説明

腎臓疾患評価用新規バイオマーカー

本発明は、腎臓疾患評価のための代謝バイオマーカーに関し、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを含む。さらに、本発明は哺乳類対象物の腎臓疾患評価の方法に関し、前記対象物から生物試料、好ましくは血液/尿試料を取得し、前記生物試料中の、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを測定することを含む。さらに本発明は前記方法を実施するためのキットを提供する。本発明の具体的なバイオマーカー及び方法を適用することで、より適切なかつ信頼性の高い腎臓疾患評価が可能となる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓における病理学的変化、特に前記疾患又は損傷の初期段階での変化により敏感な、腎臓疾患評価のための新規バイオマーカーに関する。さらに、本発明は、哺乳動物における腎臓疾患を診断するための方法及び前記方法を実施するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
メタボロミクスとは、中間代謝経路の全範囲を表す主要な代謝物を系統的にカバーする低分子量化合物の包括的な定量的測定を意味する。システム生物学的方法においては、これは遺伝子青写真、制御、タンパク質量及び変化及び環境への影響などにより決定される変化の機能的読み出しを与える。大量のメタボライトの分析が可能であるということは、顕在する生物的事象の真の機能的エンドポイントを反映する生物学的情報を抽出することを可能とするものである。これに対してトランスクリプトミクス及びプロテオミクスなどの他の機能的ゲノミクスは非常に有用ではあるが、表現型応答について潜在的な原因を示すに過ぎないものである。従ってこれらは、機能的評価が加えられない限り、前記表現型レべルで、薬物効果、毒性応答又は疾患状態を予期することは必ずしもできるものではない。
【0003】
メタボロミクスは、特にかかる機能的情報を提示することで、この情報ギャップを橋渡しするものである。というのは生物体液及び組織におけるメタボライトの違いは、種々の表現型応答の最も緊密なリンクを与えるからである。言うまでもないが、適切な技術が費用効果的にこの情報を掘り出しかつ集積するならば、前記生化学的表現型変化は、医薬、バイオテクノロジー及び健康産業の分野における直接の関心事となるものである。
【0004】
一般に、表現型は遺伝子型から予測できるとは限らない。遺伝子型と表現型とのギャップは、多くの生化学的反応、医薬、栄養及び環境因子などを含む種々の影響に依存して拡大される。
遺伝子から表現型へのこの生体分子の連鎖において、メタボライトは、表現型に最も緊密なリンクを持つ定量化可能な分子である。医薬への毒性応答や疾患罹患率などの多くの表現型及び遺伝子型の状態が、生物液及び組織内の機能的に関連するメタボライトの濃度における差により予想される。
【0005】
慢性腎臓疾患(CKD)は、細管及び糸球体での進行性の腎臓機能喪失であり、通常非可逆性である。CKDは世界的公衆衛生問題であり、腎不全、心血管疾患及び早死などの合併症を持つ。CDKは異なる原因で生じ得るものであるが、1つの主原因は、糖尿病2型から合併症で、糖尿病性腎症(DN)と呼ばれている。欧州では、約2230万人の人が糖尿病に苦しみ、かつこれらの人々の94.9%が2型の糖尿病であり、これは欧州のほとんどの先進工業国において末期腎疾患(ESRD)の原因となっている(HaHetal.2008)。ESDRの3分の1の患者が糖尿病であり(WolfG.&RitzE.2003)、かつ最近のデータで、2型糖尿病の患者でESRDの疫学的増加が示されており、最もあり得る原因は高血圧及び冠状動脈性心臓病の治療がより進み、これにより多くの患者が腎症及びESRDを発症するに十分に生存することとなったからである(SampanisCh.2008)。アメリカ合衆国では、ESRD治療の年間コストは、1995年から2010年へ、118億USドルから283億USドルへ、2倍以上となると予想される。この経済的ファクタは欧州では詳しくは研究されていない(Massi-BenedettiM&CODE-2AdvisoryBoard2002)が、2型糖尿病の費用(CODE-2)研究では、糖尿病治療の費用への糖尿病合併症の大きさが評価された。この研究は、合併症のない患者は年間の治療費用が約1505EURであり、細小血管合併症を持つ患者は年間治療費が2563EURとなり、これは70%の増加を示す(WilliamsRetal.2002)。世界をリードする独立医学雑誌は最近、ほぼ50万人の大人を含む長期間研究において次のことを報告している。即ちほとんど全ての対象者は自分の疾患にCKDの後期段階になるまで気づかなかった、ということである。CDKは初期段階では処置可能であり予防され得るものである(WenCPetal.2008)と考えられていることから、より早い段階で検出して糖尿病2型の患者が合併症を起こさないようにすることが、公衆衛生システム及び患者個人の両方にとって、して医療費用を低減することとなるであろう。
【0006】
腎臓は身体の適切な機能、例えば老廃生成物及び毒物を濾過して除き、ホメオスタシスを維持しかつホルモンを生産するなどの機能を維持する機能を持つ。この腎臓機能を正しく維持するために、血液が腎臓の糸球体膜でろ過される速度が制御されねばならない。高い糸球体濾過速度(GFR)が、水及び溶質の細胞外レベルを安定にかつ最適に維持するために必要である(BoronWF、&BoulpaepEL.2003)。このGFRは、血清クレアチニンクリアランス、年齢、民族及び性から計算され、5つの段階にCKDを分けて使用されている。ここで最後の2段階が最終腎臓疾患(ESRD)であり、透析又は移植が生存のためには必要とされる。
【0007】
よく知られていることは、腎臓機能障害の診断及び治療が早いほど、残りのネフロンが維持され、それにより進行が抑制される可能性が大きくなる、ということである。
【0008】
腎臓疾患診断の従来のマーカーにはGFR、クレアチニン及びアルブミンが含まれる。
【0009】
GFRは、非常に初期段階で増加した後、症状が現れる前に減少する。GFRの測定に伴う欠点は、コストが高いこと及び通常の実験室でのモニターとは適合性ではないということである。血清クレアチニンは上記のようにGFRを計算するために最もよく使用されるマーカーであるが、しかしシスタチンCが、さらに緩やかなGFR減少を検出することができるより高感度のマーカーとして提案されてきた(Herget-RosenthalSetal.2007)。欠点は、シスタチンCについては標準方法も均一なキャリブレーション用材料も存在しないということであり、さらに、限界として、高グルココルチコイド投与の甲状腺機能障害と、潜在的な血管疾患の存在によりシスタチンCへの影響である。これらの単一マーカーの限界により、正確に医学的結論を導くために、GFR推定値に完全に依存することは示唆されていない。腎臓疾患の他、年齢がGFRに影響を与える2番目の最大ファクタである。従って、GFRの緩やかな減少は、必ずしも腎臓損傷によるのではなく、年齢のためであり得る。また、GFRの減少が、慢性腎臓疾患によるとは限らない。GFRも測定はまた不便であると考えられ、通常腎臓機能は血清クレアチニン濃度に基づいて求められる。
