
これらの組成物中のアミノ酸塩基は、IL−2またはその変異体を、液体の薬学的組成物の保存の間の凝集物の形成に対して安定化させるように作用する。一方、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態の酸、または酸とその塩の形態との混合物の、緩衝化剤としての使用によっては、ほぼ等張である浸透圧を有している液体組成物が生じる。液体の薬学的組成物には、さらに、他の安定化剤、より具体的には、メチオニン、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、およびEDTAが、ポリペプチドの安定性をさらに高めるために配合される場合がある。このような液体の薬学的組成物は、その塩の形態を実質的に含まない酸、その塩の形態の酸、または酸とその塩の形態との混合物と組み合わせられたアミノ酸塩基の添加によって、これらの2つの成分が組み合わせられていない条件で処方された液体の薬学的組成物と比較して高い保存安定性を有している組成物を生じるので、安定化されているといわれる。
【0073】
安定化された単量体IL−2またはその変異体を含むこれらの液体の薬学的組成物は、水性の液体の形態で使用することができ、また、凍結させられた状態、もしくは、本発明の方法にしたがった被験体への投与に適している液体形態もしくは他の形態への後の再構成のための乾燥形態で保存することもできる。「乾燥形態」により、凍結乾燥(freeze drying)(すなわち、凍結乾燥(lyophilization);例えば、Williams and Pollis(1984)J.Parenteral Sci.Technol.38:48−59を参照のこと)、噴霧乾燥(例えば、Masters(1991)Suray−Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical,Essez,U.K.),491−676頁;Broadheadら(1992)Drug Devel.Ind.Pharm.18:1169−1206;およびMumenthalerら(1994)Pharm.Res.11:12−20を参照のこと)、または風乾(Carpenter and Crowe(1988)Cryobiology 25:459−470;およびRoser(1991)Biopharm.4:47−53)のいずれかによって乾燥される液体の薬学的組成物または処方物が意図される。
【0074】
その凝集していない単量体状態のIL−2を含むIL−2処方物の他の例としては、Whittington and Faulds(1993)Drugs 46(3):446−514に記載されている処方物が挙げられる。これらの処方物には、組み換え体IL−2産物が含まれる。ここでは、組み換え体IL−2ムテインTeceleukin(アミノ末端にメチオニン残基が付加されているグリコシル化されていないヒトIL−2)が、等張性の生理食塩水の中で再構成される凍結乾燥させられた粉末の中に、0.25%のヒト血清アルブミンとともに処方される。そして組み換え体IL−2ムテインBioleukin(アミノ酸末端にメチオニン残基が付加されており、そしてヒトIL−2配列の125位のシステイン残基がアラニンで置換されている、ヒトIL−2)は、0.1から1.0mg/mlのIL−2ムテインが酸と混合されるように処方される。この場合、処方物は、3.0から4.0のpHを有しており、緩衝液を含まないことが効果的であり、そして、1000mmhos/cm未満の伝導率(500mmhos/cm未満が効果的である)を有する。EP373,679号;Xhangら(1996)Pharmaceut.Res.13(4):643−644;およびPrestrelskiら(1995)Pharmaceut.Res.12(9):1250−1258を参照のこと。
【0075】
多量体IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物の例は、共有にかかる米国特許第4,604,377号(その開示は、引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。「多量体」により、薬学的組成物の中で、平均して10〜50個の分子の会合を有しているミクロの凝集した形態で存在しているタンパク質分子が意図される。これらの多量体は、ゆるく結合した、物理的に会合したIL−2分子として存在している。これらの組成物の凍結乾燥させられた形態は、商品名プロリューキン(Proleukin)(登録商標)(Chiron Corporation,Emeryville,California)として市販されている。この参考文献の中で開示されている凍結乾燥させられた処方物には、選択的に酸化された、微生物によって生産された組み換え体IL−2が開示されている。ここでは、組み換え体IL−2は、バルクを提供するマンニトール等の水溶性の担体、および水中での組み換え体IL−2の溶解を確実にするための十分な量のドデシル硫酸ナトリウムとともに投与される。これらの組成物は、非経口投与のための注射水溶液への再構成に適しており、安定であり、そしてヒト患者においては十分に寛容である。再構成された場合でも、IL−2またはその変異体は、その多量体の状態を維持している。多量体IL−2またはその変異体を含むこのような凍結乾燥させられたまたは液体組成物は、本発明の方法に含まれる。このような組成物は、本明細書中では、多量体IL−2薬学的組成物と呼ばれる。
