説明

腐食を検出するための塗料、並びに、腐食、化学侵襲、及び放射性侵襲の警告方法

【課題】 本発明は、腐食、化学物質、又は放射性物質の警告方法に関する。
【解決手段】 本発明による方法は、示唆物質を含む塗料又はコーティングで表面を塗装する工程、及び、腐食、化学物質、又は放射性物質について表面を観察する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出に関する。より詳細には本発明は、腐食、化学物質、及び放射性物質を検出するための塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
腐食損傷は、保護塗装コーティングの下に隠れていることが頻繁にある。腐食は、35000の地上車及び戦闘用車両、15000の戦闘機及びヘリコプター、1000の戦闘用ミサイル、並びに約3450万平方メートルを有する300の軍艦に打撃を与えることが報告されている。そのような劣化は、戦闘用車両の機械的破壊、軍艦が沈没寸前の状態になったこと、1980年代の複数の戦闘用ジェットの墜落、及び航空母艦での作戦行動中に複数の海軍ジェット機の着陸装置が破壊したことの原因であると考えられている。腐食に関する保守活動には、約70000人の軍人及び文民からなる米国防総省の職員、及び世界数千の民間企業が関わっている。腐食損傷には、米国防総省は毎年100-200億米ドルを負担している。1998年では、ヘリコプターの腐食修繕だけで、約40億米ドルもの費用がかかっている。問題が早期に見つかれば、修繕費用は安くなる。
【0003】
本発明の塗料/コーティングによって、化学兵器及び放射性兵器を直接又は装置を利用して視覚的に検出することが可能となる。係る塗料及びコーティングは、化学侵襲及び放射性侵襲を受けた兵隊に警告を与えることができる。この特徴は、保守行為中、戦闘用車両に付加されて良い。建物、列車、及び地下鉄トンネル内部に塗料を用いることで、大面積にわたって化学兵器及び放射性兵器の存在を検出する手段が供される。神経ガスは、強くコリンエステラーゼを抑制する有機リン系化合物である。ムスカリン性及びニコチン性過剰刺激の兆候には、腹痛、嘔吐、下痢、過剰な唾液分泌及び発汗、気管支けいれん、多量の肺分泌、筋肉のけいれん及び衰弱、並びに呼吸停止が含まれる。発作、徐脈、又は頻脈が起こっている恐れもある。深刻な脱水症状は、発汗、嘔吐、及び下痢による水分の損失の結果生じる恐れがある。後遺症には、多発性神経障害、及び神経精神病学上の変化が含まれる。
【特許文献1】米国特許出願第60/711488号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/293657号明細書
【特許文献3】米国特許第5935862号明細書
【特許文献4】米国特許第6403329号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学物質のその場検査用微小領域検査法及び現地試験キットに関する特許文献3は、従来技術について以下のように述べている。“何年にもわたって、毒性の高い様々な化学兵器(CWA)が、複数の国家によって開発され、備蓄されてきた。CWAに関連する生体への危険及びCWAの生成物の劣化の観点から、化学兵器禁止条約(CWC)が、一部の国家によって制定された。このCWC加盟国は、その条約に違反するCWAを観察し、特定し、又は必要な場合には処理する。その条約の結果、条約の遵守を保証するため、様々な場所での検査を実施することがしばしば必要となる。(中略)迅速かつ正確にCWA及びその関連副生成物の存在を特定するという観点、さらには現在利用可能である検出法に係る問題点を解決するという観点から、新たなそして改良された検出法及びキットが求められている。”
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴及び利点は、以降の記載から明らかになる。出願人らは、図及び特定実施例を含むこの記載を、本発明を広範に表すものとして供する。本発明の技術的思想及び範囲内である様々な変化型及び修正型は、本記載及び本発明の実施によって、当業者にとって明らかとなる。本発明の技術的範囲は、開示された特定実施例に限定されることは意図していない。本発明は、「特許請求の範囲」によって画定される本発明の技術的思想及び範囲内である全ての修正型、均等物、及び代替型を網羅する。
【0006】
本発明は、腐食、化学物質、又は放射性物質を警告するシステムを供する。当該システムは、示唆物質を含む塗料又はコーティングで表面を塗装する工程、及び腐食、化学物質、又は放射性物質を示す表面を観察する工程を有する。本発明の一実施例は、腐食、化学物質、又は放射性物質を警告する塗料を表面上に有する。その塗料は、操作可能なように表面と接続する。その塗料が保有する示唆物質は、腐食、化学物質、又は放射性物質の兆候を与える。本願を通じて、(複数の)塗料と(複数の)コーティングは、同義的に用いられる。
【0007】
本発明の利用は、下地の腐食及び外界の影響によるクラックを検出するコーティング、化学兵器及び放射性兵器を検出するコーティング、並びに外界の汚染物質及び化学物質の放出を検出するコーティングを含む。塗料又はコーティングは、直接又は装置を利用した視覚的検出によって、腐食、化学物質、又は放射性物質について警告する。係る塗料及びコーティングは、化学物質及び放射性物質による侵襲を兵隊に警告することができる。この特徴は、保守行為中、戦闘用車両に付加されて良い。建物、列車、及び地下鉄トンネル内部に塗料を用いることで、大面積にわたって化学兵器及び放射性兵器の存在を検出する手段が供される。
【0008】
本発明は、修正型及び変化型を許容することができる。具体的実施例が例として示される。本発明は開示された特定実施例に限定されないことに留意して欲しい。本発明は、「特許請求の範囲」によって画定される本発明の技術的思想及び範囲内である全ての修正型、均等物、及び代替型を網羅する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
