腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤
【課題】腎炎に対する治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性が低減された腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤の提供。
【解決手段】炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤、更にリン脂質、ポリアルキレングリコールを含有する腎炎治療薬。
【解決手段】炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤、更にリン脂質、ポリアルキレングリコールを含有する腎炎治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤に関するものであり、詳細には、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有する腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カゼインキナーゼ2(Casein kinase II、以下「CK2」という。)は、広く組織に発現しているセリン/スレオニンキナーゼであり、活性サブユニット(CK2α、α’)と制御サブユニット(CK2β)からなる四量体で構成される。本発明者らは、CK2を阻害することにより腎炎の進行を顕著に阻害できることを世界で初めて見出した(非特許文献1参照)。活性サブユニットにはCK2αおよびCK2α’の2種類のアイソザイムが存在するが、腎炎の糸球体において著明に発現が上昇するのはCK2αであり、CK2α’は精巣における精子形成に関与することが報告されている。天然物由来CK2阻害剤として知られているエモジン(Emodin)は、アイソザイム選択性がなく、両方のアイソザイムを阻害するため、動物実験において腎炎症状の進行を抑制する一方、精巣のアポトーシスを増強するという副作用が観察された。
【0003】
腎炎の有効な治療方法は未だ確立されていない。現在は、病状の進行が見られない場合には、生活管理および食事療法を中心として薬物を補助的に用い、病状の進行が見られる場合には、厳密な食事療法と薬物療法を組み合わせて用いる治療法が行われている。薬物投与は、タンパク尿に対してはジピリダモールを、ネフローゼ症候群を呈する場合は副腎皮質ステロイドを使用する。また、高血圧の場合はα−メチルドーパを、浮腫の強い場合はフロセミドなどの利尿剤を投与する。また、コルチコステロイド単独、あるいはシクロホスファミドとの併用によって炎症を抑制して、腎不全への進行を遅延させる。
【0004】
しかし、上記の薬剤は、副作用やリバウンド現象などを引き起こす場合がある。さらに、ステロイド剤を含む一部薬剤は、投与された後に腎臓で濃縮され、かえって腎炎を悪化させる場合もある。腎炎の自然寛解はまれであり、治療が長期にわたるため患者に負担の少ない治療法の開発が望まれている。それゆえ、腎炎治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性の少ないCK2阻害薬が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Yamada & Tsujimoto et al., PNAS.2005,102:7736-7741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、腎炎に対する治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性が低減された腎臓内CK2阻害剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
[2]炭素数が18以下である前記[1]に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
[3]前記[1]または[2]に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤を含有する医薬組成物。
[4]さらに、リン脂質を含有する前記[3]に記載の医薬組成物。
[5]リン脂質がレシチンである前記[4]に記載の医薬組成物。
[6]さらに、ポリアルキレングリコールを含有する前記[3]〜[5]のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである前記[6]に記載の医薬組成物。
[8]腎炎治療薬である前記[3]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、腎炎に対する治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性が低減された腎臓内CK2阻害剤を提供することができる。本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、腎炎治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の各実験群の腎臓内CK2発現量を比較した結果を示す図であり、(A)はウエスタンブロットのバンドの画像を表し、(B)はウエスタンブロットのバンドの濃さを数値化した結果を表す。
【図2】実施例1の各実験群の腎臓内CK2の活性を比較した結果を示す図である。
【図3】実施例1の各実験群の腎臓内CK2のmRNA発現量をRT−PCRにより比較した結果を示す図である。
【図4】実施例1の各実験群の尿中タンパク質量の測定結果を示す図である。
【図5】実施例1の各実験群の血清クレアチニンの測定結果を示す図である。
【図6】実施例1の各実験群のBUNの測定結果を示す図である。
【図7】実施例1の各実験群の腎臓の組織染色像を示す図である。
【図8】実施例1の各実験群の糸球体30個あたりの半月体形成数を示す図である。
【図9】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの総糸球体細胞数を示す図である。
【図10】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの抗Ki67抗体染色陽性細胞数を示す図である。
【図11】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの抗ED−1抗体染色陽性細胞数を示す図である。
【図12】実施例1の各実験群のLDHの測定結果を示す図である。