【0076】
本発明の方法はまた、IL−2またはその変異体を含む、安定化され凍結乾燥されたかまたは噴霧乾燥された薬学的組成物も使用することができる。この薬学的組成物は、本発明の方法にしたがった投与のための液体またはそれに適している他の形態に再構成することができる。このような薬学的組成物は、2000年11月28日に提出された、同時係属中の出願である米国特許出願番号09/724,810、および2000年12月27日に提出された国際特許出願番号PCT/US00/35452に開示されている(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)。これらの組成物には、さらに、少なくとも1つの充填剤、乾燥プロセスの間のタンパク質の安定化に十分な量の少なくとも1つの薬剤、またはそれらの両方が含まれる場合がある。「安定化された」により、IL−2タンパク質またはその変異体が、その単量体形態または多量体形態を維持し、さらには、組成物の固体形態または乾燥粉末形態を得るための凍結乾燥または噴霧乾燥後のその他の鍵となる、質、純度、および効力の特性を維持することが意図される。これらの組成物中では、充填剤としての使用に好ましい担体材料としては、グリシン、マンニトール、アラニン、バリン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ、最も好ましくは、グリシンが含まれる。充填剤は、使用される薬剤に応じて、0%から約10%(w/v)の範囲で、処方物の中に存在する。安定化剤としての使用に好ましい担体材料としては、任意の糖または糖アルコール、または任意のアミノ酸が挙げられる。好ましい糖としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、ソルビトール、グルコース、ラクトース、デキストロース、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ、好ましくは、スクロースである。安定化剤が糖である場合は、これは、約0%から約9.0%(w/v)、好ましくは、約0.5%から約5.0%(w/v)、より好ましくは、約1.0%から約3.0%(w/v)の範囲、最も好ましくは、約1.0%(w/v)で存在する。安定化剤がアミノ酸である場合は、これは、約0%から約1.0%(w/v)、好ましくは、約0.3%から約0.7%(w/v)の範囲で、最も好ましくは、約0.5%で存在する。これらの安定化され凍結乾燥されたかまたは噴霧乾燥された組成物には、状況に応じて、メチオニン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、またはその塩の1つ(例えば、EDTAニナトリウム)、または他のキレート化剤が含まれる。これらは、メチオニンの酸化に対してIL−2またはその変異体を保護する。この様式でのこれらの薬剤の使用は、同時係属中の米国特許仮特許出願番号60/157696(引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。安定化され、凍結乾燥されたかまたは噴霧乾燥された組成物は、緩衝化剤を使用して処方することができる。緩衝化剤は、例えば、処方プロセスの間、または乾燥形態の組成物の再構成後の液相の中で、許容される範囲(好ましくは、約pH4.0から約pH8.5の間)に薬学的組成物のpHを維持する。緩衝化剤は、それらが乾燥処理と適合し、そして、処理の間および保存の間に、タンパク質の質、純度、効力、および安定性に影響を与えないように選択される。
【0077】
上記の安定化された単量体、多量体、および安定化され凍結乾燥されたかもしくは噴霧乾燥されたIL−2薬学的組成物は、本発明の方法での使用に適している組成物を呈する。しかし、治療有効成分としてIL−2またはその変異体を含む任意の薬学的組成物が、本発明の方法に含まれる。
【0078】
投与
低用量のIL−2またはその変異体での少なくとも1回の治療に有効な処置サイクルが投与される。「治療に有効な処置サイクル」により、投与されると、腎細胞ガン、具体的には、転移性腎細胞ガンについての個体の処置に関して、ポジティブな治療応答をもたらす処置の1サイクルが意図される。特に目的とするものは、本明細書中で定義されるような抗腫瘍効果を提供する、低用量のIL−2での処置のサイクルである。「ポジティブな治療応答」により、本発明にしたがう処置を受けている個体が、それについて個体が治療を受けている腎細胞ガンの1つ以上の症状の改善を示すことが意図される。
【0079】
したがって、例えば、「ポジティブな治療応答」は、治療に伴う疾患の改善、および/または治療に伴う疾患の1つ以上の症状の改善である。したがって、例えば、ポジティブな治療応答は、疾患における以下の改善の1つ以上を意味する:(1)腫瘍の大きさの縮小;(2)ガン細胞の数の減少;(3)腫瘍の増殖の阻害(すなわち、いくらかの程度の遅延、好ましくは、停止);(4)末梢臓器へのガン細胞の浸潤の阻害(すなわち、いくらかの程度の遅延、好ましくは、停止);(5)腫瘍の転移の阻害(すなわち、いくらかの程度の遅延、好ましくは、停止);および(6)ガンに伴う1つ以上の症状からのいくらかの程度の緩和。このような治療応答は、改善の程度としてさらに特性決定することができる。したがって、例えば、改善は、完全寛解として特性決定される場合がある。「完全寛解」により、実験に入る時点でポジティブであった全ての初期の異常または部位について報告された、物理的試験、研究室での実験、核およびX線写真(すなわち、CT(コンピュータ断層撮影法)および/またはMRI(磁気共鳴画像化法))、ならびに、他の非侵襲性の手順によって確認された、全ての測定可能であるかまたは評価することができる疾患のあらゆる兆候および症候の消滅の記録が意図される。あるいは、疾患の改善は、部分寛解として分類される場合もある。「部分寛解」により、処置前の測定値と比較した場合に、全ての測定可能な病変の垂直直径の積の和の50%を上回る減少、および評価することができる疾患が進行していないこと、さらには、少なくとも28日間にわたって任意の新しい病変の形成がないことが意図される。