明細書の一部を構成する添付図は、本発明の具体的実施例を図示している。その具体的実施例に関する詳細な説明は、本発明の一般的説明とともに、本発明の原理を説明する役目を果たす。
【0010】
図、以降の詳細な説明、及び中に含まれる物質を参照すると、具体的実施例の説明を含む本発明についての詳細な情報が供される。詳細な説明は、本発明の原理を説明する役目を果たす。本発明は、修正型及び変化型を許容することができる。本発明は、「特許請求の範囲」によって画定される本発明の技術的思想及び範囲内である全ての修正型、均等物、及び代替型を網羅する。
【0011】
図1を参照すると、本発明のシステムに係る実施例が図示されている。当該システムのこの実施例は、全体として参照番号100で指定されている。当該システム100は、構造物101上の腐食又は外界の影響によるクラックを警告する。腐食又は外界の影響によるクラックは、不規則な陰影領域105によって図示されている。腐食又は外界の影響によるクラックを警告するシステム100は、指示用塗料103で調べたい表面102を塗装する工程、及び腐食又は外界の影響によるクラック105を示唆する塗料103を観察する工程を有する。塗料103は、物質104を含むことで、腐食又は外界の影響によるクラック105を示唆する。たとえば塗料103は、色を変化させることによって、腐食又は外界の影響によるクラック105を示唆して良い。
【0012】
構造物101の腐食又は外界の影響によるクラックを警告することは非常に有用でかつ大きな利点を供することができる。腐食は、35000の地上車及び戦闘用車両、15000の戦闘機及びヘリコプター、1000の戦闘用ミサイル、並びに約3450万平方メートルを有する300の軍艦に打撃を与えることが報告されている。そのような劣化は、戦闘用車両の機械的破壊、軍艦が沈没寸前の状態になったこと、1980年代の複数の戦闘用ジェットの墜落、及び航空母艦での作戦行動中に複数の海軍ジェット機の着陸装置が破壊したことの原因であると考えられている。腐食に関する保守活動には、約70000人の軍人及び文民からなる米国防総省の職員、及び世界数千の民間企業が関わっている。腐食損傷には、米国防総省は毎年100-200億米ドルを負担している。1998年では、ヘリコプターの腐食修繕だけで、約40億米ドルもの費用がかかっている。問題が早期に見つかれば、修繕費用は安くなる。
【0013】
システム100の感知コーティングは、補助装置を用いた視覚的検査中、下地の損傷を露わにすることができる。腐食は、化学的に敏感な蛍光/比色添加物によって検出することができる。外界の影響によるクラックは、歪みに敏感なコーティングによって検出することができる。安全な放射性トレーサーは、重要な金属損失の追跡に用いられて良い。本発明の塗料及びコーティングの中には、腐食及び外界の影響によるクラックによる損傷を、直接又は装置を利用して視覚的に検出することを可能にするものがある。係るコーティングは、視覚的検査を介して、パイロット、航海士、及び兵隊に、差し迫った不具合を早期に警告する。たとえばこの特徴物は、日常のターミナルでの保守中、面に付加されて良い。またこの特徴物は、船及び潜水艦が港にある場合又はドライドックで作業されている場合に、その船及び潜水艦に付加されて良い。
【0014】
たとえば図1に図示されているような腐食又は外界の影響によるクラック105のような腐食損傷は、保護塗装コーティングの下に隠れていることがよくある。電子腐食センサは信頼性が低く、高価でかつ設置が難しい。コーティングの下に存在する腐食は、検出可能な化学変化を伴う。検出可能な化学変化とはたとえば、熔解した多価金属カチオンの加水分解によって生じるpHの低下などである。本発明は、化学的に敏感なコーティング103を供する。そのコーティング103は、通常の保守中に塗布されて良く、かつ腐食を早期に示唆するものとして用いることができる。
【0015】
pH変化の検出に加えて、広範な他の機能が、腐食損傷の検出に利用されて良い。塗料103系は、大きく3つに分類される。それは、(1)pHに敏感な示唆物質を含む、コーティングに添加される化学的に敏感な添加物、(2)歪みに敏感なコーティング、及び(3)金属の重大な損失/移動を示唆する能力を有する放射性トレーサー、である。図1に図示された塗料103に含まれる物質104は、以下の添加物のうちの1種類以上であって良い。それは、蛍光分子及び粒子(pH及び塩化物に敏感である)、ゼオライトケージ内部の半導体クラスタ(分子の大きさに基づいて選別を行う)、電気活性な酸化還元対(電気化学電位及び酸化状態に敏感である)、導電性ポリマーのネットワーク(腐食による局所電位及び電流に敏感である)、異方的誘電(光学及び電気)特性を有する物質(応力及び歪みに敏感である)、様々な放射性同位元素トレーサー(金属の溶解及び移動に敏感である)、並びに、放射性同位元素トレーサーの移動を画像化する熱ルミネッセンス及びフォトルミネッセンス色素(溶解した金属のマイグレーションに敏感である)である。
【0016】
金属損失を示唆する安全な放射性同位元素トレーサーの一例はTc-99である。Tc-99は、崩壊中にβ粒子を放出する。この物質は、たとえば航空機の翼桁及び重ね継ぎ手のような重要な構造上の部品の表面上にイオン注入されて良い。裂け目の腐食は、イオン注入されたTc-99を有する表面の溶解を引き起こす。そのような溶解により、イオン注入された放射性トレーサーの移動が検出可能となる。それによって、金属の損失が明確に示される。金属損失の程度は、β崩壊に関連するシンチレーションの強度と相関する。他の放射性同位元素トレーサーを用いることも可能である。他の放射性同位元素トレーサーにはγ線を放出するものも含まれる。具体的には、構造物101での腐食又は外界の影響によるクラック105の警告は、有機シンチレーション物質104をコーティング103に入れることによって実現される。有機シンチレーション物質104を含むコーティング103は、β線が照射されたとき、注入されたTc-99からの発光を生成する能力を有する。下地金属の溶解及びマイグレーションは、コーティング103によって画像化可能である。