【0010】
血清クレアチニンは、長い間、障害腎臓病を検出するため、及びGFRを計算するために使用されてきた(StarR.etal.2002)。クレアチニンは、筋肉代謝からのクレアチニンリン酸エステルの分解生成物であり(BarrDB.etal.2005)、その日毎の形成量は筋肉量に依存するが、血漿中濃度は個人について非常に一定している。血清クレアチニン濃度は、年齢、性、民族及び体格などのファクタに影響され、従ってクレアチニンクリアランスの測定が通常実施される。身体からクレアチニンのクリアランスは、腎臓の糸球体によるろ過で行われるが、クレアチニンは尿細管により血液から積極的に分泌される。この速度は遺伝及び生物的ファクタに依存し、例えば性別及び年齢などであり、これはGRFの15〜20%の過大評価となる。従って、クレアチニンは、特に子ども又は高齢者には非感受性マーカーと考えられている。またクレアチニンの他の欠点は、これは後段階の腎臓損傷のみ検出するということである。
【0011】
アルブミンは最も豊富な血漿タンパク質であり(BasiS、etal.2008)、腎臓の構造的障害が尿中に分泌されるアルブミンの増加、30〜300mg/24時間に反映され得るものであり、これは微量アルブミン症と呼ばれる。微量アルブミン症は糖尿病の発症後数年で発症し15〜20年後の微量アルブミン症に進展し、尿中のアルブミン濃度が300mg/24時間を超えるものである。アルブミン症が見られることは、糖尿病性腎症の顕著な特徴であり、通常は試験紙法で測定される。腎臓障害のマーカーとしてのアルブミンは、いくつかの欠点がある。第1に数年前まで、近位尿細管で最吸収されない尿中アルブミンはその形で分泌されると信じられてきたが、しかし実際にはアルブミンはその形及びアルブミン誘導ペプチド(これは試験紙法では検出されない)の混合物として分泌され、かつ試験紙法では検出されない他の種類のアルブミンも分泌されるからである。
これは偽陰性試験結果を与える余地がある(ComperWD.&OsickaTM.2005)。第2にアルブミンは既存の腎症の証拠であって、予期のための優れたバイオマーカーではないということである。微量アルブミン症の現れる前に糖尿病性腎症が検出されるならば、治療としてはCKDを予防するか又は進行を防止する可能性があり得る。アルブミン症の測定は腎臓障害の全ての患者を同定することはできない。
【0012】
2つのメチルアルギニン異性体であり、対称ジメチルアルギニン(SDMA)及び非対称ジメチルアルギニン(ADMA)について腎臓疾患に関して集中的に研究されてきた(FleckCetal.2001)。これらは、転写後にタンパクアルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMT)により変性されたアルギニン残基により形成され、通常は身体中で代謝されず、ADMAは酸化窒素合成酵素(NOS)の外部インヒビターとしての可能性のため生物学的に重要である。というのはADMA濃度の増加はNO合成の減少を起こし、従って障害性の内皮機能をもたらすことを意味するからである。ADMAの蓄積は、これまでずっと、高血圧、免疫不全及びCKDに関与する特徴に寄与すると信じられてきた。さらに動物実験では、実験的に誘導された慢性NOS抑制は、全身性の糸球体の高血圧、糸球体虚血、糸球体硬化症、尿細管間質性障害及びタンパク尿の原因となることが示されている(ZatzR&BaylisC、1998)。SDMAはADMAよりもむしろ多く、CKD患者で有意に増加することがまた見出されている。
【0013】
さらに、アシルカルニチンはCKDと関連付け(リンク)されてきた(FougueDetal.2006)。遊離アシル化の増加がCKD患者の血清中に見出され、これは障害を受けた腎臓の分泌機能が低下したことからである。
【0014】
さらに酸化ストレスは、長年腎臓疾患の進展に関係づけられてきた(LoughreyCM.etal.1994、HaHetal.1995)。いくつかの研究によると、高血糖症による酸化ストレスの増加は、糖尿病の微小血管及び大血管の両方の合併症の原因であることが述べられている(SakaneNetal.2008)。酸化ストレスはグルコース及び脂肪酸の過剰から始まり、これらの物質がミトコンドリアに代謝のために輸送される際に電子伝達系からの電子が外れ得る。メチオニンスルホキシドは、活性酸素種(ROS、MashimaRetal.2003)による酸化の最も直接的インジケーターの1つであるが、これまで腎臓疾患のバイオマーカーとして実施されてきたことはない。さらに腎不全でのクエン酸回路中間物の役割については、クエン酸、フマル酸及びマレイン酸がCKDを持つ患者中に有意に増加することについて研究されてきた。
【0015】
CKDを持つ患者においては、腎性代謝の変化は全身及び腎性アミノ酸代謝に変化を及ぼすように見える。通常の状態ではわずかの限られた量のアミノ酸のみが尿と共に分泌される。フェニルアラニンからチロシンへの変換に障害があることは、これらの患者にフェニルアラニンの蓄積をもたらすことが観察されてきた。さらに、障害性腎臓はアルギニンの生成に影響を与え、臨床及び動物研究の両方において、腎性アルギニン合成における低下を伴うことが知られている。また進行したCKD患者で、シトルリンの腎性取り込みの減少及び、タウリン、オルニチン、アラニン、チロシン及びリジンの放出が見られた。さらにシトルリンからアルギニンへの変換が低下するように見える。
【0016】
さらに、トリプトファン代謝がCKDの発症の関わっているとの示唆もされている。腎臓でのこの経路での速度限定酵素は、インドールアミン-2、3-ジオキシゲナーゼ(IDO)であり、これはトリプトファンをN-ホルミル-キヌレニンに変換し、これが代謝されてキヌレニン及びその後ヒドロキシキヌレニンへ異化される。IDOの活性増加は、トリプトファンの枯渇を説明するために以前の研究で観察されている。
【0017】
糖尿病及びDN患者の血清中に、C-反応性タンパク質、インターロイキン6、インターロイキン18、腫瘍壊死因子(TNF)-αなどの炎症マーカーが増加し、またフェチュインが減少することが観測されている。これは、疾患の非常に初期の段階で生じ、アルブミン症の程度と関連する。
【0018】
CKDM又はDNの診断のための知られたバイオマーカーには例えば、いくつかのポリペプチドマーカー(US2006286602Al、CA2473814A1、EP1972940Al、US2009081713Al)が含まれ、異なる分子質量及び移動時間を持つものであり、例として慢性腎不全遺伝子-1a(CRFG-1a)ポリペプチド(JP11069985A、JP11069984A)であり、同様にポリペプチドマーカー(JP2003235573A、JP2004187620A)である。