【0080】
本発明の特定の実施形態においては、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、徐放処方物であるか、または徐放デバイスを使用して投与される処方物である。このようなデバイスは当該分野で周知であり、これには、例えば、経皮パッチ、および小型の埋め込み型のポンプが含まれる。これによっては、徐放型ではない薬学的組成物を用いた場合の徐放効果が得られるように、様々な用量の持続性の定常様式での長時間にわたる薬剤の送達を提供することができる。
【0081】
IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、当該分野で公知の任意の医学的に許容される方法にしたがって投与することができる。適切な投与経路としては、非経口投与(例えば、皮下(SC)、腹腔内(IP)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、または注入)、経口および肺、鼻腔、局所、経皮、および坐剤が挙げられる。組成物が肺投与によって投与される場合は、治療有効用量は、血流中の薬剤(例えば、IL−2またはその変異体)の可溶性レベルが、非経口的(例えば、SC、IP、IM、またはIV)に投与される治療有効用量を用いた場合に得られるレベルと同等となるように調節される。本発明のいくつかの実施形態においては、IL−2またはその変異体を含む薬学的組成物は、IMまたはSC注射(具体的には、ガン治療プロトコールにおいて使用される治療薬(単数または複数)が投与される領域に対する局所的なIMまたはSC)によって投与される。
【0082】
投与されるIL−2の量に影響を与える要因としては、投与様式、投与頻度、治療を受けている特定の疾患、疾患の重篤度、病歴、個体が現在別の治療薬での治療を受けているかどうか、および治療を受けている個体の年齢、身長、体重、健康状態、および体調が挙げられるが、これらに限定はされない。一般的には、この薬剤のより多い投与量が、治療を受けている被験体の体重が重いほど好ましい。
【0083】
効果を得るためには、IL−2の血中濃度は、特定の時間の間に特定のレベルを上回らなければならない。効果は用量依存性であり、IL−2のレベルが高いほど抗腫瘍効果は高くなる。毒性を最少にするためには、IL−2の血中濃度は、特定の時間内に、そして特定の時間の間、一定のレベルを下回らなければならない(IL−2のクリアランスができるように「休息期間」が存在しなければならない)。すなわち、薬剤は、次の用量が投与される前の一定時間、一定のレベルを下回らなければならない。用量の間の休息が短いほど、毒性は高くなる。
【0084】
特定の実施形態においては、腎細胞ガンの患者の処置方法には、低用量のIL−2(1〜52MIU)、それに続く、IL−2の望ましくない効果から患者を「回復」させるための休息期間を含む処置サイクルが含まれる。多用量のIL−2またはその変異体は、1日1回の投与レジュメにしたがって投与することができる。例えば、1日に1〜52MIUのIL−2、またはより好ましくは、9〜18MIUのIL−2が、1日に1回から3回、1週間のうちに3回から6回、1〜24週間にわたって投与され、その後に休息期間が続く。好ましくは、休息期間は、投与レジュメの間の1〜4週間である。その後、新しいスケジュールのIL−2用量が投与されて、別のブーストとともに免疫系に提供される。特定の実施形態においては、第2の処置サイクルには、1日に9MIUが1回から3回の投与で、1週間のうちに3日から6日まで、1〜24週間投与される工程と、その後の休息期間が含まれる。
【0085】
特定の実施形態においては、腎細胞ガンの患者の処置方法には、低用量のIL−2(9〜18MIU)、1日に1回、1週間のうちの5日(qd×5d)での6週間の処置、その後の、IL−2が投与されない1から4週間の「休息期間」からなる処置サイクルと、9MIUのIL−2用量で、1日に1回、1週間のうちの5日の6週間の処置、それに続くIL−2が投与されない1から4週間の休息期間からなるその後の処置サイクルが含まれる。特定の実施形態においては、9MIUの用量のIL−2での、1日に1回、1週間のうちの5日の6週間の処置、その後の、IL−2が投与されない1週間から4週間の休息期間からなる上記のその後の処置サイクルが、複数回繰り返される。
【0086】
好ましい実施形態においては、腎細胞ガンの患者は、最初に、1日に18IMUのIL−2の用量が、各週の間に5日間投与され;第2に、1週間の間に、1日に9MIUのIL−2の用量が2日間、続いて、1日に18MIUのIL−2の用量が3日間、これが5週間繰り返して投与され;第3に、3週間、IL−2は投与されず;第4に、1日に9MIUのIL−2の用量が、1週間のうちの5日間、これが6週間繰り返して投与され;そして第5に、3週間、IL−2が投与されないことによって、処置される。