【0017】
出願人らは、図1に図示された“インテリジェントコーティング”又は“スマートサーフェス”を含む本発明の実施例をテストした。“インテリジェントコーティング”又は“スマートサーフェス”は、裂け目の腐食を示すコーティング-基板界面でのpHのわずかな変化をも検出することを可能にする。出願人らは、裂け目でのpHを測定した。その結果、pHは強い酸性で、変化は容易に検出できることが示された。そのようなpH測定は、チップ上に堆積された蛍光色素を有するファイバ光学系プローブによって行われた。蛍光ピークのレシオメトリック測定は、pHを表すと考えられる。“インテリジェントコーティング”では、pH感受性を有する物質は、コーティング103に直接入れられる。他の特定コーティングは、化学兵器の検知のために開発される。また他の特定コーティングは、コリネステラーゼ抑制剤の検出が可能となるように“本来備えられるべき”pH感度を必要とする。
【実施例1】
【0018】
図2を参照すると、本発明のシステムに係る他の実施例が図示されている。当該システムのこの実施例は、全体として参照番号200によって指定されている。当該システム200は化学兵器又は放射性兵器を警告する。化学兵器又は放射性兵器を警告するシステム200は、指示用塗料203で調べたい構造物201の表面202を塗装する工程、及び化学兵器又は放射性兵器を示唆する塗料203を観察する工程を有する。
【0019】
塗料203は物質を含むことで、化学兵器又は放射性兵器を示唆する。化学兵器(CWA)の検出においては、塗料203に含まれるメチルホスホン酸アルキルオキシが、適当な脱水剤と反応することで、コリネステラーゼ抑制剤を生成する。続いてコリネステラーゼ抑制剤は、pHに敏感な発色性示唆物質分子によって検出される。化学兵器(CWA)は、CWAの雲208によって図示されている。
【0020】
再度図2を参照すると、塗料203による化学兵器(CWA)の検出が、かなり詳細に説明されている。たとえばCWA208は、強力なコリネステラーゼ抑制剤である有機リン系化合物である神経ガスを含んで良い。ムスカリン性及びニコチン性過剰刺激の兆候には、腹痛、嘔吐、下痢、過剰な唾液分泌及び発汗、気管支けいれん、多量の肺分泌、筋肉のけいれん及び衰弱、並びに呼吸停止が含まれる。発作、徐脈、又は頻脈が起こっている恐れもある。深刻な脱水症状は、発汗、嘔吐、及び下痢による水分の損失の結果生じる恐れがある。後遺症には、多発性神経障害、及び神経精神病学上の変化が含まれる。
【0021】
当該システム200は、塗料又はコーティング203に化学的感受性を与えることによって、CWA208の検出を可能にする。特許文献3及び特許文献4は、適当な脱水剤と反応してコリネステラーゼ抑制剤を生成するメチルホスホン酸アルキルオキシについて記載している。
【0022】
当該システム200に用いられる試薬として含まれるものは、(1)メチルホスホン酸(MPA)及びメチルホスホン酸アルキルオキシ(AMPA)、MPAエチル(EMPA)、MPAイソプロピル(IMPA)、MPAシクロヘキシル(CMPA)、MPAピナコリル(PMPA)、メチルホスホン酸O-エチル(EMPTA)、及び1,4-ジチアン(DITHIANE)、(2)エステル化試薬、ジアルキルスルファート、及びジアルキルヨージド、(3)脱水用及び他の試薬、1,3-ジクロロヘキシルカルボジイミド及び1,3-ジイソプロピルカルボジイミド、(4)発色性検出器用試薬、ブロモクレゾールグリーン、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCQN)、及びNaOHを反応させた/させない塩化金、並びに(5)固体吸着剤、アルミナ、及びシリカである。
【0023】
続いてAMPAを適当な脱水剤と反応させることによって生成されたコリネステラーゼ抑制剤は、pHに敏感な発色性示唆物質分子によって検出される。ブロムクレゾールグリーンは一般的な発色性示唆物質である。ブロムクレゾールグリーンは、pH≧5.4では青色で、かつ3.8<pH<5.4では黄色である。固体吸着物質表面にコリネステラーゼ抑制剤が存在することで、pHは、5.4より大きな値から、酸性のレベルである3.8から5.4にまで低下する。それにより色変化が生じる。
【0024】
化学兵器を検出するシステム200は、エステル化試薬及び脱水剤の活量を保守するようにして含められたエステル化試薬及び脱水剤を利用する。これには、ポリマーコーティングに機能を直接組み込むこと、きっかけを与えてカプセルから試薬を放出すること、及び輸送律速された時間で放出させること、が含まれる。
【0025】
放射性兵器(RWA)の検出は、塗料203に含められたシンチレーション剤を利用する。放射性兵器(RWA)は、矢印204によって図示されている。特殊な結晶性色素205、206、及び207は塗料203に加えられる。その塗料203は、α線、β線、及びγ線204によって照射されたときに光λ1、λ2、及びλ3を発光する。これらのシンチレーションは、増幅器及びパルス計測電子機器と結合する光電子増倍管(PMT)、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって直接検出されて良い。あるいはその代わりに、シンチレーションは、塗料のポリマー結合剤内に含まれる色素中の蛍光体を刺激するのに用いられて良い。αシンチレーション色素205は光λ1を発光する。βシンチレーション色素206は光λ2を発光する。γシンチレーション色素207は光λ3を発光する。
【0026】