【0019】
上記のシスタチンCは、ホロ-及びアポ-レチノール結合タンパク質(RBP)、タム-ホルスホール-タンパク質(THP、(DE10327773Al)の他に、腎臓疾患を診断するために使用される全てのマーカーの1つである(JP11064333A)。前記マーカーには、カルビンジンD-28k(大EF-ハンドファミリのh1つのカルシウム-結合タンパク質ファミリ)、腎臓障害分子-1(Kim-1、細胞外6-システイン免疫グロブリンドメイン、タイプ1膜タンパク質)、アルファ-2uグロブリン関連タンパク質(アルファ-2u、これはまた人リポカリン2(LCN2)又は好中球ジェラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)(好中球の顆に保存される)として知られている)、オステオポンチン(OPN、これはまた分泌性ホスホタンパク質1(SPP1、分泌性、高酸性及びグルコシル化ホスホタンパク質、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)細胞接着モティーフを持つ)として知られている)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF、血管生成、血管透過性を促進し、単球の走化性に寄与し、及び尿病、障害治癒炎症応答及び組織再生に役割を果たすものとして知られている(WO2008116867Al))、N-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼ前駆体、アジポネクチン、AMBPタンパク質前駆体(アルファ-1-微小グロブリン)、C4b-結合タンパク質アルファ鎖前駆体、セルロプラスミン前駆体、相補C3前駆体、相補成分C9前駆体、相補因子D前駆体、アルファ-1B-グリコタンパク質、ベータ-2-グリコタンパク質I前駆体、ヘパリン補因子II前駆体、鎖C領域タンパク質、ロイシン豊富アルファ-2-グリコタンパク質前駆体、色素上皮誘導前駆体、血清レチノール結合タンパク質前駆体及び転写開始因子3サブユニット10(EP1905846A2)が挙げられる。
【0020】
抗原、サイトトキシン及び細胞成長インヒビターがバイオマーカーとして使用され得る(WO2008101231A2)。線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)及びアジポネクチンが、慢性腎臓疾患を予期するマーカーとして、それぞれ又は組み合わせて有望であることが見出された(WO2008089936A1)。腎臓疾患又はその素因を診断しモニターするための他の方法は、ヒッペルリンドウ腫サプレッサー(pVHL)、CXCケモカインレセプター4(CXCR4)、インテグリンβ-1、血小板由来増殖因子アルファペプチド(PDGF-A)、低酸素誘導因子1アルファ(HIF1アルファ)及び/又は対象者からの試中の形質転換成長因子ベータ(TGFβ)が挙げられる(US2008/0038269A1)。
【0021】
記載された他の方法は、腎臓線維症及び関連する腎臓障害、特に糖尿病、高血糖及び高血圧に関連する合併症の存在及び進展を決定するために、試料中の結合組織成長因子のレベルの測定である(US2004/0224360A1)。
【0022】
ゲノミクスの分野では、腎臓疾患評価のためのいくつかのバイオマーカーがある。1つの発明は、臨床的又は科学的対象細胞中でのみ発現される遺伝子の同定が含まれ、例えば、糸球体上皮細胞又は近位尿細管などである(CN1863928A)。人白血球抗原(HLA)マーカーHLA-A11、HLA-DR9及びHLA-DQA1*0302は全て、糖尿病及び腎症の予期マーカーである(CN101294215A)。トロンボスポンジンタイプ1モチィーフ-4、アグレカネーズ-1(ADAMTS4)と共にディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼが、遺伝子カルビンディン-D28k、KIM-1、OPN、EGF、クラステリン、VEGF、OAT-K1、アルドラーゼA、アルドラーゼB、ポドシン、アルファ-2u、C4(EP1925677A2)及びセラミドグルコシルトランスフェラーゼ(CGT)(WO03057874A1)と同様に、CKDの血液バイオマーカーとして有用であることが見出された(WO2009002451A2)。
【0023】
RNAマーカーはまた腎臓疾マーカーとして使用される(EP2058402(A1)。例えば、腎臓RNAマーカーには、腎近位尿細管の上皮細胞に発現する腎臓特異的アンドロゲン制御タンパク質(KAP)、腎障害分子-1(KIM-1)、腎臓近位尿細管上皮細胞に発現する膜タンパク質、虚血性障害及び腎毒性処置後の腎臓に誘導発現されるヘパリン-結合性上皮成長因子(GB-EGF)、線維芽成長因子1(EGE-1)、腎毒性処理の後誘導されるケラチノサイト成長因子(FGF-7)及びFGF-7レセプターFGFR2IIIb、水チャンネルタンパク質アクアポリン1、2及び3(腎臓に多く発現される)、タム-ホルスファールグリコタンパク質(腎臓上皮細胞に発現され、ヘンレのループの厚い上昇部と腎臓の遠位包旋細管に局在し、最後には初期の成功応答遺伝子(Egr-1)を発現)、プロトオンコジーン(c-fos)及びストレス応答遺伝子(hsp70)(腎臓の虚血性障害後に活性化される)、が挙げられる。
【0024】
腎臓疾患評価のために従来技術に記載される他の方法は、尿中のプロテアーゼ活性を2以上の物質について測定し、前記物質に対する前記プロテアーゼ活性のパターンを分析すること(WO2008001840A1)、又は人の触媒鉄の測定(US2007238760A1)を含む。
【0025】
腎臓疾患評価のためのいくつかの示唆されるバイオマーカーがあるけれども、記載されたもの及び特に今日臨床で使用されているものは感度が十分ではなく疾患の最後の段階においてのみ検出され得るものである。従って現時点においてもなお、腎臓の病理学的変化、特に疾患または障害の式の段階での変化に敏感なマーカーへの要求が存在する。
【0026】
アルブミンやクレアチンなどの上記マーカーは、糖尿病患者の腎症へのリスクを見出すために使用されてきたが、最重要課題は、新規なより敏感なバイオマーカーであって、糖尿病性腎症をより早い段階で予期又は検出ができ、予防治療を実施するか、又は最終的にはESDRとなる腎臓の障害の進展及びその関連する合併症を少なくとも遅くすることのできるバイオマーカーを見出すことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従来技術に存在する上記問題点に鑑みて、本発明の課題は、腎臓疾患評価のための新規バイオマーカーを提供することであり、前記バイオマーカーは、腎臓の病理学的変化、特に疾患又は障害の初期段階での変化に対してより敏感なマーカーを提供することである。
【0028】