【図13】実施例1の各実験群のASTの測定結果を示す図である。
【図14】実施例1の各実験群のALTの測定結果を示す図である。
【図15】実施例1の各実験群のTGの測定結果を示す図である。
【図16】実施例1の各実験群の総コレステロールの測定結果を示す図である。
【図17】実施例1の各実験群の精巣のTUNEL染色像を示す図である。
【図18】実施例1の各実験群の精細管内のTUNEL染色陽性細胞数を示す図である。
【図19】実施例2の各実験群の尿中タンパク質量の測定結果を示す図である。
【図20】実施例2の各実験群の血清クレアチニンの測定結果を示す図である。
【図21】実施例2の各実験群のBUNの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内CK2阻害剤を提供する。炭素数6以上の脂肪酸は、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。具体的には、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ヘンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸などが挙げられる。脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。脂肪酸のエステルとしては、グリセリド等のアルコールエステル、糖エステルなどが挙げられる。
【0011】
好ましくは炭素数18以下、すなわち炭素数6〜18の脂肪酸またはその塩またはそのエステルであり、より好ましくは炭素数6〜12の脂肪酸またはその塩またはそのエステルである。さらに好ましくは炭素数6〜12の脂肪酸のエステルである。
また、本発明の腎臓内CK2阻害剤は、有効成分として炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルは、公知の方法に従って製造することができる。また、市販品を入手することができる。
【0012】
後段の実施例で示すように、本発明の腎臓内CK2阻害剤を腎炎モデルラットに投与することにより、腎臓内CK2の発現量を有意に減少させ、腎臓内CK2活性を低下させることができる。また、本発明の腎臓内CK2阻害剤を投与した腎炎モデルラットにおいては、腎炎に伴う尿タンパク質、血清クレアチニン、BUN(血液尿素窒素)の上昇を有意に抑制し、腎組織における糸球体の肥大を抑制し、糸球体内総細胞数の増加および半月体形成を有意に抑制し、糸球体における細胞増殖およびマクロファージ浸潤を有意に抑制することが明らかになった。したがって、本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、腎炎治療薬として有用である。
【0013】
さらに、本発明の腎臓内CK2阻害剤を投与した腎炎モデルラットにおいては、肝臓に対する毒性を示さず、公知のCK2阻害剤であるエモジンが精巣毒性を示すのに対して、本発明の腎臓内CK2阻害剤は精巣毒性を示さないことが明らかとなった。したがって、本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、低毒性の腎炎治療薬として極めて有用である。
【0014】
治療対象の腎炎は特に限定されないが、例えば、急性糸球体腎炎、微小変化型腎炎、巣状糸球体硬化症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性糸球体腎炎、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎、急性腎盂腎炎、慢性腎盂腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、痛風腎
などが挙げられる。なかでも、自己免疫性の腎炎が好適である。自己免疫性の腎炎としては、抗糸球体基底膜(GBM)抗体腎炎、グットパスチャー症候群、ループス腎炎、IgA腎症などが挙げられる。
【0015】
本発明の医薬組成物は、上記本発明の腎臓内CK2阻害剤に、薬学的に許容される担体、添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
【0016】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
【0017】
本発明の医薬組成物は、上記本発明の腎臓内CK2阻害剤と、リン脂質およびポリアルキレングリコールの少なくともいずれかを組み合わせた製剤とすることが好ましい。リン脂質およびポリアルキレングリコールはいずれも医薬の添加剤として許容されている。より好ましくは、本発明の腎臓内CK2阻害剤とリン脂質とポリアルキレングリコールを組み合わせた製剤であり、静脈内投与用脂肪乳剤とすることが特に好ましい。本発明の腎臓内CK2阻害剤とリン脂質とポリアルキレングリコールを組み合わせた静脈内投与用脂肪乳剤は、公知の脂肪乳剤の製造方法により製造することができる。例えば、後段の実施例に記載のトリカプリリン含有エマルションの調製方法を好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0018】
リン脂質は特に限定されず、例えばレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリンなどが挙げられる。好ましくはレシチンであり、より好ましくは卵黄レシチンである。レシチンは、動物・植物より取り出された各種のリン脂質を主体とする混合物の総称であり、その主要成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸である。リン脂質は、市販品を好適に用いることができる。
【0019】
ポリアルキレングリコールは、一般式 H(O[CH2]m)nOHで示される化合物である(mおよびnは1以上の整数)。具体的には、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリへキシレングリコール、ポリヘプチレングリコール、ポリオクチレングリコール、ポリノニレングリコール、ポリデシレングリコールなどが挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの平均分子量は、200〜20000が好ましく、より好ましくは200〜4000、さらに好ましくは200〜1000である。
【0020】
ポリアルキレングリコールには、異なるポリアルキレングリコールを2種以上混合したものでもよい。また、他の化合物をポリアルキレングリコールで修飾したポリアルキレングリコール誘導体も好適に用いることができる。ポリアルキレングリコール誘導体としては、例えば、DSPE−PEGなどが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、市販品を好適に用いることができる。
