説明

腐植物質水溶液の製造方法及び腐植物質水溶液

【課題】 この発明は、海洋深層水を用いて腐植土壌態物質から有効成分を効率よく抽出すると共に、有効成分の増強を図ることを目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、地中から採取した腐植土壌態物質を脱水乾燥して、微粉末とした後、該微粉末と、その3倍〜5倍(重量)の海洋深層水、又は海水の電気透析処理水を反応槽に入れて懸濁水とし、この懸濁水を水温8℃〜14℃でpHが5.5から3.0になるまでの期間に亘って熟成した後、液分を分離することを特徴とした腐植物質水溶液の製造方法により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋蔵された腐植土壌態物質から、有効成分を含む水溶液を比較的短期間に抽出することを目的とした腐植物質水溶液の製造方法及び腐植物質水溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来(昭和60年当時)腐植土壌態物質から有効成分を含む水溶液を抽出するには、腐植土壌態物質の乾燥粉末化に1年、これを醸成するのに1年かかり、更にこれを適宜熟成させるのに1年かかるとされ、合計3年かかるとされていた。
【0003】
また他の発明は、採取した径が5〜50cm程度の塊状の腐植土を、腐植土と混ざらないものの上で天日で半年〜1年乾燥させる粗乾燥およびビニールハウス内で1〜2ヵ月乾燥させる精密乾燥の2段階の乾燥工程をへて得られた腐植土に、水を加えて抽出を行ない、得られた抽出液を0.1〜0.2μmのフィルターを用いて濾過することにより得られた、pHが2.50〜2.99の加熱殺菌していない濾液からなる腐植土抽出物質含有水性液により、1年2ヶ月程度で製品を得ることができるとされていた。
【特許文献1】特公昭62−3806号公報
【特許文献2】特許第3507347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の製造方法によれば、何れも1年〜3年の年月を必須要件としているのみならず、その間の最適環境を維持しなければならない問題点がある。
【0005】
然し乍ら、この発明は、海洋深層水又は海水の電気透析処理水を使用することによって、有効成分の抽出液の生成期間を大幅に短縮することに成功したのみならず、海洋深層水又は海水特有の栄養分などを付加して、製品の有効成分を充実することに成功したのである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、従来抽出に用いていた清水に代えて、海洋深層水又は海水を電気透析処理して1価イオンを除去し、2価イオンを残したものを用いることにより、水溶液(懸濁液)中に懸濁する物質の洗浄を促進し、短期間(1ヶ月程度)で懸濁物質の濃度が低い腐植物質水溶液を提供することに成功し、前記問題点を解決したのである。従って、濾過処理が軽減あるいは不要になるという点で、生産期間が著しく短縮し、生産コストを低減することに成功したのである。
【0007】
即ちこの発明は、地中から採取した腐植土壌態物質を脱水乾燥して、微粉末とした後、該微粉末と、その3倍〜5倍(重量)の海洋深層水、又は海水の電気透析処理水を反応槽に入れて懸濁水とし、この懸濁水を水温8℃〜14℃でpHが5.5から3.0になるまでの期間に亘って熟成した後、液分を分離することを特徴とした腐植物質水溶液の製造方法であり、脱水乾燥は、直射光線の入らない所で、10℃〜20℃の冷暗所で自然脱水した後、加圧脱水により水分90%以下とし、ついで太陽光による曝射乾燥させるものである。また、熟成期間は、10℃〜12℃で25日〜40日とするものであり、曝射乾燥は、水分10%〜20%とするものである。
【0008】
更に、地中から採取した腐植土壌態物質を脱水乾燥し、微粉末とした後、該微粉末と、その3倍〜5倍(重量)の海洋深層水、又は海水の電気透析処理水を反応槽に入れて懸濁水とし、この懸濁水を水温8℃〜14℃でpHが5.5から3.0になるまでの期間に亘って熟成し、上澄液の分取又は濾過して液分を分離した腐植物質水溶液である。
【0009】
この発明に用いる腐植土壌態物質とは、陸上や海の天然の有機物は、植物によって生産されている。その植物体が微生物の作用で腐敗して腐植物質が生成する。腐植物質の中で、アルカリ性で可溶で酸性で沈殿する物質をフミン酸(humic acid)、全pHで可溶である物質をフルボ酸、溶解しない物質をヒューミンと呼ぶ。前記フミン酸とフルボ酸は色が黄色であるので、黄色物質(yellow substance)とも呼ぶ。このような生成過程であるから、腐植物質は種々雑多な有機物の集まりでもあり、化学構造が一定ではないが、ほぼ図3のようになっている。
【0010】
前記におけるフミン酸の分子量は10〜10であり、芳香環の骨格の上に官能基が固定された構造である(図3)。官能基としては、-COOH,-OH,-NH等を有しており、その分布は不均一である。
【0011】
このような構造であるため、フミン酸は高分子電解質、界面活性物質、キレート物質等となり、またpHやイオン強度の影響を受けやすい。
【0012】
また海洋での腐植物質の働きについて、図4の補償深度について説明する。海洋では植物プランクトンが太陽光を利用して光合成を行い、有機物を生産する。一方で植物プランクトンは常に呼吸して有機物を消費する。深いところでは太陽光が少なくなり、光合成による有機物の生産が少なくなるので、呼吸による有機物消費の方が多くなる。両者が等しい深度を補償深度という。
【0013】