最適には、前記マーカーは、血液及び/又は尿などの生物試料中で容易に検出され得るものであり、そのレベルが常に腎臓の障害に関連し、そのレベルが変化するものである。さらに、本発明の課題は、生物試料中の腎臓疾患評価のための方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の課題を解決するため、本発明者はメタボロミクスの研究に基づいた。これは腎臓の疾患の際に生じる生化学的変化についての知見を与え、いくつかのかつ強力なより優れたバイオマーカーを与える可能性のあるものである。事実、腎臓は特に代謝活性器官であり、メタボライト(代謝物)が身体のその機能に依存して分泌されたり、再び吸収されたりする。従って、腎臓疾患について代謝的バイオマーカーを持つことは重要な改良であると思われ、またこれにより腎臓機能およびそこでの生化学反応についてより情報を与えるものであると思われる。本発明発明者は次の知見を得た。すなわち、従来技術におけるような単一のマーカーを適用するよりは、腎臓疾患の進展につれ変化される1群のメタボライトを用いることで、全ての関与する経路及び反応機構のより全体的な理解が得られる、ということである。
【0030】
従って本発明は、添付の特許請求の範囲に記載にされるように、腎臓の病理学的変化、特に疾患又は障害の初期段階での変化の評価のために適した新規なバイオマーカー(即ち、新規バイオマーカーセット)を提供する。さらに、本発明はまた、哺乳類対象体で腎臓疾患評価のための方法を提供し、同様に前記方法を実施するためのキットを提供する。
【0031】
本明細書で以下の図1から14が参照される。これらの図は、進行中の腎臓疾患で本発明のメタボライトバイオマーカーの増加又は減少の例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、糖尿病及び非糖尿病でのCKDの段階3〜5での、対称的ジメチルアルギニン(SDMA)比に関するものであり、段階5患者は、段階3及び段階4の患者に比較して、高度に有意(p<<0.01)な前記比を持つことを示し、これはSDMAがCKDの進展についての優れたバイオマーカーであることを示唆している。
【図2】図2は、CKDの段階3〜5でのSDMA比に関するものであり、段階5の患者は段階3及び段階4の患者と比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることが分かる。
【図3】図3は、糖尿病及び非糖尿病でのCKD段階3〜5でのSDMA/アルギニン比のボックスプロットに関するものであり、段階5の患者は、段階3及び段階4の患者に比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかり、これは、SDMA/アルギニン比がCKDの優れたバイオマーカーであることを示唆する。前記比は、SDMA/アルギニンがタンパク質アルギニン-メチルトランスフェラーゼIIの増加活性の予期マーカーであることを示し、さらにそれを反映するものであることを示す。
【図4】図4は、CKD段階3〜5でのSDMA/アルギニン比のボックスプロットに関するものであり、段階5の患者は、段階3及び段階4の患者に比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかる。SDMAは、タンパク質アルギニン-メチルトランスフェラーゼIIの増加活性の予期マーカーであることを示し、さらにそれを反映するものであることを示す。
【図5】図5は、糖尿病及び非糖尿病のCKDの段階3〜5でのアシルカルニチングルタルカルニチンのボックスプロットに関するものであり、グルタルカルニチンがCKDの最終段階で増加することを示す。
【図6】図6は、CKD段階3〜5でグルタルカルニチンのボックスプロットを示す。
【図7】図7は、糖尿病及び非糖尿病でのCKD段階3〜5でのシトルリン/アルギニン比のボックスプロットに関するものであり、段階5の患者は、段階3及び段階4の患者に比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかり、前記比は、尿サイクルでの酵素活性が変更されたことを示す。
【図8】図8は、CKD段階3〜5でのシトルリン/アルギニン比のボックスプロットに関する。
【図9】図9は、糖尿病及び非糖尿病でのCKD段階3〜5でのオルニチン/アルギニン比のボックスプロットに関するものであり、段階5の患者は、段階3の非糖尿病患者のみに比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかり、このバイオマーカーが、腎臓疾患の異なる種類間で異なる診断を行うために重要であることを示す。
【図10】図10は、糖尿病及び非糖尿病でのCKD段階3〜5でのメチオニンスルホキシド/メチオニン比のボックスプロットに関するものであり、この酸化ストレスマーカーは、段階5の患者は段階3の患者と比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかる。
【図11】図11は、CKD段階3〜5でのメチオニンスルホキシド(MetOS)/メチオニン(Met)比のボックスプロットに関するものであり、段階5の患者は段階3の患者と比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかり、MetSO/Met比がCKDの進展のための優れたバイオマーカーであることを示唆する。
【図12】図12は、CKDの段階3〜5でのフマル酸のボックスプロットに関するものであり、初期段階では全くフマル酸が存在せず、従ってフマル酸は定量マーカーとして作用することを示す。
【図13】図13は、糖尿病及び非糖尿病でのCKD段階3〜5でのアルファケトグルタル酸のボックスプロットに関するものであり、段階5の糖尿病患者は段階3の糖尿病患者と比較して高度に有意(p<<0.01)に比が増加していることがわかる。
【図14】図14は、CKD段階3〜5でのアルファケトグルタル酸のボックスプロットに関する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の特定の(セットの)バイオマーカー及び方法を適用することにより、より適切かつ信頼性のある腎臓疾患の評価が可能となる。本発明の「評価」とは、前記疾患の発症の診断及び進展のモニター、特に前記疾患の異なる段階での検出およびマーキングを意味する。本発明は、腎臓疾患をより改良された形でかつ前記疾患のより早い段階で予期し診断することを可能としさらに前記腎臓での病理学的変化をより敏感に検出することを可能とするものである。実際、本発明のバイオマーカーは、生物試料中、特に血液及び/又は尿試料中で容易に検出され、それらのレベルは一貫して腎臓疾患/障害の程度に関連し、そのレベルが変化するものである。
【0034】
さらに、評価することにはまた、これらのマーカーが動物モデル又は第I相臨床試験での腎毒性評価にも適しているという事実を含むべきである。言い換えると、これらはまた、前臨床及び臨床腎毒性を評価するために適している。即ち、医薬開発の初期段階でのいわゆる動物モデル又は第1相臨床試験においてである。