【0021】
このようにして得られる製剤は低毒性であり、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。投与量は、患者の状態、症状、投与方法などにより異なるが、通常成人1日当り10〜10000mg、好ましくは10〜5000mgである。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。
【0022】
本発明は、さらに以下の発明を包含する。
哺乳動物に対して、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの有効量を投与することを特徴とする腎臓内CK2の阻害方法。
哺乳動物に対して、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの有効量を投与することを特徴とする腎炎の治療方法。
腎臓内CK2の阻害に使用するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステル。
腎炎の治療に使用するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステル。
腎臓内CK2阻害剤を製造するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの使用。
腎炎治療薬を製造するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの使用。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
〔実施例1:トリカプリリンによる腎臓内CK2阻害作用および腎炎治療効果〕
(1)抗基底膜(GBM)抗体腎炎ラットの作製
10週齢のSDラットの腎臓を摘出し、ステンレスメッシュによる篩法を用いて糸球体を分画した。この糸球体画分を抗原としてNZWウサギを免疫し、ウサギ抗GBM抗血清を作製した。得られたウサギ抗GBM抗血清を7週齢のWKYラットに尾静脈注射し、抗GBM抗体腎炎モデルラットを作製した。
【0025】
(2)トリカプリリン含有エマルションの調製
トリカプリリン(和光純薬)1000mg、レシチン(L-alpha-Phosphatidylcholine、Avanti Polar Lipids)350mg、DSPE−PEG2000(N-(Carbonyl-methoxypolyethyleneglycol 2000)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine、NOF)140mgを含有するエマルション10mL(粒子径100〜120μm)を以下の手順で調製した。なお、粒子径はゼータサイザー(Malvern社製)を用いて動的光散乱法で測定した。
(a) トリカプリリン(和光純薬)に、クロロホルムに溶解したレシチンを加えて混和。
(b) エバポレーターおよびデシケーターを使ってクロロホルムを完全に除去。
(c) 残さに生理食塩水を約5mL添加。
(d) 得られた乳濁液に対して超音波処理(30秒×6回)。
(e) 0.22μmのメンブレンフィルターで濾過。
(f) DSPE−PEG2000を約5mLの生理食塩水で溶解し、70℃の水浴中で3時間保温。
(g) 上記(e)および(f)を混合し、液量を10mLに調整して、70℃で90分間保温。
【0026】
(3)実験群
以下の4群(6匹/群)を設けた。
(i) トリカプリリン含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「Emulsion」)
(ii) エモジン投与群(20mg/kg/日、CK2阻害薬、図中「Emodin」)
(iii) 生理食塩水投与群(0.5mL/匹/日、腎炎モデル、図中「(−)」)
(iv) 無処置群(抗GBM抗体非投与、図中「Control」)
【0027】
(4)実験手順
7週齢のWKYラットにウサギ抗GBM抗血清を尾静脈注射した24時間後から、被験物質または対照物質を1日1回2週間連続でラットに投与した。トリカプリリン含有エマルションおよび生理食塩水は静脈内投与、エモジンは腹腔内投与とした。最終投与後、尿を採取し、尿中タンパク質量を測定した。また、血液を採取し、血清クレアチニン、血液尿素窒素(BUN)、総コレステロール、中性脂肪(TG)、乳酸脱水素酵素(LDH)、AST、ALTを測定した。また、ラットを安楽死させて腎臓および精巣を摘出し、組織学的検討を行った。
【0028】
一方、腎臓内のCK2阻害実験は、以下のように行った。
すなわち、摘出した腎臓から皮質を得、ホモジナイズして1000×g、5分間、4℃で遠心分離し、上清を得た。総タンパク質量40μgの上清をウエスタンブロットに供した。ウエスタンブロットは定法に従って行い、一次抗体には抗CK2α抗体(Santa Cruz Biotechnoligy)を、二次抗体にはペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Santa Cruz Biotechnoligy)を用い、検出にはECL法(Amersham Biosciences)を用いた。また、内部標準としてGAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)を抗GAPDH抗体を用いて検出し、GAPDHの発現量でCK2αの発現量を標準化した。
総タンパク質量15μgの上記上清をCK2活性の測定に供した。CK2活性の測定は、CK2アッセイキット(Upstate Biotechnology)を用いて行った。
上記皮質から定法に従ってトータルRNAを抽出し、その1μgをRT−PCRに供した。以下のCK2α用プライマーセットおよびGAPDH用プライマーセットを用いて、定法に従ってRT−PCRを行い、増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供してCK2αmRNA量を確認した。
CK2αプライマーセット
フォワード 5’-acatcatcacacttgcagac-3’(配列番号1)
リバース 5’-gcaactcggacattatactc-3’(配列番号2)
GAPDHプライマーセット
フォワード 5’-tccgttgtggatctgacatg-3’(配列番号3)
リバース 5’-ggagttgctgttgaagtcac-3’(配列番号4)
【0029】
(5)統計処理