海洋の有機物は、植物プランクトンが生産し、微生物が分解・無機化している。補償深度以浅では、植物プランクトンによる有機物生産が、微生物による分解に優り、補償深度以深では、有機物の分解が生産に優る。しかし、全ての有機物が分解されてしまう訳ではなく、難分解性の有機物が残っている。有機炭素1で表すと、1リットルあたり0.6mg程度が深層で存在する。この微生物によって作用を受けた有機物が腐植土壌態物質である。
【0014】
このような有機物、特に溶存有機物の海洋での働きについて、図5(b)に示す。モデル1では、植物細胞が栄養元素としての鉄を取込むとき、鉄は主にコロイド粒子として存在しているために、細胞から遠い距離にあり、植物細胞は鉄を取込むことができない。ここで、溶存有機物がキレート物質として働くので、鉄が溶存有機物と結合して水溶性になり、拡散して植物の細胞膜の取込みサイトに届き、植物細胞は鉄を取り込むことができる。
【0015】
モデル2では、銅イオンがあると、結合力が強いので銅イオンが取込みサイトに結合し、結果として取込みサイトを全て塞ぎ、他の栄養金属元素(例えば、鉄、亜鉛、モリブデン、セレン等)の取込みができなくなる。ここで、溶存有機物が存在すると、溶存有機物と銅が結合することにより銅イオンが減少するので、植物細胞は他の栄養金属元素を取込むことが可能になる。
【0016】
モデル1とモデル2によって説明したように、海水中の溶存有機物(腐植物質)は、植物細胞による栄養金属元素の取込みを可能にすることにより、植物プランクトンの生長を促進するという働きがある。
【0017】
前記腐植物質には次のような諸特性があることが知られている。腐植物質の機能として次のようなことが知られており、顔料・カーボンブラック等の分散、コンクリートヘの着色向上、紙への顔料定着性の向上、紙質の向上等、工業的に様々な分野で利用されている。
【0018】
(1)バインダー効果:成形体に成形機能を付与し、強度を向上させる。
【0019】
(2)分散効果:原料粒子の表面電荷をpHにより調整して、水性インクや塗料等の粒子を分散させる。
【0020】
(3)濡れ性効果:原料粒子の表面張力を低下させて、水に馴染むようにする。
【0021】
(4)潤滑効果:原料粒子の表面の滑り性を改良し、成形体の離形性をよくする。
【0022】
(5)可塑性:原料粒子から成る成形体に可塑性・柔軟性を与える。
【0023】
(6)減水性:成形・分散等の効果を変えないで使用水量を減らすことができる。
【0024】
(7)界面活性効果:腐植物質、特にフミン酸塩溶液の表面活性は、分子量が大きいために常にブラウン運動をしており。したがって、比重の重い物質でも、その液体品は固まることがない。
【0025】
(8)キレート効果:2価以上の金属とは錯塩を作ることにより可溶にする。このことにより、植物が微量金属栄養素を取り込み易くする。
【0026】
またこの発明における海洋深層水で抽出した腐植物質の成分については、次の効用が推定される。
【0027】
海洋深層水中に堆積物から抽出された腐植物質は、海水のpHは通常7.6から8.2程度であることから、フミン酸とフルボ酸が主体であると考えられる。見出されつつある利用分野とその効果の原因は次のとおりである。
【0028】
(1)農業・園芸植物の生長促進・品質向上への利用可能性
腐植物質の水溶液を植物に施すと、生長や開花が促進されることが分かってきた。
【0029】
前記のように海洋では腐植物質が栄養金属元素の取込みを可能にすることにより、植物プランクトンの生長を促進している。このメカニズムを陸上植物に当てはめると、腐植物質が陸上植物の生長を促進することが容易に推測される。効果の高い植物種の探索、腐植物質の散布方法等は今後の研究課題であり、広い分野で利用されるものと推定する。
【0030】
(2)医療・衛生関係への利用可能性
腐植物質を入浴剤として利用すると、湯が柔らかくなり、穏やかな保温効果が感じられる。また、足湯に利用すると、血行を促進し、明確な全身保温効果が発揮される。
【0031】
他方、湿疹やかぶれの部位に、少量の腐植物質溶液を塗ると、かゆみが治まる。杉花粉症の鼻炎に対しても、かゆみの軽減効果は顕著である。通常は抗ヒスタミン薬やステロイドを多用するが、これらの使用量が低減されることは重要な意味をもつものと認められる。
【0032】
これらの効果を発揮する原因は未だ明らかになっていないが、前記海洋腐食物の働きからの類推を試みると、図5(b)では、銅イオンが細胞に対してある種の阻害(毒性)を示した。銅イオン以外にも、細胞に対する毒性を示す元素(イオン)が存在するであろう。このような毒性を腐植物質が中和すると考えれば、腐植物質が皮膚を穏やかに保護することが推定される。
【0033】
(3)その他の利用可能性
顕著な消臭効果が認められる(例えば靴、靴下、衣服、体臭等の消臭)。また、食品の味覚向上の効果が認められる(いやみがなく、まろやかで自然な味になる)。
【0034】
これらの効果は明確であるが、その原因は目下推定の域を出ないので、腐植土壌態物質からの抽出液の選択的反応性や界面活性効果など今後の研究により解明される。
【0035】
九州地方沿岸部の水田地帯の地下に埋蔵されており、表層土の地下10数mから50mの岩盤上に堆積した腐植土壌態物質である(図1)。この腐植土壌態物質の生成年は、付近の地層からは5〜10億年前と推定される原始の生物の化石が数多く発見されており、原料となる腐植土壌態物質の放射性炭素測定によれば8〜10億年前の地層であることが確かめられており(従って少なくとも8億年前の地層と言える)、カルシウム、アルミニウム、シリコン等のミネラルと、各種のアミノ酸が数多く含まれていることが判った。
【0036】
前記腐植土壌態物質(多くは泥状)の成分組織は表1のとおりであり、これに含まれたミネラル分は表2のとおりである。
【表1】