再度図2を参照すると、塗料203による放射性兵器(RWA)の検出がかなり詳細に説明されている。たとえば放射性兵器はシンチレーションによって検出される。結晶性色素205、206、及び207は塗料203に加えられる。その塗料203は、α線、β線、及びγ線204によって照射されたときに光λ1、λ2、及びλ3を発光する。その発光は、PMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって直接検出されて良い。あるいはその発光は、塗料のポリマー結合剤内に含まれる色素中の蛍光を刺激するのに用いられて良い。その蛍光は2次放出として検出される。システム200に用いられる成分の一部は以下である。それは、(1)たとえば中性子検出用のLiI(Sn)、α粒子検出用のZnS(Ag)、γ線検出用のNaI(Tl)、γ線検出用のCsI(Tl)、γ線検出用のCsI(Na)、γ線検出用のBGO、及びγ線検出用のBaF2、のような無機シンチレータ、並びに(2)たとえばβ線及び中性子検出用のアントラセン、β線検出用のトランス-スチリベン、β線検出用のp-ターフェニル、β線及び中性子検出用のジフェニルオラゾール、β線検出用のテトラフェニルブタジエン、及びβ線検出用のポリスチレン中のターフェニル、のような有機シンチレータである。これらは塗料203に含まれることで、RWA感受性を有する。他の活性剤が利用されても良いことに留意して欲しい。
【0027】
出願人らは、図2に図示された本発明に係る放射線に敏感な塗装が成功したことを示した。このことは、α粒子及びγ線の両方によって照射された塗装表面からのシンチレーションをうまく検出することによって実現された。弱い1-nCiのプルトニウム239からのα粒子が、特殊なシンチレーション塗料、光電子増倍管(PMT)、及び適当なパルス計測ネットワークによって検出された。パラメトリック調査が行われることで、コーティング厚さ及びそのコーティングと放射線源との間の間隔の関数としてのシンチレーション割合が決定される。最適な塗料厚さは、このシナリオで特定される。塗料はシンチレーションを容易に検出できるレベルを供するのに十分な厚さを有していなければならないが、シンチレーションが、検出器に到達する前に塗料による自己吸収を起こすほどの厚さであってはならないことが分かった。100-μCiラジウム226線源からのγ線もまた、他の特殊なシンチレーション塗装を行い、市販されている1280万画素のカメラによって経時変化を写真に撮ることによって、検出された。
【0028】
図1及び2に図示されているシステム100及び200によって表されている塗装は、様々な塗布方法を用いて塗布されて良い。たとえば表面上又は表面付近で放射性兵器の存在を検出する誘導体塗料及びコーティングの製造、及び多量の放射線への長時間の被曝を定量化する“集積した”塗料及びコーティングの製造には、多数の方法が用いられて良い。これらのコーティングは、シンチレーション及び/又は熱ルミネッセント物質を色素として含む。またこれらのコーティングは、様々なプロセスによって容易に製造することができる。そのようなプロセスには、有機ポリマー結合剤、有機ポリマー結合剤によって溶射される塗料又はコーティング、有機ポリマー結合剤によってブラシで塗布される塗料又はコーティング、ウエブコーター及び有機ポリマー結合剤によって製造されるコーティング及び膜、粉末コーティング、無機であるセラミック/金属結合剤、低温溶射プロセス、並びに高温溶射プロセスが含まれる。
【0029】
塗料及びコーティングは、多数のシステムのうちの如何なる1つによって信号が送られても良い。これらには、(1)誘導体コーティングについての、増幅器及びパルス計測電子機器と結合するPMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって、色素粒子からの、α線、β線又はγ線誘起シンチレーションの同時検出、並びに(2)集積コーティングについての、照射された熱ルミネッセント色素粒子からの光子の放出を誘起するレーザーパルス、フィラメント、又は局所マイクロ波加熱であって、続いて放出された光子は増幅器及びパルス計測電子機器と結合するPMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって検出される、レーザーパルス、フィラメント、又は局所マイクロ波加熱、が含まれるが、これらに限定されるわけではない。増幅器及びパルス計測電子機器と結合するPMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置は、被曝時間での照射線量を積算して、照射線量に比例する信号を供する。
【0030】
放射性物質の検出については、図1及び2に図示されたシステム100及び200によって表されている本発明は、多くの用途を有する。たとえば放射線に敏感な塗料及びコーティングは、様々な関心あるシナリオにおいて被曝を観察するのに用いられて良い。様々な関心あるシナリオとは、(1)核及び放射性物質の製造中に関与する産業用プラント内の建物及び設備の塗装、(2)原子力発電所、原子力船、及び原子力潜水艦内部での塗装、(3)トラック及び輸送用コンテナの塗装、及び輸送経路に沿った路側の施設の塗装、(4)無人航空機、微小飛行船、及び他の偵察装置の塗装、並びに(5)放射性物質を含む活量を検出及び観察する塗装、である。観察される原子力発電及び原子力船内で操縦者が長時間の被曝(照射量)を受けることが可能になることに加えて、これらの塗装によってコーティングされた表面は、放射能汚染の広がりを追跡かつ画像化するのに用いられて良い。究極的には、熱ルミネッセント塗装及びコーティングは、輸送用コンテナが米国に受け入れられたことを証明する根拠として用いられて良い。係る証明は、塗装表面の領域検査又は採取された塗装チップの検査によって行われて良い。
【0031】
これらのコーティングはまた、航空機上で、検出及び観察されるイオン注入されたトレーサー(たとえばTc-99のような)の予期しない動きを可能にすることによって、保護コーティングの下に存在する腐食損傷を検出するのに用いられても良い。
【実施例2】
【0032】
図3A及び3Bを参照すると、本発明に係るシステムの他の実施例が図示されている。当該システムのこの実施例は全体として、参照番号300で指定されている。当該システム300は、無人航空機(UAV)301が直面する化学兵器又は放射性兵器を警告する。