得られたデータは平均値±標準誤差で示した。また、Fisher’s post hoc testを用いて統計処理を行った。結果を示す図において、*はp<0.05を、**はp<0.01を、***はp<0.001をそれぞれ表す。
【0030】
(6)結果
(6-1)腎臓内CK2阻害作用
図1に腎臓内CK2タンパク質のウエスタンブロットの結果を示し、図2に腎臓内CK2活性の結果を示し、図3に腎臓内CK2mRNAのRT−PCRの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎臓内CK2タンパク質の発現量が有意に減少し、腎臓内CK2活性の有意な低下が認められた。また、腎臓内CK2mRNAの発現量も減少していた。
【0031】
(6-2)腎炎治療効果
図4に尿中タンパク質量の結果を、図5に血清クレアチニンの結果を、図6にBUNの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎炎に伴う尿中タンパク質量の増加、血清クレアチニン値の上昇、BUN値の上昇の有意な抑制が認められた。
図7に各群のラットから摘出した腎臓の組織染色像を示した。上段がPAS染色、中段が抗Ki67抗体による免疫染色像、下段が抗ED−1抗体による免疫染色像である。図中、中段の矢印はKi67陽性細胞(増殖中の細胞)を、下段の矢印はED−1陽性細胞(マクロファージ)をそれぞれ示す。また、図8に糸球体30個あたりの半月体形成数を、図9に糸球体1個あたりの総糸球体細胞数を、図10に糸球体1個あたりの抗Ki67抗体染色陽性細胞数を、図11に糸球体1個あたりの抗ED−1抗体染色陽性細胞数を示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎組織において糸球体の肥大が抑制され、生理食塩水投与群と比較して糸球体内総細胞数および半月体形成が有意に抑制された。さらに、糸球体における細胞増殖およびマクロファージ浸潤についても、生理食塩水投与群と比較して有意に抑制された。
【0032】
(6-3)副作用
図12にLDHの結果を、図13にASTの結果を、図14にALTの結果を、図15にTGの結果を、図16に総コレステロールの結果をそれぞれ示した。これらの結果から、いずれの指標についても、トリカプリリン含有エマルション投与群は無処置群と比較して有意な変動が認められず、肝臓に対する毒性を示さないことが明らかとなった。
図17に、各群のラットから摘出した精巣のTUNEL染色像を示した。図中、矢印はTUNEL染色陽性細胞(アポトーシス細胞)を示す。また、図18に精細管内のTUNEL染色陽性細胞数を示した。精細管内のTUNEL染色陽性細胞は、精細管内の外周部分を精細管基底膜から25μm内、内側はそれより内腔側にあるものと定義し、1標本あたり60個の精細管についてTUNEL陽性細胞数をカウントし、1精細管あたりのTUNEL陽性細胞数として表した。図17および図18から明らかなように、エモジン投与群は精細管内のアポトーシス細胞の有意な増加が認められたのに対して、トリカプリリン含有エマルション投与群はアポトーシス細胞の増加が認められず、精巣に対する毒性を示さないことが明らかとなった。
【0033】
〔実施例2:トリカプリリンおよびトリオレイン酸グリセリドによる腎炎治療効果〕
(1)実験群
実施例1と同様に抗GBM抗体腎炎ラットを作製し、以下の8群(6匹/群)を設けて、腎炎治療効果を確認した。
(i) トリカプリリン投与群(50mg/匹/日、図中「TC」)
(ii) トリカプリリン・レシチン混合物投与群(トリカプリリン50mg・レシチン17.5mg/匹/日、図中「TC+EGG」)
(iii) トリカプリリン・DSPE−PEG2000混合物投与群(トリカプリリン50mg・DSPE−PEG2000 7mg/匹/日、図中「TC+PEG」)
(iv) トリカプリリン含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「TC+EGG+PEG」)
(v) トリオレイン酸グリセリド含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「TO+EGG+PEG」)
(vi) エモジン投与群(20mg/kg/日、CK2阻害薬、図中「Emodin」)
(vii) 生理食塩水投与群(0.5mL/匹/日、腎炎モデル、図中「(−)」)
(viii) 無処置群(抗GBM抗体非投与、図中「Control」)
【0034】
(2)エマルションの調製
トリカプリリン含有エマルションは実施例1に記載の方法で調製した。トリオレイン酸グリセリド含有エマルションは、トリカプリリントリオレイン酸グリセリドに変更した以外は実施例1のトリカプリリン含有エマルションの調製方法と同様に調製した。トリカプリリン・レシチン混合物は、実施例1のトリカプリリン含有エマルションの調製方法に従い、DSPE−PEG2000を混合していないエマルションとして調製した。
【0035】
(3)実験手順
実施例1と同様に、7週齢のWKYラットにウサギ抗GBM抗血清を尾静脈注射した24時間後から、被験物質または対照物質を1日1回2週間連続でラットに投与した。エモジンは腹腔内投与とし、その他は静脈内投与とした。最終投与後、尿を採取し、尿中タンパク質量を測定した。また、血液を採取し、血清クレアチニン、血液尿素窒素(BUN)を測定した。
【0036】
(4)結果
図19に尿中タンパク質量の結果を、図20に血清クレアチニンの結果を、図21にBUNの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルションのみでなく、トリオレイン酸グリセリド含有エマルション、トリカプリリン単独、トリカプリリンとレシチンとの混合物、トリカプリリンとDSPE−PEG2000との混合物についても、腎炎治療効果が認められた。
【0037】
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤に関するものであり、詳細には、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有する腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カゼインキナーゼ2(Casein kinase II、以下「CK2」という。)は、広く組織に発現しているセリン/スレオニンキナーゼであり、活性サブユニット(CK2α、α’)と制御サブユニット(CK2β)からなる四量体で構成される。本発明者らは、CK2を阻害することにより腎炎の進行を顕著に阻害できることを世界で初めて見出した(非特許文献1参照)。活性サブユニットにはCK2αおよびCK2α’の2種類のアイソザイムが存在するが、腎炎の糸球体において著明に発現が上昇するのはCK2αであり、CK2α’は精巣における精子形成に関与することが報告されている。天然物由来CK2阻害剤として知られているエモジン(Emodin)は、アイソザイム選択性がなく、両方のアイソザイムを阻害するため、動物実験において腎炎症状の進行を抑制する一方、精巣のアポトーシスを増強するという副作用が観察された。