【0087】
特定の実施形態においては、腎細胞ガンの患者の処置に使用されるIL−2は、ポリエチレングリコールまたはポリオキシエチル化ポリオールに共有結合される。特定の実施態様においては、ポリエチレングリコールまたはポリオキシエチル化ポリオールに結合されたIL−2での処置サイクルには、1〜52MIUのIL−2を、5日から1ヶ月ごとに、1〜24週間繰り返して投与する工程、続いて、休息期間が含まれる。
【0088】
特定の実施形態においては、本明細書中に記載される方法の任意のものによる処置の複数回のサイクルが、少なくとも部分的な腫瘍応答を得るために十分な時間、患者に投与される。例えば、期間は、少なくとも6ヶ月または少なくとも12ヶ月であり得る。好ましくは、期間は、腫瘍の完全寛解を得るために十分である。
【0089】
特定の実施形態においては、腎細胞ガンの患者は、腎臓が十分に機能していない(SCr>1.5mg/dL)、高用量のIL−2での処置を寛容できない、または高用量のIL−2での処置が不適切である。このような患者は、本明細書中に記載される方法の任意のものによって、低用量のIL−2で処置することができる。
【0090】
先に記載された投与レジュメにしたがう処置を受けている被験体が部分寛解、またはより長い期間の寛解の後に再発を示す場合には、次の治療が、疾患の完全寛解を得るために必要である場合がある。したがって、最初の処置期間の後の休息期間に続いて、被験体には、1回以上のさらなるIL−2治療での処置期間が設けられる場合がある。このような、処置期間の間の休息期間は、本明細書中では、中断期間と呼ばれる。中断期間の長さは、IL−2での治療の処置期間の前に得られていた腫瘍応答の程度(すなわち、完全対部分)に依存する。
【実施例】
【0091】
III.実験
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、説明の目的だけのために提供され、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0092】
使用される数値(例えば、量、温度など)に関する正確さを確保するための努力を行ってきたが、ある程度の実験誤差および偏差は、当然、考慮されるべきである。
【0093】
(実施例1)
第IV相ヒト臨床試験のためのIL−2の薬学的組成物
使用したIL−2処方物は、California州EmeryvilleにあるChiron Corporationによって、商品名プロリューキン(Proleukin)(登録商標)として製造されたものであった。この処方物中のIL−2は組み換え生成された、グリコシル化されていないヒトIL−2ムテインであり、アルデスロイキンと呼ばれている。これは、最初のアラニン残基が排除されており、そして125位のシステイン残基がセリン残基で置き換えられている点で、天然ヒトIL−2アミノ酸配列とは異なる(des−アラニル−1、セリン−125ヒトインターロイキン−2と呼ばれている)。このIL−2ムテインは、米国特許第4,931,543号(その全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されているように、大腸菌の中で発現し、続いて、透析および陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。プロリューキン(Proleukin)(登録商標)として販売されているIL−2処方物は、滅菌の、白色から灰色がかった白色の保存料を含まない凍結乾燥粉末として、1.3mgのタンパク質を含むバイアルの中に供給する。
【0094】
(実施例2)
第IV相ヒト臨床試験におけるIL−2での処置のための転移性腎細胞ガンの患者の選択基準
以下の選択基準を、転移性腎細胞ガンの患者に適用した:
試験対象患者基準:
患者については、転移性疾患の証拠とともに腎細胞ガン(透明細胞、乳頭、混合腫瘍または肉腫様腫瘍)が組織学的に報告されている;
患者は、試験の開始から4週間以内に決定された、測定可能であるかまたは評価可能である新生物性疾患を有している;
患者のカルノフスキーの一般状態指数(Karnofsky Perfoamance Status)が≧60であり、これは、0〜2の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)の一般状態指数(PS)に対応している;
患者は18歳を超える年齢でなければならない;
患者は、1.8mg/dl未満の血清クレアチニンレベルによって明らかにされるような、不適切な腎機能を有していなければならない;
ヘモグロビン≧10gm/dl;白血球≧4,000個/ml;血小板≧100,000個/ml;
正常な甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベル;および
患者には意欲があり、そして全ての必要な試験手順と追訪を含む、この試験に参加することに関する書面による同意書を提供できる。
【0095】
臨床試験除外基準:
これまでにプロリューキンでの処置を受けていた患者;
コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴映像法(MRI)スキャン上で検出された中枢神経系に活動性疾患を有している患者;
プロリューキン(登録商標)の成分のいずれかに対する過敏性がわかっている患者;