【表2】

【0037】
この発明の処理における醸成水温と物質溶解量は図2のとおりであり、水温が12℃より高くなると、硫化物(TS)や硝酸化合物(TN)が多く溶け出すことが判明している。水温14℃以上になると、溶け出す割合が、急激に増加する。
【0038】
また醸成は、約1ヶ月であるが、仕込み時のpH5.5が醸成完成時にはpH3.7〜3.0となるので、pHの測定からも、醸成度を推測することができる。
【0039】
従来清水を使用した醸成においては、上澄液を分取して更に1ヶ年熟成させた方が、品質良好となったが、この発明によれば、1ヶ月〜2ヶ月の熟成で同様の効果を期待できる。その理由は、海洋深層水(又は海水の電気透析処理水)の使用により微生物の活性化が大きい為と思われる。
【0040】
前記熟成により、結合態アミノ酸の構造が安定化して沈殿物の発生が減り、味がまろやかになる。熟成時の水温は低温がよいが、概ね10℃〜12℃が好ましい。熟成した液は、要すれば濾過し、一定量宛瓶詰して製品となり、4℃~5℃の冷蔵庫に一昼夜保管して安定化させる。一般に、ミネラルとアミノ酸は容易に錯体を構成するが、この発明の製品は、過剰のミネラルと結合し、多核錯体を構成する場合が多く、アミノ酸分子とミネラルイオンとの間のσ結合によってできるσ錯体となっている。こうした結合は、きわめて不安定で、環境温度の変化により中心原子団が解離して錯体が壊れることが多いが、結合時の環境温度より十分低い温度環境で保存すると、複核錯体や単核錯体に変わり、その後の温度変化に対して安定性が高まることが確かめられている。
【0041】
一般に海洋深層水中には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、リン、鉄、マンガン、銅、モリブデン、セリン、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウム、ゲルマニウム、ケイ素などを含み、場所によって、含有物及び量を異にしている。例えば、伊豆大島泉津沖水深500m付近の深層水の成分は、表3のとおりである。
【表3】