【0003】
腎炎の有効な治療方法は未だ確立されていない。現在は、病状の進行が見られない場合には、生活管理および食事療法を中心として薬物を補助的に用い、病状の進行が見られる場合には、厳密な食事療法と薬物療法を組み合わせて用いる治療法が行われている。薬物投与は、タンパク尿に対してはジピリダモールを、ネフローゼ症候群を呈する場合は副腎皮質ステロイドを使用する。また、高血圧の場合はα−メチルドーパを、浮腫の強い場合はフロセミドなどの利尿剤を投与する。また、コルチコステロイド単独、あるいはシクロホスファミドとの併用によって炎症を抑制して、腎不全への進行を遅延させる。
【0004】
しかし、上記の薬剤は、副作用やリバウンド現象などを引き起こす場合がある。さらに、ステロイド剤を含む一部薬剤は、投与された後に腎臓で濃縮され、かえって腎炎を悪化させる場合もある。腎炎の自然寛解はまれであり、治療が長期にわたるため患者に負担の少ない治療法の開発が望まれている。それゆえ、腎炎治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性の少ないCK2阻害薬が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Yamada & Tsujimoto et al., PNAS.2005,102:7736-7741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、腎炎に対する治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性が低減された腎臓内CK2阻害剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
[2]炭素数が18以下である前記[1]に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
[3]前記[1]または[2]に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤を含有する医薬組成物。
[4]さらに、リン脂質を含有する前記[3]に記載の医薬組成物。
[5]リン脂質がレシチンである前記[4]に記載の医薬組成物。
[6]さらに、ポリアルキレングリコールを含有する前記[3]〜[5]のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである前記[6]に記載の医薬組成物。
[8]腎炎治療薬である前記[3]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、腎炎に対する治療効果を有し、かつ精巣に対する毒性が低減された腎臓内CK2阻害剤を提供することができる。本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、腎炎治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の各実験群の腎臓内CK2発現量を比較した結果を示す図であり、(A)はウエスタンブロットのバンドの画像を表し、(B)はウエスタンブロットのバンドの濃さを数値化した結果を表す。
【図2】実施例1の各実験群の腎臓内CK2の活性を比較した結果を示す図である。
【図3】実施例1の各実験群の腎臓内CK2のmRNA発現量をRT−PCRにより比較した結果を示す図である。
【図4】実施例1の各実験群の尿中タンパク質量の測定結果を示す図である。
【図5】実施例1の各実験群の血清クレアチニンの測定結果を示す図である。
【図6】実施例1の各実験群のBUNの測定結果を示す図である。
【図7】実施例1の各実験群の腎臓の組織染色像を示す図である。
【図8】実施例1の各実験群の糸球体30個あたりの半月体形成数を示す図である。
【図9】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの総糸球体細胞数を示す図である。
【図10】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの抗Ki67抗体染色陽性細胞数を示す図である。
【図11】実施例1の各実験群の糸球体1個あたりの抗ED−1抗体染色陽性細胞数を示す図である。
【図12】実施例1の各実験群のLDHの測定結果を示す図である。
【図13】実施例1の各実験群のASTの測定結果を示す図である。
【図14】実施例1の各実験群のALTの測定結果を示す図である。
【図15】実施例1の各実験群のTGの測定結果を示す図である。
【図16】実施例1の各実験群の総コレステロールの測定結果を示す図である。
【図17】実施例1の各実験群の精巣のTUNEL染色像を示す図である。
【図18】実施例1の各実験群の精細管内のTUNEL染色陽性細胞数を示す図である。
【図19】実施例2の各実験群の尿中タンパク質量の測定結果を示す図である。
【図20】実施例2の各実験群の血清クレアチニンの測定結果を示す図である。
【図21】実施例2の各実験群のBUNの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内CK2阻害剤を提供する。炭素数6以上の脂肪酸は、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。具体的には、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ヘンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸などが挙げられる。脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。脂肪酸のエステルとしては、グリセリド等のアルコールエステル、糖エステルなどが挙げられる。
【0011】
好ましくは炭素数18以下、すなわち炭素数6〜18の脂肪酸またはその塩またはそのエステルであり、より好ましくは炭素数6〜12の脂肪酸またはその塩またはそのエステルである。さらに好ましくは炭素数6〜12の脂肪酸のエステルである。