治験薬に関する同時臨床試験中の患者、または先の4週間以内に治験薬が投与された患者;
腎細胞ガンについて先に全身的治療を受けた患者(腎細胞ガンの外科手術を受けた患者は含めることがふさわしい;指標を示さない病変に対する放射線治療を受けた患者は、放射線治療の完了の2週間後であれば、試験にふさわしい);
ニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスIIIまたはIVの心疾患を有している患者;
自己免疫疾患(例えば、クローン病)が明らかになっている患者;
妊娠中または授乳中の女性患者;ならびに、
転移部位の外科手術による切除後に疾患の証拠を示していない転移性疾患の患者。
【0096】
(実施例3)
ヒトに投与した低用量のIL−2の第IV相臨床試験
臨床試験の計画および目的
別の用量のインターロイキン−2(interleukin−2 in an alternative dose(ILIAD))の第IV相臨床試験を、転移性腎細胞ガンの患者に皮下投与した低容量のプロリューキン(登録商標)の効力と安全性を評価するために、プロスペクティブ研究、多施設共同研究、単群研究、オープンラベル研究として設計した。主要な目的は、≧16%の奏効率(ORR)とした。第2の目的には、完全寛解(CR)率および部分寛解(PR)率、応答期間、無増悪生存率(PF)、全体の生存率(OS)、および有害事象(AE)の発生を含めた。参加者には社会環境と理論的な環境の両方からの臨床研究者を含め、社会環境の医師が数の上では優勢であった。ILIAD試験は270人の患者をスクリーニングし、うち、267人を登録した。
【0097】
処置前の評価には、全病歴、身体検査、全血球計算値(CBC)、血清化学パネル(serum chemistry panel)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベル、および、転移性疾患の部位を明らかにするための適切なX線撮影試験を含めた。処置の間の評価には、CBC、血清化学パネル、TSH、および各新しい処置サイクルの開始前の身体検査、各処置サイクルの前から4週間まではCBC、および患者との接触のたびのAEの評価を含めた。2サイクル後の各処置サイクルの開始前には、先に決定した転移性疾患の部位のX線撮影による評価が必要であった。症例報告書に、転移性疾患の評価できる領域と、そのような決定を行うために使用した方法をまとめた。
【0098】
ILIAD処置レジュメ
全ての患者に、以下の処置スケジュールでプロリューキン(登録商標)を投与した:
【0099】
【表1】

プロリューキン(登録商標)を、1800万国際単位(MIU)/日を5日間(1週目、1サイクル目)、9MIU/日を2日間、続いて、18MIU/日を3日間(2〜6週目、1サイクル目)、そして9MIUを5日間(1〜6週目、≧2サイクル目)投与した。処置サイクル全体は、6週間のオン期間と、3週間のオフ処置との9週間であった。処置期間は、少なくとも2サイクル続けるように意図した。進行性疾患の患者は試験から除外し、一方、レスポンダーは、治験責任医師の判断で処置を続けさせることができた。腫瘍応答を、疾患の増悪まで最長で2年間、9週間ごとに評価した。患者を、1年および2年の時点で生存について評価した。ILIAD intent−to−treat(ITT)集団(n=263人の患者)には、少なくとも1用量の治験薬を投与した。
【0100】
毒性についての用量の変更を、プロトコールに明記されている指針にしたがって行った。悪性度3またはそれ以上の毒性を示している患者には、症状が消滅するまで処置をふせておき、そして半分に減らした次の用量を投与した。寛容化された場合には、特定のプロトコールの用量にまで、段階的に用量を増やして戻すことを実行した。用量の増加速度と最終的な用量は、治験責任医師の判断に委ねた。プロトコールに従うと、任意の目的とする用量は、患者に、通院患者としてプロリューキン(Proleukin)(登録商標)を投与できるようにするには十分に低くなければならないが、全身からの吸収を確実にするためには十分に高くなければならない(一般的には、皮下投与による5〜10MIU/日の範囲である)。2週間を超えて毒性が持続していた患者は試験から除外した。
【0101】
全部で270人の患者についてデータを回収した。270人の患者のうちの3人は、スクリーニングに失敗し、そして4人は登録したが一度も投与できなかった。残りの263人の患者には、少なくとも1用量の治験薬を投与し、分析に値していた(Intent−to−treat集団)。263人の患者の投与記録にしたがって、142人の患者には、2サイクル目の治験薬を投与した(Per−protocol Population)。Intent−to−treat患者の65パーセント、およびper−protocol患者の70.4%は、疾患の進行または再発の理由から、薬の投与を中止した。
【0102】
効力
2サイクルの処置の後、患者を、治験責任医師によって進行または応答について評価した(以下の表を参照のこと)。応答のカテゴリーは、「完全寛解」(CR)、「部分寛解」(PR)、「進行性疾患」(PD)、「安定な疾患」(SD)、および「不確定」(UD)であった。
【0103】