【0035】
一般にバイオマーカーは、2つ以上の生物的状態をお互いに区別可能とするための有用な道具であり、通常の生物的プロセス、病理学的プロセスのインジケーターとして、又は医薬処置への反応として作用するものである。メタボライトは低分子量化合物(<1kDa)であり、ほとんどのタンパク質、DNA及び他のマクロ分子よりも小さい。タンパク質の活性の僅かな変化が、生化学反応中で大きな変化となり、それらのメタボライト(=代謝バイオマーカー、身体の代謝系)、その濃度、フラックス及び移動機構が、疾患及び薬物処置に敏感である。これにより、遺伝的因子及び栄養、生理活性、消化管ミクロバル(microbal)及び医薬などの環境的因子を反映する、生理学的及び病態生理学的物質の個々のプロフィールを得ることを可能とする。従って、代謝バイオマーカーは、バイオマーカーであるが代謝バイオマーカーではないタンパク質やホルモンなどよりもより包括的な情報を与える。
【0036】
その観点で、用語「代謝バイオマーカー」とはここでは、腎臓疾患状態特にCKDを示すインジケーターとして、適する化合物を意味し、哺乳動物体内での代謝プロセスの際に生じるメタボライト(代謝物)又は代謝化合物を意味する。用語「代謝バイオマーカー」はまた、酵素反応に応じて生成物/基質比をまた含むことが意図されている。
【0037】
本発明により測定される代謝バイオマーカーは次のクラスのメタボライト(即ち分析物)を含む:少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンである。これらのクラスの定義は当業者には知られているが、好ましい物については以下表1〜3にまとめられている。さらに、生物アミンとは、天然アミノ酸の酵素的脱カルボン酸により誘導される天然に存在する生物活性化合物として理解されるべきである。生物物質は、生命プロセスにより与えられる物質であり、前記生物アミンアミン基を含む。それらのほとんどは神経伝達物質として作用するが、例えば血圧及び体温調節に活性を有するものがある。
【0038】
驚くべきことに、これらのクラスの1組のメタボライトを測定することで、初期の段階で改良された方法で腎臓疾患を予期し診断することを可能にする、ということを見出した。特に、腎臓の病理学的変化をより敏感に検出することができるということである。このグループの1つのクラスのメタボタイトが除外されるか、その数が低減されると、腎臓疾患評価はより敏感でなくなり信頼のないものとなろう。これは特に、この疾患の初期段階で適用され得るものであり、かかる段階では知られたバイオマーカーを用いて知られた方法によっては信頼性ある検出ができなかった。実際、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを同時に測定することは、腎臓疾患、特に段階1〜3また段階4及び5でのCKD及びDNのより信頼性にある診断を可能とする。かかる事実は従来技術においてはこれまで一切記載されていないものでる。
【0039】
好ましくは前記バイオマーカーセットはさらに酵素反応についての生成物/基質の比を含み、より好ましくはSDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比を含む(添付の図)。SDMA/アルギニン比は酵素タンパク質アルギニンN-メチルトランスフェラーゼ(PRMT)に関連し、シトルリン/アルギニン比は酸化窒素シンターゼ(NOS)と関連し、オルニチン/アルギニン比はアルギネースに関連し、またメチオニンスルホキシド/メチオニン比は活性酸素種(ROS)による酸化に関連する。さらにこれらの比を測定することで、本発明のバイオマーカーセット及び方法の診断機能はさらに改良され得る。
【0040】
より好ましくは、本発明のバイオマーカーセットはさらに、ポリアミン、ホスファチジルコリン、還元単糖及びオリゴ糖(糖)、スフィンゴミエリン、アイコサノイド、胆汁酸及びエネルギー代謝中間物を含む群から選択される1以上のメタボライトを含む。これらのクラスの好ましい例は表4〜9に挙げられる。また、さらにこれらのクラスのメタボライトを測定することで、本発明によるバイオマーカーセット及び方法の診断性能はさらに改良され得る。
【0041】
特に好ましくはバイオマーカーセットは、アミノ酸が、Cit、Phe、Asn、Trp、His、Orn、Tyr、Met、Ala、Arg、Thr、Lys、GIn、Ser、Val、Glu及びProからの1つであり、アシルカルニチンは、C0、C5-DC(C6-OH)、C5:1-DC、C8、C9、C10、C10:1、C14:1及びC18:1から選択されるものであり、生物アミンは、MetSO、クレアチン、SDMA、ADMA、全DMA及びセレトニンから選択されるものであり、前記比は、SDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン比及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比から選択されるものである。
【0042】
上記のように、評価される疾患は腎臓疾患である。好ましくは慢性腎臓疾患(CKD)、より好ましくは糖尿病性腎症(DN)である。生物試料は、哺乳類、好ましくはマウス、ラット、ギニアピッグ、犬、ミニピッグ又はヒトである。生物試料は好ましくは血液又は尿試料であるが、全ての他の生物使用で当業者に知られたものであり、本発明による測定が可能であるものは適したものである。従って、本発明の方法は、インビトロ方法である。生物試料のメタボライト濃度の測定のために、クロマトグラフ、スペクトロスコピー及びマススペクトルなどの定量分析方法が適用され、特にマススペクトルの使用が好ましい。クロマトグラフには、GC、LC、HPLC及びUPLCが含まれ、スペクトロスコピーにはUV/VIS、IR及びNMRが含まれ、さらにマススペクトルにはESI-QqQ、ESI-QqTOF、MALDI-QqQ、MALDI-QqTOF及びMALDI-TOF-TOFが含まれる。好ましくは、FIA及びHPLCタンデムマススペクトルの使用である。これらの分析方法は一般的に当業者に知られている。
【0043】
目標とされるメタボライト量の測定のために、メタボロミクスが生物試料中のメタボライトを定量化するために使用される。これには、アミノ酸、生物アミン、ポリアミン、アシルカルニチン、ホスファチジルコリン、還元単糖及びオリゴ糖、スフィンゴミエリン、アイコサノイド、胆汁酸及びエネルギー代謝中間物の分析物クラスを含む。エネルギー代謝中間物には、ホスホリル化糖、1価、2価及び3価有機酸及び核酸が含まれることを理解されるべきである。しかし、本発明によれば、測定されるメタボライトにはとりわけ、アミノ酸、アシルカルニチン及び生物アミンが含まれる。定量化は、同位体ラベル化内部標準を用いて実施され上記方法で決定される。
本発明による測定されるべきメタボライトとして適するものが略語(BCコード)も含めて分析ブウtのリストが次の表に含まれる。