【0042】
また静岡県沖(水深687m)の深層水に含まれる水分は表4のとおりである。
【表4】

【0043】
表4中、炭素量が多いのが目立っている。因に御嶽山の湧水の場合には27.5mg/Lであった。
【0044】
次に有明沿岸部の地中に埋蔵されていた腐植土壌態物質から、清水を用いて抽出した場合の腐植物質水溶液の成分中、ミネラル分は表5に示すとおりであり、ビタミン類は表6に示すとおりである。また糖類は表7のとおりである(財団法人東京都予防医学協会による)。
【表5】

【表6】

【表7】

【0045】
次に、遊離アミノ酸は表8のとおりであり、全アミノ酸は表9のとおりである。
【表8】

【表9】

【0046】
従ってこの発明によれば、前記腐植物質水溶液の成分に、深層水の成分が付加されることになり、前記表5のミネラル分に、表3又は表4のミネラル分が加わることは明らかである。
【0047】
前記全アミノ酸に比して遊離アミノ酸が極端に少ないのは、この発明の水溶液に含まれるアミノ酸のほとんどがミネラルとの結合アミノ酸であることを示しており、例外的にフォスフォセリンのような遊離しやすいアミノ酸のみが遊離している。
【0048】
フォスフォセリンはLセリンと同様に脳内ニューロン細胞を生存させ統ける上で重要な物質で、必須アミノ酸ではないが、これが不足すると脳の活性が阻害され記憶能力や判断能力が衰えてくることが理化学研究所の研究チームによって確かめられている。
【0049】
通常Lセリンはニューロン周辺のアストログリアと呼ばれる細胞組織で作り出されているが、この発明の製品を飲用することによりセリンをはじめ有用なアミノ酸類が供給され、脳細胞の活性化に大きく貢献することが確かめられたのである。
【0050】
この発明の製品のアミノ酸のほとんどが結合態であるということは、流通、保存の上で変質がしにくく、栄養価が安定していることを意味している。
【0051】
単純に考えるとミネラルと結合しているアミノ酸は生体吸収率が悪いのではないかと考えられがちであるが、実際はまったく反対で、飲用すると結合ミネラルが水和反応して胃液からアミノ酸の構造を守り、遊離したアミノ酸が腸管や静脈壁からすぐに吸収されることが確かめられている。
【0052】
タンパク質やアミノ酸が触媒作用や薬理作用を示すのはその構造に由来し、分子の結び付き方が変わると性質が変わってしまう。数々の医薬品が安定化と作用機序を決定づけるために特定の化学構造や結合を持っているのは、この発明の製品をはじめとする天然の物質のもつ構造や結合態を応用したものであることが理解される。
【0053】
この発明の製品は、これを飲用することによって、新陳代謝を促進し、各機能を活性化する為に、保健・健康増進上有効とされており、これに伴って、内臓疾患を改善し、肝機能及び腎機能の強化・治癒を促進し、高血圧及び通風の治癒促進、月経不順・生理痛の緩和など、各種症状を改善する清涼飲料水(健康増進飲料水)として認可されている。
【0054】
前記のように人体のみならず、植物についても有効であって、これを500倍〜1000倍に希釈して、植物に散布すれば、茎、葉を丈夫にし、花の数が増加し、食用植物については味も向上することが報告されている。
【発明の効果】
【0055】
この発明によれば、腐植土壌の処理に際し、海洋深層水を使用したので、処理期間を大幅に短縮し得ると共に、有効成分が著しく増加した効果がある。
【0056】
また長年月を要しなくなるので、製造の自動化及び条件の制御が容易となり、低廉かつ均質製品を容易に多量生産できるなどの諸効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
この発明は地中から掘り出した腐植土壌態物質を、自然脱水した後、加圧脱水し、ついで自然光による加熱乾燥して、微粉末とする。
【0058】
次に、前記微粉末と、その5倍(重量)の海洋深層水とを加工槽に入れて均一に撹拌後、12℃で静置熟成させる(毎日1〜数回緩徐に撹拌)。このようにしてほぼ30日後、pH3.5になったならば、液分を分離し(上澄液分取又は濾過)、一定期間熟成後、又は熟成することなく、一定量宛瓶詰して冷蔵し、製品とする。
【実施例1】
【0059】
この発明の実施例を図1に基づいて説明すると、有明沿岸部の地下に埋蔵されていた腐植土壌態物質(水分46.5%、海綿状)900kgを自然流下脱水で水分35%まで脱水し、ついで加圧脱水で水分25%まで脱水した後、太陽光線利用の乾燥で、水分10%以下まで乾燥する。
【0060】
前記最終乾燥には、天日を用い、腐植質の低分子化と細菌類の不活化を目的としており、約1年に亘り撹拌粉砕と、天日曝射を繰り返して微粉末状(例えば0.1mm〜2mm位)の原料500kgを得た。前記原料の有機物含量は、凡そ80%で、残りがミネラル分で表2のとおりである。
【0061】
前記で得た原料500kgと、静岡県沖より得た海洋深層水(水深687m)1500リットルとを醸成槽に投入し、水温を12℃前後に保って30日間醸成する(成分表4)。
【0062】
前記醸成は、土壌中のアミノ酸やミネラルを水中に解離させる作業で、水温が高いと硫化物や、硝酸化合物が多く溶け出し(図2)、水温が低いと有用な成分が得られないので、温度は10℃〜14℃であるが、12℃前後が好ましい。
【0063】
前記醸成の当初pHは5.5程度であるが、逐次pHが低下し、30日位でpH3.7〜3.0となるので、醸成を中止して上澄液を採取し、簡単に濾過して固形物を除去すれば、この発明の腐植物質水溶液1500リットルができる。
【0064】
前記において、醸成槽の下部には、比較的固形分の多い溶液が10%程度残るが、この部分は、通常の濾過により固液を分離した後、前記製品と混入する。尤も醸成状態によっては、全量濾過することもできる。
【0065】
前記実施例1により得た水溶液の全アミノ酸は表10のとおりである。
【表10】