263人のIntent−to−treat患者のうちの6人(2.3%)は、治験責任医師により完全なレスポンダーと評価され、12人(4.6%)は部分的なレスポンダーと評価された。48人のIntent−to−treat患者(18.3%)は安定な疾患を有しており、156人(59.3%)は進行性疾患の状態を有していた。38人のIntent−to−treat患者(14.4%)は不確定と考えられ、そして3人(1.1%)については、評価は行われていなかった。全体的な応答率(完全寛解+部分寛解)は、6.8%であり、これには、4.1〜10.6%の95%信頼区間(CI)が伴っていた。
【0104】
142人のper−protocol(すなわち、治験薬を2サイクル投与した)患者のうちの6人(4.2%)は、治験責任医師によって完全なレスポンダーと評価され、11人(7.7%)は部分的なレスポンダーと評価された。全体的な応答率(完全寛解+部分寛解)は、12.0%であり、これには、7.1〜18.5%の95%信頼区間(CI)が伴っていた。
【0105】
【表2】

263人のintent−to−treat患者のうち、169人(64.3%)が、2年間のフォローアップ期間の間に死亡した。142人のper−protocol患者については、73人(51.4%)が死亡した。以下の表には、生存性についての分析結果をまとめる。
【0106】
【表3】

腎機能に関するサブグループ
ILIAD試験によるデータのサブグループ分析を、正常な腎機能を有している患者(血清クレアチニン(SCr)≦1.5mg/dL)を腎機能が低下している患者(SCr>1.5mg/dL)に対して比較することによって行った。正常であるサブグループと腎機能が低下しているサブグループとの比較は、それぞれ、類似する腎摘出術(73%対70%)、PS=0(28%対23%)、PS=1(59%対60%)、およびPS=2〜3(13%対17%)の頻度を示した。以下の表を参照のこと。
【0107】
【表4】

正常な腎機能を有している患者および腎機能が低下している患者についての効力の比較
正常な腎機能を有している患者および腎機能が低下している患者は、同様の結果であったことが明らかになった。図1〜3では、上記の投与レジュメの後の、正常な腎機能を有している転移性腎細胞ガンの患者(血清クレアチニン(SCr)≦1.5mg/dL)および腎機能が低下している転移性腎細胞ガンの患者(SCr>1.5mg/dL)における、低用量のIL−2の相対的な効力を比較しているグラフを示す。正常な腎機能を有している患者に対して比較すると、腎機能が低下している患者は、PR(5.7%対4.3%)、ORR(7.6%対6.7%)、平均PFS(0.34年対0.33年)、PFS−1年(28%対18%)、PFS−2年(16%対10%)、およびOS−2年(39%対31%)、CR(1.9%対2.4%)の、類似しているかまたはより高い率を有していた。平均生存期間(1.0年対1.1年)、およびOS−1年(52%対55%)は、腎機能が低下しているサブグループにおいてはわずかに低かった。腎機能に関するサブグループについての処置の効力の比較については、以下の表を参照のこと。
【0108】
【表5】

腎機能に関するサブグループを腎摘出術の前の状態と一般状態について管理した場合には、PFSおよびOSは同等のままであった。一変量ロジスティック回帰モデルを、標準的なSASプログラムを使用して作成して、ORRについてのオッズ比とWald 95%信頼区間を推定した。腎機能が低下している患者については、ORRは、サブグループを腎摘出術(オッズ比=0.52)、PS=0(オッズ比=0.57)、およびPS=1(オッズ比=0.63)に管理した場合には、正常な腎機能を有している患者よりも数値的に低かった。しかし、これらの差は統計学的には有意ではなく、正常な腎機能を有しているサブグループ(n=14)と腎機能が低下しているサブグループ(n=4)との中にレスポンダーが少なかったことが原因で、慎重に判断しなければならなかった。Cox比例ハザード回帰モデルを使用して、PFSおよびOSについてのハザード比と95%信頼区間を得た。サブグループを腎摘出術(ハザード比=0.86)、非腎摘出術(ハザード比=1.09)、PS=0(ハザード比=1.15)、およびPS=1(ハザード比=0.71)に管理した場合には、腎機能が低下している患者についてのPFSは、正常な腎機能を有している患者のPFSと類似していた。腎機能が低下している患者についての生存率もまた、サブグループを腎摘出術(ハザード比=0.92)、非腎摘出術(ハザード比=1.03)、PS=0(ハザード比=1.11)、およびPS=1(ハザード比=0.82)に管理した場合には、正常な腎機能を有している患者の生存率と類似していた。以下の表を参照のこと。
【0109】
【表6】

ヒストリカル・コントロールとの比較
文献検索により、以前に免疫治療で処置されたことのない腎細胞ガンの患者の研究におけるプラセボコントロールまたはシュードプラセボ(psuedo−placebo)コントロールを使用した8つの刊行物を特定した(Pyrhonenら(1999)J.Clin.Oncol.17:2859−2867;Motzerら(1999)J.Clin.Oncol.17:2530−40;Ritchieら(1999)Lancet 353:14−17;Kriegmairら(1995)Urology 45:758−762;およびJonesら(1993)Cancer Biother.8:275−288;Gleaveら(1998)New Engl.J.Med.338:1265−1271;Steineckら(1999)Acta Oncol.29:155−162;Osbandら(1999)Lancet 335:994−998)。これらの公開されている試験の中でのコントロールグループについての結果は非常に様々であり、これはほぼおそらく、コントロールとした処置(なし、ホルモン療法、または化学療法)、試験計画、患者の選択基準、およびそれまでの患者の処置に原因がある。以下の表を参照のこと。