【0033】
UAV301にはカメラ302が備えられている。そのカメラ302は可動で、かつUAV301本体の上の位置を含む様々な場所に視線を向けることができる。図3Aに図示されているように、カメラの視線303は、UAV301本体上の観察面304上に向けられる。カメラの視線303は、UAV301本体の他の部分に向けられても良い。たとえば他の観察面307が、UAV301の後部安定化装置のうちの1つの上に示されている。
【0034】
ここで図3Bを参照すると、観察面304がかなり詳細に示されている。観察面304は、2つの塗装細片305及び306を有する。
【0035】
塗装細片305は化学物質検出用の塗装細片である。塗装細片305は放射性物質検出用の塗装細片である。化学物質検出用の塗装細片305はある物質を含む。その物質を含むことで、塗料は化学兵器を示唆するようになる。化学物質検出用の塗料は、上記図2の箇所で説明した。システム300の塗装細片305についてのこの説明は、上記説明に基づいている。放射性物質検出用の塗装細片306はある物質を含む。その物質を含むことで、塗料は放射性兵器を示唆するようになる。化学物質検出用の塗料は、上記図2の箇所で説明した。システム300の塗装細片306についてのこの説明は、上記説明に基づいている。
【0036】
観察領域304をカメラ303で観察することによって、UAV301が化学兵器又は放射性兵器に直面したか否かを観察することが可能になる。UAVには通常カメラが備えられ、かつそのカメラはUAV本体の様々な部分を観察するように動くことができるため、システム300の付加によって、単純で費用対効果の良い化学又は放射性兵器警告システムとなる。当該システム300は、最小の費用と時間で既存UAVに後から取り付けられても良い。
【実施例3】
【0037】
図4を参照すると、本発明に係るシステムの他の実施例が図示されている。当該システムのこの実施例は全体として、参照番号400で指定されている。当該システム400は、車両型ロボット401が直面する化学兵器又は放射性兵器を警告する。
【0038】
車両型ロボット401はスクリーン402を有する。そのスクリーン402は台座上で可動である。そのスクリーン402は、観察者の位置から見えるように回転して良い。そのスクリーン402は2つの塗装細片404及び405を有する。
【0039】
塗装細片404は化学物質検出用の塗装細片である。塗装細片405は放射性物質検出用の塗装細片である。化学物質検出用の塗装細片404はある物質を含む。その物質を含むことで、塗料は化学兵器を示唆するようになる。化学物質検出用の塗料は、上記図2の箇所で説明した。システム300の塗装細片404についてのこの説明は、上記説明に基づいている。放射性物質検出用の塗装細片405はある物質を含む。その物質を含むことで、塗料は放射性兵器を示唆するようになる。化学物質検出用の塗料は、上記図2の箇所で説明した。システム400の塗装細片405についてのこの説明は、上記説明に基づいている。
【0040】
スクリーン402を観察することによって、車両型ロボット401が化学兵器又は放射性兵器に直面したか否かを観察することが可能になる。車両型ロボットは通常疑わしい小包及び領域を検査するのに用いられる。車両型ロボットへのシステム400の付加によって、単純で費用対効果の良い化学又は放射性兵器警告システムとなる。観察用スクリーン402の代わりに、車両型ロボット401は、既存の車両型ロボット401本体上に他の観察面407を有しても良い。当該システム400は、最小の費用と時間で既存UAVに後から取り付けられても良い。
【0041】
再度図1、2、3A、3B、及び4を参照すると、本発明に係る腐食、化学物質、又は放射性物質警告システムの実施例が記載されている。当該システムは、示唆物質を含む塗料又はコーティングで表面を塗装する工程、及び腐食、化学物質、又は放射性物質を示す前記表面を観察する工程を有する。一の実施例では、示唆物質は、化学的に敏感な添加物を供する。その添加物は、pHに敏感な示唆物質、歪みに敏感なコーティング、又は金属の重大な損失/移動を示唆する能力を有する放射性トレーサー、を供する。一の実施例では、示唆物質は、化学的に敏感な添加物又はコーティングを供する。そのような添加物又はコーティングとは、蛍光分子及び粒子、ゼオライトケージ内部の半導体クラスタ、電気活性な酸化還元対、導電性ポリマーのネットワーク、腐食に敏感な単一の保護コーティング、歪みに敏感な単一の保護コーティング、複屈折性を有する物質、導電性を有する物質、明確なβ崩壊を示す金属損失トレーサー、すなわちコーティングの下で移動するイオン注入されたTc-99である。
【0042】
図1、2、3A、3B、及び4に図示された本発明のシステムに係る実施例は、放射線に対して敏感な色素の合成及び製造を含む。前記合成及び製造は、バルク結晶を成長させた後に不活性極低温液体中で圧延する工程、又は気相からの核化及び堆積、又は液相からの核化及び堆積のうちの少なくとも1つを含む。他の実施例は、サーファクタント又は超音波による分解(sultrasonics)又は気体散布若しくは羽根車を用いた混合を用いることにより、塗布用の塗装溶液中に色素を一定かつ均一に分散させる工程を有する。他の実施例は、シンチレーション、熱ルミネッセンス色素、又はフォトルミネッセンス色素を有する有機の塗料又はコーティングを塗布する工程を有する。前記工程は、ブラシによる塗布、溶射、浸漬、電気泳動による塗布、又は電気化学による塗布を含む。他の実施例は、シンチレーション、熱ルミネッセンス色素、又はフォトルミネッセンス色素を有する無機の膜又はコーティングを堆積する工程を有する。前記工程は、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、を有する。他の実施例は、pH、塩化物、溶融金属カチオン、電気化学電位、酸化状態、応力及び歪みに基づいた、腐食及び外界の影響によるクラックに対して敏感な無機の膜又はコーティングを堆積する工程を有する。前記工程は、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、を有する。他の実施例は、化学兵器に対して敏感な物質を無機コーティングとして堆積する工程を有する。前記工程を行う処理には、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、が含まれる。前記物質には、化学兵器と反応することでpHの変化を引き起こす試薬が浸透する。pH変化は、比色分析及びレシオメトリック蛍光示唆物質によって検出可能である。