また、本発明の腎臓内CK2阻害剤は、有効成分として炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルは、公知の方法に従って製造することができる。また、市販品を入手することができる。
【0012】
後段の実施例で示すように、本発明の腎臓内CK2阻害剤を腎炎モデルラットに投与することにより、腎臓内CK2の発現量を有意に減少させ、腎臓内CK2活性を低下させることができる。また、本発明の腎臓内CK2阻害剤を投与した腎炎モデルラットにおいては、腎炎に伴う尿タンパク質、血清クレアチニン、BUN(血液尿素窒素)の上昇を有意に抑制し、腎組織における糸球体の肥大を抑制し、糸球体内総細胞数の増加および半月体形成を有意に抑制し、糸球体における細胞増殖およびマクロファージ浸潤を有意に抑制することが明らかになった。したがって、本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、腎炎治療薬として有用である。
【0013】
さらに、本発明の腎臓内CK2阻害剤を投与した腎炎モデルラットにおいては、肝臓に対する毒性を示さず、公知のCK2阻害剤であるエモジンが精巣毒性を示すのに対して、本発明の腎臓内CK2阻害剤は精巣毒性を示さないことが明らかとなった。したがって、本発明の腎臓内CK2阻害剤を含む医薬組成物は、低毒性の腎炎治療薬として極めて有用である。
【0014】
治療対象の腎炎は特に限定されないが、例えば、急性糸球体腎炎、微小変化型腎炎、巣状糸球体硬化症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性糸球体腎炎、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎、急性腎盂腎炎、慢性腎盂腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、痛風腎
などが挙げられる。なかでも、自己免疫性の腎炎が好適である。自己免疫性の腎炎としては、抗糸球体基底膜(GBM)抗体腎炎、グットパスチャー症候群、ループス腎炎、IgA腎症などが挙げられる。
【0015】
本発明の医薬組成物は、上記本発明の腎臓内CK2阻害剤に、薬学的に許容される担体、添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
【0016】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
【0017】
本発明の医薬組成物は、上記本発明の腎臓内CK2阻害剤と、リン脂質およびポリアルキレングリコールの少なくともいずれかを組み合わせた製剤とすることが好ましい。リン脂質およびポリアルキレングリコールはいずれも医薬の添加剤として許容されている。より好ましくは、本発明の腎臓内CK2阻害剤とリン脂質とポリアルキレングリコールを組み合わせた製剤であり、静脈内投与用脂肪乳剤とすることが特に好ましい。本発明の腎臓内CK2阻害剤とリン脂質とポリアルキレングリコールを組み合わせた静脈内投与用脂肪乳剤は、公知の脂肪乳剤の製造方法により製造することができる。例えば、後段の実施例に記載のトリカプリリン含有エマルションの調製方法を好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0018】
リン脂質は特に限定されず、例えばレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリンなどが挙げられる。好ましくはレシチンであり、より好ましくは卵黄レシチンである。レシチンは、動物・植物より取り出された各種のリン脂質を主体とする混合物の総称であり、その主要成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸である。リン脂質は、市販品を好適に用いることができる。
【0019】
ポリアルキレングリコールは、一般式 H(O[CH2]m)nOHで示される化合物である(mおよびnは1以上の整数)。具体的には、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリへキシレングリコール、ポリヘプチレングリコール、ポリオクチレングリコール、ポリノニレングリコール、ポリデシレングリコールなどが挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの平均分子量は、200〜20000が好ましく、より好ましくは200〜4000、さらに好ましくは200〜1000である。
【0020】
ポリアルキレングリコールには、異なるポリアルキレングリコールを2種以上混合したものでもよい。また、他の化合物をポリアルキレングリコールで修飾したポリアルキレングリコール誘導体も好適に用いることができる。ポリアルキレングリコール誘導体としては、例えば、DSPE−PEGなどが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、市販品を好適に用いることができる。
【0021】
このようにして得られる製剤は低毒性であり、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。投与量は、患者の状態、症状、投与方法などにより異なるが、通常成人1日当り10〜10000mg、好ましくは10〜5000mgである。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。
【0022】
本発明は、さらに以下の発明を包含する。
哺乳動物に対して、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの有効量を投与することを特徴とする腎臓内CK2の阻害方法。
哺乳動物に対して、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの有効量を投与することを特徴とする腎炎の治療方法。
腎臓内CK2の阻害に使用するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステル。
腎炎の治療に使用するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステル。
腎臓内CK2阻害剤を製造するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの使用。
腎炎治療薬を製造するための、炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルの使用。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