【0110】
【表7】

正常な腎機能を有しているサブグループ、腎機能が低下しているサブグループ、およびILIAD ITT集団についての結果は、ヒストリカル・コントロールグループにおいて測定されたほとんどの結果よりも好ましかった。ILIAD腎臓サブグループおよびITT集団についてのPS=0、PS=1、および腎摘出術前の患者の割合は、ヒストリカル・コントロールグループの範囲の平均に近く、このことは、ILIAD患者集団がヒストリカル・コントロールの集団と同等であることを示唆している(図3を参照のこと)。対照的に、ILIAD ITT集団および腎臓サブグループは、効力に関する結果の大部分(43/50、86%)について、ヒストリカル・コントロールよりも数的に好ましかった(図4を参照のこと)。腎臓サブグループおよびITT集団についての結果は、ヒストリカル・コントロールによる効力の結果の7/50(14%)と比較して同じまたは数的に低かった:Steineck(1990)の実験のCR;Osband(1990)の実験のPR;Ritchie(1999)の実験のPRおよびORR;ならびに、Gleave(1998)の実験のCR、平均生存期間、およびOS−1年。終了時点で比較した場合には、ILIAD試験が、応答(16/21、76%)、PFS(8/8、100%)、および生存率(19/21、90%)の結果の大部分について、ヒストリカル・コントロールよりも好ましかった。
【0111】
加えて、リスクグループによって階層化したILIAD患者は、ヒストリカル・コントロールよりも高い生存率を有していた。低用量のIL−2で処置した患者の生存率を、IL−2の代わりに化学療法で処置された患者のヒストリカル・コントロールグループ(Jonesら(前出)に記載されている)の生存率と比較した。患者を、リスクファクターの階層化に関するJonesシステム(これは、特定されたリスクファクターの組み合わせに基づく:ECOG PS>1、<2年である診断から処置までの時間、および1つ以上の部位での転移)にしたがってリスクグループに分類した。患者を、以下のJonesリスクグループに分けた:低リスク(Good Risk)(0〜1のリスクファクター)、中程度のリスク(Moderate Risk)(2のリスクファクター)、および予後不良(3つのリスクファクターの全て)。図5は、個々のリスクグループについての、年数での時間に対する生存している被験体の割合(%)の別々のプロットを示す。実施例3に記載するレジュメにしたがって低用量のIL−2で処置した患者は、ヒストリカル・コントロールと比較すると、3つのJonesリスクグループの全てにおいて数的に高い生存率を有していた。しかし、ILIAD患者とヒストリカル・コントロールとの間での生存性の差は、リスクグループが悪くなるに伴って小さくなるようである。以下の表を参照のこと。
【0112】
【表8】

毒性
有害事象を、治験責任医師によって、「無関係」、「関係している可能性あり」、または「おそらく関係している」と決定して、処置について研究した。最も頻繁に生じる悪影響は疲労(患者の41.1%)、続いて、過酷(36.9%)、吐気(36.5%)、発熱(32.7%)、嘔吐NOS(22.1%)、および無食欲(20.9%)であった。以下の処置に関係している有害事象が、少なくとも10%の患者において観察された(以下の表を参照のこと)。
【0113】
【表9】

低用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)療法は、高用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)よりも腎毒性が少ない。高用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)療法は、ベースラインで高いSCrを有している患者についての、1回目の処置サイクルの間のSCr>4mg/dLの平均ピークと2回目の治療サイクルの間の>6mg/dLの平均ピークとによって測定される、顕著な腎毒性を引き起こすことが示されている(Belldegrunら、1987)。より小さいが、なおも劇的である、平均ピークSCrの増加(3mg/dLまで)が、ベースラインで正常なSCrを有していた患者について観察された。SCrレベルは、正常な腎機能を有している患者の98%と比較して、腎機能が低下していた患者の60%について、30日以内にベースラインに戻った。これらの結果は、高用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)によって、正常な腎機能を有していた患者よりも腎機能が低下していた患者において高い腎毒性が生じたことを示唆している。対照的に、低用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)によっては、処置の間にはSCrのごくわずかな増加(通常は、<2mg/dL)が生じた。これは、正常な腎機能のサブグループと腎機能が低下していたサブグループとの間で同等であった。SCr>3mg/dLの上昇は、いずれのサブグループについてもまれであった。この範囲内(<3mg/dL)のSCr偏差を有していた患者は、重い症状を有しているか、または特殊療法の必要があると見込まれることはない。