表1:アミノ酸(μM)
【0044】
【表1】

表2:アシルカルニチン(μM)
【0045】
【表2a】

【0046】
【表2b】


表3:生物アミン(μM)
【0047】
【表3】

表4:ホスファチジルコリン(μM)
【0048】
【表4a】

【0049】
【表4b】

【0050】
【表4c】


表5:スフィンゴミエリン(μM)
【0051】
【表5】


表6:プロスタグランジン(nM)
【0052】
【表6】


表7:糖(μM)
【0053】
【表7a】

【0054】
【表7b】

【0055】
【表7c】

【0056】
【表7d】


表8:胆汁酸(nM)
【0057】
【表8】


表9:エネルギー代謝からのメタボライト(μM)
【0058】
【表9】


さらに、本発明はまた、本発明を実施するために適合されたキットを提供するものである。前記キットは、1以上のウェルと、1以上の内部標準を含む1以上のインサートを含む装置を含む。かかる装置はWO2007/003344及びWO2007/003343に記載されており、これらの内容は参照されて本明細書の一部となる。
【0059】
以下の実施例はさらに本発明を詳細に説明するものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0060】
実施例
腎臓疾患の異なる段階における比較を行った。また糖尿病性腎症と他の慢性腎臓疾患との比較を行った。
【0061】
一般的情報:
6コホート、CKD段階3〜5(前記公式段階1〜3はすべてここでは段階3として含む)であるCKDを持つ糖尿病とCKD段階3〜5であるCKDを持つ非糖尿病の尿(57)と血漿(76)試料をそれぞれMontpellier大学病院で収集した。標的メタボロミクスを用いて、血漿からの約320のメタボライト及び約300の尿からのメタボライトが定量化された。前記メタボライトには、次のクラス、即ちアミノ酸、生物アミン、ポリアミン、アシルカルニチン、フォスファチジルコリン、還元単及びオリゴ糖、スフィンゴミエリン、アイコサノイド、胆汁酸及びエネルギー代謝中間物(上で定義された)を含み、これには同位体ラベル化された内部標準が含まれる。これらを、Sciex4000QTrapを電子スプレーイオン化と共に用いてFIA及びHPLCタンデム質量分析装置(多重反応モニター(MRM)付き)により決定した。
【0062】
さらに、血漿中の160の脂肪酸をGC-MS/MSにより定量化した。かかるデータベースは教師なし主成分分析(PCA)及び教師付き部分細小二乗区別分析(PLS-DA)をMarkerViewsoftware(LifeTechnologies)を用いて行った。
【0063】
分析P/U及びU:
分析は、血漿及び尿が利用可能(即ち57;「分析P/U」)及び血漿試料のみ使用(即ち76;「分析P」の両方の患者について行った。従ってマーカーは血漿及び尿の組み合わせとして作用し得るが、また血漿中でのみ測定され得ることをも示している。異なる比較がCKDのバイオマーカー評価のために行われた。しかしまた、糖尿病性腎症及び他の腎臓疾患との間の違いを区別され得るかを調べるためにも比較された。従って、かかる比較は、全ての患者についてCKDの初期段階及び遅い段階での間で行われた。さらにまた、糖尿病性及び非糖尿病性との間においても比較がなされた。
【0064】
用語の定義:
(1) アップ、ダウンレギュレーション:アップレギュレーションは、メタボライトの濃度が増加することを意味する。例えば、この生化学反応が例えば酵素活性の変化により生じる速度の増加を意味する。ダウンレギュレーションは、その逆である。
(2)t-テスト:t−テストは、統計的仮設のテストであり、使用した1つは前記MarkerViewsoftwareに組み込まれており、前記表に含まれた全ての変数へ適用し、それぞれのグループの標準偏差及び試料数が与えられ有意の差があるかどうかを決定するものである。例えば、2つの異なるグループ間の平均(平均値)間に実際の相違があるかどうかを調べることである。
(3)p-値:p-値とは、帰無仮説(相違なし又は効果なし)を仮定して、実際の観察されたものと少なくとも同じ極端となる結果が得られる確立である。p-値は常に正の値であり、変化が生じる確立が小さいほど、その値は小さくなる。p-値0.05未満では前記帰無仮説を5%レベルで棄却する。これは前記変化の時間のほんの5%のみが生じる可能性があるということを意味する。これがここでの表で設定されたレベルである。
(4) 対数倍変化:体数倍変化とは、それぞれの状態での平均の対数変換濃度間の違いとして定義される。これは、1つのグループと他のグループでの値がどの程度大きいか小さいかを記述する方法である。例えば、0.3の対数倍変化とは、コントロール(健康グループ)に比べてexp(0.3)=1.34倍の増変化に「等しい」。さらに、0.3の対数倍変化は、前記コントロールに比べてexp(-0.3)=0.74=(1/1.34)倍の変化に「等し」く、又は前記疾患に対して1.34の減少変化に等しいことになる。
【0065】
結果:
前記記載の測定結果は以下の表10〜27にまとめた。
表10〜18は、「分析P/U」及び表19〜27は「分析P」に関する。この表で、p-値はMarkerViewSofwareを用いて標準のt−テストを行って得られた値である。正の対数倍は、より高い段階でのメタボライトのアップレギュレーションを表し、逆もそうである。略語は:D、糖尿病性;ND、非糖尿病性;AC、アシルカルニチン;SU、糖;BN、生物アミン;SM、スフィンゴミエリン;TFA、合計脂肪酸;FFA、遊離脂肪酸;PC、フォスファチジルコリン;OA、有機酸;BN、生物アミンである。
【0066】
「分析P/U」
表10:CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0067】
【表10a】

【0068】
【表10b】


表11:CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0069】
【表11a】

【0070】
【表11b】


表12:CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0071】
【表12a】

【0072】
【表12b】

【0073】
【表12c】


表13:糖尿病性CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0074】
【表13】


表14::糖尿病性CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0075】
【表14】


表15:糖尿病性CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0076】
【表15a】

【0077】
【表15b】


表16:非糖尿病性CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0078】
【表16a】

【0079】
【表16b】


表17:非糖尿病性CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0080】
【表17a】

【0081】
【表17b】


表18:非糖尿病性CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0082】
【表18a】

【0083】
【表18b】


分析「P」
表19:CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0084】
【表19a】

【0085】
【表19b】


表20:CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0086】
【表20a】

【0087】
【表20b】

【0088】
【表20c】

【0089】
【表20d】


表21:CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0090】
【表21a】

【0091】
【表21b】

【0092】
【表21c】

表22:糖尿病性CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0093】
【表22】


表23:糖尿病性CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0094】
【表23a】

【0095】
【表23b】

表24:糖尿病性CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0096】
【表24】


表25:非糖尿病性CKDの段階4及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0097】
【表25a】