〔実施例1:トリカプリリンによる腎臓内CK2阻害作用および腎炎治療効果〕
(1)抗基底膜(GBM)抗体腎炎ラットの作製
10週齢のSDラットの腎臓を摘出し、ステンレスメッシュによる篩法を用いて糸球体を分画した。この糸球体画分を抗原としてNZWウサギを免疫し、ウサギ抗GBM抗血清を作製した。得られたウサギ抗GBM抗血清を7週齢のWKYラットに尾静脈注射し、抗GBM抗体腎炎モデルラットを作製した。
【0025】
(2)トリカプリリン含有エマルションの調製
トリカプリリン(和光純薬)1000mg、レシチン(L-alpha-Phosphatidylcholine、Avanti Polar Lipids)350mg、DSPE−PEG2000(N-(Carbonyl-methoxypolyethyleneglycol 2000)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine、NOF)140mgを含有するエマルション10mL(粒子径100〜120μm)を以下の手順で調製した。なお、粒子径はゼータサイザー(Malvern社製)を用いて動的光散乱法で測定した。
(a) トリカプリリン(和光純薬)に、クロロホルムに溶解したレシチンを加えて混和。
(b) エバポレーターおよびデシケーターを使ってクロロホルムを完全に除去。
(c) 残さに生理食塩水を約5mL添加。
(d) 得られた乳濁液に対して超音波処理(30秒×6回)。
(e) 0.22μmのメンブレンフィルターで濾過。
(f) DSPE−PEG2000を約5mLの生理食塩水で溶解し、70℃の水浴中で3時間保温。
(g) 上記(e)および(f)を混合し、液量を10mLに調整して、70℃で90分間保温。
【0026】
(3)実験群
以下の4群(6匹/群)を設けた。
(i) トリカプリリン含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「Emulsion」)
(ii) エモジン投与群(20mg/kg/日、CK2阻害薬、図中「Emodin」)
(iii) 生理食塩水投与群(0.5mL/匹/日、腎炎モデル、図中「(−)」)
(iv) 無処置群(抗GBM抗体非投与、図中「Control」)
【0027】
(4)実験手順
7週齢のWKYラットにウサギ抗GBM抗血清を尾静脈注射した24時間後から、被験物質または対照物質を1日1回2週間連続でラットに投与した。トリカプリリン含有エマルションおよび生理食塩水は静脈内投与、エモジンは腹腔内投与とした。最終投与後、尿を採取し、尿中タンパク質量を測定した。また、血液を採取し、血清クレアチニン、血液尿素窒素(BUN)、総コレステロール、中性脂肪(TG)、乳酸脱水素酵素(LDH)、AST、ALTを測定した。また、ラットを安楽死させて腎臓および精巣を摘出し、組織学的検討を行った。
【0028】
一方、腎臓内のCK2阻害実験は、以下のように行った。
すなわち、摘出した腎臓から皮質を得、ホモジナイズして1000×g、5分間、4℃で遠心分離し、上清を得た。総タンパク質量40μgの上清をウエスタンブロットに供した。ウエスタンブロットは定法に従って行い、一次抗体には抗CK2α抗体(Santa Cruz Biotechnoligy)を、二次抗体にはペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Santa Cruz Biotechnoligy)を用い、検出にはECL法(Amersham Biosciences)を用いた。また、内部標準としてGAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)を抗GAPDH抗体を用いて検出し、GAPDHの発現量でCK2αの発現量を標準化した。
総タンパク質量15μgの上記上清をCK2活性の測定に供した。CK2活性の測定は、CK2アッセイキット(Upstate Biotechnology)を用いて行った。
上記皮質から定法に従ってトータルRNAを抽出し、その1μgをRT−PCRに供した。以下のCK2α用プライマーセットおよびGAPDH用プライマーセットを用いて、定法に従ってRT−PCRを行い、増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供してCK2αmRNA量を確認した。
CK2αプライマーセット
フォワード 5’-acatcatcacacttgcagac-3’(配列番号1)
リバース 5’-gcaactcggacattatactc-3’(配列番号2)
GAPDHプライマーセット
フォワード 5’-tccgttgtggatctgacatg-3’(配列番号3)
リバース 5’-ggagttgctgttgaagtcac-3’(配列番号4)
【0029】
(5)統計処理
得られたデータは平均値±標準誤差で示した。また、Fisher’s post hoc testを用いて統計処理を行った。結果を示す図において、*はp<0.05を、**はp<0.01を、***はp<0.001をそれぞれ表す。
【0030】
(6)結果
(6-1)腎臓内CK2阻害作用
図1に腎臓内CK2タンパク質のウエスタンブロットの結果を示し、図2に腎臓内CK2活性の結果を示し、図3に腎臓内CK2mRNAのRT−PCRの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎臓内CK2タンパク質の発現量が有意に減少し、腎臓内CK2活性の有意な低下が認められた。また、腎臓内CK2mRNAの発現量も減少していた。
【0031】
(6-2)腎炎治療効果
図4に尿中タンパク質量の結果を、図5に血清クレアチニンの結果を、図6にBUNの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎炎に伴う尿中タンパク質量の増加、血清クレアチニン値の上昇、BUN値の上昇の有意な抑制が認められた。
図7に各群のラットから摘出した腎臓の組織染色像を示した。上段がPAS染色、中段が抗Ki67抗体による免疫染色像、下段が抗ED−1抗体による免疫染色像である。図中、中段の矢印はKi67陽性細胞(増殖中の細胞)を、下段の矢印はED−1陽性細胞(マクロファージ)をそれぞれ示す。また、図8に糸球体30個あたりの半月体形成数を、図9に糸球体1個あたりの総糸球体細胞数を、図10に糸球体1個あたりの抗Ki67抗体染色陽性細胞数を、図11に糸球体1個あたりの抗ED−1抗体染色陽性細胞数を示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルション投与群では、腎組織において糸球体の肥大が抑制され、生理食塩水投与群と比較して糸球体内総細胞数および半月体形成が有意に抑制された。さらに、糸球体における細胞増殖およびマクロファージ浸潤についても、生理食塩水投与群と比較して有意に抑制された。