【0114】
悪性度と有害事象(AE)の頻度は、一般的には、正常な腎機能を有していた患者のサブグループと腎機能が低下していた患者のサブグループとの間では同等であった。正常なサブグループと比較すると、腎機能が低下していたサブグループは、全体としての深刻な有害事象(SAE)(26%対30%)、AE(77%対89%)、および薬物に関係するAE(76%対81%)に関してわずかに少ない数を有していた。中断につながるAEの数は、腎機能が低下していたサブグループにおいてわずかに高かった(30%対25%)。正常な腎機能を有していたサブグループおよび腎機能が低下していたサブグループのいずれにおいても、それぞれ、最も高いAEの割合(%)は、悪性度3であり(42%対34%)、その後に、悪性度2(33%対23%)、悪性度4(9%対13%)、悪性度1(4%対8%)、そして悪性度5(1%対0%)であった。
【0115】
最も一般的な有害事象(いずれのサブグループにおいても>10%の患者において報告された)は、通常は、正常な腎機能を有していたサブグループと腎機能が低下していたサブグループとの間では同等であり、これには、それぞれ、疲労(43%対45%)、過酷(38%対36%)、発熱(39%対23%)、注射部位の反応(18%対21%)、吐気(39%対36%)、嘔吐(25%対19%)、下痢(20%対19%)、皮膚炎NOS(18%対11%)、無食欲(23%対19%)、咳(20%対9%)、呼吸困難NOS(13%対26%)、不眠(9%対17%)、関節痛(12%対13%)、筋痛症(11%対9%)、下肢の浮腫(8%対17%)、体重減少(11%対4%)、および低血圧NOS(6%対11%)が含まれていた。
【0116】
LDのプロリューキン(Proleukin)(登録商標)の腎毒性は、腎機能に関するサブグループの間で類似していた。LDのプロリューキン(Proleukin)(登録商標)療法の腎毒性は、ベースラインの測定値に対して、各処置サイクルの間のSCrレベルを比較することによって評価した。ピークのSCrレベルは多数の患者については処置の間にわずかに上昇したが、ピークSCr>2.0mg/dLが、腎機能が低下していたサブグループのうちのわずか5人の患者、および正常な腎機能を有していたサブグループのうちの8人の患者において観察された。ピークSCr>3.0mg/dLは一般的ではなく、腎機能が低下していたサブグループのうちのわずかに1人の患者、および正常な腎機能を有していたサブグループのうちの2人の患者でしか観察されなかった。
【0117】
結論
低用量のインターロイキン−2は、高用量のIL−2療法には不適格である、転移性腎細胞ガンを有している腎機能が低下している患者について安全であり、有効であるようである。第IV相臨床試験の結果は、低用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)によって、正常な腎機能を有していた患者および腎機能が低下していた患者のいずれにおいても、同様の応答率、無増悪生存率(PFS)、および全体の生存率(OS)が生じたことを示している。低用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)で処置した正常な腎機能を有していた患者および腎機能が低下していた患者についての効力の結果は、一般的には、ヒストリカル・コントロールグループについて報告された効力よりも高かった。低用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)に伴う腎毒性は、腎機能のサブグループの間では同様であり、腎機能が低下していた患者において高用量のプロリューキン(Proleukin)(登録商標)を用いた場合に観察された腎毒性よりも劇的に低かった。
【0118】
(実施例4)
低用量のIL−2の投与による転移性腎細胞ガンの処置
IL−2処方物を、転移性腎細胞ガンの組織学的診断について、患者に投与した。処方物中のIL−2の濃度は約22MIUであった。IL−2処方物は皮下注射によって投与した。処置には、9週間のサイクルを2回含めた。最初のサイクルには、9〜18MIUの低用量のIL−2で、1日に1回、1週間のうちに5日(qd×5d)の6週間の処置、続く3週間の休息期間を含めた。2回目のサイクルには、9MIUの低用量のIL−2で、1日に1回、1週間のうちに5日(qd×5d)の6週間の処置、続く3週間の休息期間を含めた。処置サイクルを、応答している患者については繰り返した。
【0119】
本発明の好ましい実施形態が説明され、記載されたが、様々な変更を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46552(P2012−46552A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−266809(P2011−266809)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2007−553304(P2007−553304)の分割
【原出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(507251918)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】