【0098】
【表25b】


表26:非糖尿病性CKDの段階5及び4で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0099】
【表26a】

【0100】
【表26b】

【0101】
【表26c】

【0102】
【表26d】


表27:非糖尿病性CKDの段階5及び3で比較した、高度に有意および有意の、アップレギュレーション及びダウンレギュレーションされたメタボライト。
【0103】
【表27a】

【0104】
【表27b】

【0105】
【表27c】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、改良された方法で、前記疾患の初期段階で腎臓疾患を予測しかつ診断することを可能にし、かつ前記腎臓での病理学的変化についてより敏感に検出することを可能とする。
事実、本発明のバイオマーカーは生物試料中、特に血液/尿中で容易に検出可能であり、かつそれらの濃度が、腎臓疾患/障害の程度に応じて常に関連し、それに応じて変化するものである。
さらに本発明のバイオマーカーは、動物モデル又は臨床試験第1相で、腎毒性を適切に評価することができるものである。
言い換えると、これらはまた、全臨床及び臨床腎毒性を評価する上で適するものである。即ち、医薬開発の初期段階、動物モデル実験段階又は臨床試験第1相段階である。
これらに基づき、腎臓疾患/障害、特にCKD及びDNの発症をより信頼性高く診断し、その進展をモニターするために適したキットを製造することが可能となる。