【0043】
図1、2、3A、3B、及び4に図示された本発明のシステムに係る実施例は、塗料チップ試料を取り出し、有機マトリックス及び保護コーティングを溶解させる工程を有する。加熱によって、各色素粒子は、固有波長において光子パルスを放出する。固有波長において検出された光子パルスは放射線エネルギーの特定の帯域を表す。他の実施例は、誘導コーティングをシンチレーション色素によって検査する工程を有する。前記工程には、埋め込まれたファイバ光学系、埋め込まれたフォトダイオード、増幅器及びパルス計測電子機器を有するPMTを含む独立した光学系、又は露光が経時変化するデジタルCCDアレイカメラが含まれる。他の実施例は、集積型コーティングを熱ルミネッセント色素で検査する工程を有する。前記工程には、レーザーパルス、局所フィラメント、又は局所マイクロ波による加熱の後増幅器及びパルス計測電子機器と結合するPMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって検出を行う工程が含まれる。
【0044】
本発明は様々な修正型及び代替実施形態を許容するが、特定の実施例が例示として図中に示され、かつ本明細書中で詳細に説明されている。しかし本発明は開示された特定実施例に限定されないことに留意して欲しい。本発明は、「特許請求の範囲」によって画定される本発明の技術的思想及び範囲内である全ての修正型、均等物、及び代替型を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のシステムに係る実施例を図示している。
【図2】本発明のシステムに係る他の実施例を図示している。
【図3A】本発明のシステムに係る他の実施例を図示している。
【図3B】本発明のシステムに係る他の実施例を図示している。
【図4】本発明のシステムに係る他の実施例を図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食、化学物質、又は放射性物質を警告する表面上の塗料であって、
当該塗料は前記表面と操作可能なように接続し、かつ
当該塗料によって保持される示唆物質は、前記腐食、化学物質、又は放射性物質の存在を示唆する、
塗料。
【請求項2】
前記示唆物質は、前記腐食の存在を示唆する物質である、請求項1に記載の塗料。
【請求項3】
前記示唆物質は、前記化学物質の存在を示唆する物質である、請求項1に記載の塗料。
【請求項4】
前記示唆物質は、前記放射性物質の存在を示唆する物質である、請求項1に記載の塗料。
【請求項5】
前記示唆物質は、化学的に敏感な添加物を当該塗料に供する物質で、
前記物質は、pHに敏感な示唆物質、歪みに敏感な示唆物質、又は金属の重大な損失若しくは移動を示唆する能力を有する放射性トレーサーを供する、
請求項1に記載の塗料。
【請求項6】
前記示唆物質は、pH又は塩化物に敏感である蛍光分子及び粒子を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項7】
前記示唆物質はゼオライトケージ内部に半導体クラスタを有し、かつ
前記のゼオライトケージ内部の半導体クラスタは分子サイズに基づいて識別を行う、
請求項1に記載の塗料。
【請求項8】
前記示唆物質は、電気化学電位及び酸化状態に敏感な電気活性な酸化還元対を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項9】
前記示唆物質は、腐食による局所電位及び電流に敏感な導電性ポリマーのネットワークを有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項10】
前記示唆物質は、応力及び歪みに敏感な異方性の光学又は電気的特性を有する誘電物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項11】
前記示唆物質は、金属の溶解及び移動に敏感な放射性同位元素トレーサーを有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項12】
前記示唆物質はシンチレーション物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項13】
前記示唆物質は熱ルミネッセンス物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項14】
前記示唆物質は、溶解した金属のマイグレーションに敏感な放射性同位元素トレーサーの移動を画像化するフォトルミネッセンス色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項15】
前記示唆物質はシンチレーション物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項16】
前記示唆物質は、α線、β線、又はγ線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項17】
前記示唆物質は、α線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項18】
前記示唆物質は、β線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項19】
前記示唆物質は、γ線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項20】