【0032】
(6-3)副作用
図12にLDHの結果を、図13にASTの結果を、図14にALTの結果を、図15にTGの結果を、図16に総コレステロールの結果をそれぞれ示した。これらの結果から、いずれの指標についても、トリカプリリン含有エマルション投与群は無処置群と比較して有意な変動が認められず、肝臓に対する毒性を示さないことが明らかとなった。
図17に、各群のラットから摘出した精巣のTUNEL染色像を示した。図中、矢印はTUNEL染色陽性細胞(アポトーシス細胞)を示す。また、図18に精細管内のTUNEL染色陽性細胞数を示した。精細管内のTUNEL染色陽性細胞は、精細管内の外周部分を精細管基底膜から25μm内、内側はそれより内腔側にあるものと定義し、1標本あたり60個の精細管についてTUNEL陽性細胞数をカウントし、1精細管あたりのTUNEL陽性細胞数として表した。図17および図18から明らかなように、エモジン投与群は精細管内のアポトーシス細胞の有意な増加が認められたのに対して、トリカプリリン含有エマルション投与群はアポトーシス細胞の増加が認められず、精巣に対する毒性を示さないことが明らかとなった。
【0033】
〔実施例2:トリカプリリンおよびトリオレイン酸グリセリドによる腎炎治療効果〕
(1)実験群
実施例1と同様に抗GBM抗体腎炎ラットを作製し、以下の8群(6匹/群)を設けて、腎炎治療効果を確認した。
(i) トリカプリリン投与群(50mg/匹/日、図中「TC」)
(ii) トリカプリリン・レシチン混合物投与群(トリカプリリン50mg・レシチン17.5mg/匹/日、図中「TC+EGG」)
(iii) トリカプリリン・DSPE−PEG2000混合物投与群(トリカプリリン50mg・DSPE−PEG2000 7mg/匹/日、図中「TC+PEG」)
(iv) トリカプリリン含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「TC+EGG+PEG」)
(v) トリオレイン酸グリセリド含有エマルション投与群(0.5mL/匹/日、図中「TO+EGG+PEG」)
(vi) エモジン投与群(20mg/kg/日、CK2阻害薬、図中「Emodin」)
(vii) 生理食塩水投与群(0.5mL/匹/日、腎炎モデル、図中「(−)」)
(viii) 無処置群(抗GBM抗体非投与、図中「Control」)
【0034】
(2)エマルションの調製
トリカプリリン含有エマルションは実施例1に記載の方法で調製した。トリオレイン酸グリセリド含有エマルションは、トリカプリリントリオレイン酸グリセリドに変更した以外は実施例1のトリカプリリン含有エマルションの調製方法と同様に調製した。トリカプリリン・レシチン混合物は、実施例1のトリカプリリン含有エマルションの調製方法に従い、DSPE−PEG2000を混合していないエマルションとして調製した。
【0035】
(3)実験手順
実施例1と同様に、7週齢のWKYラットにウサギ抗GBM抗血清を尾静脈注射した24時間後から、被験物質または対照物質を1日1回2週間連続でラットに投与した。エモジンは腹腔内投与とし、その他は静脈内投与とした。最終投与後、尿を採取し、尿中タンパク質量を測定した。また、血液を採取し、血清クレアチニン、血液尿素窒素(BUN)を測定した。
【0036】
(4)結果
図19に尿中タンパク質量の結果を、図20に血清クレアチニンの結果を、図21にBUNの結果をそれぞれ示した。これらの結果から明らかなように、トリカプリリン含有エマルションのみでなく、トリオレイン酸グリセリド含有エマルション、トリカプリリン単独、トリカプリリンとレシチンとの混合物、トリカプリリンとDSPE−PEG2000との混合物についても、腎炎治療効果が認められた。
【0037】
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
【請求項2】
炭素数が18以下である請求項1に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤を含有する医薬組成物。
【請求項4】
さらに、リン脂質を含有する請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
リン脂質がレシチンである請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、ポリアルキレングリコールを含有する請求項3〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
腎炎治療薬である請求項3〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項1】
炭素数6以上の脂肪酸またはその塩またはそのエステルを有効成分として含有することを特徴とする腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
【請求項2】
炭素数が18以下である請求項1に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の腎臓内カゼインキナーゼ2阻害剤を含有する医薬組成物。
【請求項4】
さらに、リン脂質を含有する請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
リン脂質がレシチンである請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、ポリアルキレングリコールを含有する請求項3〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
腎炎治療薬である請求項3〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−197239(P2012−197239A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61679(P2011−61679)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人医薬基盤研究所、基礎研究推進事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人医薬基盤研究所、基礎研究推進事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】
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