(参照文献リスト)
Boron
WF, Boulpaep EL. Medical Physiology: A Cellular and Molecular Approach 1st ed. Philadelphia: Elsevier Science; 2003 p. 737-747, 757-765, 769-772, 793-795
Star
R, Hostetter T, Hortin GL. New Markers for Kidney Disease. Clin Chem. 2002;
48(9) 1374-1376
Barr
DB, Wilder LC, Caudill SP, Gonzalez AJ, Needham LL, Pirkle JL. Urinary
creatinine concentrations in the U.S. population: implications for urinary
biologic monitoring measurements. Environ Health Perspect. 2005; 13(2) 192-200
Herget-Rosenthal
S, van Wijk JA, Brocker-Preuss M, Bokenkamp A. Increased urinary cystatin C
reflects structural and functional renal tubular impairment independent of
glomerular filtration rate. Biochem. 2007; 40(13-14) 946-51
Basi
S, Fesler P, Mimran A, Lewis JB. Microalbuminuria in Type 2 Diabetes and
Hypertension: A marker, treatment, or innocent bystander? Diabetes Care 2008;
31(2) S194-201
Wolf
G, Ritz E. Diabetic Nephropathy in Type 2 Diabetes Prevention and Patient
Management. J Am Soc Nephrol 2003; 14(5) 1396-1405
Comper
WD, Osicka TM. Detection of urinary albumin. Adv Chronic Kidney Dis. 2005;
12(2) 170-6
Vallance
P, Leone A, Calver A, Collier J, Moncada S. Accumulation of an endogenous
inhibitor of nitric oxide synthesis in chronic renal failure. Lancet 1992;
339(8793) 572-5
Wahbi
N, Dalton RN, Turner C, Denton M, Abbs I, Swaminathan R. Dimethylarginines in
chronic renal failure. J Clin Pathol. 2001; 54(6) 470-3
Fleck
C, Janz A, Schweitzer F, Karge E, Schwertfeger M, Stein G. Serum concentrations
of asymmetric (ADMA) and symmetric (SDMA) dimethylarginine in renal failure
patients. Kidney Int Suppl. 2001; 78:S14-8
Martens-Lobenhoffer
J, Bode-Boger SM. Chromatographic-mass spectrometric methods for the
quantification of L-arginine and its methylated metabolites in biological
fluids. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 2007; 15;851(1-2) 30-41
Zatz
R, Baylis C. Chronic nitric oxide inhibition model six years on. Hypertension.
1998; 32(6) 958-64
Fouque
D, Holt S, Guebre-Egziabher F, Nakamura K, Vianey-Saban C, Hadj-Aissa A, Hoppel
CL, Kopple JD. Relationship between serum carnitine, acylcarnitines, and renal
function in patients with chronic renal disease. J Ren Nutr. 2006; 16(2) 125-31
Loughrey
CM, Young IS, Lightbody JH, McMaster D, McNamee PT, Trimble ER. Oxidative
stress in haemodialysis. QJM. 1994; 87(11):679-83
Ha
H, Kim KH. Role of oxidative stress in the development of diabetic nephropathy.
Kidney Int Suppl. 1995; 51:S18-21. Review.
Mashima
R, Nakanishi-Ueda T, Yamamoto Y. Simultaneous determination of methionine
sulfoxide and methionine in blood plasma using gas chromatography-mass
spectrometry. Anal Biochem. 2003; 313(1) 28-33
Yokoyama
T, Kamijo-Ikemori A, Sugaya T, Hoshino S, Yasuda T, Kimura K. Urinary excretion
of liver type fatty acid binding protein accurately reflects the degree of
tubuloinerstitial damage. Am J Pathol. 2009; Epub ahead of print
Komaba
H, Fukagawa M. Disturbance of phosphorus metabolism in chronic kidney disease.
Clin Calcium 2009; 19(2) 166-72
Friedman
DJ, Talbert ME, Bowden DW, Freedman BI, Mukanya Y, Enjyoji K, Robson SC.
Functional ENTPD1 polymorphisms in African Americans with diabetes and end-stage
renal disease. Diabetes 2009; 58(4) 999-1006
Atamer
A, Kocyijit Y, Ecder SA, Selek S, Ilhan N, Ecder T, Atamer Y. Effect of
oxidative stress on antioxidant enzyme activities, homocysteine and
lipoproteins in chronic kidney disease. J Nephrol. 2008; 21(6) 924-30
Reich
HN, Oudit GY, Penninger JM, Scholey JW, Herzenberg AM. Decreased glomerular and
tubular expression of ACE2 in patients with type 2 diabetes and kidney disease.
Kidney Int. 2008; 74(12) 1610-6
Gutierrez
OM, Mannstadt M, Isakova T, Rauh-Hain JA, Tamez H, Shah A, Smith K, Lee H,
Thadhani R, Juppner H, Wolf M. Fibroblast growth factor 23 and mortality
among patients undergoing hemodialysis. N Engl J Med. 2008; 359(6) 584-92
Zhou
H, Cheruvanky A, Matsumoto T, Hiramatsu N, Cho ME, Berger A, Leelahavanichkul
A, Doi K, Chawla LS, Illei GG, Kopp JB, Balow JE, Austin HA 3rd, Yuen PS, Star
RA. Urinary exosomal transcription factors, a new class of biomarkers for renal
disease. Kidney Int. 2008; 74(5) 613-21
Honda
H, Oureshi AR, Heimburger O, Barany P, Wang K, Pecoits-Filho R, Stenvinkel P,
Lindholm B. Serum albumin, C-reactive protein, interleukin 6, and fetuin a as
predictors of malnutrition, cardiovascular disease, and mortality in patients
with ESRD. Am J Kidney Dis. 2006; 47:139-48
National
Kidney Foundation. K/DOQI clinical practice guidelines for chronic kidney
disease.
http://www.kidney.org/professionals/KDOQI/guidelines_ckd/toc.htm
Online 2009-05-15
Sakane
N, Fujiwara S, Domichi M, Tsuzaki K, Matsuoka Y, Hamada T, Saiga Y, Kotani K.
Oxidative stress, inflammation, and atherosclerotic changes in retinal arteries
in the Japanese population; results from the Mima study. Endocr J. 2008; 55(3)
485-488
Rolo
AP, Palmeira CM. Diabetes and mitochondrial function: role of hyperglycemia and
oxidative stress. Toxicol Appl Pharmacol. 2006; 212(2) 167-78
Ha
H, Hwang IA, Park JH, Lee HB. Role of reactive oxygen species in the
pathogenesis of diabetic nephropathy. Diabetes Res Clin Pract 2008; 82(1) 42-5
Review
Sampanis
Ch. Management of hyperglycemia in patients with diabetes mellitus and chronic
renal failure. Hippokratia. 2008; 12(1) 22-7.
Williams
R, Van Gaal L, Lucioni C, CODE-2 Advisory Board. Assessing the impact of
complications on the costs of Type II diabetes. Diabetologia 2002; 45(7)S13-7
Wen
CP, Cheng TY, Tsai MK, Chang YC, Chan HT, Tsai SP, Chiang PH, Hsu CC, Sung PK,
Hsu YH, Wen SF. All-cause mortality attributable to chronic kidney disease: a
prospective cohort study based on 462 293 adults in Taiwan. Lancet 2008;
371(9631) 2173-82.
Massi-Benedetti
M, CODE-2 Advisory Board. The Cost of Diabetes Type II in Europe The CODE-2
Study. Diabetologia 2002; 45(7)S1-4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
腎臓疾患評価のための代謝バイオマーカーであり、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを含む。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオマーカーであり、さらに、酵素反応において生成物/基質の比、好ましくはSDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン比及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比を含む、バイオマーカー。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載のバイオマーカーであり、前記アミノ酸が明細書の表1から選択され、前記アシルカルニチンが表2から選択され、及び前記生物アミンが表3からそれぞれ選択される、バイオマーカー。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバイオマーカーであり、さらに、ポリアミン、フォスファチジルコリン、還元単及びオリゴ糖、スフィンゴミエリン、胆汁酸及びフォスフォリル化糖、1、2、3価の有機酸及びヌクレオチドを含む群から選択される、1以上のメタボライトを含む、バイオマーカー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバイオマーカーであり、前記アミノ酸がCit、Phe、Asn、Trp、His、Orn、Tyr、Met、Ala、Arg、Thr、Lys、GIn、Ser、VaI、GIu及びProから選択され、前記アシルカルニチンがCO、C5-DC(C6-OH)、C5:1-DC、C8、C9、C10、C10:1、C14:1及びC18:1から選択され、前記生物アミンがMetSO、クレアチニン、SDMA、ADMA、合計DMA及びセロトニンから選択され、前記比がSDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン比及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比から選択される、バイオマーカー。
【請求項6】
腎臓疾患評価のためのバイオマーカーセットとしての、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを含むメタボライトの組み合わせを用いる方法。
【請求項7】
哺乳類対象物の腎臓疾患評価のための方法であり、生物試料、好ましくは血液及び/又は尿試料を前記対象物から得て、前記生物試料中の、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも2つのアシルカルニチン及び少なくとも2つの生物アミンを測定することを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であり、さらに、前記生物試料中の、酵素反応に関して生成物/基質の比、好ましくはSDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン比及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比を測定することを含む、方法。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれか1項に記載の方法であり、前記アミノ酸が明細書の表1から選択され、前記アシルカルニチンが表2から選択され、及び前記生物アミンが表3からそれぞれ選択される、方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の方法であり、さらに前記生物試料中の、ポリアミン、フォスファチジルコリン、還元単及びオリゴ糖、スフィンゴミエリン、胆汁酸及びエネルギー代謝中間物から選択される、1以上のメタボライトの量を測定することを含む、方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法であり、前記アミノ酸がCit、Phe、Asn、Trp、His、Orn、Tyr、Met、Ala、Arg、Thr、Lys、GIn、Ser、Val、Glu及びProから選択され、前記アシルカルニチンがCO、C5-DC(C6-OH)、C5:1-DC、C8、C9、C10、C10:1、C14:1及びC18:1から選択され、前記生物アミンがMetSO、クレアチニン、SDMA、ADMA、合計DMA及びセロトニンから選択され、前記比がSDMA/アルギニン比、シトルリン/アルギニン比、オルニチン/アルギニン比及び/又はメチオニンスルホキシド/メチオニン比から選択される、方法。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1項に記載の方法であり、前記測定が定量的分析方法、好ましくはクロマトグラフ、スペクトロスコピー及び/又はマススペクトルに基づくものである、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であり、前記クロマトグラフがGC、LC、HPLC又はUPLCのいずれかであり、前記スペクトロスコピーがUV/VIS、IR又はNMRのいずれかであり、前記マススペクトルがESI-QqQ、EI-QqTOF、MALDI-QqQ、MALDI-QqTOF又はMALDI-TOF-TOFのいずれかである、方法。
【請求項14】
請求項7乃至13のいずれか1項に記載の方法であり、前記腎臓疾患が慢性腎臓疾患(CKD)、好ましくは糖尿病性腎症(DN)である、方法。
【請求項15】
請求項7乃至14のいずれか1項に記載の方法を実施するために適合されたキットであり、装置を含み、前記装置が1以上のウェル及び1以上の、少なくとも1つの内部標準を含むインサートを含む、キット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−529015(P2012−529015A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513473(P2012−513473)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003926
【国際公開番号】WO2010/139341
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511292138)バイオクラテス ライフ サイエンシーズ アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOCRATES LIFE SCIENCES AG
【住所又は居所原語表記】Innrain 66, A−6020 Innsbruck, Austria
【Fターム(参考)】