前記示唆物質は、全体的な腐食、局所的及び外界の影響によるクラック、又は化学物質、又は神経ガス、又は放射性物質に敏感な1種類以上の物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項21】
前記示唆物質は、α粒子放射体、β粒子放射体、又はγ線放射体、又はX線放射体に敏感な1種類以上の物質を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項22】
前記示唆物質は、放出される光子に対して透明な有機結合剤を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項23】
前記示唆物質は前記色素粒子と一致する屈折率を有する有機結合剤を有することで、検出器の開口から遠ざかる放出体の散乱による信号損失を最小にする、請求項1に記載の塗料。
【請求項24】
前記示唆物質は、α粒子又はγ線に敏感な無機シンチレーション色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項25】
前記示唆物質は、β粒子に敏感な有機シンチレーション色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項26】
前記示唆物質は、α線、β線、又はγ線に敏感な熱ルミネッセント色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項27】
前記示唆物質は、α線、β線、又はγ線に敏感なフォトルミネッセント色素を有する、請求項1に記載の塗料。
【請求項28】
化学物質又は放射性物質を警告するシステムを有する車両であって、
当該車両と操作可能なように接続する塗料、及び
前記腐食、化学物質、又は放射性物質の存在を示唆する、当該塗料によって保持される示唆物質、
を有する車両。
【請求項29】
前記示唆物質はシンチレーション物質を有する、請求項28に記載の車両。
【請求項30】
前記示唆物質は、α線、β線、又はγ線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項28に記載の車両。
【請求項31】
前記示唆物質は、α線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項28に記載の車両。
【請求項32】
前記示唆物質は、β線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項28に記載の車両。
【請求項33】
前記示唆物質は、γ線によって照射されたときに、発光する結晶性色素を有する、請求項28に記載の車両。
【請求項34】
前記示唆物質は、化学物質又は神経ガスに敏感な物質である、請求項28に記載の車両。
【請求項35】
本発明は、腐食、化学物質、又は放射性物質の警告方法であって、
示唆物質で表面を塗装する塗装工程、及び
前記腐食、化学物質、又は放射性物質を示す前記表面を観察する観察工程、
を有する方法。
【請求項36】
前記塗装工程が、化学的に敏感な添加物を供する示唆物質で表面を塗装する工程を有し、
前記化学的に敏感な添加物は、pHに敏感な示唆物質、又は歪みに敏感なコーティング、又は金属の重大な損失/移動を示唆する能力を有する放射性トレーサー、を供する、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記塗装工程が、以下の化学的に敏感な添加物で表面を塗装する工程を有し、
前記以下の化学的に敏感な添加物とは、蛍光分子及び粒子、ゼオライトケージ内部の半導体クラスタ、電気活性な酸化還元対、導電性ポリマーのネットワーク、腐食に敏感な単一の保護コーティング、歪みに敏感な単一の保護コーティング、複屈折性を有する物質、導電性を有する物質、明確なβ崩壊を示す金属損失トレーサー、すなわちコーティングの下で移動するイオン注入されたTc-99である、
請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記塗装工程が、シンチレーション物質で表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記塗装工程が、α線、β線、又はγ線によって照射されたときに、発光する結晶性色素で表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記塗装工程が、放射線に対して敏感な色素の合成及び製造を含み、
前記合成及び製造は、バルク結晶を成長させた後に不活性極低温液体中で圧延する工程、又は気相からの核化及び堆積、又は液相からの核化及び堆積のうちの少なくとも1つを含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記塗装工程が、サーファクタント又は超音波による分解又は気体散布若しくは羽根車を用いた混合を用いたブラシ又は溶射により、塗布用の塗装溶液中に色素を一定かつ均一に分散させる工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記塗装工程が、シンチレーション、熱ルミネッセンス色素、又はフォトルミネッセンス色素を有する有機の塗料又はコーティングを塗布する塗布工程を有し、
前記塗布工程は、ブラシによる塗布、溶射、浸漬、電気泳動による塗布、又は電気化学による塗布を含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記塗装工程が、シンチレーション、熱ルミネッセンス色素、又はフォトルミネッセンス色素を有する無機の膜又はコーティングを堆積する堆積工程を有し、
前記堆積工程は、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、を有する、