【実施例2】
【0066】
前記実施例1では、海洋深層水を用いて腐植土壌態物質の微粉末から有効成分を抽出したが、前記海洋深層水に代えて海水の電気透析処理水を用いても同様である。但し海洋深層水と、海水との含有成分比(例えばミネラル含有量)が異なるけれども、動植物に対する有効性は保有している。従って実施例2に関する詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明に用いる腐植土壌の埋蔵状態を示す模式図。
【図2】同じく醸成水温と物質溶解量を示す図。
【図3】(a)同じく自然脱水の模式図、(b)同じく加圧脱水の模式図。
【図4】同じくフミン酸の構造モデル。
【図5】(a)同じく海洋での有機物の生成と分解を示す説明図、(b)同じく植物細胞による金属元素の取込みの説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中から採取した腐植土壌態物質を脱水乾燥して、微粉末とした後、該微粉末と、その3倍〜5倍(重量)の海洋深層水、又は海水の電気透析処理水を反応槽に入れて懸濁水とし、この懸濁水を水温8℃〜14℃でpHが5.5から3.0になるまでの期間に亘って熟成した後、液分を分離することを特徴とした腐植物質水溶液の製造方法。
【請求項2】
脱水乾燥は、直射光線の入らない所で、10℃〜20℃の冷暗所で自然脱水した後、加圧脱水により水分90%以下とし、ついで太陽光による曝射乾燥させることを特徴とした請求項1記載の腐植物質水溶液の製造方法。
【請求項3】
熟成期間は、10℃〜12℃で25日〜40日とすることを特徴とした請求項1記載の腐植物質水溶液の製造方法。
【請求項4】
曝射乾燥は、水分10%〜20%とすることを特徴とした請求項1記載の腐植物質水溶液の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法により製造した腐植物質水溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−181460(P2006−181460A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377093(P2004−377093)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(304064300)株式会社日本海 (1)
【出願人】(501404653)有限会社小出 (1)
【Fターム(参考)】