請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記塗装工程が、pH、塩化物、溶融金属カチオン、電気化学電位、酸化状態、応力及び歪みに基づいた、腐食及び外界の影響によるクラックに対して敏感な無機の膜又はコーティングを堆積する堆積工程を有し、
前記堆積工程は、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、を有する、
請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記塗装工程が、化学兵器に対して敏感な物質を無機コーティングとして堆積する堆積工程を有し、
前記堆積工程を行う処理には、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、が含まれ、
前記物質には、前記化学兵器と反応することでpH変化を引き起こす試薬が浸透し、
前記pH変化は、比色分析及びレシオメトリック蛍光示唆物質によって検出可能である、
請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記塗装工程が、化学兵器に対して敏感な物質を無機コーティングとして堆積する堆積工程を有し、
前記堆積工程を行う処理には、蒸着若しくはマグネトロンスパッタリングを含む物理気相成長、又は化学気相成長、又は電気化学成長、又は高速ガス流中に懸濁された低温溶射粒子、又はフレーム溶射、プラズマ溶射、ワイヤアーク、高速酸素燃料、若しくは爆発溶射を含む高温溶射、が含まれ、
前記物質が反応することで、酸化状態、電気化学電位、又は他のコーティング特性の検出可能な変化を起こす、
請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記塗装工程が、pH感受性を有する塗料又はコーティングによって表面を塗装する工程を有し、
前記pH感受性を有する塗料又はコーティングは、比色分析に用いられる示唆物質の機能、レシオメトリック蛍光示唆物質の機能、及びpH電極の機能、が与えられる、
請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記塗装工程が、α線、β線、又はγ線を含む様々な種類の放射線を同時に検出するため、多種類の色素又は添加物を有する多機能塗料又はコーティングで表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
前記塗装工程が、様々な種類の化学物質を同時に検出するため、多種類の色素又は添加物を有する多機能塗料又はコーティングで表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
前記塗装工程が、全体的な腐食、局所的な腐食、応力腐食割れ、又は水素誘起割れを含む様々な形態の腐食を同時に検出するため、多種類の色素又は添加物を有する多機能塗料又はコーティングで表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項51】
前記塗装工程が、放射性物質、化学物質、又は腐食を同時に検出するため、多種類の色素又は添加物を有する多機能塗料又はコーティングで表面を塗装する工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項52】
前記塗装工程が、病原菌兵器及び生物兵器を検出する官能化した有孔性色素を用いる工程を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
前記塗装工程が、検出されたα粒子、β粒子、又はγ線をエネルギーで区別するように設計されたシンチレーション色素、熱ルミネッセント色素、又はフォトルミネッセント色素を用いる工程を有し、
前記熱ルミネッセント色素は、走査型電子顕微鏡で観察可能な固有の元素組成を有し、かつ固有の発光波長を有する多種類の熱ルミネッセント色素を含み、あるいは、
色素は保護物質によってコーティングされて良く、
各異なる色素は、各異なるコーティング厚さを有し、
前記の各異なる厚さを有するコーティングは、前記のコーティングされた色素粒子にエネルギー識別特性を与える、
請求項35に記載の方法。
【請求項54】
塗料チップ試料を取り出し、有機マトリックス及び保護コーティングを溶解させる工程を有する方法であって、
加熱によって、各色素粒子は、固有波長において光子パルスを放出し、かつ
固有波長において検出された光子パルスは放射線エネルギーの特定の帯域を表す、
請求項35に記載の方法。
【請求項55】
誘導コーティングをシンチレーション色素で検査する工程を有する方法であって、
前記工程には、埋め込まれたファイバ光学系、埋め込まれたフォトダイオード、増幅器及びパルス計測電子機器を有するPMTを含む独立した光学系、又は露光が経時変化するデジタルCCDアレイカメラが含まれる、
請求項35に記載の方法。
【請求項56】
集積コーティングを熱ルミネッセント色素で検査する工程を有する方法であって、
前記工程には、レーザーパルス、局所フィラメント、又は局所マイクロ波による加熱の後増幅器及びパルス計測電子機器と結合するPMT、デジタルCCDアレイカメラ、又は他のそのような装置によって検出を行う工程が含まれる、
請求項35に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−198223(P2012−198223A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−107964(P2012−107964)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【分割の表示】特願2008−528173(P2008−528173)の分割
【原出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(507410009)ローレンス リヴァーモア ナショナル セキュリティ,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】